1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月十五日(月曜日)
午前十時五十六分開議
出席委員
委員長 葉梨新五郎君
理事 岡村利右衞門君 理事 川村善八郎君
理事 羽田武嗣郎君 理事 井手 以誠君
理事 杉山元治郎君
生田 宏一君 佐々木盛雄君
鈴木 善幸君 福田 赳夫君
松田 鐵藏君 柳原 三郎君
山下 春江君 赤路 友藏君
長谷川 保君 松平 忠久君
川上 貫一君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局総務課
長) 佐藤 一郎君
農林政務次官 平野 三郎君
農林事務官
(大臣官房会計
課長) 増田 盛君
農林事務官
(農業改良局
長) 塩見友之助君
水産庁長官 清井 正君
農林技官
(水産庁次長) 岡井 正男君
委員外の出席者
大蔵事務官
(主計官) 柏木 雄介君
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三月十五日
委員山崎始男君、綱島正興君及び小枝一雄君辞
任につき、その補欠として赤路友藏君、福田赳
夫君及び佐々木盛雄君が議長の指名で委員に選
任された。
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本日の会議に付した事件
補助金等の臨時特例等に関する法律案(内閣提
出第四九号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/0
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001・葉梨新五郎
○葉梨委員長 これ記より会議を開きます。
補助金等の臨時特例等に関する法律案を議題といたします。本日は農林省関係につきまして質疑を行いますが、最初に農林省関係について逐条の説明を政府当局より求めることといたします。しかる後に質疑に入ることといたします。佐藤政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/1
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002・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 それでは、具体的な内容につきましては農林省の方から詳細な御説明があると思いますが、一応総括的に逐条の簡単な説明を申し上げておきます。
まず最初は、第三章農林省関係の農業改良助長法に基く補助等の特例であります。この農業改良助長法におきましては、どういう点が改正になつたかということを申し上げますと、ごく簡単に申し上げしますと、従来の補助率——これは御承知のよりに改良研究員、それから普及員、技術員、こういうようなものが農業技術の改良のために設置されておりまして、その職員に対して国庫補助が従来三分の二なされておつたわけであります。それで、当初に総括的な御説明を申し上げました通りに、今回の補助金の整理においては、主として、職員設置の費用についてはできるだけ地方の負担にまわしてよろしい、地方財源へ繰入れてよろしいという方針を立てたわけであります。それで、この職員設置につきましても、従来の三分の二の補助率を三分の一に引下げたわけであります。この法律は、御承知のように条文がややこしくできておりますが、要するに、従来の法律は、国が三分の二で地方が三分の一を負担する、地方は国の出した補助金の半分を出さなければこの国庫補助金を受取ることができないという書き方でありましたのを、今回半々に直しましたので、国の出した補助金と同額のものを地方が出さなければ、それに対して補助支出というものはできないという非常に珍しい書き方になつておりますが、要点は、要するに三分の二の補助率を二分の一に改めたというふうに上申し上げることができるのであります。
それから、その次が漁業法に基く負担の特例であります。これは、漁業調整委員会というのが御存じのようにございますが、これが、その仕事の性質その他から見まして、農業業委員会等と、この比較検討をはかつて考えてよろしかろうということで、従来は全額を補助するという建前になつております。それで、今回の改正におきまして、もちろん委員の手当等等は全額でございますが、書記を設置いたしましたり、それに伴う事務費というものは、三分の二の補助率に引下げたい、こういう提案になつております。
その次が、家畜伝染病予防法に基く負担の特例であります。家畜伝染病予防法につきましては、従来全額負担をいたしておつたのでありますが、このうちで寄生虫の関係につきましては、この事柄の性質上しいて全額まで負担する必要はなかろうというので、寄生虫関係だけを二分の一の負担に引下げるという提案であります。
その次が水産資源保護法に基く負担の特例であります。これにつきましては、これは、御承知のように議員立法でできまして、全額負担が負担するということになつておりますが、経費の性質はどういうものであるかと申し上げますと種苗をできるだけ養成するために貝類等の増殖をいたしておるようなところで、監視人を設置いたしましたり、あるいはそれに伴うさくをつくつたりという、いわばやはり職員の設置関係の経費と、それに伴う維持運営の経営的な経費というものに対して全額負担をするということになつておるのでありますが、事柄の性質上、一部を地方の財源から出すということにしてもよろしかろう、こういう考え方のもとに、全額負担いたしておりましたものを二分の一補助するということに直したものであります。
その次が、漁船損害補償法の規定の読替でありますが、これは、御承知のように漁船保険につきまして、いわゆる義務付保の範囲が従来二十トン未満でありましたものが、二十八年に百トンにまで広げられ、予算との関係におきまして二十九年からこれを施行するということになつておつたのであります。今回予算の編成等の全体の都合もありまして、これを従来通り一十トン以下にとどめたいというので、今回の訂正をいたしたわけであります。御承知のように、もともとこの漁船保険につきましては国庫が負担をいたしておるわけでありますが、その負担の元来の趣旨というものは、零細な負担力の乏しい漁船を、できるだけ漁船保険に加入することを促進したいという趣旨が眼目であるわけであります。それで、二十トン以上の漁船につきましては相当保険の加入率が高くなつております。そういつた点から、国庫負担力等を勘案いたしまして、こういう措置をとつたわけであります。
なお、今回の補助金整理の大きな基準といたしまして、地方団体に対する補助金の場合には、職員の設置とか維持費について極力地方かにまわすそれから民間に対する補助につきましては、国費の性質上極力これを含めて行くという大きな眼目によつて整理いたしたのでありますが、この漁船保険等の場合はその一つに入ろうかと思います。なお念のため申し上げますと、地方団体に対する補助金を整理いたします際には、それに見合うところの財源を地方財政計画の方に織り込んで、一応地方交付税の形でもつて見るということにいたしたわけであります。
大体農林省関係は以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/2
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003・葉梨新五郎
○葉梨委員長 何か農林当局から補足説明はございますか。——それでは、これからただちに質疑に入ることにいたしたいと思います。質疑は順次これを許すことにいたします。赤路次藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/3
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004・赤路友藏
○赤路委員 ちよつとお尋ねしますが、今提案されて来たものは農業改良助長法関係ですが、これを一々逐条にしないで一括でいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/4
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005・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林省関係に関する限りは本員質問を行うことになつております。農林省に関係する問題でありましたら逐条でなくてもけつこうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/5
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006・赤路友藏
○赤路委員 それでは、私の方から質問をさせていただきます。このもらつておりまする十三条関係、漁業調整委員会の補助金の問題でありますか、ただいま簡単に御説明を願つたのですか、農業委員会と同等な扱い云々というようなお話があつたようでございます。これは、およそ今の政府がとられようとする措置は水産行政というものの本質を握つていないのじやないか、私はこういうふうに思うわけなんです。一体政府の方では、現在の水産行政、特に沿岸漁業の実態というものをどういうふうに見ておられるのか、あるいはまた将来どういう形にこれがなつて行くのかという見通しを立てた上にこれがなされておるのかどうかという問題であります。おそらく水産庁関係の人であるならばおわかりだと思いますが、沿岸漁業では、最近特に密漁の問題がやかましく論議され、また入会紛争等が相当頻発しておるということは御承知のはずなんです。ひどいのになりますと、二十六年、二十七年、二十八年、三箇年間にわたつて紛争がなお解決しないというような状態があちらこちらに起つておる。ほとんどこれは全国的な問題になつておるわけなんです。これらの紛争、すなわち密漁が行われ、入会か非常に大きく盛り上つて参ります原因のものはいろいろありましよう。しかしながら、漁村における人口過剰という面が一点、それから特に沿岸の魚族が非常に枯渇して来ておる、それが漁業不振をもたらして、生活根元というものが漸次沿岸漁業においては砕けて来ておる、こういうような漁民の生活保持という立場から、必要以上に感情を刺激して紛争を巻き起しておるというようなことも考えられるのであります。しかしながら、最近の状況をつぶさに見てみると、単に今までの紛争にありましたような、より少しでも利益を追求するために密漁をやりあるいは入会の紛争が起つておる上いう状態から、最近の状況では、生活をどうしても保持しなければならぬ、生きるためにはやむを得ないのだという深刻な紛争状況に陥って来ておるということを考えなければいけない、従つて、こういうような条件下にあるときに、この漁業調整委員会の職務というものは実に重大なものがあると私は考える。ただ、今までいろいろの政府当局側の御意見等を聞いてみますと、漁業改革当時は漁業権の問題等によっていろいろと紛争もあつたが、それが一段落ついたので、大体ある程度縮小してもいいのじやないかというような漠然とした考え方をお持ちになつておるようでありますが、これはおよそ逆でございまして、その当時より以上に今日はこの漁業調整委員会というものの重要性が考えられなければならない段階にあると私は考える。従つて、こういうような条件下にあるにもかかわらず、たといわずかであるといたしましても、予算面で見ますと約四千一百万円でございますが、これは全体的に相当大きく響いて参りまして、この漁業紛争等に対する十分な活動ができない、こういうような状態になろうかと思いますので、この点に対して政府がどういう考え方を持つておるのか、はつきりお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/6
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007・平野三郎
○平野政府委員 水産関係におきまして地方における各種の紛争がございまして、これに対しては国が責任を持つて調整をはかるということが必要でありますことは、まつたくお話の通りでございます。こういう趣旨から、政府におきましても、これらの法案を今まで幾多提出をし、また国会におかれましても、同様の御趣旨によりまして、いろいろな法的措置ができておるわけでございます。この基本方針に関しましては、政府としては何ら考えがかわつておるわけではございませんで、将来にわたりましても従来の方針を堅持して参る、こういうことに微動もいたしておるわけではございませんが、ただ、今回この法律案を出しましたのは、若干地方の意思を反映させる、こういうことで出したわけでありまして、本質においては、お話の通り補助率が若干低下すると申しますか、補助金制度にいたすわけでありますが、地方の負担する分については、地方財政計画において交付金の形でそれを見て参るわけでありますから、財政面から申しますならば、内容的には今までと何らかわらないわけであります。従つて、この法案を出しましても、漁業の地方の紛争に対する国の責任というものはこうも変化いたしておらぬわけでございまして、この点は御安心をいただきたいと思うわけでございます。ただ、こういうふうに地方が部負担をするという形式をとりましたのは、憲法にも明らかになつております通り、地方自治の精神を多少組み入れて行くということが一番適切である、こういう観点からこの法律案を出したわけでございまして、お話の基本的な点については何らかわつておるわけではございませんので、この点御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/7
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008・赤路友藏
○赤路委員 今農林政務次官から、基本的な考え方においてはかわつていないし、今まで政府のとつて来た基本的な政策というものは何らかわるものではないのだ、ただ負担の所在が違つて来る、国が今まで持つておつたものを都道府県がこれを負担する、しかしそれに対しては平衡交付金を出すのだから実質的にはかわらないのだ、こういうようなお話であつたと思うのです。今までの十九年度の予算の審議過程をいろいろ見て参りますと、常に交付金に逃げ込んでおられる。何かあると、平衡交付金、平衡交付金とおつしやいますが、一体平衡交付金はそうふえておりますか。平衡交付金でまかなつて行つて、何もかもその平衡交付金へおつかぶせたのでは——平衡交付金は昨年度に比較して私はふえていないと思うのですが、地方財政を圧迫することになるのではないかと思うのです。その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/8
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009・平野三郎
○平野政府委員 ここに提出をいたしておりまする方立案によりまして、地方が負担すべき分につきましては地方財政計画で見ておるごとになつておるわけでございます。この数字の事務的な関係につきましては政府委員から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/9
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010・井手以誠
○井手委員 議事進行について。先刻大蔵省の主計局総務課長から、また今平野農林政務次官から、地方の負担については地方財政計画に織り込んでおる、こういう御答弁がありましたので、この法律案を審議するにはどうしても地方財政計画を資料として提出してもらわなければ審議ができかねると思いますから、すみやかに財政計画を配付なさるように要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/10
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011・葉梨新五郎
○葉梨委員長 井手君に御相談しますが、地方財政計画の資料は、この委員会をやつておる間に自治庁から説明を求めたいと思つておりますが、それでいかがでございしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/11
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012・井手以誠
○井手委員 その地方財政計画は、これを審議するに並行してしなくてはならぬ非常に重要な内容を盛られております。従つて、ただいまでも配付を願わなくては、適当な時期ということでは私は了承しかねるのであります。すみやかに配付していただきたい。そうしなければ審議できない。片一方に平衡交付金に組んでおる、地方財政計画に盛つておると言つても、その資料かなくては説明を聞くわけには行きません。すみやかに出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/12
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013・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 御趣旨はよくわかりました。ただ、たとえば三分の二が二分の一になる、従つてそこのお手元に予算額が大体どのくらい落ちるかという表を当初の資料として差上げてあります。その差上げました予算額に大体見合った額が地方財政計画に入つておるとお考え願つて間違いはございません。なお、それをお確かめになる意味で、ちよつと今手元に資料がございませんが、至急につくってお配りいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/13
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014・井手以誠
○井手委員 先日そういう簡単な資料はいただきました。一応目は通しましたけれども、ただいま赤路委員からも言われましたように、すべてのものが平衡交付金に逃げ込まれる、つまり今度の交付金に逃げ込まれる、こういう危険が非常に多いのであります。その点については何人も疑念を持つております。従つて、ほんとうに組まれておるかどうかということを確かめることは、法律案を審議する上にきわめて重要でありますので、私は配付なさるまで審議を一応中止願いたい。(「ノーノー」)
それともう一つ、私は委員長に特にこの際申し上げておきたいことは、農林省関係については農林委員会から連合審査を申し込まれておつたはずであります。先般の理事会においてその結論は出ておりませんのに、この審議を進められることについては私はいささか委員長の運営の方針について不満な点がありますので、その点についても御解明を願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/14
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015・葉梨新五郎
○葉梨委員長 農林委員会との連合審査の件に関しましては、先般の理事会におきましても御相談がありましたように、まだ理事会の相談がまとまつておりません。これは理事会においてなお相談をいたすごとになつております。本委員会は委員会として、それのいかんにかかわらずに、これを一応進めて、合同審査をするかしないかは理事会の議に諮るということにいたしたいと思つているのであります。それについては、せつかく各党の党内の意見のとりまとめを今お願いしているような次第で、社会党の諸君は党内の意見がまとまつていられるから急がれるが、党内の意見がまとまらぬところもありますのでそれらをにらみ合せているよな次第で、しばらく御猶予を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/15
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016・井手以誠
○井手委員 しばらく御猶予を願いたいという委員長のお言葉はわからぬではございません。私どもははつきり態度はきまつております。もし、せつかく農林委員会からの申入れがあつたにかかわらず、当委員会だけで審議を進めて行くということになりますると、申し込まれた農林委員会の今後の審議に、合同審査にその価値が減殺されて来ることは、委員長も十分お考えになつていることだと思うのであります。結局、そういうように慎重にやることによつて、時日を経過することによつて、これをうやむやに過される危険が非常に強いのでありまして、私はその点非常に不満に存じます。ひとつ資料も出ておりませんので、しばらく審議を中止して、すみやかに農林委員会との合同審査を進められるように私は希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/16
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017・葉梨新五郎
○葉梨委員長 お答えいたします、農林委員会との今日同審査につきましては、先ほど申し上げましたような次第で、理事会の決定を見るまでこのままに審議は進めていただきたい、かようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/17
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018・井手以誠
○井手委員 委員長の委員会運営の方針については、委員長互選の際に特に改進党から発言なされて、慎重に円満に進行するような希望があつたはずだと私は記憶いたしております。また委員長も、確かにその通りにいたしますということを確約なさいました。私は委員長を信頼しております。従つて、この議事を円満に進行するためには、すみやかに理事会を招集されて、今後の運営についての御相談をなさるように私は動議を提出したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/18
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019・羽田武嗣郎
○羽田委員 ただいま井出さんのお話がありましたが、委員長において各党の意見をとりまとめている最中でございます。社会党の左派あるいは右派の方の方はすでに党の方針としておきまりの、ようでございますが、改進党、日本自由党、またわれわれの方の自由党といたしましては今せつかく調整中でありまして、党内としての扱い方を研究をいたしておりますから、それまでは、理事会を開きましても、党の正式な調整ができるまでは、ちよつと中途半端になると思いますので、御猶予を願つて、やはり議事は最初におきめになつた通りのプログラムでお進めいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/19
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020・葉梨新五郎
○葉梨委員長 井手君の動議、御発言は、(「動議ですよ」と呼ぶ者あり)動議だと決をとらなければなりませんから、まあ御発議にしておいてください。(「しばらく休憩しなさい」「理事会を開こう」と呼びその他発言する者あり)
