1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十七日(土曜日)
午前十一時十二分開議
出席委員
委員長代理理事 灘尾 弘吉君
理事 加藤 精三君 理事 佐藤 親弘君
理事 吉田 重延君 理事 鈴木 幹雄君
理事 西村 力弥君 理事 門司 亮君
尾関 義一君 西村 直己君
濱地 文平君 山本 友一君
床次 徳二君 橋本 清吉君
阿部 五郎君 北山 愛郎君
横路 節雄君 伊瀬幸太郎君
大石ヨシエ君 大矢 省三君
中井徳次郎君 松永 東君
出席国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
国家地方警察本
部長官 斎藤 昇君
国家地方警察本
部次長 谷口 寛君
国家地方警察本
部警視長
(総務部長) 柴田 達夫君
国家地方警察本
部警視長
(警務部長) 石井 榮三君
国家地方警察本
部警視長 中川 董治君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林與三次君
委員外の出席者
国家地方警察本
部警視正
(総務部企画課
長) 高橋 幹夫君
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四月十七日
委員床次徳二君及び石村英雄君辞任につき、そ
の補欠として古井喜實君及び横路節雄君が議長
の指名で委員に選任された。四月十六日
ニユース映画及び教育映画の製作事業に対する
事業税撤廃に関する請願(大石ヨシエ君紹介)
(第四四三四号)
同(床次徳二君紹介)(第四四七六号)
町村合併促進法の一部改正に関する請願(黒金
泰美君紹介)(第四四五一号)
古書籍業に対する事業税免除に関する請願(大
矢省三君紹介)(第四四五二号)
タリー三ング業に対する地方税軽減に関する請
願(勝間田清一君紹介)(第四四五三号)
同(松永東君紹介)(第四四五四号)
同(稻葉修君紹介)(第四四七七号)
芦屋市自治体警察存置に関する請願(山口丈太
郎君紹介)(第四五一一号)
市町村職員共済組合法制定に関する請願(山口
丈太郎君紹介)(第四五一三号)
の審査を本委員会会に付託された。
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本日の会議に付した事件
警察法案(内閣提出第三一号)
警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法
律案(内閣提出第三二号)
自治関係法令の整理に関する法律案(内閣提出
第一五一号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/0
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001・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 これより会議を開きます。
委員長は都合により本日欠席されましたので、その指名により私が委員長の職務を行います。
まず、昨日本委員会に付託されました自治庁関係法令の整理に関する法律案を議題といたします。政府より提案理由の説明を聴取いたします。塚田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/1
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002・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ただいま議題になりました自治庁関係法令の整理に関する法律案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
さきに政府は、行政事務の簡素化に関連いたしまして、現行法令中比較的不要、不急と認められるものの整理を検討いたして参つたのでありますが、その際、過去に制定された法令のうちすでに実効を喪失しているものにつきまして、整理の意味で廃止の措置をとることと相なりました。
自治庁関係の法令につきましても、北海道三県協議費怠納者処分及同費に関し不服者出訴の件外三十六件は現在いずれも実効を喪失しているのでありまして、この際これらの法令の廃止を明確にいたしますためこの法律案を提案いたした次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/2
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003・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 本案に対する質疑は後日適当な機会にこれを行うことといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/3
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004・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 次に警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括して議題とし、これより質疑を行います。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/4
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005・門司亮
○門司委員 私は今度の警察法と同時に、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案、両案の関係から自治庁長官に一応お聞きをしておきたいと思うのであります。
この警察法の改正をしようといたしますならば、やはり現行自治法で直さなければならないところが二、三箇所あるわけであります。従つて、一方にはこの警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案というものが出ておつて、警察法が改正されて参りますと、それに伴つて法律の整理が行われるのであるが、その関係法令の整理をする法律案の中に自治法関係の条文がないのであります。従つて自治法の改正が必然的に必要になつて来ると思う。このことについて、自治庁長官は、自治法の改正案をいつごろ出されるつもりか、その点をひとつ最初に伺つておきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/5
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006・塚田十一郎
○塚田国務大臣 自治法の改正には、御指摘のように他の政府が提案申し上げているいろいろの法案の整理に関係している部分と、それからそうでない部分とあるのでありまして、御指摘のような問題の部分は、本来はそれぞれの法案が出たときに別個に処理するのがいいかとも考えたのでありますけれども、御承知のように自治法全体の相当大がかりな改正をしたらどうかという考え方がありますので、それと関連して、御指摘のような部分も今までまだ御提案申し上げる段階に至つておらぬわけであります。自治法の改正は、先般もちよつと申し上げましたように、自治庁といたしまして、ある程度の構想は得ておりますので、それぞれ関係各省、それから法制局、国会側の内意、そういうものをいろいろ検討して、なるべく提案を急ぐように努力いたしておるのでありますが、まだ幾つかの面において十分話合いのつかない問題がありまして提案が遅れておつて、まことに恐縮に存じておるわけでであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/6
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007・門司亮
