1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十二日(月曜日)
午後二時十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 前田 穰君
理事
入交 太藏君
重盛 壽治君
委員
岡田 信次君
仁田 竹一君
高木 正夫君
森田 義衞君
木島 虎藏君
政府委員
運輸省港湾局長
黒田 靜夫君
事務局側
常任委員会専門
員 古谷 善亮君
常任委員会専門
員 田倉 八郎君
説明員
運輸省港湾局管
理課長 安井 正巳君
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本日の会議に付した事件
○港湾法の一部を改正する法律案(内
閣提出)
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001・前田穰
○委員長(前田穰君) これより運輸委員会を開会いたします。
港湾法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は逐条審議に入る予定でありましたが、もう一日一般質問を継続したいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/1
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002・仁田竹一
○仁田竹一君 この前、港湾法に関連を持ちますので、繋留並びに桟橋につきまして質問申上げたのでありますが、その場合或る港に、而もその港が一日数千、多い時は何万という乗客のある港で、恐らくは我が国でも二、三の乗降客の多い港でありまするような場合に、而もその港に繋留すべき桟橋、繋留施設が一カ所しかない。而もその一カ所の桟橋が県有財産でありますけれども、国の財産である防波堤を利用してそれに防舷台或いは鉄筋の柱を立て、桟橋を作り、その上に県有の所有地に一部上屋を作つておる。こういう施設である場合、今までの実情は、その桟橋の所有者でありますもの自身の船或いはその所有しておりまする者の承諾がない以上は、一切その桟橋は使用することができない、させないという実情にあるのであります。而もこれは何十年来の問題でありまして、日本でも一二を争います観光港であるにもかかわりませず、その桟橋の所有者に多少でも損失のありまするような場合、それを許可しない。そのために一般の旅客輸送業者は非常に困難をいたしまして、別府へは客を運ばない、こういう実情にあるわけなのであります。それで私ども考えまするのに、その施設は仮に一会社が施設をしておるといたしましても、それは国の土地を利用して、そうしてそれに施設を加にまするので、特に公共性を持ちます桟橋、それに海面使用等の勿論占用の認可を得ておりましようけれども、おりましようといえども、一応海を利用してできておりまする桟橋、こういうふうなことから考えて見まして、仮にそれが私有財産でありましても、この場合防波堤を利用しておりまするが、仮にそれを利用しておらない場合と言いましても、桟橋という公共性から見まして、勿論その桟橋を所有しておりまする者に著しく迷惑を及ぼさない、具体的に申しまするならば、その桟橋を使用しておらないようなときには、勿論相当の料金を取りまして、それの桟橋を利用さすことが公共性のある桟橋である、こういうふうに考えておるわけであります。そういうふうなことをこの前お話申上げたのでありまするが、そこでこの前局長とのお話の食い違いと申しますか、意見の相違しておりまするのは、局長の考え方は、私有物である以上はそれの承諾なくては、たとえ船を繋船しておらない場合といえども、船は着けられない。こういう御意見らしく承わつたのでありますが、私の言いまするのは、仮に私有物といえども、桟橋の公共性から見まして、空いているのときには他の船も繋留さすべきものである、こういう意見を持つておるのでありまして、実は先般そんなことにつきまして専門員のほうに、その船を着け得るようにするためには、一体どうしたらいいのか。場合によれば修正ということも考えていろいろな意見を求めたことがございます。それに対しまして、私の手許に一部を改正いたしまする法律案の修正につきましての意見が出ておるわけなのでありますが、その意見を見ますると、これは参議院の法制局の御意見であろうと思いますけれども、「港湾管理者の長は、当該港湾において港湾管理者以外の者の設置するけい留施設で一般公衆の利用に適するものを他の者に臨時に使用させることが荒天その他やむを得ない事由により必要である場合において、他の施設をもつてこれに代えることが著しく困難であると認めるときは、当該けい留施設を現に管理する者に対して、当該けい留施設を使用させることにつき勧告することができる。但し、当該けい留施設を権原に基き現に使用している者の使用を著しく阻害することとなるときは、この限りでない。」、要するに暴風雨のときであること、而もそれがこの施設を使うことが、ほかにどうしてもこの施設以外に使う施設がないということ、而もそれが著しく困難があると考えられること、なお又使用者のほうで著しく阻害をすることになるときには、それでも断わることができる、こういう意見らしうございますので、私ども実に唖然としたわけでございます。
御案内のように、もともと荒天を覚悟で船出する者はありませんので、たまたま凪だと思つて出たのがその港に着く頃に荒天になるわけでございますが、そういうときに船は沖で多数の乗客を乗せてぶらぶらしている。客は勿論騒ぎ立てる。そんなふうなときに、特に国内航路では、千トン以下の船では荒天の設備はありませんから、一体どうして荒海から船を走らしながら港湾局と連絡するのか。又そんなことを連絡して、それが著しい弊害があるのかないのか。或いは本人が勧告を聞くとか聞かんとかいうことを待つことができるであろうか。万一そんなことをしている間に船が沈没する。或いは事故が起ることがあつたら、その責任は一体どこにあるのか。そんな一体ゆとりがあるだろうか。実は私そこの修正すべき理由を見まして、文字としては結構かも知れませんけれども、殆んど実行のできないような事柄を示されていると思うのであります。そこで私どもは、而もこれについての意見としましては、もうこれが憲法に抵触せざるぎりぎりの線だ、こういうまあ意見が附せられてこんなものが私の所に来たわけでございますが、そこで私ども素人はよくわかりませんので、相当の関係者に聞いて見まするというと、そんなことはない。公共施設である以上、それが仮に個人の財産でありましようとも、而もそれを使用することによつて一般公衆の福祉に寄与することができる、こういうふうに思われる場合には、一定の条件といいますか、例えば料金の問題にいたしましても、或いはその所有権を持つている者が、現在船を着けるゆとりがないとか何とかいろいろ条件がありましようけれども、藤橋なら桟橋に今船が着いておらなくてすきがあついてというような場合には、これに勧告して船を着けさせる。又勧告に応じなくて、而も正当な理由なくしてそれを拒否するような場合には、一方はたくさんの人を積んでそこに入つて来ているので、これに着けさせるように命令を下すことができるということは、決して憲法に違反するものではない、こういう意見を承わりましたので、私ども素人といたしまして当然そうあるべきはずのものだ。この海面の使用では、漁業権の専用区がよく問題になりますが、あれとても、「縛り」と申しまして陸地のほうに杭を立てまして両方に綱を張つて縛り上げるわけでありますが、この漁業の専用区でも、作業をしている間は、これは専用区としての権原がありますけれども、作業をよしてしまいますと、その海を通ろうと、そこに船を着けるのは自由自在であります。それと同じようなものでありまして、海面使用者が使用する必要があつたときにこそなんでありますけれども、使用しておらないときには、公海であります海を、一般大衆、而も福祉に非常な寄与をするというふうな場合に、一体それが使えない、それは明治何年か大正何年かにどういうふうな条件で許可されているか知りませんけれども、如何なる許可を与えておりましようとも、そんなことは一体常識の上からいつてあるべきことじやない。而も大きな港で一日に何千、何万というような乗降客がある港に、その所有者の承諾がなくては一艘も船が着けられない、こんなことは常識から考えてもあるべきことではありませんので、この問題は法理論的な考え方と実際問題と睨み合せて考えまするならば、特にこの運輸委員会等の或る意味における行政指導と申しますか、そういうふうな立場からも考えて見なくちやならない問題だと思うのであります。特に又ちよつと今雑談で申上げましたけれども、自分のほうの利益になる船は許す、一たびそれが自分の競争航路になるというふうな場合にはこれを拒否するということは、恐らくこれは私はやつて見なければわかりませんけれども、公取に持つて行きますれば独占禁止に引つかかるんじやないかということもこの前申上げました。従いまして今私が申上げまするような事柄が、参議院の法制局では、荒天の場合以外は憲法に抵触するんだ、荒天の場合といえどもほかに着ける施設がない場合、所有者が著しくそのために迷惑を受けない場合、あらゆる場合を所有者側のほうに特権を与えて、ほんの一時のときにのみ着けられるといつたこと以外は憲法違反になるぎりぎりの線なんである、こういう回答なんでありますので、私の申上げましたように、施設が私有のものであるといえども、特にこの場合は一部防波堤を使用しておるのでありますけれども、桟橋が公共施設であります以上は、而もそれが一般大衆の福祉に寄与することが甚大である、而も海上輸送上非常に便益になる、而も相手方の所有者の桟橋の空いておるときに桟橋に船を着ける、勿論それには一定の料金を払うことはこれはもう当然であります。そういうふうな場合にそれをそういうふうにきめますることが、憲法に抵触するかどうかということをお知らせ願いたいということをこの前申上げておきました。もう一つは、前申上げましたように、自分の損の行く航路、或いは自分との並行航路といつたようなものに対しては、一切それを承諾を与えないということは、独禁法に抵触するんじやないかということも一つ御検討願いたい、こういうことを申上げておいたのでありまするが、先ず、前申しました私の言いました事柄が憲法違反になるか。又一方それが独禁法に引つかかりはしないかということについて、御検討して頂いておりまするならば、一応お答えを願いまして、その上で又私の意見を申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/2