では、ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/20
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021・葉梨新五郎
○葉梨委員長 それでは速記を始めて、赤路友藏君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/21
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022・赤路友藏
○赤路委員 どうも資料が提出されなければ、根本的な問題についてはいささかどうかと思いますが、委員長のあれもございますし、一応質問を継続することにいたします。
次に、浅海保護水面管理費の問題でありますが、これは、昨年度の予算から見てみますと、金額にいたしまして六百七十四万円程度で、わずかではございますが、おそらくこれも平衡交付金の中に繰込んでおるのだという御説明がつくと思います。ただ私は根本的な問題についてお尋ねしたいと思うのですが、先ほど漁業調整委員会の問題について触れたのでありますが、最近のこの山沿岸魚族の枯渇ということは相当ひどいものがある。また水産庁が在来からとつておりますところの、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へというこのことは、全体の零細な漁家までがこれによる恩恵に浴するのではないのであつて、沿岸の特に零細な諸君は、ほとんど沖合いへも遠洋へも出がたいというのが現在の実情なんです。従つて、沿岸魚族をいかにして保護育成するかということは、今日の水産行政の面では実に大きな問題なのです。特に、海草にいたしましても、あるいは貝類にいたしましても、あるいはその他一本づりの魚族の保護管理というようなことは、何としても今の水産行政では軽視してはならない重要な問題なのです。われわれはむしろ、この予算面において、これらのものが昨年度よりも大きく膨脹されることこそ水産行政の真のあり方である、こう思つておるにもかかわらず、かように削減されて来るということははなはだ遺憾だ。およそ今のこの農林省の水産行政というものは、あまりにも私は現実を無視した、あまりにも現状を軽視した行政のやり方である、こういうふうに考えるのでありますが、一体この浅海増殖、あるいは魚族の維持保存というようなことに対して、どういうふうなお考え方を持つておるのか、この点を明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/22
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023・平野三郎
○平野政府委員 水産資源の増殖につきましては、まつたくお話の通り一層これを積極的に推進して行かなければならないわけでございます。特にわが国は戦争によりまして幾多の水産資源を失いました関係上、あるいはまたお話のように人口増加の観点から申しましても、この水産資源の拡充というようなことにつきましては格段の努力をせねばならない。このことば、政府としても痛感をいたし、全力を上げて努力をしておる次第であります。これは、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へという全般の線を通じ、特に沿海の魚族の保護増殖につきましてはあらゆる手を打たなければならない、こういう考えを持つているわけでございますこれがためには幾多の計画もあるわけでございますが、来年度につきましてはお話の通りいろいろな希望を持つておるわけでございますが、何分にも緊縮予算というような関係から政府の意図が十分達成できないということは、はなはだ遺憾に存じているわけでございます。大きな日本経済全体の立場から見てやむを得ないことでございますけれども、その熱意におきましてはまつたく同感の次第でございます。来年度の予算におきましてどういうことをやるかということにつきましては、できるだけ予算は計上いたしているわけでございますが、詳細につきましては水産庁長官からお答を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/23
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024・清井正
○清井政府委員 ただいまの御質問に対しまして、政務次官からお答え申し上げましたことで十分尽きていると思うのでありますが、さらに数点補足をさせていただきたいと思います。
ただいまも政務次官からお答え申し上げました通り、私どもといたしましては、最近の水産資源の状況からかんがみまして、ことに経営の比較的小さい沿岸の漁業者並びに内水面の漁業者に対する施設というものをさらに拡充いたしまして、浅海、沿岸、内水面を通ずる資源の保護増殖に努力いたしたいと考えておるのであります。その点はただいま政務次官からお答え申し上げました通りであります。
水産庁の総予算は、残念ながら諸般の事情によりまして昨年度より減つておるのでございますが、特に水産増殖につきましては、ただいま御審議願つておる予算におきましては、昨年は約一億三百万円であつたのに対しまして、二十九年六度は一億四千四百万円の金額を計上いたしておるのであります。その中には内水面の資源維持、あるいは浅海の増殖、開発、あるいは重要貝類の増殖費等、それぞれ二十八年度よりも相当の増額を計上いたしておるのであります。特に内水面につきましても、ただいまお話がございましたが、種苗確保の施設なり、あるいは浅海につきましては、内湾の増殖あるいは外海の増殖あるいは魚礁施設等、いろいろ沿海、浅海、内水面を通ずる増殖の施設については、十分重点を置いて予算を計上いたしておるのでありまして、今後も、この方面につきましては、予算措置のみならず、諸般の施設を通じまして、魚介資源の増殖に努めて参りたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/24
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025・赤路友藏
○赤路委員 農林次官と水産長官から御説明を願つたわけですが、まつたく御説の通りである、同感であるということで御同調を願つておるのですが、それだけではどうも納得が行かないわけです。来年のことは申し上げません。来年のことをいうと鬼が笑うという言葉がありますので、来年のことをここでお約束願つたつておそらく実行できないと私は思う。ただ、今水産庁長官が御説明になりました二十八年度予算からいたしますと、この浅海増殖面において四千十百万円ほどの増額になつておる。これをもつて浅海増殖に対する政府の熱意と申しますか、それの現われであるこういうふうにおつしやつたのだと私は解釈するわけでありますが、この中で大半を占めておりますのは魚礁問題あります。魚礁の築堤ということは過去の水産庁予算においては全然なかつたことでございます、三十九年度に初めてこれが現われて来た。単に浅海増殖としては投石事業のみが見られておりましたが、これはおよそ魚礁というべきものではない。しかしながら、この魚礁予算にいたしましても、特に沿岸の魚族が枯渇しておるという観点から、水産庁が当初予算外の要求をいたしましたのは、たしか一億四千万円であつたと思う。しかもこれは五箇年計画で漸次行つて行くという、この沿岸の零細な漁家のための措置をとつておられたはずなんです。これが二千七百万程度で押えられておる。もちろん二千七百万円でありましても、これだけのものが増加したということは確かにプラスでございましよう。しかしながら、このことだけをもつて、水産庁が現在のこの枯渇しておる沿岸の状況を十分に水産行政の面から、取上げてやつておるものだとは、私は納得が行かないのであります。なるほど予算面では四千万円ほどふえておりましよう、しかし必ずしもそれで十分だということは私は言えないと思う。ただ、先ほど来のこの管理費の問題にいたしましても、わずかな金ではありますか、特に重要であるから私は申し上げておるのでございます。これ以上おそらくこの問題に論議いたしましても水かけ論になると思います。ただ、こういうようなことでは、とうてい沿岸の漁民の生活を保持することはできないだろう。特に、前段に申し上げました漁業調整委員会の経費を四千百万円程度削減しておりますが、本年度は昨年度に増して入会その他の紛争が大きく盛り上つて来る、こうした問題が漸次盛り上り、そうして紛争がますます大きくなつて、来るということに対して、政府は相当考えて行かなければいけない。あまりにも水産行政に対する考え方というものは、これは私は軽視しておるものだと思う。この内水面の問題にしても、一体政府の当路者の諸君は最近ますがどれほど輸出されておるかということを知つておるのか。どれだけ重要なドル獲得の一役を買つておるかということを知つておるのか。そういうような現実面をまるで無視したこうした無謀なやり方というものは私はないと思うが、これ以上は私は追究はいたしません。
次に、私は漁船損害補償法の問題について次官に御質問したいと思います。本来なれば、農林大臣の出席を求めて、これは当然農林大臣から責任のある御答弁を聞くべきが本筋であります。ただ残念ながら出て参りませんので、次官の方からご説明を願いたいと思います。
これは議員立法でございました。私たちが二十トンのものを百トンまでに拡大いたしましたことは、これは思いつきやハッタリでやつたんじやない。先ほどの説明を聞いてみますと、もつともらしい簡単な御説明があつたようでございます。零細な漁家を救済するために、こういうような漁船損害補償をやつておつたのだということなんです。この点はよく私もわかる。二十トンまでの船を操作するような漁家というのはごく零細な者でございまして、ただ、今日の日本の全体の経済の状態から考えました場合、まず産業面をとつて見ましても、一体重工業においても、あるいは化学工業においても、その他いろいろ掌がございましよう。しかし、世界と太刀打ちのできる、西欧諸国あるいはアメリカ等と太刀打ちのできる産業は一体何がある。おそらく私はないと言つてよいんじやないか。ほんとうに産業面において世界と堂々と太刀打ちのできるものは、これは水産以外には日本にはない。水産こそは日本は十分世界と太刀打ちのできる、また世界を凌駕して私は伸び得る、可能性のある唯一のものであると考える。しかも戦争中の実態はどうであるか。船という船はほとんど徴用されて、帰つて来ない船が何ぼありますか。その後つくられたといたしましても、わずかのものです。非常に大きな経済的な負担を負つて、今日ようやくどうにかこうにか建て直りつつあるというのが今の日本の漁業界の姿なんです。われわれは、できるだけ日本の経済に貢献する、できるだけよう多く外貨獲得に努めしめる、そういうような観点から、どうしても、水産行政の面においては、水産をより発展せしめ助長せしめるような政策をこそ今日とらなければならぬ、こういうふうに考えておる。しかしながら、やみくもに何もかもそれでは政府に依存して、補助金であるとかなんとかでもつてこれをやろうというのではない。われわれは、今日の日本の経済全体の面から、やはりこれは考えられなければならぬ、相互援助の立場の上に立つてやつて行く、そうしたみずからの努力の上に、政府はなお一段とこれに対する助長の政策をとるということが、今日水産行政に対してとられなければならぬただ一つの道である私は考えておる。こういう意味合いにおいて、われわれは二十トンを百トンにしたのです。ただ一時の思いつきやハッタリでこれをやつたものでないということをはつきり申し上げておきたい。しかも、どういうふうな観点の上に立つてこれを二十トンで依然として抑えられたのか、この点が私はどうしても納得が行かない。一体過去におけるところの日本の漁船の損害状況なりそうしたものを十分調査された上に立つて、これらのものがなされたのか。むしろ私は、百トンにしておつたものを二十トンに押えたということは、政府がただ一兆円予算であり緊縮予算であるという建前の上だけに立つてなされた、行政というものを無視したやり方だと私は思うのです。私が申し上げるまでもなく、政府の方では十分この調査がされて、おると思うが、私の調査によりますと、過去三年間の漁船の損害は、二十六年度には一万九千百八十隻、金額にして十−五億五千六百六十万二千円、二十七年度で二千九十四隻、金額にして約二億、二十八年度には一万二百九隻で六億三千六百万円です。三箇年間の漁船の損害状況は、一万一千四百八十三隻で約二十四億円ということになつておる。しかも、これに対して政府が毎年支出しておりますところの、漁船を含む漁業災害の利子補給と損害補償を見てみますと、二十七年度には、三千二百五十二万円、二十八年度には六千六百四十七万円、二十九年度には一億百六十一万円になつていて、政府の利子補給なり損害補償というものが大きくなつて来ておる。この実態を考えなければいけない。しかも融資措置にいたしましても、二十六年、二十七年、二十八年で四十七億九千万円の融資をしておる。だから、このような状態では、政府が出すべき利子補給なり横掛補償なりあるいは融資措置というものが、むしろ歴年大きくなつて来るということは明らかである。政府の今度のやり方は、私は、あまりにも目先のことだけを考えて、先を見通さない、その場、たけのやり方であるというふうに考えるのですが、一体先に対するはつきりした見通しを持つておられるのかどうか、この点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/25
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026・平野三郎
○平野政府委員 漁船損害保険の限度の問題につきましては、お話のように、政府といたしましては二十トンを適当と考えておつたわけでございますが、国会におかれましてこれを百トンに拡大をするということにされて、二十九年度からやることになつておるわけであります。政府といたしましては、慎重に検討いたしました結果、二十トンが適当であるという考えのもとに、この法案を出しておるわけでございます。漁船損害補償の水産行政権進上におけるところの重大なる意義につきましては、ただいまお話の通りでありまして、政府といたしましてはまつたく同感でございます。しかしながら、二十九年度におきましては、日本経済全体の立場から総合的に考えて、ある程度の緊縮もやむを得ないというようなことから、いろいろの角度において研究の結果、この漁船損害の問題につきしましは、何としても零細な漁民を最小限度保護するということが、この際としてはやむを得ない必要最小限度の措置である、こういうことで二十トンということにいたしたわけでございます。従つて、これは、お話のように、当然拡大すべきものであるという考え方を政府は持つておりますけれども、二十九年度としては一応これで行つて、とにかく零細漁民の救済だけを確保して行こうということからいたしたようなわけでございまして、将来財政の余裕を生じて参りますならば、もとよりご趣旨に沿うようにこれの引上げを行つて行きたいと考えておるわけでございます。実はこの点につきましていろいろ御不満があろうと思うのでございますが、二十九年度予算の編成にあたりましては、政府部内におきましては、各種の議員立法等も一時しんぼうしていただきたいというような意見もあつたのでございまして、私どもとしては、政府部内におきましていろいろと協議検討をしました結果、この法案に見られますようなところにまで持つて参つたわけでありまして、この点は政府の苦心のほどもひとつ御了察賜わりまして、二十九年度におきましては、漁船損害補償は最小限度の零細漁民を助けて行くというところで、ひとつ何とかごしんぼう、御協力いただきたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/26
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027・赤路友藏
○赤路委員 まことに御丁寧な御答弁でございまして、政府の苦心のほどをくみとれというお話でありましたけれども、絶対にくみとれません。これははつきり申し上げたいと思う。もちろん経済の見方はおのおの違うだろうと思います。今次官のおつしやつたことは、二十九年度予算編成の立場から、あるいは日本経済風立化の立場から、これはやむを得なかつたのだ、こういうようなお話のように思えますが、日本経済自立の立場からこそ私はこうしなければいけないと思う。およそ日本経済自立を逆に考えておられると思う。もしも政府が百トンのものを二十トンに押えることが、それが日本経済自立のもとであるなどとお考えになつておるとすると、私は逆だと思う。それこそ日本経済は、そういう考え方で行けば、もし全体のものから推測するならば破綻です。およそ考え方が違うつておると思う。ここの面は、なんぼ言つてみたところで、それは押し問答であつて、おそらくだめであろうと思いますが、とにかくこれだけは考え直していただかなければいけない。おそらく、今次官がおつしやつたように、政府もほんとうは拡大するという考え方が正しいのだと思つておられるが、ただ全体の二十九年度の予算面からやむを得ないのだとおつしやつておるのだと思う。一体百トンにしてどれだけ予算面でふやせばいいのかというと、一億四千万円である。一億四千万円が出せませんか。私は政府にもう一ぺんお考えを新たにして再検討をしていただくことを要求いたしまして、質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/27
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028・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 委員長、関連質問。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/28
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029・葉梨新五郎
○葉梨委員長 鈴木善幸君から関連質問の申出があります。これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/29
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030・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 私は質疑の通告をいたしておつたのでありますが、ただいま赤路委員から主として漁船損害補償法に関して御質問かございましたので、私も関連してお尋ねいたしたいと思います。
まずこの際政府にお聞きしたいことは、先週、総括質問におきまして、本法案と憲法との関連につきまして他の委員諸君からいろいろお尋ねがあつたのでありますが、私は特にこの漁船損害補償法につきましては、憲法上から見て多大の疑義を持つのであります。御承知の通り、この漁船損害補償法は、第十六国会において、政府原案に対して、満場一致をもつて二十トンから百トンまでにその適用漁船を引上げるというぐあいに修正をいたしまして、二十九年四月一日からこれを実施するということにいたしておつたのであります。ところが今回政府におきましては、この四身一日の実施を待たずして、これをとりやめにするという改正法律案を出して来ておるのであります。これを端的に言いますると、二十トンから百トンまでの漁船に対しても保険料の半額負担を国がやるべきであるという国会の議決を、政府が一度もこれを実施しないで拒否したという結果に相なつておるのであります。数年間にわたつて実施いたしました結果、いろいろ実施の上に不都合があり、行政面から幾多の是正を要するということで改正をいたすのであれば、それはやむを得ないと思いますが、きわめて近い国会において国会の総意によつて出さなければならないと決定したものを、実施しないで、出さないという法律を出して来ることは、明らかにこれは拒否権の発動ではないかと思うのであります。わが国の民主憲法においては、政府には国会の決定した法律を拒否する権限はないと思うのであります。この点政府は憲法違反の疑いがないと考えておられるかどうか、その点をまずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/30
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031・平野三郎
○平野政府委員 政府が予算を編成するにあたりましては、現行法によつてやるべきである、それを現行法でやらないのは憲法違反ではないか、こういう御議論のありますことは十分承知いたしておるわけでありまして、政府としてもいろいろ検討いたしました結果、今回政府のとりました措置は、決して憲法違反ではないという確信を持つておる次第でございます。これは、予算と大体同じ時期に、予算とうらはらになりますこうした関係の法律案を提出いたして御審議をいただいておるわけでございますから、すべて国会のお定めになります通りやる、こういう趣旨で進んでおるわけでありますので、決して憲法違反ではないと存ずるわけでございます。すでに予算も国会において衆議院を通過し、しかも、その際におきましては、いろいろ御修正を願つたわけでございますので、政府としては、その御修正通りに必要な措置をとつておるわけでございます。そういう考え方からいたしまして、現行法はございますけれども、それに対する違つた法律を予算と同時に政府は出しておるわけでございますので、その点御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/31
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032・葉梨新五郎
○葉梨委員長 鈴木善幸君、関連質問はなるべく簡単にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/32
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033・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 形式的には、平野政務次官がおつしやつたような説も成り立つと思うのであります。しかし、本質的にこれを申しますならば、前国会において決定したものを一ぺんも実施しないで改正法律案を政府が提案になることは、明らかにこれは精神的には国会に対する拒否権であります。私どもは、その点に対して、政府が国会の立場を尊重するという精神に立つて、今後さようなことのないことを強く要求いたすものであります。
