1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十九日(水曜日)
午前十一時十四分開会
委員氏名
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建設委員
委員長 深川タマヱ君
理事 石井 桂君
理事 石川 榮一君
理事 三浦 辰雄君
石坂 豊一君
小沢久太郎君
小滝 彬君
鹿島守之助君
赤木 正雄君
飯島連次郎君
小笠原二三男君
近藤 信一君
小林 孝平君
田中 一君
堀 眞琴君
水産委員
委員長 森崎 隆君
理事 千田 正君
理事 秋山俊一郎君
平井 太郎君
青山 正一君
野田 俊作君
森 八三一君
木下 源吾君
山田 節男君
菊田 七平君
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出席者は左の通り。
建設委員
委員長 深川タマヱ君
理事
石井 桂君
石川 榮一君
三浦 辰雄君
委員
小沢久太郎君
鹿島守之助君
小笠原二三男君
近藤 信一君
田中 一君
水産委員
委員長 森崎 隆君
理事
秋山俊一郎君
千田 正君
委員
青山 正一君
野田 俊作君
森 八三一君
木下 源吾君
田口 節男君
政府委員
調達庁総務部長 山内 隆一君
調達庁不動産部
長 山中 一朗君
外務省条約局長 下田 武三君
事務局側
常任委員会専門
員 菊池 璋三君
常任委員会専門
員 武井 篤君
常任委員会専門
員 岡 尊信君
常任委員会専門
員 林 達磨君
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本日の会議に付した事件
○日本国における国際連合の軍隊の地
位に関する協定の実施に伴う土地等
の使用及び漁船の操業制限等に関す
る法律案(内閣送付)
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〔建設委員長深川タマヱ君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/0
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001・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 只今より日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案につきまして建設、水産連合委員会を開会いたします。慣例によりまして、私が委員長のお席を汚します。
なお念のため建設委員会における本法案の今までの経過を申上げますと、去る五月十日当委員会に付託、五月十一日福島調達庁長官より提案理由の説明を聴取し、同日、日本国における外国軍隊の施設使用状況、国連軍関係の事故発生件数、国連協定第十八条関係の事故補償の取扱状況等について資料要求がなされ、昨十八日資料の説明を聴取したところでございます。
本日は先ず本案の内容について一応説明を願い、これについて御質疑をして頂くようにいたしたいと存じます。只今政府側よりは調達庁山内総務部長山中不動産部長、水産庁立川漁政部長がお見えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/1
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002・森崎隆
○森崎隆君 総務部長さんに聞きますが、こんな場合には御案内しなくても長官は必ず出席すべきものだと考えますが、今日何か差障りがあるのですか。調達庁関係の場合は長官はもう殆んど来ないのですね、これは何か理由がありますか。言わなくても当然来べき責任があると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/2
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003・山内隆一
○政府委員(山内隆一君) 長官は渉外関係の仕事が近頃非常に多いので、今日も渉外関係の仕事で外出いたしております。従つて先ほど連絡いたしましたけれども、そんな関係ですぐお伺いすることも困難であります。又こちらの事情によりましては、先ほどの話合いにおいて成るべく来てもらうように通知いたしますけれども、今のところそんな関係で出席困難であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/3
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004・森崎隆
○森崎隆君 強く一つ要望いたしておきますが、これは当然所管の問題でございまするから、是非出て頂くように、関連のあることでございますから、念のため今後一つ委員会には特に誠意を以て、渉外関係がありましても、時間関係をよく変更しまして、こちらを先にして頂くように是非一つ強くその意思を伝えておいて頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/4
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005・千田正
○千田正君 今委員長からのお話によるというと、すでに建設委員会においては提案の理由の説明も聞かれ、或いは必要なる資料の提出も求めておられるようであります。私は本法案の審議に先立つて特に聞きたいのは、一体この法律は何に基礎を置いて出されたのか、根本の問題ですね。例えば一九五一年の九月八日におけるところの吉田総理大臣とアチソン国務長官との間に交換された交換文書に基いてこの法案が出されておるのか。それともその後におけるところの日米協定におけるところの附属的な一つの国連軍との交渉の案件として出されておるのか。そういう根本的理由なしに我々はこの質疑をするわけには行かんのでありまして、それははつきり当該行政担当長官からその趣旨を聞いてからでなければ我々は審議に入りたくないのです。理由なくただ持つて来られたんじや……。それはなぜかというと、この法案の内容を見るというと、当然なさばくちやならないところの補償もなされておらないし、当然行われておられなければならないところのいろいろな損害に対するところの支払も十分されておらない現状でありますが故に、この法案を提出する前にその態度をはつきりしてもらつてから私は審議に入りたいと、少くとも水産に関係する問題についてはかような観点から私は申上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/5
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006・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 千田委員に申上げます。只今下田条約局長が見えましたが、後ほど当該行政長官の出席を求めることにいたしますけれども、一先ずこの下田条約局長に御質疑をなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/6
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007・千田正
○千田正君 結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/7
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008・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) それでは先ほど申上げましたように、一先ず法案の内容につきまして説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/8
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009・千田正
○千田正君 その前に私は質問したいと思います。大臣が来なかつたら、大臣にはあとから又責任ある答弁を求めますけれども……。
