1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月二十八日(金曜日)
午前十一時三十四分開会
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委員の異動
五月二十四日委員湯山勇君辞任につ
き、その補欠として岡三郎君を議長に
おいて指名した。
五月二十六日委員岡三郎君辞任につ
き、その補欠として湯山勇君を議長に
おいて指名した。
五月二十七日委員宮田重文君辞任につ
き、その補欠として岡田信次君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 松浦 清一君
理事
北村 一男君
千葉 信君
委員
岡田 信次君
後藤 文夫君
溝口 三郎君
湯山 勇君
紅露 みつ君
国務大臣
国 務 大 臣 加藤鐐五郎君
政府委員
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室統轄
参事官) 田上 辰雄君
事務局側
常任委員会専門
員 熊埜御堂定君
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本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○京都府豊里村の地域給に関する請願
(第二六五二号)
○福島県磐城市の地域給に関する請願
(第二六五三号)
○愛媛県船木村の地域給に関する請願
(第二六六九号)
○秋田県の地域給に関する請願(第二
六七一号)
○埼玉県西武町の地域給に関する請願
(第二六七四号)
○昭和二十九年六月に支給されるべき
国家公務員の期末手当の臨時措置に
関する決議案(千葉信君外六十七名
発議)
○国の経営する企業に勤務する職員の
給与等に関する特例法案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/0
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001・松浦清一
○委員長(松浦清一君) それでは委員会を開会いたします。
日程に追加して理事補欠選挙の件を議題に供します。宮田理事の委員辞任に伴いまして、理事が一名欠員となりましたので、その補欠の互選をいたしたいと存じます。互選の方法は成規の手続を省略いたしまして、委員長において指名することに御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/1
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002・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 御異議ないものと認めます。それでは理事に北村一男君を指名いたします。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/2
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003・松浦清一
○委員長(松浦清一君) では北村一男君が理事に指名されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/3
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004・松浦清一
○委員長(松浦清一君) それから本日の議題は、国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案、昭和二十九年六月に支給されるべき国家公務員の期末手当の臨時措置に関する法律案その他請願、陳情でございますが、日程を変更いたしまして、請願の件を取上けることに御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/4
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005・松浦清一
○委員長(松浦清一君) それでは請願の件をお諮りいたします。請願第二千六百五十二号、京都府豊里村の地域給に関する請願、第二千六百五十三号、福島県磐城市の地域給に関する請願、第二千六百六十九号、愛媛県船木村の地域給に関する請願、第二千六百七十一号、秋田県の地域給に関する請願、第二千六百七十四号、埼玉県西武町の地域給に関する請願、以上五件であります。以上五件の請願をそれぞれ採択して、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定して御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/5
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006・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 御異議ないものと認めます。さよう決定をいたしました。政府委員その他国務大臣がお見えになるまで暫時休憩をいたします。
午前十一時三十六分休憩
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午前十一時五十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/6
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007・松浦清一
○委員長(松浦清一君) それでは休憩前に引続いて会議を開きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/7
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008・千葉信
○千葉信君 私はこの際先ほどの委員諸君との御懇談に基いて、次の決議案を提出し、若干の理由を申上げたいと思います。
決議案
現行の公務員給与の状況に鑑み、
政府においては本年六月の期末手当
の支給に際して適当な措置を講ぜら
れたい。
右決議す。
御承知のように現行の公務員の給与が決定しました当時は、勧告されました人事院の勧告の基準となりました時期をはるかに過ぎて遅延して決定されました条件があり、且つその内容におきましても必ずしも勧告通りの給与水準とはならなかつたという事情がありまして、少くとも四月から十二月までの自然上昇せる給与分については、これが給与改訂の際考慮の対象とならず、加うるに地域給の本法繰入という操作によつて公務員のこうむりました不利益は、少くとも現行給与の一割を下らないという条件を誘致いたしましたし、更に勧告の基準となりました昨年三月の消費者価格等の状況からいたしますると、本年一月乃至二月までの間に一〇%を超える上昇を示しておりまするし、かくのごとき状態の中で二月以降における物価の横這いという状況はあるといたしましても、この実際上蒙りました不利益による公務員の生計費の赤字は蔽うべくもない状態でご」ざいまして、少くとも本年六月期に支給されるべき公務員に対する期末手当につきましては、人事院勧告を待つてこれを処理する等の在韓たる態度を以てしてはこの困難の状態を救済すべくもありませんので、この際政府としては、及ぶ限りの方策を講じて、是非公務員の期末手当の増額に努力されることが必要であると思料いたしましたので、以上御提案申上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/8
