1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十九日(月曜日)
午後二時十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 大矢半次郎君
理事
藤野 繁雄君
小林 政夫君
委員
青柳 秀夫君
岡崎 真一君
木内 四郎君
白井 勇君
安井 謙君
山本 米治君
土田國太郎君
前田 久吉君
三木與吉郎君
成瀬 幡治君
野溝 勝君
東 隆君
堀木 鎌三君
政府委員
大蔵政務次官 植木庚子郎君
大蔵省主計局次
長 正示啓次郎君
大蔵省銀行局長 河野 通一君
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
食糧庁長官 前谷 重夫君
事務局側
常任委員会専門
員 木村常次郎君
常任委員会専門
員 小田 正義君
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本日の会議に付した事件
○食糧管理特別会計法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) これより大蔵委員会を開会いたします。
食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたしまして質疑を行います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/1
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002・小林政夫
○小林政夫君 二十九年度の食糧の需給について数量的に説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/2
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003・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。食糧の需給計画につきましては、御承知のように二十九米穀年度と、それから二十九会計年度と、二通りの計画があるわけでございまして、二十九会計年度につきましては、予算で御審議願つておりまするように、本年の十一月までは二十九米穀年度といたしまして、内地米につきましては二千百万石を買入れる。それから輸入につきましては百五十三万トンの輸入計画で進んでおるわけでございますが、二十九会計年度におきましては、二十九年産米、つまり三十米穀年度の需給につきましては、二十九年産の米は平年作の場合におきまして、過去の実績からいたしまして、政府が集荷し得る数量を二千七百万石と押えておるわけでございます。この二十九米穀年度の後半と三十米穀年度の前半との両者を合わしまして、輸入につきましては米につきまして百十四万五千トンの輸入をいたすと、こういう形で計画を進めておるわけでございます。
具体的な計画といたしましては、二十九米穀年度の計画でございまするが、この二十九米穀年度におきましては、現在、政府が国内産につきまして買入れておりまする数量は、三月二十日現在で千九百七十五万石ということになつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/3
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004・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今、小林委員の質疑に対して、現在千九百七十五万石という話でありますが、二千百万石に対する残りはどういうふうな方法で供出される御予定であるか、対策を伺いたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/4
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005・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 二十九米穀年度におきまする二十八年産米の買入れでございますが、只今申上げましたように、三月二十日現在では予定の目標に達しておらないわけでございます。我々といたしましては、この集荷につきましては、各府県と府県の需給計画、及び府県の買入れ計画を具体的に各府県別にお話合いをし、協議をいたしておるわけでございまして、この計画に基きまして二千百万石を達成いたしたい。その方法といたしましては、先般も、いわゆる匿名供出的な方法によりまして、代表者供出制度をとつておるわけでございます。又集荷の面におきましては、二十八年度の予算に計上いたされておりまする集荷奨励金を、先般決定いたしまして、これにつきましての実施を図つておると同時に、関係農業団体にいろいろ協議いたしまして、農業団体方面におきましても、これの達成のための御協力を願つておると、こういう状態でございます。ただ御承知のように、最近におきまして、集荷の足取りが減つて参つたわけでございます。つまり二月におきましては約三十万石程度の買入れしかなかつたのでございますが、三月に至りますと二月の各旬別の成績よりもだんだん上つて参つておりまするし、同時に我々といたしましては各府県に個別に伺いまして、そうして各府県にこれが確保に対していろいろ御協力を願つておりまして、現在の状態でございますると、各府県におきましても、それぞれの需給の事情もございますので、目下、一時中だるみになりましたが、最近におきましては、この集荷につきましての督励を更に力を入れてやつて頂いておると、こういう状態にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/5
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006・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうしますと、予定の二千百万石は集荷できる見込みでありますか。如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/6
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007・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 予定に対しまして、百万石以上の数量がまだ残つておるわけでございますが、これにつきましては我々としても是非この目標を達したいということで、具体的に各府県の当局と目標を新たに決めまして、これの促進方をお願いいたしておるわけでございまして、是非一つこの目標を達成いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/7
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008・小林政夫
○小林政夫君 二十九年度の食管の予算ですが、これは予算委員会で当然検討があつたでしようが、いろいろ報奨金類は基本米価に織込むようにすると、こういう方針だということなんですが、実際の予算はどういうことで編成されてあるのですか。今提出されておる予算は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/8
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009・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 二十九年度の予算といたしましては、御承知のように、二十八年度におきまする米価は、基本米価と供出完遂奨励金、超過供出奨励金、早場奨励金と、それに昨年度の減収に基きまする減収加算額と、この形で組まれておるわけでございますが、二十九会計年度におきましては、国内の食糧買入費といたしまして、基本価格を一応昨年度と同様、つまりパリテイが現在の状態といたしましては、九月におきまするパリテイの状態が判明いたしませんから、二十八年度と同様ということに考えまして、それから超過供出につきましては、二千七百万石のうち、四百万石を超過供出というふうに考えまして、あとが基本供出という、この割合で国内食糧の買入れ費の中に一本で以て計上いたしております。ただ、早期供出奨励金につきましては、二十九年産米の作柄も明白でございませんので、二十八年度に当初計上いたしました八十一億を、そのまま二十九会計年度におきまして、これを計上いたしておるということになつておるわけでございます。予算面にございます超過供出奨励金の六億七千五百万円は、これは二十八年産米で四月以降に買入れるものを二十五万石と、その当時予定いたしまして、その分だけを計上いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/9
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010・土田國太郎
○土田國太郎君 先ほど伺つた二十九年度の食糧政策のうち、かように解釈してよろしいのですか。平年作と見て二千七百万石を買入れる、そのほかに輸入を百十四万五千トンですか、その二つを以て本年に充てるということに了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/10
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011・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 国内産につきましては、只今申上げましたように、二十八年産米につきましては大体二十八会計年度中に大部分を買入れる予定で立てまして、二十五万石分だけこの四月以降にずれる、こう考えているわけであります。従いまして国内産米につきましては、二十九年産米につきましても二千七百万石のうち二十五万石は同様に三十会計年度にずれるということになつておりますので、二千七百万石の買入れということになつておるわけでございます。ただ輸入食糧につきましては、具体的に、二十九米穀年度におきまする後半期の所要量と、それから三十米穀年度におきまする需給計画のうちの前半の分、つまり十一月から三月分に所要するものを合せまして、百十四万五千トンという買入れということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/11
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012・小林政夫
○小林政夫君 予算では、米価というものを、二十八会計年度においては大体七千七百円であつたものが、今度は八千七百九十五円と見ておる。二十八年度は減収加算金その他を含んで八千二百円である、それがこの説明書によると八千七百九十五円になつておるわけですが、これはどういうわけでそういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/12
