1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年六月二日(水曜日)
午前十一時十分開会
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委員の異動
六月一日委員田中啓一君辞任につき、
その補欠として長谷山行毅君を議長に
おいて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 内村 清次君
理事
石村 幸作君
堀 末治君
小林 武治君
委員
伊能 芳雄君
伊能繁次郎君
木村 守江君
長谷山行毅君
館 哲二君
島村 軍次君
秋山 長造君
若木 勝藏君
松澤 兼人君
笹森 順造君
加瀬 完君
国務大臣
国 務 大 臣 小坂善太郎君
政府委員
国家地方警察本
部長官 斎藤 昇君
国家地方警察本
部総務部長 柴田 達夫君
事務局側
常任委員会専門
員 福永與一郎君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した事件
○警察法案(内閣提出、衆議院送付)
○警察法の施行に伴う関係法令の整理
に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
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001・内村清次
○委員長(内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。
警察法案、警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案を議題に供します。先ず警察法案から議題に供しまして、第一章の総則から始めます。政府のほうからこれに対しまして説明がありますれば、説明をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/1
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002・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先般の提案理由の大臣説明に続きまして、附属説明といたしまして、各条項ごとに御説明を申上げましたから、私のほうから進んで御説明申上げる点はございません。さよう御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/2
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003・若木勝藏
○若木勝藏君 一章についてでしたな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/3
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004・内村清次
○委員長(内村清次君) ええ、一章。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/4
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005・若木勝藏
○若木勝藏君 私先ず第三条につきましてちよつと伺いたいと思うのです。第三条には、「この法律により警察の職務を行うすべての職員は、日本国憲法及び法律を擁護し、不偏不党且つ公平中正にその職務を遂行する旨の服務の宣誓を行うものとする。」そこで「この法律により警察の職務を行うすべての職員」「すべての職員」というのは何を指すか、この点について先ず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/5
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006・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 「警察の職務を行うすべての職員」、警察の職務を行うということによりまして、公安委員並びに警察官、それから事務官、技官、府県警察の場合におきましては、事務吏員とか技術吏員も含みます。こういう公安委員と、執行機関としての警察官、並びに事務官、技官、事務吏員、技術吏員、これらのものをすべて含む、かように解釈いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/6
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007・若木勝藏
○若木勝藏君 そういたしますというと、総理大臣はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/7
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008・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 総理大臣は含んでおりません。「警察の職務を行う」という中に読んでおらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/8
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009・若木勝藏
○若木勝藏君 そうするというと、どうも私はおかしいように思うのでありますが、むしろこの法案の「警察の職務」は、殆んど総理大臣に集中されるようにも思うのでありますが、どうしてこれは「職務」の中に入りませんか。余り、総理大臣だから、勿体なくて考えられないのですか。何かこれが入らないという理由を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/9
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010・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 先般来この条文につきましてお話がございましたように、この条文は宣誓の内容を規定いたしております。宣誓の義務は、別に国家公務員法によりまして、並びにこの法律によりまして、国家公務員法の条項を準用いたすことによりまして、宣誓の義務を命じておるのでございます。総理大臣につきましては、宣誓の義務というものは、公務員法上におきましても、この法律におきましてもないわけでございます。そういう意味から、宣誓の義務がないということが一つ。それから又この条文の字句の読み方からいたしましても、「警察の職務を行う」というふうに、総理大臣の仕事はこれは国政全般に跨がるわけでございます。「この法律により警察の職務を行う」とは読まないふうにいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/10
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011・若木勝藏
○若木勝藏君 総理大臣は、併しこの「警察の職務」というか、行政事務にはとにかく総理の立場として携つておるのじやないですか。全然総理というものは、もう看板で、おれは知らん、これによりますというと、任命の方面にも関係しておる、この法律では。あとで修正が出ましたけれども、それでもこの総理は、「承認を得て」ということになりますれば、明らかにこれは人事権の職務を行なつておることになります。その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/11
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012・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 「警察の職務を行う」という意味は、専ら警察の職務を行うという意味になるのでございます。ほかの条項におきましても、検察、警察の職務を行うものを、前歴者の制限などをいたしておりますが、この場合におきましても、警察の職務をひたすらやつて行くという意味に解しておるのでございます。この字句の上から申しましても、総理大臣は、成るほど国政全般の中には、警察についても行政権の一部として、その権限の中には、広い意味におきまして入つているということはお説の通りかと思いますが、この条文におきまして「この法律により警察の職務を行う」という中には入つておらない、かように解しておりますし、それから先ほど申上げましたように、別に総理大臣につきましては、宣誓の義務はないわけでございます。この通り職責の上からは、この宣誓の内容にもあるように、「不偏不党且つ公平中正にその職務を」行うというような、これは国政の衝に当られる人として当然のことでございますが、この条文の適用につきましてはないものと解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/12
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013・若木勝藏
○若木勝藏君 そうすると、先ほどの御説明では、公安委員も警察の職務を行うべき職員になつておるわけですね、そうでしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/13
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014・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/14
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015・若木勝藏
○若木勝藏君 そうすると、国家公安委員会の委員長は、国務大臣を以て今度充てているのですが、総理大臣はあなたの説明でそうだということになれば、そうであつても、それでは国務大臣はどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/15
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016・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 国務大臣につきましては、これ又宣誓の義務というほうは……、この法案の第十条によりまして、公安委員につきましては、国家公務員法の規定を準用いたしておりますので、宣誓の義務はあるのでありますが、国務大臣につきましては、国務大臣たる地位に鑑みまして、その職責の上から申しますれば、当然に公平中正にその職務を行わなければならないという点につきましては、異論のないところでございますけれども、特に宣誓の義務というものを課しておらないのでございます。従いまして第三条におきまして規定いたしておりますものは、その宣誓の義務がなければ、その内容の規定でございますので、当然に生きて来ないということになるのでございます。観念的には第三条の中に入つておるとお考え頂きましても差支えございませんけれども、実際問題といたしまして、宣誓の義務はございませんので、こういう宣誓の内容を行うというふうにきめましても、宣誓自体が義務付けられておらない、こういうことになつておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/16
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017・若木勝藏
○若木勝藏君 なぜ義務を持たせないことになるのですか、その点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/17
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018・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 義務を持たすということも、別に差支えはないと思うのでございますが、「不偏不党且つ公平中正にその職務を」行うということは、公安委員としては、これは必ずその職責上なさなければならないということであるので、特に規定を要した、併し国務大臣といたしましては、その国務大臣たる地位に鑑みましてわざわざ宣誓をさせるということにいたさなくても、これは当然に、そういう職責を国務大臣というものは、その地位の上から持つものであるという考え方をいたしました結果、特に宣誓の義務の規定をいたさなかつたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/18
