1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年四月二十三日(金曜日)
午後二時四十五分開会
—————————————
委員氏名
地方行政委員
委員長 内村 清次君
理事 石村 幸作君
理事 堀 末治君
理事 館 哲二君
伊能 芳雄君
伊能繁次郎君
高橋進太郎君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
松澤 兼人君
笹森 順造君
加瀬 完君
通商産業委員
委員長 中川 以良君
理事 松平 勇雄君
理事 加藤 正人君
理事 海野 三朗君
理事 小松 正雄君
石原幹市郎君
大谷 贇雄君
黒川 武雄君
小林 英三君
西川彌平治君
酒井 利雄君
山縣 勝見君
岸 良一君
豊田 雅孝君
西田 隆男君
藤田 進君
三輪 貞治君
天田 勝正君
武藤 常介君
白川 一雄君
—————————————
出席者は左の通り。
地方行政委員
委員長 内村 清次君
理事
石村 幸作君
堀 末治君
委員
伊能 芳雄君
伊能繁次郎君
長谷山行毅君
小林 武治君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
笹森 順造君
加瀬 完君
通商産業委員
理事
松平 勇雄君
海野 三朗君
委員
石原幹市郎君
西川彌平治君
酒井 利雄君
豊田 雅孝君
白川 一雄君
国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
政府委員
自治政務次官 青木 正君
自治庁次長 鈴木 俊一君
自治庁税務部長 奧野 誠亮君
通商産業省公益
事業局長 中島 征帆君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
常任委員会専門
員 林 誠一君
—————————————
本日の会議に付した事件
○地方税法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————
〔地方行政委員長内村清次君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/0
-
001・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今から地方行政・通商産業連合委員会を開会いたします。
前例によりまして私が本連合委員会の委員長を勤めることにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
地方税法の一部を改正する法律案についてこれを議題といたします。本日は主として通産委員のかたがたに質疑をして頂き、事業税、固定資産税、電気ガス税を中心として質疑がなされる予定でございます。なお、政府委員のほうで出席予定者といたしましては、自治庁長官塚田十一郎君、自治庁政務次官青木正君、自治庁次長鈴木俊一君、税務部長奧野誠亮君、通産省では通産大臣愛知揆一君、企業局長記内角一君、公益事業局長中島征帆君、以上でございます。塚田自治庁長官はあと暫らくして御出席になりますから、その点御了承お願いしておきます。
実は町村合併促進法の一部を改正する法律案が地方行政委員会で可決され、昨日の本会議で可決されまして、本日は衆議院の地方行政委員会に付託になりますから、委員長はその提案説明に参らなくてはなりません。その間地方行政委員会の理事堀君を代理として委員長席に着いて職務をとつて頂きますから、御了承願います。
〔委員長退席、地方行政委員会理事堀末治君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/1
-
002・堀末治
○委員長代理(堀末治君) 塚田長官もお見えになりましたから、どうぞ御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/2
-
003・豊田雅孝
○豊田雅孝君 電気料金の値上げ問題に関連いたしまして、地方税関係につきまして自治庁長官の御意見をお伺いいたしたいと思います。
法人税、事業税、それから固定資産税及び開銀の金利の一部引下げによりまして、約四十五億円の料金原価の引下げを期待し得るように漸くなつておるのであります。併しこれは総括原価の僅かに二・二%に過ぎないのでありまして、これを差引きましても一二・二%の値上げがどうしても必要になるということになるのであります。通産大臣が如何に厳重な査定をいたしたといたしましても、これを零にするということは、もう全く不可能な状態に現状ではなつておるのであります。ここで私が最も懸念いたしますることは、電源開発工事が最近の二、三年間におきまして最盛期に入つて行くのでありまして、毎年約一千億円以上の発電所更に送電線及び変電所等が課税対象になるのでありまして、今回の値上げは何とか一時見送るといたしましても、次々に値上げの原因が伏在しておる。この点が一番懸念に堪えないのであります。然るに御承知のように我が国経済の現状は、政府でも強く主張せられております通り、物価引下、輸出振興が至上命令になつておるのでありますが、併しながらこれが成功するかどうかということは、いろいろ今後施策の如何によるでありましようけれども、各産業の基礎的条件になりまする電気料金が如何になるかということが非常に大きな問題になると思うのでありまして、通産委員会におきましては、参考人の意見も聞きましたし、又聴聞会におきまして公述人の意見等もすでに御承知と存ずるのでありますが、電力会社の経費を節減いたしますると同時に配当抑制もいたしますることは勿論でありますが、更に金利の引下げをすることと相並びまして、税制の面におきまして徹底的にこの際考慮をして、電気料金の値上げを極力圧縮して行かなければならん、こういう声はもう圧倒的に強かつたのであります。そこで自治庁長官にお尋ねをいたすのでありますが、通産大臣から先般電気事業の会社の首脳者に示されました強い態度等から見ましても、地方税法についてこの際改むべき点が明らかになりましたならば、多少の無理がありましても、いわゆる各省の所管、セクシヨナリズムと申しまするか、そういうようなことにかかわりなく政府全体の総合政策として、電気料金値上げの重要な原因になつておりまする地方税を軽減するための措置を徹底的におとりを願いたい、かような見地からお伺いをいたしたいと存ずるのであります。
