1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十八日(火曜日)
午前十一時二十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 佐藤 尚武君
理事
團 伊能君
曾祢 益君
委員
杉原 荒太君
梶原 茂嘉君
高良 とみ君
中田 吉雄君
鶴見 祐輔君
政府委員
外務政務次官 小滝 彬君
事務局側
常任委員会専門
員 神田襄太郎君
説明員
外務省経済局次
長 永井三樹三君
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
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本日の会議に付した事件
○外務省関係法律の整理に関する法律
案(内閣送付)
○日本国に対する合衆国艦艇の貸与に
関する協定の批准について承認を求
めるの件(内閣送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
の回避及び脱税の防止のための日本
国とアメリカ合衆国との間の条約の
批准について承認を求めるの件(内
閣送付)
○遺産、相続及び贈与に対する租税に
関する二重課税の回避及び脱税の防
止のための日本国とアメリカ合衆国
との間の条約の批准について承認を
求めるの件(内閣送付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/0
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001・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) 只今から外務委員会を開会いたします。
外務省関係法律の整理に関する法律案、予備審査、日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件、予備審査を議題に供します。先ず両案件について政府より提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/1
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002・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 外務省関係法律の整理に関する法律案の提案理由について説明いたします。
政府におきましては、既存法令のうち整理を要するものは、この際速かに整理をする方針をとつておりますが、外務省関係法令につきましては、「清国及朝鮮国在留帝国臣民取締法」(明治二十九年法律第八十号)及び「居留民団法」(明治三十八年法律第四十一号)の二つの法律を廃止する要があると認められるのであります。その理由といたしましては、これらの法律は、我が国と清国及び朝鮮国との間のいわゆる不平等条約に基く我が国の特権を前提としていたのでありますが、これらの不平等条約はすでに一切無効となつているため、前記の二法律は死文化しておりますので、この際廃止の措置を講じようとするのであります。
右のような次第でありますから、何とぞ速かに御審議の上御採択あらんことをお願いいたします。
次一に日本国に対する合衆国艦艇貸与に関する協定の批准について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
政府は、本年三月、米国政府との間に相互防衛援助協定を締結いたしまして我が国の防衛力の増強のために必要な援助の授受について取極を行つた次第でありますが、この協定の締結交渉と併行して、政府はかねてから昭和二十九年度防衛力増強計画に基き、米国政府に対し駆逐艦以下十七隻の供与を要請いたしておりましたところ、最近米国政府は、先ず駆逐艦二隻護衛駆逐艦二隻合計四隻の貸与を決定するに至りました。よつてこれらの艦艇の貸与に関する協定の締結方について在日米国大使館を通じ交渉の結果、両国政府間に意見の一致を見るに至りましたので、五月十四日外務大臣とアリソン駐日大使との間で、「日本国に対する合衆国艦艇の貸与に関する協定」に署名を行なつた次第であります。
この協定は、日米間の相互防御援助協定と密接な関連を有する協定でありまして、この協定に基いて貸与される艦艇は、相互防衛援助協定の規定に従つて我が国がこれを占有し、使用することになつております。協定の内容は簡単でありまして、一昨年末日米両国間に締結いたしました船舶貸借協定の内容とほぼ同様であります。
なお我が国が供与を要請いたしました艦艇中今般貸与決定を見ました四隻以外のものについては、今後の交渉により貸与が決定次第順次附属書にのせられることになります。
この協定の成立によつて、我が国の海上防衛力の増強のために必要な艦艇の貸与を受ける途が開かれ、さきに締結された相互防衛援助協定に基いて、供与される他の装備と相まつて、均衡のとれた我が自衛力の建設に資するとと相成るわけであります。
よつてここにこの協定の批准について御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上本件につき、速やかに御承認あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/2
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003・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) 本案件に関する質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/3
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004・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) それでは御異議ないものと認めまして質疑は次回に譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/4
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005・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、予備審査、遺産、相続及び贈与に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とアメリカ合衆国との間の条約の批准について承認を求めるの件、予備審査以上二件を一括して議題に供します。先ず本件の内容について政府の説明を求めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/5
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006・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 二件の条約の内容につきまして概略を御説明いたしたいと思います。