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019・若木勝藏
○若木勝藏君 どうもその辺は私まだ納得が行きません。まだ他のかたからもこの点についはいろいろな質問があるかと思うのでありますが、まあ一応私は、それはその程度にしておきたいと思います。
そこで宣誓は一体上司に行うということになるのでありますが、公安委員の場合には、誰に宣誓を行うことになりますか、この点伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/19
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020・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 国家公務員法におきまするところの宣誓は、任命権者の面前におきまして宣誓をするということになつているのでございます。宣誓は一体誰に対してやるかという問題でございますが、これは人事院の解釈といたしましても、又国民一般の、今日の民主憲法の下におきましての考え方からいたしましても、国民に対して宣誓するということが常識として考えられておるところでございます。又人事院の考え方もさようなようでございます。併しながらその宣誓を行う場合には、任命権者の面前においてこれを行うということになつているのでございます。公安委員の場合におきましても同様に宣誓は誰に対してというお尋ねに対しましては、やはり国民に対して宣誓を行うのだと実質的にお答え申さなければならないかと思いますが、総理府令で規定いたします際に総理大臣の面前で行うようにするか、或いは署名をいたしまして総理大臣の手許に、確かに自分は国民に対して宣誓をするという書類をお届けするような規定をいたしますか、そこは総理府令のきめ方でございましてまだ決定いたしておりませんが、とにかく形式上は総理大臣に対して署名捺印等をいたしまして宣誓した旨を確認して頂くという措置は講じたいと思いますが、宣誓そのものは国民に対してなすものというふうにお考え頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/20
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021・若木勝藏
○若木勝藏君 公安委員の宣誓につきましてもう一点伺いたいと思うのであります。公安委員には政党からも入つていることになります。そうなりますというと、政党人としての公安委員は「不偏不覚且つ公平中正」ということはわかりますが、不偏不覚ということになりますというとどういうことになりますか、この点に矛盾を来たしませんか、この点をお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/21
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022・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 公安委員のかたがたのうちには、政党員のかたも差支えないことに相成つております。併しながら警察の職務を公安委員として行いまする際には、不偏不党で行うという宣誓をいたし、実際不偏不党の職務の執行をして頂かなければならない、かように考える次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/22
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023・若木勝藏
○若木勝藏君 それでは次にもう一点伺いたいと思います。地方警察本部の本部長は国家公務員になつていますね。地方の警察職員は警視正以下のものは地方公務員になつている。地方公務員が国家公務員に対していわゆる宣誓を行うというような形が出て来ます。これは現在の事情は条例によつて地方公務員は地方公務員の上司に対して宣誓しておる、こういう点から考えれば、違つた性格の公務員に対して宣誓をしなければならないということはこれは矛盾を来たしませんか、この点を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/23
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024・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先ほど他の政府委員からお答えいたしましたように、宣誓は国民に対して、地方公務員ならばその地方の住民に対して宣誓をいたすという考え方でございまして宣誓の仕方は任命権者又はその代理者の面前でいたすということに成つております。さようでございまするから、地方公務員たる警察職員は、この任命権者が都道府県の警察本部長でありますから、その本部長の面前又は本部長の代理者の面前で、地方住民に対して宣誓をする、国民に対して宣誓をする、かように相成るのでございます。従いまして国家公務員たる警察本部長に対してするのではありません。又この場合における都道府県の警察本部長も身分は国家公務員ではございまするが、併しその職責は都道府県の警察の職員であります。都道府県の機関として任命をいたすのでありまするから、その点には何ら条理上も支障はないと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/24
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025・若木勝藏
○若木勝藏君 私先ずその程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/25
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026・秋山長造
○秋山長造君 三点お伺いしたい。只今の柴田総務部長の若木委員に対する御答弁によりますと、国務大臣たる国家公安委員も当然この三条の「すべての職員」というものの中に入れていいものだけれども、国務大臣たるものが不偏不党公平中正にその職務を遂行するのは、これは当然のことなので、特に宣誓の義務を課する必要はないと考える、こういう御答弁なのですが、その点担当大臣どのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/26
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027・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) その通りと心得ておりまするが、職務上政治的に中立を保つということは当然であります。併し内閣の一員たる国務大臣たる地位に鑑みましてそこまで規定をしなくても当然のことであろう、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/27
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028・秋山長造
○秋山長造君 政党内閣の国務大臣であつて、政党内閣というものはそれぞれの政党の主義政策を政治の上に反映させて行くというのが建前でありまする以上は、国務大臣が不偏不党、公平中正にその職務を遂行するということは期待できないのじやないか、むしろそういうことを特別に強調することは、その気持はわかりますけれども、字句通りに解釈をして行きますと、政党内閣という建前と矛盾抵触を起して来るのじやないか、このように考えるのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/28
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029・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 国家公務員法におきましても、公務員は宣誓をする、地方公務員においても宣誓をいたすわけでございます。その場合国務大臣にそうした義務は特にないのでございますから、そういうものがない以上、この第三条というものは宣誓の内容に対する規定でございますので、それと同じ趣旨と心得ております。ただ建前の問題として、考え方の問題として飽くまで不偏不党、公平中正に職務を執行すべきだと思いまするが、これはポリシイの問題として、政党としては或いは社会主義がいいとか、或いは資本主義によつて国の再建を行うがいいとか、そうした考え方はあると思いますが、職務遂行の上からいつて、個個の問題の扱い方、或いは全体の取りまとめ方、そういう問題に対して特に党派心を入れるということはこれ又その余地がないのじやないか、警察職務の持つ本来の性格上、そういう問題は生ずる余地がない、矛盾は感じないのじやないか、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/29
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030・秋山長造
○秋山長造君 その点私はやはり不偏不党、公平中正ということもそうですけれども、特に不偏不党ということと、政党内閣制ということは相容れざる概念であると考える。従いまして政党内閣の国務大臣たる者の個々の行動等につきましても、おのずから党派色、悪い意味の党派色が出ては勿論困りますが、いい意味の党派色が出るのは当然だと思うのです。ところが警察の運営ということになりますと、いい意味だろうが、悪い意味たろうが、いずれにしてもこれは党派色というようなものはいやしくも排撃されなければならない。それだけやはり国務大臣の仕事と警察の仕事というものはおのずから性質の異なつたものじやないか。従いまして国務大臣がおつしやるように、第三条の警察に関係するすべての職員という中に一応含めてもいいものだという考えに立つ以上は、やはり国務大臣だから不偏不覚に行動するのはもう当り前だ、はつきりこれは保証されているのだ、だから特に宣誓をやらす必要はない、こういう理窟は私は立たんのじやないか。そんなことを言えば公安委員だつて、公安委員になるくらいな人ならば有識者で相当立派な人が多いのだから、そういう人に何も国家公務員法を準用してまで宣誓さす必要はないのじやないか、これは同じことです。その点先般の大臣なり長官のお話では国務大臣というものは、国家公安委員長というものは全然この三条に言つておるようなものとは別のものだ、絶対にこんなものへ含める必要はないのだ、こういう議論だつたのですが、只今の柴田総務部長なり大臣のお話では含めてもいいのだ、含てもいいけれども、含める必要がないから特に謳わなくてもいいだろうというような議論になる、そこらに私はちよつとちぐはぐな点が感ぜられるのですが、その点もう一度お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/30
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031・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 私の言葉が或いは足りないのでそういう感じを持たれるかも知れませんのでもう一度申上げますが、私は公務員として、特別職の公務員をも含めての公務員として宣誓の義務はありまするが、副総理や国務大臣が宣誓すべきかどうかという問題はこれは問題としてあると思うのであります。併し現実に現在では宣誓をすることになつておりませんで、この三条においての規定は宣誓をする場合の内容に関する規定でございますので、従つてそれには含まれておらんということを申上げたのであります。先ほどの御答弁からする只今の御質問の趣旨は、私どもの申しておるのは制度上の問題と、それから気持の問題と二つあるのでございまして、先ほどのお話は建前といいますか、考え方の問題としてやはり警察職員、警察という職務に携わるようなものはすべて公平中正不偏不党という考え方を持つてその職務を遂行しなければならん、そうした考え方は無論ある、こういうことを申したのと、制度上からそういうふうになつていないということを申したのと、それを一緒にしてお考えになると只今のようなことになるかも知れません。趣旨はそういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/31
