1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月二十六日(金曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 大西 禎夫君
理事 小平 久雄君 理事 首藤 新八君
理事 中村 幸八君 理事 福田 一君
理事 山手 滿男君 理事 永井勝次郎君
理事 加藤 鐐造君
小川 平二君 小金 義照君
始関 伊平君 田中 龍夫君
村上 勇君 笹本 一雄君
長谷川四郎君 柳原 三郎君
加藤 清二君 齋木 重一君
帆足 計君 伊藤卯四郎君
中崎 敏君 川上 貫一君
出席国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
出席政府委員
外務政務次官 小滝 彬君
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(軽工業局長) 中村辰五郎君
通商産業事務官
(石炭局長) 佐久 洋君
委員外の出席者
通商産業事務官
(通商局長) 牛場 信彦君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
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二月二十四日
電力料金値上げ反対に関する請願(黒金泰美君
紹介)(第二三三一号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
日中貿易促進に関する陳情書
(第一〇五九号)
イラン石油の輸入に関する陳情書
(第一一〇六
号)
水火力調整金制度の撤廃及び発電県特別料金の
設定に関する陳情書(
第一一〇七号)
石炭鉱業対策に関する陳情書
(第一一〇八号)
同(第一一〇九
号)
を本委員会に送付された。
―――――――――――――
本日の会議に付した事件
特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出第二号)
貿易に関する件
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/0
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001・大西禎夫
○大西委員長 これより会議を開きます。
まず特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案について御質疑はございませんか。——齋木君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/1
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002・齋木重一
○齋木委員 私は本案に閥して、全体の性質においては反対をいたしません。しかし説明書にもある通り、わが国物価指数から申しましても、二十円、十円を、五割増しで上げるのはどうか。有効期間の二年の延長、それ自体は私どもはもつともだと思います。しかし上げるならば、もう少し上げるか、そのままにしておくかという問題なんです。上げることの本旨をひとつお聞きいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/2
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003・佐久洋
○佐久政府委員 この前御説明申し上げましたように、物価の値上りと労賃の値上り、その他の関係で、事業遂行上やむを得ず納付金を値上げいたすのでありますが、この納付金の値上げは、もちろん鉱業権者の負担の均衡も考えなければなりません。負担の均衡という点から考えますと、二十円、十円をきめました当時と比べまして、炭価そのものも五割はど値上げになりつております。かりに五割値上げしても、負担の不均衡は起らない、なおまた、十円、二十円の五割増しで十分に計画通りの鉱害の復旧ができる、こういう考えから決定されたものでありま発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/3
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004・齋木重一
○齋木委員 五割炭価が上つたと言つておられますが、五割上ると、予算書としては一体幾らの値上げになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/4
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005・佐久洋
○佐久政府委員 ただいま御質問の、五割上ると幾らになるかというのは、どういう趣旨かちよつと了解ができませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/5
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006・齋木重一
○齋木委員 二十九年度においてです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/6
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007・佐久洋
○佐久政府委員 二十九年度においては、六億六十九百万円であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/7
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008・大西禎夫
○大西委員長 他に御質疑はございませんか。——伊藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/8
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009・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 ちよつと希望意見を申し上げます。この特別鉱害復旧臨時措置法の一部改正につきまして、有効期間が二箇年間延長されるということは現状においてはやむを得ないのであります。またこの延長二箇年間に、残る工事を完全に復旧させるということについて、予算の裏づけ等の問題について、佐久石炭局長初め関係の人々が、非常に苦心、努力されたことは、私この際認めて、感謝したいのであります。
ついては、なぜ二箇年間延長ばさなければならなかつたかということについて、政府側に深い責任感と反省を求めなければならぬと思うのであります。というのは、五年の期間内に完全に復旧をして、地元市町村及び被害者の被害を救済するということに責任を持つてやらなければならなかつたものが、遂にできなかつた。なぜできなかつたかというと、工事計画の変更もありましたけれども、その工事の障害になつたものは、物価の値上りによつて工事費が足らなくなつたということにあるのであります。この物価の値上り変動は政府の政策上から来ておることであります。このために工事がやれなくなつたから、これに対して被害地側としては、政府の怠慢というか、責任回避の点を糾弾し、恨んでおるのであります。しかし事ここに来ていかんともしようがないのであります。工事を二箇年間延長して完成させなければならぬように、現実問題としてはなつたのでございます。そこで私はこの法案を通すにあたつて、政府に強く要望しなければならぬことは、過去においてそういう期限内にできなかつたということも、政府の政策と、政府がこれに対して力強い責任感の上に立つてこれを遂行されなかつたところにあるのでありますから、今後二箇年のうちに、今度は完全に元の土地、元の家屋あるいは水道工事、その他のものについて、一切責任を持つて政府がこれを完成してやる、これは絶対に責任を持つてやらなければならぬということの強い決意をしてもらわなければならぬ。この責任感について、私は政府の決意のほどをこの際伺つておかなければならぬのでありますが、私が危惧するのは、政府の政策から来る物価変動のために、あるいは工事費が足らなくなつた、あるいは特別負担をどうする、あるいは政府負担をどうするかというようなことで、話がまとまらないでがたがたして、これが二年たつても完成しないというようなことで、またぞろ延ばさなければならぬということになつて来ると、私ははてしがないと思う。また地元側からこれに対する政府側の責任追及が、非常に強いものが起こつてくると思われる。そこで今度にか年間延長内には、是が非でもこの工事を復旧完成してやる、その間に物価変動等の問題で工事費が足らなくたつた場合においては、政府はその工事費を責任を持ち、そうして工事を完成さす、この点も私はひとつ明らかにしてもらわなければならぬと思うのであります。先日石炭局長から、大蔵省との話合いにおいても、そういう場合においては相当了解を得てあるということが言われておりましたけれども、五年前のときにもそういうことは明らかになつておるのであります。それが四箇年以上五年たつ今日に至つて完全に行われておらぬ。そのために、工事費が足らぬから工事が思うようにやれなかつたのだ、だからこのあとの二箇年間においては必ず政府が責任を持つ、そして通産大臣におかれても、もし再びさようなことがある場合においては、通産大臣みずから大蔵大臣あるいは政府との関係においては自分が責任を持つてやるから、再びそういう迷惑をかけるようなことはしないという決意を持つてこの二箇年間延ばされるのであるかどうか、しかたがないから一応二箇年間延ばすのだという軽い考えであるか。もう今後再びそういう迷惑はかけぬ、今度の二箇年間延長は至上命令的に政府が責任を持つのだという決意に立つて二箇年間延長されるということになつたのであるかどうか、私はこの法律を通すにあたつてそのことを聞かなければなりません。われわれも委員会で、あるいに二箇年あるいは五箇年、あるいはさらにまだできないで延ばすとか延ばさないというところから、地元市町村長、あるいは被害者たちがまたぞろ押しかけて来て問題になるようでは、私どもこの法律を審議した責任者としてもはなはだ不明を謝さなければなりません。そういう点からこの二箇年延長は、もし政府の政策上から来る物価変動によつて工事費が足りなくなつた場合においては、主管大臣としての通産大臣が責任を持つて大蔵省、政府との間に解決をして工事を完成さすという強い決意を持つてもらわなければなりません。そして完成してもらわなければならぬと思うのでありますが、そういう点に対して、通産大臣の工事に対する決意のほどをこの法を通すにあたつて伺つておかなければなりません。