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013・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この国内の買入れ費は二十九年産米の買入れ予定価格でございまして、それは義務供出と超過供出との割合を、先ほど申上げましたように二千三百万石と四百万石、細かく申上げますと四百二十二万石が超過供出になるわけでございますが、これの部分につきましては現在と同じ超過供出価格、こういうことにいたしておりますので、これを全体的に引延ばしまして、七千七百円の基本価格、完遂奨励金、先般の完遂奨励金の分が石八百円でございますがこれを全体にならしますと六百七十六円になります。超過供出奨励金の分が全体にならしますと四百十九円であります。この合計を買入れ価格として計上いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/13
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014・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、簡単に言うと、二十八会計年度に比べて二十九会計年度が超過供出奨励金等を出すに該当するものが比重が多いから、単価が上るということなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/14
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015・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) むしろ逆に、二十八年産米の集荷数量と二十九年産米の集荷数量では、二十九年産米の集荷数量のほうが多いのでございますから、超過供出奨励金を全数量で平均して計上いたしまする関係上、むしろ超過供出奨励金は、石当りの額は同様でございましても、単価当りといたしましては減収の形になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/15
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016・小林政夫
○小林政夫君 それだつたら、予算の説明書の三十二ページに書いてある米の石当りの単価というものが、減収加算金まで入れて二十八年度は八千二百円であるにもかかわらず、二十九年度は八千七百九十五円というのがおかしいんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/16
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017・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。二十八年度におきまする八千二百円と申しまするのは、基本価格の七千七百円に減収加算の五百円を入れたものが八千二百円ということで、超過供出奨励金は別になつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/17
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018・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、超過供出奨励金と八千二百円は別になつておる、八千七百九十五円のほうは含まれておる、こういうことですね。そうすると、食管のほうの予算はそういうふうにして組まれておる。ところが税収見積りのほうは七千七百円の米価で農業所得というものは計算されておる。従つて二十八年度と二十九年度との米価を比較した場合に九四%という米価で税収見積りの基礎としている。この点については食糧庁長官としてはどういうふうに考えておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/18
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019・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 米価の問題につきましては、実は二十九年産米につきましては、そのときの作況もございますし、又そのときのパリテイの関係もございますので、具体的に二十九年産米の米価というものを現在予算編成時期におきまして確定し得るということは困難でございますので、従前もさようでございまするが、大体前年度の状態をそのまま踏襲するという建前でいたしておるわけでございます。従いまして基本価格といたしましては七千七百円を考えざるを得ない。で、超過供出奨励金その他の奨励金につきましては、御承知のように特別の法律で以て免税になつているわけでございます。従いまして、通常の作柄でございますると減収加算ということは考えられぬわけでございますが、税収の関係におきましては基本価格に対する税収を考えられるのではなかろうか。この基本価格につきましては、現在二十八年度の制度をそのまま踏襲いたして考えて参りますると、パリテイ等の状態がわかりませんから七千七百円ということの現状を計上いたしておりますので、その点においては齟齬はないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/19
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020・小林政夫
○小林政夫君 これは主税局等の見積りだと、一応まあ固く、絶対取りはぐれがない。簡単に言うと取りはぐれがない。これよりも税収が下ることはないという固めに押えてそういうふうにやつたんだということですが、私は税法上から考えて、ああいつた特別奨励金等を全額減税にすることがいいか悪いかということについては、相当検討の余地があると思います。少くとも農家手取りが前年度並みに考えて本年度は八千七百九十五円になると、こういうことであれば、それに対する税法上の措置その他においても、少くとも、どう具体的に決る決らんは別として、八千七百九十五円が七千七百円を超過する分についてはどうするのだという話は、決めて、予算なんというものは出すべきだと思う。その点をあいまいに残しておいて予算審議を求めるということはおかしいのじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/20
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021・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) その点は、只今も申上げましたように、臨時措置の法令で早場奨励金、超過供出奨励金等の奨励金は免税という形になつておるわけでございます。基本価格の七千七百円に対しまして、基本価格分についてのみ所得の計算においては考えると、こういう形になつております。ただ八千二百円のうちに、昨年度は減収加算が五百円ありましたが、これが平年作に戻ると、その必要がないということで七千七百円にいたしております。只今の八千七百九十五円と申しますのは、奨励金を含んだものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/21
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022・小林政夫
○小林政夫君 含んでおるのですから、少くとも免税にするならするで……あれは年度ごとの免税なんですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/22
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023・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この法律は大体先般の改正によりまして、年度を取つて免税という形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/23
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024・小林政夫
○小林政夫君 全部、名前の付くものは免税となつておりましたかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/24
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025・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ちよつとその点、調べますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/25
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026・小林政夫
○小林政夫君 この前、改正して年度を入れたのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/26
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027・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ちよつと今、私、記憶違いがございましたが、二十八年産米ということになつておりますると、そういうことになるかと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/27
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028・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) ちよつと主税局の者が参つておりませんが、大体先ほど小林委員からおつしやいましたように、租税収入の基礎といたしましては、非常に確実な計算で見込んでおるわけでありますが、もとより法律は時限的にできておるのでありますから、これは法律がはつきりいたしませんと、その措置がどうなるか分らないのでありますが、一応のところ私どもとしては確実な基礎で貝込んでおると、こういうふうに御了解を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/28
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029・小林政夫
○小林政夫君 税収見積りの点をいつているわけじやないのですよ。だから私は正示主計局次長に聞いているわけではないので、食糧庁長官に農業政策上においてどうだといつているのです。少くとも成るほど名目価格においては八千七百九十五円というものは、農家手取価格としては同じであつても、今度基礎控除その他の控除が上りますから、前年度並みの免税がなかつたとしても、そういう報奨金等について免税がなかつたとしても、一般的に税をかけられる、二十八年度の税制による税金によるよりは手取りはふえるけれども、各種奨励金が免税措置を受けておつたものがなくなれば手取りは減るのです。それでいいのかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/29
