1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年五月二十七日(木曜日)
午前十時四十二分開会
—————————————
委員の異動
本日委員井上知治君辞任につき、その
補欠として大谷贇雄君を議長において
指名した。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 中川 以良君
理事
松平 勇雄君
加藤 正人君
海野 三朗君
小松 正雄君
委員
大谷 贇雄君
黒川 武雄君
小林 英三君
西川彌平治君
酒井 利雄君
高橋 衛君
岸 良一君
豊田 雅孝君
三輪 貞治君
天田 勝正君
武藤 常介君
白川 一雄君
衆議院議員
始関 伊平君
政府委員
保安庁装備局長 久保 亀夫君
通商産業政務次
官 古池 信三君
通商産業省重工
業局長 徳永 久次君
事務局側
常任委員会専門
員 林 誠一君
常任委員会専門
員 山本友太郎君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
—————————————
本日の会議に付した事件
○航空機製造法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○砂利採取法案(衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/0
-
001・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。
昨日に引続きまして航空機製造法の一部を改正する法律案を議題といたします。どうぞ御質疑を願います。
私から一つ御質問申上げたいと思いますが、航空機を今後作りますのに、まあ主として外国に依存をしておるようでございまするが、昨日もいろいろお話のあつたごとく、ビーチクラフト会社から機体を入れておることはもうすでにはつきりいたしたのでありまするが、これについてのエンジン問題はどうなつていますか。機体とエンジンを最初のものは一緒に入れてこちらで全部組立てる、それからあと今度のノツク・ダウンのやつは機体とエンジンは別々の会社に入れて組立てをやるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/1
-
002・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お尋ねのエンジンの問題につきましては、外国の特許権の持主と、日本側のそれを受入れようとする、機体のほうを受入れます業者と違つた人が受入れた形で外資導入の案件としての申請が出て参つたわけでありますが、私ども申請に出て参りました会社が、そのエンジンを技術提携をいたしましてうまくこなし得るかどうか、若干の疑問を持つたのでありますが、併しながら、そのメーカーにおきまして、そのエンジンを技術提携しまして、こなし得ないと断定し得ない要素もございまするし、又特許権を持つておりまする相手方が、外国の相手方が、申請をして参りましたメーカーのみを具体的に一応相手にしておるというような事情もございまして、そこで私どもその問題の処理ぶりにつきましては、いろいろ検討いたしたわけでありますが、先般もお答え申上げました通り、考え方といたしまして、エンジンの国産化を図るために、外国と技術提携をすることは、戦後の空白のある今日の状況においては結構なことではないか。但し申請しております会社が技術提携において、設計通りのものが作り得ないとも言えないが、作り得るということもあらかじめ予見しておるわけにも参らないという事情、そういう事情を考慮いたしまして、技術提携そのものは認めることは認めまするけれども、認める意味合いといたしましては、当然にその企業がそのエンジンの担当生産者となつて、それに対し保安庁も当然に発注をする、そういう意味においての承認という形ではなしに、ともかく技術提携をやつてもらつて見て、できた品物につきまして、いいものができるかどうか、これは保安庁がエンジンを買うか買わないかきめます際には、その社のもの或いは他の同性能といいますか、同じくらいの大きさのエンジンにつきまして、国産のもの或いは他の企業が他の外国の会社と技術提携をして国産化を進めるということもありましようし、それらのものと同列に並べまして、採用するかしないかを決定するということになりましようし、その際に合格をすることもあるかも知れん、或いは落第することもあるかも知れんということになるであろうということで、そういう考え方をとりますると、許可申請に出ておりました許可の外資導入の申請の内容の条件というものが少し変更を要するというものがありはしないかということで、申請の条件を変更いたしまして、今申しまするような考え方にふさわしい程度の条件に変更いたしまして、承認の内意を進めて来たという経緯をとつておるわけであります。その後外資委員会として、或る種の今申しましたような条件変更の一種に、こういう条件を変更すればこんなふうの考え方の意味において認めるつもりであるけれども、ということを申請者に対しまして意思表示いたしておるわけであります。申請者のほうでは、相手方の特許権者との間に技術提携の具体的な話合いを、これまでは仮契約の状況であつたのでありますが、本契約に進めるべく努力をいたしておると思うのでありますが、まだ今日までのところ本契約に固まつて、そういう条件の場合でも結構だということになつて申請が出たということはまだ承知いたしていないわけでありまして、目下当事者間におきましてその条件が変更した条件でなければ日本政府が承認しないという前提の下に本契約にすべきかどうかということが両者の間に検討されておるというふうに了解いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/2
-
003・中川以良
○委員長(中川以良君) この問題は新聞等にもまあしばしば出ておつた問題でありまするが、今のコンチネンタル会社のエンジンの技術導入の問題でございまするが、外資委員会等においてすでに許可を承知されたのでありますが、これは実際将来の航空機製造というものを考えるときに本当に実力のあり、又能力を持ち、信用のある会社を当然外資委員会としては選定すべきだと思うのでありますが、その間いろいろないきさつがあるように私は伺つておるのであります。ややもいたしますと、航空機製造会社に再び日平産業のごときものが出る虞れが私は多分にあると思う、この点を特に私はこの法案審議の過程において指摘をいたしたいと思います。こういう点は随分通産省のほうでは御研究になつておられるでありましようが、是非一つ慎重に各省とも御連絡を願いたいと思います。只今保安庁の久保装備局長もお見えになつておられますが、先ほど来私御質問申上げておりまするのは今の航空機のエンジンの技術導入の問題でありますが、これは今外資委員会を通じて許可になつておる某社というものは本当に航空機のエンジンを作り得る能力なり、資格なり技能なり、或いはそれに対する信用等を十分持つておるものとお認めになつた上の許可であるかどうかという点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/3
-
004・久保亀夫
○政府委員(久保亀夫君) お答えいたします。只今のお尋ねに対しまする直接のお答えといたしましては、このコンチネンタルのエンジンにつきまして、外資委員会の承認を受けました某会社につきまして勿論私どもといたしましては、この過程におきまして通産省当局とは勿論十二分の連絡をとつて承知して来たわけでありますが、当会社の今お話のございました能力、或いは信用その他技術等につきましては私どもの調査した範囲内においてはこのエンジンを作るに値いしない、全く無能力、或いは欠格者であるというふうには実は考えておらないわけであります。同時に、問題となりました他の会社のほうがベターである、今の諸点につきましてベターであるという判定は通産省と共に持つたわけであります。できないというふうなことは持たなかつたわけであります。そういう点につきましても外資委員会にも率直に申上げまして、従来の技術提携に対する外資委員会の処理方針等から照らしてああいう結果に相成つたものだと私どものほうとしては考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/4
-
005・中川以良
○委員長(中川以良君) つまりよりよい、ベターであるというものをさておいて一方に対してライセンスを与えたということに対しまして、私はどうも釈然としないものが今日なおあるのであります。そこで仄聞するところによると、ライセンスを今度は商品化してこれを他の会社に持つて行つて買つてもらつてそうしてエンジンを作るというようなことが巷間伝えられておるごとくあるといたしますれば、初めの御判定が非常にあいまいであつたということになるのであります。そういうことが航空機製造の漸く緒につかんとする際に出て参つたことは甚だ遺憾であると存じますが、こういう点についてはどういう御見解でありましようか、徳永局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/5
-
006・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 今お尋ねのような申請者のほうでも動きを示して参りましたことは、私直接責任者から聞いてもおりませんけれども、そういう動きがあるということも耳にはしておるわけであります。それが今御指摘のように企業として健全なあり方でないという点については私も同じような感じを持つわけでありますが、ただこの問題につきまして先ほどもお答えしましたが、ここで御報告しまして御了解を得たいと思います一つの点は、外資委員会におきまする処置につきましては、本法によりますような許可制といささか事情を異にいたしまして、外資委員会に出ます形におきましては、外国の或る会社と日本の或る一つの会社との結付き、こういう形で出て参るわけであります。先ほど装備局長からお話ございましたように、どちらかという形をとつていないわけでありまして、それが一つの問題の処置につきまして、どちらかよりよいと思つたものをとれないことになる一つの原因であります。それからもう一つ御了解頂きたいことは、本件の処置の際に通産省内部におきましてもいろいろ相談いたしたのでありますが、まだこの法律は通つておりませんけれども、幸いにいたしまして国会を通過いたしまして、この法律の運用の責任を私どもに任せられるということになりました際における外資委員会における承認と許可制との関連ということについてはどう考えるかということでございますが、当該許可の内意を示しました業者と外国の相手会社との間に本契約が仮に成立いたしましたといたしましても、本法によりまする許可につきましてはノツク・ダウン、格別の高度の技術を要しないと思われるノツク・ダウンの過程におきましては、本法に基きます製造許可はいたしますが、併しその提携しました相手方の技術を吸収して国産化を進める、いわばそれがまともな意味における製造、常識的な意味における製造という観念だと思いますが、その製造許可をするかしないかについては外資委員会において承認の内意を示したから当然に製造許可をするということには取扱わない、而してそれについてはその会社の製品が優れた性能のものができ上つて保安庁の採用のエンジンというふうに確定したときでなければ製造許可は与えないという含みと申しますか、又そういう扱いが事務的に考えまして最も本法と、それから外資委員会との処理ぶりの、相互のまあそれぞれの立場立場から見た考え方の合理的な処理ぶりだと私も確信いたしておるわけであります。さような扱いにしかしないのだという意味に省内におきましても態度はきめておるわけであります。御懸念の、本法のまだできない前でございまするが、本法の成立に先立つて、本法の運用そのものが、いろんな事情のために、本法だけの精神が十分確保できないんじやないだろうかという委員長の御懸念じやないかと思うわけでありますが、その点私ども紛れば生じないというふうに考えておるわけであります。その点御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/6
-
007・中川以良
○委員長(中川以良君) 今の御答弁で或る程度わかつたのでありまするが、こういういわゆる外国の技術導入の権利をめぐりまして、こういうようなことが行われるといたしますると、それでなくても相当高いものを日本は馬鹿馬鹿しく高く特許料なり使用料なり払わなければならん、その上に又それを商品化して他の工場へ売付けるということになりましたら、大変まあ不当に高い費用のものが製造原価にかかるということになるのです。こういう点は十分一つ今後御留意願いたいと思います。只今の御答弁で、外資委員会できまつたから、それを前提としてこの今回の新らしい法律に基く許可をするということは考えてないと、その会社の実態なり技術なりその他の条件を十分検討をして、正しきところにこれを持つて行くように製造許可を与えるようにするというお話を承わりましたので、その点は先ず安堵をいたしたのでありまするが、どうぞそういう意味が穿き違えられませんように、厳然として一つ航空機工場を、本当に信用ある工場をして政府は育成強化をされるように、この際特に希望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/7
-
008・小林英三
○小林英三君 第二条の許可の基準という問題が第二条の五ですかね、「通商産業大臣は、第二条の二の許可の申請が左の各号に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。」と、こういうことがあるんですが、そこでその第二条の五の三に、これはこの間もどなたか質問があつたことなんですが、「その事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。」ということなんですが、この経理的基礎という問題はどういうことを言うんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/8
-
009・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 経理的基礎と申しますると、その企業の資本力及び信用力両方含めた意味でございまして、その大きさにつきましては、やろうとする事業によりまして異なるかと思うわけでありますが、むずかしい機体とかジエツト・エンジンとかいうことになりますと、巨額の設備投資も要るような仕事になりまするし、そうなりますればその資本力或いは信用力というものは数億の資金調達ができる企業でなければならんということを意味いたしまするし、又或る一部の特定企業として問題にされます例えばプロペラならプロペラだけ、或いは例えば、細目はきまつておりませんけれども、引込足なら引込足だけだと、或る一部の部品だけであつて、設備投資もそう大きなものを要しない、或いは運転資金も大したものは要らないというような事業でございますれば、数千万円或いは数百万円でも十分だというようなことが出て参ると思います。大きさそのものは事業の種類、内容によりまして異なりまするけれども、書いております意味は、資本、信用力から見まして調達能力のあるものという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/9
-
010・小林英三
○小林英三君 成るたけ簡単で結構ですから……。そうすると、今の資本力だとか、信用力だとかいうものを許可するときに当つて、通産大臣が認定するわけですね、それはどうしてやりますか。その資本力や信用力というものはどういうふうにして調査して……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/10
-