それから佐久石炭局長から、政府委員として、当の責任者として、この工事を完成させるためにいろいろ困難な点があるなら承つておきたい。そして再び三たび延長しなくてもいいように、この法を通す前に私どもその点を解決しておきたいと思う。そしてわれわれも共同責任の上においてそれを解決した上で、この法を通さなければなりません。その点が大丈夫であるというなら、大丈夫であるということを聞かしてもらいたい。なおどういう点を努力しなければならぬかというような点があればわれわれも聞かしてもらうし、大臣もおられるところで大臣責任の上で解決して、大臣の所信を伺つておきたいのである。以上の点を、これは質問にもなりますが、さらに私のこの法を通すにあたつての強い希望として、政府側の所信を伺つておきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/9
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010・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまの伊藤さんの御指摘の点はまことにごもつともと存ずるのであります。今回政府の態度といたしましては、二箇年間の延長をしていただきましたならば、その間に工事の復旧完成をなし遂げるという決心でごいざまして、万一物価変動等によりまして工事費が不足をするというようなことがございました場合におきましては、政府の責任におきまして、特に通産省といたしましては全省をあげて大蔵省その他の意向をとりまとめまして、不測の事態が起らないようにするというかたい決意をしておるような次第でございます。その決意を裏づけるものといたしまして、過去のことになるかと思いますが、過去五年間の経済状態の変遷と、今後二箇年間におけるわれわれが見通しております経済状態の間にはかなり差異がございますが、そういうことはこの際申し上げないことにいたしましても、責任をもつて工事を完成し、また万一工事費が足らざる場合には責任をもつてこれを補填するということを、私といたしましてはかたく決意をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/10
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011・佐久洋
○佐久政府委員 いろいろ伊藤先生からお話がございましたが、従来特別鉱害で非常にむずかしい問題だというのは、最初にどの地区を特別鉱害として認定するかという問題がございましたが、これはすでに決定済みの問題でございますから、問題はございません。それからただいま御提案申し上げました納付金の引上げと期間の延長の問題が解決すれば、あとは計画通りの事業を遂行するという段階だけでございまして、特別鉱害については特別の問題はないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/11
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012・大西禎夫
○大西委員長 他に御質問はございませんか。——それでは本案に対する質疑は終了いたしました。
引続いて本案に対する討論はこれを省略して採決に入ります。特別鉱害復旧臨時措置法の一部を改正する法律案に御賛成の諸君は御起立を願います。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/12
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013・大西禎夫
○大西委員長 起立総員。よつて本案は全会一致をもつてこれを可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたします。本案に対する委員会報告書作成の件につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/13
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014・大西禎夫
○大西委員長 それではさよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/14
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015・大西禎夫
○大西委員長 次に前会に引続き貿易に関する件について調査を進めます。質疑を継続いたします。永井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 砂糖の問題につきまして、この際大臣にお尋ねをいたしておきたいと存ずるのであります。御承知のように砂糖の最近の値上りは非常なものでありまして、家庭生活に及ぼす影響が非常に甚大である。単に値上りというだけではなしに、生活の面からする各家庭のこの問題に対する関心というものが非常に重大になつて来ていると考えるのであります。政府におきましては、この国内における砂糖の暴騰に対して、本日の新聞ではバターとしての生糸との関係における輸入はこれをチエツクするというような記事が出ていたのでありますが、当面通産省がとつている砂糖対するいろいろな政策、また今後とろうとするこれらの対策について、一応お尋ねをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/16
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017・愛知揆一
○愛知国務大臣 砂糖の問題につきましては、この一月末以来国内の価格の高騰が見られておりますことは御指摘の通りでございます。そこでそれに対する対処の方策といたしましては、一つは二十九年度の外貨予算の編成についての相当具体的な政府の態度がまだ打出されておりませんので、それと関連して二十九年度以降砂糖がどれだけ輸入の外貨割当があるかということが不明確であるという点から、相当思惑的な相場の動きがあるということが、私どもから見ますれば否定できないところであると思うのでありまして、従つて政府といたしましては、砂糖の輸入をどの程度にすべきか、また砂糖を用いるリンク制度等について今後どういうふうに改善すべきかということについて、至急対策を立案し、かつ発表しなければならないと考えております。今日のところ具体的詳細な案はまだ御説明するに至つていないのでありますが、たとえば農林省方面等におきましてもいろいろの案を考えるのでありまして、これらとの間に至急話合いをまとめてみたいと思つております。それから今御指摘の生糸とのリンクの問題でございますが、これは私どもとしては、原則的にはあまりリンク制度というようなことは好まない建前をとつておるのでありますが、昨年、二十八生糸年度の不作、不況等の関係から申しまして、輸出価格の関係から生糸の輸出を促進するために、ある程度の砂糖とのリンクということを認めて、きわめて臨時短期間の措置としてこれを実行に移したわけでございますが実は当初予想いたしましたよりも非常に多量の生糸が、わずかの期間におきまして輸出の商談がまとまるというようなことになりましたので、とりあえずこれは一週間くらいで、大体九千俵くらいと思いますが、大体この程度のものがはけた現状におきましては、臨時応急の措置というものはしばらく見送つた方がよいのではなかろうかということで、これは一時差控えることにいたしたわけでございます。そういつたような関係から、さらにまた砂糖の将来の価格が上ることもあり得るかと思うのでありますが、砂糖については申すまでもございませんが、どこまでをもつて生活必需物資と唱えるかというような点につきましても、相当考えなければならない点もございます。それから輸入の総量を一体何十万トンに見るのが国内の正常な需給関係から見て妥当であるかというような点についても慎重な研究を要すると思いまするので、これらにつきまして、先ほど申しましたように、できるだけすみやかに根本的な考え方と方法とを打出すことにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/17
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018・永井勝次郎
○永井委員 砂糖の最近の暴騰につきましては、これは一年間の大体の従来の消費は、ここ長い間一応百万トン、こういうような安定した数字があり、それを七十五万トンに切るであろうという、こういうことが値上りの一つにもなつておるのでありましようし、あるいはタイムリーの問題といたしましては、この一月から三月に入れるべき二十何万トンの予定の砂糖が現在五万トンより輸入していないというような、こういう関係もありましよう。あるいは国内におけるそうしたいろいろな状況を見通しての思惑というものもありましよう。しかしながら何と申しましても、砂糖のアメリカ方面における原価は一斤十九円内外である。これに船運賃なり保険料なりあるいは関税その他を含めましても、日本の土地に上る砂糖の原価は大体斤三十三円内外ではないかと思います。これに消費税その他を加えましても、原価は四十六、七円内外である。こういうものが現在その倍額の九十円内外の時価になつておる。この関係においては、だれがこの利益をとつておるかといえば、これはほとんど十九社ある砂糖の精製工場がこの利益を収奪しておる、こういうような状況にあるのでありますが、私はこういう事柄について、国内におけるいろいろな配給面、及びこれらに対するいろいろな措置ついては、いろいろ問題がありますが、これは農林省所管であるから別といたしましても、単に今日のこういう暴騰というものが、こういう政府の輸入計画というようなものだけに原因があるのか、あるいは国内における配給その他の制度の措置の不備なためにこういう結果が来ておるのか、私はそれは一つの原因にはなつておるでありましようか、これは本質的なものじやない、かように考えるのであります。本質的なものはほかにある、こう考えるのでありますが、大臣はこの今日の値上りの原因がどういうところにあるのか、先ほど思惑ということがありましたけれども、思惑だけではこのような値上りはしないと思うのでありますが、この点について、今日の値上りの原因がどこに胚胎しているか、これらの諸条件について御明示を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/18
