1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十四日(金曜日)
午後七時三十一分開議
出席委員
委員長 中井 一夫君
理事 加藤 精三君 理事 灘尾 弘吉君
理事 吉田 重延君 理事 鈴木 幹雄君
理事 西村 力弥君 理事 門司 亮君
生田 宏一君 熊谷 憲一君
佐藤 親弘君 田渕 光一君
西村 直己君 保岡 武久君
山本 友一君 床次 徳二君
藤田 義光君 古井 喜實君
阿部 五郎君 石村 英雄君
北山 愛郎君 伊瀬幸太郎君
大石ヨシエ君 大矢 省三君
中井徳次郎君 松永 東君
出席国務大臣
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
国 務 大 臣 小坂善太郎君
出席政府委員
国家地方警察本
部長官 斎藤 昇君
国会地方警察本
部次長 谷口 寛君
国会地方警察本
部警視長
(総務部長) 柴田 達夫君
国会地方警察本
部警視長
(警務部長) 石井 栄三君
国会地方警察本
部警視長
(刑事部長) 中川 董治君
国会地方警察本
部警視長
(警備部長) 山口 善雄君
自治政務次官 青木 正君
自治庁次長 鈴木 俊一君
委員外の出席者
衆議院法制局参
事
(第一部長) 三浦 義男君
専 門 員 有松 昇君
専 門 員 長橋 茂男君
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五月十四日
委員横路節雄君辞任につき、その補欠として阿
部五郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月十三日
昭和二十九年度地方財政計画の修正に関する陳
情書(第三〇〇二号)
昭和二十九年度当初地方財政資金に関する陳情
書(第三〇〇三号)
地方財政再建整備方策の促進に関する陳情書
(第三〇〇四号)
警察法案の成立促進に関する陳情書
(第三〇四〇号)
公職選挙法の改正に関する陳情書
(第三〇七三
号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
警察法案(内閣提出第三一号)
警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法
律案(内閣提出第三二号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/0
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001・中井一夫
○中井委員長 これより会議を開きます。
警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括して議題といたします。両案に対する質疑は、内閣総理大臣に対する質疑を留保し、一応終了いたしておりますので、ただいま副総理が出席されましたから、これよりこれに対する質疑を行いますが、ただいまの理事会におきまして、その質疑時間は各党二十分と申合せいたしましたから、この範囲内で質疑をお願いいたします。質疑は通告順によつてこれを行います。松永東君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/1
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002・松永東
○松永(東)委員 本法案につきましては、もうすでに同僚委員各位から詳細な質問が連日続けられ、あらためて申し上げる必要はないと思います。そこでちようどきようは緒方副総理も御出席でありますから、この法案の大綱について御所見を承つておきたいと思います。きわめて簡潔でけつこうであります。
第一は、政府は本法案によつて、戦前内務省の持つておつた、いわゆる強力な国家警察を復活しようという計画であるかどうか。政府委員の説明せられるところでは、地方自治警察として育成して行くのだ、こういうことは繰返し承つておる。そこで副総理のお考えも、そうした自治体警察としてこれを育成して行くのだ、こういうようなお考えであるかどうか、観念の問題です。と申しますのは、今もちよつと触れました通り、さきの犬養法務大臣、現在の小坂担当大臣を初め斎藤国警長官等は、本法案は府県に一本化した自治警察である、こういうことをしばしば御説明があつた。ところが私にはどうしてもそれが納得できない。それはなぜであるかというと、この原案には、警察庁長官は総理が国家公安委員会の意見を聞いて任免する、それから都道府県警察本部長は、警察庁長官が国家公安委員会の意見を聞いてこれを任免する、それから警視総監は、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いてこれを任免する。すなわち警察行政を実施する、かんじんな警察行政の中心であるところの本部長の任免について、地方の公安委員会の意見を聞かぬばかりか、ざつくばらんに申し上げますと、地方自治体とは何のつながりもなく任免される。本部長は申すまでもなく、各地方々々の警察の中心です。地方の公安委員会がその任免権を持つておらなければ、監督をするという管理権を持つておつても、任免権のないところの管理権はきわめて微弱なものです。これは私が申し上げるまでもない。すなわち今日までの説明に現われたところによつてみれば、任免権を持たない地方自治警察は、自治警察とは私は言えぬと思う。それをやはり自治警察自治警察とおつしやつておるから、そこに私の疑問が生ずるのであります。観念上の問題であるかもしれませんけれども、政府としてこれをやはり自治警察として維持育成して行くつもりであるか、もしくは国家警察として今度は全部ひつくりかえして、かわつた考え方で行くのか、これをひとつ承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/2
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003・緒方竹虎
○緒方国務大臣 お答えをいたしますが、政府といたしましては、今回の警察法によりまして、いわゆる警察国家というようなものをつくる考えは毛頭ございません。そういう結果になることを最もおそれておるものであります。但し占領間の警察制度の実施幾年かの経験にかんがみまして、いわゆる自治警察の長所も十分ここに取入れまして、府県単位の自治警察というような形になるわけであります。ただ任免権を、治安の関係上その他から警察国家というような体臭を帯びない範囲におきまして、できるだけ一本にして参りたい、こういう気持でこの法案を出した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/3
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004・松永東
○松永(東)委員 そうしますと、やはり府県単位の自治警察には間違いない、こういう御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/4
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005・緒方竹虎
○緒方国務大臣 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/5
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006・松永東
○松永(東)委員 ここで議論しておつても、今夜に迫つておる問題で際限がございませんので、この問題については御意見を伺つておくだけにとどめておきます。
次にお伺いしたいのは、かくのごとき警察をおつくり上げになつて、その地方々々の住民の協力を得られるものでしようか。それは各地の府県では得られるでありましようけれども、東京都とか、今日まで自治警察を持つて相当憎い間苦心して維持育成して来ましたところの五大都市のごとき住民が、この警察のもとにほんとうに心の底から喜んで、その警察の人々と協力して行くということが望まれるでしようか。それは御承知の通り、これを東京都にとつてみますと、警視庁の経費がたしか現在百億と少し越しておると思います。ところがこの法案が成立いたしますと、三多摩を包含してざつと百十億以上にたしかなると聞いております。ところが現在においては四億円だけ国庫から補助があるのであります。ところがこの法案が成立いたしますと、三多摩を包含して十億ふえるのです。十億ふえて、政府の補助は十億円です。そうすると、今日までから見ると四億損するのです。東京都はほとんど全経費の九割を都民がまかなつておる。その都民の財政、都民の税金によつて経営して行くその機構の上に、何の相談もかけないで警察総監を任命する。すなわち九割を負担している経費の上にあぐらをかいて、そうして任命権は中央で持つておる。これではどうも都民は汗あぶらを流して、税金はおれたちが出しておいて、そうしてお上の方から、政府の方からかつてにその仕半の中心人物をひつぱつて来てすえるということじや、ちよつと納得せぬと思うのですが、それでもおつしやる通り、これは一例を東京都にとつたのでありますが、東京都並びに他の五大都市の市民が喜んでこの新案の機構に協力するかどうか、そういうふうに協力するのだとお考えになつておりましようか、それをあらかじめ聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/6
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007・緒方竹虎
○緒方国務大臣 すべて何と申しますか、社会的習性で変化を好まない保守的な感覚は免れないと思います。でありまするが、先ほど申しましたような趣旨から、政府としてこの警察法の改正を考えまして、その間に今お述べになりましたようなことも十分に注意をいたしたつもりであります。地方の公安委員が懲戒罷免の勧告をする権利を持つておりまするし、また今回の修正によりますれば、地方の公安委員の同意を得るということになつておりまするので、その間につきましては政府の初め考えました趣旨に、さらに地方との協力を深め得る自信を持つております。その点につきましては今後警察が発足いたしました後におきましても、政府も十分の努力を傾けなければならぬと考えまするが、この点につきましては政府といたしましては地方の協力が十分得られるというつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/7
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008・松永東
○松永(東)委員 ちようどそのくらいのところで私は質問をやめておかぬとしかられますから、そこで省略をいたしておきますが、幸い副総理がおいでになつておられますから警察法と防衛法とのつながり、これをひとつ承つてみたいのであります。あなたは国政の全般に関係しておられるのでありますから、警察法と防衛法とのつながり、これをひとつ承つておくことがこの際私は適当だと思うのでちよつと承つておきたいと思います。この前衆議院で可決になりました自衛隊法の八十六条ですが、これには自衛隊と警察その他の機関は相互に協力すると規定してあります。これは相互に協力するというのは日本民族である以上は当然であります。ましてや国家もしくは公共団体の機関である以上は協力することはこれは申すまでもありません。問題はこういうところを開きたいのです。いわゆる治安出動とか、防衛出動とかいろいろありましよう。そうした治安出動の場合に、もちろん自衛隊ばかりではない。それぞれの地方の警察隊も出動すると思う。これは当然その地方の治安を維持し、防衛しなければならないのでありますから、治安出動であろうと防衛出動であろうとあるいは災害出動であろうと、警察並びに自衛隊は協力する。そしていずれも出動して働いてくれるということは、これは当然予想される。そこで問題の起るのは、この自衛隊と警察隊とがその現場において用兵作戦の上で意見の齟齬を来したときには、一体たれがこれを統制するか。その法律があるのか。なるほど自衛隊だけならば長官の命令によつて下官がそれに服従して行く。そしてその自衛隊だけの統制ができましよう。自衛隊ばかりでなく、警察隊もそこで一緒に活動する。そのときに自衛隊の方では作戦を右せんと欲し、警察隊の方では左せんと欲するときに、一体たれがこれを統制して行くのですか。統制して行つて、あるいは自衛隊の命令に警察隊も従う。あるいはその地方関係であるから、地方の警察隊の命令に自衛隊の方も従う。こういう法律でもあればそれは心配はいりません。しかしながらその法律は私はまだ見当らない。そこで問題となるのは、ここが一番かんじんなところですが、ほんとうに危急存亡のときに孫子の兵法を用うるまでもなく、用兵作戦のその巧拙によつて防禦の目的を達するのと達せないのと開きがある。そのときに今言う通り警察と自衛隊との作戦上についての考え方が相反する場合、一体たれがこれを指揮し、統制して行くのであるか。それをひとつ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/8
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009・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今お話になりましたような緊急事態が発生しました場合には、内閣総理大臣のもとにすべての警察力が統制されるわけでありますから、その間の協議によりまして不都合は起るまいと考えております。それは旧来の警察の場合にも府県知事の要請等によりまして、非常の事態に軍の出動を求めておりましたときも、その間の調整は行われておつた。それと同じようにできるものと考えております。治安の維持、治安の確保という目的を一つにいたしておりまする以上、これは両方の協議によつてやつて行けると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/9
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010・松永東
○松永(東)委員 これはどうも私には納得ができない。なるほどその地方においてもし騒擾事件その他の急を要する場合があつたときには、それはもちろん地方長官が要請をいたします。それば出動についての要請です。私の申し上げるところは、その現場において、戦争と名前をつけるのは大げさかもしれませんけれども、戦争と同様な事態が発生せんとも限らない。そのときに自衛隊と警察隊との間に意見がわかれるときもあろうと想像される。先に申したように自衛隊の方は右せんとし、警察の方は左せんとする。そういうときにお前は左へ行け、おれの方は右にかつてに行くぞというのでは戦争に勝てません。そうしてその動乱を鎮圧することにさしつかえが住ずると思う。そのときは総理大臣がすべて統制して指揮して行くのだとおつしやつておられますが、たとえてみれば、もし北海道の端くれにそうした事案が生じたと仮定いたしましたとき、電話をかけて総理大臣の指揮を仰ぐというそんな手ぬるい余裕があろうはずはございません。でございますから、その場所々々で即戦即決をやつて行かなければなりません。そういうときの命令権、そういうときの統制する役目はどうしてできるか、これを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/10
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011・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今の平和憲法のもとには戒厳令というものがありませんが、将来は今お述べになりましたような非常事態が発生することを予想しまして、昔の戒厳令に類するような法律の制定を必要とするようになるとも考えられます。その点についてはまだ結論を得ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/11
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012・松永東
○松永(東)委員 もちろん戦前の戒厳令あたりがあるならば、こういう質問はいたしません。今度初めて自衛隊法というものができて、そうして今度の警察法というものがありまして、この両者の関連性はまだ一つも規定の上に乗つておらない。やがては戒厳令にひとしいものもつくるかもしれないとおつしやるが、あすが日にも動乱が起らぬとは限りませんぞ。あすが日にも、どういう事態が起らぬとも限りませんぞ。そうして幾千幾百の兵隊、警察隊が血みどろになつて戦うそのときに、効果を絶無ならしめるようなことがあつたらたいへんです。それで私はあえてこの質問をするのです。急遽そういう法案をつくつて、自衛隊と警察隊との関連を緊密ならしめ、いささかの支障なからしむるようにするという御言明があれば、今のこの差迫つておるところで私はこんな質問はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/12
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013・緒方竹虎
○緒方国務大臣 十分に研究をしてみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/13
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014・松永東
○松永(東)委員 与えられた時間がありませんので、私はここら辺で打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/14
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015・中井一夫
○中井委員長 松永君の御質疑は終了いたしました。次には鈴木幹雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/15
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016・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 私はこの重大な警察法の質問がおそらく今晩をもつて終了いたすこの機会に、昭和二十三年の警察法制定の当時にその責任の一半をにないましたことを考えまして、非常に感慨無量であります。
昭和二十三年の改正前の警察におきまして、反省すべき点が多々あつたことは率直に認めなければならぬと思いますが、その新しい昭和二十三年の警察法によつて企図されたものは警察の能率を犠牲にしても警察の民主的運営を急がなければならないということであり、こういう趣旨のもとに二千になんなんとする自治体警察ができたのであります。しかしながら六年の運用の間におきまして、あるいは財政的な理由により、あるいはその他運営上の理由によりまして、町村における自治体警察は、今日におきましてはほとんど姿を消しました。しこうして今日の国家内外の情勢が非常に深刻の度を加えておることは事実でありますし、政府のしばしば言明されるごとく、破壊的な暴力行動に対する対策、あるいは国家治安のための現在並びに将来にわたる各種の対策を立てなければならない、またこれがために現在の警察制度に対する検討もしなければならないという、その考えにおきましては、私は同感する点が多々あるのであります。しかしながら今回提案されました警察法の改正と申しますか、あるいは新しい角度の警察法と申しますか、これによりますと、今度は能率運営ということの方をウエートを重くしており、それがために、警察の政治的な中立性を保持するということ、民主的な運営を保つということ、あるいは警察のいわゆる民主化という問題につきましては、私はあるいは長官の任免権なり、地方本部長の任免権なりをめぐりまして、その流れを、先ほど松永委員の述べられましたごとくは看取し得るのであります。われわれはこれに対しまして修正をなすべきであると考えております。しかしながらこれにつきましては、今日まで同僚議員により幾多の観点から質疑がなされ、応答されておりますし、時間もございませんから、私はこの点を省略いたしまして、この際緒方副総理に三、四点にわたりまして所見をただしてみたいと思うのであります。
その一つは、いわゆる暴力的な破壊活動に対する対策。これは私はこの際政府におかれましても深刻に考えておられると思いますし、私どももその必要を感ずるのであります。しかしてこれに対する治安機構といたしまして警察がその一半をにない、また公安調査庁がこの任務によつて生まれたことは御承知の通りでありますが、この警察と公安調査庁との間にわたつておりますところの権限と任務の重複というものを調整することは、国家といたしましても重要なことではないかと思うのであります。同時にまたあるいは麻薬取締官であるとか、あるいは鉄道公安官であるとかいう特殊の治安機構が、今日国内におきましては数十にわたつて存在するのであります。こういうものをこの警察法の改正と申しますか、制定と申しますか、この機会において調整を行うことが妥当であつたと認めるのでありますが、政府におかれましては、この問題につきまして、どういうようなお考えを持つておられるか、第一にお伺いをいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/16
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017・緒方竹虎
○緒方国務大臣 公安調査庁及び特殊治安機関と警察との関係につきましての総合対策につきましては、なるべくすみやかに御趣旨に沿うような結果をつくりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/17
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018・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 政府におかれましては、この問題を十分に考究になりまして、国家的な見地から、これらの機関の調整についての今後の研究と成果を期待いたしたいと思います。
次にお伺いをいたしたいのは、今度の警察法によりまして、組織の変更が国警と自治体警察との間にわたつて行われるわけであります。それに伴いまして、今日全国の警察官が一番不安に思い、また動揺をいたしております問題は、給与と人事がいかにして行われるであろうかという点であろうと思うのであります。この法案が通りました場合におきましては、当然これが問題になつて参るのであります。附則によりますと、この問題につきましては、政府は政令によつて基準を定める、こういうことを定めておるわけでありますが、この差額につきましては、手当として支給をするということを定めておるのにすぎません。この機会に、警察官は、従来国警であつた身分の者と、都市の警察であつたところのいわゆる自治体警察の職員とで、待遇が非常に開いて来る。政府当局の説明によりましても、警察官一人につきまして月額において約二千円の開きがあるのであります。この事柄は、国警警察官並の基準を定めることによりまして、自治体警察官が従来持つておりましたところの、より高い俸給を削減いたしまして、そうして従来の国警の職員にさや寄せする。その手当を支給するというだけでは不十分ではないか。この問題は予算が確定いたしました今日、急速に間に合う問題ではないと思います。しかしながら、かすに時間をもつていたし、あるいは臨時国会その他の機会をとらえまして、この実現をはかることはできると思うのであります。私は従来の国警の警察官が高い給与におつたとは決して思いません。警察官の職務にかんがみ、また今日までのその勤務の状態にかんがみますと、より報いられるところがあつて当然であると私は考えるのであります。また人事につきましても、今度のごとく新しい制度になりまして、府県の警察一本になつて参りますと、あるいは従来の都市町村における、いわゆる自治体の警察におけるところの長なりあるいはその職員なりが、不当な待遇を与えられるのではないかという杞憂を持つておる向きは、私は相当にあると考えるのであります。こういう問題につきまして、人事の公平な運営をはかるべきである。この給与の問題と人事の問題につきましては、今日ありますところの自公連あるいは自警連と政府が事前に協議をされるということも、あるいは一つの方法でございましよう。私はそういうような問題に関するところの副総理の御所見と、それからこれに対するところのお心構えを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/18
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019・緒方竹虎
○緒方国務大臣 組織変更に伴う人事、また給与のことにつきましては、今度の法案の施行前にも関係者との間に十分な連絡をとつております。ことに今お話のように、自公連、自警連との連絡をも密にいたしまして、この法律案が円滑に施行できるように努力をいたしたいと考えております。
それから今お述べになりました待遇改善の点、これは今国警と自警との間に隔たりがあつたような点もありますし、またそれと離れても、待遇改善ということには十分に意を用いまして、地方公共団体とも連絡を密にして、できるだけの努力をして参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/19
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020・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 この法案が成立を見る運びになりましたならば、今副総理の言われたごとく、従来の国警と自治警打つて一丸となつた府県警察におきましては、人事の公平なる運営と、給与の改善ということにつきましては十分なる御留意を払われて、その運営に万遺憾なきを期していただきたいのであります。
さらに次にお尋ねをいたしたいのは、今度の法第三十七条に関する問題であります、三十七条の第三項によりますと、国費で持つております警察に関する費用のほかは、当然府県の負担となるべき性格のものであります。しこうしてこれに対しまして国庫は、予算の範囲内において補助すると規定いたしております。警察当局の説明によりますと、府県が警察事務を遂行いたします立場に委任事務なりということであります。私もまた委任事務と解してさしつかえないと思います。しからば地方財政法の精神によりますと、当然これにつきましては国庫がこれらに対するところの費用を見るべきであります。第一にこれにつきましては、補助金の性質をもつてすべきではなくて、分担金という制度をもつてすべきではないかという点。もう一つは予算の範囲内ということがごとき制限をつけまして、国家財政がきゆうくつであるからという理由のもとに、その一定基準を、伺うところによると五〇%といわれておりますが、五割を切るような予算の範囲内ということの切り方は、当然予想ができるところであります。私はそういう性格のものであつてはならないと思う。従つて第二点にお伺いいたしたいのは、政府はこの予算の範囲内というような制限規定を削除する意思がないかどうか、この問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/20
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021・緒方竹虎
○緒方国務大臣 予算の範囲内においてという制限を削除する意思はございませんが、地方の分担金に対します国庫の補助金につきましは、今お述べになりました予算の範囲内において補助すると規定されておりますが、実際の予算措置といたしましては、地方分担金の二分の一を補助することができるように、本年度の予算にも計上済みであるわけであるばかりでなく、その実施を確保するために、政令においてその旨を規定する予定にしておりますので、二分の一は必ず確保し得るようにいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/21
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022・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 私は副総理からそういうような言明をされたことを銘記いたします。同時に私の希望といたしまして、近い将来においては、必ずこの予算の範囲内においてという制限規定は削除すべきものであり、そして、ここにおいて国家財政と地方財政というものの確立を期して、両者相ともに携えて行くところのはつきりした態勢を整えて行かなければならないということを、はつきり申し上げておきます。
最後に、時間が参りましたのでもう一点だけ伺いまして、私は質疑を打切りたいと思います。それはこの法案が通過をいたしまして、施行を見るということになりますと、予定のごとくんば、本年の七月一日を期して組織の変更が行われるはずであります。その準備につきましては今日すでに進められておると存じますし、また政府の遺憾なき対策を期待するものでありますが、同時にこの警察法の改正が国会の審議に上せられます前後から今日までの間、非常に大きないわゆる国警、自治警の対立と申しますか、この問題は全国の府県、市町村あるいはそれらにおける自治体住民あげてもつて大きな問題とし、注視をいたしております。関係しておりますところの直接の国警の職員あるいは自治体警察の職員は、この問題につきまして大きな一つの政治的な関心を持ち、ともに自分たちの将来につきましての関心を持たざるを得なかつた。従つて私のここにおいて心配をいたします事柄は、組織変更に至りますまでの間における対策について遺憾なきを期さなければ、七月一日のこの実施までの間において、治安上の空白を生ずるのではないか、この問題が杞憂であれば幸いでありますが、各種の対策と並行して、この問題を深刻に考えなければならないと私は信ずるものであります。この点についての副総理の御所見を私はお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/22
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023・緒方竹虎
○緒方国務大臣 警察といたしましては相当大きな改革でありますだけに、いろいろな関心を持たれることは当然であると思いますが、その組織変更の間に治安上の空白が生じては取返しのつかないことになりますので、その間政府といたしましては、人員の配置、給与その他の面におきまして万全の配慮と準備をいたして、今お述べになりましたようなことがいやしく生じないようにやつて参る所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/23
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024・鈴木幹雄
○鈴木(幹)委員 これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/24