011・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 結局のところ認定ということになろうかと思いまするけれども、信用の問題につきましては私ども取引銀行等からそれだけの融資が得られるという見通しがあるかどうかということ等を直接なり、或いは間接の方法によりましても調べ、疑わしき場合には調べて間違いないかどうかを期さざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/11
-
012・小林英三
○小林英三君 資本力という問題は大体認定でわかると、信用力という問題については直接銀行を調査してこの会社、工場に対してどのくらいの程度の融資も可能かという程度までも調べるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/12
-
013・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 或る程度調べる余裕がない場合もあると思いますが、疑わしい場合にはさように調べることもあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/13
-
014・小林英三
○小林英三君 それからもう一つこの「技術的能力」ということの判定ですが、これは或る機種なら機種、或いはその部分品なら部分品というものに対するこの工場、会社が技術的能力を持つか持たんかという問題ですね、こういうものに対する許可の判定というのはどういうふうな判定をしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/14
-
015・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 技術的能力はいろいろやりますものにつきまして違うわけでありますが、その企業の抱えておりまする技術者の経験年数とか学歴とか、それからその数が事業によりまして非常に高いもの或いは多いものに属する場合もありまするし、又それほどの経験年数を経てなくてできるものもございます。人数も小人数でいいとかいろいろあると思いますが、これも信用なり経理基礎と同じように事業の内容によりまして幅があるわけであります。対象に相応いたしましてさような条件を判断して参るということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/15
-
016・小林英三
○小林英三君 そうするとなんですか、その会社、工場の技術的能力ということは、その会社、工場に雇われているエンジニアのつまり技術的能力ということなんですか、会社全体の技術的能力、例えば設備だとか、機械だとか、そういうふうなことの判定は要らないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/16
-
017・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) その会社の持つておりまする設備、或いは今後捉えようとしまする設備につきましては、本条の一号によりまして当該事業の用に供する特定設備が或る基準に適合するや否やを見る、従いまして三号のほうでは主としてその事業者、経営者を含めまして、その企業に属しておりまする技術者の技術的なレベルということを見るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/17
-
018・小林英三
○小林英三君 私はこの問題はなかなかこうやつて法律で現わす工場ということは簡単でありますけれども、通産大臣がこれを認定するということ、例えば相当な重要なデータがあると思いますけれども、それを認定なさるには通産省のうちのどういう部門でおやりになるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/18
-
019・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 直接的な責任の問題といたしましては重工業局航空機課が担当することになるのでありますが、具体的には多少の同じような課がほかにもあるわけでございますけれども、場合によりまして工業技術院の応援を求めたりいたしましてやる場合も、ほかの事例でもあるわけでありますが、さようなことで極力万全を期し、又工業技術院のみならず、或いは場合により民間の第三者の意見を聞くようなこともあろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/19
-
020・小林英三
○小林英三君 それから今のこういうものでなければ許可してはならないということになつておるわけですが、許可するときには今の局長のおつしやつたように、つまり資本力も十分あるとか、或いは銀行等の信用等も十分あるから許可なさる、それで先ほど委員長からもお話がありましたし、先般の委員会で豊田君からも御質問があつたように、日平産業のような工合に、将来この会社の運営よろしきを得ないでいわゆる経理内容というものが非常に悪くなつた、この会社で以てこういう機種を任せておつたのではとても完全な航空機の製造はできないという場合も将来あり得ると思う。仮に、日平産業は完全に許可になつてなかつたという話ですが、ああいう場合もあり得ると思う。ところがこの法案ではこういう場合には取消すということがありますけれども、停止を命じたり取消すということがこの法律にありますけれども、そういうような経理的内容というものが非常に不良に陥つた場合においてどうするかということの規定は私はここに見付からないと思うのですが、そういう場合にはどういう処置をなさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/20
-
021・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 日平等の例で申上げたらいいかと思いますが、日平の例は今お話の通り具体的な許可もいたしておつたわけでもございませんので、許可を予定いたしておるような企業であつたわけでありますが、あの会社の場合におきまして技術的能力或いは設備的な問題については大して問題はないかと思われます。むしろ本法によりますればいわゆる三号に該当する経理的基礎について疑問があるというような状況に立ち至つておるわけでありますが、まあ私ども他にそれに代るべき優れた企業体があります場合には場合によりこれを変更するというようなことも考えたらいいかと思うわけでありますが、併しその事業体がその仕事をやつております以上、極力その事業体におきまして進めたほうが適切かとも思うわけでありまして、さような場合、今例えば日平で問題になつておりますごとく、経理的基礎の背景をなしますものは結局その企業の経営者の信用力、事業経営能力に対しまするいわゆる信用力というものが一番大きな基礎をなすものかと思うわけでありまして、優れた経営者が来ることによりまして経営の実態も刷新されまするし、又それによりまして金融機関等の信用も附加されて来るというようなことに相成ろうかと思うわけでありまして、さようなことにつきましていろいろの経済界の実態からおのずからそういう過程を、経営者が不適当な場合にはこれの交替等も、おのずからそういう過程を経ざるを得ないことにもなりましようし、又政府側としても、それの改善が早く行われるということを期待するということになるわけであります。さような経理的基礎が薄弱になりました場合には結局金融機関もついて行かないということになりまして、経営そのものが破綻するということになろうかと思うわけでありますが、本法によりましては事業を一年以上経営の破綻等によりまして中止したときには許可を取消すという規定を入れておるわけであります。条文上はその程度の取扱になつておりますが、実体的には先ほど言つたような動きをとる場合が通例ではなかろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/21
-
022・小林英三
○小林英三君 そうすると今のお話によりますというと、例えば客観的に見てあの会社はどうも資本的内容、信用度もずつと下つて来て、現在やつているところを見ると、とてもこの機種を完成することはできないという客観的情勢に置かれておつても、その会社自体が経営不能に陥つたために一年とか二年とか休業する場合でなければできないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/22
-
023・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/23
-
024・小林英三
○小林英三君 それからですね。このたしか昭和二十六年の暮あたりでしたか、二十七年の初めあたりでしたか、アメリカが非常に大きな軍需生産を飛行機の生産をやつておつたのが、ちよつとアメリカの飛行機の生産が非常に落ちた、それは私どもの承知しているところによりますと、朝鮮戦線においてソ連の飛行機が優秀だ、これに対抗できないから、このまま飛行機の製造を続けたのではこれはアメリカが劣勢になるから、設計変更をして、これに対抗するだけの飛行機を作らなければならんということで、一時機械等を入替えたりしてやられた、そのためにアメリカの飛行機の製造が一時足踏みをしたようなことがあつたと私は聞いております。今後日本の飛行機というものが日本の独立国となりましたこの際におきまして、経済力とマツチしてますます日本の国内において優秀な飛行機を作る、ところがこの間から聞いておりますというと、いろいろの議員の諸君が御質問になつたのですが、つまり将来の見通しといいますか、こういうような機種が将来必要だということが、相当まあ大きな変化もどんどんあるわけでございましようが、そういうものに対応してただ単に飛行機の製造業者が将来これが売れるからとか、或いはこれが入用だからというようなことではなしに、通産省であるとか、或いは保安庁であるとかいうような官庁と民間の飛行機製造業者との間にそういうふうな将来の見通しについて、こういう機種が将来要るんだということについての密接な関係の一つの会合といいますかを持たれてやるような機関がないでしようか、それを見通しをつけて行くということでないというと、今これが要ると言つて作つているのが駄目で、こういう機種ということになりますと、なかなかそれは今の法律の一番最初の目的に書いてあります「国民経済の健全な運行に寄与する」ことができなくなる。又これはやり直さなければならん。将来の見通しをつけるということが必要だろうと思います。その見通しをつけるには現在の保安庁とか、或いは通産省が民間と密接な連絡を行なつて、その将来の見通しをつけるということが必要ではないかと思います。その問題に対してはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/24
-
025・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 只今の御質問は航空機工業というような一つのまあ製造業者だけの立場でどうにもならない要素があるわけであります。この大きな購買者でありまする政府が機種を変更するという場合に起りがちな問題でありまして、航空機工業を或る程度長い目で見ました場合に、我々当然に問題にしなければならない事項を御指摘頂いておるわけでございます。これは戦争中は御承知のようにそれが相当大きな資本投下を必要とする事業でもあり、又それの続いております仕事のスケールというものが戦争の成行きによつていつストツプされるかもわからんとか、或いは今お話のような機種の急激な需要者である政府側の必要から変更されるというような問題もからんでおりまするし、企業者としての非常に危険な途を含んでおるわけであります。そういう意味からそういう問題の調節の仕方としまして設備を国が作りまして、それを貸しておくというような方式、これは日本でもやつたのです。そういう問題が航空機工業今後の問題としても実は起らないと保証しがたいのでありまして、私どもそのことを寄り寄り頭の中には考えないわけではないのでありますが、ただ現下の段階におきましては何と申しまするか、今から再出発しようというところの段階で起つた事業の、航空機製造事業というものの持つておりまする一つの一般的な危険な要素といいますか、今御指摘になつた要素、その問題を考えるよりも先ず興らすために、再び再興しますためにどういう政策が最も妥当であるかと、又どれが一番の悩みになつておるかということを先ずほぐさなければならん、その段階でございます。許可制というのは、いわば事業が興る初期に過当競争が起りどの事業も成立たなくなるということにならないようにしてうまく過去の経験技術も生かしながらそれぞれ得意得意のところで育てて行つてもらうと、そういうことが最も必要な段階でもありますのでその問題を、先ずこれを考えておるわけでありまして、このスタートのあとにおきましてお話のような問題もございますので、制度的にも将来問題になろうと思いまするし、又差当り我々としましては航空機工業の機種の将来の技術的な変化の態勢といいますか、というようなことも顧慮しつつ最初の機種の選択というものに相当慎重を期す必要があるのじやないだろうか、その機種の選択につきまして慎重を期しておきますれば或る程度確かに機種そのものは変るにいたしましても投下設備そのものが無駄にならないというような、類似の形態で発達して行くということも考えられるわけでありまして、そういう今の段階は先ず許可制で再スタートをし、ロスを少くし、而うしてその許可制の運用なり、或いは保安庁の装備の内容等におきまして適当な機種の選択に極力気を配つて頂きまして企業者のほうも事業的な混乱損失というものを極力少なめに持つて行くということがこの際として大事なことじやなかろうかと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/25
-
026・小林英三
○小林英三君 じやもう一つ、将来例えばそこの中でこういうふうなものを予想して今のうちに研究しておくというような場合におきまして政府はやはり会社の負担においてそれをさせる、或いは重要な変化につきましては政府みずから補助金も出してやらすというような場合もありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/26
-
027・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) まだ日本の現在の事態というものは今小林先生おつしやつたほど総合的又理想的な形のものとして進行しつつあるわけじやございませんが、併しながら航空機の試作等につきましてできるだけ政府は援助すべきであろうという感覚といいますか、意味合いにおきまして実は昨年度におきましても国産の航空機エンジンの試作につきまして相当額の奨励金でも出したりして、気持はそういう形でやりたいと、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/27
-
028・白川一雄