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019・愛知揆一
○愛知国務大臣 私は先ほど思惑という言葉を用いたのでありますが、結局私は今いろいろおあげになりましたような問題が全部総合的に価格つり上げの要因になつておると思うのであります。しかし何といつても私は根本は他の物資についても同様の傾向が多少見られるわけでありますが、どれだけの輸入計画が認められるであろうかということについての気迷い状態が今一番の基礎ではないかと思います。それと関連して将来国内における砂糖の配給等について、何らかの措置があるのではなかろうかというようなことがまたからみ合つているのではなかろうかと考えております。従つて私どもとしては、農林省と早く協議をまとめて、具体的な見通しというものをはつきりさせる、あるいは需給関係について特に正常なる絶対必需品的な向きに対しましては、心配はないのだ、需給関係からこういう関係になつておるというようなことを、できるだけ早く啓蒙もいたしたいというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/19
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020・永井勝次郎
○永井委員 今大臣は需給関係からであるというお話でありますが、私はそれだけではないと思う。もしそうであるならば砂糖というような面、あるいは羊毛というような面、そういう面において、こういういろいろな形が出て来ておる。これは砂糖だけの特殊な事情でもなければ、羊毛だけの特殊な事情でもない。こういうものは輸入関係のいろいろな品目にこういう形が共通に現われて来ておる。こういう共通性から見て、われわれは論理的にはつきりとその結論がつかめるのではないか、それを私は、なぜこういう事態が共通した一つの諸条件の中で出て来ておるか、こういうことに対して、もつと空漠とした、思惑であるとか、需給関係であるとかということだけではなしに、具体的な一つの条件として、大臣はどういうふうな把握の仕方をしておられるのか、これをひとつ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/20
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021・愛知揆一
○愛知国務大臣 その具体的な把握と申しますのは、たとえば製糖会社の問題等のことでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/21
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022・永井勝次郎
○永井委員 私は、そういうことではなくして、これはこういうふうな共通の条件が出て来ているということは、為替レートに問題があるのではないか。入れるときには三百六十円という一つのレートで抑えて国内に入れて、これは自由経済でぶつ放してしまう、為替の実勢レートからいえば、これは何といつたつて現在は国際的には実際は五百四、五十円ぐらいのところじやないかと思う。そういう高い価格で日本の為替価値がレートの上で規定されておる。それを三百六十円で入れて、あとは自由に放任するから、その国際価格水準の価格差というものがその面で国内にふくれて来て、こういう暴騰が出て来ておる、それが共通した条件である。それが特殊に大きな形で現われて来ておるのが砂糖の面であり羊毛の面である。各種目の中に、特異性はありましようけれども、そういうふうに現われて来た根本は為替レートの問題じやないか、それから国内における自由経済の一つの自由党の政策の行き詰まりじやないか、こうわれわれは考えるのでありますが、この点について、先ほど来承りますと、大臣はただ単にこれは思惑である、需給関係である、来年度の計画のまだ確定していないためである、そんななまやさしいところに問題の根本はあるのではないのじやないか。こういうところに基礎があるのではないか。大きく日本の為替関係、あるいは国際的な一つの経済政策の転換をしなければ、従来のようなやり方で、個々の問題を一つ一つつぶして行く、対処して行くというような、そんななまやさしい段階ではないのではないか、こういうことを聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/22
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023・愛知揆一
○愛知国務大臣 御質疑の趣旨は、よくわかつたのでありますが、私はやはり砂糖とかある特定の商品についての最近における具体的な価格の暴騰等については、先ほど来申し上げておりますような原因が大きく響いていることは否定できないと思います。しかし全般的に現在の日本の貿易の関係から申しまして、一口に言えば輸出には非常な努力がいる。しかし、たとえば外貨の割当てを受けて輸入をすれば、何を輸入して来ても相当の利潤が上る。こういうようなところから、その問題の根本は、為替相場が実勢と乖離しているからであるというように見ることはできないかという御趣旨ではないかと思うのでありまして、これはある程度において、私どももその通りだと思います。要するに現在の為替といいますか、三百六十円が必ずしも実勢と表裏一体をなしていないということの一つの問題としては、日本の国内物価と国際物価との開きというところにも現われて来ていると思うのであります。さりとて、日本のように、原材料を大量に輸入するのでなければ、輸出をして外貨の獲得ができないという国柄から申しますれば、私は三百六十円というものは、どうしても堅持して、そうしてそれに合せるように基本的な物価水準を下落させるような方策を、できるだけ努力してやつて行かなければならないのが、現在の日本の状況であると私は考えておるのであります。
ところで物価の問題にいたしましても、これは申すまでもございませんが、物によれば、現在でも輸出価格が大体国際価格の水準で輸出ができるものもございます。物によれば、国内価格と国際価格が非常に開いているものもございます。それから戦前の状態におきましても、必ずしも単純に物価と為替相場だけを比較して、それがものさしとして完全なものだということはできなかつたような状況でございますから、必ずしも今ある種の物価だけを比べて、これだけの開きがあるから、それで為替相場が実勢と乖離しておる、あるいはきわめて狭い国際的なやみ市場において、円札がどれだけの値段であるというようなことから、ただちに結論的に、これは為替相場が乖離しておるのだから、為替を切り下げなければ根本の対策にならないというような説は、私としては現在とりたくないのでありまして、先ほど申しましたように、三百六十円ということにできるだけ合せるような努力を内外に対してやつて参らなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/23
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024・永井勝次郎
○永井委員 現在の為替レート、三百六十円の価格を堅持して行く、こういう考え方においては、われわれもある程度賛成であります。堅持して行かなければなるまい。堅持するとすれば、その次堅持を可能とするいろいろな経済政策というものが、総合的にこれにくつついて来なければいけない。そういうものなしに、ただ堅持するのだ、堅持するのだと言つても、外貨割当を受ければばかでも為替レートの関係からもうかるのだ。もうかることをそのままにしておいて、そうして外貨割当の運動を適当にやる者だけがもうかつて、それの被害を受けるのは国民全体だ。こういう条件をそのままにしておいて、そうして堅持するのだというやり方はおかしいじやないか。これが自由経済だというものの考え方は変ではないか。もしそうするならば、そのような三百六十円の為替レートで輸入して、そうして、たとえば砂糖の関係からだけ申しましても、こういう計算から行きまして、少くとも年額数百億の利益は上つておる。この数百億の利益が上つておるのを黙つて放任しておいて、そうして砂糖の消費規正だというので、現在一斤二十三円五十銭くらいの消費税を二十円にして、それで消費の規正だといつて、やつていることがおかしいではないか。それならば、もつと為替レートに関する管理方法をするなり、国内におけるそういう物価を、低物価政策に逆行するようないろいろな現象に対してチエツクする一つの政策が樹立されなければならないのではないか、そういう用意は何もしないで、そうして為替レートは堅持だ、低物価政策だというのはさか立ちしているのではないかと思うのでありますが、大臣はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/24
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025・愛知揆一
○愛知国務大臣 先ほど申しましたように、今後の外貨予算の編成及びそれの運用等につきましては、現在きわめて深刻かつ熱心に政府部内の意向をとりまとめておるわけでございます。私どもとしてはこれをできるだけすみやかに立案をし、かつ公表したいと思つております。その関係におきまして、ただいま御指摘になりましたいろいろな点につきましても、われわれとしても十分すでに研究もいたしておりますし、何分の善処策を講じて参りたいと思つております。
それからこれはひとり輸入の問題だけではございませんで、一方輸出の関係につきましても、そのために輸出は輸入に比べて非常な努力がいるのが現状の姿でありますから、輸出に対する奨励策——これは消極面、積極面いろいろあると思いますが、この方もまたいろいろの措置をあわせ講じたい考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/25
