1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十二日(水曜日)
議事日程 第四十四号
午後一時開議
第一 道路整備特別措置法の一部を改正する法律案(中島茂喜君外二十四名提出)
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●本日の会議に付した事件
旭丘中学校問題に関する緊急質問(町村金五君提出)
第十次造船促進に関する決議案(竹谷源太郎君外十九名提出)
漁港審議会委員任命につき同意の件
日本国有鉄道経営委員会委員任命につき同意の件
日程第一 道路整備特別措置法の一部を改正する法律案(中島茂喜君外二十四名提出)
労働基準法の一部を改正する法律案(参議院提出)
午後一時九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/0
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001・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/1
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002・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわちこの際、町村金五君提出、旭丘中学校問題に関する緊急質問を許可せられんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/2
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003・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/3
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004・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
旭丘中学校問題に関する緊急質問を許可いたします。町村金五君。
〔町村金五君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/4
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005・町村金五
○町村金五君 私は、改進党を代表いたしまして、京都市立旭丘中学校における学校管理事件につきまして緊急質問を行い、政府の所信を伺いたいと存ずるのであります。(拍手)
御承知の通り、この事件は、去る四月一日、京都市教育委員会が八百数十名に上る教職員の定期異動を行いました際、学校長の内申に基きまして、旭丘中学校の教員八名に対しましても転勤の辞令を出しましたところ、そのうち三名がこれを拒否し、教育長の勧告やPTA連合協議会、小中学校校長会等の要望にもかかわりませず、発令後も依然として同校にとどまり、不当に公務に従事しておりましたがため、五月五日、遂に教育委員会が、地方公務員法に規定する上司の命令及び職務上の義務違反行為であると断定して、この三名を懲戒免職にしたことに端を発しておるのであります。この免職処分に対しまして、京都教職員組合は、ただちに学校内に闘争本部を設けて反対の気勢を上げ、従来教職員と生徒会に対して再三自重を求めて参りました北畑校長を、これら三名の教員を守ることができなかつたという理由のもとに、生徒、父兄、その他労働団体とともに、六日午後一時から翌朝六時まで、七日午後一時から夕刻まで不法に監禁して、百数十名の大衆監視のもとに、遂に辞職願を書かしめるに至つたのであります。その後、校内には、教職員組合旗は申すに及ばず、総評旗や日中友好協会旗、民戦旗等の赤旗が翻り、教育委員会の説得を拒否するために、生徒や応援団体によりましてピケ・ラインが張られるというような現象が起り、事態の重大化をおそれました教育委員会が遂に休校の措置をとるに至りまするや、教職員組合はその実施を妨害いたしまするために、学校の組合管理を行い、赤腕章を巻きました教員の手によつて教組独自の教科課程による授業を行うに至るという、まことにわが国教育史上かつて類例を見ない不祥事を発生せしめるに至つたのであります。(拍手)
一昨日、わが党の田中文部委員は、急速この事件の調査に赴いたのでありますが、同委員は、昨日現地の模様を次のように打電して来ておるのであります。「旭丘見た、赤旗林のごとく立ち、学校は共産勢力諸団体に占拠せられあり、教員の暴挙に対し父兄の憤激逐に爆発し、内乱のことし」、まさにこういうような電報が参つておるのであります。さらに、先ほど同委員から参りました急報によりますと、教員と労働者の暴力的行為を訴えて、すみやかなる事態の収拾を涙ながらに懇請する父兄の惨状が克明に書かれておるのであります。しかも、同委員は、憎むべき共産党の魔手の感を深くしたと書いておるのであります。(拍手)さて、かかる非常事態を惹起するに至りました旭丘中学とは、昨年十二月、父兄有志より、教師が、授業中に日共の機関紙であるアカハタを読み上げたり、民族独立の歌を歌わせたりして、きわめて思想的に偏向した教育を行つておると、市の教育委員会に善処方を申し入れ、教育委員会は、調査の結果、学校長に対しまして、学校運営の方法において適切でない点があると認められるから、その改善進歩をはかるようにと、五箇条にわたる勧告を行つたことのある学校でありますが、本院におきましても、いわゆる教育二法案の審議に際しまして、偏向教育の顕著なる事例として提出せられました文部省の資料を検討いたしまするために、文部委員を現地に派遣して、詳細にその調査を行つたところであります。