只今条約局長が見えておられますから伺いますが、このたび我々が今審議しようとしますところの日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定場の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案、この法律案は、これを出される基礎はどこにおいて出されておるのか。例えば一九五一年における交換文書におけるところの基礎において出されておるのか。或いは日米協定の附属としてこういう問題を取扱う意味において出されておるのか。その点を明らかにその提出の理由を説明して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/9
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010・下田武三
○政府委員(下田武三君) この法案自体は私の担当ではございませんが、国連軍協定その他を担当いたしておりまして、只今御指摘の、法案の背後にある根本の点につきまして、私の承知しておるところをお答え申上げたいと思いますが、御承知のように平和条約で撤兵の原則が定められました。そして占領軍というものは平和条約の発効後一定期間後にいなくなるわけでございましたが、不幸にしてして平和条約発効前に朝鮮動乱が起りましたために、平和条約の第五条におきまして、日本国は国際連合憲章の義務、なかんずく第二条の国連の行動についてあらゆる援助を与える義務というものを平和条約で負うことになりました。差当り朝鮮動乱につきまして国連がとつております行動について、日本が如何なる援助を与えるかというその援助の態様をきめたのが先ほど仰せの吉田、アチソン交換公文でございます。つまり朝鮮における国連軍に日本において後方基地としての使用を許すという考えでございます。そこで日本といたしましては、一方におきまして平和条約と同時に発効いたしました安保条約で、これは日本自体を守るための米駐留軍というものをおき、他方において只今の吉田、アチソン交換公文で、現実の目的は朝鮮における行動にあるのであるけれども、日本においてその朝鮮における行動を支持するための国連軍の滞在を許すという二本建の取極ができたわけでございます。そこで御承知のように米駐留軍の地位、待遇等を定めましたものは安保条約第一条に基きます日米行政協定でございます。行政協定は早くできましたが、この行政協定に関連いたしまして、米駐留軍が海上水面その他で演習その他をする場合に、これに伴う日本の漁業者、水産業者の損害補償という問題は、やはり法律によつてこれを解決する措置がすでにとられておつたわけでございまするが、遺憾ながら国連軍の地位、待遇を定める国連軍協定というものが締結が非常に遅れまして、この遅れました理由は、日本側が裁判権に関するNATO方式を固執いたしたのが最大の原因でございますが、その他の財政条項につきましても日本側としては非常に強硬な態度で臨んでおりましたために、なかなか先方受諾いたしませんで、やつと本年に至りましてできたわけでございます。そこで国連軍協定の協定自体はできたのでありまするが、この協定の実施に即応いたしましてたくさんの国内法令を必要といたします。只今御審議を願つております法律案もその一つにほかならないわけでございまして日本側といたしましては、できれば国連軍側に漁業者に対する損害補償等を負担させたいのでありまするが、これなかなか先方もそこまでの負担は応諾いたしませんので、結局これは日本側が負担しなければならないということで、国内法令で以て措置するという方針に相成りました。そうして関係省のほうでこの法案を御起草になりまして御提出願つた次第でございます。
でございまするから、結局漁業者に対する損害の補償を国連側が負担するか或いは日本側が負担するかという根本問題でございまするが、結局財政経済問題につきましては、米軍と異りまして、日本は米駐留軍に対しては防衛分担金を負担するほか、国有施設をただで貸す或いは民有家屋、土地等の借料を日本側が払うという負担をいたしておるのでありまするが、国連軍に対しましては防衛分担金のような経費は一切日本側が負担いたしません。唯一の負担は、国有財産を貸した場合に、取り得べかりし借料の足らない分という消極的負担でございまして民有家屋等の借料はこれは国連軍が負担する。そこで漁業者に対する損害賠償の点も、結局これは日本側で負担するということで線を引きました結果、その問題を国内法で措置する必要が生じて来た。そういう関係になつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/10
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011・千田正
○千田正君 大体わかりましたが、そのうちに特に問題のあるのは、この交換文書の第五条におけるところのいわゆる合同会議、国連側と日本側との間の合同会議を通じて曾つてなされたところの協定なりそうした申合せなりというものは、今度新たに出されたこの法律において追認されるのでありますか。それは今まで合同会議を通じてなされた一つの案件というものは別個に考えられるつもりで出されておるのかという点において私は非常にここに疑義を生ずるのでありまして、その点はどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/11
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012・下田武三
○政府委員(下田武三君) 合同会議は仰せのように協定の規定ではすでに規定しておりまして、協定自体は御承認を得たわけでございまするが、実はこの国連軍協定の発効をこの関係法令の成立まで遅らしておる次第でございます。と申しますのは、協定だけが実施されましても、只今御審議を願つております法律初め関係法令が実施せられませんことには協定だけでは動かないわけでございまするので、先ずこの法案を御承認を得まして、それが実施の運びになりました上で国連軍協定を発効させる。この国連軍協定を発効させるためには日本政府が正式の受諾の通知をいたさなければならないのでありますが、その受諾通知を本法案の成立後にいたしたいと思つておるわけであります。そうしますと御指摘の合同会議は只今ただ紙の上の存在でございますが、協定実施後に初めて実際の機関となるわけであります。
そこでこの漁業者の損害補償等の問題もやはり合同会議の議題に上ることはあり得ると思います。これは日本側が負担すると申しましても、何でもかでも負担するというわけには行かないのでございまして、当然先方の故意、過失によりまして生じた負担はこれは先方に負担させなければならないという日本側の立場がございます。どうしてもこれは国連軍が存する以上止むを得ない結果生じました負担は、これは日本側で負担すべきだと思いますが、そうでないものはやはり先方に負担させたというのが飽くまで日本側の立場でございますので、その現実の負担をどちらでやるかという問題が、やはり合同会議の議を経まして決定に相成、る、そういう関係に相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/12
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013・千田正
○千田正君 そこで非常にここに疑義が生じて来るのは、今あなたのおつしやつた交換文書の協定の法律的効果というものは、当分国内における諸般の法律が制定されるまでその発効を待とうという意味で延ばされて来ておる。実際の損害というものは過去数年の間に幾多行われておる。併しながら今度新たに提案された法律案の内容を見るというと、これはこの法律の発効後じやなければ……、発効後においてのみ補償されるような法律案なんです。だから今まで待つておつた期間の損害の実在に対するところのいわゆる請求権というものはこの法律においては無視されておる。だから実際においてこうむつた損害に対する請求の一体発効はどこにあるのかというところの疑義が我々は生じて来るのでありましてこのいわゆる合同会議そのものが、今度新たに施行される法律の割に何らかの方途をとらなくちやならないはずのものが今までとらなかつた。而もこの法律では発効後じやなければ補償がもらえない。而も発効前に行われたところの損害に対するところの請求権は無視されておるというところに非常なこの法律の欠陥か我々はあると思う。でありまするから、その点の疑義をはつきりしておらないというと、この法律案に対していろいろな問題が起きて来ると私は思うのでありまして、その根本的ないわゆる立案の「基礎を聞きたい、かようなわけで質問しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/13