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003・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 只今お話のありました港湾の桟橋の問題でございますが、具体的に申上げたほうが非常に話がはつきりすると思いますので、具体的に申上げたいと思います。今問題がありました港は大分県の別府港でございます。この別府港には御指摘になりましたように、非常に遊覧、観光のための観光客の乗降が多いのでございます。そこでここには防波堤と桟橋があるのでございますが、この防波堤の中では、一般の小型船、勿論小さい旅客船も着いておりますが、防波堤を両方から出しまして、そこに安全な小型船に対する水面を作つております。その防波堤の南側の防波堤の外側に一会社の桟橋ができているのでございまして、これは大正九年に当時の大分県の認可を受けまして、水面を占用する許可を受けまして、桟橋を、会社が全額を出しまして会社の所有物として爾来利用しておるのでございます。その利用状況を見ますと、毎日明け方の零時から五時半まではその桂橋は空いております。それから五時半から六時までに広島、別府線の旅客船が、奇数日には関西汽船、偶数日が瀬戸内汽船が繋留使用しております。この桟橋は関西汽船の棧橋ございますが、関西汽船でなく、瀬戸内汽船の旅客船も利用しておるわけでございます。それから六時から九時半までは宇和島—別府線の乙便、これは宇和島運輸でございまして、関西汽船ではなく宇和島運輸の汽船が利用しております。九時半から午後の零時半までは、この間は一般に空いておるので、ございまして、不定期的ないろいろな貨物船或いは臨時の船、その他作業用の船舶等が利用しておるのでございます。この十時から十二時半までも、会社の所有物ではございますが、一般の公共の用に供しているのでございます。更に午後の十三時から十五時半までは関西汽船の大阪—別府線が利用いたしております。それから十六時半から十七時までは宇和島運輸の宇和島—別府線が利用いたしております。これも旅客の輸送をしておる海運会社が利用いたしております。十七時半から二十一時までは関西汽船の大阪—別府線が利用いたしております。それから二十一時半から二十二時までは広島—別府線が利用いたしております。奇数日には関西汽船、偶数日は瀬戸内汽船が利用いたしております。二十二時半から二十三時までは宇和島—別府線、宇和島運輸の旅客船が利用いたしております。二十三時から二十四時までは空いているのでございまして、このように一会社の所有ではございますが、他の会社にも空いているときには利用さしておるのでございまして、その利用しておる会社では、関西汽船、宇和島運輸、瀬戸内汽船、いずれも旅客を輸送しておる船会社に利用さしておるのでございまして、会社の所有物である以上、会社と当事者の間の契約によりまして利用の状況がきまると思うのでございます。防波堤の土に上屋がございますが、これは一時使用を関西汽船が受けまして、必要な使用料は大分県が徴収いたしております。このように現在の桟橋は一般の旅客の発着で飽和の状態になつておりますので、いろいろ先ほどお話のありました非常災害の時とか、荒天の時には全く収容の余地が少いのでございまして、尤もこの荒天とか、或いは非常災害の時には別府港は余り安全ではないのでございまして、ここから数海早離れました大分港のほうに避難したほうが安全なんでございます。併しながら、こういつたように旅客船が輻湊いたしておりますので、この現在の別府港から一キロ半ほど北の境川の少し北側に一般公共用の繋留施設を築造中でございまして、本年度、即ち四月には大体ワン・バースが、水深五メートル、延長八メートルの岸壁が使用可能な状態にありますので、これを利用することによつて公衆の利便は増進されると思いますし、引続きその裏側に同じような構造の桟橋をワン・バース分だけ只今から明年度にかけまして構築中でありますので、これが完成すればこの飽和の状態は相当緩和される見込でございます。このように会社の私有物でございまして会社がその会社の営業のためにも使つておりますが、これは他の二、三の会社も同じような旅客の輸送のために使つておるのでございまして、目的は同じでございます。その旅客の乗降に使つて、空いておる場合には、この所有者でありますものは、あらかじめ話合いによつて他のどこの会社にでも使わすような用意をしておると言明いたしておりますし、又事実そのような利用方法をこのスケジユールではできておるのでございます。これがどの程度に憲法の違反になるとかいう問題は、具体的な個々のケースケースによらなければ簡単には結論は出し得ないと存ずるのでございますが、現状におきましては私有の桟橋であり、それを一般の公共の用にも供しておるのでございます。又空いておりましたときにも、一般があらかじめ契約によりまして利用しておるのでございまして、他に使用せしめないという事実につきましては、個々の例は私はまだ聞いておりませんが、実際に非常時等につきましては、そういつたような了解を得るひまがなければ、あらかじめそういつたような問題につきまして所有しておる会社と取極めをやつて行くことによつて解決ができるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/3
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004・仁田竹一
○仁田竹一君 どうもますます不可解千万だと思うんだが、それほど詳しく調べておるのならば、もう一歩進んで、関汽のほうの便利のいいところだけを知つておつて言わんのか、知らずに言つておるのだとすれば、もう少し詳しく調べておいてもらわんと甚だ迷惑すると思うんです。私は成るべくならばそういうふうな内容に入りたくなくて、原則的に一体桟橋というものに対して、局長としてはどういうふうな意見を持つておるか。仮に地方公共団体の持つておる桟橋、或いは個人の所有しておる桟橋を、こういうふうな場合にどうするのかということを聞いておるわけなんでありまして、何も個個のケースとかということは私は要らないことだと思います。局長の意見は一体どうなんですか。私有財産の場合は公共性を認めない、私有物であるならば、その個人が認めなければ船を着けられないかという法的な意見を聞いておるのでありまして、むしろ個々の問題について話をなさろうということは無理がある。折角お話になつたから一つ私は反駁いたしたいと思いますが、今防波堤との間に或いは港があるとおつしやいましたが、これは船溜りです。これは入る船は百五十トン以上の船は入らない。御承知ですか。百五十トン以上の船は入れておりますか。恐らく百五十トン以下でないと入りません。而も大分県は周防灘を控えております。大きな百五十トン以上の船というものは凪のときだけでありまして、別府へ入るときは三百トン以上は入りません。これは船溜りであります。まだ言葉を妙なふうに言い現わし方をして、知らない人が言えば港があるじやないかというように聞えますけれども、あれは百五十トン以上の船があの港へ入りますか。船の入る所は何ぼありましよう。三間、四間もないでしよう。而もそれは施設は相当ありますよ。而も瀬戸内海と違いまして周防灘です。その灘を押切つて来る船は三百トン以下の船では渡れるものではありません。ですから船溜りがありましても、この船溜りは旅客船としての使用は果せない。私はこれを一つ申上げておきます。それから桟橋べ着けるのは瀬戸内海と宇和島と関西汽船の船しか着いておらない。あなたは大分四国に重点を置かれたようでありますが、これはもう少し調べてもらいたい。御承知ですか。宇和島運輸は川崎汽船の子会社であります。利害の等しい会社であります。こういうことなんです。私のほうは毎日、関西汽船の船が一日おきに出るのですよ。汽船というものは一日おき、隔日というようなものは原則にないことなんです。それは私の船を一艘でも入れて毎日運航しようということを申請したところが、関西汽船の棧橋へ着ければ着けれるものを着けないということを言つて、シーズンのうち五ヶ月だけうちの棧橋へ着けさせようというようなことになつて妥協したのです。私のほうは一年中運航さしてくれということを海運局へ申請した、ところが着けさせない。そこで止むを得ず私ども涙を呑んで一年のうち五ヶ月間だけ運航するということにして、漸く棧橋へ着けるということに了解を得て、そういうことでここへ出て来ておる。無条件でも何でもありはしない。その二つでしよう、よその会社で船を着けておるのは。臨時といいますが、臨時といつても同じことで、関西汽船の了解を得ない船は着けさせない。結局関西汽船の損になる船を着けさせない。自分の会社のほうに関係がなくて、そうして棧橋使用料を取れるものは着けさせる。個々のケースとおつしやいますけれども、こういうことがあるのです。そんなことは私は言いたくありませんけれども、昨年だつたと思いますけれども、六百人ばかり人を積んで、あらかじめ関西に話をしてあつた、船を持つて行つた、棧橋が空いておる、船を着けさせるのが着けさせない。棧橋は目の前に見えている。あらかじめ勿論通知してある。それで止むを得ず大分へ船を廻してお客様を揚げた。ところが乗客は勿論腹を立てまして、関西汽船の船には乗らないと言つて腹を立てて、これは詳しく調べて資料も出せといえば出しますけれども、その理由は何かというと、今治から別府へ定期便があるにかかわらず、その団体の船を着けるのは不都合である、おれのほうの利害に関係があるので困る、こういうことで着けさせなかつた。これは御承知ですか。お調べになつておりますか。これは一例ですよ。結局船は着けられない。これは今あなたのおつしやるのに合いますか。それから臨時に、よその船も或いは了解かなければ着かんと言つておりますけれども、これは一つお調べ願いたい。利害関係のない船を、いつどこの船を臨時に着けておるか、お調べ願います。それから或る観光港が、勿論出来上りつつはありますが、何か水深五メートル、延長八メートルできておるという話でありますが、四月からお許しになるかということと、それから若し臨時的にお許しになつてもいいと思いますが、定期船も着けさせることができるようなお考えを持つておられるかどうか、私はこれも併せて一つお聞きしておきたい。それから前に遡りまして、私有財産の場合の桟橋にすきがある場合に、而もそれは着けることによつて海運上非常に一般大衆の福利を増進する、こういうふうな場合に、管理者が勧告しても、正当な理由なくして聞かない場合に、一定の条件、例えば乗客を降ろせとかというふうなことをして、これを命令することが憲法に違反するかどうか。あなたは個々のケースとおつしやいますけれども、個々のケースは必要ありません。個々の問題じやなくて、ここに一つ今から桟橋を作ろうという想定に基いて、それは憲法に基いて反するかどうか、もう一つお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/4
