1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年三月二十九日(月曜日)
午後二時九分開会
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
加藤 正人君
海野 三朗君
委員
黒川 武雄君
小林 英三君
高橋 衛君
西川彌平治君
酒井 利雄君
岸 良一君
豊田 雅孝君
三輪 貞治君
武藤 常介君
白川 一雄君
国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
政府委員
通商産業大臣官
房長 岩武 照彦君
中小企業庁長官 岡田 秀男君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した事件
○中小企業金融公庫法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○通商及び産業一般に関する調査の件
(中小企業金融に関する件)
(電気料金に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。
本日は中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。
先ず御質疑をお願いいたします。格別御発言もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/1
-
002・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/2
-
003・海野三朗
○海野三朗君 この中小企業金融公庫は誠に必要な存在でありまして、地方を眺めますというとまるで旱天に慈雨といつた感じで、要求者の、借りたいという人に対して非常に少いのが甚だ遺憾であります。この状態は決して健全なる社会の状態ではありません。で、これはつまり日本の中小企業が行詰つておることを意味するものでありまするが故に、これを救済する第一の方法といたしましては大いにこの予算をもつともつと殖やして、そうしてこの中小企業を救わなければならないと考えるものであります。今日まで政府は非常な努力をされたのであると思いますが、私ども実際中小企業を眺めますときに、甚だ遺憾なる点がまだ多々残つておるのであります。今後ともこの方向に一層の努力を払われることを要望いたしまして私はこの案に賛成の意を表するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/3
-
004・西川彌平治
○西川彌平治君 私は只今の中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして賛成をいたすものでございます。理由といたしましては、今日中小企業が資金難に非常に喘いでおりまして、何とかいたしまして少しでもたくさんの資金を得たいというふうに考えておりまする際におきまして、百三十億を百五十五億に増額をするということは誠に時宜を得たものとして喜びに堪えないと同時に、この対象となつておりまするものに更に塩業組合、消費生活協同組合というようなものもこれの対象にされたことはこれ又非常に私は時宜を得たものと考えておる次第であります。なお私は希望申上げまするならば、今回百三十億を百五十五億に改めておりまするが、政府におきましても非常にこの財政面にお困りのときではありまするが、更にこの方面にいま少しく資金を一つ出せないかということを私は強く要望するものでありますが、これは希望といたしまして申上げる次第でありまして、全面的に賛意を表する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/4
-
005・豊田雅孝
○豊田雅孝君 私も本案に賛成をいたします。ただ今日中小企業金融が非常に緊迫いたしまして、前途誠に憂慮に堪えぬものがあるわけでありますが、さような面からいたしまして、一つは今後何らかの方途を講じられまして、更に中小企業金融の資金の拡大強化を切に希望するということが一点でありまして、もう一点は中小企業金融公庫に今回増資になり、又その資金はやや殖えましたけれども、これが運用に当りましては弾力性のある臨機応変の運用をせられる必要があると思うのであります。只今の資金運用は額も少いのでありまするが、各代理店に余りにも引摺られるといいまするか、その枠が非常に分散的に小さくなり、而してその運用が必ずしも円滑でないというわけでありまするので、従来の運用方法と変つた弾力性のある、場合によりましては重点的な運用によりまして、この中小企業金融の緊迫した情勢に即応する運用をせられることを希望いたしまして本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/5
-
006・武藤常介
○武藤常介君 改進党を代表して本案に賛成いたします。前々にも質問のときに述べておきましたが、今回は資金が増額にはなりましたが、中小企業者の要望をこの額では到底満たすことはできない。殊に又政府の方針によりまして今回の緊縮政策になりまするというと、この方面が又非常に利用されるようになるだろうと思いまするし、今度の改正案によりまして又非常にこの利用する業者の種類も殖えるし、法活用の範囲内が非常に複雑になつております、従つて今後はどうしてもこの額は五割乃至或いは倍くらいに増額する必要があろうと、こう思いましてこの機会に希望を申述べまして、本案に賛成いたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/6
-
007・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御発言ございませんか……。
それでは他に御意見もないようでありまするが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/7
-
008・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより採決を行います。
中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/8
-
009・中川以良
○委員長(中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決することに決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告並びに事後処置につきましては前例により委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/9
-
010・中川以良
○委員長(中川以良君) それから報告書には多数意見者の署名を附することになつておりまするので、本案を可とせられたかたの順次御署名をお願いを申上げます。
多数意見者署名
加藤 正人 黒川 武雄
小林 英三 西川彌平治
酒井 利雄 高橋 衛
岸 良一 豊田 雅孝
海野 三朗 三輪 貞治
白川 一雄
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/10
-
011・中川以良
○委員長(中川以良君) それから只今通産大臣が久し振りで当委員会においでになりましたので、本会議のベルの鳴りまするまで、通産大臣に対する御質疑をお願いいたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/11
-
012・西川彌平治
○西川彌平治君 私はそのことを実は委員長に申上げて発言をいたしたいと思つたのでございますが、幸いに委員長さんからさようなお話がございましたので、私は通産大臣に極く簡単に一つ御質問を申上げて見たいと思うのであります。私が申上げるまでもなく、もう毎日の新聞やラジオやあらゆる機関を通じまして、大臣は御承知のことと存じておりまするが、今日の中小企業の行詰りというものは、実に私は深刻なものがあると思つているのであります。特に私は最近二、三の地方を廻つて参りまして、東京よりも更に地方が深刻の度を加えておるように私は感じておるのであります。本来でありますれば、この経済界は中央が因つて、それから地方に参りますと、割にその影響がないのが通例でございますが、最近の状況を見ますというと、殆んどこれは中央、地方を問わず、深刻な様相を呈しておると申上げられるのであります。地方は戦争前は相当のいわゆる何といいますか、内部的に余裕のあるとでも申しますか、割合に中央の影響を受けなかつたのでありまするが、今回はもう中央と同様に深刻な状況を呈しておりまするのでありまするが、かような状況が私は悪化いたしますると、先には大工業の、大工場のしわ寄せが中小企業に行くということで我々は心配したのでありますが、今日のこの中小企業のしわ寄せが私は循環をいたしまして、今度は大企業に又このしわ寄せがはね返るのではないか、かように考えられるのでありまするが、かような点に対しまする通産大臣の一つ御所見、又それに対する対策等がありましたら、一つ承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/12