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014・下田武三
○政府委員(下田武三君) 仰せの問題は、実は私どもの担当ではございませんが、私どもが伺つております点では、これは米国駐留軍の場合と同じよりな種類、方式がとられるのではないか。つまり行政協定もこれは講和発効後実施されたわけでありまして、ところが占領中から漁業者に対する損失というものはすでに起つておりました。そこで行政協定に伴う特別損失補償法の項目では、法律の実施後のことだけを規定しておるのでありますが、その法律実施前の場合はどうしたかと申しますと、これはやはり見舞金、その他の支給によつて解決を図つたのではないかと思うのであります。
そこで今回の場合も、この特別損失補償法実施前の損害につきましてはやはり見舞金の交付ということで解決されるのではないか、そういうように伺つておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/14
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015・千田正
○千田正君 その見舞金を出すのは、いわゆる合同会議において一応話合いの上で出したのじやないでしようか。そうだとすればいわゆる一つの追認という形式になつて来るのじやないかという点を私は聞きたいというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/15
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016・下田武三
○政府委員(下田武三君) 合同会議の議題のほうは余り制限はございませんので、無論この国連軍協定及び関係国内法令の実施前の問題も相談して一向かまわないわけでございますので、先ほど申上げました、一体日本側が負担するのか、先方が負担するのかという問題のけじめを付けるためには、いわゆる合同会議で相談いたすという場合もあると思います。そこで日本が負担するということにきまつた場合に、過去のものの見舞金を日本側が補償するというふうに相成ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/16
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017・千田正
○千田正君 問題は今の点が非常に我我水産委員会としては、重大な問題でありまして、例えば今おつしやられた見舞金……、見舞金程度では実害をこうむつた漁民なり漁業経営者は承知しないのであります。でありまするから、の不足な分が果してこの法律によつて補償されるかどうかというところに一応疑義があるのでありまして、こういう根本的な問題がかかつてこの法律案の審議の途上に生れて来ると思いますが、今日は私は先ほど委員長の仰せられたように、一応ここにおいて提案の理由なり何なりを説明されまして、そうして審議に入られることは差支えないと思いますが、なお疑義が生じましたら改めて又条約局長なり何なりに来て頂いて、根本的な問題についてあとから又質問をすることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/17
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018・山内隆一
○政府委員(山内隆一君) 只今のお尋ねは条約局長に対してのように見えますけれども、内容は実は今条約局長の言われた通り、今の問題は私のほうの所官に属すると思いますので申上げておきたいと思います。
只今御不審のある講和条約発効後からこの国連軍協定の効力発生の目までの間をどうするかということが、今御審議を願つておる法律の第二条にはつきり書いてあります。これをどうするかという問題でありますが、条約局長の言われたように、この間の処置は形式は見舞金の形式で、実際の損害をよく調べまして見舞金の形で支給する予定でありますが、併し見舞金であるからと言つても、本法律の実施後の、第二条に書いてある事業の損失に対する損害賠償よりも非常にこれは割引するのだ、非常に安くするのだという考え方は毛頭ないのでありまして、実質的には同じでありますが、形の上、理窟の上から言つて、その間を予算措置で見舞金の形で支給いたしたいというわけであります。
でなぜそういうようなことにしたかと申しますと、駐留軍の場合にはすでに法律がありまして、それによつて漁船の操業制限をやる場合にはそれぞれの詳細な手続をとつてやつております。従つてそれによる損害補償をやつておりますが、実は呉地区の一部にやはり駐留軍が水面を使つているところがございますので、その呉地区の駐留軍の使つているその使い方が、他の地区でやつているように、正式な漁船の操業制限等に関する法律に基いた手続をとつておりません。とつておらないでずつと使つておりまして、それで補償の場合は、実際の損害をよく調べ、話合つて、そうして見舞金として支給いたしております。そういたしますと、駐留軍の場合に、すでに呉地区において講和条約発効後からこの国連軍協定の締結の目まで、或いは今後といえどもこの駐留軍についてはそういうふうになる場合もあるかも知れませんから、とにかくその期間においては駐留軍がすでにそういうような方法をとつているのだから、国連軍についてだけ特に法律で明記するということはどうかと、こういう一つの考え方と、いま一つは、法律の一般の原則を見まして、成るべく遡及効を認めない、遡つて効力を生ずるような形は避けたいという考え方と、二つの理窟から相待つてその点法律に、はつきり書かなかつたわけですが、実際は今申上げたようなやり方で、決して不公平な取扱いをすることは毛頭ないことに話合がついておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/18
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019・千田正
○千田正君 まあそういう技術的な問題はそうだとしても、むしろ日本は独立と同時に国連軍の、いわゆる駐留軍を我々は認めたくないのでありまして、むしろそれによつて損害を生じている面は速やかにこれは補償すべきが当然の問題だろうと思います。だから法律を提案した理由についてはいろいろまあ立場によつて違うかも知れませんが、従つてそのことによつて損害をこうむつているところの漁船その他にとつては重大な問題でありますので、なお一応この法案が出た以上は、法案のいろいろな説明を伺いまして、質疑を質して、そして後に又根本問題について私はなお改めて質疑をしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/19
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020・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) では政府の方、初めに返しまして、法案の内容につきまして一応御説明下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/20
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021・山内隆一
○政府委員(山内隆一君) それでは長 官に代りましてこの提案理由を御説明申上げたいと思います。