具体的問題に入りますが、他の委員かからもそれぞれ質問があると思いまするので、私は電気税と事業税につきまして、只今申しまするような各省所管関係を離れて、政府全体の立場から特に自治庁長官、国務大臣としてお答えを願いたいというふうに考えるのであります。電気ガス税は御承知のように昭和十七年の二月に戦時立法として消費節約を目的として施行せられたものでありまして、その反動といたしまして、電源開発が一面において抑制せられることになり、又終戦後に電力不定で大洗乱を来たしたことは御承知の通りと存ずるのであります。その結果電源開発が大きく取上げられるようにその後相成りまして、電源量は増加して参つたのでありまするけれども、一方電気税はそのまま存続せられておるというようなことでありまして、国民の負担を重くしておるということは政府部内における政策の矛盾を示すものだろうと考えるのであります。かような政策上に大きな時代錯誤がありまするばかりでなく、税制自体から見ましても、第一にはこの電気ガス税は極端な必需品課税でありますことと、第二には非課税の規定によりまして、税額の約三割は主として大口需要家に免税されておるのでありますが、納税者の数というものは約千七百万人にも上つておるのでありまして、典型的な大衆課税になつておることを挙げなければならんのであります。第三には、電気事業の分割以来、料金の地域差は電気料金における大きな問題となつておるのでありますが、地域によつては二倍以上の税金の差ができて来ておるのであります。而も電気料金の高い地域ほど税の負担が重くなつておる、こういうことが挙げられるのであります。第四には、税務部長は先般非課税を増しまして、消費税として純化して行きたいということを通産委員会で言われたのでありますが、現在の状況でも課税、非課税及び一部非課税の三段の整理が要ることになるのでありまして、料金徴収事務の能率化に非常に支障を来たしておるのであります。更に非課税の範囲を拡大することは徴収事務上にも支障を来たすことは一層顕著になるわけでありまして、これらの諸点を考えますと、このような悪税を永続させるということはどういうものかというふうに考えるのでありますが、この点につきまして、先ず自治庁長官の率直なご意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/3
-
004・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはいろいろ御指摘になりました感じは私も同感なんでありまして、私が記憶しておりますいきさつでも、電気ガス税を府県にやるか市町村にやるか、非常に争つた時分に、あの当時の記憶ではもうこういう税は長く取るべき性格の税ではないからというので、どちらへ持つて打つてもいいじやないかというような考え方が相当強く支配しておつた記憶を持つておるのであります。まあ併しその後現実の税になつて一旦税として取られてみますと、額も非常に大きなものでありますし、地方財政の立場からもなかなかこれをやめるということになると、どこに代り財源を求めるかという非常に困難な問題もあり、まあかたがた重要産業に響く範囲においては非課税というものを作つて妥協的な、折衷的な考え方で今日まで来ておるのでありますが、併し今御意見を伺つておりますと、検討に値すべき問題点がたくさんあるということはよくわかりますので、なお今後十分検討いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/4
-
005・豊田雅孝
○豊田雅孝君 御理解のある御答弁でありまして、一応抽象的には満足いたすのでありますが、まあ代り財源をどうするかというようなことにもなるかと思うのでありますけれども、この面につきましては、すでに御承知のように税制調査会の答申ではたばこ消費税によりまして五百億円の税収を見込んだ、そのほかに酒税、砂糖消費税等の増徴を勧奨いたしておるのでありますが、それにもかかわらず政府の提案にはたばこ消費税に二百九十億を取入れておるだけでありますので、こういう代り財源につきましてもお考え合せを願うということで、今後この問題をどうか真剣に御検討を願いたいのであります。
次には、その只今申述べました代り財源等を御考慮に入れて更にご意見を伺いたいと思いますが、次に事業税関係につきまして、自治庁は料金統制の強く行われております事業に対しましては、外形標準課税を行うことを強く主張せられておるのでありますが、その結果外形標準課税を受ける事業の税負担が著しく重くなることは我々納得ができないのであります。一面公益事業であるが故に地方団体の世話になる程度が大きいからということでありますならば、これは又別途に水利使用料とか或いは道路占用料等で多額の金を納めておる事実もあるのでありまして、この特殊事情を考慮に入れますると、そういう説明もつきにくいのじやないかと思うのであります。事業の損得にかかわらず税収を得よう、こういうことであるといたしまするならば、収益課税の場合に相当する程度に公益事業の外形標準税率を引下げるべきではないかというふうに考えるのでありますが、この点についての御意見を伺いたいと存じます。更に政府の事務的折衝の段階におきまして、通産省が百分の〇・八の税率を要求したように承知しておるのでありますが、自治庁がこれをお受入れにならなかつた理由を率直にこれも将来のために伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/5
-
006・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 第一に若し外形課税をやめるといたしますと、差当り二十数億円の減収が生ずるわけであります。殊に現在すでに一・六%の税率を一・五%に引下げようとしておるのでありますけれども、更に〇・八%に引下げますと、もつと莫大な減収を生じて参るわけであります。地方財政の現況が許さないということが一番大きな原因であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/6
-
007・豊田雅孝
○豊田雅孝君 この面におきましても、地方財政の財源関係につきましては、先ほど申述べました代り財源を十分に御考慮に入れられまして、この点について新らしい角度から将来真剣な御検討を願いたいと思うのであります。
それから次には、中小企業関係からの事業税についての問題でありますが、御承知のように個人事業税等は昭和二十五年までは農林業者にも課税せられておつたのであります。ところが昭和二十五年から農林業者には課税せられず、商工業者にだけ課税せられておる。ここに事業税とは言いまするけれども、それは名だけでありまして、実際は商工業新税であるというところにこの税のあれが非常にあると思うので、かような不公平なことを一体放置しておいていいのかどうか、と申しますることは、輸出振興第一主義ということを理内閣は非常に言われるのでありますが、かような不公平な税を商工業者に課けておくということは、やがて商工業者のすべてのコストが高くなることは言うまでもないのでありまして、そういう点において輸出振興第一主義を唱えながら、かような偏頗な税制を放置しておるというところに非常に問題があると思うのであります。この点につきまして御意見を伺いたいと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/7
-
008・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 農業が課税されていないというところに事業税に一つの問題点がありますることは、我我もそのように考えておるわけでございます。ただ農業の場合におきましては相当広い土地を利用して行われますだけに、これに対しまして全面的に固定資産税が課けられて、これによつて又かなり重い負担を農業が持つているということも言えるではなかろうか、こういう考え方も一つあろうかと思います。
それともう一つは、全体的に考えました場合には、専ら自家労力を以て行なつているのが一般的な形でもありまするので、これに更に事業税を課して行くということは如何なものであろうか、こういうふうなことから一応現状のままに据置いでておるわけであります。事務的にはやはり課税範囲を拡げたほうがよいのではないかというふうな考え方を持つておるわけでありますけれども、なかなか今申上げましたような考え方もございますので、そこまで到達することには困難を感じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/8
