1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月八日(木曜日)
午後一時三十四分開会
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委員の異動
四月七日委員大谷贇雄君辞任につき、
その補欠として長島銀藏君を議長にお
いて指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
松平 勇雄君
海野 三朗君
小松 正雄君
委員
石原幹市郎君
黒川 武雄君
小林 英三君
西川彌平治君
岸 良一君
豊田 雅孝君
西田 隆男君
藤田 進君
三輪 貞治君
天田 勝正君
白川 一雄君
国務大臣
通商産業大臣 愛知 揆一君
政府委員
通商産業省鉱山
局長 川上 為治君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
法制局側
参 事
(第三部長) 菊井 三郎君
説明員
工業技術院院長 駒形 作次君
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本日の会議に付した事件
○航空機製造法の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○日本製鉄株式会社法廃止法の一部を
改正する法律案(内閣送付)
○地方自治法第百五十六条第六項の規
定に基き、繊維製品検査所の出張所
の設置に関し承認を求めるの件(内
閣送付)
○技術士法案(海野三朗君外十四名発
議)
○石油及び可燃性天然ガス資源開発法
の一部を改正する法律案(内閣送
付)
○石油資源探鉱促進臨時措置法案(内
閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/0
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001・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
本日は航空機製造法の一部を改正する法律案並びに日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案、更に地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件、以上三案を議題といたします。
先ず政府側より提案理由の説明を求めます。愛知通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/1
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002・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 只今議題と相成りました二法律案ほか一件を御説明申上げます。
先ず航空機製造法の一部を改正する法律案でございます。現行航空機製造法が施行せられましてから約二年を経過いたしたのでありますが、この間、航空機工業は、修理事業から再開されまして、最近に至りまして生産需要も漸く見られるに至つたのでございます。併しながら、この半面新規企業の設立が相当多くもくろまれておりますが、需要の僅少な現状におきまして企業の濫立を来たすことは、単に航空機工業の健全な発達を阻害するばかりでなく、過剰投資の弊を生み、国民経済の健全な運行を妨げる虞れがあるのであります。
然るに現行法は、検査に主眼を置いた技術的立法でありまして、このような事態に対処いたしまするためには、新たに事業法としての諸規定を整備する必要が認められるに至りましたので、ここに航空機製造法の一部を改正する法律案を提案いたした次第でございます。
この法律案の主な改正点は、航空機の製造又は修理の事業について現行法の届出制を改めて許可制とし、技術の優秀性と経営の健全性とを基調とした事業分野の確立を図りますため、事業の開始は許可を要することといたしたことでございます。
許可制の適用を受けまするものは、航空機、原動機、プロペラ、回転翼等航空機製造事業の主体をなすと共に、事業の調整を行う必要が特に大きいものに限定いたしまして、初級滑空機等については現行法通り届出制をとることにいたしておるのでございます。
なお、この許可制に関連いたしまして航空機製造事業者等が行う事業の区分の変更、特定製造設備の新増設、工場の移転についても許可制をとりまするほか事業の承継、許可の条件、国に対する適用の規定を追加する等所要の条文整理を行うことといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容の概略でございます。何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたす次第でございます。
次に日本製鉄株式会社法廃止法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由を御説明申上げます。
日本製鉄株式会社法廃止法は、日本製鉄株式会社が、企業再建整備法の規定による決定整備計画に従い、昭和二十五年三月三十一日解散して清算事務に入つたのに伴いまして、日本製鉄株式会社法を廃止すると共に、これに伴う経過的措置を規定したものでありまして、昭和二十五年八月五日法律第二百四十号を以て公布施行されたものでございます。
日本製鉄株式会社法の規定によりますといわゆる一般担保制度の適用により社債の発行に当りましては工場抵当法による工場財団を組成する必要がなかつたため、同社の資産については全く工場財団の組成に必要な措置が講ぜられていなかつたことに鑑みまして、日本製鉄株式会社の第二会社たる八幡製鉄株式会社及び富士製鉄株式会社の二社に対して工場財団組成のための猶予期間を設けまして、二年を限つて一般担保による社債の発行を許容いたしますると共に、三年を限りまして社債の担保の効力を認め、又見返資金等の貸付金の担保の効力につきましても同様の措置をとつたのでありますが、その後両社の設備合理化計画の進捗に伴いまして一般担保の対象となる債務も急激に増加し規定された期限内にはこの債務に見合う工場財団組成を完了することが困難となつたので、昭和二十七年四月十二日法律第十一号を以て、期限を更にそれぞれ二年延長して今日に至つたのであります。
然るに、現行の工場財団制度その他我が国の担保制度は、主として不動産抵当を中心とするもので、人的、物的の諸要素が総合されて活動している企業体に対する担保制度としては不十分であり、且つ工場財団組成の手続は極めて複雑で、円滑な資金調達の要求には応じ得ない憾みがあるところから、政府において一般担保制度に関する一般法の制定につき、かねてより検討中のところ、このたび企業担保法(仮称)案を作成する運びに至つたので、本国会に提出し、これら二社の社債及び日本開発銀行よりの借入金については、企業担保法による一般担保に切換えさせるべく予定していたのでありますが、何分にも企業担保法は画期的制度であり、これが実施には各界との十分な意見調整を必要とするため、本国会への提出は見合せ、次期国会に提案する予定といたしたのであります。従つて二社は、日本製鉄株式会社法廃止法に規定するところによつて、本年八月五日以降は、財団組成を完了しなければ、社債の発行は事実上不可能となるわけでありますが、企業担保法の提案制定を近くに予定しております現在、同法制定の暁には同法の適用を受けらるるものと予想される両社について複雑な手続により、工場財団を設定せしめることは時宜に適したこととは考えられないので、企業担保法成立までの過渡的措置として日本製鉄株式会社法廃止法による社債の発行期限を更に二年延長すると共に、社債及び日本開発銀行の貸付金にかかわる担保の効力をも二年延長することが適当であると認められます。これが、この法律案を提出する理由であります。
何とぞ慎重御審議の上御可決あらんことを切望いたす次第であります。
第三に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きまして、繊維製品検査所の出張所設置について、国会の御承認をお願いするものであります。
繊維製品検査所は、輸出絹人絹織物の検査表示を実施する国の機関でありまして、現在京都ほか七個所に本所を、東京ほか二十三個所に支所及び出張所を設置してあります。現在鹿児島地方には、検査所の設置なきため、同地方における輸出絹人絹織物の検査表示は、すべて神戸繊維製品検査所福岡支所から出張して行なつております。
福岡市と鹿児島市とは相当の距離にありますため、往々検査表示の円滑、迅速を欠く場合が生じ、しばしば鹿児島県並びに関係業界から検査所設置の要望を受けている次第であります。
鹿児島地方における検査高を見ますと、昨年一月は三千十五ヤード、六月は七千五百六十六ヤード、十一月には六万六千七百五十五ヤードとなりまして、月を追つて急激に増加して参つております。ところが、出張して検査表示を行う場合の申請者は、検査手数料のほかに受託出張規則に基いて、その都度出張職員の旅費を負担することになつております。これがため、輸出品原価の高騰を招き、業界に多大の迷惑をおかけしておりますので、鹿児島市に出張所を設置しようとするものであります。
なおこの増設については、人員並びに経費の増加を必要としないのでありまして、現行予算の範囲内で検査表示の能率的運営を図り、品質の改善と海外における声価の向上に質そうとするものでありますから、よろしく御審議をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/2
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003・中川以良
○委員長(中川以良君) 只今の二法律案並びに他の一件に関しましては、本日はこの程度にいたしておきまして、次回にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/3
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004・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/4
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005・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より技術士法案を議題といたします。前回に引続きまして御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/5
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006・西川彌平治
○西川彌平治君 私は技術士法案の第一条並びに第二条にありまする目的及び業務ということにつきまして伺いたいのは、これはいわゆる業務という私は解釈をちよつと伺つて見たいと思うのでありますが、業務というのはまあみずから事業をやつていることを以て、みずからというのじやありませんが、事業をやつていることを業務というふうに解釈するのでございまするか。まあ使用人という言葉が悪いのでありまするが、雇用関係において仕事をやつていることも、これも業務でないかと思いますが、この業務ということはどういうことを意味しておりますか。これを第一に伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/6
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007・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 第一条、第二条等におきまして技術士の業務という言葉を用いておりますが、この業務は、第二条に規定いたしておりますように、技術士が他人の求めに応じて報酬を得て各号に掲げるような行為を業として行う、こういうことでございます。従いまして、端的に申上げますならば、報酬を得て、結局対価を得まして、技術士のサービス業を営業として行う、こういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/7
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008・西川彌平治
○西川彌平治君 いま一つ伺いますが、第二条におきまして、「その他政令で定める科学技術の部門」、こういうことがございますが、この「その他政令で定める科学技術の部門」という、この科学技術の部門はどういうものを指して言うのでありまするか。私はこれから質問をいたしまする関係上、その政令で定める科学技術部門というものを伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/8
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009・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 第二条に規定いたしております「その他政令で定める科学技術の部門」と申しますのは、ここで、機械、金属、鉱山、電気、化学、こういうものをここへ掲げておりまするけれども、それ以外になお部門がありますので、どういう部門を定めるかということにつきまして、政令に委任いたしまして、政令で定めてもらう、こういう建前にいたしておるわけでございます。それで然らばどういう事項が政令で定める部門になるであろうかという問題があるわけでございますが、建設、農林、水産というようなことが考えられますが、この実施に当りまして、なお政府のほうでどういう部門を追加するかという点が出て参ると思うのでありますが、更にその範囲は拡大されるかどうかという点につきまして、その詳細の点につきましては、なお政令で定めるということで運用上政府に一任いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/9
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010・西川彌平治
○西川彌平治君 只今その政令で定める部門ということについて、建設という話がちよつとありましたので、私は伺いたいと思いますが、建築士法という法律ができておると私は考えております。この建築士法というのは、いわゆる業務を行わなくとも、今その技術の段階と申しますか、何といいますか、まあ商売をしておらなくても、この建築士法には免許を得なければやれないということを私は聞いておるのでありますが、これとこの技術士法との関連を少しく伺つて見たいと思うのでありますが、この点で、私は先ほど申上げておるように、業務という言葉を質問いたしたわけでありますが、その点如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/10
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011・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 第二条におきまして、技術士の業務をいろいろ規定いたしておりまするけれども、これは第二条に括弧書で書いてございますように、他の法律におきまして或る業務を行うことが制限されておると申しますか、独占的な仕事になつておる、そういうものにつきましては技術士の業務の範囲外にあるというために、括弧書でそういう行為を除くと、こういうようにいたしておるわけでございます。従いまして、只今問題になりました建築士というような業務は技術士の範囲から除かれる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/11