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030・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 食糧政策上、農業政策上の問題に関するお話でございますが、実は二十九年産米の価格につきましては、従来から、その価格の算定方式、現在はパリテイ方式に基いて算定いたしておりまするが、その算定方式及び現在価格構成が各種の奨励金によつて組立てられておつて、手取価格が判明しない、こういうようないろいろな点が各方面から指摘されておるわけでございまして、我々といたしましても二十九年産米の価格の建て方につきましてはいろいろ検討いたしておるわけでございます。で、その価格の建て方と関連いたしまして、只今御指摘の免税の点等につきましても、農業政策の面、食糧管理制度の面、併せて検討いたしたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/30
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031・小林政夫
○小林政夫君 検討するといつたつて、少くともこういう予算を出すときに、それは大蔵当局、主税局とか或いは主計局は蔵入を確実に見るという態度でまだまだ許せるけれども、政府全体として考えて、特に農林当局としては最も問題の米価に関する問題である。而も食糧増産のためにいろんな各種補助金等も出る、或いはというような問題で、農家の手取りがとうなるかという問題は最も基本的な問題なのです。それは特に税法関係でかなり左右される面があるのですけれども、予算書にはつきり、本年度は、各種報奨金は、成るべくそういう積み重ね方式はやめて、基本米価一本で行くのだ、こういう方針を打出しておきながら、それじやもう税金はかかつてもいいのですと、その代り税法上その手取りの減る分は物価も下るだろうというようなことで、実質的な農家所得は前年度と変りがない、或いは殖えます、という、こういう説明をするならまだわかるけれども、その他については未定であつて、而もお聞きしてみると、食糧庁長官自身が時限立法であつたかどうかという記憶がないような状態では、甚だ心もとないじやないか。非常にそういう点がゆるがせにしておいて農業政策というものが立ちますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/31
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032・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、この予算書におきましては、価格の建て方をどうするということはいろいろな点を検討いたさなければなりませんので、買入費として掲げておるわけでございます。その算定の基礎として現状の形を踏襲いたしておるわけでございます。従いまして、この価格自体の形成方式と申しますか、それにつきましては、本年度の作柄の事情、又、食糧管理の点につきましてもいろいろ改善を要する点も指摘されておりまするので、そういうふうな各般の事情と関連いたしまして検討して参りたい。こういう考え方を以ちまして本年度と同様の形を計上いたしたわけでございまして、御指摘のような点は、勿論農業政策上重要な問題でございまするので、その問題と関連して又、米価の形成の方式、それから食糧管理の改善というふうな、そういう面からして、併せて検討いたしたいと、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/32
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033・小林政夫
○小林政夫君 今の食糧管理の方式等について、一応全面的な再検討をすると、これは三党の予算修正の際にも了解事項として挙げられておるようですが、我々も兼ねて従来の通りの体制で行けば食管会計はとてもまかなつて行けなくなるのじやないかということで考えておつたのですが、その抜本的な食糧管理方式の改変ということについて、まだ案が固まつておりませんけれども、方向としてはこういう方向で考えてみたいというお考えがあるのじやないかと思うのですが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/33
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034・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この食糧管理制度につきましては、食糧の需給の面、それから集荷の面、配給の面、まあ価格との関係、財政との関係、非常に広汎な範囲に関連するところが非常に多いわけでございまして、現在食糧対策審議会を設けまして、各方面の御意見も伺つておるわけでございます。現在の食糧対策協議会におきまする問題点は、集荷の面、配給の面、価格構成の面、それからその他財政一般に通ずる関連事項を問題点として整理をいたしておる段階でございまして、更にこの委員会の御審議とも並行して、我々としても関係省なりその他ともいろいろな点において検討する点が多々あるわけでございますので、具体的にこういうふうな方向でということにはまだ固まつておらないことでございまして、各それぞれの点につきまして関連の事項とも関連いたしまして、検討して参りたいということでございますので、まだ基本的にどうするという結論を持つているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/34
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035・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、この食糧管理特別会計の期末の手持食糧が、二十八年度末、即ち本年の三月三十一日末と来年の三月三十一日末においては、これは予想になるのですがこの予算書の通りでやるとして、どういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/35
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036・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 期末の点につきましては、二十八年産米の集荷の状態と、それから二十九年産米、三十米穀年度におきまする状態と、非常に異なつておるわけでございまして、三十米穀年度、本年の二十九年産米の作柄を普通の作柄ということに考えておりまするので、そういう点から考えますると、本年三月末よりも明年三月末の手持ち食糧は増加するというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/36
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037・小林政夫
○小林政夫君 それでは、そういう作柄とか何とかいうことは関係なしに、関係なしということはないのですが、今提案されておる予算書の通りに行つたとして、二十八会計年度末の手持ち食糧の量、従つてそれを現在の簿価で換算し、この予算で見積られておる価格で換算する。そうして二十九年度末のこの予算書で予想されておる手持ち在庫食糧の量とその価格、これは二十八年現在の価格で見積つて……その評価を変えちやいけませんよ。同じ価格で行くとして、どうなるのか。要するに期首在高と期末在高とがどういうふうになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/37
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038・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この二十九年四月の期首の関係は、これは内地玄米につきまして、これは内地玄米、外米、それから農産物等があるわけでございますが、この内容を申上げますると、一例を取つて申上げますると、内地玄米につきましては四月一日の在庫が百七十二万七千トン、こういうふうに押えておるわけでございますが、明年の三月三十一日の在庫でございますると、二百二十万三千トン、かように押えておるわけでございます。それから単価につきましては、現在の簿価は標準原価主義をとつておるわけでございまして、二十九年四月一日の内地玄米について申上げますると、これは買入れ原価主義によりまして、トン当り六万七百九十三円ということになつておるわけでございます。この価格に対しまして、三十年三月三十一日の原価を一応六万七千七百六十円と考えておりまするが、これは売却評価によつておるわけでございます。と申しますのは、先ほども御指摘もございましたが、奨励金等は二十八年度においては別建にいたしておるわけでございまするが、二十九年度におきましては、奨励金等も占めた一つの価格を一応予算上予定いたしておりまするので、その関係上、只今申上げましたような結末になるわけでございます。そのほか、外米、内麦、外麦、それから甜菜糖、甘藷、馬鈴薯というようなものを全部金額換算をいたしますると、二十九年の四月一日におきましては千七百八十八億程度になるわけでございますが、明年におきましては、千八百九十四億程度に推定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/38
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039・小林政夫
○小林政夫君 その二十九年度の期首と期末との、今、内地玄米についての単価のお話がありましたが、輸入食糧等についてはやはり同じ価格で計算をしてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/39
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040・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 輸入食糧につきましても、現在の売却価格と手持ちの評価との問題でございますが、つまり売却価格の場合におきましては違いがございませんが、輸入食糧の値下りがございますると、値下りと申しますか、買入の外国食糧が値下りいたしたために、買入れ原価が低くなりますると、おのずから年度末におきまする評価を、原則として原価主義によつてやつておりますので、その点での違いが起つて参ろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/40
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041・小林政夫
