1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月九日(火曜日)
午前十一時十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
藤野 繁雄君
小林 政夫君
菊川 孝夫君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
松野 鶴平君
山本 米治君
土田國太郎君
前田 久吉君
三木與吉郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
東 隆君
堀木 鎌三君
平林 太一君
政府委員
大蔵省主計局次
長 正示啓次郎君
大蔵省主計局総
務課長 佐藤 一郎君
大蔵省主税局長 渡辺喜久造君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
説明員
大蔵省主計局主
計官 小熊 孝次君
大蔵省主税局税
制第一課長 白石 正雄君
大蔵省銀行局金
融制度調査室長 加治木俊道君
農林省農地局管
理部長 細田茂三郎君
農林省農地局営
農課長 丸山 文雄君
食糧庁総務部長 新沢 寧君
通商産業省企業
局特需課長 影山 衛司君
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本日の会議に付した事件
○緊要物資輸入基金特別会計法等を廃
止する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○昭和二十八年の風水害及び冷害によ
る被害農家等に対して米麦を特別価
格で売り渡したことにより食糧管理
特別会計に生ずる損失を補てんする
ための一般会計からする繰入金に関
する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○開拓者資金融通特別会計において貸
付金の財源に充てるための一般会計
からする繰入金に関する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
○昭和二十八年度における国債整理基
金に充てるべき資金の繰入の特例に
関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○財政法第四十二条の特例に関する法
律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出頭に関する件
○公聴会開会に関する件
○外国為替銀行法案(内閣提出)
○所得税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○法人税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○相続税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○物品税法の一部を改正する法律案
(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/0
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより第十五回の大蔵委員会を開会いたします。
緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案を議題といたしまして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/1
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002・小林政夫
○小林政夫君 この廃止に伴う経過措置として附則にずつと挙げてありますが、これが提案されておる予算書と睨合せてどういうふうに処理されておるのか、一応説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/2
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003・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) この附則の第二項でございますが、これは「緊要物資輸入基金特別会計の昭和二十八年度分の収入支出並びに昭和二十七年度及び昭和二十八年度の決算並びに緊要物資輸入基金の昭和二十八年度の損益の処理に関しては、第九項に規定するものを除く外、なお従前の例による。」、これは大体他の特別会計が廃止になりました際と大体同様な規定の仕方になつておりますが、ただこの「第九項に規定するものを除く外、」と書いておりますのが、他の廃止事項と若干違う点でございます。これにつきましては、この緊要物資輸入基金特別会計におきましては、御承知のように基金がございまして、それの運用に伴う損益というものが歳入歳出として現われて参るわけでありますが、その歳入歳出につきましては、御承知のように出納整理期限というものがございますが、基金につきましては出納整理期限というものがございませんので、その関係でこういうような規定が必要になつて参つたわけであります。で、若干複雑な形態になりますが、その点につきましてはあとで又規定が出て参りますので、それに関連いたしまして御説明いたすことといたしまして、この第三項の規定は、先ず会計、その損益処理の関係の、損益を処理しております会計のほうの資産、負債の処理につきまして規定いたしたわけであります。ここに「特別会計に属する資産のうち基金に属する資産以外のもの」と書いてありますのは、会計の資産だけについての処理の規定の趣旨を現わしたわけであります。「及び同会計の負債のうち基金に属する負債以外のもの」というのも同趣旨でございます。そうしてこの中で、即ち会計のそのほうの資産、負債というものにつきまして、現金とそれから二十八年度の収入支出として出納整理期限内に整理される性質のものにつきましては、一応出納整理期限の間に収入金とし或いは支払いをすると、そうして会計としての決算を明らかにするという意味におきまして、そういう種類の資産、負債以外のものにつきまして、この法律の施行の際まで一般会計に帰属せしめる、こういう趣旨でございます。それから第四項は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/3
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004・小林政夫
○小林政夫君 それが予算書に現われているんだろうから、その第三項によつてどれだけのものが予算のどこにどう計上してあるということと併せて説明して頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/4
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005・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 第三項に関係いたしまして、一般会計に帰属するところの資産といたしましては、これは物品といたしまして、自動車とか机とか什器というようなものがございます。それですから一般会計の予算書には直ちに歳入とかそういう形体では現われないわけでございます。負債といたしましては、これは二十八年度中のものは除きますから、これはゼロになつておりますから、現実の問題といたしましては、第三項の規定によりまして物品が一般会計へ直ちに引継ぎが行われる、こういう関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/5
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006・小林政夫
○小林政夫君 その自動車とかそういうものは一般会計、そうするとどこで国有財産として管理するのですか、動産として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/6
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007・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 物品でございますから、これは通産省におきまして所管大臣といたしまして管理いたすことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/7
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008・小林政夫
○小林政夫君 そうするとまあ具体的にいうと、この特別会計の担当係が使つておつた什器等をいうわけでしようね。それでそれは通産省の他の課或いは係において使うと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/8
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009・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) これはこの特別会計が廃止になりましても、これの残務整理というようなものがございますから、その関係で使うと、勿論これは後日におきましてこの会計の整理が完全にできました際には、普通物品と同じように通産省の所管物品としまして使用することができることは当然であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/9
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010・小林政夫
○小林政夫君 自動車というのは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/10
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011・影山衛司
○説明員(影山衛司君) お答え申上げます。
自動車というのは普通の乗用車であります。事務連絡用の乗用車を一台持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/11
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012・小林政夫
○小林政夫君 この会計専属用の事務連絡用の自動車があつたのですか、一台。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/12
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013・影山衛司
○説明員(影山衛司君) そうでござい
ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/13
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014・小林政夫
○小林政夫君 ばかに贅沢じやないですか。それでは次に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/14
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015・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 第四項の規定は、これは第三項の規定によりまして、法律施行の際直ちに一般会計に帰属する以外のものにつきましては、特別会計の決算というものを正常な姿においてはつきりつかむという意味におきまして、二十八年度の出納の完結のときまでは、出納整理期限中は従来通り収入となるべきものは収入として収納いたしますし、それから支払をなすべきものにつきましては従来通り支出して参りまして、そうして出納整理期限の出納完結の際にまだ取れなかつたもの或いは支払ができなかつたものというのは、その出納の完結の際に一般会計に引継ぐと、こういう趣旨でございますが、ここで資産の下に括弧いたしまして、「現金を除く。」と書いてございますが、これはあとで出て参りますが、この現金分につきましては産業投資特別会計へ引継ぐと、こういう趣旨におきまして「現金を除く」と、このように書いたわけであります。それでこの出納完結の際におきますところの債権債務関係といたしましては、先ほど申しましたように一応ゼロとこういうことになつております。ただこれは将来のことでございますから、一応規定的にはこのような規定の仕方をいたしておりますが、現在の見通しといたしましてはゼロ、ゼロとなるという予定でございます。よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/15
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016・小林政夫
○小林政夫君 ええ、いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/16
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017・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) それから次に第五項でございますが、緊要物資輸入基金特別会計の昭和二十八年度の出納の完結の際同会計に属する現金は、先ほど申しましたように産業投資特別会計に帰属すると、こういうことになります。でこの関係で、この現定によりまして産業投資特別会計に帰属する予定の現金は、一月末現在といたしまして千七百二十八万程度予想いたしているわけでございます。
それから次に第六項でございますが、これは当初申上げましたように、基金というものにつきましては特に出納整理期限はございません。この基金を会計の出納整理期限の五月三十一日までは一応資金として存続させる必要があると考えましてこのような規定を設けまして、でそれによりまして、現在緊要物資輸入基金で持つておりますところのものの売払等をこの資金において行わしめようと、こういう趣旨の規定が第六項でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/17
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018・小林政夫
○小林政夫君 前の第五項の千七百二十八万というのは、予算ではどこへ現われているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/18
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019・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 予算といたしましては特に出ておりませんが、これは産業投資特別会計のほうに復活いたしまして、二十五億といたしまして計上されております中に一応含まれている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/19
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020・小林政夫
○小林政夫君 それから次の資金ですが、一般会計所属の資金という意味はどういうことなんですか、財政法上、会計法上からいつて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/20
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021・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) この資金の意味でございますが、財政法にも、法律の定める場合に限つて資金が置けると、こういうような規定がございますが、そういう意味合の資金と考えて頂いて結構だと思いますが、こういう資金の必要が、一般会計所属の資金の必要が生じました場合は、これは過渡的な問題といたしまして生じたわけでございますが、一応歳入歳出外ということになるわけでございます。これは丁度緊要物資特別会計におきまして基金が設けられまして、そうしてその歳入歳出の関係がその会計の歳入歳出として経理せられたと同じような意味におきまして、それと同じ意味におきましての資金、こう考えて頂いて結構だと思いますが、ただ特別会計といたしましては、三月三十一日限り廃止されるわけでございますので、一般会計へ引継いだ資金と、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 一般会計へ引継いだら資金であつて、特別会計ならば基金、こういう名前で歳入歳出外の資金を持つ、これは早晩なくなるものだと、一時の便法であるということなんでしようけれども、これらを一般会計へ移し替えたところで経理において、その経理というか、特別の事務処理上不都合な点はなかろうと思うが、何故この歳入歳出を通じない資金というような形において処理しなければならないか。それは今基金というようなことでこういう緊要物資等を輸入し或いは売払をするというような場合においては、それは一応歳入歳出外で以て経理しなければならんが、こういう残務整理をするときに、特にその歳入歳出外の資金というもので経理をする必要がどこにあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/22
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023・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) この従来の特別会計の基金を一般会計所属の一応資金といたしまして、歳入歳出外として経理いたしておりまするところの理由といたしましては、先ほど申しましたように、会計といたしましてはこれは出納整理期限というものがありますが、基金といたしましては特に出納整理期限というものがないわけであります。ところが一つここに問題がございますのは、この特別会計といたしましては、その基金の回転いたしまして生じました利益というものは五月三十一日までに会計の利益を会計の歳入のほうへ入れる、こういう規定があるわけであります。そういたしますと、少くとも二十八年度の特別会計といたしましては、その活動の姿を決算の面におきましてもどれだけ利益があつたかということを十分明らかにいたさなければならん、このように考えられるわけであります。これを直ちに一般会計歳入に入れてしまいますと、この基金の中には二十八年度中の基金の活動によつて生じました利益というものが当然入つておりまして、まだ会計に繰入れられないままで残つておると、こういうこともあるわけであります。そういう意味合いにおきまして、これを延ばしまして、そうしてこの会計基金からこの会計のほうへ入れるという操作を行わしめるということが第一点であります。
それからもう一つは、この基金が物を持つております。この物も成るべく換価いたしまして売払を行わせていいんじやないか、そうして産業投資特別会計のほうに成るべく余計現金を繰入れるという操作をすることも同時にできる。こういうような大体二点から考えまして、一応一般会計所属の資金として暫定的にそういう措置を講ずることは、勿論資金というものはこれは歳入歳出外でございますから、如何なる場合におきましても資金を作つてよろしいと、こういうことにはならんと思うのであります。まあ出納整理期限内の問題でございますからこの程度のことは差支えないのじやないか、こういうわけでこういうような措置をとつたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 出納締切期限内存続させるということですけれども、それは五月三十一日限り持つておるものが完全に換価できるかというと、そうでもない。だから一応特別会計を廃止する以上は、この基金というものは結論的にはちつとも変りはない。ただ今の一般会計の歳入をふくらまさない、或いは歳出をふくらまさない、こういう財政規模をふくらまさないだけであつて、実際の処理としては何段階かになつているけれども、実体的にはちつとも変りがないことであり、而も損益を明らかにするというけれども、必ずしもそうしなければ明らかにならんというものでもない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/24
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025・影山衛司
○説明員(影山衛司君) 補足説明をさして頂きます。基金も資金も実体においては変りないのでございまして、一つ売払だけの問題でございますと、必ずしも資金を存続させる必要もないように思われますけれども、買入れの問題がまだ残つておるわけでございまして、三月、今月の終り頃にニツケルが七十トンほど入つて来るわけであります。これの支出が四月にかかりますので、そのためにはやはり資金と基金と実体上は同じものを残しまして、それで出納整理期間中これを存続さしてもらうということが必要になるわけでございまして、そういう意味もございまして、五月一ぱいは資金の恰好で基金を残さして頂くということにしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 その買入れがまだあるし、そうして実際に残務整理というものも、持つておる物資を売らなければならんというようなことだつたら、行政整理等の面から考えてみても、まだ例えば机、車等のような什器、備品、事務用備品にしても依然として従来の係がそのまま使うんだというようなことであれば、この会計を廃止する、今三月三十一日限り廃止するという意味はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/26
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027・影山衛司
○説明員(影山衛司君) まだ買入れが残つておると申しましたが、これはもう殆んど残務整理の部類に属する支払が残つておるという意味になるわけでございます。それで買入れはもうこれで四月にかかつた七十トンのニツケルでこれは終つてしまう。あと残務整理的に現在の在庫が約四億ございますけれども、これが整理期間中にできるだけ整理いたしまして、最後に二十五億を産業投資特別会計に入れる。のその結果或いはニツケルとそれから合成ゴムが少し在庫として残りますけれども、これはもう殆んど残務整理のうちの極く僅かな部分でございますので、やはり整理期間中には大部分の残務整理ができるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/27
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028・小林政夫
○小林政夫君 そうだつたら、もう買入契約はできておつて、その支払が残つておるということならば、要するに負債があることなんです。そうするとそういうものは第四項で整理ができるのではないか。二十八年度の出納完結の際同会計に属する資産及び負債は、出納完結の際、一般会計に帰属する。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/28
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029・影山衛司
○説明員(影山衛司君) 基金のほうで、基金と特別会計と違いますのでございますけれども、第四項のほうは特別会計のほうの負債でございます。今度買入れましたニツケルの代金の支払というものは基金のほうの債務になるわけでございまして、その点で実質上同じ基金を存続させるという必要が起るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/29
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030・小林政夫
○小林政夫君 それは今こういう書き方をすればそうなるのだけれども、何もそういう基金の負債があるからと言つて、別に経理しなければ、その経理が明らかにならんというものではなくて、これを清算するには今の第四項に準じて清算はできる。特にこういう資金というようなものを設けて、僅かの間でも準特別会計的な運用をする。而もそれは全然財政面にも現われて来ないというような経理をする必要があるか。あなたが今言われました売払の事務のみならず、買入れ事務もある。具体的にこれから契約をして買入れるというような、斂の特別会計の運用に類するようなことをやるのではなくて、すでに買入れ契約が済み、品物も来ておるのだけれども、要するにその未払代金を払うのだという程度のことならば、特にこの資金というようなものを置いて、そうして別途経理をする必要はない。むしろ一般会計へ全部基金をも含めての債権債務を引き継いでやつたらいい。そうして産業投資特別会計二十五億なら二十五億入れる必要があるならば、およそ何だつて見込でやるのだから、その現金はこれくらいはまあ二十九年度中には現金化されるという見込のものを産業投資特別会計へ入れると、こういうことにしておきさえすれば整理ができると思うのですがね。要するに我々の目につかないような、その予算書等に現われないようなやり方というのは余りいいやり方じやないということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/30
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031・影山衛司
○説明員(影山衛司君) 只今のお話御尤もな点であるのでございますけれども、御承知のように特別会計にも出納整理期間というものがございまして、五月三十一日までは実質上特別会計が存続するということになつているわけでございまして、従いまして従来特別会計に属しておりました基金も実質上存続させるということが必要になつて来ておりますので、そういうふうに便宜的な措置でございますので、この点一つ特別会計に出納整理期間があると同じ意味で御了承願いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/31
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032・小林政夫
○小林政夫君 そうするともつと突き進んで行くと、これは通産側の、あなたのほうの要望でこういう経理にしてもらいたいということになつたのか、主計局側の要望でこういうことをすることになつたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/32
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033・小熊孝次
○説明員(小熊孝次君) 政府全体といたしましてそういうことにしたほうがいいだろうと、こういうことになつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/33
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034・小林政夫
○小林政夫君 だから問題はそこにあると思つて、要するに一兆円予算を何とかして名目上貫きたいということでこういう別枠のものを作つたに過ぎないとまあ我々は見るので、結局政府全体というのは、要するに一兆円以内の一般会計の予算を組むと、こういう大方針に基いてこういうあいまいな経理をしたのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/34
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035・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) 小林委員から縷々御指摘にあずかつたのでありまするが、これは只今大蔵省並びに通産省等から御説明申上げました通りに従来特別会計といたしまして、まあ基金という形でやつて参りました系統の部分を、残務整理の間その形で続けたい、こういうことでございまして、只今御指摘のように一兆円予算を作るための作意という趣旨では毛頭ございません。極めて事務的な手続といたしましてかような規定を設けておりまするので、その点はよろしく御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/35
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036・小林政夫
○小林政夫君 それはまあ一応そういう事務的に説明されるかも知れないけれども、どうも我々としては事務的ならもつとやりようは幾らでもあるし、まだこういうことが例の祖税関係の払戻関係でも又別途資金というようなものができておる。要するに我々、予算書に載らない資金繰出納というようなものが、あの租税の払戻金なんかは或る程度わかるのだけれども、そういうことで歳出外の金を持つておつて、それを適当にと言つては悪いけれども、あなた方としては厳正に経理するんでしようけれども、我々の目につかない金が別途プールされるという傾向は、国の財政を見る我々から言えば余りいい傾向ではない。事務的事務的というけれども、これはこういうことが許されるならば、ほうぼうに又こういう事例が起つて来た場合には収拾がつかない。だからこれは見逃してもいいけれども、今後これで見逃されたから又別の場合においてこういうことを考えるということにならないようにやつてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/36
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037・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 他に御質疑ございませんか。
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038・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) では次に、昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたしまして、質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/38
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039・野溝勝
○野溝勝君 お伺いいたしますが、この提案理由の説明のうち、二十九年度におきまして五億九千六百六十余万円ということになつておりますが、二十八年度が三億二千五百九十万円、二十九年度が五億九千万円、そうするとこれが合わせて九億有余万円になるのですけれども、特別会計が一般会計から繰入れる額としましてはこれで全部でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/39
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040・新沢寧
○説明員(新沢寧君) お答え申上げます。御承知の通り十七国会及び十八回国会で通りました売却の特例に基く法律に基きまして売却を続けて参りましたのでありますが、それの現在までの実績並びに今後の売却予定数量と申しますか、推定数量、別途資料として御提出してあると存じますが、それによりまして算出いたしました今までの実績並びに今後売ろうといたします推定量を合わせますと、今お話のございました通り総顔で約九億二千万円ばかりになるわけであります。そのうちすでに、すでにと申しますか、支払が確定いたしまして、二十八年度中に一般会計から特別会計に繰入れるべきものとして三億二千五百万円余りあるわけでございます。で、風水害関係のほうはもう実績がまとまりまして動かない数字でございます。ただ冷害関係は本米穀年度中、具体的に申上げますれば、昭和二十九年の十月までこの特例価格による売却が続きますので、いろいろ昨年の実収高或いは農家の保有高等から推算いたしまして、これこれの数量が必要であろうという推定数字を出しておりますので、若干の数字の動きは出て参ろうかと思いますが、私どもの見込といたしましては、大体ここに資料として御提出してあります数量の範囲内で賄つて行けるじやないか。従いまして予算等もここに掲げてあります予算等で間に合つて行くのじやないだろうかという予想をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/40
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041・野溝勝
○野溝勝君 部長さん、お伺いしますがね、私の手許にはその資料がないのですが、それはどのくらいの数量になつていますか、風水害の分がどのくらい、それから冷害は、二十九年十月まで続くのでございますから確定的のことはわからん、それは承知しています。併し大体の予想でございますが、どのくらいの数量、風水害についてはどのくらい、冷害についてはどのくらい……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/41