只今議題となりました日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案の提案理由及びその概要を御説明申上げます。本法律案は、日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の締結に伴いまして、国際連合の軍隊が同協定の効力発生の際現に使用している土地等で同協定の効力発生の目の後なお引き続いて国際連合の軍隊の用に供する必要がある場合におきまして、それらの土地等の所有者等との間に使用についての協議が成立しないものがありまする際、日本国とアメリカ合衆国との間の全安保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等の特別措置法の規定によりアメリカ合衆国軍隊の用に供するため必要がある場合に土地等の使用又は収用をいたす例によりまして、これを使用し、又は収用することができ得ることといたしますると共に、国際連合の軍隊がこの協定の効力発生の際現に使用している水面を同協定の効力発生の日の後、なお引き続いて国際連合の軍隊の用に供するため必要がある場合におきまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律の規定により、アメリカ合衆国軍隊に水面を使用させるため漁船の操業を制限又は禁止し、且つこれによりこうむつた漁民の損失を補償する場合の例によりまして、漁船の操業を制限又は禁止し、且つこれによりこうむつた漁民の損失を補償することができることといたします等、国際連合の軍隊による施設の使用を円滑にするための措置を講ずる等の必要がありますので、今回日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定の実施に伴う土地等の使用及び漁船の操業制限等に関する法律案をここに提案いたすこととしたのであります。
本法律案の内容につきましては、第一条は、先に申し上げました国連軍協定の実施に伴う土地等の使用等についての規定でございます。即ち、国連軍協定の効力発生の際、国際連合の軍隊が現に使用している土地等を同協定の効力発生の日の後なお引き続いて国際連合の軍隊の用に供するため必要がある場合には、内閣総理大臣は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の規定の例により土地等を使用し又は収用することができることといたし、その際特別措置法附則第二項の規定の例により土地等を一時使用いたします場合についての所要の読み替えをいたしております。
第二条は、国際連合の軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等についての規定でございます。即ち国連軍協定の効力発生の際国連軍が現に使用している水面を同協定の効力発生の日の後なお引き続いて国際連合の軍隊の用に供するため必要がある場合におきまして、内閣総理大臣は、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基き駐留する合衆国軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限等に関する法律の規定により漁船の操業を制限、又は禁止し、且つこれによりこう、むつた漁民の損失を補償する場合の例により、漁船の操業の制限及び禁止並びにこれに伴う損失補償ができ得るようにいたしております。
附則第二項におきましては、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律の改正を行わんとずるものであります。即ち同法にいうアメリカ合衆国軍隊の行為と全く同種の国際連合の軍隊の行為により農林漁業者等がその事業の経営上こうむつた特別損失をアメリカ合衆国軍隊の行為による場合と同様に補償する必要があるための改正であります。
なお、かかる損失の補償につきましては、同法の附則第一項の趣旨にあわせこの法律の附則第一項後段で日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日以降生じた損失について適用することといたしたのであります。
次に附則第三項におきまして、調達庁設置法の改正を行わんとするものであります。即ち国際連合の軍隊に水面を使用させるための漁船の操業制限及び禁止並びにこれらに伴う損失の補償並びに国際連合の軍隊の行為による特別損失の補償等が調達庁の業務として附加されることとなりますので同業務を調達庁の不動産部の所掌とすることとし、併せてこれらの損失の補償について中央調達不動産審議会に諮問し得るように所要の改正を加えたのであります。
最後に附則第四項におきまして、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の改正を行わんとするものであります。
これは前国会におきまして土地収用法にあつ旋制度の新たな規定が挿入されましたため、特別措置法で引用いたしました条文も改正されましたので、それに伴う改正をいたしたのであります。
以上が本法律案の提案の理由及びその概要でございます。何とぞ慎重御審議の上速やかに可決されるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/21
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022・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/22
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023・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 只今提案理由及びその概要を御説明になりましたが、逐条的には御説明はないのですか、一応。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/23
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024・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 御必要でしたら願うことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/24
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025・山内隆一
○政府委員(山内隆一君) それでは今の提案理由の説明に極く簡単に各条文のことを申上げましたが、なおこの法律案につきまして少しく附加して御説明申上げたいと思います。
第一条の初めに書いてあります条文は、これは眼目は国連軍が現に使用している土地等で今後も必要であるものにつきましては、この特別措置法の規定によつて土地を使用し又は収用する場合の例によつて処理する。こういうことの原則を書いてありまして、この点の一番眼目は、駐留軍の場合と違いまして、今現に使つているもの以外に新たな要求は考えていないということが大事な点でございます。
それから一条の後段に書いてありますのは、原則は特別措置法の規定によつて収用、使用する場合の例によつてできると書いてありますが、併しいきなりこれによつてすぐにやるということではなくて、その前にできるだけの努力を、円満な契約締結に努力をするということを前提としまして、それで駐留軍の場合には安全保障条約効力発生の日から九十日まではこれはまあ当然従来のまま使用し得るわけですが、九十日たてば今度は原則としては撤退しなければならない。併しその九十日の間にできるだけ話合つて円満締結に努めるのでありますが、それができない見通しが付けば、一時使用の手続がきめられまして、六カ月だけはこの一時使用の簡単な手続で使用、収用することができるようになつておりますが、この場合はそういう九十日というようなはつきりした日限はないのでありましてそれに丁度相応するような方法としてはどうするかという点が問題でありまして、一番この第一条の最後にあります「日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約の効力発生の日から九十日以内に、」とあるのは、この場合には「協定の効力の発生の日までに、あらかじめ」というふうに読み替えをして適用したい、こういうのでありまして、協定の効力がいつ頃発生するかという、いつかということははつきりわかりませんでも、大体いつ頃発生するかということは今後の進み方で大よそわかりますから、できるだけ早く現に使用しておる土地等で使用するという申出のあるものについてはその所有者と十分に話合いをして円満に契約を締結できるように努力するが、それがなかなか困難であるというような場合には、今のこの「協定の効力発生の日までに、あらかじめ」という趣旨によつて、一時使用の手続もできる、こういうことを書いたのであります。