○白川一雄君 委員長からコンチネンタルのエンジンのことにつきましてお話がありまして、私直接の関係者でありますので、政府当局が決定したことに対して批判を加える考えもありませんし、又どちらの会社が適当であるかというようなことについての判断もしたくないと思いますが、ただかねてから申上げておりますように、航空機工業というのはなまやさしい考えではできない問題で、当局の強い指導によつて初めて生れるものだということを申上げてありますことと関連しまして、あのコンチネンタルのエンジンがこのエンジンを積むところの機体を作つておるところのメーカーに何らの相談なく、又通産省に相談することなく、保安庁に相談することなくこつそりと既成事実を作つて日本に持つて帰つて、それをいろいろな方法においていわばまあ押しまくつてものを運ぶというような行き方は、これをそのままにしておきますれば将来悪い例をたくさん残すのじやないか。現に聞くところによりますと、GEのジエツト・エンジンの問題につきましても、大体似たり寄つたりのケースが起りつつあるというように聞くのでありまして、そういうようにまあ途中において我々非常に不可解な点であつたのでございますが、指導する通産省の何らの了解もなく指導もなく、勝手に商社と一緒になつて既成事実を作つて来て日本でそれを押しまくるというような事柄が是認されるようでは、なかなか航空機の指導育成ということは私は困難ではないかというように、これは私直接関係者でありますためにその事柄に捉われずに申上げてありますので、今後行かれる方針といたしましては特にこの点御注意なさつておらないと大変な混乱の因を作るのじやないか。又不愉快なる事柄をたくさん起すのじやないかというように考えておるのでございます。それにつきましては最近商社が資本力もあります関係上、非常に航空機トレイダーとしてでなく、航空機のメーカーの範囲にもかなり入りつつあるように見受けられるのでございますが、当局はつまり商社とこのインダストリーとしての限界点をどの辺にお考えになつておられるのか、商社もどんどんこの資本力によつてインダストリーの中に入つて来るということも是認されるお考えであるのか、その辺を一つ承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/28
-
029・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 今白川先生の御指摘の点は、私どもも日本の航空機工業の再建のために最も我々は注意しなければならないと考えておるわけであります。実は率直に申上げまして、この法律を御提案申上げまする趣旨も今のような何もない立場といいますか、我々航空機工業を扱つてはおりまするが、業界にいろいろなものを申上げるにしても一つのまあ批判とか批評とかいうだけにとどまる形というものが、結局業界の混乱を招くだけでありまして、日本全体の大きなまあ損害になるというようなことも考えまして実はこういう案を御提案申上げたわけです。今までの起りましたような混乱が、私はかような法案によりまする責任をはつきり持たされる形によりまして相当大部分というものが予防できるのではないかということをまあ実は考えておるわけでございます。今御指摘にありましたようなこのジエツト・エンジンの修理の問題につきましては差迫つた問題でございます。これはお説にありましたような事態が生じました場合に、我々としても相当重大な立場に立たされるとまあ考えておるわけであります。その際のこの法律によりまする責任というものがやはり大きな責任であり同時に又力ともなりまして、米国側にも考え直してもらう一つの有力な背景になるものということも実は期待いたしておるわけでございます。又商社が生産方面に出ますということにつきましても、これ多少の動きがないことはないと承知いたしておりますけれども、併し生産全体の主体のところで問題になるようなところまでは格別のものはないというふうに承知いたしておるわけでございますが、仮にありましたといたしましても、それはおのずから法の限界内におきまして処理されるということに相成るかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/29
-
030・武藤常介
○武藤常介君 只今小林君から大分御質問がありましたが、それに関連して考えられる一、二の問題を伺いたいと思うのでありますが、今度許可制になるということになりますると、メーカーのほうは一種の権利を得たというような形に見られがちでありまして、従つて発注するほうも又種々なる部品の納入の方面も、いずれも相当の信用を以てこれに当るわけになるのでありましようが、又一面余り一定の限度において許可するということは、この方面の技術の進歩を却つて阻害するようなことにもなりはせんか、即ち新たに有力な企業者がここに現われるというようなことの場合に許可の問題から躊躇するというようなことがありはせんか、こういうことを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/30
-
031・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お話の許可制にいたしまする結果といたしまして、或る程度有力な事業者が出て来るのの邪魔になる、或いは技術の進歩の邪魔になるというような御懸念、これは或る程度考えられることだと思います。ただ私どもさようなことにならないような意味の多少の配慮はしたつもりでありますが、と申しまするのは、この中におきまして試作は一応自由の建前をとつておりまするし、それから運用におきましても固定した事業と申しまするか、事業以外のものにつきましては多少緩かな気持でいいのではないか、例えば輸出関係とかというようなもの等につきましては、というような気持は持つておるわけであります。併し同時にお考え頂きたいのは、今御懸念のようなことの絶無ではないかと思うわけでありますけれども、併し現実問題といたしまして、この新規の事業者が優れた技術と豊富な資金というものを以て、航空工業に出ることが今の戦後の現実の状況にそう大きく考え得るか否かということにつきましては、私どもはむしろ大きな疑問を持つておるわけでありまして、むしろ技術経験は或る程度あるが、その資本につきましては相当部分を国がお世話しなければ事業が成立たないというのが今の段階であり、而してそのすべてにつきましても、すべての人が御満足行くほどの需要といいますか、いわゆる需要の大宗を占める防衛庁関係の需要というものがむしろない段階、それのほうが目先の大きな現実でございまして、その中ではむしろ事業者の重複ということを極力少な目にするということのほうがそれぞれの事業者が経営的な基礎が却つて安定するゆえんでもあり、それによつて初めて事業として成立ち得るということになるので、そこの配慮をいたしませんと、どの事業も皆潰れる、又どの事業も国家資金を借出しても皆ロスになる、或いはそうでなければ国の調弁価格が非常に高くなつたり、或いは米軍側の下請発注を期待してもコスト高になつてできなくなるという懸念が起きる。今の現実は私どもはさような現実の段階でないだろうかということを考えまして、この途のほうが今の段階に相応いたしまして、遥かに大事なことではないかということで許可制を御提案申上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/31
-
032・武藤常介
○武藤常介君 只今のようなことも想像されますが、今御当局のほうで想像されておりますことは、現在の業者の中から大部分許可されるというようなお見込なんですか、どういうふうに大体想像されておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/32
-
033・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 率直に申上げまして、現在こういう事業者、或いは戦争中からの経験のあります事業者、その中で必ずしも全部が戦後再び航空機製造業事に関係したいというふうにも考えていらつしやらないので、時世も変つているし、需要もどうせ大きなものがないのだからやめて、諦めておられるかたもあるわけであります。むしろ私どもの懸念しておる現実は、そういうおのずからの篩にかけられて残つておられまする事業者にも、それぞれの相応するだけの仕事量が与えられないくらいのところが現実ではなかろうかということを考えておるわけでありまして、ましてその間に重複による混乱、ロスということが少しでもないようにお世話申上げるということのほうがより適切な、必要なことではなかろうかと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/33
-
034・武藤常介
○武藤常介君 大体その点わかりましたが、将来これが許可になりましても、発注者はいわゆる保安隊のほうの軍事に関係した方面であろうと思うのでありますが、丁度昭和二十一年に戦争中の九カ年の特別会計の私、決算に当つたことがあるのでございまするが、その決算に現われました状態は、軍の発注とメーカーとの間にどういう問題が起つたか、これを大体調べて見まするというと、実に数が多い。何でもはつきり記憶いたしませんが、五、六百と想像いたされましたが、例えば一工場に対して自動車の発注をして、そうして数百万の前渡金を渡し、そしてまだ一台の自動車もできないうちに又重ねて数百万の前渡金を渡しておる。最後に自動車ができないような会社が非常にたくさんあつたのでありまするが、飛行機と自動車はおのずから違うのでもありましようが、やや似寄つたような経過に又出くわせるのではないか、こういうふうな心配もあるのですが、飛行機は何にいたせ非常な資金を要する工業でありますが、この前渡金その他に対しましてはどういうようなことによつて処理されて参りますか、その点保安庁のかたがおいでになりましたら伺いたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/34
-
035・久保亀夫
○政府委員(久保亀夫君) お答えいたします。航空機につきましては仰せのように非常に資金を要する仕事でありますので、差当り特に現在の段階では完成機、若しくは部分品の輸入が非常に多いのでありますから、輸入品につきましては輸入高に対して七割までの前渡金が出せるようにしております。それから国産部分につきましてはちよつと今率を正確に覚えておりませんが、たしか三割ということで大蔵大臣との協議に基いて出せることに現在いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/35
-
036・武藤常介
○武藤常介君 只今伺いましたが、この三判乃至七割の、外国から輸入するものは別でありましようが、国内のメーカーに発注する場合に、三割なら三割の前渡金を渡すことにつきまして何らの保証の規定か何かないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/36
-
037・久保亀夫
○政府委員(久保亀夫君) 御質問の意味がちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/37
-
038・武藤常介
○武藤常介君 建設業などのようなものでありまするというと、大体前渡金を三割渡す場合にはそれを保証会社というものがありまして、それによつて保証されて前渡金を渡すことにいたしておるのです。そういう何はないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/38
-
039・久保亀夫
○政府委員(久保亀夫君) 勿論会社から銀行保証等その他適当な保証をとる建前になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/39
-
040・武藤常介
○武藤常介君 なおちよつと伺いたいのですが、現在日本の国内生産というものと外国品では勿論日本の飛行機が劣つておることは遺憾ながら想像されるのでありますが、戦闘その他は申すに及ばずでありましようが、仮に輸送或いは乗用の場合に殆んど使用に堪えない状態ですか、どんなものでございますか、国内製品……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/40
-
041・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 現在の状況では、前にも申上げましたけれども、航空機生産事業は今から始まろうとしておるわけでありまして、今まででは純国産品と申しますか、これはヘリコプターに、それから連絡機が少々とありますだけでありまして、今のお尋ねのポイントでございますけれども、すでにできましたものはいわゆる技術的な水準から申しますと、そう高度なものではないわけでありますので、今できておりますものはその目的に照応しては結構十分目的を達するだけのものはできておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/41
-
042・武藤常介
○武藤常介君 只今の御答弁でありますが、今問題になつておりますことは、近く吉田首相が外遊する、その外遊は国産機によらずして外国機によらなければならん、すでに申込もしてあるということで大分新聞等がやかましく報道され、その結果航空界の前途も誠にさびしい感じを与えるようなことになつておりますが、何とかその国内機に、内地生産の飛行機によりまして渡航するようなことまで進めるだけの自信はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/42
-
043・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 御承知かと思いますが、今日航等のいわゆる航空を営業といたしております会社の持つております飛行機はすべて輸入機でございまして、又その運行そのものも外国人の技術者によつてなされておるというのが現状でございます。既往におきましては国内の生産体制そのものがまだ全然なかつた関係もございますが、将来通産省といたしましては国内の営業用の航空機につきましても国産化されるごとく希望は持つておるわけであります。何様今から生産しようというのが現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/43
-
044・武藤常介
○武藤常介君 遺憾ながら止むを得ないと思いますが、私只今質問いたしましたことはいろいろ混りましたが、特に注意して頂きたいと思いますことは、この会社の経理状態に対して今後保安庁から発注されるでありましようが、これが過去の太平洋戦争当時のようなあの醜態を演じないように十分監督してそうして発注され、又十分監督をされるように特に私は御注意を申上げまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/44
-
045・海野三朗
○海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、この航空機製造法の一部を改正する法律案というのは保安庁の指示と申しますか、保安庁のために作つた法案ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/45
-
046・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) これは提案理由の際にも申上げてございますですが、さような関係は全然ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/46
-
047・海野三朗
○海野三朗君 そんならばこの法文の中に常に保安庁云々のことが載つておるのはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/47
-
048・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お尋ねの点は第二条の五の第二項の意味だと思うわけでございますが、これは保安庁の俗に専用機と申しますか、保安庁だけが需要者であるというような航空機につきましては生産の事業を許可するというようなことをいたします場合には、それが保安庁の採用にならないようなものを許可してもつまらないことになりますし、又御注文の数量と反して過大な、或いは過小な設備を作つても間違いを起すことになりますし、その間の間違いを起さないように緊密に連絡をとつてやらなければならないわけでございますが、この政府部内相互間の手違いの起らないように連絡を密にするという意味だけの規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/48
-
049・海野三朗