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042・新沢寧
○説明員(新沢寧君) 風水害関係が二つに分れておりまして、六月、七月における分と、八月及び九月における分とございますが、前者につきましては、米が三万五千九百五十三石、ほかに種籾を出して頂きましたが、それの見返りとして、それの補填用として一万二千五百一石出しております。従いまして米は合わせまして約四万八千石余りになるわけでございます。そのほかに大麦五十六石、裸麦二千七百九十一石、小麦百六十九石を出しております。それから、あとのほうで、八、九月災害に対しましては、米といたしまして八千八百三十九石大麦八百五十八石、裸麦八百八十七石、小麦百七十八石を出しております。以上は実績でございます。
冷害のほうは、見込といたしまして、米が四十万六千四百三十四石、大麦を十九万七千七百八十五石、小麦を十六万百三十五石予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/42
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043・野溝勝
○野溝勝君 もう一つお伺いいたしますが、私は質問というより、この際にこの特別価格によつて配給といいましようか、交付いたしました各県別による表を資料として後刻提出して頂きたいと思います。以上を以て終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/43
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044・新沢寧
○説明員(新沢寧君) まだお手許に届いていないのかと思いますが、すでに提出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/44
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045・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 他に発言もないようでございますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/45
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046・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/46
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047・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。昭和二十八年の風水害及び冷害による被害農家等に対して米麦を特別価格で売り渡したことにより食糧管理特別会計に生ずる損失を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を衆議院送付案の通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/47
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048・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
小林 政夫 木内 四郎
藤野 繁雄 三木與吉郎
菊川 孝夫 野溝 勝
青柳 秀夫 東 隆
岡崎 真一
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/48
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049・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたしまして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/49
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050・野溝勝
○野溝勝君 これは特別会計というと非常に神経が敏感になるのですが、どうもあやしげなのは特別会計ということになるが、全部特別会計があやしいわけじやないが、実際は特別会計という名のごとく特別なんでちよつとわからん。まあ特に農林省関係では吉田内閣が第一次の内閣のときに、木炭五十億の赤字特別会計、特別会計の木炭を食つたという事件があつたのですが、あれは随分あの当時は世間を騒がせました大事件でございます。丁度あのときの農林大臣は森幸太郎君であつたと私は思うのですが、それが何だかんだといううちにわからなくなつた。こういう特別会計というと由来問題を起しているのでございます。最近におきましては造船融資の問題等々……。そこで私は特に開拓者資金融通特別会計、かようなものには恐らく問題はないと思いますが、特にこの際私は聞いておきたいと思うことは、現在開拓者は政府の計画予定通りはなかなか進捗しておらんのであります。行つておらんのであります。それにはなかなか容易でない点があります。ただ私は資金の問題だけが解決されても、なかなか地域的事情によりまして或いは天候の自然的条件によりまして、なかなか計画通りには行かんと思います。然るにかかわらず、本年度の予算を展望いたしますると、特に食糧増産等々の声を大きくしているにもかかわらず、開拓に対する資金などは前年度より多くなつておらない。更に開拓者として一番大事な畜力利用の問題、これらについては今の家畜価格からいいますならばむしろ減つていると私は言わざるを得ないと思うのであります。こういう点から見て、私はこの開拓者の営農というものが非常に困難になつて来ていると思います。特に政府におきましては、この開拓者資金特別会計への繰入に関する法律案が出た際に、私は一応開拓計画について、この際どういうふうな状況になつているかということを一つ聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/50
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051・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) お手許に参考資料が差上げてありまするので、これを御覧頂きますと、今お話の数字的な点はおわかりになると思うのですが、配付しました資料の二枚をめくつて頂きまして、三枚、四枚目にあるのでございますが、大体御承知のように現在開拓としまして入植しました戸数が約五十万戸あるわけでございます。それの開墾しました実績は、その二のところにありますように約五十万町歩というものが開墾をせられておりまして、これによつてどのくらいの食糧生産が行われているかというのは、四のところに出ておりますが、二十七年度の実績で申上げますと、水稲、陸稲で、全部米換算をいたしておりますけれども、約三十万石の米と、それから百万石ばかりの麦と、それから雑穀いも類で二百万石、大体米に換算をいたしまして三百三十七万六千石程度の生産を上げているわけであります。これが一戸当りの開拓農家の収支としてはどうかということはその次の五の表に掲げてございますが、今御指摘のように曽つて終戦直後のどさくさに、緊急開拓によりまして入りました者の中には相当数脱落をしましたり、或いは今日といえどもまだ営農の基礎が確立しておらないような者もあるのでございますけれども、併し大部分の者は漸次その営農状態が非常によくなつておりまして、ここに開拓農家の経済収支のバランスシートが出ておりますが、これは大体私どものところで毎年々々営農実績の実態調査をいたしておりますが、その平均的な規模の数字でございますが、大体経営の規模でいいますと、この註に出しておりますように大体田畑併せますと二町一反程度のところでありまして、あと多少その付帯地なり宅地を持つておりますが、大体耕地が二町そこそこというのが平均レベルになつております。それでここに掲げておりますような農業所得その他の所得を見ますると、農家所得の経営がこういうふうに漸次年度別に累増をして参つておりまして、昭和二十七年度で御覧頂きますと、まあ大体一戸当りが二十一万九千円ぐらいの所得になる。これに対しまして家計費、諸負担を除きますと、差引余剰として最初は赤字であつたものが漸次回復して参りまして、二十七年度には約三万円近いここに余剰が出ておるというような状態でございます。そういうふうでありますので、非常に大ざつぱなことを申上げますけれども、まあ脱落をして、見込のない者というものは、これはもう今年あたりからそろそろ整理をしなければならんと考えておりますが、そうでない者につきましては営農資金のなみらず、営農指導等の面におきましても、更に政府機関はもとよりでありますけれども、開拓者の団体それ自体が非常に本年張り切つておりまして、そういう点につきましても自主的に振興を図つて行こうという情勢が非常に顕著でございますので、今後漸次そういう者は営農基盤が確立をして参るものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/51
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052・野溝勝
○野溝勝君 部長さん、今の農家経済の収支の均衡の話をされたようですけれども、私はこれは非常に甘い考えだと思うのです。一応こういうような一つの表には出ておりますが、一面大蔵省の租税収入等の予算説明書によりますと、この二十七年度分の所得に対する二十九年度所得の増加割合というのがあるのです。それを見るというと農業が一番悪い。併し農業が悪いということは、私は農業のうちでも開拓農民というものは何と言つてもこれは劣悪農民ですよ。劣悪地の農民です、劣悪地の。土地条件の悪い所なんです。土地条件の悪い所ではやつぱり何と言つても肥培管理なりその他のいろいろあれが必要なんですね、人一倍必要なんです。ですからそういう点においてはなかなか農業経営費というのは相当かかるし、その他諸雑費というのがかかるのです。ですから私はそんな生やさしいものではないと思つている。特に一体よい土地などは先に六百二、三十万戸のそういうものが皆蟠きよしているのであつて、皆今開拓するという場所などは農業経営には完全適地とは申されない。そういう地域における開拓というものはこれは容易でない。で今二町何反、表によると二町一反の農業経営で、昭和二十七年度におきましては農業所得が非常に殖えて来たから、この分で行くと好転していると言いますけれども、私昨日群馬県の新田郡における開拓地を見て来た。昨年度よりは悪いのですよ。ですからそういう点から見ても私は想像するに余りあるものがある。特に新田郡などは相当長い間の開拓地なんです。ですからあなたは管理部長さんでございますから、専門家じやないから、この表によつてあなたは論ずる以外に、あなたのあれとしては私は深いあれはないと思います。むしろこの際専門的な営農の直接指導に当つている方の御意見を聞くのが一番当を得ていると思いますけれども、私はこの際それを省略いたします。ただ部長さんが言われたように、この表の上だけでの可能なりというような考え方があつたならば、これは開拓地としては私はとんでもない失望をすると思います。
そこで貸付計画の実績表でございますが、この貸付計画の実績表は、私が先ほど申したように、二十九年度の表はここに出ておりませんが、一体二十九年度と二十八年度の比較はどうなつているのですか。資料に出ておりませんから、それを予算に基いて二十八年度の貸付並びに償還、償還まで行きませんから、資金の配付の点について少しここでお知らせ願いたいと思います。衆議院の予算が通つたのでございますから、それでよろしうございます。その内容でよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/52
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053・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) 御承知のようにこれは新規入植をいたしまするその年の戸数の如何によつて増減をいたしますので、その金額の絶対値の高だけで以てどうこうという比較ができないのでございますが、違います点を項目的に申上げますと、二十八年度は御承知のように新規入植八千戸ということで開拓をやりましたわけであります。二十九年度はこれが助成の対象になりますものが六千戸で、助成をしないものが一千戸、計七千戸という基礎ベースになつておりますために、新規に入ります余地が二千戸二十九年度は減少するということになつております。この点が第一点であります。あと違います点は、営農等の資金の貸付の額の基礎になります単価は、これは大体同じ考え方であります。多少農業単位でスライドさせるシステムをとつておりますが、考え方といたしまして基準は同じであります。
もう一つ違います点は、御承知のように、先ほども御指摘がありましたが、開拓地というものの営農を促進して行きますためにはどうしても家畜の導入ということが絶対的な生命だと思うのですが、そこで御承知のように従来は営農資金だけでありましたものを、昭和二十七年から家畜導入の資金をもこれに含めるという改正がなされまして、御承知のように役牛の導入費というものを二十七年以来組んで来ております。それは従来通り今年も組んでおりまして、大体その模様を申上げてみますと、現在役牛若しくは役馬の未導入となつておるものが約二万一千頭近いものであります。でこれを大体三カ年くらいで解消をしてしまいたいという考え方で、本年度は五千五百頭分の役牛の資金約二億六千万円をこのうちに計上しておりますのでありますが、更に本年度、この二十九年度に新らしい項目としまして、何とかして乳牛を入れたい、御承知のように大分酪農といいますか、乳牛を導入したいというところまで進んで参つておりますので、本年から特にこの乳牛に要する資金をも考えるということで、この資金の中には乳牛につきましては本年度は大体七百七十頭分、この資金が約五千万円でございますけれども、初めてまあ計上をされたのでございまして、その点が違つております。あとは戸数と単価が物価変動によりまして異るだけで、同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/53
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054・野溝勝
○野溝勝君 私はこれは希望でございますが、今部長さんから御指摘の通り、とにかく開拓事業というのは容易じやありませんから、特に専門と申しますか、専門家の意見を十分一つ取入れられまして、特に資金計画の面につきましては徹底的な御協力を願いたい。特に、これはむしろ立案主務当局である農林省よりは、私は機会を見て大蔵当局に強くそういう点を要望しておきたいと思います。
以上を以て質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/54
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055・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今配付された資料によつて見ますというと、各年度の決算を見てみまするというと、収入未済の金額がだんだん殖えているのでありますが、この収入未済の原因はどこにあるか、又将来においてこれをどうやつて回収しようと思つておられるか、その点お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/55
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056・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) 実はこの表をちよつと御覧頂くと、非常に何といいますか、収納成績が悪いように御覧になるかも知れませんが、実はそうではないのでございまして、御承知のようにこれは長期資金と中期資金に分れておりますのですが、五年据置で十五カ年償還のものと、二年据置で三カ年償還のものとあるわけでございまして、そういうことでこの償還計画のほうは貸付金がそのまま次の年に返るという恰好になりません。
従いましてトータルで今そのことを申上げてみますと、償還の予定と収入済の結末との比較をしてみますると、二十七年度までの調定額が一億九千四百万円ばかりのものに対しまして、収入未済が二十八年の七月末までで六百万円ばかりであります。従いましてこれを見てみますと、大体二十六年度までの年賦償還金は全部収納済でありまして、二十七年度分が残つておりますが、それを通算しますと約九七%の収納済と、こういう成績になつております。
そこで御質問のあとの、収納成績の悪いものは一体どういうものだということでございますが、これは御承知の、終戦直後におきまして非常に何といいますか緊急的な開拓をやりました際に入つた者で、離農をいたしましたものが殆んど大部分であります。従いましてこういうものにつきましては或る程度まあ返済が困難なものというのが若干は残るかも知れませんが、現在、現在といいますよりも、そういうことを考慮いたしまして、実は二十三年度以降は個人に貸付をするということをやめまして、御承知のように開拓者は皆開拓農業協同組合というものを組織をいたしておりますので、そういうものを相手に法人貸付を原則としてやる。そのうちから脱落をしました場合には、その法人、協同組合が連帯責任で以てなして行くというような指導をいたしまして、そういうことでやつておりますので、今後の分につきましては、そういつた先ず償還が計画通り行かないというようなものは殆んどないのじやないかというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/56
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057・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうしますというと、現在回収不能に陥る虞れがあるところの金額はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/57
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058・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) 昭和二十八年の三月末の実績で見てみますると、私どもが収納未済であるために、一時償還を請求をしております額のそれまでのトータルが約二億二千万円でございます。それに対して収納未済の数字が七千六百万円、結局収納未済額が二十八年三月末で約三五%ということになつております。この内訳を原因別に見てみますると、そのうちで大体二十八年度末までに収入できそうな見込の立つておりますものが一五%、それから即決和解をやつてこれを収納できそうであるという見込のものが約五二%、それから現在生活保護を受けております者が約八%、それから離農をしておりまして、行先がわからないので、その行先を調査しておるものが一七%、それから支払命令の申立てか、或いは訴訟をやつて、いわゆる強制徴収をしなければならんのじやないかと思われます額が約六百万円でありまして、八%と、こういうふうな状態になつております。そこでこのうちまあ非常にむずかしいのは強制徴収によらなきやならんのじやないかと思われる約六百万円くらいのもの、約八%程度のものが問題になるのじやないか、あとは今までそれぞれ、何といいますか、県、その他或いは協同組合自体のいろいろな努力によりまして、一時償還ができませんから、三年間に分割をするとか五年に分割するとかいう多少延長措置は講ぜざるを得ないのでありますけれども、大体収納ができるのではないか、こういうふうな見込になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/58
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059・小林政夫
○小林政夫君 この特別会計の予算書に、「一般会計よりの受入」で「国債利子其の他財源受入」というのは何ですか、三千二百五十二万円……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/59
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060・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) これは大体昭和二十三年度までは公債発行によつたり或いは日銀からの借入金によつたものがあつたのでございますが、二十四年度からは全部この財源は一般会計から求めるというふうなまあ措置になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/60
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061・小林政夫
○小林政夫君 それでその今までの発行した公債及び借入金の利子を払うために一般会計からこれを受入れるということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/61
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062・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) それも入つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/62
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063・小林政夫
○小林政夫君 そうすると今までの公債発行額、借入金の残は今幾らですか、この会計の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/63
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064・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 私からちよつと申上げます。公債の残額が、これは二十九年三月末の見込で三十三億五千二百六十四万二千七百円、三十三億五千二百万です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/64
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065・小林政夫
○小林政夫君 借入金……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/65
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066・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それから借入金が一億四千九百七十万円です。この借入金は全額二十九年度内に返還をすると、こういう予定になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/66
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067・小林政夫
○小林政夫君 そうすると歳出のほうで「国債整理基金特別会計へ繰入」というのがこれに見合うわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/67
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068・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) さようです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/68
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069・小林政夫
○小林政夫君 そうすると今の借入金は二十九年度中に払うから、その四億六千八百五十二万三千円から一億四千九百七十万円を差引いた残りが公債の償還に充てられる、こう了解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/69
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070・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) そういうことになります。それからここにございますように、これは郵政事業に対する手数料が一部入つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/70
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071・小林政夫
○小林政夫君 それは、手数料は私が言つた数字には入つていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/71
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072・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) この四億六千九百万ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/72
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073・小林政夫
○小林政夫君 「郵政事業特別会計へ繰入」というものが別に百四十七万……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/73
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074・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) ああそうですか。失礼いたしました。私別な所を見ておりましたから……。この国債整理基金だけの問題ですね。おつしやる通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/74
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075・小林政夫
○小林政夫君 その公債の条件はどういう条件なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/75
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076・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これはいろいろな利率のものがございます。三分五厘のものから五分五厘の……。昭和二十二年に発行したものが三分五厘、それから二十三年から五分五厘と大体なつております。そうして償還がこれは大体十五年の償還でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/76
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077・小林政夫
○小林政夫君 そうすると二十四年から一般会計から繰入れることにしたその累計は幾らになるのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/77
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078・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 八十八億六千九百万円です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/78
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079・小林政夫
○小林政夫君 その配付された資料で、計画と貸付実績と違う点ですが、特に金額の点においてこれはどういうことになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/79
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080・丸山文雄
○説明員(丸山文雄君) 先ほど説明がありましたように、脱落者その他については一時償還で落しております。それで違つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/80
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081・小林政夫
○小林政夫君 この配付された資料の第一ページですが、貸付計画並びに貸付実績が合つているものもあるし違つているところもある。その計画というのは予算審議の際の数字である、実績というのはその後の決算した結果の数字だと、こう考えていいのか、何か別の意味があるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/81
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082・丸山文雄
○説明員(丸山文雄君) それは只今申上げましたように、この表の整理としましては、予算をそのまま貸付けたという比較対照表でなくて、現在のところこういうことになつておりますから、従つて只今申しましたように離農等によりまして、すでに一時償還その他でこつちに返つたものがあるので、結局現在の貸付実績からそれは引いてあります。そういう関係でちよつと計画と実績の食違いがあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/82
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083・小林政夫
○小林政夫君 返つて来たのは、例えば二十一年度は合つている、二十二年度においては、この備考に、予算額の一部を二十三年度に繰越して貸付けた、こういうことでずれがある。今ずつとやつて、大体において合つているのだが、多少の違いがある。これは離農者を除いたから云々という数字じやないと思います。単純な予算で、それからこつちは実績だ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/83
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084・細田茂三郎
○説明員(細田茂三郎君) 計画というのは予算額です。それから実績額というのは実際に貸付けた額、そういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/84
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085・小林政夫
○小林政夫君 そういうことならばよろしうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/85
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086・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑を終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/86
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087・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もないようでありますから、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/87
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088・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/88
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089・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任願いたいと思います。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