次にお尋ねしたいと思うのでありますが、私どもは、二十トンから百トンまでの漁船は、わが国における漁業の最も中核をなす中堅的な漁船であり、これなくして日本の漁業の発展はあり得ない、こういうぐあいに考えておるものであります。おそらく漁業生産額の両から言いましても、この二十トンから百トンまでの漁船による漁獲高が圧倒的な数字を示しておることは、政府も御承知の通りであろうと思うのであります。政府は、本会議場におきましても、農林大臣が、今後の日本の漁業政策は、沿岸から沖合い、沖合いから遠洋へという積極的な発展の政策をとらなければならないということをしばしば言うておる。従つて、この二十トンから百トンまでにおける漁船が日本の一番大事な層であるということを、政府はお考えになつておると思うのでありますが、この大事な面に対して、水産における唯一の補償制度である今回の漁船損害補償の恩典を、何ゆえに実施しないでいいかという点であります。私どもは、こういう議論が一部に行われておることを聞いて、その不認識に対して非常に遺憾に思つておるのであります。すなわち、政府の一部におきましては、大蔵省方面においては、二十トンから百トンまでの漁船の中には多数の資本漁業的性格のものが含まれておるということを言つておるそうであります。従つて、こういう面に対して国が保険料を補助するということは適当でないという結論のようでございますが、これを統計的にしさいに掘り下げて検討いたしますならは、トン数におきまして九三%までが中小企業であります。また隻数におきまして九五%がこれまた中小企業であります。わずか数パーセントのものが資本漁業的なにおいかあろうと思うのでありますが、圧倒的な九五%が中小企業である、二十トン以下の漁船とかわらない中小企業者である、経済的に非常に苦しい立場に置かれるところの漁業者であるということが、数字の上からはつきりいたしておるのであります。しかも、五%のものにつきましても、これをしさいに検討いたしますならば、以西の底びき網漁船がその大部分をなしております。以西底びき網漁船は、御承知のように先般来李承晩ラインのあの不法なる拿捕に遭遇いたしまして、経営はまさに危殆に瀕しておる。このために、あの以西底びき網漁業者は、普通保険のほかに特殊保険にも入らなければならない、また船員の給与保険にも入らなければならない、あるいは運輸省関係の船員保険にも加入しなければならないというように、二重、三重の保険によつてその安全を辛うじて保障されておるという実態でありまして、保険に対する負担というものは非常に重いウエートを持つておるのであります。そう考えてみますならば、二十トンから百トンの漁船は、国家が保険制度の面においてめんどうを見てやるということが当然ではないかと私は考えるのでありますが、この点に対する政府の見解をお尋ねしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/33
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034・平野三郎
○平野政府委員 食糧増産は今日わが国の最大の基本方針でございまして、特にその一環としての水産業の躍進こそ最大の使命でございます。これがためには、漁船がはつらつとしてその仕事に進んでいただくことが必要であり、さらにそのためには、この保険制度の確立こそなくてはならぬものと存ずるのでございます。特にお話の二十トンから百トンまでの漁船の活躍こそ大いに必要であるわけでありまして、政府としては、でき得ますならば、もとより開会の御意思に沿うようにやりたい、こう思つておるわけでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、二十九年度は特に緊縮財政という総合的観点からかような制約を余儀なくされたわけでございまして、御趣旨はまつたく同感でございます。この二十トンに制限をしたということについては、百トンまでのものについては資本漁業の分があるというようなお話がございましたけれども、政府としては、お話の通り、これはやはりあくまでも中小企業が中心でありまして、一部には資本的性質のものもありますけれども、そうした理由によつてこれを抑制したのではございませんで、あくまでも、中小企業の躍進という立場から申しましても、お説の通りやらなければならぬという信念にはかわりはないわけでございます。ただ、緊縮予算の立場から、財政の都合でやむなくかような措置をとつたわけでございまして、政府にその余裕を生じますならば、できるだけ近い将来におきまして御意見の通りに実施をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/34
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035・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 平野政務次官も、二十トンから百トンまでの漁船についてもやはり漁船損害補償法の恩典を与えるべきであるという根本的な考え方については、同感のように私受取つたわけでありますが、ただ財政上の面からということにかかつておるように思うのであります。先ほども旅路委員から御指摘がありましたように、わずか一億四千万円であります。水産面における唯一の国家補償のこの漁船保険補償制度を日本の漁業の中堅をなすこの面に与えなくて、はたして漁船損害補償制度がほんとうにその効用を発掘するものとは私は考えない。これはあまりに水産軽視、漁業軽視ではないかと思うのであります。漁船は、申すまでもなく、農業におけるところの耕地と同じようなぐあいに、唯一のまた基本的な生産手段でございまして、土地改良その他に対しては、政府はあるいは補助金あるいは農林特融の面で百八十億以上の助長の方策を講じておるが、漁船に対しては何ら補助金がない。融資の面にいたしましても、二十八年度の当初予算においてわずかに三億六千万円、いろいろの償還金の伸びその他で最後には十三億程度になりましたけれども、二十九年度におきましても、漁船の農林漁業公庫融資はわずかに十五億にすぎないのであります。これによつてはたして水産の唯一の基本的な生産手段である漁船の整備拡充ができるかどうか、漁船建造に一番金を要する二十トンから百トンまでの船について裏打ちがなされなくて、はたして漁船金融が円滑に行くかどうか、こういう根本的な問題を政府は忘れておるのではないかと思うのであります。
私はこの機会に大蔵当局にお尋ねをしたいのでありますが、あの法案審議の際におきまして、国会側が二十トンから百トンまでに修正しようとするとき、いろいろ柏木主計官その他と折衝いたしました。その際柏木主計官もこれをある程度妥当と認め、いわゆる柏木試案なるものを委員会に提案した。その内容は、二十トンまでの船に対しては五〇%、二十トンないし四十九トンまでは四〇%、五十トンから六十九トンまでは三十%、七十トンから百トンまでの漁船に対しては二〇%、こういうぐあいにいわゆるスライド制によつて、船が大きくなるに従つて補助率を引下げるという提案をなさつたことを御記憶であろうかと思うのであります。これは明らかに、大蔵当局でさえも、二十トンから百トンまでの漁船に対してもある程度の保険負担を国がすべきであるという認識の上に立つての御提案であつたと、私ども考えておるのであります。大蔵省においてもこのように必要性を認めていながら、国会側が柏木試案をとらずに、同様に百トンまでを半額補助するという修正を加えたのに対してこれを拒否されたが、大蔵省はどういうふうなお考えでこのような処置に出られたかということをお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/35
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036・柏木雄介
○柏木説明員 昨年の夏だと記憶しますが、漁船損害補償法の改正が国会で審議されました際に、大蔵省はどう思うかと言うお尋ねがございまして、私の方では、二十トン以上にいたしますことは、全般の経済情勢、全般的な均衡からして適当ではないと考えますが、どうしてもやるということであれば、どういう案が考えられるかということでいろいろ試算いたしまして、水産庁とも十分打合せまして、ただいま鈴木先生からお話のありましたような計算をいたしたことはございます。しかし、大蔵省といたしましては、各保険制度のバランスも考え、国家財政の負担その他経済情勢全般を勘案いたしますと、やはり漁船損害補償の義務加入の限度としては二十トンが限界ではなかろうか。国家財政が非常に余裕があり、非常に歳出をふやすことができるという状況でありますならば、いかようにもなりますが、今日の財政におきましては、やはり二十トンが限界ではなかろうか。そういうことで、二十九年度の予算におきましては、義務加入の限度は二十トンということにいたしまして、またこのたび法律案を政府から提案いたしとまして御審議を願つておる次第であります。そういう事情でありますので、一時は確かに二十トン以上のものにつきましても国家が保険の一部を負担するということを考えたこともございますが、やはり二十トンは、今日の財政状況、各保険間のバランスを考えたときの限界ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/36
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037・鈴木善幸
○鈴木(善)委員 これをもつて私の質疑を終りたいと思いますが、結論的に申し上げたいと思うのであります。ただいま柏木主計官からお話がありましたように、柏木主計官は、あの当時においても、委員会側とのいろいろな折衝あるいは水産庁との折衝の過程におきまして、これはスライド制を採用することによつてやはり百トンまでの中堅漁船にはやるべきであるという結論に達した結果、委員会に対してあのような御提案をなさつたものと私は思うのでありまして、今日情勢が一変したというようなことでその認識をかえられることは、私ども非常に遺憾にたえないところであります。この漁船損害補障制度は、先ほど申し上げましたように、水産界唯一の補償制度でございまして、国の政治の恩典が漁業に対して非常に薄いという中で、わずかに国家が漁民に対して与えている補償の道でございます。このような制度が中途半端な一番その保険を必要とする中堅漁船をはずしておるということでは、補償の目的を達しないのみならず、政府は水産軽視のそしりをまぬがれない。私はこれを非常に遺憾に思うものであります。私はこの機会に政府に対して強く要望したいのでありますが、先ほど赤路君が触れました水産資源保護法による保護水面の管理費の問題にしてもそうであります。水産資源保護法は、いろいろな工場や建設が進んで漁場が非常に荒廃をして、いわゆる近代産業と原始産業との闘争において、原始産業である沿岸漁業が非常な打撃をこうむる、これを防遏して原始産業面に働く漁民生活の安定をはかろうという見地から、水産資源保護法を制定して、保護水面によつて利殖をはかろう、こういうのでありますが、こういう原始産業の面、特に漁業の面に対する認識と同情が非常に薄い。これは漁船損害補償法においても端的に表われております。今後も、この面について、先ほど平野政務次官が言われましたが、今年は財政上やむを得ないというただその一点にかかつておるのでありますが、今年の均衡予算にはわれわれ協力いたしますが、政府は今年だけの時限立法にする意思があるかどうかということをお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/37
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038・平野三郎
○平野政府委員 鈴木委員の御熱意に対しましては、政府といたしましてもまつたく同感でございます。従つて、できるだけすみやかな機会においてこの限度の拡張をいたしたいという考えを持つておるわけでございます。ただ、ただちにこれを時限立法としてまた法の改正をいたすということは、ここでは申し上げかねるわけでございますけれども、できるだけすみやかな機会において、御意見のようなふうに措置をいたしたいと思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/38
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039・井手以誠
○井手委員 私が質問しようと思いましたことはただいま鈴木委員が述べられましたので、多くは申しません。この漁船横掛補償法の改正は議員立法に対する拒否権の発動であるという鈴木委員の説に対して、私はまつたく同感であります。私はここで原則の問題は申しませんが、一昨日この席におきます参考人証言では、もし改正の必要があると政府が考えた場合には、まず法律の改正を行つて、しかる後に予算を補正して提案するのが正しいということが参考人の一致した意見であつたことを、平野政務次官に申し述べておきます。
そこで簡単にお尋ねいたしますが、まだ一回も実施しておらないこの漁船損害補償法のことについて、国会の意思を無視した改正の措置をとつたことについて、ただいま政務次官は国家財政の立場からやむを得ないとおつしやつて参りましたけれども、それだけ、では割切れないので、まだ一回も実施せずにまた引下げるという措置をとつたことは正しい行き方であるかということについて、農林政務次官としてのお考えをこの際承つておきたいと思います。
いま一つは、せつかく漁民の熱望、国会の総意によつてきまつた法律が実施もされずに改正される、このような朝令暮改式の法律に対して、一般国民特に漁民が法律に対して、不信の念を抱くのではないかという危惧の念を持つのでありますが、これに対して平野政務次官はどのようにお考えであるか。
この二点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/39
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040・平野三郎
○平野政府委員 ただいまお話の憲法論議につきましては、実は先般も他の委員会においてもこれが問題となりまして、これが法的解釈を下すべく、衆議院の法制局長を呼びまして委員会の席上においてその見解をただしたこともございましたが、やはり法制局としても政府のとつた措置は決して憲法違反ではないということでございました。これは私個人の考えでございますが、政府が予算案を編成してこれを国会に提出することは、政府全般の政策を明らかにするところであると存じます。予算というものはすなわち政府の政策の集中的表現でありますから、この予算によつて、政府がどういう意図を持つておるか、どういう政策を持つておるかということが国民の前に明らかになる。その場合において現行法通りやるということになりますならば、いかなる政府がこれをやりましても、内容は同じことになるわけであります。従つて、政府が政府としての独自の立場を明らかにすることは、やはり現行法とある程度違つたものを国会に提出することによつて、政府の独自性が明瞭になるというふうに考えるわけでございます。従つて、その点におきましては、どうしても多少別個のものができて来る。しかしながら、その場合におきまして、現行法に対します改正の法律を予算と同時に提出しておりますならば、何ら法的に言つて欠陥はない、かように私は考える次第でございます。
また、国会においておきめになつたことを一回も実行しないのに、それをまた直して出すということは漁民に失望を与えるではないかという点でございますが、この点はまつたく政府としても同感に考えており、特に私個人としてもはなはだ遺憾に存じておる次第でございます。ただ、こういう時局の関係でありますから、水産関係の方々にも御了承いただきまして、何とか政府のやむを得ざる事情についての御理解をいただきたいと思うのみでございます。ただ、先ほども鈴木委員に申し上げましたように、できるだけすみやかな機会において御意見のようなふうに措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/40
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041・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 私午後の本委員会においてゆつくり承ろうと思つたのですが、午後はほかの委員会もございますので、私は、同僚諸君に迷惑をかけてもいけないから、きわめて簡単に承つておきたいと思います。十分間ほどがまんを願いたいと思います。
私がただいまから承りたいと考えますることは、今度の補助金の臨時特例に関しまして、農林省の農業改良普及事業費の減額に対しまして承つておきたい。この点だけであります。申すまでもないことでありますが、日本の経済再建というものが食糧の増産の上に組み立てられねばならぬことは、もとより当然のことであります。そういう意味におきまして、農村施策の改善というものに留意いたしました結果、政府は五、六年前から農業改良普及事業に着手しておる。幸いにこれが五年間の経過を経て非常な成果をあげておる。昨年の風水害、冷害等の場合におきまして、農業改良普及員の残した功績というものは実に輝かしいものがあつて、非常に効果を収めたことは世人の認めておるところであります。ところが、このたびの臨時特例等に関する法律案によりますると、従来国の補助率が三分の一であつたのが、今回三分の一に切られておりまして私は、今日の食糧増産の観点から考えましても、日本の経済安定の観点から考えましても、まつたく逆行するような行き方であつて、ますますこういう事業は大いに助長普及しなければならぬものを、ここで非常に押えつけてしまうということは、まつたく時代に逆行する行き方であると考えるわけであります。そこで承つておきたいことは、三分の二を二分の一に切下げてもこれで十分従前通りのことがやつて行けるというお考えであるかどうか。三分の二を二分のに切下げたあとは平衡交付金によつてまかなうとおつしやつておるわけでありますが、政府はこの点についてどういうふうに考えていらつしやるか、承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/41
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042・平野三郎
○平野政府委員 農業改良普及事業につきましては、お話の通り、食糧増産の観点に立ちまして、ますますこれを推進して行かなければならないという基本方針には何らかわらないわけでございます。従つて、本年度は行政整理ということを標榜いたしております政府といたしましても、この分については何ら手をつけない。むしろこれの増加をはかるということを意図して、おるわけでございまして、この点御了承いただきたいと思うわけでございます。ただ、この法律によりまして補助率の若干切下げをいたしたわけでございますが、これは、お話のように、地方財政計画の上において実質的には何らかわらないという措置をとつておるわけでございますから、内容的には何ら問題はないというふうに考えておるのでございまして、一層この事業の拡大、強化に努めて参りたい、こう思つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/42
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043・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 ただいまの御説明によりますと、三分の二が三分の一に切下げられましても、その差額については平衡交付金においてまかなうということでありますが、それではなぜそれを平衡交付金として出すか、従前通り三分の二の補助率を確保しないか、そういうことに対する根本的な認識についてひとつ申し上げておきたいと思う。申すまでもないことでありますが、農業改良普及事業というような事業は非常に国家的な役割が多いのであります。農業改良普及事業というものは、食糧増産という国家的な目的に従つて行われておる。改良普及員の活動もまた、たとえば栽培法であるとか、土壌の改良、病虫害の防除、食生活の改善等の国の施策を中心にして行われておるものである。従つて、普及事業というものは、重要な地方行政等とともに多分に国家的な事業、国家的色彩が非常に強いということにまずわれわれは思い至らなければならぬと思うのであります。そういうわけでありますから、この普及員には厳重な資格試験等を行いまして、その配置方法等につきましても都道府県とも緊密な協議連絡の上で行われております。ところが、今日におきましては、この改良普及員の農村におけるところの技術指導に対しては農民の信頼も非常に厚くありますが、かりに三分の二を二分の一に切下げまして、残余のものを平衡交付金として支出をいたしますと、受ける普及員の側から申しますと、地方自治体を通じまして自分の生活を守られる、こういうふうになつて参りますと、さなぎだに今日におきましても、ややともすると地方自治体の手先に使われる危険性がないわけではないのであります。多分に国家的な役割を演ずるものが、たとえば県あるいは市町村役場の事務の末端の手伝いをするということになりますと、国の考え方とはまつたく逆な結果になるという危険性もあるわけなんであります。現にこの三分の二の補助率の場合におきましても、これは実際の給与と補助金との関係から申しますと相当な開きがあるわけであります。従いまして、三分の二の補助率の場合におきましても、補助金と実際給与との割合を見ますと、わずかに五九%しか国家が負担していないということになつておるわけであります。これをもし二分の一の補助率に切下げますと、実際給与と補助金との割合は、国が四五%しか負担をしない、こういうことになりますと、身分を国が保証するのではなくして、地方の自治体に依存することになる。そういうことになる結果というものは、いわゆる市町村やあるいは府県の末端の手伝いをするということになつて、国家的な使命が全然没却されてしまうわけです。こういうふうにお考えにならないかどうか。もし政務次官にして詳しい末端のことかわからなければ局長でもけつこうでありますが、私が今申し上げたことに対して同感されるかどうか、まずこの根本的な認識をひとつ承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/43
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044・平野三郎
○平野政府委員 農業改良普及事業が国家的意義を持つという点についてはまつたくお話の通りでございまして、それがために従来も三分の二というような高率の補助制度をとつて参つたわけでございます。しかしながら、やはり憲法によつて定められております地方自治の強化という面から申しまして、地方にもこの事業の重要性を認識していただいて、そして各都道府県がこれに協力をしていただくということも必要であるという考えのもとに、今同こういう措置をとつたのでございまして、中央地方を通じまして州ともにこの重大なる改良普及事業の推進をはかりたいと思つておるわけでございます。従つて、問題は、中央のみならず、地方においてもこの事業に対する認識を強く持つということが必要であるわけでございますが、ややもすれば、地方おいて、いろいろな財政の都合からこれを軽視する、あるいは虐待をするというような傾きがないとも言えませんので、そういう点につきましては、そういうことのないように、厳重に政府から各知事に通牒を発しまして、そして政府の意のあるところをよく察知して、この事業に努力するように指導をする所存でございます。なお、今お話の実際的な給与の関係につきまして、現在三分の二の場合といえどもその通り行つていないではないか、これか二分の一になれば一層そういう傾向に拍車をかけるのではないかという点につきましては、そういうような点も実は若干あるわけでございまして、極力そういうことのないように努めたいと存じまするが、詳細につきましては改良普及局長から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/44