○海野三朗君 そんならば何もここに保安庁云々をこの法案に盛る必要はないと思うのであります。需要者側の迷惑をお考えになるならば何も保安庁だけを取上げられないでも、民間の若し注文するところがありとすればそれをもこの法文の中に盛らなければいけないことになるのじやないか。そこで私は若し保安庁のほうで使うものあるとしても、何もここに法文の中に保安庁云々を盛る必要はないと思うのでありますが、わざわざここに載せるということは、つまり通産省ではこの航空機製造については保安庁の指示に従つて、お先棒をかついでいる法案としか思われないのです。この点どういうふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/49
-
050・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) この条文の意味はこれはほかの法律にもいろいろ出て参ろうかと思いますけれども、政府部内相互間の関係を仮に条文に謳わなくても別途に覚書とか、そういう形で連絡を密にし、手違いを起さないようにすることは政府相互間のいわば責任と申しますか当然あるべき姿だと思うわけでございますが、明文によりまして、さような場合には本筋を法文で現わすという慣わしでございまして、さよう意味から政府機関相互間のまあ俗に言えば仁義と申しますか、そういう意味での条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/50
-
051・海野三朗
○海野三朗君 大分苦しい御答弁のように思うんですが、私はこの航空機製造法というのは、若しお出しになるならばそういうことを盛るべきものではない。通産省としては、それで保安庁では買う、買わないも勝手でありますから、お客様ですから、若し悪いときは保安庁で買わないのである。それを保安庁と連絡をとらなければいけないとか、何とかいうことをこの法文の中に盛ること自体が私は間違つているのじやないかと、そうように思うんですが、これは間違つていないとお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/51
-
052・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 先ほどもお答えしましたが、この条文はなければ絶対に困るというほどの意味合いではないかと思いますけれども、併し政府機関相互間の一つのあつたほうがよりベターであるということから来ます慣例、慣わしと申しますか、そういう意味合いの条文でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/52
-
053・海野三朗
○海野三朗君 これはそういうふうなよりベターであるということによつて通産省として出すこの法案の一つ権威にもかかる問題じやないかと私は思うんです。保安庁のために通産省がいろいろなこれを作つて、そうして保安庁の指示に暗に従つている法令としか思われないので、こういうふうな法令は法令としてのあり方自体が私は間違いがある。ここに保安庁云々ということは入れるべきものでないと私は思うのでありますが、今局長は入れたほうがよりベターであるという御答弁であるといたしますれば、先ずそれは局長に追究してもしようがないのでありますから、私は次に質問を持つて行きますが、初めに目的といたしまして、第一条に「生産技術の向上を図ることを目的とする。」、こうありますが、航空機及び航空機用機器の製造及び修理の方法を規律したつて生産技術が決して向上するものではないのです。生産技術の向上というのは、その根本は何かと申しますと、先ず材質及び材料の研究、素材の研究が根本である。つまり科学技術の研究が根本をなすのである。ただその生産技術、技術といつても製造の方法の規律を定めたからといつてできるものではないのであります。あたかもこの法案を通覧いたしますと、昔話の泥船を造るという……、その船の材質そのものを研究することに主力を注がなければならないんじやないか、私はこういうように考えておりますが、この根本からして生産技術の向上を上げるということが、これだけでは生産技術の向上にはならないんです。品質が悪かつたり、材料が悪かつたりしたら日本の航空機は何年たつてもアメリカのものに及ぶことができない。私は根本はこの航空機の材料、材質の研究、素材の研究というこの科学的基礎に主眼を置かなければならないんじやないか、こういうふうに考えるのでありますが、この法案に対しましては私は甚だまずい現わし方であると思うんです。この点については局長は如何にお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/53
-
054・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 御尤もでございまして、こういう高度の総合工業におきましては、材料の元から優れたものができなければならないという点は私ども格別の異議を持つわけではございません。ただ第一条の定義の仕方につきましては御覧願いたいのでございますが、これは二つの目的といいますか、というものがそれを現わしているわけでございまして、前段におきまして製造、修理の事業活動を調整することによつて国民経済の健全な運営に寄与すると共に、この法案の中身をなしております、殊に今回の改正の要点と相成つております許可制を布くことによつて、国民経済の健全な運用に寄与する、さような意味を前段に謳つているわけでございます。それから後段に謳つております、今御指摘の生産技術の向上を図ることという意味は、この後段を御覧願いますと航空機及び航空機用機器の製造及び修理の方法を規律することによつて、と書いているわけであります。これは現行法の内容、それが修正の一部にも触れておりますが、御承知のごとく、航空機を製造する場合には、設備につきましては、一定の生産技術上の要件にかなつているかどうかを見ますよということが規定してございまするし、又一々製造工程の段階ごとに所要の材料のものを使つたか、或いは所要の加工方法によつて加工工作をしたか、或いは所要の段階ごとに検査機械によつて性能をチエツクして見たかというようなことを規律するように相成つているわけであります。かようなことが即ちできます航空機の生産技術の向上に役立つている。そうして間違いのない飛行機のできるゆえんになつているということは確かかと思うわけであります。材料に対する技術研究、或いはその他のものが生産技術の向上に重要なポイントであることも確かだと思いますが、同時にこの法案の内容に規定しておりますことが同時に航空機の生産技術の向上を図る目的に該当しているということも十分言い得るのじやないかと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/54
-
055・海野三朗
○海野三朗君 ないよりはあつたほうがいいでありましようけれども、同じ船を造るにいたしましても、規則通りに造つて行くというときになりますと、根本が材料なんです。この材料に対して国費を以て研究を進めて行くというのであるならば、これはわかつた話でありますが、この法案を通覧いたしますというと、保安庁のお先棒をかついでいるのだということも、それから政府がつまり許可をするということは甚だここに面白くないところの結果を包蔵するところの法案としか考えられない。例えば順を追つてこれから伺いますが、この第二条の二のところに、最後に「通商産業大臣の許可を受けなければならない。」こういうふうにしてありますが、この前も申しましたように、通商産業大臣は航空機の専門家ではないんだよ。何で、こういう許可ということを誰が与えますかということになつて来るのでありますが、こういう点についてはこの航空機のほうの偉い人が、通商産業大臣の秘書官にでもなつておつてやるのでありますか、どういうような……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/55
-
056・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 通産省の職員が実際の事業に関係していらつしやいまする事業家と、航空機の生産につきましては、仮に腕を競いましても、それはてんで喧嘩にならないということは御指摘の通りかと思うのであります。ここの許可制にいたしまするゆえんのものは、ただうまく飛行機が作れるという意味ではございませんので、それぞれの事業者、事業者がお互いに同じものを対象にして、無駄な設備を作つて、それぞれの事業が経営的にも成立たないような混乱を起さないように、それぞれの需要と見合いながら種類と量を調整してもらう、或いは設備の投下をほどほどにしてもらうという、いわば事業者の交通整理と申しますか、さような意味の許可制でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/56
-
057・海野三朗
○海野三朗君 この五頁の第二条の五でありますが、「当該事業の用に供する特定設備が通商産業省令で定める生産技術士の基準に適合すること。」こうありますが、これより省令で定めるところよりも、実際がもつと生産技術が向上しておつた場合にはどういうふうになりますか。生産技術の基準に適合するその基準が古かつたりすれば、今日は日進月歩の時代でございまして、航空機は日にちを争い、次々に進歩しているのでありますが、そういう場合は、これは古いものを作るということになりはいたしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/57
-
058・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お話のごとく生産技術はいわゆる日進月歩の要因を持つておるわけであります。このきめまするものは、従いましてそれに即応して、技術の進歩に即応し、内容の変化もなさなければならないということから、実はこれは手取早く、時代の進歩に適応し得るようにということで、実は省令にいたしておるわけであります。或る段階で作りましたものが、変化が起りました場合にはその基準というものも又変えられるということに相成つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/58
-
059・海野三朗
○海野三朗君 そういたしますと、個々の生産技術上の基準に適合するという条文もこれは或る修正を加えなければならないことになりはいたしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/59
-
060・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 法律的にはさようなことにならないと思うのですが、と申しまするのは、或る一定の時期におきまして基準に適合するといいますか、それ以上のものというような要件の規定の仕方になつているわけでありまして、それより優れた設備というものが普遍化しました場合には、その後におきまして最低の基準が少し引上げられるということに相成るだけでございまして、法律の規定の仕方といたしましてはこれで十分かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/60
-
061・海野三朗
○海野三朗君 それではここにはやはり最高の基準とかいうことを入れなければいけないのじやないか。最高の基準……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/61
-
062・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 最高の基準という意味ではございませんので、目的のものを作るに最小限必要な基準といいますか、そういうものが法律上の要件に相成るわけでありまして、例えば或る機械の精度が千分の三ミリなら千分の三ミリというようなことになつておりますると、それがその後の進歩等によりまして千分の二ミリというようなことになるかとも思いますが、千分の三ミリで十分目的に達し得ることができるとしますればそれでよろしいかと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/62
-
063・海野三朗
○海野三朗君 そこで私はその千分の三ミリとしますと、千分の三ミリ以上のようなことにしなければいけないのじやないかというのです。私はここに非常な穴があるように思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/63
-
064・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 具体的な内容は省令によりましておおむね御指摘のごとく、或る基準以上というような省令によつては具体的に規定されて行くということになると思います。法律ではそれを抽象的に規定いたしまして、省令で定める、生産技術上の基準に合うようにということだけが考えられると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/64
-
065・海野三朗
○海野三朗君 六頁に行きましてね。ここで「防衛庁長官の意見を聞かなければならない。」と、こういうことが出ているので、私が先ほども申しましたように、意見を聞いても聞かないでおつても悪ければ買わないのだから何もここにこれを入れる必要はないんじやないかというんです。どうなんですか、その点については……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/65
-
066・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 先ほどもお答えしましたように、できました飛行機は悪ければ保安庁はお買いにならないことは事実でございます。この法律できめようとしておりますことはそういうことではございませんので、事業者が或る機種を製造しようという場合に、それが普通の民間機ではなしに、保安庁だけがお使いになるような基準のものの製造の許可を申請いたしました場合に、通産省といたしましては保安庁に対して、通産省に目下某々業者からこういう申請が出ておりますが、この機種は保安庁でお使いになるんですか、或いはその業者の申請によれば能力は月産幾台ということで考えておりますが、保安庁の御注文の予想はどういうことになるでしようか、これだけの設備で多過ぎますか、少な過ぎますかというようなことを聞きまして、事業者のやりまする選択します機種なり、或いは設備の能力なりがずつとほぼ均衡を得たようなことになるようにしたいという目的の規定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/66
-
067・海野三朗
○海野三朗君 そういたしますと、この通産省で許可をした以上は不合格などがあつた場合に通産省で責任を負うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/67
-
068・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) ここは許可の際の全体の能力とか、作るものの基準の内容とかを言うわけでありまして、具体的に作りました飛行機につきましてはほかの条文によりまして、よくできているか、よくできていないかということはそれぞれの生産の工程ごとに確認というこの法律の今回の改正では触れられてはおりませんけれども、現行法の中に出ているわけでございますが、ここは一定の基準に合うごとく作られております、或いはここは不合格の程度しかできておりませんというようなことを検査いたしましてはつきりするようにいたしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/68
-
069・海野三朗