藤野 繁雄 木内 四郎
小林 政夫 前田 久吉
菊川 孝夫 三木與吉郎
青柳 秀夫 野溝 勝
岡崎 真一 東 隆
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/89
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090・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/90
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091・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/91
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092・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。緊要物資輸入基金特別会計法等を廃止する法律案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/92
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093・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
藤野 繁雄 木内 四郎
小林 政夫 前田 久吉
菊川 孝夫 三木與吉郎
青柳 秀夫 野溝 勝
岡崎 真一 東 隆
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/93
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094・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に、昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。
別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/94
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095・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/95
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096・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。昭和二十八年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案を衆議院送付通り可決することに賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/96
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097・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は、前例により委員長に御一任願いたいと存じます。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
藤野 繁雄 木内 四郎
小林 政夫 前田 久吉
菊川 孝夫 三木與吉郎
青柳 秀夫 野溝 勝
岡崎 真一 東 隆
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/97
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098・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に、財政法第四十二条の特例に関する法律案を議題といたしまして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/98
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099・小林政夫
○小林政夫君 これはどうしてこういう経理をしなければならないのですかね。提案理由には書いてありますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/99
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100・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 提案理由で御説明したわけでありますが、まあ安全保障との関係、それから連合国財産の返還の関係でありますが、この経費の性質と申しますか性質上、実際問題といたしましてこの決定には非常に、いわゆる純粋に国内関係の経費と申しますか、相手方が国内だけであるという問題と多少違いまして、非常に時間を実際問題として要するのであります。それで計画を立てるのにも、例えば安全保障で大体施設の計画を立てるというような場合にも、アメリカ側との折衝にも時間がかかりますし、又今度は日本の内部関係においても相当時間がかかるというようなことでございまして、いわばいわゆる契約を結びましてもう計画が立ちまして、もう契約をいつでも結べるという段階になつていながらなかなかそうままにならず、進捗しないといことが非常に多いのであります。それでまあ私どもといたしましては、例えば相当尨大な金額が予算の半分以上に当るような金額を繰越すというようなことも考えられますので、元来これについては当初から明許繰越というものを取りまして、契約自体がなかなか当初の年度からできそうもないということで繰越明許を当初からお願いしておるのでありますが、それにもかかわらず、なお繰越を一年いたしましても、その事情が変らないためなかなか進みが悪いという場合、日本の会計年度との関係におきまして、こういう経費につきましては元来もう少し適当な方法があるのではないか、毎年同じ尨大な金額を再掲上するということも実は余りみつともいい形のものではないのであります。繰越明許で一年繰越させて頂きまして、さて二十九年度どうするかということになりまして、私どもいろいろ考えたのであります。御承知のように安全保障諸費のごときは、いわゆる講和が完了いたしました際の特殊な経費でありまして、昭和二十七年度に安全保障諸費が載りまして、二十八年度に繰越されましてから全然安全保障諸費の経費は載つておりません。そこへ二十九年度になつて又ぽかんと安全保障諸費というものが予算に形を現わすということは何ともやはり割切れない気持が感ぜられるのであります。御承知のようにアメリカ関係に関する経費につきましては、曽つて例えば見返資金特別会計、これはアメリカと一々折衝いたしまして、そしてきめるので時間等もかかつたのでありますが、そういう場合にいわゆる定時繰越の規定を特別会計に当初からおきまして、相当長期間に亘つて繰越ができるようにいたしたこともあります。それから学童給食のミルクは向うから贈与を受けたことがございますが、これらにつきましても向うとの折衝等いろいろの関係が予定通り行きませんので、これにつきましても会計法上の繰越明許の特例を設けまして、更に再繰越ができるという規定を置いた例もございます。又そういうふうに対米関係におきましてはなかなか単純に行きません。本来国内の経費でありますと、もう計画がしつかり立ちまして、そして契約はやつたけれども支払はいろいろな事情で止むを得ずできないという場合には、いわゆる事故繰越の規定も設けております。こういうような実体はこういう場合に該当するのだということでこういう特例をお願いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/100
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101・小林政夫
○小林政夫君 金額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/101
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102・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 安全保障諸費の使用状況を申上げますと、五百六十億の予算がございましたうちで、支出が三月末に支出済と見込まれるものは三百十一億ございます。支出の繰越が二十九度に二百四十八億になつております。尤もこの支出済の中にはすでに支出負担行為、即ち相当契約をすでに済ましておるというものもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/102
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103・小林政夫
○小林政夫君 それは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/103
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104・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) この二百四十八億のうち支出負担行為が済んでおりますものが大体百五十六億程度ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/104
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105・小林政夫
○小林政夫君 それで残りが九十二億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/105
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106・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/106
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107・小林政夫
○小林政夫君 それは必ず要るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/107
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108・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) これにつきましては計画が完全に確定しておるもの、それからまだ折衝しておるものもありまして、大体これを全部繰越して使用するという予定になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/108
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109・小林政夫
○小林政夫君 占領治下においてはこれはいろいろ止むを得ないこともあるかも知れませんけれども、一応財政法の特例を作るということは余りあなた自身も恐らくいいとは思つておられんと思いますが、そういう安全保障諸費と、いうものをもう一度二十九年度予算に挙げるということであれば、何か別の項目でも考えられるし、支出未済のものは一応打切つたあと別途出すなら出すと、こういうふうな形にしたら……。実体的には差支えないにしても、どうも最近はとかく何かこう会計法規の規則がルーズに扱われる。一々我々の承認を得て、そういう法律を制定してやるのだから、国会が了承しての上だということになりますけれども、特例さえ設ければ、何でも会計規則を適当にやれるのだという習慣はよくないと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/109
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110・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) おつしやる通りだと思います。私たちもこれはやるには随分考えたのですが、予算に安全保障諸費のようなものを再掲上するのもどうかと考えまして、止むを得ず……、おつしやる通り会計制度の維持という見地から言えば、できるだけそういう例外は作りたくないという気持も同様持つておりますが、止むを得ず例外としてお願いしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/110
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111・菊川孝夫
○菊川孝夫君 安全保障諸費が予算に盛られましたときも、一体これは何に使うかと言つて大分論議された。ところが明確な答辨をされぬままに予算は通過したのです。今もこれを繰越しをしようと、こういう……、而も財政法の特例を設けてやろうというのでありますから、一体これは何に使つたのだ、何に使うのか、明細に一つ資料をもらいたいのですが、そうでないと……、この問題は予算通過するときにもこれはやかましく論議されて、どうもはつきりしないままになつておる。その理由もあなたの言われる理由ではどうも……、アメリカのほうとの話合いがしつかりしないからこれはもう一年繰越しておくのだと言うけれども、もうぐずぐずまとまらんものだから、これは止むを得んのだから、切つてしまつてもいい。我々はそう思うのです。もう一つの連合国財産補償費にいたしましても、これは向うからもう申込がなくても、この金額は毎年百億ずつ……、講和条約でしたかね、百億ずつ、予算に盛ることになつておる。その実態は一体どういうふうになつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/111
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112・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 実はこれは総請求額が二百八十五億に達しておるのであります。その二百八十五億をどのくらいにこれを査定して打切るかということで、私のほうでは一応計画を立てて、大体この予算に盛られている程度くらいにしよう、こういうことにいたしたわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/112
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113・菊川孝夫
○菊川孝夫君 二百八十五億の総請求額で大体終るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/113
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114・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それで大体終ります。それだけをあと片付ければよろしいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/114
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115・菊川孝夫
○菊川孝夫君 今の予算額はどのくらいあるのですか、二十七年からでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/115
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116・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 二十七年からですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/116
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117・菊川孝夫
○菊川孝夫君 二十七年に百億、二十八年に百億、今年はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/117
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118・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それが非常な繰越しをしているわけなんです。九十六億繰越をしておる。百億組んで、結局補償関係がなかなか法律問題等があつてきまらんものですから、二十七年の分ですね、これが百億円組みまして九十六億円繰越されたような状態なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/118
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119・菊川孝夫
○菊川孝夫君 二十八年はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/119
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120・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 二十八年度は結局四億計上しまして、今度は二十六億計上しまして、約三十億になるわけです。つまり二十七年には百億組んで四億しか使つておらん。それからして二十八年度には結局残り、当初の九十六億の分を掲上しました。ところが実際問題としては二十六億二十九年度に計上して、それで以て大体それ以上は現在のところ進まないわけです。ですから二十八年度の年度中に十一億大体出る見込になつております。そうしますと二十七年の百億で四億出まして、九十六億繰越して、それから予算を四億足しますから又二十八年は百億になつた。百億になつたうちで一月までに十五億出て、それから三月までに十一億で大体二十六億出ます。そこで結局約七十億というものを二十八年度から二十九年度へ繰越す必要がある。こういうことになるのです。そこで二十九年度は更に二十六億というものを予算に組んでおります。それからすでに前年度繰越明許を取つておる四億がございまして、その四億と二十六億とで二十九年の予算約三十億になりますが、それに今回の特例法で今申上げました七十億を繰越しまして、大体百億になる。そのうちでこれが年度内に、二十九年度中に支払われる見込みが又七十億、こういうことで、ちよつと数字がややこしいのですが、表を一遍お出ししようと思いますが、いずれにしても二百八十五億の要求がございまして、現在のところでは支出済はそういうような状況で、二十七年には僅かに四億、二十八年度には二十五億、約三十億しか出ておらん、こういう状況であります。それで結局七十億をどうしても繰越す。つまり予算の大部分がまだ事態が進まないために大部分が繰越になるという状況なんです。これを毎年厖大な予算の大部分の金額を再掲上するというような形も多少妙なものなんですから、こういう方法をとつているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/120
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121・菊川孝夫
○菊川孝夫君 条約によりますと毎年百億組むということになつているのじやないか。予算の上に組まなければならんという義務を負わされている。ここで大分議論したのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/121
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122・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それは今に始つたことじやございませんが、二十八年の予算を組みますときにも、結局二十八年に四億しか組まなかつたわけです。二十八年の予算は九十六億二十七年から繰越しましたから、結局繰越を含めていいということに向うと話をつけたわけです。それで出もしない金を毎年形だけ掲上するのは困るからということで、二十八年にも交渉しまして、向うと折衝の結果向うも了解しまして、それは何も予算の上に形が現われなくても、繰越を含めて百億あればよろしいということに了解がついたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/122
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123・菊川孝夫
○菊川孝夫君 向うというのはどこですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/123
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124・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) まあ今のところやつぱりアメリカ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/124
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125・菊川孝夫
○菊川孝夫君 アメリカとしてそれでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/125
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126・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 司令部の場合勿論そうです。アメリカが大体間に立つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/126
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127・菊川孝夫
○菊川孝夫君 併しこれはフランス人に対しても、条約の発効したところに対して全部やらなければならん。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/127
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128・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 勿論個々の折衝は個々的にやつているわけなんです。ただ法律を作つたのは二十六年でしたがね、法律の当初からその点の問題が解釈上ありまして、一応そういう了解で、我々としても要りもしない予算をむやみに組みたくないということで当初から折衝していたのです。個々の勿論決定は相手国別にみんな請求も出ておりますし、それによつて折衝しているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/128
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129・菊川孝夫
○菊川孝夫君 それからこの請求額を請求しているのには、これは講和条約の発効後、すでに批准も済んで発効した国ですか、みんな調印した国の請求が全部来ているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/129
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130・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 全部発効した国です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/130
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131・菊川孝夫
○菊川孝夫君 発効してまだしてないところがありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/131
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132・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) それは数字的には極く僅かなものです。大部分は発効しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/132
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133・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この四十二条の特例の問題につきましては、これは安全保障諸費のときにも私は相当論議した問題である。それから連合国財産補償費も論じた問題である。これは実際に今の、あとになつてからこういう説明を受けますけれども、これがやられるときにはとてもそんな説明じやなかつたのですよ、前の記録を読んでみましても……。だからこれは一つ今の資料をもらうこと、やはりこれは国務大臣に一つ来てもらつて一遍質問したいと思うのですがね、この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/133
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134・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 菊川委員の要求された資料は速かに提出をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/134
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135・菊川孝夫
○菊川孝夫君 外務大臣と大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/135
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136・小林政夫
○小林政夫君 二百八十五億の国別の内訳はわかりますか、資料でもらうこともないから、ちよつとそこで言うて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/136
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137・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 英国が二百五十七件で七十一億円です。それから米国が二百六十件で百七十一億円です。それからフランスが二十九件で十億円です。それからオランダが五十二件で五億五千万円です。それからその他が八十四件で六億円余りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/137
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138・小林政夫
○小林政夫君 その他の中でインドが幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/138
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139・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) インドはちよつと今私手許に資料がありませんので、若し何でしたら資料で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/139
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140・小林政夫
○小林政夫君 資料で出してもらつてもいいのですが、インドからの請求についてはどういうふうになつていますか、向うの請求が、あなた方が見られて……、若し速記を付けて悪ければとめて聞きますが、向うとの、請求者との間においての折衝は円滑に行つておるのかどうなのか、実はちよつとインドに行つて聞いたことがありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/140
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141・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつと私お答えできませんから、若し何でしたらあとで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/141
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142・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げますが、只今佐藤政府委員から申上げましたのは、本年の一月末日までに請求期限の到来しました二十二カ国につきましての数字を申上げたのであります。インドはたしか二月二十二日に期限が到来したと思うのでございますが、この分は従いまして只今の数字の外になつておるかと存じます。ちよつとそのあとからのものでございますので、精査はいたしておりませんが、私どもの大体の見当といたしましては、只今申上げました二十二カ国の計が二百八十億でございますが、全体が出揃いまして、その全体の中にインド或いはベルギーなんかも入るのでございますが、出揃いましても二百八十五億円見当、即ちまあせいぜい五億くらい殖えるのじやないか。この詳しい内訳は只今のところちよつとわかりませんが、大体の見当をそういうようにつけておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/142
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143・小林政夫
○小林政夫君 インドのことでお話しておきますが、向うの在留邦人又は公館あたりで言つておるのですが、日印平和条約によつて、インドは無条件で日本の在印財産を返す、こういうこと言つておりながら末だに一銭も返しておらない、そういう条件ではなかつたのだけれども、最近に至つてこの連合国財産補償の関係を日本が一向に払つてくれない、従いまして向うも払わない、こういうことを最近になつて言い出しておる。それは決して交換条件でも何でもないのだけれども、そういうことが言われた。こういうことを言つておりますからお含みの上処理願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/143
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144・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) よくわかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/144
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145・菊川孝夫
○菊川孝夫君 更に附加えて資料の際にお出し願いたいのは、この前のこの連合国財産補償法が通りますときに、どういうものが一体補償の対象になるかということを大分やかましく言つたのですが、これはもう何でもやられるのだということで御説明を受けておつたのですが、従つて今四億だけは済んだというのですが、四億のうちの主なるこれの補償したケースを一つ御説明願いたいと思うのですが、どういう財産を補償してあるか、それからどこにあつて、その主だつたものを一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/145
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146・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) ちよつと担当官でないと詳しい説明は私にはできかねますが、私のほうの管財局がこれの処理をいたしておるのです。そのほうから資料を精細なやつを一つ出させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/146