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025・中井一夫
○中井委員長 鈴木君の質疑は終了いたしました。
次は西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/25
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026・西村力弥
○西村(力)委員 ただいまの副総理の最後の答弁で、このたびの警察法の改正は相当大きな改革である、こういうお言葉を用いられておりますが、われわれといたしましては、国内の権力行政がまつたくその姿を一変して来ておる、警察法の権力行政がまつたく一変して来ておる、こういうぐあいに把握しておるわけであります。それでそのポイントとなるものは、とにかく人事行政を内閣総理大臣に一本にする、こういうところにその姿を見、それからまた戦後生れた行政委員会制度により、国民の輿論によつて、こういう権力的なもの、あるいはまた政治的中立を保持しなければならない教育とかいうものが、決して政党的なものに巻き込まれたりしないようにするという、そういう行政方式をとつておりますが、それもはつきりと有名無実にしてしまつておる。そういう点から言いまして、まつたくこれは姿を改めたものである、こういうぐあいに把握しておるのであります。副総理の把握は、非常に本質をわきまえないというか、ごまかしておる御答弁であると私は思わざるを得ないのであります。そこで私は、総理大臣が警察庁長官を任命しなければ政府の治安に対する責任がとれないという理由について、御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/26
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027・緒方竹虎
○緒方国務大臣 これは治安上の問題でありますが、広い意味の人事の交流をいたします上にも、府県単位の自治警察でありますけれども、人事を一本化して行くことが必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/27
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028・西村力弥
○西村(力)委員 そういう簡単なお考えであるのは、前々からの大臣の御答弁に徴してもわかるように、そこは言い得ない政府の考えがあるのだと私たちはいわざるを得ない。首の根つこを押えれば、最後の場合においては、政府の意図のままに警察が動くような仕組みにする、この一点だけは離せない、かように政府は考えてそう押えておる、それは言い得ないから今そのようなぐあいに答弁なさるのだと私たちは思わざるを得ないわけであります。しからば国家公安委員会というものはこれは人民の意思によつて警察行政の偏向あるいは行き過ぎ、そういうものをチエツクするという形式になつておるのだが、何がゆえにそこに国務大臣を委員長として置かなければならないか、その理由についてお尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/28
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029・緒方竹虎
○緒方国務大臣 広い意味で政府の考えを委員会の中に反映して行く、その間の連絡を円滑にして行く上から必要であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/29
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030・西村力弥
○西村(力)委員 それが今までの警察とまつたく違つたものであるというぐあいにはお考えになりませんか。今までは総理が、場合によりますと、時の国警長官を罷免したいといつても、国家公安委員会の存在がじやまになつてそれができなかつた、こういうことになつておつた。今度はそういうぐあいには行かない。政府の意図を浸透させるために国務大臣を委員長にするのだというから、そういうことはできない。はつきりと国家公安委員会の意思というものが、政府の意思通りに動くということになつて来ることは明瞭である。そこは今までの警察法とまつたく百八十度転換したものである。こういうぐあいに御認識になりませんか、お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/30
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031・緒方竹虎
○緒方国務大臣 全体としてよく独裁的な傾向を政府が持つようなことを、こういう制度の変更にあたつて御質疑あるいは御批判が出るのでありますが、私は、民主主義の制度のもとにおいては、この憲法がよく守られ、国会の運営がよい限りは、そういう御心配のような極端な事態は出て参らないと考えております。でありまするが、今の警察庁長官の任免につきましては、政府としましても、国家公安委員が現在と同じように総理の承認を求めてやるという考え方も、決して絶対に反対しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/31
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032・西村力弥
○西村(力)委員 そうおつしやいますけれども、吉田政府は、昭和二十三年以降第五次内閣まで担当せられましたが、日本の国政上類を見ない大臣製造を行つておる。大臣はいつか生れていつか消える。国民の知らぬ間に大臣が浮きつ沈みつしておるという状況なんです。また近くは犬養法務大臣は、国政審議のためにという理由をもつて、検察庁法第十四条を発動して政府の危機を切り抜けた、こういう役割を仰せつかつておる。検察庁に対してでさえも、そのようなぐあいに総理の意向というものは大臣を通して浸透せられる。こういうような状態にあつて、国務大臣が国家公安委員会の委員長となつて、その委員長は絶対に身分は保障されていない。公安委員会という限りは身分が保障されなければならない。生活も大臣程度に保障されなければならぬ。それでなければ公安委員会のほんとうの使命は果し得ない。しかるに、そこに憲法的にもあるいは慣習的にも決して身分の保障をされていない人が、大臣として国家公安委員会の委員長となつて、その公安委員会がほんとうに中正な、そういう国民の声に応じた行動ができるかということになると、私たちはその点は全然信用を置けないと思うのです。それで、あなたがそう仰せられるならば、国家公安委員会の委員長である国務大臣は、委員長の職責にある間、憲法がいかにあろうとも、絶対その間の身分を保障する、かようなぐあいに仰せられるのでありますか、お尋ねをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/32
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033・緒方竹虎
○緒方国務大臣 公安委員が身分を保障されていることは御承知の通りであります。今の委員長は国務大臣として身分を保障されていない。でありまするが、同時に、政府の意向も公安委員会の中へ反映し得る長所もある。そういう意味で、公安委員長が身分を保障されていないということは、これは奇数の委員制でありますから、一向御心配のようなことにはならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/33
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034・西村力弥
○西村(力)委員 その論旨で行きますならば、府県の治安を担当する府県知事があるいは副知事が、何がゆえに府県の公安委員会に入ることができないか、府県の公安委員会に入れるという論旨の一貫した方向をとらなかつた理由をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/34
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035・緒方竹虎
○緒方国務大臣 これは、昨年そういう案を立てたのでありますが、いろいろ御批判がありましたので、その御批判を参酌いたしまして今回のような法案をつくつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/35
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036・西村力弥
○西村(力)委員 いかにそういうぐあいに仰せられましても、それは逃げ口上ではございませんか。政府で一つの方針を立ててやる限りにおいて、単にこの前そういうお話がちよつとあつたからその通りした、そういう答弁は政府の責任ある答弁とは認められない。再度御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/36
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037・緒方竹虎
○緒方国務大臣 先ほどの答弁の通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/37
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038・西村力弥
○西村(力)委員 しからばお尋ねします。それほど輿論を尊重せられるならば、長い間住民が経済的に、精神的にもう苦悩を重ねて育成した自治警を絶対に離しては困る、こう言つて反対をしている都市住民あるいはそこの公務員、そういう人々の意見、あるいは新聞、雑誌そのほかすべてのものに現われておる反対の輿論というものを何がゆえに考慮されないか、そういうものに一顧も与えずして強引にやられる――都合のよいときには、この前ちよつとそういうぐあいの意見があつたからこのたびは入れないのだ、そういうぐあいに答弁なさることは、どうしてもわれわれとしては受取れない。そういう輿論に対して総理はどういうぐあいに――全然見られないということもなかろうし、相当陳情としてあるいは新聞、雑誌の記事としてもごらんになられたと思いますので、その反対輿論に対して、どういう御感想を持つていらつしやるか、お尋ねいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/38
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039・緒方竹虎
○緒方国務大臣 現在の自治警察をあのまま存置したいという意見も陳情もあるのでありますが、警察の能率から考え、また輿論におきましても、府県単位の自治警察にするということが地方財政上から見ても圧倒的な輿論、希望であると考えまして、今回の立案をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/39
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040・西村力弥
○西村(力)委員 府県の自治警察、とかように仰せられますが、ほんとうにそうはお考えにならずに、まあ自治体的な色彩を少しは加味している、こういうぐあいにこの前小坂大臣あるいは斎藤長官からずつと答弁があり、自治体警察とは言いながら、これは自治体警察とは言い得ない部分を相当含んでいる、その比率は六対四くらいだというような答弁まであるのであります。そのようなことによつてこのわれわれの危惧を押し切ろうといわれましても、われわれとしてはどうしても納得することができないのでございます。しかもこのような方向へ行くとするならば、今現在でさえも国警においてはスパイ的な訓練をやつており、信書の秘密を侵す方法、他人の財産を侵す方法、こういうことを秘密裡にやつておる。こういうことは副総理は一体憲法に違反しないとお考えでございますか。これは、長官としては、法律には違反しない、とこう仰せられる。憲法には明らかにそういうものの人権の保障ということがあるわけなんです。たとい訓練とは言いながらも、それはできない。大磯に行つた葛原某なる者は殺人予備罪として起訴されているのであります。斎藤国警長官がそういうぐあいに訓練をするならば、これは信書の秘密を侵す予備罪、こういうぐあいにならざるを得ないと思う。そういう点について、信書の秘密を侵したりすること、あるいは本日の夕刊にもはつきりと、アカハタの配付先を警察官が調査した、こういうぐあいになつておるが、こういう一連のものに対して副総理はどういうお考えを持つておるか。警察行政はすでに民主的の名においてそこまで進んでいるということを、われわれは見のがすわけに行かない。この事実に対して副総理はどういう見解をお持ちか、この点をお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/40
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041・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今お述べになりましたのは、私は新聞で見た程度で十分承知しておりませんが、法律に触れるような、または人権を毀損するというようなことはやつていないはずでございます。これは国警長官から具体的にお話した方がいいと思いますが、今の信書の秘密というようなことも、私の承知している範囲におきましては、決して侵しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/41
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042・西村力弥
○西村(力)委員 知らないとするならばお教えいたしましよう。この委員会において斎藤長官ははつきりおつしやつた。ある密告者が信書を持つて来た。それをさとられないように中身を見る方法というものを警察官の特殊技術として教育をしておる。あるいは金庫を持つて来た。それをさとられないように中身を調査する方法、そういう技術を教育している。こういうことで決して人権を侵したことにはならない。そういうことをやるということが警察官の服務として当然だ、こういう前提に立つて教育している。そういうことが決して行き過ぎでも憲法違反でもないというようにやはり強弁されるかどうか。われわれは、せつかく得たこのような基本的人権というものが、このようにして白昼侵されていることを見のがすわけに行かない。それがゆえに副総理の見解をはつきりお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/42
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043・小坂善太郎
○小坂国務大臣 このことにつきましては、けさほども参議院においてお答えしたのでありますが……(「副総理だ、副総理だ」と呼ぶ者あり)副総理からお答えがあることで御満足がないようでありまするから、私担当大臣としてお答えいたします。
警察大学の教科の課程として行つておりまするものにつきましての御質疑でありまするが、特別の講習というコースで情報収集活動について必要な教科を実施していることは、先般も国警長官からお答えした通りでありますが、ただ講習を実施する目的は二つあるのであります。一つは、暴力革命を企図する団体の組織とその活動を内偵いたしまして、暴力事犯を未然に察知して対策を立てるとともに、これらの容疑を捜査するための必要からなのでありまして、たとえばある種の団体について見ましても、公然活動とその組織はごく一部分にすぎないのであつて、その主たる組織特に直接武装行動の組織と計画に当るいわゆる軍事組織なるものは、全面的には表面に出ておりません。高度な秘匿技術による地下活動としてきわめて巧妙な網の目を張つておりまして、その強化をもくろんでおるのであります。このことは、とうていパトロールであるとか、あるいは職務尋問などという警察活動によつては把握できないのであります。この地下活動が高度の技術ときびしい規律をもつて行われていることは、日本共産党が党内に流しておりまする各種の技術指導によつて見ましても明らかであります。こういう非合法的な活動をやつておるというものにつきまして、ただ暴力事犯が出てからあわてるということでは、事犯のあとを追うことになるのでありまして、これでは治安維持の責めを全うすることはできない、これが第一点の必要な理由であります。
第二は、これらの組織の中にいわゆる人民監視組織その他のものがありまして、警察の組織や装備の中に入つて、逆にこれを内偵するという活動をしておるのであります。また警察の内部の対立、離間をはかるというような活動が企図されまして、御承知のように最近警官の逆尾行というようなことも行われておるのであります。こういうものに対しまして十分対処できるだけの防護処置を、不断に研究して対策をとるという必要が、最近の日本共産党の活動からいたしましても重要になつて参つているわけであります。従いましてこうした教育は、あなたの御指摘のような考え方を持つものでは絶対にないのでありまして、あくまで民主的な社会を暴力革命的な勢力から守り、法の擁護、民主主義の擁護を第一の目的とするものであるということでありまするから、さような誤解をせられませんようにお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/43
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044・西村力弥
○西村(力)委員 誤解というお言葉でございまするが、しからば、われわれとしても暴力は絶対に否定するが、そういうことが起る危険性を予知した場合においては、いかなる憲法違反のことをやつてもいいかどうか。そういうことを警官がやるということを前提としての教育をするということは、いかなる法律に基いて許されるか。ただ必要性があるからこれをやるんだ、政府の必要性によつてあらゆる法を乗り越えてやつていいというようなことが存在したならば、これは実に民主主義を擁護すると言われるあなた自身が、民主主義を破壊していると言わざるを得ない。その点いかなる法に立脚してそういうことを肯定なさつていらつしやいますか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/44
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045・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私は法を乗り越えてやれというようなことは、一言も言つたことはありません。ましてや考えたことはありません。(発言する者多し)問題は、そうした技術を持つということが、一方において法を無視する者がある以上、そうしたものを持つことが民主主義を守り法を守るという建前から必要であるということを言うておるのであります。しからば問題は、それを適用するときに法の許す範囲内において適用するかいなか、こういうことが問題なのであります。従いましてこうした教育を施す際におきましても、十分な教養を得るということを必要としておるのでありまして、こうした教育を施す警察官につきましても、十分そうしたことの理解し得るような、またこれの濫用等の懸念のない者を選んで特に教育しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/45
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046・西村力弥
○西村(力)委員 この点は時間のあるときにもつと十分ゆつくり質問いたしたいと思います。暴に報ゆるに暴をもつてするということは、明らかに政府そのものが暴力肯定の立場であると思う。(「その通り」)そのようなぐあいにしてやらなければならぬ警察法改正はどこに根源を持つているか。治安がそれほど乱れたとするならば、政治家として一片の良心があるなら、昭和二十三年から第五次吉田内閣までの間の施政というものに、いささかの批判を持つべきが当然じやないかと私は思う。そういうことを怠つて、ただいたずらに権力の強化のみに狂奔するということは、決して民主的な政治家の立場ではない、政府の立場ではないといわざるを得ない。そういうぐあいに非難され反対されながらも強引にやるということは、これは今一連の重要法案というものが国会にかかつているのと同一のものであつて、安全保障条約によつて日本の国をアメリカの衛星的な立場に追い込んだそのものと一連の必要上この警察法を改正するのだ、こういうぐあいにわれわれとして了解してよろしいかどうか、副総理の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/46
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047・緒方竹虎
○緒方国務大臣 そういうふうに了承されては困るのであります。これはどこまでも国内の治安のため、警察制度の能率をよくして行くために、今度改正をしておるのでありまして、アメリカの何とかと関連して考えているものでは全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/47
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048・中井一夫
○中井委員長 西村君、まことに遺憾なことですが、時間が切迫しましたから、この一問だけで終りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/48
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049・西村力弥
○西村(力)委員 それではお尋ねいたします。緊急事態という条項がこの法律にございますが、緊急事態というものを布告なされば、これは内閣総理大臣がほんとうに全警察力の末端まで握つて、あると言えば末端の一警官がかあとこたえるような仕組みにして行くのだが、この重大な警察の権力を集中して政府の意図の通りに使用するということが行われたあとの仕末が、非常に政府としてはあいまいにやつておる。それはどういうことかというと、それをやつたときに、国会が閉会中であればその次の国会にかけて国会の承認を受ければいい。あるいは衆議院が解散中であつても、緊急集会を開く必要はないから、総選挙が終つて特別国会が開かれたときにこの承認を受けれはいい。こういうぐあいに緊急事態というものに対する事後処理の考え方が非常に政府としてはあいまいである、安易であると私は思わざるを得ない。こういう点は一体どういうぐあいにお考えになつているか。こういうことを私が懸念するのは、まず朝鮮の李承晩大統領のことを私は思い出さざるを得ない。彼は大統領改選のときに緊急事態と同様の布告を国内にやつて、反対政敵を徹底的に縛り上げて、牢屋にぶち込んで、そうして国民の総すかんを食いながらも、また大統領に納つている。こういうような事態も思わざるを得ない。ほんとうに吉田内閣が民心怨嗟の的になつてそうしてこれが、いろいろな点において緊迫した情勢において解散ということが来たときに、そこら辺でよくいわれる暴動事件が起り、テロ事件が起きたとき、緊急事態の布告を発して全国的に警察権を握つて、そうして総選挙をわが党に有利にというような極端な例もやはり考えざるを得ない。そういうことはなさらないと、良識を持たれる皆さん、民主主義を守られる皆さんだからおつしやるでしようが、しかしそれほど治安の緊迫をとなえるならば、われわれはそういう事態も認めざるを得ない。そういう点について、そういう緊急事態の布告をやつた場合の処置について、国会の意思を問う法改正の意思を持たないか。もつと早く、国会閉会中でも二十日以内に召集してやるとか、解散中は緊急集会をもつて参議院の召集を求めるというような措置をとられないか。その一点を御答弁願いたい。
もう一点は、吉田首相及び塚田自治庁長官は、知事官選の方向というものを政府の方針として打出しておる。この点について、われわれはそう受取つておる。国民もそう受取つておる。将来はそうなるのだと思つております。自治体警察といかに言つても、知事官選によつて、それは自治体という名を失つたものだ、こう見ておる。こういう二つの点について御答弁を願いたい。知事官選のことは、一切その意図を持たないなら持たない、かように御答弁をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/49
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050・緒方竹虎
○緒方国務大臣 緊急事態の布告を二十日以内に国会に付議して承認を求める、これは政府といたしましては、やはり正式に国会を召集して承認を求むべきだと考えております。今お述べになりましたのは、あるいは参議院の緊急集会のことをお考えになつておるのかもしれませんが、緊急集会というものは、こういう場合のときにはあてはまらないと思います。やはり両院のはつきりした承認を求める必要がありますので、二十日以内に召集してこの承認を求めるということが妥当であると考えます。
それから知事官選のことでありますが、これはまだ一度も閣議に上したこともございませんし、政府の意見としても何もきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/50
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051・中井一夫
○中井委員長 西村君の質疑は終了いたししました。門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/51
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052・門司亮
○門司委員 もう同僚からたくさん聞かれておりますので私はきわめて簡単にお聞きいたしますから、ひとつ大臣も率直にお答え願いたいと思います。
先ほど鈴木幹雄君からも申し上げましたように、二十二年から三十三年にこしらえました現行警察法は、どこまでも、従来の日本の警察制度があまりにも強権過ぎて、これでは民主主義の確保はできない、いわゆる国をあやまつた一つの責任は警察行政のあり方にあつたということが強く批判されておつたのであります。従つて、国をあやまたないようにするには、国内の行政の中で最も権力的なものであるこの警察行政を、いかに民主化するかということが、当時の警察法改正の大きな問題であつたことは、副総理といえども御存じだと思う。従つて、警察法の前文には、明らかに、「国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、」と書いてある。いわゆる民主的権威のためにこの警察法を制定する、こう書いてある。従つて、今度警察法をあなた方が改正されようといたしましても、やはりこの精神は変更するわけには行かないのではないかと私は思う。いわゆる民主主義の権威のために民主警察を置いて、再び日本の国があやまちを犯さないようにするというこの国家の大眼目のためには、やはり警察法は、多少の能率云々があるにいたしましても、かえるべきではないと私は考えておりますが、一体副総理はこの点についてどうお考えになつているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/52
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053・緒方竹虎
○緒方国務大臣 大体において私も同感でございます。現在の警察制度は、いわゆる日本の民主化ということに伴いまして、何がしか民主化のために能率を犠牲にしたといいますか、あるいはより多くの重点を民主化の方に置いたことがあるように考えられますけれども、それはやはり時代々々の要請に基いたもので、この幾年かの自治警察の経験は決してむだではなかつた。それで、この自治警察の長所を、今回警察法を改正するにあたりましても十分取入れたつもりでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/53
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054・門司亮
○門司委員 どうも大臣の答弁は少しおかしいのですがね。自治警察の長所を取入れたとおつしやつておりますけれども、自治警察の長所などどこにもないのであります。およそ行政というものは、たとえば、任命権者と、それからそれの費用を負担する側の意見というものが一致しておらなければ正しい行政というものは行えないと私は思う。これは民主行政の一番重要な問題だと思う。今日国民が血税によつて行つておりまする国の行政にはどういうものがあるか、憲法にも、御承知のように、すべての公務員は国民への奉仕者であると書いてある。国民はすべての公務員を罷免することができるという権利がはつきり憲法に書いてある。この精神から参りまするならば、警察行政におきましてもやはり従来の建前のように、自治警察が――もしあなた方がこれを自治警察といわれるならば、当然その自治体において任命権がありさらにこれに給与権が備わつて行くということが民主警察の正しいあり方だと私は思う。しかし今度の警察はそうではない。いわゆる府県警察の最も重要な幹郎でありまする警視正までは国家公務員である。そうして、その国家公務員が地方公務員を任命するということである。地方の住民は、その国家公務員が任命した警察職員あるいは警察官に対してただ給料だけを支払えばいいということになつて参りまするならば、これほど官僚的なものはないと私は思う。一体、これを官僚行政と言わないで何を官僚行政と言うか。それでも副総理は、これが民主的な警察の制度のあり方だと申されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/54
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055・緒方竹虎
○緒方国務大臣 全然自主性を無視したというような御口調でありましたが、この公安委員の制度というものは、従来日本の警察制度に全然ありもせぬし考えもしなかつた制度で、これは大きな民主制であると考えます。その制度は、今度の法案にもごらんのように取入れておるのです。ただ警察行政には国家性のところと自治性のところがありますので、その警察能率の上からそのあんばいを多少考え直したというところはありますけれども、しかしながら、現行警察の初めにきめられたとまの民主警察の考え方、その特徴というもの、これは公安委員制度というものの上にどこまでも尊重して行くつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/55
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056・門司亮