従つて、今回のごとき事件が発生するに至りましたところの要因はすでに以前から同校に内在していたと言うことができるのでありますが、問題は、この事件が一学校内の紛争事件にとどまることなく、日教組を初めとする多くの容共的な労働団体、民間団体等を背景として展開されておるということにあると思うのであります。すなわち、換言いたしますれば、学校長に対する暴力的な責任の追究と辞表提出の強制、赤旗とピケ・ラインによる教育委員会の説得拒否、あるいは、いたいけな生徒の政治的活動への動員と非合法な学校管理等が、すべて教職員組合を中心とする学外の諸勢力の手によつて行われ、しかも決して一地方の偶発的事件ではないという事実に、今回の事件の重大なる特質を看取することができるのであります。(拍手)
さきに述べました旭丘中学校における偏向教育が、日教組の運動方針書に基いて書かれました京都教職員組合の平和教育運動方針書によつて行われたものでありますことは明白な事実でありますが、日教組は、今度の三教員異動についても、これは平和教育への弾圧であり、即時辞令の撤回を要求すると中央委員会で決議をいたし、さらに四月二十六日には役員を派遣して、京都市教育委員会に対しまして、辞令撤回の誠意なき場合は日教組の全組織をあげて闘うとまで申し入れておる実情であります。従つて、京都教職員組合の今回の闘争が日教組の強力な支持を受けて行われておることは想像にかたくないのであります。また一方、総評の京都地評は、一昨十日、教組の学校管理を積極的に支援する声明を発し、教育委員会側の補習授業の通学バスを実力で阻止するという強硬な態度を決定したとさえ伝えられておるのであります。これは、元来神聖にして侵すべからざる教育の場が学外の一部の特定勢力の暴力によつて蹂躪せられつつあることを意味するばかりでなく、学校がさながら労働争議の場と化し、極言すれば、ここに暴力革命への予行演習が行われつつあると言うこともできるのであります。(拍手)
今回のこの組合の学校管理こそは、昨年来各地に頻発しておりまするいわゆる生産管理闘争やピケ・ライン戦術とまつたく軌を一にするものであると申さなければなりません。しこうしてまた、かかる闘争が共産党の巧妙なる指導によるものでありますることは、その機関紙や指令によつて、今日何人も疑うことができない事実と相なつておるのであります。(拍手)さきに私が政府に対しまする一般質問の際に指摘いたしました通り、共産党は、一つの工場が争議に入れば、付近のあらゆる住民を動員して、いわゆる人民共闘の形で闘争を展開するようにと、常に下部に指令を発しておるのであります。今回の旭丘事件は、この共産党の人民管理方式がすでに学校教育にまで及んでおるという事実を如実に示しておるのであります。(拍手)
しかも、さらに重大なことは、教員が未成熟な生徒までも扇動し、彼らをこの不法な闘争に悪用しておるという事実であります。従来、この学校におきましては、特定の生徒を指導して生徒会をリードせしめ、生徒の自主的行動という形で政治活動を行わしめていたようでありますが、今回の事件にあたりましても、さきには生徒会をして区民大会開催の決議を行わしめ、署名運動、資金カンパに動員するとともに、教育委員会へのデモにかり立て、はては法治国には絶対にあるまじき校長の不法監禁や組合の学校管理にまで協力せしめるという、まことに恐るべき現象が起つておるのであります。
そこで私は政府に数点お尋ねいたしたいのでありまするが、第一には、すでに暴力が神聖なるべき学校を支配し、非合法が白昼公然と横行しておるにかかわらず、政府は手をこまねいて何ら事態の収拾に当ろうとしないばかりでなく、校長の監禁といい、学校管理といい、父兄や生徒の動員といい、まさに治安上、教育上きわめて憂慮すべき事態が起つておるのであります。この事件に対する文部大臣の御見解並びに今後の事態収拾策につきお伺いをしておきたいのであります。
次に、今回の事件の発端は、先にも述べました通り、三名の教員が上司の命令、職務上の義務に違反したために懲戒免職処分を受けたことに基因しているのでありますが、地方公務員法には、行政処分が不当であると考えた場合には不利益処分の審査請求を人事委員会に提出することができる旨の規定がありますことは、もはや周知の事実でございます。しかるに、これら三教員は、この合法的な手段を全然とることなく居すわりを続け、暴力的な学校管理に対し世間の非難の声が高くなつた昨十一日、ようやく京都教組が処分の執行停止及び身分保証の訴訟を京都地方裁判所に提起したという状況であります。もし人事が不当であると考えるならば、何ゆえに彼らはまずかかる合法的な手段によつて当、不当を争おうとしなかつたのであるか。大衆の実力によつて問題を解決せんとするがごとき法の存在を無視する態度は絶対許すことができないのであります。(拍手)これによつてこれを見ますれば、現在の教員や教職員組合の中には、法治国の根幹である法秩序の維持を全然無視せんとする態度が看取できるのでありまして、まことに慄然たらざるを得ないのであります。(拍手)このような教職員によつて今日の子弟の教育が行われていることは、健全なる民主主義の発展に重大なる暗影を投ずるものであります。(拍手)従つて、日教組は、教育二法案の成立を阻止せんとして、いかに過去の行き過ぎを自己批判し、今後大地に足をつけた活動を展開すると宣伝いたしましても、今回の事件に対して示しているような非合法をもあえてする極左的態度を一擲しない限り、彼らの政治的偏向糾弾の手を休めることは断じてできないのであります。(拍手)