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009・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 千葉君に伺いますが、今の決議案の表題はどういうことですか。要望決議案ですか、要望書ですか、単なる決議ですか、どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/9
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010・千葉信
○千葉信君 期末手当増額に関する決議ということになつております。只今申上げたような内容になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/10
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011・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 期末手当増額に関する決議案ですか……。只今昭和二十九年六月に支給されるべき国家公務員の期末手当の臨時措置に関する法律案に関連をいたしまして、千葉君から期末手当増額に関する決議案の御提案がございましたが、質疑のあるかたは順次御発言を願いたいと思います……。御質問ございませんですか……。御質問がなければ千葉君提案の通り決議をすることに御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/11
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012・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 千葉君提案の通り可決されました。
従つてこれは委員長理事打揃いまして政府に手交することにいたしたいと存じます。御了承願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/12
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013・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 次に国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案について前回に引続いて質疑のあるかたは順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/13
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014・千葉信
○千葉信君 お尋ねいたしますが、この法律案の成立に伴なつて予想される条件の中で、かなり明らかにしておく必要があると思われる二、三の点についてあなたに御質問申上げますが、法案審議の過程の中で明らかになりましたことは、この法律の成立によつて行われるべき非適用職員に対する不均衡を是正するための措置によつて給与の改訂が行われ、その給与の改訂に要する予算等については、かなりその行政措置上問題があると思われますが、この際はそれを問わないとして、一体五現業を通じて二億八千万程度の予算を何らかの形において捻出しなければならないという状態にあるわけですが、そういう場合、その捻出は給与費に振替えすることのできる予算の中から賄われることになると思いますが、そういう措置をとつた場合、従来の例から見て団体交渉等によつて行われた給与改善の措置とか、応急措置だとかがとられて来た。その事実が今の二億八千万円に該当する分等については窮屈になる。若くは不利益になる。そういう状態が起ることは当然の結論でございますが、そう条件に対して大臣としては何らかの措置をおとりになる用意があるのかどうか、大臣のお考えのほどを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/14
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015・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 本年度におきましてはまだ予算が正確にとつてありませんが、大体今の状態でやり繰りができるように考えておりまするが、来年度におきましては本年の大体の実績を見まして、右えならえして行くように予算を計上いたして行きたいとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/15
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016・千葉信
○千葉信君 私のお尋ねしているのは、当然これは来年度においてはこの法律を根拠として、この分については予算が組まれるわけですから、これはまあ御答弁を待つまでもなく当然のことだと思うのです。私のお尋ねしているのはそういうことではなくて、本年度内に御承知のように予算のない状態においてこの措置が、何らかの措置が講ぜられ、その何らかの措置を講ぜられた分だけは少くとも従来給与費に充当できる費目であるという建前では、団体交渉によつてかなり応急措置がとられ、若しくは期末手当とかその他の給与に振当てられて来たものがなくなるわけですから、それに対して従来と変らないように、成るべく不利益の起らないような措置をする用意があるのかないのか、そのおつもりがあるのかないのか、その点をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/16
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017・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今年は経過的措置においては幾分不満足の点があり得ると思います。できるだけ本年はこの範囲において希望に副いたいと思つておる次第でございまするが、大体はできるだろうと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/17