それから第二条は漁船の操業制限に関する問題でありまして、これはこの文章にあります通り、国連軍の場合におきましても、やはり現に使つておる、又これは土地建物と違いまして、場所によりましては絶えず継続して使う場合に限らないわけで、或る時期を画して使おうというのもありますから、無論そういうのを含めまして、駐留軍の場合と同じような方法で取扱え、こういうことを書いてあるわけであります。
それから附則のほうにおきましては、特損法のことを附則の一に書いてありますが、これは御承知のように特損法を国会で御審議を願う場合に、原案としましては当然に遡及効は認めなかつたのでありますが、国会の御修正によりまして遡及効をするようになつておるのであります。従つてこれもやはりそういう意味で安全保障条約の効力の発生の日以降生じた損失について適用する。それと同じように遡つて適用するということを書き現わしたわけであります。
なお附則の二項は、特別損失の補償、に関する法律の一部を次のように改正する、題名を直すということでございます。「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊等の」、「等」を入れまして、国連軍も含む、「行為による特別損失の補償」、そういういうふうに題名を直す。それから第一条で「日本国内及びその附近に配備されたアメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍」を「日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊又は日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定に基き日本国内にある国際連合の軍隊」と、そういうふうに改めるということでございます。
それから三は、全く今申しました新らしい仕事を調達庁の主掌事務とするという意味でここに四号を一つ入れるということでございます。
それからあとやはりその趣旨によりまして関係条文のちよつと字句の整理でございます。
それから一番最後に「第十四条第一項中「百二十五条第一号及び第三号から第五号まで」を「第百二十五条第二号及び第四号から第六号までに改める。」、これは先ほど申しました前国会における土地収用法の斡旋制度による援用条文をこう直さんと合いませんから直すだけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/25
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026・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この第一条における土地等の問題につきましては、水産関係の漁業権というものが含まれておるわけであります。これによりますというと、これを使用することにつきましては「収用する場合の例により、」と書いてある。ところがこれに対する補償の問題は明確を欠いておるわけでありますが、第二条におきまして遡及する規定があるのに、この第一条の土地等の場合においては遡及の規定がない。先ほど何か御説明があつたようでありますが、この第一条に関する部分は見舞金で処理する、こういう意味なんでありますか。この安全保障条約発効から今度のこの協定の効力発生の間における損失、それに対する補償は何らここに明記してありませんが、その点はどうなるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/26
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027・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 秋山委員からの御質疑に対して私からお答えいたします。
第一の特別措置法の内容に補償規定がないという点でございますが、日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法、これの目的と定義の一部を第一条に書いておるのでございまするが、これにつきましては、主としてこれが土地収用法の規定を移し替えておるわけでありまして、この中に収用法にかかつたものが大体裁定条件でいろいろと補償関係が裁定されるわけでございます。従いまして本法においては具体的に補償のことは取扱つてないわけであります。
それから第二条の占領終結、講和発効時から本協定の発効までの間の問題が空白となるのではないかという御質疑でございまするが、これにつきましては只今も当庁の総務部長が御説明申上げましたように、我々といたしましては大体この漁船の操業制限というものを過去に遡つて制限するという行為がいろいろ技術的に困難じやないか。従いましてこの間にブランクはあるのではありまするが、これを過去の事実として別に行政措置をして補償その他を行いたい。よく見舞金の問題が法の規定によるよりも弱いという観念から議論になるのでありまするが、純粋に金銭的にだけ見ました場合には、只今も御説明申上げましたように、方式その他につきましては全然同一の方式をとつてやるという考え方で処置したい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/27
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028・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 そういたしますとこの「漁船の操業を制限し、又は禁止する場合の例により、漁船の操業を制限し、又は禁止することができる」という、この例によるということは、禁止する或いは制限するということのみに限られておつて、この法律の例によるという意味ではないのでございますか。従つてこの附則にあるところの、附則第一項の「安全保障条約の効力発生の日以降生じた損失について適用する。」とある規定は、この協定に基く制限、禁止というものには適用しない、こういうことに解すべきでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/28
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029・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) お答え申上げます。只今申上げましたのは講和発効以後協定の発効までの間のことでありまするが、協定が効力を生じまして、又只今御審議を願つております本法案の施行されました後におきましては漁船の操業制限の例によつてやるのでありまして、従いまして制限禁止の法的手続をとりまして、補償は当然その中に含まれて来る、こういうふうに解釈いたしております。
特別損失補償の関係につきましては、講和発効後の過去の集積もそのまま残つておりますものが相当あるのでありまするが、こういうものにつきましては、講和発効後本法律が適用される期間につきましては、原状復旧或いは損害の補償というものを全面的に適用して行きたい、こういうように「考えておるわけでございます。この問題につきましては過去に遡つて事実行為或いは法的行為の具体的な措置は特に必要としないと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/29
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030・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 どうも少しおかしいのですが、只今の御説明によると安保条約の効力発生の日に遡つてやられるというし、又一面では見舞で行かれるという点がどうもはつきりしないのですが、その点もう少し明確に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/30
