1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十三日(木曜日)
午前十一時二十八分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君
理事 吉田 重延君 理事 鈴木 幹雄君
理事 西村 力弥君 理事 門司 兄君
生田 宏一君 熊谷 憲一君
佐藤 親弘君 田渕 光一君
西村 直己君 保岡 武久君
山本 友一君 床次 徳二君
藤田 義光君 石村 英雄君
北山 愛郎君 横路 節雄君
伊瀬幸太郎君 大石ヨシエ君
大矢 省三君 中井徳次郎君
松永 東君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君
国 務 大 臣 塚田十一郎君
出席政府委員
国家地方警察本
部次長 谷口 寛君
国家地方警察本
部警視長
(総務部長) 柴田 達夫君
国会地方警察本
部警視長
(警備部長) 山口 善雄君
自治庁次長 鈴木 俊一君
総理府事務官
(自治庁行政部
長) 小林与三次君
委員外の出席者
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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五月十三日
委員阿部五郎君辞任につきその補欠として石村
英雄君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十三日
市町村職員共済組合法案(内閣提出第一七七
号)は去る十日厚生委員会に付託したがこれを
変更してその審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
地方自治法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一七八号)
市町村職員共済組合法案(内閣提出第一七七
号)
地方財政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/0
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001・中井一夫
○中井委員長 これより会議を開きます。
まず内閣提出、地方自治法の一部を改正する法律案を議題とし、きのうに引続き質疑を続行いたします。質疑の通告がありますので、これを許します。西村力弥君。
〔北山委員「その前に議事進行について……」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/1
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002・中井一夫
○中井委員長 それでは北山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/2
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003・北山愛郎
○北山委員 この地方自治法の改正の質疑に先立ちまして、一言委員長にお願いを申し上げたいのですが、きようの新聞を拝見いたしますと、地方税法の改正、それから地方財政平衡交付金法の改正、入場譲与税法等につきまして、参議院の修正案が衆議院に回付されて来たのでありますが、これに対して政府、自由党は、この地方交付税法につきましては、参議院の修正をのむんだということが新聞で伝えられておるわけであります。これは当委員会におきましても、交付税の例の所得税、法人税、酒税に対する割合というものが、自由党、改進党の委員諸君の非常な御努力によつて百分の二十から百分の二十五ということに修正をされて、そして衆議院を通過したわけであります。現在の地方財政の非常に窮迫した状況、それからすでに累積をしておる何百億の赤字というようなこの地方財政の状況にかんがみましても、私はこれは来年度からであつて、その点で非常に不満でございましたが、とにかく現状よりは数段と地方財政にとつてはいい結果をもたらすのではないか、こう思つておつたのでございますが、それが参議院の修正百分の二十二というものをのむというように政府、自由党が了解をしたということが伝えられております。この回付案はあるいは当委員会を経由しないで、ただちに本会議において決定をされるというような情勢にもございますので、この際大蔵省並びに自治庁においでを願つて、この修正から起つて来るいろいろな問題、あるいは政府側のこれに対する意見等を当委員会においてひとつ説明していただきたい。そのような措置を委員長におとりを願うようにこの際要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/3
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004・大石ヨシエ
○大石委員 ただいま北山委員がおつしやいました通り、参議院議員がそういうなまいきなことをやるならばわれわれにも覚悟がある。大体あの人たちは六年間解散もなしに何をしておるか。毎日遊んでおるじやないか。衆議院議員はこんなに忙しい。それにわれわれのしたことを修正して、そうしてのほほんとしておる。それであつたら歳費を半額にしろと私は言いたい。私たちと同じような歳費をもらつて何をしておるか。もし自由党の人がああした地方税法をのむというなれば、自由党の人はよほど腰抜けであると言いたい。腰抜けですよ。参議院がそうした修正をしたことに対して絶対反対をして、三分の二で本会議で可決していただくことを、委員長さん責任をもつて御処置くださいますかどうですか、はつきり返事をしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/4
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005・中井一夫
○中井委員長 北山君並びに大石君の御発言に対しお答えをいたします。お説の通り事はきわめて重大でありまして、この処置をどうするかについては、先般来いろいろと研究もいたしつつあるのであります。特に北山さんの御発言中に自由党の態度いかんということがございましたが、参議院においてあの修正の決定されました後、自由党におきましては各機関においてその対処方を研究し、中にはずいぶん意見の対立を見たる論争もあつたのであります。それがためにいろいろな案をもちまして目下政府との間に交渉をいたしておる段階でございます。おそらく本日中にはこれが決定することであろうと存じます。もし何分の決定がありまして自由党が行くべき道がきまりましたならば、ただちに委員会において皆様に自由党としての態度につきごひろうをし、でき得べくば御同調をお願いすることにいたしたいと存じておる次第であります。それをいたさずして、ただちに本会議に持つて行くというようなことだけはいたさないことをお約束をいたしておきます。何とぞ御了承を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/5
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006・西村力弥
○西村(力)委員 今の取扱いはそれでよろしいのですが、きようの新聞を見ますと、緑風会の修正案を自由党としてはのむ、承認をするということになつておることは事実であるかどうかということをはつきりしてもらいたい。これは幹部間の話合いということではあるでしようけれども、事いやしくも当委員会が地方財政の窮境をカバーして、爾今赤字によつて地方の行財政が苦境に陥ることを防ごうとする熱意に燃えてやつたことなのであります。それがああいうぐあいに修正されておるということは、万々関知しないということではない。十分に話があるだろうし、また話がなくとも委員長として当然積極的にこの問題にタツチしているはずでございますので、確実にあの新聞記事通り承認するということを前提として政府との折衝に入つておるというぐあいに見てよろしいかどうか御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/6