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147・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この二百八十五億でどういうものが出ておるかということも一つ具体的に御説明願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/147
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148・佐藤一郎
○政府委員(佐藤一郎君) 資料でよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/148
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149・菊川孝夫
○菊川孝夫君 資料で結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/149
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150・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) まだ御質問があるようですが、これは次回に譲りまして、この際……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/150
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151・菊川孝夫
○菊川孝夫君 この前に岡崎さんとこの問題について両方聞いたことがある。大分違います。今の説明とは……。で、一つお手配願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/151
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152・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) この際お諮りいたします。税制改正案について参考人より意見を聴取したらという御希望が委員の方に大分あるようでありますから、それで第一に、酒税法の一部を改正する法律案及び酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、日本酒造組合中央会の専務理事永見周蔵君を、第二に入場税法案につきましては日本興行組合連合会事務局長加藤巌雄君を、第三にしやし繊維品の課税に関する法律案については全日本洋服組合連合会常務理事の小河原新一郎君及び日本絹人絹商協会専務理事の沼田義雄君を、第四に揮発油税法の一部を改正する法律案については日本トラツク協会常務理事小野盛次君を、それぞれ参考人として意見を聴取することにしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/152
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153・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。
なお公聴会のことについて御報告申上げます。公聴会の公述人の選定につきましては委員長に御一任を願つているわけでございますが、委員長においては次の方々を選定いたしました。東京新聞論説委員元税制調査会委員福良俊之君、十条製紙株式会社専務取締役金子佐一郎君、全日本自治団体労働組合中央執行委員長占部秀男君、東京法人会連合会常任理事、税制委員長中村重喜君、元税制調査会及び地方制度調査会委員三好重夫君、以上五名であります。なお、午後は各税法案の質疑に入る予定でありましたが、なおそれに加えて外国為替銀行法案について、銀行局長の内容の説明の聴取及び質疑を行う予定であります。
暫時休憩いたしまして、午後二時から続行いたします。
午後一時一分休憩
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午後二時三十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/153
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154・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 午前に引続きまして会議を開きます。
外国為替銀行法案を議題といたしましてその内容説明を聴取いたいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/154
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155・河野通一
○政府委員(河野通一君) 逐条の御説明を申上げます前に、外国為替銀行法案を制定いたしますに至りました経緯及びこれを審議いたして参りました経過を御参考までに一応申上げておきたいと思います。
この法案を制定いたすことが必要であるというふうな考え方に大蔵省として方針をきめましたのは一昨年の中頃からであるのであります。爾来そういう方針の下にいろいろ検討を資料について加えて参り、具体的にこれらの構想を法制化いたすことのための具体的な構想等につきましても取りまとめて参つたのであります。こういつた外国為替銀行の制度を整備いたしますための法制の制定ということにつきましてその必要を認めましたのは、我が国の経済の状態が特に貿易に依存することが非常に高い、そういつた我が国の経済の特色の下におきまして、経済の自立と発展を期して参りますためには、外国為替取引或いは貿易金融についてこれを円滑に自主的に運営いたすことが必要であると考えられるのであります。そのためには広く海外の主要為替市場及び貿易市場に支店網を持ち、外国の為替銀行にも比肩し得るような十分の能力と信用を有する為替銀行の実現が必要とされると考えられたのであります。我が国の現状におきましては、近い将来において自然の推移のうちにこういつたような為替銀行の実現を期待することはなかなか困難である。従いまして、以上申上げましたような要請に応じて参りますためには、新たに業務の主たる対象を外国為替取引及び貿易金融に置き、これらの業務に専念をする外国為替銀行というものの成立を期することが必要である、かような考え方の下に外国為替銀行制度というものの整備を図つて参りたいということに考えて参つたのであります。この問題につきましては経済界特に金融界並びに貿易業界等におきましていろいろの観点から意見が表明されて参つたのであります。これらの意見を十分に汲み取りながら、私どもといたしましては、この制度の確立を急速に実現することが必要であるという結論に到達いたしまして昨年の暮に、従来から大蔵大臣の諮問機関として設けられておりました臨時金融制度懇談会という仕組がございますが、この制度には委員として国会議員の方々にも御参加を頂いておるのでありますけれども、この金融制度懇談会を昨年の暮に開いたのであります。爾来今年の初めまで、三回に亘りましてこれらの問題についての議論を戦わして頂いた次第でございます。然るに本年一月の二十五日に、臨時金融制度懇談会としてのこの問題に関する答申が決定せられまして、その答申が同日大蔵大臣に提出せられたのであります。その答申の内容は、資料としてお手許に差上げてございますものの中に挿入してございますので、後ほど御覧願いたいと思うのでありますが、かいつまんで申上げますと、外国為替銀行制度の確立によつて、外国為替銀行制度を整備しようとする政府の原案については、これを妥当とする、適当であるとする意見が比較的多かつたが、これを妥当でないとする意見もあつて、本懇談会としては全会一致の結論には到達しなかつたということが全体をかいつまんだ答申であります。
それで妥当としないような意見の主なるものがこの答申の中に列挙されておるのでありまして、或いはこれらの制度を作るということは、現在の状況では時期尚早であるとか、或いはこれらの制度を作ることによつて却つて金融というものが不円滑になる虞れがある、いろいろな観点からこの制度に対する批判的な御意見が述べられておるのであります。なおこの構想に対して賛成をせられた方々のうちにもいろいろな要望が出されておる。例えば、この制度を作つた場合におきましても、十分に一般の外国為替銀行との間に協調の関係を維持して、国全体としての外国貿易為替の金融の制度がうまく円滑に動くように配慮しなければならんといつたようなこと、その他、この制度を制定し、実施をいたして行く場合におきまする要望の意見が述べられておるのであります。これらの賛否いずれの意見にいたしましても、その要望なり批判として述べられておる点は、政府において十分にこれを配慮を加えて、この制度を実施いたして参りますためには慎重に善処することが必要であるというふうなことで、この答申は結ばれておるわけであります。以上のような答申を受けまして、今申上げましたように比較的多数の方々の御意見がこの制度の確立について御賛成を頂いたということでありましたので、私どもといたしましては、速かにこの制度を法文化して、国会に御提案申上げるというようなことで方針を決定いたしました。法文を整備いたしまして先般国会に御提案申上げた次第であります。
以上が外国為替銀行法案を御提出申上げることになつた現在までの経緯の概略でございます。
条文の内容につきましての御説明は、これから加治木調査室長から御説明をさせることにしますが、条文自体といたしましては極く簡単な条文であります。特に私から御説明申上げることもないと思いますが、逐条につきましてお聞き取りを願いたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/155
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156・加治木俊道
○説明員(加治木俊道君) それでは法案の各条を御説明申上げます。
非常に簡単な法律でございまして、二、三カ条を除いては特に御説明申上げるほどの条文はないのでありますが、一応読みながら、特に御説明申上げる点だけを説明を附加して逐条申上げてみたいと思います。
第一条は目的でございます。「この法律は、外国為替取引及び貿易金融の円滑を図るため、外国為替銀行の制度を確立し、その業務の公共性にかんがみ監督の適正を期するとともに、金融制度の整備に資することを目的とする。」この目的については、只今局長から申上げたように、特に御説明の要はあるまいと思います。書き方は大体長期信用銀行法に準じております。ここには長期信用銀行法に準じた書き方が多いのでございます。
定義、第二条の、「この法律において「外国為替銀行」とは、第四条第一項の規定により大蔵大臣の免許を受けた者をいう。」、それから第二項で、「この法律において「貿易金融」とは、輸出入取引のため直接必要な資金の融通をいう。」、第二項に特に「貿易金融」の定義を設けましたのは、あとで第四条に出て来ます、「貿易金融の業務を営もうとする者は、大蔵大臣の免許を受けなければならない。」、その免許を受けた者がその外国為替銀行になるわけでありますが、その免許を受けなければならない条件の一つに貿易金融を主として行うということがあるのです。従つて貿易金融の定義を法律上はつきりしておく必要があるというので、特に第二項の定義があるのであります。
第三条「外国為替銀行は、資本の額が十億円以上の株式会社でなければならない。」、十億円というのは今の銀行法なり何なりの規定の資本の最低額に比べますと非常に高いようでありますが、銀行法の資本の最低限は古い規定でありまして、昔の貨幣価値で表現されております関係もあるのでありますが、長期信用銀行に比べても、長期信用銀行よりも最低額が大きくなつております。対外的な信用が、一つの銀行としてはより大きな意味を持たされなくちやならないようなそういう性質の銀行でございますので、特にこの点は十億円程度は少くとも持たせることが適当であろうと考えたのであります。
営業の免許、第四条、「主として外国為替取引及び貿易金融の業務を営もうとする者は、大蔵大臣の免許を受けなければならない。」、この「主として」という意味は、単に主たる業務の一つとしてという意味ではなく、業務の体制といいますか、業務全体の重心が外国為替取引及び貿易金融にある、これらの業務に専念する、そういつた意味なんであります。例えば何々銀行が主要業務の一つとして、一般国内業務のほかに外国為替業務というものを一つ掲げておるという程度のことではないのであります。それは大蔵大臣の免許を受けなければならない。第二項に、「大蔵大臣は、免許を申請した者の人的構成、事業収支の見込及び国際的信用に関する見通し、経済金融の状況その他を勘案し、その者が外国為替銀行の業務を行うにつき充分な適格性を有すると認めた場合に限り、前項の免許をすることができる。」、外国為替業務或いは貿易金融に専念しようという銀行があつた場合には、大蔵大臣の免許を受けなければならないのでありますが、その場合に、大蔵大臣はどういつた態度で免許しなければならないかというのが第二項でございます。この書き方も長期信用銀行法に殆んど準じております。ただ長期信用銀行法の免許基準よりも一つ多いのは、「国際的信用に関する見通し」というのが一つ入つているだけであります。これは外国為替銀行の性格上、これは一つの何と申しますか、外国為替銀行たる資格を得るに必要なそういう重要な条件でありますので、こういつたことを入れてあります。これは外国為替管理法にも、外国為替管理法上銀行は外国為替業務を営むについては大蔵大臣の認可を受けなければならないことになつておりますが、その場合の許可に当つても大蔵大臣はこういつた要件を勘案することになつております。「国際的信用に関する見通し」という言葉がやはり使われております。それと同じ表現を使つたのであります。考え方も同様なところに落着いておるのであります。
商号、「外国為替銀行は、その商号中に銀行という文字を用いなければならない。」、
「2銀行法(昭和二年法律第二十一号)第四条第二項(商号)の規定は、外国為替銀行には適用しない。」これは外国為替銀行であるから外国為替銀行という文字を用いさせればいいかとも思いますが、外国為替銀行という商号を用いさせるにしては少し商号としては長過ぎるし、まあ銀行という商号で十分その実体を表わすに必ずしも不適当ではないと考えられましたので、これは銀行という文字を用いればよろしいということにしたのであります。第二項は、ところが銀行法のほうでは、銀行法で規定する銀行以外のものは銀行という文字を用いてはならないという規定がございます。ですから外国為替銀行でも銀行という商号を用いさせるためにはこれを排除しなければならないのであります。これは長期信用銀行と全く同じことであります。
それから第六条、第七条が業務でございます。これがこの法案の重要なポイントの一つでございます。第六条、第七条は要するにこういうことであります。第六条は、この主たる業務といいますか、外国為替銀行の本来的な業務といいますか、こういうものを掲げております。
第七条は、貿易金融を円滑にするためには、若干関連業務で、国内金融業務ではあるかも知らんけれども、貿易金融を円滑に行わせるため必要ありと認めるときは、大蔵大臣は特にこれを認可して、外国為替銀行にその範囲の関連業務を併せ営ませることができる。併し大蔵大臣は又余り国内業務のほうへ、たとえ関連ある業務といえども突つ込んで入つて来ることは、他の一般の国内商業銀行との協調、及びこの銀行がそもそも本来使命とするところの外国為替取引なり貿易金融そのものに支障を与えるようなことになつても困る。本業が疎そかになるようなことがあつても困るというような、そういつた情勢の場合には、大蔵大臣は一旦認可を与えた業務といえども、関連業務であればこれを切ることができる、こういうふうになつておるのであります。趣旨は、要するに外国為替銀行は本来は第六条に掲げてある業務に専念すればいいのだ、併し事を円滑に運ぶためには、情勢によつては関連業務も認めるが、逆にその関連業務も、本業を円滑に遂行するため必ずしも関連業務を行わせることが適当でないというときには、大蔵大臣はこれの認可を取消すことができる、こういうことで制度の本来の趣旨からいうならば、理想的な状態で第六条の業務に専念させる、こういうところに狙いがあるわけであります。
第六条に掲げておりますのは「外国為替銀行は、左に掲げる業務を営むことができる。」、「一外国為替取引、」これは外国為替取引とは何ぞやということは定義いたしておりませんが、要するにこれは外国との間に行われる為替取引のとこでございます。為替取引の意味は、銀行法で規定いたしております為替取引と同様な意味に解釈されるべきであります。「二信用状に関する業務」、これは信用状の発行業務でございます。それから「三輸出入その他の対外取引のため直接必要な資金に関する貸付、手形の割引、債務の保証又は手形の引受」、若干ごたごたして書いてございますが、「輸出入その他の対外取引」というのは、一体何を対外取引というかというのでありますが、これはここでは要するに非居住者、非居住者というのは日本に居住していないということですね、日本の国に居住してない非居住者、外国政府又は非居住者との取引という意味であります。従つていわゆる貿易ではない、貿易外の対外的な取引、又は現在例えば国内で実際上の取引が行われていますが、特需のような取引がございます、これも外国政府との取引でございまして、その意味ではやはりここでいう対外取引に入るわけであります。広くこの対外的な取引をここでは包摂して、それに「直接必要な資金に関する貸付、手形の割引、債務の保証又は手形の引受」と書きましたのは、要するに信用の供与ということでございます。法律上如何なる場合も信用供与である限りはやり得るように丁寧に並べてあるだけでございまして、要するに信用供与と言つております。それから「四預金の受入」、「五内国為替取引」、「六前各号に掲げる業務に付随する業務」、預金の受入は特に制限いたしてございませんが、これは外国為替取引或いは貿易金融といえども、金融の性質からいえば一般商業金融の範疇に属すべき性質のものでありますし、当然その資金源として預金が取り得るならば預金を取るべきであります。ただ実際問題として一般国内商業銀行との協調関係等を考えれば、余り積極的に預金を取らせるというのはどうかというような問題は行政的に、或いは業務の運用上は問題があろうかと思いますが、これも実際上あとで出て来ます店舗が非常に制限されるということと、それから全く貿易に関連のない純国内の貸出業務はできないという意味において、この二つの意味で、純国内貸出ができない、それから国内では十分に店舗網が張れない、そういう意味で実質的にはかなり制限されることになつております。
それから第七条「外国為替銀行は、前条第一号から第三号までに掲げる業務を円滑に遂行するため必要がある場合又は外国で行う場合には、同条の業務に妨げのない範囲において、同条第三号に規定する資金以外の資金に関する貸付、手形の割引、債務の保証若しくは手形の引受又はこれらの業務に附随する業務を営むことができる。」第六条はいわば本業と申上げましたが、本業中の本業は第六条の第一号から第三号までに掲げる業務でございます。それで外国為替銀行の本来専心すべきこういつた業務を円滑に遂行するため必要がある場合ということでございますから、自己のそういう対外取引金融或いは外国為替取引の業務と関連のある業務も必要のある範囲内ということになります。そういう場合又は外国で行う場合には特にそういう制限がございません。一号から三号までに掲げる業務を円滑に遂行するため必要がある場合でなくても外国で行う場合には制限は一応ないのであります。これは外国におりますと向うで以ていろいろ日本人の面倒を見なければならん。必ずしも六条の一号から三号までに掲げるようなそういう性質の資金需要でなくても、向うでいろいろ面倒を見なければならん。旅行者の場合もありましようし、又は向うへ一時行つておる人の場合もありましよう。そういつた場合を考えまして、まあ外国でやる場合にはこの銀行の性質からいつても、外国へ行つた日本人その他の者はこういう銀行に資金的に頼つて来る場合もあろうから、必ずしも対外取引に関連する業務でなくてもそういう信用供与は認めるようにしようじやないか、こういう意味で特にしぼつてはございません。まあ併し実質的にはそう大きな問題ではございません。併しいずれも同条の業務に妨げのない範囲でやれということになつております。第六条に掲げる業務に妨げのない範囲でやれ、本業を疎かにしてはいかんという意味であります。そういう場合には第三号に掲げる資金以外の資金というのですから、対外取引のため直接必要な先ほど申上げましたそういつた資金以外の資金の貸付、手形の割引、債務の保証、手形の引受、そういつた資金に関する信用供与はやつてよろしい、又それに附随する業務もよろしい、こういうことでございます。但し第二項で「前項の業務を営もうとする場合においては、外国為替銀行は、その内容を定め、大蔵大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも同様である。」、認可を受けなくちやならん。「大蔵大臣は、外国為替取引及び貿易金融の円滑を図るため必要があると認めるときは、前項の規定により認可した業務の内容を制限することができる。」、先ほど申上げた通りでございます。
第八条「外国為替銀行は、担保附社債信託法により本邦の法律に基いて設立された法人が外国において募集する物上担保附社債に関する信託業を営む外、前二条に掲げる業務以外の業務を営むことができない。」、これは銀行法の書き方とよく似ております。ただ担保附社債信託法の信託業務は何でもやれるのじやなくて、外国で募集する物上担保附社債に関する信託業を営む場合、外債を外国で募集するような場合に、強いてそういつたものは外国側の銀行に依存しなくても、日本から出ておるこういう銀行に依存する、そうしてその信用を利用する或いは店舗網を利用する、そういうようなことをやつてもいいじやないか、そういつたものは認めるが、それ以外の業務は営むことができない、こういうことであります。一般的な兼業禁止で、ただ例外的に外国で募集される外債に関する担保附社債信託業務を認めたのであります。
第九条「外国為替銀行は、外国為替取引及び貿易金融上重要な地に限り、支店その他の営業所を設置することができる。」、これも重要な規定の一つでございます。一般の銀行についてはただ店舗を設置するについては大蔵大臣の認可を受けろというだけの規定でございまして、どういつた所に置けとか或いは置くなという規定はございません。外国為替銀行はその性質上外国為替取引及び貿易金融上重要な地に限つて置くことができるのでございます。その置く場合に、置くことができるから自分勝手に置いていいかというと、これはあとで銀行法が準用されまして、やはり認可は受けなくてはならないのであります。
それから第十条「外国為替銀行は、合併により銀行業又は貯蓄銀行業に属する契約に基く権利義務を承継した場合において、その契約が当該外国為替銀行の営むことができない業務に属するときは、第八条の規定にかかわらず、大蔵大臣の認可を受けて、当分の間、その契約に関する業務を継続することができる。」、このあとが実際の意味を持つて参ります。「銀行(銀行法に規定する銀行をいう。以下同じ。)が外国為替銀行となつた場合において、従前の業務に属する契約のうち当該外国為替銀行の営むことができない業務に属するものがあるときも同様である。」、これは銀行との合併の場合に、或いは又貯蓄銀行業務を引継ぐ場合もありましよう。貯蓄銀行に属さない一般銀行の場合でも、外国為替銀行は一般の銀行が営み得る業務範囲よりも小さくなつております。勿論貯蓄銀行業務はできません。従つて銀行なり或いは貯蓄銀行なりを承継し引継いでやる場合には、外国為替銀行としてはやれない業務が出て来るわけであります。そういつた場合には大蔵大臣の認可を受けて当分の間はその整理が済むまでは、これはまあ大蔵大臣が適当に認可するのでありましようが、前の銀行業なり或いは貯蓄銀行業に属する業務を継続してやつてよろしい、こういうことであります。今申上げましたのは合併の場合でありますが、銀行が外国為替銀行に転換する場合も同じように、前にその銀行が営んでおつた業務で、而も外国為替銀行となつたために営むことができない業務、要するに純国内貸付業務を当分の間は認可を受けてやつてもらう。これは場合によつてこの法律施行に伴つて既存の銀行が外国為替銀行になることもあることを予想しましてこういつた規定を置いてあるのであります。第二項は、「貯蓄銀行法第九条及び第十条の規定は、前項の規定により貯蓄銀行の業務を継続する外国為替銀行について準用する。」、これは貯蓄銀行法には特別な規定がございます。例えば供託しろとか或いは優先弁済の規定がございます。それは貯蓄銀行業務を継承した外国為替銀行にも準用されるということでございますが、実際はこの九条も十条も戦時の特別措置で停止になつておりますから、この第二項は殆んど働き得る余地は実際問題としてありません。第三項は、「銀行が外国為替銀行となつた場合又は外国為替銀行が銀行を合併した場合においては、銀行法第二十六条の規定は、当該外国為替銀行については適用しない。」、これも第二十六条ではどういうふうになつておるかといいますと、銀行がほかの会社になつた場合には、銀行は預金を集めておるという特殊な関係で預金業務に関する限りは相変らず大蔵大臣の監督下に入らなくちやならない。例えば銀行が仮にデパートになつたというような場合を予想すれば、前に銀行時代に集めておつた預金に関する業務については、それがきれいに完済されるまでは相変らず銀行として大蔵大臣の監督下に入る、こういうような規定なんであります。ところが銀行が外国為替銀行になる場合には、相変らず外国為替銀行として同じようにといいますか、大蔵大臣の監督下に入るわけでありますから、強いて第二十六条の規定を適用しないでもよろしいという趣旨の規定でございます。
第十一条は銀行法の準用でございます。全部みましても何でございますが、要するにこれこれを除いて準用すると、こう書いてあります。そうするとどういうことが準用されるかといいますと、例えば支店等の設置についての認可、それから準備金の積立、営業年度の規定、それから報告、それから帳簿、役員、それから休日、銀行には特別の規定がございまして、同じような規定がされる、それから大蔵大臣の監督、こういつたことが皆準用されるわけであります。会社については外国為替銀行であると銀行であると同じような規定或いは監督の仕方でいいのでありまして、その意味で便宜現行法の規定を準用いたしておるのであります。ただ同法第二十六条第一項中「他ノ業務ヲ営ム会社」云々という読み替え規定が特に書いてございますのは、これは外国為替銀行が仮に一応、さつき申上げたと同じことでありますが、他の会社に転換する場合にはどうするかと、銀行法の規定を一応準用しておりますが、要するに銀行らしからざる他の会社に転換した場合には、先ほど申上げましたようなことが必要になるのでありますが、外国為替銀行が銀行法の銀行に或いは長期信用銀行法の長期信用銀行に変つたりする場合には、これはどつちに変つても同じく大蔵大臣の監督下に入るからいいようにしなければならないわけであります。だから他の会社になつた場合というその他の会社というのは銀行以外、長期信用銀行を含めた他の業務を営む銀行以外の会社になつた場合にこういう規定になる、こういうふうに読み替えてくれという規定でございます。
それから第十二条、これは「外国為替銀行は、銀行法にいう銀行ではない。但し、銀行法及び外国為替及び外国貿易管理法(昭和二十四年法律第二百二十八号)並びにこれらに基く命令以外の法令において「銀行」とあるのは、別段の定がない限り、外国為替銀行を含むものとする。」これは外国為替銀行は銀行法の銀行ではない、併し特にほかの法令で断つていない限りは、銀行とただ書いておるときには外国為替銀行は含む、例えば一般の関係あるのは金融統制法規でありますが、金融統制法規で銀行と書き放しにしてあるのは、銀行と外国為替銀行と特に区別して書き分けなければならん理由は余りないのであります。通常の場合、例えば金利を規正するとかいうような仮にそういう金融統制法規がある場合には、大体銀行も為替銀行も又長期信用銀行も同一に扱うのが通例であります。従つて特に断つてない限り同一に扱う、銀行とあるものは外国為替銀行を含むのだ、こういうことが書いてあります。但し、これは銀行法でいう銀行法の規定の中ではあそこで銀行々々という言葉をたくさん使つてありますが、これは外国為替銀行を含めては困るのであります。あれは飽くまで外国為替銀行と違う国内商業銀行の基準法でございます。それからもう一つ、外国為替及び外国貿易管理法上は、これはあとで申上げますが、これは一般の銀行、銀行法に基く銀行と外国為替銀行というのは若干扱いが異つて来るのであります。これは一般の金融統制法規と違いまして、この外国為替に関する事柄であるから、従つて外国為替業務を本業とする外国為替銀行と一般の銀行の業務とは若干取扱いを異にしております。これはここで一々申上げませんが、あとで出て来るのでありますが、要するに今度外国為替銀行を作りますに際しまして、向うでは外国為替管理法上外国為替銀行という言葉が今まで使つてあります。それは外国為替管理法上の特別の業務の認可を受けた銀行のことを外国為替銀行と称しておるのであります。そういう特別な認可を受ける必要があるのは、この法律に基く外国為替銀行でない一般の銀行の場合でありまして、この外国為替銀行法に基く銀行は仮にこれを専門銀行と申上げますと、専門銀行は本来これを使命としておるのでありますから、又改めて向うで認可を受けなければならない、或いは場合によれば認可の取消を食らうということになりますれば、制度の目的を達成できないことになります。従つてこの銀行は特に向うの認可を受けなくても外国為替業務ができるというふうにしたのであります。そうしておいて、向うの規定で特に認可を受けて外国為替業務を営み得る一般の銀行と、それからこの銀行とを併せて今までは外国為替管理法上は単に外国為替銀行と称しておつたのを、外国為替公認銀行というふうに改めたのであります。これは附則に書いてありますが、便宜ここで関連がございますから御説明申上げました。附則の五項でありましたかに書いてあります。これは外国為替銀行という名前になりましたので、今まで外国為替管理法上同じ名前を使つたのでは混淆するので分けたのでありまして、取扱いも特に外国為替専門銀行のような管理法上の特別の認可は要らない、但し一般の為替管理のやり方については同様の規定に服するのであります。業務を営むことについて特に認可は要らないのでありまして、その他の一般取引については外国為替管理法上の一般の規定に従うのはこれは他の銀行と同様であります。
それから実施規定、罰則でございます。実施規定は、要するに必要な手続規定は大蔵省令で定める。罰則規定は長期信用銀行と全く同じ書き方になつております。それから刑量の程度も全く同様でございます。
それから附則「この法律は、公布の日から施行する。」、第二項は、ちよつと二項が重要でございますが、「銀行がこの法律の施行の日から一年以内に外国為替銀行となつた場合においては、当該外国為替銀行は、第四条第一項の規定による免許を受ける際に設置していた本店、支店その他の営業所のうち、第九条の規定に該当しない地に置いていたものを、同条の規定にかかわらず、この法律の施行の日から三年以内の期間に限り、大蔵大臣の認可を受けて引き続き存置することができる。」、これも先ほど申上げましたのでありますが、この外国為替銀行法の施行に伴つて既存の銀行が外国為替銀行になることも予想して、転換の場合は、先ほどは業務の規定でございましたが、今度は店舗の関係でございます。店舗は第九条の規定によりまして、外国為替銀行は特別の所にしか店舗を置けないのであります。ところが今まで銀行が外国為替銀行に転換する場合には今まで持つておつた店舗のうちこの第九条の規定に抵触して置けなくなるような店舗が出て来るのであります。それを直ぐやめてしまえというのもこれはまあいわば生きものでございますから、急にはうまく行かないであろう。従つて一定の三年間の期間を限りますが、その期間内では大蔵大臣の認可を受けて引続き存置することができる、それも特別の認可を受けなければならない。併しそれは如何なる場合でもそうかというと、この転換するのがこの法律施行後一年以内に転換するようなそういつた場合だけに限つております。これは外国為替銀行法というものは今までなかつたわけであります。今急にといいますか、今度新たにこれができることになるわけであります。従つてこの切替の際の暫定的な便宜措置であります。遠い将来ではそういう便宜の措置はやる必要はあるまいということであります。それから第三項でありますが、ちよつとややこしいのであります。「前項の規定により大蔵大臣の認可を受けて存置した外国為替銀行の営業所については、当該外国為替銀行を外国為替及び外国貿易管理法第十条(外国為替業務の認可等)第一項の認可を受けた銀行とみなして、同条第三項及び第四項の規定を適用する。」、これはどういうことかといいますと、先ほど申上げましたように一般の銀行が業務認可と店舗の認可を受けるのであります。この店舗で外国為替業務を営む、そして又この店舗が業務をやめた場合はやめたという届出をしなければならない、それが外国為替管理法第十条第三項、第四項であります。ところが外国為替銀行の専門銀行で申しますと、専門銀行は先ほど申上げましたようなそういつた認可が必要でない、従つて店舗も認可も必要でないことになつておるのであります。そうすると本来置けないところに切替えの場合に便宜措置として認めた店舗は、これは本来の店舗と同じように、やはり管理法の認可を受けなくて外国為替銀行業務が営めるというふうに扱うのは、その必要がないし又適当でないのであります。その店舗については、それは一般の特に管理法上の認可を受けて為替業務を営むことができる、一般の銀行法と同じように扱う、その暫定的における店舗に関する限りはそういう趣旨であります。