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045・塩見友之助
○塩見政府委員 ただいま政務次官からお答えのあつた通りでございまして、現実の補助は、——佐々木委員が御指摘になつたところは普及員の分だろうと思います。普及員の方は、現在三分の二補助でございますが、実際上は五九%になつておる。二分の一の補助になると四五%になつておる。専門技術員においては、現在三分の二の補助といつておるのが実質、三二%の補助であり、二分の一の補助となると二四%になるというふうな形でございまして補助単価の関係からして現在三分の二になつておらないことは、これははなはだ遺憾でございます。そういうふうな意味からいつて、立法の精神の三分の二が少くとも半分以上というふうなことは、どう考えても考えられぬ数字でございますが、これが二分の一になりますと、実際は二分の一を切るような数字になりまして、どうしても県の考え方が強く影響しておる。県が改良助長法の精神というものを十分に理解しないで運用した場合には、おつしやるような危険が感ぜらるので、その点については、政府の方においても、政務次官からお答えがあつた通りに、府県に対して強くその点を指示いたしませんと、そういう危険が起る、こういうふうに感じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/45
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046・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 かりに三分の二の補助率を二分の一に切り下げたといたしました場合において、府県がどれだけのものを負担しなければならぬかということをちよつと拾つてみましても、農業改良普及員並びに専門技術員におきまして、大体府県が三億何がしの超過負担となる。またこのほかに、純然たる県費負担となつております期末手当や勤務地手当、超過勤務手当等の総額は、これまた三億一千数百万円ということになつておるわけです。合計いたしますと六億以上のものが府県の負担となるわけであります。さなきだに今日地方財政が逼迫いたしておりますときに、財政の逼迫によつて事業の縮小が懸念されることは当然であります。そうなりますと都道府県に対する国の指導力というものか非常に弱化して来る。その結果というものは、普及事業が後退するおそれが十分あるのです。これらの点につきまして、私は三分の二を二分の一に切り下げて残余のものを平衡交付金へまわすという行き方ではいけない。これはやはり国家的な役割を持たせる意味におきまして、自治庁の方からとりもとして来て、農林省独自の手によつて直接これは交付する、こういう方法をとるならば——ただいまの意見によりますと、これは国の支出の総額から言うならば別にかわりはないわけです。別に余分の金を出さなければならぬということではないように承つたのですが、そうでありますか、どうですか。もしそうならば、これを自治庁から農林省へ持つて来て、農林省独自の手を通じて交付する。そうすれば国家的な使命というものを生かすことができるが、なぜそういうふうにしないか、この点について承つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/46
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047・平野三郎
○平野政府委員 この制度を今回切り下げましても実質的にはかわりはないと申し上げましたが、富裕府県に対します平衡交付金は約四千万円ぐらいであつたと思いますが、その程度は国としては軽減されることになるわけであります。しかし、先ほども申し上げましたように、富裕府県に対しましても、この農業改良普及事業の重要性にかんがみまして、これの後退をせしめることのないように、厳重に行政指導をいたすという考えを持つておるわけでございます。しからば、実質的に大したかわりのないことであるならば、何ゆえにそういう補助率の切下げをやるのか、内容的に同じであるならば今まで通りでいいじやないかという御意見につきましては、その通り私どもも同感の面もあるわけでございますが、しかし、先ほども申し上げましたように、一面から考えますならば、地方においてもこの事業に協力を願う、やはり地方自身も地方自治の観点からこの事業に対する理解を深めるべきである、これが憲法の精神に合致するゆえんである、いたずらにただ中央集権の強化をはかるということはこの際とるべきでない、このような趣旨でこの法案を提出いたしておる次第でございます。なお、財政全般の関係につきましては、大蔵省の事務当局から御説明を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/47
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048・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 最初に総括説を申し上げましたときに、今度の補助金の整理はどういう方針でやつたかという御説明をいたしたわけでありますか、そのときに、実は今度の補助金の整理につきましては、いろいろと政府の部内でもその方針を決定するのに紆余曲折があつたわけであります。しかし、一応方針を立てたわけでありますか、それは一面補助金についてもいろいろの非難があるということは御承知のことと思います。また、地方制度調査会等におきましては、できる限り地方にまわしてしかるべきものは地方に徐々にまわしたらよかろう、こういう意見を強く持つておるわけでありまして、地方財政審議会なんかでもそういう意見がはなはだ強いのであります。私どもといたし幸しては、そういう地方制度の見地からする要求、それから各省がまたそれぞれの行政の見地からお考えになる御要求というものと彼此調整をする必要があると思うのであります。それで、そういう観点から、また補助金全体をある程度整理するという一つの方針から考えれば、主として人件費につきましてこれを地方に移してしかるべしと思われるものは移したわけであります。事業費自体はそう手を触れなくても、人件費等は、もともと府県もしくは市町村の職員でありまして、これに対してはどうしても府県なり市町村としてはある程度のめんどうを見るという責任があるわけでありますからして、ある程度補助金負担率を引下げる、こういう方法をとつたわけであります。但し、先ほども農林政務次官からお話がございましたように、いわゆる富裕府県でございますが、基準財政需要と基準財政収入と比較いたしまして基準財政収入の方が多いような特別な富裕な公共団体、これはその他の富裕ならざる府県、市町村に比べまして十分ゆとりがあるのでございますから、そういうところにはおのずから出なくなるわけであります。これはめぐりめぐつて、結局地方全体としては、それだけの財源がほかの方にある程度活用されるということも考え得るわけであります。地方制度の立場からいたしますと、先ほどもお話がございましたが、農業は特にローカルな色彩の一面強いものでありまして、国が出す以上に地方がほかの費用を差繰つても出すというのが、また地方の行政を預かる県知事等の当然の措置だろうと私どもは考えます。従つて、県によつて力の入れれ方が多少違つて来る。これは徐々に中央の農林省の指導助長によつて適当に指導していただこう、こういう気持でおります。大体圏と地方とには、たとえば、地方に仕事を委託はしてあるけれども、全部国の責任であるという仕事もございます。それから、本来地方公共団体というものか、こういう特殊な性格として憲法上も認められておるという建前から見て、国がまずあとへ引いて、地方に直接全部責任をとらせるという仕事もございます。それから、国と地方とがほぼ両方に関係しておつて、両方が強い関心を持たなければならぬというのもございます。そういう際には、できるだけ補助率と負担率とは半分にしたいというのを補助金整理の一つの方針にしておりますが、補助率は昔から普通二分の一というのが常識なのでありまして、農業普及改良制度につきましても、もうその制度の創設以来六、七年を経過いたしておりまして、国民の大部分の頭にも大体入り込んで来た時期でもあろうというので、一応こういうような補助率が適当じやないかということになつて、こういう基準でもつてやつておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/48
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049・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 ただいまの理論的な御説明だけを聞いておりますと、行政指導によつて十分できるんだ、こういうお話でありますが、現実はなかなかそうじやないのでありまして、地方財政の逼迫というものは、結局まわりまわつて改良普及事業が後退をするという結果になることは、実際は火を見るよりも明らかなことであります。この際、時間の関係もありますから、簡単に結論だけを承つておきますが、この事業費あるいは給与の補助率というものは、平衡交付金で出された場合におきましてはひもつきになつておつて、従つてそれ以外にこれを流用してはならないのかどうか、ことに財政の逼迫した府県におきましては、これを他の方へ流用するというようなことができはせぬか、そういうことはしてはならないことになつておるなのかどうか、この点をひとつ明確してもらいますことと、もう一つは、それでは、今のような行政指導によつて、将来事業が後退をしたりあるいは普及員が減員されるということの結果になりはせぬか、私はこれを憂うるわけでありますが、そういうことは絶対にさせないという自信があるかどうか、この一点を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/49
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050・平野三郎
○平野政府委員 法律では、地方が負担をする場合にその分について国が補助をするということになつておるわけでございますから、地方においてこれをやらないという場合には、中央の方でも補助をいたさないわけでございます。従つて中央から出まするところの補助金が他に流用されるということはあり得ないわけでございます。しかしながら、お話の行政指導によつてこの事業が後退するおそれはないかということでございまするが、これは地方の本事業に対する認識の問題にかかつておるわけであつて、地方がさらにこれに対する増員をいたしましてどんどんやるということになりまするならば、そういう憂いはございませんが、各地方がこれに対する認識がなくして、地方において自発的に人員を減らすということになりまするならば、当然国の補助金の額も減少いたして来る、従つてまた総体的に人員減るということになるわけでありまして、政府としてはそういうことのないようにつとめて行政上の監督をいたす所存ではございまするけれども、地方によつては多少力の入れ方が違う場合が出て来るということも想像されるわけでありまして、そういうような場合においては、御心配になるような点があり得るわけでございます。しかし、そういうことのないようにせいぜい努力いたしまするが、結局は各都道府県の知事並びに都道府県の議会の木事業に対する認識の問題にかかつておる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/50
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051・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 最後に一点だけ伺つておきます。ただいまのお話によつて、今までお話になつたことが大分かわつて来たわけであります。この普及事業が後退する危険性があるということも予想される。従つて首切りが行われる危険性があるということが、ここで明らかになつて来たのです。なぜならば、たとえば富裕府県に対しまして補助金を出さない、補助金が出ないようなら、私の府県ではこういう改良普及事業はやめようじやないか、こうなつた場合におきましては、これは全面的な後退をする、あるいは首切りが始まる、こういう危険性がないというわけではない。現にあることをあなたみずからおつしやつているわけです。そういうようなことになつた場合には一体どうするか。それは行政指導によつてやるとおつしやるが、財政の逼迫というものは、のつぴきならない場合におきましては、結局簡単なところから首切りを始めるということになるのであります。従つて、私が先ほど来申し上げますように、これはどうしても、国家的な使命から考えましても、ひとつ農林省独自の手によつて従来通りの三分の二を確保していただきたいということを私は訴えるわけです。しかも、この総額を見ましても、たとえば二十八年度と二十九年度におきますところの農業改良普及員の人数を見ましても、一十八年度が二万一千四百八十二人、二十九年度において一万一千四百六十八人、たつた十数人の差異しかないわけですところが三分の二から二分の一に切り下げましたときに、三分の二の二十八年度におきまして十一億七千二百何がし、二分の一にし、九億五千八百何がし、そうすると、この開きというものは微々たるものでありまして、富裕府県に対するところの四千万円か五千万円が浮いて来るかわかりませんけれども、これは元通りにしたところで大した総額でもないのであります。農林当局は今お話のように地方自治を助成するということをおつしやつておりまするが、あなたの意思は、ほんとうはそうではなくして、——これは押しつけられたものだ。この法案そのものが、もともと大蔵省の役人がきめて、そうして補助金を切り下げようということで総括的につくつたものなんです。それを押しつけられたことの宅、あなたがいろいろと合理化そうというような理論をおつしやつておるのですか、その理論のつじつまか合わなくなつて、現にしつぽを出されておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/51
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052・葉梨新五郎
○葉梨委員長 御質疑はなるべく御意見の陳述、討論等にわたらぬように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/52
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053・佐々木盛雄
○佐々木(盛)委員 それでは、私は最後にもう一点だけ伺つておきますが、これはどうしても従前通りの三分の二を農林省から交付するというふうにはできないものか、私は今からでもそのくらいのことはできるんじやないかと思うのでありまするが、それができないものかどうかということをひとつ承つで、おきたいと思います。
それから、先ほど申しましたように、実際問題としては減員なり首切りを始める府県が必ず起つて来て、普及事業が後退すると考えるのでありますが、それをしも絶対さようなことはないと言い切れるかどうか。その点について賜りますと同時に、私はどうして今年度におきましても従来通り三分の二を確保すべきことを強く要求いたしまして、ただいまの改正案に対しては私は強い反対の意向を表明して、質問を打切つておきますから、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/53
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054・平野三郎
○平野政府委員 お話の通り、農林省として申し上げまするならば、現行法通りであつてもいいではないかというような考え方もあるわけでございますか、政府全体の立場から、この法案を提出して御審議を願つておるわけで、しかもこれは予算とうらはらのものでございます。しかも、先般予算は国会で三党において御修正になるということがございまして、その場合、御修正になりまするならば、なるべくこういう点についても触れていただいたらどうかということで、懇談会をお開き願つて、農林省につきましては私が代表して出て、いろいろお願い申し上げたわけでございます。そのときの修正におきましては、この改良普及員と相並んでやつておりまするところの生活改善普及員の方を五千万円増額する、こういうことに相なつたのでありまして、その際この分についても御協力願いたいということをお願いも申し上げたわけでありますが、結局生活改善普及員を増額するということに話合いがきまつたようなわけで、政府といたしましては国会の御意思通りやらざるを得ない。そしてすでに予算が衆議院を通過しており、佐々木委員も御賛成になつたわけであります。(笑声)この法案につきましても、これは予算と同じ性質のもので、もしこの法案が不幸にして国会で成立しないということになりましたならば、予算の方に重大な問題生じて来るという点をひとつご理解いただきまして、なにとぞご協力をお願い申し上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/54
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055・葉梨新五郎
○葉梨委員長 午前の会議はこの程度にいたしまして、午後は、先ほど赤路君、井手君より御要求の資料が明朝になるそうでありますので、赤路君、井手君の資料に基く御質疑は明日以後にこれを留保いたしまして、午後は川村善八郎君より質疑を続行することといたします。
暫時休憩いたします。
午後一時七分休憩
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午後二時四十六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/55
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056・葉梨新五郎
○葉梨委員長 休憩前に引続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。川村善八郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/56
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057・川村善八郎
○川村委員 補助金等可の臨時特例等に関する法律案についての各委員の御質問に対する政府当局のお答えは、いずれも、今年は日本の財政が非常に苦しくなつておるので財政の一端をどうしても詰めなければならぬ、そのためには補助金を制約しなければならぬといつたような意味のことを申されておるのでありますが、こういう財政危機に入つたときこそ大いに増産もし、しかして海外貿易の振興等もはかつて日本の財政をゆたかにするということでなければならぬのにかかわらず、政府がわずかの補助金等を規制して、これを地方に持たせるといつたようなことはむしろ逆ではないかと思う。先ほど各委員からもお話があつたように、こういう場合こそ大いに補助金等を出して増産させ、しこうして今国家財政に一番問題となつておる貿易等で外貨を獲得するということでなければならぬと考えておるのでございます。この補助金の臨時特例が通つた場合に、全部で三十八億ということになつておりますが、地方平衡交付金等に織り込んでおるから、それは運営上決して支障がないということでございますが、一体地方財政等の援助、すなわち平衡交付金等にどのくらい織り込んで、今度ほんとうに補助金等を出す額はどのくらいになつているか、まずこの点をお伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/57
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058・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 午前中に同じような点について御質問がございましたので、ただいま自治庁の方に連絡をいたしまして、明朝的確な資料を持つて参りますが、お手元にすでにお配りいたしました資料に予算額が出てございますが、これらのうちで、たとえば文部省関係のいわゆる教科書の関係、それから農林省関係の漁船の関係、それから運輸省関係の外航船舶の建造の利子補給の関係、地方鉄道整備の関係、これらにつきましては、もちろんその支出が民間に向けられるものでございますから、地方との関係は一応ございませんか、その他の法律は、それぞれ地方財政と直接つながつております。これらのものにつきまして、全額落しましたものについてはその全額、それから補助金の負担金の率を引下げましたものにつきましては、その引下げた金額を交付税にまわしてございます。ただ、建設省の公営住宅の関係につきましては、交付税でなくして起債にまわすことといたしておるのであります。その他のものは大体地方交付税の方に全部まわしてある。それから運輸省関係の自転車競技、競輪関係ですが、これらの納付金は地方の財源といたしまして収入に織り込んでございます。今これらを除いた金額は合計してございませんが、そういうような関係でございますから、その範囲内でそれぞれ二十億前後のものがこの関係だけでは組まれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/58
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059・川村善八郎
○川村委員 詳しい数字については、いずれ自治庁の方から出て参りましようから、その際御質周を進めることにいたしますけれども、とにかく今度の補助金等の臨時特例の法律が通りますと、大体三十億といつたような予想だそうでございますけれども、わずか三十億の補助金が切られるごとによつて、人心に及ぼす影響は非常に大きいのじやなかろうか、すなわち、角をためて牛を殺すというようなことがありはしないかということを、私は非常に心配するのでございます。かつて第十九国会の再開劈頭におきまして、大蔵大臣は、財政のきゆうくつなことをるる申し述べて、この打開は日本の生産の増強と貿易の振興にあるのだということで結んでおります。ところで、この法案の中に、非常に貿易に役立つておるものを今度の補助金で切られるということになつておりますので、私はこの点はまことに遺憾だと存じておりますが、大蔵省におきましては大蔵大臣の財政演説に織り込んだことを一体どう思つてるのか。われわれはこれをほんとうにまじめに受けておるのであるが、大蔵省の皆さんは、大蔵大臣の財政演説をまじめに、ほんとうに実施するという考えか。それとも場当り的に、財政が困るからそれくらいのものを切らなければならぬ、しかも財政か立ち直れば今度はこれも復活することがあるんだということで、いずれの条項を見ましても当分の間と入れてあるのでございますが、一体大蔵大臣の趣旨を体してこの法律を出したのか。ただ、財政が苦しいから、しばらくの間財政の緩和ができるまでこれを規制するのだ、こういう考えであるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/59