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007・中井一夫
○中井委員長 お答えいたします。地方財政の現状にかんがみまして、これが確保につき何とかいたしたいという熱意につきましては、北山君、西村君、大石君のお考えに沿うように持つて行つておるのが自由党の立場であります。ただしかし参議院の修正案をこの際そのままのむかのまぬかということにつきましては、先ほども申し上げました通り目下研究中であり、また交渉中でもありますので、いまだその態度は決定いたしておらないのであります。こういうことをお答えいたすよりほかに道がないのであります。そこで何分の決定ができましたら先ほども申し上げますように皆さんに申し上げ、そうしてできるならば御同調をお願いいたすことにいたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/7
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008・大石ヨシエ
○大石委員 大体参議院議員は総理大臣を選ぶ権利を持たぬ、いわゆる決定権を持たぬ参議院議員である。解散がない。六年間実に悠々閑々として、そしてわれわれと同じ歳費をもらつておる。そういう者の言つたことをわれわれがうのみにすることはできません。これを両院協議会に持つて行つてもらつたら事たいへんですから、本会議で三分の二でただちにわれわれの言うた通りやつていただきませんでしたら、ここは四票野党が多いですからこれを否決いたします。さよう御承知ください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/8
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009・中井一夫
○中井委員長 お話の趣はよく承りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/9
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010・西村力弥
○西村(力)委員 自治法に入りたいと思いますが、本日の御出席を見ますと小林行政部長ただ一人なのでございまして、これではわれわれの質疑はとうていできません。それでございますから、ここしばらく休憩を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/10
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011・中井一夫
○中井委員長 今政府の当局はこちらへ来つつあるそうであります。どの案が先に議題になりますかはつきり知ることができませなんだがために、一応小林行政部長が参つたとのことであります。ただいま来つつありますから何とぞ御進行願います。
なお横路委員に申し上げます。あなたが先日御要求になりました北海道における暴風雨による被害状況、この調査の結果を書面にいたしまして国家地方警察本部から資料を提出して参りましたので、各委員諸君のお手元に配布いたしました。この調査によりますと単に北海道だけでなく、仙台管区内につきましても二、三の事項について報告があるようであります。何とぞ御了承を願います。山口警備部長。
〔「自治法に入ると宣言しているのだから、それに入るのはおかしい」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/11
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012・中井一夫
○中井委員長 一応山口警備部長に発言を許しましたから承りましよう。(「議題が違う」と呼び、その他発言する者あり)山口部長が何を申すかわかりませんから、聞いた上で明らかにいたしましよう。——山口部長の言わんとするところは資料の補足説明だそうであります。それならばあとで許すことにいたしましよう。西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/12
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013・西村力弥
○西村(力)委員 今度は鈴木次長がおいでになりましたが、私はやはり大臣に来てもらわなければならない質疑であります。地方自治法の改正は技術的なものであるので、さして質疑を要する点もないのでございますが、この法案が本日この時期になつて提案されたということ、あるいはそういうぐあいにせざるを得なかつた事情、これがむしろわれわれとして重要な点なのでありまして、この点につきましては、次長の答弁では十分にそれを補い得ることができない、かように思うわけなんであります。かるがゆえに、私は大臣の出席を待つて質問をいたしたやと思いますので、留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/13
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014・北山愛郎
○北山委員 私も西村委員の聞きたいという点は大いに疑問に思つておる点でございますが、特にこの地方自治法の改正については、自治庁においては相当前からいろいろ準備をされて、関係方面ともいろいろ折衝されておつたようであります。従つて今回ここに地方自治法の一部を改正する法律案となつて、その一部だけがこの法案となつて提出されたわけでありますが、それ以外の、いろいろな改正を考慮しておつた事項、そういうものが数点あると思う。今回は保留してこれだけを出された、それ以外の保留された事項につままして、主要な点について説明をしていただいて、その保留された理由についてこの際御説明をいただきたい。これは事務的な点でございますから鈴大さんでもけつこうだと思いますので、この点を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/14
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015・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいまのお尋ねについてお答え申し上げます。自治庁といたしましては、地方制度調査会の答申に基きまして地方自治一法の改正法律案を鋭意研究をいたし、また案を練つて参つたのでございまして、その内容といたしましては、地方制度調査会の答申に現われておりますものを取入れ、またその答申からできるだけ逸脱しないような範囲にとどめるということで案を練つて参つたのであります。しかしながらその中で一、二例をあげて申し上げますと、府県の実際処理いたします事務と、また市町村の実際処理いたします事務、あるいは府県の機能と市町村の機能というものが、現実に即して見ても、ある程度偉うような面があるわけでございます。そういうふうなことを、県と市町村の間において、ある程度法の規定においても実際に即するように調整をしたらどうであろうかというようなことを考えまして、いろいろな点でその点も練つておつたのであります。これらの点が一つの大きな点でございます。それからまた地方制度調査会の答申の中には、事務の配分につきましてもいろいろ答申があつたわけでございまして、なかんずく、大都市に対する事務配分というような点もございましたので、それらの党もいろいろ立案をし研究をしておつたのでございますが、この点につきましては、各省と自治庁との間におきましてなかなか話がつきません。各省はやはりある程度中央にこれを留保し、あるいは市町村に委譲しないで府県に留保しておくような考え方が非常に強うございます。その辺どうも最後まで成案を得るに至らなかつたのでございます。その他の点につきましても、合理化と申しますか、能率化と申しますか、そういうような点からいろいろ考えておりまして、たとえば監査委員の制度、要するに監査機能を強化して参りたい。いろいろ地方財政の運営の上におきましても、これを能率化するためには、監査機能を強化する必要があると考えまして、それらの点もいろいろ考えて来たのでございます。その他いろいろの点を取上げたのでございますが、何分会期が切迫するような段階になりましても、全体を通じましての一つの成案を得、しかも関係各省庁間に了解を得ることが困難な段階になつて参りましたので、そこでどうしても当面の事態として処理しなければならぬ、また関係各省庁間において話合いがついたというようなものだけに限定をいたしまして、今回提案をいたしたような次第でございます。