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012・西川彌平治
○西川彌平治君 然らば、私ははつきりわかりませんけれども、電気技術者に対しましては、一定のやはり基準がございまして、電気技術に対する一つの何と申しますか、これは一種、二種、三種とかというようなことを言つておるようでありますが、そういう電気技術者とか、或いは無線士というようなものとの関連はどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/12
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013・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 電気技術者におきましては、電気主任試験というものがありまして、やはり今お話がございましたような資格を与えておるのでございますが、これは電気技術というものを身につけておるということだけを証明しておるわけでございます。併しながら、一方におきまして、電気施設に関する法律等におきまして、何キロワツト以上の発電所におきましては何極以上の技術者が主任技術者にならなければならないというふうな工合になつておる。この技術士法の場合におきましては、電気に関しまして報酬を得て、そうしていろいろな技術的のサービスをするという者はやはり電気技術に関する技術士ということになるわけでありまして、主任技術者のほうと技術士のほうとは今申しましただけの違いがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/13
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014・海野三朗
○海野三朗君 科学技術の部門につきましてちよつと私から補足さして頂きたいと存じます。ここに掲げましたる「機械、金属、鉱山、電気、化学」と、こう定めてありまするが、この細目に亘りますと、例えば、音響学でございます。建築をいたしましても、建築以外に音響学の方面から考えまして、音がどういうふうに響くかということはこの音響学の専門に属するのであります。又爐にいたしましても、耐火物即ちレフラクト・マテイリアルという方面から申しますと、すべての部門に、機械のほうにも入れば、鉱山にも入れば、電気にも関係して来るこの横の方面からの専門、レフラクト・マテイリアル専門という面もあります。又ヒートの面から申しますと、単に金属ばかりではありませんで、熱という方面から申しますと、煖房の場合にも関係いたしますし、又金属を作る方面におきましても、或いは又電気のほうにおきましても、熱の発生、珪素鋼板という、熱の発生、熱の方面から申しますと、熱工学とでも申しましようか、そういう部門がございますので、たくさんここに掲げてありまするこの条項のほかに入ります事柄がたくさん技術部門の中に含まれておりまするので、これは追つてだんだん政令で定めて参らなければならないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/14
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015・西川彌平治
○西川彌平治君 私は電気技術者に対して、技術に対する一つの階段がある。要するに主任技術者としての階段がある。或いは無線士におきましても、やはりそういうふうなことがあるのでございます。こういうものは大体におきまして事業ではないのでありまするので、その人その人に資格があつて、そうして進んでおるのでありますが、私はこういう電気技術者とか、無線士とかいうような面のことについて、どうも技術士法がまだぴつたりと私の気持に合致しない点があるのであります。それから少しく小さい話でございますが、今汽関士法とは言うておらないと思います。例の熱管理何とかと言うておるかも知れませんが、汽関士法であるとか、それからなお技術問題で極く小さい問題でありまするが、ボイラーとか或いは高圧の鎔接をいたします鎔接士というようなものがありますが、こういうものとの関連はどうでしようか。どうも私はそういう細部に亘つてぴつたりとせん点があると思うのですが、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/15
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016・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) この技術士法は技術的なサービスをする業務の制度を作ろうということでありまして、これ以外にいろいろな只今御質問のありましたような技術を持つておられるかたがいろいろな職業に従事しておる場合があろうかと思うのでありますけれども、この技術士法案はそういう業務をこの法律によつてどうしようというわけではないのでありまして、一定の技術を持つている者がその技術のサービスの業務をするということでありまして、ほかにそういう技術を業とし、或いは業としなくともそれで仕事をしておるという場合に、これとまあ関係がないということになるわけであります。ただ他の技術士、技術を持つておる部門における業務が独占的排他的になつております場合には、この技術士の業務からそういう業務は外れる、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/16
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017・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 今のちよつと附加えて申上げます。この技術士というのはコンサルタントであります。で、先ほどお話がありました電気技術者というのはオペレーターでありまして、実際に仕事をする人、その人が技術を身につけておるということが必要である資格条件でございますので、オペレーターとコンサルタントとの違いはそこにあるのじやないか、こう思われるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/17
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018・西川彌平治
○西川彌平治君 私は今のお話で一応その点は納得ができるのでありますが、どうもそうなると、私は非常にここに一つの何かこの技術士法によつて、これには何らそういう特典的なことはございませんが、将来どうもこの技術士法というものが何か特典を持つ法律になるのではないかという一つの素地を非常に強く私は感ずるのであります。その点は一つこの際はつきりとしておく必要があると私は思います。何かどうもそういうことであるならば、この裏には何かどうも将来この技術士法が特権を持つものではないか、かように私は考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/18
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019・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 外国の、例えばアメリカの例を見ましても、アメリカのコンサルテイング・エンジニアはやはり特権的の業務を持つておるわけでございます。で、今のお話につきましては日本としてもだんだんとそういうような工合になるであろうと私は考えるのであります。併しながら現在の状態におきましては、まだ技術士が技術士会というようなもので会員二、三百名で以て発足いたしましたような、まだ初期の状態でございますので、而もこの制度が日本で現在少しも確立しておらないわけでありますから、この段階でそのような、アメリカにおきますような特権的のものを与えるのは時期尚早であるというふうに考えます。むしろ制度をだんだんと確立して参りまして、そうしてそういうふうな工合に移して参らなければならない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/19
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020・西川彌平治
○西川彌平治君 次に第三条に移りたいと思うのでありますが、この第三条によりますると、「技術士試験に合格した者は、技術士となる資格を有する。」それから第二項におきましては「左の各号の一に該当する者であつて、通商産業大臣が技術士と同等以上の資格を有すると認定したものは、前項の規定にかかわらず、技術士となる資格を有する。」こういうふうに書いてありまして一、二、三、四とございます。これを仔細に私は研究いたして見ますると、どうもこれで一、二、三、四に該当するものは結局通商産業大臣が認めるということでありまするけれども、実際問題においては、もうこの資格の一、二、三、四に該当するものは、もう資格があるというふうに率直に認めてしまうのでなければならないのではないかと思うのでございますが、その点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/20
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021・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) この技術士の資格につきまして、原則といたしましては試験に合格するということが建前でありまするけれども、只今お話のありましたように、通商産業大臣の認定によりましても又その資格をとり得る。併しその認定の基準になるものは一、二、三、四の四号に該当するもので、而も技術士となるにふさわしいという要件が備わることが必要なんでありまして、一、二、三、四号に各該当したということだけではその認定をしなければならないという根拠にはならないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/21
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022・西川彌平治
○西川彌平治君 実際問題といたしましては、第十二条並びに十条等に考査委員に諮問をいたしまして、そうして決定をするということには相成つておるようでありまするが、私は多くの例を考えます場合において、こういうふうなもうはつきりとした条文を謳つておりますると、これは殆んどもう決定的にこういうものに対しては資格を与えるということになつているのが通例のように感じておるのでありますが、これはそれでは厳格に今後そういうことに一つおやりになるお考えでありますかどうか、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/22
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023・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 今御説明にありましたように必ずしもこの一、二、三、四だけが満足されているからといつて自動的になるものとは限らないのでありまして、その点は厳格にやはり考査委員から認定して頂きまして、そうして資格を付与するというふうにしなければならないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/23
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024・西川彌平治
○西川彌平治君 第四条を一つ伺いたいと思います。第四条は一、二、三の事項に該当する者に対しましては技術士の資格がないということになつておるのであります。私は現在の案から見まする場合におきましては、殆んどこの技術士としての特権がないのであります。将来においては、先ほどお話のあつたように、特権が付与されるのであるかも知れませんけれども、現在の場合においては何ら特権がないのにかかわらず、こういうふうな一、二、三のような厳格な一つの資格を制限をされているということは、これはどうかと私は考えるのであります。而もこれが公職にあるとかいうようなものでありまするならば、これは当然だと思いまするけれども、全く技術士というまだ本当に何も、名前だけを、資格だけを与えるものに対しまして、かような私は厳格な条文を作ることはどうかと考えるのでありますが、その点について一つ伺いたいと思います。
〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/24
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025・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 誠に御尤もな質問でございまして、この欠格事由につきまして、これを厳重にするかどうか、他の資格法におきましてはいずれもこういう欠格事由を規定しておるのでありまするけれども、恩典の伴わないこの法案につきましては、立案過程におきましてもどうであるかという点は、慎重に考慮いたしたのであります。併しながら国家が試験を行い、又は認定をして、そうして技術士という国家的な資格を付与する以上は、やはり現在恩典がないとは申しましても、何らかやはり欠格事由として厳格な規定をすべきではなかろうか、又そうすることが技術士の社会的な品位を高め、信用を増すゆえんであるのではなかろうかというような点をいろいろ考慮いたしました結果、この法案に盛られております技術士制度ができ上つた暁におきまして、格別に取上げるような恩典と申しますか、そういうものがないのでありまするけれども、社会的な信用保持というような点から、やはり必要と考えまして規定いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/25
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026・西川彌平治
○西川彌平治君 次に一つ、私は技術士の考査委員というものについて伺いたいと思いますが、この技術士の範囲が非常に広汎なものであるように私は考えておるのでありますが、その場合におけるところの考査委員というものは、非常にたくさんな部門から考査委員を出さなければならんと考えておりまするが、その考査委員をどれくらいの人数をお選びになる御構想でありますか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/26
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027・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 考査委員といたしましては、総数二十五名くらいを大体考えておるのでありまして、そのうち関係行政機関の職員から十名、学識経験者から十五名くらいを考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/27
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028・西川彌平治
