1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十一日(火曜日)
午前十一時二十七分開会
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委員の異動
四月十六日委員松原一彦君辞任につ
き、その補欠として、石川清一君を議
長において指名した。
五月八日委員岡田宗司君辞任につき、
その補欠として、矢嶋三義君を議長に
おいて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 早川 愼一君
理事
岩沢 忠恭君
苫米地義三君
委員
奥 むめお君
八木 秀次君
衆議院議員
園田 直君
政府委員
経済審議政務次
官 深水 六郎君
事務局側
常任委員会専門
員 桑野 仁君
常任委員会専門
員 内田源兵衛君
説明員
経済審議庁計画
部調査官 伊藤 嘉彦君
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本日の会議に付した事件
○離島振興法の一部を改正する法律案
(衆議院提出)
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001・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それではこれから経済安定委員会を開会いたします。
本日は衆議院提出にかかる離島振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず発議者の衆議院議員園田直君から提案理由の説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/1
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002・園田直
○衆議院議員(園田直君) 提案理由の説明を申上げます。
本土より隔絶せる離島の振興に関しましては、その後進性を除去するため第十六町国会において離島振興法が制定され、離島振興事業が進められつつあります。この離島振興事業のうちでも、離島の性格上港湾の開発、整備ということが、最も急を要し、且つ重要な問題とならざるを得ないのであります。
港湾の開発及び整備のための工事は、極めて高度の技術と豊富な機械力とを必要といたします関係上、国が工事を行う必要のある場合が多いのでありますが、このことは離島において特に著しいと申すことができるのでございます。
然るに、離島振興法におきまして、港湾工事の費用の負担の割合につき港湾法の特例が設けられておりますのは、港湾管理者の行う工事に限られており、国が港湾工事を行います場合には特例が認められていないため、離島振興の目的を達成する障害になつております。
今回この点の不備を是正いたしまして国が行います。工事についても、港湾管理者が行う工事の場合と均衡をとり、費用の負担に関する港湾法の特例を設けることにいたしたいのでございます。
以上がこの法律案を提案いたします理由であります。
何とぞ慎重御審議の上速かに御可決あらんことを希望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/2
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003・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それでは引続いて質疑に入ります。発議者のほかに経済審議庁当局から深水政務次官、計画部の伊藤調査官その他が出席されておりますから、順次御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/3
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004・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 審議庁のかたにお聞きするのですが、この離島振興法が十六国会で成立いたしまして、この二十九年度の予算の上においてどういうような取扱が実際行われているか。その辺を一つあらましでいいんですが、御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/4
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005・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 只今の御質問にお答え申上げます。離島振興の予算につきましては、二十八年度と二十九年度につきまして振興計画を決定をして頂いておるわけでございまして、この振興計画が決定をされましたときに法律の、離島振興法の法律の九条によりまして離島振興法で定められておりまするところの補助率による予算が計上されるということになるわけでございます。そういう意味におきまして取りあえず二十八年度、二十九年度については振興計画が決定されておるわけでございますが、只今の御質問の二十九年度につきましては、その計画に従いまして港湾、道路、漁港、電気等につきまして、国費といたしまして四億七千四百万円ばかりが計上をされておる、そうしてこの国費は只今申上げましたように、法律の九条の規定に従いまして一般の場合よりも補助率が高くなつておる、こういうふうになつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/5
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006・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 只今の御説明で国費が四億七千万円ばかり投入されておる、こういうことなのですが、そうするとその対象の離島という概念はどういうところにあるのですか、ただ従来の公共事業費として道路とか或いは港湾とかいうものにやつておつて、従つて従来のやつはもう二分の一の補助とか、或いは割合補助率が少いのに今度この離島振興法という法律に肩代りするというような点が非常にあるのじやないかと思うのですが、その離島という定義を審議庁ではどういうようにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/6
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007・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 難局の定義につきましては、本法律の上におきましては、第一条におきましては、「本土より隔絶せる離島」、こういうことになつてございまして、更に離島審議会におきまして離島振興計画を決定するわけでございますが、その前に法律の第二条におきまして、第一条の「本土より隔絶せる離島」を受けて、第二条におきまして「内閣総理大臣は、離島振興対策審議会の意見を聞いて、第一条の目的を達成するために必要と認める離島を、離島振興対策実施地域として指定する。」こういうことになつておりますので、審議会といたしましては二十八年の十月におきましてこの総理大臣が離島を指定いたしまする際の指定の基準、離島の指定の基準というものを定めておるのでございます。それをいささかくどくどしいのでありますが、読み上げて見ますと、五つばかり条件がございまして、第一は外海に面する島、群島、列島、諸島を含むそういう外海に面する島であることというのが第一条件であります。それから本土との間の交通が不安定であること、それから第三番目は島民の生活が強く本土に依存していること、第四、一カ町村以上の行政区画を有する島であること、第五として前四項の条件を具備した島であつて、法第一条の目的を速かに達成する必要があるところ、というような基準を決定されておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/7
