1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年二月十八日(木曜日)
午前十時五十分開会
—————————————
出席委員は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
加藤 正人君
藤田 進君
委員
大谷 贇雄君
小林 英三君
高橋 衛君
酒井 利雄君
岸 良一君
西田 隆男君
海野 三朗君
三輪 貞治君
政府委員
通商産業政務
次官 古池 信三君
通商産業省公益
事業局長 中島 征帆君
事務局側
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した事件
○ガス事業法案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。
本日はガス事業法案につきまして審議を行います。それでは先ず公益事業局から内容説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/1
-
002・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) ガス事業法案の逐条的な御説明を申上げます前に、大体この内容の要点を抜出しました資料がございますので、それに基きまして大体この法案の特色を申上げまして、そのあとで逐条説明に入りたいと思います。
ガス事業法案の特色(公共事業令との比較)という資料がございますので、これを御覧願いたいと思います。これに挙げてありますのが内容的に抜出しまして、特色ある点を簡単に書いてあるわけでございますが、第一が、ガス使用者の利益保護規定を強化しておる点であります。その内容といたしましてガス事業の独占企業としての特権削減とありますが、今度の法律案の第五条には、事業の法的独占の廃止、これは法律のところで申上げますけれども、公共事業令にははつきり法律的独占、地域的独占ということが明記されておりましたが、それは条文上はそういうふうになつておりません。
次には、主要設備の設置義務新設、現在では主要設備の設置義務というのが明確でありませんでしたので、その点をガス事業者の義務又は使用者の利益保護のためにこういう義務を設置しております。
次には、休眠区域の取消措置新設、これも従来では供給区域内で供給をしておりません区域がありましても、政府でこれを取消すことができませんでしたが、これを取消し得るような規定を入れております。
それから供給区域外への供給の禁止、これは区域外への供給は現在では法律上は禁止されておりませんが、区域内の供給を確保するために、区域外にはできないというふうにいたしております。
供給ガスの熱量、圧力の測定義務の法定、これも法律的にはこういう義務がございませんでしたが、消費者の利益保護のために常に品質を確保するという義務を負わせております。
卸供給業者の供給条件の認可制、これは卸供給業者の供給条件というものは、現在の法規では明確になつておりません。これをはつきり認可制をとりまして、卸供給業者からガス事業者が買いましてこれを一般に売るわけでありますが、その際にガス事業者の仕入値段というものが余り不当な値段にならないようにということで認可制をとつております。
それから減価償却に対する命令権の新設、減価償却を適正にすべきであるということは当然でありますけれども、これに対して法規的に強制力がありませんでしたので、特別の場合には命令を以て適正な償却をするようにいたしております。
供給ガスの有害成分の検査義務の法定、これもガスの中に有害成分があると危険でありますが、これを現在の法律上特別に縛つておりませんので、これの検査義務をガス事業者に負わせて、その点の保安上の義務を持たせるということにいたしております。
それから料金等供給規程の認可変更の場合公聴会制度の新設、現在では聴聞を要することになつておりますが、今度の法律案では公聴会制度を設けまして、単に事業関係者だけでなく、一般に意見を聞くという制度を設けております。
それからガス供給に関する苦情申立制度新設、これも苦情申立の制度は現在いわゆる規則に基いてあるのでありますが、これを法定いたしましてガス事業者のいわゆる供給義務、サービスに関しまして不服がある場合には通産大臣に苦情を申立てる、これに対して或る程度の措置をしなければならん、こういうことをガス事業者並びに政府側両方に義務付けております。
それから第二番目が許認可事項の整理等行政の煩雑なる干渉を避け、ガス事業者の自主性を尊重しておる。これは他面におきましてガス使用者の利益保護におきましては只今申上げましたようなことをいろいろ規定しておりますが、ガス事業者に対しましても不必要な干渉を避けて、できるだけ、自主的に運用させるという趣旨におきまして、従来の規定にありますいろいろな手続をできるだけ簡素化いたしておりまして、その内容の一つが事業許可申請内容の簡素化、許可手続の簡素化を図る、それから設備変更に関する認可事項の整理、従来設備の変更に関しまして細かいものについてまで認可事項としておりましたが、これをできるだけ整理いたします。
次に融通命令を廃止しておりますが、これはガス事業に対しましては他のガス事業にガスを供給するといういわゆる融通命令とか現在の法規では申されておりますけれども、電気と違いまして、ガスの場合にはこういうことは殆んど必要ないというふうに考えましてこれを廃止いたしました。
それから資本金額の変更等の認可制、担保権設定等の認可制、資産価格の査定制度というようなものが現在の法規でございますけれども、こういうものはガス事業の実際からいたしまして必要ではないと考えられまして、これを廃止しております。
それから保安に関して旧瓦斯事業施行規則による設備の新増設認可制、使用開始許可制の廃止、ガス主任技術者制度の改善による自主的保安責任の尊重、これは保安に関する規定をこういう面で強化しております。
それから聴聞事項の整理、これも聴聞を現在公共事業令によりますと、電気、ガス共に非常に細かい規定、事務的な事項まで聴聞事項になつておりますが、それを一般に特に関係のあるような重要な事項だけに限つて整理いたしております。
省令事項の整理、極力法定化して立法技術上困難なものは政令に規定する、省令でいろいろな義務を課しておりますが、そのうちで本当に必要なものは政令で以て規定するように、そうでないものはできるだけ整理するという趣旨をとつておりまして、ここに例示してございますが、申請内容等につきましては従来省令にあましたものをはつきり法文に謳つております。供給規程の認可基準というものも一部は公共事業令に載つておりますけれども、重要な点を省令に譲つておりますが、これも今度は法文中に謳つております。それから熱量の測定、成分の測定、報告徴収というようなことは従来省令で行なつておりましたが、こういうものは政令で以て内容を定めるということにいたしておりまして、その他の細かい点はできるだけ整理する、こういう方針をとつております。
第三番目が保安に関する規定であります。これをガス事業の保安の見地から今度の法規では新らしく体系を整えたわけであります。
第一には事業法の目的といたしましてもはつきり保安ということを謳つております。それから章といたしましても保安という章を設けましてその中にガス事業者の守るべき保安基準というものの規定、或いは成分の測定義務、それから工事規程、工事規程というものはガス事業者がガスの施設をいたします場合に守るべき工事規程でありますが、それを自分で作りまして認可を受けるというふうな趣旨であります。