そこで文部大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、このように法の存在を無視する教員、遵法精神なき日教組が政治的に偏向した不法行為を犯したる際、彼らに行政処分のごとき微温的制裁をもつて臨みますことは、教育二法案審議の際に問題となりましたことく、全然無意味なことであり、刑事処分を科することもまたやむを得ないと思うのでありますが、さらに観点をかえて考えてみまするに、特定の政治的イデオロギーに傾倒いたしておりまする者は現存の法秩序を認めないわけでありますから、いかに峻烈な刑事罰をもつて臨んだとしても、単なる法的措置のみでは効果をあげることは至難ではないかとの感じを深くいたすものであります。私は、この際、教員や日教組幹部が謙虚に教育者としての本来の使命を自覚し、国民全体の奉仕者としての厳正中立な教育を行つて参りまするように、文部省は国家百年の計のために抜本的、画期的な施策を講ずべきであると考えるのでありますが、文部大臣の御所見を伺いたい。(拍手)
次に、今回のこの事件は、わが国教育史上未曽有の不祥事件でございまするが、今後この種の事件は続発する可能性があると考えられるのであります。従つて、教育の権威を守るためにも、生徒に政治的勢力に左右されない教育を保証いたしまするためにも、抜本的な対策がとられなければならないと思うのであります。しかるに、今日文部省はまことに無力かつ無為無策であると申さなければなりません。さきに問題となりました日教組の指令による学校の一斉休暇の際にも、文部省は何らこれを阻止する権限を持たず、事件発生後において初めて教育委員会の事態収拾と教員の自粛を要望したにすぎないのであります。かかる無為無策ぶりが今日洛陽の一角にこの非常事態を発生せしむるに至つたと申しても決して過言でないのであります。
教育行政の一切の責任と権限を教育委員会に委譲した結果が、かくのごとく事態の紛糾と混乱を生ぜしむるに至つた原因であるといたしまするならば、政府はすみやかにその制度を根本的に改革すべきであると考えます。政府は常に地教委の育成強化ということを強調しておられるのでありますが、今回の事件において見られるごとく、地方教育委員会は、その権限の遂行にあたつてまことに無力であり、その責任を十分に果し得ない実情であります。教員異動に際しましても、教育委員会は二派にわかれ、両派が対立して事態をさらに混迷に陥れたばかりでなぐ、今日に至るもなお意思の統一を欠いておりまするがために、委員会自身の機能が麻痺して、強力な活動ができないというありざまであります。教育の権威を失墜せしめるゆゆしい問題が発生いたしておりまするとき、この解決のために強力な統一行動がとれないというがごとき教育委員会は、実質上教育の最高責任者としての資格を失つたものと言わざるを得ません。
文部省がかかる非常事態を匡正すべき何らの権限をも持たず、その権限をゆだねられた地方教育委員会またかくのごとく無力であるといたしまするならば、今回のごとき事件を未然に防止できないことはもちろんのこと、事件発生後事態が悪化の一路をたどることもまた当然であると申すことができるのであります。今や崩壊の危機に瀕しておりまする義務教育制度を再建いたしまするために、この際政府は文教諸制度全般にわたつて真剣な再検討を加える考えはないか、まずこれを伺つておきたい。
いずれにいたしましても、今回の不祥事件が報道せられまするや、国民は、事の重大性に愕然として色を失い、さらに、政府がこれを拱手傍観してほとんど何らの措置をもとらず、事態をいたずらに悪化せしめておるという事実に対し限りなき憤激と不安を感じておるのであります。私は、かかる恐るべき無政府的な無秩序状態を現出するに至つた根本原因は、戦後長年にわたつて文部省が文教の府としての重大な責任を自覚せず、真剣な努力を続けて来なかつたところにあると思うのであります。この際、文部省はその責任の重大性に深く思いをいたし、不祥事件が起つて後その弥縫策を講ずるというがごとき従来の安易な態度を一擲し、国家民族の将来のために文教諸行政に当るべきであると信ずるのであります。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/5
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006・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 町村君に申し上げますが、簡単に結論をつけていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/6
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007・町村金五
○町村金五君 願わくは、この事件を契機として、重大なる決意をもつて文教の徹底的刷新をはかられんことを心から切望いたしまして、私の質問を終ります。
〔国務大臣大達茂雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/7