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005・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) お尋ねの点が三点あつたかと思うのですが、第一点は、別府の船溜りは非常に水深が浅くて小型船しか着かないことを承知かどうかということでございますが、これはここの水深ニメートル乃至三メートルでございまして、小別船だけしか繋留できないことは私よく承知いたしております。小型船ですが、機帆船のようなもの、或いは巡航船のようなものは、或いはこの海域を遊覧するボートのようなものはここに繋留、発着ができるのでございます。
次にこの桟橋の問題でございますが、この桟橋には二通りございます。公共用の桟橋と、会社占用の個人の所有にかかる桟橋がございます。公共用の桟橋ですといろいろ港湾管理者が管理いたしまして、そこに繋留、発着に対していろいろな指示をやつております。個人の会社の桟橋は、これは個人がその目的のために作つたのでございますので、利用する場合には会社間におきまして円満に話をおつけになりまして利用するように私どもは期待いたしておるのでございます。
次に観光港と申しますか、別府の北側に現在工事中の岸壁でございますが、現在水深五メートル半、延長百メートルの岸壁がすでにでき上つております。取付け道路も、自動車はまだ入りませんが、人が歩行する程度のものは十分この三月末でできましたので、臨時に船を着けることは現在でも可能でございますし、将来これは観光施設として旅客の輸送のために作つた桟橋でございますから、一般の公共用に供したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/5
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006・仁田竹一
○仁田竹一君 只今私有桟橋の場合は会社同士で話合いをして使用するようなことを期待しておるというようなことで、結構です。期待されることは結構ですが、実際はそれが期待できないような事情になつておるから問題が起きておる。これは話合いができれば問題はない。期待ができないから、着けたいが着けさせないから問題が起きている。だからその期待ができない場合に、ここに港湾局は何といいますか、行政指導といいますか、行政指導の面から如何ようにそれをお考えになるか。特にくどく言うようですが、あの乗客の多い別府で一本しか棧橋がないのです。ほかの桟橋があれば何をか言わんやですよ。一本しか桟橋がない。これは法的には多少のどういうことがあるか知りませんが、海運行政の上から言いまして、一日何千、何万という客が降りる所に、桟橋が一つしかない。片一方の船溜りには百トン、百五十トン以上の船は入れない。こんなことを私はただ法理論一本やりでみなされるというのが海運行政上どうかと思うのです。むしろこういうものは特例を設けて、あなた方自身でおやりになることじやないか。古いことですが、川崎汽船というような大手筋の船でさえも、あの船を着けさせないばつかりに到頭腹を立てて船を売つちやつたんですよ。それで川崎汽船はその棧橋へ着けさせんならほかへ単独におれのほうは船を桟橋に着けるからというので、大分県や別府市にいろいろ交渉したけれども、これは許されない。自分が着けようと言えば許可しない。それなのに棧橋は一本しかない。着けようとしても承知しない。こういうことが世の中にあり得ることですか。而も一日五人や十人じやありませんよ。何千、多いときは何万という乗降客のある港で、殆んど常識でも考えられないような事柄だと思うのです。こういうような場合に各会社について話合いができれば結構です。それができない場合に、海運行政といいますか、港湾をあずかる者の責任者にある人の指導はどういうふうにやつて行くお考えであるか。
憲法の問題については触れられませんから強いて触れませんけれども、私はそういうようなことは決して憲法には抵触しない、こういう固い信念を持つておりますから、若しそれが抵触するならするという御意見を承わりたい。
それからこの桟橋と観光桟橋とありますが、これは併し定期船でもやはりこういうふうな事情にあるのでありまするから、都合によれば定期船の場合もこれに発着することをお認めになる意思があるかどうか、こういうことをお尋ねしてみたいと思います。独禁法の分も言つてみても無駄と思いますから、言いますまい。
それから是非その二つだけ、期待をされることは結構でありますが、事実は期待が裏切られまして、そういうふうにならないという実情がたくさんありますること、その例は幾らもあります。そのために大手筋の船すらも別府へは船を着けさせない。腹を立てて自分の船を売つてしまつたという実例すらも大きいやつはありますが、そのほか瀬戸内海方面のあらゆる業者は別府へは船を持つて行けないという窮状にあることをお考えなさつての海運行政の立場からの御意見を承わりたい。棧橋を定期船が使用し得るかどうか、この二点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/6
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007・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 会社の所有に属しまする棧橋の利用状況につきましては、会社間の問題でございまして、この各港におきまする私有の棧橋なり繋留施設の問題につきまして、国が一々あれせよ、これせよというふうに命令を出すことは私はどうかと考えるのでございまして、個々の港におきましては、この管理、運営、施設の整備、計画等は港湾管理者がその責任を持つておりますので、港湾管理者の責任においてやるべきものと考えます。なおこのように非常に港が発展して来まして、狭隘になつて来るような、飽和状態が来るような場合は、公共施設を早く整備するのが私どもの日頃からの方針でございまして、そのために目下一キロ半ほど離れました所に観光施設として繋留施設を促進させておりますので、これを更に早く完成して利用できるようにしたいと思います。
第二のお尋ねの定期船の発着を許すかどうかという問題でございますが、定期船の発着ができるような段階になりましたならば、これも港湾管理者がその管理運営上の責任においてやるべきものでございまして、私個人の考えとしては、定期船の発着には最も都合のよい場所だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/7
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008・仁田竹一
○仁田竹一君 どうも納得が行きませんが、地方の管理者なり、港湾局がありますが、それがやつたらいいじやないかと言う。前は会社同士が話をせよ。会社同士の話もできない。管理者もそれをやらない。実情は困つておる。これは放つておけばいいのですか。地方に任しておいていいのですか。そういう実情が何年も続いておるわけです。会社同士が話ができ、管理者がそういうふうにやつておつて下さるならば、御意見の通り結構だと思いますが、実情は会社同士の話もつかなければ、管理者もそれをやらない、こういうような場合にも、その監督の立場にある港湾局としては、それは地方でやつたらいいじやないか、やらんのは地方が悪いのだ、こういうふうに言つておられるかどうか。それのために非常に一般大衆なり海運業者は困つておる、こういうような場合でも、やはり地方がやらんのは止むを得ない、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/8
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009・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 別府港に非常にそういう問題があることは前々から聞いておりまして、地元の県なり市のほうからも、早くそれらの施設の整備を急がれておりましたが、戦争中又は戦後におきましては、占領当時におきましては、いろいろな諸種の占領政策等もありまして解決の方法ができなかつたのでございます。解決の方法と申しますのは、新らしい公共施設を早く作ることだろうと思うのでございます。この点につきまして何年か交渉いたしました結果、講和条約のできる年から新らしいそういつたような公共的な埠頭施設に着手いたしまして、現在どうにか利用可能な状態になつて参りましたので、今後ともこういつたような場所におきましては、代るべき処置として公共施設を築造してやることがその解決の途だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/9
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010・仁田竹一