○門司委員 今提案が遅れていて恐縮だ、こういう話でありますが、現在出ております警察法施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を見て参りますといずれも警察の行政関係を主としたものであります。たとえば関税法であるとか、遺失物法であるとか、狩猟法関係の問題、あるいは国税犯則取締法の関係、質屋法の関係、死産の届出というような、ほとんど事務的な処理で済む問題が多いのでありまして、これは単に関係法令の整理に関する法律案で済むと思います。地方自治法から来て警察に関係いたしておりますものでは、地方自治法第百五十六条の七項に、警察機関は府県に設置することができないという規定がある。警察行政に対しまして、委任事務としてこれを行わせるものではないということが——六項は委任事務を規定し、七項には、委任事務としても府県に行わせることができないという規定が書いてある。従つて現行自治法から考えて参りますならば、府県に警察の事務を執行させることは不可能な状態になつておる。さらに地方自治法百八十条の四の五項にも公安委員会制度の問題が規定されておるのでありますが、この公安委員会の制度にいたしましても、府県には公安委員会を置くというたけであつて、市町村は、公安委員会を持つたところが警察の事務を執行すると書いてある。従つてこの二つの条文と、さらに地方自治法の別表第二の三十三は、警察に協力援助した者に対する災害その他療養の給付についての規定でありますが、これもやはり同じように、市町村が警察を持つている場合には、市町村がこれの責任者にならなければならぬことになつている。警察法の改正をしようといたしますならば、まずこれらの問題を十分整理しておきませんと——これはほとんど事務的な問題で済むというのではございません。この警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の中にそれが入れられなかつたというのは——単に事務的なものでなくして、このこと自体警察法の根幹に触れる大きな問題であります。府県が警察の機関を持つと同時に、その執行をするというような正しい自治警察にするかどうかということ、同時に、市町村におきまして警察を持つているところは、自治警察という建前の上でそれらの処置をしなければならないということが、この警察法改正に対する基本的な一つの条項だと考える。従つて警察法を改正しようといたします場合には、まず自治法の改正が並行して行われなければならぬ。警察法だけ改正して——そうしてさきの委員会では齋藤君は、法律ができてしまえば、そういう法律についてはおのずから整理ができるということを言つておりますが、それは一応そう言えるかもしれない。それは新法が旧法に優先するという考えからいえば、どんなものをこしらえてもそういうことは言えるかもしれない。しかしそれは単なる条文の整理とか、行政の措置で済むもの百ではありませんで、今度改正しようとする警察法における警察が、府県の自治警察であるか、あるいは国家警察であるかということの判断は依然としてついておらない。この警察法を読んだだけではそういうことはわからぬのである。われわれには判断がつかない。現在の警察が自治警察であるかないかということの明確な線を出そうとすれば、やはり自治法を改正して、府県に公安委員会を置き、その公安委員会が警察の運営管理に当るのだということが、明確に自治法の中に書かれなければ、私はそう簡単にこれを片づけるわけには行かぬと思う。従つて自治法の改正というものを、警察法を審議する上にぜひ並行して出してもらわければ、われわれは警察法の改正はそう簡単にできない。基本の問題にこれは触れているのである。自治庁の長官は、今こしらえかけてはいるが、諸般の事情で出せないのだという答弁でありますが、そういう御答弁ではわれわれは警察法を審議するわけに行かない。従つて私は自治庁長官に聞いておきますが、それなら一体いつごろこれを出されるつもりなのか、その時期を明確に教えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/7
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008・塚田十一郎
○塚田国務大臣 時期の点は、先ほど申し上げますような事情で、いろいろ各方面の意見調整に骨が折れておりますので、何とも申し上げかねるのでありますが、しかし御指摘のような、警察法の改正に関連した部分について意見の相違があるというようには、私どもは承知いたしておりませんので、警察法の改正をいたしますときには、当然それとうらはらになつておる自治法の改正というものについて、関係各省の間で意見が合致しておらなければならないわけでありまして、その点についての意見は合致しておるわけであります。従つてもし自治法全体の改正が十分うまく行かないということであれば、あるいは警察その他、どうしても今会期に必要な部分だけ別個にして出して、そうして御審議を願うということになるかとも考えられるわけでありますが、なおその辺の事務的な詳細は、行政部長からお答え申し上げさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/8
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009・小林與三次
○小林(與)政府委員 ただいま大臣から答弁がありましたが、自治法と警察法との関連につきましては、確かに警察法をかえる以上は、それに伴つて自治法の調整をする問題があるのでありまして、われわれといたしましては、その調整の必要を感じておるのでございます。またこれにつきましては、自治法の考え方と、それからこれは警察だけの問題ではありませんで、ほかのそれぞれの実定法との関連をどうするかという一般的な問題もあるのでありまして、特に別表などの関係は、御指摘の通り各般の法律に全部関係がありまして、この別表の訓整は、従来からもそれぞれ実定法が通つて、あとからこれを整理して行くという形で今までもやつておるのでありまして、それぞれの実定法と一緒にやるということは、事実上困難な面もありますので、従来からそういう扱いにいたしておるのであります。と申しますのは、これは自治法によつて当然に実定法が左右されるものではなしに、実定法がそれぞれの規定によつて動くことになつておりまして、それを自治法における一般的な考え方で調整して、行くということで、自治法ではこれをあとから整理しておる扱いにしておるのであります。警察法との問題につきましても、明らかに現在現行の警察制度を前提にして自治法の規定ができておりますので、警察法がかわれば、当然それに応ずるようにこちらの方も直す、こういう考え方でおるのでありまして、こちらの規定が先行するというような考え方をいたしておらぬのであります。しかして警察法に応ずるように自治法のそれぞれの規定を直して行けば済むのじやないか、これが自治庁としての考え方であります。それでありますから、それに応ずるようにこの自治法を直せばよいというふうな考えでございますので、かりに自治法がかわらなくても、警察法がかわれば、警察法として十分な動きができる、そういうふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/9
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010・門司亮
○門司委員 さつきから申し上げますように、新法が旧法に優先するというものの考え方から言えば、私も当然そういうことになると思う。しかしそれが言えるからといつて、一切のものが片づく筋ではないと私は思う。なぜないかといえば、何度も申し上げておりますように、やはり関係法令についてはちやんと整理するように法律案が別個に出されておる。だから、こういう手続をとることがやはり常識的だと思う。従つて自治法の部分だけをそのままにしておいて、そしてこれは新法が旧法に優先するからというようなりくつだけで、ものを考えられるのは、私は言いのがれだと思う。さつきから私が申し上げておりますように、ここに出されております法律案の内容というものは、ほとんど行政措置で済むのであつて、こういうようにかわつて来たから、取締りの関係が今までの市の自治警でやつておつたものを、今度県に持つて行かなければならないというようなことだけの問題であつて、これは何ら基本に触れておらない。ところが、自治法の関係から見て参りますと、たとえば国の一つの委任事務といたしましても、これは府県には警察は置けないことになつている。市町村の公安委員会があれば、そこには警察を置かなければならないことになつておる、警察が置けるということになつている。別表第二の三十三にも、明らかに犯人検挙その他で警察官に協力して災害を受けた者については補償しなければならないことになつている。これらの条項は、いずれも警察法ができたからこういう条文を入れたという話でありますが、法律をこしらえるときにはそういう建前であつたかとも考えております。少くとも警察法を改正しようとすれば、当然これらの整理が伴つて行われなければならない。ただりくつだけで私どもこれを片づけるわけには行かない。だから、自治庁長官の今のような御答弁だけでは、私どもどうしてもこれを承服するわけに行かない。何度も繰返すようでありますが、一体いつごろそれを出される腹があるのか。速記録を調べてごらんなさい。今から一月くらい前、もつと前かもしれないが、この警察法が出たときに私はこのことについて自治庁長官にお尋ねしている。自治庁長官は、近いうちにいずれ自治法の改正を願わなければならぬということをはつきりと言つている。