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032・秋山長造
○秋山長造君 だから大臣のおつしやるのは結局国務大臣というものに宣誓義務を課するというような性質のものではない。国務大臣というものは別個な扱いをすべきものだ、こういうことでしよう、それならわかるのです。それならわかるのですけれども、さつきの総務部長のお話では国務大臣たるものは不偏不党、公平中正に職務を遂行するのはこれは当然のことだからあえてここに言う必要はないのだ、こうなりますと、じやあその公平中正、不偏不党に国務大臣が職務を遂行するという保証がこの条文でなくてもどこかになくてはならん、こういうことになつて来るから、その点をお伺いいたしたい、私の解釈でよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/32
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033・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 私が先ほど御説明いたしましたのも、只今大臣と秋山委員との御問答と同じ内容のことでございまして、この場合に警察という職務ということを離れまして宣誓義務があるかないかといいますのは、国務大臣として或いは公務員としての宣誓の義務の有無なんであります。一般の公務員につきましては国民全体の奉仕者としての宣誓義務があるのでございますが、国務大臣にはそういう宣誓義務がないわけでございます。そういう意味で申上げておるのでありまして、そのない意味は今秋山委員がお話になり且つ大臣がお答えになりましたような、その地位からいたしましてわざわざ宣誓をしなくてもその性質上いいのだろう、こういう意味の御問答があつたわけでございますが、私が申上げましたのも、公平に仕事をしなければならないというのもそういう意味で総理大臣や国務大臣には服務上の規定が一々適用されておらないのだろう、宣誓義務もないのである、従つていきなり国務大臣について警察の職務についてだけ宣誓義務という問題が起つて参らないと、私どもはかように考えております。そういう意味でございますので一言申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/33
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034・秋山長造
○秋山長造君 それから公安委員の宣誓は誰にするかという点、さつき御答弁があつたかも知れないのですが、私ちよつと聞き漏らしたのですが、にするのだということは抽象的にはわかりますが、具体的には誰に向つて宣誓をするのか。例えば公安委員長の前で宣誓を読み上げるという形式をとるのか、或いは公安委員会の席上で宣誓を読み上げるというような形をとるのか、その点ちよつとお尋ねしたい。
それから警察庁長官は誰に対して宣誓をするのか、或いは公安委員長の前でやるのか、或いは公安委員会の席上でやるのか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/34
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035・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 先ほど若木委員の御質問に対しましてお答えをいたしたのであります。誰に対してするのかと仰せられますると、ただ実質上の問題になるのでありまして、先ほど来お答えいたしておりますように国民に対して行う、併し形式上のお尋ねであるかと存じます。これを誰に対してという意味は誰の面前でやるのか、或いはどういう手続でやるのかというお尋ねであると思いますが、国家公安委員につきましては国家公安委員会が総理大臣の所轄の下にあるのでございます。国家公安委員会自体が総理府の外局ということに行政組織上なつておるのでございますので、総理大臣に対してでは言葉がおかしいと思うのでございますが、総理大臣にこの国民に対して宣誓したということを立会つてもらうという意味において面前でやるか、或いは総理大臣に宣誓書に署名をいたしましてこれをお届けするか、いずれかの方法によるべきだと思いますが、私どもは大体後者の方法でいいのではないかと考えております。
それから第二のお尋ねの長官が誰に対してどういう手続でやるのかということでございますが、今後は一般職の国家公務員でございますので、国家公務員法の適用がそのまま適用されるのでございます。これは人事院規則で任命権者の面前においてやるようになつております。或いはその代理者の面前において、こういうふうになつておりますので、政府原案におきましては内閣総理大臣が任命することになつておりますので、内閣総理大臣又はその代理者の面前において宣誓をする、こういうことになつておるのであります。
修正案によりますれば国家公安委員会が任命権者になりますので、衆議院の修正案によりますれば国家公安委員会の面前におきまして国家公安委員会に対しまして国民に宣誓を行う、こういうことになるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/35
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036・笹森順造
○笹森順造君 この総則のこの法律の目的の根本のことで簡単にお尋ねしておきたいと思います。私どもは審議する過程におきまして、この法律が適用せられることになりました場合に、日本の国に警察国家ができ上るのじやないかという懸念、併しこれは自治体警察であるということを常に言つておられまするその通りに行われるかどうかという根本のことに関しましてお尋ねしたいのでありますが、第一条の中に、「この法律は、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持する」、そこでこの根本の理念が提案者においてどこに置かれてあるかということによつて、只今申上げましたようなこれが警察国家を生むようなことになつて今まで論議を加えられましたようなことの懸念が起つて来るか起つて来ないかというその本当の土台になるものがここに内蔵されておると考えられるわけであります。従いまして小坂大臣にお尋ねしたいのですが、個人というものと公共というものとの関係、いずれが一体優先すると考えるのか、この法律をお出しになつた根底になつておるところの社会構成上における個人と公共とのいずれが優先するものであるか、これについてのお考えをお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/36
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037・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 個人があつて社会が存在するか、或いは社会があつて然る後に個人というものの存在があるのかという議論がありますれば、私は個人と社会というものの関係は相関係にあるものでありましまして、個人と社会とが同時に繁栄する、同時に存在する。個人の繁栄があつて社会の繁栄があり、社会の繁栄があつて個人の繁栄がある、かようなものである。そういう関係を考えておるものでございます。憲法の十二条、十三条にもそうした関係があるのでございまして、やはり国民は憲法に保障される自由及び権利を持つておる。併しこれは不断の努力によつてこれを保持しなければならない。又これは常に公共の福祉のために利用する責任を負うものであつて、濫用してはならないという規定が十二条にございます。十三条においては「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」ということが規定されてありますが、個人と社会、或いは公共との関係においてはかような関係に立つものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/37
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038・笹森順造
○笹森順造君 その通りでありますからそのことを実はお尋ねしておるわけであります。つまりこの個人の自由の権利は、これを濫用してはならない、これは公共の福祉のために利用しなければならない、根本の理念として出発点はどこにあるか、やはり私は個人の自由ということが根本になつて、そこから起つて来るところの関係が今仰せられました相関関係になつて来る。この民主主義の根本の理念が、一体出発点がどこにあるかということで昨日から統治権の問題が起つており、或いは又これに関連した種々なるこの警察の構成の問題が起つて来るというわけでありまして、単に相関関係と申しましても、一体この出発点という点は他の言葉を以て申しますならば、一切に先立つて起つて来るところの法の権威の出発点がどこにあるかという認識、即ち支配者という権力によつて、国民を左右するというその権力主義が出てその社会の中、或いは国の中に国民がいるという従来の古い明治憲法のいわゆる統治権説のような考え方で出発しておるならば、やはりこの運営がそこまで自治体警察というものに対する暗影を投ずることになるし、そうではなくて相関関係で個人と社会との間のその福祉と自由との関係があると申しましても、個人の尊重ということは基本的な出発点がそこにあるということになりますので、この法律適用と将来における問題がおのずからそこからほどけて来るのではないかということで承わつているのですが、その点に対してただ相関関係ということをおつしやるけれども、根本理念のもとがどこにあるかということからお尋ねしなければならないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/38
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039・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 社会の秩序、安寧を維持するために法律があるのでありまするが、法とは何かということでございます。法とは人民の利益のために破るべからざると認識された一種の強要的な規律であるというふうに考えております。即ち個人の利益、個人の自由、そうしたものを破ることはできない一種の強要、而もその認識は客観的な公共の観点に立つて認識されるべきものである、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/39
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040・笹森順造
○笹森順造君 私は余り論議する意思は持つておりません。ただこの権力主義の公共という主体が優先して、そこから出発しておるのか、そうではなく、個人から出発しておるかというこの出発点に関してこの法は主権在民でありまして、無論国民ということが個個の国民だとは私は申上げていない。つまり国民というものが、全体の総合されたものを私は国民というのであつて、個々人ということは考えておらないのでありますけれども、併しながら一切の今後の法の運営に関しまして、従来いろいろと人権蹂躪のようなことが起つてみたり、弾圧のようなことが起つてみたりして、やがて警察国家が生れ出て、自治体警察がその鍵をなくするというようなことの憂いがありますので、一体今この内閣がどこに、今小坂大臣が言われる法の出発点、法を作るところのもと、お話のごとく法というものは公共の福祉のためでなければならない、これは仰せの通りであります。その法を作るもとが、どこから出発するかということなのでありまして、この根本の観念が一体小坂大臣はどこから出発しているかということは、これは議論するのじやない、あなたの信念を私は伺うだけの話なのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/40