-
013・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 中小企業の問題につきましては、前々から申上げておりますように、二十九年度の予算案並びにこれに伴いまする経済政策の転換が一番この中小企業に早い時期に、且つ深刻な打撃を与えるのではなかろうか。で、これをできるだけ早く回避することが成功するかどうかがこの政策転換の私は成功の鍵であるというふうに考えておるわけでございます。若し中小企業対策がうまく行かなければ全体として非常に面白くないことになるということを、この政策の転換の当初から私といたしましても心配し、又情勢の推移を見ておつたわけでございますが、只今御指摘のように当初から恐れておりましたような傾向が相当出て来ておることは、否定することはできないと思うのであります。ただ私どもといたしましては、どつちみちこの財政の圧縮なり金融の引締なりということは、あらゆる方面においての国民の我慢と耐乏とを基調にする政策でございますから、一概に苦しいところができて来そうだからと言つて、それに対する救済措置を安易にとるということは、これも又全体としてとるべきことではないということを考えておるわけでございますが、ともかくもそういつた考え方の下に最近の状況、並びにそれに対する対策は極めて慎重に且つ手際よくやらなければならないと考えております。
そこで中小企業に対しての最近の状況をどういうふうに見ておるかという点がお尋ねの第一点でございますが、先ず一つは金融機関の系列とでも申しますか、金融機関の系列から来る問題、それから融資をできるだけ選別するというような態度を金融機関でとらざるを得ないような状態になつておりますから、そこから来る問題、それから大企業との関係において下請代金の支払の問題、それから問屋の手形期限の延長等から来る問題というようなことで、一口に言いまして大企業からのしわ寄せを受けておる面が非常に多い。それから只今御指摘のように中小企業自体としても直接の影響を非常に深刻に受けて来るというふうな状態が現実の状態であろうと思うのであります。そうして金融難が具体的にどういう点に現われておるかと申しますると、これも只今御指摘がございました通りでありまして、例えば不渡手形がその件数のみならず、一件当りの金額が少くない、或いは又融資を希望する額が日増しに多くなる、それに対して融資の実績が十分でないというような、いろいろの点において具体的な事例が起つておるわけでございます。そういつたような状況でございますから、大体これまでにも申上げておりますように、一つだけの方法をとつて端的に効果を現わすというような、そういう起死回生の妙薬はございませんから、いろいろの面から総合的な対策を打つて行かなければならないと考えます。そこで例えば取りあえず金融だけの問題としての対策を申上げますると、大きく分けて五つくらいに考えられると思います。その一つは政府金融機関の活用であります。それから第二は指定預金の操作でございます。それから第三は信用補完制度の活用であります。第四は小口金融の円滑化の措置でございます。第五は下請代金の支払促進の措置でございます。大体こういうふうな大きく別けて五つくらいの方法が直接金融対策として考えられるかと考えておるのでございます。政府機関の金融機関の活用の点については、只今御審議を終えられました中小企業金融公庫もその一つでございます。それから国民金融公庫におきましては、特に非常に零細なものに対する小口の貸付制度をできるだけ簡易な方法で実行いたしたいと考えております。それから商工中金の関係におきましては、これは実は金融債の引受の問題で、少くとも本年と同額の四十億円を資金運用部で引受けてもらえるかどうかということが当面の最大の問題になつておりまして、通産省といたしましても、できるだけこれは他の部門との比較から申しましても、特に重点的に考えてもらわなければならん問題だと思いまするので、今最善の努力を続けているようなわけでございます。
それから、以上のようなことが政府関係機関直接に関係の問題でございまするが、第二は指定預金の操作でございまして、この指定預金につきましても先ほどちよつと申しましたが、全般的に指定預金をうんとこれはやつて、或いは引揚げないで、そうして金融を緩めるというふうなことを私は筋として考えたくはないと思うのであります。若しそういうことを徹底してやるということであれば、今回のいわゆる耐乏予算に伴う一連の経済政策が根底から覆える虞れもあるかと思うのであります。併しながら中小金融に対して特に考えなければならないこの事態におきまして、理窟一点張りで指定預金の操作をするということは、それこそ角を矯めんとして牛を殺すようなことになると考えられまするので、この点につきましては情勢をよく見守つておりまして適切に随時適宜な措置を講じたいと考えておるわけでございます。
それから第三が信用補完制度の活用でございます。これにつきましては法律案の御審議もお願いいたしております信用保証協会制度の法用につきましても同様でございまするが、ひとり金融の額を政府機関で殖やすだけでなく、一般の市中の金融機関からの融資をも受けやすくするように、受信力をできるだけ早く固めたい、強くしたいという範囲で、かようなことを考えて参りたいと思います。
それから、その次に小口金融の円滑化でございますが、これは先ほど国民金融公庫についてもちよつと申上げましたが、実はこれはいわゆる中小金融の問題というよりも、もつと下と言つては語弊がございますが、もつと小さな零細金融というのがいいかと思いますが、例えば期限三カ月乃至六カ月くらい、簡略な手続で一口五万円といつたような程度のものを、この二十九年度におきましては実行して行きたいと考えております。これは一つのテスト・ケースとも言うべきものであると思うのでありますが、特にこの零細な面に対しましての、簡易であつて小口な貸付の制度を新設したい。これは或る意味におきましていわゆる非合法な金融機関の活動に対してこれを封殺するような効果もあるのではないかと思つております。又同じく小口金融の円滑化については、いわゆる小口の信用保険制度の創設が必要であると考えるわけでありまして、これにつきましても法律案を御審議願つたわけでございます。
第五の下請代金の支払促進は、通産省といたしましても公正取引委員会とも緊密に連絡をとりまして、又関係各庁の協力を得まして、例えば各役所から下請の支払を迅速にするように契約先に勧告をする、時宜によつては受領委任状によつて直払いをする等の措置を講ずるというようなことが適当ではなかろうかと思いまして、かような方法を実施して参りたいと考えております。
以上は極く概略を、特に金融政策という面から申上げたわけでございますが、なお、これらの点につきましては実情の把握、殊にその移り変りを常時適切に掌握することが政府側として絶対に必要なことであると考えますので、特に従来にも増して各金融機関或いは大阪、名古屋を初め、地方の主要都市等についても、本省において、中央において事態の推移が的確に掌握ができますようにと考えまして、それらの手順等につきましては大体すでに軌道に乗つておるつもりでございますが、各地方の現実の実情が迅速、的確に中央に連絡され、それに対して必要の場合に遺憾のない措置を講じ得るような態勢にいたしておる、或いは又市中金融機関、日本銀行等に対する連携も従来にも増して十二分にとれるようにするというような構え方をも現に十分気を付けてやつておるつもりでございますが、今後一層事態の深刻化が予想されますので、それらの点につきましては十分の配意をいたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/13
-
014・西川彌平治
○西川彌平治君 今大臣からいろいろ中小企業に対する主として、金融面からのお話を頂いたのでありますが、私はこの金融の面につきまして政府機関をいろいろ動員いたしまして、そうしてこの中小企業に金融を図るというその親心に対しましては誠に有難く考えておるものでございます。併しながら政府といたしまして、まあ緊縮緊縮というこの掛声といいますか、緊縮予算の編成とでもいいますか、そういうことからいたしまして、まあ物価の引下げ、物価を引下げるためにはまあ日銀あたりの協力を得ましていろいろな貸出等に対する制限がされておるわけでありますが、そういう貸出の枠とでも申しますか、制限をいたしまするものが、政府機関の貸出との関係におきまして、だんだんと今まで中小企業が一般金融機関から金を借りておるものが、要するに緊縮方針によるところの貸出制限というようなことからいたしまして、どんどん引揚げられて来まして、実際に親心で政府機関の中小企業金融公庫であるとか、或いは商工中金であるとか、そういうような関係から出る金がすつかり一般金融機関の貸出と置き代つてだんだんと行くような傾向が現実の問題として私は非常に大きいように見ているのでありますが、かような点について政府はどういうふうな御調査をなすつておりますか。又そういう点に対してどういうふうにお考えになつておるかを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/14