それから保安の技術的責任体制の整備のためにガス主任技術者の制度を置く。これも現在でも置かれておりますけれども、特にはつきり法律でこれを明示したわけであります。
それから保安に関しガス事業者以外への準用、大体ガス事業法はガス事業者を主体といたしておりますけれども、ガス事業者以外の例えば自家用ガス、或いはそういうものに対しましてもこれが一般の保安に関係いたしましてはガス事業者と同じように一定の義務を負わせる必要がありますので、所要の規定をこういうものに対しましても準用するということを保安に関する限りとつておるわけであります。
それから第四番目がガス事業法の適用範囲をガス事業者に限定しておる。これは今申上げましたことの裏でございますが、適用規定からガス事業者以外の者ははつきり除外しております。ガス事業者以外の者に対しましては、例外的にはガス事業者以外の者が、ガスの卸売をするもの、つまりガス事業者にガスを売る場合に供給条件を認可させる、それから若し自家用でなく、ほかのほうへ供給をする場合には届出をさせる、これは必ずしも認可を受けさせる必要はございませんので、届出をさせておる。
それから第三番目が先ほど申上げました保安の関係につきましてはガス事業者と同じような規定を準用する。こういう点で一定の法規の適用をいたしておりますけれども、それ以外のものにつきましてはガス事業者というものと全然区別をいたしまして、一般に準じておる、こういう点が主要な点でございます。
大体以上がこの法律の要点でございまして、法律案に基きまして各条極く簡単に内容を御説明申上げます。
第一章総則でありますが、第一条が目的、「この法律は、ガス事業の運営を調整することによつて、ガスの使用者の利益を保護し、及びガス事業の健全な発達を図るとともに、ガスの製造及び供給に伴う危険を防止することによつて、公共の安全を確保することを目的とする。」こうございますように、ガス使用者の利益ということと、それからガス事業の健全な発達ということと、この事業の安全、事業の安全と申しますのはいわゆる保安でございますが、その三つの点が目的となつているというわけでございます。
それから第二条は定義でございますが、特にこの中では、条文を読むことは省略いたしますが、この法律に適用、使用される用語でありまして、特にこの法律の本質であると考えられますもの、即ちガス事業、それからガス工作物というものにつきまして、その内容、範囲を明確にいたしてこの解釈を一定にしたものであります。ここで卸共給事業者というものを除いた本法の対象が一般のガス事業者であるということを明確にいたしたのであります。
それから第二章、これは事業の許可という章になつておりますが、この章はガス事業の創設から廃止に至るまでの事業の過程におきまして、公益事業でありますガス事業の性格から所要の規定を加えるということを明らかにいたしたのであります。これは全部で十三カ条から第二章は成つておりますが、この事業創設の許可から始まりまして、事業の譲渡合併、相続、兼業或いは許可証の交付、或いは行政官庁の職権、職務としての許可の取消というようなものについて規定をいたしております。
第三条が事業の許可でありまして、ガス事業は許可を要するということをはつきりさせておるわけであります。
第四条は、許可の申請の手続であります。これは先ほど申しましたように、できるだけ以前と比べまして、この申請書の内容を簡単にて必要なものだけに限るということにいたしております。
それから第五条が許可の基準でありますが、こういうふうな一定の基準に合致する場合でなければガス事業を許可してはならないということにいたしておりまして、第一が「そのガス事業の開始が一般の需用に適合すること。」第二が「そのガス事業の工作物の能力がその供給区域におけるガスの需用に応ずることができるものであること。」これは一号と二号はちよつと似たような規定になつておりますが、第一の点は、このガス事業というものがその土地で要求されておると、そういうことでありまして、第二の点は、具体にそのガス事業者が考えておるガス工作物が、実際にその地区で現われます需用に対して合致している。余り大き過ぎもしなければ小さ過ぎもしない。大体需用に合致しているということが第二番目の要求であります。第三が、「そのガス事業の開始によつてその供給区域の全部又は一部においてガス工作物が著しく過剰とならないこと。」従来の法規におきましては、同一地区において二つ以上のガス事業を許可してはならないという従来の規定がございましたが、それをやめまして、この第三番目のような基準によりまして許可をする。つまりその地区におきまして二つ以上のガス事業者がありましても、特にその区域の全部又は一部に対しましてガス供給が過剰にならないということであれば差支えない。その半面において二つ以上の事業を計画することについて過剰になる場合には許可しないと、こういうような規定によりまして、いわゆる地域独占ということを表面から守つて行くことを避けまして、こういうことで審査するということにいたしたわけであります。
それから第四が、「そのガス事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎があること。」第五、「その他そのガス事業の開始が公益上必要であり、且つ、適切であること。」こういうふうな条件によつてガス事業の許可をするわけであります。
第六条は、許可証のことでありますが、これは従来許可証というものを交付しておりませんでしたが、はつきり許可があつたということを明確にするために、こういうような内容のことを書きました許可証をガス事業者に交付する。若しこの内容に変更がありましたときは許可証を訂正する。こういうことにいたしております。
それから第七条は、設備の設置及び事業の開始の義務、許可をもらいましたら一定の期間内に事業を開始しなければならないという規定は従来もございましたが、特にこの法案におきましては所要の設備を設置しなければならんということを明確にいたしております。その狙いは、例えば従来でありますと、事業許可をもらいまして一部でも供給を開始すればそれで許可を受けたときの一応の義務は済むわけでございますが、本来一定の地区を限りまして許可を受けた以上はその地区に対しまして供給をし得るだけの設備を当然持たなければならないし、又そういう設備を持つということが申請の内容になつておるはずでございますので、やはり一定の期間内に一定の設備を持つて一般の供給に応ずるような形を整えなければならんということをはつきりさせたわけでございます。
第八条は、供給区域又は設備の変更、これは許可の内容になつております条件を変更することになりますのでその場合には更に許可を受けるという当然の規定でござざいます。
第九条、氏名等の変更、これも当然の規定でございますが、この場合には届出をせよということでございます。
第十条、事業の譲渡及び譲受並びに法人の合併に関する規定、これはいずれも認可制をとつております。この点につきましては従来と同様でございます。
第十一条は、これは新らしく設けた規定でございますが、「ガス事業の全部の譲渡があり、又はガス事業者について相続若しくは合併があつたときは、ガス事業の全部を譲り受けた者又は相続人若しくは合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、ガス事業者の地位を承継する。」従来は相続等の場合には改めて許可を受けておつたわけでござざいますが、この場合には当然にその地位を承継するということにいたしております。ただそういう事態が起きた場合には届出なければならないという規定でございます。