先ず本二件につきましては租税の二重課税の回避ということを要件としておるわけでございますが、二重課税という問題がどういう場合に生じて来るかということを申上げてみますと、御承知のように、所得税その他につきましては制限納税義務者及び無制限納税義務者ということを申しておるわけでございますが、例えば日本内地に住所を有しておる者につきましては、その者の有する所得につきまして、その所得がアメリカで発生しようが、日本内地で発生しようが、そのすべてを総合いたしまして日本の所得税を課税するということに相成つておるわけであります。又他面におきましていわゆる制限納税義務者と申しまして日本内地に住所を持たない者につきましても、その所得が日本の内地から発生するという場合におきましては、その日本内地から発生をする所得につきまして租税の課税をするというように相成つておるわけでございます。従いましてこのような関係上日本とアメリカとの関係におきまして両方の租税を負担する、そこに二重課税という問題が起つて来るわけであります。例えば日本に住所を持つておりまする者はアメリカから発生するところの所得に対しまして日本の租税がかかると同時に、又アメリカから発生するところの所得につきましてはアメリカにおいても課税を受ける。こういうことになりまして二重の課税に相成りまするので、この点は納税者の側から申しますと非常に酷な負担に相成るわけであります。従いましてかような場合におきましてその二重課税を回避する方法を本協定によつて達成しようとしておるわけでありまして、その趣旨は所得税について申し上げますと、所得税関係の条約の第十四条でございますが、その第十四条に「二重課税は、次の方法によつて回避するものとする。」、こう書きまして、そこに(a)(b)と合衆国の場合、日本国の場合をそれぞれ規定しているわけであります。これは先ず一応無制限納税義務者であるという場合におきましては、それぞれの国内法の命ずるところによつて保税をする。そうしてそれが他の相手国の制限納税義務者となつて課税を受ける部分がありましたら、その分につきましてはその額を控除してやるというような規定を設けているわけでありまして、こういう趣旨で先ず二重課税を回避しようとしているわけであります。
次に制限納税義務者といたしまして、それぞれの国に源泉がある所得につきましてはその源泉地の国において課税をする、こういう趣旨を貫いているわけでありますが、そのような場合において各種の所得についてどのような取扱をするかということが生じて来るわけであります。例えば事業所得だとか利子所得だとかその他の所得の種類に応じまして個々的な取扱を定める必要がある。こういう意味におきましてその前の各条におきましてそれぞれの所得に対しまする取扱をきめているわけであります。例えば第三条におきまして事業所得につきましてその規定をおいているわけでございまして、事業所得につきましては恒久的施設があるという場合におきまして課税をする。アメリカに本店がある企業が日本に支店を持つている、この支店は恒久的施設だとかように観念しているわけでありますが、そのような場合におきましては日本においてその恒久的施設に関して課税をする。又恒久的施設があれば日本から発生するところのすべての所得について課税をする。恒久的施設がない場合におきましては事業所得につきましては課税をしない、かような規定を設けているわけであります。恒久的施設とは何であるか。これは細かい議論になるわけでありますが、一応第二条にその定義といたしまして「事務所、工場、作業場、支店、倉庫その他事業を行う一定の場所をいう。」というふうに細かい規定をおいているわけでありますが、そのように観念しているわけであります。
又第五条でございますが、これは船舶いわゆる海運業の所得につきましては従来から相互免除の様式によりまして協定を結んでいるわけでありますが、今回も又そのような意味におきまして相互免除主義の規定を設けているわけであります。又第六条、第七条につきましては利子所得或いはロイヤルテイから生じまするところの使用料、こういうような所得につきましては相互に最高税率を一五%ときめまして、一五%以上の課税はしないというように規定しているわけであります。
それから第八条は不動産所得でございますが、これにつきましては収入金を基礎といたしまして源泉課税の方法をとるということが行われているわけでございますが、そのような場合におきましては純収益を基礎として課税することもできる。こういうような選択の権能を認めております。日本の所得税法ではこれは総合課税することになつておりまするので、この規定のために特に変更を生ずるという問題はないわけでございます。
それから給与所得、労働又は人的役務に対して報酬を取得するというようないわゆる給与所得関係につきまして特別の規定が設けられておりまして、給与所得につきましてはその滞在期間が当該課税年度を通じて百八十日をこえず、その一方の締約国の居住者又は法人その他の団体の役員又は被用者として労働を提供した、つまりアメリカの法人の役員又は従業員が日本にやつて来まして、そうしてアメリカの従業員として労働をして、その結果そのアメリカの法人から報酬を受けたと、こういうような場合でございます。こういう場合におきましては百八十日をこえない場合におきましては課税をしない。それからそういう関係がなくして日本に来て労働の対価として報酬を受けた、こういう場合には滞在期間が九十日をこえず又三千ドルを超えない、こういう場合におきましては課税をしないということにいたしまして、いわば小額の給与所得につきましては特に制限納税義務者としての課税をやめまして簡略化しようとしておるわけであります。又相互に政府から給与をもらうという場合につきましては、十条でやはり免除の規定を設けておるわけであります。
それから十一条で、交換教授というような関係で、二カ年の期間以内で相互に行つて役務の対価として給与をもらうというような場合におきましても、制限納税義務者としての課税をしない。それから学生或いはその他の事業の研修生といたしまして一定の送金を受けるというような場合におきましても課税をしないというような規定を設けておるわけであります。
それから、以上のようなその国に所得の源泉がある、こういうものにつきまして制限納税義務者としての課税が行われるわけでありますが、源泉があるということはどういうことであるかという問題が起るわけであります。そこで十三条におきまして、その源泉地というのはこういうものであるということをそれぞれの所得につきまして規定しておるわけでありまして、例えば一方の締約国の法人が支払う配当、こういうものはやはりその国に源泉があるものである。それから動産の売買が行われた場合においては、その行われたところに源泉があるものである。或いは不動産から生ずる所得は、その不動産の所在地に源泉があるもので、ある。それから報酬につきましてはその労働又は人的役務が行われた国に源泉があるものである。それから特許権、著作権、こういうようなものの使用料につきましては、その使用又は使用の行われる所に源泉があるというように規定しておるわけでありまして、十三条でこのような源泉の定義を下しておるわけでございます。
大体租税の内容といたしましては以上の、ようなことが人質的な内容をなしておるわけでありますが、なお手続的な問題といたしまして、十七条以降におきしまして、例えば情報交換をやるとか或いは納税者のほうから一定の二重課税回避のための申立があつた場合においては、これをどのように取運ぶとか、或いは従来からの外交官の特権とか、或いは今まで行われておりまするところの現在法令との関係というような規定、或いは二十条におきまして批准の問題というような手続的な規定を設けまして、所得税に関しまして二十条の条項を設けておるわけであります。