-
009・豊田雅孝
○豊田雅孝君 只今固定資産の関係があることと、自家労力を主にしておる関係から一面農林関係業者に事業税を課けないことも止むを得ないだろうという御趣旨のようであります。併し根本的には大いに公平化を図つて行く必要があるというような御答弁でありましたけれども、前段の固定資産関係につきましては、これはもう工業者などは当然同じ立場に立つのであります。又自家労力の関係につきましては、中小企業は殆んど農林業と変るところはないのでありまして、而もその中小企業の輸出しておるものは日本の輸出額の全体の六、七〇%、殊に下請になつておるものなども入れれば或いは八〇%ぐらいになるであろうと言われておるくらいでありまして、そういう点から農林業者と区別することは私は非常に問題があると思うのでありまして、この点につきましては、非常な根本問題でありまするので、一つ塚田長官から直接お答えを願いたいと思うのでありますが、これを具体的に言いますと、私はやはり法人税なり所得税の附加税として公平に課税して行くということが必要なんじやないか、この点について御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/9
-
010・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 私も今日のこの事業税負担というものが非常に中小商工業者に苦痛になつておるということは、御意見と全く同感であります。年来これもできるだけ軽減措置を講じなきやならないという考え方で参つておるのでありまして、今度もまあ考えられる範囲の減税措置を講じたわけであります。むしろこの農業所得と商工業所得との均衡をどういう工合にとるかということは、私は農業所得というものの非常にあの性格から来る弱さというものを考えて、あれをまあ課税をするということよりも、やつぱり中小企業が同じように弱いものであるということで、これらを減税して行くということのほうが考え方の方向だと思うわけでありまして、そのときに所得に附加する形の税を考えて事業税をやめるかどうかということでありますが、これは私はそこまではなかなか踏切りがつかないでとつおいつしておるのでありまして、むしろ私どもは事業税本来の考え方からすれば、本当に理論的に言えば附加価値税というような大体外形を基準とした形のものに直すのが正しいのじやないかという考え方を持つておつたわけでありますけれども、これが現実の日本の経済の実態と恐らく合わないということもあり、かたがた一般の反対も非常に強いものでありますから、そのまま事業税にして残してしまつたということで、それぞれの立場に立つと、余り徹底しないものであるということは御指摘の通りであるわけでありまして、いま暫くこのままの形で成るべく税負担を軽くして差上げるというような方向でやつて行つてみたいというのが只今の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/10
-
011・豊田雅孝
○豊田雅孝君 今後農林、商工関係につきまして、その負担能力に応じて極力公平化を図られるという線で一つ根本的に御検討をお願いいたしたいと思います。
それは将来の問題でありますが、差当り現在の問題になつております法律案につきまして伺いたいのでありますが、所得税のほうは御案内のように基礎控除のほかに扶養控除が認められておるのであります。にもかかわらず事業税のほうは扶養控除が認められておらない。このアンバランスについては如何にお考えになつておるかという点が一つと、もう一つ、扶養控除を認めることができないという建前をとりますならば、基礎控除についてもつと大きな考慮が払わるべきじやないか、仮に扶養家族四人あるといたしまして、その控除額というものは、今度の所得税の改正から言いますと十万五千円になると思うのでありますが、それに基礎控除七万円を加えますと、十七万五千円になつて来るのであります。今回事業税の基礎控除は七万円を十万円に引上げようというようなふうになつておりますが、そんなことで追つくわけじやないのでありまして、こういう均衡、バランスの上から基礎控除につきましては、もつと大幅な考え方が必要じやないか、これについての御意見を伺いたいと思います。
それからもう一点は、所得税で非課税の取扱いを受けておりますものは、これは言うまでもなく国家から見て担税能力のないものだという認定が下されるのでありますが、その担税能力のないものだと認められておるものに更に事業税で追い討ちをかけて行くということがこれ又非常に問題だと思うのであります。この点を如何にお考えになつておりましようか。その点伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/11
-
012・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 第一の問題は、所得税の場合には扶養控除が行われているけれども、事業税についてはそれが行われていない。これが酷ではないかというお考えのようでございます。所得税は言うまでもなく儲けの中から払われる税金であり、事業税のほうは経費の中から払われる税金である。所得税の場合には払われる納期を総合いたしまして、そこで個人の担税力を見て行く。半面事業税の場合におきましては、事業が行われています場合に、従業者が労力を提供して価値を生み出す面に協力をいたしますし、府県も保健衛生施設や道路を維持管理したりしてその価値を生み出すことに協力している。従つてこの価値を買取る人がそれ相当の経費を負担して行かなければならない、こういう考え方に立つておると考えておるのであります。従いまして事業が行われておりますると、大体その事業の分量と言いますか、そういうものに応じて府県の経費を分担してもらうのがよろしいと思いますし、又そういう意味において附加価値税に移行すべきであるという考え方もあつたのでありますし、又或る面においては売上金額を課税標準とするような事業税の形式も存置しておるわけであります。そういう意味において所得税と事業税とは一方は人税と呼ばれ、他方は物税と呼ばれ、それぞれの事業によつて事業税を考えて行くわけでございますので、特にこれに扶養控除などを持込まないようにすべきではないか、こういう考え方を持つておるわけであります。ただ止むを得ず現状におきましては所得を課税標準にしておるわけでありますし、而も又小規模の事業につきましてはできる限り緩和して行きたいという考え方から、すでに基礎控除の制度を採用いたしておりますので、この基礎控除を財政状況と睨合せながら漸次増額して行く、こういう面においてはお考えと全く同感でありまして、今回政府原案におきましても、従来よりも若干この基礎控除の額を引上げるというふうな措置をとつて参つておるわけであります。