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026・永井勝次郎
○永井委員 為替レートの関係から申しますならば、輸入は非常に有利であつて、輸出が非常に困難になりますことは、これはもう三歳の童児といえども明らかにわかる。輸入の面は、今のように入れるところは三百六十円で抑えて、あとはもうけほうだいに自由にまかしておく、そしてこれを国民の負担で収奪する。輸出の関係になると、国際市場で闘わなければならぬから、そういうかつてなまねはできない、海外市場においてはたたかれておる、たたかれて来ると、その面において出血輸出をして、それの埋め合せだと称して今度はさらにその出血分を二重価格で国内に転嫁し、さらにバーターなり、リンクなりで出血した分に対する出血補填という形でバナナを入れたり、あるいは砂糖を入れたり、生産財でなしに主として消費財のようなものを入れて、ただ一つの商社の経常のバランスだけを合させる。こういうことで一つの課題である日本経済の樹立あるいは国民経済というような立場から離れた一商社の帳じりのバラスンだけをはかつておるというのが現在の自由党の政策ではないか、通産大臣は知性に乏しいといわれる自由党内閣の閣僚の中ではすぐれた人材であるとわれわれは考えるのでありますが、良心的な経済の運営の衝に当る通産大臣の立場といたしましては、このように一商社の利益のことだけをはかつておるような現在の貿易政策に対しては当然満足し切れないだろうと思うのであります。この形を現在の二十九年度予算で見ますと、金融その他いろいろな面から低物価政策によつて国際物価水準にしわ寄せして行くのだ、これにマツチさせて行くのだ、こういうことを言われておるのでありますが、実勢レートと実際の為替レートの間に大きな幅がある、こういう姑息な政策によつて、今度本質的な低物価政策でも何でもない、見てくれというような一つの低物価政策の看板を掲げたような政策で、はたしてこれに対処できるのかどうか。もつとそれ以上に踏み込んだ根本的な貿易振興政策、あるいは今言つた日本の経済自立の政策が総合的に推進されなければならない、タイミングに行かなければらない、こういう問題が出て来ると思うのであります。そういたしますと、少くともその指向する方向としては自由経済ではない、計画的な一つの方向を打出さなければならぬ。従来自由経済を、やつて来た自由党の政策としては、大きな転換をいやおうなしにしなければならないところに来ているのではないかと思うのでありますが、これらの点についてまだ考案過程にあるといたしましても、もう少しはつきりとした総合的な大臣の考え方として、指向する方向を明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/26
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027・愛知揆一
○愛知国務大臣 全体の考え方といたしましては、私は二十九年度の外貨予算の問題は非常に重大な問題だということをかねがね考えておるものでありまして、いわゆる総合的な新しい政策の事で占める比重が非常に大きい。この点はただいま御指摘の通り、私も同感の意を表するわけであります。それに対してそれではどういう方法を考えておるかということでございますが、まず第一は、輸入金融というような面だけではありませんで、総合的な金融全体としての引締め方策が現在御承知のようにだんだん具体化されておりますが、この線が強く出て来るということが、お尋ねのタイミングの点から申しまして、これが一番先だと思います。もちろんその前に二十九年度予算案が、成立いたしまして、四月から執行されるとすれば、その効果が金融引締めの効果とあわせて滲透して行くことは申すまでもございませんが、これが第一の段階であると思います。一般輸入の問題につきましては、前々から申しておりますように、不要不急品とか奢侈品とかいうようなもの、あるいは大衆の生活や基幹産業に直接関係のない、がまんできると思われるものは徹底的にこれを切りたい。そのためにこういうふうな物資の価格がある程度上るということは、ある意味においては私は放置するもやむを得ないというふうに考えております。しかしながら物価引下げで国際的な輸出努力をしなければならないという全体の基調から考えて、日本産業に絶対必要な原材料というようなものの輸入は何としても確保しなければならない。これの確保ができなければ、原材料等の需給の関係等に対する不安がなおさら顕著になつて参りまして、その面から物価の騰貴が起るということは絶対に避けなければならない。根本は、輸入を必要なものについて確保するという措置が外貨予算の面ではつきり打出されることが私は大事なことだと思うのであります。第三に、これもただいまお尋ねの点でありますが、そういうものについての輸入によつてもうけるような場合、野放しにしておけばつじつまが合わないではないかというお尋ねでございますが、これも私は大体においてその通りと考えておるのであります。しかし一番基本で、今申しましたように絶対日本経済の自立を維持しなければならない、原材料等について、需給の関係から申して、あるいは国内の生産規模をこの程度にしたいというその規模とあわせ考えて、適正な輸入量が確保されるのだということが、はつきり予算の上でも打出されるならば、全体の需給関係から申しましても、そんなに価格が上るということは私は考えられないと思うのでありますが、しかしもしそういう事態が見通し得るようなことでありますならば、これに対しては国内的にももつと適当な措置を打出さなければなるまいと私は考えておるのでありますが、そういうところまで行かないで何とかやれるようにして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/27
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028・中崎敏
○中崎委員 議事進行について。お見かけの通り自由党のお歴々はほとんど見えない。野党はほとんど欠席者なしというわけです。これくらいわれわれは議事進行について熱情を持つておるというわけです。すみやかに委員長の方から呼び出してもらつて、熱心にやつてもらうように、野党を引きずつて行くという範を示していただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/28
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029・永井勝次郎
○永井委員 大臣は十一時半までよりこの席におられないということでありますので、最後に一つだけ締めくくりとしてお尋ねしておきたいと思う。そういたしますと、たとえば二十九年度の予算において、輸入の面においては、消費財をさいて生産財を入れて、日本の貿易の振興をはかるという基本方針は私はけつこうだと思います。そうすれば当然砂糖やバナナその他そういう消費的なもの、あるいは奢侈的なものは切る、こういうことは当然行われる。そういうものを切れば、その過程において思惑が起り、その値段が暴騰して来ることは明らかな事実であります。そういうことが一つの政策の切りかえの過程において大きな悪い波となつて、実際の低物価政策の方向への逆な現象が生起して来る、こういうことは明らかであります。従つて二十九年度において政策を転換して低物価政策の方針を打出されますならば、それから起つて来る諸条件というものは科学的に大体検討できなければならぬはずだ。そういうものをいろいろ科学的に検討して、それに対処していろいろなものを積立て積立てしてこういう政策を打出すのでなければ、それの過程に起つて来るいろいろな被害なり打撃というものは全部国民が背負い込むことになつてしまう。そういうことを全然考えないで、ただ一つの政策を打出して、そうして砂糖が上つたからこれに何とかしなければならぬ、羊毛が上つたから羊毛に対して何とかしなければならぬ、こういうことはあまりに知恵のないやり方ではないか。そういう過程を通して、早耳の者は得をし、おそ耳の者が損をするということは自由党の基本的な政策かもわからないけれども、国民経済的な立場に立てば、国民にしわ寄せされるこれらの諸問題は、政策の転換のときには、あらかじめ検討できるものは可能な限度において対処して行く政策をとらなければいけない。そういうことが二十九年度予算の中にはほとんどとられてない。また政策転換に対して何らそういう政策が自由党内閣に用意されていない。しかも為替レートが現在のような状態で、外貨割当をとつた者はばかでも七割も八割もただもうけできる。こういうことを放任し、また今後においてもそういうことに対して強力な計画的なあるいは統制的なものを打出そうとしないで、吉田総理は、計画なんてあしたのことはわからない、経済計画なんというものを持つ者は自由党員でないというような、何十世紀前の思想であるか知らないが、そういう考えでやつておられるということになれば、今後のいろいろな通産関係の業界においては大きな問題であろうと思いますが、先ほど来の大臣のお話を伺いましても非常にまだ抽象的であつて、具体的に了解する段階までには少しも行つておりません。またそういう考え方はわれわれはわかるのでありますが、それをそれでは具体的にどう現わして行くのかということについては、不十分であります。大体大臣はこれらの諸政策について、いつごろこういう問題をはつきりと打出されることができるのか、それからそういう具体的なものが出ないまでも、さしあたつて、こういう為替レートの関係から出て来ておる不合理な、厖大な利潤というものに対してチエツクする、緊急に対処する何らかの政策をお持ち合せであるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/29
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030・愛知揆一