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031・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 只今の秋山委員の御質問、推定いたしますと一年を区切るという意味が年々補償するという意味で御質問になつておるのか、その点私のほうではつきりわからないのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/31
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032・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 この国連軍は占領時代からずつとおる軍隊のはずなんです。従つて日本の安全保障条約が締結された際においても依然としておつた。そしてそれが引続き使用しておつた土地もあり或いは漁業その他において制限は、法律によつてはやらないにしても、演習その他の行為によつてこれが制限禁止をされると同じような形におかれておつた場所もあるはずなんでしよう、陸においても、水面においても……。従つて法律はないけれども、実質的には法律があつたと同じような形にまあなつておる。ところが今度この協定ができて、これに補償をするという条章がここにできた場合に、その間当然安全保障条約の第三条によつているくな法律ができておりますが、それと同じように、米駐留軍と同じように補償すべきものと私どもはこう考える。特にここにこのアメリカとの協定に関する法律につきましては、附則の第一項で、先ほど申しましたように、安保条約の効力が発生した日以後生じた損害についてとこうあるのです。これがそのまま適用されるのであるか。それは適用されないで、今度の協定ができた後において正式に補償の途を講ずる、それまでの間、即ち安全保障条約の締結からこの今度できた地位に関する協定、これの効力の発生する日までの間の期間についてはいずれも見舞金を以て処理する、こういうふうに解すべきかどうかという点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/32
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033・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 漁船の操業制限に関しましては、只今御質問の内容にございましたように、我々といたしましてはこれを本法案が議決されまして発効後に実施する。それ以前のものにつきましては、同じ方式はとりますが、法律に基かないで事実上の補償をいたしたい、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/33
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034・山田節男
○山田節男君 関連して。今の秋山委員の言われた質問に関連してですがね。先ほどの下田条約局長、それから調達庁の山内総務部長の御説明によると、今議題になつている法案は国連の協定が日本の政府によつて受諾されて、いわゆる批准行為が済んで効力が発生した後にこれによるいろいろな補償問題を実施して、それまではいわゆる平和条約が発効後国連協定の効力が発効するまでの間のものは全部見舞金で処理する、こういう説明であつたように私は了解しております。然るに今附則のほうでは特別損失の補償に関しては安全保障条約の効力発生のひ以後過去に遡及しているわけです。然るに漁船の操業禁止等によつて起る補償については国連協定の効力が発生した以前は見舞金で処理する、そこは法律として非常にアンバランスじやないか。今の不動産部長の説明を聞くと、見舞金であるけれども、内容においてはやはり国連協定が発効後において或いは合同委員会、或いは補償規定によつて同じようにやりますということを言われているように私は了解するのでずが、そうすればこの特損法の補償の場合とバランスが取れんじやないか、かように了解するのですが、その点をやはり秋山委員も質問しておられるんだろうと思いますが、この点はつきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/34
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035・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 形式上から申しますと、一方においては協定発効前のものも遡及する、漁船の操業制限については遡及せずに行政措置で補償するという点でございますが、只今も申上げましたように、漁船の操業制限についてはその制限禁止の行為につきまして手続をやつてやることになつております。その関係が、事実過去に二年遡つて禁止の規定をやるということが純粋に法理論的に見ますと困難じやないか、こういう観点に立つているわけでございます。それから特損法の関係につきましては、これは間接被害の補償規定でございまして、大体無過失の責任を取つているわけでございますが、これにつきましては過去の集積が溜つたものを発効後に現実をつかまえてそこで補償をして行きたい、こういう点で遡及効を認めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/35
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036・山田節男
○山田節男君 どうもはつきりしないのですがね。例えばこの国連協定が効力を発生して来てこの法律が適用されると、こういう場合に、この議題になつているような漁船の操業の制限禁止等によつての損害は、もうこれは極端に言えば占領軍政当時から起きているわけです。勿論これが平和条約が効力を発効して日本が独立国家となつて国連軍としたならば、これは我々は何もおる権利けないのだ、お客さんとして、ゲストとしているおるわけであるのだ、御迷惑をかけないようにして、我々は日本に朝鮮戦争が終るまでは置いてもらいたい、これは向うの最高指揮官がそう言つている。然るに先ほど下田条約局長の説明によると、その裏面を言えば、いわゆる吉田内閣が軟弱外交で当然取れるべきものを取らないで、向うさんに補償をさせないで、国内問題としての財政措置を故なくしたということを言つている。この漁船の操業禁止の規定によつて、占領軍政当時は勿論、講和条約発効後において今日に至るまで現に損害をこうむつている。そういつた場合に、国連協定の発効した場合に、そのときにはもうすでに過去独立になつてから後のニカ年、二年有半というものはずつと継続して同じの損失をこうむつている。それを国連協定発効後においては、その前のものはもう見舞金でやるのだというやり方は、何としても筋道がこれは立たない。補償すべき事態というものはずつと継続しているのだ。今の不動産部長の説明では、これは非常に僕は何と言いますか、不公平と言うか、内容において扱いは同じなので補償の額においては国連協定発効後においての措置と同じだということを言われるが、補償すべき対象というものはずつと占領軍政或いは平和条約が発効後、今日国連協定の発効するまで事態が続いている。それを国連協定の以後においてはこれは正式の法律によつて補償するが、その前は一つの見舞金としてやるということは、これは行政措置としても非常に穏当を欠くのではないか、今の御答弁ではその事態がどうもはつきりしない、そういうような不公平なことはあり得ないことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/36
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037・千田正