〔中井委員長退席、佐藤(親)委員
長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/15
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016・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、概略はわかつたのでありますが、例の知事の官選の問題、それから府県に地方事務官というものを置くというような問題については、考慮されなかつたかどうか。考慮はしたが、いろいろな事情あるか。知事官選と、地方事務官設置の点についてお答えを願いたい。
それからもう一つは、一般的に国の委任事務——団体委任、機関委任、国政事務の委任、この委任事務の監督ということについては、何らか考慮されておつたのではないかと思うのでありますが、その点は考慮したかどうか。またもし考慮した上で保留したとすれば、その理由、以上の点についてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/16
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017・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 知事の官選につきましては、いろいろ各方面の賛否の御意見があつたわけでございますが、先ほど申し上げましたように、地方制度調査会の答申におきましてはその点まで触れていないわけでございます。従つて今回は、先ほど申し上げましたように、各方面の了解がつき、しかもとりあえず処理しなければならない事項に限つて、会期の関係も考えながら最小限度のことを提案いたしたわけでございまして、官選問題のような、そういう大きな問題には触れておりませんし、そういうことは、実はあの段階におきましてもそこまでは考えておらなかつたのであります。
それから地方事務官制度の問題でございますが、これは地方制度調査会の答申に、大いに地方事務官制度を活用して、出先機関の統合等をはかる趣旨の答申があつたわけでございます。そこで、たとえば若干の出先機関の統合というようなことに関連をいたしまして、ある程度このような問題も事務的には研究いたしたのでございますが、遂に最後の成案を得るに至らないで終つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/17
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018・北山愛郎
○北山委員 塚田大臣がお見えになりましたので……。ただいまの点、特に知事の官選、これは塚田自治庁長官はいろいろな機会に、しかも公式な機会に私見としてお述べになつておられるようであります。私どもは、やはりこれは単なる個人の意見ではない、少くとも公式の、国会なりそういう席において述べておる見解は、単なる、塚田さんという人の個人的な意見ではない、個人的な意見として考えるわけには行かない、こう思うのであります。今回の地方自治法の改正にはその問題はもちろん出て来ておりません。でありますが、あらためてここでお伺いをいたします。塚田長官は、知事官選はやはりあくまでこれを実施しなければならぬものである、将来どうしても知事官選へ持つて行きたい、そのように考えておるかどうか、この際明らかにしていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/18
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019・塚田十一郎
○塚田国務大臣 知事官選という話は、御指摘のようにしばしば本委員会において発言を申し上げたことは事実でございます。ただ、ただいま北山委員は、公の席で言うんだからこれは個人の意見としては聞かれないというようにお考えのようでありますけれども、それはそういうように御了解いただいては困るのでありまして、政府の意見として発表いたします場合には、当然これは——ことにこういう関係するところの甚大な問題は、政府部内で全部話合いをした上でまとまつた意見でなければ申し上げられないわけであります。従つて、まだそういうことは意見がまとまつておらないのであるからして、政府の意見であるというならば申し上げるものしばしば申し上げておるのであります。しかしこういう問題について、自治庁長官という立場にたまたま今ある塚田個人が、どういう考え方を持つておるかということのお尋ねであるならば、それはこういう考え方でおりますということを特にお断り申し上げて、しかもお尋ねがあるからお答えするという形で申し上げておるのでありますからして、これはどこまでもそのようにお聞き願いたいと存じますし、また願わなければ困るわけであります。今別にその事柄についてお尋ねではないようでありますから、深くその事柄自体については申し上げませんが、官選々々と平たく言われておりますけれども、私がしばしばの機会に申し上げておるように、自分は現在の公選制度というものについて疑念を持つておるのであり、それをどのような形にするかということについては、まだ自分としても確たる意見もないし、従つてそういうような段階でありますからして、今の政府が必ずこれを実現するという考え方なのかというようなお尋ねに対しては、今の段階ではまだ何もお答え申し上げることも、また申し上げられるものもない、こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/19
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020・北山愛郎
○北山委員 それでは自治法の内容につきまして、これは昨日も警察法改正に伴う自治法の改正の部分について自治庁の方にいろいろ御質問したのでありますが、その際疑問の点がありまして、きようは国警側でもおいでになつておるようでありますから、昨日の自治庁への質疑において明らかになつた点に関連して、ちよつと御質問申し上げます。実は今自治体の警察の職員である者が、今回の警察法の改正によつて、ある者は府県警察に行き、ある者は国家公務員である警察官となるわけであります。地方公務員になる警察職員に対しては、現在の給与との差額を調整手当として都道府県の方で出すということになつている。ところが警視正以上の階級の、いわゆる国家公務員である警察官に移る者についてはこの調整規定がないわけなんです。これは非常に重大なことではないか。今の自治体警察の幹部級はそのままやはり警視正以上の国家公務員である警察官と今度なるのだけれども、しかし給与ははなはだしく下るわけであります。その点については何ら考慮されていない。そういたしますと、今度の警察法改正によつて、自治体警察の幹部はそのまま移つてもよいが、しかし給与は相当下るんだぞ、それでもよかつたらおいでください、いやならおやめなさい、こういうような警察法の改正ではないか、それについては一体どういうふうに考えておるのであるか。今の自治体警察から府県警察に移つたりする人たちが、一部は調整され、一部は給与の調整をされない、この点だけを考えても非常に不公平じやないか、こういうように考えるのでありますが、これについて国家警察の本部側としてはどういうふうにお考えになつてこれを立案しているのであるか、この点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/20