それから第十二条は、ガス事業以外の事業、ガス事業者は大体ガスを供給するのが本来の任務であります。そのために又一定の保護も受けておりますので、地区内のガス需用者に対しまする義務を完全に履行させるためにはほかの事業にむやみに手を出すべきでないということは当然であります。これは現在の公共事業令にも載つておりますが、これも今度の規定でこの趣旨を踏襲いたしております。併し無論ガス事業の場合におきましては副産物としてのコークス或いはタール製品の販売等はこれは当然行うべきでありますので、そういうものは但書にございますように、「通商産業省令で定める事業については、この限りでない。」といたしまして、そういつたような当然の兼業につきましては一々許可を受けないでも差支えない。こういうふうなことにするわけでございます。
それから第十三条は、事業の休止及び廃止並びに法人の解散に関して従来同様に認可制をとつております。
それから第十四条は、事業の許可等の取消の規定でございますが、一定のガス事業者に対しまして義務違反があつた場合に主務大臣が事業の許可を取消すということができるようにいたしております。特に最初許可を受けましていつまでも事業を開始しないで、或いは設備を設置しないという場合には特に取消の規定が働くわけでございます。
それから第十五条、これもちよつと似たような規定でございますが、先ほど申上げましたように、特に供給区域の一部におきましてガス事業を、ガスを供給する義務を行なつていない、つまり休眠区域がある場合には、まあ近い将来において、すぐに供給し得る場合は別でありますけれども、そういうふうな意思もない、又能力もないという場合にはその一部の区域を取消しまして、別の事業者にこれをやらせるということができますように、この第十五条の二項をとつておるわけであります。但し、こういう規定がございますが、この初めの地域独占の点で申上げましたように、これを取消をいたしませんでも、その場合に別の事業者がダブつてその地域に供給するということが法律上不可能ではございませんが、併し初めの業者が当然にそういつたようなことをすべきであるにもかかわらずやらない、やる意思がないという場合には、この区域の一部を取消したほうがむしろ適当であろうという趣旨であります。
それから第三章は、供給に関します規定でございますが、第一は供給義務、これは現在でもございますが、「ガス事業者は、正当な事由がなければ、何人に対しても、その供給区域におけるガスの供給を拒んではならない。」第二項は、「ガス事業者は、その供給区域以外の地域において、一般の需用に応じ導管によりガスを供給してはならない。」従つて区域外供給をどうしてもやる場合には、更にこの区域を拡張いたしましてやらなければならない、こういうことになるわけでございます。その趣旨は、先ほど申しましたように区域内のガスの需用者に対する義務を先ず専一にするという趣旨でございます。従つて区域内の需用者に対しましては正当な事由のない限りはいつでもガスを供給する義務がある、こういう趣旨でございます。この前半につきましては現在でも同様の趣旨の規定がされております。
それから第十七条は、供給規程の認可の規定でございます。「ガス事業者は、ガスの料金その他の供給条件について供給規程を定め、通商産業大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。」「通商産業大臣は、前項の認可の申請が左の各号に適合していると認めるときは、同項の認可をしなければならない。」一、「料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものであること。」二、「料金が定率又は定額をもつて明確に定められていること。」三、「ガス事業者及びガスの使用者の責任に関する事項並びに導管、ガスメーターその他の設備に関する費用の負担の額及び方法が適正且つ明確に定められていること。」四、「特定の者に対し不当な差別的取扱をするものでないこと。」この趣旨は現在の公共事業令でもはつきり謳われておりますけれども、これを若干更に具体的に明確にいたしております。で、こういうふうな基準の下に供給規程を定めなきやならん、而もこういうふうな基準に適合している場合には主務大臣はこれを認可しなければならん、こういうふうに規定しておるわけでございます。これは、一たびこの規定が認可されましたらば、ガス事業者はこの供給規程以外の条件によつて供給してはなりませんし、又需用家もこの供給規程に従つて供給契約を結ばなきやならん。まあいわば法規的な規定でございまして、非常にこれは重要な認可事項になるわけでございます。
次に第十八条は、供給規程に関する命令及び処分についてでございます。これは、特にこの供給規程が一般の情勢に適合しない場合になつた場合には、ガス事業者に対しまして主務大臣が一定の期限を定めまして供給規程を変更しろという命令を出すことができるようにいたしてあります。この命令にもかかわらず事業者が変更の認可を申請しなかつた場合には、通商産業大臣がみずから供給規程を変更してしまう、こういう処分ができるようにいたしております。
次は、供給規程の公表義務でありますが、認可を受けました供給規程は一般の需用家に知らせますために実施をする十日前から一定の場所において掲示しなければならん、これは従来も同様な規定でございます。
第二十条は、供給条件についての義務、これは先ほど申しましたように認可を受けた供給規程以外の供給条件によつてガスを供給してはならない、これが原則でありまして、「但し、特別の事情がある場合において、通商産業大臣の認可を受けたときは、この限りでない。ということがございます。これはいわゆる特約条項でありまして、特定の条件がある場合には、そういうことまで本来であれば供給規程に謳うべきでありますけれども、供給規程に予想しないような供給条件で供給しなければならんような場合には一々認可を受けまして、違つた供給条件で以て供給することができるということにいたしております。まあこれが適用されるのはガスの場合には余りないと思いますが、特別に高圧のガスの供給を特定の工場にするというような場合には一定の違つた条件で供給するということがあり得ますのでこういう規定を設けたわけであります。
二十一条は、熱量等の測定義務であります。これは今度の新らしい規定であります。「ガス事業者は、政令で定める方法により、その供給するガスの熱量及び圧力を測定し、その結果を記録しておかなければならない。」ガスは御承知のようにその品質が熱量及び圧力によつてきまりますので、これは供給条件によつて一定されております。ところが実際の製造上その圧力が低下する、或いは熱量が落ちるという場合には品質を確保する義務を怠つておることになりますので、それを常にガス業者に記録させまして、こういう熱量等の規定の品質を保つように義務付けるわけでありますが、これが実際に守られておりません。圧力が落ちる、或いは熱量が低下するという場合におきまして、この規定によつて直接罰を科するということは考えておりませんで、そういう場合には一応この規定によりまして、記録だけをさしておきまして、若し守られておらん場合には別の規定によつて熱量及び圧力を守れという命令を通商産業大臣が出しまして、その命令にもかかわらず相変らず熱量及び圧力が低下しておる場合にはその段階におきまして罰をかけるというふうな二段構えの方法をとつたわけであります。従いましてこの二十一条自体につきましては罰則はないということになつておるわけでございます。
