1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十五日(土曜日)
午前十一時三十五分開議
出席委員
委員長 井出一太郎君
理事 小枝 一雄君 理事 綱島 正興君
理事 金子與重郎君 理事 川俣 清音君
秋山 利恭君 足立 篤郎君
佐藤善一郎君 寺島隆太郎君
足鹿 覺君 井谷 正吉君
稲富 稜人君 中澤 茂一君
出席政府委員
農林政務次官 平野 三郎君
農林事務官
(畜産局長) 大坪 藤市君
委員外の出席者
専 門 員 難波 理平君
専 門 員 藤井 信君
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五月十五日
農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正す
る法律案(足立篤郎君外十名提出、衆法第三七
号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した事件
農業団体関係三法案について参考人招致の件
酪農振興法案(内閣提出第一五四号)
農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正
する法律案(足立篤郎君外十名提出、衆法第
三七号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/0
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001・井出一太郎
○井出委員長 これより会議を開きます。
この際農民組合法案、農業委員会法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案について、参考人より意見聴取の件についてお諮りいたします。昨日の理事会の申合せに基きまして、これら農業団体関係三法案について、参考人より意見を聴取することにいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/1
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002・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
なお参考人の選定に関しましては、昨日の理事会の意見によりまして、直接この団体の関係者でなく、なるべく学界、農政評論界等より選定する方針のもとに、委員長に御一任願いたいと思いますので、この点御了承願います。
なお参考人よりの意見聴取は来る十八日(火曜日)午前十時より行う予定でありますから、御承知置き願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/2
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003・井出一太郎
○井出委員長 これより酪農振興法案を議題といたし、審査を進めます。本案につきましては、前回の委員会においてすでに質疑を終局いたしておりますが、ただいま川俣清音君より各派共同提案になる修正案が提出いたされております。その内容はすでに各位のお手元にお配りいたしておる通りでありますが、この際本修正案の趣旨について説明を求めます。川俣清音君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/3
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004・川俣清音
○川俣委員 私は各派共同提案による酪農振興法案修正の趣旨弁明を行いたいと存じます。
酪農振興法案の主要な修正点を簡単に御説明申し上げます。
第一に、第一条の目的でありますが、原案におきましては、牛乳処理法的色彩が濃厚で、酪農によつて農業経営を健全化するような酪農と農業経営一般との関連が必ずしも明確でなかつたのでありますが、この際酪農の急速な普及発達及び農業経営の安定をはかる旨の規定を加え、この点を明瞭にいたしたのでございます。
第二には、酪農振興計画の策定に当り、市町村、農協、同連合会等の意見を十分反映させるとともに、第十二条以下の規定により都道府県知事の行う施設の新設または変更についての承認が酪農振興計画に基き行われることを明確化するため、第三条に所要の修正を加えたのであります。
第三に、原案におきましては、集乳事業が生産者団体以外の独立の事業分野であるような印象を与え、中間取引機関が認められるような誤解を招くので、牛乳は元来農協が集荷しているのではなく、農協の共同販売事業として乳業者に販売いたしておるのが現実の姿なのでありますので、第十六条中「集乳事業又は乳業」という字句を削る等、所要の修正を加えたのであります。
第四は、原案におきましては、非常に草地偏重の色彩が強かつたのでありますが、集約酪農地域において合理的な酪農経営を行いますためには、耕地をも含めて自給飼料の増産がなされることが根本問題なのでありますので、第二節の表題を「集約酪農地域における自給飼料の生産のための農用地の利用」に改め、第九条に所要の修正を加え、草地のみならず、耕地についても生産計画を定めるほか、草種草生の改良事業を行い得るように修正をいたしたのであります。
第五に、都道府県が生乳等の取引の紛争のあつせんを行うにあたり、その効率的な運用をはかるため、農林大臣の協力を求め得るよう所要の改正を加えたのであります。
第六に、紛争のあつせんの申請を行うにつき、原案では手数料を納付する等の規定があつたのでありますが、これは生産者に相当の負担を与え、あつせん制度がその面から事実上くずれるおそれを考えましたので、これらの規定を削除し、生産者がいつでも容易にあつせんを申し出る機会を与えるようにいたしたのであります。