○門司委員 副総理は尊重して行くつもりだと言われておりますけれども、法案にはちつとも尊重していないのであります。そこを私は聞いておるのです。つもりであるのかもしれませんが、法案にはちつともそう現われていない。時間もありませんから、そういつまでも同じことを繰返しておるわけに参りませんが、その次に聞いておきたいと思いますことは、副総理はこの前ここへおいでになつたときも同じようなことを言われ、先ほどの質問にも同じようなことを言われておりますが、いわゆる輿論という言葉を使われておる。しかしこの警察法案が提案されてから今日まで、自治警察を持つております各都市で、やめてもらいたいと言つて陳情に来たところは一つもありません。自治警察を持つております市町村がことごとく自治警察存置の陳情をしておることは御承知の通りであります。現在あなたの福岡の市が陳情に来ている。これを輿論と言わないで何を輿論と言われるのか、その輿論をはつきり示してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/56
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057・緒方竹虎
○緒方国務大臣 自治警察を廃止してくれという陳情も来ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/57
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058・門司亮
○門司委員 その自治警察を廃してくれという陳情の来ておりますところは、従来自治警察を持つておつたところであるかどうかということをはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/58
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059・緒方竹虎
○緒方国務大臣 持つておつた市であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/59
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060・門司亮
○門司委員 もしそれがあるとすれば、ひとつここで御提示願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/60
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061・緒方竹虎
○緒方国務大臣 言う必要はありません。
〔「何を言うか」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/61
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062・中井一夫
○中井委員長 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/62
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063・門司亮
○門司委員 大臣が答えられないと言われますならば、答えられないでいいかもしれませんが、自治警察を持たなくてもいいと自治体は、不幸にしてわれわれのところには一つも陳情が参つておりません。従つて、私は聞いておるのであります。私どもは大臣のそうした輿論を曲げた言葉に対しては承服するわけにも参りませんし、大臣は答えられないと仰せられておりますが、そういうことはなかつたとはつきり申し上げてもさしつかえない。あるとすれば、そういうことをはつきり言つてもらいたいのでありますが、おそらく大臣としてはそういうことは言われないと思う。
もう一つ、二つ聞いておきたいと思いますことは、この法律案の審議の過程の中で、政府の説明者は警察行政は国家の統治権の作用であるという言葉を二度使つておるのであります。小坂国務大臣もいわゆる統治権というものが国にあるんだということを答弁でも言われております。しかしながら今日の統治権というものは、かつての日本の憲法にありました天皇のいわゆる日本統治の大権ではなくなつておる。憲法の条章にはどこにも統治という言葉が使つてありません。また統治権という言葉も使つておらない。しかるに警察法案の説明のときに、政府並びに大臣は国家統治権の作用という言葉を使つておりますが、副総理は国の統治権は何人が持ち、いずこにあるとお考えになるかということをひとつはつきり御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/63
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064・緒方竹虎
○緒方国務大臣 私は小坂国務大臣が答弁されましたときに立ち会つていませんので、どういう言葉であるか、今承知しておりませんが、統治権、領土国民というものが国としての三つの要素でありますから、統治権があることは別にふしぎはないのであります。ただその統治権がどこにあるかということが問題で、今どこにあるかといえば、主権在民でありますから、国民に主権があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/64
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065・門司亮
○門司委員 従つて統治権は国民にあるといたしますならば、警察はあくまでもやはり国民のものでなければならない。いわゆる民主警察が私は正しいと考えるのであつて、こういう国家警察のにおいの非常に強い警察行政というものは当らないと思う。この警察法の前文にも社会と住民の責任の自覚によつてこの警察行政を行うものであるということがはつきり書いてある。今の副総理の言葉から言いますならば、もし統治権が国民にあるというのならば、明らかに地方の自治体がその警察制度を維持するということが正しい観念だと思う。それを今度とりやめようというのでありますから、私はこの質問をしておるのでありまして、その点を念頭に置いて御答弁が願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/65
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066・緒方竹虎
○緒方国務大臣 主権在民ということはこれは今の日本の憲法で動かない鉄則であります。でありますが、八千万の国民がそのまま政治の衝に当るということはできません。そこで民主主義の政治組織ができるのでありまして、今日本では国会の制度をもつて、国会から指名を受けた者が政府を組織してやつておる。これはかりにその人間が内閣においてきめましても、それはやはり国民の意思を体してやつておることであります。主権がどこまでも国民にあるということは動いていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/66
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067・門司亮
○門司委員 私は今の答弁は何が何だかわかりません。もう一ぺんはつきり言つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/67
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068・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今の政府のやつておること、国会の制度、これはすべて国民がやつておることであります。でありますが、主権在民と言つても八千万の国民が直接政治の衝に当ることはできませんから、そこに国としての制度が生れて参りまして、現在の制度においては国会から内閣が選ばれて、その内閣に行政をまかせられておる、その内閣が行政権によつて今回の警察法案を提案して国会の承認を求めつつあるのが今の状態なんでありますから、決して国民を無視してやつておるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/68
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069・門司亮
○門司委員 そういうことはよくわかつておるのであります。国会と行政組織がどうということはよくわかつておる。しかし行政組織がいかようでありましようとも、今度の警察制度というものが――先ほどから論じられておりますので、私は論ずることを避けたいと思つておりましたが、少くとも政党警察であるということには間違いがないのであります。いわゆる政党から出た大臣が政党政治のもとに任免した――と申し上げると少し行き過ぎかもしれませんが、総理大臣の任命した大臣がこの公安委員会の委員長になるということになつて参りますならば、明らかにこれは政党警察と言わざるを得ないのであります。政党政治であるから政党警察だということが言われるということになつて参りますと、国には政党がたくさんあるのであります。従つて、警察行政の制度は少くとも一党一派に偏するものでないということはしばしば言われておる。そこで一党一派に偏するものでないから、その警察の中立性を保とうとするならば、先ほど西村君も申しましたように、現行制度が最もよい制度でなければならない。その実例は先ほど西村君が言われましたように、そこにおる斎藤国警長官の首を切ろうとしたときにどうしても切れなかつたという事実がある。これほどに明らかに立証されたものはない、その立証が歴然としておるのにこの制度をかえなければならないとはどういうことなんですか。今までの警察は中立性を欠いておつたということが、もしその点お答えができるならばしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/69
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070・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今までの警察が中立性を欠いておつたとは考えません。この警察の中立性というものは、今の制度におきましても、今回政府が提案しております法案におきましても、どこまでも尊重しておるのでありまして、ただ先ほども申しましたように、警察事務の国家性、自治性の両面がある、そのあんばいを多少改めたということであります。その中立性はどこにあるかということは公安委員のことを意味しておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/70
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071・門司亮
○門司委員 もうこれ以上質問をする勇気がなくなるような気がしますが、もう少しはつきりしたこと言えませんか。
それから私はその次に聞いておきたいと思いますことは、先ほど西村君からちよつと言われましたが、知事官選の問題であります。副総理に聞いておきたいと思いますことは、地方の行政というものは、警察の行政にいたしましても、単に司法警察ばかりではございません、行政警察の面がたくさんある。その行政警察の面につきまする多くの仕事というものは、都道府県知事並びに市町村長がこれを担当いたしておるのであります。従つて警察行政がごく円満に行こうとするためには、どうしてもやはりこの知事の行います行政と警察行政とが相マツチして行かなければ、民主行政としての地方行政は完全に行えないであろう。ところがたまたま今度は府県の警察隊長が国家公務員である、これの任免権を知事は持つておらない、また公安委員会も単に承諾を得るというだけでありまして、正しい任免権は今までのように持つておらない。こうなつて参りますと、この地方の行政の上に非常に大きなさしつかえができはしないか。もし地方行政を遂行いたします面において、警察行政の面をたくさん持つておりますことのために、知事の物の考え方、いわゆる地方の長の物の考え方と警察庁の長官の物の考え方が違つておつた場合には、その地方の行政というものは必ず円滑に行かないと思うが、その点はどうお考えになるか、副総理にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/71
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072・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今お述べになりましたことも十分検討の上に今回の法案をつくつたのでありまして、知事と府県警察本部長との間の調和がとれないではないかという御心配でありまするが、これは公安委員というものは知事が任命しておりまするし、公安委員が懲戒罷免の勧告をする権限を持つておりまするし、この間には十分な調整がとれて参ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/72
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073・門司亮
○門司委員 私は今の副総理の答弁では、なかなか地方行政はやれぬと思うんです。ことに今日の地方行政は、従来の地方の府県制あるいは市町村制というものでなくて、地方自治法という法律のもとに、憲法の九十二条以下に書いてありまするあの大きな権限を持つておる。従つて昔のようにただ知事は国の出先機関であるからというような考え方では、私は今日の地方行政というものはどうしてもやつて行けない。同時に市町村はできるだけ大幅にこの行政事務の再配分を行うべきであるということは、地方制度調査会もこれを答申しておる。これらの問題を遂行して行こうとするならば、私は今の副総理のお考えのようなことでは、これはなかなかやつて行けないと考えておる。さらにその問題についてすでにいろいろ申し上げましたように、時間を持ち合せておりませんので、最後に治安の問題がいかにあるべきかということについて、副総理にお答えを願いたいと思いますることは、副総理は、この警察法に書いてありまする国の秩序と治安を維持することのために、警察行政がすべてであるというようにお考えになつておるかどうか、その点を一応お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/73
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074・緒方竹虎
○緒方国務大臣 もちろん警察が全部ではないのでありまして、政府の施策、自治行政の運営というものが治安には大いにあずかつておると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/74
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075・門司亮
○門司委員 副総理の今の御答弁を得ましたので、さらにお聞きしておきたいと思いますが、それならこの警察法を出されまする場合に、説明の中あるいは要旨には、今日の地方の自治警察、いわゆる現行警察制度では非能率である、あるいは費用がよけいかかるというようなことが、大体主とした問題になつておるようでありますが、民主主義の制度を破つてまでも警察行政を権力を強くして、いわゆる能率化しなければならないほど、一体今日の日本の治安は乱れておると副総理はお考えになつておるか、またわれわれはそう考えて、この警察法を改正するということに解釈していいかどうか。この点をひとつお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/75
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076・緒方竹虎
○緒方国務大臣 政府としましては、民主主義の精神を破つておるとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/76
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077・門司亮
○門司委員 私はそういうことを聞いておるのじやありません。この現行警察法では治安の確保はできない。ここにもいわゆる公共の安全と秩序を維持するために、こう書いてある。従つて今日の警察制度では公共の安全と秩序を維持することができないという観点に立つて、これが改正されておるものであると考えなければならないと思うが、それほど日本の今日の治安は乱れておるものであると解釈していいかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/77
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078・緒方竹虎
○緒方国務大臣 乱れておるとは思いませんが、能率の点において不十分なところがあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/78
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079・門司亮
○門司委員 能率の点において不十分な点があるということは、治安が全きでないということでしよう。同時に私はそこまで副総理がお言いになりまするならば、かつてこの委員会でも問題になつたのでありますが、いわゆる総理の官邸にダイナマイトが舞い込んだり、あるいは総理の官邸に、先ほど西村君が言いましたから私は避けておこうと思いましたが、副総理がそういう答弁をされまするから聞いておきますが、ああいう事件が起るということは、単にあれは気違いであるとか、あるいは単なる気まぐれであるというようにわれわれは解釈するわけには参りませんが、ああいう事件が起るということ自体は、やはりこの警察法を改正しなければならないような一つの大きな原因ではないかと考えるが、その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/79
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080・緒方竹虎
○緒方国務大臣 そういうことで改正を思い立つたのではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/80
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081・門司亮
○門司委員 そういうことで改正を思い立つたのではないと御答弁でございますが、どう考えても、この一条に書いてありまする字句をそのまま読んで参りますると、現行警察法にはもう少し丁寧に書いてある。ところが現行警察法をやめて新しい警察法に移ろうとなさるのには、どう考えてもわれわれといたしましては、現行警察法では、ここに書いてある公共の安全あるいは社会の秩序の維持ということができないのである、従つてこの警察法を改正するものである、ということにわれわれは解釈せざるを得ない。そこで一番大きな問題は、警察法を改正しなければならないほど一体治安が乱れておるかどうかということであります。言いかえるならば、現行警察法が役に立たないということは、現行の警察法では治安の維持ができないということに私は解釈できると思う。従つて治安の維持のできないほど一体治安が乱れておるかどうかということを、どう御認識なさつておるか、その点をもう一言お聞きしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/81
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082・緒方竹虎
○緒方国務大臣 それは先ほど来たびたびお答えしておるつもりでありますが、治安がさように乱れておるとは思いません。思いませんが、警察制度の能率をさらによくしよう、改善しようというところに趣旨があるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/82
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083・中井一夫
○中井委員長 門司君の時間も迫りました。その一問にておやめをいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/83
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084・門司亮
○門司委員 これで一応質問は終りますが、今まで私が質問をいたしましたことについては、副総理といたしましては、ほとんど満足に私は御答弁をいただいていないのであります。私は時間等がございまするならば、最後までも実は聞きたいのである。ことに一番大きな問題は、地方の公共団体が警察法改正以来、多くの犠牲を払つて、そうしていかにして民主警察にするかということに努めて来ておる。非常に大きな犠牲を払つております。同時に警察もまた、いかにして民主警察になり、親しまれるかということについて非常に大きな努力を払つて来ておる。この国民の犠牲と警察職員の努力というものが認められないで、今までやつていた警察は悪いのである、新しい警察制度にしなければならないという印象を私はどうしても受取る。先ほどから副総理は輿論だと言われておりまするが、私どもの聞いておりまする輿論の範囲においては、断じてそういうことはないのである。従つて私が最後に聞いておきたいと思いますことは、この警察法を改正されて、そうして新しい警察法のもとに、われわれから申し上げまするならば、明らかにこれは国家権力を増大して、しかも政党警察の弊をのがれることはできないと思います。今は副総理あるいは吉田さんにも、必ずしも私はそういう保障をつけることはどうかと思いまするが、百歩を譲つて、あなたあるいは小坂さんが大臣でおいでになる間は、あるいは間違つたことがないかもしれない。しかしながらこういう政党警察であるということは何人も否定することのできないような警察制度ができて参りまするときに、何人が将来においても厳正公平な警察であるということを一体言い得るかどうか。あなたは将来に向つて、この警察法はあくまで厳正公平、中正に警察職務の執行ができるものであるという保障が一体つけられるかどうかということを私は最後に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/84
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085・緒方竹虎
○緒方国務大臣 今御心配の点は、十分に検討して、この法案をつくつたのであります。自信を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/85
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086・中井一夫
○中井委員長 これにて警察両案に対する質疑は終了いたしました。
ただいま委員長の手元に、同案に対し、それぞれ松永東君ほか十五名提案にかかる自由党、改進党及び日本自由党三党共同による修正案が提出されております。これよりその趣旨弁明を求めます。西村直己君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/86
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087・西村直己
○西村(直)委員 保守三党共同提案によります警察法案に対する修正案、及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案に対する修正案の提案理由と、その内容の概要を御説明申し上げます。
まず警察法案に対する修正案の提案理由でありますが、今回政府から提出いたしました警察法案に対しましては、この際修正を加えることを適当と認めますので、その修正案の内容並びに修正の理由について申し述べます。
まず修正の第一点でありますが、任免権の点であります。すなわち警察庁長官の任免は、これを国家公安委員会が内閣総理大臣の承認を得て行うこととし、また警視総監の任免は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得て、内閣総理大臣の承認を得て行うこととし、警察本部長及びその他の都道府県の警視正以上の警察官の任免は、国家公安委員会が都道府県公安委員会の同意を得て行うことに改めたのであります。すなわちこれらの点は、いずれも内閣総理大臣または警察庁長官が任免権を持つて、国家公安委員会の意見を聞くこととしてありました政府案を、国家公安委員会に任免権を持たせまして、その場合に内閣総理大臣の承認を得ること、または都道府県公安委員会の同意を得て行わしめることに改正しようとするのでありまして、民主的な保障の基盤の上に、治安任務遂行の能率化と責任の明確化をはかる趣旨にかんがみまして、任免権をいずれに属せしめるかは、政府におきましても慎重に考慮されたことと思うのでありますが、今回の制度の上では、あえて任免権を内閣総理大臣または警察庁長官に属せしめなくてもその趣旨は達成できるのでありましようし、また人事権の掌握によつて、いたずらに無用の誤解を招くおそれがあるのは適当ではないと考えたからであります。
次に修正の第二点でありますが、大都市の警察問題であります。この点につきましては、大都市、すなわち五大市を有する府県につきまして特例を加えまして、五大府県の公安委員の数を五人とし、そのうち二人は五大市の市長が、市議会の同意を得て推薦する者について知事が任命することといたしました。また五大市の区域内におきます府県警察本部の事務を分掌させるため、市警察部を置きまして、市警察部長は市警察部の事務を統轄し、府県警察本部長の命を受け所属職員を指揮監督することにいたした点であります。大都市警察の問題につきましては、政府案におきましては府県警察に一元化いたしておるのでありまして、これについては従来の経験にかんがみまして、警察運営の有機的活動の障害を除去し、警察活動の一体性を保とうという考えから出たものである点は了解できるのでありますが、五大市の区域内の警察事務には相当な特殊性もあることでありまして、従つてこれらの市住民の意思を府県警察に反映させるためには、五大府県の公安委員の数を二人増加いたしまして、市より推薦した者を入れ、またこれらの市部内の事務処理のため、市警察本部を置くことによつて、市の実情に適応した警察運営をはかるのが適当であろうと考えられるから、このように修正しようと考えておるのであります。しかしながら五大市の警察を、今ただちに本法施行と同時に府県に一元化するには、準備その他の都合もありますので、この時期を一箇年延期し、その間は府県警察と同様の性格の市の警察として措置することといたしておるのであります。従つてこの一年間は五大府県の公安委員を五名とする例外規定も停止するものであります。
第三点は、都の公安委員会は五人の委員をもつて組織するものと修正したのでありますが、これは東京都がわが国の首都で、人口は全国の約一割を占めまして、警察事務もきわめて多く、国家的利害関係も複雑でありますので、公安委員を五人とすることが、警察事務の処理の上にもまた民主的保障の上にも適当と考えたからであります。
第四点でありますが、公安委員の資格要件を緩和いたしまして、これを任命前五年間に、警察または検察の前歴を有しない者と改めたのであります。政府原案におきましても、従前の制限を大幅に緩和いたしておりますが、なお警察または検察の前歴のある者を欠格要件としておりますことは、その趣旨とするところは一応了解ができるのでありますが、少しでも専門の経験を有する者を、一切かつ無期限に制限いたしますことは、あまりにも厳格に過ぎると考えられますので、これを五年前の前歴者までに緩和いたしたものであります。
以上が修正案の要点でありますが、それらに伴いまして条文の整理を行つたのであります。
次に、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案に対して修正を行いましたのは、引用条文が当然かわつて来るための整理であります。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/87
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088・中井一夫
○中井委員長 修正案に関しまして、修正提案者に対し質疑を許可いたします。この質疑の時間についてお諮りをいたしますが、各人十五分程度ということにつき御承知をいただきたいと存じます。
〔「二十分にしなさい」「今になつてけちけちするな」と呼びその他発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/88
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089・中井一夫
○中井委員長 十五分程度で……(「あかぬ」と呼ぶ者あり、笑声)十五分程度で御異議ありませんか。
〔「異議なし」「異議あり」「けちなこと言うな」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/89
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090・中井一夫
○中井委員長 異議があるならば、やむを得ませんから採決いたします。各人十五分程度で……。(門司委員「委員長、議事進行について」と呼ぶ)門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/90
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091・門司亮
○門司委員 今委員長は、これを採決というお話でありましたが、今出ておりますこの修正案は、実は各委員は今見せられたばかりであります。従つて先ほどの副総理に対する質問は、大体概括的な質問であつて、それは二十分程度でよかつたかもしれませんが、今度の場合は、私は十五分に限られたのじややれないと思う。少くともさつき副総理との間にとりかわされたくらいの時間を与えていただきませんと――何も無理に、われわれは二十分与えられたから二十分やらなければならぬという義務づけられたものじやございませんので、一応こういう質疑の時間等は採決に問うというような、四角定規のことをしないで、常識のあるところで、大体二十分程度にしていただきたい。そういたしませんと、私は十分情理を尽せぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/91
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092・中井一夫
○中井委員長 それでは各位にあらためてお諮りいたします。ただいま質疑の通告のある方は北山君、中井君、西村君、古井君、門司君、熊谷君の六委員であります。ただいまの門司君の御発言の趣旨をくみ、各人二十分、その以外の方は質疑なしとして進んでよろしゆうございますか。
〔「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/92
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093・中井一夫