それから第四項から第九項までは、これはいずれも先ほど申上げましたこの外国為替銀行法施行に伴つて必要な外国為替管理法上の改正をやつたわけであります。外国為替公認銀行というものに改めたわけであります。それに関連する規定でございます。例えば四項は大蔵省設置法では「外国為替銀行」というものは「外国為替公認銀行」に改めるというふうに書いてありますが、これは要するに大蔵省設置法第十三条第八号に書いてある「外国為替銀行」というものは、外国為替管理法上の外国為替銀行はこれを指しておつたのであります。それは外国為替銀行ではなくして、今度は外国為替公認銀行というふうに呼んでもらわなければならないわけであります。ただ外国為替銀行ということになると専門銀行ということになりますから、そのためのものであります。いずれもそうであります。要するに第五項は、先ほど申上げました為替管理法の改正であります。第六項は輸出保険法の改正であります。それから第七項は外資に関する法律、第八項は輸出入銀行法、第九項は外国為替資金特別会計法、いずれも為替銀行というものを為替公認銀行に改めたことによる必要な改正規定でございます。
第十項は、これは長期信用銀行法のやはり外国為替銀行法を施行するに伴つて生じた必要な改正でありまして、これはどういうことかと言いますと、ちよつとややこしいのでありますが、中「第十五条第一項銀行法に規定する銀行をいう。以下同じ。」を「銀行法に規定する銀行をいう。」に改める。」、「銀行法に規定する銀行をいう。」として、「以下同じ。」がなくなつたということであります。先ほど申上げました通り、この一般の法律でただ銀行と言つておる場合には、特に断らない限りはこの外国為替銀行を含むのだというふうになつております。従つて第十五条で「銀行法に規定する銀行をいう。以下同じ。」、こうやつてしまいますと、長期信用銀行法第十五条以下においては常に銀行法に規定する銀行だけをこの場合いうのだと、従つて外国為替銀行との関連からいうと、外国為替銀行は含まないのだということになるのでありまして、これに関連するのは十六条であります。十五条はいいのでありますが、十六条はどういう規定かといいますと、長期信用銀行が他会社に、これはさつき申上げましたようなことでありますが、二十六条と同じようなことでありますが、他の会社に転換する場合、どういうふうに書いてありますかというと、長期信用銀行法第十六条には、「長期信用銀行がその目的を変更して他の業務を営む銀行以外の会社として存続する場合」というふうに書いてあります。そういうときにはこの預貯金及び債券に関する業務は特殊な業務だから、相変らず大蔵大臣の監督下に置く。従つて長期信用銀行は倉庫業とかデパートみたいなものに変つたときにはその規定はそのまままともに受けていいのだが、為替銀行に変つた場合にはこれはもう同じく大蔵大臣の監督下に入るから特別にこういう規定の適用を受ける必要がないのじやないかというふうに思うのであります。そのためにはここでは「銀行以外の会社として存続する場合」というのですから、銀行はここで外してあるのであります。ところがこの「銀行法に規定する銀行をいう。以下同じ。」と十五条で言つてしまいますと、ここでいう銀行以外の会社というのは、普通銀行法の銀行だけになりまして、為替銀行はいわば銀行以外の会社のほうに入つてしまう。それでは困るから銀行以外の会社、「以下同じ。」を削りますと、第十五条だけが銀行法に規定する銀行という意味になるのだ。長期信用銀行法では、それ以外の規定では先ほど申上げましたように、外国為替銀行法の本文のほうの第十二条の規定によつて、ほかの法律で特に断わらない限り銀行という場合には、外国為替銀行を含むのだということになりますから、それで「以下同じ。」を削りますというと、第十六条の今申上げました「銀行以外の会社として」という場合には銀行及び為替銀行以外の会社としてということになるわけであります。ちよつとややこしいのでありますが、そういつたために設けました。
簡単でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/156
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157・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/157
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158・前田久吉
○前田久吉君 ちよつとお伺いしたいのですが、第十条の「大蔵大臣の認可を受けて、当分の間、その契約に関する業務を継続することができる。」、当分の間というのはどういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/158
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159・河野通一
○政府委員(河野通一君) 当分というのは、いろいろ法律にも実は先例がありますが、特にこの際一年とか二年というものを限ることは如何かと考えますので、常識的に考えられる当分にいたしたのであります。その必要がなくなりました場合には当分の間というものを法律によつて削るということによつてこの規定が動かなくなる、こういうことでありまして、その業務の実態から申しますと、やはりここで一年以内に限つてとか或いは半年に限つてということがむずかしいために、当分の間という極く抽象的な弾力性を持つた書き方にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/159
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160・前田久吉
○前田久吉君 ちよつとこれは続きで伺いたいのですが、仮にこの為替銀行に変つた、仮に東京銀行が為替銀行をやるとして、その場合、固定した借入金とそれから手形の割引があるわけですね。割引というようなものはこれですぐにとめられてしまうことになりますか。そういうことをやつておるところの事業は全部駄目になつてしまうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/160
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161・河野通一
○政府委員(河野通一君) それは先ほど逐条説明で申上げましたように、新らしい外国為替銀行の業務は第六条、第七条、第八条に規定いたしてあるわけであります。この規定に該当するものにつきましては勿論問題はございませんし、この規定に該当しない業務が仮にありといたしました場合におきましても、この十条の後段によりまして、某々銀行が外国為替銀行になりました場合におきましては、やはり従前からやつておつた、普通銀行としてやつておりました際に、その業務が今申上げました六条乃至八条の規定に該当しないものでありましても、やはり当分の間はその外国為替銀行は行なつて来てよろしい、この前段と同じように取扱う、こういう趣旨であります。従いましてその当分の間というものを今御質問がありましたように、どういうふうに読むかによつて相当違つて参りますが、私どもは現実の業務が支障を起すことのないように、つまり過去において契約されておりましたものがとたんにできなくなつて非常に支障を起すといつたようなことのないように、この当分の間という規定を運用して参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/161
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162・土田國太郎
○土田國太郎君 この為替銀行設立については、この懇談会の諮問を見まするというと、「極力既存市中為替銀行の能力、経験及び信用を活用する。」とありまするが、これは現在の既設銀行中のこの為替能力のある、経験のある、力のあるというようなものを認可するように見えるのですが、政府はこれを一行主義で行くのですか、或いは専門銀行ですな、これを複数的に許可する考えはないのですか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/162
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163・河野通一
○政府委員(河野通一君) この法律の建前は、先ほど御説明申上げました通り、長期信用銀行の方式に倣つて、従いまして法律の建前といたしましては一行ということになつておりません。複数を認めて参りたいと思います。ただお手許に差上げてございます資料にも書いてございますように、臨時金融制度懇談会に対する諮問、資料の一番初めに、載つておりますが、「外国為替銀行制度の整備について」という諮問がございますが、この中の2の(ロ)に書いてございますように、「為替専門銀行の行数は、貿易及び外国為替取引の実情に即するよう考慮する。」、貿易の実情その他から見て適当と思われるような数にいたして参りたいということであります。率直に申上げますと、現在のような貿易の状況及び我が国の経済の実態から申しますならば、ここに書いてございます外国為替業務を専門といたしまする銀行は、当面私は一行を出でないであろう、実際問題として、かように考えております。なお、懇談会における各委員の御意見のうちにも、当面のところといたしましては、やはり専門銀行は一行に限るべきだという御意見が非常に多かつたように私は記憶いたしております。併しながらこれは現在の貿易の状況その他から来るのでありまして、将来に亘つて必ずしも永久に専門銀行は一行でなければならんということにいたすことは必要ない。将来の貿易の発展その他の状況から見て適当であるとするならば、複数の専門銀行を認めて差支えない、こういう観点に立ちますが故に、法律の建前としては複数、一行に限らず、こういうことにいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/163
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164・堀木鎌三
○堀木鎌三君 第一にお伺いしたことは、この臨時金融制度懇談会の答申において、この政府の方針に大体同意をしておる人でも、でき得るならば更に各界の専門的見地から一層の検討を加えたい、本制度は真に各界の円満なる協力を得られるよう配慮すべきであるという意見があつたようですが、それに対して大蔵省はどの程度のことをなすつたかという点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/164
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165・河野通一
○政府委員(河野通一君) この点につきましては、二つのことがこの答申の中に言われれておるように私は考えておりますが、一つは、この制度を法制化いたしますまでの間において各界において批判的意見があるところにつきましては、できるだけその意見を汲み入れて、円満なるこの法制化が実現するようにされることが望ましいということと。もう一つは、この法律が国会を通過いたしましたあとにおきまして、法律なら法律としてでき上つた後において、実際に為替専門銀行を運営いたして行く、これを動かして行くことのために、できるだけ各界の協力が得られるような方法を講じて参りたい、又講じて行くべきである。この二つの問題があるわけであります。前者につきましては、この答申を頂きまして後、大蔵省といたしましても、こういう懇談会において批判的な御意見を持つておられる方々、方面とはいろいろな形で数回に亘つて懇談を続けて参りました。完全なる意見の一致というところまでは参つておりませんが、だんだん私どもの意図するところと、これに対して批判的な意見を持つておる方々との間の考え方の相違というものも、相当何と申しますか、近付いて、相違が相当狭ばまつて参つたというふうに私どもは考えております。
それからこの法律が国会を通過いたしました後において、この運営上においていろいろ各界の意見を適当に参酌して、円満なる協調関係ができるようにして行くという点につきましては、例えばこの組織に対する資本の出資の形をどういうふうにして行くか、或いは人的構成その他についてどういうふうに考えて行くか、或いは店舗の状況等について今後どういうふうにこの問題を考えて行くか、そういつた具体的な問題について関係のある各方面とはできるだけその意見のあるところをとるべきである限りにおいてはできるだけ採用して行くということによつて、この新らしい銀行の発足及び今後の発展について各界が円満なる協力関係を確立できるように配慮して参りたい、これは今後の問題だと私どもは考えておりますが、この点については私どもといたしましてもできるだけ努力を傾けたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/165
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166・堀木鎌三
○堀木鎌三君 率直に言えば、大蔵省が諮問されたその種のもので、結局まとまらなかつたということは、反対なる有力意見を付けなければならなかつたということは、そのこと自体が比較的事実としては異例に属するということ、何といいますか、大体行政官庁が業界の人を集めて諮問した場合に、どうしたつて反対意見を付けなければ、全会一致にはならんのだという姿というものは、比較的珍しい事柄である。そうするとそれについて、にもかかわらずこの法案を急速に出さなければならないという役所としての、行政官庁としての積極的な意見は何ですかということを前段で聞かなければならない。それからもう一つは、後段について二つの問題があると言われた。第二段の問題については、一体どういう構想でやつて行くのか、法案の表面上の問題よりも、殊に先ほどの御質問に対して、差当り一行主義で行くということについては、現在すでに十二の為替銀行もある。その他外国為替銀行との関係及び新らしくできるものはどういう構想の下にできるかというものか説明されなければならん、こう私は考えるのですが、それらについて詳しい御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/166
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167・河野通一
○政府委員(河野通一君) 私どもはこの諮問をいたしました臨時金融制度懇談会の運用については十分に、従来からよく言われております審議会等についてつまり政府が天降り的にそれを審議会に押付けて、それをただ全会一致で確認をするというような形において、審議会というものがややもすれば運用されておるという批判があるのですが、この懇談会につきましては、従来からできるだけ自由に御発言願つて、必ずしも政府の意見にそのまま百パーセント御賛成頂くということを前提としてこの懇談会を運営して行くということは考えて参つておりません。現に一昨年でありますか、この懇談会にお諮りをいたした、俗な言葉で言われておるいわゆる金融三法、この問題を私どもは諮問いたしたのでありますが、これにつきましてはその懇談会の結論は、もう少し慎重に検討を要する、こういう御意見を頂いておるのです。政府の諮問いたしたものに対して賛成であるという意見は私は頂いておらんのです。そういつたこともございまして、私どもは必ずしもこの懇談会の運営として全会一致の結論が出なかつたということは、そう不自然なことでも私は必ずしもないと、かように考えております。
然らば少数であるけれども反対の意見があるにもかかわらず、政府はどうしてこの専門銀行の設立及びそういう制度の確立を急ぐのであるかという御質問でありますが、この点は私どもといたしましては、現在の状況から見まするならば、できるだけ速かに金融制度というものを、よりよい金融制度というものに一日も速かに確立して行くべきであろう、こういう考え方に立つております。而もそれによつてマイナスの要素が生ずるならば、これは必ずしも早急に急ぐことが適当でないという議論にもなりますが、私どもといたしましては決してマイナスはない。少くともよりよい制度であるならば、一日といえども早くこれを制定し、実施に移すことが適当であろうという考え方に立つておるのであります。
私どもはこの専門銀行を作らなければならないと考えました理由につきましては、先ほど若干申上げておいたのでありますが、これを更にやや法律的と申しますと恐縮でごいますが、法律的な点から申上げてみたいのでありますが、第一は、我が国の内外の情勢から見て、外国為替及び貿易金融を専門に取扱う、これを専担をいたす、専担と申しますのは独占するという意味ではございません。これを主たる業務といたして専念をする銀行というものの設立が必要である。これが第一点であります。然らばそういつた外国為替取引或いは貿易金融に専念をする銀行というものを作るためには、現行法の下においてこれを作ることは適当でない。そのためには或いは先年制定をみましたような長期信用銀行法の方式、そういつたそのための特別の法律の制度の確立が必要である。単なる銀行法の運用によつて今申上げましたような意味の専門銀行の制度を育てて行くということは法律上非常に困難がある、適当でない、こういう判断に立つておるのであります。実体論は先ほど申上げた通りでありまして、その上に今申上げました法律的な立場からもそういつた特別な法制を作ることが必要であり且つ適当である、かように考えた次第であります。
次に御質問の点は、然らば今後新らしく作らるべき新らしい為替専門銀行と他の外国為替業務を行なつて行く一般の銀行との関係及び外国銀行との関係はどうであるかという御質問でありますが、この点は私どもとしては具体的にはお手許に差上げてあります要綱の中に書いてあります通り、第一の一般の外国為替銀行との関係は、その資料の一番初めの紙でありますが、「外国為替銀行制度の整備について」と書いてありますものの3にその問題についての関係を書いてあるわけであります。「既存市中為替銀行については、その能力に応じて外国為替取引及び貿易金融に従事せしめ、為替専門銀行に対し競争と補完の余地を与える。」このことはどういうことを意味するかと申しますと、新らしくできるいわゆる専門銀行は決して外国為替業務を独占するものではない。従つて従来からあります市中の為替銀行というものは、その能力に応じて外国為替業務を行なつて行くのである。このことは何ら新らしい専門銀行に独占をさせる必要というものは毛頭ない。毛頭ないどころかそういうことはすべきでないし、却つてそういう独占的な形態をとるということは弊害があるという考え方に立つておるのであります。
然らば競争と補完の余地を与えて行くということは、現実にはいわゆる専門銀行と市中の為替銀行との間にどういう差異があるのかという問題であろうと思いますが、これは私どもが先ほど来申上げておりますように、外国為替取引及び貿易金融に専念をして行く金融機関ということである。これを育成いたしますために独占的な差別待遇をするということは考えない。更に具体的に申上げますならば、このいわゆる専門銀行を育成するために、他の一般外国為替銀行に対するのと質的に違つた待遇は与えない。外国為替業務に関する点で質的に違つた待遇は与えない。併しながら量的にはその外国為替業務の量に応じて相当違つた取扱がされることはあり得る、こういうことであります。これを具体的に申上げますならば、現在政府の持つておる外貨、これを各為替銀行に預託或いは預金をいたしております。この預託をいたしますのに当りまして、できるべき専門銀行だけに預託する、ほかの為替銀行には一切預託をしないということに仮にいたしますならば、これは私は質的な差別待遇であろうと思います。それから各銀行に預託をするけれども、その預託の金利を変える。例えばいわゆる専門銀行に対しては年に一%で預託をするが、その他の一般の為替銀行に対しては二%で預託をする。同じ性質の預託金について金利の差を付ける、これも質的な差別であろうと考えております。併しながら専門銀行に対しては仮に千万ドルの預託をするけれども、市中の為替銀行の或る一行に対しては百万ドルしか預託をしないといつたようなことであるならば、これは私は量的な差別であろうと考えております。
貿易金融の国内面について申上げますならば、例えば貿手という制度が現在ある。日本銀行において貿手を再割をいたしておりますが、この再割のレートが、例えば為替専門銀行に対しては日歩一銭で再割をする。併しその他の一般為替銀行に対しては日歩二銭でなければ再割をしない、仮にそういつたようなことが行われるとすれば、これは質的な取扱の差別である。併しながらその貿手の再割の量が専門銀行については非常に多くなるけれども、その他の一般為替銀行に対する貿手の再割の量は余り多くならないといつたようなことであるならば、これは量的な差別である、かように私どもは考えておるのであります。
ただ問題は店舗でありますが、この点も私どもは海外における店舗につきましては、この制度ができ上つた暁におきましては、いわゆる専門銀行に対しては海外の支店というものは優先的に認めて行くつもりであります。それが為替専門銀行というものを作つて参りますこの制度の一つの大きな根幹にもなつておるわけでありますから、これは優先して認める。併しながら他の一般の市中為替銀行に対して外国への店舗の設置をすべて認めないということではない。これをしも或いは質的な差別であるというような議論が仮にされるとするならば、それはその範囲においては或いは質的な差別と申すことができるわけでありますが、今申上げました海外における店舗の設置という点についてそういつた優先順位をはつきり私どもは付けて参ります以外におきましては、業務の実体において質的な差別を付けるということは考えておりません。例えば戦前におきまする横浜正金銀行に対して他の銀行には与えられなかつたような低利の資金が日銀から供給されておつたといつたような意味合いの処置はこれはいたすつもりはございません。
ただ一つ今申上げました店舗のほかに、業務の内容といたしましては、海外における国庫代理店はこの専門銀行に扱わしたい、これが質的な差別待遇であるということでありますならば、その限りにおいては質的な差別であると申せないこともないかと思います。この点ははつきり国庫代理店としてはこの専門銀行にやらせるという考え方に立ちたい、かように考えておる次第であります。
次に外国銀行との関係はどういうふうになるかということでありますが、これは私は特にこの制度ができたかできないかによつて外国銀行との制度上の関係については特別変つたことはないと考えます。併しながらこの専門銀行が将来海外に非常に多くの店舗を設置する、或いはその信用が非常に向上して、これらの地域において活動が非常に拡大されて来るといつたような場合におきましては、現在日本の外国為替銀行が外国銀行を通していろいろな外国為替業務を行なつている分が、両当事者間の話合によつてこの専門銀行に移つて来るという部面が量的には起つて来る。又そういうことが円満に行われるならば、私どもは望むべきことであろうというように考えております。
それからもう一つは、この為替専門銀行ができた後におきましては、現在外国銀行に対して政府の持つておる外貨が相当預託されておる。これを一挙に引揚げて、この専門銀行に全郎預託するのではないかという点の問題があるかと思います。この点は私どもとしては、この専門銀行ができたからといつて直ちに外国銀行に預託されておる外貨を引揚げて、本邦の銀行に一挙に移すといつたようなことは毛頭考えておりません。今後の話合いによつて逐次これらの問題の解決には進んで参りたいとは思いますけれども、極端な措置ということはこれはとるべきでないし、又そういう措置をとろうとも思つていない、かように考えております。
なお、まだ今の御答弁でわかりません点がありましたら、又御質問によつて御答えいたしたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/167
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168・堀木鎌三
○堀木鎌三君 ついでですからもう一つ、今言われたことについてのいろいろな疑念もありますが、さつきお尋ねしたうちで、今度できる専門銀行の構想についてはどうか、どういうふうな設立を考えておるか、資本の構成その他ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/168
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169・河野通一
○政府委員(河野通一君) これは私政府委員として非常に水くさい御答弁を申上げることになるかと思いますが、具体的に、既存の銀行のうちの為替専門銀行への転換ということが私は望ましいと考えておりまして、そのことはこの要綱の中にもはつきり既存の銀行の能力を十分に活用して行くという態度を加えるべきであるということを申しておるのでありますが、現実にどの銀行がこの新らしい専門銀行に変るかということにつきましては、これはその銀行から正式に何らの申出もまだ受けておりませんし、私がここではつきりしたことを申上げることは差控えたいと思います。併しながら先ほど来申上げましたように、仮に既存の為替銀行のうちの或る銀行がこの専門銀行に転換いたします場合におきましては、先ほど来お話のありましたように、資本金の点において或いは人的構成の点においてできるだけ各界との協力関係が維持できるような方途を考えたい。そのために具体的にどういう資本構成にしたらいいか、或いは人的構成を考えたらいいかということにつきましては、今後の具体的問題として考えて参りたいと思つておるのでありまして、例えば資本金なら資本金は一体何億の貸本金を予定しているかということにつきまして申上げられることは、私どもとしてはできるだけこの銀行の対外信用を維持するという点から見て、資本金は多ければ多い程よろしい、かように考えております。又その資本構成も各界の協力関係というものが維持できるような資本構成が望ましい、かように申上げざるを得ないと思うのであります。具体的な点につきましては、更に今後この法案が成立いたしました暁において、この銀行への転換を希望する銀行というものが具体的に出て参ると思いますから、その際において十分に具体的にきめる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/169
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170・堀木鎌三
○堀木鎌三君 つまりこの法律の建前は複数で、普通現在ある十二銀行程度が成立つというような余地を残しているわけですが、実際には外国為替銀行法とか輸出入銀行法とか、そういうものが現実の姿としては先ほどの一つの会社を目指して作るのと僕は同じだと思う。現実の情勢の姿として……、そうなるとこの法律の実施として差当りどういう銀行にどういうふうにしてやらせるつもりかという問題が、果して目的を達成するかどうかということが現われて来ると思うのです。それがわからないと、ただ法律の表面的なものでは、実際とは関連性が少くなつて来る。だから特殊銀行の設立と同じように考えるとすれば、どういう特殊銀行を作るのだということが裏になければ、実際は水みたいなものを僕らは聞いていることになる。ただあなたとしては非常にそれがむずかしい、デリケートだと言われるけれども、どうも私は立場がわからない、と同時に或る程度はもう誰も知つていることなんです、そう言つては悪いけれども……、その点は大蔵大臣なら大蔵大臣とお打合せの上ではつきりここで、法律ができましてと言つている義理合いのものじやない、こう僕は考えるので、特に御注文しておきます。で今は御説明できにくい、お打合せも足らなくて何かも知れないし、又場合によつては大蔵大臣にこれは出て来てもらわなければならんと思うのですが、ただ先ほど言われたように、現在の外国為替業務をやつている銀行との関連について為替専門銀行に特殊な取扱をしないとすれば、量的なものだ、それから店舗の上の制限、それから国庫金の取扱だ、こういうふうに言われる。そうすると答申案にあるように量的と質的というものが実はそこで変つて来るという問題もあると思います。と同時に率直に言えば、今は外国為替銀行は、その海外における国庫金の取扱をしている銀行だけが儲かる、利益が得られる、商売も成立つて行くという状況だと言えるのじやなかろうかと僕は思うのですが、そういう点になつて来ると実は余り優先的に取扱われないというのだが、優先的じやないか、現実の事実としてそういうことが言えるのじやないかと思いますが、その点についてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/170
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171・河野通一
○政府委員(河野通一君) 国庫代理店の取扱を専門銀行だけにやらせるということが単に質的なフエーバーであるということならば、質的なフエーバーと申上げざるを得ないと思いますが、併し今お話のように、現在東京銀行がニユーヨークその他におきまして外債の関係の支払事務をとつておりますことは御承知の通りであります。この関係の利益が非常に多いか少いかという問題は、なかなかこれは計算がむずかしいのでありまして、仮にそれから出て来る利益が非常に不当に多いとか、或いは馬鹿に甘い条件で国庫が利益を与えておるというようなことが仮にありとすれば、私はやはりそれは国庫の条件を変えるべきだ、かように考えております。今のところでは、たまたまイニシヤルのフアンドというものが相当に多額に投入いたしましたために、一時それが非常な潤いが出たように見えましたけれども、この外債の関係の取扱というものは長年に亘る実は問題でありますし、それをならして見た場合に、果してその条件が甘いか辛いかということは、その個々によつて判定しなければならないと思うのであります。仮に甘いとすれば、仮に国が特別にその銀行だけに特別のフエーバーを与える、そういう意味のフエーバーを与えるべきじやないと思いますから、若しこれが甘いとすれば制限しておる。現在のところで私は甘いとは考えておりません。そういつたことで国庫代理店、今国債の代理店でありますが、この取扱を他の一般為替銀行に認めないということによつて質的なフエーバーであるということでありますればこれは質的なフエーバーである、こう言わざるを得ない。こういうことは先ほど申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/171
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172・堀木鎌三
○堀木鎌三君 その点でよくわからないのですが、今までは特別な為替銀行、外債の取扱店がどうだということは別にして、あなたのほうの考え方が従来は何というか、あなたのほうは何だかさつき言われたような内外の情勢に顧みてとか、現在の銀行方式では賄えないとか言いながら、今までは事実これはみんな同じ方式で、専門為替銀行を作らない方式で来ておるが、ここで切替えるわけです。実際を言うとそれだけはもうはつきりした事実だ。そうするとどうも成るべく従来のフエア・コンデイシヨンは残して行きたいような気がしながら、又そういう形をとりながら、変更の際だから、それで為替銀行に対するフエーバーをやりますということははつきり言えない。だものだから量的とか質的とか、これは大した差じやありません。これは特殊なフエーバーになりますなら、その点は考えなければなりません。こういうのだな。そこに僕は為替銀行をお作りになるのならどういうふうに将来持つて行くのかというはつきりした、この切替えのときだからはつきりした考え方があつて然るべきじやないか。それから先ほど言われた量的、質的な優先を認めないで、成るべくフエア・コンデイシヨンに近いもので行く、普通の商取引に準じた形で行くというふうに言われても、今後あなた方の行政処置で何でもできる。卒直に言えば大蔵官僚の行政的処置で以て何とでもできる。こういうふうなあれが僕は……、あなたの言つたことが行政方針だという保証が、たとえあなたでなくとも、大蔵大臣がここへ来ておつても、大蔵大臣の行政方針だけできまることの保証をどこに求めるかということは一つもないじやありませんか、こう言わざるを得ない。みんな行政方針になつておる。そういう点についてもこの法律を見ておるといよいよ以て僕はそういうこともわからないし、みんな行政方針に任されて、実質は、而も単独の為替銀行ができて来るというような姿だと、どうも君の話を聞いてたつて、銀行局長の講釈を聞いておるようで、法案をやつておるような気持がしない。それをどうして保証してくれるのだね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/172
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173・河野通一
○政府委員(河野通一君) それは私はやはり今お話のような点は法律にはなかなか書けないことであると思います。その点はやはり国会において私のような小官が申上げるのじや非常に御信用が頂けないと思いますが、大蔵大臣等がとにかく国会において御答弁申上げ、而も速記にはつきり載つておるということは、やはりその行政方針に対して相当な責任を持たなければならないということであろうと私は思うのであります。技術的に今申上げたようなことが法律に書けるならば非常に結構だと思いますけれども、いろいろその点を実は研究いたしておりまして、技術的になかなかそういうことは法律に書けんで私どもは何もここで言い加減のことを申上げて、法律が通つたら勝手気儘なことをやろうとは毛頭考えておりません。議会の御審議を頂く過程においてはつきりした速記の形なり、その他記録に残るということによつて、私はこの問題に対する今後の方針というものがはつきり監視もされ、確認もされるということであるというふうに、私自身は固くそういうつもりでやるつもりでおります。私が仮に変りました場合におきましても、やはり国会において責任者の答弁したことははつきり将来に亘つての方針として持続されるものだというふうに確信いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/173