○愛知国務大臣 その具体的な政策を打出す時期というお尋ねでございますが、私どもの考え方は、何と申しますか、生きものの経済に対して画一的にある時期をとらえてどうするというふうな考え方ではございませんで、必要と認められるものから随時打出して参りたいと考えております。早いものはもうすみやかに具体的な措置として現わして参りたいと思います。それからものの考え方の基本でございますが、先ほどもちよつと申しましたが、私は現在起つておる現象は、思惑とかあるいは見越し輸入とかいうものであると、そう考えるのですが、かりにそうだといたしますると、早耳であつたりあるいは先行きを非常に取越して見ていろいろ手を打つた、そういう人がかえつて経済的にも非常に打撃を受けるというふうなやり方が、私はわれわれのやり方としてはいいやり方ではないか、一つはそういうふうな考え方をとつております。これは私どもが総合的な見通しとか計画性を何ら否定しているわけではないのでありまして、政府全体の考え方としてこういうふうなやり方をやるのだということに対して、それを信じないか、あるいは故意に逆に考えて、その裏をかくというようなことがありました場合には、その裏をかく人がかえつて経済的に損をするということを、実際の体験上、そういうふうな経験をしていただくようにしたいものだと思うのであります。それから同時に、しかしそれはそんなことを言つたつて、そう簡単に行くものではないという御批判が当然あると思いますが、そういう場合におきまして、どうしてもそれだけではいかぬという場合におきましては、またそれに対応するような措置を講ずるだけの用意は常にして参りたい、二段構えに私は考えておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/30
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031・永井勝次郎
○永井委員 もう一つさしあたつて為替に対して何らかの管理制度を設けるお考えはないかどうか、当面緊急の措置としてそのお考えがあるかどうかお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/31
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032・愛知揆一
○愛知国務大臣 そのお尋ねの趣旨が、何かドラステイツクな、非常に目新しいような為替管理についての措置をとるのかという御趣旨でありますならば、そこまでは考えておりません。しかし先ほど来申しておりますように、外貨の割当の方式等の運営の問題をも含めまして、現在鋭意検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/32
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033・中崎敏
○中崎委員 まず自動承認制についてお聞きしたいのであります。この制度としては、一応まああり方としてはよかろうということで実施されたわけですが、本年の一月から、思惑等の事情もありまして申込みが殺到して、今日遂に停止されておる実情であります。そうしてこれが今後どういうふうにされるのか、盲動承認制については三月までなのか、さらに四月以降、つまり二十九年度以降どういうふうにされるのか、それについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/33
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034・愛知揆一
○愛知国務大臣 自動承認制については、ただいまも御指摘がありましたように、私どもは過去においてはこれは非常にいい制度だというふうに考えておつたのであります。ですからできればこれを復活させたいというふうに考えつつ、先般これを一部クローズし、あるいは原則的にこれをとりやめにいたしたのであります。その後ただいま申しましたように、いろいろ外貨割当の方式等につきましては、一度すつかり問題を全部上程いたしまして、どういうやり方をすることが最も妥当であろうかということで研究した方がよかろうというふうに私は考え直しまして、これは通産省だけではやり切れる問題でもございませんので、政府部内あるいはその他の関係者等の意見をも徴しながら、現在鋭意検討を続けておるのでありまして、今のところ自動承認制をある地域あるいはある品目等について、いつから再開するというところまでは、今申し上げる段階まで、まだ私ども研究も結論も得ておらぬのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/34
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035・中崎敏
○中崎委員 ただいまの大臣の御発言は通商局長の発言との間に重大な食い違いがあると思います。通商局長はこの前の通産委員会においても、スターリング地域内についてのことと思いますが、これは四月——九月の六箇月間の間は二十八年度と同じように自動承認制の上に立つて、そのわくもこれを減らさないのだ、そういうことを承認して来たということを、これは一局長個人じやないでしようから、日本の政府を代表しておつしやつたと思いますが、そうすると通産大臣の今の発言と大きな食い違いがあるように思うのでありますが、この点をはつきりしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/35
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036・愛知揆一
○愛知国務大臣 ちよつと私の申し上げ方が抽象的に過ぎて相済みませんでした。先ほど申し上げましたように、私は自動承認制というものを従来の考え方からいつても非常にいい制度であると考えて参つたわけです。それで、その後全体の様子を達観いたしまして、これも全体の問題のうちの一環として総ざらいに再検討しようというふうに考え直しました。それで先ほど申しましたように、ある地域あるいはある商品等については、その研究の結果におきましても、こういうものは残した方がよかろうし、活用した方がよかろうというような結論になると思うのでありますが、ただ具体的に、どれとどれ、どういう地域についてはどうするというだけの全体の結論を申し上げる段階に至つておりません。ですから全部やめると申したつもりではないのでありまして、総合的に再検討をして、物によつては、あるいは対象となる地域によりましては、この制度の存続ということを考えるというところにおちつくであろうと私は予測しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/36
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037・中崎敏
○中崎委員 それでもまだ納得行かないのですが……。通商局長が話をして来たのは、協定として締結して来たのですか、調印して来たのですか、一体その効力とそこのところをはつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/37
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038・牛場信彦
○牛場説明員 ポンドからの自動承認制だけは存続するということを約束したわけです。金額は年間四十七百万ポンドで、その半額だけを四——九の予算に計上する、品目は十月一日の通りということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/38
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039・中崎敏
○中崎委員 それでは通産大臣との意見にやはり食い違いがある。言いかえますと、今のポンドに関するわくと品目ですね、これを去年通りにきめて来たということですね。そうするとどういうふうに通産大臣がお考えになつても、この点においては変更の余地がないということになれば、これだけは決定なんだ、そのほかをどういうふうにいじくるか。たとえばオープン・アカウントとかあるいはダラー圏内におけるこういうものをどういうふうに考えるか。少くともスターリング圏内においてはもう決定した、こういうふうに考えるのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/39
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040・牛場信彦
○牛場説明員 その通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/40
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041・中崎敏
○中崎委員 非常に問題が今重要な点で重要な食い違いがあると思いますか、一応この点は、通産大臣の考え方がもう少し責任を持つてはつきりとほんとうを言えば全体をまずスターリングの協定をする際に、ダラーの場合においてはどうするのか、オープン・アカウントの地域においてはどうするのか、そういうものが総合的に検討されて、その結論として、それではポンド圏内においてはこういう交渉をして来い、こういうとりきめをして来いということを決定されるなら納得が行くわけです。ところが行き当りばつたりで、何でもかまわぬから向うの言いなりにきめて来い、こういう形における交渉は、すべて日本をして非常な不利益な地位に追い込みまして、大きな損害だと思う。もう少し計画性を持つて、そうして高いところから将来のことを十分考えながらこうした問題と取組んでもらわないと、為替の問題についてもほんとうに行き当りばつたり、どうなるかわからぬというふうなことで、国民が大きな不安の中に巻き込まれておるのが現状じやないかと思うわけです。一応その問題はそういうことにいたしまして進めたいと思います。