第七に、第二十一条の拒否せられた勧告案を公表する規定につき「当事者の秘密を除き」の事項を削つたことであります。この規定を置きますと、これを悪用せられまして、本条の趣旨が有名無実にされるおそれがありますのでこれを削除いたしたのであります。真に当事者の秘密に属する事項は条理上当然公表できないものと理解するのが妥当であろうと思うのであります。
第八の修正点は、酪農振興に関する重要事項を審議するため農林省に酪農審議会を設けるとともに、審議会に専門事項を調査させるための専門委員を設けることといたし、所要の修正を加えたのであります。予算の関係もありますので、この規定は予算の裏づけをまつて施行することといたしておるのであります。
なおこの際、審議会の委員でございますが、各派御懇談の上に生産者の団体を代表する者二名、乳業を行う者の団体を代表する者二名、学識経験を有する者八名以内といたしておりますが、学識経験を有する者八名の中には消費者代表も加える意味でございます。なお学識経験者には往々にして国会議員を学識経験者の中に加えておりまするが、本法の適用にあたりましては、各派共同の懇談の結果国会議員はこれを含めないことといたしておるのでございます。
以上修正案のおもなる点を申し上げた次第であります。何とぞ修正案につきまして御賛成あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/4
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005・井出一太郎
○井出委員長 ただいまの修正案に対して質疑があれば発言を許します。——別に質疑もなければ、これより討論を省略してただちに採決いたしたいと思いますが御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/5
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006・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。それではこれより採決いたします。
まず川俣清音君提出にかかる各派共同修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/6
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007・井出一太郎
○井出委員長 起立総員。よつて修正案は可決せられました。
次にただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/7
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008・井出一太郎
○井出委員長 起立総員。よつて酪農振興法案は修正案のごとく修正すべきものと決しました。
ただいま足鹿覺君より本案に対する附帯決議を付したいとの申出があります。これを許可いたします。足鹿覺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/8
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009・足鹿覺
○足鹿委員 ただいま議決せられました酪農振興法案に対する附帯決議を付するの動議を提出いたしたいと存じます。
まず決議案を朗読いたします。
酪農振興法案に対する附帯決議(案)
一、政府は、集約酪農地域として適当な地域についてすみやかに全国的調査を行うとともに、家畜資源、衛生、飼料、価格、販売、金融、財政等に関する諸対策を総合した酪農振興の基本計画の策定につとめること。
二、政府は、集約酪農地域の指定にあたり、広く全国の農村を対象とするため、夫夫の地域における経済的、社会的条件に相応した幅のある指定基準を設けると共に、集約酪農地域以外の地域における有畜農家創設事業の進展を遅滞せしむることなきよう注意すること。
三、政府は、乳牛の積極的な改良増殖を促進するとともに、乳牛取引における不当なる中間搾取を排除するため、適当なる共同購買態勢を確立するよう指導すること。
四、政府は、草資源の造成改良その他草地の利用を一層拡充するため道路、灌漑等の公共事業を起こし、且つ林地耕地等との調整につき速急に対策を講ずるとともに、国有林野のうち草牧地として適当なる地域については積極的に共用林野制度等の活用を図ること。
五、政府は、農業協同組合の行う集乳及び乳業施設に対しては、生産指導事業に結びついた一体的な事業分野として確立しうるよう強力に指導するとともに、その具体的助成措置を講ずること。
六、政府は、生乳等の不公正取引の防止に資する目的を持つて地方の実情に即し、都道府県農業協同組合連合会が取引契約の当事者の一方となるよう指導すること。
七、政府は、生乳の集団的飲用を奨励促進するため、食品衛生法に定める基準の特例を設けるとともに、学校、事業場、病院等が直接生産団体との間に継続的取引を行うよう指導し且つ設備等に対する助成の措置を講ずること。
八、政府は、乳製品に滞貨が生じ、酪農振興に支障を生ずるおそれがある場合には遅滞無く融資あつ旋等の措置を講ずること。
以上が決議案の案文でありますが、これの提出の理由等につきましては、先般来の審議の経過等にかんがみて各派で十分話合いをいたしたものでありまするので、これを省略することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/9