○海野三朗君 それでは私はこの「防衛庁長官の意見を聞かなければならない。」というようなことは、こういうことは要らない条文であると私は考えておりますが、まあこれ以上は、これは後に廻します。それから次に参りまして、「前項の規定により許可事業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を通商産業大臣に届け出なければならない。「こういうことは、どういう必要があつてこの条文をここにお入れになつたのでありますか。つまり或る特定の権利を認めておられるわけですか、こういう条文をお入れになるのは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/69
-
070・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 前段の第一項のほうを御覧頂きたいのでありますが「相続又は合併があつたときは、相続人又は合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人は、許可事業者の地位を承継する。」ということでございまして、部分品のような場合に、個人企業者、こういう場合に、父が亡くなり相続人にその事業を引継ぎましたという場合には、やはりその事業体に与えた許可でございますので、それは相続によつても許可を与えたものとみなす、或いは会社がほかの会社に合併されたという場合には、この合併後できました法人が、合併前の元の子のほうのほうが許可されてないわけでございますが、合併されたあとの大きいほうが当然に許可を受けたものとみなすという意味でございます。その事実を明らかにならしめる書面というものを二項におきまして間違いの起らないようにいたしたいという意味の規定でごいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/70
-
071・海野三朗
○海野三朗君 その次、第二条の九の2です。「通商産業大臣は、当該事業の用に供する特定設備が第二条の五第一項第一号の生産技術上の基準に適合していないと認めるときは、」この生産技術上の基準、こう申しますと、これはもうすべての方面に対してのことになるでありましようから、これも先ほどと重複いたしますが、生産技術上の基準というものは、通商産業省でおきめになつたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/71
-
072・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 第二条の五の一項一号によりますと、省令で定めることに相成つておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/72
-
073・海野三朗
○海野三朗君 生産技術上の基準というのは、私はもう一度繰返して申しますが歳々進歩しているものである。この飛行機ほど日進月歩の技術の向上はないのです。その際に生産技術の基準に適合していないというふうに、通産大臣がこういうことをおきめになることは、或る意味において進歩を阻害するという虞れが多分にあるので、進んで来たものを頭打ちをやるという虞れが、懸念があるのですが、その点に対して、もつと納得の行くはつきりした御説明を願つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/73
-
074・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) お尋ねの御趣旨は、飛行機そのものの性能を通産大臣が省令できめようとしているというふうにお読み頂いているのじやないかと思いますが、条文を御覧頂きますと、航空機を作ります械機の性能といますか、それについての基準でございます。先ほど言いましたように、或る工作機械なら工作機械の精度が千分の三ミリなら千分の三ミリ出るような工作機械を、どの工作機械もそういうものにしておかないといけませんよという意味でございまして、飛行機そのものの性能、日進月歩しております飛行機そのものの性能を直接規定しているというものではございません。飛行機を作ります機械につきまして航空機というのが高度の技術を要しまするものでございますので、それを作ります機械そのものの最低要件をきめておかないといいものができ上りませんので、さような意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/74
-
075・海野三朗
○海野三朗君 只今の御説明では、生産技術上の基準という意味でそれに私は申したのでありますが、例えば千分の三ミリなら千分の三ミリ、それ以上できないのだというふうに考えているのに、もうすでに千分の一ミリまで行つたということがあり得るのです、次々と……。それでありますから、従つて微細なるところの研究が日に日に進んでいるので、それでありますから、生産技術上の基準というものは簡単にきめられない。それを通産大臣が基準をきめて、それに合わさせようとすることは、もつとそれよりも進歩しているものが次々に出て来ているのであるから、それをとらなければならないのじやないかと私が申すのです。その基準というのは常に進歩して行つているものであるから、そうでないと古いやつも基準がこうだつたからと言つてやつておられたのでは、この航空機の製造というものが遅れる、それを私は心配する。その点を私はお尋ね申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/75
-
076・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 先ほど来の例で申上げますと、私の説明不十分でおわかりにくかつたと思いますが、例えば精度千分の三ミリというふうに、或る工作機械をお備え下さいということを法律上の要件としてきめるといたしまして、その後の技術の進歩によりまして、それよりも進んだ工作機械をお付けになつた結果、その進んだものをお付けになれば、千分の二ミリまで精度の出るものというものをお付けになることは自由でございます。それは誤差千分の三ミリ以上の性能のものを備えておつて下さいということを法律が規定しているわけでございます。千分の二ミリなり、或いは千分の一ミリの精度の出るものをお付け頂くことは何ら支障はないわけでございます。ただこれを作ります際には、勿論私ども民間の専門の技術屋さんのお智慧もよく拝借いたしまして規定いたしまするが、差当りの技術のレベルの段階から行けば、こういうものを作るためにはこの程度のものくらいは規定しておかなければ、この程度の性能のいいものができ上らないというその最小必要限度の精度といいますか、というものだけ法律で規定したということでございます。併し技術が進歩しまして、もつと優れた性能を出すために、又従つて工作機械の優れたものを使わなければならないということになつて、業者がそれより優れた工作機械をお付けになることは自由であり、併しそれが普遍化いたしました場合に、規定のほうが少し古過ぎるということになれば、これは省令でございますので、又最小必要限度の要件も、又水準も上げて行くというふうに変えて行くということもできるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/76
-
077・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは暫時休憩いたします。
午後零時二十分休憩
—————・—————
午後二時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/77
-
078・中川以良
○委員長(中川以良君) 休憩前に引続き再開をいたします。
海野君の午前中の質疑の御継続をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/78
-
079・海野三朗
○海野三朗君 二条の十三ですが、「一年以内にその事業を開始せず」云々とありますが、その狙いはどういうところにあるのでございましようか。ここに期限を附したわけは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/79
-
080・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) これは事業をやろうということで許可を与えたわけです。それが相当長期に亙りまして事業が行われないということは、役所のほうの最初の認定の際にはできると思つて、又業者もやるつもりで申請をし、できると思つてやつたのでありましようが、その後の故障においてできなかつたことをまあ何といいますか、事実上証明したというようなふうに認定すべきなんでありまして、殊に機種については、その企業をやることを最初に考えております際に、その機種に対する需要は依然としてあるにかかわらず、許可したものが動かないで、従つてそれと競争的な事情にありまして事業をやりたいという人が、それが阻まれるということになつても全体の精神から困るわけで、当然に正当の理由なしに事業の開始ができない事情が或る期間続きました場合に、これを取消すという意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/80
-
081・海野三朗
○海野三朗君 この正当な理由、これはつまり金がなかつたとか、或いはそういうときの準備ができなかつたというようなことでありましたら、正当な事由と言い得るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/81
-
082・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 今お挙げのような事由は正当な事由に該当しないと思います。例えば正当な事由と考えられますのは、一般事業ではなしに、例えば保安庁なら保安庁の注文を予定してというような場合に、本人の責めというより、むしろ保安庁の注文のほうが予算の事情の変化とかというようなことからなされ、予定で考えておつたものができなくなつたというふうな場合のほうが例として挙げれば適当な例かと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/82
-
083・海野三朗
○海野三朗君 次に第六条の「通商産業大臣の認可を受けた製造の方法によるのでなければ、航空機の製造をしてはならない。但し、試験的に製造をする場合その他通商産業省令で定める場合は、この限りでない。」こういう限定をなさる根本はどういうところにありますか。疎漏なものを作るのを防ぐという御意思ですか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/83
-
084・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) これは先ほどの午前中に御質問ございました法律の体系の全体の問題になるわけでありますが、この体系の全般は、一つは許可制を布きまして濫立、過当投資にならないようにという狙いであります。
それから第二の項目は、生産そのものが確実に技術的な基礎に基いて行われるようにということでございまして、設備の検査をし、又生産工程ごとの検査をして、飛行機を生産してもらうというその後段の一番要になるものになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/84
-
085・海野三朗
○海野三朗君 こういうこと自体が私は甚だおかしいと思うのです。航空機の製造をしてはならない、売れないような悪い品物なら黙つてても作らないのである。ここにこういう制限を置くことは進歩を阻害する虞れが多分にあると思うのですが、当局はどういうふうにお考えになつていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/85
-
086・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 航空機は御案内のように非常に高度の技術の品物でございまして、極端に申しまして、例えば設計と言いましても、ただ青写真の図面があるわけでございませんで、どの部分にはどの材料を用いなければならん、どのような加工方法で以て細工しなければならん、そしてどの段階においてはどういう検査をして、或る規格に合致しているかどうかをチエツクしなければならないという工合にして作られるのが航空機のような高級なものの当然の普通のあり方でございます。それからここに掲げておりますのは、航空機というのはそういう性格を持つておりますので、それは航空機が高度の技術、即ち目的自身が人を乗せて高速のスピードで空中を飛び廻るということから来るわけでございます。それを確保するために設計するもの、そうなつているのであります。そういう条件を附けまして、間違いなく作られる、作つちやならんのじやありませんので、作り方、作る手順といいますかを技術的に、確実な方法でやつてもらわなければ困りますよという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/86
-
087・海野三朗
○海野三朗君 どうもこの御説では私に納得が行かないのでありますが、次に移りましよう。
第七条で伺いますが、「通商産業大臣は、航空機の製造に係る許可事業者が前条第一項の認可を受けた方法によらないで航空機の製造をしていると認めるとき」こういうことがありますが、値段が安くて、そうして優れたる方法で以て作る。そういうふうな場合、この方法を許可すること自体が誤りであつて、優れた方法というのは、もう今日一カ月又は二カ月間その優れたる方法を遅らせるという結果を招来する虞れが多分にあると私は思う。これについての御説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/87
-
088・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 法できめますことは、午前中にも申上げましたように、技術上の要請から参ります最低の基準といいますかを規定しておりますわけでございまして、その基準以上優れた方法であれば、当然に基準に合格することに相成るわけでございまして、御懸念のようなことは私らは全然起らないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/88
-
089・海野三朗
○海野三朗君 このことにつきましては、私申上げますが、この前の戦争のときにおきまして、萱場四郎君の発明にかかつた武器です。その武器は規定の方法によつて作つたのでないという理由で、陸軍で採用できない。B二九を切断するところの空中網の発明とか、それを乗せた航空機というようなことで、萱場四郎君が熱心にこれを陸軍省に持つて行きましたが、陸軍省の規格に合わないからという理由で却下されておつたのですが、武器の製造につきましては、私も片棒をかついだ一人でありますからよく存じているのでありますが、こういうふうな制限を附加えなさるということ自体がこの航空機の発達を阻止する法案でしかあり得ないのです。私はそういうことをこの前の戦争のときに十分経験しているものでありますから、これをお伺いするのでありますが、それ以上にいい方法で以て考えて来たという場合が幾らでもこれはあり得るのです。それを阻止することになるのですこの条文というものは。私はそういうふうに考えますが、やはり先ほどの御説明のようにお考えになつているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/89
-
090・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 戦時中の具体的な例を挙げました事情はよく存じないので何ともお答えいたしかねるのでありますが、戦時中これと同様な条文が陸軍省か海軍省かにあつたということも私承知いたしておりませんので、いささか事情が違うのではなかろうかというふうに、想像で申上げて恐縮でございますが、思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/90
-
091・海野三朗