○小林政夫君 今の内地玄米についての期首期末の単価の違いというのが、各種報奨金の入れ方によつた違いだというふうに聞いたわけですが、この期首の六万七百九十三円、期末の六万七千七百六十円、トン当り七千円違う。そうすると、石に直すと約千円ぐらい違うわけですが、そういう各種報奨金を期首の内地玄米の単価には当然織込んで然るべきだと思うのだけれども、どうして織込まないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/41
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042・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) これは経理上の操作の問題でございますが、一応在庫の評価といたしましては、売却価格で評価いたしまする場合と、買入れ原価で評価いたしまする場合と、二通りのやり方があると思いますが、一応昨年度から買入原価で評価するという建て方をとりまして、一方におきまして、損益計算におきましては、そういう奨励金等も別の形で、在庫の評価としてではなくて、別の形で計上するという形にいたしておりまして、在庫評価にそれを一本価格でしないという形にいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/42
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043・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、報奨金等は、集荷費用というか、むしろ管理費用的なものに見て、経理上そう見ているということですか。そうだと厳密な資産比較はできないが、私が今お尋ねしたゆえんは、二十九年度においては可成り資産の食いつぶしをやるんじやないかということを見たかつたわけです。従つて今の数字だけではそういうことの比較にはならないのであります。それでは、その点は又後日お尋ねするとして、予算で予定された二十九年度の百三十一億六千二百万円の欠損、及びこの予算書における二十八年度の欠損の八十九億八千四百万円、合計二百二十億という欠損はどうするつもりなんですか。主計局のほうと両方でお答え願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/43
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044・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 先ず前年度よりの繰越し損失でございますが、この八十九億の損失、これは予定損失でございますが、これは実は形式上の損益になつておりまして、食糧特別会計におきましては百億の予備費があるわけでございます。予備費を一応損失に立てておりますので、従いまして二十八会計年度におきまする損益におきましても、百億の予備費が、現実に使つておりませんけれども、一応予定損益といたしましては支出の面に立てておりまするので、その分が支出されないが形式上支出される形になつております。それが損失に立つわけであります。従いまして実質的な形から申上げますると、百億と八十九億との差額の約十一億ぐらいが現実の決算といたしましては繰越し益として出て来るわけでございます。それから本年度におきましても同様に百億の予備費がこの百三十一億の中に入つておるわけであります。で、本年度におきまする百三十一億の損失のうちで百億は、これは予備費の関係から参つておるわけでございます。それから、あとの三十一億につきましても、実質上これは損失にはなりませんで、食糧特別会計におきましても、一般的に砕米等に対する売却或いは延納金利等の収入、こういうものが雑収入として掲げて入つて参るわけでございますが、これが今後の実施上の面からいたしまして明確な予定が立つておりませんので、そういう面からいたしまして補つて参りたい。と申しますのは、一応現在の食糧特別会計の麦の点につきまして、二十八年度におきまする麦の買入価格、それから売渡価格ということをそのまま踏襲いたしておるわけでございます。これは御承知のように、麦につきましても、食糧管理法に基きまして、それぞれの価格の算定の方式がございまするが、一応予算面におきましては、パリテイ等も五月のパリテイも見当がつきませんし、又、作柄等も明確でございませんので、前年度の買入れ価格、売渡し価格を想定いたしますし、又同時に買入れ数量等につきましても、前年度と同様の数量を計上いたしておるわけであります。従いまして、それからいたしますると、形式上その間におきまして、買入れ数量の高にもよりまするが、前年度通りといたしますると、二十五億ほどの欠損が出て来る見込みになるわけでございますが、これはその額が決定いたしませんのと、同時に、先ほど申上げました雑収入によりまして実際上は損失を生じないように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/44
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045・小林政夫
○小林政夫君 そうすると、おつしやる趣旨は、二十九年度の特別会計は予定損益計算書であつて、而も二十八年度もまた決算をしてない。予定損益計算に基いておる。そこで予備費百億が両年度において二百億になる。従つて合計二百二十億の一応欠損ということにはなるけれども、実際には二百二十億マイナス二百億で、二十億ぐらいの赤字だ。これはなんとかやれるんだ。こういう御答弁と了解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/45
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046・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 大体さようでございますが、あとの予備費のほかのもの以外のものは、先ほど申上げました麦の関係でございます。麦の関係は政府の買入れ数量如何によつて、非常に変動いたすわけでございます。先ほど申上げました砕米等の関係、延納等の関係によつて、大体その収支が合うという見込みでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/46
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047・小林政夫
○小林政夫君 一応これで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/47
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048・藤野繁雄
○藤野繁雄君 新聞や何やで配給辞退が大分多いという話でありますが、配給辞退は外米のみでありますか。或いは内地米の配給辞退もありますか。又、内地米の配給辞退があるとしたならば、その数量はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/48
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049・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 本年度に入りまして、十一月から二月までの状態を調べたわけでございますが、配給辞退か大体六万トン程度になつておるのでございます。そのうち大部分が外米でございまして、極く少量内地米があるわけでございます。この配給辞退は、御承知のように農家配給も転落農家につきまして配給いたしておりますので、東北地方において幾分そういう状態が見られるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/49
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050・藤野繁雄
○藤野繁雄君 そうすると、東北地方においては内地米の配給辞退も幾分ある。内地米の配給辞退が幾分あるということは、農家が購入ができないからという意味でございますか。或いは何かそこに理由があるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/50
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051・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この配給辞退の原因は、いろいろ調べておるわけでございますが、御承知のように我々といたしましては、農家配給等につきましても、その生産状況からいたしまして、転落農家が保有米を食つたあとは配給をしなければならんということになる。この時期等につきまして、具体的にいろいろ県当局と打合せて計画を立てるわけでございますが、その後の生産の回復等もございましようし、各種の事情で、そういう面におきまする配給の辞退も考えられます。と同時に、東北地方におきまして、特に農村に接着いたしました地域におきまする消費者等におきましても、親戚等の関係、いろいろな関係事情がございまして、配給辞退が起つているのが極く少量あるわけでございます。この原因は、非常に農家が苦しい場合、或いは消費者が苦しい場合というふうな関係よりも、いろんな事情があると思つております。その内容の内訳につきまして、どういう原因で配給辞退が起つたかということにつきましては、詳細にまだ調べておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/51
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052・藤野繁雄
○藤野繁雄君 今、政府で決定しておられるところの米食率を考えて見ますと、或る地方は二十一日であるし、或る地方は例えば十八日である。或る地方は例えば内地米が七日である。こういうふうに米食率が非常に異なつているということはどうも面白くないような感じがするのでありますが、最近の国際収支改善に関する総合政策というようなものを検討しておられるようでありますが、経審の成案によつて見ますると、配給率というものは、米食率というものは全国同一にすべきである、こういうふうな方針をとつておられるようでありますが、現在の内地米の区々であるところの配給率、特に七日と二十一日というふうな極端な配給率を変えて、七日というようなものは、或いは八日或いは九日というようなことにするような御意思はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/52