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041・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) もとはとおつしやいますけれども、個人の尊厳、個人の自由、そういうものであろうと思つております。主権在民、統治権の主体は国民というふうに考えております。併し憲法十二条、十三条にございますように、個人の尊厳、自由を追求する権利というものが公共の福祉を獲得するためでなければならんし、公共の安寧を乱すものであつてはならない。それには個人の自由、権利というものは濫用は慎しまなければならん、その目的は公共の福祉のためにあるものでなければならん、こういうことであろうと考えております。ただ憲法十二条、十三条の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/41
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042・笹森順造
○笹森順造君 十二条、十三条のことは私も承知してお尋ねしておるので、その出発点は個人から出発するのだというような御発言であれば、それはお答えとして承わつておくわけであります。勿論その個人は或る制約の下にこの権利というものを利用する、濫用してはならないということはお説の通りだと私も思つております。併し出発点がどこにあるかということが将来において大事な鍵となりますので、お尋ねをしたわけであります。
そこでその問題はそれだけにいたしまして、民主的理念を基調とする警察の管理運営、こういうことを申しまするが、特に民主的理念の基調ということがこの全体の法律の上ではどういうふうに現われておるか。これに対して小坂大臣が特にこの言葉を使われた意味と、又その適用等の内容についてひと当りお話を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/42
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043・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 民主的理念と申しまするのは、民主主義の立場を根本とする考え方であります。憲法に定められておりまする国政が国民由来し、又国民の信託によつてであり、又国民の基本的人権が保障される、或いは地方自治の尊重というような観念が包括せられるのでありまして、この警察の制度におきましても、警察というものが国民の信託によつて、国民に代つてその職務を行う、こういうことが根本の理念になつておると考えておるのであります。章条に亘りまして今後逐条審議の際にも、或いは出て来ると存じます。第二条におきましても、警察の責務というところにもその気持は包括されているでありますし、全体の章条を通じて流れまする考え方というものは、地方の府県という自治体を単位として自治警察を持つ。併し警察の職務上国家的性格の責任もございますから、その範囲においての国家の何と言いますか、国家からする介入と申しますか、要請と申しますか、そういうものがあるのでございますが、府県の公安委員会というものが責任を持つてその責任を持つてその警察を管理運営する、こういうことであります。又国民によつて選ばれた民意の良識を代表する公安委員会という会議体が警察の全般を国においても府県においても管理する、こういうことであります。又府県自治体警察の中には都道府県の公安委員会が責任を持つて管理する、或いは地方公務員というものがその殆んど大部分の者が警察官である、或いは経費の負担というものは県の負担でありますから、県議会の審議を経て運営の基礎になる予算が作られますし、人事管理について条例を制定するということでございまして、例外的に五条にございますような国家からする介入がある、こういう建前が全体を貫いていることであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/43
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044・笹森順造
○笹森順造君 只今のお話で大臣自身も例外的な規定があるということを仰せになりましたが、私どもはこれを実は問題にしているわけであります。つまり一番先に申上げました警察国家ができる心配がある、これは必要以上に国権の介入が自治体警察の中に来るということの懸念を持つておりますので、この民主的理念を基調とするということだけで終始いたしておりまするならば私どもはこの法律に対して別段異論は差挾むものではないのでありますが、すでに大臣が今申述べられましたように特別の異例があるというところにこの法律は一貫性を欠く民主的理念の基調によるものではない、例外的なものが相当大きく出て来ておる。先ほど来前の委員がお尋ねしておりましたことなぞもこれに関係して来る。特に国家公務員たるものが地方公務員を任命する、任命権を地方公務員の上に持つということなぞがこれが果してそうした民主的な理念と考えられるかどうか。これは後の条文に関係いたしまするから、今の大臣のお言葉でその国家介入の例外的なことがこの中にあるのだということをはつきりと言つておられますので、私は理論の透徹の意味から考えて明晰なるお答えとは考えられない。やはり民主的な理念というものの中に例外的な規定が多分に私どもは発現せられるということを指摘いたしまして、私はこの場合における第一章の質疑は終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/44
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045・加瀬完
○加瀬完君 只今までの大臣の御説明或いは国警長官の御説明で、現行法の前文は改正法の第一条、第二条の中に挿入されてあるんだ、こういうお話でありますが、一条、二条をどう見ましても、これは法律の目的であり、或いは警察の責務でありまして、現行法の前文はこの目的の出て来る基盤、或いはこの責務の生ずる基礎、そういつた法律そのものの大前提をなしておるものじやないかと思う。全然一条、二条の性格というものと現行法の前文の性格というものは違つておると思うのでありますが、この点如何でありますか。私はその大前提をはつきりと現行法が明示しておるのは、そこに警察運営全般に対する大きな一つの指針を示しておるのじやないか。それを大前提をとつてしまつて目的、責務というものにその内容の幾分かを入れてもそれは現行法の性格とは違つたものに判断せざるを得ないということにならないか。こういう点についてもう少し詳しく御説明を頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/45
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046・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 御意見のように前文というものは大前提を現わすものであることはこれは法律の形態でございます。そこで大臣も御説明をしておられまするように、日本の立法形式といたしまして前文を付けるということは稀有の例外でありまするので、成るべく普通の立法形式によつたほうがよろしいではないかという法制局等の御意見もありまして、この法律には前文という形式をとらない普通の法律形式によるということになりましただめに前文という形式をとらなかつたのであります。そこで第一条はこの法律の目的、これも普通の法律の立法の形式でございます。この法律の目的の中に大前提の趣旨を取入れるということによりまして大前提の趣旨は十分第一条にも取入れられておるし、大前提を根本的に変えるというような意図は毛頭ない、かような意味で御説明を只今まで申しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/46
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047・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記をとめて下さい
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/47
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048・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/48
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049・加瀬完
○加瀬完君 大前提は一条、二条の小に入つておるとおつしやるのでありますが、一条、二条の中にはつきりと入つておるということであればこれはここで質問をする問題にはならないわけであります。一条、二条にきめられております、特に一条にきめられております内容と大前提の意図するものとは非常に食い違いがあると思う。例えば笹森委員のほうから御指摘があつたのでありますが、現行法の前文におきましては個人の尊厳というものが非常に強く打出されている。今度はそれと対等に公共というふうな言葉が強く打出されている。もう一つ非常に問題になりますのは「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」ということになつている。前には「国民に属する民主的権威の組織を確立」という言葉がはつきりと謳われておつた。今度は「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」ということになつておる。こうなつて参りますると、現行法によりましては非能率であつたんだ、これは今までの説明にもたびたび出ておりますから、そう認めてもいいと思う。或いは非経済的であつたんだ。こういうことになると思う。非能率とか非経済とかいうふうなことは何を基準にしてそういう言葉が言われるか。少くも現行法におきましては個人の尊厳でありますとか、地方自治の尊重でありますとか、或いは民主的権威の組織といつたものを建前にすれば、これは見方によつては能率的ではなくて、或いは経済的ではない場面が当然生ずるのです。併しそれはだからといつて価値的ではないということにはならない。それが民主的であり、それが人間の尊厳を尊重することであり、それが地方自治の本旨であるということであれば、それは現行法の目的からは当然許されなきやならないことなんです。そういう見方ではなくてただ「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」ということに改めるとすれば、それは結局現行法の前文の言おうとしておる、意図しておるところの大前提というものとは違つた方向をこの目的は示すものだと解釈せざるを得ないのでありますが、その点はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/49
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050・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先ず第一条の「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」という点でございまするが、大臣の提案理由の御説明にも警察の能率化を図るという点がこの法案の一つの目的であることは申すまでもございません。ございませんが、大体こういつた組織法におきましてはその組織というものは当該の仕事を行うについて能率的に行い得るそういう組織を定めるということは他の組織法におきましても皆第一条に明記をされておるのであります。この法律の第一条だけが特異な書き方をいたしたのではございません。その点は御了承を頂きたいと存じます。
そこで前文に掲げてありまする個人の尊厳でありますとか、或いは民主的権威でありますとかいう言葉は、これはそのままの言葉としては第一条には入つておりませんが、個人の権利と自由を保護するということはこれは個人の尊厳というものを基調といたしておるからこれが出て参るのでありまして、この中には当然この個人の尊厳、人権の尊重ということを基底にいたしておりますことは申すまでもないのであります。或いは民主的権威の組織ということも民主的理念を基調とするそういう警察の管理と運営を保障する組織ということと意味はちつとも変りはないと、かように考えております。これは前文というものの書き方というものと、法律の中の条文としての書き方というものが、これは法建言形式といたしましては、前文に書けば非常に厳めしいいろいろな言葉を使う、法律の条文の中に使いますときにはできるだけ普通の法律用語を使うというのが法案を作る通常の作り方でございますので、その作り方に従つたと、かように発言したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/50