○海野三朗君 この条文ではありませんけれども、規定の方法ですね。大砲なんぞでも、或いは航空機の上から発射する砲弾にいたしましても、つまり陸軍のほうで考えておつた規定の方式によらない突飛なものであると、こう考えてそうして採用にならなかつたのです。そういうことを私は覚えているのでありますが、それでありますから、規定というものは特定の方法というけれども、その方法をやかましく言つういるというと、進歩したものが出て来れないことになるのです。むしろこういうふうな条文をここに入れないほうがいいものであるというふうに私は考えているんです。で、そのことにつきましては、萱場四郎君と共に大分武器のほうについては一生懸命にやつた経験から私は申上げるので、折角のこの法案をお出しになるのであれば、健全なる発達を目途としておやりになるのでなければならない、それにはこの研究を障害するような、それ以上のことを考えて来たものを阻害するような法文は成るべく差控えなすつたほうがよろしいのではないかというように私は思うのです。で、こういう点については、研究とか、進歩、発達ということを障害するという虞れがあるので、そういう点に対してはどういうふうにお考えになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/91
-
092・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) この法案全体を御覧願いますと、研究、試作というのは自由になつておりまして、従いまして若しまあお尋ねの趣旨、私の想像を交えるわけでございますが、非常に航空機の定義に合致し、而も非常に異例のものが試作の結果できたということになりました場合におきましては、この法律がタツチしますところはそれを採用するとかしないとかいう問題じやないのでありまして、これを作る工作方法についての規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/92
-
093・海野三朗
○海野三朗君 私は重ねてもう一度ここのところをはつきり申上げまするが、ここにそういう場合には通商産業大臣の認可を受けた製造方法によるのでなければ航空機の製造をしてはならない、こういう条文が私は間違つておるという、こういうことを入れないほうがいいのであるというふうに考えるのです。何となればそれ以上の方法を考えてそして作るかも知れないのです。それでありますからそこに制限を置かないほうがよろしいのではないか、こういうことを申上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/93
-
094・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 御懸念の意味は優れた性能の航空機が、或いは変つたタイプの航空機ができるということを妨げやしないかということを御懸念なさつておると思うのでありますが、この本法で規定しておりますことは、優れた性能或いは変つたタイプができて、それを採用するかしないかということは別途採用者であります保安庁とか、或いは民間航空会社とか、そういうようなところがきめて参るわけであります。それが用に足り得るということになりました場合に本法が規定しまするものはそれを工作する方法、各生産段階のほうで工作加工の技術的な、どういう機械を用いてどういう削り方をして、そのちよつと御指摘になりました正しく設計されたものがうまくでき上るようにということを規定するのがこの法律であります。この製造の方法と言いますのはそういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/94
-
095・海野三朗
○海野三朗君 通産政務次官にお伺いいたしますが、この許可制を布くということは或る一つのここに無形な権限を与えるということになると思うのです。通産省、つまり政府といたしましてはその許可をした、そしてそれがうまく行かなかつた、或いは赤字になつたというようなときにはどの程度まで責任をおとりになるお考えがあるのか。ただ単にそれだけの権力をそこに行使したというだけであつて、そのことについての責任はどういう点までお持ちになるお考えでございますか。例えばこの前の委員会でございますが、武器製造法案に対して、或いは武器製造法案が通つた、従つて武器製造法に対しましては、民間知らない人たちはこれはもう大丈夫だというふうに下請工場が誰も彼も皆やつて来た、その結果日平産業のような穴が開いた、それを今日政府が知らん顔をしているというのはいけないのじやないかというのが私の持論なんです。この航空機も許可制にした以上その会社に対して或る責任を持つていなければならないのじやないか、その責任のほどを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/95
-
096・古池信三
○政府委員(古池信三君) 政府の許可制度といたしましたゆえんは、只今まで御説明申上げましたように、大局から見まして我が国の航空機工業のあり方としてそこに非常な無駄があつてはいけない、事業の濫立等があつて、これによつて大きな立場から見まして国家的な不経済、例えば二重投資であるとか、過剰設備というようなものがあつてはいけないというので、その間に事業の調整をとろう、これが許可制度を布こうとするゆえんでございます。従つて許可の際にはいろいろとその事業の資格につきまして審査をいたしますが、併しその後に至りましてその事業家が不幸にして成績が挙らなかつたというような場合におきましてはそこまで政府が責任を負うという趣旨ではないのでございます。それまで政府が責任を負うということはこれはこの事業法といたしましてもいささか行過ぎであろうかと思うのでありまして、これはその経営者の飽くまで努力と責任においてやつてもらうというのがこの法律の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/96
-
097・海野三朗
○海野三朗君 政務次官にお尋ねいたしますが、この法案を通覧いたしますると、常にこの保安庁長官どうこうということがこの法に出ているのでありますが、この航空機の法案というものは、つまり保安庁のために指示されて作られたのでありますか、私はそういうことには無関係に、この航空機の製造というものは日本の産業の一つとしてやつて行かなければならないものであると、こう思うのでありますが、ところどころに保安庁云々載つておりますのを見ますと、この法案自体が保安庁のためにこれは通産省でこしらえたような感じを受けるのでありますが、その点は如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/97
-
098・古池信三
○政府委員(古池信三君) この点は只今お話のごとく我が国における今後の航空機製造事業を如何にすれば健全に発展せしめ得るかという見地から立案いたしたのでありまして、たまたま将来の航空機の需要家として保安庁という大きなお得意ができて来るわけでありますから、特に保安庁において他の民間会社等において使用しないような特殊の航空機の製造を要求するような場合に備えて若干の条文を加えてございますけれども、もともと基本的な観念といたしましては、飽くまで我が国の航空機事業の健全な発達を企図しているということはいささかも間違いはない点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/98
-
099・海野三朗
○海野三朗君 この「生産技術の向上を図ることを目的とする。」とありますが、私は率直にもう一遍これははつきり政務次官にお尋ねしたいと思うのでありますが、航空機というものは恰好だけじやいけないので、根本は何かというと、材質、材料、素材が根本をなすものであると思います。アメリカから特許を買つたと言つても、材料はやはりこちらで準備しなければいけないのであつて、航空機のよしあしの元をなすものは、材質とか材料、素材の研究にあるので、その根本から定めてかかるのでなければ、いわゆるこの航空機製造法が通つても砂上の楼閣に終る感がすると思うのであります。で、政府はむしろこの法案よりもこの航空機の材料の研究とか、そういう方面に国費を投じてやつて行かなければならないのではないかというふうに私は思います。まるで砂上に楼閣を建てている、今泥棒を捕えて縄ないを一生懸命やつている、そういうような感じをいたすのでありますが、この点についてのはつきりした御所見もお伺いいたしたいことが一つと。
それからこれをずつと細部読んで見ましたところが、ここにこういうことが載つているのであります。この武器の製造ということもこれに載つている、で、これは甚だまずいことをここに載せているじやないかと私は考えたのですが、その点についてはどういうふうにお考えになつているのでありますか、この丁度五頁のところに「通商産業大臣は、武器を装備し、又はとう載する構造を有する航空機の製造又は修理の事業について第二条の二の許可をするときは、あらかじめ、防衛庁長官の意見をきかなければならない。」というふうにこの明文に出してあるのでありますが、甚だ穏当でないように思うのですが、どういうふうにお考えになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/99
-
100・古池信三
○政府委員(古池信三君) お答え申上げます。先ず第一のお尋ねの航空機の製造については、その材料である素材、材質というものが非常に大事ではないかという御意見は全く私もさように存じます。航空機のごとき極めて精密なる
〔委員長退席、理事加藤正人君着席〕
機械工業におきましては、その元である素材を吟味いたしまして、優秀なる素材を使うということは確かに最も肝要なことの一つであろうと存ずるのであります。従いまして行政方針といたしまして、素材の研究等につきましても今後とも十分奨励的な措置を講じて参りたいと考えております。第二のお尋ねでございますが、武器等を搭載する航空機の製造について防衛庁長官と協議するということでございますが、これはさような武器等を搭載しない一般の航空機ならば問題はないと思いますけれども、特殊な、特に防衛庁の専門的に需要しようといたしまする航空機についてはその需要先にある国家の機関たる防衛庁の意見を十分聞くということは、円満なる航空機製造行政の上におきまして必要なことであろうと、かように私どもは考えてこういう条文を加えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/100
-
101・海野三朗
○海野三朗君 ここにこの「武器を装備し」というようなこと、これはつまり防衛のための武器でございましよう。これは工業のための武器でありますか。むしろ私は防衛の意味であろうと考える。そうしましたならばもう少し文章は改められるのがなだらかじやないかと、こう思うのですが、次官は如何にお考えになつておりますか。この五頁の第二条の五になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/101
-
102・古池信三
○政府委員(古池信三君) お説のごとくこの武器というのは防衛上必要なる武器という意味と了解いたしますけれども、ここには法律の規定でございまして、客観的にいやしくも武器を装備し、或いはこれを搭載する構造を有する航空機については防衛庁長官の意見を聞くというふうに書いたのでありまして、その点まで通産省といたしまして立入つてこの法律に記載する必要はなかろうとかように存じておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/102
-
103・三輪貞治
○三輪貞治君 この第二項による武器を装備し、又は搭載する構造を有する航空機の製造又は修理の事業というのは憲法第九条の戦力保持禁止の条項に抵触しませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/103
-
104・古池信三
○政府委員(古池信三君) この点は私どもといたしましては憲法には決して牴触していないと、かように考えております。憲法上における第九条の戦力についての論議はすでに国会におきましても、他の各種の委員会等において論議をされたところでございますから、私から詳しくここに蛇足を加える必要はないかと考えますが、現在政府のとつておりまする解釈といたしましては、この憲法第九条におきまする戦力、戦力と申しますのはいわゆる近代戦争を遂行するに役立つ程度の装備編成を整え、人的又は物的に組織化された総合的な力を戦力と解釈しておる次第であります。従つて武器そのものは憲法のいわゆる戦力そのものではない。かように考えておりまするが故に、本法におきまするこの条文も決して憲法に違反しておるものではない、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/104
-
105・三輪貞治
○三輪貞治君 そもそも憲法ができるときですね、当時のGHQから示された一つの案、この原文によるとたしかその戦力というものはポテンシヤル・パワーという言葉を使つてあつて、潜在的な武器も武力も持つておらない、こういうふうになつておると思う。これは武器を搭載した航空機というのは潜在的などころではない、顕在的な武力であつて、明らかに第九条の戦力保持禁止の条項に牴触するように思うのですが、これは如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/105
-
106・古池信三
○政府委員(古池信三君) これは只今申上げましたように予算委員会その他において論議されたところでございますが、政府といたしましては、武器の製造は決して憲法の条項に違反するものではない、かように確信いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/106
-
107・海野三朗
○海野三朗君 そこで私はね、「武器を装備」としないで「防衛のための装備又は修理の事業」こういうふうに条文をお直しになつたほうがいいのだとそういうふうに考えたのです、防衛のための装備。それからもう一つ私はお伺いして見たいと思いますことは、この材料の研究にですね、この素材の研究につきましては、通産当局としてはどれほど力をお入れになるお考えか、私はこれこそ目下の急務であると思うのです。例えば自動車にいたしましても国産品の自動車は遥かに劣る、なぜ劣るか、一つの自動車にいたしましても、特殊金属が何百種用いられております、その部分々々の材質が皆違うからまずいのであるので、その根本は材質の研究、それに主眼を注がなければいけない。私はこれこそ目下の急務と思うのでありますが、通産当局としてはこれにどれくらい力をお入れになるお考えであるか、又現在お入れになつておる程度を私はお伺いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/107
-
108・古池信三
○政府委員(古池信三君) 只今の御意見は誠に御尤もに存ずるのでありまして、国といたしましてかような素材の研究、或いは素材の向上ということにつきましては予算の許しまする限り、できるだけの助成金、その他の方法によつてこれを奨励して参りたい、かように考えておるのであります。現在然らば素材の研究のためにどれだけの助成金を出しておるかということにつきましては、ちよつと手許にその資料を持合せておりませんので、追つて調査の上のお答えをいたしたいと思います。
〔理事加藤正人君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/108
-
109・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 試験研究等の、或いは工業化の補助金といたしまして、明細はございませんが、前年度におきまして航空機関係と見られますものに一億三千万円ほど出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/109