-
015・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは誠に御尤もなお尋ねだと思います。ただ相実の数字等を見て参りますと、いわゆる中小金融に対する市中金融機関、その他一般の政府機関でない金融機関の貸出の歩合も金額も僅かではございますが、最近においてずつと年々、或いは毎月々々殖えております。極く僅かではございますが、その比率は殖えておるのでありまして、この一月、二月頃のそういう比率は、これはまだ統計はできておりませんが、少くとも本年一月頃までの間では殖えて来ております。そこでそういう状態ではございますが、同時に先ほど申しましたように、政府関係機関だけにこれは頼るわけに参りませんから、市中の一般の金融機関が貸出しやすくなる、或いは政府側から言つてやれば、これだけの制度をやつておるのになぜ貸してくれないかというような勧奨もできるというようなことにすることが必要であると思いますので、小口の信用保険制度の創設でありますとか、或いは信用保証協会制度の法制化でございますとか、いわゆる受信能力を強化する、そうやつておいて、なお、且つ、市中金融機関がそこまで制度的に保護しようとする中小企業に対して貸出が十分行かないというようなことであれば、これは非常に非難さるべき事柄になると考えるのでありまして、そういうような体制を私は作りたいと思つております。これらの点もそれぞれすでに法律を要するものは法律案として御審議願つておるつもりであります。更にこれはまだ十分練れていない考え方であり、同時に政府部内としてもまだ大蔵省方面と話合いはついておりませんが、私見といたしましては、中小企業に対する貸付については、いわゆる貸倒準備金として税法上損金に算入されるものを、一般の貸出しよりもその比率を制度的に高くすることはどうであろうか、つまり中小企業に対する貸倒準備金が他の貸倒準備金に対するよりは、制度とし、或いは税法上の保護を厚くしたらどうであろうか、そうすると中小企業が危いからできないというような、そういう非難を除去することができるというようなことも現在研究しておるわけでございます。これを要するに一般の企業としての金融が中小企業に対する貸出しをいやがるというような原因を制度的に除去するということが一つのこれは根本的な中小企業金融に対する対策の一つではなかろうか、こういうふうに考えております。これはこういうふうな考え方が、先ほど来御指摘のような当面の非常に火のついた問題に対して、すぐこれに対する回答になるかどうかは別問題でございますが、日本のような非常に企業が零細であり、分散しておるような場合においては、恒久的の対策としては一つの考えられる問題ではなかろうかと、こういうふうに思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/15
-
016・西川彌平治
○西川彌平治君 もう少し具体的な問題で一つ私は同つて見たいと思うのでありますが、私は前からの委員会等においてしばしば申上げておりますが、通産省と申しますか、中小企業庁と申しますか、中小企業に対しての施策として、いわゆる企業診断というものが最も私は効果的であつて、まあいい制度であるということを私は申上げておつたのでありますが、その企業診断をやりましたいわゆる中小企業に対しまするその後の実績はどうであるかということについて私は相当数多く知つておるのであります。私の想像いたしておりまするように、企業診断の結果といたしまして、工場の設備改善に要する資金或いは運転資金等の融資の面に対する斡旋も相当中小企業金融公庫或いは国民金融公庫とか、或いは商工中金から受けておりまして一応の設備改善或いは生産品種の統一というようなものができておりまするので、工場の能率的な面におきましては相当にこれは数字から申上げましてもいい線が出ておるのでございます。この点は私は中小企業庁の長官がおいでになりますが非常に感謝を申上げておるのであります。ところが最近私が廻つて見まするところによりますると、幸いにいたしましてその効果が現われまして、製品も相当できておる、それで春のもやや開拓がされて来つつある。併しながら今日の一般状況は非常に金詰りであるために資金の回収に非常に困つておるのである。而もこの現金なんというところは殆んど寥々たるものであつて九十日、百日、百二十日、百五十日というような手形でなければ販売ができない。それを現金でなければ駄目であるとか、或いは六十日手形でなければ駄目であるとかというようなことになるとすぐストツクができてしまう。かてて加えて私が先ほど申上げましたように、折角この政府の御心配になつておるところの中小金融公庫であるとか、或いは商工中金であるとか、或いは国民金融公庫等からこの改善に対する資金は頂いておりまするが、その半面いわゆる市中の銀行からはどんどんどんどんと金を引揚げられて行つておる。あなたのところは工場がなかなかよく行つているから設備がよくなつておるなんと言つて金を貸してくれるならばいいけれども、逆に金融の引締のあふりを食つてどんどんどんどんと引揚げられている。こういうふうな現状で実は二進も三進も行かない、よくなりつつあるが二進も三進も行かない、これはどうしてくれるのだというような話がこれは私はもう十指に余るほど聞いておるのであります。昨日も私は新潟に帰つておりましたら、新潟の県庁のその係の人と工場のかたが来られて、この問題は一つ真剣にこれは政府に対して考えてもらわなければいかんということを言つておられるのでありますが、実際におきまして折角政府が親心を持つてこの中小企業金融公庫であるとか、国民金融公庫であるとか、或いは商工中金から金を出してやられるような途をつけてやつたりしている半面、一方一般市中銀行からどんどんどんどんと金の引揚げをやられておる。こういうことではどうにもこうにも中小企業は折角いい施策をやつて頂いても私は成立たんと思うのでありますが、この点に対する一つ御意見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/16
-
017・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 中小企業庁といたしましても企業診断等いろいろと努力をいたしておるのでございまするが、それがやや効果を挙げつつあるというふうにお認めを願いましたことは関係者としまして非常に嬉しく存ずるのでございまして、今後とも一段の努力を傾注いたしたいと存ずるのでございます。
御指摘になりましたように、企業診断にいたしましても、又政府側が直接いろいろ施策をいたしておりまする中小企業金融の問題にいたしましても、結局一番大きな力を持つておる市中金融機関の動向が中小企業に対して逆な動きをするならば一切のことが無駄になつて中小企業は困つてしまうじやないかというような御指摘でございます。その点につきましては私どもも絶えず市中金融機関の動向に対しまして注意深く挑めているのでありまして、先ほど大臣から申上げましたように、如何にしてかこの市中銀行の動きが中小企業に対して素つ気ないような動き、中小企業につれないような動きをしないようにしてもらいたいということで、例えば今の信用保険の問題にいたしましても、或いは大臣としてまだ単なる構想に過ぎないとは仰せられたのでありますが、例えば貸倒準備金について或る工夫をすることができるとかできないとかいうような問題等におきましてもいずれも皆市中金融機関、これはその中小企業に対しまして出ておりまする金額の六割四、五分を占めておるところの市中金融機関の動きが非常に中小企業に対して重大なる影響を持つておるということを考えるからにほかならないわけでございます。最近の金融引締の方針に関連いたしましても、私どものほうから全銀協のほうにも申出をいたしまして、この影響が特に中小企業に対して大企業と比べて特に強い引締の影響が来ませんように、金融操作上も注意をして頂くようにお願いと私のほうからもいたすように考えておるような次第であります。今後も中小企業に対して市中金融機関が差別的な態度をとりませんように努力を傾注して参りたいと思うのでございます。一般的な金融の引締が行われておるのでございますから、中小企業といえどもこの一般的な意味の影響から全然除外されるということには相成らんとは存じまするが、大きな金融の流れのうちの中において中小企業なるが故にいじめられるというようなことがあつてはならないと思います。御指摘になりましたように企業の内容が非常に改善されまして運営も非常に順調に行つておる、その際に金融が詰つて来てどうも事業への影響上困るというような場合でございますれば、例えば中小企業金融公庫から長期の運転資金をその企業に投入いたしまして、それによつて流動比率の不安定な状態を長期の運転資金を入れることによつて経営を安定せしめるということはこれは考え得られることでございまして、現に中小企業金融公庫といたしましても金融引締の強化されるに伴いまして公庫の貸出しまする長期運転資金によつて企業が安定を以てそして苦しい経済界を乗越える一つのまあ頼りにして頂くならばよろしいという心持で運転資金の貸出を考慮いたしておるのでございまするから、それらの点も一つ御利用になりまするように御宣伝願えれば幸いでございます。いずれにいたしましてもさような趣旨で今後も努力して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/17