第二十二条は、供給契約、これはいわゆる卸契約でございまして、「ガス事業者は、他のガス事業者からガスの供給を受け、又はこれにガスを供給すべきことを定める契約をしようとするときは、通商産業大臣の認可を受けなければならない。」これはほかのほうからガスをもらつて供給する場合にはそれだけ供給量としましては殖えるわけでございますが、その需給契約の内容如何によつては地域内の需用家に対しましての影響がかかりますので、やはりその内容等につきまして一応認可をして、又剰余のガスを他のガス事業者に供給するような場合におきましても果して地区内の需用家に迷惑をかけるかかけないかということを審査する必要がありますので、これは認可事項にしたわけであります。
第二十三条は、特定供給でありまして、これは一般の区域内の需用家に対しましてガスを供給する場合には、これは一般供給でありますが、供給区域以外の地域で特別なものに対しましてガスを供給するという場合には、これは特定供給といたしまして認可制をとつております。原則的にはそういうものは一応禁止しまして、ただ特別に認められるものは審査をして認可をするというわけであります。で、どういう場合に認可するということが第二項にございますが、「前項の認可の申請が左の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。」その条件が、「ガス事業の適確な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」「その供給が他のガス事業者の供給区域において行われるものであるときは、当該他のガス事業者がその供給を行うことが容易且つ適切でないこと。」要するに自分の区域外のガス事業の遂行がガスの需用者に対しまして迷惑をかけんということ、それから他のガス事業者の地域内にある場合にはそのガス事業者が十分義務の遂行ができないという場合でなければ許可しないと、こういうことであります。
第二十四条は、卸供給事業者の供給であります。これはガス事業者以外の者がガス事業者に対しましてガスを供給する場合を卸供給事業と言つておりますが、これは卸を行います場合には料金その他供給条件につきましては通商産業大臣の認可を受けなければならないというわけです。但しこれは例えば自家用のガスを持つております者が随時に或いは非常に少量のガスをガス事業者に売るという場合に一々許可制をとりますのも煩瑣でありますので、その量が一定の量以上である場合に限るということにいたしまして、その量は通商産業省令で定めるということにいたしております。
それから、第二十五条は、ガス事業者以外の者の供給でございまして、これは例えば自家用のガス設備を持つておる者が隣の工場にガスを供給する、これは本来ならば放任してもいいわけでありますけれども、余りこれが行過ぎますというと、一般のガス事業者の供給区域を侵し、その結果本来のガス事業者が十分に経営の実を挙げ得ない。従つて、ガス供給業者に対して間接でありますが、迷惑をかけるということも起り得ますので、許可制はとつておりませんけれども、そういうふうにガス事業者以外の者がほかの者にガスを供給する場合には、その条件等を届出でさせる。届出でをさせまして一応その事実を通産省において把握しようと、こういう趣旨でございます。
次は、第四章に入りますが、これは会計の関係の規定でございます。これはできるだけ先ほど申しましたように、事業の自主性を尊ぶ意味におきまして、従来より簡素化いたしておりますが、特にガス事業に関しましては副産物、副業の関係が当然常につきまといますので、会計の監督につきましても非常にむずかしくもなります、複雑にもなります、又場合によつては不当な行過ぎにもなりますので、そういう点まで考慮いたしまして或る程度の簡素化を図つたわけでございます。
第二十六条は、これはガス事業者が一定の方式によつて会計を整理しなければならんということでございます。これは従前通りでございます。
それから第二十七条の減価償却に関する規定でございますが、これは「通商産業大臣は、ガス事業の適確な遂行を図るため特に必要があると認めるときは、ガス事業者に対し、方法又は額を定めて、固定資産について、減価償却を行うべきことを命ずることができる。」これはガス事業者が当然行うべき減価償却において怠つておるというような場合には、通産大臣の命令によつて一定の償却をすることを強制するということであります。
それから、その他従来の規定には多少まだ会計上の規定がございましたけれども、ガスに関しましてはこの二カ条だけに会計規定を限つております。それから、例えば利益金の処分につきましての認可制というようなものも従来ございましたけれども、電気の場合と違いまして副産物がありますし、その一々利益金の処分についてまで認可を受けないでも、実際上若し不当に社内に留保するような場合には、この二十七条の規定で以て内部留保もできます。又一定の供給条件で以て予想以上の利益が挙つている場合には、供給規程の変更も命ずるという規定がございますので、そういうことで調整をすることができるかと思いますので、一々利益処分についての規定は必要なかろう。これは法令改正審議会の答申に基きましてそういつたものを廃止した次第であります。
次は第五章、保安の関係でございますが、これはガス事業の遂行が工場内部においては当然でございますけれども、一般の公共に対しまして工事の仕方如何によつては非常な危険を伴いますので、そういう面から一定の保安上の義務を負わせる規定を置いておるわけでございます。
第一がガス工作物の維持といたしまして、「ガス事業者は、ガス工作物を通商産業省令で定める保安上の基準に適合するように維持しなければならない。」それから「通商産業大臣は、ガス工作物が前項の保安上の基準に適合していないと認めるときは、ガス事業者に対し、その保安上の基準に適合するようにガス工作物を修理し、改造し、又は移転すべきことを命ずることができる。」一定の保安上の基準を省令で定めまして、その基準に基いてそれに合致するように常にガスの施設を維持しなければならん。若しそうでない場合には、この基準に適合するように補修を命令をすることができるという趣旨でございます。これは特に大きなガス業者に対しましてはそういう心配もございませんけれども、ガス事業は御承知のように全国に八十以上もございまして、非常に中には小規模のものもあり、技術的に、技術陣の十分でない者もありますので、特にこういう規定を置きまして保安基準を定め、それを守らせるという必要があるわけであります。
それから第二十九条はガスの成分の検査であります。これはガスの先ほど申しました熱量、圧力という面のいわゆる品質と違いまして、ガスの成分に有害なものがある。これは製造上これをすべて除去するようなことになつておりますが、それを製造されまして供給されるガスにつきましても常に成分を検査いたしまして、有害物が全然ないというよなことを常にチエツクさせるわけであります。これは無論ガスをそのまま生で吸いますと有害でありますが、ここで有害成分と言いますのは、ガスを焚いた場合になお且つ人体に悪影響を及ぼすような成分を言つているわけであります。この規定も一応の刑罰のない規定でございまして、こういう義務だけを負わせまして、若しそれが危険である場合には別に考えて命令を出しまして、それによつて事業者に対しまして刑罰を科するということになつております。
それから三十条以下、これは工事関係の規定でございますが、三十条は導管の工事についての規定であります。これは導管の実際のそのままの姿が、例えば二十八条の保安基準に適合しておりましても工事方法が適切でないために危険である場合もありますので、これを防止するためにはその工事方法そのものも認可制をとつております。これはガス事業者が自分でこういうふうに工事はやりますという方法を定めましてあらかじめ認可を受けさせるということでありまして、一々個々の工事につきまして認可を受けさせるわけじやございません。