その後長官の意見がどうかわつたか知らないが、今日まで一箇月有余にわたつて出されておらないが、もしこの前私が委員会で聞いたときに、二、三日のうちに出したいと言われたことがほんとうであつたならば、とつくに出されて、これが並行審議が行われて、法律としてもスムーズに行く形ができておつたと思う。従つて今のような、早く出すということになれば困るからというようなことで——これは新聞の報道だから、私も必ずしもそれを信ずるわけではありませんが、もし自治法の改正を出せば、それによつて延ばされるから、自治法の改正は出さない方がいいということが、いつか新聞に書いてあつたが、私はそういうことがほんとうじやないかと思う。もし自治庁長官の言うことがほんとうだとするならば、私は非常に大きな問題だと思います。だから、この機会にもう一言長官に聞いておきますが、警察法が通れば、自然に自治法の方はあとで改正してもいいのだというようなお考えでおられるように、今の部長の答弁では私ども承つたのでありまするが、しかしこの警察自体がはたして府県警察であるのか、あるいは国家警察であるのかということについて、私どもいまだ非常な疑問を持つている、その疑問というのは、人事の配置である、これはいずれ人事院総裁に来ていただいてよくお話を伺わなければならないと思つておりますが、国家公務員が地方公務員を指揮監督する今日のこの警察制度、これは国家行政組織法の八条でありますかの関係から行つて、はたして正しいかどうか、それからそういうことがやれるかどうかというような基本的な問題もやはり警察法の改正にからんで来る、従つてこれと相関連して参りますが、こういう疑問をたくさん持つております警察法の改正に対して、これに明確に答弁を与えようとするならば、やはり府県に警察が持てるのだ、府県は警察事務の執行ができるのだということにしておかなければ、いつまでたつてもその疑問というものを解明することにならないと考える、従つて警察法を改正しようとすれば、やはりこれらの問題もぜひ解明しておいていただきたいというふうに考えておりますので、今申し上げておるのであります。
もう一つ立つたついででありますからあわせて聞いておきたいと思いまするが、今も申し上げましたように人事院総裁に来てもらつてよく意見の調整はしていただくつもりでありますが、国家公務員が地方公務員を任命するということは、一体自治庁の長官として考えられるかどうか、この点をあわせて御答弁を願つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/10
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011・塚田十一郎
○塚田国務大臣 第一の点のいつごろ出すかということでありますが、御指摘のようにもうすでに久しい前に早く出すということはしばしば申し上げておるのでありますけれども、全体としてまとめにしておるものでありますから、いろいろな点において意見の調整を要する部分があつて、つい延び延びになつてまことに恐縮をしております。今のところいつ出せるということも日のお答えができない状態にありますので、まことに遺憾に申訳なく存じておるわけでありますが、しかし先ほども申し上げましたように警察法に関する部分は、警察法の審議の際に当然それのうらはらになる自治庁関係の諸規定というものも一応考慮に置いてこの警察法の改正に調子を合せて自治法も改正する、また改正できるという考え方になつて警察法というものの御審議をお願いしてあるのでありますからして、そのようにぜひこれを直して参るつもりでおります。それから直す時期につきましては具体的には申し上げられませんが、警察法を運用いたしますまでには運用にさしつかえないという目安において、必ずこの修正をいたすということで御了承願いたいと思うわけでございます。
それからして第二の国の公務員が地方の公務員を任命できるかということでありますが、これは私も御指摘のように非常に異例な事柄であると考えるわけでございますが、しかし事務の特殊性に基いて、法に根拠を置いてやるならばできないことではないのではないか、そういうふうな考え方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/11
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012・門司亮
○門司委員 今答弁されたことはほんとうですか。警察法の施行までには問に合うようにやるということは、それはそういう確信がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/12
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013・塚田十一郎
○塚田国務大臣 警察法の施行になりまするまでに支障のないという状態に必ずいたします、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/13
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014・門司亮
○門司委員 そうだとすると、この警察法がもしこのままの姿であるいは多少修正されても、通過すれば七月一日から大体実施するように書いてある。国会の会期は五月の八日までであります。従つて今の自治庁長官の答弁がそのまま受取れるとすれば、今会合期中に自治法改正案が出されて通過をしなければならぬようになつておる。自治法の改正が今出されないで、一体これの審議ができるかどうかということに、私は非常な疑問を持つておるのであります。今は警察法の審議をしておりますから警察法の関係だけを申し上げておるのでありますが、自治法の改正については非常に私は大きな期待を持つておるのである。これは地方制度調査会の答申に基く地方の公共団体の事務分量に対する再分配が行われるということになつて参りますると、これはここで私はかなりの議論がなければならないし、同時にそう簡単には行かないと思う。今自治法改正案が出されなければ、おそらく会期中にこの委員会でこれを審議することは不可能じやないかと思う。自治庁の長官は間に合うように出すということをお言いになるが、きようにでもあしたにでも出してもらわなければ、自治庁の長官の期待するような今会期中の自治法の改正の成立は困難だと考える。だから出せるならひとつ、ぜひすみやかにこういうものを出すということで、今の自治庁長官の答弁が私はほんとうに額面通りに受取れることを期待いたしておりますが、そういたしますと、警察法の関係もやはりまず自治庁の長官がそれをお出しになつてから、われわれもこれを考えなければならぬようになつて来る。
それからその次にもう一つ自治庁の長官に聞いておきたいと思いますことは、これはわれわれの一つの杞憂であるかもしれませんが、先ほどの公聴会に知事の代表者としておいでになりました茨城県の友末君の意見を聞いてみますと、警察法の改正によつて三百二、三十億のものが府県に財政的の処置がされておるようであるが、それでは足りない、もう百億くらいのものをもらわなければ、府県が警察を握つた場合には困るであろうということを友末君は言つておるのであります。そういたしますと、警察法の改正によつて、これは今塚田長官と議論する必要もないことでありますが、政府は九十億ばかりの財源が浮くと思うと言つているが、それもどうかと思う。もう百億もらわなければやれぬということから、政府が九十億財政が浮くと言つたところで、結論によつては十億ばかり地方の公共団体が損をすることになるのだから、決して私は財政の負担の軽減にはならないと思うのです。そうなつて参りますと、府県財政に対して何らかの処置をしなければならない、こういうように考えるが、自治庁長官は現行警察法の改正によつて都道府県の財政には今予算の上で見積られております三百二、三十億円で足りるというようにお考えになつておるか、もしお考えになつておるとするならばそれの根拠をひとつ教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/14
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015・塚田十一郎
○塚田国務大臣 第一のお尋ねの点は、先ほども申し上げましたようにこの警察法が両院を通過いたしまして、これが実施に移されるときまでに、自治法の中でどうしてもこれを直さないと運用ができないという部分があれば、これは当然今国会において改正案の御審議を願わなければならぬ、またその他そこまで関係のないという部分があれば、あるいにその後になつて御審議願うようなことになるかもしれませんが、大体先ほどちよつと申し上げましたように自治法の規定の改正の中で、どうしても今国会において御審議を願つて決定をしていただかなければならぬ部分が幾つかあるのでありまして、たとえば面接に関係のない部分でありましても、教育長の助役の兼任の問題とかそういう問題がありますので、どうしても改正案がうまくまとまらないということであれば、そういう部分だけ抜き出して御審議願うということに、ぜひしなくちやならないのではないか、そういう意味におきまして警察法の改正と関係してこれが運用に絶対に必要である部分は、まず今国会に御審議願うようにいたしたいと思うのであります。