なお相続税の関係におきましても大体趣旨は今申上げましたような趣旨に基いておるわけでありまして、例えば第二条におきまして財産の所在地というものがどういうようになるか、相続税につきましては御承知のように財産がどこにあるかということによりまして課税関係がきまるわけでございますので、そういう意味におきまして所在地がどこにあるかということを、例えば債権につきましてはその債務者の所在地が即ち債権の所在地であるというような各種の財産につきましての所在地の規定を設けておるわけであります。それから四条、五条におきましてやはり一応無制限納税義務者という意味におきまして、例えば日本に住所があつて相続が行われたという場合におきましては、その相続をした財産につきましては、たとえアメリカにおいて存在する財産につきましても課税が行われるわけでありますが、そのような場合におきましてアメリカにおいて若し課税が行われるということがありますれば、その額はこれを控除してやるというようなことで規定を設けておるわけであります。御承知のようにアメリカにおきましては遺産課税になつておりまするので、被相続人がアメリカに住所を有しているアメリカ人であれば、その財産につきましてすべてアメリカの課税が行われるわけであります。日本におきましては取得者課税になつておりまして、相続人を基準といたしまして課税をいたしますので、そういう関係上二重課税が行われる場合が非常に多いわけであります。従いましてそのような場合におきましては、第五条の規定によりまして二重課税を回避をするというふうに規定をしておるわけであります。
なお第四条におきましては、その場合の控除の問題というようなことを規定しておるわけでありまして、六条以降につきましては、所得税につきまして申上げましたような大体手続的な規定を主として規定しておる条項に相成つておるわけであります。
以上甚だ簡単でございますが、概略御説明を申上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/6
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007・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) ありがとうございました。本件に関して質疑のあるかたは順次御発言をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/7
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008・團伊能
○團伊能君 この第二条にございます課税される場所についての条件でございますが、ここに製造業、商業、農業、鉱業、いろいろございますが、何条でしたか、その場所をきめる、これはどこかにございましたね。籍をきめる条件ですね。工場とかその所在地、それを先ほどちよつと御説明になりましたのですが。第二条の「恒久的施設」というところ。この中に日本の国籍を有する日本人がアメリカで一つの会社を組織して株主が日本人である場合。戦前によく日本の会社が支店の形態をとつてはおりましたが、独立の会社としてインコーポレーテツド・ニユーヨークというような、ニユーヨークに登記いたしまして会社組織になつておりました。ところがその場合いろいろ戦時中の特別な法律によりまして、ニユーヨークでインコーポレートした会社であつても、その主要株主が日本人であつた場合のその会社の財産は没収されております。それについて今いろいろな交渉も起つておるようでございますが、この法人の財産である場合の地位ですね、恒久施設はやはり会社を登記した場所が恒久施設ということになりますかどうか、その点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/8
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009・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは法人につきまして、アメリカでは所得税法になつておりますが日本では法人税法になつております。これがアメリカにおける所得税と日本における法人税がどのように先ず課税されるかというのが第一の問題でございますが、これは日本におきまする法人税につきましては、日本の本法施行地に本店又は主たる事務所を有するものでありますので、従いまして今お説のような場合につきましては日本の法人税法の適用はその本店という意味からはないわけでございます。逆にアメリカにおきましては、やはりアメリカにおいて登記をされておるということはアメリカに本店があるわけでございますから、アメリカの所得税法の適用があるわけでございます。従いまして一応その事業活動がその本店の所在地にとどまる限りにおきましてはアメリカの税法だけの問題でありまして、日本の税法の問題はないわけであります。そこでここに申しまする「恒久的施設」という場合におきましては、そういうように本店かアメリカにありながらなおその事業活動が日本に及んでおるという場合にどの程度の課税が日本において行われるか。これは支店があるという場合におきましては勿論「恒久的施設」になる。事務所があつても「恒久的施設」になる。併し単なる例えば出張員あたりが来てそうして何か事業活動をやつた場合に一体これは「恒久的施設」になるかどうかという、こういうような問題になるわけでございまして、従いまして、ここに申しておりまする「恒久的施設」というのは、そういう意味のことを規定するために「事務所、工場、作業場、支店、倉庫その他事業を行う一定の場所をいう」こういつた場合に入る場合においては「恒久的施設」が日本にあるものとして日本の法人税の適用があるぞということを規定しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/9
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010・團伊能
○團伊能君 そういたしますと、もう少し念のために伺いますが、米国の商社で日本に支店を置き、いわゆる事務所を置き活動している者の支店の収入というものは、日本政府の課税の対象となるのでありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/10
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011・白石正雄
○説明員(白石正雄君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/11
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012・團伊能
○團伊能君 それからアメリカに出張させられていて、そこでアメリカの日本の商社の支店から俸給をもらつている者は、アメリカのその支店のその俸給の税をアメリカ政府に払わなければならんということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/12
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013・白石正雄
○説明員(白石正雄君) その場合二つに問題が分れますが、日本に本店のある会社がアメリカに支店を設けておる、その場合の支店におきまする事業所得につきましては一応アメリカの課税の対象になる。更にその支店から日本人が俸給を受ける、こういう場合には給与所得になるわけでございます、法人所得でなしに。その場合の給与所得につきましてはどうなるか、これが第九条に規定されておりまして、九条の(a)でございますが「当該課税年度を通じて合計百八十日をこえず」という場合におきましては課税にならないと、こういうことに相成るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/13
