1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月八日(月曜日)
午前十時四十七分開議
出席委員
委員長 辻 寛一君
理事 相川 勝六君 理事 伊藤 郷一君
理事 坂田 道太君 理事 田中 久雄君
理事 野原 覺君 理事 松平 忠久君
岸田 正記君 熊谷 憲一君
世耕 弘一君 竹尾 弌君
亘 四郎君 喜多壮一郎君
町村 金五君 高津 正道君
山崎 始男君
出席国務大臣臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
出席政府委員
文部事務官
(初等中等教育
局長) 緒方 信一君
文部事務官
(大学学術局
長) 稲田 清助君
委員外の出席者
専 門 員 石井つとむ君
専 門 員 横田重左衛門君
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三月五日
公立学校施設建設費国庫補助に関する請願(増
田甲子七君紹介)(第三〇二二号)
高等学校老朽校舎改築費国庫補助等に関する請
願(増田甲子七君紹介)(第三〇二三号)
学校給食法制定等に関する請願(山手滿男君紹
介)(第三〇二四号)
私学恩給財団の国庫補助金増額に関する請願(
小金義照君紹介)(第三〇二五号)
同(關谷勝利君紹介)(第三一五三号)
公立学校事務職員の待遇改善に関する請願(石
山權作君紹介)(第三一五一号)
同(山崎猛君紹介)(第三一五二号)
の審査を本委員会に付託された。
同月六日
町村教育委員会廃止に関する陳情書外十五件
(第一五〇〇号)
同(第
一五〇一号)
同外十八件
(第一五〇二号)
同外十三件
(第一五〇三号)
同外十三件
(第一五〇四号)
同外三件
(第一五〇五号)
同外八件
(第一五〇六号)
同外十五件
(第一五〇七号)
同外八件
(第一五〇八号)
同外十六件
(第一五〇九号)
同外十八件
(第一五一〇号)
同外二十二件
(第一五一一号)
同外三件
(第一五一二号)
同外十三件
(第一五一三号)
同外十五件
(第一五一四号)
同外十七件
(第一五一五号)
公立学校施設の整備に関する陳情書
(第一五四八号)
文教施設整備に関する陳情書
(第一五四九号)
同外一件
(第一五五〇号)
へき地教育振興予算に関する陳情書
(第一五五一号)
へき地教育振興法制定に関する陳情書
(第一五五二号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二四号)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/0
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001・辻寛一
○辻委員長 これより会議を開きます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。質疑を許します。山崎始男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/1
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002・山崎始男
○山崎(始)委員 大臣がおられませんから、大学局長にお尋ねいたします。
今度の法律案を見ますると、夜間大学を五つばかり新しく設置することになつておりますが、従来ややもすると、夜間大学に対して文部省は消極的な方針をとつていらしたように思うのでありますが、今回五つの夜間大学を設けられたということは、いわゆる勤労学徒にとつての教育の機会均等の上から申しましても非常にけつこうなことだと思うのでありまして、その点はわれわれ非常に同慶だと思つておるのであります。夜間大学の設置に対しては、従来消極的であるかのごとき印象をわれわれは受けておりますが、この点に関して、今後はどしどし新設して行くという方針にかわつたのでしようか、どうでしようか、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/2
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003・稲田清助
○稲田政府委員 お話のように、教育の機会均等を大学教育について考えまするときに、夜間課程の充実ということは非常に必要だと考えておりまして、従来とも文部省はそれを念願いたしておつたのであります。ただ従来基礎となるべき昼間の学部が完成年度に達しません間におきましては、夜間を置くことの無理が相当多かつたのであつて、ごらんの通り今日まで十二大学に設置いたしまして、さらに五大学に増設するという程度でありまするが、今後昼間学部の充実に伴いまして、全国的に、また種類を考えつつ拡充いたしたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/3
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004・山崎始男
○山崎(始)委員 今回許可されておりまする五つの夜間大学は、たくさんな申込みの中から五つ選ばれたと思うのでありますが、一体全国で希望された土地というものは、全体でどのくらいの数があつたでしようか。その点が一点と、いま一点は、その中から五つを特に選ばれたいうことは、いろいろ教授陣の内容の問題あるいは地元の熱意のいかん、その他たくさんの理由があることだと思いまするが、数は一体どのくらいあつて、そうしてその選考をいたしました基準と申しますか、許可されましたその基準、どういう点を基準にされたかという点、この点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/4
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005・稲田清助
○稲田政府委員 今回設置を考えました五校以外に、相当具体的な計画を持つて希望せられたのが二校あるわけであります。さしあたりはそれだけでございます。
この設置を考えまするのは、第一に地域的に、たとえば北海道、東北地方、関東というふうに広地域を考えますると同時に、工学、経済というような学問の種類を考えまして、なるべく全国に行き渡るように順次に考えて参つております。と同時に基礎となるべき学部の実力でございます。従いまして、ごらんの通り今まで設置いたしましたのは、大体歴史の長い専門学校を基盤といたしました学部、これあたりから着手しておるような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/5
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006・山崎始男
○山崎(始)委員 よく学校が新しく設置されますときには、その経費その他設備に対する地元負担とかいう問題が起るのでありますが、今度の場合そういう点に関して大体どういうふうな様子になつておりますか、その点をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/6