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018・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 大臣のおつしやいました通りに、来年度においては問題ないのでありますが、本年度におきましては予算もすでにきめられておりますし、現在の給与支給において関係の各省庁においてできるだけの配慮をいたしまして、そうして問題になつておりまする不均衡是正をできる限りにおいて、且つできるだけ速かにこれが実現を図りたいと、関係各省におきまして具体的に検討を加えておるわけであります。そうすることによりまして、千葉委員のお尋ねの期末手当等の財源を食うのではないか、又それに対する特別の措置を考えておるかどうかというお尋ねでございますが、その点につきましては現在準備ができておると申すことはできないのであります。私どもとしましては各省関係官庁とも何とか、問題の非適用職員のアンバランスをこのまま特例法によつて是正したいということでありまして、この特例法が決定いたしますならば、その点におきまして一応救済ができる。殊に来年度からは完全な救済ができるということになるのであろうと思うのであります。なお第五条の特別の給与につきましても、この法令が適用されますならば、全職員格別な努力をいたしまして、収入の増加、又経費の節減によりましてできるだけの実績を上げることによつて、特別の給与の増額を期するという点において非常に職員一同期待を持つて新らしい気持で働けることを非常に期待しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/18
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019・千葉信
○千葉信君 成るべく審議を進行させたいという立場から御質問申上げておるのですが、答弁がどうも壼を外れておりますので、そのために審議が進まないという状態になりそうですが、できるだけ一つ簡単に御答弁願つて差支えないということと、それから只今申上げましたような場合には私のほうでは追及しておるのではなくて、この点について政府のほうでは将来当然の措置をとらなければならないことをお尋ねしておるのですから、それに対しては大臣のほうから努力するという御答弁があれば了解できる程度の質問ですから、そういう意味でお答え願いたいと思います。これはこの問題は、今ここで急速にこれに対する具体的な措置をとるということになれば当然予算を伴つて来る問題ですから、簡単にお答えはできないでしようから審議の都合上次に入ります。
次の質問は、御承知の通り、この措置によつて非適用者である一般職の職員が、公労法の適用者とできるだけ不均衡のないような措置を講ぜられることになるわけですが、そこで問題となるのは、今度はそれでは五つの現業以外の一般職の職員で従来同等であつた他の各省の職員との間に不均衡が起つて来るわけです。そこでその不均衡については成るべく政府としても好ましくない状態であるし、又不利益になる各省の職員としても好ましくない状態でありますから、責任上から言つてもそういう点に対しては政府としても深甚な考慮を要する点だろうと思うのです。特に二条の、政令によつて本省における課長、地方における部局長は、これはまあ一応除外されますが、それ以外の職員と、今回この法律が適用される職員の数は相当多数に上ると、そうしてこれらの職員と同じ立場にある各省の職員の数も又少い数でない。従つてこれらの職員の志気をできるだけ振作するような政治が行われなければならないと思うが、大臣は将来に向つてこの不均衡を、今度は又新たに生じて来た不均衡の是正について努力をされる用意があるかどうかこれを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/19
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020・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今回の非適用者職員を公労法適用者職員に右へ並えということをやりましたために、又どこかでこの不均衡が生ずるのでありまして、又只今政令で定めるというほうにも又どこかと不均衡が生ずるだろうと思います。これは過渡的のことで止むを得んのでありまして、その完璧を期して法案を提出いたすとよろしうございますが、いつのことになるかなかなかわかりませんで、この原案に幾分欠点があるかもしれませんか、この特例法を出したのでありまして、将来できるだけそれは均衡を得るようにせなければなりませんので、右へ並えのようにいたしたいと努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/20
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021・千葉信
○千葉信君 まあ加藤さんも進んでむずかしい給与の問題を担当されたわけですから、その御用意があることは私もわかつておりますが、将来ともにこういう問題については行政能率の向上という関係が非常に深いと思われますから、できるだけ約束の早期の実行をここにお願いして、次の質問に入りますが、その次は第三条に能率という条件が書いてあります。
で私どもの考えでは今のような低い給与の水準では能率という条件を加味すべきではない。御承知の通り一般の国民の生活水準から言いましても、国民の平均としては食糧費に収入の半分程度を割いておるというような現状です。ところが公務員の諸君は更に条件が悪いということは、種々の統計も立証しております。東京都内における調査におきましても民間におけるエンゲル係数と鋏状を呈して、民間の場合には四十五乃至六という線を往来しているのに、公務員諸君の場合は五十六、七という形で生計費のうちの五割以上を今以て支出しなければならないというのが公務員の給与の現状でございます。大臣も給与を担当されておられる立場から、生計費の中における食糧費の割合が三五%以上であるという状態に対しては、これは職責上最もその解決を図らなければならないお立場にあると思うのですが、従つてそういう給与の現状から言いますと、できるだけ能率とか、若しくは、又学歴とか、若しくは又年齢とか、そういう条件を加味すればするほど、この平均された食糧費の平均数から見ますと、非常に生活に困窮する職員が多くなるということは、これは当然でございます。併し現在の段階では、人事院の給与準則における勧告におきましても、能率という条件については、今の段階では厳格にこれを加味すべきではない。つまり生活給という水準に置かれている現在の給与の中で、正しい意味の能率給、正しい意味の職階給ということは、これは将来の理想ではあるけれども、現在の段階としては折衷的な状態で、先ず最低の生活を可能ならしめるという方針の上に立つて勧告されていることは、大臣も御承知なはずです。従つて、そういう意味では、私は意見としても第三条に能率という要素を入れたということについては、これはどうしても賛成できませんけれども、併し私がお尋ねしたいことは、この能率という条件を入れることによつて、この法律が非適用者を含んでいるという関係上、団体交渉を以てきめられるべき給与の内容に対して、この法律が泥足を踏み入れたということになると思うのです。団体交渉の対象としての給与の決定の際に、この法律で能率という条件が入れば、法律に制約を受けることは当然になつて来る。そういう団体交渉の内容が、この法律によつて影響を受けるということに対して、どういうふうにお考えになつておられるか。その不利を成るべく起させないようにするために、どう考えられたか、これを大臣から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/21