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060・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 大蔵大臣が、財政演説におきまして、いわゆる貿易の振興ということを特に強調せられている点は、確かにその通りでございます。もともと一兆円予算の編成方針の基礎は、実は貿易の振興という考え方から来ておるわけでありますが、要するに現在の貿易の振興を阻害しておる原因は多々ありまするか、やはりそのうちの基本的な問題は、いわゆる輸出価格の国際的な割高にあることは周知の通りでございます。それで、その国内の輸出価格の割高ということを是正いたしますためには、どうしてもインフレーシヨンをこの際相当思い切って阻止しなければならない、全体としてのインフレーシヨンを阻止することによつて、国内の価格水準というものを引下げて、それによつて輸出競争力を国際的に強めて行く必要があるということが結局基本になつております。それで、財政演説におきましても、御承知のように、従来十億ドルの手持ち外貨といわれたものが、去年あたりから次第に貿易の情勢が悪くなつて参りまして、どんどん手持ち外貨も減りつつあるような状況でございます。この国際収支の赤字傾向を是正するためには、相当思い切つて国内の物価を割安にしなくてはならない、そのためには、一時ある特殊な個々的な経費について、多少不便を忍んでも全体としてやはり抑圧せざるを得ないという気持から、このたびの一兆円予算の線が出されたことは、すでに大蔵大臣の財政演説その他で御説明なさつた通りであります。もちろん、そういう際におきまして、経費の個々につきましては前年に比して相当削減を余儀なくせられたものもございます。それにいたしましても、予算の規模というものは、前年の補正を加えますと少しく減つておりますか、それは、前年においてはああいう異常なる災害が起つたわけでありますか、当初予算の比較から申しますと、前年度に比べましてやはり相当の増額になつておるわけであります。それで、年々どうしてもふやさなければならない経費が一方にふえて行くということもございまして、本年の予算の編成におきましては、私たち自身も非常に苦しんだのであります。どの経費を削り、どの経費を生かすかということは国政全般の比較考量においてなされなければならない。それからまた、ある経費につきましてはどうしてもやむを得ないものがあるということで、その一環といたしまして、また地方財政制度を改正するという大きな眼目ともあわせまして、大きな補助金の整理という一つの方針を予算の編成の際に立てまして、その結果として各種の補助金につきまして相当御希望に反した点が出て来たことは、やむにやまれぬものではありますが、私たちもまことに遺憾なことと思います。国際的な競争力が培養されまして、国際的な赤字が黒字に転向し、財政的にもゆとりができる見通しが立つあかつきにおきましては、補助金等につきましても十分留意するわけでありますが、そういう気持で今回の補助金の整理をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/60
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061・川村善八郎
○川村委員 補助金を節約するという点についてこの法案を出したことになつておりますけれども、財政を節約するというだけを考えましたならば、今取上げておる臨時特例法に織り込まれておるものだけでなく、広く検討いたしましたならば、おそらく不急のものか相当あるのじやないか。特に議員立法に基くようなものだけ取上げて——全部そうではありませんが、補助金を規制しようという考え方にはどうしてもわれわれは賛成することができないのでございます。一兆円以内の予算を組んだということについては、おそらく相当財政上の苦労があつて組んだということは、われわれも了承できるのでありますけれども、全体を検討したならば、三十億の補助金の制度については生み出せる率も相当あるのじやないかということも考えております。ただ補助金がなくなつたことによつて国産品が割高になる部面も相当あるのではないか。要は生産を生み出して大いに増産をすれば、自然物の価格が下るということは理の当然であります。しかしながら、増産せしめるにはやはり国家の政策をそこに大きく反映させる、率直に言いますと、どうしても振わないものは補助金等を大いに出して、そうして振わせるということも考えて行かなければならぬじやないか、かように考えるのでございます。ただお前らの力で貿易に向くような製品の価格にしろということだけでは、いつまでたちましてもとうてい国内の生産品の価格が下るものではない。下るためには増産さす、増産させるためにはやはり補助金等も出して大いに奨励しなければならぬというものがたくさんあるんじやないかということを考えるのでありますが、そうしたような点では私とあなたとは大いに意見の食い違いがございます。従つて、最後にはその点において大いに論じてみたいと思うのでございますが、時間の関係上今度は端的に水産問題にだけ入つて質問をいたしたい、かように思うのでございます。
先ほど、水産問題につきましては、赤路委員、鈴木委員、井手委員から大幅な議論がありまして、それに一々お答えを願つて、私もそれを聞いておつたのでありますが、いずれも、いわゆる財政難から来ておるので、この程度はやむを得ないというふうに答弁をしております。ただ私は、財政面からだけ見るならば、まず第十三条に織り込まれております漁業調整委員会の費用、しかも、先ほどのお答えの中に、海区調整委員会の委員の費用等については全額国庫負担である、事務局等の事務員その他事務費等については今度の方法を適用するのだ、こういうことでございますが、海区調整委員会の必要なことは赤路委員からるる申し上げたから、私は重ねて申し上げません。今全国の海区調整委員会の数を見ますと百七十海区ございます。用務局はむろんこれに対して全部設置せられておりまして、全国の事務員の数は四百十五名である。これは昭和二十八年現在でございます。これらの方々が今まで悩んでおつたことは、全額国費で自分らは事務をとつておるのであるが、地方公務員でもなければ国家公務員でもないわれわれを国の費用で使つておつて、そうしてわれわれの待遇というものはまことに冷遇されておる、一体国家が全額国費をもつてやつておるのであつたならば、当然これは国家公務員でなければならぬという主張を私は聞いたことがありますが、その主張はまことにその通りでありまして、私も同感でございます。従つて、今までは国家公務員でもない、地方公務員でもないのでありますが、今度は一体どういうふうな待遇をするのか、この点を、大蔵省でもよろしゆうございますし、水産庁からでもよろしゆうございますから、まず待遇といいますか、地位といいますか、その問題についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/61
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062・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 具体的なことはまた水産庁から御説明があろうと思いますが、私どもの考えといたしましては、現在の事務局の事務をとつておられる方々の地位に変更を加えようという気持は実はございません。いわゆる財源配分等の関係におきまして、農業委員会等との関係もございますが、一部を地方に負担してもらおう、こういう気持でございまして、これによつていわゆる身分関係等が国家に移るとかあるいは地方に移るとか、従来とかわるというようなことは実は企図いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/62
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063・岡井正男
○岡井政府委員 われわれとしては、例の漁業調整委員会等の設立港初の趣旨から見まして、できるものならば、これは地方公務員並に扱つてもらうように府県の条例を適当に改めてもらいたいという希望を、機会あるごとに地方には連絡強調いたしたのでございますが、地方のそれぞれの事情があると見えまして、今日までのところでは、そういう条例改正をして地方公務員扱いをしてもらつているところはわずかの部分でございまして、大部分は御指摘の通りでございます。いずれ、この問題につきましては、全般的な漁業法並びに漁業組合法を改正したいというので、目下研究をする段階に入つておりますので、その際に一括して、相なるべくはただいま川村先生からおつしやつたような線に沿うて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/63
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064・川村善八郎
○川村委員 漁業法は御承知の通り政府提出でございます。政府提出である以上は、国家公務員にすべきだという私は持論を持つておるのでございます。今次長の答弁では、なるべくは地方公務員の待遇を受けるように目下研究を進めておるということでございます。私は、いやしくも政府が立法の手続をした場合には、これらのことをはつきりしておかなければならないと考えたのでございますが、今まで国家公務員でもない、地方公務員でもない、ただそこいらから雇いに拾つて来たような待遇を受けておるということは、まことに遺憾でございますので、この点は、追つて漁業法の改正に伴つていわゆる待遇の確立をしなければならぬと思うのでございますが、水産庁にその意思があるかどうか、これはあとでお答え願いたいと思います。
それから、大蔵省にお伺いしたいのでございますが、それは水産庁からも答弁があつてしかるべきしだと思つております。私は、海区調整委員会の重要性は十分認めておりますし、またそのやつておることについても十分理解をしておるのでございます。ただ、全国の百七十海区の数が適当かどうかということについて、財政の節約という面からのみ考えた場合においては、まだ縮める余地があるのではないか、海区の数を減らすことも決して不可能じやないのじやないか、いわゆる実務をとらしている海区調整委員会の運営の問題だけ考えますと、全国百七十は適当かもしれませんけれども、節約するというだけであつたならば、私はまだ海区調整委員会の数を減らすところがあるんじやないかということを考えておるのでございます。たとえて申し上げますと、北海道は四十九海区になつております。私らは、漁業法の提出の当時、支庁単位にすべきだというとで議論を進めたのでございます。ところが、水産庁の方では、北海道に限つて町村ごとに海区調整委員会を設置するんだ。それがいつかしらかわつて四十九海区になつた。そこで、四十九海区になつた時分に、われわれはどうしても将来の問題を考える、すなわち、海区調整委員会で円満な漁業調整をはかろりとするならば、北海道はあまり数を多くすると個人的感情に走りやすいから、海区を二十海区ぐらいにしようじやないかということを主張したのでありますけれども、水産庁はどうしても言うことを聞かなかつたということになつて、四十九海区になつたのでございますが、これは全国的に見ましてそういうことはないでもない。また海区をどうしても新たに設置をしてもらわなければならぬところもございますが、とにかく、全国を見渡して、百七十海区というものは決して不足なものじやない。むしろ海区調整委員会が調整をして、そうして一面には経費の節約もはかるのであるが 一面には大きな海区設置をして海区調整の円滑をはかるということを考えますると、両面で非常に有利になるのじやないかということを考えておるのでございますが、こうした面から、一体海区については将来ともに百七十海区にしておくという意思かどうか、こういう点をまずお答え願いたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/64
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065・岡井正男
○岡井政府委員 しごくごもつともな示唆に富んだ御質問で、共感をする点が非常に多いわけでありますが、御承知のように新漁業法のすべり出しの当初におきましては、浦々における漁業権の切りかえなどについては、相なるべくは海区を小さくして抜けのないようにすることが、地方漁民の声をなるべく妥当に入れるというためには必要であつたのでございますが、その後その仕事も終りまして、よしんば次期の漁業権の切りかえのときと相なりましても、当初に一応そういうくさびを打つておりまする関係上、次の段階には海区は若干減らせるのではあるまいか、ましてや許可漁業が調整の項目の主流と相なつておりまする今日では、今までの百七十の海区の数は多過ぎるという気持がわれわれ当局もいたしております。かつ、府県の部課長あるいは漁民代表の間にも、妥当に減らしてもいいのじやないかという声も起つておるわけであります。この点は、川村先生御指摘のように、われわれとしても適当な時期にこれを減らしたいという考えでおります。しかし、ただ一点、御指摘の点とわれわれの考えとが若干違う点がございます。それは、数を減らせば相当財政上にもゆとりが出るのではあるまいかというお説は、一応表から見たらそうでございまするが、実はこまめな海区を広げましても、そこに勤務いたしておりまする者の旅費とかあるいは事務分量というものが、少くなつた割合に減らせるというものではございませんので、財政上は期待したほどの節約には相ならぬかという懸念だけは残つております。
〔委員長退席、羽田委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/65
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066・川村善八郎
○川村委員 もちろん、今水産庁次長かお答えになつたように、現在の海区調整委員会に対する国家負担というものは決して多くない。むしろ不足だから増せという要望があるので、経費については私はそう大幅な節約はできないとは思いますけれども、私が申し上げたことによつてこれが実現すると、一年に三千万円や四千万円の節約はしても、決して海区調整委員会の運営には支障がない、そうして個人感情も入らないで、いわゆる大きな見地から相当の有効的な海区の調整ができるということを考えますときに、むしろ経費か減らぬでも、海区調整の実を上げることができたならば、その方が有効だという点から見ますると、この海区調整委員会の費用の節約、言いかえるならば、補助金の節約というものはわずかに三、四千万円であるから、これを取上げてどうこうするというようなことは、まさに角をためて牛を殺すという言葉に合致するのじやないか、かように考えておるのでございますが、これらはまたあとで総括的に申し上げてそれぞれの御答弁を得たい、私はかように考えております。
それから次に、水産資源保護法に基く負担の部分でございますが、これにつきましても赤路委員からの相当突つ込んだ御質問に対するお答えを承つておるのでございますが、申すまでもなく沿岸が行き詰つておることは御承知の通りでございます。政府も、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へというふうに非常に奨励はしておりまするけれども、船の問題も解決をつけなきやならぬし、漁港の問題も解決をつけなきやならぬ。この解決がつかないうちに、理想論として沖合いから遠洋へといつたようなことでありますけれども、これは容易でありません。しかも漁民は年々自然増になつて、漁田は狭くはなつておりませんけれども、一戸当りの沿岸漁田は狭くなつておるというようなことから見ましても、どうしても沿岸魚族の保護と培養に全力を尽さなければならぬということに相なることは当然でございます。従つて、昭和二十九年度におきましては、若干水産資源保護法に基いた予算は増加されておりまするけれども、われわれといたしましては、これらのものだけではとうてい承服しておりません、そこで、先ほどの御答弁を聞いていますと、水産長官は、得々として、この予算だけは二十八年度より四千万円ほどふえておるということを言つておりますが、立場がかわればかくもああいうずうずうしいことを言うかと思つて、私は顔を見ておつた。われわれは一億五千万円の増をしようと思つて一生懸命やつたけれども、これがわずかに四千万円くらいより増加されなかつたというわれわれの苦労も知らないで、そうして、ふえておるからそれで満足しろ、今度この法律が通つてもさしつかえないようなことを言つておるに至つてはまつたくあきれ果てたのでございます。この水産資源保護法に基く負担の法令が通りましても、わずかにこの表で見ますと六百万円かそこらでございます。このことこそ、先ほど私が言つたように、六百万円を削ることによつて沿岸漁民の心理に及ぼす影響というものはまことに甚大であります。むしろこの法案の第十五条こそは私は削除すべきだという意見を持つておるのでございますが、六百万円ほどの節約をしても、これは沿岸漁民を苦しめなきやならぬということは、これすなわち、先ほど御説明のあつたように、財政面からのみ来ておるのかどうか、この点をお伺いいたしたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/66
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067・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 先ほども申し上げましたように、個々の補助金をとりますと、いろいろのお立場もあり、また金額の点においてこのくらいは大きな財政の中から見れば物の数ではないではないかという御意見がございました。皆さんからもいろいろお話がありまして、一応ごもつともな点もあると思うのでありますが、御承知のように、補助金の整理の方針を立てまして、今回大体全体で六十億くらいの節約になつたのでございます。このうちで、いわゆる法律の関係としてはどうしても改正いたさなければならない部分が、お手元に差上げしましたように三十億くらいになつております。その件数は二十三件でございます。いわゆる法律改正なくして整理を行う補助金も相当にあるわけであります。もちろん六十億円というものも一兆から比べれば必ずしも十分ではございませんが、一応いろいろな事情、それぞれの事情やバランスも考えて、予算編成の総体の中でそういうことが行われたわけであります。その際に、補助金と申しましても、ただやみくもにこれを整理するということはもちろんできない相談でありまして、一定のある程度の基準を設けまして行つたわけであります。これはなかなかなか昔からむずかしい問題でございまして、いわゆる地方財政法等におきましても、この一つの行政事務はどれが国の事務であり、どれが地方の事務であるか、どれが国と地方が両方でもつて応分に負担し合う事務であるかということの色わけというものはなかなかむずかしい問題でございます。しかしながら、一応そういう国と地方にどういうふうにわけたらいいかという目安等も考えまして、あるいはまた、御承知のように、補助金につきましては一県当りのこまかい金額が出ておりまして、そういうものは手数の割に効果が上らないから将来だんだん整理して行かなければならぬ、こういうような批評も二面相当あるわけであります。まあいろいろなことも考ええまして、地方に移してしかるべきものは徐徐に地方に移していいのではないか、今回そういう考え方で立てたわけでありますが、もちろん、その間に一挙に事を進めましても、各省の立場、各種の行政の立場ということもあるわけでありまして、従つて各省の御意見等も参酌いたしまして、当初考えたものよりも、補助金整理の眼目からいたしまして最小限のものをこの際一応やつてみる、これを当分の間やりまして、もしその問支障があるようであれは考えなければならぬというわけで、いわゆる臨時立法にいたしたわけでございます。その際には、たびたび申し上げましたように、事業費は直接響いて来るわけでありますが、職員の費用とか維持の費用とかいうようなものは、大体において地方においても切半しているものではないか、こういう考えが立つわけであります。
水産資源の保護につきましてもいろいろな考え方が立つことと思います。国としてももちろんこれにある程度の力を注がなければならぬわけでありますが、一面またその地方の利益とも密接な関係があるわけでございまして、そのところの地方公共団体の長が、ほかの経費と勘案いたしまして、そして地方行政の見地から力を入れるなら入れるという見地も必要であろうというようなことで、結局この全額負担というものを半額に改めようということになつたわけであります。これにつきましては、農林省の農業その他いろんな関係とのバランスを見ましても、全額負担ということはこれは真に特別な場合でありまして、補助金というものは多くの場合において二分の一か普通の常識になつておるわけであります。それらのものとも勘案しし欲して、大体ここいらが妥当ではなかろうか、こういう結論が出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/67
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068・川村善八郎
○川村委員 この水産資源保護法は、御承知かと思いますけれども、ちようど講和条約が批准になつた後におきまして、北太平洋漁業条約が成立せんとしたのでございます。その時分に、アメリカの主張は、日本は略奪的漁業である、資源を何ら保護しない、それだから、今度の北太平洋条約においても、日本の略奪漁業を何としても阻止しなければならぬということで、非常にやかましくなつたのでございます。言いかえるならば、北太平洋漁業条約に、日本の資源保護が軽視されておるというようなことから、非常に問題になりましたので、われわれの方も、将来公海漁業に伸びて行かなければ、日本の漁業も成り立ちませんし、さらにいわゆる水産貿易というものを大幅に拡げることができないので、どうしてもわれわれは一日も早く北太平洋漁業条約を結ばなければならぬ、それにはいわゆる略奪漁業などという汚名を返上しなければならぬということに相なつて、この水産資源保護法というものを急に国会に提出することに相なつたのでございます。言いかえるならば、これがわずかのきつかけになつて、北太平洋漁業条約が有効に結ばれたということに相なつたのでございます。わずかの薬でああしたような大きな北太平洋漁業条約が結ばれて、今年で三年、しかも二十七年、二十八年は相当の成績を上げて、やはりカン詰等の輸出も相当したのだということになつておるのでございまして、こうしたような観点から見ますと、この水産資源保護法に基く負担の特例などは、これは私は何としても了承できません。というのは、将来各国との漁業条約が起るんじやなかろうか、各国ともに日本の漁業は略奪漁業であるということをおそらく主張されておるので不利になつておるのだが、この抗弁としても、いや日本はそうではない、やはり日本の沿岸漁業の行くべき道というものを、水産資源保護法という法律に基いて保護して、そうして培養しておるのだ、それであるから、万やむを得ないものだけがいわゆる公海漁業に進出をして行く、そうして日本の漁業を伸ばしておるのであり、また日本の財政にも大いなる寄与をしておるということを現わすためにも、やはりこの水産資源保護法というものは必要であり、必要であつたとするならば、わずかの補助金等は惜しむべきではない、私はかように考えておるのでございます。