○中井委員長 そういう御趣旨であるならば、これは何人でも質疑をされるということなると、なかなか多くの時間をとります。そこでこれは各党割当で何時間というようなことにするより道はないと思うのであります。
ただいま申し上げました以外に、大矢省三君から申出がありましたから、これは追加いたします。従つて二十分ずつで質疑をすることに御承知をいただきたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/93
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094・中井一夫
○中井委員長 門司君よろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/94
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095・門司亮
○門司委員 けつこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/95
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096・中井一夫
○中井委員長 皆さん御異議はなしと承知いたしました。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/96
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097・中井一夫
○中井委員長 さように決定をいたします。古井喜實君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/97
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098・古井喜實
○古井委員 私はこの修正案に関連しまして政府の御所見を伺つておきたいと思います。今回の警察法の審議はまことに長い時間を要しましたが、しかしこの警察法をめぐつてまことに論議が沸騰いたし、かつまたこの法律をめぐつて府県と都市、国警と自治警の間に非常な対立を生じたと思います。今日まで長い時間をとりましてここに三党の修正案が提出されることになりまして。ようやくにしてここに警察法案の成立の曙光が現われて来たと思います。私はこの機会に政府にお伺いをいたしたい問題があるのであります。この法案をめぐつてのただいま申す府県と都市との対立、国警と自治警との対立、それがこの法案成立の後において禍根を残すことがないかどうかということを……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/98
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099・中井一夫
○中井委員長 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/99
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100・古井喜實
○古井委員 憂えておるのであります。特に重要な問題は、この法案がかかる修正のもとに成立をするといたしまして、その後における警察職員の人事の問題において、もし公正な人事が行われないということでありますならば、後日警察部内に大きな派閥を生ずるおそれがあると思うのであります。今日の国警の幹部諸君、または自治警の幹部諸君は、元を申しますと、旧内務省の部内の諸君が大部分であります。つまり同じかまの飯を食つた諸君であります。しかるに今回の法案提出の経過にまことに不十分な点がありましたために、国警と自治警との問に感情のひどい対立を生じておると思います。そこでこの法案成立の際には、片寄らない人事ということを特に御考慮になる必要があると思つております。法律施行の際に、現在の内閣が依然としておいでになるかどうかは知りません。しかし大事なことは人事が公正でなければ、禍根をあとに残すということが、私には非常に気になるのであります。この辺について、担当の大臣は人事の問題についてどういう心構えを持つておいでになるか、この点について特にお伺いをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/100
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101・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私もまことにごもつともな点であろうと考えます。人事の公正という点につきましては、原案において政府が意図いたしましたる警察制度が通過せられましたる後におきましても、まことに緊要なる点と考えておつたのでございまするが、皆様の御意見によりまして修正がなされるのでございまするが、この後においても私どもといたしましては、人事はあくまでも厳正公正に、しかも最も適材を適所に配置するように心を配りたい、かように考えております。本制度の改正につきまして、まことにお話のごとく自治警あるいは国警、あるいは府県あるいは都市等におきまして、種々意見の相違するものがあつたことは事実であります。しかしこれは民主主義の建前であります以上、あくまで各自の抱懐する意見を公表するということは当然のことでありますが、一たびきまりました以上は、既往はすべて水に流して、適正にこの警察という非常に重要なる国務にそれぞれ従事さるべき心構えを常に持たれる覚悟をきめておられるのではないかと存じますが、私どもといたしましても、人事の厳正公正ということにつきましては、十分配意いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/101
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102・古井喜實
○古井委員 大臣のお考えは大体了承いたしました。つきましては、ただいまお話のごとく国警、自治警の感情的対立が起つておるということをよくお考えの上で、公正な片寄らない人事を、本法成立の上はぜひお考え願いたい。どういう人事をなさるかということは、この制度自体の今後の生命にも関して来ると思います。私はその一点だけ希望を述べ、かたがたお伺いをして質問を終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/102
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103・小坂善太郎
○小坂国務大臣 私もすべての制度の運営の可否というものは人を中心とする。人によつてすべての成否がきまると申しましても、過言ではないくらい人事というものは重要と考えております、御意見のごとく私どもも考えて、適正なる処置をあやまたざるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/103
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104・古井喜實
○古井委員 私の質疑は以上で終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/104
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105・中井一夫
○中井委員長 古井君の御質疑は終了いたしました。次は大矢省三君。――ただいまの順序は誤りました。北山愛郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/105
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106・北山愛郎
○北山委員 私も先ほどの門司委員の御発言の通り、先ほど初めてこの修正案を拝見いたしまして、実はこの内容を詳しく検討する十分な時間がないのでありますが、二、三疑問の点につきまして提案者に質問をいたします。
まず第一、この内容の中で私ども一番疑問に思いますのは、大都市の警察について、特別特例を設けたわけでありますが、これをさらに一箇年間は現在のやり方でやらせる。来年の七月の一日からこの修正案の本文のようにやる、こういう点でありますが、なぜ一箇年だけ大都市についての経過的な特例を設けられたか、まずその趣旨をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/106
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107・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。大都市と申しますのは、御存じの通り率直に申しますれば五大市、すなわち地方自治法に基きまして政令で定める都市に対しましては、都市がきわめて人口大であり、また犯罪の状況等からかんがみまして、いわゆる経過措置を除きました修正案に移るにつきましては、準備もいるのでありまして、その準備期間等を考えて一年という経過措置を入れたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/107
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108・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、この一箇年間は今お話のように大都市の警察については、その組織その他現在のやり方で一箇年間は進む、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/108
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109・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。大体この法文におきまして県警察と同じように扱います。従つてそれらの根拠になります内部の組織であるとかいうようなものは附則の第三十項に「附則第二十八項の規定により指定市に置かれる市警察については、当該指定市をもつて一の県とみなし、指定府県以外の県の県警察に関する規定を適用する。」従つて県警察の規定が大体適用になつて参る、こうお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/109
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110・北山愛郎
○北山委員 ただいまお話になりました規定の意味から言いますと、政府の原案の中の都道府県警察に関する規定が全面的に適用になる、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/110
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111・西村直己
○西村(直)委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/111
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112・北山愛郎
○北山委員 ただ私が非常に疑問に思いますのは、ただいまお話のように、その指定市については、これは県のようにみなして、そうして県の警察の規定を適用する、こうあるのでございますが、警察職員については明文がないわけであります。従つてこの一年間、大都市警察に勤務する職員については、この政府原案の警察職員に関する規定の適用がないと修正案の条文上は解されるのでありますが、それでよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/112
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113・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。もちろん一年間は市の特定の警視正以上中央任命以外の者は市の職員でございます。従つて市条例等を根拠にして参るわけでございます。その市条例等はただいまの関係から、五十四条の規定あるいは警察庁の規定等を準用する、一応その基準を参考にして行くようになると思いますが、市職員として一応行く。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/113
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114・北山愛郎
○北山委員 ただいまお言葉がはつきりしなかつたのでありますが、ただいまの政府原案の五十三条なりあるいは五十四条、そういうものは適用になる。しかしそれ以外の警視以下の職員については、市の職員として従来通りである、このような意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/114
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115・西村直己
○西村(直)委員 はつきり従来通りとも言い切れない点があるかもしれませんが、市の職員でありますから、一応市条例は新しくつくることになると思います。県の部分につきましては県条例、市の部分につきましては市の条例ができる、その基準等は一応五十四条等を基準にしてつくつて行く、こういうふうにお考え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/115
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116・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、この一年間はその市の職員である警察職員については市の条例で規定するところにまかしておく、こういうふうな趣旨でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/116
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117・西村直己
○西村(直)委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/117
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118・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、この政府原案のいわゆる県の警察の規定が市の警察に適用になる、そういう意味は、県警察の内部組織とか、あるいは警察庁との関係とか、そういう点については、これは県警察と同格に扱うのだという意味にしか解されない。そこでこの政府原案の第五章の警察職員に関する規定というものは、この修正案では適用にはなつておらぬわけであります。従つて第五章に規定しております警察官の階級であるとか、あるいは警察官の職務であるとかあるいは職権行使であるとか、そういうふうな規定は今の市警察には適用がない、こういうふうに考えてよろしゆうございますか発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/118
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119・西村直己
○西村(直)委員 この附則にあります通り、県警察に関する規定は、すべて適用になる、こういうふうにお考え願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/119
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120・北山愛郎
○北山委員 しかしそれならば、県警察に関する規定というのは、政府原案の体裁から見れば、県の公安委員会に関する規定も実は含むわけです。ところがその公安委員会については、第三十一項でございますか、一年間は指定府県の公安委員会については指定府県以外の県の公安委員会に関する規定を適用するというふうに、わざわざ公安委員会については明記をしてある。従つて私はこの修正案の文章の文面上の解釈からすれば、府県警察に関する規定の適用というのは、いわゆる警察庁との関係であるとか、あるいは内部組織であるとか、そういうふうなものについてだけ適用があると解せざるを得ない。職員に関する規定については、これは第五章として別個の章になつておりますから、これは別にはつきり修正案の中に職員に関する規定も適用があると明示しない限りは適用がない。私はそう解釈せざるを得ないのでありますが、この点について提案者並びに法制局の御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/120
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121・西村直己
○西村(直)委員 提案者といたしましては、各党のこの提案いたしました共同の意思といたしましては、附則二十八項に経過規定を設けました通り、この法案の県警察に関する規定はすべて適用になるというふうに考えております。但し特に公安委員会を五人にいたしました部分だけは、これは適用になりませんものですから、三十一項というものを新たに起しました。なお詳細につきましては法制局から答弁をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/121
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122・三浦義男
○三浦法制局参事 私から補足して御説明申し上げます。ただいま提案者から御説明がありました通りでございます。それで特にこの公安委員会につきましては、御承知の通り五大市に関する警察につきましては、公安委員会の人数が普通の県よりもよけいになつておりまして、やはり五人ということにいたしておりますので、その分につきましては、そのまま適用されると困りますから、特に附則の三十一項に例外規定を置きまして、県の公安委員会並に扱う、こういうことにいたしました。
それから先ほどちよつと提案者から御説明がありましたように、附則の三十項では当該指定市を一つの県とみなすということになつておりますから、大体中で県と書いてある県警察に関する事項はそのまま規定の適用がある、かようにお考えになればいいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/122
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123・北山愛郎
○北山委員 私どもはどうもただいまの点は、やはり原案についての各章別の扱い方から見ましても、都道府県警察というのが第四章にある。そしてその中に公安委員会なり、あるいは都道府県警察の組織、相互の関係等を規定しておる。そして警察職員という一般の職員に関する規定は第五章に別に掲げてあるわけなのであります。従つてその事項については修正案においてはつきりとうたわれなければ、これは法文の修正案としては不完全なものであると私どもは解釈をするのでありますが、これは市の警察というものは全部県の警察と同じだ、ただ公安委員会についてだけ違うのだという御解釈でありますが、これはおそらく内容的に一一検討して行けばいろいろ疑問の点が起ると思います。
それでは時間もありませんからこの問題はその程度にいたしまして、新しい市の警察部長というのは方面本部長と大体同格のように扱つておりますが、警視正以上でない場合があるわけでありますか。全部警視正以上でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/123
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124・西村直己
○西村(直)委員 実際上全部警視正以上だと解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/124
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125・北山愛郎
○北山委員 そういたしますと、第五十四条でありますか、原案の五十四条に対する修正、本部長の任免で、「本部長以外の警視正以上」そこのところへ市の警察部長というのが第三項あるいは四項には入つておらない。これはわざわざ入れなかつたのか。その前の方には入つておりますので、わざわざ入れないということは、警正以上でない市の警察部長があるということも考えなければならないのではないか、こういうふうに解釈されるのですが、わざわざそこに入れなかつたという理由をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/125
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126・西村直己
○西村(直)委員 警視正以下であるということは考えられないからそういうふうにいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/126
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127・北山愛郎
○北山委員 それではなぜ第五十四条の第三項のところに、「警視総監、警察本部長及び方面本部長」そのところへ修正案でもつて市の警察部長を入れなかつたか。入れる方がほんとうではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/127
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128・西村直己
○西村(直)委員 立法技術の問題でありますから、法制局からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/128
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129・三浦義男
○三浦法制局参事 先ほど提案者からお答えがありました通りでありまして、実際面から市警察部長は警視正以上だ、こういうことでございますが、法律上の問題といたしましては、市警察部長は警視正でない場合も一応予定することができますので、法律の上では特に限定をいたしませんが、このような規定を置いたわけでございます。ただ実際問題としては警視正以上だからこの規定が働かない、これだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/129
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130・北山愛郎
○北山委員 だから私は聞いたんです。方面本部長は必ず警視正以上だということはこの文章の中にありますからわかるのですが、市の警察部長だけは特に承認をしなかつた。これは理論上警視正以下の場合もあり得るということを予定しているわけです。ところが市の警察部長が警視正以上でないということを規定の上でお考えになつていることは、先ほどの御説明とは矛盾するのでございますが、その点をもう少しはつきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/130
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131・西村直己
○西村(直)委員 ただいま特例になつております市は、御存じの通り人口はきわめて大きいところであります。そこに、北山さん御想像通り警視正以下を持つて行つたら――おそらく問題はそういう非常識的なことは行えないと思います。御理解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/131
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132・中井一夫
○中井委員長 北山君に申し上げますが、残り時間五分になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/132
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133・北山愛郎
○北山委員 これはちよつと見ただけでもいろいろな疑問な点がある。時間がないようでございますから次にお伺いしたいのは、今度は長官の任免、警視総監の任免、あるいは都道府県警察本部長の任免等についてそれぞれ相当の修正があります。その点字句の解釈でございますが、それを伺つておきたい。長官の任免は国家公安委員会が総理大臣の承認を得て行う、その次にも警視総監の任免でもありますが、その「承認を得て」というのは、承認を得なかつた場合にはこれは無効であるかどうか。そういう場合国家公安委員会が承認を得て行おうとして総理大臣が同意を与えない、承認を与えない、そのときに任免を強行した場合には、それは無効でございますかどうであるか。これは必ずしも無効であるとは限らないのではないかと思うのでありますが、どういう御解釈であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/133
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134・西村直己
○西村(直)委員 これは人事を考えまして、こうした人事につきましておそらく国家公安委員会としても、総理大臣としても良識をもつてやることだと私は考えております。従つて承認が得られないような人事はまずあり得ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/134
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135・北山愛郎
○北山委員 法文というのは常にそれを守る人が良識のある人ばかりとは限つていないことを予定しなければならぬ。そういうことは考えないで、良識とかなんとかいうことは考えないで、法文の上で、これを解釈すべきものだ。そんなものは入れるべきものではない。そういう形容詞はひとつ抜きにしてお答えを願いたいのですが、次の警視総監の任免について「国家公安委員会が都の公安委員会と協議し」とあるが、これは合議をするという意味だと思うのですが、協議をして意見がととのわない――一応協議したからといつて意見が合わなくても、国家公安委員会の方で任免してもさしつかえないかどうか。協議という手続を経ればそれでいいのであるか。その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/135
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136・西村直己
○西村(直)委員 提案理由ではつきり申し上げましたように、「都公安委員会の同意を得て」となつております。もしあなたの御配付を受けた書類が「協議」となつておりますれば、これはミス・プリントではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/136
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137・北山愛郎
○北山委員 どうもいろいろ古い書類や新しいのが次から次へと出て来ますので……。それではその「同意」というのは、やはり先ほどの……。
〔私語する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/137
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138・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。委員の質疑が聞えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/138
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139・北山愛郎
○北山委員 同意を得るというのは必要の条件であるか。これを同意を得ないでやつた場合には無効になるかどうか、これをお聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/139
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140・三浦義男
○三浦法制局参事 「同意を得た上」あるいは「同意を得て」と書いてございますのは、任免の場合の条件でございますので、それによらない場合は違法だということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/140
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141・北山愛郎
○北山委員 それからこまかい点でございますが、市の警察部が府県の警察本部の事務を分掌するということがあるわけですが、どの程度の範囲の仕事を市の警察部に分掌をさせるお考えであるか。その分掌をした仕事の範囲では市の警察部というのは独立性があるのであるか。分掌をどの程度に考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/141
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142・西村直己
○西村(直)委員 市の警察区域の警察事務は全部であります。従つて全部という意味においては独立性がある。しかし同時に経過規定以後の特別市につきましては、府県警察本部長の指揮監督を受ける。その意味では一つの指揮命令系統がある、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/142
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143・北山愛郎
○北山委員 こまかい点をいろいろお伺いしましたが、結局この修正案のように、大都市の警察というものが一年間は大体ある程度の独立性を持つておる。しかしその後一年後になりますと、やはり府県警察の中に入つてしまう。そこでやはり自治体警察というものの自主性というものが一年後にはほとんど失われてしまうのではないかと思うのでありますが、その点、並びにただいまの任免権について、長官の任免なり、あるいは警視総監の任免、あるいは本部長の任免について、どの程度の民主的な保障が確保されるという自信を持つておられるか、この点をお伺いしたいのです。それはなぜお聞きするかと申しますと、国家公安委員会というものが現在の国家公安委員会ならば、これはまだ内閣との関係は一応独立をしておる、ところが今度は国家公安委員長は国務大臣でありますからして、内閣総理大臣のさしずのままに動くものであります。そういうふうな国家公安委員長が主宰をしておる委員会が任命をするといつても、しかもそれが総理大臣の承認まで得るということになれば、現在の政府の原案と実質上大した相違がないのではないか、そういうふうに考えるのでありますが、どの程度の民主的な保障が原案に比して確保されておるとお考えであるか、それをあわせてお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/143