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022・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 第三条に能率という言葉がありまするが、これは先般お答えいたしたのでございまするが、この特別会計法によりまして、こういう文句が常套語として使用されてあるのでありまして、一口に申しますれば、この言葉を使つたのでございます。而してここに能率という言葉を書いたというのは、非常な深い意味で、御心配になるような意味で入れたわけではないのでございます。これは千葉君御承知のごとく、この非適用者職員の特例法でありまして、これが文句が入つておりましたところで、直ちに団体交渉の上において悪い影響を及ぼすようなことは私はないと思つております。一口に申しますれば、従来の各五現業の特別会計法にこの条文が、こういう文句が入つておりますから、これを持つて来たと、まあ軽く御解釈になれば差支えないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/22
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023・千葉信
○千葉信君 私はどうも大臣がお医者さんに似合わない答弁をされると思うのです。今まで大臣は匙加減一つで人を殺しもし、生かしてもして来られたと思うのです。大臣はその匙に薬を盛る場合に大したことがないという恰好でいい薬も悪い薬もおかまいなしに若し盛つて来たとすれば、これは大変だと思うのです。それはその問題と同じだと思うのです。成るほど大臣の言うようにこれは私はこれが特別会計法の中に入つているということは承知しております。併しこれは会計法でそういう条文になつておつても、これは当該企業において国若しくは理事者の立場で、職員としては従来のそういう会計法であつても団体交渉の場においてその条件を排除するという立場で交渉が行われ、又その条件が成熟することも可能だつたのです。ところが今度はその給与に関する法律の中にこういう条件が入つたということになりますと、厳格に今度は団体交渉がこの条件を基礎としながら考えなければならないということになるし、団体交渉もそれによつて制約されるという条件が出て来るのです。加うるに今のような水準の低い給与の場合には、これは大多数の意思によつて行われる団体交渉の基本としては成るべく生活に困窮するものをなくするような方向で給与の問題を取扱つて行かなければならないという立場になることは当然なことなんです。そうするとこの法律に能率云々という言葉が入つたことがその団体交渉に対して支障若しくは拘束を与える、制限を与えるという、そういう条件になるのです。大臣も御承知のように団体交渉を行う基準上しての公共企業体労働関係法にはそういう給与の内容等について一言も容喙していないのです。一言も容喙しないのに労働法では容喙していないのに、この法律に入れるというのですから、この点は大臣の言うように簡単に治つても治らなくてもいいというような恰好に、薬を盛るような恰好では困ると思うのです。だからその点では給与を担当しておられる大臣として将来に向つてこの問題についても利害関係者に不利益の起らないよう今から十分考えてもらわなきや困る、再考をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/23
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024・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私はこの第三条の「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない」ということはただ従来の特別会計法の文句をこのまま持つて来たということを申しましたが、私は職員の俸給手当というものに対して能率というものを無視する考えはないのでありまして、これは当然あるべきものであると私は考えておるのでありまして、今回のこれは只今お答えいたしたことく大した意味を持つておるものではないので、従来のものをここへ持つて来た、能率給というものが考えられるのは私は当然であるとこう思つておるのでありまして、而して大体の趣意といたしましては右へならえであつて、それがために団体交渉の非常に不利益などということは私は取越し苦労であろうと思うのでありますが、これ以上は意見の相違でありますのでこれは止むを得んと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/24
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025・千葉信
○千葉信君 これは意見の相違ということにはならないと思うのですがね、これは大臣は……。やめた。
次の質問に入ります。次にお尋ねしたいことは、この法律案を見ますと、「給与準則」という言葉が第四条に出て参つておりますが、従来私ども委員会で考えております「給与準則」というものと、この法律に引用して来た「給与準則」というものは、相当その性質も、内容も違つて来ている点があると思うのですが、大体公務員法等におきましても、「給与準則」と言われるのは、これは給与に関する法律である。で憲法におきましても、給与等の重大な問題については、法律できめるという建前になつている。が併しそういう条件から言いますと、ここに非常に不用意に、これも第三条と同じように不用意に、ここへ「給与準則」という条件を持込んでねりますが、が併しその当否は又意見の相違だなどと言つて、ピントのはずれた答弁をしてもらつても困りますから、そういう点は私は一応いいとして、この「給与準則」の内容についてお尋ねをしたいと思うのですが、一体団体交渉を以て決定せられるべき給与、それから給与の内容、或いは金額……、現在の五現業における大多数の職員は、その団体交渉に基く給与の決定が行われているところへ、非適用者である職員に対して、給与準則を設定するからと言つて、同時に適用者の職員にその給与準則を適用するということになるか。非適用者の場合には、一応この際は給与準則をきめるということにしても、仮りにいいとしても、適用者たる職員に対する給与の決定を給与準則できめるのだなどという法律をここできめるのは無意味なことじやないか。給与準則をきめてみたところで、その給与準則は、適用職員については団体交渉があるために、変革せられれば、直ちにその給与準則は改訂されなければならない。つまり適用職員の場合には、団体交渉即給与準則だし、給与準則即団体交渉だ。そうすると煩雑な手数が残るだけの話で、書いておかないよりは書いておいたほうがいい、この程度のものになつて来ていると思うのですが、そうすると余りここに給与準則をきめるなどというおこがましげな表現をここへ使つても、何にもならないじやないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/25