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021・谷口寛
○谷口政府委員 ただいまの北山委員の御質問にお答え申し上げます。御意見の通り、現在の市町村の自治体警察の職員が、今回の警察法が施行せられまならば、あるいは都道府県の警察官となり、あるいは警察庁の職員となるというように振りわけられて来るのでございます。その場合に、大部分の者は都道府県の自治体警察の職員になることが想定せられますけれども、考え方といたしましては、警察庁の職員になる者も若干出て出るということはこれまた御指摘の通りでございます。この場合、都道府県の警察職員の場合は調整額が出るが、国の場合は出ていないということもこれまた御意見の通りでございまして、この点は大臣あるいは長官からしばしば御答弁をいたしましたように、国家公務員の場合におきましては、警察官といわずその他の職員といわず国家公務員全体の給与の体系がございますので、このような制度の変革によりまして国家公務員に切りかえられる者につきまして特例を設けるということが非常に困難な事情にありまして、やむを得ず国家公務員になる者につきましては、国家公務員の給与体系によらせるということにした次第でございます。但し繰返し申し上げますように、実際の実情といたしましては、比較的高給にあつた幹部がきわめて少数国家職員の方へ切りかえられるということになりまするので、その給与の差額がかりにありましたといたしましても、さように大きな相違ではなかろう、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/21
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022・北山愛郎
○北山委員 国家公務員になる今の職員の数はどのくらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/22
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023・谷口寛
○谷口政府委員 全体といたしまして警察庁の職員が約千名前後、都道府直の職員であつて国家公務員になるものが二百五十名、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/23
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024・北山愛郎
○北山委員 これは数の上では少いといたしましても、今回の警察法の改正というような制度上の改正によつて、今まで自治体警察であろうが、やはり国の全体の治安を守る警察という仕事に専念して来たところの、しかも幹部級の大事な人材については何ら考慮されておらぬということは、これは重大な問題だと思うのです。制度の全体の変革から見れば小さな問題かもしれないが、やはり公務員の給与というものは、例の既得権というものがあるわけなんです。既得権というものは原則として尊重されなければならぬのでありますから、やはり何とかして前の給与というものをそのまま引継いでやるというのが、普通の制度の変革の場合には——国の都合によつてそうなるのでありますから、給与の大幅な切下げを受けるということのないようた措置をとらなければならめと思います。これは、国家公務員については給与の体系があるといわれましたけれども、しかし地方公務員についてもやはり給与の体系というのは全体してはあるのです。だから、常識論としては、国家公務員であろうが地方公務員であろうが、同じじやないか。ことにきのうのお話でも、同じ警察官ということで、集合的な名称でもつて、警察官とされておる。ところが国家公務員に移る人だけがそういうような調整の措置が講じてもらえない。実に納得の行かない話だと思うのですが、何とかこれを考慮する方法がないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/24
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025・谷口寛
○谷口政府委員 その点は全体の考え方に対する御批判といたしましては、まつたく北山委員の御指摘の通りでございまして、御趣旨全体といたしましては、われわれといたしましてもきわめて同感に存ずるのでございます。しかしながら、先ほども総返し申し上げましたように、国家公務員全体としての給与体系の問題もございますので、一応今回の案といたしましては、差額を国家公務員についてまで調整をするという措置が講じられなかつたのでございます。端的に申し上げまするならば、先ほども申した通り、都道府県の職員にならないで、市町村の自治体警察の職員から国家公務員になる人間は、率直に申し上げまして数が少い。数が少いということは、既得権を侵す理由にならないじやないかと申されれば、それはその通りなのでありますけれども、そのような立場において市町村の警察職員から国家公務員たる都道府県の高級幹部になるというものでありますから、幹部的な地位と給与というものをにらみ合つてみました場合において、給与体系をくずしてまで差額を調整するという措置を講ずるという必要性があるだろうかどうかというような点についても、いろいろ考えました結果、考え方といたしましては、国家公務員になり、かつ、都道府県の高級職員になる人々でありますから、給与の体系につきましては、国家公務員の給与体系によつていただく、こういう考え方になつた次第でありまして、ひとつその点の経緯を御了承いただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/25
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026・北山愛郎
○北山委員 それは国警側としては、おそらく、給与体系の全体の秩序を維持するということのためには、自治体警察の幹部は来てもらつてもいいし、いやならば来なくてもよろしい、いやならおよしよといつたような、自治体警察の幹部は当てにしないというようなお考えがそこにひそんでいるのではないか。これは実際問題としてそういう結果になる。従つてまた、自治体警察の方で今回の警察法の改正に反対するのもやはり一部にはそこにあるのではないかと思います。これは自然なことで、こういうような既得権を侵害するような法の改正をやりますとそういう結果が起ることは当然なことである。だからやはり、新しい警察組織の中では、自治体警察の幹部は来てもらつてもいいしどうでもいいというような、まことに冷酷無残な考え方がそこにひそんでいるといわざるを得ないのであります。ところがまた同時に、都道府県の方へ移る職員についても、きのうの御説明でありますと、単に本俸についてだけ調整をされるが、これに伴う諸手当については、その差額というものは都道府県では調整されない。そうするとやはり、数においても多数を占めるところのいわゆる都道府県警察へ移る警察職員についても給与の切下げが起り、また一方にこれを起さないとすれば都道府県はその差額だけをめんどうを見てやらねばならぬことになるのですから、自治庁としては、その本俸の調整額は、昨日の質疑に対しては十三億幾らであるという答弁がなされたのですが、その手当の分については一体数字的にわかつておるのであるか。それらの点を検討されておるかどうか、それをひとつ御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/26