それから次に、一番大きな問題であります。漁船保険の問題でございますが、先ほど鈴木君からも赤路君からも相当つつ込んだ質問があり、これに対して管弁があつたが、はなはだしきに至つては、平野政務次官は、予算はお前らが賛成したのだからいいんじやないかといつたような、逆襲の答弁までされておるのでございますが、われわれは、与党であるから、それをどこまでもつつ込んで平野政務次官をとつちめてやろうとは考えないのでございますけれども、現在の漁船というものは、先ほども申し上げましたように、小型からだんだん大型に移行しております。政府としても転換漁業を奨励しております。こうした意味からいたしますと、どうしても二十トン以上百トンまでの船が将来非常にふえるのではないか、また、これらの漁船が中核隊となつて日本の漁業の生産を上げておることは、私が申し上げるまでもないのでございまして、これらの船が日本の漁業の中核隊となり中心をなしておるとしたならば、これらこそ大いに漁船保険に加入することを奨励しなければならぬのではないか、こういうことを私は考えるのでございます。今日本の二十トン以上百トン未満のものの隻数を調べてみますと、六千三百三隻ございます、そのうち保険に加入しておるものはわずかに二千六百隻、こうした加入の数字になつております。われわれは、少くとも漁船である限りは、すべての漁船が保険に加入すべきである。そして自分たちの漁業といりものからいつて、漁船の保護をはかつて行かなければ、日本の漁業の将来、また漁民の生活の将来というものはまつたく不安に陥るのではないか。そうしますと、どうしても補助という点も考えてやらなければならぬと思いまするし、先ほど申し上げましたように、二十トン以上百トンが生産を多くしておるのと、これらの船が漁獲するものの相当数が貿易にまわつておる。現在南方にマグロ船が出て、おりますか、これらの独航船はたいてい五十トン以上七、八十トン、百トン未満であります。そのまぐろは全部と言つていいくらいアメリカに輸出しております。そして日本の輸出の総額は、私まだ数字をつかまえておりませんけれども、こうした漁業生産による輸出は相当にあるのじやないか。聞くところによりますと、蚕糸関係は相当奨励もされておる、援助もされておるのでございますけれども、漁船のそうしたようなものについてはまつたく何も保障されておらない。それらの保障されておらないような漁船が生糸以上の輸出をしておるということになりましたならば、輸出の面から行き、すなわち国家財政の面から行つたならば、今度の二十トン以上百トンまでの漁船保険こそ全加入ができるように奨励をしなければならぬ、かように考えるのでございます。そこで、先ほども議論になりましたが、これらについては全部切るという方法でございます。しかもこの法律は四月一日から執行になる。予算措置がとられるということで漁民が全部準備しておる。非常にあの法律がよかつたと言つて喜んでおる。そして今度漁船保険の補助金が切られるということで、全地方からいずれもこの特例法について反対されておるのでございます。なぜ反対するかというと、先ほど申し上げる通りでございまして、これらを何ら考えずに、わずか一億二、三千万円の金が惜しいというのでこれを府県に押しつけようとする。しかし、一旦有事の際には、むしろ国家資金なり、あるいは救済なりをして行かなければならぬとするならば、先ほど私が申し上げたように、これはほんとうに角をためて牛を殺すというようなことに合致するのでございます。こうしたような点から行きますと、われわれは、漁船損害補償法による二十トン以上百トンの問題だけは、これはりくつじやない。実際にやつてやらなければならない。しかも立法をされて一回も実施しないうちに切るなどということは、国会軽視もはなはだしい。これは憲法に違反するとかしないとかいう問題について議論もされたのでございますけれども、われわれが漁民の立場を考えますと、何といたしましても、漁船損害補償法によつて、二十トン以上百トン未満の船については漁船保険に対する補助をしてやらなければならぬということは言えるのでございます。繰返して申し上げるようでございますが、先ほどどうしてもこれは切らなければならぬということでございますが、これは財政面からのみ説明をしておるのであります。これを調べて国家財政にどのくらい寄与しておるかという数字がわかつて、そしてあなた方の方へ出されましたならば、これを研究をして、そして第六条を削除するという気持になるかならないか。これは必ず削除しないと言うだろうけれども、これはまつたく日本の漁業の中枢の漁船であつて、これを伸ばすことによつて生産を上り、それから貿易の振興もはかつて日本の財政に寄与するという立場があるので、どうしても私はこれをこの法律から除かなければならぬという決意を持つておるのでございます。しかも、先ほども触れましたように、最近漁業転換を奨励してどんどん船を大きくして、おります。なかんずく、一昨年であつたと思いますが、日本の小型機船底びき網を整理して、三万隻になつておりますこの小型機船を整理し、沖合いに出さなければならぬ、しかも、沖合いに出る場合には、協同組合を優先的に転換を認めて、代船建造なり何なりをさせるということになりますと、漁業協同組合というものは、申し上げるまでもないが零細漁民の結集団体でございます。これらを考えますときにも、どうしても今度は二十トン以上の船に対して政府は相当の援助をして行かなければならぬ。まだ例をあげますと、ことしの北洋漁のさけ、ます出漁に大体二百隻の船が出ます。これらは五十トン以上八十トンまで許しております。その北洋に出る船は、今一年いずれも大きな期待を持つて、昨年の三倍以上も捕獲するという意気込みを持つております。その中の協同組合品の船は二十隻くらいが行くということになつております。こうした点から考えましても、将来二十トン以上百トンという船は相当ふえるし、ますますこの船が中核体となつて日本の水産の増強をはかるということになりましたならば、これこそほんとうに何としても国家負担を相当にしてやらなければならぬということを私どもは考えるのでございますが、こうした点についてどういう御見解を持つておられますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/68
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069・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 前の水産資源の保護に関しましては、いろいろと従来の立法の経緯等を御説明いただいて、非常に勉強になつたのでありますが、私どもといたしましても、現在の漁業が略奪であつていいという気持は全然ございません。むしろ、それが略奪漁業であるならば、できるだけこれを直すようにするのが国家の義務であると考えております。農林省等において十分そういう指導はなされることと思うのでありますが、今回の分は、しばしは御説明申し上げましたように、私どもといたしましては、半分は地方の税源にまわしておりますので、ただわずかの金を削りたいという気持よりも、全体としてのいわゆる中央、地方の財政調整という考慮から出ている点が強いわけであります。従いまして、日本全体として対外的に見ますときには、中央、地方を通じましてこの水産資源保護のために努力を惜しんでおらぬという印象は、諸外国に対して何らかわるところなく映ずるものと思われます。全額負担でありますれば、なお越したことはないという御議論もあろうかと思いますが、それは日本の中央と地方の制度全体を通じて外国に了解してもらえるのではないかと思つております。
それから、漁船保険の問題につきましては、午前にお話がございまして、ここまでに至りますには各種の経緯があつた結果であることと存じておりますか、私どもといたしましては、水産業全体に対してどういうふうに国家が重点を置くかという問題がもちろん基本になつて来ることと思うのでございます。けれども、その中におきまして、たまたま補助金の整理の対象に取上げられたと申しますのは、民間に対する補給金を削るものもございますようなときでございますので、財政の見地等もございまして、さしあたつてふえるということはできるだけ避けて行かなければならない、いわば従来の予算に積算いたしましたと同じ基準でもつてしばらくがまんをしていただきたい、こういう気持が多かつたわけであります。先ほどもお話がございましたように、いろいろとむずかしい問題があろう思うのでありますが、もともとこれについて国が二分の一の負担をいたしておりますのは、もちろん漁業保険にできるだけ加入を促進いたさせまして、それによつて万一船上に損害が生じたときに、それの補填が十分に行くように、こういう見地から負担制度が生れたわけでございますが、二十トン以上のものにつきましては、現在におきましても、民間の保険とあわせて考えますと、ある程度加入が行われて、いるようでもございますし、また今後の政府の指導のいかんによつてさらに向上するのではないか、こういう点も期待いたしまして、この際また財政の見地等もありますので、従来の二十トン程度でがまんしていただきたい、こういう気持から予算の編成をいたしたわけでございます。予算の編成をそういう方針からいたしました関係上、やむを得ず、法律におきまして、従来の四月一日から施行になります。ところの条文について、改正を御提案申し上げたようなわけであります。従いまして、すでに予算も衆議院において議決に相なりましたからは——別に予算が通つたからという形式的な気持よりも、そういう気持で予算を編成しまして、これを政府が提案して、国会においても御了承を得たものでありますから、私どもはそれに関係した法律案につきましても——お気持といたしましてはいろいろ御意見もあろうかとは十分推察いたすのでありますが、この際におきましては、何とか御了解を願えないだろうか、こういう気持で臨んでおります。予算につきましては、根本問題としていろいろ補正その他の問題について、予算委員会等で議論があつたのでありますが、政府といたしましては、この際は当初の議決になりました予算一本やりで進んで参るということをしばしば明らかにしておりますので、そういう意味からいたしまして、この分についてだけ特別に申請をすることはただいまのところ困難な情勢にあるということも、十分御了解いただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/69
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070・川村善八郎
○川村委員 財政直から何とかがまんしてくれということについては、言葉は非常にやさしいけれども、最後に一言、予算が通つている、お前らが賛成したんじやないかというふうに触れている、口はやわらかくは言つているけれども、そういう腹だと思つております。ところが、実際を申し上げれば、先ほど鈴木委員も触れたように、柏木君もちやんとこれを認めている。ただ財政問題だと言つているが、あの際もしも柏木君が言つたように中間の案をわれわれがのめば通つて、若干補助金は減つたとはいいながら、やはり二十トン以上百トン級までは認められている。われわれの方ではどうしても二十トン以上百トンはやはり五割の補助をしなければならぬということをつつぱつたから、そこで決裂したのであります。とにかく大蔵省も認めたということだけは事実でございます。そこで、予算が通つたから云々というようなことは——なるほど通つた。われわれは要求したのだけれども、いかんせん予算委員の中には水産関係が一人もありません。相当人数訪問して、これだけはどうしても修正してくれと頼んだけれども、みんな逃腰なんです。これはわれわれが弱いといえばその通りでございますけれども、水産庁そのものも、農林省の一角にあつて一つの独立したような、まま子扱いされている。予算委員会にだれもおらない。努力したけれども、皆さんが水産に理解をしておらないということから、けられたということになつておりますが、少くも日本の水産というものは一体何で上げているかといえば、船であります。船を使用するところは漁港であります。この漁港の予算と漁船保険の予算だけは何としても獲得をしなければならないということで、われわれ全力を傾注したのでございますが、いかんせん先ほど申し上げたように予算委員会の委員には一人もいない。それから水産庁は農林省の一角におつて、あと農林関係では局ばかり十もあるといつたようなぐあいで、まま子扱いをされているというような立場からかようになつたのでありますが、しかし、財政からというならば、財政に大きな寄与を与えて外貨を獲得するという立場がはつきりわかりましたならば、この法律から削除して、われわれの考え方が聞違つたということを言っても、何もあなた方の立場が悪くなるのではなくて、むしろあなた方の立場がよくなるんだ、理解されたんだということに相なると思うのでございますから、どうかその点を考え直していただきたい。それにはまだ十分時間があることでございますから、大いに御研究をしていただきたいと思うのであります。
最後に、私は委員長にお願いしておきますが、今委員長がかわつておりましてほんとうの委員長がおりませんが、どうも委員長はしやにむに全部を通さなければならぬという態度がはつきり見えている。委員長に選ばれたからしやに通さなければならないということになると、われわれが当初委員長を選んだ時分の趣旨とは違う。しかも改進党からはつきり条件が付されている。この委員会は非常に重要な委員会であるから、この委員会の運営については、公平に、しかも各委員の言うことをよく考えて円満にやつてもらいたいということなんです。改進党からも、社会党の方からも、相当の申入れがあつたのにもかかわらず、何かしら逃げているというような態度がはつきり見えているのでございます。そこで、この結論を出しますには、委員長はよく委員のこれまでの質問やその他を勘案して、修正すべきところは修正するという考えを持つてもらわなければ、われわれは、いかに与党といえども、何としても承服できない点もあるかと思いますので、その点を一委員長にあなたからよくお伝えを願いたいのでございます。
それから、さらに、財政面からだけ考えるならば、財政がよくなれば、この特例は当分の間であるから、一年になるか二年になるか三年になるかわかりませんけれども、これは廃止すべきだと私は考えるのでございますが、先ほど鈴木委員から時限法にすべきだということでございますので、万一これが不幸にして全部われわれの言うことを聞かれない場合になりましても、一定の時限をつけて通したいとも考えるのでありますが、少くとも、先ほど申し上げましたように、この立法全体をうのみにして通すことにはどうしても私は協力できませんから、委員長におかれても、各委員の意見を大いに尊重し、さらにあと通るものといたしましても、私の言つているのは修正することが重点で、修正する以外のものといえども時限法にすべまである、こう申し上げて、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/70
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071・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 大体この法律案を出されるにあたりまして、大蔵省は佐藤総務課長と柏木君の三人たけで責任を持てるのですか。この点をまず承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/71
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072・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 これは国会の御判断の問題になるかもしれませんが、大蔵大臣も、ただいまは参議院の予算委員会に毎日出ておいでになりますが、差繰りのつく限りは出席していただいておるわけでございます。また法制局長官もしばしば出席していただいております。その他の各省関係にわたります分につきましては、先ほどは農林省の政務次官がおいでになつておつたわけでございますが、それぞれ各省の責任ある方にも出ていただきまして、ただ大蔵省的な考え方とか大蔵省的な見地ということでなく、それぞれの行政の面からも答弁願うということになつておりますので、これは委員長の方のおはからいいかんの問題でございまして、私どもの口出しすべきことではございませんが、何とか御答弁できるのではないかと思つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/72
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073・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 佐藤総務課長には非常に気の毒なのです。大体二十九年度の予算の説明に対して、総理大臣があのように経済的な計画はないという答弁をされておる。そこへもつて来て一兆円の緊縮予算をしなければならない。これに対して国民が一体納得できるかどうかという問題です。私は自由党所属の代議士である。総理の言うことなら、何もかも拍手をしてその政策に応じたいと思つておる。しかし、三年間なら三年間、五年間なら五年間という一定の期限をつけて、しかして三箇年計画とか五箇年計画というのだつたら、また日本の財政のあり方がこうだからこうして行かなければならないということであつたなら、国民もこれは納得できる。私も、そういうことであつたなら、たとい野党が何と言おうと、これに対して賛成して行く。ところが、そうじやない。行き当りばつたりなのです。そこにあなた方の苦労がある。だから私は、佐藤総務課長に対してはまことに気の毒だと思つておる。しかし、あなたには気の毒ではあるが、大蔵当局としてはこの問題がはたして是か非かという判断は、公正な役人としてつけてもらわなければならぬと思うが、この用意があるかどうか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/73
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074・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 松田委員のおつしやいますことは私どもは一つの立場がございまして、予算の編成の際にも、率直に申し上げて各省としよつちゆう議論もし、いろいろ意見の交換もして予算の編成をしておるのが私どもの商売でございます。とかく頭が偏しがちになると言つて、しばしば各方面からしかられておるのが実情でございますが、一面、各行政の部面々々と違つて、全体を見てバランスをとつてまた商売をしなければならぬ。そこで、とかく形式的にほかのものとバランスをとりたがると、いうくせがついておるかもしれませんが、できるだけ直したいという気はしておるのであります。いずれにしましても、今回の一兆円というわくの中でできるだけバランスをとつた仕事をして行きたい。少くともある感情とか、あるいはえことかいうような気持で特別に不公平なる扱いをするというようなことは、もちろんわれわれ僕として当然に避けなければならないと思うのでありまして、そういう気持で予算の編成は事務的にもなされたつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/74
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075・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 これが国のためになることであり、納得できるものだということになれば、是正する御意思はありますか。予備金もあることであるから、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/75
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076・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 なかなかむずかしい御質問でございますが、私どもの立場といたしましては、ただいま予算が参議院にすでにかかつておるわけであります。川村委員からも、すでに予算が通つたからということをたてにしておるというお話があつたのでございますが、そういう気持でなくとも、実はいわゆる予算論といいますか、理論的に申し上げますと、今私どもがこれを予備費をもつて出すということをはつきりと申し上げ得るものならば、当然これを補正予算でなぜ出さないのか、こういうふうに詰め寄られるわけでございまして、私どもとしては、ただいま補正予算をお出しするという政府の方針は立つておりませんために、その問題については何とも申し上げることができないのが実情でありますが、少くとも、先ほどもお話がございましたが、こういう補助金の一つ一つについてはいろいろ見解の相違もございますから、私どもとしても必ずしも絶対に正しいのだというような点で、いわゆる固執はいたしません。御意見はよく伺いまして、将来に対する参考にしたいという気持は絶対に欠けないつもりでございます。そういう意味におきまして、この法律も今回の措置の後の事態もよく研究いたしまして、そういう余地を残す意味におきましても、臨時立法として当分の間というふうな措置をとつたわけであります。御意見として十分承つておきたいと思います。ただ、ただいま予備費において措置するということの御答弁は、私としてちよつと答弁いたしかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/76
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077・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 総務課長として非常にうがつた御答弁をいただいたので、私は意を強うするのであります。まずあなた方の見解と実情というものが、いかに違つておるか、こういう点を速記をもつて残しておきますから、参考にしていただきたい。しこうして是正すべき時期があつたならば是正すべきであるということで考えていただきたい。
補助金等の臨時特例法の第十六条の点は、ただいま川村委員からもるる述べられ、また鈴木委員からも国会法から議論をされて述べられたのでありますが、私は別な観点から自分の意見を述べてみたいと思う。