○仁田竹一君 あつちを突かれればこつちと、結局は観光港へ逃げたらしいのですけれども、観光港はまだ何年か先です。計画は五年くらいというふうになつていますが、実際は五年も七年もかかるだろうと思いますが、地方の港湾局、或いは管理者がされるべきものだと言いますが、まだ未完成のものを、港湾局も管理者も恐らくできんでしよう。国が完全なものにして向うべ引渡してその後に船を着けさすか着けないかという問題になつて来る。それでは五年先か七年先かわからない。そんなことを言つているのではない。今即時のことを話していると私は解釈しますが、その管理者のほうできめるべきものだとおつしやいますが、私ども素人考えでは、管理者は一応国の施設全部が完了して引渡しを済まして、然る後に管理者がそれをどういうふうにするかということは、これはお説の通りだと思います。併しそういう時代が来るのは恐らく五年以上も先のことだと思います。そのように私は考えますが、その点についての御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/10
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011・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 新らしい計画は、お説のように、国の財政の状態如何によりましては、五年もかかるかも知れませんし、又七年ぐらい、四・バースを作り、更に完全な防波堤を作ると七年でむずかしいかも知れませんが、一バースがすでに利用可能な状態にあり、これらの施設のでき上つたものは、小口から利用するように話しておりますので、利用できるようになりましたならば、管理者である大分県に一時使用せしめて、その目的を早く効果を上げるようにさしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/11
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012・仁田竹一
○仁田竹一君 そうですが。今の見込であれですか、いつ頃それを一部完成したものを管理者側に委託するかどうか知りませんが、定期船等が発着し得る見通しはいつになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/12
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013・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 今あります工事中の桟橋は、先ほどもちよつと申上げましたように、岸壁が水深五メートル五十、延長百メートルでございますので、只今瀬戸内に就航しておりまする船であれば、相当の観光船は二千トン級は繋留できるのてはな、かと考えますし、その基部に水深三メートルの物揚場が七十四メートルできております。これはすでに三月末で実質上のでき上りを見ておりまして、あとの埋立の道路も、まだ自動車で頻繁に往復するというところまで行つておりませんが、人が歩行する程度のことは可能なのでございまして、臨時にこれを使用することは現在可能ではないかと考えております。
それから次年度の計画でございますが、いろいろ財政の面もありますが、二十九年度におきましては、その裏側に同じく八メートル半の岸壁をおおむね四十二メートル、その基部の物揚場と埋立場が二十九年度中にはできることになり、三十年度には全体で八メートル半の岸壁が百五十メートルできますので、こうなれば相当大きな、一万トン以上の観光船がこれに繋留できる、一万トンが繋留できますのは、今の見込では三十年度の終りでございます。併しながら、その途中におきましても、今申しましたような、五メートル五十、岸壁延長百メートルと、荷揚場の七十四メートルがございますので、相当本年度から利用可能になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/13
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014・仁田竹一
○仁田竹一君 私は桟橋の可能だ、不可能だということを聞いておるのじやない。可能なことはわかつておるのですよ、船が着けられることは。ただそれを県なら県に管理なさしめて、一般の旅客船がそれへ着き得るようになるのは一体いつかということの見通しを聞いておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/14
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015・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 只今工事中でございまして、県から要請がありましたならば、この夏頃までに一時使用ができるかと思いますので、港湾管理者のほうとよく打合せしましてその時期等はきめて行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/15
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016・仁田竹一
○仁田竹一君 大体それでは夏頃には一部完成したものを県に委託ですか、何ですか、管理なさしめることができる、こういう見通しだと承わつておきますが、それで間違いないですか。若しあればお知らせ願つて、一応そういうふうに考えておきます。それでなお、元に戻しましてそれはまあそれとして、その間やはり別府へ船を着けることは非常に困難なわけなんでありますが、局長のおつしやつたのは、関汽以外の船は着けてないという話もありました。これもそれにはそれのよつて来た理由がある、結局関汽の利益になる船以外は着けない、着けさしておらないと、こういう結論になつて来たわけであります。で若し、それ以外の関汽のほうに損が行く、こういう船をしばしば着けておるという事例があるならばお知らせを願いたい。恐らくそれはありません。結論としてこの桟橋は、関汽の利害関係に害がある船は一切着けさしておらないという実情にあるわけなんでありますが、それでは一般人は非常に困るので、是非この場合、すいている間は、而もそれが海運輸送の上に、一般大衆の福祉増進に寄与することが甚大である、こういうふうなものは、私は憲法に抵触しないと思いますと同時に、それらの船はすいてる場合にはそれに着けさしても、これは別府の桟橋に特定するわけではありませんが、そういうものがほかにありましようとも、そういうふうな考え方をお持ちになることが、法的に抵触いたしませんのみならず、海運行政として当然、特に港湾の担当の局長としては考えなければならないものであるというふうに私も考えまするので、これについての御意見を承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/16
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017・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 施設がすいているときには、一般の公共の用に使わしてやれということを私自身といたしましても港湾管理者に伝えたいと考えております。従いまして、港湾管理者がこの会社に話をし、又会社が更に利用せんとする他の二、三の会社との話合いが円満に進めるように港湾管理者によく話をしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/17
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018・仁田竹一
○仁田竹一君 今よくわかりませんが、ほかの会社と話合うというような言葉がちよつとあつたようでありますが、そのほかの会社はどうあろうと、そんなことは関係ないと思います。結局その船を着けるそのすいておる個所と時間の関係がありますが、その時間とすいている場所へよその船を着けるということなんですから、何もほかの会社などは関係のないことなんで、その場合どうです。だから時間と場所がすいているとき、而もそれが海運上、一般大衆の福祉の増進に寄与することが甚大だ、こういうような場合にそれへ着けさせるということに一つ端的に御返事を承わりたい。ほかの会社は私は関係ないと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/18
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019・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 先ほど来申しておりますように、この別府の管理は大分県がやつておりまして、従いまして運輸省といたしましては、大分県に対しまして港湾施設の管理を、公共的に効果あるような管理運営をやつて行けということを伝えるのでございまして、そこで港湾管理者といたしましては、いろいろな施設がそこにあるので、その施設の一つは会社の所有になつておる施設でございますので、管理者がその会社に対してこういうなにがあるから利用せんとする者の間によく、これは私のなんですが、その会社同士で話を進めるように、港湾管理者がこれを導いて行くべきであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/19
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020・仁田竹一