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008・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 京都の旭丘の問題でありますが、まことにわが国の教育史上かつて見られなかつたほどの不祥事件であります。私は、かねてから、かような事態が起らないように念願いたして参つたのでありますが、遂にかくのごとき不祥な事態を生じたということは、残念と申し上げるよりほかはありません。ただ、この事件につきましては、ただいま文部省としては詳細な事情を調べております。従つて、新聞その他ですでに御承知のこと以外に多く申し上げることはできません。
ただ、この事件を通じて私が特に注意すると申しますか、残念に思いますことは、第一に、人事に関する発令に端を発して、それに対する闘争でありますが、この場合に、この闘争がまつたく非合法的手段によつて行われている、そこにはいわゆる法律秩序を守る遵法精神というものはかけらすらも認められない、こういうように思うのであります。(発言する者多し)すでに御承知の通り、地元の京教組の指導のもとに、そうして応援に参りました総評、日共、その他多数の応援団体の人数と一緒になつて、いわゆる防衛隊と申しますか、そういうものをつくつて、これら三百何十人の者が毛布を持つて夜を徹して学校を占領した。これは、何と申しますか、まつたくの非合法的方法である。学校だけの範囲について言うならば、これは明らかに暴力革命であります。(拍手)私は、まずこの点……。(発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
それからその次には、これが単に教育上の問題ではなしに、まつたくの政治闘争として行われておる、この点であります。これは、京都の教職員組合だけではなしに、ただいま申し上げたように、多数の左翼団体がこれに同調して、そうして赤旗を立て、あるいは北鮮旗をなびかせて学校を占領した。これはまつたく教育の場を政治闘争の場にしたと言うのほかはありません。ことにおもしろいことは、学校の校長さんをつるし上げをしておる。そうして辞表を書かせたことを非常に喜んだのでありましよう、こういうことを言つておる。学校の校長、それからそれにつながるところの教育委員長、さらにそれにつながつておるところの京都市長、さらにそれにつながるところの吉田内閣、さらにそれにつながるところのアメリカ、この一連の勢力を粉砕する一端はすでにできた、学校の校長に辞表を出させることによつてその一端は成功した、さらに進んで教育委員長をリコールによつて排撃するのだ、これはまあ児戯に類した言いぐさであります。けれども、これは、ただ学校の先生の排斥とか教育委員長の排斥とかいうことでなしに、その考えの中には明らかにはつきりした政治的意識が入つておる。(拍手)これは学校の場を政争の場に、しかも非合法的な暴力的政治闘争の場にこれを利用したと言うほかはない。(拍手)
それから次に、私の最も遺憾に思うことは、子供を利用しておるということであります。この学校におきましては、生徒会、それから同窓会、そういうものが会合いたしまして、この三先生を守れということで闘争の渦中に入つております。そうして、ほかの連中と一緒になつて、校長を二日間にわたつて徹夜でつるし上げて辞表を書かせておる。これには生徒が参加しておるのであります。とにかく同窓会とか生徒会がさようなことをするということは、いかに学校の先生がそのとき指導してもなかなかできないことで、この学校における偏向教育というものがいかに根深いものであつたかということを立証するものであります。(拍手)しかも、子供を政治闘争の具に供して、子供を父兄との間に奪い合いをしておる。お父さんやお母さんが泣きながら子供を渡すまいとしておる。私はかくのごとき深刻な悲劇はないと思う。人の子供を父兄の手からもぎとつて、そして自分の赤の学校に持つて行くというようなことはどういうことですか。
それから最後に、例によつてこれを日教組本部が指導しておる。これもはつきりした事実であります。日教組は、小林委員長の名をもつて、四月の末に、いわゆる京都市の教育委員会に抗議を申し入れておる。そうして、この不当な辞令を撤回をして、もしこれに応じなければ五十万教職員は全力をあげて闘うということを申し入れておる。これは地方の問題たけにとどまらず、相かわらず日教組がこれを指導しておるところに重大な関心を払わなければなりません。(拍手)
かくのごとき事態を生じたということは、返す返すも残念しごくであります。私は、かようなことが起らないようにしたいために、就任以来この一点にこそ全力をあげて参つたのであります。(拍手)にもかかわらず、かような事態を引起したということは、何とも残念しごくでたまらない。また、今後においても、おそらくは、このよつて来るところはきわめて深いもので、単に教育の問題だけではありません。でありますから、私は、これを大きく見て、いかなるところからこういうことが起るか、この点につきあらゆる角度から検討を重ねた上で、今後全力をあげて、渾身の努力をもつて、かくのごときことを排除したい、これを私は申し上げます。(拍手)
[国務大臣加藤鐐五郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/8