-
018・西川彌平治
○西川彌平治君 今長官からお話がありましたように、是非一つ市中銀行に対して中小企業と大企業との区別をつけないようにできるだけ中小企業に対して面倒を見るようにということに対する一つの何か措置を迅速にとつて頂きたいということと、いま一つは、私は先ほど申上げました手形の問題でございますが、この九十日、百二十日、百五十日というような手形がたくさん出ておるのでありますが、幸いにいたしまして商工中金が非常に中小企業に対する理解を持つて頂いておるので、この手形の割引等どういう方法でやつておるか、そのやり方についてはわかりませんが、とにかくその中小企業に対しての面倒を見て商工中金は頂いておりまするので或る程度この長い手形も割引をいたしておるようであります。ありますが、なかなかそれを何もかも持つているというわけに行かないのでありますが、市中銀行においては九十日でもなかなか割らないのが、九十日なんていうのは通り越して百二十日、百五十日というようなふうになつておるのでありますが、かようなものに対する何か一つ中小企業を助ける上において措置はないものでしようかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/18
-
019・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 手形の期限がだんだん延びる傾向にございまして、それが中小企業に対して非常な苦しみを与えておるということは、私どももつぶさに見ておるところでございます。私どもはそれに対してどういう態度をとるかという問題でございまするが、金融機関に対しまして非常に長い、九十日を超える手形、日銀に持つて行きましても相手にしてくれない手形の割引を金融機関に強要するということは、これはもう不可能であろうと思うのでございまするが、私どもが差当りその手形の長引きますことに対してとつておりまする措置といたしましては、大企業等がその取引上に占める有利なる地位を利用して不当に中小企業を圧迫する、その一つの現われとして手形が非常に長く出て来るということでございますれば、これは手形の割引という関係とは別の形において、不公正なる取引としてこれを抑えることができる。かような見地から、公正取引委員会と私どものほうで協力いたしまして調査をいたしまして、その間不当な圧迫とみなし得るような事態がございますれば、これを公取において適当に注意を与え、なお且つ改めませんものについては、法的な処置もとるということによりまして警告を与えて行きたい。ただまあ親企業もこの経済界の荒波の結果非常に苦しんでおる。だから子の関係の中小企業もまあ暫らく辛抱してくれんか、共に苦しんでくれという立場にあります場合におきましては、余りに中小企業の立場を強調しまして、親のほうが手を上げられますと、これ又非常に困る結果に相成りますので、その辺の加減も児ながら、不当なものであります限り、これを是正する措置をとつて行くということによつて、私は不当な、手形の長いものを是正して行くということが当面の方策ではないかと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/19
-
020・西川彌平治
○西川彌平治君 今長官の言われたことは私は尤もだと思います。思いますが、私は、まあ具体的に申上げますならば、先ほど私は商工中金が非常に中小企業に対して長期のものも何とか心配してくれということを申上げたのでありますが、併しなかなか私は商工中金にしたつてもそうなかなか皆の言うことを聞くわけにも私は現在の資金量としては無理だろうと想像しておるのであります。そういう無理も言えないと私は考えておりますが、これを商工中金にもう少し無理を言われるような方法とか、例えば中小企業金融公庫に対して何とかそういうものを、特に割引制度というようなものでも設けさせるとか、或いは国民金融公庫にそういうものを何とかして金を借りる方法とかいうような何か措置がないかどうかということを、私は具体的に言うならば伺つて見たいと、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/20
-
021・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 私どももさような趣旨から、例えば商工中金の問題にいたしましても、先ほど大臣からお答えありましたように、極力資金量を殖やすような方策といたしまして、少くなりました金融債の引受けの枠、つまり資金運用部の金融債の引受けの枠の中でありながらも、せめて商工中金の分は本年度並みの枠を保持するように努力いたしたい。又指定預金の引揚げにつきましても、商工中金その他中小企業者関係の金融機関につきましては特別な措置をとつて参りたいというふうなことを考えますと同時に、先般御審議を願いました中小企業信用保険法の改正の中におきましても、手形の割引について信用保証協会の関係の保証保険を及ぼすように措置をするというふうに、あの手この手と中小企業者が訴え得るような方策を考えておるわけでございます。それが先ほど、これも又大臣も申されました通りに、と申しながら、大きな日本全体を、金融の引締ということも一つの有力な手段として健全な姿に建直して行こうという流れを曲げるというところまで持つて行くことはこれはいけないことであろうと思うのでございます。その辺の大きな方針を認めながらも、中小企業者の苦しみが不当な程度にならないように、逃路を若干作るような方向で努力いたしたいというふうに努めておるわけでございます。御趣旨のような趣旨に今具体的にこうだというほどの点はございませんが、大臣ともいろいろとお智慧を拝借しながら、大蔵省方面と目下二、三具体的な方策について打合せをいたしております。さようなことが実現いたしますれば、何らかの程度で御指摘になりましたような点の緩和に資し得るのではないかと思いまして、なお努力をいたしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/21
-
022・豊田雅孝
○豊田雅孝君 一つは只今の西川君からの質問に関連するのでありますが、手形の、これがだんだんと長くなつておる。これらの、要するに大企業の支払遅延、これを公正取引委員会では独禁法の違反として、不当なものは取締るということになつているのでありますが、併しながらこれについてはどうしてもその取締の基準、又裏から言えば、支払、未払の基準というものを明らかにしなければこの問題ははつきりしないと思うのでありまして、この点については、私から公正取引委員会横田委員長にしばしばこの席において論議をいたしまして、遂に二月の十六日だつたと思うのでありますが、横田公取委員長から一カ月内に支払基準というか、或いは公取の取締基準というか、これを提示する、発表するということになつたのでありますが、これについては先般愛知通産大臣が自由党と中小企業対策について折衝せられたる際にも触れられたように承知をするのでありますが、これは早くやらないことには、私は只今の刻々悪化しつつある業界の情勢から言いまするというと、後の祭になる虞れがあると思うのであります。この際愛知通産大臣としても公取委員会に督促をして頂きたいという点が一つであります。
それからもう一つは、先ほど指定預金の引揚げに関しまして随時適宜なる措置をとられるという誠に婉曲なる表現をせられたのでありますが、これも先般愛知通産大臣及び中小企業庁長官が自由党と折衝せられましたる際には、指定預金の引揚延期を要請するというふうに伝えられておるのでありまして、どうか自由党との間の折衝の内容を私は今日具体的に一つここでお話を願いたい。愛知通産大臣は中小企業金融及び中小企業対策につきましては、非常な熱意を示されておるのでありまして、先ほどもこれがうまく行かなかつたならば、今回の緊縮予算なり、或いはデフレ対策というものがもう根本的に引つくり返るだろうというふうに言われておるのでありまして、その御努力、又誠意は非常に敬意を表しておるのでありますが、それだけにこの通産委員会に対して、最も私は打割つた気持をお示し下さることが必要であり、又適当だと思うのでありまして、さような意味で只今の指定預金の引揚延期の問題、又支払基準設定を急速にする問題等を中心にいたしまして、先般の自由党との折衝を詳細一つここでお話を願いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/22
-