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007・稲田清助
○稲田政府委員 国立学校のことでございまするから、元来これは国費のみでやる建前にいたしております。しかし地元が非常に御熱意をお持ちになつて設置をお急ぎになる場合におきましては、やはり地元の協力のあるところから先に着手する、こういうことで地元の御要求を基礎としながら御相談しております。いかなる基準ということは、われわれは必要にして最小限度の設備があればいいわけでありまするから、それぞれの大学や学部の設備を基礎といたしまして、あとこのくらいあればということで具体的にいたしております。従いまして個々の場合におきまして地元負担の金額というものは同一でないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/7
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008・山崎始男
○山崎(始)委員 ただ私たち心配いたしますのは、せつかくけつこうな学校を勤労学徒のためにつくつたのはよろしいが、教授陣の下足というか、内容が充実しないといううらみがややもすると起るのではないか。いま一つは、教授陣自体体が非常な、重労働、過重の労働になる、こういう点はいささか心配ではないかと思うのですが、こういう点に関してちよつと御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/8
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009・稲田清助
○稲田政府委員 国立学校全般を見まして、ごらんの通りその定員は決して余裕の多いものでないのでございます。ただ学校当局及び文部省といたしましては、学科担任等の状況から見て、限られた定員において教授あるいは助教授の方々が力をひとしゆうして働き得るような組織に漸次かえつつあるわけであります。従つて短期大学を設置いたします場合に、ごらんの通り多少の増員は学年進行をもつていたしております。それと同時に学部の教授陣容を漸次それに適応して改善して行くというようなことと伴つて、お話のような懸念のないように努めたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/9
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010・山崎始男
○山崎(始)委員 大体わかりましたが、文部大臣途中からおいでになりましたので、文部大臣に、最初私が質問いたしましたことをお尋ねしたいと思うのです。勤労学徒のために、教育の機会均等の上から見て、今回五つ夜間大学を許可されておりますが、従来は、ややもすると文部省は夜間大学に対して消極的な態度をとつておられた。少くとも私たちはそういうふうな印象を受けておる。ところが今回五つ新しく設置されておる。この点は非常にいいことだと実は思つておるのですが、文部省の基本的な方針として、今後夜間大学はますますふやしてお行きになるという御方針なのかどうなのか。この点文部大臣のお気持を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/10
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011・大達茂雄
○大達国務大臣 夜間大学の設置につきましては、必ずしも消極的という考え方ではないのでありますが、ただ大学の本体になる大学自身を充実する、こういうことがどうしても先決のように思いますので、この基盤になる大学の学部その他についての充実をはかりまして、そうして夜間大学は、これは教育の機会均等という点から見ても望ましいことである。従つてこれを整理するとかあるいは消極的という意味ではありません。ただ、地方に希望がありましても、夜間大学の設置ということがはかばかしく進行しておりませんのは、大学の充実自体の方を先決に考えておる こういうことなのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/11
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012・山崎始男
○山崎(始)委員 せつかく五つのものができたのでありますから、この五つのものが有名無実に終らないように、引続き内容においてもその他形態においても、今後うんと充実していただきたい。これを生みつぱなしで畸形児に終らせないようにしてもらいたい。この点が今後に残された一つの課題だろうと思うのであります。ややもすると生みつばなしで、夜間大学だからまあまあというような第二次的なものの考え方になりやすい。せつかくこういうけつこうなものが五つ新しく生まれたのでありますから、この点は生みつばなしにしないようにということを私最後に御要望申し上げて、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/12
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013・辻寛一
○辻委員長 高津君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/13
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014・高津正道
○高津委員 今山崎委員の質問に対する御答弁を聞いたのでありますが、この国立学校設置法の一部を改正する法律案に含まれておる内容をよく見ますと、従来法律できめられておつた定員等の問題を省令や政令にゆだねる、こういう内容が入つておつて、文部省の権限を強化するようになつておるのでありますが、そうなると、国会が公平な立場で審議してきめるべきであつたものを、文部省が自分の行政措置でかつてに動かせるようになる部分が出て来る。それですべて義務教育に対しても、中等、高等あるいは国立大学に対しても、文部省がかつてに支配し得るようにどの法案もできており、この法案もその一つであると思うのでありますが、文部省に対する運動の便宜のある大学、たとえば東京にある国立大学のように便宜を持つておる大学もあり、便宜の乏しい大学もあり、損をしたり得をしたりするような不公平な結果をこの法案は生むであろう、このように考えるのであります。文部大臣あるいは文部省の権限強化をこの法案によつても策しておるが、どういうところからそういうことを割出して、こういう改正案を出すのであるか、法律できまつておるものを、省令や政令に奪い返そうとするのであるか、その意図をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/14