○西川彌平治君 これは今項目を挙げただけでも相当の数がございますが、「建設物、工作物、装置、機械、器具、資源、原材料、生産物、動力、工程又は工事について、技術上の調査、研究、立案又は指導を行うこと。」とたくさんの項目を掲げておりますが、これを更に細分いたしますると、それらは大した数になるわけであります。それに対して二十五人という考査委員じやとても及びもつかないと私は考えるのでありますが、そういう点はどうなさるおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/28
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029・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 今お話がありましたように、非常に広い分野でありますので、人数も自然と多くなるわけでございますけれども、そのやり方といたしましては、問題を各方面からたくさん出して頂きまして、中から考査委員がその問題をピツク・アツプいたしまして、そうしてその問題をきめるというような方法をとることによりまして、考査委員自身の数をそれほど多くいたしませんでも、大体やつて行けるのではないかと、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/29
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030・西川彌平治
○西川彌平治君 私は自分の意見を差挾んで誠に恐縮でございますけれども、大体技術士という、余りも漠然たる名称の下にこの法律をお作りになるところに、私は非常に無理があると考えております。むしろ建築士法であるとか、或いは機械士法であるとかいうような、同じことでも上にそういうふうな特別の専門部門をつけた名称の下における技術士法であるならば、よいのですけれども、漠然たる、かような大づかみな法律をお作りになると、しまいに私は始末にならないような事態が発生すると思うのです。この点どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/30
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031・海野三朗
○海野三朗君 今御説のように、各方面に亘つて考えますと、これは行く行く非常に増加して参るのであります。併しながら今までこのような法律が日本において制定された経験がありませんので、大ざつぱではありますけれども、先ずこの基礎を作つて、踏み出したところでございまして、この技術士法、これで決して完全なものでもありませんし、又このまま将来訂正しないで行こうという考えではございません。各方面の、私が先に申しましたように、この専門は非常に微に入り、細に亘つて行われて参るのでございまして、考査委員にいたしましても、一定不変の人数ではなしに、その問題、その問題によつて、或る一つの問題についての考査委員というものは、やはり動かなければならない、動いて行くのではないかというふうに考えられるのであります。只今西川委員から仰せのように、これだけでは非常に漠然としたものではないかとおつしやられたのは、御尤もではありますが、これで先ず大体の基礎を作りまして、これから又細目に亘つて政令で定めるところの場合に入つて行かなければならないのでありまして、先ずこれが本当に処女出発の法案でございますから、(笑声)その辺御了承頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/31
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032・西川彌平治
○西川彌平治君 海野委員からお話がありましたので、そう言いますと、私も突つこんだ質問ができなくなつてしまうのでありますが、それじや方向を変えまして私は御質問いたしたいと思います。この技術を以て立つと申しますか、設計監督を以て立つておる工務所といいますか工務店といいますか、そういう株式会社におきましてはその会社には少くとも一人以上の技術士が必要であるということは、これは私御尤もなことであると思うのでありますが、この施行期日という問題があとで出て来ておりますが、この施行期日の問題で私はなかなか個人の工務店であろうが、会社であろうが、その資格を取るまでの間に相当の猶予期間が必要であるのではないかと思うのであります。一年というようにちよつとなつておるかと思うのでありますが、少くとも或いは三年くらいの準備期間が必要ではないかというような、これは私見でありますが考えておりますが、この点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/32
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033・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 只今の法人に対する三十二条の制限の関係から、技術士の業務を行うことを主たる事業とする法人はその役員又は職員として技術士を一人以上置かなければならない、こういうことになつておりますが、只今のお話のありましたように建築事務所というようなものが法人で仮にあります場合に必ずこれに該当するかどうかという点につきましては、必ずしも該当するものではないのではないか、こういうように考えるわけでございます。と申しますのは、第三十二条において規定しておりますのは、主たる事業としてやらなければならないサービス、技術的なサービス業を主たる事業としておる法人はと、こういうことになるわけでありまして、建築事務所が仮に株式会社であります場合におきましても、建設というほうが主であつて、技術的なサービスということが仮に従であるというような場合には、この三十二条に該当いたさないわけでございまして、従いまして三十二条の規定が現在のところどれくらい働くかという点につきましては必ずしも立案過程における見通しははつきりいたしておりませんが、そう数多いものではないのではなかろうか、こういうように実は考えておつたわけでございます。従いまして技術士というものにつきましては、仮に一年の余裕を置いたならばそれで賄えるのではなかろうか、こういうように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/33
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034・西川彌平治
○西川彌平治君 そうすると、非常に範囲が狭いように今の御答弁で私は感じておるのでありますが、私の考えを申上げますならばこれは相当多い数ではないかというように私は逆に考えておるのであります。例えて申上げまするならば、もうあらゆる部門におけるところの設計監督の事務所というものは相当あるわけでございます。建築ばかりではございません、機械の場合におきましても、或いは化学部門におきましても、相当に設計監督の事務所というものはあるわけでございます。田舎に行きますと、まあ手つ取早い話で田舎へ行つて見ますと、耕地改良をやりますね、その耕地改良をやるのに対して測量設計をやつておるのもこれは私はやはりこれに該当するのではないかと私は考える。そういたしますると、そういうところまで考えますと相当の数があるのでありますし、そういうものに対して少くとも私は二、三カ年間ぐらいの余裕を頂かなければ徹底をしないのではないかというような考えを持つているので、さような質問をいたしたわけでございますが、そういう細かい点までお考えでありますか、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/34
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035・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 只今の御質問によりますれば、三十二条に該当するものが非常に多いというようなことでございますが、この主たる事業とするという点につきましては、事実の認定の具体的事情の下に一々判断して見なければならないことになるわけでありまして、結局本来の業務があつて、ありながら技術的なサービス業を営業としておるということが主になつておるということが必要なのでありまして、結局個々具体的な事例によつて判断しなければならないわけでございますが、非常にそういうものが多いということになりますれば、かなり只今のお話の問題は必然的な関連性を持つておりますので考慮いたさなければならんということになると思うのでありますけれども、その点につきましては立案過程におきましてはそれほど多いものではないというように考えておつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/35
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036・西川彌平治
○西川彌平治君 これはちよつと伺いますが、個人の工務店或いは設計事務所というものは、これの建築士の資格が、技術士の資格がなくてもこれは営業には差支えないわけでありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/36
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037・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/37
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038・西川彌平治
○西川彌平治君 そうすると、株式会社の場合だけにまあなるわけでありますが、これは株式会社は、このやはり一定の期間が過ぎますると、その資格を得ないとその事業がやれなくなるということに結論が行くので、私が非常に心配をいたしておるのであります。私の考えでは、相当数あると私は見ておる。一番多いのは建築事務所の問題ですが、もう如何なる都市に行きましても株式会社何々工務店とか、何々建築設計事務所というのは都市に行つて、ないところは恐らくないと思うのであります。そういうものは、この資格を得ないというとみんな商売が全然できなくなる、こういうことになるので、私は憂えているわけでありますが、そういう点について具体的なお調べがありまするかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/38
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039・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 工務店のことにつきましては、大体工務店は建築業法によりまして工事施工から完成までの一括請負をやつておるというようなものが多いのでございまして、こういうような場合にはコンサルタントとは考えられない。自分で事業を一括請負している、やつているわけでございますので、それで個々の法人組織のコンサルテイングを引受けているところは割合、そう多くはないであろうというふうに私どもは考えているのでございます。現に先ほど申上げました日本技術士会というのがありまして、この中の会員数は三百五十人でございますけれども、この中で法人組織を以てやつているのが約十五というくらいの数が出ているのでございます。勿論これ以外に全国的に見ましてこの日本技術士会に所属していないでコンサルテイングの仕事をやり、法人組織を持つているものもそれはあると思いますけれども、それほど多い数にはならないであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/39
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040・西田隆男
○西田隆男君 関連して、この法律の中で三十二条は一番大事な問題だと思う。法の規制がしてある。御説明がしてありますが、極めて抽象的で、数が少なかろうというような御答弁があつておりますが、幾らどういう技術士を置かなければならない事業を、主たる事業をやつているものがあるかということくらいは的確な数字が出ておらないと、三十二条の規定から考えてこの法律を通そうといつてもなかなか通らなくなつてしまう。その数字を急速に調べてこの法案の最終決定をしてもらうときまでには示してもらわなければならないと思う。こういう一人以上を置かなければならないというような法律を作つておいて、数が少いであろうというような無責任なことでは我々はこの法案の審議はできない、数が多かつたらどうしますか、而も主たる何々を、主たる法人はこう書いてあるが、その内容基準は何でおきめになるか、どういうものということを的確におきめにならなければあなた方は今御答弁されたようなことでやられた日にはそうではないものにも置かなければならないといつたような事態が発生して来る。基準は政令か何かでおきめになるか、おきめになるとすればそれは的確などういうようなものは置かなければならないかという基準をはつきり示してもらわなければならない。三十二条は非常に重要な規定です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/40
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041・西川彌平治
○西川彌平治君 私も実はいろいろこの法律案が出るにつきまして或る程度そのほうを当つて見たのでありますが、建築の場合を見ますというと、いわゆる設計監督という線で実際にこの施工をやつておらない人が相当あるのであります。設計監督といい或いは今度その他の方面におきましてももう設計だけをやつておる者は相当にあるようでありますから、これは一つどうしてもこの問題だけは徹底的に各所の部門について、建築だけじやございません、いろいろな部門について、各所の部門について私は一つ調査して頂かなければいかんと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/41
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042・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 今の法人組織のことにつきましては一応調べて見ましたところによりますと、建設部門で四カ所くらい、機械部門で四カ所くらい、化学部門で二カ所、総合部門で二カ所くらいのことが明確にわかつておりますのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/42
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043・西田隆男
○西田隆男君 僅かな数ですなあ。そんならなお更こういうことが目的であれは、技術士法というものを制定する必要がなくなつて来る。将来どのくらい殖えるという見込、拡大するという……殖えるというより拡大と解釈して雇入れるようにしなければ三十二条の意味はない。僅か十か十二くらいしかないものにこういう法律を作られ、これに技術士という名前を与える必要がないと思う。たくさん置く所があつて今から養成して、技術士を作つて、そして能率化するために、便利を与えるために、こういうものをたくさん置かなければならんという国の産業面に必要性があれば、これはこういう法律を作る意味があることで、今あなたの御説明を聞くと、調査した結果は僅かな数字です、その数のためにわざわざこういう立法をして技術士を作つて、技術士を活用する意味がない。三十二条の規定を置く必要がない。フリーランサーとして置いておいて、必要な者を便宜的に一時雇つてやるならこれは意味がある。併しこの法律の三十二条の一条文を置く以上、もつと必要性が重大でなけりや私はこういう法律を作る必要はないと思う、こういう点はどう考える。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/43
