1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年六月十日(木曜日)
午前十時四十四分開会
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出席者は左の通り。
理事
石村 幸作君
堀 末治君
小林 武治君
伊能 芳雄君
伊能繁次郎君
木村 守江君
長谷山行毅君
館 哲二君
島村 軍次君
衆議院議員
保岡 武久君
鍛冶 良作君
政府委員
自治政務次官 青木 正君
自治庁次長 鈴木 俊一君
自治庁行政部長 小林与三次君
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した事件
○奄美群島復興特別措置法案(衆議院
提出)
○公職選挙法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
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001・堀末治
○理事(堀末治君) これより地方行政委員会を開会いたします。
奄美群島復興特別措置法案を議題といたします。先ず発議者保岡武久君より提案理由の説明をお伺いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/1
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002・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 只今提案になりました奄美群島復興特別措置法案の提案理由、並びに、その内容の概略を御説明申し上げます。
奄美群島在住二十万同胞の日本復帰の悲願が、終戦後八年にして漸く達成され、昨年十二月二十五日正式に我が国に復帰致しましたことは、なお、記憶に新たなところであります。敗戦という厳然たる事実の前に、やむを得なかつたものとはいいながら、同じ血を分けた同胞が、あたかも生木を引裂くがごとく母国の懐から切り離され、大海の孤島に、孤立した生活を営むことを余儀なくされた八年の長きに亙る辛苦は、如何に筆舌に尽し難いものであつたか、誠に御同情を禁じ得ないのでありまして、雄々しくこの困苦に耐えて、母国復帰の喜びをかち得られた方々を迎えた八千万同胞としては、この長きにわたる空白を速かに埋めるために、できる眠りの方途を講じ、同群島の急速な復興と民生の安定とを期することは、その義務であると存ずるものであります。
同群島は、大島本島、徳之島、喜界島、沖永民部島、与論島の主要五島の中心として、大小十余の島嶼からなり、面積は十二万八千町歩でありますが、田畑は僅かに一万六千町歩、総面積の一割三分強に過ぎず、経済的にも極めて恵まれない環境にあります。戦前におきましても、同地域の経済的自立は頗る困難でありまして、同地域の経済を内地経済と同様の程度に引き上げるためには、国の強力な施策を必要とするものとされ、昭和十年を初年度とする大島郡振興十カ年計画が立てられておつたのであります。この復興計画は、実施の緒についておりましたが、昭和十二年に日支事変が勃発し、引き続き太平洋戦争への進展に伴い、その後遅々として進まず、終戦を迎えるに至つたのでありまして、同地域の経済の基礎を固めるにはほど遠いものがあつたのであります。その上、太平洋戦争による同地域の戦災は、沖縄を失陥に伴い極めて激甚で、学校等の公共建築物を始め一般産業施設に至るまで殆んど破壊焼尽され、而も終戦直後行政分離を宣せられ、その後本土との経済交流は全く杜絶し、一般産業は窒息状態に陥り、同地域の復興は放置に委されて、八年間の苦難の日が続いたのであります。
以上の如き経緯に鑑みましても、同地域の復興は、単に、行政分離中の空白を取り戻すだけではなく、二十年以前からの宿題でもあるのでありまして強力な国の復興策なくしては、同地域は内地並に生きる途がないことはあまりにも明らかであります。更に一歩進んで考えますに、同地域は沖縄に最も近接しており、対沖縄貿易が盛んでありまして、同地域の復興は、これらの交易関係にも多大の好影響をもたらすものと考えております。
御承知のごとく、離島の振興のための一般的制度として、離島振興法が制定されておりますが、奄美群島につきましては、右に申述べたような特殊事情に鑑み、離島振興法によつては到底その復興を望むことができず、強力な特別の復興対策を講じなければならないと信じます。而して、同地域の急速な復興については、できるだけ簡素な行政機構で諸施策を計画的に強力に行い、その実効を具体的に挙げることが必要でありまして、これがためには、総合的な復興計画の樹立と、その樹立及び実施に関する事務の一一元化、並びに計画の実施に要する経費についての国の強力な措置が緊要であります。これらに関し、速かに特別法を制定することは、原住民の間において強く要望されていることは勿論でありますが、奄美群島の復帰に伴う法令の適用の暫定措置等に関する法律案の、審議に当つて、国会においても論ぜられたところであります。
本法案の内容の概略を御説明申上げます。条文の順を逐うて申上げますと、第一条は、本法律の目的でありまして、奄美群島の復帰に伴い、同地域の特殊事情にかんがみ、その急速な復興を図り、住民の生活の安定に資するための特別措置として総合的な復興計画を樹立し、実施すべきことを謳つたものであります。
第二条から第五条までは、復興計画の樹立及び実施に関する規定であります。奄美群島の復興のため必要な事業は、これを総合的、計画的に実施することが必要でありますので、復興事業は、その地域における総合的な復興計画を策定し、これに基いて計画的に実施することといたしたいのであります。復興計画は、鹿児島県知事が計画案を作成し、内閣総理大臣が奄美群島復興審議会の審議を経て決定するものとし、これに基いて年度別の実施計画を鹿児島県知事が定め、これを鹿児島県知事及び関係地方公共団体等が、それぞれ計画の定めるところにより、実施するものといたしております。
第六条は、復興事業に関する経費の支弁及び特別の助成に関する規定でありまして、同地域の復興計画を急速に実現するには、国において強力な特別の措置を講ずることが必要であります。これがため、復興計画に掲げる事業のうち公共土木事業については国費の支弁とし、文教施説その他の復興事業の実施用に要する経費については、国は、余額又は高率の負担又は補助をすることとし、別表において他の法令に対する負担又は補助語の特例を具体的に定めることとしております。
なお、同地域の基幹産業であるつむぎ、黒糖及び漁業並びにすべての生産の基礎をなす電気事業の復興を期するために、これらの事業者に対する県の貸付金に対して、国の財政資金から、特別融資を行うことができるものといたしております。
第七条及び第八条は、奄美群島復興審議会に関する規定でありまして、復興計画の審議、その地奄美群島の復興に関する重要事項を調査審議するために、関係行政機関の職員、鹿児島県知事、同議長、学識経験者、の二十人以内で構成する審議会を、総理府に設置することといたしたいと存じます。
第九条は、復興事業の実施に関する指揮監督に関する規定でありまして、先に述べましたように復興事業を総合的、一元的に実施するために、内閣総理大臣に、総合調整権及び事業の実施者に対する指揮監督権を認め、また、鹿児島県知事には、現地における計画の総合的な実施のために、市町村長等に対する指揮監督ができることといたしております。尤も、この権限は復興計画に基く事業の総合的な実施を期するのが本旨でありますので、各省大臣等の法令に基く指揮監督権を排除するものでなく、その趣旨を明かにいたしてあります。
第十条は、復興計画の実施に当る職員に関する規定でありまして、復興事業は、国費により、又は、高度の国の助成により、強力に実施することが必要と認められますので、現地においてこれに従事する職員は、国家公務員とすることとし、その任免及び進退等は建前上内閣総理大臣が行うこととするが、内閣総理大臣は、この権限を、鹿児島県知事に委任できるようにしております。
第十一条は、復興事業に関する事務の所管に関する規定でありまして、この法律に基く内閣総理大臣の権限の行使に関する事務、審議会に関する事務、その他復興計画の策定及び復興計画に基く予算の執行に関する国の事務は、一括して処理することが適当と認められますので、これを自治庁において掌理する旨を定めてございます。
附則第一項は、この法律の施行期日及び有効期間、第二項は、第四条にいう年度別実施計画の本年度に関する特例、第三項は、審議会の設置に伴う総理府設置法の整理をいたしたものであります。
以上、本法案の提案理由及びその内容等の概略を御説明申上げました。奄美群島の占領八年間に亙る長い空白を速かに埋め、同地域の急速な復興を図り、二十万同胞が喜びに燃えて、相共に日本の再建に邁進する日の一日も速かならんことを希求し、本法案の成立を切に願うものであります。
何とぞ慎重審議の上速かに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/2
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003・堀末治
○理事(堀末治君) なお保岡君に申上げますが、本法案の要綱について一通り御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/3
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004・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 第一に、奄美群島の特殊事情に鑑みその急速な復興を図り、住民の生活の安定に資するために、特別措置として総合的な復興計画を策定し、これに基く事業の実施をすること、これが第一の趣旨でございます。復興計画は、おおむね五ヵ年を目途といたしまして、次に掲げるような事業を内容とすることにいたしております。第一は、公共土木施設の整備事業。第二に、土地改良及び林業施設の整備事業。第三、公立学校施設の整備事業。第四、つむぎの生産、製糖等の主要産業の復興事業。第五が、保健衛生及び社会福祉施設の整備事業。第六、電力、航路及び通信施設の整備事業。第七、はぶの類及び病害虫駆除事業。これは現地の特殊な問題でございますので、特に掲げたのでございます。第八、前各号に掲げるもののほか、奄美群島の復興に関し必要な事業ということにいたしてございます。第三、計画は、内閣総理大臣が鹿児島県知事の案に基き、奄美群島復興審議会の議を経て決定することにいたしております。第四は、復興計画に基く事業の実施に要する経費は、公共土木施設の整備事業につきましては国費を以て支弁することにいたしております。その内容は別表第一に書いてありますが、道路、河川、砂防、港湾、漁港、海岸、その六種類であります。これにつきましては全額国庫支弁ということにいたしたいと存じます。このための事業につきましては、別表第二に掲げております土地改良、林業施設、文教施設、保健、衛生及び社会福祉施設、これらにつきましては、高額の国庫負担若しくは補助ということにいたし、更に又第六条の第三項に、補助率、負担率等をきめずに、全額若しくは一部ということにいたしまして、少し幅を持たしてあります規定がございますが、これは、奄美群島における産業の復興のために必要な試験研究施設の整備の事業。第二には、本土と奄美群島内の各島を連絡するための地方公共団体の船舶及び通信施設の整事業。第三、はぶの麺及び病害虫の駆除に必要な事業。四、水産、亜熱帯性農林作物の生産及び養蚕の振興に関する事業。五、前各号に掲げるもののほか、奄美群島における民生安定に必要な産業の復興に関する事業。これらの問題につきましては、その事業の性質、効果等に応じまして、適当にその都度率を定めるということに幅を持たしてあるわけであります。そのほか、更に第六条の第四におきまして、電気事業、つむぎの生産事業製糖事業、水産業、この四つの基幹産業につきましては、県の貸付金に対しその八割、十分の八に相当する金額を国庫資金から貸付けることができるという規定にいたしてあります。
要綱の第五は復興計画に掲げる事業の実施は、国費で支弁する事業については、原則として鹿児島県知事が行うものとし、その他の事業につきましては、復興計画の定めるところにより、鹿児島県又は市町村等が行うものとすることといたしております。第六、復興計画に掲げる事業の実施の事務に従嘉する鹿児島県の現地職員は、国家公務員とすること。にいたしております。これは先ほど提案理由に申上げましたように、国の全額支弁若しくは高額の負担補助等によつて、やることでございますので、十分に指揮監督ができますために、地方自治法の規定にかかわらず国家公務員としておいたほうが事業の適切なる遂行に効果的であるという考えかたでございます。第七に、内閣総理大臣は、復興計画に掲げる事業の実施について、総合調整を行い、地方公共団体の長その他の機関を指揮監督するものとすること。但し、各省大臣の法令の規定により指揮監督の権限の行使を妨げないものとすること。という規定を設けております。これは現地におきまして各省からの指揮監督が非常に複雑に亙りましては、現地の復興事業というものの進捗に多少支障を来すのではないかというように考えられますので、その調整を総合調整を是非とも内閣総理大臣においてやつて頂くほうが従来の例に徹しましてもよろしいという建前から、こういう規定を設けましたが、併しながら各省大臣が法令によりまして、現実に持つておられますところの指揮監督権、それをこの規定によりまして排除する意思は毛頭ないのでございまして、各省大臣といたしましては、当然それぞれの法令によつて、奄美群島におきまする復興事業についての指導指揮監督をして頂いても結構なのであります。