それから三十一条は、個々の工事につきまして工事を行う場合にはその工事開始の十五日前までに届出をさせる。従つてこの届出によつてガス事業者が保安基準に適合し、且つ自分で作つて認可を受けました工事の方法によつて工事をしているかどうかということを必要に応じて検査できるように届出制をとつたわけであります。
それから次に三十二条は、ガスの主任技術者の規定でありまして、これは現在でもこういう主任技術者の制度はございますが、特にガスの供給に関しましてはいろいろな危険も伴いますので、一定の資格を持つたしつかりした技術者が責任を持つということが必要でございますので、この制度を今度も法定いたしたわけでございます。これは試験検定選考制度をとりまして、一定の資格のある者に主任技術者の免状を与える。必ずガス事業はこういう主任技術者を置かなければならないという規定であります。
第三十二条は、こういう主任技術者を置かなければならないという規定であります。
第三十三条は、この免状の規定でございます。これは甲種、乙種とございまして、その程度によりまして二種類の主任技術者の免状を交付するわけでございます。
三十四条、三十五条等はこの免状の交付に関しまする手続規定でございまして、国家試験をするというようなこともここで書いてございます。
それから三十六条は、主任技術者の義務でございます。「主任技術者は、誠実にその職務を行わなければならない。」又ガスの製造又は供給の作業に従事する者は、ガス主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。」この二項のほうは主任技術者のいわば職権と申しまするか、そういつたような点を規定いたしているのであります。
三十七条は、主任技術者の適当でない場合、或いは違法の行為をした場合に免許を取上げる、或いはガス事業者に対しまして主任技術者の解任を命ずることができるようにいたしております。
それから三十八条、これは準用規定となつておりますが、これもガス事業者以外の者でガスを供給する者に対しまして二十八条と三十条から前条までの規定を準用しておりますが、これは要するに保安上の見地からこういう規定を必要最小限度の範囲内において準用するという趣旨でございまして、保安上必要な場合に限つてこのガス事業者以外の者につきましてもこの法律を準用するという趣旨でこの規定を置いてございます。
三十九条もこれも同様の趣旨の規定でございますが、ガス事業者以外の者が事業を開始する場合の届出をさせる、これも同様の趣旨の規定でございます。
それから次に第六章は、雑則でありまして、四十条は、許可の条件といたしまして「許可又は認可には、条件を附し、及びこれを変更することができる。」二項は「前項の条件は、公共の利益を増進し、又は許可若しくは認可に係る事項の確実な実施を図るため必要な最少限度のものに限り、且つ、当該ガス事業者その他の者に不当な義務を課することとなるものであつてはならない。」これは従来もこういう規定があつたわけでございますが、必要の範囲内においては条件を附して許可認可することができるという規定でございます。
それから四十一条は、手数料、これは試験の検定を受ける場合の手数料であります。
それから次に四十二条は、公共用の土地の使用、これはまあいわばガス事業者の特権でございまして、従来もございますが、このガス事業者或いは卸供給事業者もこの場合にはこの規定が適用されますが、その事業の用に供するために道路、橋等の公共物等を管理者の許可を受けて使用することができるというふうな規定になつております。その他手続的なことを書いておるわけであります。
四十三条の土地の立入、それから四十四条の植物の伐採等、四十五条はそれに対しまする損失の補償、こういうものを今のような趣旨からここに規定をいたしました。手続的のものでございます。
それから四十六条は、報告の徴収でありまして、この法律の施行に必要な限度におきまして、政令によつて定めるところによりまして、ガス事業者或いはガスの製造業者から報告を徴収することができるという規定でございます。
四十七条は、必要な場合に主務官庁の職員がガス事業場に立入つて検査をすることができる規定であります。
それから四十八条以下が公聴会及び聴聞の関係でございます。この関係は従来と若干変りまして、従来は聴聞一点張りでありましたので、公聴会と聴聞に分けまして、而もその内容をうんと整理をいたしまして、公聴会にかけますものは特に一般の需用家等にも関係の多いことをかける。個々の処分ということでなく、規定に類するようなものについて許可する場合公聴会にかける、こういう趣旨をとつております。第十七条第一項又は第十八条第二項の規定による処分と書いてございますが、第十七条の一項と申しますのは、ガスの料金その他の供給条件についての認可であります。それから十八条の二項というのは供給規程の変更処分の必要がある場合、いずれもこれはガスの供給に関しまする基本的な条件でございまするので、これは許可をいたします前に公聴会によりまして一般の意見を聞く必要があるというふうにいたしたわけでございます。
それから四十九条の聴聞のほうは、これは特に利害関係者の意見を聞くという趣旨におきまして、従来は細かい工事等につきましても一々聴聞にかけておりましたが、それをできるだけ絞りまして、今度かけますときは一定の処分をしようという場合に限つて、通商産業大臣は第十四条第一項若しくは第二項又は第十五条第一項若しくは第二項の規定による処分をしようとするときは云々とございまして、第十四条の第一項は事業許可の取消処分であります。それから第十五条第一項は供給区域或いは設備の変更の許可の取消、それから第二項のほうは供給区域の減少の例でありまして、いずれもガス事業者に対しましてのいわば懲罰的の処分でありますので、利害関係者であるガス事業者その他の者の意見を聞くという趣旨で聴聞にかけるようにいたしておるのであります。それ以外の点につきましては従来ありました公聴会、聴聞等の措置は全然とらないように変更しております。
第五十条は、異議の申立、これは今のような処分に対しまして不服のある場合異議を申立てるということでありまして、これは従来と同様の規定であります。
第五十一条は、苦情の申出という新らしい規定でありまして、「ガス事業者のガスの供給に関し苦情のある者は、通商産業大臣に対し、理由を記載した文書を提出して苦情の申出をすることができる。」「通商産業大臣は、前項の申出があつたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を申出者に通知しなければならない。」要するにガス事業者のガスのサービスに対しまして不服のある場合は通商産業大臣に対しまして理由を附して苦情を申立てる。それに対しまして通商産業大臣は誠実に処理して、その結果を通報する。これは請願等の別の制度もございますが、もう少し簡易に、又主務大臣はできるだけ迅速に誠実に処分できるように、この趣旨をはつきり法律に謳つております。従来もこの制度は書類にありますけれども、実際上は余り運用されておりません。むしろ法律ではつきり書きまして、こういう趣旨の制度を徹底いたしまして一般の需用家からもいろいろな意見を申立ててもらつてガス事業の改善に資するということが今後これによつてできるのではないかと考えております。
それから第五十二条は、権限の委任の規定、これは具体的にどの規定ということはまだはつきりいたしておりませんが、この法律上の通商産業大臣の権限の一部を通商局長或いは都道府県知事に委任することができるという趣旨の規定であります。