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027・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 この点は、昨日御説明申し上げましたように、十三億九千万というものを給与の調整の費用として財政計画の上に計上いたし、それを本俸について見る、こういうことにいたしておるわけであります。もちろん全体からいたしまして現在市町村の自治体警察におりますときの給与をそつくりそのまま府県警察に引継いだ場合にも支給できるようになるならば、当該の警察職員に対しましては最もいいわけでございますけれども、反面、市町村各個の自治体の警察職員が今度は都道府県という一本の警察の職員になるわけでございますから、従つて給与もやはり都道府県の給与体系の中に入つて参るわけでございまして、従つて、これはできるだけ都道府県職員として、統一ある給与の体系に持つて行くことが望ましいわけであります。要するに、警察職員個人の給与の問題と、府県の給与体系の合理化と申しますか、その中にこれを取入れて行くという一方の要求、この町方の調和として本俸について十三億九千万という給与の調整を行う、従つて若干の程度は当該の職員にも考えて行かなければならぬということになるわけでございますが、これはやむを得ない結果だと私どもは考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/27
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028・北山愛郎
○北山委員 今お鼻ねをした手当の調整をしない部分、その部分は大体幾らになるかということは計算上は出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/28
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029・谷口寛
○谷口政府委員 従来市町村の自治体警察の職員であつた者につきまして、本俸関係につきましては相当詳細な資料があるのでございまするけれども、本俸以外の諸手当につきましては、いろいろな種類の、またいろいろな体系の給与があるようでございまして、われわれといたしましては、その正確な資料は現在持つていないような事情でございます。
なお、先ほどの御意見に関連しまして一言追加をさしていただきたいと思いますが、今度の警察法の考え方につきまして、自警の職員に対しては非常に冷たい考え方があるのではないかといつた御趣旨の御意見もあつたのでございますが、この点はひとつぜひわれわれの申し上げておるような意味で信用していただきたいと考えておる次第でございます。今度の案によりまして、自警職員は来る人、来ない人自由自在にしろという考え方は決して持つていないのでございます。この点は従来の大臣、長官の御説明あるいは総務部長からの各条説明にもございましたように、附則におきまして国家地方警察においても、自治体警察におきましても、両方同じ建前で新制度に引継いで行くという措置を講じておるのでございまして、その間何ら径庭を持つておる考えはないのであります。ただ現実の問題といたしまして、給与その他の問題につきましては御指摘のような完全という観点からいえばいろいろ御意見の点もございますけれども、現在かようにわかれました制度を一本に進めて行くという仕事の上から申し上げますならば、その程度の措置以外に万全の策を講じようと思つてもなかなかそれができ得なかつたというような事情にある次第でございまして、両者の間に区別をつけるというようなものの考え方は毛頭持つていないのでございますから、この点だけはぜひよろしく御了解をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/29
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030・北山愛郎
○北山委員 考え方としては一向信用してさしつかえありません。しかしながら現実の世界の因果関係を信ずるものにとつては、やはり結果としてそういうことが起つて来るのだという考えを、これはあなたのお話を聞いてもやめてしまうわけには行かないのです。結果として必ずそういうことが起つて来る。給与の切下げなんです。ことにただいまお聞きしたところでわかりますように、国家公務員に移る職員はもとよりでありますが、都道府県に移る者も切下げになる。多少とも手当分については切下げになるのです。そうすると今度の警察法案というものは、現在の自治体警察に勤務しております十数万人の給与切下げをやる法案である。結果としては必ずそうなる。それをあえてするような法案である。なるほど警察の経費を節約する。保安隊を四万人もふやすから、そつちの経費をカバーするために警察の経費を節約する。その節約をするのは三万人の警察官の首切りをすると同時に、全体の自治体警察の警察官の給与切下げによつて行う。そう了解されてもしようがないと思うのですが、これについて自治庁及び国警の方から説明を願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/30
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031・西村力弥
○西村(力)委員 関連して谷口さんにちよつとお尋ねしますが、そういう考えで誠意を持つてなさるならば、自警から国警に行かれる人々の俸給手当なんかでカバーするのではなくて、そのままにしておいてしばらく国警側の人々が追いつくまでストツプさせるというぐあになぜ行かないか。そうでなければ、そのレベルまで達しないうちに退職しなければならぬ人は非常な損をこうむるということはわかり切つておることである。なぜそういうぐあいにできないか。それほどの親身の考えを持つてくださるならば、なぜできないのかという理由をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/31
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032・谷口寛
○谷口政府委員 非常にごもつともな御質問でございまして、われわれといたしましてもこの切りかえの際における給与の関係をどういうふうな考え方でまとめて行くかということにつきましては、いろいろと検討いたしたわけでございまして、ただいま西村委員のお考えのように、一応現状でくぎづけておいて、逐次低い方の側を引上げて行くというような考え方も、考え方としてはもちろんあり得るのでございます。しかしながら申すまでもなく今回の改正案におきましては、新しく発足いたしまする都道府県の警察というものは国家地方警察及び市町村の自治体警察をともに廃止いたしまして、都道府県の自治体警察として一本に管理運営がなされて行く警察に相なつておりますので、その意味合いから申し上げますならば、従来は実質的には同性格の警察事務を運用いたしておりましても、法律上の性格といたしましては、それぞれ独立の主体の区域内において活動いたしておつたのでございますが、今回は完全に一本の都道府県という自治体警察の中で、しかも同性質の警察事務を運用して行く、こういうことに相なるわけであります。しかもそれに当る人が従来の帰属を考えてみるならば、あるいはその当該都道府県の国家地方警察の職員であつた人、あるいは市町村の警察職員であつた人、かような事情になるのでありますけれども、発足以後におきましてはまつたく都道府県の一本の警察職員として活動して行く。かようなことに相なります以上は、警察官としての広い意味の人事管理ということも考慮いたしまして、あくまで出発する都道府県の警察職員としては、給与を一本の条例においてきめて行くということが、今申し上げましたような考え方からむしろ適切ではなかろうか、かように考えまして、まず条例といたしまして国家公務員の例に準じつつ、しかも各都道府県の実情、都道府県の課の吏員の給与の実情等を参酌いたしました条例による一本の給与というものを考えて行くことが、妥当ではないか、かように考えた次第でございます。しかもその点につきまして先ほど来議論のありますような市町村の警察職員、あるいは考え方といたしましては都道府県の警察職員の、従来もらつておりました給与との差額があります場合においては、当分その差額がなしくずすことができますところまでの間政令の定める基準に従つて、条例の定むるところによつて給与の調整をして行く、かようになつたのでございます。しからば今のように人事管理上一本の給与がいいと言いながら、しかも差額を補給するというふうな意味の人事管理上の不均衡があるじやないかと必ず御指摘になると思いますけれども、六年間給与体系としてわかれて参りましたものを一本にまとめ上げまする以上は、過渡期の現象といたしましてはかような措置も万やむを得ないのじやなかろうか、そうしてその調整につきましては実質上の昇給その他によりましてでき得る限りすみやかに、しかも損害の少い程度におきましてこの差額を縮めまして、近い将来におきまして完全な意味の一本の給与体系が当該都道府県の警察職員としては実施できる、かようなことを希望いたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/32