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051・加瀬完
○加瀬完君 とにかく警察法は改正されようとしておるわけなんです。その警察法の改正された目的というものは一番この第一条に打出されているわけなんです。警察法は改正されたのだけれども、現行法と余り変りがないということが第一条の目的ではつきりと見分けがつくというならば、今の御説明が御尤もだということになるわけです。併し国民は警察法が変えられたのだ、どう変えられたのだろう、で現行法と一条、二条というものを比較して見るときに、政府委員が一条、二条に前文の大精神は入つているのだと言つても、実際この文を読んだつて入つておらないのじやないか、違う性格が出ているのじやないかというふうに判断される条文であるならば、これは性格そのものがもう変つて来たというふうに判断するのが当然であろうと思います。そこで今御説明がありましたけれども、「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」というものは、これは当然なものであるというふうに言われますけれども、こういうふうな第一条を書くということは、現行法は非能率だということを裏書きしておるわけです。現行法という中の、我々が判断の対象にすることは、現行法の一番の性格でありますところの前文の精神、その前文の精神の中に地方自治権の尊重とか、人間の権利の尊重とか、こういつたようなものは、これはやはり現行法の欠点として、そういう点を能率的という言葉でこれは何か排除していられるのじやないかというふうな推論が当然生れて来るわけなんです。これは非常に危険なことなんです。そうじやないのだと、現行法の前文の大前提というものは一つも覆つてないのだというならば、何故に殊更に「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」というものを「且つ、」という言葉の下に入れたか、問題はここなんだ。非常にこれは誤解を受ける、誤解を受けるというよりも、当然解釈すれば現行法とは違つた性格ができるというふうに解釈せざるを得ない条項であると思いますが、この点はどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/51
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052・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) ここに「能率的にその任務を遂行するに足る警察の組織」ということを書きましたが故に、人権の尊重、或いは民主的理念というものを能率の前に後退させなければならないということは出て来ないのでありまして、又さような考えは毛頭ございません。人権を尊重し保護しながら而も民主的理念をどこまでも守り通すという前提において、なお能率的に警察の任務を遂行できるように両々のこの法律の人権の尊重と民主的理念というものを確保をしながら、能率的な組織を定める、こういう趣旨でありまして、決して能率の前に大前提を後退させるという趣旨では毛頭ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 現行法の第一条「警察は、国民の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の捜査、被疑者の逮捕及び公安の維持に当ることを以てその責務とする。
警察の活動は、厳格に前項の責務の範囲に限られるべきものであつて、いやしくも日本国憲法の保障する個人の自由及び権利の干渉にわたる等その権能を濫用することとなつてはならない。」そういう現行法の第一条の目的並びに責務の規定と今度の一条、二条、こういうものを比較したときにどつちが警察の性格というものがはつきりしているか。何故に殊更こういうわかりにくい言葉を入れて、例えば「民主的理念を基調とする」という点について大臣の御説明はありましたが、御説明を聞けばわかる、併しながらそれが現行法前文に出ております「地方自治の真義を推進する観点から、」「人間の尊厳を最高度に確保し、」「国民に属する民主的権威の組織を確立する目的を以て、」この言葉を読んだだけで御説明を聞かないで理解できますか。或いは「能率的にその任務を遂行する」云々という言葉もそれは前文の精神と同様な点を強調して而も能率的にするのだという言葉がありますが、こういう言葉がありますために警察行政の能率化ということばかりが進んで、一面今長官の説明するような前文の精神というものが没却され、或いは排除されて来るという危険性も当然感じられるわけですが、現行法のほうが遥かにはつきりしていると思うのに、殊更に一条、二条、特に一条にそういうわかりにくい言葉、或いは解釈をすればどうも性格が変つたのじやないかと解釈されるような言葉、こういうものを入れなきやならなかつた理由は一体何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/53
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054・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 只今お読み上げになられました現行の第一条は、この法案の第二条に殆んどその通り入つておるのでございます。この点には毛頭変りはございません。結局問題は、前文と第一条の関係でありますが、前文の形をとらなかつたという理由は先ほど申上げた通りであります。前文の形をとらないでその趣旨を法律の各条文の中に書き入れるということになりますれば、我々甚だ知識が乏しいせいでありますか、結局第一条のような表わし方、これで十分表わされる、かように考えたのでありまして、それ以外には何ら他意はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/54
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055・加瀬完
○加瀬完君 只今までの御説明で、民主化と政治的の中立性、こういう一つの目的と申しましようか、そういうよりどころが一つあると思う。もう一つは能率化と経済化というよりどころが一つあると思う。この能率化と経済化という一つの点と、それから民主化と政治的中立性というこの一つの点と、二つを比べ合せましたときに、この第一条は両立して進むというふうに考えられるか、そうではなくて、現行法との権衡から見てこれは能率化と経済化ということは非常に強調されておるのだなというふうに解釈されるか。私は後者の解釈をとらざるを得ないのでありますけれども、御説明は両立させるのだという御説明でありますが、そう解釈できましようか、この一条で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/55
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056・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) この法律全体を通じまして、只今おつしやいました大事な原理を両立させたいというのがこの法案のすべてに通じておる狙いでございまして、第一条のこの書き方から申しましても、「民主的理念を基調とする警察の管理と運営を保障し、且つ能率的に「これこれというので、これは両立ということでありまして、能率的を優先させるという意図は毛頭ございません。その他の全体の仕組におきましても、警察の政治的な中立というものと、それから政府の政治の責任というもの、或いは地方分権というものと、又警察の能率的な組織というものとの調和、併立、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/56
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057・松澤兼人
○松澤兼人君 私も昨日この第一条とそれから現行法における前文なり、或いは第一条なりについて質問したのでありますが、加瀬君も大体同じような立場からこの第一条について質問をしているようであります。特に改正法の中において、能率的にその任務を遂行するという点が強調されている。これは強調しているのじやない、民主的理念を基調とする警察の管理運営というものと、能率的にその任務を遂行するということとはまあ二本建である、こう言われるのでありますが、併し我々はやはり立法的な立場から考えて見ますと、現行法になかつたものを新らしい改正法律案の中に入れるということには、そこに非常に大きな何か納得するに足るような理由がなければならないと思うのであります。いろいろとお話はありました。併しまだ十分に能率的ということが我々に納得できません。逆の立場から考えて見ると、従来のいわゆる市町村警察というものが、或いは国家地方警察でもいい、これが非能率的であるという一つの根拠に立つものであるということを一つ私たちは考えるのであります。一つは国の側からするところの一つの統制、中央によるところの地方の支配、これによつて機動性のある警察の管理運営をするのである。それこそボタン一つ押せば全国の警察力が直ちに行動に移り来るという、そういう一つの能率ということがその必要の理由であるというふうに了解できます。この二つの点につきまして御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/57
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058・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 能率的に物事をやつて行こうという場合に、どうしても民主的な管理運営というものが阻害せられるではないかという御意見かと思いまするが、どうしてもそうした一面のことは認めねばならんと思うのです。そういう点はあるかと思います。併しこれを如何に按配、調整するかということが、この法案全体に流れておる真意の存する点であるということも、しばしばの説明によりまして御理解を頂けたのではないか、又御理解頂けないにしても、私どもの意図するところはお聞きとり頂けたのではないかと思うのであります。この警察法の改正の主眼といたしますところ、即ちこの能率的ということの字句の持ちまする意味は、今お話の中にありましたように、或いは国警が非能率である、或いは自警が非能率であるというようなことを指しておるのでは毛頭ないのでありまして、現在のように国警、自警と地区的に別れ、そのおのおのが独立して運営されておる、こういう組織の点に問題があるのであつて、警察の持つ本来の国家的性格、或いは地方的な性格というものを併せ以て一本として、これを適当に按配、調整して行く、その機能を調整して行く、こういう組織的な変革が全体の能率を増進するゆえんであろう、こういうのでありまして、能率という言葉の中には、経済的に国民の負担を少くするという点を非常に強調しておるという点を御了解賜わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/58
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059・松澤兼人
○松澤兼人君 加瀬君は先ほど警察運営に対する一つのポイントといたしまして、能率経済、それから民主的な運営と政治的中立ということを言われました。私も実はその意見を以ちまして、その立場に立つて御質問申上げようと思つていたのであります。成るほど重複していると思われるところは国警と、それから自治体警察との間にある。そういう点はできるだけ他の方法によつてこれを調整するということは考えられるのであります。それは現行を改正するということによつて或る程度までそういう二重組織と考えられるようなことを調整できる。ところが今回の改正法は一部改正ではない。つまり現在の現行の警察法の一部分が非能率である、或いは重複組織であるとかということで、それを調整する、それをアジヤストするという目的のために作られたというよりは、全面的な改正であつて、その警察に対する根本的な考え方も違つておるし、そうして国の治安に対する責任を明確にすると共に、国から地方に対する一本の支配的な力をその中にぶち込んだという形の上においても、又ものの考え方においても非常に現行警察法とは違つたものが組まれておるのであります。どんなに小坂国務大臣がこの二つの調整を図つたと言われましても、私たちはそのものの考え方と、そうして国のいわゆる統治権に属する警察権能という、この新らしい考え方を持ち出したところに、私は先ほど申しました、ボタンを一つ押せば全国の警察を動かし得る、中央の支配というものを確立するという、そういう意図から全面的な改正がなされたのではないかと、こう考えるのであります。重ねて御答弁をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/59
