1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十日(土曜日)
午前十一時五十六分開議
出席委員
委員長 小林かなえ君
理事 鍛冶 良作君 理事 佐瀬 昌三君
理事 田嶋 好文君 理事 花村 四郎君
理事 古屋 貞雄君 理事 井伊 誠一君
押谷 富三君 林 信雄君
本多 市郎君 牧野 寛索君
吉田 安君 猪俣 浩三君
出席政府委員
法務政務次官 三浦寅之助君
委員外の出席者
検 事
(刑事局参事
官) 下牧 武君
専 門 員 村 教三君
専 門 員 小木 貞一君
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四月九日
委員庄司一郎君及び松永東君辞任につき、その
補欠として保利茂君及び池田正之輔君が議長の
指名で委員に選任された。
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四月九日
千葉家庭裁判所佐原支部の権限を甲号に昇格の
請願(山村新治郎君紹介)(第四二八八号)
の審査を本委員会に付託された。
同日
戦争受刑者の釈放等に関する陳情書
(第二六九四号)
疑獄事件の真相糾明に関する陳情書
(第二六九五号)
同(第二七四八
号)
を本委員会に送付された。
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本日の会議に付した事件
参考人招致に関する件
連合審査会開会申入れの件
交通事件即決裁判手続法案(内閣提出第二七
号)(参議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/0
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001・小林錡
○小林委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。すなわち利息制限法案についてさらに広く各界の意見を聴取するため、参考人に出席を求める二とにいたしたいと存じますが御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/1
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002・小林錡
○小林委員長 御異議がないものと認め、さよう決定いたします。
なお参考人の人選、出席を求める日時等におきましては、先ほど理事会において一応御協議願つたのでありますが、これらの点につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/2
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003・小林錡
○小林委員長 御異議ないものと認め、委員長に御一任願うことと決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/3
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004・小林錡
○小林委員長 次に、連合審査会開会申入れをする件についてお諮りいたします。すなわち外務委員会において審査中の日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案について、外務委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/4
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005・小林錡
○小林委員長 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
なお連合審査会開会の日時等につきましては、委員長において外務委員長と協議の上決定いたしたいと存じますから、さよう御了承を願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/5
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006・小林錡
○小林委員長 次に交通事件即決裁判手続法案を議題といたします。
この際政府当局より提出されました本案に関する資料の説明を聴取いたします。下牧説明員発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/6
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007・下牧武
○下牧説明員 お手元に差上げました事件処理費比較表、この資料について御説明申し上げます。まず二枚目の方からごらんいただきたいと思います。
この項目として拾いましたのは、はつきりいたしておる書類と呼出しの手数料、これだけに限定いたしまして、そのほかのいろいろな消耗品類、人件費、そういうものの計算は非常に困難でございますから省略いたしました。それでまず、事件が起きまして警察でつくる書類でございますが、これは現認報告書というのをつくります。これが単価五十銭、それから出頭指示書、これは、その現場で何日に警察へ出るようにという紙切れを渡すわけでございますが、呼出状にかわるものでございまして、これが原価三十銭。それから、それで出て来ないので、今度呼出しをかける費用というのが、これが再呼出しということに相なると思いますが、一回はがきなんか使いますと五円十銭かかります。それから供述調書、これは二回くらいつくりますと見て大体一円くらいの見当に相なります。それから送致書を正副二枚つくります。
それから検察庁へ記録が参りまして、それで事件のカード、索引カード、それから呼出しのための費用、これは平均二回くらいに統計上相なりますので、平均二回といたしまして、一回の五円十銭を倍いたしております。それから供述調書を一回くらいつくることになります。それで今度出て来ないと所在捜査の指揮をいたします。大体その率は全事件の平均四〇%ということに相なりますので、この捜査指揮書及びそれに郵送の費用、それを加えまして一枚八円六十五銭かかるところを、平均単価は四〇%と押えまして三円四十六銭と出したわけであります。それから捜査復命書も同じように三円四十六銭、それから不起訴いたします場合に不起訴裁定書をつくります。この場合に不起訴の率は大体三割から四割ということになつておりますが、多く見積りまして四割というところで押えましてそれで四十銭という単価を出したわけでございます。それで不起訴事件はこれで全部終るわけでございますが、警察から検察庁まで、この不起訴の事件に要する費用は二十六円九十七銭という平均単価が出て参るわけでございます。