第二の扶養控除などの結果から所得税を課さないものに対しても事業税が課されるということになることは過酷ではないか、こういうお話がございました。これも前段で申上げましたことで御了解願つておると思うわけでありますが、又事実過酷な面も出ておろうかと思います。そういう意味においてはむしろ基礎控除を拡げる、大きくして行くというふうな方向で解決をして行きたい、大体事業で生まれました価値に対しましては、これを受取る人たちがそれだけの経費を負担して行くべきである。又負担して行つてもらうべきであり、従つて経費と観念せらるべき税金だ、こういう考えをとつておるわけであります。お説の点は只今申上げましたような方向で解決して行きたいというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/12
-
013・豊田雅孝
○豊田雅孝君 所得税とは根本的に違うという議論の立て方をせられつつ、所得に対して課税して行くというところにこれが非常に問題があるのでありまして、もう実質的には如何に言われようとも、これはやはり所得税の附加税だというふうになつて来ているのであります。而もその扱い方が根本をなす所得税自体よりも非常に酷である。所得税で免除しているものまでも追い討ちをかけて行く、そういうような不公平を受けているのは、農林関係業者は除外せられて商工業者だけである。これは非常に問題があると思うのでありまして、その点において差当りは基礎控除を思い切つて拡大せられる、併しそれだけでは満足するべきではないのでありまして、根本的に農林、商工バランスのとれた行き方をせられるということが、特に今後輸出の振興を図るというような点から私は非常に問題にすべき点だと思うのでありまして、この点一つ塚田長官から将来に対する御決意のほどを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/13
-
014・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 今後御意見を十分検討いたしまして、善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/14
-
015・石原幹市郎
○石原幹市郎君 私も今回の地方税法の一部改正案に対しまして若干お尋ねしたいと思います。私がお尋ねいたします立論の根拠は、只今豊田委員が申されましたと同じ立場からでありまして、主として電気料金の問題にからんだ立場からお尋ねしたいのであります。
で、私が一番矛盾に思つておりますることは、電源開発ということは今の日本の国情として何を犠牲にしてもやつて行かなければならん問題でありまするが、開発が進むにつれて、つまり電力が豊富になるにつれて電気料金がどうしても上つて来る。こういう非常な矛盾があるのでありまして、この矛盾はできるだけ各方面から協力して解いて行かなければならん。先ほど豊田委員も話されましたように、金利の引下げであるとか、企業の合理化であるとか、いろいろの問題から論ぜられるのでありますが、電気事業に対しまして国税、地方税を通じて非常に税の負担が重い。こういう面からも考えまして、税制の面からできるだけ協力してもらわなければならんと思うのでありまして、これは電源開発の一部を税制の方向で考えてもらうということはどうかと思うのでありますが、国策としてやらなければならん電源開発であります。而も電気事業に対する課税が相当不公平な面もあるということも考えられますので、その点からお伺いして行きたいと思うのであります。
豊田委員は事業税、電気税について尋ねられたのでありますが、私は固定資産税について主として尋ねたいのでありますが、その前に二つの税に関連いたしまして一、二私からも尋ねておきたいと思うのであります。事業税について豊田君から外形標準課税をやめてもらいたいというような意見も出たのであります。私もさように思うのでありますが、先ほど当局の答弁では税収が減るということからさような措置は考えられなかつたと、こういうお話でありますが、併し電気、ガス或いは運送事業、こういうものについてのみ外形標準課税をとつておられるのでありまするが、そこに私は一般法人の所得課税をとつているかたがたと非常に不公平があると思うのでありまして、この課税の公平という見地からは、仮に税収が減るということがあつても公平の原則はやはり貫いてもらわなければならんと思うのであります。一方が減れば然らば一方のほうを若干上げるというようなことも考えられるのでありまして、この点についてどういうふうに考えられますか、考え方を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/15
-
016・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 外形標準課税の点につきましては、先ほど申上げましたように、地方財政の現状から見て減収の生ずることが最も難点であるということを申上げたわけであります。更に附加えてお答えさせて頂きますと、現行制度でありますれば附加価値税が実施されることになるわけであります。併しながら附加価値税にもいろいろ問題がございまして、差当り現行制度をそのまま踏襲して行く、従いまして、又売上金額を課税標準にしておりますものもそのまま踏襲して行きたい、こういう考え方でございます。
〔委員長代理堀末治君退席、委員長着席〕
根本的には損失があれば税金を納めなくてもよろしいというふうなことは事業税、殊に府県税についてはとるべきではないのじやなかろうかというふうに思つているわけであります。損をしておりましても従業者に給与を払わなければならないと同じように、府県がその事業に協力しておりますものにつきましては、経費を分担してもらいたい、こういう考え方であります。
第二は、料金統制が行われているので、而も又これらの料金はいろいろな角度から総合的にきめられる。経済政策、社会政策、いろいろな面から総合的にきめられるわけでありまして、普通の自由競争の行われておる事業とは根本的に違つておるではないか、それならその料金の中にやはり団体の経費でありますので、税相当額を織込んでもらいたい。
第三には、織込まれたものは、これらの事業が大体において強大な独占企業でありますから維持できるじやないか、維持できるならば、これだけのものはやはり府県に事業税として支払つてもらいたい。こういうふうな考え方でございまして、なお他の業態との関係において公平を欠くではないかという議論がございました。これも御尤なる議論と思つております。ただ併しながら、競争関係にありまする事業相互間に取扱いを異にいたしますることは、これは避くべきでありますけれども、競争関係に立つていないのならば、その事業については相互間において不公平はないわけでありますので、特別な課税方式を採用しても差支えはないのじやないだろうかというような考え方を持つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/16
-
017・石原幹市郎
○石原幹市郎君 只今のことも今まで何回も聞いておることで、一応わかるのでありますが、私は最初述べましたように、電源開発の進むにつれて電気料金が上るということは、何とかこれはあらゆる面からそういうことにならんように協力したいという見地から論じておるのでありまして、そういう意味からいたしまして、いろいろ理窟はあると思いますが、少くとも課税の公平を欠いてまで過剰な負担になつておるこの電気事業の事業税については、できるだけこれは下げるということが総合国策でございます一方、全体の行政の面から言つてもこれは考慮して行かなければならんことであろうと思うのでありまして、一遍にこれは変えることが困難であれば、或いは外形標準課税と或いは所得課税を半々に標準をとつて行くとか、いろいろな措置を構ずべきではないかと思いますが、くどいようでありますが、こういうことをすることを御研究下されるかどうかということだけでよろしいのでありますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/17