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033・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 新都道府県自治体警察の職員になります以上は、先ほど来申し上げましたように、やはり府県の給与体系の中に入り込むわけでございますから、従来の経緯から申しまして、当該警察職員の給与上の利益をできるだけ保護することは一面考えなければなりませんけれども、半面それの統合一元化による給与体系の一本化ということも考えなければならぬわけでございますから、その両者の要求として先ほど来申し上げましたような、本俸の調整を行うというようなことになつたわけでございまして、そういうことが半面から申せば不合理たという御談論かとも存じますけれども、私どもといたしましては、本俸については少くとも保障せられるということでこの問題は処置するほかはないのじやないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/33
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034・西村力弥
○西村(力)委員 関連して。町村合併がいろいろ進んでいるのですが、合併したときにそういう給与上の差額の問題がたくさん出ておるし、また町村合併の話合いをやる場合には、無理をせぬで何とかかんとかやるという関係から、各村々の三役なんかの現俸給による、その地位はとにかくとして、この継続という方法がとられておる。こういう事情から財政的に非常に苦しくなつて来るというので、人員整理に自然に行かざるを得ないというふうになる。そういう町村合併の場合の給与差、これに対しても、今のような考え方でおられるかどうか。それからまたそれによつていろいろ財政的に窮迫して来る、それが吏員の首切りや何かに進んで来るという現状を、自治庁としてはどういうぐあいに指導せられ、それから財政的にどう裏づけなさろうとするか、そういう点について御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/34
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035・小林与三次
○小林(与)政府委員 町村合併に伴う各合併町村の間における給与の不均衡、これは正直に申しまして多少あることは事実でございます。特にいなかの町村だけなら問題はありませんが、町がかつたところに村が入つて来る場合におきましては、かなり不均衡があるということが見受けられるのであります。それでそれをどう調整するかという問題になりますと、これはしよせん一本の町村にまとまれば、それぞれの町村で同じ勤務をする吏員の間に不均衡な扱いをするのは事実上困難でありますので、大体逐次調整して行く方向にあると思います。これはあたりまえのことだろうと思います。そてでそれを一度にするか、時期を見てするか、いろいろなやり方をやつておりますが、大体統一した区域におきましては、どちらかといえば高い方向にみんな行くというのが自然の姿でありまして、これはわれわれとしてもやむを得ぬ措置だろうと考えております。ただ正直に申しまして、合併を見越して、ある町村で特別に昇給をしておるというふうな、これはきわめて稀有な例でありますが、その始末を一体どうしてくれるかというふうな困難な例も、これはないでもありません。しかしこれは一般の町村の普通の給与というものを基準にして適当に調整されるのであります。そういうことを考えておるのであります。
そこでその結果多少給与のレベルが全般的に上るのはやむを得ぬと思いますが、それで財政上えらく窮迫して来るほどのものではないと実は考えております。全般的には多少上りますが、それにも増してそれぞれ行政費の節減もあることでありますので、そういうことで十分カバーできるものだと考えております。しかしまた具体的問題に即しまして、そういう事例によつてにつちもさつちも行かぬというふうなことになればもちろん考えますが、われわれ大観いたしましては、全併に伴う行政費の節減で十分補うて余りがある、こういうのがわれわれの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/35
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036・北山愛郎
○北山委員 先ほど申し上げた通りでございますが、警察職員というものは、御慶知の通り職員団体も結成できない、政治活動もできない、何をされても泣寝入りだ。今回の自治法の改正では警察吏員を警察官とするという非常に簡単な文句で表現されておるのでございますが、その中には結局十何万人という自治体警察の職員の給与大切下げを行わんとしておるわけであります。これはもしも十分に警察職員に発言権を与えるならば、相当強硬に、これに猛反対して来るのではないか。ただそれが許されないから黙つておる。黙つておるからといつて、給与の体系がどうのこうのといつてこんな大幅の切下げをあえてしてもいいかどうか。特にこういうような警察の第一線におる警察職員が給与の大幅切下げをせられて、そうしてはたして治安の責任というようなものがうまく行くかどうか、今度の警察法は治安体制を確立するというふうに非常に強調されておりますが、現在実際にその職務執行に当つておるところの警察官の給与を切り下げて、それでうまく行くとお考えになつておるかどうか。これは自治庁としても現実の地方自治体の職員の給与というようなものと非常に関係の深い問題でありますから、これについて深い関心を持たなければならぬと思うのでありますが、その点について国警と自治庁からお答えを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/36
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037・谷口寛
○谷口政府委員 警察官は、自治体警察の警察官といわず国警の警察官といわず、今お話のありましたように、労働組合も組織せず、また団体交渉権も持たないで黙々としてこの仕事に精励をいたしておるのは、まさに御指摘の通りでございまして、この点につきましてはわれわれといたしましても非常に深甚な感謝を絶えずいたしておるのでございますが、そういうことが言えないからといつて、その給与の実情等についての不合理あるいは不公正というものがなおざりにせられるというような考え方は毛頭持つていないのでございまして、むしろさような状態において組織的な主張ができないというだけに、ふだんそれの人事管理にあたりあるいは全体として給与の問題を考え、その他指導教養等に当る幹部の心構えといたしましては、さようなことが言えない状態にあるだけに、むしろ実情はいかようになつておるかということについて十二分に配意をいたし、お互いに及ばずながら努力をささげて行かなければならないというような心構えでやつておりますことは、国警の職員といわず自警の職員といわず、まつたく同一の考え方で事に臨んでおるもの、かように私は実は信じておるのでございます。従つて全体の考え方といたしまして、そんなことができないから今度の考え方においては非常に酷なものがあつたというようにはわれわれ毛頭考えていないのでございますけれども、現実の措置といたしましては、いろいろと御指摘がありましたように、必ずしも完璧なものではないということは、これは御意見の通りでございます。しかしながらいろいろな事情を総合勘案いたしました結果といたしまして、都道府県に一本にまとまるものについては、給与の本俸といたしましては一本のものになりますけれども、現在までもらつておりましたものとの差額については手当の形で調整をとつて行く、国家公務員に切りかえられる者につきましては幹部でありますし、比較的高給者であります関係上、現在の国家公務員の給与体系によつてもらうことにした、こういう考え方でありまして、決して全体といたしまして給与のしわ寄せを今度の法案において弱い警察官にやつたというような考え方を持つておりませんので、どうかその点よろしく御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/37