-
110・海野三朗
○海野三朗君 今年度はどれほどあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/110
-
111・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) この費目は通産省の予算におきまして御承知の通り航空機と限定して取られておるわけでございませんので、工業化奨励金が前年度も四億円、本年度も四億円、それから試験研究の補助金が二億円ございます。その二項目につきまして、その中の昨年における実績ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/111
-
112・海野三朗
○海野三朗君 そこに人件費はどれほど入つているのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/112
-
113・徳永久次
○政府委員(徳永久次君) 只今申上げました四億円及び二億円には、人件費は全然含んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/113
-
114・中川以良
○委員長(中川以良君) よろしうございますか。ほかに御質疑ございませんか。……
それではちよつと速記をとめて下さい。
午後三時十一分速記中止
—————・—————
午後三時三十二分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/114
-
115・中川以良
○委員長(中川以良君) 速記を始めて下さい。
それでは他に御発言もないようでございますので、質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/115
-
116・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないものと認めます。
それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
なお附帯決議案のございまするかたは討論中に御提出を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/116
-
117・豊田雅孝
○豊田雅孝君 私は附帯決議を附けまして本案に賛成いたしたいと存じます。その附帯決議は「航空機製造事業につき許可制を採用したる以上、指導監督に万全の措置を講じ、航空機製造事業の健全なる発展を期することは勿論、下請及び関連産業たる中小企業に支払遅延、手形不渡等の不祥事を惹起するようなことなきよう、行政上特に細心の留意を払うこと」というのでありまして、これは武器等の製造事業法が先般制定せられたのでありますが、その後における実情を見ますと、日平産業のあの甚だしい不渡手形の事件に関連いたしまして幾多の中小企業が今死活の線上をさまよい、中にはすでに倒産続々としておるというような状態であるのでありまして、今回の航空機製造事業法の制定、殊に許可制が布かれましたるこの際におきまして、この附帯決議を附け、これを厳に励行して参るということでなければ、前途誠に航空機製造事業も勿論でありますが、これの下請なり関連産業として不安に堪えないというふうに考えられまするので、只今申述べましたような附帯決議を附けまして本案に賛成いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/117
-
118・海野三朗
○海野三朗君 私は社会党第四控室を代表いたしましてこの法案に対しては反対の意思を表明いたします。その理由といたしましては、もとよりこの航空機事業の発達のために法案を出されるのでありますれば我々は満腔の賛意を表するものでありまするけれども、この法案を逐条拝読いたしますると、これは保安庁が今航空機が必要だからというので、そのお先棒をかついだところの法案以外の何ものでもないのであります。至る所にこの保安庁のことがこの法文に出されておるのであります。これは例えて申しますならば、今船が必要であるからと言つて泥船を作るに等しいものである。この航空機事業は非常なる高度の技術、高度の材料を要するものでありますのに、この材料のほうを恬と考えずして、ただ単に航空機を作るというだけのこの法案でありますし、又全く保安庁のお先棒をかついでおる法案としか考えられません。そうしてなお且つこれを逐条拝読いたしますると穴だらけの法案であります。殊にこの許可制を布くに当りましては、ここに政治的な力が働かざるを得ないのであつて、今日本の現状といたしましてはこの法案を出すには時期尚早であると私は思うのであります。これを出すにはまだ時期が早過ぎる、そこまで行つていないのである、こういうふうに私は考えられるのであつて、この航空機工業を盛んにしなければならないということに対しては私はさらさら異存がございません。この材料からして研究をし、これに国家の力を注いで、そうしてこの材料からして研究をしてかかつて行かなければならない。それが逆なんです。今泥棒が入つて来るから急いで縄をなわなければならんという法案であり、而もその縄たる保安庁のお先棒をかついでおる法案である、而もこれが通産省から出そうというようなことでは、これは通産省の権威にかけてもこういうような片棒をかついだという法案には賛成できないのであります。この法案に対しましては時期が尚早であるということと、保安庁の片棒をかついでおるということと、この法案の至る所穴だらけのものであるというところの理由からして、私ども第四控室といたしましては時期尚早であります。そうしてなお且つこの法案自体が穴だらけの法案でありますから、もつと完全なる法案が出て来ることを期待いたしまして、私どもはこの法案に反対の意思を表明するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/118
-
119・小林英三
○小林英三君 私は自由党を代表いたしまして賛成をいたします。本案はその目的にありますように、航空機及び航空機用機器の製造及び修理の事業の事業活動を調整することによりまして、国民経済の健全な運行に寄与すると同時に、航空機及び航空機用機器の製造及び修理の方法を規律するのでありまして、私は本案の通過によりまして終戦後数年間空白状態になつておりました我が国の航空機製造事業に規制或いは許可することによりまして、航空機製造の制度の上に或いは製造能率の上において国利民生に寄与することであろうことを期待いたしまして賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/119
-
120・武藤常介
○武藤常介君 私は改進党を代表いたしまして本案に賛成いたす次第であります。航空機の製造は現段階におきまして将来を考えるときに、この許可制というものが果してよいかどうかということは相当考えなければならんのであります。即ち或いは技術の向上を促進するとか、或いは企業者の企業意欲を或いは阻止するのではないかというような点から相当考えさせられるのでありますが、併しながら現経済界の情勢、我が国の現状から見て、この航空機の製造が莫大なるところの経費を要する関係上、これを又許可なくして放漫に放置するというようなことがありますならば、又相当の犠牲者が続出するだろうということなどを考えるときに、総合的にやはりこれは許可制にすべきものである、こういう見地から私は本案に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/120
-
121・小松正雄
○小松正雄君 私は社会党第二控室を代表いたしまして本法案に要望を附して賛成いたしたいと思います。
航空機工業が特殊工業として再軍備を前提とするもののように考えるところもあつたのでありまするが、私の種々質問いたしましたその中に、単に保安庁のみの発注だけでなく、民間の発注に応じても差支えないということの御答弁に対しまして私は諒とするものであります。なお我が国に国産航空機の製作ができるということは、取りも直さず我が国の産業のために必要であるということを思いますと共に、なお航空機工業の健全な発達のために政府は航空機工業に対し特に意を用いられまして、国産の航空機が諸外国の航空機に劣らないようにあらゆる角度から援助又は技術の指導をなされ、万全を期し、なお万遺憾のないように専念されまして、特段の心がまえをして頂くことを要望いたしまして本案に賛成するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/121
-
122・白川一雄
○白川一雄君 純無所属クラブを代表して希望と期待をして本案に賛成するものでございます。航空機工業は高度の精密工業でございまして、これは分に応じた産業として計画されるならば、一般関連産業の技術の程度を高める原動力にもなるという意味におきまして、航空機工業の必要を感じますと共に、政府当局も御答弁の中にあつたように揺籃時代であるというのでありますれば、右顧左眄されることなく、的確なる計画の下に強力なる御指導をなさることを特に希望を申上げると共に、各派の代表の御意見を承わりましても判断ができますように、航空機工業の性格というものから考え、外国の事例等から考え、又日本の経済の実情から考えましても、早晩当局は公的性格を持つ航空機工業というものを考えない限りにおきましては、なかなか日本の航空機は思うように進歩するものでないというそういう現実の面が必ず間近かに起つて来ると思いますので、当局はきるだけ早くそういう良識に立つて、間違いない、又無駄のない、身のほどを知つた航空機工業の計画というものを期待いたしまして本案に賛成する次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/122
-
123・加藤正人
○加藤正人君 私も希望を附しつつ本案に賛成することにいたします。提案理由にもあります通り一部改正する本法律案は企業の濫立を防いで過剰投資の弊に陥らないように国民経済の健全な運行をなす見地の下に立案されるものでありまして、従来の法律が技術立法であつたのを事業法に改めるというのであつて、その意味におきましては消極的な立法精神であります。この意味におきます限りには、この改正法律案でほぼ目的を達し得ると思うのでありますが、今諸君の申されるように、航空機工業の発達の必要性、今後通商、国防その他においてますます世界的に発達して行かなければならんこの事業といたしましては、更に大きな世界的な視野に立つた製造の法律が必要でなかろうかと思うのであります。私は過日も申した通りいわゆる航空機を作るに、それは形だけであつてはならない。先ほど来も海野委員が繰返されました通り、これは使う上からの制度とか特殊性というものが大きな関連のある工業でありまして、これは単に高級航空機ばかりでなく日本の工業がこういう方面に総合的な研究をこれからうんと打ちこんで行かなかつたならば、日本の機械製造業界の進歩発展というものは到底国際競争に伍して行けないと私は思う。特に航空機の場合にはその要請が最も甚だしいと思う。こういう意味において私はこの消極的な目的を達する意味においてこの一部を改正する法律案について賛成をいたすのでありますが、更に将来こういう意味においてもつと完全な積極的な航空機製造法というものまで成長せられることを希望しつつ取りあえず本法律案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/123
-
124・中川以良
○委員長(中川以良君) ほかに御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/124
-
125・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決をいたします。
航空機製造法の一部を改正する法律案について採決をいたします。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/125
-
126・中川以良
○委員長(中川以良君) 多数であります。よつて本案は多数を以て原案通り可決することに決定いたしました。
次に討論中に提出されました豊田君より提出の附帯決議に賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/126
-
127・中川以良
○委員長(中川以良君) 多数であります。よつて豊田君提出の附帯決議を附することに決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告の内容その他事後の措置につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/127
-
128・中川以良
○委員長(中川以良君) 御異議ないと認めます。
それから報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。
多数意見者署名
高橋 衛 酒井 利雄
大谷 贇雄 小林 英三
黒川 武雄 加藤 正人
岸 良一 豊田 雅孝
小松 正雄 天田 勝正
白川 一雄発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/128
-
129・古池信三
○政府委員(古池信三君) 先ほど来各党各派を代表されまして委員各位から極めて御熱心に披瀝せられました御要望並びに御意見につきましては私ども心してとくと拝承いたした次第でございます。
更に只今委員会として御決定になりましたこの附帯決議の御趣旨は全く航空機製造事業並びにこれに関連する事業の堅実なる発展を期待されました深甚なる御配慮によるものと考えます。私どもといたしましては十分御趣旨を尊重いたしまして、必要に応じまして政府部内の他の機関とも十分に協力を密にいたしまして御趣旨に副うように今後運用上万遺憾なきを期して参りたいと考えております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/129
-
130・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは砂利採取法案を議題といたします。
前回に引続き御質疑をお願いいたします。
本案は衆議院の委員会は上りまして、その際に修正をされておりますので、その修正個所につきまして提案者より御説明を承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/130
-
131・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今委員長が申されましたように砂利採取法案につきましては昨日衆議院の通産委員会におきまして修正を以ちまして全員一致で可決に相成りました次第でございます。
修正になりました点でございますが、お手許に御配付申上げておりますが、第一点は第四条の届出規定の但書のところでございまして、原案では省令で定める規模以下の砂利採取業者につきましては、この第四条で規定いたしております届出の義務を免除するということにいたしておるのでございますが、これは前回の当委員会におきまして酒井委員からも御意見がございましたように、例えば建設業者が或る期間臨時的に砂利の採取をするというような場合につきましてもそのように扱う必要があると思うのでございまして、そのためには「規模以下」という表現では不適当でございまするので、これを「業態」ということに改めました次第でございます。