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174・堀木鎌三
○堀木鎌三君 私は銀行局長の誠意は疑わないのですよ。又速記に残るのが尊重されればいいのだ。ところが総理大臣以下はこの前の国会で言つたことを次の国会で変えておる時代なんだ。率直に言えば。そうしてあなた自身の真意は疑わないのですけれども、大臣が又変つたことを言えば、あなただつて使われている以上は変えなければならないし、あなたの後任者だつて変えなければならない。経済政策というものか目の玉のように変つて来るのですから、だからそういうときになると頼るのは議会の速記録より法律なんだ、率直に言えば。或いは大蔵大臣が変つたときに政策が変えられるかも知れないけれども、法律に基いたところの一つの根拠を持つていて、又何かあれば別だ、こういう気がするのですよ。そういうと甚だあなたとしてはよるところを知らないと、こういうふうに言われるだろうと思うのですが今のような制度である以上、一応総理大臣なり大蔵大臣の言うことを信用しなくちやいけないと思うが、しばしばそれが違つているのですね。而もこれは一つの金融制度の変転なんだ、変りなんだ、確かに従来のとつていた方針と違う。専門銀行を作るなら作りなさい。併しどれだけフエーバーを与えるのですか。与えなくちや成立たないという気がするし、又そういうふうな与えることによつてどれだけの変りがあつて、どれだけ変化を起してどうなんだというふうに一応は考える。どうもそういうように考えて行くと……。余り細目に今日は質問に入りませんが、そういう根本的問題というものがどうしてもある。まあ私だけ今日しやべつていても困るだろうから、一応この程度にして質問を保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/174
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175・青柳秀夫
○青柳秀夫君 今度の外国為替銀行法案をお作りになつた趣旨は、要するに日本の貿易の進展ということが狙いでありますが、今度の法案における銀行、それは今の質疑の中に大体の構想が出ておりますけれども、その新しくできる銀行で目的の完遂ができるお見込ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/175
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176・河野通一
○政府委員(河野通一君) 私はこの為替専門銀行を作るということは、今お話のようにやはり我が国の貿易の進展、経済の自立ということに寄与するためにこういうものを作つて行くことが必要であろうという観点に立つてその点は申上げておることは先ほども申上げた通りでありますが、ただこの為替専門銀行を作つたら途端に日本の貿易が非常に伸びる或いは経済の自立が非常に促進される。ほかのことは何もしなくてもこれだけでできるということは、これは遺憾ながらなかなか申上げることはむずかしいと思います。貿易全体については、これは相手のあることでもありますし、又国の中で金融以外に、或いは商社の問題であるとか或いは対外的な支払条件の問題であるとか、いろいろな問題がございまして、これらの貿易振興或いは国際収支を改善いたして行きますためのいろいろな措置が並んで行われなければならん。併しそれらの措置ができなければ、外国為替専門銀行制度を作ることは意味がないかというと、私はそうじやないと考えておるのであります。これらの措置も並行して行われることが望ましいけれども、これらの措置と共に外国為替専門銀行の制度と金融面からの制度の確立、これもないがしろにしてはいけない。今後の貿易の発展、国際収支の拡大的な均衡というような点から、この専門銀行の制度というものが非常に寄与するものであるということは私は疑つておりません。併しそれだけが唯一で万能というわけには参らない、こう申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/176
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177・青柳秀夫
○青柳秀夫君 勿論私も簡単に申上げたので、そういう点はむしろ為替銀行よりは日本の国内の経済といいますか、産業全体の振興ということが必要なんですから、それと関連性がないなんということは絶対に考えておりません。ただ問題は、為替銀行が問題になつておりますから、この為替銀行で貿易のほうにどれだけ寄与できるのかということをお尋ねしたのですけれども、私は簡単に私見を交えてお尋ねしますと、非常にこの為替銀行の法案というものが、いろいろ戦後の国情に副うたためか、或いは金融制度懇談会の意見を御尊重になつたような形がいろいろそういうところから出ておるのだと思いますけれども、何となしに生ぬるつこいような気がするのです。なぜ私がこれで貿易の進展ができるかと申上げたのは、非常に期待するところが大きいこの銀行に対して、それは要するに内地の産業をその銀行で振興させろというのじやないのです。内地の産業は別のそれぞれの人の力で振興して行きますけれども、外国との取引の銀行為替部門においてこの銀行があるのとないのでどれだけ違うかという点になりますと、まあ話がちよつと横に入りますけれども、アメリカが来ていろいろ銀行形態というものをすつかり破壊といいますか、直しまして、いろいろ従前の特殊銀行というものがなくなりました。そのために今全部が同じような商業銀行になつておりますけれども、それでやつて行けるのか、或いはもつと思い切つて、その後も開発銀行なり輸出入銀行なり或いはまあ長期信用銀行なりというものが出て来ましたから、これも思い切つて昔の、率直に言えば横浜正金銀行のようなものに本質はして、併しそれはまあほかの銀行との関係もありますから、むやみに一つだけの何といいますか、利益のためじやありません、ほかの銀行も十分貿易に寄与できると同時に、中心になる銀行をこの今度お作りになる法案によつてやつて行くという点に重点を置かれるならば、先ほど堀木さんの御質問との間にもありましたが、何となしに私は弱いんじやないか。これじやあ内地業務のほうは三年間認めるけれどもあとは非常に弱くなる。海外のほうに進出するにはなかなか支店を作るといつても金がかかるのに、一切の助成或いはフエーバーといいますか、そういう点は普通の銀行と同じでちつとも変えないというような行き方で行けば、この銀行に課せられた使命は誰がやつてもできないのじやないかと、こういうふうに私は思うのでございますが、いま少し思い切つて何かこれを作る以上もつとこの銀行が進展できる……、これはその銀行の利益じやないのです。日本の全体の貿易進展のためにやるその一つの日本の国策としての行き方なんですから、それぞれの大銀行のいろいろ貴重な使命を果しておられる点には敬意を表しますけれども、一つを選んで、こういう海外進展の責務を負わせる以上は、負わせるだけの何か又便宜というものも図つて行くのが私は目的を貫徹するのじやないか。甚だ感じが弱くて、形はこれを作つても、一年たつても二年たつてもちつとも効果が挙がらないんじやないかというような気がするのです。それでいま一回、くどいようですけれども、そこいらに対する御見解なりお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/177
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178・河野通一
○政府委員(河野通一君) 為替専門銀行を戦前にありました横浜正金銀行のようなものとして確立するほうがいいのではないかという御意見と拝聴いたすのであります。この点は、過去におきましても御承知のように横浜正金銀行というものがありましたが、他の為替銀行というものは、例えば三井銀行であるとか住友銀行であるとか或いは三菱銀行であるとかそういつたもののほかに更に朝鮮銀行、台湾銀行等の外国為替を扱つて参りました銀行が両々相待つてやはり外国為替金融制度というものを作つておつたのであります。横浜正金銀行が特にいろんな形で戦後批判の対象になりました点は、これが一つの特別法によつて作られ、政府の特別なバツクというものがあつたという点に主として問題があつたのではないかと思うのであります。併しながら現実には、後に戦前における正金銀行に対する政府なり或いは中央銀行のフエーバーという点をいろいろ分析してみますと、必ずしもそう大きな特別なフエーバーというものはございません。相当業務分量が殖えたときにおきましても、たしか二千万円足らずの低利融資というものが日銀からされておつた程度でありまして、これも金利がそう特にずば抜けて何したということはございません。まあそういつたふうなことで、必ずしも横浜正金銀行というものが過去において非常に政府から特別な質的なフエーバーを受けておつたというふうには私どもは考えておらんのでございます。特に今日における対外的関係等から見まするならば、この為替銀行を一つの非常に国家的色彩の強い特殊銀行として育てるということが果していいことであるかどうか、この点は相当慎重に考えなきやならん問題であると考えるのでございます。
従いまして今御指摘のように、私どもは例えば日本開発銀行であるとか或いは日本輸出入銀行であるとか、そういつた特殊銀行としてこの外国為替銀行を考えて参つておりません。そういつた政府機関的な色彩のある銀行として為替銀行というものを育てるということは、外国為替業務或いは貿易金融というものの立場から私どもは適当でない。これは飽くまで民間の金融機関としての一つのカテゴリーとして育て上げて行くべきであろうという観点に立つておるのであります。併しながら先ほど来御指摘のありましたように、現在の日本の貿易なり或いは国の経済の実情からいたしますならば、長期信用銀行のように複数のものを今にわかに専門銀行として育て上げるということはなかなか困難であり、又その必要もない。現在のところでは私はやはり単数でいいのである。又それ以上のものを作ることは適当でないと考えますが故に、当面といたしましては、やはり外国為替専門銀行なるものは一行にならうと思います。恐らくそういうことになろうと思いますが、そうなればといつて、私は制度としてこれをそういう国家的な色彩の特に強い特殊銀行或いは政府機関のようなものにするということはこの際適当でない。こういう考え方に立つて先ほど来御説明申上げておるような構想をきめたわけであります。
従いまして私どもは、その枠の中において今後一般の為替銀行と相競争の立場に立ちながらこれらの銀行が外国為替及び貿易金融の面において非常に大きな指導的な立場をとつて活動して行く、こういうことに育て上げることについては、私は必ずしもこの際特殊銀行としてこれを性格付けることが必要であるとは考えていないのでございます。尤も臨時金融制度懇談会におきましても、或る一部の委員からは、為替銀行制度を整備するというのならば、徹底して独占的な為替銀行を作るべきであるという御意見もありました。併し私はそれに対してお答えいたしたのでありますが、為替銀行、外国為替業務というものの性質からいつて、そういつた独占的な形でやらなければならんということは何もない。これは非常な特色を持つた業務でありますけれども、やはり短期の商業金融の一つであることには間違いないと思うのであります。その限りにおいてはこれを独占して、他の銀行には一切外国為替業務を取扱わせないという意味の独占的な銀行制度を作ることは適当でないし、そういうことは日本の経済全体にとりマイナスであるという考え方に私どもは立つてそういう御答弁をして来たのであります。その考え方は現在においても変つておりません。
ただもう一つの考え方から、この専門銀行に対して為替の中央銀行、つまり国内の金融に対する日本銀行のような立場において外国業務に対する中央銀行的な役割をこの専門銀行に与えるべきではないかという議論が私はあると思います。この議論につきましては、私は結論を先に申上げますならば、これは反対であります。なぜならば、中央銀行としての日本銀行は単に国内における金融だけの中央銀行として作用をいたすことでは中央銀行としての作用は十分果し得ない。従つて私どもはやはり外国為替の面においても中央銀行というものがやはり為替の管理なり或いは為替の集中なりという点については、仮に政府以外のものがこういう作用を営むことが適当であるといたしました場合には、飽くまで中央銀行である日本銀行が行うべきであつて、こういう為替専門銀行がそういつたことを行うべきでない、かように考えておりますが故に、今申上げたような為替の中央銀行、日本銀行が国内の金融の中央銀行であるのに対立して為替の中央銀行としてこの専門銀行を性格付けるいうことも私どもは反対であります。こういう立場に立つて今御提案申上げておるような構想を決定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/178
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179・青柳秀夫
○青柳秀夫君 いま一つだけお尋ね申上げたいと思うのですが、それは私の質問が、或いは誤解を招くといけないと思つていま一回お尋ね申上げます。
私もほかの銀行全部を禁止するとかという意味では毛頭ございません。ただ外国との関係でございますから、一つだけ少し有力なものを作るのが日本の貿易進展に必要じやないか、殊に現在はいわゆる為替相場というものがきまつております。三百六十円とかやれ何とかきまつておりますから、現在においては或いは必要でないかも知れませんけれども、これがレートが毎日動くとなれば、何か基本になるものがなければ、ほかの銀行の三井、三菱或いは富士、住友とか、或いは昔で言えば朝鮮、台湾というようなそれぞれの為替銀行が正金のレートを中心に大体相場を立てていたのですから、そういうものがなければ非常にほかの銀行も困るわけです。ですから国情が違つておりますから、私は強いて特権的な銀行を作れという意味ではありませんけれども、勿論ほかの銀行の海外における活躍を阻止するというような意味ではちつともありません。そこは誤解のないようにお聞き取りを願いたいのでありますけれども、ただ如何にも何の武器も持たせないで、今の御答弁を伺つておりますと全然ほかの銀行と……、堀木さんとの質疑ですけれども、そうなると何も今度できる為替銀行というものが内地で店舗を制限されるだけで、海外で一つも有力な力はない、それで以てここのところにあるように、外国の銀行に負けないように、比肩し得る力のある為替銀行の出現が望ましいというようなことを言われておるのですから、そこで私はこういうやり方でこんな期待される銀行が一体できるのがどうか、こういうふうにお尋ねを申上げている。望むらくは他の銀行に対する打撃を与えるのじやありませんで、日本の貿易業者全部が喜んでこれに協力し得る力のある銀行ができるように御配慮が願いたい、こういう意味で局長に伺つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/179
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180・河野通一
○政府委員(河野通一君) 今御質問の点は私ども全く同感に実は考えております。而も私どもの考えでは、今御説明申上げましたような取扱いによつて、十分に海外に対してこの法律が期待いたしておるような機能を果すために別に支障は起らないだろう。先ほど申上げましたように私どもはできるだけそういつた強力な銀行の出現ということを期待はいたしておりますが、ただそのために、強力な銀行を期待するがために他のすべてのことを考慮しないで行つてよろしいか、或いは対外的な何と申しますか、印象、つまり相手の国がどういうふうにこの問題を受取るかといつたようなこととか、そういつた問題についてもやはり一応配慮して、その中でできるだけそういつた条件の中で考慮しながら成るたけ強力なものに育てて行くにはどういう方法がいいかというところに私どもは出発しておるのであります。特に日本としてはこの専門銀行に対して期待するところは大きいと共に、他の一般の為替銀行がその能力に応じ、その過去の取引関係を通じて、十分に海外に対して活動して行くということも又併せて私どもはこれを促進して行くことが適当であろうと考えておりますが故に、これらの一葉の為替銀行とこの専門銀行たる銀行とが全体を合わせて日本の貿易なり為替取引というものに対して非常に強い地位を、地歩を築いて行くということにいたしたいと思います。その中でも勿論専門銀行がますます重要な使命を担うものであるということは申すまでもないのでありまして、これらの全体の問題或いは条件、情勢を十分に考えて、御提案申上げているような程度の取扱いによつて、今申上げましたような目的は達成できるのであるというふうに私どもは考えております。なお御意見の点は十分私どもも汲み取りまして善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/180
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181・青柳秀夫
○青柳秀夫君 いま一言附加えさせて頂きたいのですが、その資料を頂きましたのに外国の銀行が相当ございます。これと戦前の比較がありますけれども、戦前における行数、店舗の数が非常に少い。ところが現在においては非常にたくさん載つております。それに対比して日本のほうは逆に減つている、これはこの金額を頂戴しておりませんので、この貿易の取扱が日本の銀行をひつくるめて幾ら扱つていて、外国の銀行がどの程度扱つているかはつきりしませんけれども、何となしに受ける感じとしては、全く国力の相異で日本の全部の為替銀行の力が弱まつて、外国の銀行が非常にたくさん扱つておるような気がいたします。何とかしてこれをもつと日本の銀行に扱わせるように……。これは船の問題なんかもございましようけれども、そういう意味で一つ全般的にこの銀行だけをよくするという意味でございません。全体の貿易関係の銀行が進出し得るように、この一点だけ申上げて質問を打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/181
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182・小林政夫
○小林政夫君 金融制度懇談会へ今度の専門銀行を諮問するときにも、今日までの懇談会の運営では見られない一つの異例な措置が起つた。と言うのは、大蔵当局が非常な衿度といえば衿度ですが、利害関係人である外国為替業務を行う十二行を全部臨時委員にして、そうして諮問をした。こういうことについては、本来その十二行の非常に反対意見を前以て持つておる人を委員に取上げて、そうしていろいろデイスカツシヨンしたというところに、この結論としてはこういうことにならざるを得ないような一つの潜在要件もあつた。そういう点について例えば前に長期信用銀行法を審議するときには、利害関係人は明らかに二人ある。けれども一人しか委員には出ていない。こういうような扱い方から考えて、今回特にそういうような臨時委員に該当者全部を委員に取上げてそうして諮問した、その金融制度懇談会の運営の仕方というものについてどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/182
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183・河野通一
○政府委員(河野通一君) この問題につきましてはいろいろ私どもも考えたのであります。二つの点で実はああいうような臨時委員を殖やしたのであります。一つは、この為替信用銀行という法律が非常にまあいわば専門的な法律であるという点が一つと、この点はやはりそういつた専門的な立場からいろいろ議論をされる、その賛否いずれを問わず、いろいろ議論して、御意見を言つて頂くことがやはり金融制度懇談会全体を公正に運んで参りますために適当であるのじやないかというふうに考えたのが一つであります。それからもう一つは、殊にまあ今小林委員の言われております点は、銀行が多いということであろうと思いますが、この点につきましては実はざつくばらんに申上げますと、銀行の中でこの為替銀行制度というものに対して一致した実は結論が出ておらなかつたわけであります。この外国為替銀行となつております各銀行の中でもこれに賛成をする銀行と、これに反対をする銀行とが非常に多かつたのであります。これが金融界として一致した意見でありますならば、一人で実は代表して頂いて結構であつたわけでありますが、各人各様で、而も具体的に誰がどういう反対であり、誰が賛成であるのか、実は私どもには的確に数が読めませんわけであります。そういつた点もありまして、各銀行によつて御意見が違うという点もはつきりしておりましたので、まあそういつた御意見をできるだけ皆さんから伺つたほうが適当であるのじやないかということで、従来と違つて臨時委員の方を相当殖やして、まあこいう次第になつたので、その数が少し多過ぎるじやないかというお叱りの点もよくわかるのでありますけれども、そういう二つの理由から特に人数を殖やしたような次等であります。御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/183
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184・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/184
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185・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を始めて下さい。
外国為替銀行法に対する質疑は都合により本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/185
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186・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 次に、所得税法の一部を改正する法律案、その他税制改正案について質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/186
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187・小林政夫
○小林政夫君 前回所得税法等について要綱のはつきりこういう点を改正する、こういうことを謳つてある以外の、例えば条文整理とかいうようなことで、一応は説明を聞いておいて然るべきだと思うものは説明員から受けております。まあ内容的には余り従来の扱い方と変つておらないようでありますが、特に特別農業所得者というようなタイトルを設けて、条を起して整理されている点、或いはこれは徴税当局から言うならば、大蔵当局から言うならば、積極的に宣伝をすべき性質のものである変動所得の簡易化というような第十四条の関係等についての説明が漏れている。こういう点を一つ成るべく詳細に説明をお願いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/187
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188・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 第一課長をして説明いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/188
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189・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 先ず所得税関係から要綱に漏れております主なる事項について御説明申上げます。
第一は第三条関係で非課税法人の追加、これは只今所得税法におきましては、都道府県その他非課税法人を列挙しているわけでありますが、この中におきまして今回辨護士会及び日本辨護士連合会並びに辨理士会、これを追加しようとしているわけであります。これは法人税法の非課税法人の中には現行法におきまして入つているわけでございますが、所得税法のほうにおきましては、規定上漏れておつたのでございますので、今回これを整備しようという問題でございます。
それから次は扶養親族の所得の限度額の引上、これは八条一項でございますが、新旧対照表の十一ページを御覧頂きますと、第八条に、「扶養親族等の定義」という条項がございますが、この中で扶養家族とはこれこれという定義が掲げられております。只今までのところ扶養親族につきましてはその所得額が三万五千円以下という場合におきまして扶養親族としての取扱いをやつておるわけでございますが、今回基礎控除、扶養控除等の引上げに伴いまして、この額も四万円に改訂しようとしておるわけでございます。
それから第三は、損益通算の改正でございます。これは九条の三でございますが、新旧対照表の十七ページでございます。今回所得の計算につきまして、山林所得につきまして分離課税をするという改正をしようとしておるわけでありますが、これに関連いたしまして、損益通算の規定の改正をしようとしておるわけであります。現行法におきましては分離課税になつておりますので損益通算は退職につきましてはなかつたわけでございます。今回山林所得が分離課税になりましたので、この関係をどうするかという問題が起つて来るわけでございますが、これにつきましては、一応現在の退職所得と同じように扱うという考え方からであります。損益通算をしないという考え方が出て来るかと思うわけでございますが、併し今回山林所得につきまして分離課税をいたしましたので、山林所得に対しますところの課税を低減をする、こういう趣旨に出ているわけでございますので、従いまして損益通算につきましては又別個の考え方をすべきではなかろうかと考えるわけでございます。例えば山林所得以外の所得を併せ持つているという納税者がありました場合におきまして、その山林所得以外の所得につきまして損が出た。そこで山林を伐採をいたしまして、そうしてその損を埋めるために山林所得を得た、こういう場合に損益通算をしないということは酷になると考えられますので、こういつた場合を考えますと、やはり山林所得につきましても損益につきましては通算することが適当であろう、こういう考え方から今回山林所得につきましても損益の通算をするという規定を設けようとしておるわけでございます。従いましてそれと関連いたしまして事業所得、譲渡所得等の損がありました場合におきまして、更に退職所得からも控除するということにいたしまして、損益の計算をしようとした改正でございます。
次に第四は、包括遺贈を相続と同様に取扱うこととした。これは別途措置法の場合におきまして前回局長から御説明をいたしましたものと関連するわけでございまして、包括遺贈が譲渡所得の問題に関連いたしまして、相続の場合と別個の扱いをしておりましたので、今回包括遺贈をこの中に含めたわけでございます。
次は変動所得に対しまする課税方式の改正でございますが、これは現在の変動所得の方法が非常に複雑になつておりまするので、今回これを簡素化しようとするものでございます。御承知のように現在の変動所得の取扱いにつきましては、後年度に変動所得がありました場合に、その後年度の所得額と一緒にして調整をする、こういう問題かございまするので、これが非常に問題を複雑化しておりますので、この点を同年度限りにおいて打切り計算をやりまして、後年度の所得との関係の調整を外す、こういうことにいたしたわけでございます。これが変動所得の主要な改正点でございます。
第六は、配当控除の申告がなくても認めることとした、現在におきましては基礎控除以外の控除につきましてはすべて申告がなければ認めない、こういう建前をとつておるわけでございますが、配当控除はいわば法人税におきまするところの源泉課税したものを返す、こういう関係に立つておるわけでございまするので、そういう意味で申告がなくても控除をする、こういうふうにいたしたわけでございます。
それから第七番目は、非居住者に対する課税方法の改正でございますが、これはいわゆる制限納税義務者の課税の方法に関連いたしまして、今まで十七条におきまして分離課税をやつておるわけでございますが、この分離課税の問題に関連いたしまして、本法施行地に事業を持つておるという場合におきましては、これは総合をして分離課税をしない、こういう意味の改正をしておるわけでございます。
次に第八番目は、青色申告書の提出の承認申請書等の提出期限の延長でございますが、これは青色申告を提出しようといたします場合におきましては、前年の十二月三十一日までにその承認申請書を提出しなければならないわけでございますが、これを今回三月十五日まで延ばそうというわけでございます。
それから徴収猶予の制度でございますが、これは確定申告書を提出いたしました場合におきまして、いわゆる第三期分の納税額につきまして特に徴収猶予の制度を設けようとしておるわけでございまして、新旧対照表の七十二ページでございますが、第二期分の納税額と第三期分の納税額を比較いたしまして、第三期分の納税額が第二期分
の納税額プラスその計算の基礎となりました年税額の二割を超過する、こう
いう場合におきまして、その超過する額を五月三十一日まで徴収猶予を認める、こういう制度でございます。これにつきましては日歩二銭の利子税を取る。これは法人税におきまして現在徴収猶予の制度をとつておりますので、これに倣つたわけでございます。
それから十番目の還付の規定の明確化、これは確定申告書を提出いたしました場合に、その年税額が予定納税をいたしております額より少くなつた、こういう場合におきましては還付の問題が起つて来るわけでございますが、只今所得税法におきましてはこの意味の規定がなくして、これは国税徴収法の規定に乗つかりまして、過納の問題として還付をしておるわけでございますが、この関係を今回所得税法におきまして規定の整備を図つたわけでございます。
それから十一は、従たる給与についても扶養控除を認めることとしたこと、これは現在徴収をする場合におきまして二カ所から給与をもらつておるという場合におきまして、その従たる給与につきましては従来扶養控除をしなくて源泉徴収をしておつたわけでございますが、これは少額所得者につきまして苛酷に亘る問題も生じて参りますので、今回こういうものにつきましても扶養控除を認めるというふうにしたわけでございます。従いまして扶養控除の申請をさせましてそうして扶養控除をして源泉徴収をする、こういうふうにしておるわけでございます。
それから十二番目の退職所得に対する源泉徴収の方法の改正でありますが、これは退職所得につきまして今回控除額の引上を行いまして、その軽減を図つたわけでございますが、これに関連いたしまして源泉徴収の税額表のほうにつきましても改正を加えたわけでございますので、それに関連いたしました改正でございます。手続的なものでございます。
それから十三の過少申告加算税額計算の基礎を増差税額の一部に制限し得るものとしたこと、これは過少申告の場合におきまして更正決定等が行われたという場合におきましては、その増差額につきまして過少申告加算税を取つておるわけでございますが、この場合におきましてその申告に誤りがあつた、つまり少なかつたということにつきまして、必ずしも全部が納税者の責に帰すべきものだと考えられないような場合もあるわけでございますので、そういつた部分につきましては過少申告加算税を取らないというように改正しようとしておるわけでございます。
次は法人税法関係でございますが、一の外国法人に対する課税方法の改正、これは外国法人に対しましてはいわゆる制限納税義務者といたしまして所得税法におきまして源泉徴収を一定の所得につきましてやつておるわけでございますが、源泉徴収いたしました所得税額は法人税額から差引いて計算をするというような関連する規定を設けておるわけでございますが、これを今回所得税だけ取りつ放しにするという意味の改正をしようとしておるわけでございます。
二の中間納付額の還付の規定の整備は、先ほど所得税につきまして申上げたと同じように、規定の整備を図つておるわけでございます。
過少申告加算税額も同様でございます。
相続税法関係でございますが、恩給法の規定によります扶助料につきましては現在相続税を取つておるわけでございますが、これは民間のほうの関係におきまして厚生年金保険等につきましては、この恩給法の扶助料に当りますような遺族年金につきましては非課税になつておりますので、その均衡を考慮いたしまして、今回これを課税から落すという措置をとろうとしておるわけでございます。過少申告加算税の計算の関係は所得税で申上げたのと同様でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/189
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190・小林政夫