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008・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 その基準がきめられたことは結構なのですが、さてそれを予算をつける場合にどの島をやるかというのは、ただ今五項目をお出しになつたその選択は政府のほうで自由だと、こういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/8
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009・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 先ほど御説明申上げましたように、法律の九条におきまして「離島振興計画の事業を行う」云々というような規定がございまして、「第五条第一項の」というふうになつておりまして離島振興計画の決定を受けておりまするその事業につきまして予算が考えられるわけでございます。一般的にはそういうことでございまして、只今の御質問がありました各島々の振興計画というものが、一応振興計画というものが決定されておるわけでありますので、これによりまして関係各省とも御相談をして予算を政府において組む、こういうことになつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/9
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010・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 その今お話の島々と、こういうのは、振興計画というものは、そのAならAの島を対象にして立てておるというのですが、その島というのは大体具体的にもうはつきりわかつておるんでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/10
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011・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 振興計画を立てまする島は、最初に申上げましたように、離島振興対策地域として指定を受けるわけでございます。でありまするから、指定を受けました島がそれでありますので、島としてははつきりわかつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/11
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012・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 どういう島ですか、ちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/12
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013・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 御説明を申上げます。二度に分かれて島が指定されておりまして、二十八年の十月に先ず第一次指定といたしまして伊豆諸島ほか十一島が指定されております。これを読み上げて見ますと、伊豆諸島、佐渡島、隠岐島、対馬島、壱岐、五鳥列島、天草島、屋久島、種子島、甑島、南西諸島、長島、この十二島でございます。それから更に十二月、同じ年の十二月になりまして十九島、これはいささか何でありますが読み上げて見ますと、宮城県の大島、新潟県粟島、三重県の志摩三島、高知県沖ノ島、山口県見島、大島、福岡県の大島、長崎県の平戸島、生月島、大島、松島、鷹島、伊王島、高島、樺島、香焼島、福島、黒島、蛎ノ浦大島、熊本県の戸馳島、この戸馳島は天草の区域に追加指定されたのでありますが、この十九島で、両方で三十一島でございます。そのうち振興計画の決定を現在まで見ておりまする分は、一応二十八、九年度といたしましては決定をしておるわけでございます。で、只今もう少し長い期間に亘りましての見通し等につきまして研究をしておる状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/13
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014・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 さつきお話の二十九年度は四億七千万円の振興予算をとつておる、これに対しては振興計画が樹立しておる島に全部配分しておると、こういうようにとつていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/14
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015・伊藤嘉彦
○説明員(伊藤嘉彦君) 只今実は詳細に、何分島の数が多いので大変恐縮でございますが申上げる用意を、調べて参つておりませんのでありますが、いろいろの都合もございまして、この四億七千四百万円は必ずしも或いは全部の島を対象としてはいないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/15
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016・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 私はですね、この法案ができたその趣旨というものは従来内地に比べて非常に放任せられて、而もその離島たるや資源が非常にあると、これを開発すると、こういうのが目的でありますから、成るほどその振興計画を樹立することもいいかも知れませんけれども、できれば運用の面において一つ一つ片つ端から片付けて、そして有効に振興の実を挙げるというようにやつて行きたいと思うのですが、併し今の説明を聞くと四億七千四百万の金をただ分散的にやるならばいつこの島の目的の振興というものが、資源開発ができるかということが、非常に長期間に亘つて結局そのうちにこの法案というものは雲散霧消して実が挙らないというようなことになるので、審議会におかれましてもこの三十一島をして指定せられたもので、いわゆるランキングをつけてこの島が一番いいのだ、その次はこれだというような審議庁においても政府においても、十分考えてやるべきものじやないかと思う、余りに総花式にやるということは、この振興法の精神を無視しておるというように言うても差支えないのじやないかと思うのですが、その点は、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/16
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017・園田直