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014・團伊能
○團伊能君 ああそうですか、わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/14
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015・杉原荒太
○杉原荒太君 今日まで国際的な二重課税の現象というのはどう処理しておつたか、日本の国内的の処理は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/15
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016・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 今までは海運業、船舶の所得につきましては相互免除の協定がございましてお互いに免除しておつた。それ以外の場合は二重課税に関して何らの協定がなかつたわけでございます。従いましてそれぞれ国内法の命ずるところによつて課税をするわけでございます。それから国内法におきましてはどうなつておるかという問題になりますが、日本の税法におきましては所得税法の十五条の八に外国税額の控除という条項がございまして、外国で課税せられましたその税金は一定の場合に日本の全体の税金から引くと、こういう規定が設けられておるわけでございます。それから法人税におきましても、やはり法人税法の十条の三に同じように外国税額の控除の規定がありまして、やはり納税者に対しまして過重の負担にならないように措置しておつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/16
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017・杉原荒太
○杉原荒太君 そうすると今度の協定によつて、もう初めから二重課税という現象か起らんようにそれを回避するためにいろいろな規定を設けておるわけですね。併しそれで現実に全部に二重課税を回避し得るかどうかは、これは僕は一々各個の場合について検討していないけれども、これは一体この協定を実施すれば二重課税というものはもう起らんように全部そうなるのか。或いはこの協定でなお且つ二重課税という現象が実際上起ることがあるのか、その点どうですか。そうして仮にありとすればその点はどう処理するか。今言われたような規定はもうそこで働けないだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/17
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018・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは、どういう場合が二重課税になるかという非常に困難な問題でありますが、一応私どもは現在までのところ二重課税になるというあらゆる場合を想定いたしまして、そうしてここでももう殆んど網羅をしたというように考えておるわけでございますが、この点につきましては、今まで検討した範囲内におきましては、これによつて二重課税が回避できるものと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/18
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019・梶原茂嘉
○梶原茂嘉君 或いはこれは出たかもわかりませんが、二重課税の対象になる税額はどの程度に想定されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/19
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020・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは具体的なケースといたしましては非常に困難な問題でございまして、取りまとめました計数は持つていないわけでございますが、この条約の結果今までに比較いたしましてどのように軽減になるかというような問題があるわけでございます。これにつきましては一応推定いたしましたところによりますと、例えば著作権の使用料だとか或いは配当に関する収入というようなものにつきましては、例えば今回最高税率を一五%に抑えるとか或いはそのほかの条項を設けておるわけでございますが、そのようなために租税負担が或る程度軽減になるわけでございます。そういつたそのために日本におきまするその軽減になる額は一億七千万円程度というように一応推定しております。この中には例えば先ほど申上げましたように、短期滞在者、百八十日をこえないような者につきましては取らないというようなことに相成りまするので、そのために日本の租税額が減るものが例えば三千万円というようになつておるわけでございます。それから相続税関係でございますが、これは相続税がどのように行われるかというようなことが目下のところよく推定がつきませんので、計数もわからないわけでございますが金額的にはもう僅かなものであろうというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/20
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021・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 具体的に少し伺つておきたいのですがね、例えば今十八条で異議の申立はこれでわかりますけれども、これは大分時間がかかりましようね、異議の申立てをしましても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/21
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022・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは成るべく速かに運ぶようにお互いにやらなければならんという問題でございますが、まだ実はこういつたものにつきまして手続的にどのように細部の手続を取り進めるかというようなことにつきましては、この条約が批准になりました暁におきまして具体的に又協議しなければならん問題もあるかと思うわけでございます。従いましてそのような折におきましてできるだけそういつたことも速かに行われるように取運びたいというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/22
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023・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 それから実際の、場合において二つお伺いしておきたいのですが、例えばアメリカで課税される率と日本で課税される率が違うものがあると思うのです、たくさんに。そうしますと、二重課税といつても例えばアメリカのほうが安ければ日本の課税を受けないからそれだけ安くなりますね。ところが日本に帰つてからそれを総合課税か何かにもう一遍かけられるということはないのですか。一遍所得したもので向うの税率で税を払つてしまえばそれで済みですか。税率が違つていても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/23