○小林政夫君 第七条の二ですね、特別農業所得者の定義、これは実体的には変つておらんということで説明がなかつたわけですか。予定納税制度に改めるについて特にこういうふうな書き方についてその言葉を使つて行こうという、こういう御趣旨の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/190
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191・白石正雄
○説明員(白石正雄君) 特別農業所得者の定義でございますが、これは従来もこれと実質的には同じ規定が存在しておりますが、今回特に前のほうに各税法で用いておりまする言葉の定義を一括して挙げておりまするので、そこのところに特別農業所得者につきましても定義として特に掲げたわけでございまして、実質的には殆んど関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/191
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192・小林政夫
○小林政夫君 それから前国会以来主税局長にお願いをしておきましたけれども、未だに調査中ということで資料が出ない特別減免措置による法人税の減収見積について、それができておれば資料で出してもらえばいいわけですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/192
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193・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) その点につきましては一応数字がございますので後刻資料で別途提出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/193
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194・小林政夫
○小林政夫君 法人税の関係で交際費の規正をするとか、政令案は目下検討中ということでありますが、これは前回提案されたよりも、調査課所管の法人に限り、資本金五百万円以上の法人についてやるということであつて、前回よりは改善されておると思いますけれども、併し実際問題としてこの交際費、いずれが交際費であるかというような判定についてはかなり徴税当局と納税者との間に摩擦が起るんじやないか。今のような社用族の跋扈しておるときにこれを何とか引締めたい、又国が緊縮政策をとつているときにうんと自粛させたいという政策的な狙いはわかるけれども、非常に徴税上のトラブルを起す虞れが多分にあるので、やるならば特に国の助成を受けておる或いは補助金をもらつておるとか、或いは国家資金を使つておるようなものに限つてこういう交際費の制限をする、こういう考えはありませんか、考えたことはないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/194
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195・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 交際費の問題は確かに、例えば値引の景品でありますとか或いは宣伝費、会議費、いろいろ境目がむずかしい問題は我々もあるのじやないかと思つておりますが、今度の考え方の基礎の一つは、大体前年といいますか、昨年を基準年にしまして、その三割くらいを節減して頂きたいということを中心にものを考えておりますので、きめ方といたしましては、基準年に認めたものはおのずからそれも認める、基準年に認めないものはそれは認めないといつたようなことになつて来るわけでございますので、相当のトラブルが絶対にないとも私申しませんが、かなりその辺から言いますと少くて済むんじやないか。それともう一つ、いろいろな前回の御意見を伺いまして調査課所管のものに一応限定したわけでございます。まあ考え方としましては、今小林委員の言われたような線も一つ出て来るかも知れませんが、国の補助をもらうとかもらわないという問題になりますと、そこのかなり直接間接の関係などは相当はつきりしない面も出て来るのじやないかというふうに思いますので、まあ対象をどの程度に限定すべきか、まあ我我としましてはかなり一般的にいわゆる社用族という言葉がありますので、そうこれを小さに法人にまで拡げるのは適当でないかと思いますが、まあ調査課所管ぐらいのものでしたら、調査するほうも相当税務官吏としては或る程度の修行も積んでおりますし、調査されるほうも或る程度の帳簿もできておると思いますので、まあこの辺に一応区切るのが一つの線じやないかと思つて提案した次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/195
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196・小林政夫
○小林政夫君 提案の趣旨から言うならば、一体その交際費をできるだけ少く抑えて行こう、成るべく交際費を無駄に使わせまい、こういう趣旨だろうと思いますが、この第五条の十二によりますと、百分の七十又は取引額に対する一定の率を乗じたもののいずれか多いほうをとる、そうすると基準に率を掛けたものが多ければ、今まで使つておらないものもその基準までは使つてよろしいという逆の効果を持つ、七割かいずれか多いほう……、これは果して制限になるのかならないのか、まあ政令案を見なければよくわかりませんが、その点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/196
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197・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) いずれか多いほうという点でお話があつたと思いますが、我々のほうの考え方としては、これはまあ率を御覧願いまして、更に御審議を願いたいと思いますが、これは又早晩に早く提出したいと思つておりますが、考え方としましては、原則としてはまあ三割程度節減して頂きたい。ただ従来相当の交際費を、そう無茶な交際費を一切使つていない、こういう会社がありましたときに、その会社は今更減らすといつてももうそう大して減らす余地はない。減らすことはわかるけれども三割は減らせない、こういう会社がないとも限らない。従いましてそういう会社はそれでは平均な線に対しましてそれ以下であれば、これはこれでいいのじやないか、従いまして今考えておりますその取引高に対する一定割合といいますのは、おおむね業種を或る程度荒く切りまして、各業種の平均的な数字に対して七掛程度といいますか、その程度の線を出して、それを一つの基準にする。従いまして従来平均以下であつた会社であれば三割まで節約しなくても済む、済むといいますか、三割まで節約しなくても問題にならない、こういうふうな考え方で行つたらどうだろうか。従いましてその場合におきましてはいずれか多いほうということで考えて行つたらいいのじやないか、こういう結論で、率を近く提出申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/197
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198・小林政夫
○小林政夫君 私は基本的には大体交際費なるものをアブノーマルに使うというような経営者自体は経営者としての価値がない。特に株主総会あたりで相当反駁を受ける。こういうことを税法で以て制限するというようなことは、前回にも議論になつたけれども、会社統制経済時代のようなことになるし、いやしくも経営者としての責にある以上は無駄な金を使うということは許さるべきことではないので、本当にしつかりした経営者、経営者の適格者は無駄をするはずがない。併し今度の造船融資等に関連して問題になつておるからこういう提案をするにはいい時期ではある、通りやすい環境ではあるけれども、これは相当慎重に考えるべきで、特に造船融資等の交際費が我々も問題にして多過ぎるというふうに考えておるのは、それは具体的に国の助成を受けておる業種であるから、これとても利子補給等は間接的なもので、直接には伺うが、利子補給を受ける造船会社は、国から直接金をもらつているのは銀行であつて、造船会社はもらつていない、こういうことも言えるかも知れませんが、一方には開銀等の相当政府資金も使つておる。こういうものに限定をして、そういうものがアブノーマルに交際費を使えばそれを制限する、抑制するという意味において規正する、こういう措置は妥当と思いますが、前よりはしぼられたけれども、全部の事業についてこういうことを考えるのは如何なるものであるか、これは意見になりますが、そういう疑念を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/198
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199・土田國太郎
○土田國太郎君 ちよつと伺いますが、今の問題ですが、仮に百万円の七掛は七十万円ですか、そうすると七十万円以上になれば差引三十万ですから、その半分に課税できるわけですか。それでこういう計算が出やしませんか。百万円の交際費を七十万円で切らなければいけないわけですね。そいつを会社は一生懸命に努力して七十万円に仕上げるんですね、交際費を、そうすると三十万円が今度税金になるわけじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/199
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200・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 経費を節減されますから、経費を節減されることによりましてそこに利益が生れる、その利益に対して課税する問題、それはおのずから出て来るものと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/200
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201・土田國太郎
○土田國太郎君 それで一方今度それをみんな使つちやつて、使つたものは半分は免税になるんじやないですか。税金半分納めればいいわけです。使い得という計算になりやしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/201
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202・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 今でもそういうような考え方があるものですから、とかく交際費のほうに流し勝ちだと、こういう問題があり、而もそれが極端な事例にまでなるということもあるわけでございまして、これはまあ要するに税込とか税引とかいろいろ議論があるところでして、結局税負担が余り高いと、とかく会社は節約することを考えないで濫費し勝ちじやないか、従つて法人税の税率とかそういうものは、これは法人税に限りませんが、所得税におきましても、或る程度税率はおのずから限度がなければならんじやないか、これはまあ一般的な御議論のあるところでございまして、我々もその点はよく考えているのですが、やはり国の財政とかいろいろな事情とか、そういうものを睨み合せて行きますと、税率もなかなか思うように引下げられない。従つて今おつしやつたような結論がまあ出て来る、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/202
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203・土田國太郎
○土田國太郎君 その三十万円使い過ぎについては十五万円の税金を納めればいいわけでしよう、半分というのですから。今度は一生懸命やつたものは三十万円そつくり税金にとられるんですよ。こんな、どうもそこが私には割切れないんですよ。だからどうしても使い過ぎりや半分だけ税金をとるという場合には、遂に三十万円倹約した会社についてはその半分を税金を免除するということなら私はわかるけれども(笑声)そうじやありませんか。一方使つたやつは半分の税金で済むんですよ。一所懸命国家のために御奉公した者は全部とられてしまうというのはどうも我々素人にはわからないのだ、そのいきさつが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/203
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204・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 現在交際費がノルマルな姿にあればそれは土田さんが言われるようなことも考えられると思うのですが、現状が使い過ぎだということになれば節約されるのが本来の姿じやないだろうか。従いましてそれはまあ税金をとるということも考えられりや、税金を免除するという方向も考えられますが、現在の状態が社用族とかいろいろな言葉が或る意味において使い過ぎだと、従つてそれは本来の姿に帰らるべきじやないか。会社としましても、一〇〇%なら一〇〇%税金をとるわけじやございませんから、やはりそうあるのが本来の姿じやないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/204
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205・土田國太郎
○土田國太郎君 まあ御意見として承わつておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/205
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206・小林政夫
○小林政夫君 今の土田委員の意見を加味するということになると、一定の、若しやるとすれば、基準に収益率というものを加味する。同じ業態でもうんと努力して儲けのいいもの、これはあなたのほうで基準をきめられるときに恐らく業種別に基準をきめられるのでしようから、その業態の収益状態等も或る程度は基準に加味されると思う。同じ業態内においてもうんと経営者の努力によつて利益を上げるところもある。儲からんところもある。だからそういうような収益状況ということも若しやるならば加味する必要もある。併しそういうことをやつていると、だんだん会社経理統制令の復元みたいになるので、私はそういう疑義があるということを申上げておきます。次は証券投資信託の利益分配金ですね、この三分の一に相当するものは譲渡所得とみなして配当所得とは考えない、こういうことですが、これは株価が上つているときには譲渡所得であるけれども、株価が低落のときにはこの考え方は成立たない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/206
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207・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 今のお話の点は一応毎年そういうことで徴税はしておきますが、解約の場合或いは期限が参りました場合におきまして、その利益を振返つて精算してみまして、配当に属するもの、利子に属するもの、譲渡所得に属するもの、そういう三つに分けまして、それぞれの所得の種類に従いまして十五の税率で課税し、十の税率で課税し、或いは全然課税しない、そこで曽つて一応の仮定の下に納めた税金を差引く、いわば最後の精算をする、こういう措置をとつて行きたい、かように法文ができております。従いまして毎年とる分をどれくらいとるのが、最後の段階へ行きまして余り取り過ぎにもならんし、といつて追加徴収にもならない、こういう姿になるだろうか、これを一応検討してみまして、結論としてまあその辺のところがいいところじやないかというふうに考えたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/207
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208・小林政夫
○小林政夫君 あとで清算するというのは何条ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/208
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209・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 精算の関係は一応現行法にすでにそうなつておりまして、現行法におきましては御承知だと思いますが、全部を配当所得とみなしまして、二十ずつとつて参りまして、あとで精算する。今度は精算の過程を経ることは現行法と同じでございますが、それでは少し前にとり過ぎの姿になりやせんかという点が反省されましたので、とり過ぎにもなるまいし、といつてあとへずつと尾を引いて税金が固まることも避けたほうがいい、まあそういつたような関係からそこに御提案申上げましたような姿に改正をしたいというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/209
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210・小林政夫
○小林政夫君 それから七条の六の改正になるところで「命令の定めるところにより計算した金額」、この命令では、いずれ命令案ができるのでしようけれども、どういう計算をしようというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/210
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211・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これは現在でも一応取扱で、輸出と輸入とをやつている場合とか、国内の分と輸出をやつている分とか、そういう場合におきまして、一体輸出所得をどう計算すべきかという問題がございまして、これは細かい計算をやれば輸出所得そのものがつかめんことはございませんが、なかなか手数も大きいというような関係が主でございますが、収入金額按分に実は扱つております。併し収入金額按分にするということは現在の法律から見ますといささか無理な点がありますので、これを収入金額按分にすることを法律的根拠の上に立つてやりたい、まあそういう意味におきまして命令で以て収入金額按分にしたもので計算したものが輸出所得であり、それの五十だ、この点を法令的に整備したい、かような考え方でございます。従いましていずれ命令案要綱に御提出申上げますが、そこで書こうといたしておりますのは、その会社全体の収益の中で、国内と輸出の分とか、或いは商社であれば輸入と輸出の分についての収入金額按分によつて計算したもの、それの百分の五十、こういうふうになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/211
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212・小林政夫
○小林政夫君 それから今度新らしく追加されたこの八号の「外国航路において行う輸出貨物の運送」、これは円払の場合でも今の特別フエーバーを与えるということになるようですが、特に前に対外支払手段の対価として行われる運送に限られておる。そうでない円払のものでも外国航路によつて行う輸出貨物の運送収入についてフエーバーを与えるという趣旨はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/212
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213・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これも現在の法律でございますと、おつしやいまするように対外支払手段を対価としてやつた場合に限つているわけでございますが、これでは少し範囲が狭いじやないか、運輸省のほうかいろいろ申出がありまして、検討をして結論が今ここに出たようなわけでございますが、考え方といたしましては、結局円で運賃を受ける場合におきましても、これは輸出の場合でございますから、輸出商社としてはいわゆるCIFで以て契約をしている場合、従つて輸出商社のほうではCIF価格でドルならドルが入つて来ておるわけでございます。現在の輸出所得に対する減税の関係は、商社に品物を供給したものに対しましては百分の三で以て減税しておるし、丁度商社に品物を供給したと同じ立場におきまして、商社に輸送のサービスを提供したというのが今の円払による輸出貨物の運賃ではないかと、かように考えられるわけでありまして、その二つの関係から見ますると、円払のものも事輸出に関する限りにおきまして認めていいのじやないだろうかと、かような結論を出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/213
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214・小林政夫
○小林政夫君 そのCIFで外貨は商社へ入つておる。ただもう運送業者が円でもろうだけであつて、その運送業が円で貿易商社からもらつた円に相当するものは貿易商社が外貨でもらつておるからという考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/214
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215・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/215
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216・小林政夫
○小林政夫君 わかりました。それからその条の第三項の三の「建設業者が対外支払手段を対価として建設請負を行つた場合において、」云々ですね。建設業者だけに限つて対外支払手段で、外貨は獲得したけれども、向うで外貨払をやつたものは差引くのだと、こういうことですね。ところがそのほかに例えば運送業者、海運業者にしても向うで外貨払によつて諸経費を払つておると考えられる、又は修理、加工等についても向うへ行つて、例えば沈船引揚げ等をやつても相当外貨払の経費もある。こういう点は、なぜこれだけ細かく行くのならば、ほかの業種については考えないのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/216
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217・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 建設業につきまして特に細かい配慮を払いましたのは、建設業の場合におきましては外貨で以て契約しましても、外国で以て相当人を雇う。場合によつては向うで材料も買う。従つて国内へ入つて来る金は非常に小さいという場合が考えられるのじやないか。それは確かにおつしやるように貨物輸送などの場合におきましても、外国で以て或る程度の品物を買うということは考えられますが、建設の場合におきましてはそれがかなり極端な事例まで出て来るのじやないだろうか、そういうふうなことも考えられますので、建設業につきましてはやはりその点はしぼつておいたほうがいいのじやないか、こういう案を出したわけです。結局向うで請負いまして、大部分の人夫を向うで雇う、材料も向うで買う、こういつたような場合におきましては、国内に入つて来るものが本当に利潤的なものだけしか入つて来ない。その場合におきまして一応請負つた金額全体が対象になるというのも少し行き過ぎじやないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/217
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218・小林政夫
○小林政夫君 それは程度問題で、これはフエーバーをもろうほうは、今厳密に言えば余計もらうのだから、恐らく文句は出ないだろうと思うのだけれども、一応公平な見地からいうともう少し検討して見る余地があるように思うのです。
それから次は、現在、法文を離れてですが、貸倒準備金の際に売掛の残を見るときに、受取手形というものについては銀行で割引をしておれば売掛はもう消えておる。ところが金廻りがよくて銀行へ割引をする必要がない、手にちやんと受取手形を持つておる。こういう場合においては消えてない。こういうことは比較的資金的に恵まれておるものはこの貸倒準備金の恩恵に余計浴して、金が忙しくて、手形をもらつたらすぐ割らなければならんというような連中は余り浴さない、こういうことになるのですが、その点は如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/218
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219・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) まあ割引しないものが金廻りが必ずしもいいとは私は限らないと思うのです。割引したくても銀行が相手にしないという手形を持たざるを得ないという会社もあるわけでございまして、割引いた会社が苦しくて割引かない会社のほうが全部苦しくないというのも如何かと思つております。現在割引手形を一応除外しております考え方は、一つには一応銀行が割引いているから従つてもう普通の場合であれば大体債権が銀行のほうへいわば肩替りしており、持つている責任は一種の保証債務になつて、裏書人としての責任だけしかない。従つてこれは通常の売掛金とちよつと違うのじやないか。又大きな面から見ますと、銀行のほうで一応割引手形は、これを貸倒準備金の対象に見ておりまするものですから、重複して見るのも如何かと、まあその二つの理由からだと思つております。ただ最近不渡手形が発生するといつたような事例がまま出て参りましたので、割引手形につきましてもこれをやはり貸倒の対象に考えるべきじやないかという御意見、これは今まで不渡が余り発生しておりませんでしたときには余り大して有力な御意見として伺つておらなかつたのですが、最近不渡が相当出て参つたということに関連してだと思いますが、銀行で割引いてもなお相当責任が残るという考え方の上に立つてこれを考えるべきじやないかという御意見は大分我々も聞かされております。この点につきましてはもう少し検討してみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/219
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220・小林政夫
○小林政夫君 それは一つ検討されるということだつたら是非今の手形の実情からいつて、もう落ちるまでは安心ができないという、おおむねそういうものが多い状況です。まあこれは相手の、取引先の如何によつて多少違いますけれども、まあそういう事例が多いので、そう税収に極端に響くほどのものでもなかろうと思うので、検討してもらいたいと思います。響きますか、どのくらい響く、特に中小企業者が一番困るのですよ、これは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/220
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221・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 税収に対する影響は、まあ非常にラフな考え方をいたしますと、まあ割引手形として現在割引かれているものが一兆円くらいあるのです。それのまあ一%、百分の一といたしますと、まあ百億と、従いましてそれの四割二分といえば四十億程度の響きと、これはまあ全部の会社がそれを一度に全部出して来たときの話でございまして、まあこれは一回限りで問題は片付くわけでございますけれども、最初の一回の限りにおきましてはかなりの税収の響きがあるのじやないか、これはもう一度に出して来た場合の話ですがね、そういうことは言い得ると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/221
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222・小林政夫
○小林政夫君 直税関係は又後日にします。
物品税ですが、これは前から問題になつておつたのですけれども、今度関税法なんかも全文改正になつたし、物品税の片かなをいつまでこのままにしておくのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/222
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223・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 物品税につきましては、いろいろまあこれをどういうふうな法律として将来持つて行くべきか、大分いろいろな御意見を伺つておりますので、我々としましても検討はしておりますが、現在の法律の型と相当大きく違つておりまするし、もう少し時間をかして頂いて検討を加えた上で、まあ片かなであることをやめるべきかどうかという点については考えて参りたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/223
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224・小林政夫
○小林政夫君 これは本会議でも大蔵大臣に質問をいたしましたが、今度しやし繊維品に対する課税を考える過程において、この物品税についても全面的に再検討をして、しやし品税というようなものに変えたらどうかというような意味の検討はされましたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/224
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225・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) そういう意味の検討も一応してみたのでございますが、今回の改正全体を通じまして、一応一面では消費の節減を図つて、国際収支の改善を図りたいという面と、それから一面では直接税、特に所得税について何とか低額所得者を中心とした控除の引上げ等による減税をしたい、こういうふうな考え方が強くございましたものでございますから、物品税につきまして特に減税をするという意味の改正ということはちよつとこの際としては困難であつたと、かようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/225
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226・小林政夫
○小林政夫君 まあその点は別途かねて要求しておる資料等を得てもう一度議論してみたいと思います。資料が出てから一応……。
それから内容に入りますと、今度新らしく小売課税に変えられた第一種第六号の高級毛皮製品はどうして小売課税に変えられたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/226
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227・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 今度高級毛皮製品を小売課税にいたしました一番大きな理由といたしましては、こういう高級毛皮製品の取引の形態というものを見て参りますと、これはまあ毛皮の性格から出て来ると思いますが、毛皮が季節的な商品であるということ、同時に季節を外れて気候が暖くなつて参りますと、ちよつとやはり専門家でございませんとこれを保存するのに、保存し且つ品質をこわさないということが非常に困難である。こういうような毛皮の特殊の性格から出て来ていると思います。高級毛皮製品の売買の姿を見て参りますと、結局製造者が委託の恰好で小売人にあずけますか、或いはデパートのような場所を借りまして製造者が同時に小売業をやる。こういう姿が大部分のようでございます。そこで現在のように製造課税にして置きますと、今申したような関係で、例えば三越に委託販売する、或いは三越の売場を借りて毛皮を売るというような場合におきまして、一応製造場を移出するときに税金を払わなければならない。ところが売れなくなつて売れないままで季節が過ぎましてまあ持つて帰る戻入れのいろいろな手続、それに対する戻税の規定などでございますが、どうも業者の眼から見ますと、税金を先払いするといつたような姿が実は相当ある。これではとても堪まらないし、それで是非とも小売課税にして欲しい、その主たる理由が先ほど申しましたように大体製造業者が同時に小売業者であるというところから原因が出ているのじやないかと思いますが、そうした業者の要望が相当強く出ております。従いまして我々もその業者の性格をよく見て参りますと、その業者の要望も無理からないところがある。こういう結論を得ましたので、一応今度のようにやはり小売課税にしよう。