さて石油の問題でありますが、この問題について、通産大臣は先般来委員会において二回もイランからの石油の輸入は日本にとつては好ましいのだ、言いかえれば、安い石油が輸入され、逆に見返りとして日本からの物資が輸出できるのだ、一挙両得である、ただ国際的な関係があるためにこの点は慎重考慮を要するというわけであつたのでありますが、但しその際において、西山大使も向うに行つておるし、それから通商局長なども向うのイギリス当局と交渉中である、そこで今のような日本のためにはイランからの石油の輸入は望ましいのであるということを考えつつ善処して行きたいということだつた。ところが通産大臣が発言しておられるときには、すでに通商局長はイギリスと決定してしまつて、どんどん日本の国に帰つて来ておる。言いかえますと、通産大臣はまだわれわれには向うで十分輸入ができるように交渉をするという期待を持たしておつた。またそういう熱意を持つているようにわれわれは考えていた。ところが通商局長が帰つて来てわれわれに報告するところによると、イギリスに対する問題については全面的に譲歩してしまつたのだ、交渉の余地はないのだ、こういうふうな発言をしておるわけなんです。これを私は非常に意外に思うのです。この点をはつきりしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/41
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042・愛知揆一
○愛知国務大臣 ただいまおあげになりました私のこれまでの発言はその通りなんでございます。それからそれは私といたしましても、できるだけ誠意を尽してそういう段階になるようにということを望んでおつたわけであります。その後いろいろまた、たとえば日英会談の代表者も帰つて参りまして、それから外務省筋へもいろいろ御相談を続けておるということも事実なんでありまして、ごく最近におきましても、日本の油の現在の需給の状況や為替状況から申しましても、そのこと自体について取上げてみるならば、イランの石油を買うということについては、通産省の立場としても、今に至りましても非常にけつこうなことであると考えまして、外務省の方にも常に私の方の立場の通報にも努めておるようなわけであります。私自身が直接イランあるいはイギリスとの折衝に当つてはおりませんけれども、そういう方向の連絡に当る人たちに対しましては、通産省の立場というものを十分よく通報をいたし、また理解をしてもらいまして、折衝に当るようにしてもらつておるというのが今日の現状でございます。全然だめになつたというふうに私は考えておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/42
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043・大西禎夫
○大西委員長 それではちよつと申し上げますが、大臣がどうしても時間がないそうでございますから、通産大臣に対する御質問は、もしきようでなくてよろしければ、次に機会をつくりますから、向うの方へやつていただきたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/43
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044・中崎敏
○中崎委員 私は相当いろいろ問題があるのです。とりあえずこの問題に集約しておるところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/44
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045・大西禎夫
○大西委員長 外務政務次官も来ておりますから、そちらの方へ御質問願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/45
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046・中崎敏
○中崎委員 日英会談については、通商関係の方ですから、通産省所管の問題も多いと思うのです。それについて、まず通商局長なんか代表として行つたのでしようが、こうした重要な問題、たとえばイランに関する石油輸入の問題を一応放棄した。ある期間、要するに向うの話がつくまで一切日本としてはタツチしないということに一応譲つて来ておるわけなんですが、そういうふうな問題と通産大臣が先ほど言つたこととは違うわけなんですが、そういうふうなことについても一応訓令を仰ぐと思うが、どこで一体そういう決定をされておるのか、そこらのことを一応聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/46
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047・愛知揆一
○愛知国務大臣 その関係をこまかく申しますとこういう関係になつておるのであります。両国の代表が調印をした書類等におきまして、イランの石油を入れないということを確約するというようなことはないのであります。そこで数回前の当委員会でも申し上げたと思いますが、但しこれは国際的に非常に微妙な問題でもございまするし、今後こちらとしても残されておる問題の一つでありますが、たとえば金融上の便宜を供与してもらいたい、またその他の話がございますから、それらとの関係からいつても、英国なら英国との間の雰囲気、こういうものを十分よく私どもといたしましても理解をしなければならないというようなことで代表者の帰るのを待つておるというような状態にあつたわけでございます。それらがどういう雰囲気であるか、どういう問題についてどういうふうな意向であるかというようなことについては、直接にもお聞取り願つたかと思うのでありますが、なかなかこれはやはり複雑で微妙な関係にあるということを私もあらためて確認せざるを得なかつたわけであります。しかしながら先ほど申しましたように、両国の代表者相互間において具体的に、たとえばイランの、石油は絶対に入れないんだというようなことを調印をしているというような性質の問題ではないと私は理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/47
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048・中崎敏
○中崎委員 それでは結局において自由にやれるのですか。言いかえれば、イランに日本の石油会社が独自の立場において交渉して、これはイランは売りたくてしようがないのであるし、非常に安いいい品質の石油だから、どんどん業者の方で買えるのかどうか、そこを聞きたいのです。調印しておるか、してないかというよりも、日本の政府が縛られていても、日本の商社がイランの石油を買いつけて来ようと思えばできるのかできぬのか、政府は許すのか許さぬのか、そこがお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/48
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049・愛知揆一
○愛知国務大臣 縛られているということではございません。条約上の義務とか何とか、そういうことは私はないと思う。しかしながらそうだからといつて、イランとの間だけがよく行けばいいということだけで処理はできないのではなかろうかと思います。大局的な国際関係をよくにらんだ上で、誤りなき態度をとりたい。このために大きな、かえつて他の予測せざる障害があつてはいけないのではなかろうかということの関係を十分に政府全体といたしましては顧慮しなければならぬ問題だと思うのであります。従つて業者が自由に行つて買つて来られるのか、それに対して放置しておいてよろしいのかというお尋ねでございますが、これはそうは行かないと思う。日本政府として自主的に措置しなければなりませんが、その自主的な措置の場合は、国際関係の微妙な問題でありますから、十分慎重な措置をしなければならない。で現在のところといたしましては、これは外務省の考え方もあると思いますけれども、そう簡単に行かないのではなかろうかと私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/49
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050・山手滿男
○山手委員 この問題は通商局長からこの席で御説明を聞いたことから端を発しておると思うのでありますが、今の大臣の御答弁は少し甘くて違つておるように私は印象づけられておるのであります。というのは、イランからは石油を直接日本は買わないということを約束をした。石油の問題は非常に向うも関心を持つておつて、単にイランだけでなしに、どこからでもよろしいが、英国側が入手する石油に対しては、日本の石油外貨を一定限度以上は割当てるという約束をして来た。そういうことが石油に関する今度の日英支払協定の日本側の負つた責任である。そういうことが明らかにされておるわけです。これは私は非常に問題になろうと思うのですが、二億ドル近く日本が石油を輸入することになるわけでありましようが、それじや石油のどれだけの部分を英国側に割当てるのか、イランからは買わないという上に英国からは何割を買うという約束をしておられるのか。大臣は石油の問題について詳細な御報告を受けておられないのじやないかと思うのですが、この席で明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/50
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051・愛知揆一
○愛知国務大臣 私の申し上げておりますことは間違いの点はないと思いますけれども、しかし具体的数量等について当の交渉に当られた通商局長もここにおりますことですから、私のおりますところで御報告申し上げさした方が確実かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/51
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052・牛場信彦
○牛場説明員 イランの石油問題につきましてはこの前私ここで申し上げたと思いますが、要するに絶対に買わない、手を触れないということを申したのじやないのですが、日本が方針をかえれば先方も何かそれに対抗する措置をするかもしれないということを先方は申しておるわけでありまして、そういう状況においては、それでは当分買わないことにしようということを申したわけであります。しかしながらこれは期限を切つているわけではありませんし、自主的な行動を全然縛られている形ではないと思います。それからイギリスに対して何パーセントの割当を与えるかということにつきましては、過去の終戦後の実績をずつと計算いたしまして、大体その実績通りということになつておりまして、決して過大な割当を与えたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/52