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060・小坂善太郎
○国務大臣(小坂善太郎君) 現在国警、自警と二本建になつておる組織を前提としての調整というものには限りがあるのでありまして、その間の運営の妙というものにも限度がある、しばしば申上げておるのはその点でございます。今回の警察法は、この第一条の目的に謳つてございますように、従来の前文にありましたそのままの思想を目的としておるのでありまして、決して民主的警察の理念という根本を崩すということではないのであります。即ち国警、自警という制度をそのまま両方とも解体いたしまして、一本建にして調整を図る、こういうことであるのであります。先ほども申上げましたのでございますが、国からの統制と言いますか、管理と言いますか、五条二項にあるわけでございますけれども、国からの支配、即ち民主的組織というものでないという御断定は如何かと存ずるのであります。国からの意思が入つて行くということが民主的でなくて、地方でやれば民主的である、即ち国家公務員が民主的でなくて、地方公務員が民主的である、そうした議論は私はできないと思うのであります。即ち国からの、第五条二項にございますような、そうした組織も国家公安委員会というような民主的な会議体の管理に服して行われるのでありまして、いわゆるボタン一つ押せば全国が動くということにつきましては、一人の意思によつて全国が動くということであれば、そういうものでないということは、私どもがしばしばあらゆる機会において申上げておるのであります。国会におきましての論議、これ即ち民主的論議であります。地方議会における論議、これ又民主的論議であるのでありまして、要は如何なる組織によつて国の意思が実現され、如何なる組織によつて地方の意思が実現されるかということであるのであります。議論に亘りますから、この程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/60
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061・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/61
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062・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは速記を始めて。
それでは第一章は一応終了したことにいたしまして、暫時休憩いたします。
午後零時二十一分休憩
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午後四時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/62
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063・内村清次
○委員長(内村清次君) それでは休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。質疑を続行いたしまして第二章から始めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/63
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064・秋山長造
○秋山長造君 午前中の柴田総務部長のお話で、公安委員が宣誓をする相手は、「内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。」という規定によつて、総理大臣の前で宣誓をするというお話があつたんですが、そうなりますと、府県の場合は知事の前で宣誓をするということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/64
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065・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) そういうことになるかと思います。面前で行うか行わないかということは、先ほども申上げましたように、総理大臣に対しまして宣誓書に署名捺印をいたしまして送付をすると、こういう方法もあるかと思います。先ほどの秋山委員に対するお答えでは私は後者と申上げましたのでちよつとおわかりにくかつたかと思いますが、あとの方法がよかろうかと、総理府令できめることになつておりますので、考えておりますが、お尋ねの点といたしましては、総理大臣に対してということになるわけでございます。府県の場合はお説の通りだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/65
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066・秋山長造
○秋山長造君 それは現行法でもそういう形をとつておるのかどうかということが一点と、それから必ずしも総理大臣の面前でやらなくても、要するにその署名捺印をした宣誓書を総理大臣が手許に保管をしておくということで足りるのかどうかということと、二点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/66
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067・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) これは宣誓をすればいいわけでありまして、そしてその宣誓をしたということについて誰が立会うか、或いはしたということを確認をするということを主にして考えておりますので、従つて宣誓をしたことを総理大臣に署名捺印をして報告をするということも一つの方法であります。勿論面前において宣誓をすればそれで又確認をされるわけでございますから、確認の方法といたしましては二つ方法があるということを申上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/67
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068・秋山長造
○秋山長造君 そういたしますと、今の長官のお話では口頭でもいいということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/68
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069・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 国家公務員法の規定によりますると、宣誓書を読上げてあと署名捺印をする、こういう形式になつております。従つてただ口で言うだけではなしに、その文書を残しておくということが国家公務員法の宣誓の仕方の要件のようになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/69
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070・秋山長造
○秋山長造君 だからこの書いたものを読上げ、そうしてそれを誰かが確認すればいいんだというお話なんですけれども、そうすると総理大臣の前で書いたものを読上げて、そうしてそれを総理大臣に渡しておくという方法と、それからどこでもいい、公安委員室なら公安委員の部屋で自分で誰に向つてということでなしに壁に向つて読んで、それを誰かがそばでああ読んだということで立会つた人がそれを持つて総理大臣にいつどこそこでこういう宣誓をしたからと言つて届出る。この二つの方法どちらでもいいということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/70
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071・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/71
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072・秋山長造
○秋山長造君 さつき御質問をした第一点の現行法ではどうしておるのかという点、まだ御答弁がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/72
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073・柴田達夫
○政府委員(柴田達夫君) 現行法は国家公務員法がそのまま準用されておりまして、それによりますと、総理大臣の面前ということに、つまり任命権者又にその代理者の面前ということになつておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/73
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074・秋山長造
○秋山長造君 この間国家公安委員長の性格について緒方副総理の答弁によりますと、委員長は委員ではないという御説明がありました。それは長官も又小坂大臣も大体一致した説明でありますが、更に委員でない委員長が委員会の構成に加わつて採決権を行使するということについての法理論的な矛盾ということについて笹森委員から御質問があつた場合に、首都建設法の例をとられて説明されたのであります。併しながら首都建設法の場合は、これは首都建設法の条文の中に首都建設委員として九人の者が挙げてあるのだ。そうしてその中に建設大臣というものも又挙げられておるから、同時に第六条によりまして首都建設委員会の委員長は建設大臣を充てることが別に謳われておる。従つて首都建設委員会の場合の委員長は委員長であると同時に委員になつておるわけなんです。ところがこの国家公安委員会の場合はそうではなくして委員ではなくして委員長なんです。委員長オンリーです。その点についてどうしても我々民主的な委員会であるということを法理論的に認めがたいのですが、その点について更に当局の説明を頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/74
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075・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 先般申上げましたのは委員長に国務大臣の入つておる例を申上げたのでありまして、若し委員でない委員長の例として申上げたといたしますれば、誤りでありましたので、訂正を申上げます。委員会の構成はすべて委員を以て構成をするというのが大体の例でございますが、併し委員長と委員で構成をするということも法理上矛盾はない。この点は法制局からもお答えがありました通りであります。我々といたしましてはさような考えで立案をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/75
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076・秋山長造