今回川村委員が言われたように、漁船そのもの一はどういうものであるかということは御納得ができたと思う。十三条にも関連するが、今の日本の水産業はどういうものであるかということをよく納得をしていただきたい。敗戦によつて領土を失い、これだけの人間がうじやうじやしておる日本の経済というものは、ちようどパチンコと同じなんです。自主性は一つもない。しかもすべてがアメリカの経済に支配されて、おる。こういうときにあたつて、ひとり日本の経済の自主性を守ろうというのには、一つの海に今日本の国民が進出すべき重大な時期なんだ、これは論をまたない。しかし、このときにあたつて外国がどのようなことをしておるかということを一あなた方は御存じない。私は、アルゼンチンへ行つて、帰りにアメリカに寄り・ましたが、私の調べた内容を水産庁に報告した。水産庁においてもそれまでの認識はなかつた。なあに、松田はいいかげんなことを言うのだろうというのだ。たまたま三国漁業交渉の予備交渉を見、今回藤永部長が行つて、専門的な調査をしたのが私と一緒だ。今やアメリカにおいては年々まぐろ、かつお漁業の漁獲が不足になつて来ておるために、今までやれ関税をかけなければならぬとか、やれ輸入を幾ら幾らに制限しなければならぬとか、言うておる。そして一昨年はアラスカのさけ、ますの漁業が近来にない不漁であつた。しかし、それに対する資源の調査よりも、もつとかつお、まぐろの資源調査に重点を置いておる。そうして現在では、魚探を漁船から海の中に入れて、何十マイル沖にどういう魚群があるかということを探知して、そこへ漁船が行つて漁獲をするという方法まで、この間外字新聞に出ておつたが、やつておる。こういう資源の確保にまつたく夢中になつておるのが現在のアメリカです。
それならば、日本のまぐろ、かつおの漁業はどうなつておるかというと、近海はどんどん漁獲が不足にになつ来ておる。そこで、近海から沖合いに、沖合いから遠洋にということで、総理大臣の施政演説にもあつた通り、また農林大臣がわれわれの委員会にもその自己の施政演説をしたんだ。漁民はその演説を直に受けて、その政策によつてすべてがなるということで、今日においては代船建造を要求する金額の総計はおよそ百二十億である。この要求をすることも、総理大臣の施政演説、農林大臣の演説によつて刺激されたと同時に、これが七つの海に進出するという日本国民の唯一の方法なんだ。今は日本はあらゆる犠牲を払つても飛び込んで行かなければならないときなんだ。そうしてここ二、三年のうちに、たとい高かろうが安かろうが、海からあげたかつお、まぐろによつて、また鮭鱒のカン詰によつてアメリカの市場に進出しなかつたならば、つまりいついかなる会議においても従来の、実績を基本として話されておりますから、今のうちに実績をとらなかつたならば、将来アメリカがただいま申すようなことによつて資源を確保した場合において、日本はボイコットされることでありましよう。日本の水産というものがこういう重大な一大転換期に向つておるということを、あなた方はもちろん、水産庁も知らなかつた。そこで、その話をした私の話と、今度の藤永部長が言つた話が一致したがために、水産庁も、今日どうしても日本の国の将来の自主経済確立のためにやらなければならぬという考え方を持たれた。それがつい最近だ。まして大蔵省はそんなことは御存じあるわけはない。
この漁船保険はわずか一億足らずの金です。これを二十トンまでにしようとしたときに、漁民はどういう考え方を持つか。これはあなた方の方では昨年も議論はあつたのだ。民間保険会社かあるからよいのではないかという議論だつた。民間保険会社の率はどの程度か、自由党の政策の誤りから今日経済の破綻を来しつつある。これはわれわれの責任なんだ。一般の人々は、今保険会社にのみその金融を頼まなければならない今日なんだ。これは大蔵省はよくおわかりのことと思う。今金を持つて融資をせんとするものは保険会社以外にない。その民間保険会社の率はどのようであるか。日本の自主経済確立のためになさなければならない漁船保険の率と比較してごらんなさい。一億や一億や五億の問題じやない。われわれが漁民の代表としてこの漁船保険をつくつた、または水産委員会が手柄話でつくつたとかいうようなお考えではいけない。真に日本経済がどうなるかという観点からいつたならば、何も一億や一億の補助金は問題じやないのではないか。これがこの問題の解決点となり、漁民の七つの海に進出するその一大要素になるということであつたならば、あなた方といえども、自己の今までの議論を捨てて、百トンではなく、百五十トンから二百トンまで上げてやらなければならないと思うようになるだろう。私は、委員会で発表しますが、マーシャル群島を基地にすることが最近のうちに決定するのであります。チモールの基地は承認を得た。サモアの基地は承認を得て私が解決して来た。それに対してどういう船が行くか。五十トン、七十トン、百トン内外の船で行かなければならぬが、それにちようどよいのは百二、三十トンの船なんだ。マーシヤル群島は御承知の通り非常に船虫の多いところで、木船だというと銅板を張らなければならない。鉄船だというと百二十トンから百五十トン、木船だというと八、九十トンで銅板を張らなければならぬ。現に行つておるのはサモアだ。これは、ワシントンでは承認しないのに、そこの総督と入国料五ドルでもつて話をつけて来た。こうして日本の漁民があの太平洋のまん中に飛び込んで自主経済を確立せんとするときにあたつて、大蔵省は考えてごらんなさい。何で一億の金を惜しむか。そうして民間保険会社に利益を与えんとするかというのです。こういう点からいつたならば、この漁船保険を二十トンに切らなければならない議論がどこに出るかということなんです。もつともつと高度に日本の経済というものをあなた方は考えて行かなかつたならば、とても日本経済は立つて行かない。総理はどんなことでも言うのだ。そのしわ寄せはあなた方がして行かなければならない。その苦労はこつちはよくわかつている。そうして今までの誤つた政策はわれわれの責任なんです。これを是正して行かなければならない。これがわれわれの責任なんです。ひとつよく考えてごらんなさい。日本経済の確立——パチンコ経済じやいつまでたつても日本は立つて行かない。私はあとの問題に対してはとやかく言いますまい。日本の水産経済の確立を確保するためには、いかなる犠牲を払つてもその方法を講じなければ、日本の水産というものはどうなるか。私は実は水産委員会に入つていることはいやなんだ。昨年からやめようやめようと思つたんだ。しかし今日の日本の水産の重大性を考えたとき、選挙には損だけれども、あえて水産委員会に席をおいて、またこんなことをあなた方に話さなければならない立場をみずから買つているものだ。日本経済というものの根本から考えたとき、生糸はどうだ。気の毒なものだ。私が海外に出たとき、どこへ行つても日本の生糸のネクタイを持つておりますか。ハンカチを持つておりますか。日本の通商のやり方が悪いから、生糸はどこでも禁止されて、一部の外国の商社に掌握されておるのが今日の日本の生糸の状態だ。ひとりかつお、まぐろにおいてのみ自由に賞美されて、そうして日本のものは全部行つているじやありませんか。こういうことは今のうちに実績をとつておかなかつたならば、将来の日本水産というものは壊滅の時代が来る。今アメリカは着々と電波探知機をもつて研究しておる。
どうです。これまでお話を申し上げても、やれ予算にきまつたんだから、どうしてもやらなければならぬというようなことだつたら、総務課長さん、あなたは日本の経済はどうでもいいというお考えだとぼくは思うのだ。どうか、こういう点から言つて、お互いが、役人も、国会議員も、国民も一致団結して、パチンコ経済を排除して自主経済に立ち直ろうじやありませんか。それがためには、こうしたわずかな経費でもつて国の経済を確立できるものに対しては、あなた方もあらゆる障害を乗り越えて、これに対して善処あらんことを私は要望するのです。おなた方のいろいろな苦労もあるだろう、面子もあるだろう、また省内においてきまつたこともあるだろうが、この点だけは善処あらんことを要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/77
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078・平野三郎
○平野政府委員 松田委員からの御意見に対しましては衷心から敬意を表する次第でございます。多年にわたりまして水産業の振興のために御努力になり、日本の水産業の父とまで言われる松田委員であります。ことに北海道の漁民からは神様のごとく思われておる松田委員であるだけに、それだけの熱意が出るということには敬服の至りでございます。国会会に出られましてからも、終始一貫水産委員会に席を持たれて今日までご努力になつておることにつきましても、一瞬その感を新たにする次第でございます。先ほどの本委員会の午前中の会議において政府の見解を明らかにいたしたのでありますが、政府といたしましても、まつたく御説の通り水産業の振興のためにはやはり漁船のはつらつたるところの経営が必要であり、それがためには裏づけとなるべきこの漁船損害保険の確立が必要であり、ことにこれは二十トン以上のものに必要であることと考えておるわけでございます。
〔羽田委員長代理退席、葉梨委員長着席〕
本年は、遺憾ながら、日本経済全体の予算の立場から、あるいはまた従来のこの種保険との関連におきまして、二十九年度は一応二十トン以下の真に零細な漁民の立場を保証する、こういうことでごしんぼうを願いたい。政府としてはこういう意図を明らかにいたしたわけでありますが、財政の許しますときにおきましては、できるだけ、すみやかな将来におきまして、御意見のような措置をいたしたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/78
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079・葉梨新五郎
○葉梨委員長 赤路友藏君より関連質問の要求があります。これを許可いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/79
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080・赤路友藏
○赤路委員 簡単にやります。私は、午前中の政務次官の答弁、午後再開後において大蔵省の課長の方の答弁をお聞きしていますと、予算が通つた、予算が通つたということをたびたびおつしやつておる。確かに予算は通つております。ただ、その点で、私は手続上の問題で一応申し上げておきたいと思うのです。今度かかつておるこれは全部で二十三件ございます。文部関係が六件、厚生が五件、農林関係が五件、通産が二件、運輸が四件、建設が一件、それぞれ相当問題のあることは十分御承知のはずなんです。予算案が提案されたのは一月の二十七日です。そして一月の二十九日に予算委員会の理事会が開かれて、日程はちやんとできておるはずなんです。三月四日には本会議において討論採決をするということはちやんときまつておる。政府の方ではつきりわかつておるはずなんです。ところが、この重要な二十三件の問題のあるものを出して来たのはいつなのか、二月の二十三日なんです。予算案が通つたのは三月の四日なんです。それで本格的に審議に入つたのは三月八日じやないですか。予算案が通つてしまつてから審議しておる。すでにここに問題がある。こういうようなそれぞれ問題を残すようなものであるならば、当然予算審議がなされる過程に一緒に出すというなら早く出して、予算案とともにこれは解決づける、一歩先に解決づけるべきものです。その審議状況を見ますと、三月八日から審議しておる。四日には予算案が通つておる。こんなべらぼうな話がありますか。この手続のやり方から見ても、これはもう故意にこうしたとしか考えられない。作意的な政治的陰謀だと言えるんじやないですか。そういうような政府みずからか侵した錯誤と申しますか、あるいはそういうような手続上の設りをたな上げしてしまつて、やあ予算が通つた、予算が通つた、それはちよつと聞えない。これに対してはもう少し各委員の意見を聞くべきである。そうして、先ほど川村委員がいうように、あるいは松田君がいうように、正しくない、なるほどということになれば、こだわることなしに、これはやはり直すべきは直す、あるいは他に方法があれば他の方法でこれを見て行く、こういうことが私はほんとうの行政のあり方だと思う。ただ予算が通つたからといつて、自分たちの手続の誤りをたな上げにしてしまつて、何でもかんでもそれで押し通そうなどという考え方では困ると私は思う。この点御注意を申し上げておきます。
それから、水産庁に質問しますが、先ほど川村委員が質問いたしました漁業調整費の補助金の中で、調整関係訴訟事務費の補助が減額されておりますが、これが昨年度百三十八件のものが本年度九十二件となつておる。どういう状況から見ても、昨年よりも少くなるということはないはずなんです。どういうような根拠によつてこういう算定をされたか、それが一点。もう一点は、先ほど川村委員の質問に対しての次長の御答弁の中に、調整委員会の書記の身分の問題で、地方公務員並に扱つてもらいたいと言つておる。これは漁業法八十五条第六項で書記を置くことになつておる。しかも漁業法第百十八条によつてこれは全額国庫負担だ。従つてこれは当然国家公務員としての資格を持つものである。この国家公務員としての資格を持つものが、今日まで国家公務員でもなければ地方公務員でもないというような段階に置かれておる。このことは明らかに憲法十四条の違反である。今日までほうつておいたことがおかしい。先ほどの次長のお話で行くならば、地方公務員にするためにこういうような措置をとつたというふうに聞えるが、その点はどうか。この一点だけ御質問を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/80
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081・岡井正男
○岡井政府委員 最初の、昨年度百三十八件の訴訟関係が本年度は九十二件程度に織り込んでおる見込みはどうか、その立て方のよつて来るところの理由を言えというお話でございまするが、元来制度改革によつて当初ごたごたしあるいは紛争するという事件は、大体年を追うて減つて来るわけでございまして、問題点は沿岸の漁棄権を中心とした事件が多いのでございます。従つて、先ほども川村さんの御質問にお答えしたように、現在の調整の内容は、いわゆる沖合い漁業と沿岸漁業の関係とか、あるいは沖合いの許可漁業同士の紛争とかいうことに移行いたしておりまするので、この種の件数は当然少くなるというように思われましたので、さように織り込んだわけでございます。
第二点の、全額国でもつてする調整委員関係の職員は、地方公務員どころでなくて、国家公務員の性格を持つているはずじやないかとおつしやるのは、気持はその通りでございまするか、これはいわゆる国の役人あるいは地方の長である知事が任命するというのでなくて、各該当調整委員会の委員百がこれを任命することになつております。仕事の役割は、国家公務員、もしくはものによれば地方公務員の色彩を帯びているという場合が多いのでございますが、格別これを裏づけするためには、適当な条文で縛つて行く——農業関係はたしか条文で縛つておるように思いましたが、そこまで行かぬと、はつきり割切ることはできないのでございます、従つて、将来漁業法改正の際には、その点は特に御指摘になりましたようにはつきりさせたい、われわれはこういう気持を持つていることを先ほどもお答えしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/81
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082・赤路友藏
○赤路委員 訴訟事件が百三十八件から九十二件に少くなるということについては、漁業改革がなされた直後は多くなつて来るが、だんだんそういうような問題は少くなるのだという観点の上に立つておられるようです。一面そういう面がありましよう。しかしながら、これは、私が説明するまでもなく、次長は十分御承知のはずであつて、沿岸における入会の紛争というものは、本年あたりはより多くなると見るのがほんとうだと思う。これを少く見るということは、私は間違いだと思う。二十六年の訴訟事件を見てみると三十件、それから二十七年が四十四件で少しふえております。三十八年は三十七件、おそらく二十九年はこの事件はより大きくなつて来るのじやないか。しかも事件の内容を見てみると、三年間にわたつてやつておるのが十二件、二年間にわたつて紛争しているのが三十七件、そうして一年間で解決ついているのが二十一件、大体こういうような状況なんです。そして非常にこの紛争は深刻になつている。この実態を少くとも水産岸がわかつていないということはないはずなんです。少くなるなどというような考え方は私は間違いだと思う。なるほど、漁業改革をやつた当初というものは、いろいろ漁業権の問題で紛争があつたでしよう。しかし、それと違つたケースで、今度は真剣な命がけの紛争が起つて来ることを考えないなどということは私はあり得ないと思う。これは数字的に大きな間違いです。もう一ぺんここの点をはつきりおつしやつていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/82
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083・岡井正男
○岡井政府委員 ただいま意見が違うというので御指摘になつた点でございますが、あるいはそういう面もありましよう。しかしわれわれは、事前における行政措置、あるいは地方の調整委員会においてある程度さばいてしまうという入会の事件の方が多いのであつて、国まで持ち出して来るというような事件あるいは漁業権同士の問題というのでなくて、さつき申し上げたように、いわゆる沿岸と沖合いとの調整問題、沖合い同士の入会調整の問題、こういうようなケ−スが多くなるという場合には、それぞれ連合海区の調整委員会あるいは府県同士の行政措置による調整、あるいはまた事件前に国が乗り出して調整してこちらまで持ち出さないという、事前において割切れる問題の方が多かろう、事件は多くなつても、問題としてそういうような段階で大体まとまるケースが多い、こういう考えでおるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/83
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084・葉梨新五郎
○葉梨委員長 赤路君、なるべく簡潔に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/84
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085・赤路友藏
○赤路委員 わかりました。——今おつしやることはますますおかしいんですよ。これは、訴訟そのものとしては、一応あなたの言うのを認めましよう。そうすると、全体的に国へ上つて来る事件は少くとも、要するに連合で、あるいはそれぞれの海区において調整してやつて行くというものがより多くなつて来るということは考えられる。そうなつて来ると、全体の面から四千万円減つているのですね。ここに問題が出て来る。先ほど川村委員がおつしやつた通りなんです。これは、訴訟そのものから見て、国へ上つて来るものは減るかもしれない。しかし、全体的にそういうような紛争がより多くなつて来るということを、今の次長の答弁では認めておられない。だとするならば、これを四千万円削るということ自体がおかしいじやないですか。ここをより強化しなければならない段階にある。それをこういうふうにへずるといことに至つては、われわれは絶対に承服できない。この点はどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/85
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086・岡井正男
○岡井政府委員 何べん言いましても、赤路委員さんと私と多少センスが違うものですから、いくら立ちましてもおしかりは繰返されるものと思いますが、われわれとしては、事を荒立てないように、できる限り事前に治めたいという気持もしますし、漁業者も、たび重なる今までの紛議の結果から見ましても、けんかするところは不漁であるという昔からのことわざの通り、漁業者自体も荒い世の中からだんだん自粛するという気持に訓練されて来つつあるようでございますので、ひとつこのあたりでお許しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/86
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087・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 私の議論に対して、ただいま平野政務次官から非常に理解された言葉をいただいたのであります。大蔵省の総務課長も、速記をとつているのですから、忘れてもあとでまた読んでいただけばよくわかることだろうと思つておりますが、多分御理解はついたかのように思うのですか、いかがでございますか、その点ひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/87
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088・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 先ほど農林政務次官からお答えがございましたので、私から御遠慮申し上げましたが、松田さんのおつしやいました、今が、日本の漁業にとつて、国際的に進出すべきかどうかの重大な岐路に立つているのであるから、一億くらいの予算でそういう重大な機を失しては困るという強い御希望がありまして、私も十分その御意思のある点は伺いました。ただ、先ほども申し上げましたように……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/88
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089・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 いや予算のことでなく……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/89
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090・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 水産の重要性については、われわれも、この委員会で、各委員の方々からもいろいろ教えていただいた点が多いのであります。水産関係の方のお気持から言いますと、これはいわば水産業全体の問題だと思うのですが、まあ漁船保険はその一つの重要な項目ではありますが、将来にわたつて、予算の中において水産業関係のものをどういうふうに重点を置いて行くか、こういう問題だと思います。先ほどお話がありましたが、あるいは関税制度の問題もありましようし、税金の問題もありましようし、国費を出す方ばかりでなく、こつちの方でとる面もありますし、それから、同じ出すにいたしましても、いわゆる補助金の問題ばかりでなく、金融の問題も重要な項目になつているかと思うのであります。私たちは、一兆円の予算というわくの苦しい中で、大体公共事業費においては、総体が特に災害関係にとられた関係で、漁業等にもずいぶん御迷惑をおかけしたわけでありますが、水産の予算そのものといたしましては、前年の規模は総体としては維持しているという気持でおります。臨時的な支出を除いて考えますれば、総体としては水産業について少くなつたというような気持はございませんし、一方公庫の融資等については、できるだけ前年に比してわくの拡大もはかつて行きたい、こういう考えも持つているわけでございますが、なお、ただいまのような御趣旨につきましても、今後われわれが予算を編成いたします際に、その重要な点を十分に検討さしていただきまして、今後も参考にして参りたい、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/90