それから警察が都道府県に移るにつれての財政的措置ということでありますが、これはいろいろ足る、足らないの御意見があるということも私も承知いたしておりますが、私どもといたしましては一応現在の財政計画でやつていただけるという程度に、財政措置をいたしたつもりでおるわけであります。なおこまかいことは私も今十分な資料と記憶を持ちませんので、後ほど関係の政府委員を呼びまして、ひとに御説明を申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/15
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016・門司亮
○門司委員 その点についてはいずれ財政関係で後藤君にでも来ていただいてお聞きすることにいたします。
次に私がそういうものを杞憂して御質問いたしますことは、かつてこの委員会でどなたかの質問に政府当局は答えて、今まで市町村にあるいわゆる国家地方警察の問題に対しては、寄付その他を受けたことはほとんどないというような答弁があつた。今日の警察行政の中でというよりも、むしろ従来の警察行政から、今日の警察行政のあり方というものについて最も住民が関心を持ち、また今まで弊害のあつた点が是正されたというところは、都市警察によつて警察の費用を寄付その他の行為によつて、まかなつて来ておつた従来の弊害を避けて、そうしてできるだけ市の一般経費によつて警察がまかなわれて来たところの一つのあり方だと思う。これはおそらく大都市にとつては、ほとんど全部そうだと思いますが、昔は警察の後援会であるとか、あるいは防犯協力会その他いろいろの名前で、警察に寄付行為が行われておつたが、そういうものはいけないということである。かりに防犯協力会その他があつても、全部その寄付金あるいは醵出金というものは、市の収入の中に一応集約されて、それが警察費に使われておつたということになつておつて、いわゆる警察とボスとの結託をそういう寄付行為によつて行うことのできないような明朗な警察にするためにお互いが努力をして来ておる。これが私は今日の現行警察法のもとに民主化された警察の一つの姿だと考えておるのであります。ところがそういうことでない国家地方警察の面では同じように、ここでは、齋藤長官であつたかどなたであつたか、警察は寄付行為というものはほとんど受けておらない、警察はやはり警察の費用でまかなつてやつておるということが言われておる。しかし、ここに私どもの手元にありますこれは一つの実例でありますが、国家警察の庁舎の改築のための寄付金の強要が行われておる。これは事実であるかどうか私はつきりはしておりませんが、新聞紙の伝えるところによりますと、下館町における下館地区署の改築に対して、下館町に対して百万円の寄付を割当てたということであります。そうしてこれが町会にかけられ、あるいは村会にかけられ、いろいろな問題が起つて来ておる。そうしてこの百万円が下館の町であるとかあるいはその近所にあります町村にもやはり同じように割当てられておる。養蚕村が三万五千円、竹島村が三万円、中村が二万八千円それぞれこれを納付しておるのであります。ここの答弁では今までそんなことをした覚えはないと言つておるが、現実にここにこういうことがあるのであります。そうしてこれに対して、長岡県国警隊長の談としてこう書いてあるのです。下館地区署の設備費の国庫予算は二百八十七万円で、本館とその付属設備に充てられているこのほか水道、塀、門、車庫、備品などに百万円かかるので、地元各町村の予算の中から寄付を受けている。全額国費でまかなわれないのはあまりいいこととは思わないが、全国どこでもこんな形をとつているのが現状だ。個人からとつているのではないから弊害はないはずだ。本県でも下館だけでなく、高萩も菅谷もやはり地元の協力を得ている。地元町村からの寄付の点を云々たするのは国の政策の問題たから、国会での問題だと思う。下館をことさら取上げるのはおかしい。こう書いてある。従つて、国警隊長がこれは国会の問題にしてくれと書いておるから、私は国会の問題にした方がいいと思う。ここの答弁では国警の諸君はそういうことはないと言つているが、現実’にこういう問題が出て来ているのである。しかも自治法の建前から行きます。ならば、一体自治体が国家機関に対して寄付をすることができるか、どうか。こういうことが村会で議決されるということになつて参りますならば、自治法との関連性を一体自治庁の長官はどうお考えになつておりますか、その点についての自治庁長官の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/16
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017・塚田十一郎
○塚田国務大臣 御指摘のような例は、だれがどのようにお答えしたのか存じませんが、私も全然ないということは言えないと思うのであります。ただ私の場合には自治警がそういうことをやつておるという実例を自分でも承知しておるわけでありますが、しかし御指摘のように自治体が国から強制的な寄付の割当を受けてそれを支出するということは、明らかに地方財政法第四条の二の違反であると考えておりますので、そういうことのないようにということを、絶えず注意はいたしておるのであります。もちろんこの第四条の二の規定も、自発的にいたす寄付までも禁止するというふうには表現されておらぬので、そこまで禁止するということがはたして行政通常の上に非常な無理が来ないかどうかということも考えられますので、強制的なものはいけないというように規定しておるわけであります。実際問題としては自発的であるか強制的であるか、なかなか困難な問題でもありますし、自発的という名にかりて強制的な寄付ということも行われておるのではないかという懸念もありますので、今後大いに注意はして参りたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/17
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018・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今門司委員からああいうお尋ねがありましたので、関連して申し上げるのですが、実はその質問をいたしましたのは私であります。先般公聴会の席で、たしか名古屋市警でありましたか、署長が参りましたときにその話が出まして、愛知県においては国警は一年に五千万円ぐらい寄付金をとつておるというような発言がありましたので、それに関連をしまして国警当局にお尋ねしたのであります。そういたしますと、返事が一銭ももらつておりませんというようなりつぱな返事であります。返事をした人も私は記憶いたしておりますが、私はその点ですぐに質問を打切つたというか、ほかの人の質問になりましたので黙つておりましたけれども、大体警察法の審議におきまして、これまで比較的政府の皆さんも私はまじめに答弁をいただいているように伺つておつたのですが、この点だけはどうも実は、質問をやめましたのはあまりばかばかしいから私は質問をやめた。今問題になりましたからはつきりと申し上げます。確かに国警はもらつていないというような返事であつた。それは法上の、国警自体が直接もらつたことはないというふうなへりくつとして私は実は承つたのであります。国警はもらつておらぬが警察後援会が受取つているというふうな形が全国に非常に多いのであります。このことは先般汚職その他で召喚されております国会議員などにおきましても、わしはもらつておらぬ、しかしわしの後援会が受取つているというふうな返事をいたしている。それとまつたく同じでありまして、私はあんまりばかばかしいので実は三百代言的答弁にはさらにつつ込む必要もなく、何というかいやになつてやめたわけであります。それでここで申し上げたいのでありますが、そういう法制的なからくりを通じて、われわれの重要な審議をしている場合、このような回答をなさるというふうなことは今後は絶対慎んでいただきたい、かように思います。私はそのときもあえて言うたのです。それは国警だけでなく市警においても全国においてきつとある。宮崎といいましたか、名古屋市警の署長にも言いました。君の方もきつととつているに違いない、交番を新設するとかその他の場合には必ずとつているに違いない、こういう質問をしたのであります。にもかかわりませず、一銭ももらつておらぬという非常に冷酷な回答であつたこと、この点遺憾であるということを私は重ねて申し上げておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/18