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053・中崎敏
○中崎委員 日本の方で方針をかえればと言われるが、日本の方でどういう方針をお持ちになつておるのか。そのきまつておる方針をかえればということなのだから、きまつた方針というのはあつちで話合いをして来た、要するにイランからは当分の間石油は買わない、それがきまつた方針だろう、それをかえればというのは、今度買うという考え方になれば、イギリスではほかの報復的な対抗措置をとるだろうということだと思うのですが、私の言うのはその方針はかわらないという、それははつきりかわらないのじやなくて、結局買われないようなふうの承諾をして来たというか、話合いになつたわけだ。そういうふうにして買わないということになつたのは事実だ。それじや困るというのがこつちの言い分なんです。それでたとえばアメリカの場合には、従前からイランの石油とは何ら直接の関連性を持つていない。それが今度アメリカが割込んで行つて、イギリスと同じようにおれの国もお前の石油を扱わせろ、その割合はイギリスよりもおれの方によけいに扱わせろということを今交渉しておるのだ。何ら関係のない第三者が入り込んで行つて、しかもアメリカの石油は世界的の生産力があるというのだけれども、そこへまで割込んで行つてうまくやろうとしているというわけなのです。そうすると日本では問題になつて、ああした裁判でも日本が勝つて、日本の商社が石油を輸入するのは当然であるということが法律的にも確定して来ているわけなんです。それは日本ではまた死活問題で、石油を安く買わなければ日本はどうにもできない、そういう状態にあるのだから、従前通りに——量はいろいろ検討の余地はあるだろうけれども、日本においても従前通りにある程度輸入をさしたらどうかということを極力向うに話合いをして、その話くらいはおみやげに持つて帰つたらどうかということを私は聞いたのです。それを簡単に向うへ譲らなければならぬという理由は、ほかにもいろいろ取引はあるだろうけれども、取引があると言つても、この間も言つたのですが、日本の方では輸入は多いんだ、スターリング地域からいえば輸出が少いわけだ。だから日本の輸出の程度くらいは、関税障壁とかいろいろな方法で制限を加えないで輸入程度ぐらいのものは、日本が輸出するおみやげ品くらいは輸入を許してくれということは言えるわけなんだ。しかもこのイランの輸入問題とは切離していいわけなんだ。だからして何もイランの問題と関連さして不利益な上にも不利益を忍んで来なくてもいいじやないかというのが私の主張なんです。そこで交渉の経過において、このイランの石油を譲らなければならなかつたという根拠、経緯をはつきり聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/53
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054・牛場信彦
○牛場説明員 私どもは政府の訓令で交渉をいたしましたので、別にイランの石油を入れさせようと思つて話をしたわけではございません。ただ向うの方からそういうことを申したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/54
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055・中崎敏
○中崎委員 何を言つているのか、わけがわからぬじやないか。そんなことを聞いておるんじやない。結局においてイランの石油の問題を譲つて来たのだから、なぜ譲らなければならなかつたか、その根拠、経緯を明らかにしてくれということを言うているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/55
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056・牛場信彦
○牛場説明員 これは先方の輸入制限緩和及び金融措置の問題と関連した問題でありまして、イランの石油問題がその一翼として話にのぼつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/56
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057・中崎敏
○中崎委員 そんないいかげんな答弁ではいけない。今のイギリスとの間の問題とは違う問題なんです。なぜイギリスとの間の交渉の過程において、イランに関する石油の問題を譲らなければならなかつたという関連性、その理由は一体どこにあるかということを具体的に説明してほしいということを言つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/57
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058・牛場信彦
○牛場説明員 これは先方の輸入制限緩和を得ることと、それから金融の免許を得ることのためであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/58
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059・中崎敏
○中崎委員 そうすると、やはりイギリスとの間の取引のためにイランの問題を犠牲に供した、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/59
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060・牛場信彦
○牛場説明員 犠牲に供したと、あるいは言えるかもしれませんが、要するに現在あの話は交渉中の問題であります。つまりイギリスとアメリカとイランとの間で、その解決もそう遠くはないだろうという見通しもありましたので、その事情も考慮して一時犠牲に供したということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/60
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061・中崎敏
○中崎委員 その点は外務次官にもお聞きしたいのでありますが、何しろ石油の問題は、日本としては非常に重大な問題です。これは日本だけではない。石油のことについては世界が血まなこになつておる問題です。ことに石油のほとんどない日本としては、特に為替でも行き詰まつて非常に困つておる日本としては、少しでも安い石油を、しかも良質な石油を輸入したい。しかも今度は逆に日本から物資の輸出ができるのだから、非常に一拳両得の関係にある、そういうものであるから政府においても相当腰を入れてこの問題については強く押し出してもらいたいというのが私たちの要望であつたわけであります。ところが今話を聞きますと、通商局長はきわめて簡単といいますか、ほとんどノーズロ的にこの問題を解決して来たような感じを持つのでありますが、外務省の方においては、たとえば今イランにおいても石油野問題は交渉中である。ところがある程度の数量を自分の国で持つて、たとえば一〇%でも二〇%でも自分の手で持つていて、日本なら日本と話合いをするだけの余地をとつておきたいというのが、今英米間で話合いをしている。そういうときに、日本の方から呼び水を出して、日本でも相当買うだけの用意があるのだ、こういうことをちよつと言つてやると、イランの方でも相当強気で、一つの余地を残して、英米側に当つて、ある程度幅を持つて将来日本との取引の余地も残るわけなんです。それを簡単に、もうイギリスの方との話合いにおいて、あなたの方にまかせましたというふうな、そういう感じのかけ引きでやつておられたのでは困るので、この際日本政府の方では、イランの方で強く話をしてくれ、そうすれば日本でも十分買う用意があるの、だというふうな呼び水を入れるだけの用意があるかどうか、そこのところをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/61
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062・大西禎夫
○大西委員長 中町君に申し上げますが、通産大臣は向うからやかましく言つて参りますから、これで向うへやりますから、どうぞ御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/62
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063・中崎敏
○中崎委員 それでは問題を次の機会に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/63
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064・小滝彬