第七章は、罰則でありまして、これは別に御説明することはありません。
それから現在公共事業令は、電気及びガスに関する臨時措置に関する法律というもので生かされておりますが、現在の公共事業令の基礎にねつておりますいわゆる臨時措置の規定からこれを廃止いたしますと、電気のほうも廃止になりますので、ガスだけを除くという趣旨の臨時措置法の改正があります。これは現在の法律と、それからこの新法律案との切替えの規定になつておりまして、これが附則の中に謳われております。附則の第一項は、従来の法律廃止ということが謳われております。今度はその法律のうちのガスだけを除くということのために非常に複雑な表現になつております。そういうような趣旨の規定が附則にあることを最後に申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/2
-
003・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつとお諮りいたしますが、今日は一時から工場視察に出掛けることになつておりますので十二時までに質疑を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/3
-
004・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは十二時になりましたら質疑を打切りますからどうぞ十二時まで御質問を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/4
-
005・小林英三
○小林英三君 ガス事業法を新らしく設定されることは結構だと思いますけれども、内容につきまして我々は審議しなければならんと思いますので、先ず承わりたいと思います。大正十二年に瓦斯事業法が制定され、昭和二十五年に電気、ガスに関する公共事業令が制定され、二十七年にはそれが失効して、二十七年の十二月に電気及びガスに関する臨時措置法が公共事業令をそのまま踏襲して制定された、今回又更にガス事業法ができたと、こういうのですが、この大正十二年にできて昭和二十五年に公共事業令が制定されるまで約二十八年、それから昭和二十五年に公共事業令ができましてから今日まで約二年何カ月あるわけであります。そこでまあガス及び電気につきましても行政上におきまして二十八年の間そのまま放つて置いてあつた、これはそれでいいとされて放つて置いたわけだと思います。併しこの二十八年間というものは相当の長い期間だろうと思うのですが、この間にガスに対する行政上の、法律を少しも改正しなかつたという、これは古い話でありますが、その当時の内閣、行政府がやらなかつたことでありますが、併し現在の当事者として公益事業局長、これはどういうわけでこのままに放つて置いたか。それから二十五年に公共事業令ができてそれが失効して臨時措置法ができて、今日更に公共事業令を大改正したこの今日のガス事業法ができた。これはまあその改正審議会の答申の下におやりになるというわけでありますが、僅かの間にこういう大改正をせざるを得ないほど時代が変つているとは思われないのですが、公共事業令が失効の当時にすでにこれをやらなくちやならなかつたのじやないか。僅かの間に公共事業令ができて、更に二、三年のうちにこれができたということは、これは急に時代のまあ変革といいますか、そういうことがあつたんでしようか、或いはそれが手をつけられなかつたのでありましようか、そういう事情を先ず承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/5
-
006・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) お話の通り、前の瓦斯事業法は大分古い法律でございましたが、その運用上これを改正すべしという意見もこの途上ございまして、改正に関しまする委員会等も昭和の初め頃に設けられたことがございまして、一部修正は行われております。ところが戦争になりまして、あとで電気とガスとはいわゆる公共事業といたしまして特別の法律を作るように当時の占領軍の指示がありました。それに基いて現在の公共事業令が作られたわけでございますが、その内容はこの数年間の運用におきまして必ずしもこのままでは適当でないというふうに考えられまして、自主的な立法ができる段階におきまして、これを修正すべきであるという意見は当初からあつたわけであります。ただこの公共事業令当初の政令の期限が切れるまでに新らしい法律案の成案が得られませんでしたので、一応臨時措置法によつて繋ぎまして、できるだけ早い機会に電気及びガスにつきましての特別立法をする意味においてという趣旨で、この現在の臨時措置法が通つたわけでございますが、従いましてその後昨年この審議会を開きまして半年近くに亘りまして、この新らしいガス事業法案の内容につきまして審議をして頂きまして、それに基いて立案したわけでございます。従つて今度の法律案の中には従来戦前におきまして、又戦後におきましても法律の改正上特に考えらるべき事項として問題になりましたことは全部一応検討の上でこの法律を立案したと、こういう事情になつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/6
-
007・小林英三
○小林英三君 そうしますと、今の御答弁はつまり公共事業令というものは占領軍の命令といいますか、示唆といいますか、それによつてできたものであつて、当時十分とは思つていなかつた、そこで今日この改正をするのだと、こういう意味に解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/7
-
008・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) その通りでございます。特に公共事業令は電気とガスと一緒に規定しておりまして、若干適用の範囲が違つた規定もございますけれども、そういう関係におきましても必ずしも実態に即しまんせので、今度のガス事業法だけを別に立法するようにいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/8
-
009・小林英三
○小林英三君 それからもう一つ承わりたいと思いますことは、最近我々委員或いは議員の手許に、各都道府県の県知事から、このガス事業法は我々の地方長官としての権限を非常に侵害しているように思うからして、こういう点について改正してもらいたいというような陳情が大分来ておるのですが、この今、私どもがもらつておりますこのプリント、ガス事業法案の特色として、公共事業令との比較につきましての、こういうふうに違うんだという先ほど御説明がありましたこの項目について、大体でよろしいですから、県知事がこういう点を我々地方長官として侵害されているのだという項目について御説明を願い、又それはそう言う通りなんだ、或いはそういうことは間違つているのだという御意見を大体でよろしうございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/9
-