023・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 誠に御尤もなお尋ねでございます。実は先般自由党の総務会との間の話でございますが、これはやはり当委員会で御心配と同じように、これで中小金融といいますか、中小企業対策は何とかうまく切抜けて行けるのであろうかどうかということについて、党のほうが非常に心配いたしまして、私ども政府側の当事者から、見通しなり、或いは対策なりを聴取するということで、私どもはむしろ呼ばれて行きまして、いろいろの意見を開陳いたしましたような次第でございます。従いまして当委員会におきまして私どもが申上げておりまする以外のことについて、私どものほうからは別にこれというて提案もしたものはないのでございますが、ただ申すまでもなく、党内での会合のことでございますから、非常に生のままのいろいろな議論がぶつけられておりまするので、その間或いは委員会等で申上げまするところよりも、もつと細かい点が、或いは乱暴な意見も出たかも知れませんが、私の印象といたしましては、ここでお話申上げておるようなこと、或いはお尋ね頂いておるようなこと以外には新らしいことは全くありませんでしたような印象でございます。ただそのときに、或いは配りました書類等もございまするが、若し当委員会にお配りいたしましたもの以外のものや、或いは別の見方をしたものが若しありとするならば、早速これは刷り増しいたしましてお配りいたしたいと思いますが、これも又今ここでも長官とも話したのでありますが、恐らくそれも一つもないはずでございまして、若しこれは何かそれ以外のものがございましたならば御参考までに差上げることにいたしたいと思います。
さて、その会合の話はそういうわけなのでございますが、或いは今まで申上げたことと、従つて重複するかも知れませんが、中小企業につきましては、先ほど西川委員のお尋ねにお答えいたしましたように、大体五つの点について至急に問題の打開を政府としてもやりたいということを考えておるわけでございます。即ちくどいようでございますが、大きく分ければ政府関係機関の大活用ということであり、それから第二は指定預金の操作ということについてはつきりした線を打出そうということであり、第三は信用補完制度の活用であり、第四は小口金融円滑化の措置であり、第五が下請代金支払促進である。この五つに金融対策としては大分けに分けまして、その各項目について具体的な問題を全面的に推進して参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
なお特に指定預金のお尋ねがございましたが、これは先ほど簡単に申上げたのでございまして、随時適切にと申しますることは、要するに私は当委員会におきまして一月であつたと記憶いたしますが、申上げました通り、私は本来指定預金制度というものは恒久制度としてとるべきものではないというふうに私は確信いたしております。従つてこういう制度を若し恒久的にするのならば、別個に法律なり予算なりを作つて、そうして国会で十分御審議を頂いて、恒久的制度として確立すべきものであつて、単に短期の国庫の余裕金がたまたまあるからというので、これを金融対策に使うのはこれは適切な措置ではないと、私は考えております。併しながら今回の予算の編成に伴いまして、私の言うような抜本的な措置はできなかつたのでありまして、これはなかなかやはりむずかしい問題で、一挙にそういうふうな恒久対策までは行かなかつたようであります。
然らば私は本来は悪い制度であるとは思いますけれども、現在の状態下においては最も端的に最も効果を挙げるのは、やはりこの制度の活用ということにあると思うのであります。これとても先ほど随時適切にと申しましたのは、例えば対象をいわゆる普通銀行等に拡張しておく必要はないのであつて、中小企業に対する金融が実際この資金を短期であつても預託しておくことによつて十分中小金融の打開のために使つてくれるようなところでなければ、これは使わすべきものではないと思うのであります。単に金融機関が自己の資金繰りをよくするがために一律、画一的に、而もいつまでも期限を延ばし延ばしして、この資金源に頼るというようなところがあれば、こういうところは私は当てにしなくてもいいのじやないかというふうに考えるわけでございまして、自然これを随時適切にというような表現で申上げたのでございます。従つて商工中金、相互銀行、信用金庫といつたようなところがこれを扱うべきところであると考えます。又現に引揚げの計画も昨年末いろいろ問題がありまして、今年の九月まで引揚げをならして行うことにして、九月には全部引揚げるということになつておりますが、この点も併せて引揚げのほうも暫らく窮屈に考えることを避けるということについては十分考究し直そうと私どもは考えておるわけでございます。ただ、くどいようでございますが、一般的に指定預金をうんと活用するのだ、どんな金融機関でもいい、期限もどんな長くてもいい、そういうことをこの際打出せば、それは私はいわゆる金融引締政策の自殺になるとも思いまするので、その点は十分配慮してやらなければならん、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/23
-
024・豊田雅孝
○豊田雅孝君 只今の指定預金に関するお考え方、私はそれで差当り結構だと思うのであります。併し中小企業専門の金融機関におきましても、曾つて愛知通産大臣からも、指定預金は只今の前段で申されましたるごとく、好ましからざる過渡的な暫定的な行き方であるが故に今回は延期するが、延期でなく分割返済を認めはするが、引揚げつぱなしだというようなふうに言われもし、又関係金融機関はさようなつもりでいるわけでございます。従つて非常にそれが第一線に、金融の引締という形で出て来ておるのでありまして、その結果が先ほど西川委員から縷々述べられたような結果に相成つて来ておると思うのであります。従つてこの際只今お話のように、特定の金融機関に限つて指定預金の引揚げを延期するというお考えでありまするならば、これを早く而も具体的に明らかにせられることによりまして、私は今の金融引締が或る程度緩和せられることは、これはもう当然だと思うのであります。それだけにあとになればなるほど、その効果はないと思うのでありまして、それだけにこの際それを至急に具体的におやりを願わなければと思うのでありますが、その点についての御意見を伺いたいのであります。
それともう一つは、先ほど申しました公正取引委員会に対して、支払基準ともいうべき取締基準の急速な設定を通産当局として督促願いたいと思うのでありますが、これについての御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/24
-
025・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 第一の指定預金の問題
〔委員長退席、理事加藤正人君着席〕
につきましては、御承知のようにこの三月末、即ち明後日でございますか、九十九億九千五百万円に残高がなるわけであります、全体で……。そして一応四月から本年九月までの商工中金を初めといたしましての引揚計画が一応できておりますから、これを再検討しなければならない。ただ先ほども申しましたように、一般に指定預金を全部九月までに引揚げるということをやめてしまうのだというようなふうな政府側の発表としては、これは一つの金融の引締ということで、物価も下げ、有効需要のだぶついたところも削ろうという一つの大きな筋書がございますので、全部こういうものを救済措置としてすつかり御破算にしてしまうのだということを言うことは、一ついま暫らく私といたしましても慎重に考えさして頂きたいと思います。十分これは、併し具体的に各金融機関との間の協議或いは大蔵省との相談によりまして、具体的な線が出て来る筋のものでございますから、大きな意味においてのケース・バイ・ケースの問題の取上げ方ということにさして頂きたいと考えております。
それから公正取引委員会の下請の促進の問題につきましては、私は多分明日の午後でも公取委員会のほうから当委員会において発表ができるように我々の希望も入れて作業を急いでくれていると私今了解しているのでありますが、いずれにいたしましても、ここ幾ら遅くとも両三日中には公取の態度がはつきりきまつて、これを公表できることになると思いますし、若しそういうふうにならないような見込であれば、政府といたしまして公取にも改めて督促をしなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/25
-
026・豊田雅孝
○豊田雅孝君 もう一つ、これは日平産業の銀行取引停止、これに伴いまして関係下請業者に対する不渡手形の横行、これがまあ非常な影響を与えているので、従つてこれについては中小企業庁あたりではすでにその実情も調べられていると思うのでありますが、只今判明せられている程度の実情を述べてもらいますと同時に、これは通産大臣なり、或いは長官からでも結構でありますが、かような大企業の不渡に関連する中小企業者の強度の深刻な悲境に対しまして、如何なる措置をとられるか。先般までは誠に結構な手形だと思つておつたそのものが、翌朝はいかんと、これは今までの信用保証制度なり、或いは信用保険の制度では助け得ない問題だと思うのでありまして、それだけにかような昨日までは適格手形であつたというようないわゆる優良手形とも言うべきものが、一挙にして不渡になつた場合における関係中小企業者の救済対策、これを伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/26