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144・西村直己
○西村(直)委員 一年間は確かに中央にはつながりますが、一つの市域を単位とした府県並の警察ができるわけであります。そうして一年後におきましては、市には警察部長を置き、それと同時に、市議会の同意を得て、市長の推薦でありますか、公安委員ができるわけであります。従つて一年経過後におきましては、市域の代弁者として公安委員というものが市の特殊事情につきましては十分発言もなし得るし、同時に市域の特殊事情のために、特に今度の改正案におきましては、市の警察部長を置く、こういう形をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/144
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145・北山愛郎
○北山委員 最後にもう一点だけ伺います。大都市警察の職員でありますが、これがやはりほかの県の警察と同じように扱われるとすれば、給与上はどういうことになるのであるか、やはり従来の給与をそのままもらうのであるか、あるいはほかの都道府県の警察と同じように、一部は調整し、ある人は調整を受けないというようなかつこうになつて、給与の切下げが行われるものであるか、それを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/145
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146・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。一応考え方といたしましては県並に参るわけでありますが、しかし市条例でつくる、従つておそらく実際問題としては準備期間のうちにおいては現状と大して変化しないのではないか。市によつてはいろいろな財政的な見地、また一年後の経過を考えて、そこらの調節をはかるところもあろうと思いますが、そこらは自治体の自発的な意志を中心に動いてもらう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/146
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147・中井一夫
○中井委員長 北山君の御質疑は終了いたしました。中井徳次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/147
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148・中井徳次郎
○中井(徳)委員 私本日突然提出されました三派共同提出の修正案につきまして一点だけお尋ねをいたしておきます。私の質問はいつも時間をかけませんので、皆さんにたいへん評判がいいのでありますが、きようはあまりひどいので少しお尋ねいたしたいと思います。それは公安委員会の委員の資格の問題であります。大体西村さんは提案理由の説明者であるが、今の公安委員会というものをどういうふうに考えておられるか、それからちよつとお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/148
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149・西村直己
○西村(直)委員 公安委員会はきわめて大事なものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/149
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150・中井徳次郎
○中井(徳)委員 これはあなたの本職じやありませんが、そういうふうな答弁をするなら、私も簡単に一点聞こうと思つておりましたが、ほんとうに時間をかけてやらざるを得ないと思います。われわれはこの二月十五日から実に三箇月かかりましてこの法案を慎重に審議いたしました。その間最近の情勢から見て、この改正案で前よりはいいというふうに考えた点は一点あつたと思うのであります。それは、実は公安委員というものは民衆の代表、国民の代表でなければならぬ、しかし前に公職についておつた人というふうな制限がこれまでありましたので、それでは範囲がはなはだ狭いから、世の中も大分治まつて来たので、前に警察官の前歴のある者は困るが、それ以外の者はいいというふうな改正に今度の原案はなつているわけであります。それにつきまして、私どもはいろいろと内容を質疑いたしました。その中で、いわゆる警察の職務を行つた者、あるいは検察の職務を行つた者の中には旧憲兵も入る、あるいは元海軍において憲兵に相当した仕事をしていた人も入る、また鉄道の公安官はどうであるかというふうないろいろな討論をいたしました。その際におきまして、私は政府当局に質問をいたしました。警察官の前歴のある者、あるいは検事などの前歴のある者は、実は旧憲法時代、戦争前の警察官の方が罪が思いのであるから、重さで言うならば、むしろ戦前の警察官、憲兵というようなものこそ絶対排除すべきものであると思うがどうかという質問を政府にいたしましたところが、ごもつともであるというふうな御返事があつたのでありますが、きようこの修正案を見ますと、五年前まで警察官であつた者はもう適用を除外されまして、公安委員になつてもいいということになつているのであります。この点は、政府の答弁と三派の皆さんのお考えとまるで逆なのでありますが、そういう逆なことをあえてなすつた真意をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/150
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151・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。政府がどういうふうな答弁をなさいましたか私記憶はございませんが、私ども三党で共同修正しまして資格制限を緩和しました理由は、先ほども申し上げましたように、広く人材を求め、しかも同時に、公安委員会の中には多少専門的な経験があつたところで、あえてその資格を剥奪してまで押える必要はないではないか、いかなる人で、いかなる職にありましても、それぞれ人によつてものはきまるのである、私どもはこういう考えから、こういう案を作成いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/151
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152・中井徳次郎
○中井(徳)委員 今の西村さんの答弁は、先ほどのあなたのこの修正案の説明と違います。先ほどの説明は、専門の経験を有する者も必要であるという説明をいたしました。私はその説明を聞いて、それで公安委員会の性格をあなたはどう考えておられるかということをお尋ねをしたのです。公安委員会に専門屋が必要ならば公安委員会はいりません。そういうお考えを押し進めて行くならば、公安委員会不要論になります。それで私は最初に公安委員会は何だと――あなたはこれを子供のような幼稚な質問と聞かれたかもしれませんが、お尋ねをしたのです。公安委員というものは住民の代表です。国民の代表です。しろうとの方がいいんです。なぜ専門屋が必要であるか、その点をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/152
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153・西村直己
○西村(直)委員 もちろん公安委員会が警察の民主的運営のためにきわめて重要であることは、私ども十分了解いたしております。しかしながら任命前、五年前くらいまで――警察の経験その他検察の経験があつた者は一切排除するとまで厳格にしないでもいいんじやないか、こういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/153
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154・中井徳次郎
○中井(徳)委員 その点で私どうも納得ができない。この警察制度に他の制度と違いまして公安委員会というものをつくりましたのは、警察は権力を持つておる。住民の生命財産という非常に貴重なものを預かつて、しかも権力を持つておる。そこでチエツクの機関として国民の代表を入れておくのである。あなたのようなお考えなら、これはもう公安委員はいりません。ほかの制度と同じ地方分権を完全にやつたらよろしい、私はそう思う。従いましてわれわれが強くこれを主張いたしまするのは、権力が強ければ強いほど、そういう時代にあつた人たちがいけない、従つて戦前の警察官はいけない、戦前の憲兵はいけない、私は戦前の検察庁の検事であつた人たちは遠慮してもらわなければいかぬと思う。このことは西村さん、私は個人々々をさしておるのではございません。はなはだどうも申し上げにくいのでありますが、この修正案に御関係なすつた人たちは、戦前の警察に御関係なすつた人が多いようであります。私はその個人個人がどうであつたとか申しません。皆さんりつぱな方であつたろうと思いますし、そういう方がおなりになるとかなんとかいうことを私は申し上げておるのではありませんが、これは法律です。制度です。戦前の憲兵、警察官、検察官は何千、何万とおるのです。しかも国家公安委員だけではございません。全国都道府県におるのです。戦前吉田総理をひつくくつた憲兵を公安委員にしてもいいんですか、皆さんは……。私はこの点において、皆さんのあまりに安易な、おれたちはまあよかつた、それだからやつてもいい、おれたちは別に悪いことはなかつた、そういう主観的な考え方は、この法案の作成において最も遠慮をし、最も反省をすべき問題であると思います。この思想が全般に通じて私は今回の警察法の改正になつたのじやないか、こういうふうに思い至りますと、この改正は非常に小さいようではありまするけれども、根は非常に深いものがあります。この根こそわれわれは抜き取らねばならぬ、かように考えるのでありますが、西村さんどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/154
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155・西村直己
○西村(直)委員 御意見は一面におきましては、あるいは傾聴に値するかもしれませんけれども、また修正いたしました意見は相当世論にも聞いてみて考えた点でありまして、われわれの方から見れば、残念ながらその御意見は承つてはおきますが、いささか片寄つた意見であるというように私どもは解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/155
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156・中井徳次郎
○中井(徳)委員 なるほど先ほども緒方副総理は自治体警察をやめてくれと言うて来た市長があるとか、市議会があるとかいうことであります。もちろん警察官をやつた人、憲兵であつた人で公安委員をやつてみたいというふうな人はたくさんあるだろうと思います。そういう話ももちろんあなたの方の耳に入つて、それもけつこうでありまするが、それを判断するのが皆さんの国会議員としての任務だと私は思う。私どもがこれを申しておりまするのは、実は政府が一つ過去において失敗をしておるのじやないかと思いまするので、申し上げるのです。あのときの内閣はどの内閣であつたか知りませんが、道路管理に関しまして委員会をつくつて、これは全国のバスの運営その他の認可をいたしまするのに、国民の代表を選出いたしまして、バスの路線の認可申請がありましたときに審議をする委員会であります。その委員会はそのバスが民衆のためになるかどうか、その道を通つて国民が危険を感じないかどうかというふうな、まつたく国民の側から見る委員会であります。現在でもあります。ところが実際の活動を見ますると、まつたくバス会社の出身の専門屋だとか、あるいは鉄道の古手の官僚とかいうことになりまして、ちつとも民衆の代表になつておりません。私は特にこういう制度を設けましたのは、そういうふうになつてはいけないというので制限した。ことに警察という人命に直接影響がある、権力を扱うという意味において、特にこの点を制限したと、こう思うのであります。それを簡単に五年前というふうなことで解決される、私にはほんとうに皆さんの側に立つて考えてみましても、とうていわからない、非常に安易な一方的な意欲に満ちた考えのように思われるのであります。その点であなたと私と意見が違うと言えばまた何をか言わんやでありますが、これでは私は遠からずして公安委員会を設けた趣旨がなくなつて行くであろうということを予言したくなるのであります。西村さんに最後にもう一度この点について御意見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/156
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157・西村直己
○西村(直)委員 先ほど申し上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/157
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158・中井一夫
○中井委員長 中井君の御質疑は終了いたしました。西村力弥君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/158
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159・西村力弥
○西村(力)委員 お尋ねいたします。任免関係が大分当初の政府案と違つて参りましたが、警察庁長官の任免権が国家公安委員会に移つた、しかし総理大臣の承認を得て行う、こういうことでございますので、一体実質的の任免権はどちらにあるのか、形式的には公安委員会が持つのだが、実質的にはどつちが持つておるか、どういうぐあいに起案者はお考えでありまするか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/159
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160・西村直己
○西村(直)委員 実は主として長官の任免だと思うのですが、政府の考えも一つの考えではありますが、より以上中立性を確保するというような観点をはつきり出す意味におきまして、国家公安委員会が総理の承認を得て行う、従つて国家公安委員会が任免の主体であることを、はつきり法文は表わしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/160
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161・西村力弥
○西村(力)委員 政府の原案によりますると、たとえば道府県の警察本部長の任命などは府県の公安委員会の意見を聞いて警察庁長官が任命する、意見を聞くと、こういうぐあいになつておるのでございまするが、このたびははつきりと同意を得てあるいは承認を得てと、こういうぐあいになつておるのでございまして、この任命権の実質的な所在というものはどちらであるか。形式的には公安委員会が持つのでありましようけれども、実質的にはどちらが持つのであるかという点になると、まことにあいまいしごくなんでございます。今国家公安委員会が警察庁長官の任免権を持つといいますが、内閣総理大臣が承認を与えない、こういうことになつたら全然公安委員会がその任免権というものを行使できない。そういうぐあいに総理大臣の一笑一顰によつて左右される権限が任免権といえるがどうか、われわれとしてはどうしてもその点に関してただいまの答弁では納得できない。再度御答弁を煩わしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/161
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162・西村直己
○西村(直)委員 法律をすなおにお読みいただけば、はつきり「国家公安委員会が」となつておりまして、あくまでもこれは自主的主体と考えております。なおこれの法律的な解釈につきまして重ねて法制局の方から補足をさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/162
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163・三浦義男
○三浦法制局参事 ただいまの点につきましては、提案者から御説明がありました通りに私も考えておりまして法律上はどこまでも国家公安委員会が任免権の主体であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/163
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164・西村力弥
○西村(力)委員 同意を得られないとすれば、公安委員会は新しい警察庁長官を探し出して、これでいかがでございましようと総理大臣にお伺いを立てる。これも承認されない、また探して行つても承認されないということになつたら、そんな任免権なんて一体どこにある。これは結局公安委員会としては総理の不承認の前に立つて総辞職をせざるを得ないということになるのではないかと私は思う。そういう点からいつて、法制局の法律論についてのそういう話はとにかくとしまして、実質的に国家公安委員会が任免権を持つとはとうてい考えられない。しからばかりにただいま起案者の答弁の通り国家公安委員会が任免権を持つとするならば、大臣にお尋ねいたしまするが、先ほどの緒方副総理、あるいは前々からの連続の審議におきまして、警察庁長官を任免する権限を総理が持たなければ、政府として治安の責任はとれない、これは強く主張せられて参つたのです。ただいまこういう修正案が出て参りまして、政府としては治安の責任を放棄されたのかどうか。今までの答弁及び直前の緒方副総理の答弁においても、任免権を持つことによつて政府の責任を明確化する、それによつてとり得るのだという答弁をしておる。この点について政府の答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/164
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165・小坂善太郎
○小坂国務大臣 この改正によりまして政府は治安の責任を放棄するかということでありまするが、放棄はいたしません。総理大臣の承認を得て行うのでありまするから、国家公安委員会と内閣総理大臣との間に十分なる協議が行われ、円満なる良識の相互の認識のもとに承認が行われるのでありまして、この間の意思が疏通するのでありまして、この意味におきまして、内閣は治安の責任はやはり帯びるということになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/165
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166・西村力弥
○西村(力)委員 そういう答弁ではわれわれは納得できない。「総理大臣の承認を得て」だから、承認しないということになればいつまでたつても解決しないものがある。一体実質的に国家公安委員会というのは、政府の意のままにならざるを得ない委員会だ、これは政府原案よりもなお一層公安委員会の隷属性を明示しているのだ、こういわざるを得ない。
それから大都市に関する警察を一年間だけ現状のままにしておくというぐあいになつておるようでございますが、一体この警察法の改正は、国家地方警察の管轄は能率の点においてもあるいは指揮系統においても十全だ、こういう立場をとられておつて、むしろ大都市に発生する、あるいは発生しつつある事犯というものを防止するがために、この改正をしなければならぬというのが重点なんです。単なる村や何かの警察がどうこうという問題じやなくて、大都市の治安ということを主にして政府はこの警察法改正をして来たのだということは間違いない。何も村の治安が治まらないから、いなかの治安が治まらないから、この警察法を改正するというのじやない、ほんとうの重点は大都市に置いてある。しかるにもかかわらず、大都市の方は一年間放置してもよろしい、現状のままにしておいてもよろしいというような方向をとられてるということは、われわれとしては最初の意気込みどこへやら、こういうぐあいにいわざるを得ない。今までの審議は一切われわれに対する答弁なり何なりが偽りであつたということをいわざるを得ない。これでは一体警察法改正をする根本趣旨は、農村の村々の、山村の治安を確保することが必要なために、大都市は一年くらいおいたつて治安上の問題はまあいいんだ、こういうぐあいに考えられておるかどうか、その点について御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/166
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167・西村直己
○西村(直)委員 なるほど西村君の言われるように、大都市警察については政府案は府県の警察への一元化、言いかえればある程度の広域警察への一元化をはかつておるわけであります。これは警察運営の有機的な活動をなるたけスムーズにやりたいという政府の意思はわかりますが、しかし御存じの通り今論議になつております特市、特例を認める市域は格別人口も多いし、犯罪も相当重要だし、同時にまたそこの組織も今日かなり複雑化しておる面もありますので、一年間の猶予期間というものを大体現行に準じて置きまして、その間の準備をスムーズに行いたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/167
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168・西村力弥
○西村(力)委員 大都市の機構が複雑だとするならば、なおこの修正はいけない。なぜならば、この一年間は、やがて来るであろう国警編入の準備としてその事務に忙殺され、あるいは大都市の治安に従事するその警察職員が一年間の期限付の死の宣告を前にして――死の宣告と言うとちよつと言葉が過ぎますが、そういうものを前にして、ほんとうに警察官としての職務を十全に行い得る心理状況にはないままに、一年間むしろ放置されるのです。しかも警察当局としては国警に移さんためのいろいろな手続、そういう処理、そういうことのために忙殺されて、こういう規定を置くことによつて、なお一層都市の治安というものは野放しにされて来る。こういうことになつて、政府の警察法改正を意図せんと意気込んだところは、完全にこれによつて踏みにじられて来ておる。こういう点についていかなる意見を持つか、あるいは政府側としてどういう観点を持つか、私の危惧する点について安心を与えるような明快な御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/168
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169・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。私どもは先ほど申し上げましたような趣旨で、大都市につきましてはその特殊性にかんがみまして、一年間という準備期間は置きますが、その間にはこれを受入れる方も、同時にまた受入れられる方もその点は良識をもつて円滑なる準備を進め、また同時に警察任務というもののきわめて重要であることは、大都市警察の首脳部はもとより、一般の職員も十分存じておりますから、御心配になる点は全然ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/169
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170・西村力弥
○西村(力)委員 ただいまのは答弁にはなりません。ただそう考える、信念だ、こういうことになりますので、いやしくも法律をつくるのに、そういうぐあいに答弁なさつてつくるなどということではいけないのです。そういう答弁ではとうてい私としては納得できないのです。とにかくそういうわけで、一年間の期限をつけて国警に編入されるなんというなま殺しのままに置くということでは、大都市の治安というものは全然できて来ない。この点に関して小坂大臣にお尋ねしたい。こういうことで、一体ほんとうに政府は最も懸念する大都市の治安に対して責任を持ち得るというぐあいに考えるか。
〔委員長退席、灘尾委員長場代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/170
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171・小坂善太郎
○小坂国務大臣 政府といたしましては、原案を提出いたしているのでありますけれども、国会の御修正ということはこれは国会の権限自体に属することでありまして、政府は国会において修正せられるならばこれに従うわけであります。しかしこういう御修正がなされましたにつきましては、それぞれの理由のあることでありまして、私どもといたしましてはこの切りかえによりまして混乱ということのなきように、人事を初め給与その他の点におきまして、十分不安を生ぜしめざるように配慮いたして、ただいま御指摘のような点のないように心がける所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/171
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172・西村力弥
○西村(力)委員 これはそのような御答弁でございまするので、いくらやつてもこれはしようがないと思います。ただただいま申されたこと、これにつきましてはほんとうに真剣にわれわれとしては考えていただきたい、かように思うのです。
なお今度はこの府県公安委員会の人数を五人にした、こういうことでございますが、この前の案ですと、三人で十分にこれは住民の意思を問い得るというぐあいに確信を持つて答弁せられておつたが、忽然として五人にされている。こういう点はいかなる理由でこういうことになつたか、これをひとつお尋ねしたい。五人でなければやはり不安だというぐあいになつたのかどうか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/172
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173・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。五人にいたしました理由は、市の地域から市の住民の意向を十分いわゆる広域地域にあたる府県警察に反映せしめる意味から、特に市議会の同意を得て市長の推薦する者二名が加わつたために五名、こういうふうに書いたのでありまして、政府の案より改善案だと私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/173
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174・西村力弥
○西村(力)委員 それは大都市の存在する府県はそういう理由もあるでしよう。だがそのほかの府県は三人で間に合うと言つたのに何ゆえに五人にしたのか、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/174
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175・西村直己
○西村(直)委員 大都市は、先ほど申し上げましたように人口稠密でありまして、非常にそこの特殊性もあろうと思いますから、従つて一年間の準備期間を置いて、その後におきましては市の特殊性を十分に府県警察というものに反映させたいという趣旨から二人加えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/175
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176・北山愛郎
○北山委員 関連して……。この公安委員会の問題につきましてちよつと疑問がありますが、一年間だけ特例を認められるならば、指定の市の公安委員会というものは、これは今度県の公安委員会と同じように取扱われるというように、先ほどの説明で伺つたわけでありますが、そういたしますと、この経過規定の附則の第二によりまして、改正前の警察法はこの法律の施行によつて廃止されるということになりますから、この一年間だけの暫定規定について市の公安委員会はあらためて選挙というか改選をしなければならぬというふうに解されるのですが、そんなめんどうくさいことをして一体いいのですか。一年間だけの市の公安委員会をやはり新しく改選をして、そして任期の点につきましても非常に疑問があるのでありますが、一年間だけでありますから、今まで三人であれば三年、二年、一年というふうになつておつた。今度一年になればそれらの問題もあると思うのです。とにかくそういう暫定的な措置をとる市の公安委員会の改選をわざわざやらなければならないのかどうか。今までの市の公安委員会でいいのじやないか。しかしこの経過規定、附則によりますと従前の警察法はその点について廃止になる。でありますからそう解せざるを得ない。非常に矛盾だと思うのですが、その点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/176
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177・西村直己
○西村(直)委員 市警察がここで新しくもちろん、隊長と申しますか、市の本部長が中央任命で発足します。従つて市の公安委員会も新しく構成されますから、従つて市の公安委員がもちろん再任されましてもいいのでありますが、新らしく任命されるその期間は一年、こういうふうに私どもは立案いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/177
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178・北山愛郎