○千田正君 関連しまして。今秋山委員その他から質問があつた通り、これは併し一応聞いておきたいことは、立法に際して憲法のいわゆる国民の権利というものに対しての考え方、あなた方違つていやしないかと思う。憲法第三章においては国民の義務と権利を裏付けられて、更に二十九条においては財産権の確立したところの法律があるわけです。一方において不平等な法律の下にそういうことを均霑されないということは、これは憲法違反の疑いがありますよ。こういう法律を出されるということは、法の下においては何人といえども平等でなければいかん、憲法はそう規定してある。二十九条においては、財産権は何人といえども侵すことはできない。但し公共の福祉に適合する場合においてはこれは考えられるけれども、それにしてもそれは法の下においては平等でなければいけない。一方においては十分にやり、一方においては加減するなどということは、これは法律としては立法の精神は平等でないと私は考えるのですが、あなたはどう思うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/37
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038・山中一朗
○政府委員(山中一朗君) 只今の御質問でありますが、我々といたしましても、できるだけ法的措置については平等でなければならんということについては勿論同感でございます。従いまして我々はできるだけ早く国連協定ができて、事実行為における制限を一日も早くやめ、正式にこれを提供できるような、提供し得なければならないようなものは提供し得られるような状態に置きたかつたわけであります。併しながら国連協定という一つの前提になる協定が現在まだできないので遺憾ながらかような状態になつておるわけであります。併しながらこれらの問題は、必ずしも全部が金銭に換価できないかもわかりませんが、できるだけこれを早く、実施できるようにいたしまして、平行的に両方とも金銭的な面において或いはその他物質的な面において平等な取扱をいたしたいという考え方の根本的基礎については変りはないわけでございます。何故それでは漁船の操業制限については遡及効を認めないのかという問題が残るわけでございますが、説明が不十分かもわかりませんが、只今までも申上げましたように、一応制限とか禁止とかいう事実行為は認められますが、これを二年間に遡つて一方的な告示を出すことが事実行動としてどういうような効果があるか、或いは事実上の問題としてこれは可能であるか、可能でないかということが我々といたしましては相当問題ではないか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/38
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039・千田正
○千田正君 そういうことであなた方は法律を出しているのですか。そんなむちやくちやな法律の出し方はありませんよ。やはり法律を出すためには、万民に平等でなければならない。少くとも国民が納得行くような法律でなければ法の精神というものは効果が現われて来ない。あなたの言うことから言うと、二年前のことはまあ漁船の操業禁止したと、それによつて実害を受けているかどうかということは十分でないので、調査したりなんかするのになかなか容易でないので当然見舞金で処理しようということとしか受取れない。併しそうではない、法律というものは、何回も言う通り、国民の権利義務を規定するところの法律です。法律が出た以上は万民が納得するような法律でなければならない。一方においては補償金、一方においては見舞金、或いは遡らない、これは不平等ですよ、法律としては。こういうような法律をあなた方はおめおめ国会のほう出すということは以てのほかですよ、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/39
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040・山田節男
○山田節男君 先ほど私が申したように国連軍としては朝鮮戦争が継続する間は一つお客さんとして置いてもらいたいと、平和条約発効後においてはもう何らおるべき点はない。併し日本政府はやはり国連軍に協力するという安全保障条約並びに平和条約の趣旨に従つてただ道徳的にこれを支援すると、国連軍もアメリカの駐留軍、駐留軍に準じてこれを待遇して来ているわけです。そういうことになればこうして国連協定ができれば、当然安全保障条約或いは日米行政協定によつて補償されているものに対しては、国連軍協定によつて、国連軍によつてこうむつたいろいろの補償の問題も、これはやはりそれに準じて補償しなくちやならない。これを何故そういう差別待遇をするのか。その点が今のあなたの不動産部長の説明では、今千田委員の指摘があつたように非常に不公平である。大体我々の国会の了承しておつたことは、国連軍は米駐留軍の待遇を与える、それと平行して法的措置はということになれば、これは過去に遡つて安全保障条約或いは行政協定に基いてやると、補償はこれはやるべきものは論を待たない。今の説明では、非常に何といいますか、国連軍に対しては米駐留軍以上に日本が遠慮しているというか、そういつたような恰好になつておる。納得のできないというより、法的、立法の建前が非常に不公平だと思う。この点一体どうしてこういうことになつたのか。これは外務省がいないとわからないが、特調が実際に行政的な機関として、そういうことで実際現場で納得するかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/40
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041・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今それぞれの委員から御指摘のある通りでありまして、この問題につきましては曾つてしばしば陳情等があつて、何とかしてくれという申出は調達庁のほうにも出ておる。然るに何ら法的措置がないからできない。この措置ができたら何とかしようというように今日まで来ておつたので、関係者といたしましてはこの法律ができるということによつて、漸くまあ自分たちの正式の補償をしてもらえるのだというような期待を持つているわけです。そこに持つて来て法律には何ら見舞金をやるでもなければ、補償を付けるとも何ともない。ただこの協定によつて協定の効力が発生した後に改めて制限をして、それに対する補償をするというようなことにしかなつていない。今お話のような見舞金を出すとかいうようなことは何にもない。それで非常なおかしいことになる。この見舞金ということは、或いは正式補償というものも額においては同じになるでしよう。又なければならんと思いまするが、それほどに調査或いは計算ができるものならばただ法律の文面によつてここに制限し或いは禁止することができるという文句はないために、そういうことが条文に書けないということは非常におかしいことだと思いますが、もつと実態に即した行き方をすべきであると私どもは考える。従つてこの附則にあるものをそのまま附則を生かして来ればいいわけなんです。それは調達庁としては、今お話のように法的措置がなかつたから補償その他のことはこの文面には書けないと、こういう御解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/41
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042・山内隆一