第八は審議会の構成でございます。二十人以内の委員をもつて構成することになつております。委員は関係行政機関職員大体十名程度になる予定でございますが、関係各省行政機関の職員、それから現地から鹿児島県知事、鹿児島県議会議長その他学識経験者を以て構成いたしますが、すべて内閣総理大臣の任命によるものといたしております。その次の第九は審議会に関する事務その他復興計画の策定並びに復興計画に基く事業の予算の執行に関する国の事務は、これはいろいろ従来の行政のありかたといたしましては、各省がそれぞれ予算を持ち、各省がそれぞれの立場において事業を実施し予算を見積執行するということになつておるのでございますが、鹿児島県の極く一部でもございますし、又事業を急速に実施し、その効果を挙げるということも必要でございますので、この際はこれらの事務を一元的に行うことといたし、その仕事をこの自治庁においてやつて頂くことが、いろいろな面において好都合であるという建前から、こういうようなふうにいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/4
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005・堀末治
○理事(堀末治君) どうぞ質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/5
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006・島村軍次
○島村軍次君 この法案の中で復興計画は鹿児島県知事が定めて内閣総理大臣の承認を得る、こういうようなことになつておるようですが、あの計画で大体の予算はどういうような予定でおられるか、又この今回の法案に伴う経費は現に計上済みのものであるが、或いは今後の問題になるのか、それらの点を明らかにして頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/6
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007・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 奄美群島の現在の状況というものを急速に復興いたしまして、何年で一体本土に準ずるような程度に引上げるかということにつきましては、いろいろ問題がございますが、これは余り長く引延ばすということもどうであろうかという考えもあり、又余り短日月にやろうとしても無理があるのではないか、大体五カ年計画、おおむね五カ年計画ということをこの法案の第二条第二項に規定しております「前項の復興計画は、おおむね五箇年を目途として達成されるような内容のものでなければならない。」と同時に、この法案は昭和三十六年の三月三十一日までの時限法になつておるわけでございます。これは附則の第一項にその点を明記いたしておるわけでございます。おおむね五年を目途として復興事業を行うという趣旨でございます。なおどの程度の復興予算がかかるかということにつきましては、五年を目途といたしましたところの復興計画がこの法案が通りますならば、通過いたしますならば、今年の十月三十一日までに内閣総理大臣はこれを策定されなければならんことに相成つておりますので、その際に、それまでの間にいろいろと固められて行くことと思うのでありますが、現地の大体の推定から考えてみますと、恐らく百五十億前後の経費を要するのではないかというようなことが考えられるのでありまして、これは復興計画の策定までになお十分に検討いたしまして、実際的な計画を立てて行かなければならんというふうに考えております。昭和二十九年度に関しましてはすでに二十億という奄美群島復帰善後処理費という費目で予算が通過いたしておりますので、この予算の範囲内において大体この計画を策定して行くということになるかと思うのでありますが、現地から考えてみますと、二十億の予算というものがすべてこの復興計画に基いて復興事業費に充てられるかというと、そうでないのでありまして、昭和二十八年の十億と同じように国が直接、例えば平衡交付金法或いは生活保護法その他各種の法令によりまして、当然国が負担するすべての費用も全部二十億の中から支出するという建前になつておりますので、現実に復興の費用に充てられる費用は今のところ大体六、七億程度しか見込まれていないのではないか。この費用は奄美群島の現在の状況から考えますと、非常に過小な費用であるというふうに実は考えておる次第でありますが、二十九年度は恐らく二十億という枠内で奄美群島に関するすべての処理をするということになつておりますので、その範囲内で一応の計画を立てて行くということに相成るかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/7
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008・島村軍次
○島村軍次君 これに伴う鹿児島県の負担がどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/8
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009・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 只今のお尋ねの点でございますが、これはこの法案が成立いたしました場合において審議会におきまして、復興計画が審議せられ、決定をいたしまして、政府としてどういうふうに二十億の金を振り向けるかということが具体化いたしませんというと、ここの別表の第二等に定めてございまする負担の割合が明確になりませんので、従つて只今のところでは具体的に二十億に対応する地方負担が幾らであるかということはちよつと明確にいたしかねるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/9
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010・島村軍次
○島村軍次君 この審議会の構成メンバーは大体説明を受けたのでありますが、二十人のうち国会関係の人が五人と、それから鹿児島県知事、議長が入つて、あと学識経験者となつておるのがどの程度入れるかということと、それから只今お話の関係行政庁の職員といいますか、この予定はどういうふうに予定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/10
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011・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) ずつと前の案には国会、参衆両議院から五名出ておりましたが、これは必要があつたら学識経験者の中から出れるという建前で一応これは削りました。この法案にはございません。その他の問題については自治庁からお聞き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/11
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012・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今自治庁のほうで一応考えておりますことは、大体各省は、これは殆んどすべての各省が皆関係しておりますので、まあ七、八人はどうしても関係各省の次官に入つて頂かなきやならんと考えております。あとは今保岡議員から御説明いたしました通り、国会のほうは原案においては入つておりませんので、知事等鹿児島県の議会の議長が入りまして、あとは学識経験ある者でございますので、この卓識経験ある者は恐らくは現地における学識経験者、或いは更に現地出身で中央においていろいろ働いておられます学識経験のあるかたがた並びに一般的に復興についてそれぞれの専門的な知識経験のあるかたがたこういう考え方で選ばれると思うのでございまして、それでございますから、あと十名余りはそうしたかたになつてもらおうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/12
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013・島村軍次
○島村軍次君 そうしますと、最初の原案の国会議員は削除したということですから、国会議員は入らんものと解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/13
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014・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 現在の案が通れば入らないと、こういうことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/14
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015・島村軍次
○島村軍次君 それから国の負担又は補助の割合が十分の四から十分の八とか、或いは五から八とかいうことは、復興計画に従つてその率を定めるということに了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/15
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016・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) その通りだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/16
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017・島村軍次
○島村軍次君 私は奄美群島の実際の状況はよく存じませんけれども開墾干拓とか、或いは埋立てというような問題が当然起つて来ると思うのですが、それはどこに入るのですか、この計画のうちには土地改良のうちへ含むことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/17
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018・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 土地改良の中に入ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/18
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019・島村軍次
○島村軍次君 そうしますると、これらの仕事はこの別表によりますと、海岸、漁港、港湾等は全額国庫でありますが、干拓等は補助でやる、こういうことに了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/19
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020・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) この法律によりますとそういうことになると存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/20
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021・島村軍次
○島村軍次君 提案者のほうはそれで結構なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/21
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022・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) この問題につきましては立案の際にいろいろと研究をいたしたのでございますが、結局国家の直営によりましてもやはり相当の負担があるわけでございまして、それらと勘案いたしましてこの案で行こうということにきめた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/22
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023・石村幸作
○石村幸作君 この離島の復興とか振興に関しては、先に離島振興法というのが制定された、ここに提案理由の説明にもあるのですが、この離島振興法では足りないというのでこの法を制定するのでしようが、そうなるとこの離島振興法との関連とか又この振興法に抵触……、それをどういうふうに扱うことになりますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/23
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024・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 私たちの了解いたしますところでは、要するに奄美群島の復興は一般の離島振興法では到底間に合わない、力が足りないというので、それの先ず特別措置として考えられたのでございますので、先ず差当りはこの特別復興的な措置をせられまして、そしていわばこの特別復興が仮に終つたならば、いわゆる一般の離島の段階になるだろう、こういう考え方で来ているわけでございます。普通の離島並みで扱つてよいのなら離島振興法でもいいと思うわけでございますが、普通の離島並みに及ばない状況にあるわけでございますから、最小限度そういうところまで急速に復興しなければならない、こういうふうな考え方でこの特別措置法ができたものと、そういうふうな趣旨で了解しているのでございます。でありますから、差当りは皆この特別復興法において当分の間一切の措置が講ぜられる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/24
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025・小林武治