○北山委員 今度の指定の大都市については一箇年だけは現在の自治体警察というものを生かしておくのだというように、私どもは了解しておつたのですが、今のお話でありますというと一年間についても単に市の単位でやるというだけであつて、何らかわりがない。府県の公安委員会なりあるいは府県の警察の規定がそのまま全部適用されるということになりますと、一年の暫定規定というものは一向意味をなさぬのじやないか。ただ市の区域を一つの単位に置くというだけの話でありまして、特別に現在の大都市の自治体警察というものを、一年間は存置しておくというのでなくして、内部組織から何からみなかえて行かなければならぬ。そういうふうに先ほど来の説明でありますともう根本的に公安委員会はかえてしまう。それから組織の方もかえてしまういうことになつて、新しい警察法がほかの府県と同じようにただ市の範囲で行われるというにとどまる。先ほど準備が必要であるとか何とか言いますけれども、結局今のままで置いて逐次準備をしてやるというのでなくして、公安委員会からして改めてしまうということになると先ほどの説明とは矛盾する。それほどめんどうくさいことをやつて、たつた一年間のことをやつて、それで機構から何からかえてしまわなければならぬというのは、まことにめんどうくさい話で、気のきかない規定だと思うのでありますが、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/178
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179・西村直己
○西村(直)委員 附則の第三十項の規定をすなおにお読みいただけばわかるのでありまして、指定市に置かれる市警察、すなわち指定市に置かれる市警察という意味は、一年間の経過規定を別にしますれば、いわゆる市警察には市警察部長を置いて、府県の本部長の指揮を受けるわけでありますが、一年間は市警察については当該指定市をもつて一つの県と見なす。こういうことにしますからこれは現状をそのまま認めるのではなくして、新しくは発足いたします。しかしながら一年の期間をもちまして漸次これは準備をされまして、広域地域である府県警察の中に吸収されて行く。こういうふうに立案者は解釈いたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/179
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180・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 時間に御注意願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/180
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181・西村力弥
○西村(力)委員 委員長はそう言われますけれども、今晩ひよつこり出されましてそうして今すぐ質問を打切るということは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/181
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182・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 御注意申し上げると申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/182
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183・西村力弥
○西村(力)委員 われわれ委員会は二月二十何日以来、慎重審議やつて来たのですから有終の美を発揮するようにしてもらいたい。
公安委員の資格要件については、先ほど中井委員から熱情を込めた質疑がございましたので、あまり触れたくないのでございますが、この修正を見ますと、戦後警察業務にあずかつた人は排除されて、戦前のあの警察国家の行政をやられた人々が迎えられているという矛盾を感ずるのです。何がゆえに、戦後の者は公安委員としての資格要件を欠くのか。戦後はとにかく、あなたも言われたでしよう、大臣も言われたでしよう、民主主義を育成するのだ、あるいは憲法を守るのだ、こう言つたに違いない。それがここでは、国民全体の民主主義擁護という趣旨に立つて警察行政をやつて来た人は、公安委員としては不適当だ、かつての、日本国をこのように破滅に追い込んだ警察、そういうところで指揮刀を振つた人々はその要件を備えておる、資格がよろしい、こういうような考え方、その考え方について私は非常に疑惑と危険を感ずるのです。この点についてひとつ提案者の御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/183
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184・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。ただいま資格制限につきまして、前歴ある者は御存じの通りこの修正案では、公安委員に任命する前五年間に警察または検察の職務にあつた者となつております。しかしながらここでひとつお考え願いたいのは、もちろん任命は知事でありましよう。しかしながらその間におきまして、府県会あるいは国会の同意というものがあります。で、私どもは議会の構成から見ましても、国会の構成から見ましても、たとい十分にそういつた経歴がありましても、非常に懸念のある人たちというものは、最後は民主的に運営されている議会というものが良識を持つて排除をして行くであろうと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/184
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185・西村力弥
○西村(力)委員 答弁をそらしておりますが、私の聞かんとするところは、戦後民主警察の育成に努力したそういう人々は排除されなければならないと考えて、戦前の人はこれが受入れられると考える、その考え方を説明してもらいたいのです。私は今のような答弁を求めているわけではない。どうぞこの点について御答弁を、願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/185
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186・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。もちろん五年という期間の制限はありますけれども、これは何もその前歴のある者だけが全部選ばれるわけでもなし、議会の同意もあります。また退職後五年というと、警察法の改正はたしか昭和二十三年ですか、その後におきましてもうすでに数年たつております。従つて私どもはこの法が国会を通りまして、順次運用される段階におきましては、十分その後におきましての新しい警察の参加者が、また当然公安委員に参加されて参る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/186
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187・西村力弥
○西村(力)委員 どうもその答弁には私はとうてい満足できません。(「頭が悪いからだ」と呼ぶ者あり)頭は確かに悪いのですが、しかし、それでは私の一方的な所感だけを申し述べておきましよう。とにかく今言うように、これはやはり民主警察の飯を食つた人間はじやまなような警察にするものだ、こういうふうに考えておるのだと言わざるを得ない。しかも昔の国家警察に対して郷愁やみがたい人々が、国家公務員にならんがためにこのように制限をした、そう私は言わざるを得ない。それだけを言つて、今の答弁には満足できないものが、これをもつて私の質問を終りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/187
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188・灘尾弘吉
○灘尾委員長代理 西村君の御質問は終了しました。
門司亮君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/188
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189・門司亮
○門司委員 まず最初に私は提案者に聞いておきたいと思うのですが、さつきこの修正案の提案者でありまする古井さんから質問があつたのであります。また自由党からも今通告がされておる。で、一体あなた方提案者の中で、ほんとうに了解を得た案であるかどうかということは私は疑わしくなつて来た。(笑声)一体これはどうなんですか。(「その通り」「この間の資産再評価のときと一緒だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/189
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190・西村直己
○西村(直)委員 改進党の古井さんから御質問がありました。なるほど提案者である一つの政党の人から質問がありましてもこれは何もふしぎはないのであります。特にその古井さんの質問の場合には、この法案の三党共同修正の打合せに欠点があつたとかそういう意味ではなしに、政府に対してこの法案が通つた場合に、人事の運営がうまく行くかという趣旨の質問であります。その点は誤解のないように願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/190
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191・門司亮
○門司委員 政府に対してというお話ですが自由党と政府とは一体であるということは吉田さんもしばしば言われておる。そうすると、私はこの提案者は政府も自由党も同じだ、こう考えておるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/191
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192・西村直己
○西村(直)委員 古井さんは改進党でありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/192
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193・門司亮
○門司委員 だから改進党の諸君でありましようとも、政府とお話合いになつたということには間違いがない。それだけこの修正案はずさんであつて、急を要したと私は思う。これだけは西村君もよく承知しておいてください。これだけずさんなものであつたということです。
それからその次に聞いておきたいのは、ちよつと条文に触れてこまかく聞いておかないと困るので聞いておくのだが、第一に、長官の任免は国家公安委員会が総理大臣の承認を得て行う、こう書いてある。従つてこれは総理大臣が承認をしなければ公安委員会は任命することができないのかどうか。一体どつちにその主導権があるのか。この点をはつきり御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/193
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194・西村直己
○西村(直)委員 もちろんこれは条文に書いてあります通り、国家公安委員会が主体を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/194
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195・門司亮
○門司委員 そうすると総理大臣が承認をしない限りはできないと解釈しておいてよろしゆうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/195
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196・西村直己
○西村(直)委員 もちろん国家公安委員会が総理大臣の承認を得ないでやれば、これは違法の任免になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/196
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197・門司亮
○門司委員 そうすると結局任免権はあるが、その決定権は総理大臣にあると解釈してさしつかえございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/197
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198・西村直己
○西村(直)委員 私どもはそうは解釈いたしません。国家公安委員会がやはり主体を持つておつて、ただそれに対して総理大臣が承認をするという……。(「それはおかしい」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/198
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199・門司亮
○門司委員 先ほど総理大臣の承認を得なければ、任命した場合には違法であると言われた以上、決定権というものは明らかに私は総理大臣にある、こう思いますが……。(「そうだ」と呼ぶ者あり)私の言うのは形の上では、公安委員会が持つておるようであるが、実質的にはこの決定権は総理大臣が持つておる。こう私は解釈するのが正しいと思いますけれどもどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/199
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200・西村直己
○西村(直)委員 これは都道府県の場合をお考えになりましても「承認」あるいは「同意」こう書いてありますが、確かに同意権あるいは承認権は、総理大臣なりあるいは都道府県の場合におきましては公安委員会側が持つておりますけれども、任免権の主体というものは明らかに国家公安委員会である。従つてそれだけしぼられておる。こういう解釈をとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/200
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201・門司亮
○門司委員 しぼられておると言いますが、なるほど任免権は、これには国家公安委員会が任免すると書いてあるので、それでよろしいでしようが、しかし最後の決定権は総理大臣にある。総理大臣の承認を得なければ違法であるとすれば、最後の決定権は総理大臣が持つておると考えても私は一向さしつかえないと思う、この点は、私はどうも答弁はおかしいと思う、どう考えてもそうだと思う。
それからその次に「同意」という文字を使つておる。これも聞かなければならない問題であります。その次にはこういうことが書いてある。「警視総監は、国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上内閣総理大臣の承認を得て、任免する。」ここには同意という文字が使つてある。この同意という文字は決定的なものでないが、承認というのは決定的なものである。承認をしなければさつき言つたように違になるから……。同意の場合は主動権が公安委員会にあるかもしれないが、この場合警視総監といえども、やはり次に「総理大臣の承認」と書いてある。同意と承認が二つ重なつている。重なつている以上は、どこまでも同意を得ただけではだめなんだ。この問題は非常に重大な問題なんです。総理大臣が決定権を持つているということが、前にはつきり書いてある。国家公安委員会が都公安委員会の同意を得た上で、さらに総理大臣の承認を得なければならぬようになつている。同意と承認は非常に大きな開きを持つているのであつて、この場合警視総監も同意だけではいけないのである。やはり総理大臣の承認を得なければならない。そこでどこまでも最後の決定権は総理大臣がこの場合も持つている。すなわち政府原案とちつともかわらないじやないですか。どこが違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/201
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202・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。門司君と私とは大分ものの考え方が違うのであります。私どもはあくまでも国家公安委員会が主体であつて、決定権はやはり国家公安委員会にあるという考え方である。但し条件がついているのが承認である。承認と同意はどう違うか。これは御存じの通り総理大臣の場合においては、所轄している関係から承認という言葉を使い、府県の場合にはそうでないから同意という言葉を使つた。同意と承認の法理的な相違につきましては、法制局の者からお答えさせてもよろしゆうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/202
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203・三浦義男
○三浦法制局参事 ただいまの点につきましては、法律上私もまつたく同意見でございます。任免権の主体はもちろん決定権を含んでいるわけであります。ただ任免する場合の条件が同意にかかり、あるいは承認にかかつているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/203
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204・門司亮
○門司委員 それだけ問題がはつきりすれば、決定権は総理大臣が持つているということにはつきり解釈してさしつかえない。それ以外考えられない。
その次に、同意と承認はそういう関係だと言われますけれども、任免権者が総理大臣である限りにおいては、最後の決定権は総理大臣が持つているということは、これが統轄者でありますから、当然である。これは非常に重大な問題であります。自分が使う者については自分が任免する。統轄をするということは当然である。
ここから出て参りますことで、次に私が同じように疑問に思つていることは、出道府県の本部長の任免権であります。都道府県の本部長並びに警視正を含むものの任免権は、「国家公安委員会が都道府県公安委員会の同意を得て」と書いてある。この場合は先の理論から申し上げて参りますと、都道府県の公安委員会の任免権はだれが持つているかといえば、知事が持つているのであります。従つてこの場合に、「都道府県の公安委員会の同意を得て」と書いてあるが、公安委員会がどこに置かれているかといえば、これは都道府県知事の所轄のもとに置かれている。従つてさつきの議論から発展して参りますと、国家公安委員会は内閣総理大臣の所轄のもとに行われている。だから内閣総理大臣が最後の承認をしなければならないというなら、都道府県公安委員会はやはり知事の所轄のもとに置かれております以上は、ここでも「都道府県の知事の承認を得て」と書くことが順序じやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/204
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205・西村直己
○西村(直)委員 門司君にお答えします。私は日本語ででき得る限りの表現をもつて御了解を求めているのですが、いささかあなたと私とは頭が違うと見えまして、すなわち解釈していただけないのがはなはだ遺憾であります。あくまでも国家公安委員会が主体であります。従つて本部長の任免におきましても、国家公安委員会が主体であつて、都道府県公安委員会は法定権を持つた国家公安委員会に対して同意権という条件を持つているにすぎないと私どもは解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/205
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206・門司亮
○門司委員 同意権を持つているといつたつて、同意権を与えたから持つているのであつて、別に最初から持つているわけではない。しかし知事は地方の都道府県の公安委員会を所轄していることに間違いないのであります。これは任命権者であることに間違いないのであります。従つて都道府県の警察本部長を任命するとするなら、その知事に責任を持たせることが一応順序じやないですか。どうも頭が違うかもしれないが、私はそういうふうに解釈する。だから今までのような答弁で、一方的にものを解釈されて困ると思う。
それから次に最も大きな問題で聞いておかなければならぬと思いますことは、この五大都市のある、地方自治法の百五十五条の市の含まれている府県の公安委員会の数を五人として、その中の二人は市長が市会の同意を得て推薦する者につき知事が任命すること、こうなつているこの場合市長の推薦した者を知事が任命することが、今日の地方自治法の建前の上からいつて一体許されることであるかどうか。この点をはつきりしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/206
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207・西村直己
○西村(直)委員 その点は立法技術者として法制局からお答えをさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/207
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208・三浦義男
○三浦法制局参事 その点につきましては、別に法律上地方の自治を侵害するとかなんとか、特別の故障が起るようなことはないと考えております。
〔灘尾委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/208
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209・門司亮
○門司委員 特別の故障が起ることがないと考えているということでありますが、法律にこういうふうに書いて参りますと、地方の市長にはおのずから府県の公安委員会の委員を推薦しなければならないような責任が出て来はしないか。もし市長がこの二人の公安委員会の委員を推薦しなかつた場合には、府県の公安委員会が成立をしないことになると私は考える。従つて市長には推薦をする義務が一体あるのかないのか。府県の公安委員になつてしまいますと、これは、府県の特別職になるはずであります。従つて府県の特別職を市の市長が推薦しなければならない義務が、一体今日の地方自治法の中にどこに規定があるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/209
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210・西村直己
○西村(直)委員 私どもは常識をもつて考えましても、市長が市の特殊状況を十分公安委員会で発言すべき人間を二人推薦しないなんということはないと考えております。かりに推薦しないという極端な事態を考えましても、公安委員会自体は、過半数を持つておりますから、成立いたすと考えております。なお自治法の関係につきましては、自治庁の鈴木次長からさらに説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/210
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211・門司亮
○門司委員 答弁がなければ、もう一つつつ込んで西村君に聞いておくが、この条文からさらにあなたの答弁をそのまま聞くと、五大都市――今の百五十五条の市というのは五大都市しかないんだから、この大都市を代表する三人の公安委員が、府県の公安委員の中に入つて行くことになると、この二人は警察行政の中で府県行政と離れた都市行政の代表者であると考えて参りますと、おのずからこの公安委員会の五人の構成というものは、地域代表的になつて、必ずしも円満なる警察行政が行えないと思うが、この点はどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/211
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212・西村直己
○西村(直)委員 もちろん私どものねらいました趣旨は、二人は市の実情を十分に映す役割ではありますが、府県のいわゆる公安委員会の公安委員になるわけでありますから、従つてかたわら府県全体の面につきましても、私どもは十分協調的であり得ると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/212
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213・門司亮
○門司委員 これはいわゆる五大市都市警察を認めなければならないというようなあなた方の良心が、少し端の方に寄つておる。それをどうコントロールするかということであつて、法律はごまかしであると思う。このごまかしはよくない。先ほど申しましたように、地域代表となる諸君がもし公安委員会の中に入つてごらんなさい、警察行政は完全に行えるかどうか。私はやはり少くとも警察行政であるならば、すつきりしたものはすつきりしたものにして行きたいと考えておるけれども、この点については、私はさつきの答弁だけでは承服するわけには行かない。
さらにこのことは最も重大は問題でありますから、私は西村君並びに政府当局によく聞いておきたいと思いますが、その次の条項に書いてありますのは、何と書いてある。「市警察部長は、市警察部の事務を統括し、及び府県警察本部長の命を受け、市警察部の所属の警察職員を指導監督する。」と書いてある。今日の自治法は、都道府県といえども、市町村といえども同格に見ておるのであります。同時に今日の自治法では、明らかに政府のいかなる機関といえども、この自治体に対して指揮、命令、監督はできないはずである。それは国家事務に関してのみである。自治事務に関しては、これを指揮、命令、監督するわけには行かない。ところが自治警察と言つておきながら、ここには府県警察本部長が市の警察の本部長を指揮、命令、監督すると書いてある。一体こういうことが許されることであるか。これは今日の自治法の建前から行くと、非常に大きな問題であると思う。一体こういうことが許されるのかどうか、この点ひとつはつきり答えておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/213
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214・西村直己
○西村(直)委員 この当該市の市域における府県警察本部の事務を分掌させるため、市警察部を置くというのでありまして、あくまでもこれは府県警察本部の事務でありまして、市の行政ではないのであります。市域をまとめてそこでもつて統轄し、かつ同時にその部下の職員を指揮監督する、こういう意味でありますから、市の行政に介入しておるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/214
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215・門司亮
○門司委員 これは自治庁の鈴木君に聞いた方がよいと思いますが、今日府県の事務が団体委任の形で市町村に委任できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/215
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216・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 ただいま御説明ございましたように、府県警察本部の事務を分掌させるためというふうに規定をいたそうということのようでございますから、従つてこの分掌ということは府県警察本部の事務を委任するというふうに考えざるを得ないと思うのであります。従つてその限度においては、指揮監督ができると思うのであります。
〔「指揮監督とは何だ」と呼び、離席する者、発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/216
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217・中井一夫
○中井委員長 退場を命じます。――この委員会の中に委員外の者が入つて来て、かつてな言動をするというようなことは許されません。
〔「衛視に執行を命じなさい」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/217
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218・中井一夫
○中井委員長 衛視は執行しなさい。
〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/218
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219・中井一夫
○中井委員長 門司君、質疑の進行を願います。
〔「質問しろ」「議事進行」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/219
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220・門司亮
○門司委員 鈴木君に聞いておきたいのであるが、問題はこの分掌をさせるものであるから、これについて指揮監督することができると、こういうふうに大体なつておるのであります。そうだといたしますると、この市警察本部というものが当然私は置かれると思う。いわゆる市警察部長といいますか、こういうものがここに置かれると思う。この置かれたということ、他の都市と異なる制度を設けたということは、私は明らかにここには五大市の特異性を認めたものだと解釈する。従つて五大市の特異性を法律で認めたとするならば、たとえば分掌した事務であるから指揮監督ができるということは、あまりにもしやくし定規的なものの考え方である。五大市の特異性を認めなければ何もこういうものの必要はないのである。一方において五大市の特異性を認めてこれを抹殺するということは、非常にこの警察法の審議のためにさしつかえができて来る。従つて大都市をいかなる形において納得させるか、大都市をいかなる形においてごまかすかということがこの法律の私はねらいだと思う。ほんとうにこの法律で五大市を認めなければならないほどの特異性を認めておるならば、当然市の独立した自治警察を認むべきだと思う。従つて私は先ほどから聞いておるのであります。実質的には明らかにこれは五大市の……。