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019・斎藤昇
○斎藤(昇)政府委員 ちよつと釈明をいたしておきたいと思います。あの際に他の政府委員がお答えをいたしまして、私も聞いておりましたが、宮崎君の発言と関連をしまして、名古屋市警が、強制割当をして寄付をとつていない。それと同じような意見合いで愛知の国警も強制割当をしてとつているような寄付は、一文もないというふうに答えたのでありますが、言葉が足りませんかつたために、今おつしやいますような誤解を起したのではないだろうかと、私も聞いておつてさように感じておつたのであります。寄付の点につきましては、弊害の多いことはこの委員会でもたびたび申されております。またその御注意がありませんでも、私どもみずからそれは反省いたしまして、ボスとの結託、そういうことがないにいたしましても、個人的寄付をいただくと自然何かの際にやはり情というものが移る、そういうことがあつては公正な警察権の執行ができないというわけで、個人寄付はできるだけ避けさせるようにいたしているのであります。もちろん非常にりつぱな考え方からこういうものをぜひ寄付したいというような場合、そういう弊害がないという場合には、許可をしていただいている場合もあります。庁舎の修築あるいは新設等におきましては、国としてこの程度のものでよろしいと考えましても、地方の方は自発的にこの程度と希望して、地方の治安の維持のためにはもう少しいいものをつくつてもらいたいというような場合がしばしばありますので、そういうような際のは、関係当局の自発的な御協議によつて、町村から幾らという場合はあるのであります。そういう場合も、押しつけがましくこちらから割当てて寄付を強要するということのないようには注意をいたしておるのでございます。こういう関係は、今中井委員の御指摘されましたように、自治体警察の中におきましても同様にございます。これは自治体ならば、市全体からこの程度でよろしいと思つても、当該地域のところで、自分の力としてはこういうものがなければ十分でない、あるいはこういうものを持つた方がその地域の住民が一層安心する、だからというような場合には受けておるのでございます。この点弁解をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/19
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020・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の御返事で自治体警察もとつておるということでありますが、そのことも私否定はしないのであります。問題は自治体警察がとつておる金額と、国警のとつておる金額の問題でありますが、現実には問題なく国警の方が過去において非常に多額であつたということも、私は事実であると思うのであります。このことも一言申し上げておきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/20
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021・北山愛郎
○北山委員 寄付の問題は何回もこの委員会で、質疑がありまして、その都度体裁のいい御答弁で終つておるわけでありますが、実はこの下館のような警察署の建築費の寄付の問題は、おそらく全国的にあるんじやないかと思うのであります。これはいろいろな角度から問題になりますが、一つには、先ほど自治庁長官が地方財政法の四条の二を引用されまして、強制割当してないんだからいいんだというようなことでありましたが、しかし同じく地方財政法の十二条には、国家地方警察に関しては、特に地方公共団体に対してそのような経費を負担させるような措置をしてはならない、とはつきり書いてある。強制的であろうがなかろうが、とにかくそういう措置をしてはならないと書いてある。ただいまの下館の場合、この朝日新聞の記事を見ますと、警察著長が交通安全協会の支部長のところへ行つて、七、八万円ほど引受けてくれと頼んだ、こうある。たから署長さんが、個人のところあるいは団体の代表者のところをまわつて歩いておる。これは明らかに地方財政法十二条に書いてある「経費を負担させるような措置」ということに該当するんじやないか。私も実は地方公共団体の仕事をやつておりまして、そういうふうな協力会をつくつてもらいたいということを警察の方から言つて来られた経験を持つておりますが、おそらくこれは全国的に同じような歩調で、後援会とか協力会とか防犯協会とか、いろいろな名目で警察の外郭団体をつくらせるように国警自身が指導なさつたのではないか、かようにさえ思われるのでありますが、これについてさつぱり資料がないというような御答弁では、どうも納得いたしかねる。一部の地区に発生した問題じやなくて、全国的に問題になつておるのです。これは町村会の調査によりますと、全国の町村の法令に基かないこのような寄付金等の負担が一箇年に推計百四十九億、約百五十億あるということになつておる。これは二十府県の町村について調べたものであります。市長会の調査によりますと六十九億ある。合せて二百億ぐらいあるわけなんです。そして町村会関係のうちで国警に対する寄付は五%何がしという数字になつておる。従つて、おそらく十億近いものが出ておるんじやないか。兵庫県の例では、兵庫県の町村会のこの種の調査を見ますと、国警に対する寄付金(国警治安協力会費を含む)が二千七百九十七万円となつておる。これは昭和二十七年度の決算であります。ですから、先ほどの愛知県の場合の五千万円、兵庫県の場合の二千八百万円というふうに、各県とも国警に対しては直接、間接に相当額の寄付を出しておるのじやないか、そして、それが偶発的でなく全国普遍的に行われておる。こういう実態を一体国警本部が知らないはずがないのです。だから、こういう協力会とかそういうものによつて、警察の不足な経費であるのかもしれませんが、そういうものがまかなわれておるということをお認めであるかどうであるか、もう少し正直に、はつきりと御答弁が願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/21
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022・斎藤昇
○斎藤(昇)政府委員 防犯協会でありますとか、治安協力会というものをつくつておりますところは、私は、全国すべてとは思いませんが、相当あると承知をいたしております。たとえば東京警視庁におきましても防犯協会という大きな団体がございます。これらの防犯の事柄は、大事であり、これは警察でやると同時に、一般住民の方々も実質上の自治の観点から自分たちもこういうことをやつた方がよりよろしいという意味から、そういう御協力でできておる団体だと私は承知いたしておるのであります。これは、一般の住民の方々あるいは有識者の方々に、警察の費用が足りないから、ぜひその費用をまかなうためにこういうものをやつてもらいたいということでありますれば、私は非常にいかぬことだと思います。これは強く戒めておるのであります。建築費の問題にいたしましても、私の承知しております例を申し上げますと、改築する必要には迫られておつても、私らの方の予算計画から、もう少しがまんをして延ばしてもらおうということでありましても、地方の方から、見るに見かねる、またあの狭くなつたものでは地方としても困るから、何とか少しでもよいから国の予算を出してもらいたい、そして地元の方も協力したいからという非常に強い陳情を受けることがしばしばあるのであります。これをことごとく受入れて、無理をしてわずかばかりの予算を出して地方から寄付を仰ぐということではないのでありまして、それらも、御好意はまことにありがたいけれども、とにかく待つていただきたいということで、お断りをしておるものの方が多いような状況であります。地方財政法の十二条で「経費を負担させるような措置」とありますのは、これはどういう趣旨でありますか、私は、この法律の解釈といたしましては、ただいま申し上げておりますような事柄で自然にできておりますようなものは、これには当らぬのじやないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/22
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023・門司亮