-
027・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 現在のところ私どもといたしましては、日平産業関係の下請業者のかたがたから、いろいろの実情を開いておるのでありまするが、先ず差当りといたしまして、は不渡手形を食つてただ困つた、困つたというのではいけないのでありまするから、早く自己の債権の保全の方法をとつて手遅れのないように皆さんが共同して事に処するということを速かにやらねばいかんということを私ども一応の段階として指導いたしておるのであります。救済といいまするか、この下請業者の今後のあり方についての私どもの態度でございますが、これは日平産業の関係で不渡を食つたあふれをくつて誠にお気の毒でありまするけれども、そのことそれ自体についてこれを救済するという行き方は、ちよつとこれは役所側といたしましても困難であろうかと思つているのでございます。この日平産業関係のかたがたが、今後日平産業を離れまして、企業の仮に必要がありますれば、転換をするなり、それぞれ再建の計画を立てられるはずであろうと思うのでございます。その再建の計画を立て、これを実行されて行く上におきまして、私どものほうとして金融上なり、或いは企業診断の面なり、いろいろの面で援助できる面がありますれば、その形において御援助をいたすというふうに持つて行くより方法がないのじやないかという意味において、これらのかたがたと主として私どものほうの指導部を中心といたしまして接触を保つているような状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/27
-
028・豊田雅孝
○豊田雅孝君 只今のところ不渡の総額が日平産業がどの程度で、関係業者がどの程度になつているか、その辺の調査ができているかどうか。その点と、それからもう一つ対策でありますが、輸出保険では、これは対外関係ではありますけれども、相手方の破産等の、関係業者自身の責に帰すべからざる損失についてはカバーする建前になつているのであります。国内関係とは言いながら、先ほども申しまするように、日頃は全くの優良手形だということになつているにかかわらず、突如としてこれが不渡になつて来る。従つて今の信用保証制度なり、信用保険制度というものは全然利用する余地がないということであるにかかわらず、忽ち不当なる損失を受けるというようなことになるのがこの大企業の下請の特殊事情だと思うのであります。従つて或る程度以下の資産、或いは企業規模を持つているような中小企業者というものは、さような不渡を食うと忽ちそれだけで倒産してしまうのでありまするが故に、それらの問題について私は信用保険の制度の拡大強化等の方法によつて、一種の保険的なことができないものかということは、すでに農業関係などにつきましては、天災があつた場合には相当なる今日保険が受けられるということになつているんでありまして、それらのバランスからいつても、一種の保険制度の拡充、これによつて賄つて行く考え方があり得るのじやないか。これは問題として私は本日は提供しておこうと思うのでありますが、一つ政府におかれても御研究を願いたいと思うのであります。全般の数字的な調査ができておりましたら一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/28
-
029・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) この点につきましては、私手許に持つておらないのでございますが、私のほう並びに企業局等と数字を合せまして最も近い機会に御披露申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/29
-
030・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、今年の一月から三月までにおける不渡手形の件数と、その金額であります。その増加がどういうふうになつているか。先ずそれをお伺いいたしたい。
それから中小商工業でありまするが、先ほど西川委員から縷々述べられましたように非常に行詰つているのである。これはもう本当に倒れる一歩手前まで来ているんであります。で、この現状は、先ずこの政府が金を引揚げるというようなことで、ぎりぎりと今締めかかつているのでありますが、これをただ私は無制限に緩めろというのではありません。引揚げるのも結構です。結構ですけれども、その引揚げるのに程度が私はあると思うのです。余りにひどい、今息の根が引きとまつてしまうこの現状を通産大臣は、大蔵省に今まで長らくおられた財界の偉いかたでありますからどういうふうにお考えになつているか、この現状、今の大蔵大臣に対して又如何なる態度でいなさるのか。私は率直にこの点をお伺いいたしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/30
-
031・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 不渡手形の枚数、金額等につきましては企業庁長官から只今数字について御説明をいたします。
それから息の根が止まる程度に現在なつておると、それに対する見方はどうかというお尋ねでございますが、これはまさに息の根がとまるとその当該者から考えますれば思われるほどのことも相当多いと思います。
それから客観的に具体的に見てみましても、今御指摘の不渡手形の問題や或いはいわゆる倒産というようなものに現われておりまする数字等から見ましても、なかなか容易なことではないというふうに私も考えております。ただ併しながらこれはあえていわゆる小企業等だけの問題ではございませんで、勤労者においても少くともとベース・アツプの考え方というものはここ一年の間は勘弁して頂きたいというふうな態度でおる点において、生活の内容が向上しないという、かようなこともございます。又企業におきましても大企業においても相当の苦しさを今味つておるわけでございますし、全体を通観して見ますれば苦しいところを何とかやつて行こうというのが全体の緊縮財政なり緊縮金融政策の狙いとするところであります。そこでまあいわば何と申しますか、すつきりした形に、均整のとれた体格にいま一度なつてそして新らしく大きな働きができるようにというような、現在まあ減食療法でもやつているというふうな状態ではないかと思うのであります。併しながら先ほど来縷々申上げておりますように、その苦しみ方といつても全部が全部いわゆる中小企業だけにしわ寄せられて大企業はのうのうとしておる、或いは大企業に従事する勤労者はのうのうとしておるというようなことであつては非常に困りますから、少くとも苦しみ方を等しくというとまあ言葉は練れないかも知れませんが、同じように苦しむというような程度にとどめなければならないと思うのでありまして、そういう意味において私どもとしては、今申しましたような中小企業に対する対策というものについて一つの、これだけやれば万能薬だという対策は私はないと思いますから、いろいろの面から少しずつでも智恵を出し合つて総合的な手を打つて行きたい、私どもの気持はそういう気持でこの中小企業問題に対処しているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/31
-
032・海野三朗
○海野三朗君 私は今中小企業に力を入れて申上げましたが、この大企業も同様であることは勿論でございます。この不渡手形が六十日から九十日になり、九十日から百二十日になり、昨今では百五十日、甚だしきに至つては百八十日というような手形になつておりまするが、これは一体何故でありましようか、これを除去する方法としまして大臣はまじめにお考えなさつて、あの五つの項目を述べられましたけれども、それは根本を突きとあておられないのではないかと私は思う。何故にこの手形がこういうふうに期日が長くなるのでありましようか、その根本はどこにあるとお考えになつておるのでありましようか。六十日が九十日に、九十日が百二十日になる、百二十日が百五十日になる、そしてみんな現金の取引ということよりも先ずその手形、而も百日以上のものがもう普通になつている。それはどこにその根本原因があるのでありましようか、それをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/32
-
033・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは要するに一口に申せば従来の経済の運営が少し何といいますか実力不相応に大きくなり過ぎて、そしてそれが今度の一口に言えば日本経済を正常的な運営に戻すためには思い切つて縮小しなければならない面があるというところから、かなり経済界、特に取引の面において激変が起つて来たということの全体的な何と申しますか過渡的ないろいろの現われて来る現象がここに一つに現われてこの点に集中して、表現されておるのではなかろうか、極く何といいますか、取りまとめて簡単に申すと、そういうことではないかと、私は考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/33