〔発言する者、離席する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/220
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221・中井一夫
○中井委員長 静粛に。――静粛に。
〔発言する者多く、議場騒然〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/221
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222・中井一夫
○中井委員長 この際委員会の整理をいたします。委員席に委員にあらざる人の着席は許されませんぞ。
〔「そんなことがどこに書いてあるか。」「それは委員長の職権か。」「取消せ。」「続行々々。」と呼び、その他発言する者多し。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/222
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223・中井一夫
○中井委員長 門司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/223
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224・門司亮
○門司委員 これは鈴木君に聞いた方がいいと思うのだが、さつきから聞いておりますように、起案者の意見をまず先に聞いておきたいと思いますが、起案者は先ほど鈴木君が答弁をいたしましたように、事務がある程度委嘱されておる、従つてその委嘱の範囲においてこれを指揮命令監督することについてはさしつかえがないであろうという答弁をいたしております。従つて私はここで起案者に聞きたいと思いますことは、この百五十五条のいわゆる大都市に特別の措置を講じなければならなかつたということ、同時に特別の都市から二人の公安委員を送り込まなければならなかつたというような実情等を勘案いたして参りますと、この大都市に対しては何らかの処置を行わなければならないということは、起案者も考えておつたものと考えてさしつかえないかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/224
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225・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。この大都市、特に五大市につきましてこうした特例を設けましたのは、五大市の人口が幾らでしたか、おそらく七十万以上、非常に大きな数であります。従つてそこにおきましては、なるほど警察署の数はありますが、交通機関も非常に発達しておりますし、また大都会は犯罪の温床とも言われるくらいのいろいろな特殊性を持ち、また一つの小さい警察署の管轄区域からよその地域に犯罪はただちにいろいろと移動されたりして、犯罪が動いて行く場合があるわけであります。こういう特殊性からそこの本務を総括するものが私どもは必要であると考えて、こういう市警察部というものを考えた。しかしこの点は門司君に十分御了解を願いたいのでありますが、府県警察の一つの内部の部局として、下部の組織としての市警察部でありますから、これはあくまでも市の行政ではなく、府県警察本部の中の一つの行政である、こういうふうに考えて私どもは立案に当つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/225
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226・門司亮
○門司委員 それは非常に重大なことでありまして、もし今の西村君のような答弁であるとするならば、私はことさらに市に本部長を置くというようなこのごまかしの法案は、法をなさないのである。同じように一体市に対して警察の本部長がおりましても、市のいわゆる警察行政について、この本部長が単独で市の行政に相応するような行政を行うことができない。あくまでも府県の警察本部長の指揮命令を受けて府県の行政の中にこれが包含されているということになつて参りますならば、どこに大都市の特異性を行政の上に表わすことができるかということであります。少くともここにこういうことを書いております以上は、大都市の特異性を行政の上に表わして行こうとするならば、大都市の警察は府県と同等の独立した性格のものでなければ、その機能を発揮することができないのは私は当然だと考える。なぜ一体この処置がとられないか、この点について西村君にもう一度答弁していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/226
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227・西村直己
○西村(直)委員 市の警察部長は市の警察本部長じやなくて、市の警察部長、すなわちこれは府県警察本部の中の市の警察部長である。そうしてそれは市域を統轄し、おそらく具体的には、大阪でありますればたくさんの警察署長を持つておりましよう。従つて大阪の市に関するいろいろな特異性というものは、おのずからその警察部長を通して本部長のところへ行く、従つてある程度――御存じの通り官庁の内部の事務には各種の段階がありまして、ある程度はこの本部長までも参りましようが、ある程度のことはその市の警察部長でこれを処理をして行く。そこに私は一つの特異性というものは十分くみとることができると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/227
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228・門司亮
○門司委員 遺憾ながらこの修正案にはそういう処置がとられておりません。いわゆる市の警察部長の行う権限はどこにも明記されておらない。ただここには書きぱなしである。こういうことでは、先ほどから私が申し上げておりますように、都市の特異性を認めるならば、私は当然市の警察部長は、その市域内における警察行政の面にありますものだけは、責任をもつてその遂行のできるような仕組みにしなければ、これはほとんどただ申訳的にこういうものをこしらえただけであつて、それは百害あつて一利もございませんよ。ただ機構が二重になるだけである。指揮監督もすべて都道府県の警察本部長が行うということになつて参りまして、部長はただ取次をするだけであつて、何にもならない。なぜ私が何にもならないと言うかといえば、普通の行政事務と警察行政は遣うのであります。これはあなたの方がよく知つておると思う。少くとも警察行政というものは上から下までまつたくの一本であつて、組織はかたい団結のもとに行われておる。しかも機密と迅速を要するものであることは間違いないことである。従つて普通の行政事務のようにものを考えられては満足な警察行政は行えないと思う。市の警察部長が自分の市域内における警察行政を行おうとするときに、県の本部長に一々伺いを立てなければ行えないような緩漫なことで一体どうなりますか。もし県の本部長が市の警察部長に対して命令を下した場合に、それにはただちに従わなければならない。自分の都市にはこういう行政はおもしろくない――都市の特異性から行けば、そういうことはよくないと考えておつても、府県の本部長に指揮監督する権限があります以上は、その命令に従わなければならない。これではせつかく五大市のいわゆる特異性をお認めになつたと言われておりますが、その実質はいたずらに機構を複雑にしただけであつて、決して特異性が認められておるものではないと私は解釈せざるを得ない。一体それならどこが特異性が認められておるか、その点をはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/228
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229・西村直己
○西村(直)委員 先ほどから私が繰返し申し上げますように、この市域を統轄する市警察部長というものは、府県警察本部の内部の一つの部局でありますが、同時にもう申し上げるまでもなく、市域から選ばれたる公安委員二名というものも公安委員会の中に入つております。そうしてまた官庁の内部の組織といたしましては、なるほど本部長は一応筋としては大綱につきましては指揮命令はとりましようけれども、ある段階、ある段階で、たとえば警察署長の、あるいはその上の警察部長の判断でもつて統轄できる分野というものは相当あるのであります。これらは従つて、府県の条例等で内部できめて行くわけでありますから、十分その市域の特異性というものは発揮できると私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/229
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230・中井一夫
○中井委員長 門司君、いろいろ御質疑がございましたが、本委員会において決定されました時間が参りました。それゆえその一問でおやめを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/230
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231・門司亮
○門司委員 あとまだ項目が二項残つておりますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/231
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232・中井一夫
○中井委員長 申合せの時間がありますからやむを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/232
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233・門司亮
○門司委員 そうだとすれば私は一括して質問いたします。
第一に聞いておきたいと思いますことは、今の御答弁ではわれわれ納得するわけには参りません。せつかく五大市の特異性を認められたというならば、やはり行政の上で市の警察部長が十分にこれを発揮して、地方住民の負託にこたえ得るように警察行政をやるということが最もいい民主警察としてのあり方であるということを十分知つておいていただきたいと思うが、それがここに考えられていないということ、それからその次に書いてありますことは、右の条例は一年間施行を延期して、そうして昭和三十年七月一日より施行し、この法律施行後一年間は五大市警察は府県と同様のものとして存置せしめる、こういうことになつております。問題は、ここにも一つの大きな問題が伏在いたしておりまして、あなたも警察行政というものが非常にむずかしいものであるということはよく知つておられると思う。しかも現有の五大市に残されております警察官が、一年後には自分の首は一体どうなるのであるかということは保障されておりません。今日の警察行政というものは私は完全なる警察行政にはならないと思う。少くともこの国民の治安の責任を持ち、国の安全とさらに公共の福祉と社会秩序を維持することのために必要とされておりまする警察官が、自分の地位、自分の身分というものに不安を感じておつたのでは、この警察目的に沿うことはとうてい困難だと私は思います。われわれはもしこういう事態になることがあるといたしまするならば、それもやはり今度の警察法に関して地方住民が都市の警察を残してもらいたいという一つの行き方に対する政府の大きなごまかしの案でなければならぬということを言わなければならないのであります。さらにそれらの問題をここにずつと考えて参りまするならば、私どもは警察のあり方というものがすでにここで大きな問題になつて来ると思う。警察のあり方というものは、こういう一年後にはこの警察はどうなるんだとか、あるいは三年先には自分の身分がわからぬというような不見識なものであつてはならないと私は思う。少くとも警察というもののあり方は、先にも申し上げましたように、社会の公共の秩序を維持することのためには、警察官の身分というものが安定しておらなければならない。それを自分の身分が安定しないでおいて、そうして他人の生命財産を守ろうといたしましても、これは私は非常に矛盾を来す困難な問題であると思う。従つてわれわれはこういう条項に対して、一体なぜこういうものが入れられたかということをひとつ聞かなければならない。
さらにその次に書いてありますことは、都の公安委員会の委員を五人にすると、こう書いてあります。原案は都の公安委員は三人であつたように私は記憶いたしておるのでありますが、一体何ゆえにこれを五人にしなければならないかということであります。それらの点はいろいろな問題もございましようが、今日の都の警察制度というものは特別の力を持つて、東京都でありますることのために警察行政におきましても、おのずから異なつた警察行政が必要と私は考える。これは西村君の方がよく御存じだと思う。いわゆる首都の警察というか、この都市自体の特異性から来る国家的要素というものは、東京都には非常に大きいのであります。むしろ都自体の公安を維持するということよりも、国家的問題に対する警察業務の方が大きいといつていいほど東京都は幾多の問題を持つておる。従つてこれらの問題を処理することのために、当初において三人と考えられておりましたものが、ここでは五人に修正をしようというこの意図であります。私はこの意図についてはどういうことが考えられるかといえば、この二人の委員を増すということ自体、警察法を制定された政府当局はきわめて不見識ではなかつたか。一体どこにこれらの理由があるのか。前段に申し上げましたことは、一応いろいろな今までの運動、今までのいきさつ、さらに政府に多少の反省の色があつて、こうなつたということが言えるかもしれませんが、この東京都の公安委員をふやされたということについては、私は何らの原因もなければそういう問題が起つていなかつたはずだと思う。これは政府はきわめて不見識のもとに原案をこさえられたから、こういう問題が起つて来たのであるということを申し上げてもあえて過言ではないと思うが、この点については一体当局はなぜこれをふやさなければならなかつたかということであります。
その次には公安委員の資格要件の問題でありますが、これについては先ほど同僚中井君からもいろいろお話がございましたので、深くこれを追究するの時間的な余裕も持つておりませんので、この点は良心的に申し上げておきたいと思いますが、この任命前五箇年に警察または検察の学歴を持つていない者に改める、こういうふうに書いてある。従つて五箇年を過ぎればたとい警察におつた者にいたしましても、あるいはその他の職務についておつた者といえども公安委員になれるということである。そして西村君の提案理由の説明を聞いてみますならば、警察行政の中にはこういう専門家もいなければうまく行かないというお話でございます。こういうことである。私は民主警察にしたというのは、そもそもどこに理由があつたかということがまずこの問題について考えられなければならないと思う。いわゆる現行警察法、しばしば申されておりますので、私はこの機会に申し上げることもないかと思いまするが、西村君には特に私は提案者として申し上げておきたいと思いますることは、御承知のように占領軍がこの警察制度を改正するにあたりまして、日本政府に与えましたサゼツシヨンは、一体何であつたか。この内容は当時西村君も私は御存じだつたと思う。GHQがわれわれに示して参りましたこの警察法改正の最も重要なる要素は、今までの日本の警察は警察国家、いわゆる裏を返しますならば専制国家である。この専制国家と言わるべき警察行政は行き過ぎであつて、これが日本を今日の敗戦の災いに導いた一つの大きな原因である。従つて日本の国民はみずからの自覚と責任の上においてこの警察行政を改めなければならない。このことのためには少くとも能率その他のことを考えるよりも、むしろこれはそういう災いの根を断つということのために民主警察にするということが、日本の警察制度についてGHQからサゼツシヨンされた大きな要素であつたということは御承知の通りであります。従つてこの要請に基いてわれわれは今日のこの警察制度を要求して参つたのであります。私はこの機会に申し上げておきますが、この現行警察法を制定いたしまする当時、GHQにもしばしば呼びつけられて、日本の警察制度をどうするのだ、今までの日本のあり方というものはあまりにも国民の自由と権利とさらに人間の尊厳ということが傷つけられた、そしてまつたく日本は専制国家の様相を呈しておつた、これをいかに改めるかということがこの警察法の本義であるから、その点はいろいろな要件もあるだろう、いろいろな意見もあるではあろうが、しかし日本を民主化し、日本の行政を正しい民主主義の軌道の上に乗せるためにはどうしても警察行政というものを改める必要がある、このことのためにはぜひ民主警察の本旨を発揮する必要がある、こういう趣旨のもとに現行警察法には、日本の従来の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/233
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234・中井一夫
○中井委員長 門司君、時間が過ぎました。もうその程度でおやめになつたらいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/234
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235・門司亮
○門司委員 これが最後ですから、もう一点。こういう意味で、この警察法の前文に書かれておりますように、「国民のために人間の自由の理想を保障する日本国憲法の精神に従い、又、地方自治の奥義を推進する観点から、国会は、秩序を維持し、法令の執行を強化し、個人と社会の責任の自覚を通じて人間の尊厳を最高度に確保し、個人の権利と自由を保護するために、国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、ここにこの警察法を制定する。」こう書いてある。問題は民主的権威であります。この民主的権威を持つことのためにこの警察法を制定すると書かれておる。従つてこの現行警察法の趣旨と、さらに今回提案されて参りました警察法の第一条の趣旨がまつたく同じであるという政府の答弁から考えて参りまするならば、この制度をくずしてはならない。この制度をくずしてはならないということになつて参りますならば、そこには当然今日の日本のこの状態の過誤を犯した旧警察制度に対する経験のある人を公安委員にするということは、この提案された警察法の第一条にもとるものであると私は考えるのであります。もしこの警察法の第一条が現行警察法の前文と同趣旨であるとするならば、あくまでも政府は、任命の五箇年前に警察行政に携つた者でも国家公安委員になれるという規定は設けられないはずであると考えておるが、一体この警察法の第一条の趣旨とこの公安委員会の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/235
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236・中井一夫
○中井委員長 門司君その程度でどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/236
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237・門司亮
○門司委員 この趣旨の食い違いを一体どう説明されるか。以上三点について懇切なる御説明を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/237
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238・西村直己
○西村(直)委員 簡潔に御答弁申し上げます。第一は五大市等におきまして一年後に切りかわるために、身分の保障がないではないかと言われますが、私どもはそれは身分の一応の保障はできている、一年たちますならば自動的に法律は府県本部の警察官となつて移つて参るわけでありまして、この点は支障がないと思うのであります。
それから二番目の都の公安委員を五人にしたのは、これは御存じの通り東京都の人口、仕事の分量、また民主的な運営をさらに強化したい、こういう意味でやつたのであります。
いま一つの第三番目の資格制限の問題は、先ほどから今回の修正案提案の趣旨を十分説明しましたから、私は重ねてお答えする必要はないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/238
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239・中井一夫
○中井委員長 門司君の御質疑は終りました。大矢省三君。――大矢君前へおいでください。――今三党各派の打合せの報告があつていますから、しばらくお待ちください。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/239
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240・中井一夫
○中井委員長 ちよつと待つてください。そこをどいてください委員席が見えません。委員会の状態が見えませんから、もう少しどいてください。――質疑の声が聞えませんからもう少しどいてください。――大矢君お始めください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/240
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241・大矢省三
○大矢委員 私は他の委員が質問なさつた点は重複を避けます。
第一、今配付された要綱の第二点、これに対して「国家公安委員会が都公安委員会と協議の上総理大臣の承認を得て」という、この「協議」という言葉はこれはミス・プリントですか。それとこれと間違いないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/241
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242・西村直己
○西村(直)委員 「同意」です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/242
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243・大矢省三
○大矢委員 そうすると間違いですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/243
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244・中井一夫
○中井委員長 大矢君、いつも申し上げるのですが、大きな声でお尋ねをしてください。
〔「あの人はあのぐらいの声しか出ないんだよ」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/244
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245・中井一夫
○中井委員長 親切で言つておるのだから聞きたまえ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/245
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246・大矢省三
○大矢委員 次に私は、この長官の任免は国家公安委員会が総理大臣の承認を得て行う、これはしばしば質問がありましたからして、違つた方向から質問をいたします。
これはほかの人なら私はお尋ねいたしません。専門家としての西村氏にお尋ねしたいことは、この国家公安委員会の委員長は国務大臣をもつてこれに充てると書いてある。国務大臣は閣議に列席するのであります。従つてこの国家公安委員会が……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/246
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247・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。質疑が聞えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/247
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248・大矢省三
○大矢委員 長官の人選、任免等については、それぞれ十分この国務大臣であるところの国家公安委員長は総理大臣と連絡がとれるはずであります。それをあえて、この二人とも総理大臣の承認を得なければならぬという。一方は任命でありますが、三人とも、総理大臣の任命権によつて任命しなければならぬ。その点がかえつて非常に複雑になり、命令系統が重複してこの警察行政に支障を来すのではないか。つまりこれを簡単に言いかえれば、国家公安委員長の国務大臣一人でけつこうではないか、こういうことを考えるのですが、せつかく修正されまするのにこの点は依然として二本建になつておる。この点についてどうしてこれが必要であつたか、私はあなたが専門家だけにお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/248
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249・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/249
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250・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。質疑応答が聞えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/250
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251・西村直己
○西村(直)委員 お答えいたします。国家公安委員会に任命権を持たして、総理大臣の承認を得るというふうに逆にいたしました。その趣旨は、国家公安委員会という方が、政党出身の大臣が委員長でありましても、会議制であり、五人の公安委員を持つておりますから中立性が十分発揮できる、そういう意味で国家公安委員会に任免の主任を置いた。しかし同時に、国務大臣である委員長が総理大臣との連繋において、十分事前にも事後にも承認の手続を争わずしてとれる、こういう意味で中立性ある国家公安委員会に任免権を持たして、その条件として総理大臣の承認、こういうふうに私どもはむしろより中立性と申しますか、より民主性が保たれるという趣旨で考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/251
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252・大矢省三
○大矢委員 私の尋ねるのは、その任命権の問題ではないのです。国家公安委員会の委員長が……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/252
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253・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/253
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254・大矢省三
○大矢委員 御承知の通り国家公安委員会の委員長は国務大臣であります。従つて国務大臣は閣議へ列席をいたしますから、総理大臣とは十分連絡がとれるはずだと思う。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/254
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255・中井一夫
○中井委員長 静かに願います。委員席前で話をすることはやめてください。
〔「あかつきの本会議はない」「そんなことはみんな知つている」と呼び、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/255
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256・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/256
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257・大矢省三
○大矢委員 私の問わんとすることは……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/257
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258・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。どうぞ質疑をお進めください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/258
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259・大矢省三
○大矢委員 国家公安委員会の委員長には国務大臣が当るのだから、その管理のもとにある警察庁長官においてなぜ二重に総理大臣の承認を得なければならぬのか。もつと簡素化して、私が劈頭申しましたように、あなたはこれの経験者であり、せつかくの修正でありますから、なぜそれをしなかつたかというそのことの理由です。そうすれば一体どういう支障があるかということをお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/259
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260・西村直己