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053・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、方向といたしまして消費者に対する関係におきましての配給をできるだけ均衡を図りたいということは考えておるわけでございますが、これは藤野委員も御承知のように、県内におきまするそれぞれの個人的関係が相当あるわけでございまして、この集荷の面からいたしますると、そういう方面に主として、これは生産地で、集荷なり、或いは県外に搬出する量の多い県が配給日数が多い形になつておりますが、これを切下げますと同時に、それが供出の面に響く点も非常に問題があるわけでございまして、我々としてもその供出面と睨んで慎重に対処しなければならんということを考えておるわけでございまして、御趣旨の点はそういう方向にあるべきだということは我々も考えておるわけでございますが、具体的にこれをどういうふうに推し進めて参るかということになりますると、供出の関係とも関連して考えて参らなければならん。同時に、その地帯は主として単作地帯でございますので、麦の農家消費の問題、或いは消費者に対する麦の供給というふうな面とも関連いたしまして検討して参らなければならないと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/53
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054・藤野繁雄
○藤野繁雄君 この今度の改正では、検査の問題で、農産物検査印紙ですね。こういうようなもので納入させるということになつておりまして、今資料として配付されました農産物検査法の一部を改正する法律案の提案理由によつて見ますると、第二のところで農産物検査印紙の売捌き人を選定するということになつておりますが、どういうふうな者を売捌き人に選定せられる御方針でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/54
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055・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 従来収入印紙で検査料を納付せしめておりましたのを、特定の証紙で納付せしめることにいたしましたのは、これは検査の関係と検査を円滑に遂行して行くという立場から、そういうふうにいたしたわけでございます。従いまして、この趣旨からいたしまして、検査に最も関心を持ち、それから米の集荷なり供出に関係のある所がそういうものを取扱うことが最も望ましいわけでございますので、我々といたしましては、末端におきまして、主として農協系統関係、農業協同組合等がこれを取扱うことが適当ではないかと考えております。ただ従来収入印紙を取扱つておりまする販売店等もその希望があり、同時にその地域等によりまして、そういうものも併せて考えて参つたらどうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/55
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056・野溝勝
○野溝勝君 只今議題になつています食管特別会計一部改正法律案でございますが、これは主に農産物の検査売渡し代金等々を中心にしての改正法案でございますが、特に食管特別会計法は食糧全体に関連を持つておりますので私はこの際、輸入食糧の点について少しお伺いをしてみたいと思います。この輸入食糧でございますが、政府当局の食糧行政がまつたく私にはわからんのであります。と申すのは、一体、昭和二十八年度の食糧の供出状態及び輸入食糧等を入れた総合供給の状態、こういう点が毎日々々の新聞に変つて来るんだね。それは私は、米という字は八十八という字を書くから、複雑なことはよくわかつているのだが、併しその都度その都度、こう需給の状態が変つたんでは、誠に不安でたまらんと思う。ところが最近食糧行政を見ると、何だか米が余つてでもいるかのごとく、輸入食糧のほうの金は削つてしまい、輸入食糧のほうの金を削るかと思うと、今度はそれじや国内の食糧増産にでも予算が殖えておるかと思うと、これも又、削つておる。一体どこから、猿飛佐助や霧隠才蔵じやあるまいし、どんな忍術で米ができるのか、さつぱりわからん。はてな、おかしいなと思つていると、今度は人造米、その人造米の会社を作つて、周東英雄、安本長官だかアンポンタン長官だか知らんけれども、それを社長にして政府が助成して行くという。今度はそれがどこかに消えてしまう。実際こんな不可解な食糧行政はないと思う。特に前谷食糧庁長官などは誠実な人でございまして、最近食糧庁長官になつたばかりでございますから、こういうことは余り言うのもどうかと思うのですが、そうかといつて保利茂君に言つてみたところでアンポンタンでわからんし、事務当局のあなたが一番おわかりになると思う、手ごたえがあると思うので、申上げるのでございますが、一体、最近の食糧の需給状態をこの際お聞かせ願いたい、輸入食糧も併せまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/56
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057・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 只今の野溝先生の、食糧需給計画がその都度いろいろ変更があると、こういう御忠告でありますが、我々といたしましては、二十九米穀年度につきましては当初いろいろ検討いたしまして計画を立てたわけでございます。この計画に基きまして二十九米穀年度はこれを遂行して参つておるわけでございます。で、二十九米穀年度におきまする需給計画は、御承知のように、内地米の収買を二千百万石、それから外米の輸入を百五十三万トン、こういうふうに押えまして、そして計画を立てまして、これに基きましてその目標を達成するように努力いたしておるわけでございます。ただ内地米につきましてはまだその目標額に達しておらないわけでございますが、これは府県別にそれぞれこれに達成いたしまするように目標を立てまして、府県当局の御協力を得てこれに邁進いたしておるわけでございます。輸入計画につきましては、この既定の百五十三万トンに対しまして、二十八会計年度の下期、つまり十一月から三月までの状態といたしましては、百十万トンを到着せしめるように計画をいたしておるわけであります。その残りのものにつきまして、二十九会計年度の上期におきましてその残量を到着せしめる、こういう形で計画を進めておるわけでございまして、大体二十八会計年度の下期、本年三月までの状況から申しますると、既定の計画を遂行し得るというふうに考えておるわけでございます。ただ輸入食糧につきましては、先般も二十九年度におきまする外貨予算と関連していろいろ新聞の紙上にも数量が出ておるわけでございますが、我々といたしましては、この点につきましてはまだ目下いろいろ細目は検討いたしておりまするが、二十九会計年度におきまする到着の百十四万五千トンはこれは確保できる。ただ二十八年度に買付けまして二十九年度にずれて到着するものが相当ございます。同時に二十九会計年度末、つまり三十年の四月以降にずれ込むものもあるわけでございまして、その両者を考えまして、計画といたしましては、到着を考えて、到着は既定計画通りにいたしまするが、外貨予算の買付方法としては、そこに最近の外国の食糧事情と関連いたしまして、買付の時期等につきまして変更訂正する余地はあると、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/57
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058・野溝勝
○野溝勝君 こういうお話は、もうすでに三百万トンの輸入計画などを立てる当初から絶えず間違いないと言つて来ておることなんでして、もう政府の言うことに対して、私は実際遺憾ながら信頼しかねておるわけです。政府の信頼のないということは、国民の危機だと思つている。特に最近のような汚職、疑獄のこういう事件が連発すれば、政府の言うことなどはより一層信頼ができない。だから大臣の言うことを聞くよりは、あなたのほうがまだ正直だと思つて、私はあなたに聞いておる。ところが今のお話では、百五、六十万トンの輸入を確保できる。それは予定期日の通りには行かんか知らんが、年度、或いは時期が少しずれるかも知れない、併しそれは間違いはないというようなことを言つておるが、実際問題としてすでに六百万石近くの食糧不足を見越しての一応の案を立てられまして、更にそれを成るべく幅を狭めるために供出に努力をされておるが、今御答弁のありましたごとく、国内の供出状況なども予定通りに行かない。状態なんです。そういうときに、今のような大幅に輸入を減じて、それで操作ができるという見込なんですか。若し操作ができるとすれば、一体一人当りどのくらいな配給量を確保して行くという予定なんですか。更にこの米食と粉食並びに麦食、これらをどういうふうにして行くつもりなのか。そういう最後の最後まで最悪の事態に処する食糧の配給行政に対する見解を持つていられると思いますが、第一次でも、第二次でも結構ですから、この際、発表して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/58
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059・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 外米の輸入につきましては、先ほど申し上げましたように、今年度におきまする到着といたしましては百十四万五千トンのこの予算で御審議願つておりまする計画を達成できるというふうに考えておるわけでございます。ただこの到着は、先ほども申上げましたように、二十八年度に買付けましたもので二十九会計年度にずれ込みまするものが三十六万トン程度ございます。従いまして、このずれ込みと、年度内に外貨がつきましてそれから年度内に到着するものとの見込を立てまして、そうしてその見込からいたしまして百十四万五千トンは、これは確保できる、こういう見通しを立てておるわけでございます。ただ外貨の場合におきましては、買付の関係でございまするので、本年度において幾ら買付けるかということは、明年度の四月以降に幾らずれるかという、いわゆるスリツページとの関連性において外貨の状態がきまりますので、到着ベースとそれから買付ベースとはそこに違いがあるわけでございます。我々としては飽くまでも食糧需給の建前からいたしまして到着ベースを以て考えておりますので、この到着べースによりまする輸入計画は、これは達成し得るというふうに考えておるわけでございます。それから配給量の点につきましては、二十九年産米の作況がまだ全然わからないわけでございますが、二十九米穀年度、つまり本年の十月末までにおきましては、現在の消費地におきまする十五日の配給はこれを確保して参りたい、又、内地米につきましては、御指摘のように、まだ目標に達しておりませんが、各府県の当局に御協力を願い、そうして大体今の各府県との打合せにおきましては、各府県別に供出と申しますか、集荷と申しますか、その供給の面を計画いたしまして、それから需給の面とも噛み合せをいたしまして、現在におきましては各府県に一定の収買の目標を示しまして需給計画を組んでおるわけでございます。各府県もその点については責任を持つて遂行するということになつておりまするから、消費地におきまする十五日配給はやつて行き得るというふうに考えておるわけでございます。ただ大きな問題といたしまして、粉食なり、食生活改善という意味で、麦食についてどういうふうにやるかというお尋ねでございますが、米の国内における生産、需給の状態からいたしまして、どうしても半月は麦で補わなければならない状態になつておりまするので、麦の点につきましては、国内の集荷は御承知のように無制限買入れをやつておるわけでございますが、この買入量と、それから外麦の輸入によりまして、需給の計画を立てて、その計画に基きまして現在実施中でございまするが、この麦の消費につきましては、だんだんに粉食なり、麦食の方向が進んで参つておりますので、これを方向といたしまして押進めて参りたい。ただ消費につきましては、上からこれだけを食えと言うわけではございませんで、消費が粉食にだんだん転化するに従いまして、米麦合せての需給計画を進めて参りたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/59