-
034・海野三朗
○海野三朗君 只今お伺いいたしましたのに対するお答えをまあ拝聴いたしますると、私どうもわからないのであります。これは結局するところ何のことはない、非生産的な方面に莫大な金をやつておるから生産のほうに廻す金が少くなつたんだと、端的に申しますればそういうことになりはいたしませんですか。生産的方面に金を向けないで、非生産的方面に莫大なる国の予算が向けられておるという結果に、その結果が一番大きな原因ではないでしようか、私はそうではないかと思うのですが、大臣は如何にお考えになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/34
-
035・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 私はそういう見方もあろうかと思いますけれども、私はこの生産に向うからいいのだというふうには言えないのであつて、本当は生産が大いに向上して輸出が大いに増進するということであれば最も望ましいわけでありますが、率直に言えば生産が伸び過ぎたのである、それは消費物資であるとか、或いは他の物資であるとか、これら全部を通じて言えることかと思いますけれども、生産が少し伸び過ぎたというところに今日の経済の複雑な悩みが私はあると思うのでありまして、非生産的なところへ金が使われて、生産に向う金がなかつたので、そこで手形の期限が延びて来たというふうには必ずしもならないのではないかと考えております。
〔理事加藤正人君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/35
-
036・海野三朗
○海野三朗君 これは、大臣の御所見と、私どもが考えておりまするのと大分ずれておるように思いまするけれども、只今のことは承わつておきまするが、今後中小企業に対しての、つまり金融関係を、大蔵省に御経験のおありになる大臣といたしましては、もう足下まで来ている、この不渡の月々の件数がたしか非常に多くなつて来ておるのではないか、こういう現状に対しての、今最も接近して直ちに手を打たなければならない、それにはどういう手を打とうとお考えになつていらつしやるのか、先ほど伺いましたけれども、それは大分私は遠いのであると思いまするが、もう少し早く何とかして頂かなければならないのではないか。こんなふうに思うのですが、これを一点と、それから中小工業と、大企業であります、例えば製鉄業のごとくこういうふうな大企業というものがどういうふうに国策の線に沿つて行かなければならないか。大工業、これは儲かつていない、儲かるときはあつても常にマイナスである、そういうものに対しての政府のお考えを一つ聞かせて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/36
-
037・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほどから申上げておりまするように、一つのこれという手を打てばいわゆる中小金融問題というような複雑な問題が一遍に解決するというような妙案というものは私は誰が考えてもないと思います。勿論それはここで千億や二千億の金でもばらまくと、その資源は公債でも発行して取りあえずこれをばらまくということにでもなれば、それは十日か、二十日の間は中小企業者はほつと喜んでくれるかも知れませんが、それは却つて大きな国全体としては目に見えたマイナスが直ちに起つて来ると、こう考えますので、私は非常な妙案というものは、一つだけの案ではないと考えます。同時に先ほど来お話がございますように、私どもも毎日々々日表を見、或いは各地の状況を朝から注意して毎日見ておるのでありますが、それだけにいわゆる不渡手形の状況なり、或いはいわゆる倒産者の数なり、その原因なり、或いは又見方を変えて見ますれば、失業保険の御承知の離職票の受付の状況も的確に掌握できるわけでありますが、これらを随時常に、これを注視しておりまして、例えば本当に失業をしてしまつたというのであれば、失業保険を支払うということは勿論でございましようが、倒産をした場合、その倒産によつてどういうような影響があり、どういう状況であるかということを調べると同時に、これに対する対症療法的な手を考えて行かなければならんとも思います。併し商社が倒産し、或いは不渡を出したからと言つて、それに対して救済しろと言われて見ても、これはやつぱりお互いの、全体の国の立場として見れば、そう一つ一つのものについてのお世話を端的に十分できるという筋のものではないと思います。従つて政府はこうもやり、ああもやるということを申上げますと、如何にも迂遠なことであつて、その急場には間に合わないというようなふうな御批評があるかと思いますけれども、やつぱり政府が全体の立場から見てやる措置としては、そういうような相当基本的、根本的な対策でなければいけないじやないかという考えなのでありまして、要するに不渡手形が出るとこが成るべく漸を追うて少くなるように、或いは例えば商社の倒産というようなものが、軒並み一挙に倒れるというような状況を起さないようにというようなことのほうに、むしろ基本的な対策というものに重点を置かなければならない。こういうふうに考えて参りたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/37
-
038・海野三朗
○海野三朗君 只今いろいろ伺いましたけれども、この不渡手形を皆救済してくれというのではありません。この不渡手形の濫発と申しますか、こういうような昨今の現象は素晴しいものだと思うのです。これは結局今の内閣の財政政策が誤つておるのであるというふうに私は帰すると思うのですが、つまり今の内閣のあり方と、私どもが考えておりますところのものは平行線のようなものでありまして、意見の相違になつて来ると思いますから、私はその点に対してあと質問を申上げませんが、この不渡の、先の一月、二月、三月のこの件数と金高をお願いしたい。長官からでも一つお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/38
-
039・岡田秀男
○政府委員(岡田秀男君) 不渡手形と申しますと、私どもの手許にございまするのは、大体東京の手形交換所の不渡手形が一番数字として身近かにあるものでありますから、それを申上げたいと思いますが、確報といたしましては、一月までのものしかございません。これを二十八年の一月と二十九年の一月を比べて見ますれば、昨年の一月では二万二千枚程度の不渡でありまして、金額が二十六億二千八百万円くらいでありましたものが、今年の一月におきましては三万二千枚、金額にいたしまして三十二億五千七百万円、これを一枚当りの金額に直して見ますると、昨年の一月で十一万六千円のものが、今年の一月におきましては十万二千円ということに相成つておるのでございます。二月、三月のものにつきましては、まだ確定数字となつておりませんが、これは速報でございますが、これは速報でよろしければ、又明日こちらへお伺いいたしますときに申上げるといたしまして、まあ最近の数字としては、三月の下旬、四月頃でございましたか、三千四百枚という不渡が出たのが一番大きかつたように存ずるのであります。二月、三月の概数につきましては、先ほども申しましたように、明日でもこちらへお伺いしたときに申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/39
-
040・海野三朗
○海野三朗君 どうぞお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/40
-
041・高橋衛
○高橋衛君 大臣もお忙しいでしようけれども、一言ちよつとこの際御説明をお願いしておきたいと思うのですが、先般電力料金の値上げの問題について、いよいよ政府の方針をおきめになり、業者をお呼びになり、懇談せられたということが新聞に報道されておつたのですが、政府のおきめになつた大体のお心がまえといいますか、方針といいますか、というものについての御説明と、並びに電力会社とお話しになつた結果の大体見通しというものについての御説明を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/41
-