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026・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) これは法文作成の技術に関することでございますから、政府委員よりお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/26
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027・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 給与準則を法律できめるべきであるということは、これは無論でありまして、これの第四条にあります「給与準則」も極めて重要な内容ではありますが、これはこの第四条の法的な基礎によつて権限を与えられた主務大臣、或いはその委任を受けた者が給与準則をきめるのでありまして、給与準則の法的な基礎があることによつて、当然に給与準則が合理性を持つものであると思うのであります。
更にお尋ねのありました給与準則の制定は、これは特に給与準則を一々作るのは手数のかかることであるのではないか、公労法の適用職員の国交によつて、すぐ内容が変るものであるのだから、これを特に一々直す必要はないじやないかというお話でありますが、この給与準則は、従来各特別会計法の、或いは公社法に用いられてあるのでありまして、各五現業における賃金規則でありますので、これは制定せざるを得ないのであります。ただその内容が団交の結果によつてそれが動いて行くということは、止むを得ない、或いは当然なんでありまして、手数の問題ではなく、本質的に必要な事項であると思うのであります。ただこの給与準則の内容が団交によつて決定される、その場合におきまして、その団交の結果の内容によつて給与準則が変りますが、その給与準則が将来は、直ちにこの非適用職員に適用されるような、一本の給与準則になることを期待するのでありますが、差当りといたしましては、或いはこの給与準則を、非適用職員に対しましては、別なものを建てなければならんというふうなことになるのも、過渡的な事情で止むを得ないと思うの募ります。いろいろ手続上の問題もありますけれども、かかる……、非常に困難な、複雑な手数でもありませんし、且つ給与準則を、一々給与準則として制定して行くことは、これは必要な当然の作業といたしまして、給与準則を一々制定して行かなければならんと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/27
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028・千葉信
○千葉信君 御答弁必ずしも了承できない点がありますが、日程の都合で次に入ります。
次は第五条の終りのほうに、「予算の定めるところにより」、これは前にも湯山委員がお尋ねしましたが、私もここで別な角度から確認しないことは、この節減額の一部に相当する金額を「予算の定めるところにより」という、この「予算」という意味と、それから前段における「その会計年度の予算の中で給与の総額として定められた」云々と、この「予算の中で給与の総額として」とあるこの「総額」と、あとにある「予算の定めるところにより」というこの「予算」とは、内容が異なると思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/28
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029・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) お説の通り、第五条における先の「会計年度の予算」というのと、「予算の定めるところにより」の「予算」は意味が違うと思うのであります。前段は申すまでもなく、その会計年度の予算のうちに、きめられておる数字的な給与の総額を意味するものでありますが、あとの「予算の定めるところにより」という「予算」は、具体的に申しますと、先般もお答えいたしましたように、予算総則のきめられてある規定により、そういう意味に解釈をいたすべきであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/29
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030・千葉信
○千葉信君 そうじやないでしよう、あとの予算というのは給与の総額とか何とかいうそういうもののだとか、それから予算総則そのものの規定だとか、そういうものではなくて、予算そのものを言うのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/30
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031・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) この「予算の定めるところにより、」の予算は、只今申しましたように、予算総則という意味と解釈いたしております。併しながらこの予算総則の中にいろいろと数字もございますし、又特別の場合の手続きもあり、又経費の部に属することもいろいろと載つておりますので、それを総括的に意味するものであつて、予算総則の定めるところによりと申上げたほうが適当であろうと私は存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/31
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032・千葉信
○千葉信君 意地悪く聞いているわけじやないから……。
次にお尋ねしますが、この五条できめられている条件と同じような条件のものに日本電信電話公社の法律がある、そうしてその日本電信電話公社法による給与準則をきめた第七十二条によると、同じ条件に対して少し内容が違うのです。御承知の通り、こつちのほうは給与総額で定められた給与の支給の場合を除いて、その他の場合について、ここできめられているのは、「但し職員の能率の向上により収入が予定より」云々、とここが公社法のほうの場合にはこの条件が「但し、経済事情の変動その他予測することができない事態に応ずるため特に必要があつて、郵政大臣の認可を受け、国会の議決を経た金額の範囲内で、臨時に給与を支給する場合については、この限りでない。」、給与の総額を超えてはならんという前段の制約に対してこの但書がある、この但書には予算上も或る程度の留保が考慮せられるという点もあるのです。そうすると片方はこういうもの……、ですから相当巾がある。併し例えば今回の法律案の成立によつてその措置を受ける郵政当局の場合にはもともと電信電話公社法による電通の職員と同じ仲間の職員で、両者の中には相当その取扱いに不均衡な点があると思うのですが、これを職員の利益を保護するという立場からこれに近付ける方針がとられて然るべきだと思うのですが、具体的にはどういうふうにこの両者の均衡を……、もともとこの法律が均衡を図る必要があるということで出て来た法律ですから、そういう均衡を図る具体的な方針についてどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/32