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024・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これはこういう問題でございますが、先ず二重課税のこういう協定がなく、又二重課税のこういう回避の国内法もそれぞれないといたしますと、日本は日本の国内法の命ずるところによつて全部課税する、アメリカはアメリカの国内法の命ずるところによつて課税をする、そういたしますと、同じ所得につきまして、日本でも課税になるし、アメリカでも課税になる、その場合税率は或いはアメリカが重いとか日本が軽いということはございますが、軽いにしろ重いにしろ、一つの所得に対して日本の税とアメリカの税と両方課税になる、こういう問題が起るわけです。そこでそういうことにならんように、同一の所得に対しましては先ず無制限納税義務者といたしましては、つまり日本で、住所があるところで納めるのが、これが一般的な原則でございますので、そちらのほうで一応全部課税をする、アメリカで所得があるからアメリカからとられたという税金は、日本の全体の税金のうちからそれだけの分を控除してやる、こういうことによつてこの回避をしようとしておるわけでございます。従いまして、アメリカの税が重い、日本の税が軽いということのためにお説のような問題には直ちにはならないというように考えておるわけでございます。ただ個々の場合におきまして、例えばロイアリテイに対しまする課税というようなものを一つ取上げて見ますと、アメリカにおきましては三割の源泉課税になつておるわけです。日本におきましては只今二割の源泉課税になるわけです。こういつた個々の相違があることは面白くございませんので、今回はいずれもこれは十五%をこえてはならんというようなことにいたしまして、税率の統一をしたというような解決方法をとろうとしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/24
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025・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 それから今ここに三千ドル、六千ドルというあれがございますね、これは相互的ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/25
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026・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 相互的でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/26
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027・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 同じものについては日本の場合でも同じようにクレームできるわけですね、払うときに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/27
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028・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 日本の支店に日本人が行つております場合においては、向うの租税を免除されるし、アメリカの法人が日本に来て働いているという場合には日本の租税を免除されるというふうに、相互に免除を受けるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/28
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029・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 その法人なんかの場合は非常に例が多くて、向うの税を取る人もよくわかると思うのですが、個人がばらばらに行つているような場合は取扱が非常に、徴税する人も慣れませんからいろいろ手違いがたくさん起ると思うのです。原稿収入があるような場合、これは税をとる人は知りませんが、法人のような月給をとつている場合はたくさん例がありますから、税をとる人はよく知つているわけです。それで例えば原稿収入とか講演収入の場合は国を出るときに払うのです。ですから非常に簡単なのです。そこで勝手に向うで知らない人がやりますから、間違つた場合にあとで異議の申立をすると非常に時間がかかる。日本の場合は私はアメリカ人が払う場合も非常に日本の国柄からいつて整頓しておりますから割合に間違いが起らないと思います。アメリカでは非常にいろいろ間違いが起る、州々によつて税関等で。私どもときどきあるのです。例えばアメリカの学会に呼ばれて行きまして入国税は要らなくなつたというが関税はとつています。とつてしまうのです。とつてしまつて向うへ行つてからその学会で、ここでこういう税をとられないと聞きましたがとられたというと、そこから一遍ワシントンに通知してもらう。それは少いものですからアメリカ側の政府の取扱も知らない場合がたくさんあるのです。そういう場合が今度のことでたくさん起つて来ると思うのです。例の少い場合、そういう場合は異議の申立しかないのですか、方法は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/29
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030・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 私も実はアメリカの手続きが実際どうなつておるかよく承知していないわけでございますが、今回こういう租税協定が締結されたわけでありますから、例えば日本について申上げますれば、今税務署は全然こういうことを知つていないわけでございますので、今回のこの協定に基きましてそれぞれ通達を流すなりよくその趣旨徹底をいたしまして、間違いが起らないようにいたしたいというふうにいろいろ考えておるわけでございますが、そのようにアメリカにおきましてもそういう間違いが起らないようにやつて頂くものというふうに了承しておるわけでございますが、その点につきましてはいろいろ細部の協定等におきましてもよく間違いのないようにいろいろ相談もし、又今後の細部の手続も進めたいと考えております。
それからお説のような点につきましては、法律上の問題といたしましては、一応異議の申立ということがあるわけでございますが、そういうことにまで至らずとも間違いがありますれば、これはできるだけ普通の伺によつて解決できるように実際上の取運びをやりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/30