それから次は起訴された事件でございますが、これは起訴状の値段、それから略式請書と申しますのは、略式命令を出します場合に、本人に異議がないかを確かめて、異議がない旨の書面をとつております。この略式請書、これが一枚いるわけであります。それから略式命令の用紙、これは裁判所で三枚つくりますので、一枚六十銭で、平均単価としては一円八十銭。それから送達手数料でございますが、一回十六円かかります。これは統計を調べてみますと、大体平均一・五回という数字が出て参りますので、その倍数をかけまして二十四円という平均単価を出したわけでございます。それから送達の用紙、送達の報告書、それから記録の裏表の表紙、これが裏表で二枚に相なりますから一円二十銭、大体裁判所の方で要する費用というのはこの程度のものかと存じます。
次に執行の段階に移りまして既決犯罪通知、これは三枚ないし四枚つくつておりますが、これが一枚六十三銭、それから本籍地通知、これは相当かかりまして十七円八銭、それから徴収金原簿用紙、これは記入するかわりに用紙を使つてわけてつづつておりますが、一円八銭かかつております。それから納付命令を発信いたします場合に、大体これは平均二回やつておりますので十円二十銭、それから督促状、これも平均一回ございますので八円四十銭、それから納付の受領書、これが五十銭くらいかかります。こう相なりますと起訴した事件だけの裁判所に行つてからの費用というのが六十八円十九銭かかりまして、これが警察からずつと執行に至るまでの費用としては九十五円十六銭かかるわけでございます。
ところが今度新制度に相なりますと、一番右の端の欄に書いてございますが、警察のうちで再呼出しといことは一応不要になるのじやなかろうか。それから従来使つております出頭指示書というのは、今度の保管証の費用に転換されるということに相なりまして、警察の方はあまり費用の節約には相ならないかと存じます。
それから検察庁の方におきましては、呼出しの費用も全然いらないことはないと思いますが、一応建前といたしましては呼出しの費用もいらなくなる。理想的にこの法律か実施されればいらなくなる。それから捜査指揮書、同復命書の方の費用というものも節約されるのじやなかろうか。
それから裁判所へ行きましては、裁判の段階におきましては略式請書、これはもちろん検察庁でとる分でありますが、起訴事件につきましてはこの略式請書というのがいらなくなる。それから送達手数料、送達用紙、送達報告書、こういうものが不要になつて参ります。
なお執行の段階におきましては納付命令を出す、それから督促状を出す、それからその受領書をとるという点は不必要になるのではないかというふうに一応考えられるわけであります。
それでこの制度で計算してみますと、不起訴事件につきましては、従来が二十六円九十七銭という数字が出ておりますが、四円七十五銭、それから起訴事件全体を通じましては従来の平均単価が九十五円十六銭が二十七円八十三銭という数字が出て参るわけであります。
今度は第一表をごらんいただきます。この平均単価に基きまして昨年度の件数をかけて数字を一応出してみたわけであります。その数字を旧制度と新制度で比較いたしまして、どれだけ節約になるかというのを差引減というところに出したわけでございますが、不起訴事件につきましては六百四十四万円あまり、起訴事件につきましては二千六百六十八万円あまりという数字が出まして、合計三千三百万円ということに相なるわけでございます。もちろん昨年度だけの事件数でございますから、この金額そのものはその年の事件数によつて動くかと存じます。昨年度のものをパーセンテージにとりますと、不起訴事件は大体一七・六%、起訴事件は二九・二%の費用で済むという数字が一応出て来るわけであります。拾い方を非常に荒く拾いまして、またはつきりしておるものだけを拾いましたので、その他人件費とかその他の消耗品の比較ということは非常に計算がめんどうに相成なりますので、一応用紙代と送達の費用というようなところだけをごらんいただきまして、あとは御推測いただきたい。はなはだ不完全な資料でございますが、一応御説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/7
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008・小林錡
○小林委員長 質疑はありませんか。ーー鍛冶良作君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/8
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009・鍛冶良作
○鍛冶委員 この中でちよつと疑問に思うのは、この起訴の場合納付命令発信、督促状みな省いてありますが、これは即決をやつたときに金を持つておればよいが、持つてないとあとで持つて来いと言つて、あとで持つて来なかつたらやらなければならぬと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/9
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010・下牧武
○下牧説明員 その率がどの程度に相なりますか、ちよつと疑問でございますが、大体現在の略式手続のスピード化で、警視庁で行つておりますあの手続を見ますと、今金を持つていないけれども二、三日うちに納めるからというのは仮納付命令を出しておるようでございます。その結果を見ますと、大体その日に納めて行くのが最近の実績によりますと六割、七割というふうな数字が上つておりまして、多い場合には十二、三割という数字が出ております。それは前の日に、次の日に持つて来るからということもかぶさりまして、それが納付率がいいという結果に相なつております。そういうふうに相なりますれば、大体この督促状というのはほとんど普通の通信費の中で考えていいので、この手続のために特にという数字を取立てるほどではないと、実はかように考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/10
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011・鍛冶良作
○鍛冶委員 裁判所の方から必要経費ーーこれはあなたの方の人件費で相当節約できるというのは職員だけであつて、裁判所の方には多少ふえるかもしれぬとなつておるが、職員は人を減らすほどのものではないので、ただ仕事か楽になつたという程度ですか、人を減らすほどになりますか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/11
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012・下牧武
○下牧説明員 現在の裁判所の実情を見ますと、たださえ非常に事務が輻湊いたしておりますので、このために人を減らすということはいかがかと存じます。ただこれだけで裁判官以外の職員の手数は省かれるので、そこにまた使い方はあるのじやなかろうかというふうに考えている程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/12