○門司委員 今の国警長官としての齋藤君の答弁は、まるきり的はずれであります。今まで質問された人は、そういう寄付が行われておるということで質問をせられておる。北山君もさつき申し上げましたように、これは明らかに地方財政法の違反であります。その行為は、今の齋藤君の答弁のように、単に自発的に協力会その他でやつたのであろうというようなことではないはずである。ことに朝日新聞の伝える茨城県のこれを見てみますと、有力者に対して三十万円をお願いして、残りの五十万円は十四箇町村に戸数割で割当てたのである、こう書いてある。そうして、しかもこれは村会あるいは町会でこれを支出いたしております。従つてこれは地方財政法に違反しないとは言えないのであります。個人の好意による寄付とは全然違うのであります。私はこのことを自治庁長官に聞いておるのであります。こういう行為は、現在地方財政法に禁じてある。ことに北山君が言つたように、ごていねいに十二条には警察に関するものとはつきり箇条書になつているのです。それほど現在でも行われておる。その場合に友末知事が説明しましたように、もし百億の金がなお府県が警察行政を担当するとすれば足りないということが事実であるといたしますならば、この百億の金は府県が出すか、あるいは市町村に割当の寄付が行われるか以外に方法はないのであります。こういう事態が、この警察法が改正されると出て来るのである。出て来た場合に、一体自治庁の長官はこれに対してどういう処置をとられるかということを私に聞いておるのであります。自治庁の長官から、その点についてひとつはつきり御答弁を願つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/23
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024・塚田十一郎
○塚田国務大臣 私といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、自治団体は自発的にならば、自治法の二百三十一条に書いておりまする「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助をすることができる。」という規定と、先ほどの財政法の十四条の二の規定との趣旨からいたしまして、法律上禁止せられておるものであるというわけには行かないのじやないか。しかし現実の問題としましては、確かに違反になるような事例が行われておるのじやないかという疑いを私も持つている事例が幾つかあるわけでありますので、今後を戒めて行きたいということを、先ほどお答え申し上げたわけであります。それから今後の二十九年度の、警察が都道府県に置かれるということに伴う財政計画に伴つて、現実に足りないということであれば、財政計画が誤つておるということになると思いますが、どういう意味において百億足りないという御意見を友末知事がお述べになつたか承知しないのでありますけれども、ただ先ほども国警長官が申しましたように、国の立場からはこの程度の計画でこの程度の施設で、またこの程度の人員でというように考えて財政計画を策定しておるのに、地方が住民の意思により、もしくは住民が言わないでも、自治団体のそれぞれの運営の責任者の考え方によつて、もつとそれ以上に金をかけるということになつて、あるいは足りないということが出て来るのかもわかりませんので、その辺のところは、足りないからというその責任が国に必ず来るというところまで一気には行きませんので、私も詳細に、どういう根拠でもつて財政計画の警察費の部分が組み立てられてあるか、先ほど申し上げましたように今詳細に承知しておらぬわけでありますが、しかし私が地方財政計画を策定いたします場合に承知いたしましたのは、これで大体やつていただけるはずなんだというように承知をしておるわけでありまして、この範囲においてぜひまかなつていただいて、寄付というような形のものが出ないようにということを私としては期待し希望する。私の立場としてはこういうようにお答え申し上げるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/24
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025・門司亮
○門司委員 大臣の立場としてはその程度しか言えないかもしれませんが、しかし現実にこういう問題が起りつつあります。先ほど長官は、どうも今行われているものは地方財政法違反であるように考えるという話が率直にございましたので、私は深く責める必要はないと思いますが、自治法に規定いたしておりますものは、もし寄付行為がありとすれば、それは公共団体なり、あるいは自治体等の一つの団体が、当然それの所管として行うことができるものに対する寄付行為ができるのであつて、地方財政法の十二条は、四条の二を受けて明確にこれを具体的に禁止しているのである。地方財政法の十二条には「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行うために要する経費については、法律又は政令で定めるものを除く外、国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」とあつて、その第二項に「前項の経費は、左に掲げるようなものとする。」として、国の機関の設置、維持及び運営に要する経費、国家地方警察に要する経費、保安庁に要する経費、海上保安庁に要する経費、司法及び行刑に要する経費、国の教育施設及び研究施設に要する経費、こういうふうに列挙されている中に一番先に書いてある。もしこの事実がありとすれば、これは明らかに違反であつて、これは自治庁長官に何らかの措置をとつてもらわなければならないと思いますが、この場合、自治庁長官の答弁を求めます前に、一応国警長官の腹を聞いておきたいと思います。地方財政法にはこういうようにはつきりと書いてあります。従つて御承知のように、例の茨城県でありますが、あの下館の問題は、たとえば茨城県の国警隊長であります長岡君が独断で、これを十四箇町村に話をして強制的に割当てたとはいえないかもしれませんが、一応話をしてしかもそれが村が出してあるということになれば、地方財政法の十二条に違反すると思うが、この話をした長岡茨城県国警隊長に対して、国警長官として——おそらく国警長官が命令されたわけでもありますまいが、もしあなたが命令しないで、国警本部が知らないで、茨城県の国警隊長がこういうことをやつたといたしますれば、それの責任は一体どこに帰属するのか、その点をはつきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/25
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026・斎藤昇
○斎藤(昇)政府委員 茨城の国警の隊長が寄付を割当て強要したということであれば、私の方は適当な処置をとらなければならぬと思つております。ただこの新聞にありますように、だれがその割当をしたのかという問題だと思いますが、私はおそらく関係町村長の方々が集まられて、そこでこのくらいを出そうじやないかということで、おきめになつたものじやないかと思いますが、隊長がこれだけ出してくれという割当をしてやつたというのであるならば、厳重にこれは戒めまして、将来こういうことのないように、また他の地区においても、そういうことのないようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/26
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027・門司亮
○門司委員 それについてなお国警長官に聞いておきたいと思いますことは、この長岡隊長の談を見てみますと、こういうことは全国、どこでもやつていることだ、何もここだけがやつたわけじやないのだということを公言されておる。そういたしますると、全国各地でやつているのじやないかと思いますが、一体国警はこういう問題に対して調査された資料がおありになるかどうか。先ほど北山君は兵庫県の例あるいは愛知県の例をとつて参りましたが、府県の例からいえば、そういうものが市町村の決算の中に現われて来ている。そういたしますと、これを国警が知らないとは私は言えないと思います。一体そういうものの、国警に集約されたものがあるかないか。あなたの方では、強要したものではないというようなお話かもしれませんが、強要するということは非常にむずかしい、そのときの判断でありまして、おそらく強要であつたか相談であつたかということは、非常にむづかしい問題だと思うが、強要であつても相談であつても、村会がそういうものを議決して村が出しておりまする以上は、やはり公の機関が公の機関に出したものとして、国警にも何かそういう調査等がなければならぬはずだと思います。この点について、もし調査されたものがあるとすれば、この際ひとつ全部出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/27
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028・斎藤昇