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060・野溝勝
○野溝勝君 そこで前谷さんにお伺いするのですが、あなたの何と言いますか、大きな柱と言うか、考え方は、それは結構ですが、私の言うのはそういう意味じやないのです。あなたのほうは今やはりMSAの協定によつて大体一千万ドルの余剰米、余剰米と言うか、余剰農産物が約束されておるというようなことで、食糧行政に対する安心感が出て来たのじやないかと思うのです、私は。それは非常に不安だと思う。実際それはここに大蔵省の主計局次長も来ておられるようですが、これは大蔵省と池田勇人との間における自由党の犠牲になつておる。なぜかと言うと、大いにドルが大事であるからドルを出しちやいかん、人間の生きる米の買入れまでも押えている、こういう状態なんです。これは丁度主計局次長がいていい塩梅だ。これは特に高等政策だから、君らは事務的なものだから、やつて来られると仕方がないというので、自由党あたりが吉田と池田が話をし合つて、大蔵省の官吏に睨みが利いておるところから、そこで諸君らと話せば、どうしても再軍備の予算は削るわけにいかん、どこにしわを寄せたらいいか、結局ドルは再軍備のものを買入れる以外には殆んど出せないというようなところから、こういうところにしわ寄せられて来て、そこで外米などの買入れはなるべく少くしようということなんだ。結局大幅に補給金の削減をやつている。一体、補給金の削減ですけれども、補給金をこれだけ削減してなお且つ百十四万五千トンぐらいの輸入食糧によつて、今日までの食糧需給の問題の解決がなし得ると見込んでおる前谷食糧長官は、私は余りに楽観じやないかと思うのです。すでに国内の割当をどのくらいやつて、その割当がどのくらい解決しているか、今日までの成績を一つ知らせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/60
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061・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 現在までの国内の買入れは、三月二十日現在で千九百七十五万石でございます。これは先ほども申上げましたように、目標額に対しては百万石以上の不足になつておりまするが、この点につきましては、先ほども申上げましたように、府県当局とそれぞれ目標額をきめまして、そうして府県当局におきましてもこれの買入れにつきまして、府県の需給とも非常に関連がありまするので、責任を以て一つ遂行するようにお願いをいたしておるわけでございまして、現状は目標額に行つておりませんが、過去におきましても三月以降におきまして百万石以上の買入れがあるわけでございますので、是非一つ今後府県の当局及び農業団体等にも御協力を得てこの計画達成に努めたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/61
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062・野溝勝
○野溝勝君 今の御答弁がありましたように、とにかく今のところ三月二十日までです。最近において千九百七十五万右、目標額より、目標額よりと言いますが、その目標額というのはすでに毎年の大体供出量よりはぐうつと下目に見ているわけです。去年は冷害或いは水害、そういうものがあるから当然だと思う。併しその目標額を、ぐうつと下に見ておつて、それにまだ達しないという状態でありますから、更にこれは端境期になつて参りますならば、より一層飯米農家は殆んど売るものがありませんから、勢い予想よりは非常な窮迫を告げて来ると思うのでございます。そういうような事情を考慮して、特に前谷長官はその間の心配をして、非常に食糧輸入について大きな手を打とうという努力をしておつたわけなんです。ところがその努力が意外に違い過ぎておるんだ。補給金などについても三百億からの前年度のやつが三分の一くらいだね、今年は。こういうようなことで私はこの端境期を前に控えて非常に不安があるのです。そういう点について先ほど長官は、今までの分を踏襲して行くことはできると思う。そのほかに、米食のほかに粉食乃至は麦食等々を奨励してこの欠陥を補つて行くつもりである、こういうお話でございますが、これ又、麦のほうにおきましては御承知のごとくなかなか消化が困難のようであります。そこへ持つて行つて今日、麦の精麦工場などは開店休業の状態です。こういうことをしたのでは、いざ何かのシヨツクがあつた場合に、大きく食糧行政が大混乱を起すと思うのでございます。で、アメリカから来るMSAの農産物一千万ドルの問題も、余剰米であるから大体大丈夫とは思いますが、これもなかなか容易でない。併しそれが来ても日本の食糧需給は私は解決したとは言えないと思うのでございます。そういうような点について一体、長官はもつと具体的に、例えば補給金の問題はこういうふうに努力したけれども、こういう見解であるから、この程度で収めた。更に主食、米食の問題について不安がある場合は、粉食、麦食をやるけれども、それは特に今のところ麦食等におけるところの工場は開店休業で潰れそこなつておる、こういう事態に対してはどういう手を打つて食糧行政の欠陥を補つて行くつもりであるというようなことの安心感を、この際一つお示し願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/62
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063・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 輸入補給金の問題でございますが、輸入補給金につきましては予算の点で御説明申上げたかと思いますが、米が百十四万五千トン、大麦が百三万三千トン小麦が百九十六万三千トンというふうな計画をもちまして、ただ米は昨年二十八会計年度におきましては百四十五万六千トンと予定いたしたわけでございますが、これは昨年の不作の関係でございまして、本年が平均に参りますればこの百十四万五千トンで需給関係におきましては不安がないわけでございますが、輸入補給金の減少は主として単価の減少でございまして、大麦等におきましては、昨年の八十五万トンに対して本年は百三万トンというふうな増加の輸入を計画いたしておるわけでございますが、全体的に国際的な市価が下りましたために、その関連上からいたしまして補給金が不必要になつたわけでございます。特に小麦等におきましても、昨年度におきましては補給金を必要といたしたわけでございますが、二十九年度におきましてはむしろ米の補給金の一部を持ち得るというふうな形になつておるわけでございます。従いまして補給金の面につきまして既定の計画を遂行し得るのには不足はないというふうに考えておるわけでございますが、輸入の状況は、我々といたしましても当初計画いたしました百五十三万トンを遂行できるというふうに考えておりまするのは、三月までにおきまして大体百十万トン程度の輸入の目安が付いておりまするので、四月以降十月までの間にはその残量を輸入し得られますると予定の需給計画が達成し得ると、こういうふうに考えておるわけでございます。
只今野溝先生の御指摘の差に対する対策の問題は、小麦或いは精麦の消費が昨年の秋に比べまして現在幾分頭打ちの状況を呈しておるということは御指摘の通りでございますが、これに対しましては、まあそれぞれ冬場におきましては或る程度消費が頭打ちするというのは従前の傾向でございまして、四月以降におきまして精麦等がだんだん消費が伸びる。又、製粉等におきましては、相当の消費が夏場から秋にかけての消費が増加する。従来の実績を振返つてみまするとそういう傾向を辿つておるわけでございまして、二十八年度と二十七年度と比較いたしますると、精麦等も十数万トンの消費増になつておりまするし、又、製粉等においてもほぼ同様のものが具体的な実績においては消費が増加いたしております。
従いましてこの傾向を十分助長をいたして参りたいというふうに考えておりますが、具体的な各それぞれの企業につきましては、我々といたしましてもこれが重要な食糧に関係いたしておりまする企業でございまするので、できる限りの助力はいたして参りたい。特に食糧庁といたしましては、原料の払下げ等につきましては、工場の実態に即しまして、消費の実態に即しまして、そういう払下げる数量等も考えて参つておるわけでございまして、できる限りこれに対しましまする助長と申しますか応援を考えて参りたいという工合に考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/63
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064・野溝勝
○野溝勝君 だんだんと食糧行政に対する気持がわかつて参つたんですが、そこで、いわゆる主食と粉食或いは麦食等の問題に対する関連の御意見でございますが、需要者に強制的にこれこれを食わなければならんということは言えないということをおつしやつておりますが、それは私もそうだと思うのです。併し今日、主婦会あたりが中心になりまして、或いは婦人団体あたりが中心になり、或いはその他いろいろな食糧問題に心配を持つておる方々が心配をいたしまして、むしろ米の値上げということに反対すると同時に、食生活の改善運動というものを、電車のビラ、ポスター等でどんどん見るのでございます。私はこの自発的にやつている婦人の方々には非常に敬意を表し、我々も感謝するのでございますが、下からこういう運動が燃え上つておるときに、この際こそ相呼応してこの認識の強化に努めなければならないと思うのです。こういう点について長官はこの事業団体と一層相談をいたしまして、食糧問題に対して不安のないように、不安であるということはやはり米価の値上げというようなことに又ならんとも限らん。だからそういうような点を考案して、今後具体的にそれらと連関を持つてやる気があるかどうか、この点が一つ。
それからもう一つは、今この麦食或いは粉食等についても万遺憾なく助長して行くつもりだと、こういうことですが、開発銀行などの利用度を見ますると、農村関係に対する利用度が非常に少い。特定の重要産業といいましようか、そういう方面に利用され、農村方面に対する利用度が非常に少いのはどういうわけか。私は更に特に麦などについても徹底的に奨励するならば、麦の優秀なる加工工場などを作るために、この方面に対する枠を、開発銀行あたりから農林省の事業に対する枠を私は慫慂して然るべきものだと思うが、これに対する見解はどうか。