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038・佐藤親弘
○佐藤(親)委員長代理 本案に対する質疑は午後引続き行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/38
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039・佐藤親弘
○佐藤(親)委員長代理 この際お諮りいたします。ただいま市町村職員共済組合法案が付託されましたので、日程を追加して議題となし、本案の提案理由の説明を聴取いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/39
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040・佐藤親弘
○佐藤(親)委員長代理 御異議がないものと認め、これから同案を議題として政府より提案理由の説明を聴取いたします。塚田国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/40
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041・塚田十一郎
○塚田国務大臣 ただいま議題に供されました市町村職員共済組合法案につきまして、提案の趣旨及び内容の概略を御説明申し上げます。
昭和二十六年二月から施行されました地方公務員法は、人事行政に関する根本基準の一として、地方公務員の福祉及び利益の保健を掲げているのでありますが、その第四十三条において、職員の公務によらない死亡、廃疾、負傷及び疾病並びに分娩及び災厄その他の事故並びにその被扶養者のこれらの事故に関する共済制度は、すみやかに実施されなければならないとし、第四十四条では、退職年金及び退職一時金の制度は、すみやかに実施されなければならないとし、さらに、これの制度は、国及び他の地方公共団体との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならないと規定してあります。その趣旨とするところは、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を確保するためには、地方公務員の在職中の疾病、負傷等による出費に対する保障の措置を講ずるとともに、相当年限忠実に勤務した職員が、退職した場合における本人またはその遺族の生活を保障するための諸制度を確立することにより、地方公務員の職に人材を誘致するとともに、その職にある者をして安んじて職務に専念させることが必要であるというにあると存ぜられます。
政府といたしましては、この地方公務員法の精神にのつとり、地方公務員全般について、すみやかに共済制度を確立するの要を痛感し、かねて研究を進めて参つたのでありますが、昨年十月の地方制度調査会の地方制度の改革に関する答申においても、とりあえず措置すべき事項の一として同趣旨の答申がなされている次第もあり、急速にこれが実現をはかることに相なつたのであります。現在、市町村の職員でも学校及び警察職員につきましては、国及び都道府県の職員と同様に、国家公務員共済組合法が適用され、雇用人に対しても疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付のみならず、退職年金または退職一時金の給付も行われております。これに対し、一般職員につきましては、疾病、負傷等に対する給付としては、健康保険法が適用されておりますが、退職年金及び退職一時金の制度としては、そのうち吏員については、国の恩給法の準用または恩給条例による給付が行われているのに対し、雇用人については、清掃、交通等特定の事業に従事する若干のものについて厚生年金保険法が適用されるほか、十三万人に近い大多数の雇用人については、何らの措置がとられていないのであります。
なお、疾病、負傷等に対するいわゆる短期給付についても健康保険法の適用はありますが、同法による給付は共済組合法による給付に比較いたしますと、財政力のゆたかな一部特定の市が組織している健康保険組合は格別として、一般的には低い水準にあり、殊に災害時における罹災給付は、健康保険によつては行うことができませんので、昨年のような災害に際しては、国及び都道府県の職員並びに同じ市町村でも学校職員及び警察職員と、市町村の一般職員との問にはなはだしく権衡を失した処遇をせざるを得なかつた実情にあるのであります。かくのごとく市町村の一般職員は、他の公務員に比して、はなはだ公平を欠く取扱いのもとにあり、地方公務員法の規定からも、その解決をいたずらに遅延することが許されないと存ぜられるのであります。
しこうして市町村職員の共済制度につきましては、根本的には社会保障制度全般の問題の一環として総合的に考慮すべきものがあり、少くとも中央及び地方を通ずる公務員に関する年金制度全般に関する問題の一として考慮すべきものがあるのでありますが、これらの問題の根本的解決はきわめて重大でありまして、その理想と方向とはともかくとして、なお検討さるべきものが少くなく、今ただちに結論を見出しがたい状況にありますので、これらの根本的解決の日まで、ひとしく地方公務員でありながら、市町村の一般職員のみを現在の不合理な状態に放置しておくことができませんので、さしあたりの措置として、現行の国及び都道府県の職員並びに市町村の学校及び警察職員に関する共済制度を基礎として、これらの者との間における不公平を是正し、その処遇の公平を期することが緊急と考えているのであります。
以上要するに、地方公務員法の定めるところに従い、また地方制度調査会の答申の趣旨にのつとり、市町村の一般職員特に雇用人について、国及び都道府県の職員並びに市町村職員中、学校及び警察職員並の共済制度を設けようとするものでありまして、これにより、第一に、何らの年金制度が実施されていない市町村の一般雇用人に対し、国、都道府県並びに市町村の学校及び警察の雇用人並の年金制度を確立し、第二に、市町村の一般職員について、同様に他の公務員並の短期給付を保障し、第三に、短期給付と長期給付との一体的運営により、給付業務の健全かつ合理的な運営を期するとともに、療養施設の整備その他の福祉事業の総合的推進をはかり、もつて地方自治の基幹をなします市町村の職員の福祉を増進し、地方自治の進展に寄与しようと念ずる次第であります。
次に法案の要点を綱説明申し上げます。
第一に、以上申し上げましたように、市町村職員共済制度は、市町村の一般職員について、他の公務員と同様の処遇を確保しようとするものでありますから、組合の給付の種類、額、支給条件等すべて国家公務員共済組合法のそれと同様といたしております。ただ、現に市町村か組織しております健康保険組合のうちには、健康保険法に規定する法定給付のほかに附加給付を行つているものがあり、これらの附加給付の大部分は、この法律案による共済組合の給付に吸収さえるのでありますが、これを越えるものも若干ありますので、かかる給付は経過的に共済組合の給付として行い得るものとし、ただちに給付の低下を来すことのないように措置いたしております。