010・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 従来の古い瓦斯事業法におきましては、当時はいわゆる通産局或いは商工局というものも商工省の出先機関としてございませんで、大体、ガス事業の監督は地方においては府県庁に任せておりました。特に府県で行いますことは工事の監督でありますとか、そういつた保安の見地からいわゆる警察部のほうで行なつているというような権限が多かつたのであります。ところがそれは今度の現在の公共事業令では全然そういうふうな権限は地方に与えられておりませんで、すべて通産大臣が一手に握りまして、或る程度の権限を通産局長に任している、こういうふうな実情でございます。従つて現状と今度の法律案と比べますというと、むしろ今度の法律案では一定権限を地方の都道府県知事に委任することができるという規定が置かれておりますが、その内容はまだ確定しておりませんが、或る程度権限の委譲ができるようにいたしておりますが、現在では全然権限がない。ただ従来府県庁ではそういうふうな経験がありますので、できるだけ工事監督等につきましては権限を任してもらいたい。こういう意見は審議会の審議途上においても出されておりまして、その趣旨で、この法律案のうちで今のような根拠規定だけを置いている。こういう実情であるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/10
-
011・小林英三
○小林英三君 それから、この事業法案の今説明されました法案の中の二十九条、三十条、或いは三十一条ですね。これはこういうガスの成分の検査とか、或いは導管のパイプの工事の制限だとか、いろいろなことが書いてありますが、これは何ですか、実際問題としてガス事業者が出されたものを検査することができるというだけになつているのであつて、実際問題として図面、或いは現場について検査されるのですか、実際問題として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/11
-
012・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 二十九条の成分の検査、これは記録を向うでとりますから適時行つて見ればいいわけですが、あとの実際の工事の監督につきましては常にいつでも参つて検査をするわけではございませんで、必要に応じて出張して行つて調べる、こういうことになります。
それから先ほどちよつと私が申上げましたことで訂正いたしますが、現在では地方長官の権限といたしましてはガスの設備を作りましたときにその使用を許可するという、そういう権限が県知事にあります。これは今度の法律案では全然そういう使用許可の規定を置いておりませんので、従つてその権限もなくなつた。こういう実情がちよつと変つております。御訂正いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/12
-
013・小林英三
○小林英三君 そうすると、今の三十条とか三十一条とかいうものは、図面を出させてこういう工事をするということを見る気休めということですね、一種の。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/13
-
014・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) この事業の届出につきましては、内容は特別の図面等によつて届出でるのでなくて、いつ幾日こういうふうな工事をするという、こういうふうな届出をさして工事がどこで行われているかということを見るのでありまして、どういうふうな工事をするかということはあらかじめ認可を受けている三十条の工事方法によつてわかりますので、果してその方法によつて行なつているかどうかということを必要に応じて見る、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/14
-
015・小林英三
○小林英三君 それからその工事方法によつて、わかつているとおつしやつても、実際その通りにやるかやらんかということはわからんじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/15
-
016・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) それはやはり実際行つて見ないとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/16
-
017・小林英三
○小林英三君 わからないですね。それはどうなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/17
-
018・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) これは常に工事のあるたびに行くというわけに参りませんですから、必要に応じて抜打的に行くということが実際問題として考えられるのではないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/18
-
019・小林英三
○小林英三君 そうすると、つまり通産省がこれを行つて検査することができるということになつている程度ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/19
-
020・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/20
-
021・海野三朗
○海野三朗君 この二十一条もそうですが、二十四条あたりずつとこれを通観して見ますというと、時間が一つも入つていないのです。時間、タイムが。それから二十一条の、「ガス事業者は、政令で定める方法により、その供給するガスの熱量及び圧力を測定し、その結果を記録しておかなければならない。」これも時間が入つておりません。三日あとに記録しても、一週間あとに記録しても差支えないのだ、こういうところに抜けがある。それからすべてタイムが、時間が入れてありません。大臣が認可しなければならないといつても、いつ認可してもいいのだ。半年後に認可してもいいのだし、又一週間後に認可してもいいのだ。実にこういうところに杜撰な法律で、もう少しおきめになつたらいいのじやないかと思うので、通産当局はいろいろお考えになつたのでありましようが、このガスの記録ということになつておりましても、記録した結果が具体的に何ら示されていない。こういう点は如何ようにお考えになつていますか。タイムが入つていない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/21
-
022・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) この記録の点はここにもありますように、政令で定めるところにより、でありますから、政令によつてどういうふうな記録をしなければならないということを規定するわけであります。当然に熱量等につきましては毎日やるべきであります。それから成分等はこれは一週間に一度ぐらい記録をするということが必要であります。その記録を適時主務官庁のほうで検査に参るということによつて、実際にどういうものが出ておるかということを知ることができます。それから許可等に関しましての期限がないというお話でございますが、これは実を言えば、主務官庁のほうをそういうふうに期限的に縛る必要があるかとも思いますけれども、現在の現定にもそういうことがありませんし、又事業の内容によりましては審査にも時間をとる場合がありますので、一応従来の慣習によりましてこの法律案でも一定の期間内に許可をしないときは、という規定を置かなかつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/22
-
023・海野三朗