○仁田竹一君 もう一度、それではいつまで言つてもどうもきりがないと思いますが、私どものほうでは、別府桟橋に限つたことではございませんが、一般の棧橋に対する考え方が、その桟橋に船を着けさすことが大衆の福祉になるのだというような場合には、法的にも又行政指導の上からもそういうふうにはつきりと私はすべきものだと思う。又そうしなくちやならないものだと私はどこまでも考えております。従いましてどういうふうになりますか、場合によればこの港湾法にそういうふうになり得るような修正もいたすことが適当であればさような考え方もしなくちやならんと思つております。勿論これは運輸委員の皆さまが御了承下さつた場合でございますが、まあそんなことの考え方も持つております。なお又そういうふうに非常にこの問題は長い間のいきさつがありましてもう率直に申しますと関西汽船というものは別府港における非常な一つの圧力を持つているために、市も県も関西汽船に恐れをなして、思うこともよう言わない、これも実情なんであります。このようなものを他の、而も監督の立場にある海運局等が逡巡することがあつちや、これはもう日本の海運行政は大変でございます。だからむしろ法に抵触せん限りは、十分な行政指導の下に、一般の業者なり成いは一般大衆が迷惑を来たさないようにお取扱を願いたいことを希望いたします。なお又そういうふうなことでありまするので、観光港の相当あれは長い継続事業になつておると思いますが、これは又船を着けるだけでありますので、陸上の施設は勿論できておりませず、勿論その間の輸送関係も、電車があるだけでございますので、これも不十分だと思います。ともかくあれだけの大きな港であれだけの乗降客の多い所でありますから、別府港へ船を着けることができないために大分港へ着けなくちやならんという実情から考えて見まするならば、まだ未完成といえども一つの突堤を使うことはまだまだお客様は便利なのでありますから、而もどつちですか、山の裏のほうから来るものは港のほうへ繋留すれば風も防げます。局長今おつしやつたように大分港のほうが何かその避難港にいいというお話がありましたけれども、これは以てのほかでありますので、大分港なんかには避難できません。別府港のほうが立派なのであります。ただ別府のほうに着けさせないから止むを得ず大分港のほうへ来る実情なんです。この点をよくお考え下さいまして観光港の完成を一日も速かに御努力願いますと同時に、多少でもそれが船が着き得るような状態になりましたならば、速かに県のほうへ管理なさしめるような方法を付けまして、多年の業者の悩み、一般大衆の迷惑を救つて頂くようにお願いを申上げます。それでは私の質問は以上で打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/20
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021・森田義衞
○森田義衞君 つなぎにちよつと聞きますが、この港湾法、今変改正之なりますが、法律が制定されてから約三年、毎年一回ずつ改正しているようですが、その間港湾管理者も順次設立されて来ておるといつた実情ですが、港湾管理者が設立されていない港湾もあるようですが、これがどれだけ何といいまするか、港湾行政上御不便をお感じになつておるか、その点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/21
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022・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 港湾管理者の設立状況は重要港は約六十あるのですが、そのうちできていないのは、今度の一部改正で問題になつておりまする関門、小倉、洞海湾、それから鳥取県の境等、その程度の港でございます。その他の地方港湾におきましては任意の設立になつておるのでございます。で、港湾管理者ができますとどういう利便があるかというお尋ねのようにお伺いするのでありますが、港湾管理者ができますとその港の港湾の管理に対する体制がはつきりするのでございまして、今までは湾港の管理というものは非常に漠然といたしておつたのでございますが、港湾の管理者ができますと水域内に対するいろいろな行政権或いは管理上の問題等につきまして管理者が全責任を負うのであつて、いろいろ港湾の発展のためにその事業を推進して行くことが非常に法に基いて楽になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/22
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023・森田義衞
○森田義衞君 楽になるなら当然同じような歩調でその特定重要港湾にしろ、この重要港湾にしろ、歩調を一つにしてこういつた管理者の設立を申請するのじやないか、これが時期的に違つておるのはどういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/23
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024・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 只今まで残されておるのは港務局関係だけでございます。港務局の関係は関係地方公共団体がいろいろ協議してできることになつておるのですが、その協議がなかなか地元の行政区域が違うとか、利害関係が輻湊しておつて話がきまらないために遅れておるのでございます。今回これによつて、港務局に対しましても県や市が管理者となつたと同等ないろいろな権利を持たして行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/24
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025・森田義衞
○森田義衞君 それでこの港湾法の一部改正で、何というのですか、今回こういうような改正があるのですが、港務局ができれば当然それらの権限を与えることを予想して、ほかの各県その他でやつておる管理者と同じような権限を与えるつもりがあつたのに、今これが気が付くというのはどういうわけですか。港務局の権限を今附加しなければならないということが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/25
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026・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) これは大体港湾法を作るときにもそのことは大体見当がついておつたのですけれども、自治庁なり関係庁との話でなかなか了解を得られなかつたのですが、今回了解を得られたものだけについて一部改正をお願いしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/26
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027・森田義衞
○森田義衞君 それからあなたのほうで書きました作文に、港湾行政の現況と課題といつた作文がありますが、その中で全面的改正はまだ時期尚早であるという結論に達した。それで一部改正として出された。一体全面改正ということをどういうふうにお考えになつておられるのか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/27
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028・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) この港湾行政は非常に複雑になつておりまして例えば横浜港等は、戦前において外国貿易につきましては国が管理いたして、内国貿易については市が管理いたしております。それから防波堤とか水面のようなものは知事が管理いたしております。それを取りあえず港湾法によつて一応特定重要港湾、重要港湾から、地方港湾に至るまで、一つの法律によつて各地方の自治機関に委せるような自治的な管理の形態をとつたのでございます。最近に至りまして、いろいろもう少し横浜、神戸のような、或いは関門のような、国みずからが相当関与できるような港湾管理の形態がいいのではないかという話も一、二出ておりますし、又別には同じ問題につきまして、市が管理して行つたほうがいいのだというような声も聞いております。私の考えといたしましては、この港湾法というものに対して、大きな重要港湾も小さい港湾も同じような法律に基くことが非常に不自然なんではないか、横浜港なら横浜港だけの港湾管理法なり港湾法というものを特別に作つたらいいのではないかということも考えられるのでございます。それらのような根本的の改正は、行政機構ともいろいろ関係がございまして、なお相当検討の余地があろうかと思います。今回は取りあえず主として港務局に関する問題だけの修正の仕儀をお願いしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/28
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029・森田義衞
○森田義衞君 この港湾法を見ますと、第二条で「「港湾管理者」とは、」といつたことで、先ず第一に、第二章の第一節の港務局といつたものを主体に考えている。むしろ地方の公共団体ははつきり言うと附録的になつてしまつている。むしろ港湾管理者の定義から、それの権限を書いて、そうしてそのうちの一つで港務局があればいいのを、まるでこのために作つた法律のよに見た感じはする。将来港務局というものをどういうふうにお考えになつておるか。これまでのところは僅かに新居浜だけだ、今後関門その他あるでしようけれども、例えば名古屋でも、これは愛知県と名古屋市とが一緒になつてやつて、別に港務局というものはこれまでのところは作つておらん。市なり県なりがやつておる。地方によつて実情は違うと思うのだが、特に大上段で港湾管理者を港務局といつて、これまでのところ僅かのものをやつてそのまま規定の改正を又やつておるといつた関係から見て、将来、今お話がありましたですけれども、一体港湾局の理想からいつたらどういう姿がいいのか、ちよつとお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/29