○斎藤(昇)政府委員 先ほども申しましたように、地元の町村からこの程度寄付をするからということで、受けている例は他にもございます。おそらく隊長はそういう意味で、大体そういう申出を受けておるということを言つたんであろうと思います。なおこれについての全国的な調査でありますが、これは昨年でありましたか、寄付の調査として過去二、三箇年分まとめてこの委員会にお出しをいたしたと思つております。それでもよければもう一度、その資料がありましたら、お知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/28
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029・門司亮
○門司委員 その資料が出て来れば大体全部わかると思いますが、それで今度は自治庁長官にお聞きいたします。国警の方では強制的に割当てておるのではないということになつておりますが、財政法の建前から行きますと、強制的であるとかないとかいうものじやなくて、そういう機関に出してはいけないということになつているはずであります。だから、これは強制であろうとなかろうと、警察の関係に対して、国家地方警察に対して、地方の自治体から寄付をするということは、明らかに地方財政法違反になつておると思います。この地方財政法違反を犯した町村に対しても、何らかの警告なり、何らかの措置がされなければならぬと思うが、一体自治庁の建前から国家地方警察の本部に対して、こういう問題について何か申入れ、その他をされたような事実がもしありとすれば、教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/29
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030・塚田十一郎
○塚田国務大臣 先ほどから地方財政法の四条の二、それから十二条、それから先ほど私が申し上げました地方自治法の二百三十一条、この三つの規定を交互に読み直してみておるのでありますが、あるいは私の解釈が少しずれておるかもしれないですけれども、私の感じでは、門司委員が御指摘になるような解釈は実は出て来ないのでありまして、これはこのように解すべきじやないだろうかと読んでおるのであります。この第十二条の規定しておりますのは、国が国の機関を設置するというならば、当然その国の機関に応じた予算を組まなければならないのであります。たとえば具体的に申しますならば、あるところにある警察をつくる。百万円金がいる。百万円の予算を組まず、八十万円しか組まずに、二十万円は当該の地方団体で出せということになると、この十二条の規定にひつかかつて来る。そこで百万円金がいる。もちろん百万円で満足なものができないかもしれませんが、とにかく必要なだけ国が経費を組んだ。その上に当該自治団体の住民などの意見でもつて、それ以上また自治団体が金を出すということは、結局自治団体の住民が金をお出しになるということであると思うのでありますが、それにプラスしたものを自発的に出して行くということであると、四条の三と地方自治法の二百三十一条の関係でもつて、強制的でない部分については、これをあながちとめるというようにはなつておらぬのではないか、私はこういうふうに感じておるわけであります。あまり法律に詳しくありませんので、あるいは考え方が違うかもしれませんが、そんなような感じでおるわけでありまして、従つてこういう事例に対して自治庁としては、いまだかつて自治団体に対して注意をしたということはないように私も承知をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/30
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031・門司亮
○門司委員 これは非常に怠慢だと私は思うのです。自治法の二百三十一条には、明らかに公益という文字を使つております。この公益という文字をなぜ使われているかということも、法律的にはいろいろな解釈は——私はこの自治法をこしらえた当時の各条文についての記憶があまりないのでありますが、一応討議されたことは間違いないのであります。しかし公益という文字自身から考えて参りますと、これは非常に広いのでありまして、ここに公益という文字を使つたということは、政府あるいは公共団体の行う事業以外に、いろいろな公益団体があるわけであります。従つてこれをさしておるのであります。元来ここには、法律をごらんになりますとおわかりのように、「寄附又は補助」と書いてあるはずであります。それで自治法の二百三十一条はできておるのであります。従つて単にこういう公共団体に寄付をするということは、建前が少し違うのじやないか。自治法の方で書いておりますものは、さつきも申し上げましたように、「寄附又は補助」と、こういう文字を使つております。しかもそれには「公益」と書いてある。そういたしますと、これはさつきから申し上げておりますように、補助の対象になり得るものもやはりこの中に含まれておる一つの規定でありまして、必ずしも地方財政法の四条の二あるいは十二条と関連して考える筋合いのものではないというように考えざるを得ないのであります。従つてこれはせつかくの自治庁長官の答弁でありますが、私はそういうふうに考える。自治法の二百三十一条の規定と地方財政法の四条の二、十二条というものは、私はこの場合にはあまり関連性はないのじやないかというふうに実は考えております。従つてわれわれがここでお尋ねするのは、どこまでもやはり地方財政法の規定に基いた問題でなければならないと考えております。これは先ほど申し上げましたように、警察が県に移管されて参りますと、こういうことは至るところで起りはしないかと考える。今まで自治警察におきましては、先ほどから申し上げておるように、たとえば地方住民が寄付いたすといたしましても、これについては防犯協力会その他の名によつていろいろな経費を負担しておるといたしましても、これは住民みずからが持つております一つの自治体の組織の中にあるのである。いわゆる自治の本旨という言葉を使つておりますように、市町村であります場合は自治体の第一段階である。従つてそこに行われます。これらの行為については、住民がある程度の援助をするのであるということは、必ずしも私は悪いものではないと考えざるを得ない点もないわけではない。しかし今度府県の段階に移つて参りますと、事はそう簡単には行かなくなつて来る。府県の段階になりましてこれに経費を負担させるということになると、勢い市町村というような公共団体が、その寄付の対象物にならざるを得ないよう形がだんだんとよけい出て来やしないかと思います。従つてさつきから申し上げておりますような質問をいたしておるのでありますが、この場合もう一度はつきり長官にお伺いしておきたいと思いますのは、今までの長官のお考えと私の考えの違つておるのは、法律的解釈はそういうことでございますが、従来こういうものがあつたということも、大体承知されておるようであります。将来こういうことが非常に多くなるということが私には一応考えられるのです。そうして今度の警察法の中には、明らかにこれは自治警察であるか、国警察であるか、一向けじめがつかぬのであつて、従つてもしそれが自治体警察であるという解釈がついて来るならば、地方財政法の十二条の国家地方警察という文字が消えて来るのであります。必然的になくなると思います。国家警察でないという感じが出て参りますので、今のところは国家地方警察は国の警察であるという形を示しておるから、そういう条文が入つておるのである。従つて自治庁長官に、警察法の改正に関するあなたの御見解を聞きたいのでありますが、現行警察法でははたして国家警察であるか、地方自治警察であるかという見解を、一応この場合聞かしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/31
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032・塚田十一郎
○塚田国務大臣 この点おそらく国警当局からもそのようにお答え申し上げておると思いますが、私も府県を単位にした自治体警察であるという概念をもつて問題を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/32
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033・門司亮