それから主計局次長に対する質問といたしましては、一体、補給金を少くしてこれで今後の食糧行政に対する責任を負えるかどうか、この一点。これを一つお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/64
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065・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 食生活改善につきまして、特に民間の団体におきましてそれぞれ機運が盛り上つておるから、それに対して協力する意思があるかということでありますが、勿論、私は食生活改善につきましては、民間のそういう盛り上る熱意によつてこれが達成されるものだというふうに考えておるわけでございます。で、最近におきましてこの食生活改善に関する各種の団体が集りまして、食生活の改善の団体もできたようでございまして、この団体は最近におきまして、食生活改善につきましての、粉食を含んだ麦食につきましての展示会等もやつておるわけでございます。東京においても最近行われることだと思つております。こういう面に対しましては、我々はできる限りの応援をいたしておるわけでございまして、御指摘のように、この食生活改善の問題は民間の御協力を願わなければ達成できない問題でございますから、そういう方向で一つ考えて参りたいというふうに考えております。
それから開発銀行の問題につきましては、御承知のように開発銀行は、全体的に枠というふうなものは、特定の産業を除いてはないわけでございまして、我々といたしましてもこの開発銀行、それから中小企業金融公庫というものに対しまする食料品工業と申しますか、そういうものにつきましての合理化等につきましては、それぞれそれを対象のものといたしまして、融資の対象になり得るように措置いたしておるわけでございますが、これは具体的に政府が決定して貸付けるわけではないのでございまして、それぞれ金融的なベースからいたしまして貸付が行われるわけでございまして、ただその対象品目といたしましては食料品工業もその中に入つておるわけでございます。ただこれは野溝先生も御承知のように、食料品工業は能力的には相当余つておると申しますか、能力的には現在の需要を十分充たし得る形になつております。その能力を増加するという面よりも、まあ合理化という面に主力を注いで行きたいという考え方で、現在までやつて参つたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/65
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066・正示啓次郎
○政府委員(正示啓次郎君) お答え申上げます。先ほど来、食糧の需給確保につきまして、いろいろ御指摘の点につきましては、私どもも同じように心配をいたしておるわけでございまして、決して食糧問題を等閑に付し、補給金を予算を圧縮するために削つたというふうなことはないのであります。これはもう非常に重要な経費であることは申すまでもございません。ただ昨年は大変この災害、或いは冷害等の関係で国内の食糧関係は逼迫いたしておつたのでございますが、この点につきましては、私どもは食糧増産費等におきましても、二十九年度は或る程度の増額をいたしております。又、先ほど食糧庁長官からお話がございましたように、国内の食糧関係は非常に窮屈でございましたが、幸い海外の食糧関係は比較的私のほうに有利に展開いたしておつたような関係もございまして、輸入単価等の関係で食糧補給金が相当額減少を見ておるのであります。私どもはこの食糧の需給計画を作成いたしますにつきましては、只今までいろいろお話のございましたように、国内の食糧の確保並びに粉食奨励その他の施策も併せ考えまして、この食生活改善等につきまして、或る程度の新らしい補助金等も計上いたしたような次第であります。輸入食糧につきましては、諸般の情勢から或る程度の減少を見ておりますが、これは我が国の当面の食糧の需給を確保するために必要なる最小限度のものは計上しておる、こういうように考えておるのであります。これによりましては食生活の確保に支障なきものと考えまして予算を提出しておる次第でございますから、御了承を賜わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/66
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067・野溝勝
○野溝勝君 前谷長官にもう一つだけお尋ねして打切るのでございますが、一体、先ほど言う通り、開発銀行の農村工業その他農産加工等に対する融資が、如何にもその開発銀行の一方的な見解によつて処理されるようなふうに解釈しておるらしいのですけれども、私はそれは誤まりだと思うのです。私は開発銀行が、大体において重要産業の中の重要産業、私は超越した重要産業だと思う。それに対していつも農村産業というものは圧迫されておるのです。開発銀行の融資関係の内容を見てごらんなさい。だからむしろこういう食糧危機の不安を解消するためにも、私はこの加工に対するところの融資ということは徹底的にしなければならんと思うのです。例えば私は予言しておきますけれども、この四月から麦には私は食糧の大きな問題が起つて来ると思う。それは何といつても端境期になつてくればとんでもないことになるんですよ。だから、そういう点から考えても、万遺憾なきを期するには、皆、産業関係人、例えば農民に対する食糧増産に対する熱意、それから加工業者の協力、こういうのが全体において一貫して行かなければ食糧の危機を切抜けることはできないと考えておるのです。でありますから、お互いが食糧の行政についてはよくわかつているわけなんです。それだけに、心配する。この際、本委員会において強く要望のあつたこの見解を、あなたから開発銀行に伝えてもらいたい。強く要望があるならば、開発銀行でも、農村方面からの特に要請があるならば考える用意があると言つているのです。そういうことを言つているのに、こちらのほうから、この問題に対してまだまだと言つているようなことでは、これは問題にならんので、そこで私はこの問題を本委員会を通して要望して置くのでありますから、この点に対する御回答を願いたい。
それからもう一点、食管特別会計で何ほど各商社に今まで補つておつたか。この額をここで各商社ごとに示してもらいたい。この二点を一つお伺いしておきます。先ず最初に第一点に対するあなたの御決意をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/67
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068・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 只今御指摘のように、我々といたしましては、米麦合せまして主食の需給をいたしておるわけでございます。米の場合におきましては、大体原形で、搗精すれば消費ができるわけでございますが、麦の場合におきましてはどうしても加工工程を経なければならない。この加工の状態がうまく参りませんと、食糧需給にも影響いたすわけでございますので、この点につきしましては、我々も従来の能力等も考えまして、慎重に対処いたしておるわけでございますが、御指摘のような点につきましては、更に十分検討いたしまして、できるだけ努力いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
それから商社の問題は、実は私ちよつと御質問の趣旨が汲みとれなかつたわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/68
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069・野溝勝
○野溝勝君 こういうことをお聞きするつもりだつたのです。例えば商社は、昨年末思惑をやつて損をしたわけです。結局その損失に対して食糧特別会計で埋めたということがあつたわけであります。併しそれはどういう形で埋めたか、その点をお伺いしたい。それが埋めたとするならば、そういう商社に幾ら幾ら出したかという点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/69
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070・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 食糧特別会計は御承知のように、買入、売却の会計でございまするので、商社に対して特別にそれを助成する或いは補助金を交付するというふうなことはやつておらないわけでございまして、商社の損失を食管特別会計でカバーするというふうなことはいたしておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/70
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071・野溝勝
○野溝勝君 こういう場合はどうなんですか。勿論、食管が商社に助成をするということはできないと思いますが、こういうことが伝えられておるんではないですか。例えば海外で買付ける、この時に商社を通しますね。商社を通しますよ、政府が直接商売人じやないから。その買付が比較的先高を見込んで御承知のごとく去年は買込んだわけです。そうして商社が全体において少し損をしたわけだね。そのときに比較的高いものを日本政府では買入れた。その場合は私はあり得ると思うのです。そういう割合に高いものを買入れることはあり得ると思う。日本の食糧需給の関係から見て、少しぐらい高いものを買入れたということはあり得ると思う。そういうことがあつたかどうかということを私はお伺いするのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/71
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072・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 食糧の買入につきましては大体二通りの方式をとつておるわけでございます。一つはタイとかビルマ等におきましては政府間におきまして数量、価格をきめる場合、それで米につきましては大部分の国は政府間の貿易が主でございます。アメリカその他パキスタン等少数の国が政府間の契約によらないというものがございまするし、又、麦につきましては大部分が政府間の取引によらないで自由に買付けるわけでございますが、買付をいたしまする場合におきましては、食糧庁におきまして入札を実施するわけでございます。入札を実施いたしまして、その入札によりまして買入を大体コミツトいたしますると、それに基きまして外貨の割当を受けるという形になりまして、外貨の割当を受けてから現実に買入れまする場合には、到着いたしました場合におきまして、当初の契約で以て買入れなければならないわけでございます。従いまして、一般民貿の場合におきましては入札制度でやつておるわけでございます。ただ入札制度はその時の市況を反映いたしまして、先高である場合があり先安である場合がある。これはまあ商社のほうの判断でございますが、大体政府間以外は入札制度をとつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/72