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030・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 港湾の管理者のあり方につきましては、今森田先生から御指摘があった通りなんでありまして、終戦直後いろいろ港湾の管理の問題で責任が非常に不明確であつたのでございまして、占領当時占領政策の一環として、駐留軍のいろいろ指示等もありまして、一応港湾管理の形態はアメリカや或いはイギリスの主要港におけるような港務局がいいのだ、港務局を主体とした法律にして県や市が管理者になることは地方の自治に委せればいいのじやないかというので、港湾法はいわば港務局を中心にした港湾管理の形態であつたので、この点は御指摘の通りでございます。併しながら実際に日本の国情におきまして、さて港湾管理者を作れという段階になりますと、いろいろ国民的な性格もあろうかと思うのですが、県や市が港湾管理者になる傾向が強くなりまして、港務局は、水面が経済的に同一単位でどうしても港務局を作らなければならんというような港湾だけにしかできなかつたというような現状でございます。これらのことも今後の根本改正のときには十分検討いたして行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/30
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031・森田義衞
○森田義衞君 それから港務局といつたような性格にしますと、まあ委員会といいますか、かたりよく聞えるのですが、こういつたことが実際上の各管理者、本当の管理者といいますか、元の管理者だつた地方公共団体との関係において、うまく実際上に権限関係の分配とか移譲とかがされて行つておるかどうか、それと前に一県でたり、或いはその他でやつているときよりもダブつたような費用が特にかかるようなことはないか、その点もちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/31
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032・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 欧米のポート・オーソリテイは非常に法人として強固なものでございまして、住民もおりますし、警察権も持つておるし、日本で言えば一つの大都市と同じような管理の力があるのでございますが、日本におきましては、港務局ではそういつたような住民関係或いはその他の一般地方公共団体と違う管理の形態になつて来ておるのですが、港湾の水域の中だけでの行政に関しましては、何ら市、県が管理者になつたときと変りがないのでございまして、この点は二重になるようなことも殆んどないのではないか。多少はいろいろ連絡なりの点であろうかと思うのですが、先ず水域内における港湾行政は、港務局を通じて、市なり県なりが管理者となつた場合と同じような存在で進み得る、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/32
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033・森田義衞
○森田義衞君 それから港湾管理者が設立されれば、当然国有の港湾施設あたりも責任体制からいつても、これは管理者に管理を委託するなり或いは譲渡なり、貸付けるといつたようなことは当然並行して考えられる。これが今日まで余り進んでおらん。一体これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/33
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034・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) この問題につきましては、御指摘がありましたように、港湾管理者ができますと、これを管理者に譲渡なり管理委参託、貸付をすることになつておるのでございますが、それらの施設が国有財産であり、大蔵省との関係が相当いろいろ従来のいきさつもございまして、誠に複雑になつておりまして、実は今度の一部改正でも、それらの国有財産の関係をはつきりいたしたかつたのでございますが、大蔵省との話合いにおきまして、これは別途に両者の間に話をきめてできるだけ早く実現しようではないかということで、只今大蔵省管財局の方面とそれを促進すべく、殆んど毎週会議を持つておるのでございますが、まあいずれもう近くこれは両者の話が了解になる予定でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/34
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035・森田義衞
○森田義衞君 それからちよつと問題は違いますが、かなり日本の港湾施設が不備な面が多いのですが、いろいろと整備法だ何だかんだとやつておられますが、特に重要指定港湾といいますか、こういつた所で相当日米行政協定ですか、或いは国連軍協定によつて接収凍結されるといつたような所がまだ何といいますか、細目がきまつていないということで、その後も港を見ておりますと、かなりいい場所で、むしろ米軍はほかでやつてもよくて、国際貿易上使わしてもらつたらいいだろうというふうな場所が残つておるように思いますが、それらの折衝につきましては、その後順調に行つておるかどうかお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/35
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036・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 横浜、神戸、関門等における占領当時におきまする接収区域は相当ございまして、殆んどその港の大半、一番効果を発揮し得る所が接収区域なのでございますが、講和条約発効直後、先方との間に施設返還につきまして会議を持ちまして、その会議で約一年半に亙つて具体的な、どこをいつまでに返すという問題について協議を進めておるのでございます。その際に横浜、神戸等におきましては、代るべき港湾機能を発揮するような場所を早く返してもらいたいという、駐留軍においては必ずしも港湾機能からいつて奥に入つてもいいような所を接収しているようなところがございますので、そのことを指摘いたしまして、できるだけ早く奥地に代りの施設を作つて、そこを解放してもらうというふうな話がついておるのでございますが、奥地のいろいろな引越しすべき建設が遅れておりますために、まだ特に横浜、神戸等におきまして、返るべき施設がまだ返つておらないような現状であります。東京港においてもその通りでございますが、東京港は近く、この夏頃までに返つて来る、当初の話では代りの施設が去年の夏か秋頃までにできるのだから、それまでには返つて来るという希望であつたのでありますが、いろいろな関係で奥地の建設が遅れているために、それまでの間は一般の行政協定による提供施設でなしに、岡崎・ラスク書簡に基いて占領当時と同様な方法で、引続き暫定的な使用をするというような取極めによつて先方が使用しておるのでございまして、実際問題として各港と、長い間提供する施設はそうたくさんはないのでありまして、例えば横浜港においてはノース・ピアの七バースだけを提供することになつております。七バースというと大体二割五分程度、横浜港の能力の二割五分程度、神戸港におきましては、第六突堤だけを提供するということになつておりますので、これは大体神戸港の一割五分程度の施設に該当するのですが、門司港におきましても、大体その程度を駐留軍の長期使用に供するのでございまして、その他の施設につきましては、一時先方と共同使用するような場所はございますけれども、おおむね日本側の管理に入りまして、日本側の自主的な管理運営ができるような態勢になつておりますが、その時期につきましては、だんだんと返つております。例えば横浜港におきましては、サウス・ピアが帰りましたし、山内のピアも返還されまして、残るのはセンター・ピアだけでございますが、これが奥地に建物施設ができましたならば、相当数の利用ができるようになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/36
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037・森田義衞
○森田義衞君 今の、一応岡崎さんとの取引で以て、アメリカに貸しているといつた場所の総面積といいますか、そうして港湾局としては返してもらいたいというのはそのうちの何割くらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/37
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038・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 問題は主として横浜にあるのですが、ほかの場所は殆んど問題とするような施設はない。絶対にないじやありませんが、実質的な重要な影響を考えることがないのですが、横浜港はセンター・ピアだけでありまして、センター・ピアにおきましては十バースございますので、全体の三分の一程度はまだ残つておる、その程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/38
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039・森田義衞
○森田義衞君 それから先ほど別府港の私有施設が問題になつたようですが、相当の重要港で、曾つて私設の業者がそのまま建設して過渡期の港の発展形態として止むを得ないというところがあると思いますが、こういつた施設はその後扱つておる旅客なり或いは貨物の面から見ても、公共施設として利用したほうがいいといつたような場所もあるのではないか。そういつた場所は国で以て直接、或いは地方公共団体で買収するとかして、もつと利用効率を上げるようなふうに国の施策を持つて行く御意向があるかどうかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/39