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031・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 私の心配いたしますのは、外国人が日本に来たときはやり方が非常に丁重です。それから規則が完備していますから大体間違いないだろうと思います。日本人が外国へ行つて月給でない収入がある場合に非常にやり方が独断的です、出先の人がやりますから。それに対する救済の方法がここに書いてある十八条の異議の申立だけですと二年も三年もかかつてしまつたり、それから向うの州が違うものですからなかなかワシントンの命令が徹底しなかつたりして、片務的な日本人の不利益が多かろうと私は心配するのですか、救済の方法は、ですから十八条だけかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/31
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032・永井三樹三
○説明員(永井三樹三君) 今、御指摘の日本人が向うで収入を得た場合、これは向うの税法によつてとられます。それが若し第九条の(b)項に反してとられたということになりますならば、その本人が異議の申立をなし得るばかりでなく、これは条約違反でございますから政府から申入れができる。救済措置を請じてもらう措置は条約上とられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/32
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033・鶴見祐輔
○鶴見祐輔君 ただその場合に何万ドルとかいう大きな金ならば、それも政府が交渉するということもありますけれども、大体はそういう大きな金でない場合に非常にアービトラリーに勝手にやられるのです。アメリカと日本との間の関係が昔は少かつたのですが、これからは非常に多いと思うのです。交換教授で行つたり或いは向うへ行つていろいろ文章を書いたりすることが多い。多くなればその場合いろいろ取扱に規則をつけて頂かないと日本人が受ける損害が多くなります。それを一一ワシントンの大使館やニューヨークの総領事館に持つて行けないということがたくさんある。何しろ受取もくれないことがたくさんありますから、それだけの救済方法だけを異議の申立のときにもつと早くできるような方法がないか。細日協定のときに或いは施行協定のときに一つ考えて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/33
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034・團伊能
○團伊能君 これは両国間の税率が非常に違つた場合、どういうことになりますか、つまり所得に対して税率がアメリカが非常に安いという場合は、それを、日本に通牒して、日本に本社がある会社の支店の所得ですね。或いは米国の税法によつて非常に安いという場合は、日本の税率でなお何か追加してとるようなことがありますか。やつぱり安い税率はそのままで過ぎて行くものでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/34
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035・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これは二重課税の回避と申しますのか、日本に住所がある人につきましては、その所得がアメリカから生じようが、日本から生じようが全部に課税になる。ところがその場合にアメリカから生ずる所得については、アメリカの税が又課税になる、その税の安い、高いという問題でございますが、その前に、アメリカからも税がとられるし、同じ所得についても日本からも税がとられるという意味で二重になつております。そこでその二重になつたものをアメリカの分だけは一つ控除してやろう、こういうことになつておるわけであります。ただ控除する場合に、仮にアメリカに十の所得があつた。でアメリカに例えば三の所得税がかかつた、ところが日本にかかつた所得税はその分については二しかなかつた。若しこういう場合がありといたしますと、引こうと思いましても日本の税金は二しかかかつていないわけでありますから二以上は引けないわけですから、そういつた場合においては二を限度とせざるを得ないわけであります。そういつた意味においていわば日本でかかつておる税金のうちからアメリカでかかる税金を引いてやるというのがこの二重課税の回避の方法でございます。その場合に日本でかかつておる税のほうが多い場合がございます。そういう場合におきましては、アメリカでかかつた税がまるまる引かれる。だからいわば日本の税だけが課税になる、実質的にはそういうことになるわけでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/35
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036・團伊能
○團伊能君 そうすると、これを要するに、税率の高きにつくということになりますか。そうでもないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/36
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037・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 簡単に申しますればそういうようなことになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/37
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038・團伊能
○團伊能君 私が御質問している意味はこういう場合があり得ると思います。本店と支店との関係が日本に本社があつてアメリカに支店があるという場合、若しもアメリカの税率が安ければ、個人の場合もありましよう、法人の場合もありましようが、法人の場合殆んど会社の所得をアメリカの所得にするような工合に工作されると思います。その点についてちよつと伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/38
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039・白石正雄
○説明員(白石正雄君) これはどこに所得がどうあるとどこの税がかかるかということがきちつときまつてしまうわけであります。従いましてアメリカのほうに税金を工作するというようなことは実質的には生じないんじやなかろうかと考えるわけでございますが、ただ今お説のような場合におきましてそのような問題が起つては困りまするので、従いまして例えばアメリカから生ずる所得はどういう所得であり、それはどういう計算をするかというようなことにつきまして、第三条のところで一応或る程度の規定を設けまして、そうして例えば恒久的施設というものがあつた場合において、その恒久的施設から生ずる所得はどのようにその所得の配分を考えるか。例えば第三条の第三項でございますが、「一方の締約国の企業が他方の締約国内に恒久的施設を有する場合には、その恒久的施設が独立の企業として同一又は同様の条件で同一又は同様の活動を行い、且つ、独立の立場でその恒久的施設を有する企業と取引を行つたと仮定した場合に取得しうべき産業上又は商業上の利得が、その恒久的施設に帰せられるものとする。」抽象的な規定でありまして、具体的な場合の計算はなかなかそれがその通り行くかどうかという問題があり得るかと思いますけれども、一応その計算の基準といたしましてはこういうような規定を設けまして、できるようにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/39