○小林武治君 私はもう少し根本的なことを伺つてみたい。一体これは議員立法であるが、政府はこの法案をどういうふうに思つているか。これはむしろ大臣に聞きたいくらいの問題ですが、この法律を本気で扱おうとしているかどうか。この心構えを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/25
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026・青木正
○政府委員(青木正君) お話のごとくこの法律は議員立法になつておりますが、奄美大島の復興につきましては、提案理由にもございます通り、私どもも現在の状態から見まして急速に復興しなければいかん、そういう考えに立ち、又二十九年度予算に一応二十億の振興費は計上されておるのでありまするが、これを使いまする場合に、やはりこうした特別立法のあつたほうが極めて適切である、かように考えておるのでありまして、幸いにしてこの法案が成立いたしますれば、政府もこの法案の趣旨に則つて急速に奄美大島の振興を図りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/26
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027・小林武治
○小林武治君 普通の考えから言えばこの法案の構えば少し大き過ぎるぐらい大きい、こういうふうに思つておるのであります。奄美大島が全部で十二万町歩の面積と、又人口二十万、こういう建前からすれば、この法案の構えというものは非常に大きくできている。構えば構えとして、構えだけで終つて内容が非常に乏しいというふうなことに私は心配がありはせんかということを憂えておるのでありますが、その点は政府も構えに伴うだけの気構えで以てこれに応ずるつもりかどうか、こういうことを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/27
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028・青木正
○政府委員(青木正君) その点につきましては先般の衆議院の委員会におきまして、本案の審議に当りまして長官からも申しておるのでありますが、できるだけ最小の経費で最大の効果を挙げる、こういうことのためには、やはりこうした特殊立法を御制定願つてやつたほうがよろしいのじやないか、而もまだ昨年復帰したばかりでありまして、これからこの計画によりますと五カ年間で復興評面を立てる、こういうことを考えますときに、私どもといたしましても、できるだけこういう特殊立法によつてこれに応ずるように復興計画を樹立して行くことが適当じやないか、かように考えるのでありまして、構えを大きくするというか、徒らに構えを大きくするという意味でなくして、最小の経費で最大の効果を挙げるようにするためにはこうした特別立法が適当じやないか、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/28
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029・小林武治
○小林武治君 私は大島の現地も多少見て来ておるのでありまするが、何しろ日本も乏しい財政である、従つて私は計画を作るについては、できるだけ正確にしてもらいたい。もういわゆる在来の災害その他においては、どうも水増の大きな計画がとかく出易い、従つて私は大島の復興は是非必要であるが、できるだけ現地の実情に適した、今お話のような効果を挙げるような、本当に大島の復興になるような仕事に金を注いでもらいたいと思うのでありまして、これらの計画の策定、或いは計画の決定というものについては、私は真剣に取組んでもらいたい、こういうふうに思うのでありまして、ただ地方から出て来た、これをいい加減にやるということでなくて、本当の実際に適応した計画に基いてこれを厳格に施行してもらいたい、こういうふうに思いまするが、その点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/29
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030・青木正
○政府委員(青木正君) 御指摘の点、誠に御尤もでありまして、衆議院の附帯決議の趣旨も全くそこにあると思うのであります。そうして又この法案の考え方もそうした考えに立ちまして、各省がばらばらでいろいろ不経済的な施策をやつても無駄でありますので、できるだけこれを一元化し、そうして強力に復興計画を推進したい、こういう考えに立つておるのでありまして、幸いにしてこの法案が成立いたしますれば、この法案の趣旨もそこにあろうと存じますので、政府の考えも又そこにありますので、法案の趣旨に則つて強力に無駄のないように実施して行きたい、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/30
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031・小林武治
○小林武治君 その点は私は提案者の方々にも希望いたしておきますが、本当に地についた計画を立つてもらいたいと思うのでありますが、ただ徒らに厖大な計画に担われないで、本当に大島の復興に役立つような、いわば地についた計画を立てて、そうして効果の挙がるように私は実施して頂きたい、特にそういう要望をしておきたいのでございます。それからこれは自治庁で以て所管される、これは統一事項のためには結構でありますが、然らば予算としては自治庁の所管の予算になるのかどうか、伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/31
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032・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今予算はまとめて自治庁で計上することになります。これは十一条はその趣旨だと我我了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/32
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033・小林武治
○小林武治君 二十八年度の予算も、本年度の予算も、恐らく大蔵省所管になつていると思いますが、予算の組替えをいたしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/33
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034・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) この法律案が通りますれば、二十九年度の予算は大蔵省から自治庁に移し称えられまして、自治庁でまとめて実施する、こういう手続きになつているのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/34
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035・小林武治
○小林武治君 なお、この計画の実施に当る職員を国家公務員にする、これも私はまあそれでよろしかろうと思いますが、それは総理府の職員になると、こういうふうに了解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/35
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036・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/36
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037・小林武治
○小林武治君 それから今もお話がありましたが、もう早速今年の計画も迫つておるのでありまするが、これらの計画の策定はいつ頃までにできるか、或いは今十月ということのお話でありますが、十月ではもうすでに半年過ぎてしまう、こういう状態ですが、一体それまで二十億の金は使用しないのかどうか、それを伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/37
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038・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) この計画は十月三十一日になつておりますけれども、現地の仕事は一日といえども放置しておくわけに行きませんので、二十八年度に引続いて二十九年度の事業も、緊急を要するものから逐次実施して行く考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/38
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039・小林武治
○小林武治君 今の国家公務員の関係でありますが、行政機関の職員定員法との関係はどういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/39
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040・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) この国家公務員でございますが、これはいわゆる地方事務官として置きまして、先ほどの説明は少し足りなかつたかも知れませんが、総理府事務官でなしに、常置事務官として県に配置する考えでございます。それで現に各地方に地方事務官たる国家公務員がたくさんおりますが、それと同様に定員法の枠外になる、これがこの法律の第十条の二項に規定されております。そういう扱いで進みたいと思つております。現にこの振興事務につきましては現在もうすでに九十何人か地方事務官として現地で仕事をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/40
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041・小林武治
○小林武治君 大島の現地には何か総理府関係の事務所なり、そういうものができますか、できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/41
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042・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) これは大島のいわゆる県の支庁を中心にいたしまして、その支庁に復興関係の事務をやる者もそこに併せてまとめてやる、いわば強力なる支庁を作つて総合的に行政をやるという点がこの法律の考えでもあろうと存じておりまして、その支庁の支庁長、支庁次長以下復興事務に従事する者は地方事務官にいたしまして、その任免権を、重要な者は総理大臣が直接行使する、それから或る程度軽易な者は知事に任せる、こういう建前で、中央と県が一体となつてこの仕事を強力に進める態勢で参りたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/42
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043・木村守江
○木村守江君 この法案は、提案者が提案理由で説明されたように、奄美群島の占領が八年間に亙つての長い間の空白を速かに埋めて、同地域の急速な振興を図つて、二十万同胞の喜びを来たしたいというような御説明の趣旨はよく我々了承できますが、この法案はまあ非常にいい趣旨でありまするが、法案そのものは非常に杜撰なものではないかということを言わなければいけないと思うんです。例を挙げますと、この正誤表が渡りましたが、こういう正誤表、恐らくはこれは大修正にも等しいというような正誤表は、我々未だ曾つて余り多くは見たことがないというようなことから考えましても、これはこの法案が如何に杜撰であるかということか言えるんじやないかと思います。又只今御説明がありましたこの奄美群島復興特別措置法案の要綱につきましても、二河に亙つて印刷物をもらいましたが、その内容は相当両方の要綱について差違があるというところから考えますと、相当内容において杜撰な点があるんじやないか、余り皮肉な御質問を申上げて申訳ないんですが、一体この正誤表は、提案者が非常に間違つたというところからこういうふうな正誤表を出されたのか、又法的に自治庁のほうで、まあこれは役所から見て、行政事務の点から見てこういう正誤表を出さなければならないのか、ちよつと簡単に御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/43
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044・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 只今の御説、誠に恐縮に存ずる次第でございますが、実は提案するということが大体決定いたしましたのが極く最近のことでございまして、この案を衆議院のほうに提案するその瞬間までいろいろと検討を続けて参り、できるだけ充実した、いいものにしたいという考え方から、準備期間が非常に少なかつたために、何遍も印刷をしたりし直したりいたしたのがこういう非常に恰好のまずいことに相成つたわけでございまして、その間におきまして別に政治的な意味があつたわけじやございません。むしろ実情に合うようにしたいということで、もつと詳しく書き込んで行こうじやないか、もつと明確にして行こうじやないかというようなことからこういうふうになりましたので、その点は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/44