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040・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 全国的に見まして、私営のいろいろな港湾内に施設を持つている所もあるのでございますが、これらにつきまして、今公共的に非常に使いたいというような所は、私の現在知る範囲では殆んどございません。ほかの関連で生ずるのは駐留軍の関係で、あそこを民間が持つているのだが、これを駐留軍が使いたいから提供しろという要求がありますが、その要求に対しましても、私どもはこれは駐留軍と民間の会社の間のコントラクトでやつてもらいたい。国としてこれを提供することは、個人の財産の問題になるので工合が悪いのだということを申しておりますので、全国的に見まして、殆んど会社の持つておりまする施設で公共用に使いたいというような所は、今のところでは問題になつているのは、先ほど問題になつた港だけでございましてほかには今のところございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/40
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041・森田義衞
○森田義衞君 例えば新潟港に一部私有施設があるといつた問題で、格別新潟港の扱い料金が高いとは申上げているわけではないのだが、こういつた施設を修理したり何かすれば、当然維持運営の費用が要る。そういつたものが使用料だけでうまく済んで行けば資金も要らないし、又その方面から若しうまく行けば経費の節減になつて、そうして現在の荷役料金その他も安くなるのじやないかというような考えもとれないわけではないが、こういつたところについてどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/41
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042・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 新潟港におきましては、昔から信濃川の右岸の入口に新潟臨港の持つております私有の埠覇設備と私有の水面が、これは個人の財産としてあるのですが、港湾を管理して行きます上から、この水面だけは一体として管何する必要があるということで、水面だけは港湾管理者の管理する区域に先年編入いたしまして管理者が設立されたような次第でございますが、会社の個人の施設につきましては、公共的にこれを扱う場合よりも、むしろ油会社とか、或いは特定の倉庫会社或いは石炭会社が使つている場合が多いのでございまして、一般の新潟港のようなところでは旅客船なり、定期船を着けるような施設は今のところ余り必要としておらないのでございます。戦争中はいろいろ計画がございまして満洲或いは朝鮮との旅客の定期便を発着するような計画を以てそういうことを他の地域に考えたことはあるのでございますが、現在におきましては公共的にこれを使うということはそう切実な問題とはなつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/42
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043・森田義衞
○森田義衞君 私の公共という意味は、別に何といいますか、旅寄船が一般旅客というふうに限定しないで、あすこに入つている新潟臨港か入つているものを、一応輸入貨物もあれは何でも入つているといつたつて、成るほど水面はそうなりましたですが、岸壁あたりは国が保有するなり、県が保有し、修理してやつたほうが、何というか、岸壁使用料その他の関係からいつて幾らか経費の低減になるのじやないか、私はこう実は考えたわけなんだが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/43
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044・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 港湾施設をこれを引受けますと、むしろ出費のほうが多いのでございまして、利益があるのは岸壁に沿つたあとの土地について利益があるのでございまして、然らば公共埠頭の岸壁なり上屋、倉庫、土地の最小限度のものを会社から県が、港湾管理者が買取るとなると大変な財政負担になりまして、到底実際問題としてそういうようなことは現状においては考えられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/44
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045・森田義衞
○森田義衞君 確かに財政負担になるのですが、主として重要港湾ですと、そういつたものは少くとも包括して国の施設とか或いは公共の、何といいますか、地方公共団体の施設にしたほうが僕はよかろうではないかというふうな観念論から申上げておるので、そうしたほうが財政負担はあるかも知れんが、利用者側にも便益になつて行くということで助成してもらいたいという意味合いなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/45
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046・木島虎藏
○木島虎藏君 この法律の港務局というものの権限の中には、先ほど別府港の話で問題になりましたが、港湾の埠頭或いはその他今度入るという移動施設ですね、クレーンとか移動クレーンとか、そういうようなものを一体にして能率的に運用するような権限か付与されるのですか。もうちよつと詳しく言うと、その中には公共の施政もあるし、先ほどの話の私有の施設もあるし、私有の施設で空いておつて、当然第三者から見て使わしてもいいというものを所有権に根拠を置いて頑張る。それをそう言わないで、話のつかんときに、或る程度この船は入れたらいいじやないかというような調整権を付与しているのですか、付与してないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/46
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047・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 国はそういう権限は持つておらないのでございまして、港湾管理者が管理経営上適当とする措置をやることになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/47
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048・木島虎藏
○木島虎藏君 ちよつとお答えが外れたと思いますが、この法律にある港勝局というのですね。港湾管理者、これがそういうときに仲裁に出て、私有の施設でも或いはクレーンでも埠頭でもいいが、当然これは運用さしたほうが全体としていいと思うときに、或る程度強制力を以て調整をする権能が付与してあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/48
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049・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) 管理者の持つておる施設に対しては、管理者がいろいろと責任を持つことができるのですが、他人の財産につきましては、それはできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/49
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050・木島虎藏
○木島虎藏君 今の港湾の施政の最も有効な使用の観点からいつて、それから先ほどお話がありまして、私有の施設があつても公共の施設を作るのがいいんだという話は、まあその通りでありますが、実際問題として財政負担とか何とかいうような点から急速に行かんと思うのです。その急速に行かん間に、そういう場合には私有のものといえども、従来のあの土地収用法に似たような観念で、公共の福祉に立脚して或る程度、収用とまでは行かんでも、所有権を制限するような考え方というものはできないものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/50
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051・黒田靜夫
○政府委員(黒田靜夫君) そういう場合には、港省管理者が土地の所有者なり或いは施設を持つておる者といろいろ協議をいたしまして、そこで話が、恐らく公共の利便になるようなことだと、個人の持つておる場合でも話が円満につくのが今までの例でございますが、協議によつて、港湾管理者が一方的にはできないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/51
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052・仁田竹一