○衆議院議員(園田直君) 私からお答え申上げます。今御質問の中に御指摘になりました点は、我々審議会の委員としてもそのように考えております。実はそのような、御指摘になりましたような欠点がございますのは、実はこういうふうな理由があるのでございます。それは法案ができましてから審議会ができて審議会で先ず地区の指定の審議をやりましてそして総理大臣の指定を受けて、その次に離島振興計画を作つたのでございますが、予算の面と日時の面で二十九年度までは独自な離島振興計計画により、開発ではなくて、今まで指定された島に行われておる各種の公共事業というものを、そのまま止むを得ずそれに関連をして進めて行つたというような関係で、今御指摘になつたような弊害があるわけでございます。従いまして審議会のほうでは政府並びに審議庁とも連絡をとりまして、将来、今御指摘になりましたように独自の計画を三十年度から立てまして、立てる、重点というものはモデル的なものを指定をして、そして今おつしやいましたように、重点的にやつて行こう、而もその開発は公共事業とは異つておつて、一般の事業なり、一般国営工事というものが経済効果を重点にして行く、この離島の後進性というものは、その経済効果がほかのものと比べては、どうも競争ができない、併し後進性を除去して生活水準というものを、成るべく平等にしてやろうという観点から言えば、当然審議の焦点も異つて来るわけであります。従いましてそういう独自な計画を三十年度から是非立てたいというので審議の方針、審議庁の方針意見が一致をして只今準備中でございますから、成るべく早急に只今御承知願いましたような点については努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/17
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018・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ほかに御発言がございませんければちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/18
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019・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 速記を始めて下さい。
他に御発言もないようでありますから、質疑は尽きたものと認め、直ちに討論に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/19
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020・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/20
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021・岩沢忠恭
○岩沢忠恭君 只今議題になりまし離島振興法の一部を改正する法律案につきまして修正の案を提出いたしたいと思います。
先ず、修正案を朗読いたします。
離島振興法の一部を改正する法律
案の一部を次のように修正する。
第九条第二項の改正規定中「第五
十二条第二項」を「同法第五十二条第
二項」に、「第四十三条第一項」を「第
四十三条」に改める。
別表の改正規定中「第四十三条第
一項」を「第四十三条」に改める。
以上の修正をいたしたいと思います。
その理由は、去る四月二十八日港湾法の一部を改正する法律案は参議院において修正議決いたされまして、第四十三条の改正規定を削除して衆議院に送付、衆議院におきましては、五月十日参議院送付原案通り可決いたされました。これに伴い、本法案の第九条第二項及び別表の改正規定中、港湾法第四十三条関係の部分に条文整理のため、所要の修正を加えることといたしました。なおこの修正は法案の内容と何ら改変するものではございません。以上が修正案の理由でございます。従いまして、私といたしましては、この修正案の通過、修正されましたものについて、この原案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/21
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022・奥むめお
○奥むめお君 この離島振興法の一部を改正する法律案は、修正案は条文整備のための事務的な修正に過ぎないものでありますから私も賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/22
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023・早川愼一
○委員長(早川愼一君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/23
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024・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 御異議がないと認めます。
それではこれより本案の採決をいたします。
先ず討論中にありました岩沢君の修正案を問題に供します。岩沢君提出の修正案に賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/24
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025・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 全会一致でございます。よつて岩沢君提出の修正案は可決されました。
次に只今可決されました修正案にかかる部分を除いて衆議院提出の原案全部を、問題といたします。修正部分を除いた原案に賛成のかたの御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/25
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026・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 全会一致と認めます。よつて離島振興法の一部を改正する法律案は全会一致を以て修正議決されました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容については委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/26
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027・早川愼一
○委員長(早川愼一君) それから委員長が議院に提出する報告書に附する多数意見者の御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
岩沢 忠恭 奥 むめお
苫米地義三 八木 秀次発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/27
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028・早川愼一
○委員長(早川愼一君) 本日はこれを以て散会いたします。
午前十一時五十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914073X00419540511/28
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