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045・木村守江
○木村守江君 自治庁のほうはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/45
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046・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今提案者のほうから御説明のあつた通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/46
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047・木村守江
○木村守江君 それで私ちよつと小さいことですが、文教関係のことたついて、この法案に盛られた私の大きな疑義を持つ点を御質問申上げたいと思います。この法案を見ておりますと、これは只今申上げたように非常に杜撰なものであつて、教育方面から見ましても、教育委員会法に抵触したり、或いは教育基本法の精神に悖り、大きく申しますと憲法の精神にも悖るようなこの法律の趣旨があるのじやないかということを考えられるのであります。それで御質問申上げますが、この第九条の第二項の「これらの事業を実施する市町村の長その他の機関」という、「その他の機関」というものの中には、県の教育委員会並びに町村の教育委員会を含むものであるかどうか、御答弁を願いたいと思います。これは自治庁のほうで結構ですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/47
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048・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) この二項には、これはこの二項の趣旨は、我々の承知いたしておりますところでは、要するに復興計画に基きました主として建設事業でございますが、建設事業の実施上の復興計画に基く復興経費を使う、そうした仕事を、建設事業を実施する上における指揮監督の規定だと存じておるのでございます。それでございますから一般のそれらの法令、例えば教育の話でございますが、教育の運営プロパーに関するような指揮監督権というものは全然これは入つておらないと存ずるのでございます。それでございますので、仮に建設の、学校を現実に建てる仕事をそれぞれの市町村が実施するわけでありますが、その市町村が実施する場合の事業自体について、経費の支出についてそれぞれ指揮監督というものは総合的な立場からあり得る、こういう規定でございます。それでございますから、若し仮にその仕事を市町村段階の内部において市町村がやれば市町村がやります。それから教育委員会が学校の建設その他の仕事をやる場合において、勿論教育委員会についてもこの経費の支出その他については指揮監督する、こういうふうな趣旨に了解いたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/48
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049・木村守江
○木村守江君 私は奄美大島の実際の状態はわかりませんが、これは市町村の教育委員会ができておるか、できていないかわかりませんが、只今の答弁によりますと、これは教育プロパーなものに対しては教育委員会がやるのであつて、それから教育のいわゆる施設ですね、それからいろいろな予算の使い方等においてはこれを市町村長がやつてもいいの、たというような御答弁でありますが、さように了承して結構でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/49
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050・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今の問題はこれは市町村が事業の主体になるわけでございますが、市町村が事業の主体になるときに、その事業を市町村がやるのと教育委員会がやるのと両方の場合があるわけでございまして、これは現在の教育委員会法の建前によつて当然であるわけでございます。それでございますから予算の編成とかその他の問題は市町村長がやりますが、それに関して必要な原案を調整したり、そういう問題は勿論教育委員会がやりまして、その点は教育委員会法の定むるところによつて市町村内部における事務の処理はやるわけでございます。これによつて特別な扱いをする趣旨ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/50
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051・木村守江
○木村守江君 只今の御答弁によりますと、これは事情によつてはその町村の教育施設を計画する場合に、或いは市町村がやつたり、或いは教育委員会がやつたりすることがあるというようなことを申されましたが、そういう条文は教育委員会法のどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/51
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052・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 私の申上げましたのは、仕事をする主体はこれは飽くまで市町村そのものでございまして、その市町村そのものの仕事を執行する機関として長がやる場合と教育委員会がどういうふうに分け合つて行くか、そういう関係は教育委員会法の定むるところによつてやる、こういうことを申上げたわけでございます。でありますから、予算を編成したり何かするのは市町村の内部において市町村が普通やります。併し原案は勿論教育委員会が作つて行くという建前になつております。それから予算の執行は教育委員会法によつて教育委員会のほうがこれはやることになつておりますが、普通の経理の手続きによつて支出その他は出納長がやる、こういうことになつているのであります。それは全く教育委員会法の定むるところによつてやるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/52
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053・木村守江
○木村守江君 この条文を見ますと「その他の機関又はその他の者を指揮監督する。」と書いてあります。そうすると現在の教育委員会によりますと、学校教育の学校の施設の建築等はこれは府県の教育委員会或いは市町村の教育委員会がこの衝に当つているので、府県知事といえども市町村長といえども指揮監督することはできないのです。そういうところから、あなたはこの法文について何か疑問を感じませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/53
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054・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 現在の教育委員会法では、勿論県の段階と市町村の段階では指揮監督の関係は全然ございません。併しながら非常に多額の国費を尽して仕事をやるわけでございますから、国が出す経費の支出の仕方その他については、当然それぞれの留保をつけまして指揮監督ができると存ずるのでございます。これは普通の補助事業につきまして、補助金の執行その他につきましてそれぞれ必要な指揮監督権を留保できるのと同じ建前でこれが考えられると思つております。この規定はその趣旨の規定と我々は存じているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/54
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055・木村守江
○木村守江君 どうも御答弁の趣旨はわかるような感じがしますが、多額の国費を支出するから、これは町村長或いは知事が指揮監督する権利があるのだというようなことではどうも了解できませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/55
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056・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) これは御承知の通り教育だけではありませんで、一般の場合におきましても国が府県市町村に対して指揮監督権があるかないかということについては、先ず市町村に対して指揮監督権というものは一般的に認めておりません。併しながら国が補助金を出す場合に、補助金の使い方その他につきましては、補助条件等によつて十分あらゆる監督権をリザーブできるのでございまして、そのこと自体は私は特に問題はないと思います。この場合は復興法に基きまして全額又は殆んど全額に近い多額の経費で、殆んど国の責任において急速に施設の整備をやろうというのでありますから、そうした整備事業の施行そのものにつきましては、その必要な限度において指揮監督権というものは行使して差支えない、そういう趣旨で立法されているのだと存じているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/56
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057・木村守江
○木村守江君 どうも今の答弁は、これは教育委員会法というものがあるのとないところと、ごつちやにしているのじやないかと思うのです。これは教育に関しては教育委員会法という特別な独立した法律があるのです。それで教育委員会ができているのです。それとほかのほうの土木とか、民生とか、そういうものとごつちやにして、県の知事の監督ができるとか、町村長の監督ができるというような、ごつちやにした考え方を持つているのじやないかと思うのですが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/57
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058・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) それは全然そうでございませんので、現に教育委員会法がありますが、例えば文教施設について補助金を出せば、その補助金の使い方につきましてそれぞれ補助の条件で指揮監督はこれはできるわけでございます。特に今度の補助金の施行等に関する法令を御覧願いましても、教育費であろうが土木費であろうが、その点につきましては私は少しも障りはないと存じているのでございます。教育委員会法は教育委員会法に書いてある教育プロパーの問題についての仕事の仕方でございまして、それとは私は直接関係がないのじやないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/58
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059・木村守江
○木村守江君 どうも只今のあなたの御答弁の教育プロパーということがどういうことを言つているのか、私はわかりませんが、教育施設の建設ということでも、これは教育委員会の管掌下にあるのです。これは知事にもありませんし、文部大臣にもないんです。町村長にもないんです。それをあなたがあるようなことを申されますが、教育プロパーであるとか教育プロパーでないというのはどういうことを言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/59
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060・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 私の申しましたのは、誠に学校そのものの建設は、市町村の内部における機関といたしましては、その実施の責任にあるのは教育委員会でございます。首長は予算その他の一般的な権限がありますが、学校の施設の設置管理、これは教育委員会法の定むるところによつて教育委員会がやることは間違いないのでございます。併しながら今申しましたのは、国が補助金を出して、例えば学校の施設をやる場合にはその補助金の使い方、使う条件その他につきましては監督権を保有することができるのでございまして、そういうのと同じ趣旨でこの場合もこういう監督の規定を入れられたと、こういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/60
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061・木村守江
○木村守江君 どうも私は納得行きませんがね。これは県で教育建設費を、予算を組むということは知事がやります。町村でも町村の理事者がやりますがね。併しながらこれは実施することにおいては教育委員会がやる。これは市町村並びに県知事は指揮監督をする権限はないんです。ところがここには「指揮監督する。」と書いてあるのですよ。指揮監督するということは予算を組むということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/61