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009・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 京都市旭丘中学における紛争については、まことに遺憾なできごとでありまして、違法な事務管理とも考えられまして、まことに痛心にたえません。ただいままでのところ、刑事事件が発生したという的確な報告には接しておりませんが、治安当局といたしましては、当面の直接管理者たる市教育委員会の善処を期待しつつ、事態の推移を注意いたしておる次第であります。町村君お尋ねのごとく、校長を長時間監禁いたしますれば、これは不法監禁罪であります。校長の意に反して辞職願を強要して書かせたといたしますれば強要罪が成立いたします。また、管理者の要求に反して退去しなければ不退去罪が成立いたします。これらの違法行為ね、取調べの上、断固たる処置をとりたいと存じております。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/9
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010・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、竹谷源太郎君外十九名提出、第十次造船促進に関する決議案は、提出者の要求の通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/10
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011・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/11
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012・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
第十次造船促進に関する決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。竹谷源太郎君。
〔竹谷源太郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/12
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013・竹谷源太郎
○竹谷源太郎君 ただいま議題となりました、自由党、改進党、両派社会党及び日本自由党の共同提案にかかりまする第十次造船促進に関する決議案提出の趣旨弁明をいたします。
計画造船を悪用した海運造船疑獄は、すでに発端から今日まで百余人の政界、官界、業界にわたつて主要人物の大検挙が行われているのであります。首脳部を失つた業界は右往左往するばかりであり、行政の任にある官庁は担当幹部を失い、指導能力を欠如するに至りました。わが国会からも汚職関係者を出したことにつきましては、ひたすら国民の前に自粛自戒を誓うばかりでございます。
しかしながら、一たび眼を国際海運業界に転ずるとき、世界貿易は停滞傾向にあるにもかかわらず、商船保有量は昨年中に三百十七万トンを増加いたしたのであります。アメリカは二千七百万トン、イギリスは千八百五十万トン、ノールウエーは六百二十六万トンを保有しております。これに続いてフランス、イタリア、オランダもおのおの三百数十万トンの船腹を持つており、わが国は三百二十五万トンでございまして、戦前の第三位から第七位に転落いたしたのであります。
第二次世界大戦勃発のときに、ノールウエーは、水素爆弾の原料であるところの重水素をつくる工場を持つていたがために、ヒトラーの軍隊によつて無警告上陸され、その後五箇年にわたつて二十万のドイツ軍の占領を受け、国土は極度に荒廃し、戦前保有した四百九十万トンの船舶を大部分喪失したのであります。しかるに、戦後五、六年にして、現在の六百万トンを越ゆる船舶を建造または購入して、世界第三位の海運国にのし上つたのでございます。これは、三十年来のノールウエー往会党政権下において、海員労働組合が中心となり、勤労大衆も資本家も一体となつて、食うものも食わずに船舶をつくり船を輸入したからであります。これに引きかえまして、計画造船を食いものにするやからのある日本の現状を、私は深く悲しまざるを得ないのであります。(「その通り」拍手)
ノールウエーは、人口わずかに三百三十万余、わが国の二十二分の一、愛、知県一県の人口にすぎない小国でございます。海運国と自称する大国日本がノールウエーの半分しか船を持つていないということは、まことに情ない次第ではございませんか。しかも、わが国保有船腹のうち国際海運競争に向けらるべき外航適格船は二百余万トンにすぎません。そのうちには、戦時中に建造したいわゆる戦標船と称する粗悪船も多数含まれておりますことは、周知の事実でございます。従つて、優秀船の建造を怠れば、外航船質の低下を来し、苛烈なる国際海運競争から落伍せざるを得ないのでございます。また、船腹が不足しておりますると、それだけ外国船介入の余地が大きくなり、戦前の海運地盤回復はおぼつかなくなるどころか、逆に外国船によつて食い込まれて来るおそれが強いのであります。われわれは、疑獄の追究を徹底的に行う一方、常に輸出入物資の輸送手段となり、外貨獲得の重要産業である海運業の発展、及びそのための優秀船建造という国家百年の大計を実現して行かなければなりません。われわれは、本国会において、保守三党の予算案及び両派社会党共同組みかえ予算案の双方ともに、海運業増強のための外航船舶建造の財政融資を審議可決したる責任にかんがみまして、現在のわが国海運業の窮状を黙視することはできないのでございます。ここに海運業の窮状と申しましたが、私はもとより個々の業者の利害について申すのではございません。わが国基礎産業の一つでありますところの海運業全般について申しているのでございます。