-
018・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 私もこの電気料金の問題につきましては、殊に今年政府が低物価政策をとつておる考え方からして、是非上らないようにというので、今度のこの地方税の改革を自主的に決定いたしますまでには、しばしば通産大臣ともお目にかかつて十分意見も伺い、地方財政の立場から譲歩できます最大限の譲歩はいたしたつもりであります。勿論御希望通りには行かなかつたのでありますが、併し御意見の点はよくわかりますので、今後ともその方向で検討して参りたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/18
-
019・石原幹市郎
○石原幹市郎君 次に電気税の点についてなお一点尋ねてみたいと思いますが、電気税が悪税である、大衆課税であるということは、何人も異論のないところであろうと思う。そこで私は非常に心配いたしますることは、今後この電気料金の問題につきましていろいろ意見はありまするが、九電力会社に分割されておる以上は、その会社々々の地帯によつて或る程度電気料金に地域差がつくのは私は当然だ、無論地域差をつけなければならんという私は考えを持つておるのでありますが、そうすると電気料金というものが非常に地域によつて成る程度違つて来るのであります。そこでこの電気税というものはそれらに対して一律の割合で行くのでありますから、特に家庭用の電気、これは私は仮に地域差がついても、社会政策的見地からこの家庭用電灯のごときものはできるだけ全国一律でなければならんくらいに私は思つておるのです。そこでそういう見地からいたしまして、将来この電灯料金というものに非常な差ができるというような場合に、なお更この電気税というものは非常な悪税に、悪い形のものになつて来ると思うのですが、そういう意味からいたしまして、できればこの電気税というものはほかの形のものに吸収してしまうか、いろいろなことを講じてもらいたいと思いますが、電気料金の地域差と電気税の関係についてこれは一般の不公平があると思う。こういう点についてどういう御決意か、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/19
-
020・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 石原さんのおつしやつておることは確かに問題でありまして、将来に亘りましても十分研究して参りたいと思います。ただ現在なお従価税の形式を用いております。若しお話のようにするとしますれば、これは従量税の方向だと思います。なお従価税にしておると申しますのは、一つは消費税の本質から考えて参りますと、やはり消費金額をとつたほうがいいのじやないだろうかというようなことでございます。第二には、徴税技術上従量税でありますと、料金等は別途な計算方式をいたさなければならんので非常に複雑になつて参ります。そういう意味からも従価税の方式を採用しておるわけであります。御説のような点につきましては将来なおよく研究したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/20
-
021・石原幹市郎
○石原幹市郎君 まあ研究されるということでありますので、電気税はこの程度にして、次に固定資産税について伺いたいのでありますが、私はこの固定資産税というものは非常に悪税の形であると思つておりまして、まあシヤウプ勧告によつた地方税の改正で一番悪かつたものと思います。今回これが非常に是正されて参りましたことは、不十分でありますけれども非常に私は賛意を表しておるものであります。ただ先ほど事業税について課税の不公平があるということを申上げましたが、この固定資産税についても非常に電気事業のごとき殆んどが固定資産になつておる、こういうものに対しましては非常な不公平がそこに現われておる。いわゆる償却資産に対する課税の面で非常な不公平が現われておるのでありまして、まあこれは十分御承知であろうと思いまするから、数字であるとかそういうことは申しませんが、単なる事務所でやつておるようなものは非常な収益率を上げておりながら、課税は極めて微々たるものである。この償却資産の大きいものは資本の回りが悪いにかかわらず非常に大きな課税をされるということになるのであります。もともとこれも附加価値税と並行して行つて初めて均衡がとれると思うのでありますが、この課税公平の立場から言つて、こういう問題についてどういうふうに考えておられるか。又産業別に、先ほど述べた産業別に非常に総資本に占める償却資産の割合というものから、或いは資本の回転率ということから不公平があると思うが、その事実を認めるかどうか。それらについて将来是正する方向に研究をされておるかどうかということについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/21
-
022・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 二十五年に償却資産に対しましても、課税をするようになりましたので、爾来いろいろな意見が出て参つて来ていると思います。これらの意見にも鑑みまして、今回償却資産に対しまする固定資産税につきましては、かなり大幅な改革を加えたつもりであります。特に電気関係につきましては、御承知のように最初の五年間は負担を三分の一にする。あとの五年間は負担を三分の二にするというような措置もとつておるわけでございますので、大体特に問題になつておりまするような点は、今回の改正によつて是正されておるのじやなかろうかというふうに思つておるわけであります。第二に、産業の種類によつては償却資産の占める割合が非常に違うじやないかという御意見でございます。これも全く御意見の通りだと思うのであります。ただその結果税負担が全体として不公平になつておるかどうかということにつきましては、更にいろいろな角度から考えなければならないのじやないだろうかというような気持を抱いておるものであります。例えば固定資産は余り使わないけれども、たくさんな従業員を使わなければならないような事業、従業員に支払いまする給料につきましては、源泉で所得税を徴収いたします。所得税はこれは人税なんだからして、会社の経費にならないじやないかというような議論もありますけれども、実質的にはやはり経費になつて参るものだろうと思うのであります。現に労働争議等におきまして、税引きの給料を幾らにしろ、こういうふうな論争が行われておるところから見ましても、やはり同じような考え方ができると思うのであります。固定資産税の面だけで税負担の均衡の問題を論ずることは、少し足りないのじやなかろうかというふうな考え方もいたしておるわけでございます。なお将来に亘りましては、これらの問題も検討をいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/22