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062・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) いや、市町村長が教育委員会を指揮監督するという規定じやこれはございません。つまり知事が事業の実施について市町村その他の機関を指揮監督するわけでありまして、この場合の知事というのは国の機関といたしまして国の事務を指揮監督するという建前になるわけでございます。それでこの復興事業費は今申しました通り国費中心でありますが、その国費の使い方についてその使う町村が計価通りやつておるかやつておらんか、そういう点は国といたしましては当然に指揮監督権は保有していいわけでございますから、全部任せてしまうという考え方もありますが、国の計画通りやることを、これは見てよいわけでございます。その意味の指揮監督権でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/62
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063・木村守江
○木村守江君 ちよつと質問を保留しまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/63
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064・石村幸作
○石村幸作君 どなたか質問があつたんじやなかつたかと、憶えていませんが、もう一遍重複するかもわかりませんが、この別表の第二の県、市町村の事業だと思うのですが、県は別としても市町村の事業に対して国が負担する率がここに出ております。ところがこの補助金又はそれ以外の市町村が負担すべき地元負担金、それがこの地元に負担力がありますか、どうですか。これなども当然考えなければならんのでございますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/64
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065・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今お話の通りでございまして、もともと地元にも県にも町村にも負掛力は極めてないというのでこの特別な扱いをやつたのでございまして、結局十分の四とか十の八とか、いろいろ書いてありますが、これも仕事の性質によつて多額の経費のかかるものは法律でやらなくともいいのだし、そうでなしに結局極めて軽易で地元でやり得る、或る程度地元でも出したほうが適当だと思われるものは低率にする、こういうことで具体的の事業の内容を取上げて計画が立てられる、我々といたしましてもそういう配慮をいたして計画を作らなければならないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/65
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066・石村幸作
○石村幸作君 併し例えば町村のごときこの国の補助負担の以外の負担に対して事実負担力があるかどうか、それを聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/66
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067・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) これは市町村につきましては一般の内地と同様に一般の財源も与えますから、その財源と睨み合せて負担力がきまつて来ると思います。独立の税の負担力はこれはもう事実殆んどございません。併しながら相当多額の交付税も参りますから、そういうものと睨み合せてこの計画が実施できるように負担力をきめて行く、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/67
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068・石村幸作
○石村幸作君 そのできるように、というのはどういうふうにしたらできるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/68
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069・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今申しましたように、交付税でも一般財源でどうせそれぞれの町村に参りますから、その一般財源は普通の運営の費用もありましようし、こうした小さなものならばそれぞれ市町村でやる保健衛生その他の経費にも充当さるべきものとして参るわけでありますから、その交付税の限度を考えてこの負担金がきめられて行く、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/69
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070・石村幸作
○石村幸作君 それでは、内地と同様にと、さつきおつしやつたが、この場合町村のごときものは殆んど負担力がないと思うのですが、それをも御承知の上で政府がいろいろな交付金その他の方法で措置を講じてやるという、もうすでにお覚悟がある、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/70
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071・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) その通りでございまして、一般の交付税は勿論内地同様に行きますから、その他この地方の特殊事情に応じまして特別交付税はこれは相当考慮しなければいけません。それを併せて考えながら仕事をやつて行くと、こういうわけでございます。(「了承」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/71
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072・保岡武久
○衆議院議員(保岡武久君) 今の御答弁の中に併せて起債の問題も考えて頂いたほうがいいのじやないかと思います発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/72
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073・石村幸作
○石村幸作君 提案者からああいう起債の問題も出ましたけれども、それは自治庁ではすでにそういう措置を請じなければならないという覚悟があるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/73
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074・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この地方の奄美大島の地元の負担になります分につきましては起債の問題も勿論これは考えるつもりでおります。同時に今小林部長からも申しましたように、この地方交付税法のこれはたしか附則であつたと思いますが、奄美大島については単位費用、或いは測定単位と違つた特別の措置によつてこれをやるということを特に謳つておりますから、それに基いていわゆる普通交付税に当るものも特別交付税という形で出すようにいたしておりますし、そのほかに一般の特別交付税というものも勿論出るわけであります。そういう一般財源と今の事業によりましては起債の財源というようなものが地方の負担になります分についての財源として考えられるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/74
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075・木村守江
○木村守江君 先ほどの質問の続きですが、そうすると、こういうふうに解釈していいのですか。都道府県知事は教育委員会を指揮監督することはできないというのがこれは教育委員会法の趣旨だと思います。とこるがこの法律によりますと、教育プロパーのものを除いては必要に応じて都道府県知事が、鹿児島県知事が教育委員会その他の機関……教育委員会を指揮監督するというのは、これは早急に奄美大島の復興をするためにこれは限時的な立法だというふうに解釈していいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/75
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076・小林与三次
○政府委員(小林与三次君) 今お尋ねの通りでございまして、この復興計画は飽くまでも現地で総合的にまとめて強力にやつてやる、こういうのが一番必要だろうと思いますので、その場合に知事を中心にやらざるを得ない。そこで知事に殆んど計画の総合的な実施並びに実施についての総合的な権限を任せまして、そうして知事がその計画を実施する。最小限度必要な限度において今申されましたように時限的に数年間の間にともかくも成る程度の段階にまで達する仕事をやろうと、こういうだけの極めて異例の措置だとお考え願つていいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/76
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077・木村守江
○木村守江君 只今の答弁で大体了承いたしましたが、こういうことを拡大して参りますと、これは前に作つた立派な法律の権威を失うというようなことがありまするので、こういうようなことは本当に特異な例としてこれから立法措置をされるようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/77
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078・堀末治
○理事(堀末治君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/78
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079・堀末治
○理事(堀末治君) ちよつと速記を起して下さい。
それでは今議題になつております建設委員会との連合委員会の開会その他の事項については委員長に御一任を願うことにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/79
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080・堀末治
○理事(堀末治君) それでは建設委員会との関係もございますからこれを、この審議を保留いたしまして、午前中はこれにて休憩いたします。午後は午後一時から開会することにいたします。
午後零時一分休憩
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午後一時四十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/80
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081・堀末治
○理事(堀末治君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開催いたします。
午前に保留になつていた奄美群島の問題はちよつと都合がございますので、それをもう少し後廻しにいたしまして、閣法第七号、公職選挙法の一部を改正する法律案を議題に供します。
先ず鍛冶委員より修正の理由の御説明をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/81
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082・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 修正の理由につきましては刷物でそちらにおあげしてありますからおわかりと思いまするが、私の気持を一つ申述べて御了解を得たいと思うのであります。
我々は与党でありながら政府原案を修正したというので、随分攻撃を受けましたが、これが出ますまでにはいろいろといきさつのあつたことは、初めから私十分承知いたしております。そこで問題は、学生の選挙権の所在地について、住所ということが一番問題でございますが、住所というものの定義につきましては民法だけに載つておるのであります。而して民法第二十一条には生活の本拠地のあるところを住所とする、こう書いてあります。ところがこれに倣いまして、公職選挙法も単に住所とだけ書いてあります。それから地方自治法におきましても単に住所とだけ書いて、定義は載せておらないのであります。これについては、まあ地方自治法のことは私それほど関係いたしておりませんが、公職選挙法の制定については私みずから深く関係いたしましたので、これは民法と同一の意味であるかということをたびたび尋ねまして、その通りだ、こういうことでありましたがために、特別に規定されなかつた。従つて我々はどこまでも立法の精神からしましても、又法律の解釈の上から申しましても、民法と同一の住所である、かように考えるのであります。そうしてみると、学的諸君が就学地に変つて来ておりましても、生活の本拠がどこであるかということが第一にきめられなければならん問題だと思うのであります。そこでいろいろ議論はありましたが、我々は昨年六月自治庁から出されました通達が出て、世上いろいろこれに対して問題の出ましたときから、実情を深く考究いたしました結果、学生諸君が遊学中は勉学のためだけこちらに移つて来ておるのである、従つて休暇になれば帰えるし、勉強が済めば郷里に帰える、これが本則だ。併し全部そうだとは申しません。これが本則である。従つてこれを本則として解釈すべきものだ、こういう立論からして、自治庁の通達は差支えないものであろうという議論をしておつたのであります。併し随分議論がありまするし、又自治庁自身もこれを統一して置くにあらざれば、各選挙管理委員会において取扱い上甚だ困るという議論がありましたので、それでは法律で明定しよう、こういうことで選挙法改正委員会に諮問せられました。そこで選挙法改正委員会ではA案とB案が出たわけであります。そのA案は本則として就学地にあるものと認める。但し御難に住所があつて郷里で選挙権を行使しようというならばこれは否まん、こういうことがA案であります。それからB案はこれと反対に、本則として就学地にあるものと推定する。但し就労地においてこれを行使しようと申出た場合は、これを拒まない。こういう二つの案が出まして、いろいろ議論があつたそうでありまするが、結局A案が多数であつて、A案を改正委員会の答申案として政府に出されたわけであります。そこで自治庁ではこの答申に基きまして、この原案のようなものを内閣提出法律案として出された、こういう実情であります。