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044・海野三朗
○海野三朗君 只今御説の通り私はこれはもつともつと拡大して行くものであると考えます。例えば設計にいたしましても、もつと細目に亘つて行きますと、これは殆んど将来見通しは殆んど無限じやないかというくらいに考えておるのでございます。一つの金属の方面にいたしましても、この専門が多岐多様に亘りまして、今日でも非常にこの範囲が広いのでございますが、その範囲が広いのが実際その方面における権威者がたくさんおるのでございますけれども、今日埋もれて殆んど世に知られないでおる部門が非常に多いのでございまして、こういう方面からその方面にエキスパートの人たちを、この技術士というこの法律で以て認めて法人化してそして、これを一般大衆に役立つてもらう、そういうふうに考えておりまするので、これは将来非常に増加して行くものであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/44
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045・西田隆男
○西田隆男君 そう聞きますとなお更問題になつて来る。あなたの御説明を聞くというと、非常に細分化された専門の技師ということになる。三十二条では、一人以上置かなければならない。そうすると、あなたのおつしやる産業、或いは機械工業、或いは金属産業というものは、細分化された技術士を養成するということになる、この三十二条によつて一人以上というものは、一人ということは問題にならない、何十人も専門の各部門部門に技術士を当てはめなければならんという解釈が当てはめられる。なお問題だ。非常に殖えて行くとなればなお更問題だ。少いということならそういうことは必要ない。三十二条を設ける必要はない。フリーランサーとして技術士として信頼のおける人たちが民間の依頼を受けるということでいいはずなんです。提案者の御説明では私はまだ納得行きかねる。もつと納得のできるような御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/45
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046・海野三朗
○海野三朗君 御尤もでございます。併し現段階におきましてはまだそこまで行つておりませんので、先ずこの第一着手といたしまして一人以上置かなければならないというところでとめておいたのでありまして、行く行くはその方面についてはもつともつとこれは進めて行かなければならないのでありますが、まだその段階まで実際は進んでおりませんのでございます。で先ずこの第一段といたしまして、ここに技術士を一人以上置かなければならない、ここに漠然といたしましたが、これで決して完全とは考えておりませんのでございます。将来はもつとこれが増加して行かなければならないのじやないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/46
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047・西田隆男
○西田隆男君 あなたの考え方が私にはわからんというのではなくて、現実に技術士法案というこの法律案を条文を読んで見ると、このままでは通しにくい、西川君もさつき触れられましたけれども、漠然とした技術士という名称をおきめになつておるというところに、非常に大きな欠点がある。提案者の今御説明を開きまして、例えば金属産業なら金属座業のうちの何々技術士ということに技術士の免許が限定されておれば、それだけに一人以上置かなければならないと考える。けれども漠然として技術士という名前だけ、名称だけです。併し今あなたのおつしやるような細分化された専門の技師というふうに解釈するようになれば、これを雇わなければならない企業というものは非常に大きい影響を及ぼす、そういうことは日本の各種産業で行われるべきでない状態、現実においてはね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/47
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048・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 技術士の業務はこれはやはり技術者個人の資格でございまするが、法人でもやはりそういうコンサルタントの仕事があるわけでございます。併しながらその個人の資格を法人それ自体に与えるということはできないわけでございますので、その与えることができないわけでございますが、その技術士が依頼者の生命財産、場合によりましては一般の生命その他にも関係するような仕事でございますので、技術士の仕事というものはそういう観点から更に本当なれば、特権的な業務として取扱うというようになるべきか知れませんが、現在その段階に至つておりませんので、日本といたしましては時期尚早で、そこまで行つていないのでそういうことは与えてないわけでありますけれども、まあ本質的に申しますと、そういう種類のものでございます。従つて技術士という仕事というものは、技術的の信用というものを十分得て行くような工合にしなければならない、その場合に法人がそういう仕事をやつておるということになりますと、やはり影響するところは大きいわけでございます。そういう意味合いから法人組織でそういうことをやつているという場合にはやはりその中に技術士の資格を持つている者を少くとも一人は置くということを法人の組織の場合に対しては制限してもいいのではないか、こういうふうに考えて、今のこの法人に対する制限の条文があると、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/48
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049・西田隆男
○西田隆男君 あなにのお話されることは私にはわからないと言つているのじやないのですよ。抽象的な議論やら観念論だけじやなくて、現実の法律の問題としてこの三十二条のこれは一種の強制規定です。これは提案者の説明せられるところも、あなた方の言われるところも、技術士という者は将来非常に需要が殖えるのだ。大勢できるし、大勢使つてもらわなくちや、十人や十五人使つてもらつても日本の産業には影響しない。そういう殖えるということを前提にしてこの法律を見た場合、これには基準も何も示してない。ただ大まかなことが書いてある。そうなつた場合、こういう法律案を作つて金をかけて技術士というものを作つて見ても、漠然として今の日本の産業界の実情じや何にもならないということです。それじやどの程度までこれは行くのだということがあなたの説明で納得ができればいいが、さつきの駒形さんの話を聞くと今十か十一しかない、提案者の説明を聞くと少くとも三百人くらいは技術士はすぐできる可能性があるというような御説明である。これはだんだん年々殖えて行く。技術士だけはたくさんできたが、併しそれを使うところの、三十二条の規定で使うところのものは殖えないという状態では技術士を余計作つて見ても意味をなさない。これから原則的にフリーランサーとして技術士という者が非常に活躍できるものならば、それが原則として考えられての法律案であれば、これは又別な観点から批判を加えるけれども、これは三十二条の規定で技術士ができたらこうこうしなければならない、こういう意味の法律の規制を受けている。技術士がたくさんできればあれもやらなければならん、これもやらなければならん、技術士を割当てるような結果にならないということはこれは断言できない。電気の試験技術者とか、或いは熱管理者というものは或る一定の限界がある。全くこれには限界も何もない。それじやこの法律を作つた意味がない。技術士という称号を与えた意味がないから、従つてそれをどこかに押しはめようということにこれは必然的にならざるを得ない。せめてそうなるにしても、もう少し技術士というものを置かなければならないという三十二条の適用を受けるやつの基準をせめてはつきりしてもらわないと、この法律はなかなか通せないと、こう私は申しているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/49
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050・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) この第三十二条の法人に対する制限の規定は、法人が事実問題といたしまして技術士の業務を主として行う法人についての問題でありまして、技術士のサービス、技術的なサービス業を主としてやつておるものについて技術士を置かなければならんとか、或いはその技術的な事業を法人がやるというようなまあ押しつけがましいものじやないのでありまして、法人が技術士の業務を主として、主たる事業としている場合にはこの技術士を置かなければならない。こういうことであるわけでありまして、従いましてこの法律の規定が設けられたからと申しまして主として、事業を行なつておらない場合には別段これに関係がないわけであります。それで問題になりますのは、主たる事業としている法人が現在極めて多いということになりまするならば、施行期日が附則におきまして一年の猶予期間になつているわけでありますが、その一年の猶予期間に技術士の数がそれだけ間に合うかどうか、こういう問題が出て参ると思うのであります。問題は従いまして、現実に事実問題としてこれに該当する主たる事業とする法人が多いか少いか、こういうことに帰するわけでございまして、只今駒形工業技術院院長の申されましたように数といたしましては極めて少い、こういうように考えておるために、施行の猶予期間を一年といたしたわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/50
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051・西田隆男
○西田隆男君 あなたの御説明の裏を行きますと、大体この技術士というものはフリーランサー的に当然民間の需要があるのだ。こういうわけですね。そうすればこの三十二条で規定していないようなところにもどんどん需要があつて、技術士というものが有効なものだということになれば、三十二条に規定しておる主たる業務とする法人は、法律に規定しなくても必ず雇います。そうするとこの三十二条の規定は要らないだろう、あなたの今の解釈を裏から考えると必要がない。十や十二の会社に一人以上置かなければならんというために、法律の条文を作るということは立法技術の上から見ても非常にまずい。そこでそうじやないだろうという解釈が成立つ。あれもこれもあれもこれもこれで雇わせるということに類推解釈をしてやるのではないか、こういう心配が生じて来るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/51
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052・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 御質問の趣旨よくわかりましたが、三十二条の規定の趣旨は飽くまでも事実現在において技術士業務を主たる営業としておる法人は置かなければならん、こういうことでありまして、主たる事業といたしておらない場合には決して置く必要もないわけでありまして、これをこの法律の規定によりまして、そういう業務をやつておるからといつて必ず技術士を雇うという必要性が起きて来るわけではないのでありまして、それは主たる事業としておる場合に限られる、こういうことになるわけであります。その理由につきましては、技術士の先ほど駒形工業技術院院長から御説明がありましたように、法人の活動能力というものは、一般的に資本形態、或いは業務の態様というような面からいたしましても、社会的な信用という面からいたしましても極めて大きいので、個々の技術士が一人で一年間に引受ける事件の件数よりは、法人の場合には大勢の技術士を雇つて営業いたしております場合には、その事業の受持ちます件数は場合によりましては五人、十人乃至は二十人の技術士を超える件数を引受ける場合があろうかと思われるのでありますが、その行います業務が建設物なり工作物なり、いろいろな大きな財産的な、或いは人の生命身体、或いは公共の福祉にも影響するというような場合が生ずることがありますので、法人がこの技術士業務を主たる事業といたしております場合には少くとも一人以上の技術士を置かなければならん、こういうような観点から法人に対する一つの規制を設けたわけでございまして、この趣旨は飽くまでも法人が主たる事業としておるという場合に限られるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/52
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053・西田隆男
○西田隆男君 それじや技術士のない現在、今駒形院長が言われたような会社は、今あなたが説明されたようなことに対して非常に大きな瑕疵を犯しておるという結論が出ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/53
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054・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) この三十二条の規定は、現にあります法人で技術士的な業務を行なつておるものが現在又は過去において、そういう技術上の欠陥から被害を生じたということによつてこの規定を置こうというのではないのでありまして、今後これが法律制度として設けられますならば一般的な懸念と申しますか技術士の均衡論、或いは又技術士を、法人の信用を期待してそうして法人を利用したものに迷惑のかからないようにと、こういう立場から考えたわけでありまして、現在あります法人組織の技術士的な業務を行なつておりますものについて幾多の弊害があつた、こういうことではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/54
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055・西田隆男
○西田隆男君 過失がなかつたのであれば、あなたの御説明は三十三条の解釈としては適正な解釈じやない。第一技術士という制度を設けて試験で通つてたくさんの人間を作れば、これは技術士というものの需要がなくなれば試験を受けるものはありませんよ。需要があればこそ初めて受験者が殖えて来る、有資格者が殖えて来るということなんです。そうすれば三十二条で規定しないようなところにもどんどん技術士が要るのだ。需要が殖えなければそういう制度を作ることが意味をなさない。殖えて行くようなことであれば、今あなたのおつしやつたような、三十二条の規定があろうとなかろうと当然技術士はそこのところに需要を要求されて入つて行かなければならんはずです。そうしてこの三十二条の規定は要らないということです。設ける必要を現段階ではいささかも認めない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/55