042・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 電力料金の問題につきましては、私のほうから積極的に御報告申上げようと思つておりましたところでありますが、この問題につきましては、一月の二十日でございましたかに、電力会社から値上げの申請、希望が出まして以来、当委員会におかれましても、いろいろの観点から非常に長い時間を熱心に御審議を加えて頂きまして、当時から私どもとしても非常に有難く存じておりましたことであります。で、私どもも、その後法規に基きまして、各地におきまして聴聞会を開きまして、その結果も全部まとまりましたので、会社側の申請は四月一日から実施ということで来ております関係上、三月の下旬にもなりましたし、たまたま一昨日、九電力会社の社長が、その申請案に対する政府の態度を督促に見えましたので、その機会に通産省としての検討の結果を披露いたしたわけでございます。で、実はこれは制度上閣議決定を要するものではないのでありますが、大きな問題でございまするので、追つて近く閣議にも一応諮りました上で、正式の政府の態度といたしたいと考えておりますが、併し先ほどもお尋ねがございましたように、九電力会社の社長に対して、通産省の意見を申しましたし、すでにそれが新聞にも大きく報道されましたので、すでにこれは政府としては決定したと申してもよろしい段階かと考えられるわけであります。で、私どもの考え方は、累次御審議を願つておりまして、とくと事情を御承知の通り、電力開発は現在の日本にとりまして非常に重大な問題である。これに対して電力会社はよく協力してやつてくれているわけてあります。ところがこれを経済的に見ると、資本費が増嵩いたしまして、どうしても値上げをしなければ、恒久的にやつて行けないというのが、これがもう偽らざる実情であることは、私もよく承知せざるを得ないと思うのであります。併しながらその値上げの程度、或いは料金の体系のきめ方というようなものは、国民経済の面において至大な影響のある問題でもありますし、又問題が非常に大きな公共的なものでありまするだけに、政府としても勿論であります、又国会に対しましても、この処理については御協力を是非お願いいたしたいと考えるわけであります。又動力の需用者の面に対しましても、できるだけの協力をお願いしなければならないというふうに考えるのであります。そこで只今申しました、政府として、或いは国会に対してもお願いしてと申上げまするか、例えばその一例は資本費の増嵩をできるだけ少なくするためには、税制上或いは金融上で援助してやつて然るべき問題ではなかろうかと考えまするので、例えば法人税、それから事業税、固定資産税、不動産取得税といつたような税につきましての関係の税全部に亙りまして、特に電気供給事業者に対する減税の措置を法制上もお考え願いたいということで、地方税法その他の改正法律案の上にそういう政府の意図も出してあるわけでございます。併しこれはまだ国会としての御意思も決定するに至つておりません。それから金融関係におきましても開発会社の金利が或る程度下りましたけれども、更にこれを国家的な要請に基いて考え得る余地があるかどうかということにつきましても、これは関係の向きの意見がまだ最終的にきまつておりません。又需用者側の希望というものは端的に申しまして値上げ絶対反対ということにはなつておりますが、併し場合によつてはこういう点は考えられるという線も出ておるわけでありますが、これもまだはつきりまとまつた線としては出て来ておらないのであります。こうやつて考えて参りますと、ともかくもここ当分の間は現状の電力会社の経理状況等から見ましても、一刻を争つて一つの結論を出すまでには及ばないであろう、勿論電力会社はそれでは困ると言つて当局に対しましては、その困るゆえんを縷々説明されておりますが、これは先ほども申しましたように、ひとり電力会社の立場だけできめるべきものではなくて、三万なり四方なりを睨んできめるべきであると考えましたから、一刻を争うことなく、更に慎重にこの問題と政府としては真正面に取組みまして、将来の電源開発計画等とも睨み合せまして、相当の時間を置いた上で結論を出したい。こういうふうに考えまして、その通りを率直に電力会社の責任者たちにもお話いたしました。いろいろ応答がありましたけれども、電力会社のほうでは大局的にその考え方に対して了承を示してくれました。但しできるだけ速かな機会にそう一年とか二年とかということを引延ばすことなく、できるだけ早く政府としても態度をきめて欲しい。それに対しては、自分たちもできるだけの協力を惜しまない、こういうのが結末と相成つた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/42
-
043・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと私から一言それで伺いたいのですが、今の問題でございますが、今大臣からお話のあつたように電気料金に関連いたしまして、各税の問題について特別の措置を講じたい、更に開銀の金利も下げたいということで、政府は案をお示しになつた。特に地方税の問題でございますが、先般も私はこの問題は、電気料金はこの際低物価政策に相呼応してできるだけ抑制すべしという見地の下から、電力会社にも合理化を極力要請いたしますと同時に、政府といたしましては、勿論税制の問題については十分一つ検討をして頂きたいという意味におきまして、地方税の問題について本委員会で実は地方自治庁に対しまして質問をしたのであります。ところがどうも固定資産税にいたしましても、事業税にいたしましても、私は今日電力料金の問題に関連して、政府はもつと特段の措置を講じてもいいのじやないかと考えておりますが、地方自治庁は必ずしもそう考えていない。併し最近仄聞するところによりますと、固定資産税に対するところの特段の措置に関してはこれはとらない。従つて、若しもさようなことになりますると、固定資産税の面におきまして政府が約十六億円か見ておられましたものが、七億円くらいになつてしまう。その差というものは結局電気料金を値上げする口実を政府みずから与えるようなことになります。開銀の利子にいたしましても、予定より少いとすると同様なことが出て参ると思いますが、そういう点については一体通産省としては、大臣としてはどういう考えでおられるか、政府部内において話の食い違いがあつたならば、これは電気料金として大きく取上げておる問題だけに、相当に結論をつけたいと思いますが、この点について御所見を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/43
-
044・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 只今委員長からお話のありましたのは、その通りでありまして、今十分の時間がありませんから詳しくは省略いたしますが、一番問題になつておりますのは固定資産税であります。政府の原案はすでに決定いたしまして、現在衆議院で御審議を願つておるのでありますが、衆議院で、これは私も仄聞いたしておるのでありますが、電気について固定資産税を減税にするということは不当である、地方財政に不当なる何と申しますか、しわ寄せをするものであつて、これは修正をすべきであるという御意見があるようであります。それに対しまして自治庁としては実はこの案を閣議で決定いたしまするまでの間に私どもとしても非常に苦慮したのでありますが、漸く話がまとまつたというくらいでありますから、或いは只今委員長から御指摘がありましたように、正せるものなら元に戻したいというような気持が或いは政府の一部にもあろうかも知れないと思うのであります。御参考までに申上げますが、固定資産税は法人税率が現在一・六%であります。それを現在の政府提案では一・五%に引下げるということになつておりますが、これは実は電気事業だけではございませんで、他の一般法人にも適用するような改正であります。いま一つ、固定資産税には昭和二十九年度に限つて昭和二十四年四月一日以降新設にかかるものについて評価額を六分の一にする、これは電気事業だけに該当するものでございます。そうしてこの両者を合せまして減税額が電気事業全体につきましては十六億五千万円ございます。実は他の法人税や事業税等にも減税の法案が出ておるのでありますが、これは全部やりましても三十二、三億なのであります。そのうちこの固定資産税に該当する分が十六億五千万円であつて、勿論十六億五千万円が全部零になつてしまうという修正案ではございませんが、恐らく十億以上が又電力会社の負担になることになるのでありますから、自然税の面から言えば、私どもがせいぜい三十二、三億円くらいは減税をやつて上げたいと思つておつたのが十一、二億円は減つてしまうから、若しそういうようにこれらの税制の法律案が修正されるということに相成りますと、確かに電力料金を値下げ或いは据置ということを電力会社に要請する根拠がそれだけ通産省としてはなくなるわけでありまして、私どもとしてはこうなつて参りますことは非常に遺憾だというふうに考えまして、只今衆議院の地方行政委員会に対しましても、私どもの考えておりますことを率直に訴えておるわけでございますが、まだその結末はついておりません。只今申上げましたことはざつくばらんに経過を申上げたような次第でございます。一応中間的にお聞取り置き願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/44
-
045・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/45
-
046・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02519540329/46
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。