で、我々にもこれを出すときにどうだろうというお話がありましたが、まあ政府の建前から折角調査会へ諮問したのですから、その諮問に反するものも出されまいと思われまするから、出されることはやむを得んと思うが、我々はもつと深く研究しなければならんということを留保しておきました。そこでこの案が委員会にかかりまして、いろいろ議論を随分長くやつたのです。これはもう一月早々第十九国会の第七号議案として出たのであります。それが今日まで遅れまして、五ヵ月の間審議をいたしました。その間においていろいろ議論いたしましたが、やはり先ほど私が申しましたように、民法と選挙法の住所は同一であらなければならん。そうしてみると、生活の本拠地がどこだということになる。そこで生活の本拠というものを深く考えてみると、我々は遊学中においては未だ生活の本拠を移しておるものと認められない、こういう結論に達したのであります。併し学生諸君は、これはもうここに住所を移したのだ、従つてここで選挙権を行使するのだ、こう言つたら、これはもう拒む必要はありませんから、それはそれに従う。併しそれには申出をしてもらわなければならんし、又住民登録法が施行せられまして、住民登録をしておりまするから、この住民登録と住所というものを一致せしめるという方針でなかつたら、住民登録の制定の意味をなしませんから、そこで住民登録をしてやられることをしたい、こういうことであります。それが修正案の第二項の但書に出ておるのであります。それから第三項はこれは保安官及び警備官も学生生徒と同一に取扱う、こういうことを規定しております。それから第四項でありまするが、これはどうも書き方が悪いのでわかりにくいと言われるのでありますが、これはこういう慮りからできたのであります。郷里であるものと推定する。申出をすればここでやらせる。こう言うているから、選挙管理委員会へ申出がなかつたから全部郷里であるものだ、こういうことを言われては困るから、たとえ申出がなくても、選挙管理委員会において、就学地に住所があるということが明瞭である場合は、それはもう就学地にあるものとしてよろしいのだ、この推定に捉われてはいかん、こういう学生生徒の選挙権行使の便宜を考えまして、一種のこれは注意規定に過ぎないのであります。従いまして、郷里にあると推定いたしましても、申出かあつた場合は、ここで選挙権を行使させる。申出がなくても住所がここにあるということが明瞭であれは、選挙管理委員会では、ここに住所があるものとして取扱うわけで、こういう二重の慮りをやつておりますので、実質上においては殆んどいずれの原案によりまするも変りのないものと考えておるのであります。又実際変りはないはずであります。ただそこで問題は、反対議論として問題は、申出させる、住民登録させなければいかんとお前が言うじやないか、それは学生に無理を強いるものだ、そういうことをすると、それはもう実質上において学生の選挙権の制限である。又甚だしきに至つては学生選挙権の剥奪などといつて宣伝しておられる。これは私は非常に当らんと思うのです。学生諸君が郷里から離れて東京なら東京へ来た。東京へ来たら、東京へ来たということを言わなかつたら、東京へ来たということがわかりはしないのじやありませんか、言わなんだら。こうしていない。この法律があろうが、原案だろうが修正案だろうが、申出しなかつたら、住所地において選挙権を行使するということができないものでありまして、この法律の有無にかかわらず、それはもうやらなければならんことなんであります。これによつて選挙権の制限などということは絶対ありません。いわんや剥奪などということに至つては、ためにせんがための悪宣伝である、かように確信いたしておりまするので、何とぞ我々の修正の真意を一つ御了察頂きまして、衆議院で通過した通り御審議下さることをお願いいたす次第であります。
大体この程度にして、又質問がありますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/82
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083・堀末治
○理事(堀末治君) どうぞ御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/83
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084・石村幸作
○石村幸作君 質疑はこの修正部分だけですか。突はまだ原案に対してもいろいろ聞きたいと思つているのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/84
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085・島村軍次
○島村軍次君 先ず政府のほうのお考えを承わりたいと思いますが、政府原案に対して衆議院の修正の変つたことは、只今鍛冶さんの御説明の通りでありますが、この点に関しまして政府側の所見を一つ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/85
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086・青木正
○政府委員(青木正君) 学生選挙権の問題に関しましては、御承知のごとく先般選挙制度調査会に諮問いたしまして、その答申を得たのであります。その選挙制度調査会の案におきましても、只今鍛冶委員からも御説明がありましたいわゆるA案とB案と二つありまして、そのうちA案について選挙制度調査会はこれを政府に答申いたしたのであります。政府といたしましては選挙制度調査会に諮問いたしまして、その答申を得ましたので、調査会の意向を尊重し、又その案によつて今暁の改正案を提出いたしたのであります。而して調査会の経過にも明らかなことく、又只今鍛冶委員からの御説明にもありますごとく、いわゆるB案についても思考すべき議論のあることは選挙制度調査会の経過においても、その点が明らかにされておるのでありまして我々もいわゆるB案についても思考すべき点があると認めるのであります。併しながら調査会の意見について考えましても、又全般的に考えましても、やはり政府といたしましてはA案を採用することかこの際最も適当である、さような考えに基きまして政府といたしましては、A案を今回提案いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/86
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087・島村軍次
○島村軍次君 生活の本拠に関する法律上の解釈は、それは民法の規定に従つた住所というものの解釈から出ておるのであつて、この点に関しては鍛冶委員のお話の点も相当理由があると思うのでありますが、この点に関しては政府はどういう解釈をとつておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/87
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088・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 住所につきましては選挙制度調査会におきましてもいろいろ意見がございまして、要するに公法、私法を通じた一つの住所というものがあるか、それとも住所というものは単に法律的に別々にこれは関連をする、即ち住所は複数であるというふうに考えるかということについていろいろ議案あつたのでございますが、実際に少くとも現行法の下においてはやはり住所が一つであるという建前でないと困るということで、答申は住所が一つであるという前提で答申があつたのであります。自治庁としましても民法の生活の本拠という住所の考え方、地方自治法、或いは公職選挙法、地方税法というようなものを通じて、やはり住所という観念は、一つの観念としてこれを考えなければならんものと思つておるのであります。住民登録法というような制度が一面にございまして、およそ住民というものを登録をして、その制度を各方面に利用しようという考え方も、これはやはりそのような住所は一つであるという根本の考え方に立つておるのであります。私ど、もといたしましては、只今鍛冶委員のお話がございましたような住所は一つである、こういう考え方につきましては全く同意見でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/88
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089・島村軍次
○島村軍次君 勉学……、学生、生徒の下宿又は寮で居住するということは、勉学を主体とすると只今説明があつたのでありますが、この点に関しては自治庁のほうではやはり勉学が主体であれば、やはり勉学地に、いわゆるA案とB案を比較したときにB案の説が思考し得るという只今政務次官のお話でありますが、さように解してよろしいのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/89
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090・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 修学のため勉学地に居住をしている者の住所が郷里にあるか或いは修学地にあるかということは、実際の生活上の態様がどうなつておるかという問題になると思うのでございますが、この点についてはそれぞれ具体的な学生、生徒の実態を把握しなければ分らんわけでありますけれども、大体修学地に住所があると認められる者、或いは郷里に住所があると認められる者というものは、おおむね極く大ざつぱに申しまして認定の上では非常に認定しがたいというものが相当あると思うのであります。そういう場合には結局或る程度本人の意思というものが、やはり住所決定の要素の一部をなすわけでございますので、そこで本人の意思というものを加味して住所をきめる、こういうふうな考え方をとつておるわけでありまして、そういう意味で本人の申出というものを政府案におきましても或る程度の地位を認めておるという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/90
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091・島村軍次
○島村軍次君 政府の原案についても、或いは衆議院の修正案についても、書き方については「市町村の区域内に住所を有するものと推定する。」という言葉が使つてありますが、その推定ということを法理的に解釈すればどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/91
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092・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 推定と申しますのは要するにこれを覆すべき反証がない限りはそこにあるものと考える、又そういうふうにいたしたことについて挙証の責任を免れる、こういう意味でございます。ですからそれを真に興すだけの客観的な反証を挙げて参りますならば、この推定にかかわらず或いは郷里、或いは現住所にある、こういうふうにいたして差支えないわけであります。政府案におきましては第四項において申出があつた場合に限つて推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならないということを謳つておりますが、これは要するに推定でありますから、決定をするのじやないということを念のために謳つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/92
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093・島村軍次
○島村軍次君 従来の法律用語としては、みなすということが多く使われておつたと思いますが、推定と、みなすという言葉と、どう違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/93
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094・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) みなすという場合には、この政府案で参りますと、勉学地に住所が実際ないという場合日においても、みなすということになりますと、学生は勉学地に住所があるということにされてしまうだけであります。推定の場合には、仮に勉学地に住所があると推定いたしましても、客観的に郷里に住所があることが証拠によつて明らかでございますならばそのものの住所はやはり郷里にある、こう言わざるを得ないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/94