わが国の海運業は、戦争によつてほとんどすべての船腹を失つたにもかかわらず、この損害二十五億円、これを時価に換算いたしますると最低五千億円の戦時補償を打切られ、一挙にして海運業の蓄積資本は失われたのでございます。爾来、戦後の占領行政下、昭和二十二年から復金融資に始まる財政資金を主体とする計画造船が着手され、第五次以後、船主五十五社、百七十四隻、百十八万トンが建造されたのでございます。占領行政指導による計画造船の自由主義と機会均等方針は、弱小船主にまで計画造船に応ずるチヤンスを与えることになり、国際競争を効果的に遂行するため商船隊を結集する必要が痛感されながら、現実には、あべこべに商船は弱小船主に分散されました。そして、無益な国内業者間の競争を助長し、計画造船を獲得することは弱小船主にとつては一つの投機的事業と化し、基礎産業たる海運業は悪徳業者の投機の対象となつたのでございます。しかし、朝鮮動乱の終結までは海運は好況に恵まれたのでございますが、朝鮮動乱が終つて、世界の海運運賃市況が一斉に暴落して来ましてからは、海運業者は金利支払いと船価償却に事を欠く不振に追い込まれたのでございます。ここにおいて、従来からのリベートという一部の慣習は、今や船主にとつて必要収入と化し、リベート確保のために外航船舶の融資利子補給までもその対象とするようになりまして、遂に目的のために手段を選ばぬ腐敗が業界全般に蔓延して、その腐敗は政界と官界にまでも及んだのでございます。このような計画造船堕落の最大原因は、海運業は国家の基礎産業であり、戦後は特に財政融資を主体として立て直しがはかられているがゆえに公益性が強くなければならぬという根本認識を欠如した点にあると断ぜざるを得ません。今後の計画造船と、これを運航する海運業のあり方については、まずこの根本認識に関する反省から再出発せねばならないと思います。
すでに新聞紙上、造船、海運両業界の再編成問題について報道せられ、わが社会党も具体的に海運政策と両業界再編成方針を持つておりますが、要は、業界も主務官庁も、再編成にあたつてはこの根本認識を共通の土台として出発せねばならないのであります。国会が要望するのも、公益性の目ざめたる海運業の再建でございます。われわれ国会は、ざような認識に基いて、第十次計画造船の着工を一日を早く実施に移そうと要望するに際しまして、遺憾なことは、第一に、船主及び運航業者を含む海運業者の多くが汚職、疑獄の疑惑に包まれて国民の信用を失つているという事実、第二に、海運不況のために市中銀行は担保力の薄い海運業に対して造船融資を拒否せんとしている事実であります。国会といたしましても、百七十五億にも達する巨額の財政資金を、汚職、疑獄の進行中において担保力の弱い業者に貸し付けることは、国民の代表として承認し得ざるところであります。さらにまた、財政融資及び利子補給を行う現行制度を現状の業界に対して実施することに対しても、われわれは疑問を持つているのでございます。
このような悪条件が重なり合つている中に第十次造船をすみやかに着工せしめるためには、どうしても新しい臨時措置が必要と考えるのでございます。われわれは、臨時措置として、昭和二十九年度実施の第十次計画造船に限り、財政資金のみをもつてしても外航船の建造を行うことが、残されたる最善の策となすものであります。最悪の条件に落ち込んでいる海運界の現状にありましては、船舶建造融資という公益的金融の大半を担当している日本開発銀行みずからが船主となり、建造する外航船の型や性能の決定及び造船所の選定を、関係官庁及び関係業界の支持のもとに行うべきであります。しこうして、建造された船舶は開銀から希望運航者に貸与すべきであります。かくして、このような臨時応急措置を実施する一方では、これに並行して海運業並びに造船業の再編成に着手し、昭和二十三年度からは円滑に計画造船を遂行し得るようにはかるべきであります。
すでに、各地の造船所におきましては、五月中に第九次造船は最後の六隻を竣工し、残るものは若干の輸出船と小型船のみとなるのであります。最近の造船所では、進水式がすなわち告別式であり、人々は新造船を涙をもつて見送り、いつまた船台に新しい発注があるか、まつたく見通しがつかない現状となつておるのであります。
このように第十次造船着工の見通しがつかないために、第一に、造船業十万の従業員と二百二十種に及ぶ関連産業三十万の従業員の生活は脅かされ、造船所のうちにはアイドルを実施しているところも多く、関連産業、ことに造船下請工場では、早くも倒産を出している始末でございます。神戸地区を例にとるならば、四月一日現在において、下請工場は大小千三百ありまして、従業員数四万三千人、家族数十七万九千人、合計二十二万二千人に及んでおりまするが、このうち倒産した工場が三十七、倒産寸前のもの六十六を数えておるのでございます。造船業及びその関連産業には高級技術労働者をたくさん使つており、かかる技能者を失業分散せしめ、技能低下等を招くことは、国家の大なる損失でございます。
第二に、造船所は海岸に面する地方都市に分散をしております。造船所の納める地方税は、地方財政中租税収入の最低三割を占めているばかりか、造船所並びに地元関連産業とその従業員の購買力が地元経済の最大の支柱となつているのでございます。このように重要産業が地方に分散して地方経済に貢献している事実こそ、国民経済発展上最も望ましい姿なのでございます。(拍手)しかるに、第十次造船が停滞すれば、地方財政はます窮迫し、地元住民の生活はいよいよ困窮して参るでございましよう。第十次造船が遅れれば遅れるほど、デフレ経済による金詰まりを強め、造船企業の行詰まりが連鎖反応を起して、経済不安を拡大するばかりでございます。(拍手)しかも、その被害はわが国経済の弱小箇所でありまする地方経済と中小下請企業に最も早く波及する点において大いに警戒を要するものでございます。