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040・團伊能
○團伊能君 私が考えておりますのは、同じ契約をいたしますね、利益を生む契約。それを東京の本店でするか、ニューヨークの支店で契約をするか、利益が生まれるところの元である商契約をどこでするかということで税率が安いところでするというような傾向があるという心配がちよつとありましたので御質問したので、只今の御説明で大体それはどちらでやつても最高の税率はかからないということのように今伺いましたが、そういう工合に認識しておいてよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/40
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041・白石正雄
○説明員(白石正雄君) お説のような契約をどこでやるかということによりますと、例えば東京でやるかニユーヨークでやるかということによりまして、その契約から生ずる所得は日本の税かかかるか或いはアメリカの税がかかるかということが先ず生ずるわけであります。そうして日本の税がかかつた場合におきましては、その税はアメリカの全体の所得から引いてやるということになつておるわけでございますが、その引く場合に先ほど来申しており、ますように、やはり最高の限度がございますので、そういう関係でどちらで、やるかということが或いは租税上問題になり得ないとは考えられないわけでございますが、併し契約はこのためのみに行われるわけでもございませんので、特にこの関係上契約地がどちらになるというような問題は生じないものだろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/41
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042・高良とみ
○高良とみ君 十三条ですが、著作権について一例を伺いたいのですが、著作権のロイヤリティに対して従来は日本で二〇%、外国で一〇%かけておつた。それを今度合せて十五%にする、こういうふうに御説明になつたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/42
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043・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 著作権につきまして、アメリカは三割の源泉課税、日本では二割の源泉課税をやつておるわけであります。これはいわゆる非居住者の場合でありますが、それぞれの法律の施行地に住所を有しない人に対しましてそういう課税が行われておるわけでありますが、それを今回はその三割と二割をそれぞれ十五%をこえてはならないということにいたしまして、日本の場合も、アメリカの場合もそれぞれ一五%を最高とするというように協定しようとしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/43
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044・高良とみ
○高良とみ君 そうすると翻訳などの場合には、例えば米国人がニューヨークでそういう本を出して、それに対しては向うで一応税金を納め三〇%払つておつたものが、今度日本でそれが翻訳された場合は、今までは二割ぐらいかかつておつたと私も思うのですが、今度それに対してそれは非居住者ですから、日本側では非居住者の一五%、今度はその翻訳権の二〇%を日本政府に対して払う必要はない、そこのところをアメリカとどういうふうに話を付けて行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/44
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045・白石正雄
○説明員(白石正雄君) まあこういうことになろうと思いますが、例えば日本人が何か日本人の著作物でアメリカで翻訳されてそしてアメリカから所得を受けたとこういう場合におきまして、そのアメリカから生ずるところの所得について今までアメリカで三割の税がかかつておつた、それを今回は一五%下げてもらう。そしてその一五%の分は日本の全体の所得税の中から引いてやる、こういうことになるわけであります。アメリカの場合におきましては、アメリカの例えば作家がそれを日本に翻訳されて日本の翻訳の収入を受ける、こういう場合におきましては今までは三割で日本の税が取られておつた、それが今回は一五%に下る。そしてその一五%に下げて取られた税は今度はアメリカの全体の所得税の中から引いてもらうことになる。こういうことになりまして、相互に一五%というものを最高税率といたしまして、そうしてそれ以上のものは課税しないというように相成るかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/45
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046・高良とみ
○高良とみ君 従来ありました二重課税の免税に対する協定などはどういう範囲で、例えばフランスとの間とか、英国とアメリカの間とかいうふうなところにもあるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/46
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047・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 日本につきましては初めてでございますが、アメリカにおきましては一九三九年以来大体各国との間に租税協定を結んでおりまして、フランス、スウェーデン、カナダ、英国、南阿連邦、ニュージーランド、オランダ、デンマーク、ノールウエー、アイルランド、フィンランド、ベルギー、スイス、こういつた各国との間に所得税に関しまし二重課税防止の協定を結んでおります。それから相続税につきましてはカナダ、英国、南阿連邦、フランスというような諸国との間において結んでおります。なおアメリカを除きました諸外国の関係でありますが、条約数にいたしまして、国連事務局の一九四八年の調査でございますが、所得税条約が大体五十、相続税条約が大体七、この程度締結されておるようでございます。なお海運業等の個別的な協定につきましてはその他多数に及んでおりまして、相当各国との間にこういう関係は調節されておりますが、未だ未締結状態にありますのは主として中近東諸国、アフリカ、南米諸国、こういつたようなところがまだ未締結の状態にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/47