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033・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 千葉委員のおつしやいました通りに電々公社のこの同種の規定と、今回提案いたしておりますこの特例法とは字句を異にしておるのであります。これはこの字句の通りに例えば「経済事情の変動その他予測することができない事態、こういうふうな言葉はないのでありまして、これは言葉の違いだけでなくて実質的にも多少の相違があると考えます。只今のお話にございましたこれらの同じような国家的な性格のある企業庁において均衡を是正するという必要がありはしないかとおつしやいます点につきましては、将来十分研究を進めて参りたいとは存じますが、只今のところこれらの違いにつきましてどうするということをお答えできる段階ではないと思います。十分研究をいたしたいと思うのであります。ただこの特例法は従来の各特別会計の規定を踏襲いたしましただけでありまして、先ほどの大臣のお話にもありました通りいろいろ又これに関連した不均衡の是正の問題もありますので、今後この問題につきましては引続いて研究をいたして行きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/33
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034・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 千葉君の質疑続行中ですが、加藤国務大臣に法務委員会のほうから出席要求が先ほどからあるわけですが、できれば本件は本日可決をしたいと考えておりますので、今たびたびその要請がありますけれども、もう暫くもう暫くと言つて待つてもらつておるのですけれども、質問の整理ができれば大臣に対する質問を整理して先におやりになつたほうが好都合と思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/34
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035・千葉信
○千葉信君 それじや答弁してもらいたいことは殆んど答弁されないし、ここらでそろそろ匙を投げて一つだけ大臣に聞いて僕の質問を終ります。加藤さんにお尋ねしておきますが、これは溝口委員のほうからも御質問があるかと思いますが、大臣は給与を担当する大臣として一般会計の職員は勿論のこと、特別会計の場合においてもその他の政府機関の場合においても或いは又これが予算上負担をする職員等の場合についても、全体の給与の問題について、給与の問題は決して軽々しい問題じやなくて、その決定のあり方そのものが直ちに行政の通常に、能率の向上に直接影響を持つ問題でもあるし、又民生の立場からもこの問題は軽々に取扱われるべきではない、そういう立場から大臣としては勿論御抱負を狩つて当つていると思うのですが、そうして又御抱負を持つて当られるとすれば、当然これは一貫した方針の下に、給与の問題がいいにしろ悪いにしろなされなければならないと思う。政府として個々ばらばらなこつちのほうには有利な扱いをするが片つ方のほうには故意に不利な扱いをするということは許されないことだと思う。そこでそういう角度からお尋ねしておきたいことは、今私どもここで審議しております国の経営する企業の職員等の場合については、団体交渉で条件を幾らかでも獲得しつつある職員の場合と均衡を保つように、公労法の非適用者に対する給与を是正するという措置をとられようとしておる趣旨は私はいいと思うのです。法律の内容に至つてはかなりお粗末過ぎる点もなきにしもあらずですが、併し法律そのものは善意から出発しておることは我々も賛同の意を表せざるを得ません。ところが一方警察法案による地方警察官の場合に対しては、地方の警察官と国の警察官とが二千円以上の開きがある。開きのあるその原因としては当該委員会でも政府委員が答弁していますが、これはこの違いは例えば勤続年数の違いだ、例えば学歴の違いだ、その他当然の条件に基く給与の差だから、こういう差は当然付くのが当り前だ、付いているのが当り前だ、併しそれにもかかわらずなお且つ若干のその条件以外によつて給与の引下げが起つておることもこれ又事実だと思う。従つてこの場合に政府としては給与の少いものへ給与の多いものを鞘寄せして下げて行くのだ、将来給与改訂があつたり、将来昇給してもその部分は平均をとるために切捨てることになる。やり方は逆です。やり方は手当をやつておいて、そうして昇給したり、給与改訂があつた場合に、上ればそれを当然本俸に鞘寄せして行く。とにかく本俸の少いものに鞘寄せして引下げておいて当分の間ちよつぴり手当を出しておく。併し将来昇給したらその手当は減らすのだ。同額になつたら全然削つてしまう。そうすると今までの国の警察官に対しては不利益が起つて来ることは当然なんです。そうするとこの法律案の場合と丁度逆なやり方を警察法案ではとろうとしております。これは警察法案だからおれは関係ないとは大臣に言わせない。一貫して給与の問題について方針を決定し、若しくは方針をきめるべきです、考えるべきだ。そうするとその点で少くともその問題を担当しておる大臣としては言葉が過ぎるかも知れないけれども、でたらめだということを言わなきやならん。この点は将来どういうふうに持つて行くか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/35
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036・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 国家公務員が安心してとまでは行かないけれども、生活にやや安定感を抱いて公共の仕事に従事してもらいたいということを私は熱望してやまないところでありますが故に、将来国家予算の許す範囲において十分の途を講じたいと思つております。殊に今度の特例案のごとき法案が出だだめに、いろいろ過渡的に不均衡な点もあるであろうと思います。只今警察官の不均衡のことが出て来るというお話でございましたが、これは直ちに私が今ここでかれこれ言いませんが、大体の上より見まして、将来均衡をとるようにいたしたいということだけを申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/36
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037・千葉信
○千葉信君 その場合に均衡をとるということは低いほうへ均衡をとつて行くということじやなくて、すでに既得権として本人が獲得している若しくは又給与を受けておる額に不利益を起させないように近付ける……、要するに高いほうに近付けて行くという意味に了解していいですか。そうでなくちやならんと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/37