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091・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 別なことでありますが、昨年厚生省予算の問題で大蔵省の主計局に参つたのでありますが、そのとき、厚生省の役人で、どうもわれわれは大蔵省の主計官のところへ行くと、もう子供扱いにされるので、一番鬼門は主計官だ、こういうことを厚生省の役人が言われておつたのでありまして、ぼくは意外に思つた。同じ政府の役人であつて、しかも厚生省は厚生行政に対する担当官であつて、よく大衆と接し、しかして都道府県とも接してやられている。しかもそれは国の法律及び政策に基いてすべてのものをやつて行くのだが、どうも主計官は、何でもかでもいいからぶつた切れば、それで事が足りるのだというような気持でもつてやるらしく、もうはれものにさわるようだということを言われておつた。前の主計官であつた佐竹主計官とはごく親しくしておりまして、あの方の人格というものも知つており、またわれわれが話した場合は非常によく理解してくださつた。単なる水産庁の予算とかなんとかいうことでなくしても、全般的な政策に対してはよく御協力を願つたが、残念ながら柏木主計官とはまだ一回も会見したこともない。そこで柏木主計官はそういうことはないだろうと思うが、私が非常に心配しているのは、実は前に——柏木君と思うのだが、われわれに提示されたあの七十トンでは何ぼ、五十トンでは三〇%とかなんとかいうことがあつたのは、あなただと私は思つているが、そういうことは御存じでしたか、あなたでなかつたのですか、これをちよつと聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/91
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092・柏木雄介
○柏木説明員 昨年度の話でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/92
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093・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/93
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094・柏木雄介
○柏木説明員 私でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/94
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095・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 柏木主計官だと、これはちよつとぼくは意外に思う。そんならば、そのときに、あなた方の御認識でこうしなければならないという内示をされた。あれからあなたとお会いしたことはなかつたのだけれども、それで今日どうしてもこれを財政の上から二十トンにしなければならぬという議論がどこから出て来たのか、ただ財政が困るからということでやられているのか、この点ひとつ納得の行くようにお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/95
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096・柏木雄介
○柏木説明員 お答えいたしますが、昨年夏ごろ漁業その他諸法律の改正が審議せられました際に、大蔵省として二十トン以上のものも認めるようなことを考えながら、二十九年度の予算に際しましてはなぜ切つたかというような御質問かと存じますが、先ほども鈴木委員から同様の御質問がございましてお答えいたしました。要するに、大蔵省といたしましては、本来二十トン以下でしかるべきものと考えておるが、いろいろその当時の委員会の審議の模様等を考慮いたしまして、水産庁と十分相談して、一種の妥協的な案をつくればこんなものができるという意味におきまして、たしかそのときは政務調査会と思いますが、政務調査会の方にお見せしたことはございますが、われわれといたしましては、財政事情もさることながら、各府県間のバランス等を考えまして、現在の二十トンという線はやはり妥当なものではなかろうかというふうに考えました。この際補助金整理ということを二十九年度予算の一つの大きな方針といたしました際には、やはり漁船損得補償法につきましても、二十トン以上五十トン未満の船につきましては国庫が資金の一部を負担するという制度は、財政事情がよくなるときまでは当分延期せざるを得ないのではないかということにいたしまして、二十九年度の予算を編成し、このたび法律案を政府から提出いたしまして、御審議を願つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/96
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097・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 とんでもないことを聞く。柏木主計官のただいまの答弁であつたとすれば、ぼくは了承できない。昨年は委員会の意見を聞いて、妥協しようという考え方でもつてああいう数字を出したとい意見であつたならは、ぼくはいかなることがあつても了承できない。先ほども言うた通り、ぼくは与党なんです。与党なるがゆえに、どうでもこの問題を解決するように持つて行きたいというのが考え方なんです。ところが、ただいまの柏木主計官のおつしやる御答弁には、水産庁と委員会の意見がああであつたから、妥協をする意味においてやつたということであつたならば、われわれ国会で法律をつくるものに対して、役所と役所との妥協という言葉は、あり得べきことじやない。そういうことがあればこそ、今日汚職、疑獄というものが出て、来るのだ。これは簡単に聞きのがすことのできない議論であります。国会の議論がこうであるがために水産庁と妥協するというような御趣旨において、先ほどああいう議論を出したということであつたら、私は納得できない。何のための妥協であるか。国会の意見を尊重するならば、妥協はあり得べき問題ではない。ただいまの御答弁は取消して、りつぱな官吏としての御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/97
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098・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 ……。
〔松田(鐵)委員「総務課長じやだめだ、柏木君に聞いておるのだ。」と呼ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/98
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099・葉梨新五郎
○葉梨委員長 総務課長に発言を許可いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/99
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100・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 ちよつと恐縮ですが、今経緯を聞きましたので、私から率直に申し上げます。
妥協という用語がはつきり出たかどうか、私ちよつとぼんやりしておりましたが、決してそういう気持ではなかつたと思います。そういうふうにおとり願いますと困るのです。昨年国会の御意向もありまして、大蔵省側の査定の意見がそれまでにあつたはずでありますが、それに対して農林省の意見も参酌して、財政上の要求と合せて、できるだけ国会の御趣旨に近づけたものにしたいという気持でもつて、一応の試案をそういう意味で出したのだろうと思います。それが、先ほどの御質問では、なぜ今回こういうふうにかわつたかという御質問だつたと思うのです。今度の補助金の整理という問題も、実はその段階においてはもちろん考えられておらなかつたのでありまして、二十九年度予算を編成いたします際に、多少差迫つておつたのでありますが、例の地方制度の改正も一緒にやるから、ついでに補助金も全体を整理するという方針が立ちました。そうなりますと、地方には関係のない一般の補助金も、補助金整理の一環として俎上に上つたわけであります。そういう関係で、その際の方針としては、できるだけ個々的に当つてみまして、削つてさしつかえないものは割るべきであるが、この漁船保険につきましては、二十トンが百トンになるということで拡張に相なるわけであります。そのほかの補助金は、むしろ従来のものよりも補助率、負担率等が引下げられるという状況でありましたから、漁船保険につきましては、法律の御趣旨がありましたけれども、せめて従来の二十トンの標準で行かしていただきたいという、全体のバランスといいますか、そういうことも考えまして、ただいまのような結果になつたわけであります。
柏木君の申しますのは、ざつくばらんに申し上げれば、予算の折衝は、御承知のようになかなかいろんな紆余曲折があつて、最後にでき上るものでございます。それで、私の方といたしましては、この法律を出します際にも、各省の御意見も実は相当伺つたわけであります。当初の法律はもつと本数の多いものでありましたが、各省のご希望も十分に参酌して、できるだけ各省と協調してやつて行きたい、これはもちろん政府全体としてやつて行くわけでありまして、大蔵省の一存だけですべてがきまるものではありませんから、行政の内部におきましては、できるだけ各省と意見を交換して、お互いの趣旨を納付するところまで話をして、そうして最後に仕上げをする、そうして国会に御提案する、こういう段階を経ることは御承和の通りであります。
それで、事務的に私たちが予算を編成したり法案を提出いたしますときには、もちろん国会のご趣旨をしばしば伺つてもおりますので、その御趣旨のように、必要のある限り、できるだけ応ずるつもりでおるわけであります。ただ、予算の全体の財源とかバランスとかいうことから、必ずしも一挙に御希望に全部沿うところまで行きかねる場合もあるわけでありまして、そういう意味で、先ほど柏木君から発言があつたものと御了承願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/100
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101・葉梨新五郎
○葉梨委員長 ちよつと委員長から申し上げます。柏木主計官が妥協と申したということで、非常に憤慨しておられるのでありますが、今の総務課長の言われるように、話合いということで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/101
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102・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 あなたから聞かぬでも、総務課長から言われたから、言わぬでもいいのだ。委員長は何もそんなことをやらなくていいのだ。あなたがいないときに川村君は何と言つたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/102
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103・葉梨新五郎
○葉梨委員長 そう感情に走らず、もうちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/103
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104・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 重大な問題だから言つておるのだ。何だ委員長の態度は、そんなことで人の発言を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/104
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105・葉梨新五郎
○葉梨委員長 議事進行をはかろうとして言つたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/105
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106・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 そんなことで委員長が勤まりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/106
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107・葉梨新五郎
○葉梨委員長 どうもそれは恐縮ですが、どうか感情に走らぬようにひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/107
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108・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 感情に走つているのじやない。憂国の至情だ。
ただいま佐藤総務課長からのようなお話であれば、何も問題じやない。しかし、私は、柏木君に対してはほんとうは御面識がないので、前の佐竹主計官には水産庁の問題でも非常にお世話になつたが、その後忙しいために大蔵省にもよう行かぬ。ところが、こういう問題が出て来て、今頭に浮かんだのだが先ほどの議論なんだ。そこで、さつきこれは水産庁との話合いがそういうぐあいにまで進んだということを、妥協だとこう言つた。それはただいま総務課長の意見でもつて私は了承できる。しかしだな、総務課長もただいま言われているように、国会の意見を十分尊重してということを言つた。これは各省とも大いに尊重してもらわなければ困る。ところが、実際は、委員会においていろいろ意見がでて、これはそうあるべきであるとして、たとえば決議案をつくり決議をして各省にかける、あるいは委員長を通じて要望する、これは国会の意思なのである。ところが、法律案として出たものは法律なんで、これは委員会だけの問題ではない。純然たる衆参両院の議決を経た法律として現われたものだ。そこで、先ほどの議論にもどるのであるが、こうしたものが法律として現われておるのに、これを予算づけるときにおいて、こうした法律を新たに出さなければならないという、そうしてすべてを切つてしまわなければならないというお考えかもしらぬけれども、これが水産庁とほぼ話ができておるかのごとき御答弁をされた。この点は私は存じない。水産庁にお伺いするが、こういうことをあなた方で決定されておるのかどうか。この点を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/108
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109・岡井正男
○岡井政府委員 先ほどの大蔵の総務課長のお話の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/109
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110・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 ではどういうことなんだ具体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/110
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111・岡井正男
○岡井政府委員 これはやはり、せつかく議員さんの方で漁業振興のための基盤である漁船についての保険関係の法律をおつくりになつたのは尊重するという意味合いにおきまして、いわゆる予算関係等のかみ合せにおきまして、大蔵当局と適当に話合いをしておつたということは、その通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/111
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112・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 次長はうそを言つておる。これはまだ私の方では了承してないのだと言つておる。もつとも、したらたいへんなんだが、これは大蔵省と話合いができておつたのであつたらたいへんなんです。法律できまつているものを了承したなんということはできるわけがない。それであつたら、これをもうきまつておると言うのは、これはとんでもないうそを言うことになる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/112
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113・岡井正男
○岡井政府委員 私も話をきめたとはません。話の途中であつたということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/113
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114・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 話があつたということだけなんですか。順序を言つてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/114
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115・平野三郎
○平野政府委員 重大な点でございますから、私からお答えを申し上げますが、松田委員も御承知の通り、政府と申しましても、政府部内においてはそれぞれ各省ごとに立場があるわけでありまして、これはいろいろ折衝をいたすわけでございます。先ほど柏木君から妥協というようなお話がございました。妥協という言葉が適当であるかいなかは問題でありまするが、要するにいろいろと折衝をいたしたわけでありまして、公式に申し上げますれば、政府としてこの法律案を出しておりまする以上は、政府全体の責任においてこれを一つの政府の意見であるということを申し上げざるを得ないわけでございますが、政府部内におきましては、いろいろその立場々々において意見の調整がまだ未定のうちに、いろいろな事情でやめるという場合もあるわけで、この点におきましてはいろいろと実は問題があるわけでございます。農林省的の立場から申し上げますならば、この漁船損害保険の問題につきましても現行法通りいたしたいという希望熱烈にあるわけでありますけれども、法律を国会へ提出いたしました以上、政府の立場としてはこういうふうに申し上げましてご了承を願わざるを得ないという点を、なにとぞご了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/115
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116・松田鐵藏
○松田(鐵)委員 そこで私は、柏木主計官は、そういうことは万々ないと信じておるのでありまするが、今後もあつてもらつては困る。それは、先ほどいつたように、厚生省の役人か大蔵省の主計官は何でもかんでも恐ろしいと言われた。現にまたこの法律は、赤路委員が先ほど指摘した通り、こういうことで予算案が決定してからこういう法律が審議に持ち込まれた。ほんとうのところ大蔵省の独善なんだ、これも与党だからやむを得ないだろう、そこでで、こういう問題は水産庁からは全然聞いていないが、もし水産庁、農林省の担当官である役人に対して柏木君が圧力がましいことが今後あつたならば、ぼくはたいへんだと思うのです。この点は十分総務課長にご注意をお願いしたいのであります。もし今後そういうことがあつて、私が農林省の役人からそういうことを聞いたとにおいては今度はただはおかぬから……。私は厚生省の役人から聞いたときに憤慨したけれども、まあ厚生省ならどうでもいいだろう、(「それはけしからぬ」「失言だろう」と呼ぶ者あり)こういうことで実はやつて来たのです。そこで農林省の役人に対しては最も慎重に御協力あらんことを希望して、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/116
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117・佐藤一郎
○佐藤(一)政府委員 今松田さんのおつしやいました点は、われわれも常々注意を怠らないようにしております。立場もございまして、なかなかつらいところもございますから、またこういう席ではいけませんが、よく御納得の行くようにまた私から御説明するようにして行きたいと思います。ただいまのようなことは努めてないように注意いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/117
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118・葉梨新五郎
○葉梨委員長 他に御質疑がなければ、農林水産関係の質疑は一応終了いたしました。
次会は明後十七日午前十時より開会し、通産、運輸、建設関係について質継続いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後五時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905191X00619540315/118
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