○門司委員 自治庁長官はこれを府県を準位とする自治警察だ、こう言われておりますが、しかし法律の中にはどこにも自治警察という文字が使つてないのであります。一字一句もこの中には自治という文字を使つておりません。府県警察としか書かれておらない。そうすると、府県警察というものが一体自治警察であるかどうかということは、先ほど申し上げましたように、任免権の問題についても非常に大きな疑義がある。あなたの方で法律でこしらえれば何でもできるのだ、ただ法律は男を女にするということができないというたけでありまして、あとは何でもできるのだという暴論をもつてすれば、それは何でもできるかもしれません。およそ法律をこしらえるからには筋の通つたものにしなければならぬと思う。筋の通つたものにしようとするならば、この地方財政法に違反しない制度をここに設けるということになつて参ります。勢いこの警察法自身というものが、やはり自治庁長官の立場においても明確に、これは自治警察であるという定義が下されなければ、先ほど申し上げておりますような寄付行為その他がどんどん行われて来る。これは府県の一つの事務ということになつて参りますと、地方財政法の規定は非常に大きく違つて来るのであります。それで私は聞いておるのでありますが、今のような答弁だけでは私は承認するわけには行かないのです。それなら一体どこが自治警察なのか。これは地方自治法の改正並びに地方財政法との関連性を持つておりますので、もしこれが改正を必要とするならば、自治庁の長官は当然この警察法は自治警察であるという説明をされなければ、この法律の改正はできないと思うので、法律を改正する前提としてこの際説明を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/33
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034・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは自治という言葉の定義からしてかからなければならないのでありますが、私から御説明申し上げている気持と門司委員がお尋ねになつている気持とは、そのお話を伺つておると気持が幾らかずれておるように感じられますのは、門司委員は自治という考え方を、現在の自治法が規定しておる自治というものを頭に置いて御判断になつておるように思うのです。私は自治というものは、自治の本質という議論から行きまして、それがどういう形にその国、その時代に現われて来るかということは、いろいろなその他の要請——同じ自治警察といつても、今までの形のような自治警察は運営した結果うまく行かなかつたということで、違つた形の自治体警察というものを私どもは考えたということになるわけでありまして、従つて今までの考え方の自治というものとは、御指摘のような幾つかの点でかわつて参る点がありましても、私どもはそういうものを自治警察というように概念したい。従つて自治というものがその形によつて本質的に薄れてしまうということであれば概念したくてもできなくなるわけでありますが、私どもはこの程度におきましては、やはり地方住民の民意が取入れられて自治と言い得るのじやないかという考え方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/34
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035・門司亮
○門司委員 これは非常に私どもの考え方と違うのであります。同時に今の答弁にしてもおかしいと思うのです。自治の概念というものは、そのときそのときで違うと言われますが、自治の概念は違わないのです。自治の概念はどこまで行つても同じだと思う。ただそのときの情勢で国が自治に対してそういう制約を加えているということは言えると思う。しかし自治を野放しにしておけば——自治とは何ぞやということになれば、自治はやはり地方住民がその社会と住民の共同の責任の上に立つて行われる一つの行政が自治だと考える。またそうでなければならぬと思う。従つてそれらの第一段階としては、日本の行政組織の上では市町村であるということが一応私は言えると思う。府県はそれのさらに総合されたものであるということは間違いないと思う。自治の本旨からこれを自治警察というならば、当然これはやはり社会と住民の共同の自覚と責任の上において行うということになれば、市町村にある警察は自治警察とするのが正しいものである。今は市町村が警察を持つようになつておりますから自治という文字を使つておるが、しかし府県はそういう観点から考えて参りますと、ある意味での自治体でもあり、ある意味においては国の出先機関でもあるような、あいまいという言葉はどうかと思いますが、複雑な一つの行政になつておる。そこでこれを自治警察として、あるいは自治体として言い切るということについては、政府もここでちよつとふんぎりがしにくいのではないか。これは自治という文字を使わないで、ただ府県警察という文字を使つておる。自治の定義をするということになつて参りますと、これは非常に長くなると思いますが、私はさつきも申しましたように自治の定義とは、あくまでもその社会と住民の自覚において、責任においてやるということが正しいと思う。従つてもし長官がそういう御意見ならば、前の言葉を繰返すようではありますが、自治体であるといたしますならば、自治体の警察を主管をいたしまする警察長並びに自治体の中で動いて参りまするものは、ことごとくこれは地方公務員でなければならない。いわゆる都道府県知事の所轄のもとにこれが運営されることが正しいと思う。ところがこの法案の中には遺憾ながら地方の都道府県知事の所轄のもとに警察行政を行うということが書いてない。そういたしますると、これは明らかに自治警察であるという解釈を下せないと思う。自治体の警察でないという解釈をして行くということになつて参りますと、どうしてもこの問題自身は、自治庁の長官がもう少しはつきり認識していただいて——先ほど国家公務員が地方公務員を任命することができるということについては、法律でやればできるだろうということでありましたが、そういうことでなしに、ほんとうに都道府県知事の所轄のもとに行うことになつて参りますと、やはり都道府県知事が一切の人事権に対しまする公安委員会の運営等が行われる警察制度にしなければならない。この中にはそういう明確な線がどこにも出ておらない。この点について自治庁の長官はもう少しはつきりしたらどうなんですか。あなたの立場で困るなら困る、困らないなら困らないと言えばいい。そうしないと自治法の改正と例の地方の財政法の改正のときに自治庁の長官はお困りになるのではないか。一応これを改正されようとする御意思があるならば、ここで明確に言つておいていただけば非常に都合がいいと思うので、すが、その点非常にくどいようでありますが、もう一度聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/35
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036・塚田十一郎
○塚田国務大臣 これは今きわめて通俗に自治々々と言つております自治団体という考え方からいつても、市町村と府県のあり方とは違うと同じように、国家のいろいろな仕事、この場合の国家というのは、国、地方を通じての広い意味の国家を申しておるのですが、その仕事のある部分は自治の形においてやる。ある部分は狭い意味の国の事務としてやるということになるわけであります。そういうぐあいにいたします場合に、自治団体という今日通俗に行われております自治団体の事務として行われる場合と、国の事務であるし、またこれは自治という形でやるにしても、いわゆる自治団体の普通の機構を通してやらないで、別の機構を通してやるという自治の運営の仕方というものもあると思うのであります。私は警察を地方の事務的に、自治的に運営して行くという観点に立つて、今度の警察法の改正が行われておると思います。その場合にこの警察行政の特殊性というものがここに働いて参ります。ことに過去何年間か、今までの行き方でやつてみて欠陥があるということも頭に置きながら、最も能率的で、しかも経費も安くするというのが、今度御審議を願つておる警察の機構のあり方であると考えておる。そこでこの機構というものが自治という言葉を使うには非常に不適当なものであるかどうかということの結局認定論になるのと思うのですが、私は警察という仕事の特殊性から、相当程度従来の自治団体の行う事務のやり方と違つた形が出ておりますけれども、やはり私は一種の警察事務の自治的な運営という意味において、自治警察といえるのではないかと考えておるわけであります。従つて改正をいたしますとするならば、そういう考え方で新しい警察制度と合うように、あわせて自治法の部分を改正をして行きたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/36
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037・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 午前中の会議はこの辺でとめまして、午後引続いて再開いたしまして質疑を続行いたします。
しばらく休憩いたします。
午後零時三十一分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X04619540417/37
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