○仁田竹一君 今の木島先生の話に関連するのでありますが、そこが私は非常に見解の相違なんでありまして、個人の所有物といえども、公共性を持つておりまする棧橋でありまする以上は、而もそれが空いておる時間と場所がありまする場合は、管理者或いは港湾局の長がそれに着けさしてやれということを勧告をすると、そういうことができると、若し勧告したにもかかわりませず、正当の理由なくしてそれを拒否する、そういうような場合には、一定の条件を附してそこを使用さすことを命令することができるということは、決して憲法には抵触しないというのが私の持論なんでございます。それに対しまして参議院の法制局のほうでは、そういうようなことはむずかしいと、こういう意見なんであります。それで局長の意見を聞きますけれども、はつきりした答弁もないようでありますが、実はそれは決して、そのもの自身が公共性のあるものであつて、而もその公共性の目的のために、自分との利害関係はないことであつて、而もそれが一般大衆に利便があるものはその使用を勧告して、正当の理由なくしてそれを拒否するというふうな場合には、一定の条件を附しての使用命令というものも憲法違反にはならないと、こう私は思うので、それが正当にはできないというのは、結局そういうふうな法律がないからということだろうと思うのでずが、そこで今度折角港湾法の一部改正が出ましたから、その法案の中でそういうこともでき得るように修正をすることは適当ではなかろうかと、私考えておるわけでございます。そこで局長の御説明はどうしてもわからんのでずけども、私有物に対してはそれはできない。一体それじや私有物である限りは、公共性は全然ない。公共物とは認めないと、こういう結論に私はなると思うのですが、それは私有物なんだから、そういうことはできない。社会福祉のためにもなり、一般大衆の利便になるものといえども、私有物であるという場合には、そういうことは勧告もできない、命令もできないということになりまするならば、個人の所有でありまする限りは、それが如何に公共性のあるものといえども、それはやれない。ほかの例をとつて言いますと、汽車の場合でも或いは宿屋の場合でも、正当な理由がなければ、これはおれの家だからお前は泊めない。お前はこの汽車に乗せない。汽車とは状況がちよつと違うかも知れませんけれども、そういうことはざらにあるものではない。結局公衆の利益になる。一定の料金を払えば誰でも泊めなければならん。旅館や宿屋が、泊めないんだ、こんなことが一体できるかどうか。正当の理由があれば別です。特に海運というようなものは何百という人の生命を預つておる。而も港に一カ所しかその桟橋がない。私たちの常識から考えて、そんなことは世の中にあり得ることではない。極論しますと、個人財産である限りは、如何にそれが公共性のあるものといえども、監督官庁も政府も勧告できない、或いは命令もできない、如何なる条件があろうとも。こういうことになつて来るのでは、公共性というものと非公共性というものとは一体どこに違いがあるか。私は違いがわからない。私有物である限りは、如何に公共性を持つておるものといえども、一方的にはどうすることもできない。話合いをするということは、話合いができれば非常にいい。あなたの御承知のように、長い間の別府の棧橋についてはいろいろな問題があります。実際に今までの何十年という経過があるが、そういうことができておらない。そういう実情がある。やれるものなら今までにもやつておりますよ。これはこの前川崎汽船なんかも悲憤慷慨してぶつかつたもんです。結局県が承知しないために到頭別府に寄港することを断念して、前の東京湾汽船に売つてしまつた。そういうようなことすらあつたほどなんでして、会社同士が話合いが円満にできるなら何をか言わんや。そうして、できないことすでに数十年、こういう事実がある。今更会社同士話合いをしろとか、両方で以て話合いをしたらいいじやないかということは、私は法の意思はどうか知らんけれども、港湾の行政を掌る責任者の言葉とは思われない。事実はわかつておるのだから、それは違うとおつしやるならその違う話を承ればいい。それで関西汽船の瀬戸内海の航路図を見て御覧なさい。自分の会社の航路が引いてあります。赤い線を御覧なさい。同系統、同じ資本ですよ。関西汽船の航路図を見て御覧なさい。宇和島汽船にはちやんと自分の航路と同じように赤線を引いてある。そういうふうに余りにこれははつきり、これは議論の余地がない。話合いのできる問題じやない。だから話合いができん場合には、それは止むを得ないといつて放つておきなさるかというのです。どうしても放つておきなさるというなら、私どもとしてはこれは法律の修正をしなければならんじやないか。あなたがおやりにならんとなれば、それより仕方がないじやないか、こういうことになるのですが、どうも私はその点が未だに納得が行かんのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/52
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053・安井正巳
○説明員(安井正巳君) 私管理課長でありますが、話が非常に法律的な細かいような問題になつて参りましたので私から局長に代つてお答えいたします。
御存じのように、日本の港湾というものは、港湾法ができます前に、港の区域である水域だけを国の出先機関として知事がまあ管理しておつたわけであります。その水面に面するいろいろの繋留施設とか防波堤とかいつたようなものは、それぞれその必要を感じた者がこれを建設して、従つて所有権もその人のものであり、その所打者がそれを管理しておると、従つて戦前においては、国が必要を感じた場合には国有の施設がある、地方公共団体が地方住民の公共の利益の増進のため必要としておるようなものは地方公共団体が作る、民間企業が自分の専用的な荷物を運ぶために、そこに船を着けるために必要とする、そういう者が作つておる、こういうふうに水域はこういう水面だけ知事なんかが国の機関として管理しておりましたが、元の施設はまちまちであつたわけであります。で、港湾法ができまして一応国と公共団体が持つておる、そういう施設は一応これを港湾管理者に譲渡なり管理の委託、或いは貸付をして一元化するという線が引かれたのでありますが、港湾法のたしか四条と思いますが、これを御覧になつてもわかりますように、一応現行法というものは、飽くまでも私有財産は成るべくこれを尊重するという建前でできておりまして、民有の水域施設なり、民有の外郭施設のあるような港については、その意味から湾港管理者の設立を認められない限りは、公共団体は港湾管理者を設立することができないという意味の規定もあるような次第であります。従つて現行法は飽くまでも国及び公共団体のものを中心にして港湾の管理運営というものを考えておるのでありまして、民間のものについては、これを除外しておるわけであります。で、先ほど御質問ありました公共物という観念につきましても、一応公共物というものは国又は地方公共団体が、いわゆる行政主体がこれを所有なり或いはそれを使用する一定の権限、権利というものを持つておつた。これを一般公衆の直接利用に供しておる場合に、これを公共物と我々は呼んでおるわけでありまして、従つて民間のものが自分の船客を運ぶ船を着けるために作つたような施設は、一応我々は公共物とは観念しておらないわけであります。従つて現行法の下においても、国は御承知のごとく港湾管理者といえども、そういうものに対して、直接具体的な指示権は与えられていないわけでありまして、そういう民間が自分の船客なり、自分の荷物なりを積んでおる船を着けるために作つた繋留施設というものは、民間人がその意思によつてこれを管理運営しておるわけであります。従いましてそういうふうなものに余裕のある場合、これを他のものに使わさないのは不合理ではないかという御質問は誠にその通りでありまして、大きな見地から考えますと全くその通りでありますが、国としては今のところそこまで強制或いは干渉するような権限が与えられてないのでありまして、将来の立法論としましても、我々としてはそういうふうな私有財産に対して制限を加えるよりは、それだけの必要が痛感されておるならば、むしろそういうものとは別に、誰でもこれを利用できるところの公共施設というものの建設を促進すべきではないかというような考え方で、現在まで港湾行政をやつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/53
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054・仁田竹一
○仁田竹一君 我々はまあ法律家でないから何だか、例えば袋小路に一軒の家があつて、それが公道に出るのに一本の通路しかない。而もそれは私有物とこういつた場合には、私有物としてその道路は公道と見るというのはこれは民法上のものだ。私はそういうふうな精神から言いましても、一本しかない。ほかの船を帯ける場所がない。これは私は専門家から言えば、そういう理窟が立つかも知れないけれども、実際問題として、海運行政の面から見てそういうふうな冷淡というか、冷淡というのは言葉は当つておらないけれども、私は甚だいかんと思うんだけれども、一体それはどうするのですか。別府には船を着けられんということになる、極端に言うと。殊にああいうふうにはしけというものは、悪天候では岸壁に着けろ場所はない。そういうのは理論的にはそういうことになるのかは私は知らんけれども、実際問題として、実に私はおかしいことだと思うんです。今妙な民法上の例を引きましたけれども、それについても同じことでございますので、それしかない場合は、それが私有物であろうと何であろうと、少くとも今あなたのおつしやつたような説明に加えるに、監督官としてはできなくても、できさすように持つて行かなくては本当の行政官としての指導のよろしきを得ないということだけは、私はおわかりだろうと思う。そういうことはあなた方に権限がないようだから、これはどういうふうに修正するかどうか、そこの問題ですけれども、私どもは甚だどうも局長なり課長のおつしやることはね、実情に即しておらない、まあ議論ですか、何と言いますか、いわゆる机上の理論といいますか、実際の事柄をよくお考え下さるならですね、そんなことを私は言つておれる筋のものではないと、これは私議論になりますから私はやめますけれどもその点も一つよくお考え下すつて、この問題に限りませず、一般の実情に即した海運指導の行政を行なつて行くということをお考え願わんと、どうも今のような話ばかり聞いておつたんでは、私ども野人としては納得は行きません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/54
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055・前田穰
○委員長(前田穰君) 他に御発言ありませんか。他に御発言なければ、本日はこの程度で散会したいと思いますが、如何ですか。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913830X02319540412/55
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