われわれ国会といたしまして、また政府は監督指導者として、業界はみずからの立ち直りのため、海運、造船両業界再編成の方向を、さきに述べたように、わが国海運の公益性の確認から出発せしめ、一日も早く第十次計画造船着工の見通しをつけ、海運、造船両業界の汚職が経済不安拡大の最大の原因となるような不祥事を引起さないように強く要望するのでございます。(拍手)
最後に、本決議案を朗読いたします。
第十次造船促進に関する決議案
本院は、わが国の外航用船舶の建造が停滞するがごとき事態に陥るのを防止するため、政府は、第十次造船の遂行に関し、適切なる臨時措置を講じ、かつ財政資金投資の公正を期し、第十次造船を早期に着手すべきである。
右決議する。
満場の御賛成をお願いします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/13
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014・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案を可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/14
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015・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は可決いたしました。
この際運輸大臣から発言を求められております。これを許します。運輸大臣石井光次郎君。
〔国務大臣石井光次郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/15
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016・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 二十九年度新造船計画につきましては、現在の造船所の事情等、ただいまお話のありました通り、一刻もその実施を遅延してはならないような急迫状態でありますので、同計画をできる限り早急に実施いたしたいと存じております。目下いろいろ述べられましたような問題がありますので、それらにつきましてそれぞれ研究または相談をいたしまして、もう大体の準備も終りに近づきましたので、その実施もおそくない期間に実際に行うことができるようになるだろうと思つております。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/16
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017・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) お諮りいたします。内閣から、漁港審議会委員に井出正孝君、小田賢郎君、板垣卯佐治君、松平武一君、池田駒平君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成の諸君の起立を求めます。
[賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/17
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018・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/18
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019・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 次に、内閣から、日本国有鉄道経営委員会委員に阿部藤造君、工藤義男君、佐藤喜一郎君、佐々木義彦君を任命するため本院の同意を得たいとの申出がありました。右申出の通り同意するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/19
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020・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて同意するに決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/20
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021・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 日程第一、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員長久野忠治君。
〔久野忠治君登壇]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/21
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022・久野忠治