○秋山長造君 法制局からも昨日そういう御説明があつたんですけれども、これはいわば全うな法律論としてのお話ではなくして、今度こういう非常に理論的にややこしい苦しい方法を考えられたについてそれについての理論的な裏付けをあとからこじつけようとなさるためにああいう答弁以外にはできなかつたんではないかと私は考える。少くとも、いやしくも国家公安委員会というものが本当に政府のおつしやるような民主的な運営の保障ということを貫かれる限り、委員でない者が部外から入つて来て、そして委員長の席を独占をする、そして而もその人が表決権こそないけれども採決権は持つておる、更に公安委員会の会務を総理する、外部に対して公安委員会を代表する、これは考えて見ると他の委員とはてんで問題にならないくらい強力な権限とそして発言権とを持つ性質のものである。このことによりまして公安委員会の民主的な運営、民主的な性格というものは非常に大きな制約を受けるということはこれはもう疑う余地がございません。その点について委員長に委員でない国務大臣を充てるということが、国家公安委員会の民主的な運営を飽くまで保障する最善の方法であるという理論的な説明を承わらなければ、ただ通り一遍の御説明では我々は到底納得することができません。その点につきまして再度長官の御見解をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/76
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077・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 公安委員会の政治的中立性を守るための最善の方法と申しますれば、これは委員長が国務大臣、国務大臣が委員長に入つて来ないという現在のままが最善の方法であることは申上げるまでもございません。併しながら警察という仕事の性質上、政府の政治責任というものもどうしても考慮しなければならない。そこでこの政府の政治責任というものと委員会の中立性というものをどこで調和をさせるか、警察の運営、警察の仕事の政治的中立性というもの、政府の政治責任というものをどこかで調和を図らなければならないという要請の下に国務大臣を委員長にすることによつてその調和を図りたいというのが原案でありまして、このために、然らば中立性が全く失われてしまうだろうというと必ずしもそうではない、最善のものとは言えませんが、これは一方の要請を満たすために止むを得ずかようなことを考える以外に途はないという結論に達したのでありまして、これによつて中立性が著しく侵されるということであれば格別でございまするが、政府といたしましてはこれによつて政治的中立性が全く侵されるという虞れはない、かように確信をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/77
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078・秋山長造
○秋山長造君 必ずしも侵される虞れはないということでありますけれども、我々が問題にするのはその必ずしもという点でありまして、必ずしもということは実際の場合になりますとこれは殆んど無意味な言葉になると思う。その政府のこの治安責任、或いは国家公安委員会との連絡、調整というようなことであるならば、何も民主的委員会の原則を破つてまでそういう委員とは全然別個なものを委員長に置くという形をとらなくても、普通の法律常識に従いまして、例えば公安委員の一人にそういう人を加えるということも或いは一つの方法ではないかとも思うし、更に我々としてはそれすらもよくないと思う。そこでどうしても担当大臣というものがありまして、そして予算を編成したり、或いは法律制度の問題を担当するという程度では政府の治安に対する考え方、方針というものが国家公安委員会に反映しがたい、或いは又公安委員会の意思が政府に反映しがたいということであるならば、更に竿頭一歩を進めて担当大臣はいつでも国家公安委員会の会議に出席をして意見を述べることができるというような途を開いても政府の説明される程度の役割であるならば十分その目的を達し得るのではないか、その点はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/78
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079・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) やはりオブザーバーのような恰好で出席ができるというようなことではやはり本当の意味において政府と公安委員会との正しい意思の疏通ということは困難ではなかろうかと、かように考えるのであります。やはり委員会の委員、或いは委員長として公安委員会というものについて何らかの責任の一端を負うという形でありませんければその意義がない、かように考えます。然らば御所見のような国務大臣を委員長でない委員として入れたらどうか、これも一つのお考えだと存じます。そしてその委員の中で委員長を互選をする、さような場合にはこれは国務大臣は実際互選によつて委員長に私は選ばれる可能性が非常に多いと思います。併しさような場合にはむしろ採決権と表決権二票を持つことに相成りまして、それよりはむしろ表決権は持たない、採決権だけというほうが中立性を保つのに適当ではないか、かように考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/79
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080・加瀬完
○加瀬完君 関連して、今の問題は何回も繰返されているのでありますが、行政委員会というものは内閣と現在でも無関係ではない。内閣にそれぞれ行政委員会の業務について担当する大臣があるわけなんです。それで支障なくやつておるし、又行政委員会の性格というものはそうあるべきはずなんです。特にあなたがたびたび説明するように不偏不党且つ公平中正を旨とする警察行政ということであるならば他の行政委員会よりもこの問題というものははつきりしなければならない。それを殊更に他の行政委員会にもないような委員会の中に委員でもない国務大臣を持つて来るということは、一体こうしなければならないという理由はどこにあるか、治安責任の明確化と言いますけれども、それだけでは、その言葉だけではどうも今までの説明でも何回聞いても納得できない。何故に他の行政委員会等と性格を異にしてこういう方法をとられたかという点を説明されたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/80
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081・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように警察治安という事柄につきましては、これが政治的に中立性を保たなければならんということは他の事務よりも一層要求せられるものだと考えます。それと同時にやはり国の治安ということに相成りますると他の普通の行政事務よりも政府が更に責任を一層強く考えなければならないという面も警察治安という面にはあるわけでありまするからそれでこの両方の行政を適当な方法によつて調整をしなければならない、かような必要性に鑑みまして本案を考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/81
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082・加瀬完
○加瀬完君 現行法によりましても内閣総理大臣の警察行政に対する発言の分野というものははつきりしておるし、或いは自治体警察と国警との、或いは自治体警察相互の治安責任に対する協力関係というものは法規上はつきりしておるわけです。この点我々が今まで聞いておるところではこのために特別考慮されている、法律で規定されているところの国家の権力を特に行使しなければならないという、行使というものはなかつたはずなんです。そうすると大して支障がなかつたというふうに認めざるを得ない、そういう点から考えましてもう一度今の点御説明頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/82
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083・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 現行法におきまして国家公安委員会が総理の所轄の下にあるということのほかに治安上重要な緊要な場合には総理大臣が指示をすることができるという規定がございます。今度はその規定は削除いたしました。これは併し具体的に緊急な、緊要な事態がありました場合に初めて指示ができるのでありまして、警察の事務、殊に国の治安という問題につきましてはただ事柄が起きてそれを処理するのに過ちがなかつたというだけでは足らんのでありまして、絶えず日常の治安の状況というものが、これが政治に反映されなければなりません。又政治のあり方というものがやはり治安に影響を来たすものでございまするから現在の総理の持つておりまするような指示権を指示できる、その場合に指示をしたらよろしいというものではないと、こういう見解に立つておるのでございます。従いまして第五条にありまするような事柄につきましてはやはり政府といたしましては重要な、重大な関心を持たなければなりませんので、さような意味から公安委員会の委員長を国務大臣として入れるのが最もさような趣旨にかなう妥当なものではなかろうか、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/83
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084・加瀬完
○加瀬完君 そうすると現行法においても総理の指示権というものもあるし、自治警同士の協力義務というものは規定されておる、これだけでは政治の責任が明確でないので政治責任の明確を期するというので国務大臣を公安委員長にするのだ、こう了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/84
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085・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/85
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086・加瀬完
○加瀬完君 それは結局不偏不党且つ公平中正を旨とする警察行政に政治責任という名前を借りて政治偏向なり、政党の機構なりというものを持込むことになるのじやありませんか。例えばそれはそういう方向であるという一つの例として第五条を見ましても、「国の公安に係る」ものという言葉があります。「国の公安に係る」ものということでありますれば具体的に或る事案が発生しまするとこれば全部報告をすることになるのですか。そうだといたしますればこれはあなたがたがどんなに自治体警察、府県自治体警察だといつたつて府県の警察というものは全部国の出先機関と同じようなものだという判断をせざるを得ないということになるわけでありますが、これと併せ考えましてやはりこれはどのように御説明があろうとも自治体警察というものを崩して国家警察の方向に持つて来たと、どうしても言わざるを得ないのではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/86
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087・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 国、殊に政府の政治責任というものを徹底的に明確にしようということを考えまするならば、こういつた公安委員会制度というものをやめまして、そうして警察庁長官にすぐ国務大臣を持つて来て充てるということにするのが最も政治責任が明確になるわけでございまするが、昨年の提案をいたしました警察法案はさような趣旨で提案をいたしておつたのであります。併しながらこれは責任は明確になりますけれども、併し中立性を侵す虞れは多分にありやしないか、国家公安委員会を公安管理会というものにいたしまして、その国務大臣たる警察庁長官の行う業務について監視、助言の機関に昨年はいたしたのでありますが、それではどうも国民に不安感を与えるという声が昨年の国会で相当強くございました。そこで考えまして政府といたしましては、又その審議期間中に、それよりは公安委員会に国務大臣を入れたほうがよいじやないかという有力な意見が出て参りまして、成るほどこれは誠に有力な、又いい意見であるということで、今度の提案をいたしました案にはさように出したのであります。これによりますると政府の政治責任を明確にするといいながら、徹底的には明確になつておりません。それは五人の公安委員のかたがたに正しくどの程度反映させるかというだけでありまして、併し正しいならば正しい五人の公安委員会のかたがたは十分その意見を反映させることができるであろう、不当なことには断乎として拒絶されるであろう。さように考えてこの案はよろしいと、かように考えたのであります。