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056・海野三朗
○海野三朗君 この三十二条を設けました狙いは、この技術上のエキスパートがたくさん日本にもアメリカに劣らず偉い人がいるのでございます。それを何とかして日本の工業方面に使わせたいという狙いで、ここに一人以上置かなければならないと申しましたのはそういうような人を成るべく使わせるという意味、つまり相談にあずからせたいという狙いがありましたので、三十二条に技術士一人以上置かなければならないと、こう持つて参つたわけでございます。今日までそういうことがなしにずるずる仕事をやつているのは幾らもございます。ございますが、専門の立場から見ると非常に遺憾な点が多いのでございまして、この日本における科学技術のエキスパートを何とかして利用させたい、利用してもらいたいという狙いからこれに先ず一人以上置かなければならないと、こういうふうに持つて来たわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/56
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057・西田隆男
○西田隆男君 非常に素直な提案者の御答弁で、私が懸念しておることがそのまま御答弁になつたわけであります。優秀な技術者がいるのを使わせるのは国のためだから三十二条を設けた。今はそれでよろしい。だがたくさん技術士が試験を受けてできます。そして需要はちつともないということになると、そういういいものができているのに使わなければ損害だというのでせいぜい範囲を拡充されて、三十二条の類推解釈の下にやられる虞れがあるのじやないかということを私は恐れているわけです。今提案者以外のかたが御説明になつたようなことであれば三十二条は要らないのじやないか。一般の三十二条で規定しているようなところでないところに技術士の需要があればどんどん行つてしまう事情にあるとすれば、それで国が必要を感じたならばこういう規定を置かれたことは——一人じやない、十人も二十人も雇うでしよう。雇わなければ立つて行けません。そういうことになるようなことだから三十二条の規定は要らない。むしろ三十二条にこういう規定をお置きになれば、事細かに規定してこの段階から以上は雇わなければいかん。この規格は一人、この規格には二人、この規格には三人、大きなやつは十人以上も雇わなくちやいかんという規定が出て来れば、これは又別途に批判をする必要がある。このような条文の書き様はこの法律案の本質から見て私は必要がない、かように申上げているのです。水掛論になるからこれだけで質問はやめておきます。答弁は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/57
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058・海野三朗
○海野三朗君 只今私申上げましたのは、何とかしてこの科学技術をもつともつと利用させたいという狙いから実はここの三十二条を持つて参つたわけでございます。その第一段階として今ここに漠然とでございましたが、「一人以上置かなければならない。」こういうふうに持つて参りました。狙いはそこにあつたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/58
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059・西川彌平治
○西川彌平治君 私は只今駒形さんからお話のように、法人組織の今のような技術をサービスをする会社が少いということは私はあり得ないと思うのであります。恐らく今駒形院長が言われたような数の株式会社は、それはもうこういうような技術者などを雇う必要はない、全く完全ないわゆる技術のサービスの会社であると私は考えているのであります。お調べにならない今の数以外のところに、たくさんのこういう技術者の必要なところがあると私は考えているのであります。それでそういうものの調査がまだ完全にできておらないのであると私は見るので、少くとも、施行期日の問題を先ほど触れて見たのでありますが、是非とも御調査を願わなければならない問題であります。それで施行期日三年というような点を私は申上げたのでありますが、実際にお調べになつたのですか、ならないのですか。それは恐らく十とか二十というのは、日本一流のサービスをする会社でありますが、各地にそれは設計、監督という、十九万五千とか或いは二十万とかという小さい会社がたくさんあるはずであります。決して建築の問題だけを取上げているのではありません。建築も本当に設計監督しかやらないという事務所もたくさんございます。そのほかいろいろの部面におきましてそういう技術スービスを業とする会社はまだ全国にたくさんあるはずです。そういつたところにこそこの技術士の必要があるのだと私は考えているのでありますが、徹底的に一つ御調査を私はお願いしなければならん。一体お調べになつたかならないか、そのことを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/59
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060・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) 建築士の仕事につきましては、建築士法で設計及び工事監理というのが建築士の仕事でございまして、なおその他の業務として建築工事計画に関する事務として、建築工事の指導監督、こういうようなことがございます。又工務店につきましても同様に大体工務に関する事務を扱つているのでありまして、この法案に言うところの業務というものから外れて参るものと考えるのであります。と申しまするのは、他の法律で制限しているものを除く、こういうふうになつておりまするので、そういうものにつきましては技術士の業務ではない、こういうふうに考えているわけでございます。従いましてそういうものが仮に法人組織でございましても三十二条には当らない、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/60
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061・西川彌平治
○西川彌平治君 どうも我々の観点とよほど違つておるのでありますが、まああなた方のような御見解に来ますると、先ほど西田委員が言われたように、もうその建築士など、技術士など全然要らないものだけしか対象に考えておらないことと、それからもう一つはそうなるというと、その少数な会社に対して、特権を与えるような、特殊的な地位を与えるような形に私はなりはせんかということを非常に憂えるのであります。あなた方の見解からいいますと、そういうことが私には非常に心配になつて来るのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/61
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062・菊井三郎
○法制局参事(菊井三郎君) この三十二条は技術士の業務を行う限りにおきましては、置かなきやならんということになるのでありますが、技術士の業務から外れるものにつきましては、現在のこの法案の段階におきましては、一応そういうものは、これから外れると、こういうことになるのでありまして、技術士制度をこの法律によりまして創設いたしまして、そうして技術士制度というものを、今後だんだんと育成いたして行くと申しますか、非常に高度にだんだん充実して参りました暁においては、或いは将来の問題といたしまして、この法律案の改正という形で、その範囲が拡大されて参るかと思うのでありますが、それはいずれにいたしましても、技術士の実体が充実して参るということと併せて考えなければならないのではなかろうか、こういうように考えておるのでございます。従いましてこの法案では、先ほどお話のありました工務店とか、建築事務所のやるような事務というものを、技術士の業務から外しておるのでございまして、かような観点からこの三十二条の規定を設けたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/62
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063・西川彌平治
○西川彌平治君 どうも我々の考えている技術士というものとの観点に大きな食い違いが、私はここに生じていると思うのです。今のお話でありますというと、日本では有数の十か十五の会社にだけ技術士を置くというお考えになつてしまうのでありまして、我々はその高度の技術を高度に普及させるという意味においての技術士であると考えておる。今のお話であるとほんの僅かの十会社かそこらのところに技術士を置くということになると、技術士を置くだけの制度を設ける必要がないのではないかと逆に考えるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/63
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064・駒形作次
○説明員(駒形作次君) 技術士というものは個人の資格でございます。それは先はど申しましたように、相当こういう経験を持つておられるかたが、会社を組織されておるその数が三百五十人くらいはあるのでありまして、併しながら法人の問題はこれは法人組織でも高度のコンサルテイングをやつておるところが、私が今申上げましたが、僅かな数、こういうのでありまして、その僅かな数だけに技術士というものをはめ込むというわけではないのでありまして、コンサルテイングの業務をやつておる法人ならば、それが本来の業務であるような法人ならば、そういうような資格を持つておる個人が中に一人以上はいなければ、その法人組織で以てコンサルテイングの活動をやつておるところは不十分であろうというのです。そういう意味合いでございまして、個人の技術士というのは非常にたくさんおります。又今後も殖える、法人組織がだんだんと殖えて参る、こういうふうに考えておるのであります。
〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/64
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065・西川彌平治
○西川彌平治君 どうも私だけしやべつていてもいかんのでありますが、私はどうも納得が少し行かないのであります。でありますから、私は結論を先に急いだのでありまして、三年くらいこの施行を待てと言つたのは、先を急いだためにそういうことを申上げたのでありまして、私は随分研究の余地があると自分は思つておるのでありますが、一応今日はこの程度で質問を打切つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/65
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066・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/66
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067・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
それでは本日は本法案に対する質疑はこの程度にしておきまして、次回に続行いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/67
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068・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/68
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069・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは石油関係の二法案を議題といたします。先ず御質疑を願います。なお、ちよつと申上げますが、大臣が間もなく出席をいたします。それでは御配付申上げておる資料の中に修正個所があるそうでございますから、川上局長より御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/69
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070・川上為治
○政府委員(川上為治君) 今お手許に配付いたしました「重油転換による燃料費の業種別節減効果」、これは私のほうの官房の物資調整課のほうで作りました横になつている資料をお配りしてあると思うのですが、これにちよつとミス・プリントがありますので申上げますが、一枚目の中で、左から五番目の所で「転換後の重油消費量」というのが一日当りキロリツターというふうになつておりますが、これが一日についてのキロリツターというわけであります。それからその次の欄が「転換後」となつておりますが、これは「転換前の石炭消費量」、それから二枚目の所のやはり「重油よりの再転換のための炭価引下げ必要率の試算」これは単なる試算でございますが、これの欄の所で左から五番目の所ですが、「石灰消費実績」とありますが、これは「石炭消費実績」でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/70
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071・西田隆男
○西田隆男君 石油の二法案の内容の審議に先立ちまして、私通産大臣にこの前の委員会でお尋ねいたしておつた対象になると思われる帝国石油の問題について、二、三の点についての御返答を頂きたいと思います。
第一は先日の委員会で帝石の経営陣が非常にごたごたしておる。補助金でも出すのなら、もう少し国民から考えてしつかりした経営になつたということがなければ、一億三千万円の今の補助金すら出すことに反対だという意見を通産省に私申上げておきました。その後新聞等によつて経過を見ておりますというと、通産省の通産局長の、あなたがよく言われる行政指導と言いますかによつて一先ず経営陣の内紛が片付けられたような重役陣の変更が行われた、追加が行われたというようなことを私耳にしておるのですが、帝石の経営面の内紛がその後どういう経過を辿つて、現在どういう状態になつておるかについて通産大臣から一つ御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/71
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072・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 前にも当委員会におきまして私の考えはかなり詳細に御説明いたしたつもりでございますが、只今のお尋ねの点は、やはり根本的な考え方の問題と併せてでないと十分御説明尽せないかと思いますので、多少冗長になるかと思います。重複するかと思いますが、お許しを願いたいと思います。