○小滝政府委員 先ほどから通商局長が説明しておりますように、絶対に買わないというような約束をして来たわけではございません。ことにいつまでも日本の方で、これを買わない措置をとろうとしておるのではなくて、現に西山大使がイランの方へ行つておりまするので、この機会にこの問題を打開するようにという考えで、話合いをするように鋭意努力しているわけであります。しかし中崎さんはしきりに安い石油というふうにおつしやいますが、なるほど今までは安かつたんですが、現に英米とイランの間では、石油についても話合いが進んでおる。これは御承知の通りであります。ところが西山大使が向うへ行かれましての話のぐあいでは現在イランの方は石油の問題よりも米の問題に関して非常な熱意を持つて、ぜひ米を買つてもらいたいということを言つておる。石油の問題については今までと相当態度が違つておるというのが実情でございます。しかりとするならば、一体どうしてこういうように態度がかわつたかといえば、英米との話が相当進行しておるというように見てさしつかえなかろうと存じます。これがいつ話がつきますか、まだここではつきりしたことを言明することはできませんけれども、イランの方でも、考え方によりましては英米の方からロイアルテイーをもらつて、きちんとドルをもらつた方が都合がいいというような考慮もあるのじやないかと考えます。もちろんイランの、取り分があつて、それがカルテルの価格と違つて非常に安くかつてに売れるということになれば、おつしやるように非常に安いものが、しかもバーターや何かの取引によつて来るということになりますが、はたしてそれだけの自由なやり方をイランとしてなし得るかどうか、その点も今後の交渉にまたなければならぬと思つております。しかし日本といたしましては、できるだけ広い範囲で買いたい、イランとの貿易関係も非常に重要でありますので、現に日本側といたしましては、両国間に貿易とりきめをつくるように折衝させておる段階であります。でありますからして、この問題は、日本の方で自制いたしまして、ここ当分買つておりませんが、今の見通しでは英米との話もそう遠からずつくという状況でありますので、今後は日本の方でイランの石油も買い得る余地が出て来るであろう、また一日も早くそういう事態になるように期待いたしまして、せつかく努力を続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/64
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065・中崎敏
○中崎委員 現実に石油がほとんど世界トラスト、カルテルによつて非常に一方的に値段をつり上げられておる。ところがイランの場合においてはそれと関連性なく今までやつて来ておつたために、価格も諸般の条件も日本には有利であつた。今後の交渉においてこれがある程度カルテル側と話合いが進められるということは考えられるわけであります。しかしそれにしても、今の政府自身が売る場合と、ある程度協定するにしても、このカルテル側において、また自分で扱つて、やる場合とは、いろいろ条件の点においても、依然として日本にとつては直接話をした方が有利だということは必然的に考えられる。その程度が今まで通りだということは言えぬかもしれぬけれども、しかしそれだからといつて英米の石油カルテルによつて独占されておると同じほどに不利益じやないということは当然言えると思う。だから日本の政府としても、あべこべに日本からも見返りの輸出もできるんだから、両方の意味もかねて、強力に今、後においてもイランの石油を買うような方向に努力してもらうことを要望しておきたいと思います。
通産大臣が帰られましたんので、あとはこの次の機会に質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/65
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066・永井勝次郎
○永井委員 私は通商局長に、この次でいいですから資料を出していただきたい。外貨割当についてできるだけ詳しい資料を、みなほしいだろうと思いますから、この委員会に出してもらいたい。それからその中で、今の砂糖に関連しまして、名古屋製糖に対して二十七年の秋八十五万ドルの割当をしたことがあるかどうか、それが原料用生産資材として機械購入名目で許可を与えているかどうか、その八十五万ドルがどういうふうに使われたか、この資料を出していただきたい。十三万ドルは米国から確かに機械を購入している。しかし二十二万ドルで粗糖を輸入している。五十万ドルをフイリピンの方に投資しているというようなことが言われておるのであります。この八十五万ドルの原料用生産資材として割当ててあるその内訳、これはどういうふうに実際に使つているかという詳しい資料を提出してもらいたいと思います。
次は軽工業局長にちよつとお尋ねしたいのでありますが、小野川セメントから石綿工場新設の許可申請が出て、一旦それをひつ込めて、また昨年の十二月に再提出されている。これがアメリカとの合弁で、しかもその大部分がアメリカ資本である。資本構成の内容から見て、半分以上、七割五分くらいの資本がアメリカから入つて来ているというような会社の設立を一体認められるかどうか。それからこれがもし許可を与えられた場合においては、それによつて国内既設の工場は全部だめになつてしまう。現在ある工場でも稼働率は大体施設の五五%だということを聞くのでありますが、その実情はどうなつているか。現在施設が過剰になつているという実情の中に、こういう外国資本を入れた許可の申請に対して、当局はどういうふうにこれを取扱う方針であるか、それから政府は二重投資をしないようにということを強く言つておるのでありますが、もしそういう許可を与えるということになれば、二重投資も二重投資も、話にならぬと思うのでありますが、そういう関係はどういうふうに考えているか、一括して御答弁願いたい。これらについての詳しいことは、いずれ木材関係の小委員会もあることでありますから、それで詳しく掘り下げて行きたいと思いますが、一応これをこの委員会において御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/66
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067・中村辰五郎
○中村(辰)政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。小野田セメントとアメリカのジヨンスマン・ビルとの技術提携の問題に対しましては、先ほどの御質疑のうちに、前に申請が出て取下げた、こういうお話がございますが、前の申請は仮申請と承つております。正式の申請は、御質疑の中にございましたように十二月五日にされております。合弁でいたします会社の資本金における比率でございますが、私の知つております関係について申し上げますと、最終の段階におきます比率は、二五%がジヨンスマン・ビルの出資、こういうぐあいに考えておるのであります。
なおこの取扱いについての問題でございますが、この問題は正式申請がございまして、通産省、特に関係深い私の局といたしましては、ただいま御質問の中にもございました国産品との性能上の検討ということを技術的にいたす必要がございまして、目下この技術的な優劣の点についてそれぞれの製品の性質を求めまして、技術的の審査をいたす準備中でございます。これらの検討の結果、技術提携を認むることが妥当であるかどうかということを決定して参りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/67
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068・永井勝次郎
○永井委員 そういたしますと、当局としては純技術的な立場で問題を処理しよう。経済的な関係は考えない。こういう基準で考慮せられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/68
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069・中村辰五郎
○中村(辰)政府委員 ただいまの技術的な見地を、まず実験その他の手段を通しまして検討いたしたい。さらにもちろん製品の経済性、特にコストの点等についても検討を加えて、総合的に判断いたしたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/69
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070・永井勝次郎
○永井委員 いずれこの問題については、小委員会において十分検討いたしたいと思います。きようはこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/70
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071・帆足計
○帆足委員 これに関連をいたしまして資料のお願いをしたいのですが、きのうの朝日新聞に、中国とヨーロツパの貿易の数字の概略が出ておりましたが、あれを見ますと、非常に日本が立ち遅れているような実情でございますので、至急西欧講国及びアメリカと中国との貿易の昨年の実績、及び日本と中国との貿易の品目別昨年の実績をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/71
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072・山手滿男
○山手委員 関連して。今石綿の話がありましたが、通産省の経過報告を聞いて私が非常に遺憾だと思う点は、日本のいろいろの建築様式や、やり方を見ておりますと、日本の国民生活に非常に大きな影響を及ぼしている住宅関係において、非常に封建的な色彩が濃厚に残つている。これを一掃するためには、国民の住宅に対する負担を軽減をしてやらなくちやいかぬという大きな経済効果から、こういう技術提携なんかについては早急な手が打たれなければならないじやなかろうか、こういうことを私は現に海外を、まわつて日本に帰つて来ると痛感する。ここで木材対策の小委員会ができたことについても、こういう趣旨から出発していると思うのであります。通産省が技術だとか何とかいつて、いたずらにのんべんだらりとしてこういう問題を遷延し、あるいは政治的にもいろいろな問題が起きるようなふうに持つて行く素地をつくつていることは、私は非常に遺憾に思います。これは木材の小委員長もおりますから、早急にこの問題をそこで検討して、政府の方でも入れるのか入れぬのか、そういうことをすみやかに決定してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/72
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073・大西禎夫
○大西委員長 本日はこの程度にして散会いたします。なお次会は明二十七日の午前十時より開会いたします。
午後零時十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904793X01619540226/73
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