-
023・石原幹市郎
○石原幹市郎君 我々もまあ実際問題としてはいろいろむずかしい問題があるということはよくわかるのでありまするが、最初申上げましたように、電気事業というものの日本の産業における占めておる地位、立場というものからいたしまして、できるだけ電気事業の負担が軽くなるような考え方を持つて、而もこれは非常に無理をしてそんなことをしてくれと言つているのじやない。現在現実に非常に不公平、不公正があるから、その面だけでも課税技術上むずかしいにしても取除いて行つてもらつて、筋に合うようにしてもらいたいというのが我々の希望でありまするから、いろいろ答弁されるそれはよくわかるのでありまするが、我々の質問している立場がそういうところにあるということを一つよくお考え願つて、協力なり或いは研究を続けて行つてもらいたいと思うのであります。
今お話がなかつたのでありますが、何か償却資産課税の適正化というような問題につきましては、この収益補正をやつておられるとかいうようなことを聞いておるのでありまするが、収益によつていろいろ補正をされる、こういうことが行われておりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/23
-
024・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 償却資産の価格を算出いたします場合に、その後における物価の変動がございますので、取得価格に物価倍数を乗じて算定しているわけであります。併し他面陳腐化の問題もございまして、陳腐化の程度をどの程度に見るかということは非常にむずかしい問題でございます。従いましてその事業の全体としての収益率からこの陳腐化の程度を見ることにしようというふうなことで、収益率の如何により一定の割合ずつ価額を引下げたところで課税標準に使つて行くというふうな算定方式を採用いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/24
-
025・石原幹市郎
○石原幹市郎君 そこで伺いたいのでありまするが、今回この四月八日付でありますが、自治庁次長名を以て今度まあ税法がいろいろ改正になるので、そこで二十九年度からの評価に当つては特別の補正率は適用しないことが適当と考えられるので云々というような通牒を都道府県知事に出しておられるようでありまするが、これは、こういうことが行われますると、折角税法の改正によつて或る程度一方引下げられましても、下つてもこういう従来のやつておつた特別措置をやめるようにということならば少しも私は、まあ少しもというのは言い過ぎかも知れませんが、一方で減らしておいて、一方じや却つて減らすなというようなことにとれるのでありますが、これはどういう考え方でありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/25
-
026・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今御指摘になりました点は、これは収益率補正の問題ではございませんで、御指摘になりますように、発電施設に対しまする固定資産税にはいろいろな問題がございましたので、二十八年度におきましては、算定されました価額の九〇%を課税標準にするという方式にして参つたわけであります。収益率補正をした結果の額の九〇%を課税標準とする方式は二十九年度から取りやめる、かようにしただけのことであります。と言いますのは、発電施設に対しまする固定資産税についていろいろな問題がございますので、止むを得ずこういう便法で、言い換えれば行政運営の上で措置して参つたわけでありますが、これは面白いことじやございませんので、かなり思い切つて二十九年度から法律を改正して発電施設に対する負担の緩和を図ることにいたしたわけであります。そういうような関係から、税務行政の運営でやりまするようなやり方は避けたい、かように考えたわけであります。殊に別途企業資本の充実に関する特例法案が提出されておりまして、その中で第三次再評価をやりました企業につきましては、二十九年度分の価額をそのまま据置いて行くというような考え方も同時に用いておりますので、この機会にやはりそのような特別なやり方はやめたほうがよかろうというふうな結論に達したわけであります。勿論二十八年度におきましても、二十八年度だけの臨時的な措置ということで採用されてはいたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/26
-
027・石原幹市郎
○石原幹市郎君 まあ従来こういう特別措置をやつておつたのと、それから今回税法の改正によつて非常に下げられて行くのとは何でございますか、それはこの従来の特別措置をやめても非常に下ることになるのでありますかどうか。実情を我々よく知らんものです
から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/27
-
028・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 今正確な数字を手許に持つていないのでありまして、あとで御連結いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/28
-
029・石原幹市郎
○石原幹市郎君 正確な数字は別に要らないのですが、従来よりも今回のほうがうんと下ることになるのかどうかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/29
-
030・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 発電施設全体について考えました場合には、詳しい計算をしなければならないと思うのでありますが、今回の措置によりまして、従来でありますれば新しく建設されました発電施設に対しましては〇・八%の税率を採用しておりました。今回は〇・五%の税率を採用しようとしております。そうしますと約四割程度税率が下つて参るわけであります。ところが今行政措置をやめようとしておりますのは一割の分でありますから、この分に対しては明らかに負担が今度の改正のほうが緩和されるということになつて参ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/30
-
031・石原幹市郎
○石原幹市郎君 これは大体わかりましたが、一方で下げておいて、従来いろいろやつておつたのをやめるということであれば、一方で下げて、一方で従来の特例便法をやめるということでよいかも知れませんが、これも我々の立場から言えば、できるだけ電気事業に対する負担を軽くして欲しい。これは電気事業に対する負担を軽くせいと言えば、如何にも企業資本と言いますか、企業家の擁護のようでありますが、これは直ちに電気料金のほうへずつと響いて行く問題でありまして、つまり大衆課税と同じ問題だと思うのであります。電気事業税に対する課税を如何にも企業に対する課税のように考えておる人があるかも知れませんが、これは結局私は電気税というものは大衆課税と同じようなものだと、結論において同じようなものになつておるという考えを持つておるのでありますが、この考えは如何でしようか。間違つておるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/31