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038・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) そういう個々の問題につきまして私まだよく了承いたしておりませんが、適当なところにこれを落着けたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/38
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039・千葉信
○千葉信君 一つ上手な匙加減をお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/39
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040・溝口三郎
○溝口三郎君 只今千葉委員からの御質問に関連しまして、時間がありませんから簡単にもう一遍加藤大臣、御意見を伺つておきたいのですが、この特例法案で先般来からの御答弁で不均衡のありました場合に団体交渉できまつた給与のほうへ右へならえということで努力したいが、この特例法案が実施されることになれば、本年度は、予算の措置が講じてないが、三十年度以外しついてはできるだけ各省とも交渉をして、完全に是正ができるようにやりたという努力をしたいということを政府委員からさつきお話がありましたが、私は只今千葉委員からの御質問と関連して考えておるのですが、今地方行政で問題になつております警察法なんですが、その給与の取扱い方とこれとは根本的に方針が違つておるのです。これは団体交渉できめたため右へならえということにして部内の不均衡はなくして行きたい。警察法の給与の考え方は、御承知の通り現在十六万五千人ぐらいの警察官があり、大体九万五千人ぐらいが国警なんです。そしてあと七万人ぐらいが自治警察なんです。自治警察と国警の現在のペースでは、一人あたり三千五百円ぐらいの給与の差がある。地方のほうが高いのだ。今度の警察法案で給与の取扱い方はどうかというと、僅かの若干の人が国家公務員で残るのだが、その若干の人の給与に合せて、地方の警察官の給与は地方の条例できめるのだ、そういう意味で今年度日治体から府県の警察職員になるかたがたの給与は九カ月で十五億二、三千万円下るのだそうですよ、その下る分は附則の十五条で調整手当で出すのだ、三、四年たたないと……。その間は調整手当をだんだんに減らして行く。三、四年の間は昇給はストップになるようなことになるのだが、これは財政上止むを得ないのだというようなことを国警長官は答弁しておられる。財政上止むを得ないからというので、自治体警察から府県の警察官になるかたがたのうちで適用されるのは約五万人だそうですが、その五万のかたがたの三年ぐらいの昇給がストップになる。一人一平均して三千五百円ぐらい。そういう法律が現実に出ている。自治体警察のかたであの法案に反対している者が大分ある。
内容に行くと、九万何千人というような実際の警察職員は給与を現実に下げられてしまうということになつている。併し原則から言うと国家公務員と同じ特異性を持つている警察職員なんだから、国家公務員で僅か残る七、八千人の人の給与に合せて、今度の制度の改正で入つて来る人たちの給与を下げるのが当り前だ。差額だけは当分の間調整手当で出すという原則は当り前の気がする。これは昨年来の問題がある。本当の特例としてこれをやつて行くということで政府はお出しになつたが、私は通る以上は問題もあるのだから、これは特例としてやつて、完全実施できるようになればいいと思いますが、先ほど田上参事官が言われて、更に三十年度には、将来これが二億何千万円という財源が要ると思うが、これも各省で話がはつきりついて、了解がつけられるともわからない。政府部内では警察法のような取扱い方で国家公務員法の給与に合せておこうという考え方が非常に多いのじやないかと思いう。これは若し法律が実施になるならという先ほどまだあやふやなような御答弁だつたが、これが施行になることを非常に期待している現業の職員の管理者がある。そういう点について、方針についてどうも二色ある。加藤国務大臣は一体、国家公満員は団体交渉があればそれにどんどん右へならつて行くべきである。国家公務員の給与というものは一貫した方針があるんだ、それは堅持すべきなんで、本当にこの特例についての例外の措置としてこれはやるんだというようなことについてはつきりしておかれる必要があると私は思うんですが、その点について御意見を伺つておきたいと思ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/40
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041・田上辰雄
○政府委員(田上辰雄君) 三十年度以降の非適用職員の給与が、公労法適用の職員と同一になるかどうか、これに関する予算措置の見通しのお話がございましたが、これは将来のことでありまするので、今ここではつきりこうなんだというふうなことを申上げるわけに行かないかと思うのでありますが、併しながらこの特例法が制定されて、そうして給与準則がたびたび御説明いたすように、公労法適用職員と同じように右へならえをして行くんだという法令がきまりました場合に、予算として要求をいたす根拠が財政当局に認められないはずはないと思うのであります。これは具体的に将来のことについて大蔵省と確約があるということを申すのではありませんが、併しながら法律によつてすでに決定され、而も各省においてそれを熱望しておられる場合に、これを同一に扱わないように、予算が認められない、こういうことはないという私どもの確信から、三十年度以降においては過渡的な状況を一掃して一本になれるんだということを申上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/41
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042・松浦清一
○委員長(松浦清一君) ほかに御質疑ございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/42
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043・湯山勇
○湯山勇君 簡単に大臣にお尋ねいたしたいと思います。それはこの本法が提案された理由は、公共企業体等労働関係法の適用を受けておりますものは、団体交渉、或いは同法に規定する手続、それによつて給与、勤務条件がきまつて来る、特にまあ今申上げたような給与の問題でございますが、給与がきまり、それへ右へならえするために本法を出された、こういうことでございまして、そういたしますと、公共企業体等労働関係法、更にこれに定めた手続によつて正しく政府が公共企業体等労働関係法の適用職員に対する給与の実施をしなければ、右へならえと申しましてもそのならう右が仲裁裁定その他を忠実に実施されていない場合においては、これは両者共倒れという形になるわけでございます。従つてこの本法を御提案になられた大臣といたしましては、更に政府全体といたしましては、この公共企業体等労働関係法による手続、更にもつとその基本となすところの団体交渉等においてきまつた給与については、忠実にこれを実施するということについての確約が必要であると思うんですが、これについての大臣のはつきりしたお考えを私は最後に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/43