又地方のほうに対しましても、政府の政治責任或いは治安の確保ということだけに重点を置きまするならば、府県にも公安委員会を置かず、或いは府県の自治警察というものにしないで、一本の警察が一番望ましいのでありますが、これは民主的な要請或いは警察の政治的中立性ということを侵害する虞れが多分にありますので、これもその面で二歩三歩後退いたしまして、府県の自治体警察とし、これに公安委員会を置くということにいたしまして先ほども申しましたように政府の政治責任、或いは警察の中立性、それから警察の地方分権制、いろいろな警察に対して要請せられる要件をここに調和を図つて、本法案といたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/87
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088・加瀬完
○加瀬完君 問題はですね。この公安委員会というものが置かれてあるんじやないか、だから民主的なんだとおつしやいますけれども、改正法案による公安委員会が自治体警察の公安委員会のような職能権限を持つておるかどうか、そういうような行使をできるかどうかということが問題だ。国家公安委員会にいたしましても、国家公安委員会が今までの国家公安委員会と同じような権能なり作用なりというものを持ち得るかどうかということを私どもは問題にしておる。それでですね、政治責任だとか、行政責任というものは行政委員会だつて持てる。行政委員会では行政責任、政治責任が持てない、だから内閣と直結させなければならないという考え方が私は腑に落ちない。
次は公安委員会というものを作り、府県公安委員会というものを作り、或いは国家公安委員会というものを作つてあつたところで、その作用というものが自治体警察で考えられておつたような、公安委員会のような本当の民主的権威の組織、或いは民主的運営というものに重点が置かれるような働きをなし得るかどうかという内容ですね、こういう点で疑義を非常に感ずるのでございます。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/88
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089・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) この公安委員今の運営は都道府県の公安委員会におけると同様に民主的に運用ができると考えるのでありまして、御質問の点は国務大臣が委員長に入つて来れば民主的な運営は不可能になりはしないかという御所見かと存じまするが、五人の、身分を保障された、そして国会で同意を得られた立派な民主的な方々が国務大臣が一人入つて来られたということによつて、私はその運営は非民主的になるとは考えられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/89
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090・若木勝藏
○若木勝藏君 関連して。これは非常に委員長が国務大臣であるということは私はこれは非常に問題があるのだと思うのであります。先ほどの質疑応答で更に私は疑問を持つておりますのでその点をお伺いしたいと思います。先ほど秋山委員の質問に対しましてですね、首都建設委員会の場合は建設大臣は入つているけれども、まあ委員である、従つて互選されて委員長になる場合もある、併しこの国家公安委員会の委員長というふうな場合にはこれと性質が違う、併しどうせまあ互選されれば委員長になるというふうなことになるのであつたならば、初めからそれを予想してですね、国務大臣を国家公安委員会の委員長にしておいたほうがいいじやないか。こういうふうなお話もあつたようでございます。それはですね、一つの慣習というか、或いは一般の儀礼というか、そういうようなことから考えたことでですね、私は委員でないところの委員長がですな、委員会の構成に加わつて、そうして最後の決を採るということは慣習ではなしに、法理的にどういうところの根拠があるのであるか。この点をどうも先ほど話を聞いて私まだ納得が行かないので再び恐れ入りますけれども御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/90
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091・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 国務大臣を国家公安委員会の中に入れる、そのまあ入れ方でございまするが、これをまあ委員として入れるということでありまするならば必ず一票の表決権が与えられるわけであります。そうしますると、これが委員であるとしますれば、普通の構成に従つてまあ五人の委員会でありまするから、二人のかたが国務大臣と同意見であれば必ず国務大臣のほうに決議になるわけであります。それよりは国家公安委員会の委員を五名にして、委員長たる国務大臣は表決権を持たんということにしたほうがむしろ中立性を保つのではないか、かように考えたのであります。立案の途中におきましてもむしろこれは委員として入れたほうがいいじやないか、そして互選によつて或いは委員長になられてもよろしいという意見も戦かわされたのでありまするが、これは必ず採決の際に一票を持つということを保障するよりは採決の際は表決権がない、そうして構成を委員は五名、そのほかに委員長としたほうが公正が保たれるであろう。かようは考えまして原案を作成をいたしたのであります。かような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/91
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092・若木勝藏
○若木勝藏君 そうしますと、首都建設委員会のほうを考えて見まして、建設大臣は委員としての一票を持つ、互選されて委員長になつたのだから又最後の決をとることができる、こうなつておりますけれども、実際的に委員となつて一票を投じて、それから又議長席に着いて最後の決をとるというようなことは、これはこの議決の際に多くは行われておらないことじやないかと思うのです。だからその点から考えれば、あなたはそういう場合があるからしてこの国家公安委員長のほうは初めから一票を持たせんほうが、委員としないほうがいいじやないか、こういうふうに言われますけれども、結果においては私は同じだと思う、どうですか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/92
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093・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) 国務大臣を普通の委員にいたしました場合に、それは御説のような互選で選んで委員長になりました場合には、可否同数でなければ採決権は持たないと思います。それで、さようであればこの現行法と同じことにやはりなるわけであります。委員長は互選によつて選ばれれば、これはやはり可否同数のときしか、大体可否同数のとき以外は採決をしないということになりますから、委員長は若しその慣習に従えば。併しその場合に普通の委員会の構成は奇数構成でありますから現在のように委員長と委員を合せて六名にならないで、国務大臣を入れて五人ということに相成るだろうと思います。さようになりますと、現在のこの原案よりは私は国務大臣の力を発揮する場合がそのほうが多いのじやないかと、かように思うわけであります。それで又委員長に互選されないという場合におきましては、国務大臣にあらざる委員が委員長になる、そうしてその委員長は表決権を慣例として行使をしない。国務大臣は成るべく、表決権を行使するということになりますると、そうした関係から申しますると、やはりその原案のほうが政治的中立性を保つという意味からは望ましいのじやなかろうか、かように考えて、これは私は詭弁を弄しておるのではなくて、さように考えて立案をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/93
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094・若木勝藏
○若木勝藏君 それで、今の問題は単にこの条文の今のところだけにとどまらないのです。これを更に別な方面から考えて見ますと、第十条の第三項に又関連を持つて来る、「委員は、政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治活動をしてはならない。」ここに関係を持つて来るわけです。そこで先ず私はこの「又は積極的に政治運動をしてはならない。」この内容についてお聞きすることから始めなければならないと思うのでありますが、この内容はどういうふうなことを示しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/94
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095・斎藤昇
○政府委員(斎藤昇君) これはこの前にも御答弁を申上げましたように、委員は普通の政治活動というものまで禁止することは、これは思想或いは結社言論の自由を余りに拘束をいたしまするので、委員の職責に鑑みまして或る政党、或いは政治的団体の役員になる、幹部になる、或いは政治運動を積極的に行うと、いわゆる自己の政治的な見解を発表するというような位置にとどまらないで、或る政治目的を持つてその目的を推進し、或いは指示し、或いは特定な政治……、そういつたような意味で活動をするということはやはり公安委員の不偏不党に職務を遂行しなければならないという事柄にも鑑みましてこれは禁止をしたほうがいいのではないだろうか、丁度この規定は裁判官の政治活動の禁止、或いは政治団体の役員になることを禁止しておりますのと同じ条文に作り上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/95
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096・内村清次
○委員長(内村清次君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/96
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097・内村清次
○委員長(内村清次君) 速記を起して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/97
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098・島村軍次
○島村軍次君 総理大臣の出席もありますので、総理大臣の質問は継続されるほうがいいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/98
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099・内村清次
○委員長(内村清次君) その点は私も思つて総理を今まで待つておつたのですが、(「やれやれ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)すぐ総理を呼んで来るというようなことで今まで待つておりましたけれども、まだおいでにならないので、暫時休憩をいたします。
午後五時二十二分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X04919540602/99
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