只今も御指摘のように、国内の原油の採掘、これを国策として提唱いたしておりまする関係から申しまして、帝国石油は実際上この一億数千万円を初めといたしまして、今後におきましても非常に重要な役割を持つことに相成ります。それで先ずこの会社のあり方についての法律的な関係につきましていろいろ検討いたしました結果、当初は「石油及び可燃性天然ガス資源開発法」の一部を改正することで考えておつたのでございますが、これを抜本的にやはり単行法で規定することが適当と考えましたので、只今御審議を願つておりまする石油資源探鉱促進臨時措置法案というものを用意いたしまして国会の御審議を願つたわけでございます。で、この考え方は、帝国石油会社という会社は、それ自体をいわゆる特殊会社法といたしまして法律を作ることはいたしませんでしたけれども、実際上かくのごとき単行法を提出したというその私どもの気持というものは、この法律の適用を受けて、実際上中心になつて働くものは帝国石油でありまするから、帝国石油は、少くとも常識的な意味では私は一種の特殊会社にしたも同様であるというふうにこの法律案の考え方をまとめたわけでございます。従つてこの法律案の内容におきましては、例えば経理の内容等につきまして、私は例えば配当の制限というようなことを、この法律を根拠といたしまして行政上の措置ができる、又そうしなければならない場合があると、こういうふうに考えておるわけでございます。で、幸いにしてこの法律案が御議了願いまするならば、私といたしましてはそういう方向で今後政府としては非常な熱意と、それから法律によりまして授権せられたる権限を十分に行使いたしまして、この石油資源の探鉱促進に邁進して参りたい、又同時に帝国石油会社は、会社自体としてそういう気持に大いに奮い立つてもらいたいということは勿論でございますが、政府側といたしましても、これに対して公共事業的な意味から申しましての監督なり指導なりを強化して参ることを考えて見たいと思つておるのであります。そういうような環境の下におきまして、前回にも申上げたと思いまするが、私は帝国石油の人事問題について従来からのいろいろの経緯がございまするが、具体的に申しまして現在の社長である田代氏を中心にして、この人の従来の考え方なり、或いは抱懐しておられる帝国石油経営の意図というものが我々の考え方と合致するものと認められまするので、この田代社長を中心にし、且つ、これを政府といたしましてはバツク・アツプいたしまして、誤まりなく運営をしてもらうように努めて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
それからその後の経過はどうかというお尋ねでございますが、田代さんを中心にしてこれをバツク・アツプして行くという基本線を我々としては一〇〇%に打出しておるのでございますが、その田代社長がやりやすくやつて参りまするためには、従来のいろいろの経緯もございまするから、外部から御覧になれば、或いは又我々自身が見ておりましても、却つて非常にこれは逆説的にお聞取りになれるかも知れないと思いまするけれども、私は田代社長が働きやすくなつてもらうために、田代氏を中心にして従来の反対側その他との間にも協調をとつて、円満に仕事ができるようにするためには、見方によつては一歩後退したような人事ができることもこの際としては止むを得なかろうというような結論になつたわけでございまして、そういうような方向において、政府が斡旋といいますか、求められて仲介に当つた形になつておりまするが、一つの人事の線というものを認めて、これの具体的な進行振りを現在監視しておる段階でございます。昨日の総会におきまして重役の数を殖やす、或いは精油三社からの協力を人事の上においても求めるということ、その他におきまして、そういう、今申しましたような考え方が具体化いたしまして、なお、一、二の点におきまして更に重役間の担当の問題、或いは格付の問題等につきまして、更に数日中、或いはその後におきまして話合いがまとまるものと考えております。併しながら私どもといたしましては、先ほど来申しておりまするような、一方法律上の問題を固め、又一方におきましては補助金という問題もございまするが、同時に会社の資本金に対して政府が現在持つておる持株は、これを離すというようなことは今後において絶対に考えておりません。そういう意味合いから申しまして、人事それ自体については法律上の特殊会社でございまするから、人事に対して介入をしたり或いは任命をしたりということは法律上規定されておりませんが、こういう環境の下においてやり得ることは断乎としてやるつもりでございますので、現在進行中、或いはすでに決定した人事が果して最善のものでありや否やということについては、私も別に考えるところはございますが、この今後のやり方について十分監視して参りまして、必要と認めまする場合には断乎たる措置をとつて参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/72
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073・西田隆男
○西田隆男君 通産大臣の基本的な考え方、並びに昨日の総会において決定された重役陣の増加に対するお話を今承わりました。企業というものは、私が今更事新らしく申すまでもなく、人と資本と労働、この三つのものが如何に合理的に動くかということによつて成立つものだと私は考えております。従つて一つの企業の中心は、飽くまでも経営権を持つておる人事が公正妥当なものでなければならない、これはもう第一の条件だと考えております。今通産大臣のお言葉を開くと、現在の帝石の社長の田代某を中心として業務運営をやつて行くんだ、これが通産省の考え方にも合致したことだから、こういうふうな御発言があつたのでありますが、これは私はもう企業経営の常識と考えております。そこでもう少し具状的にお聞きしたいと思うんですが、私も或る程度調査をしておりますので、ただ議会答弁としての御答弁でなくて、本当な愛知通産大臣なり通産省の考え方を赤裸々にこの席で一つお話を願いたいと思うんです。今通産大臣も今の人事が万全とは思わないという御意見のようでしたが、帝石の経営陣の内紛は相当長期に亘つた内紛で、殆んど帝石の事業そのものをうつちやつてしまつたというようなふうにまで私には考えられるような強い内紛であつたことは、これはもう通産大臣は就任以来相当な時日がたつておるから御承知であろうと思います。従つて私のもう一度通産大臣の御意見を聞きたいのは、今回改組されたといいますか、増員されたあの帝石の経営陣で田代氏を中心にして、果して通産大臣が考えられておるような、国が期待しておるような石油の増産業務遂行に支障はないか、この点について通産大臣の御返答が頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/73
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074・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この点は先ほど私が御説明した通りでございまして、別にこれに附加えてお答えすることはないと思いますけれども、そう申しただけでございますれば、あなたの言われる議会答弁になるという御批評を受けると思いますから、率直に私は申上げたいのでありますが、私は先ほど来申しておりまするように、これはいわゆる人事だけについて法律上の例えば権限なり何なりを持つておりました場合にやるやり方と、私の既存の考え方とは異なるのであります。で、私はざつくばらんに申しまして、従来帝石がなぜああいう内紛を起したか、或いは又帝石の経営についてどうして世の指弾を受けるようになつたかということの一つは、私はこれは普通の純然たる株式会社であり、又その配当その他の関係からいつて、いわゆる株式に妙味があつたということが一つだと思うのでありまして、この点は西田委員がこの前も御指摘になつた点でございます。私はこういう会社がそういういわゆる悪い意味のうま味があるものであつては困るのではないか、併しながら同時に私はやはりこの会社を純然たる特殊会社にするとか、或いは国営にするとか、国管にするとかということは、現在の状態において私は適当でないと思うのであります。そこで先ほど申上げましたように、例えば端的に一例を申上げるのでありますが、配当の制限も法律上の権限として行政府に与えて頂く、そうしてこれは現実の問題として、さすれば行政府の責任におきまして妥当と思うところに抑えるつもりであります。そうすることが基本的にこの会社の性格を変えるものである、同時にこの会社の株というもののそういう意味においてのうま味も私はなくなると思うのであります。そういうところから基本的に抑えてかかつて、そうしてこの人事というものは、西田さんのような、私から言えば御先輩にそういうことを申上げるのは恐縮でありますが、私の見解としては、人事それ自体などにピシヤリと手を打つことが却つて円満であるか、それとも基本的にこの会社の性格のほうから手をつけて行つて、その上で人事というものを公正に積立てて行くほうがいいか、私はむしろ後者のほうをとりたいと思います。生ぬるいという御批判はあるかと思いますが、私はこれでさつき申しましたように、十分にこれは百点を頂ける人事だとは毛頭考えておりません。従つて只今お尋ねのように、これで十分に国策を遂行できるのか、それについて自信があるのかとおつしやれば、これは従来に比べれば私は数歩前進したものと思いますけれども、この経過を見ておりまして、十分監視をした上で、更に必要ならばそのときに追つかけていろいろの手を打つて参りたい、そうすることによつてこの会社というものがいいものになつて行き、又皆様の御期待にも副うことになるであろう、こういうふうに私は考えて、こういう措置に対して同意をし、或いは監視をいたして参りました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/74
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075・西田隆男
○西田隆男君 通産大臣の考え方がいいとか悪いとかいうことを私は批評はいたしません。批評はいたしませんが、今表面に現われておる情勢から私は判断をして通産大臣にお聞きしておるので、私との意見が違つてもちつとも差支えありませんから一つはつきりこの後の問題でも御答弁を願いたいと思います。そこで聞きますのは、まあ通産大臣は今も人だけが問題じやない、人の面から行かなくても側から行く面があるじやないか、要約すればこういう御意見のようでした。それも一つの方法でしよう。方法でしようが、表面に現われたところを見ますと、さつきもちよつと、第一回の御答弁でお答えになつたようにも受取れましたが、今後の問題として帝石の経営陣に副社長、常務の格下げをせよという問題が起きて又々紛糾するのではないかというふうに私には心配される節があるのですが、社長を中心で行くという今考え方を持つているのでそれを推進させるのだという御答弁されたのに対して、社長の手であり、足である副社長、常務というものを格下げ、これはまあどういう理由か知りませんけれども、格下げするということは表面に現われた形から言えば、田代社長から言えば、田代社長の考え方を重点的に推進して行くという姿にはなつていないように思われますが、これは通産大臣はこれは副社長、常務の帝石重役陣の格下げという問題についてはどういうふうにお考えになつておりますか。お考え方を一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/75
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076・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これも先ほど申上げたところで尽きておるつもりでありますが、今度の構成において重役会を私どもとしては実は昨日にも開いてもらうつもりでおりました。一日も早く重役会を開いて、そして新たに選任された重役をも加えた全体の重役会がその担当を早くきめて、そしてもう発足してもらいたいのであります。その際に今御指摘のように従来の副社長制度をやめる、全部これは業務を担当してそうして取締役としてやつて行くのだという話合いが重役になるべき人、昨日以来は重役に選任されておるわけでございますが、それらの人の間で話合いができ、又田代社長がスタートいたしまする場合に新らしい状態の下においてスタートをする場合においてさつきも申上げた通りでありまして、見方はこれはいろいろあると思います。私も複雑な考え方をとりわけしておるわけではございませんが、何しろここでは社長というものを確立するということ何より必要なことだと思うのであります。これでスタートして、そして大局的に見てとにかく田代という社長がここで本当に当局或いは国民的なバツクを得て、ここでやつて行くということのためには或る意味において却つて社内の従来の経緯等に鑑みまして譲るべきところは譲つたほうが、今後の仕事がやりやすくなるのじやなかろうかという配意も私はしたのでございます。それが現状でございます。併しさつきから何遍も言つておりますように、これでは駄目だということであるならば私は更にほかの手を講じたいと思いますが、現在のところではこれはいろいろの見方や御意見があると思いますけれど、私どももこういうふうな考え方をしておりますことをざつくばらんに申上げておるのでありまして、これで駄目ならば私は更に手を打つ、このところにおきましてはこれで一つ我々にお任せおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/76
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077・西田隆男
○西田隆男君 いや、私は通産大臣に任せないと申しておるのじやないので、通産大臣が通産省としての行政指導といいますかをされる場合にどういう考え方でなすつておるのか、今後の問題をどういうふうにお考えになつておるのかということが承わりたいので質問をしておる、あなたに任せられんとかあなたを追究するとかいうのでないことだけは一つ誤解をしないで頂きたい。そこでお聞きしたいのは、非常に通産大臣は人間というものは皆立派な人間ばかりだという前提に立つて御答弁をなすつたように受取れたのでありますが、若し今お考えになつている格下げという問題ですが、スムーズに帝石の重役陣の間でできずに又々今まで紛争を繰返したと同じような紛争を続けて行くというような事態が続いた場合には何らかの手を打たれるということは今おつしやられましたが、今何らかの手を打たれて安心して補助金が出せるというような段階が来るまでは私は補助金などはやつてはいかないと思うが、これに対して通産大臣はどういうお考え方を持つておられるか。内紛を続けつつあるものに対して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/77
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078・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その点は私ははつきり申上げたいと思いますけれども、その帝石というものがその性格をこの法律によつて変えて頂きたいということが一つ、それを何故変えて頂きたいかということは補助金の対象になるからであります。又こういう法律を作らせて頂きますならば法律上の人事権ではないけれども、人事についても十分これから改めて監視をする、又我々が人事に手をつけるのにも非常な俗な言葉で言えば容易になるのであります。で、そういう気持であるということを申上げているのでありますから、さような場合でなしに、或いは更に明日以後散々内紛を重ねるということであれば私はこれは御指摘の通りにやつて参りたいと思います。何も一日を争つて補助金を現実の問題として執行しなくてもよろしいのでありますから、その点は私は十分期するところがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/78