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044・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) これは御承知のごとく団体交渉によりまして、又調停、裁定がありますれば裁定に従うことはこれは申すまでもないことでございます。それから予算上のことは国会の承認を得てこれに従うことは申すまでもないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/44
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045・湯山勇
○湯山勇君 従来も今大臣のようなお考えでやつて頂ければいいのですけれども、場合によればこれは相当躁躍されて参つた形跡もあるわけでございます。そこで特にこの際給与担当の大臣として専任されるという段階におかれましては、少くとも大臣の決意としては、忠実にその法に定められた手続を守るんだという確約を頂くことが大事だと思いますので、重ねて一つそうだという御決意の御表明を頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/45
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046・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) その通りでございます。これは先刻お答え申上げましたごとく、仲裁裁定を尊重するということにおいては申すまでもないことであります。国家財政の許す範囲内においてできるだけ尊重いたす、これ以上私はお答えし得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/46
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047・松浦清一
○委員長(松浦清一君) ほかに御質問ございませんか。……御発言がなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/47
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048・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにして順次御発言を願います。なお、修正意見等がございましたら、討論中に併せてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/48
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049・千葉信
○千葉信君 私は本法案に賛成いたします。この法案は全体としてかなりな不備、欠陥も持つておりますし、そして又憲法、公務員法等に基く公務員に対する政府の分裂した、混乱した取扱いの端的な表現であるという要素が随分あることも、今までの審議の過程で明らかにされております。こういう点については政府として将来十分考えなければならない要素を含んでいるということと、それからもう一つは、従来人事院の勧告乃至は仲裁裁定等に対して、尊重するという表現だけを用いながら、実体は常にこれを蹂躪しているということの政府の態度に対して、この法律案は少くとも政府のほうで今後そういう方針をとらずに、できるだけ今後は合理的な、若しくは又公務員諸君の生活の保護という点について、少くとも均衡をとりつつ一歩を進めるという前提に立つておりますから、この法案を一つ端緒として、将来裁定、勧告等に対しては法律を遵守するという立場に立つて頂くということを希望し、且つ、現在の状態におきましては、少くともこの法律案は不利益に扱われて来た各現業における非適用職員の不利益を少しでも改善することができる、その意味では善意に満ちたものであるし、今の段階では、この方法以外には直ちにはとられる見通しが立ちませんので、そういう立場から私はこの法案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/49
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050・松浦清一
○委員長(松浦清一君) ほかに御発言がなければ、これを以て討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/50
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051・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決をいたします。国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法案を、原案通り可決することに賛成の方は挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/51
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052・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 全員一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は先例により委員長に御一任を願いたいと存じます。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/52
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053・松浦清一
○委員長(松浦清一君) 御異議ないと認めます。
それから只今本案を可とされましたかたの御署名を願います。
多数意見者署名
北村 一男 千葉 信
岡田 信次 後藤 文夫
溝口 三郎 湯山 勇
紅露 みつ発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/53
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054・松浦清一
○委員長(松浦清一君) それでは本日の委員会はこれを以て散会をいたします。
午後一時十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914548X01619540528/54
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