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048・高良とみ
○高良とみ君 アメリカと諸外国とはよくわかつたのですが、今度はもう少し東南アジア地区といいますか、そういう方面の国との著作権などの問題も出て来ると思いますが、例えば日本とフランスとか日本とインドとかそういう国とのこういうふうな必要はまだ余り出ておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/48
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049・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 御承知のように、只今まで日本といたしましては租税条約を結んでいなかつたわけでございまして、今回、アメリカとの関係が最も深くございまして、経済交流も盛んでございますので、先ずアメリカとの間におきまして締結をしようとしておるような状態でございます。なお次には英国或いはフランスその他の諸国との問題が起つて来るわけでございますが、イギリスとの間におきましては御承知のようにまだ通商航海条約も未締結の状態でございますので、通商航海条約あたりが締結になると同時に租税のほうも、取運びたいというふうに考えておるわけでございます。なお東南アジア関係は経済交流が日本としては今後ますます盛んになると考えられますので、こういつた必要は生じて来ると思うわけでございますが、何しろそのような諸国につきましては経済関係或いは法規関係、そういつたものもまだ必ずしも十分でないし、又いろいろな関係上必ずしもこれをまだ欲しないというふうな状況もございますので、只今のところまだ至急これを取運ぶという段階には立至つていないわけでございますが、今回米国との間の締結を機といたしまして至急諸国との間におきましてもこういつた関係を進めて参りたいというように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/49
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050・高良とみ
○高良とみ君 これは取扱う事務当局はアメリカでは大体大蔵省系統だと思いますが、日本でも結局はそうなるのですか。所得税関係のほうで扱うのだろうと思いますが、それとも一応は外務省を通して扱いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/50
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051・小滝彬
○政府委員(小滝彬君) 協定そのものは勿論外務省の関するところでありますけれども、ここに書いてあります締約国の権限のある当局というものは大蔵省でありまして、この実施につきましては大蔵省が直接これに当るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/51
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052・杉原荒太
○杉原荒太君 この協定に直接関係することじやないのですが、戦争の発生に伴つてごたごたの関係でたとえばニユーヨークなどに行つておつた日本人乃至日本の会社、そういうものの租税に関する懸案の問題もかなりあつて、中には訴訟事件なんかになつておるものもあり、そういうようなものの処理ということが政府間でもこれを取上げて処理する必要があるのじやないか。私ずつと以前に、もう一年以上も前だつたと思うのですが、この委員会で何かの機会に質問したとき、この二重課税に関する交渉もしておるが、そういう問題も含めて解決するつもりだという答弁であつたのですが、この協定自体にはそれは含まれていないようだけれども、何らかそういう点の解決について話合いをされておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/52
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053・永井三樹三
○説明員(永井三樹三君) 御指摘の問題の一つは例えば日綿実業の戦前にニューヨークにおけるヘツジ取引に対する課税というような問題が懸案になつておつたわけであります。これは外務省としても先方と連絡しておつたわけでありますが、これも最近今の税法を改正して課税しないことになつて解決しております。その他問題は逐次外務省としては別途解決に努めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/53
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054・杉原荒太
○杉原荒太君 これは非常に細かいことのようだけれども、十四条の(a)(b)いずれの項にもある文句だけれども「この条約が効力を生じなかつたものとして」という文句が入つておつて、実にこれはおかしな文句だけれども、一体どうしてこんなものを入れたのか、これは全然入れる必要もないし実におかしいと思うのですが、どうしてこれを入れたのか。「この条約の他の規定にかかわらず」これで十分であつて、こんなおかしな文句を条約に入れるのは非常におかしい。そうじやなくて入れる必要があればどういう必要があるのか。これを入れないと個々の法律関係の実体が違つてくるのかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/54
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055・白石正雄
○説明員(白石正雄君) お説のように厳密な意味に解釈いたしますれば、私もこの条約が効力を生じなかつたものとして、という文句が必要であるかどうかは疑問であると考えられるわけでございますが、一応念のためにと申しては何だと思いますが、ほかの条項につきましても一応こういうふうな文句を挿入しまして事柄を明らかにするという意味におきまして、挿入しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/55
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056・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) 本日はこの程度に止めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/56
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057・佐藤尚武
○委員長(佐藤尚武君) それでは明日はやはり午前十時からこの委員会を開会いたしまして、できますならばこの二重課税の問題、それと外務省関係法律の整理の問題、それの採決まで持つて行きたいと思つております。それから続いて艦艇貸与の問題に対しての質疑に入りたいと思います。それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時百三十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101913968X03419540518/57
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