○久野忠治君 ただいま議題となりました、中島茂喜君外二十四名提出、道路整備特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
まず本法案の提案の理由及び内容について申し上げますと、道路整備特別措置法による地方公共団体の行う特定道路整備事業につきましては、資金の貸付は昭和二十七年度以降三年間を限るものとなつているのであります。しかるに、特定道路事業の建設状況は、昭和二十七年度及び二十八年度において二十四箇所、事業費四十四億円をもつて建設中でございますが、昭和二十九年度末までには三重国道等九箇所が完成するにすぎないのでありまして、なお約五十億円、うち貸付分約三十五億円の事業農が昭和三十年度以降に持ち越される状況であります。従いまして、以上のような建設状況にかんがみ、特定道路整備事業特別会計から地方公共団体に貸し付けることのできる期間を、とりあえず昭和三十年度以降に延長せんとするものであります。
本法案は、五月八日本委員会に付託せられ、五月十一日に至る間前後二回にわたつて審査いたしたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。
かくて、討論を省略し採決の結果、全会一致をもつて原案の通り可決すべきものと決定した次第であります。
以上御報告申し上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/22
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023・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/23
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024・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/24
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025・荒舩清十郎
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、参議院提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/25
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026・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/26
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027・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。
労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。労働委員会理事多賀谷真稔君。
[多賀谷真稔君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/27
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028・多賀谷真稔
○多賀谷真稔君 ただいま議題となりました労働基準法の一部を改正する法律案の労働委員会における審査の経過並びに結果を報告いたします。
本案は労働基準法第五十二条の改正に関する参議院提出案でありまして、もともと同法第五十二条の立法趣旨は労働者の健康保持をその目的とするものでありますが、現行法においては歯科医による健康診断は明定されていないのであります。しかるに、酸、燐、砒素その他の化学薬品または鉛、水銀その他の工業原料を常時多量に使用する作業に従事する労働者は、これらの有害化学薬品または工業原料を含む蒸気、ガス等によつて歯牙の損傷その他口腔内の疾病等を起しやすく、その早期発見、早期治療は労働者の健康保持のために必要であります。本案は、かかる現行法上の不備を是正して、これらの労働者に対し医師のほか歯科医師による健康診断を行い、労働者の保護に万全を期そうとするものでございます。
本案は、去る五月八日労働委員会に付託され、十二日参議院労働委員長栗山良夫君より提案理由の説明を聴取いたし、質疑の後、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致をもつてこれを可決すべきものと議決いたした次第でございます。
右御報告いたします。何とぞ満場一致の賛同をお願いいたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/28
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029・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/29
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030・堤康次郎
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101905254X04719540512/30
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