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015・稲田清助
○稲田政府委員 お話の点は、これはまつたく技術的の問題でございまして一つは法令の簡素化と申しますか、あるいは再検討と申しますか、先年来政府部内において検討いたしております。その理由といたしますところは、占領下にありました場合に、占領軍の各セクシヨンごとにいろいろ意向が違いまして、ごらんの通り、御審議いただくまでに出て参ります法案の形態か非常に区々であつたのでございます。今御審議願つております国立学校設置法でありますが、これは一番最初にでまして、その後において行政機関職員定員法という各省各庁の全体の定員を総合的に網羅いたしました法律ができたのであります。その機会にあるいは廃止すべき部分であつたとも存ずるのでありますけれども、当時司令部の意向等もございまして、存置して参つたのであります。その内容につきましては、一面国会におきましては、行政機関職員定員法において御審議願うわけでありまして、決してこれは政府部内にまかしたわけではない。また一面におきまして、各学校別の定員あるいは新しき事業の内容等は、予算において十分御審議願うわけでございますから、お話のようにこれを文部省にまかせ切つたということにはならぬ関係だと心得ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/15
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016・高津正道
○高津委員 文部省の措置が予算を伴う場合、国会は予算面を通じて発言する機会があることはもちろんわかつておりますけれども、法律にあつたものを省令や政令にその仕事を委譲したということは、文部大臣あるいは文部省の権限を強化したことになるであろう、そうしてそれは事務的整理だけではあるまい、こういう問いに対する答えになつていないように思うが、もう一度明快なる答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/16
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017・稲田清助
○稲田政府委員 同じ国会の会期に、同じ原因である法律の改正を二つ出す必要があるかということなんでございます。最初国立学校設置法が一つ出ておりましたときにこういう書き方をやつた、そのあとにおいて行政機関職員定員法が集大成しまして、各庁各界の職員定員まで網羅的に、総合的に一つの法律をつくつて別に御審議願つておる。その間の重複を避けるということは必要な配慮ではないかと、私どもは考えておる次第でございます、従つて行政機関職員定員法の御審議においても、またそれに関連いたしまする予算の御審議においても、十分国会として御審議願うわけであります、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/17
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018・辻寛一
○辻委員長 これにて本案に対する質疑を終了するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/18
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019・辻寛一
○辻委員長 御異議なしと認めます。よつて質疑はこれにて終了いたしました。
ただちに討論に入ります。討論の通告も別にないようでございますから、討論も省略いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/19
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020・辻寛一
○辻委員長 御異議なしと認めます。
国立学校設置法の一部を改正する法律案の採決を行います。本案に賛成の諸君の御起立を願います。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/20
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021・辻寛一
○辻委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
なお報告書等の提出につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/21
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022・辻寛一
○辻委員長 御異議なしと認め、さよう決します。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/22
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023・辻寛一
○辻委員長 この際お諮りいたします、過日の委員会において公述人の選定を行いましたが、公述人に決定いたしました小汀利得君、南原繁君の両君が御出席できなくなりましたので、この際両君の補欠を選定いたしたいと存じます。よつて日本教職員組合中央執行委員長小林武君、及び朝日新聞記者伊藤昇君の両君を公述人に選定するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/23
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024・辻寛一
○辻委員長 御異議なしと認め、両君を公述人に選定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/24
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025・辻寛一
○辻委員長 なお過日の委員会におきまして、教育の政治的中立に関する実情調査のため委員を派遣することに決しましたが、派遣期日は三月八日より三日間とし、派遣地区は山口県 京都府、岐阜県、青森県、岩手県、茨城県に変更いたしたいと存じますが 御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/25
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026・辻寛一
○辻委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時七分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905115X01419540308/26
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