-
032・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 同じように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/32
-
033・石原幹市郎
○石原幹市郎君 次に固定資産税の税率の問題でありますが、今回いろいろの税率が改正されて引下げも行われておるようでありまして、この点私誠に結構に思うのでありますが、併し一般の課税の実情から見まして、布町村が今回の改正案、これによりましても百分の二を超えて課税しようとするときは、自治庁長官に届出をなさしめて、それからそれを超えておる場合には、その百分の二までの間でいろいろ裁定をされると、こういうことになると思うのでありまするが、今までのいろいろの実績その他から見ますると、どうもだんだん上へ上つて行く一方でありまして、標準税率というものは定められておるけれども、実際の課税の様子というものは標準税率のところは殆んどない、こういうことであります。而もこの固定資産税は制限税率と標準税率の間の開きが非常に大きいと思うのであります。衆議院のほうで修正がありまして、制限税率が百分の三から百分の二・五に下つたようでありまするが、これでも私はまだまだ開きが大きいと思うのでありまして、而も今年は市町村が課税する、まるまる市町村が取れる年としては今年が最後である。この法律が成立すれば最後になるわけです。そういうことから考えまして、この制限税率を更にもう少し引下げる、こういうような考えを持つのでありまするが、これは地方行政委員会でもいろいろ検討される問題であると思いますが、こういう問題についてどういう考えを持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/33
-
034・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 御指摘になりますように、固定資産税の税率におきまして、標準税率を超えて課しておりまする団体が一割にも上つておりまして、むしろ若干多くなるような傾向がございますので、今回政府原案のような措置をとつたわけであります。で地方自治を重んずる見地から考えて行きました場合には、標準税率のきめつ放しにしたほうがよかろうとこう思うのであります。併し又他面経済界に与える影響を考えて参りますると、できる限り税率を釘付けにしたほうがよろしいのではなかろうかというふうに思われるわけであります。両者の中間的な措置として考えましたのが、二%を超えた場合で、特別の場合にはこれを政府として抑えるような権能を持ちたいと考えたわけであります。今後この新らしい制度によりまする運営の状況を見ました上で、更にお説のような措置をとらなければならないかどうかということは検討いたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/34
-
035・石原幹市郎
○石原幹市郎君 この電気事業とか、こういう事業は料金も調整されておりまするし、非常に一方では制約を受けておる事業であり、殊にくどいようでありますが、先ほどからたびたび述べておるように、公益事業として而も非常に矛盾をはらんだ状態になつておるのでありまして、矛盾をはらんだというのは、電力が豊富であればあるほど電気料金が上つておるという状態であるのでありますから、できるだけこの税率を下げるように協力をしてもらわなければならん。地方自治の建前から言えば、或いは標準税率のきめつ放しで、上下をきめないほうがよい、これは自治という建前から言えばその通りでありましようが、一方において非常に制約を受けておる事業でありまするから、こういう事業に対してはこの課税の面においても特例としていろいろの措置をとつても私はいいんじやないかと思うのでありまして、この制限税率と標準税率の幅をもう少し圧縮してもらいたい。標準税率を上げるというのではなしに制限税率を下げてもらいたい。殊に百分の二までは自由に町村長がやれるのでありまして、そうすると標準税率というものはあつても、まあ大体百分の二まで取ろう、取りたいというのはそれは町村長の当然の考え方であろう。殊に二十九年度は市町村長としてまるまる取れる最後の年でありまするから、相当こういうことをやるところが出るのじやないか、或いは杞憂かも知れませんが、出るのじやないかと思うのでありまするが、先ほど固定資産の評価について親切ないろいろの通牒まで出しておられるのでありますが、こういう問題について町村を指導される意思があるかどうか、伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/35
-
036・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 固定資産につきましては、標準税率を超過して課税しておりまする団体は、先ほど申上げましたように一割余りあるのでありますが、殆んど大部分が東北地方と北海道であります。関東或いは関西におきましては、標準税率を超えて課税している団体は、非常に例外であるのであります。これは東北なり北海道なりの特殊な事情によりますることが一つと、もう一つは一度増税をして或る収入を得ました場合には、なかなかこれらの運営方式を改めがたいというような点にもあるのではなかろうかと思うのであります。これらの点につきましては、一面には東北或いは北海道の財政需要につきまして、地方財政平衡交付金の運営、その他においてなお考え方が十分ではないのではないかというようなことも考えられるのでございまして、この面において検討を要して行くかと思つております。他面におきましては、一度増税しましても、その年の特殊の情勢で行なうべきであつて、マンネリズムに陥るような運営方式はよくない。この点を更に市町村に対しまして徹底して行きたい。こういう考え方を強く抱いておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/36
-
037・石原幹市郎
○石原幹市郎君 只今奥野さんから東北、北海道としては有難い御意見を聞いたのでありまして、平衡交付金の配分方法等にしましても、将来更に御研究を願うことにいたしまして、この固定資産税の課税方法等につきましても、適当なる御指導を願いたいと思うのであります。
最後にこの電気料金の算定に当りましては、標準税率で計算をしておるのであります。現実は只今そちらからお話になりましたように、相当超過した税率で課税されておるということでありまして、これらの点については自治庁の建前と、それから通産省のとつておられる建前とが若干遣うと言えば違うように思えるのでありますが、この点は自治庁よりも通産省のほうから、料金算定には標準税率でやつておる。現実には相当超過税率と言いますか、上のものが行われている。この点で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/37
-