○西村(直)委員 その国務大臣は、公安委員長として、公安委員会という合議体で人選をして参ります。なるほどあなたの言われるように、内部ではある程度の連絡はできますけれども、一応公安委員会の仕事であります。公安委員会が公安委員長を代表にして、こういう人を任命したいが、承認してくれ、こう来るのでありますから、私は矛盾でもないし、また二重でもないと思います。事実上は事前になり国務大臣としての要求はあろうと思います。会議体であるからさしつかえない、またやらなければいかぬ、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/260
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261・大矢省三
○大矢委員 私の尋ねておる趣旨が十分徹底してないと思う。私の言わんとするところは、あなたは専門家であるからして、こういう事柄についてはきわめて単純に明答しなければいかぬ。しかるにこの管理の下に置くというのだから、今の国家公安委員会が最高の指揮権を持つておる。その下の警察庁長官は、しかも専任大臣がおるのですから、その下できめてもさしつかえないのではないか。つまり総理大臣が公安委員長の国務大臣も承認しなければならぬ、任命しなければならぬ……。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/261
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262・中井一夫
○中井委員長 静かに願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/262
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263・大矢省三
○大矢委員 こういう意味において総理大臣の任命を受けなければならぬような、同じ公安委員会の下にありながら、二人総理大臣の指令を受けなければならぬということは、非常に複雑になりはしないかということを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/263
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264・西村直己
○西村(直)委員 国家公安委員会が任命する。そうしてそのもとで、その承認を条件にして国家公安委員会が主体的に任命をするわけであります。公安委員長としてその国務大臣は公安委員会の中で動いて、それが任命をするのに対して総理大臣に当るのです。もとより警察行政の一面的な面だけを考えれば単純な任命が一番早いでしよう。しかしながらあくまでも公安委員会を権威あらしめ、かつ中立性を維持せしめる意味において、やはり公安委員会が公安委員長を通して、そうして総理大臣の承認を得る。この手続については矛盾もなければ、また最小限で中立性を保つ方法であると私は解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/264
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265・大矢省三
○大矢委員 そこが意見の相違かもしれませんが、私は公安委員会の全意で、しかもその上にある長は国務大臣ですから、それでけつこうではないか。さらにその上にもう一度総理大臣の承認を得なければならないことは、この手続上あるいはまた実際上公安委員会の権威にもかかる、こう考えますから、なぜそういうことをしたのか、そうしなければどういう支障と不都合が起つて来るかということを聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/265
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266・西村直己
○西村(直)委員 簡潔にお答えいたしますが、おそらくあなたの御質問を詰めて行きますと、総理大臣の承認はいらぬのではないかということだと思いますが、私どもはやはり総理大臣という政治の最大かつ最高の責任者であるところの者の承認によつて、初めて警察行政の責任の明確化というものを求めておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/266
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267・大矢省三
○大矢委員 これはこれ以上聞きません。責任の立場において初めて国家公安委員長は国務大臣でなければならぬ。そうしなければこの責任の所在が明確でないということを説明しておる。その点はそのままでおいて、さらにもう一つやつておるからこれを尋ねたのであるが、その点は意見の相違としてそれでけつこうであります。
次に例の大都市警察の廃止を一年間延期したことでありますが、これについて私はかわつた方面からぜひお尋ねしたいことは、この特別市制を中心として都市と府県側に鋭い対立のあつたことは、皆様の御承知の通りであります。そこで人口五十万ということでありますから、九州の福岡が入ると思いますが、こういう大都市の警察行政と府県の警察行政というものは、非常な特殊な事情があるということはしばしば門司君からも言つた通りであります。そこでこの一年間と期限を切つたことは、特別市をめぐつて府県と大都市の間の鋭い対立が、将来これを残すのだ、むしろこれによつて拍車をかけることになりはしないかということを私は心配するのですが、そういうことについて考慮を払われたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/267
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268・西村直己
○西村(直)委員 ただいま大矢さんの御質問の中で、ちよつと一言御訂正を申し上げておきますのは、五大市でありますから、地方自治法の第百五十五条で政令によつて指定するという市には福岡は入りません。その点は御了解願います。それから特別市との関係は、われわれは関係ないというふうに考えております。一年間を準備期間として考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/268
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269・大矢省三
○大矢委員 これも西村氏は専門家でありますから、大都市の警察行政と、それから市の行政というものはどんなに関係が深いか、こういうことで非常に不自由を感ずるから、二重、三重監督その他市行政にきわめて関係深い警察行政を何とかしたいということで、長い間特別市制の運動があつた。そうして二十三年に初めて自治体警察ができて、ようやくなれたのです。それを取上げた場合の不自由さということを、一年間置くというときに考慮を払われていなかつたのか。最初からないのならあきらめます。しかし一旦あつて、これがただちに府県の方にまわつて、それが特別市制を通じて、非常な感情的の対立のあるときに、これをやつた場合にどういう結果になるかということを想像されたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/269
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270・西村直己
○西村(直)委員 私どもは特別市制とは直接関連なく考えました。ただ大矢さんの言われる大都市としては相当費用も使い、みずからの警察を持つたという誇りと愛着というものについては十分理解はできます。しかしながら同時にいわゆる広域警察であり、かつ民主化という線を求めて行つて、結局一年後におきましては、府県本部を中心にして市域から選ばれた公安委員を入れたものによつて、何と申しますか、中心と申しますか中間地帯をそこに求めることが妥当であると考えて、この修正案をつくりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/270
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271・中井一夫
○中井委員長 この際お諮りをいたします。ただいまの申合せの時間では、質疑は十二時までに終らない場合も考えられますから、万一そのような場合は、委員各位にはまことに御苦労には存じますが、明日午前零時五分から開会して質疑を続行し、討論採決を行いたいと思いますが、いかがでございましようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/271
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272・中井一夫
○中井委員長 御異議がございませんから、さように決定をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/272
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273・大矢省三
○大矢委員 特別市の警察部長は市内における署長、警視の任命権を持つておりますか。これは持つていないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/273
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274・西村直己
○西村(直)委員 ちよつと質問の趣旨が聞えませんでしたので、恐縮ですがもう一度……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/274
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275・大矢省三
○大矢委員 市の警察部長が大都市におけるところの警察署の署長の指揮監督と、大都市の警察の所属職員の指揮監督をする、こうあるのですが、任命権は持つておるのかどうか、この点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/275
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276・西村直己
○西村(直)委員 大矢さんの質問はこうだろうと私が想像しては失礼かもしれませんが、たとえば大阪の警察署長の任命権はだれが持つのか、こういうのですね。これは府県警察本部長というのが一年後においては起る事態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/276
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277・大矢省三
○大矢委員 この職員を指揮監督するというのは、御承知の通り大阪の例を引くと、大阪市内に八千数百ある。それ以外の府にはその三分の一しかおらない。それだけに重要な都市行政である。そこでこういう指揮監督するという名前だけを置いて、何ら任免権がないようなことではほんとうの指揮監督を地方行政に徹底できるかどうか、この点を心配する。それからついででありますから聞きますが、今度の警察法の改正と相並んで府県の財政の上で大きな地方税法の改正その他があつた。そこでこの一年間そのまま延期をすることにした結果、その財政的な措置は府県側で受けるのか、市が受けるのか。(発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/277
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278・西村直己
○西村(直)委員 前段の御質問ですが、指揮監督ですね。なるほど任命権者、任命権を持つておる者が指揮監督に徹底することは明らかであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/278
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279・中井一夫
○中井委員長 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/279
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280・西村直己
○西村(直)委員 しかし先ほどから申し上げますように、ある程度の事務は市の警察部長が統括し、その範囲内では相当程度の指揮監督をすることができるし、それから向うに対しては責任もとれるのではないか、こういうふうに考えております。それから後段の御質問はちよつと聞えなかつたのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/280
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281・大矢省三
○大矢委員 さらに一年後において、都市警察が任免権も持たない単なる形式的な警察部長をもつていたしまするときに、これは今後非常な問題が残されるということは想像にかたくないのであります。私はきようこういうことを聞いた。あなたは聞いていられるかどうか知りませんが、この修正案が三派でまとまつたその直後において、五大都市に関係ある知事が、来年の四月の選挙にはわれわれをどうしてくれるのだ、われわれは自由党に協力して来たのだ、しかるに来年の四月に選挙を控えてこういうことは、われわれをどうしてくれるのだと言うて自由党の総務会にねじ込んだといわれておる。一体こういうものの考え方というものは、知事に有利なように選挙干渉しようということを逆に物語つていると思う。従つてここに詰問をいくらしても、かつてのそういう府県知事あるいは警察方面に必ずやそういうことがあり得ることは、これはだれしも想像することです。そこでこういうことでないと考えられるかどうか、すなわち府県側と市側との間にこういう対立が感情的にも非常に強くあり、また実際面としてこういうことが起つておるということを考えなかつたかどうかということをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/281
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282・西村直己
○西村(直)委員 私どもは、なるほど五大市側と府県側とに多少いろいろ意見の相違があつたことは認めております。従つてその意味も多少あるでありましよう、順次に円滑なる移行ということも考えられるでありましよう。同時にまた市域から府県本部に入りましても、そのための公安委員なりその他を考えておるのでありますから、私どもはこれで円滑な行き方が十分とれるのではないか、目的は公安を維持するという一つの警察行政自体が目的でありますから、その大目的において十分一致できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/282
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283・大矢省三
○大矢委員 それ以上答えられないかもしれませんが、私はその点が非常に心配である。これは後日必ず具体的な問題になつて来ますが、ここ一年間は猛烈な対立が府県と市の関係で問題になります。そうでなければやつて行けない。これはいろいろ意見の相違でもあるし、そういうことがないというあなたの答弁の通りならばそれはけつこうなことだ。私はそれを期待しておりますが、どうも私はそれに反するような考えを持つておる。先ほど尋ねました経費の負担というものは、この一年間はどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/283
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284・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 今回の修正の違つて参りますのは、今まで政府の原案におきましては、府県の警察ということでございましたから、府県の負担がふえて五大都市の負担がなくなるわけでございますが、それが逆になるわけであります。これをいわゆる財源の偏在という点から申しますと、今までは五大都市の方に偏在がありましたのが、今度は五大都市の方に偏在がなくなりまして、逆に府県の方に偏在を生ずるということになるわけであります。五大都市と五大府県との全体を通じて観察いたしますと、結局財源偏在の段階が違つて来ただけでありまして、総体の交付税と申しますか交付金と申しますか、その額は特別な変更を要しないのじやないかというふうに考えておりますが、しかしこれはなおよく検討いたしてみたいと考えております。いずれにいたしましても現行制度の運用の上で調整ができるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/284
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285・大矢省三
○大矢委員 幸い鈴木さんが来ておられるからお聞きします。警察法の問題について、この改正の結果大都市、特に自治警察行政と市の行政とに大きな影響のあることは、自治庁を管理しておる責任者である鈴木さんが一番よく知つておられると思う。そのことをたくさん例をあげて私は尋ねたいと思つておつたのですが、齋藤さんにしても小坂さんにしても、その点のピントがはずれておる。従つて私は聞くことはむだだと思つて聞かなかつた。そこで私は鈴木さんにお尋ねしますが、一体こういう大改革に、しかも地方の行政にきわめて大きな影響を持つ改正について自治庁に相談があつたか、その相談に対してどういう態度をとつたか、しかもこの修正において、なおさらこういう府県側との間の対立に拍車をかけるような一年という期限を切つた。むしろこういうふうに悪く修正された結果からいつて、そのことについて相談があつたのか、あるいはなくてもその結果というものをどういうふうに考えておるか、この二つです。これを出す時分と修正のときにおいてその結果。こういうことについて、次長の鈴木さんから特に伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/285
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286・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 この警察法案を政府が提出する場合におきましては、自治庁はもちろん協議を受けております。地方自治という立場と警察の特殊性という点から考えまして、政府案といたしましては両者を調整した案として提出されたわけでございます。それから修正案の点でございますが、これは私どもの段階と申しまするよりも、三党間のお話合いのように承つております。それはあとから拝見いたしましたが、案の成立の際におきましてはあずかつておりません。それからこの政府案及びこの修正案を通じた結果について、どういうように考えるかというお話でございますが、私どもといたしましては、いろいろの点において地方自治の要求と警察の要求と両者の折衷ということでございますから、必ずしも一方の意見が決定的に違つているということは言えないと思いますが、しかし実際の制度の問題といたしましては、このような案が現実の案としてやむを得ないものではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/286
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287・大矢省三
○大矢委員 一年と切つたことについて、これは大都市の事務の引継ぎ、その他財産処分等もあるから置いたのかもしれませんが、一年置いたのはその理由があつて置いたんですから、この問題は将来必ず引続いて起きる問題だと思いますが、そういうことを考慮に入れられておつたかどうか、将来のことは別だというようにお考えになつたかどうか、これは重要な点です。必ずやこの問題は起きて来ますから、その点をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/287
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288・西村直己
○西村(直)委員 一応私どもそういう点は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/288
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289・藤田義光
○藤田委員 関連して。私は提案者の関係もありますが、一点だけこの機会に小坂国務大臣の所見を伺つておきます。
それは小坂大臣の就任後の答弁の中で、今回の改正案の提案理由は犬養前国務大臣とまつたく同一であるということを明言されております。そこで私はお伺いしたいのでありますが、本日の議員立法権に基く三派の修正におきましては、私がるるここで申し上げるまでもなく、三浦法制局第一部長もおりまするが、今回の改正の一つの軸心でありますところの人事権に対しまして、非常にドラステイツクな改正がなされております。従いまして私は、これは犬養さんの提案理由の趣旨は相当な変革を来しておると思うのであります。言葉をかえれば、この人事権と都道府県警察ということが今回の改正の二大軸心である。その一方の方が折れてしまつておる。従いまして提案理由の説明がまつたくかわつて来るわけでありますが、この点に関する小坂さんの所見をこの機会にお伺いしておきたい。私はあくまで政府原案を最上なりとして数十日にわたり言明されて参りました政府委員の立場、心中察するに余りありますが、それに関連するまたいろいろの責任問題等も今後発生する危険を包蔵するような大修正であります。その点に関しまして、私はこの際挙措進退を明確にすることが、権力行政に関する警察法案の修正にあたり、政治家としてとるべき最大の要諦ではないか、かように考えますが、責任の関係と人事権を中心に改正案の軸心の一本が折れてしまつた、これに対する小坂大臣の心境と、国務大臣を引受けられました責任上の今後の成行きというものにどういう御心境を持つておられますか、この機会に率直にひとつ心境を披瀝していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/289
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290・小坂善太郎
○小坂国務大臣 率直に申し上げますが、国会の今回の御修正に関しましては、当委員会を通じて、しばしば尊敬すべき御意見を承つておつたものがここに結実したものと考えます。そこでそれがただいまお述べになりましたように、人事権というものの軸心を折つたかどうかということでございますが、私はさようには考えません。要するに今回の改正は、あくまで民主的な警察を能率よく国民のために治安を確保する、こういう目的でございますが、その際公安委員会というものの活用をどの程度にするか、そうしてどういうふうな表現にしたら最も活用がなされるかということにつきまして、いろいろの御意見を承つたわけでございます。そこでこの修正案によりますと、たとえば国家公安委員会の場合は、これが非常に表面に、さらに一層あざやかに出て来たということはございますが、そのことによつて私どもの意図するところのものがかわつたというほどのことはないのであります。私どもはあくまで警察行政というものは民主的にやる、その一つの軸心というものは公安委員会の活用である、こういうことを申し上げておるのでありますが、その公安委員会と警察機能とのチエツク・アンド・バランスの原則をどの程度に持つて行けば最もよく均衡をとれるか、こういう考え方でございまして、これはせつかくのお話でございますが、私どもは軸心を折つたというようには考えておらないのであります。
さらにこの改正案の原案を最上のものと信じて来た者の責任いかんということでございますが、これは民主的な国会運営というものをよく理解しております政府といたしましては、立法府と行政府の関係も、これまたかくあるべきものという姿はよく存じておるつもりでございまして、国会の御修正には政府は従う。それも政府の考えの軸心を折るほどのものでないのでございますし、この御修正をなさいますれば、政府はそのように従うということは当然だと考えております。今後の成行きにつきましても、いろいろいきさつのあつたことでございますし、この法律の制定ということは参議院の通過を待つて期待し得るわけでございますが、その後におきましても、一たび事のきまつた以上は、十分その間に心を新たにして、よくその所を得て警察行政の全きを期したい、かように考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/290
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291・中井一夫
○中井委員長 石村英雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/291
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292・石村英雄
○石村委員 ごく簡単に二点お尋ねいたします。今度の三派修正で地方自治法関係を改める必要があるのではないかと思うのですが、その点いかがでございますか。全然必要ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/292
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293・鈴木俊一
○鈴木(俊)政府委員 特に調整をするほどの必要はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/293
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294・石村英雄
○石村委員 ところで、これは提案者にお尋ねしますが、長官の任免が総理大臣の承認を得て国家公安委員会がやる、承認を得ない場合には違法だ、こういうお話でしたが、違法ではあるが無効か有効かという点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/294
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295・西村直己
○西村(直)委員 この点は法律技術でありますから、法制局の方からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/295
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296・三浦義男
○三浦法制局参事 その点は先ほど私からお答え申し上げましたように、違法ではあると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/296
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297・石村英雄
○石村委員 違法だということはさつきの御答弁でわかつたのですが、違法であるが、無効か有効かということです。違法をあえてした場合、その任命が法律的に有効であるかどうかという点をお尋ねいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/297
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298・三浦義男
○三浦法制局参事 承認を得たり、同意を得たりしますことが任命の場合の条件になつておりますので、その条件を欠くことになれば違法であり、かつ有効ではない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/298
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299・石村英雄
○石村委員 違法であるというのは全然法律的に無効だという意味ですか。それともそういう条件を具備してないから取消されるという意味なんですか。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/299
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300・三浦義男
○三浦法制局参事 実質的にもちろん無効だとお考えになつてけつこうだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/300
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301・石村英雄
○石村委員 実質的にという御説明はちよつとわかりにくいのですが、まあいいでしよう。ところで提案者はしきりに率直に提案を読んでくれ、こういうお話なんですが、私も率直にそれを聞いて、同時に政府の従来の説明も率直に聞くのですが、今度のこういう提案者の修正によりますと、従来政府の改正案の趣旨が治安責任を明確にするという点、それからこの政府原案に対して警察国家になるんじやないかというようないろいろな質問に対して、公安委員会があるからいいんだということで、結局人事権を政府が直接握ることによつて治安責任が明確になる、こういうように受取れたのですが、こういう修正がなされると人事権を握つたと言えないと思うのですが、政府はこれでも治安責任は原案通りに明確になつておるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/301
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302・小坂善太郎
○小坂国務大臣 ただいま法制局の方から答えがありましたように、総理大臣の承認ということが条件になつております。条件を満たされない法律行為は有効でないということであります。従いましてこの総理大臣の承認という条件が、結局におきまして治安の責任を明確化することになると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/302
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303・中井一夫
○中井委員長 石村英雄君の質疑は終りました。他に質疑の通告もございませんから、松永東君外十五名提出の両修正案に対する質疑は終局いたしました。
本日は間もなく午後十二時となりますのでこれまでといたしますが、先刻の委員会の御決定に基きまして、午前零時五分から引続き開会いたしますからどうかこのままで暫時お待ちを願います。
本日はこれにて散会いたします。
午後十一時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904720X06219540514/303
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