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095・島村軍次
○島村軍次君 第四項に申出があつた場合に限り推定規定の適用が排除される趣旨のものと解釈してはならない、こういう言葉は具体的にはどういうことでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/95
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096・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは第二項或いは第三項の但書におきまして原則は勉学地に住所があるのであるが、本人が申出た場合百には郷里に住所があるものとしてもよい、要するに推定規定を適用しないというのが二項なり三項なりの但書であります。そういう申出があつた場合には明らかに推定を覆して差支ないわけでございますが、申出がない場合においても、先ほど来申上げましたように、本人は東京に勉学しておる、従つて推定規定の原則から申すと東京に住所がある、こういうふうに推定されることになるわけであります。本人は何ら但書による申出をしないということになるとそのままになるわけでございますが、選挙管理委員会即ち名簿を調整する機関が郷里にそのものの住所があるということが明らかであるということを承知いたした場合においては、例えば郷里に家族を置いておる、土曜日曜は常にそこへ帰つておる。例えば埼玉あたりから勉学をしに来ておりまして、東京に下府をしておる。併し埼玉の家族のところに土曜日曜には常に帰る、細君も子供もそこにおるといつたような場合には、明らかにこれは住所が郷里にあるわけでございますから、仮に本人が申出をいたしませんでも、そういう場合には郷里に住所がある、こういう扱いをして差支えないわけでございます。併し四項のような規定がありませんと、本人が申出をしなければそういうような場合にも東京に住所がある、こういうふうになつてしまう虞れがありますので、それはそうじやないのだ、こういう意味のことを念のために書いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/96
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097・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 今の説明は法律的な説明はそれでいいのですが、例えが悪いので、この修正案から申しますると、郷里にあるものと推定すると、こういうのです。そこで、いや、私は修学地にあるのだと、こう申出れば、但書によつて当然そうなる。そこでこの四項はそういう申出をせなくても、管理委員会でそれは東京なら東京にあるということが明瞭である場合には、申出がなくても東京にあるものとしての取扱いをするということです。この書き方がちよつとまずいのですが、申出のあつた場合に限つて、推定規定を排除する申出がなかつたら推定規定を排除できないものだと思うな、申出がなくても推定規定を排除できるのだと、こういう意味なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/97
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098・小林武治
○小林武治君 これで住所推定は、これは例えばほかの刑裁判権ですね、管轄権、或いは司法上の住所、こういうものに何か影響がありますかないですか、この法律の規定によつて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/98
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099・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) この規定自体といたしましては、公職選挙法の中に設けられた住所の推定規定でございまするから、直接的には公職選挙法の住所認定に使用されることになるわけでございます。先ほど申しましたように、住所は一つであるという考えかたから申しますると、やはりこういうことがそういう方面にも実際上影響を持つて来るであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/99
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100・小林武治
○小林武治君 例えばこれで学生の選挙権が、成る特定人の選挙権が下宿にあるというふうに、選挙管理委員会がきめてしまつた場合に、そのことは裁判所、検察庁等をも拘束するようなことがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/100
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101・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 裁判上の問題といたしましては、これは直接に公職選挙法の問題でございまするから、法的には直接関連は持たないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/101
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102・小林武治
○小林武治君 そうするとそこに選挙法上の住所というものは、先に一つしかないというお話ですが、選挙法の上で下宿に住所があると、こういうことを選挙名簿の上で確定しますね、それでそのことは私は今の刑事裁判管轄権などには、又刑事事件の裁判所等は、独自に判断すると、こういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/102
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103・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 司法権の問題もございましようが、例えば地方税法の問題とか、地方自治法の問題と、この公職選挙法上の住所の問題はどう考えるかという問題でございます。要するにその住所の基礎というものは、民法の生活の本拠と、こういう考えかたに地方自治法の解釈としても、或いはこの公職選挙法の解釈としても、地方税法の解釈としても、そこに根拠を求めておるのでございますから、具体的の住所の認定も民法の生活の本拠というものに基いて客観的に行われておりますならば、その住所というものは、この公職選挙法の関係で認定せられたものでありましようとも、それが同時に地方税法なり地方自治法の関係、或いは御指摘のような関係にも及んで行くであろう、そういう意味で住所は一つである。こういうことを申上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/103
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104・小林武治
○小林武治君 そういたしますと、例を申上げれば今の例えば地方税法の負担、こういう問題につきましても、地方税当局者が、建前としては独自に判断する。住所があるかどうか、ということは、選挙の選挙名簿には関係ない、こういうふうに理解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/104
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105・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 具体的に税金を取るものが、どこに住所があると認定するか、又選挙委員会が、どこに選挙権行使の住所があると認定するか、これは認定機関がそれぞれ食い違いますものですから、観念として、又考えかたとしては、客観的事実としては、住所がきまつたところにあるべきものでありますけれども、その認定が区々に亙り、二、三に亙るということが実際問題としてあるわけです。そういう場合に訴訟によりまして、はつきりと客観的な事実として住所が認定される場合においては、税法上の住所も、或いは名簿の、選挙法上の住所も同じであるべきものであろう、こう考えるのでありますが、ただ具体的の事件といたしましては、同じ事件が時を異にして、同じ人に対する住所が時を異にして認定されるというようなことで、又認定する機関、或いは裁判をする裁判所が違うというようなことで、結果として違いが生ずることはあろうと思いますけれども、考えかたとしては一つでなければならん、こう思うのであります。そうでありませんというと、例えば住民登録法というようなものは、全然意味をなさないという法律になつてしまうわけです。こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/105
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106・島村軍次
○島村軍次君 そこで只今のお話の出ました地方税との関係ですね、地方税のいわゆる住民税ですれ、この解釈はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/106
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107・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 市町村民税、或いは今回の都道府県民税、これはいずれも住所といたしましては、地方自治法上の住所或いは公職選挙法上の住所と同じものと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/107
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108・島村軍次
○島村軍次君 そうしますと、地方税の上で、学生であつてもこの地方税法中の要件に叶えば、例えば埼玉県の住民で勉学のために東京に来た、併しそれは今回の改正によつてこの政府原案のようにいわゆる勉学地に住所があるものと推定する、こういうことの解釈で東京に住所があるということになり、地方税法中の住民税の要件に叶つておれば東京都で選挙する、こういうふうに解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/108
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109・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/109
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110・長谷山行毅
○長谷山行毅君 先ほど衆議院の鍛冶さんからの修正案の趣旨の御説明で、中心地というものの基本的な考え方は、これは民法に規定するところの住所であるというこの説には私も賛成でありまして、仮に住所をいろいろ多元的に解釈するという場合には仮に公職選挙法においてはどういうふうな住所を規定する、民法と異なる住所の観念を持つて規定するという場合には本法における住所とは云々という規定をしなければならないわけでありますから、その点は納得できるわけなんです。ただ問題はこの民法二十一条の生活の本拠というものは、あえてその父母の、父兄のおる郷里にあるのか、それとも勉学地にあるか、これは各学生の具体的な生活態様によつて違つて来ると思うのですが、学生の生活の中心地というものは勉学である。そうすると、その勉学期間においては生活の中心は勉学地にあるというふうに考えることも一応の理論じやないか、こう思うのですが、それに対する御見解を修正された鍛冶さん並びに政府からお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/110
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111・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) これは衆議院でも随分議論になつたところですが、成るほど今の実例から申しますると、今年の四月から七月まで、これだけだけをとつてみれば、それはもうここが生活の中心です。東京なら東京が生活の中心です。けれども七月になつて、もう休みになれば又帰る、又正月になれば又帰ります。これは併しそうでないと言われればそれは別ですが、我々は一般的の場合を考えていいのですから、推定ですから本則としてそういうものだ。そういうものですからそれだけを見れば、ここが生活だと思う。学生生活全体から眺めますと、ここに本当に永住して来ているとは認められない。こういうことなんです。それから勉学のためにここへ来ておるのであつて、勉学が済めば郷里へ帰るのだ、これが本則だと思う。併し初めからここに来てしまつておる、ここで生活しておるというなら何も我々はそれに反対することでもありませんが、それはもつといい例になりますというと、出漁者の問題でありますが、私の郷里から北海道へ大変な出漁者が出ます。これはだんだんだんだん出漁の期間が長くなりまして、今では二月に出まして十一月に帰つて来る。郷里には三カ月しかおらないのです。子供まで連れて行つて子供も向うの学校へ上げているのです、夫婦連れで行きますから。それでもやつぱりもう本来はそこに十カ月なら十カ月いるけれども、今に帰つて来るのだ、これが本則だ。こう考えますが故に出漁者は全部やつぱり郷里にあるものと取扱つて、又そうでなくちやならんのですから、それらの点から考えまして我々は勉学のためにそこにいるからといつて永住して来たとは認められない、こう我々は深く考えました結果、そういう結論に達したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/111