○海野三朗君 時間をお入れになる必要がありませんかというのです。申出てから二週間以内に何とか返答をするとか何とかいうことの時間が一つも入れてないので、漠然とした方向を示しただけに過ぎないので、例えばこの前の仲裁裁定と同様です。ずつと遅れてから許可する。とにかく仲裁裁定を採用したのであるということで、採用したのはしたでありましようが、その時間が、大事なフアクターが取除かれておるのであります。この点を私は法案といたしましては時間が入つていない、相当ごまかせばごまかせるというふうに考えられるのでありますが、当局はどういうふうにお考えになつておりますか。これが一点とそれから工事のガス主任技術者国家試験というのですが、国家試験は誰が試験官できめるのでありましようか。それをお伺いしたい。それからパイプのことでありますが、導管の工事の方法、その方法は通産省がやるからと言つたつて、遠方の所は一々出て行つてやれないじやないか。結局その都道府県にその監督を任せなければいけないのじやないか。こういうふうに考えるのでありますが、如何ようにお考えになつておりますか。そこを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/23
-
024・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 第一点の期限の点でございますが、ガスの法律につきまして従来そういう期限がついておりませんけれども、実際問題といたしまして、ガス事業の法規の運用上特に許可、認可等の手続が遅れて困とというような実際の苦情は非常に少いと思つております。又実際問題といたしましていろいろな手続があるわけでございますが、同じ、例えば事業許可の申請にいたしましても、大きなところはまだいいんでございますが、非常な田舎で新らしくガス事業を興そうというときは、実際の事情をよくまだ十分わからないで申請書を出します。そういう場合、申請書の内容の書き方につきましては、或いは又実際に需給関係をどう考えておるか、将来の見通しということにつきましてもいろいろ又こちらへ出て来て、話も聞き、相談しなければならんという事情も多々あるのです。従つてそういう場合には非常に最終的な認可は遅れるわけでありますが、これは実際上それだけ慎重にやらなければならん必要がありますが、そうでない場合はできるだけ迅速に認可をいたしておりますので、やはり一定の期間縛つて一律にやるよりむしろこのほうがいいのではないかと考えております。それから主任技術者の国家試験は、これは試験委員というものは、毎年やります場合には適当な権威者のかたを嘱託いたしております。勿論この中には役人も入り得るわけでありますが、大体学校の、大学の教授でありますとか、そういつたような権威者のかたにお願いして試験委員になつて頂いております。それから工事監督でござりますが、これは一応本省で、すべてこういうものまで出て行つて検査するわけには参りませんので、出先に任せるということになりますが、現在では通産局長が行う権限になつております。今度の法律運用の場合には、先ほどの委任規定を適用いたしまして、こういうふうな工事監督くらいは都道府県知事に任したほうがよくはないか、こういうふうな考え方もいたしております。まだ最終決定はいたしておりませんが、ただその場合において、県によりましては、それだけの能力のないところもございますので、その点を慎重に考えまして、でき得る場合にはむしろ県に任したほうがよかろうということで、一つの方法として出て来るかも知れませんが、まだその点につきましては結論は出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/24
-
025・海野三朗
○海野三朗君 大阪府知事からもこの委任の改正についての要望書が出ておるのでありますが、これはすでに当局におきましても、御承知なことと思いますが、これはその中に十分織込みなさつたのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/25
-
026・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) これは五十二条に、先ほど読みましたところにありますが、「通商産業局長又は都道府県知事に行わせることができる。」と法律上でこれだけの規定を置きまして、あとどの範囲のものを通産局長或いは都道府県知事に行わせるかということは、今後の研究といたしましてきめたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/26
-
027・海野三朗
○海野三朗君 「今都道府県知事に行わせることができる。」と書いてありますが、この大阪府知事からの要求によりますと、非常に都道府県知事の権限を縮小しておるのであります。その縮小したのはそれでもいいかも知れませんけれども、この事業遂行上困るのではないかと私は思うのです。例えばその監督の権限、それはお困りではないが、やはり大阪府知事あたりの言つておることは加味する、そうすれば、この権限を非常に削除しておるのでありますが、そういう点では十分な御用意があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/27
-
028・中島征帆
○政府委員(中島征帆君) 現在府県知事の権限といたしましては、先ほど申しましたように、ガス工作物を作つて、作るまでいろんな認可を通産省でやるわけでありますが、すでにでき上りまして、これをいざ使うというときの使用認可をする、その認可権は県知事にあるわけです。今度の法律では、そういうような使用の許可を受けて工事をした場合には、それができ上つた場合の使用認可は要らんだろうというので、使用認可の規定は今度は削つてございますので、その面に府県知事の権限は落ちたということになつておりますが、若しこういう監督等におきましてその方法が適当であれば府県知事に行わせることができるようにしておいたのであります。特に府県側で言つておりますのは、こういうふうな委任規定でなくて、初めから当然地方の知事の権限としてはつきり法律に謳つてもらいたい、こういうような希望もありますのですが、我々の考えといたしましては、一応すべてを通産大臣が握りまして、その中で必要なものを適時府県知事に任せるということが実際的ではなかろうかと考えまして、五十二条のような抽象的な規定だけを置いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/28
-
029・海野三朗
○海野三朗君 もつと質問がございますが、今日は時間がございませんから私は質問を保留いたしまして、この次にいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/29
-
030・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日はこの程度にいたしておきまして、なお質疑は次回に引続いて行いたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/30
-
031・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後零時一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X01019540218/31
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。