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079・西田隆男
○西田隆男君 今までの通産大臣のざつくばらんな御答弁は私はやや満足をいたします。が、併し通産大臣に一言申上げておきたいのは、これは通産大臣だけではなくて、石油に関係のあるかたがたには皆聞いてもらいたいと思うのですが、この前の委員会でも申上げましたようにざつくはらんに申上げますと、帝石の重役陣の内紛というのは帝石の重役としてふさわしからんと言えばこれは語弊があるかもわかりませんが、まあ完全でないというような人たちがあの中に入つていられる、そうして自分たちの多少思惑に関連しているいろいろなことをお考えになつているものと、露骨に言えば菊池、南という様に非常に興味を持つていられる人が経営陣にお入りになつておるということが帝石の重役陣の紛争の原因であるということを私は通産大臣に申上げたはずです。而もこの前の委員会において申上げたことはこの帝石の酒井喜四君以下が総退陣して、田代中心の重役陣ができ上ります際に斡旋の労をとられた菊池、南、両氏は当時の通産政務次官の本間俊一君に対して経営陣には参加しないという念書が入れられている。念書を入れておきながら参加した、それでいきなり自分たちが重役陣に入ると暗躍をしている。これが帝石の重役陣の内紛の、経営陣の内紛の大きな原因になつているということを申上げた。そこでその後通産大臣も川上鉱山局長もこの念書があるかということを大分お調べになつたと思う。これは確かにあつたはずでございます。この念書をお調べになつた、この念書に書いてあつたこの事実を大体通産省としてはどういうふうに念書を御解釈になつたか。これを私が申上げたように、経営陣には参加しないというふうに素直に御解釈になつておれば、通産省としてはまあ今後おとりになるかも知れないと思いますけれども、今までの間にも何らかの措置がとられなければならないのではないか、これは表面的な解釈として私にはそう考えられるのですが、これは川上さんどうですか、あなたこの念書のことをお調べになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/79
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080・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 私は前回西田さんから御尋ねのございましたときには念書は、私はその念書なるものも現実に見てはおりませんでした。話で聞いておりましただけでありますが、勿論念のためその書類もその日早速見ました。で、それについての私の見解もございます。大体においてあなたのおつしやることと同じような気持を私は持ちます。併しながら、この点は先ほどもくどいように申上げたつもりでございますが、私はこれは人がいいのかも知れませんが、この念書の解釈をどうするかというよりも私は今責任を持つているのでありますから、私がとにかく最善と思うことをこれはやるよりほかに仕方がないということを覚悟をきめたわけでございます。そこで何としてもこれからやはりそういう人が出て来るか、又この人自体がそういう悪人であるかどうか、私は会つたこともありませんから知りません。知りませんが、どういう人が出て来て又掻廻すかも知れない。そういう場合には、そういうことが予想されるときには、国会の御承認によつてこの法律を作つて頂きたい。この法律によつてこの会社の株式というものが、配当をどういうふうにやろうが、又どんな売買をやろうが、どういう人がどうなつて来るかわからない。私はその根を制度の上でとめて頂くことが先ず最初だと思いましたから、そのほうに最初に手をつけて御審議を願つておるわけであります。
それからその次に申上げたいことは、私はこれは弱いからそういうことができないのかも知れませんが、私の見解では、今何の権限を持たずに、人の首を、とにかくこれは会社の陣地なんですが、首を切るというようなことで出るよりは、私どもが中心で推したいと思つておる社長の立場をスムースにスタートさせたい。そこで一つのスタートを切つて、あとはそのうちに法律も出ましよう、できましよう。それから補助金がいよいよ出し得る状態になりましよう。それらのものと睨み合せて今後十分に監視して行きたい。恐らく只今御指摘のような人も、私は甘いかも知れませんが、会社の性格が変れば、従来こうやつてやろうといつた面白味がなくなるだろうと思います。そういう点も考え併せまして、私といたしましては責任を持つてこれを監視して参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/80
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081・西田隆男
○西田隆男君 通産大臣のおつしやることは一応私にはわかるのですよ。わかるのだが、外面に現われた形が以前と大した差がないというよりも、ちつとも変つてないという形で重役の増員が選任された。日石と昭石から一人取締役、一人監査役になつた。併しこれは事実はどうか知りませんが、斎田という人が、これは菊池、南派と一応言われるこの人がやつぱり取締役に入つておる。そうすると取締役会を開いた場合に、数を以てきめるということになれば、依然として社長は困難な立場におるままでこの困難な帝石の業務をやつて行かなければならんということになると思う。只今通産大臣の考え方としてはだんだん変えて行く、これも一つの方法でしよう。方法でしようが、私は業務の遂行に円滑を欠くと、こういう考えから、むしろばつと根元をついてやることのほうが、一時は混乱をしても、立直りは却つて早いのじやないか、こう考えておるのです。考え方は通産大臣と私は全く対照的に違うのですが、そう考える観点からお尋ねをしたのです。大体において通産大臣の考えはわかりました。併し今出されておる法律案を見てみますと、経理の監査は一応できるようになつております。経理面の監査をやるだけで、株の配当を制限するとか何とかいうことまで行けるようにお考えになつておるかどうかというのが一点。
それからこの法律案を見てみても、人事に介入できるという条文はどこにもない。従つてあなたのお考えになつておるようなことは、実際面において推進されて行くということになるというと、いわゆるあなたのおつしやる行政指導というものを相当強力にやらなければこれは私はできない。できがたい。こう思うのですが、そういう点に対してこの法律が通つたあとにおいて、通産大臣は御不満をお感じになりませんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/81
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082・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) ちよつとその前にお断わりしておきたいと思いますが、実は鉱山局長その他とこの問題につきましては、実に苦心したつもりでございます、私は私なりに……。そうして今日こういうふうな一応の結論をつけたのでありますが、私は先ほど来申しておりますことは、私が到達いたしました結論によつてこれから監視して参るということは、現在の特定の人を、例えば社長の場合でもそうでありますが、現在はこれを推して行くことが最善であると考えておりますが、併しこの人ではやつて行けないのだというふうなことになれば、それをも併せて私は監視して参りたいと言つておるつもりでございますから、その点は一つはつきり申上げておきたいと思います。
それから人事に介入することができないじやないかというお話でございますが、その通り、これは私さつき申上げた通りであります。これはいろいろの考え方があると思いますが、私は人事権を除けば、他の単行法の各本条を御覧になればおわかり頂けるかと思いますが、実はこの法律案を私ども立案いたしましたときには、政府部内におきましても、こんなにひどい法律は最近ないじやないかというような意見を言う人すらあつたくらいでありまして、非常に高度のこれは監督規定というか、経済的な何といいますか、負担や犠牲をも伴うような相当高度の私は統制的な立法だと思うのであります。そうして同時に二割三割はもともとではありますが、政府が持株を持つております。この持株は、従来の考え方からすれば速かな機会に民間に移譲しようと思つておつた。政府の方針をこの際変えたわけであります。これはこのまま持続ける。この両面から言つて帝石というものを特殊法人にして、人事というものを如何ようにも変えるということに法律上はしてはございませんけれども、これだけの一つ法律上の基礎をお与えして頂き、又財政の基礎をお与えして頂くならば、これは人事につきまして今後においてできるだけのことを私どもとして何といいますか、善処することができると確信いたしております。そんならなぜ今やらないのかというお尋ねかと思いますが、これは今ここでめちやめちやにして、どう又ごたすたが起るかも知れない、それよりも、じわじわとこの会社の性格というものをはつきり固めて行くような方法をとるほうが私は却つていいのではないかと、こういうふうに考えたのでありまして、そのことがいいか悪いかにつきましては御批判を頂きたいと思いますけれども、今この気持を変えるつもりはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/82
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083・海野三朗
○海野三朗君 先に大変問題になりました二人の重役はどうなりましたか。それはそのまま居坐るのですか。どういう地位に就きましたか。あれほど問題を引起しました張本人でありますから、どういうふうになりましたか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/83
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084・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) この点は先ほどから申しまして、御指摘頂いておりまする通り、そのままでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/84
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085・西田隆男
○西田隆男君 通産大臣のお話は大体了承しました。あなたの考える通りに通産行政の面もお行いになれば、或る程度の効果は必ず挙るものと私は期待いたします。併しなかなか委員会で御答弁になつたり、本会議で御答弁になつたりすることがその通り行われない。それで我々は心配になるわけなんですが、今度は一つ今日御答弁なすつたことをお間違えなく実行の面に移して頂きたい。これは私の切なる希望なんです。それと、私の考え方を一つ申上げておきますが、帝石の経営陣の副社長、常務格下げということは、あなたのお考えになつておるよりなかなか簡単には行かない。当分紛争が続くであろう。私はそういう予測を私の調査に基いて持つておりますから、この問題も一つ今日御答弁なすつたような簡単なやり方で一つそういう問題が長引いていることがあれば、通産省としてはどうぞ間違わんような方法で善処して頂きたい。それと、この問題を通じていろいろなデマ放送なども、デマ放送と私はあえて言いますが、デマ放送が行われますので、通産省の係の人々に対しては通産大臣から一つ厳重にこの問題が他に漏れたり、或いはいろいろな通産省の考え方が放送されたりすることのないように、一つ通産大臣から厳重なお話をしておいて頂きたい。でないと、官庁内の、表面では人事には介入せんとか、なにはされないとか、いろいろと言訳をされておりますけれども、実際面におきましては行政指導の段ではない。いろいろ具体的に言つたらもうこれは通産大臣がお驚きになるようなことまでも私の耳にはたくさん入つております。そういうことがありますというと、却つて結果としては面白くない結果が起きて来る可能性が多いのですから、これはそういうことがあからさまにならない前に通産大臣にお願いしておきますから、厳重に通達を出しておいて頂きたい。この問題については又次に問題が起きましたときには通産大臣の御説明も聞きましようし、又格下げ問題で重役陣が揉めるというような場合にどうされたかということについても又お話を承わることにして、一応終つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/85
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086・海野三朗
○海野三朗君 通産大臣の御説明によつて御決意のほどはよくわかりましたが、併し会社というものは長く続くのであつて、政府はそのときどきに猫の目のように変つて行くのであります。それでありますから、私はここによほどしつかりした一定の方針の下に通産省がやつて頂かなければ、この再び、帝石のぶざまを胚胎しておるのであります。丁度白木屋事件のごとき、そういうふうな危険が多分に私は含まれておると思いますから、それに対しましては通産大臣の御決意のほどは誠に私は結構なことであると思いますが、その通産当局といたしまして、鉱山局長あたりの、やはり御決意もはつきりしたところを一つ重ねて私は承わつておきたい。通産当局の、つまり意見として、或いは大臣が変られても何でも通産省の方針はこうなんだというところのその御決意を私は伺つておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/86
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087・川上為治
○政府委員(川上為治君) 私は、只今大臣から申上げました通り、全くそういう考えを持ち、又そういう決意を持つてやつております。この問題につきましてはいろいろ私は批判のある、或いは一方的な見方による批判があるかと思うのでありますけれども、私どもが今日までやりましたことは、本当に行政官として私は全くこれ以外に現在はやる途はないという、その確信を持つて私はやつておりますので、どういう誹謗がありましても、この点につきましては、私はそういう考えでやつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/87
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088・小松正雄
○小松正雄君 さつき西田委員から御質問のありました中で、今度の帝石が、人事の刷新もなくいたしまして、従来通りの重役陣によつて経営が一応成立つて行く、こういうふうなことについて、若し大臣のお考えのように、スムースに能率的に、国民が見た場合に、よくやつて行くということになれば別ですが、若しそれがならないという場合には、補助金等もどうするか、一時停止するかということを言われたのに対しまして、大臣が見た場合に、全く前と変らないんだ、刷新の余地もないんだということでありまするときに、この補助金はそのまま停止できるということでありますが、間違いありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/88