第二に、組合員の範囲につきましても、原則的には国家公務員共済組合法におけるものと同様といたし、なお、国家公務員共済組合の組合員と市町村職員共済組合の組合員との間に異動が行われます場合には、相互に在職期間を通産することができるようにいたしております。
第三に、組合員の掛金及び市町村の負担金でありますが、この点につきましても国家公務員共済組合法と同様といたしております。但し、従来健康保険組合で、市町村と職員との負担の割合を職員に有利に定めておるものも少くありませんので、経過的に従来の負担関係をそのまま維持できるような措置を講じ得ることといたしております。
第四に、共済組合の組織及び運営でありますが、市町村職員の共済組合については、地方自治の本旨にかんがみ、主として国家公務員を対象とする国家公務員共済組合法と同様の制度によることは適当と認められませんので、組合組織の自律性を運営の自主性ができるだけ確保できるように配慮いたしております。すなわち市町村職員共済組合は、都道府県の区域ごとにこれを設け、組合の議決機関として組合会を、執行機関として理事を置き、その構成は、使用主たる市町村長の代表者と被用者たる職員の代表者とがそれぞれ同数となるようにし、組合の重要事項の決定、業務の執行が一方の利益に偏することのないように配慮するとともに、組合に監事を置き、自主的に組合の業務を監査できるものとし、業務運営の公正を期することといたしております。また組合に対する監督規定等も必要最小限度にとどめることにいたし、国家公務員共済組合はもとより、私立学校職員共済組合または健康保険組合に比し著しく自主性が強化されております。
第五は、市町村職員共済組合連合会についてでありますが、組合の適正かつ円滑な運営及びその事業の改善進歩をはかるため、市町村職員共済組合連合会を置き、組合に対する技術的及び専門的な知識資料等の提供、事務の指導、組合の長期給付及び羅災給付に要する費用に充てるための積立金の管理その他の事業を行うものとしております。連合会の機構としては、単位組合と何様に議決機関として総会を、執行機関として理事を、監査機関として監事を置くことにいたしております。
第六は、この法律案の経過措置についてでありますが、すでに申し上げましたように、本法律案の根本の趣旨は、市町村の一般職員に対し、他の公務員並の処遇が確保されるように制度的に保障しようとするものにほかなりませんので、個々の団体において、みずから、この法律で保障しようとするのと同程度以上の給付を行おうとするものについては、これをしいて画一的に本法案による共済組合に加入させるまでの必要はないと考えられます。従いまして、健康保険組合を組織している市町村は、この法律に規定する給付以上の給付を行うにおいては、その職員の過半数の同意を得て、引続き健康保険組合を組織し、共済組合に加入しないかまたは長期給付についてのみ共済組合に加入することができるようにいたしております。
なお、この法律施行以前の職員としての在職期間及び厚生年金保険の被保険新であつた期間については、通算の措置を講じ、職員の利益の保護に遺憾なきを期しております。
以上が本法案の提案の趣旨並びに内容の概要であります。何とぞ慎重御審議をいただきますみやかに本法案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/41
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042・佐藤親弘
○佐藤(親)委員長代理 午後は一時半から再会することといたし、この際暫時休憩いたします。
午後零時三十九分休憩
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午後四時七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/42
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043・中井一夫
○中井委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。
この際地方財政に関する件について調査を進めることといたします。ただいま錦木君より地方財政平衡交付金法案の修正に関する問題について発行を求められておりますからこれを許します。鈴木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/43
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044・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 大蔵大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
さきに本院が地方交付税の税率を二王%に修正したのは、その算出の基礎となつた地方財政計画に少くとも平年度三百億円程度の算入不足があることを確認したことによるものであります。しかるに参議院においてこれを二二%に再修正をしたことはわれわれのはなはだ遺憾とするところであります。特に地方財政窮乏の原因をなす既定財政規模の是正について何らの考慮を払わないのみならず、経費の自然増加に目をおおい、一方的に自然増収の算入不足額の現象のみを主張していることは、地方財政の直実を直視せず、財政の何たるかをわきまえないものであると考えるのであります。しかしながら地方交付税の概算交付の遅延による地方財政の著しい窮迫を前にしてさらにこの点に関する論議を重ね、法案の成立を遅延せしむることは、地方財政運営の現状にかんがみまことにしのびがたいものがあるのであります。
よつてこの際政府はさらに地方交付税の税率を〇・五%以上高めるか、あるいは地方交付税にタバコ専売益金の一定割合を加えて、交付税の税率の〇・五%相当額以上の増額をなしたると同様の結果を得せしめるようにするか、すみやかにこれがために関係法律案の提出を準備する必要があると思うのであります。この点に関しまして政府の御所見と確約をお願いいたしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/44
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045・小笠原三九郎
○小笠原国務大臣 地方財政の強化確立のためには、御指摘のごとき経常的経費の増加や、いわゆる赤字補填対策の経費等も考えられますので、この際の交付率百分の二十二のほか、専売益金中より明年度以降三十億円以上の金額を、たとえば地方交付税交付金に加える等の方法により、関係法案を準備する等、所要の措置を講ずる所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/45
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046・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 了承いたします。御善処をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/46
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047・中井一夫
○中井委員長 この際一時休憩をいたします。
午後四時十一分休憩
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〔休憩後は開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06119540513/47
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