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073・野溝勝
○野溝勝君 今日は本会議もあるようでありまするし、あとで農業共済再保険の方の関係もありますので、そのときに併せて関連して質問することにいたしまして、一応質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/73
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074・堀木鎌三
○堀木鎌三君 前谷君に一つ伺いたい。今質疑を聞いていて承つておきたいことがある。それはまあ民間に代用食についての非常に協力団体ができた。それが厚生省及び農林省関係でおのおのが出て来たということについて、無論おのおのの使命はあるだろうが、国民に向つて運動を展開するときには、両省が一つのごとき見解で以て行くべきであるという点について、両省の協力関係がどうなつておるかということが一つ。それから彼らが運動するときに一番問題になるのは、代用食が値が上つてしまうということです。これじや奨励も糞もなくなつて来る、現に「うどん」なんか最近上つておる。そういう問題について農林省はどう考えるか。農林省関係は価格問題に対して僕は非常に鈍感な気がするんですが、そういう点についてどういう方策をとつておられるか。その二点だけをお聞きしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/74
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075・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 第一点の食生活に関する団体の関係でございますが、我々も食糧の生産、消費という面からいたしまして食生活を改善して参りたい。厚生省におきましても栄養改善という建前から、そういう問題を取上げておられたようでございます。現在我々が進めて参りました団体ができ上つたわけでございまするが、厚生省におきましてはその団体をお考えになつておつたようでございまするので、我々から厚生省のほうに連絡をとりまして、大体その目的なり内容が同じなれば合一いたしたい、これは堀木先生も御承知のように、いろいろ役所の所管がございますが、そういう問題には我々としては余り拘泥しないで、必要があれば共同で監督しても結構でございますから、まあそういう形で進めて参りたいということを厚生省と話しております。ただその厚生省におきまする狙いが、全然別な形で以て別個の団体が成立するほうが、よりいいということでございますると、その団体のやる事業なり或いは又その事業を実施する場合の連絡等については、十分密接に連絡してやつて参りたい。こういうことで厚生省のほうに申入れいたしまして、そういう二重になる、或いは又役所の縄張り的な感じから一般の食生活の焦点がぼけるということがないように連絡いたしておる次第でございます。
それから価格につきましては、御承知のように全体的な価格につきましての統制はいたしておりませんが、実は我々主食につきましては、米につきましては現在の統制を続けておるわけでございますが、麦につきましては間接統制をいたしておりまするが、価格水準も玄麦につきましては現在まで予定した通りの価格水準で抑え得たと思います。小麦粉につきましても大体買入価格、売渡価格を決定いたしました当時に想定いたしました価格水準で抑えておる。例えば小麦粉につきまして申上げますると、二十二キロ一袋で普通粉でございますると、買入、売却価格を決定いたしましたきには、千百円とというふうに抑えておつたのでございまするが、現在は千五十円前後だと思います。そういう面で、第一次製品としての価格は抑えて参るわけでございますが、第二次製品でございまするパン、うどん或いは精麦というふうなものについては、これは直接的に価格統制はやつておりません。併し我々としましては、この価格が上ることが、相当一般食生活なり家庭にも影響いたしまするので、各府県と連絡いたしまして、東京都の例をとつて申しますると、先ず第一に精麦につきまして標準店的な制度を実施いたしております。これにつきましては、政府から、その原料を政府が予定した価格で数量的に政府が責任を持つという形におきまして、例えば精麦について言いますと、五十五円ということで、標準店に対してはそれを原料的に確保してやる。それでこの運動が東京都から始まりまして、大体十県程度にまで進んでおります。同時に、うどんにつきましては、これはうどんの種類がたくさんございますので、いろいろ種ものには手が着きませんが、うどんだけの場合におきましてそういう制度を進めて参りたいということで、一部分実施いたしておるわけでございますが、そのほかの労賃の問題とか或いはそのほかの価格関係が非常に影響いたしておるわけでございます。パンについて申し上げますと、例えばパンの原料に占める割合というものは半分以下でございまして、それ以上のものが他原料或いは労賃関係によつて影響される分が多いわけでございますが、パンにつきましても、何か原料を確保することによつて、原料面からの入手不足或いは価格高騰による製品価格の騰貴は抑えて参りたいという考え方をとつて、標準店方式というものを精麦から始めて各物資に進めて参りたいという考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/75
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076・堀木鎌三
○堀木鎌三君 もう一言だけ、結局無論あなたのほうが直接統制をしていられなこいとは万々承知しておるのだが、世界的に麦だとか、米が下つておるときに、日本だけなんですね、その製品が上つておるというのは。実に滑稽な現象である。而も農林省は食管特別会計を通じて大量のものを買つて、数量的にコントロールが事実できておる。そういう点について、私は非常に農林省自身が努力せられたあともあるが、一層価格問題についてはそのときどきの操作について敏感にやつて頂きたい。どうもその点が非常に敏感さが足りないのじやないか。又或る意味においては不当の利益を上げようとする者については、私はこの運動の矢先に立つて不当の利益を得ようとするような者については取締の対象にもなり得るのだ、こう考えるのですが、そういう点について特に御注意を願いたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/76
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077・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) ほかに御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/77
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078・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認ます。
それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/78
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079・野溝勝
○野溝勝君 私は簡単に意見を加えて本案に賛成いたします。先ほども申しました通り事務当局の責任者でありまする前谷長官から、特に食糧行政について需給供給の点について万遺憾なきを期する、その一つの方法として、特に食糧増産、輸入食糧等々については最善の努力をするという点、更に米食だけでなくて、粉食、麦食、こういう問題について、特に農林関係に属する産業界が開発銀行の融資に対す冷遇を受けておるという点について、この際、積極的に食糧行政の解決を図るためにも、かような融資を受けるために努力するということを本委員会において確認をされたこと、更に食糧行政全体について細かい構想を持つておるという点、こういう点が明らかになりましたので、私はこの際、賛成をいたします。併しただこの委員会においてさような構想を持つておる、努力するということで濁すのでなくて、その委員会において努力するという声明をしたことに対しましては、実行に移すように、即時、この際やつてもらいたいということを附加えまして、本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/79
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080・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/80
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081・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を衆議院送付案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/81
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082・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 全会一致であります。よつて本案は衆議院送付案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願いたいと思います。
それから多数意見者の御署名を願います。
多数意見者署名
藤野 繁雄 小林 政夫
土田國太郎 青柳 秀夫
三木與吉郎 岡崎 真一
成瀬 幡治 木内 四郎
野溝 勝 白井 勇
東 隆 安井 謙
堀木 鎌三 前田 久吉発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/82
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083・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/83
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084・大矢半次郎
○委員長(大矢半次郎君) 速記を起して。暫時休憩いたします。
午後四時七分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914629X02819540329/84
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