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089・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 私は率直に申上げておるのでありますが、先ほど来言つておりますように、今回の、この何といいますか、調停案というものは、それ自体私は上出来だとは思つていないのであります。ただ一歩か数歩か前進させるために、スタートをさせるために、絶対最小限度必要だと思つておるのであります。そこで私は率直に申上げますが、補助金を出してから途中でとめるというのではなくて、この帝石が、これで本当にうまく行けそうだと思つたときまで私は補助金を出しません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/89
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090・小松正雄
○小松正雄君 そういたしますと、少くともこの委員会といたしましては、大臣が帝石の運営はもうこれで大丈夫、これでいいんだとお思いになりましても、その間にそうでないという見解もあるかもわかりませんし、そこでそうなりましたときに、大臣が一時停止した補助金を出すということに相成りますときに、中間報告といいますか、内容的に本委員会に報告される。そうして以て大臣の権限である、その補助金を出すということにされるお考えはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/90
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091・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは実は、法律的に申しますと、予算はすでに成立いたしております。従つてあの予算に基きましてこの補助金を出しますことは、この法律案ができようができまいが、人事がどうなろうが、これは政府の責任でございます。従つて私は今後におきましての私の気持を今率直に申上げたのでありますし、又私自身の気持といたしまして、当委員会が国会の開会中で活動されておりますようなときに、私の発意で中間的に御報告申上げることは一向いといませんけれども、制度としてさような約束を、通産大臣としてするということは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/91
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092・小松正雄
○小松正雄君 そこで、さつきの、海野委員からも御指摘なされましたように、ときどきに大臣はお変りになる。変つたあとでは、前者の大臣はそうであつたけれども、現、変られた大臣としては、そういうことを受継いでおることでもなしするからして、予算によつて交付される補助金というものは、自分としてはやるべきものとしてやつておるんだと、こう相成るというようなことがありはしないかという杞憂の上に御指摘されたと思います。そこで大臣は、はつきり一時停止をしておいてでも充実して後に渡すということにしたいというお考えであるようでありまするから、そこでなお重ねてお願いすることは、そういうことにはつきり打出せるように中間報告をなさつて、あなたでなくてほかの人がなられても、充実したものだという見通しがついたことについての中間報告をなされた後にお渡しになるということを前提としてやつてもらいたいということを希望申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/92
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093・海野三朗
○海野三朗君 只今の小松委員からのお話、それから文通産大臣としては、予算が通つたからそれは出さなければならんのだとおつしやるのは、それは御尤もでありますが、世論ごうごうとしている中にも予算が通つたからやるのだというようなことでは、どうも私ども腑に落ちないのでありまして、やはりこれを、補助金をお出しになるときにはそういうふうな世論を十分御斟酌になつて金をお出しになつて頂きたい、こういうふうに私は思うのです。そうでないと、非常にごたごたしておる際に、もう予算が通つたからというてお出しにならないで、やはり十分そういうところを参酌して頂いて、そうして大臣の、その予算をその方面に向けるという権限を行使して頂きたい。それはやはり一応はこの委員会のほうに耳に入れて頂きたいと、私はこう考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/93
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094・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど申上げましたように、これは法律上並びに予算上、制度から申しますると、すでに予算が決定されて両院の議を経て成立したのでありますから、これをいつどういう形で執行するかどうかということは政府の権限であり、本件につきましては通産省の決定するところでございます。併し先ほど来申しておりますように、私としては十分これで帝石が立直つて、国家的な使命の負託に応え得るという見通しがついてからこれは予算の執行をいたすべきものである、こういうふうに考えておりますから、自然只今の御希望に副うように私としてはいたしたい、ただこれを制度の上においてそういうお約束をするということは、私は却つてこれは変なことになると思いますから、そういう場合にどうするかということは行政権の責任において措置いたしますことをお認め願いたい、又それが当然なことである、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/94
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095・三輪貞治
○三輪貞治君 今朝の朝日新聞の記事によりますと、第一物産が丸善石油と提携をしてイランから市価よりも約一三%安い原油、約三万八千トンの輸入をして、その見返りに日本からブリキ板二千トンを輸出するバーター貿易契約をイラン国有石油会社との間に取極めた、こういう記事が載つているわけであります。これはもう簡単に御質問申上げますが、通産省としては御許可に相成るつもりでありますか。この契約を……、先ずその点からお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/95
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096・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 実は今朝の朝日の記事は、私も記事を見まして初めて知つたわけでありまして、それから通産省のほうで事務当局にも確めましたところが、やはり同様の状態でありまして、まだ公の相談を受けておりません。公の相談がございましたらいろいろその状況に対処いたしまして回答するなり、態度をきめたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/96
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097・三輪貞治
○三輪貞治君 勿論そうでありましようが、これは今急に起つた問題ではなしに、かなり長い間いろいろと論議をされた問題ですから、大体その肚はきまつているのじやないか。政府のほうでは大体においてこれを許して行くつもりだとか、やはり従前の態度を堅持されて一切もう駄目だと、こういうふうにお考えになつているのか。ただその辺だけでも一つお明かし願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/97
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098・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは通産省の立場といたしますると、実はうまく話がまとまればいいという期待を持つております。ただ前回本会議でも御質問がございましてお答えいたしたように、やはり外交関係の顧慮ということを、十分しなければならないという政府の態度でございますし、同時に現地といいますか、におきましても米国、英国等との間にいろいろ紛争があるようでございますので、その終局を待ちまして、その動向を勿論当方としても監視を続けているわけでございまするが、国際的に紛争を起さないように、又或いは紛争の渦中に入らずして円滑に運ぶようにという配慮をいたしております。なお最近現地方面に行つておりました外務省筋の者も近く帰つて参るようでございますから、通産省としては常にそういうふうな情報や見方を元にいたしまして、冒頭において申上げましたように、できればこういうふうな話合いは円滑に進むことを期待しているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/98
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099・三輪貞治
○三輪貞治君 私が先般本会議で御質問申上げたときの御答弁では、石油の買付についてはバーター形式であるならばそれを考慮したいというふうに御答弁になりまして、今そのことをばイランの政府に申入れているので、その答えが来たら態度をきめたい、こういうふうにおつしやつておつた。そういたしますると今度のイラン石油会社との取極めは、これはバツク・ツー・バツクの方式でありますから、大臣がそういうことの向うから答えが来れば許したいと言つておられたバーター方式の御希望に副うことになるから、当然お許しを願わなければあの答弁が嘘であつたということになるわけであります。大体の方向としてはこの新聞はこういうふうな日本側の態度として、これはどの程度の信憑性があるのかは知りませんけれども、とにかく英国政府との間のいろんなトラブルということも一応御想定になりまして、併し若し仮に支障が起つたとしてもそのときに英国と取引すればいい、こういうふうにこの新聞には書かれているわけなんですが、これは通産省の考え方であると、こういうふうにとつて間違いないのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/99
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100・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) これは、只今仰せになりましたことと、ちよつと私の申しましたことと違うのでありまして、その考え方の筋として外交関係の問題ということが上にかぶさつておるわけでありまして、それから私は経済問題としてそれを別にして申しましたつもりであつて、特にバーター形式ということであれば私どもとしては非常に望ましいことである。併しそのバーターであるということと、それから例えばドルなりポンドなりで決済をするかどうかということとは、いずれにいたしましても外交関係の顧慮という点におきましては同様なんでありまして、外交関係についての顧慮がもはや必要がなくなつたとか、或いはこの程度ならば大丈夫だということになつた場合に、さて今度は現金の決済よりはバーター方式で行くほうが望ましい、こういう方針で私は一貫して考えて来たわけでありまして、その一方の条件としましては今回の記事は非常に有利だと思います。ただその外交関係の顧慮という点について、まだこれで大丈夫だというところまで私どもは見ていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/100
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101・三輪貞治
○三輪貞治君 去年のこのイランの石油の輸入の後におきまして、石油の外貨については特に積出港を指定しまして、イランからのものに対しては許可をしないという御方針をおきめになり、それによつて事実上のストツプをされたわけです。手持外貨がある間だけ輸入をされて、その後外貨の追加もなく輸入がそれ以上できなかつたということなんですが、本年度もそれは外貨の割当について、やはり油については積出港を指定して、特定な場所について、特にこのイラン等について御禁止にはならない方針でありますかどうか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/101
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102・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) その外貨の割当をイランの石油に対しまして、例えば出光なら出光に対して現実に割当てる行政措置をいたしまする時期は、もう少しこの外交関係についてもはやよろしいと思うまでこれはとめておくつもりなのであります。それから、さてその時期が早いほうが結構だとは思つておりますが、その時期になりまして、もうよかろうということで割当てるその時の客観的な情勢によりまして或いは港を指定するとか、或いは時期を指定するとかいうことは考えられると思いますけれども、只今まだそこまで今年度どうやるかということについてはまだはつきりした方針をきめておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/102
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103・三輪貞治
○三輪貞治君 時間がありませんから簡単にもう一点だけお伺いしますが、このたびのこの契約は原油輸入契約でありますから初めてでありますし、若しこれをお許しになるとすれば原油以外のその他の製品についての契約も同様に許可される、こういうふうに了解してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/103
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104・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) それはその通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/104
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105・中川以良
○委員長(中川以良君) 本日はこの程度にしておきたいと存じますが、如何でございましよう。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/105
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106・中川以良
○委員長(中川以良君) では本日はこの程度にして散会いたします。
午後四時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X02919540408/106
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