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013・鍛冶良作
○鍛冶委員 どうもこれはよくわからぬのだが、これを見ると裁判官がふえるのか、職員がふえるのか。――どうも職員だろうと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/13
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014・下牧武
○下牧説明員 今まで私どもが裁判所から聞いておりました人員増といたしましては、裁判官十七名というふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/14
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015・鍛冶良作
○鍛冶委員 そこでここに書いてある裁判官十七人をふやさなければならぬか。それに伴つてこのような単独法として法廷三十室、裁判官十五室、こういう大きなものがぜひともいらなければならぬのかどうか。その程度までお調べになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/15
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016・下牧武
○下牧説明員 裁判所の都合のことでございますから私どもの方で的確に申し上げるわけには参りませんが、ある程度法廷がきゆうくつなことは事実のように見ております。これは交通事件を実施するためと申しますか、それよりも現在の法廷がすでに非常に逼迫状態になつておるのでございまして、この制度を理想的に実施いたしますためには、やはり法廷の増設ということは必要なことであろうかと存じております。しかしながら私どもの考えといたしましては裁判所が全部困つておるのじやないのでございまして、この手続法を実施してもその物的設備においてさしつかえなくその施行をなし得るという裁判所が非常に多いと存じます。東京の中でも全部の簡易裁判所が困つているというわけではございませんので、やはり事件の非常に輻湊しておる裁判所だけに限られることになるのでございます。そういう場合にはもちろんこれはある程度の設備の拡充ということは必要かと存じますが、その拡充の仕方には、はたして裁判所が要求しておりますようなところまでやらなければならぬかどうかという点は、疑問があるのじやないかと存じます。そこはやはり国家予算とにらみ合せて適当なところでこれを拡充するということが必要ではないか、私どもはかように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/16
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017・鍛冶良作
○鍛冶委員 あなたの方の関係でないから、裁判所の方の関係だから、この点もう少し研究して間違いのないものを調べて来てもらいたいと思つたのですが、でき得るものならばそうしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/17
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018・小林錡
○小林委員長 他に御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/18
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019・林信雄
○林(信)委員 前に伺つたときは一億二、三千万円の新規予算が必要だということを承つておりましたが、あれは単年度の分はどれくらいで、その後の経常経費というものはどのくらいだつたのでございますか、ちよつと手元に資料がありませんが、どのくらい使つておるのかわかつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/19
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020・下牧武
○下牧説明員 これは裁判官十七名の人件費、それから物的設備費といたしまして法廷が三十室と裁判官十五室、それに伴う営繕費、これが一億千五百二十二万九千円、そのほかに法廷の新設に伴う備品費が一千百一万円、この物的設備の経費と裁判官の増員に伴う人件費、これを合せて一億四千二百八万円、こういう数字が出ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/20
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021・林信雄
○林(信)委員 そうしますと、これは申すまでもなく、二十九年度だけのものですね。それ以外の裁判官の増員その他も若干あるのではないかと思うのですが、その後の継続所要費というものは結局どうなるのですか、私どものつもりではそれと本日の資料の結論であります三千三百十二万九千幾ら、これと対比いたしまして、その増額分をこれから差引きましたものが、いわば二十九年度の所要額をやがてはまかないまして、そのあとには、株式会社じやないですが、利益が出て来るというようなことになると思うが、その計算は幾らになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/21
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022・下牧武
○下牧説明員 そのこまかい計算は、ちよつと今見当がつきかねますが、考え方としてはお説の通りでございまして、一時経費がかかりましても、ずつとこれを続けておりますことよりは、結局のところは国家には総体的に利益になつて来るということに相なるかと思います。何年度でこれが償却されるかということは、ちよつと見当がつきかねますが、ただ事件数が非常にふえて参りますれば、それに応じてパーセンテージはかわりありませんでも、絶体額がふえて参りますから、事件が多ければ早く償却されるという、これはおかしな論法でございますけれども、数学的にはそう相なるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/22
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023・小林錡
○小林委員長 それでは次会は来る十三日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905206X03719540410/23
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