なお、この機会に一応考えて改正しようと思つておりますのは、現在は御承知のように税率の低いほうの毛皮だけを特掲いたしまして、その他のものは全部五割のものにしておりますが、これをむしろ逆にいたしまして、高級毛皮製品としまして銀狐とか白狐、青狐、それかららつこ、ビーバー、川獺、私もよく存じませんが、ホンマーテン、セーブル、ストンマーテン、これは有名なんでございますが、アメリカのミンク、それから虎、豹、白熊、この程度のものだけを特掲しまして、そうしてこれを高級毛皮製品として小売課税に持つて行く、その他の毛皮はこれは一括いたしまして税率の安いほうの毛皮にいたします。これは今申したような事情が全然ございませんので、製造課税に残して置きます。こういう整理をするのが取引の実状に合うゆえんじやないか。こういう結論を出しましてこの法案を御提案申上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/227
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228・小林政夫
○小林政夫君 そうすると今読上げられたもの以外が第二種の五十四号、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/228
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229・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/229
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230・小林政夫
○小林政夫君 今読上げられた部分と五十四号のその他のものとの取引形態と言うか、メーカー等がしかくはつきり分けられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/230
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231・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 安いほうの税率になりますものは、結局犬の毛皮とか猫の毛皮、兎の毛皮、羊の毛皮、こういつたようなものでございまして、あとむささび、牛といつたようなものもございますが、こういう場合にありましては、結局メーカーから加工業者などに売り切りになつてしまいまして、加工業者がこれを加工して或いは子供のオーバーの首に付けるとかいろいろなことをしまして、このほうは今申しましたような値段の相当高い品物とは取引の形態がかなり違うようでございます。勿論製造する人は片方の高級なものを製造すると同時に、こうした割合に下級なものを製造している人もございますけれども、取引の形としましては高級な毛皮とこうした下級な毛皮との関係はかなりはつきり違つた姿をとつているというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/231
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232・小林政夫
○小林政夫君 第二種の十七号、高級時計、これは前回私が指摘した通りに書き方が変つておるので満足ですが、この十七号と五十二号との区別はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/232
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233・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) いろいろ検討しておりますが、やはり価格で以て高級時計と然らざるものとを区別するという方法しかないのじやないかというふうに考えております。従いまして製造業者からの引取価格といいますか、主として高級時計に当りますのは大体輸入物だと思つておりますが、税関、保税地域から引取つた値段、インボイス・カードに関税を今三割払つておりますが、これを加えた値段、これを一つの標準にしまして、大体考え方としましては、従来懐中時計で国内にできているようなものはまだ高級の名前に値いしないだろう。輸入される物の中で或る程度のものを高級時計と考えるべきじやないか、その価格の線につきましてはいずれその要綱としまして御提出申上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/233
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234・小林政夫
○小林政夫君 同様にその次の二十一号ですね、この四十八号とのこういつた区分、或いは十一号との区分も結局は値段ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/234
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235・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) この二十一号にございます「第十一号及第四十八号二掲グルモノヲ除ク」の点につきましては、十一号のほうは一応値段ではございませんで「電気、瓦斯又ハ液体燃料ヲ使用スルラジエーター(室内用ノモノニ限ル)又はルームクーラー」、これは一応物をずばりと定義しておりますが、これらのものも一応「暖房用又ハ冷房用ノ電気器具、瓦斯器具又ハ液体燃料器具」に入りますので、一応充たしておるわけでございまして、これは一応それのままで値段とは関係なしに限定するつもりでおります。それから四十八号につきましては「瓦斯ストーブ」と一応四十八号は特掲してございまして、これはやはり暖房用のガス器具に入りますものでございますから、これもこの中に入らないという意味で除いてございます。この両者いずれも値段とはこの場合には関係ございませんで限定できると思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/235
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236・小林政夫
○小林政夫君 そうすると値段の如何を問わず、ラジエーター、ルーム・クーラーは十一号だ、それからガス・ストーブは如何なる値段のものであつても四十八号だと、こうですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/236
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237・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/237
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238・小林政夫
○小林政夫君 それから丁類になつておる三十一号の中で「オルゴール又ハ之ヲ用ヒタル製品ニシテ別号二掲ゲザルモノ」、別号に掲げざるものとは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/238
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239・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) オルゴール又は主としてこれを用いた製品は、御承知だと思いますが、喫煙用具といいますか、室内用の巻たばこ入れ、あれの蓋をあけてオルゴールが鳴り出すというようなものが一つございます。それからもう一つはいろいろ装飾品と言つていいと思いますが、例えばモデル・シツプのような中にオルゴールを仕掛けてあると言つたようなものがございます。この喫煙用具とかいろいろ装飾品につきましては従来とも課税しておりましたし、それぞれ定義してございますので、これらのものを一応別にしましてそれ以外のものがこれに入つて来る。具体的に申しますとオルゴールが鳴るというだけ、響き箱が付いておるだけのものもございますし、それからあれは婦人が宝石とか指輪を入れるのですが、蓋をあけると音がする、別に喫煙用具でもなくて、ただ細かいものを入れておく、こういつたものは装飾品とも言えませんし、それから喫煙用具でも勿論ございません。そういつたものがここに挙げたオルゴールを用いた製品に該当する、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/239
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240・小林政夫
○小林政夫君 これはしやし品に対する規定もあるし、今度の入場税法にもあるんだけれども、第三条の二の間接税としては理論的には考えられない、徴税規則を設けなければならんと、こういうことになつた理由……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/240
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241・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これは前から実は中で問題があつたのですが、例えば課税最低限が五千円になつている、税率が二割である、こういつた場合、五千円未満のものには課税にならない、五千円以上のものが課税になる、こういつた場合におきましては、五千円の場合でございますと二割かかりますから六千円にならなければならんはずでございまして、従いまして例えば五千五百円に値段がついているというようなことはこれは普通ちよつと考えられないわけでございます。ところが現実には五千五百円で売られているというものにぶつかる場合がございます。主として脱税事件などに出て来る問題であります。これは税金がかかつていないとしますと、これは五千五百円に売られておりますから、その二割である千百円が税金にならなければならんと言つて千百円を五千五百円から差引いてしまいますと四千四百円になつてしまつて、これは税抜きですから税金はかからんはずだと、併し現実に売られているのは五千五百円だと、こういう問題をどう処置すべきか、いろいろ議論がありましてなかなかむずかしい問題が出て来ております。従いましてこういう問題をやはり法律的に一つ割切つておくべきじやないか、実は特にその必要を感じましたのは、入場税におきまして、これは前回入場税の法案を御説明申上げましたときにちよつと申上げたと思いますが、四十円以下の分は二割、七十円以下の分は三割、こういうようなことをしておりましたが、現実に五十円という入場料はないわけですが、五十円という入場料をきめていたら、一体二割で税金を課税すべきか三割で税金を課税すべきか、こういつたような問題に直ぐぶつかつてしまうわけであります。従つてこういう場合においてはやはりそれ相当の措置を講じておく必要があるのじやないか、同時にそれを論理的に押詰めて参りますと、問題はそれだけではなくて、やはりこの免税点の問題にもやはり同じような問題がある。そうすると入場税だけの問題でなくして、やはり少くとも小売課税として現実の売買価格をとつておる物品税についても同じような問題があるのじやないかと、まあ整理のためにやはりその点をはつきり辻棲を合せておいたほうがいいんじやないかと、こういう結論を得ましたものですから御提案申上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/241
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242・小林政夫
○小林政夫君 こういうことをすることによつて、あなたのお見込では税収が上ると考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/242
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243・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これによつて税収が上る下るということは、私は余りそう大きな影響はないのじやないかと思つております。先ほどの例で、言いますれば、五千五百円で売つていると五百円税金に徴収されるのですから、業者のふところから言えば、五千円に売つた場合と五千五百円で売つた場合と全然同じなんです。従いまして五千円という値段を付ければ、五千円自分のふところに入つて来る。五千五百円という値段を付けましても、結局自分のふところに入つて来るのは五千円だけである。従いまして、恐らく普通の場合におきましては、業者の方はお客にサービスをする意味で五千円の値段を付けるのじやなかろうかと、こういうふうに考えられるわけですが、たまたま併し何かの関係で以て五千五百円という値段が付いたとき、一体それをどう処置すべきかという問題がございますものですから、その場合の措置というものを考えて行くべきじやないかと、現実問題としますれば、税法がよくわかつていらつしやれば五千円をわざわざ五千五百円という値段をお付けになることはあるまいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/243
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244・小林政夫
○小林政夫君 よほどのへまでなければやらないわけですな。
それから附則の第十二項ですけれども、「政令で定めるところにより、物品税を免除する。」と、こういうことになつておるのですが、第十項との権衡はいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/244
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245・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) この十二項の規定は、昨年の六月頃かと覚えておりますが、貴金属等の小売課税をやります場合、実はこれと同じ法文を御提案申上げまして、御審議願つたわけですが、考え方といたしましては、小売課税に今度なるわけでございますが、すでに製造場から移出されておりまして、小売屋の手許にある、これは当然製造場を出るときに税金がかかつておるわけでございます。それが今度小売課税になつたが故に、小売屋で売られるときにもう一遍税金がかかると、これはいわゆる物的二重課税の弊に陥るきらいがございますので、従いまして、すでに製造場を出ておりまして、小売屋の店頭にあつて税金が課税されているものにつきましては、小売課税になりましても税金は二度はかけないと、こういう規定を入れておくのが然るべきだろうと思いましてこの規定を入れたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/245
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246・藤野繁雄
○藤野繁雄君 法人税法の第十六条の第二項ですが、新旧対照表では十六ページ、これによつて見るというと、「法人税として納付すべき金額及び地方税法の規定により市町村民税として納付すべき金額は、前項の留保した金額には、これを算入しない。」と、地方税法によるというと市町村民税と府県民税と両方あるにもかかわらず、市町村民税だけをここに書いてあるのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/246
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247・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これは扱い方といたしましては、同じように取扱いたいと思つております。ただ改正の関係だけを、市町村民税はすでに現在現行法としてございますものですから、こちらのほうで……、実はこれは一種の整理の関係で、前から実はこうなつていなければ嘘な規定なんですが、これはまあこちらのほうでやらして頂くと、それで府県民税は、現在それが政府の提案にはなつておりますが、まだ国会を通過して成立したわけではございませんので、地方税法の府県民税を新らしく起す、その法律が実は今提案されておりますが、その附則でこれと同じように府県民税がこの中に入るように、これはいささか技術的な問題で恐縮ですが、向うのほうの法律のほうに、法人税法の一部改正の規定を附則のほうに入れまして、そうして府県税が成立したとき同時にこの法人税法の規定も直ると、こういうようなことに実は操作してございまして、これだけ御覧願いますと確かにおつしやるような疑問が出て来ると思いますが、府県民税自身がまだ法律として成立しておりませんものですから、むしろ府県民税とそれに伴うこの改正は運命を共にしたほうがいいのではないかと、こういう配慮に基きまして地方税法のほうの改正案にその分は載せてございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/247
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248・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから第九条の第六項ですが、この六項の解釈が現在区々であるように考えられますから、一応念のためにお尋ねしておきたいと思います。第六項によりまするというと、農業協同組合等の「取扱つた物の数量、価格その他事業の分量に対して分配すべき金額は、これらの法人が第十八条の規定による申告書に当該分配金額に関する申告の記載をなした場合においては、第一項の所得の計算上、これを損金に算入する。」と、こういうことになつておりますから、農業協同組合等が取扱つた物の数量、又価格に対して特別配当をやる場合においては、それは損金に算入すると、併しここに問題になつておるのは、特別配当をやる前提として出資に対する法定の配当はやつたものと認めると、こういうふうなことで、或る税務署においては、特別配当だけやつておるのは普通配当はやつた上のことであるからということで、特別配当に対する課税をしておるところの地方があるのであります。併しこれは立法の精神に相反するものと思つておるのでありますが、現在若しそういうような取扱いをやつておるということだつたならば、その取扱つておるところの税務署の取扱いが違法であつて、特別配当金というものは普通配当をやらずしてでもこの法律によつて配当ができ、それは無税である、損金に算入する、こういうふうに解釈して差支えないものと考えるのでありますが、この点疑義があるからお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/248
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249・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 今の点につきましては、昨年も一応問題になりまして、そうして今お話のように、まあ昨年問題になりましたまでは、今お話のように、出資の配当をしないで、全部事業分量の配当をしておる場合においても、出資の配当に相当する分はこれはもう損金に見ないという実は扱いができていたのでありますが、これはまあ考え方によつては、私は一つの考え方がその底にはあると思いますが、併し昨年御議論がありましたときに、これはこの法律の解釈からいえば、あつさりと事業分量に応じた分は損金に算入するのだということになつているから、そういうふうに扱うように……、で従来国税庁がお話のような点で出しておりました通牒は、これを取りやめたはずでございます。私はもう取りやめたものと思つておりますが、或いは末端までその趣旨が徹底しておりませんで、それが残つているような扱いがまだございましたら、それは早急に直させて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/249
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250・藤野繁雄
○藤野繁雄君 それから第三項の但書ですが、「但し、命令で定める寄附金については、命令の定めるところにより、これを損金に算入する。」、この内容を一つ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/250
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251・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これは、この関係の命令は、法人税法施行規則にございまして、第八条に「法第九条第三項但書の規定により、法人の各事業年度の所得の計算上、損金に算入する寄附金は、大蔵大臣の指定した寄附金とする。」、二項に、「大蔵大臣は、前項の規定により指定をなしたときは、これを呈示する。」、こういう規定がございまして、大蔵大臣が一定の基準を以ちまして指定をしましたその寄附金だけがこれに該当する。ではどういうものがそれに入つているかということも恐らく御質問の一部だと思いますからここで簡単に申しますと、現在一般的に指定になつておりますのは、国、都道府県又は市町村に対する寄附金、これはこの指定になつております。
それから私立学校の校舎及びその附属設備復旧のための寄付金、それからその他学校教育法による大学とか高等学校とかそういうものでありまして、これは多少条件が付いていますが、こういうようなものについて一応の指定ができております。あと幾つか特定のものにつきまして大蔵大臣のほうで具体的に指定しております。例えば伊勢神宮の遷座祭の場合の寄附金でありますとか、或いは同じ神社でございますと、明治神宮が戦災に罹つて焼けたその復旧のための寄附金、或いは熱田神宮が戦災のため焼けたその復旧のための寄付金、その他いろいろなことで幾つかの指定をしておりますが、考え方としましては、臨時的なもので、法律にきめられている一定の限度内ではちよつと賄うのが無理であろうと思われるものを中心としまして、同時にその目的等も考えまして指定を行なつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/251
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252・藤野繁雄
○藤野繁雄君 この大蔵大臣の指定するという寄附金の基準ですね、これは大分古く定めたのでありますから、現在の情勢に適応するように基準を改める必要があると信ずるのでありますが、改めるお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/252
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253・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 一応基準としましては或る程度時間がたつておりますが、具体的に指定をして参ります場合におきましては、相当情勢の変化を見ながら実は指定して来ておりますので、現在特にこれを変えなければ、どうも実情に合わないといつたような事例にはちよつとぶつかつていないように思います。と申しますのは、その基準の運営につきまして、これは省内でよほど慎重に会議をしてきめておりますが、相当の弾力性がある基準になつておりますので、実行の上から申しまして、今のところこれはだめだ、これはいいといろいろ分けておりますが、まあそう特にその基準を変えなければならんというより、むしろ基準を如何に生かして運用して行くかというところに問題があるのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/253
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254・藤野繁雄
○藤野繁雄君 基準を生かしてやるということですが、現在指定してやつているところのものが大分たくさんありますが、それを一々検討してみまするというと、その指定したところのものの中には今共同募金として大分募集しておりますね、あの共同募金のようなものも指定に入れて差支えないじやないか、こう考えておるのでありますが、共同募金をこの基準から考えて、基準に該当するものと思つておりますか、入れることができない、現在入れていないところの理由はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/254
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255・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 共同募金についてはよくお話があるのでありますが、我々の考え方としましては、この指定のこれは目的から来る基準じやございませんで、むしろ性格的なところから来る基準の点なんですが、共同募金について議論になりますのは、毎年繰返えされるようないわゆる経常的と考えられるような寄附金は、これは寄附をする方から見ましても金額におのずからそう大きな額もございませんし、従いましてむしろこれは定められた限度内で賄うべきものではないか、特に大蔵大臣が指定をしておりますのは、臨時的なもので定められております資本金の千分の二・五と利益の百分の二・五、それの平均でございますが、その範囲ではちよつと賄い切れないというようなものも指定すべきじやないか。実は先日も共同募金の方が見えまして、いろいろお話を伺つたのですが、共同募金のようなものはこれはどちらかといえば貧者の一燈式に多くの人から少額ずつでも集まつたものが本来の性格からいつて一番適当じやないかと思うのでございますが、大きな会社から一体どれくらいの寄附金が入つて来るかという点を聞きましたら、これは恐らく私聞き違いでないと思つておりますが、総額で三百万円、それから一体一つの会社で以てどれくらいの額が一番大きな額かという点も伺つたのですが、それを伺つたところでは、東京の一流のデパートが一番大きな金額になると伺いましたが、その場合におきましても金額は六万円程度だと……、そういうふうな姿でございますれば、これはやはり現在の経常的な寄附金の中に吸収されていいものじやないかどうか、いろいろ御意見もあるようでございます。寄附金の指定がないからこの範囲にとどまつているので、指定あればもつと大きな寄附金が入つて来るということを期待している向きもあるようでございます。併し共同募金の性格からいいまして、毎年繰返されている問題でありますだけに、ちよつとそういう大きな寄附金も無理な性格もあるのじやないだろうか、同時に現在申したような姿でございますれば、経常的な寄附金として考えられてそう支障もないのじやないか。従いまして従来からあります一つの基準、即ち経常的なものといいますか、毎年繰返えされるような寄附金はこの指定には入れないという方針をこの際特に変える必要はないのじやないだろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/255
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256・藤野繁雄
○藤野繁雄君 共同募金が募集されるようになつてから一般の社会事業に対する寄附金の募集を打切られているというような状況であつて、又厚生大臣からの指示のようなものも、共同募金が募集されておるから寄附金を集めないようにしろ、こういうふうなことになつているといたしますると、今日社会事業の性質として共同募金が必要なことは申すまでもないと思う。必要な金額に対して集つているところの金額は僅かである。そういうようなことであればこういうふうな社会的事業のために集めるところのものであつたならば免税にしてでもできるだけ余計に集めまして、そして社会の幸福を図つて行くというようなことが策を得たものであると、こう考えるのですが、やはりそういうわけに行かんのですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/256
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257・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) これも先日伺つたのですが、共同募金として現在集められているのは一年十二億程度の金が集められておる。その中には年賀郵便のものが二億くらい入つているという話を伺いましたが、まあどの程度の寄附金が果して適当な額であるかどうか、これはなかなか判断がむずかしいと思いますが、かなり大きな額の寄附金が共同募金として集つております。それが先ほど言いましたように、非常に少額なものが数多く集つている。これは共同募金の性格からいいまして私はしかくあるべきものであろうと思つております。結局個々の寄附金指定という問題は、相当大きな会社からまとまつた金をとる場合に問題になるわけでございまして、共同募金に直接関係していらつしやる方々の中でも、共同募金の性格からいつて、やはり少額なものを多くの人から集めるのが本来の性格であり、従つて特にこの指定を云々するのは如何かという御議論もございますそうでございますし、又一面にはやはり額は多くあるべきだというので、寄附金の指定をしてもらわなければといつた御議論もあるようでございますが、我々の考え方といたしましては、十二億といつたような金が多いとか少いとか、これはいろいろの御議論があろうかと思いますが、一応共同募金は毎年なされるものであり、同時にそうすればおのずから会社としてもそう大きな額を寄附するわけにも行くまい。会社に対しましても、一応一定の基準は寄附金として当然損金になる部分もございますのですから、共同募金を特に指定しなければならない理由がこの際新らしく出て来たというのも如何であろうかと、まあ現在はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/257
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258・小林政夫
○小林政夫君 先ほど私大分前に考えたものだから、質問のポイントを違えていたのだが、物品税の十二項ですね、これは附則の九項あたりで、この改正によつて税率の上るものにおいては、前にかけたものと今度の上る税率と比べて足りない分をとつておりますね、これと今の前の製造者課税で五〇%とつておつたものと小売課税で二〇%今度とることにしたわけだが、そこにそれだけ製造課税で五〇%のものが小売課税で二〇%になつたときにそれでいいのか、権衡がとれておるかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/258
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259・渡辺喜久造
○政府委員(渡辺喜久造君) 結局製造場を出るときのいわゆる製造者価格と、それに五割掛けたものですね、製造者価格の五割というものを絶対額として出した場合に、それが小売価格に対してどれほどの率になるか、それが二割でいいかどうか、こういう御質問でございますが、一応我々のほうで調べたところでは、まあ二〇%から二二、二三、二五くらいまでの数字が出るようであります。現在小売課税の分は一応二割にしてございますので、そこを余り細かく計算いたしまして税率を変えるのも如何かと思いまして、多少負担の面からいいますと少し軽減気味のきらいはございますが、まあ二割くらいがいいのじやないか、大体の権衡はとつた、こういうふうにお答え申上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/259
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260・小林政夫
○小林政夫君 それでは恐らく小売課税にしてくれというのは、そのほうが負担が軽くなるし、納税手続はやさしいし、自分のほうにはかからんということが大分あつたのじやないかと思いますが、将来しやし品税でも創設するときには大いに上げて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/260
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261・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 本日はこれにて散会いたします。
午後六時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X01519540309/261
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