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112・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 只今の生活の本拠というものの解釈に当つて、学生については勉学が生活の中心であるから勉学地が即ち住所である。そういう御解釈をとる人も確かにあるわけでございますが、まあその勉学ということだけで住所があるかどうかということを学生の場合においてもきめるということはやはり簡単、単純過ぎやしないか、やはり勉学地ということも一つの算定の基礎になろうと思いますけれども、先ほど来申上げますような郷里、郷里と言いますか、家族の生活中心というものがどこにあるか、それとの結付きがどの程度親密であるかというようなことをやはり総合的に判断を、いたし、又更に本人の意思も或る程度斟酌をして最終的にきめるべきものであるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/112
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113・長谷山行毅
○長谷山行毅君 先ほど鍛冶さんの御説明で出漁者の例がありましたが、これと学生とはちよつと違うような気もするのです。これはもう見解の違いかも知れませんけれども、併しこの生活の本拠というものを生活の資料を得る場所、こういうふうな解釈ではないわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/113
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114・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) 資というだけじやありません。それはこういうことです。仮に東京に出て来た学生諸君を標準にとつてみますると、東京に出て来るまではもう郷里に生活の本拠があつたということ、これはもう何人も異論のないところだ。そこで東京に来るというならばその生活の本拠をここに移したというか、移住したというか、こう考えなければいかん。ここから我々は出発しておる。そうしてみると、勉学のためにここに来ているものが勉学が済めば帰る、休暇になれば帰る、こういうことだから、移住して来たと認められないのが本則ではないか。ここから出ているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/114
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115・長谷山行毅
○長谷山行毅君 それから先ほど政府のほうからの御説明があつた、つまり家族との関係の濃厚さと稀薄さと申しますか、関連の強さ等も考慮しなければいけない、そういうふうに考えました場合に、政府でこれを政府原案つまり調査会のA案をとられたのはどういうふうな根拠に立たれてそういうA案を採用されて原案として出されたか、その点をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/115
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116・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 学生生活の実態と申しますか、戦後の新らしい家族制度の実態と申しますか、そういう点からいわゆる家族と学生と申しますか、遊学地に来ておりまするものとの結付きというものが、やはり従来の家族制度の下における考え方とは若干違つて来ていることは事実だろうと思うのであります。そういう意味で選挙制度調査会の答申においても、現行法の解釈としては自治庁の通達についてはやむを得ない上思うけれども、立法論としてはA案のような考え方がよくはないかというような点にも言及をしておるのでございます。そういう点から申しますると、家族との結付きというものは従来の住所決定の考え方におきまするよりはより弱く考えられて然るべきものとは思うのでありますが、これが全然看過せられ、無視されていいものというふうにはやはり考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/116
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117・長谷山行毅
○長谷山行毅君 更にこの条文の字句についての解釈なんですが、この二項の但書ですね、これに「当該学生生徒が、父母その他の親族が現に居住して」云々、こういう非常に漠然たる「その他の親族」というふうな字句をここに用いてありますが、これで大体推定ができることになりますか、こういう表現の仕方で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/117
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118・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) これはその前の「寮、下宿その他これらに類するものに居住する」直前に同居していた、ここに重きを置いてもらいたい、あとはただ附け足りなんです。東京なら東京に出て来るまでおつた所、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/118
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119・長谷山行毅
○長谷山行毅君 それから第四項の御説明ですが、先ほども御説明があつたようですが、これは申出が、特別な意思表示が、この推定と違う意思表示があつたときは、当然その意思表示のあつたその場所を住居として選挙地とする。併しながらそれがなくとも明瞭な場合にはやはりこの推定をしない、こういうふうな注意規定なんですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/119
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120・鍛冶良作
○衆議院議員(鍛冶良作君) その通りであります。要するに申出があれば推定を排除いたします。ところが申出が……。だから申出のあるときだけ排除するのだと思うな。申出がなくとも実際に認めたら排除していいのだ、こういう意味で排除という言葉を使つたからそういうことになつたので、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/120
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121・長谷山行毅
○長谷山行毅君 これは却つてこういう規定があることによつて実際の事務的にはこの名簿を作成する人は非常に混乱することはありませんか、却つて。そういうふうな事態が起ることはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/121
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122・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) これは先ほど申上げましたように、推定規定を設けたいという趣旨が選挙管理委員会の名簿調製を事実上容易にするということも一つの狙いになつておるわけでございまして、そういう事実上容易にするという狙いから逆にそういう申出があつた場合だけが排除されるのだということになつては困るという、全く念のための規定でございまするので、さような実際上の名簿調製に当つての支障は生ぜしめないであろう、又そういうふうに運用いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/122
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123・伊能繁次郎
○伊能繁次郎君 最後に一つ政府にお伺いしたいのですが、衆議院の修正案が出て住居の推定に関する解釈の違いが、かように出たのちにおいて、政府においては学者にこの推定についていずれが通牒の解釈か、という点について問われたことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/123
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124・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 特にこの法案を作成いたしましてからのちにお尋ねのような趣旨の質問と申しますか、照会を学者のかたがたに出したことばございませんが、先ほど申上げましたように、選挙制度調査会自体に民法学者或いは公法の学者のかたがおられまして、住所についての深い、さような御見解も持も合せつつ、かような答申をされたわけでございますので、私どもはそれを殆んどそのまま取上げるような恰好にしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/124
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125・堀末治
○理事(堀末治君) ちよつと都合がありますから、二十分ほど休憩いたします。
午後二時三十三分休憩
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午後三時九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/125
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126・堀末治
○理事(堀末治君) 休憩前に引続いて閣法第七号公職選挙法の一部を改正する法律案の審議を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/126
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127・長谷山行毅
○長谷山行毅君 一点だけ更にお伺いしたいのですが、この三項はこれは保安隊員の住所についての規定なんですが、先般自衛隊設置法が成立しまして、保安隊が自衛隊に切替わつたということになりますると、これは事実上ここには保安官又は警備官となつていますが、これは自衛官というふうに読替えるように修正しなければ実際の運用ができないことになりませんかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/127
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128・鈴木俊一
○政府委員(鈴木俊一君) 御指摘の通りでございまして、これは提出いたします当時にはまだ自衛隊設置法等の法案は国会にも提出になつておりませんような状態でございましたので、政府案としては当時の事態において保安官、警備官という表現を用いておつたわけでございます。今回御指摘の法律が成立いたしました以上は、それに応ずる調整は必要かと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/128
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129・石村幸作
○石村幸作君 本法案の質疑も大分進みまして、質問もないようでありますから、この辺で質疑を打切つて、そこで本会議も明日はないようであります。十四日まで本会議もないようでありますので、討論採決は本日はやらないで、本会議のある日の午前中に、朝少し早く勉強して出て頂いて、それで対輪採決をして頂くように、動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/129
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130・堀末治
○理事(堀末治君) 只今の石村さんの動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/130
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131・堀末治
○理事(堀末治君) それでは石村さんの動議の通り決定いたします。
本日は都合によりましてこの法案の審議は一時留保いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/131
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132・堀末治
○理事(堀末治君) それからかねて公報で御通知申上げておきました請願、陳情の御審議に入りたいと思います。速記をとめて下さい。
午後三時十四分速記中止
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午後四時四十九分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/132
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133・堀末治
○理事(堀末治君) それでは速記を始めて下さい。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914720X05219540610/133
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