○政府委員(山内隆一君) 不動産部長がすでにたびたびこの騒についいはお答えになつていますが、私も結局同じことを申上げるのですけれども、人が違えば又多少の説き方も違う場合があると思うのですが、まあ今の御議論の点は、実は私どもだけじやなしに、関係の各省としましても会議を開いたときに、やはりたびたびこの問題は問題になつて、論議せられた点でありまして、やはり一部の考え方としては、講和条約発効まで遡つてこの適用をしたらいいじやないかという意見も当然まああるわけなんです。それから又漁船の操業制限に関する法律そのものも遡つて適用するんじやないが、やはり遡つて補償するという表現で出したらどうかという意見もあるわけなんです。ただそれに対して、一番私どもが、これはまあ私どもの考えが間違つているかも知れませんけれども、少くとも各省の話合いの結果、まあ最後に一致した点が今の点なんでありまして、漁船の操業制限に関する法律を既存法と同じように講和条約の発効の日まで遡るような、文章はともかくとしてそういうような意味のふうに書き現わした場合にどうなるか、そうすると将来に亘つてのものは正式にこの手続、なかなか水面の使用と漁船の操業制限はいろいろの手続が必要でありまして、相当細かな区域をきめて告示をするとか、或いは時間的の関係もはつ言公示するとか、まあいろいろの手続、内容も複雑になつておりますので、そういうことを将来に亘つてする。もう極力被害を少くし、又危険を少くするために当然水面を使う場合には法律に基いてやる必要がありますが、過去に遡つて実際使つたものをそのままうまく文章で表現して発表するということが果してうまくできるかどうか。又過去に遡つてどこどこの水面をどういう区域で使うとか、或いはその間漁船は入つちやいかんということを公示する、過去に遡つてそうすることが果してどういう価値を生ずるものだと、意味はないじやないかというような事情がありまして、そこでまあ今のようなことになつたわけです。併しお話のように公平にやる、その損失を適当な補償をするということは、これはもう当然のことでありますので、ここにないものですから、どうも私どもは非常に恐縮なんですが、これはもうどこまでも差別待遇をせずに、予算措置、行政措置で以て補償をするということをまあ各省とも固く申合せておりますし、又私どもの委員会等でもそういうものを突付かれまして、はつきりまあ関係責任者としてお答えをしてあるわけでありまして、その点まあ私どもはそういう考えの下にこんな法律になつたということを御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/42
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043・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 今のお話を聞きますと、非常に私にはおかしいのですがね、大体国連軍は、それじや日本政府も何も言わないで、勝手気ままに今までやつていたのですか、何らかの話合いがあつたのじやありませんか。水面を使用するとか、或いは陸上の施設を使用するとかという場合に、もう政府に何の話もなしに野放しに、勝手気ままにやつていたとは私どもは受取れない。そういうことになつたら重大責任がある。何らかの話合いがあつて、或る程度の標準があつたと思う。それを今後仮にこれによつて規定するにいたしましても、その範囲が拡張されるか、縮小されるかというだけの話で、ほぼその問題と同じようならば、何もむずかしいことも私はないと思う。ところが政府は何も知らないで、どこでどれだけのものを何日間使つていたかわからないというのでは、これは私はどうしても納得が行かない。もうそれで政府にもすでにわかつているはずです。いわんやその住民の連中はどこどこどこがやれないということは何遍も言うて来ておるわけです。ですから今のお答えはちよつと私どもには納得が行かないのですね。これは政府と国連軍との何に、自分たちはここで演習するとか或いはここを使用したいとかいうことはあつたはずです。ただ法律上にそういうことを規定する条項がないだけであつて、実質的にはあつたのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/43
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044・山田節男
○山田節男君 これ、今の秋山委員の質問ですがね、今の山内総務部長の話によると、あなた一番当面の責任者が現実の事態を全然把握していないということになる。今の国連軍がやつていることは、これはもう占領軍政から引続いて講和発効後においてもずつと連続して今日に至つている。而もこの国連に対しては、これは国連軍の協定ができるまでは日米行政協定に準じてすべてのものを処理している、こういう建前になつている。それで今度ここべ国連協定ができた場合には、当然これは過去に遡及してやらなければいけないので、今後新らしくということは、これはなかなか僕は数はそうあり得ないと思う。問題は今まであつた占領軍政或いは平和条約が発効して後今日まで依然として継続してやつていることが問題なんであつて、そこが今の山内君の言われることは逆なんですよ。だから今のようないきさつで、経過でこの法案ができたということになれば、現実の事態を把握していないということなんです。而も当面の責任者である特調がこういう現実の事態について全然知らないのか、関心を持たないのか、その結果不公平なことになつている、かように考えるのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/44
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045・青山正一
○青山正一君 山田さん、秋山さん如何ですか、本日のこの政府委員は当面の責任者はいないのですから、これは本日は散会して頂いて、そして建設委員会は建設委員会、それから水産委員会は水産委員会でたびたび会合を催して頂いて、そうしてはつきりとした政府の責任者が出て頂いてこの問題を一つ統一して頂くということを条件として、本日は散会するということにしたらどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/45
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046・山田節男
○山田節男君 今の青山委員の御意見は私異議はありませんが、併し今の問題とこの法律案の第一条の措置に関する問題につきましても、やはりこれはそういつたような措置から行けば、今問題になつている漁船の操業の制限禁止の問題と同じようなものがあるわけなんです。同じような問題です。これは今の特調がそういう事態の認識不足なことを言うのでは、これは速記録に残つておれば政府の責任になるわけなんです。ですからこれは若し次回にやつて頂くのならば、やはりこれは所管大臣或いは長官が来て、或いは外務省側も交えてこれは一つはつきりしてもらわないと、今まで指摘された根本問題がはつきりしないのに法の審議をしても無駄だと思うのです。ですからこの点は今の青山委員の御提案に賛成しますが、ただそういう条件を出して頂いて今後の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/46
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047・青山正一
○青山正一君 合同委員会を開くとか開かんということは両委員長のほうにお任せすることにして、一応今の説明では、これは非常にむずかしいわけですから、一つそれが十分論議できるように今後進めて頂くということの条件で、本日はこれで散会して頂きたい。(「了解」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/47
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048・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 只今の青山委員の御動議の通り取運びますことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/48
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049・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 御異議ないと認めます。次回の連合委員会は水産委員長と協議して決定することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/49
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050・深川タマヱ
○委員長(深川タマヱ君) 御異議ないようでございますのでさよう取計います。
本日はこの程度で散会いたします。
午後零時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914141X00119540519/50
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