038・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 現在の電気料金の基礎になつております原価の中にはお話のように標準税率で以て原価を計算しております。各自治体が課税いたします場合には、この標準を離れた税率の適用をしますが、一旦きめた場合には料金がきまりましたら、あとは税率が変つても如何ともしがたい。それから現在新らしい料金を検討いたしておりまするが、その場合にはいずれの税率を使用するかという点でございますが、各電力会社は現実に取られておりまする税率に基いて原価を計算しております。我々も一応それを尊重せざるを得ませんが、仮に今度税制改正をいたしまして、はつきり変化がありました場合には勿論これを変更いたしますけれども、只今お話の標準の税率が変つて而も制限税率も変つて行く、その間に或る程度の開きがありまして、その間どこに実際の税が落ちて行くかわからないような場合には、やはり標準の税率の変化を基準にいたしまして、適当な税率を推定して、ここへ見込むという以外にできないのではないか。これは推定になりますから、それ以上の方法のどれがいいかといういろいろな批判もあると思いますが、我々のほうはそれでやるより仕方がないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/38
-
039・石原幹市郎
○石原幹市郎君 もう一点だけ……。今回の税法改正で固定資産税に対する町村の課税が或る程度制限を受けて、残余は府県の課税になつておる。私はこれは全面的にこの考え方に賛成なんであります。それでこれが完全実施されるのはたしか三十一年度からになるのではないかと思いまするが、これがもう一年くらい短縮されて、三十年度くらいから完全実施になるというようなふうに行かないのでしようか。非常に私は今までの固定資産税を所在町村だけで取るというあのやり方が不合理といいまするか、これほどの悪い方法は私はないと思つておる。いいことは少しでも早くやつてもらつたらいいと思う。二年も三年も経過規定がある、その間に又再改正でもされたら非常に私はまずいことだと思うのでありまして、この点について希望とそれから所見を申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/39
-
040・奧野誠亮
○政府委員(奧野誠亮君) 大規模な償却資産に対して課税権の一部を府県に移す制度を完全に実施する、それは三十一年度になるわけでありますけれども、すでに三十年度からこの措置が始まるわけであります。ただ三十年度におきましては、市町村の財政運営に激変を与えないという意味で、かなり大きな金額までを当該市町村に保証しておこう、こういうことにしているだけでございまして、やはりこういうふうな措置につきましては、当面激変を緩和するというふうな措置も並行してやらなければならないのじやないだろうかというふうに考えるわけでありまして、そういう意味におきましては、政府案のほうがいいのじやないかというふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/40
-
041・海野三朗
○海野三朗君 塚田自治庁長官にお伺いするのであります。長官は閣僚の一人としておられるのでありまするから、この地方税法とちよつと変つておるかも知れませんが、関税の問題を考えますると、重油及び原油に対する一割の関税を課けなければならないというのが法律で決まつておるにもかかわらず、この関税を免除しておるということは、これは正しくないあり方であると私は考えるのでありますが、長官は如何ようにお考えになつておりますか。先ずこれの御所見を承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/41
-
042・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) お尋ねが若し関税でありますれば、これは大蔵省の所管でありますので、誠に恐縮でございますが、私もよう勉強いたしておりませんので、大蔵省のほうへお尋ねして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/42
-
043・海野三朗
○海野三朗君 私はあなたが閣僚の一人として、殊に並みいる閣僚の中でも頭が鋭敏でいらつしやると思う。(笑声)一番御答弁に対しては深甚なる敬意を表しておるわけでありまするから、私は今日まで通産大臣に対しても他の大臣に対しても聞くのでありますが、それが一向はつきりしないのであります。これはそれではそれといたしまして、この日平産業のようなあの軍需会社の下請工場が今日危殆に瀕しておる。そういうふうなこの下請工場に対する税の取立ては如何ようにおやりになるお考えでございますか。もう殆んど会社をつぶさなければならんというような下請工場がたくさんございますが、そういうふうなものに対しての税金というものはどういうようにお考えになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/43
-
044・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ現実に問題にぶつかりませんと、端的に何とも申し上げられないのじやないかと思うのでありますけれども、例えばつぶれるような状態になつておるといたしまして、併しそこの所に税が納めるべきものが残つておるということでありますれば、これは一つの債権でありまするからして、併し債権であるからといつて無理無体に取立てるということは勿論できません。でき得る能力に応じて徴収に手心も加えなければならんと思うのでありますけれども、併し一応徴収すべき税というものがあつて、そういう経営不振の状態になつておるといたしますれば、そういう点も考慮して取るべき税はやはり取るという建前で行かなければならんのじやないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/44
-
045・若木勝藏
○若木勝藏君 議事進行……。丁度今、本会議のベルが鳴つておりますが、本会議は重要な本会議であるし、一時休憩するかどうかの決をとつて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/45
-
046・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今開会のベルが鳴りまして、今若木君から動議が出まして休憩してもらいたい、こういうことですが、よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/46
-
047・海野三朗
○海野三朗君 それでは私はまだたくさん伺いたいことがありますが、質問を保留いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/47
-
048・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは暫時休憩をいたします。
午後三時五十五分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914709X00119540423/48
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。