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010・井出一太郎
○井出委員長 ただいまの足鹿君提案にかかる動議に関しまして発言があればこれを許します。——別に発言もなければ、ただいま足鹿委員提案の通りに本案に対し附帯決議を付することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/10
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011・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めさよう決しました。
なおお諮りいたします。本案に関する衆議院規則第八十六条の規定による報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/11
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012・井出一太郎
○井出委員長 御異議なし認め、さよう決しました。
なおただいまの附帯決議は委員長報告の中に盛り込んで報告いたしますので、その点御了承を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/12
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013・井出一太郎
○井出委員長 この際お知らせいたします。ただいま足立篤郎君外十名提出農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案が本委員会に付託になりましたので、これより本案を議題といたし、その趣旨の説明を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/13
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014・井出一太郎
○井出委員長 御異議なしと認めます。
それでは提出者の趣旨説明を求めます。足立篤郎君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/14
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015・足立篤郎
○足立委員 ただいま議題に供せられました農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案について、提案の理由を御説明申し上げます。
農業協同組合及び同連合会は、農林漁業組合再建整備法及び農林漁業組合連合会整備促進法が施行せられまして以来、国より増資奨励金または利子補給金の交付を受け、その再建整備に努めておりますことは各位の御承知のごとくであります。
この過程におきましては、これらの組合または同連合会は、収支の成り立たぬ事業は廃止するとともに、これに関係のある固定設備等はすみやかに処分すべき必要があるのであります。
しかしながら、これらの固定設備のうちには、金融機関再建整備法によつて、前の旧勘定に属するものが多いために、現在、農業協同組合または同連合会が有しておりまする固定資産につきましては、調整勘定が閉鎖されまするまでの間は、主務大臣の認可を受けなければ、これを自由に処分することができないのであります。
右の事情は、組合及び連合会の再建整備を促進する上に重大な障害となつておりまするので、確定評価基準による評価が行われていない場合におきましても、暫定評価基準による評価のまま、調整勘定を閉鎖することができることとし、これらの固定資産の自由かつ早急な処分を可能とする方途を講ずることが肝要であると存ずるのであります。
次に、調整勘定に利益があつたときは、金融機関再建整備法によりまして、この利益は、まず、国から受けた補償金の返納に充当し、さらに残額のあるときは、確定損を負担して消滅した指定債務に対する分配その他貯金債務で切り捨てたもの及びその利息に充て、また調整勘定を閉鎖しました際、調整勘定になお利益金の残額があるときは、これを出資者に対する分配に充てることと相なつておるのでありまするが、農業協同組合、同連合会が再建整備に邁進しておりまする現状にかんがみまして、国または地方公共団体に納付すべき額に相当する金額は、一旦国庫に納付せしめる措置をとり、これを予算の定めるところにより、適正に再建整備または整備の促進のために支出することが必要かつ妥当であると確信する次第であります。なお、この措置を行つても調整勘定に利益の残額がある場合には、戦時補償特別税に関連して他の金融機関に対して履行すべき求償権の債務、退職金、指定債務以外の貯金によつて確定損を負担した者に対しては分配を行うことは従前の通りであります。
以上の趣旨により、金融機関再建整備法の特例を設けまするため、農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正いたすべく、ここに本案を提出した次第であります。
何とぞ、慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/15
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016・井出一太郎
○井出委員長 本案に対する質疑は次会に繰越し、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101904988X04419540515/16
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