それからその次に大きい点は、第四章の土地使用第十三条の規定を削除いたしました次第でございます。この点につきましては、これは改進党のほうからこの削除の提案がございまして、当委員会でも問題になりましたように、土地の使用の問題はいろいろと論議の分れるところでございまして、なお土地の使用を認めるといたしましても、ここに定めましたような結局土地收用法の規定を採用する方法で参るのと、それから森林法にございまするような、これは林道を設置するために一種の土地使用が認められておるのでありますが、当事者間で先ず協議をさせ、それで協議が整わない場合は府県知事が裁決する、それからそれに対して不服のあります者は主務大臣に訴願ができる、こういう簡単な規定があるわけでございまして、この土地使用を認めるといたしましてもその方法等につきましてはまだいろいろ検討の余地があろうというようなことで一応この点が削除になつた次第でございます。この規定が、問題の多い第十三条が削除になりました代りと申しますとなんでございますが、先ほど申しましたように全会一致で衆議院のほうは通過いたしました次第でございます。
修正個所のその他の点でございますが、これは第十三条を削除いたしましたに伴いましての法律技術的な意味の修正でございますので説明を省略させて頂きます。
それから手数料の項でございますが、今度の修正で第十五条になりましたのでありますが、この手数料のほうは原案には手数料を納付すべき場合が二つございますので、この表の形で出ておりますのでありますが、只今申しましたように、第十三条の規定が削除になりましたので、それらを除きますと書き流した形で法案の整理ができますのでそのようにいたした次第でございます。要するに全般を通じましてこれは技術的な修正というふうにお考えを頂きまして結構かと存ずるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/131
-
132・中川以良
○委員長(中川以良君) 先般の酒井委員の質問に対する答弁をされるそうでありますからどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/132
-
133・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 先般酒井委員から御意見がございまして、土建業者からの陳情をもう一遍よく見てそれに対する意見を述べろということでございましたのでありますが、土建業者の意見は大体三点ございまして、第一点は只今申上げましたように、臨時的な採取につきましてこの第四条に規定いたしまする届出をせんでもよろしいということにしてもらいたいということでございまして、これは先ほど申上げました但書を改めることによりまして土建業者の希望が達成されるようなふうに改正をいたした、修正いたした次第でございます。
それから土建業者の希望の第二点は、砂利の採取管理者の問題につきましても同様な届出がございますが、これも砂利採取業者と土建業者が短期間に砂利を採取する場合にはそこまでやる必要がないのではないかという御意見でございまして、この点も御尤もでございますので、これは第八条の三項で第四条但書の規定が準用されておりますが、準用されておりまする第四条の但書が先ほど申しましたように変更になりましたので、こちらのほうにも当然土建業者の希望が容れられるというふうな関係になるわけでございます。
それからもう一つの御意見は、河川法などの規定に基きまして砂利採取の許可をいたしまする府県知事などは、「砂利採取業者が砂利採取業の合理的な経営を維持できるように考慮して許可するものとする。」という規定になつているが、公益事業工事遂行に支障があると思われるような場合については公益事業の用に供する砂利に関してはその所要数量の充足と価格の安定を図るために、必要に応じて当該企業者又は建設業者に対して特別の許可をなし得る規定を挿入しろと、こういう御意見でございますが、これはダムなどの工事をいたします場合に、一般の砂利採取業者がその近所の砂利採取区域をあらかじめ独占するというような弊害に対して善処しろと、こういう御趣旨のようでございまして、この点につきましては、これは第十一条の運用の問題といたしまして、特にこれは衆議院の通産委員会におきましても、そういう点の考慮からいたしまして、附帯決議を附しまして、建設業者の臨時的採取というものにつきましても支障がないように十分考慮を払えというような附帯決議ができておるような事態もあるのでございまして、この点は特に辺鄙な土地等におけるダムの建設というような場合につきましても、土建業者、建設業者の意向を十分尊重いたしまして、そしてこの建設工事が円滑に参りまするように、本法の運用上十分な注意をいたして参りたい、かように考える次第でございまして、前回の酒井委員の御質問に対しまして改めてお答えを申上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/133
-
134・中川以良
○委員長(中川以良君) それから附帯決議案についての御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/134
-
135・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 衆議院の通産委員会におきまして附帯決議が附けられました。この附帯決議はこれも改進党から提案されたのでございますが、法案のほうは全員一致でございましたが、この附帯決議のほうは両派社会党は賛成いたしませんで、多数で賛成可決された次第でございます。三つございますが、第一は、この十一条の運用、つまり合理的な経営ができるように考えて砂利採取業を許可しろという条項でございますが、その運用につきまして、例えば建設業者の臨時的な採取でありまするとか、一般の自家用需要者の小量採取でありまするとか、或いは新規業者の採取に支障を来たすのではないかという疑義がございまするので、それはそういう趣旨ではない、あの規定は大業者は大業者なり、又中小業者は中小業者なりに、成るべく河川の事情が許す限り採取の面積なり、或いは許可の期限なりにつきまして、砂利採取業という立場を考慮してやつてもらいたいということでございまして、臨時的にやるのはそれで結構でございましようし、又非常に小さいものが小さいものとしてやつて参るのもそれを必ずしも排除するという趣旨ではないのでございまして、これらの点は本法の運用上十分注意をいたすべきでございますが、なお附帯決議として衆議院のほうではそういうような点まで取上げられた次第だと存じます。
それから第二の点でございますが、この法案の実施に当りまして大業者偏重になるという虞れはないかという点も衆議院のほうでもいろいろ検討せられたのでございまして、本法の趣旨はそういう趣旨ではないという説明をいたしたのでございますが、なお更に一歩を進めまして、中小企業者の既存の営業権益を成るべく尊重するという方針の下に合理化を促進しなければならない。それには協同組合化の方向が必要であつて、これに沿うて政府は指導育成せよ、只今中小企業庁の協同組合に対する設備助成金がございまして、その一部がいわゆる中小砂利業者の協同組合に対して交付せられておるのでございますが、そういつたような点も含めまして、組合化の方向を通じても中小砂利業者の健全な育成を図りたい、このような趣旨の附帯決議があつたのでございます。以上の二点は、実は各派とも全部共通に賛成せられた点でございますが、第三の点が両派社会党が賛成いたしませんので、結局附帯決議全体といたしましては、両派社会党を除いたその他のものの多数で可決したということになるのでございます。
第三の点は、只今申上げましたように、土地使用に関する規定を削除いたしたのでございますが、これはその趣旨を全面的に否定したというのでもないのであつて、土地使用の方法その他につきまして今後の研究に待つ点もあると思うので、これはそういう点の研究を待つて改めて考慮したほうがよかろうというような趣旨でございました。これが附帯決議案の内容でございまして、一応御説明を申上げました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/135
-
136・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/136
-
137・海野三朗
○海野三朗君 この附帯決議案の第三ですね。私らのほうの郷里で砂利をどんどん置かれて田圃が埋まつてしまつて非常に農民が泣いておる。そういう現実を私は見ておるのです。僅かだけ置くつもりでありましたけれども、それが土地がずつと高いのですよ、そこへどんどん置くものですから田圃がだんだん埋まつて来ましてね。何としてもしようがない。そこの農民から私は泣きつかれているんですが、どうも土建業者といいますか、誰がそれを置いたか、その道路を今こうやつておるんですよ。その砂利を置くのに百姓の土地に勝手に置いているという事実があるので、この第三の附帯決議案のところでこれは「これを任用することができるようにする必要があると認めるが、この使用方法については更に検討の上」と、こうしてありますが、そういう事実があるんですが、そういうのは一体どういうふうに持つて行けばいいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/137
-
138・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 砂利の採取に伴いまして、只今お話のように廃土と申しますか、そういうものが堆積をいたしまして、それが道路なり或いは農地、要するに砂利採取場の周囲にある土地にいろいろ悪い影響を及ぼすという点がしばしばございますので、そういう点につきましては府県の監督だけでは不十分でございますので、これについては砂利採取管理者というものを置きまして、それが現場の虞任を持つというような規定を特に今回この法案でいろいろ設けておる次第でございます。これが一般的な御説明でございますが、只今のお話のように特定の他人の土地に故意に砂利を置いたというような、或いは廃土を置いたというような具体的な事例でございますが、この点はこの法律の直接関係するところではございませんで、恐らくは民法の一般の規定に基きまして損害賠償なり、或いはその撤去を求めるというような民事上の問題になるだろうというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/138
-
139・海野三朗
○海野三朗君 私はときどき砂利を買うんですが、日雇人夫です、これは。それが叺に積んで荷車を引いて運んで来るわけですが、そういうふうな、つまり日雇労働者、たくさんな砂利ではないのですけれども、そういう人間の、つまり砂利採取を縛るようなことがありませんか、この法案で。つまり年中砂利を商売している人間ではないのです。砂利を何俵持つて来いと言えばこれは河原に行つて砂を分けて、そうして叺に入れて一俵に幾らとして持つて来るんですが、そういうふうな業者を縛ることがありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/139
-
140・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今お話の点は平素砂利採取を業としておらないか、又業としておりましてもときどき砂利を採取するといつたようないわゆる小業者でございますが、そういつたようなものをこの法律が縛るかどうかというお話でございますが、この点につきましては、これは従来の慣例なり或いは一種の慣例上の権利もあるようでございますが、或いははつきりした現地の許可なり何かを得てやつておると思うのでございまして、それらの点につきましては、要するに現状を変更する趣旨は今回の法律案によつて全然ございませんし、又そういう小業者を縛ると申しますか、圧迫するような結果にならないように十分に注意をいたしたいと思います。先ほど申上げました衆議院のほうでの附帯決議の第一項にもその趣旨が出ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/140
-
141・海野三朗
○海野三朗君 この法案の主たる狙いは極く簡単におつしやるとどういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/141
-
142・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 主たる狙いを簡単に申しますと、二点になるわけでございまして、一点はまあ砂利の採取は御承知の通り七、八割が河川でございますが、河川の管理という点に専ら頭が置かれまして、砂利採取を一つの事業として見てみた意味での配慮というものは従来極めて不十分でございましたので、今度は河川の管理上支障のない限りにおいては成るべく砂利採取というものを一つの事業として成立つように考慮してもらいたいというような点や、それから河川以外の他人の私有地につきまして砂利を採取いたします場合には、土地所有者との契約だけでやつて参つたのでございますが、従いまして若しその土地が第三者に転売されるというような場合にはそこに非常な紛争を来たしましたり、砂利採取業者としてはその第三者に対抗できる権利がなかつたのでございますが、これは御承知の採石法の規定に倣いましてそういう場合に、その土地を買受けた第三者にも対抗できるような物権的な権利を持たす、要するにこういう点を明らかにいたしまして、一方において砂利採取業者を保護することによりまして合理的な経営ができる、なおコストなども安くなるようにしたいというのが狙いの第一点でございます。
それから第二点といたしましては砂利の採取は土地を掘りますので直接間接道路のような公共施設その他農地或いは工場といろいろな方面にまあ被害を及ぼす、危害を及ぼす虞れがございます。そういう実例もございますので、それに対しましてそれぞれ責任を明らかにいたしましてそういうことがないように十分な注意をする。こういう監督取締と保護のほうと、この二つの目的があるというふうに御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/142
-
143・海野三朗
○海野三朗君 只今河川で私の県の馬見ヶ崎川なんという川の状態はふだん水がなくて、そうして川底が非常に高くなつておる、そういうような所は砂利をうんと取つてしまつたほうがいい所がかなりあるのです。むしろ川が、川底が高くなつていますからもう堤防も危ぶないというような所もありますし、又堤防がなくて、そうして自然の土砂で以て堤防をなしておるというような所もあります。そういうふうな所を砂を採られるというと非常に危険なんでありますが、そういうふうなのは何か河川のほう及び農地のほうの関係との関連がどういうふうになつておりましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/143
-
144・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今のお話の点の中でそこから砂利を採取いたしますと保全上危ぶないと、又農地にも悪影響を及ぼすというような場合にどうするのかというお話でございますが、これは砂利の採取の許可の場合にいろいろ条件がございまして、建設省なり或いはその系統下にある府県のほうがそういつたような点に十分の注意をいたしまして、条件を附けて砂利の採取の許可をするというのが実情でございまして、なおそれに応じまして今度は砂利採取業者の中でも現場の責任者を設けましてそこに附けられた条件に違反しないように十分に注意してやつて参るというように今度の法案ではやつて参つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/144
-
145・海野三朗
○海野三朗君 そうしますと、或る届けを出して許可を得るにいたしましても、随分広汎なる範囲に亙ることができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/145
-
146・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 一般的に申しまして従前の許可の範囲と、それから採取許可の期間はむしろ狭過ぎる、或いは短か過ぎるという場合が多いというように考えるのでございまして、非常に広範囲にということではございませんが、従来の実情よりも河川管理上支障がないという場合におきましては、成るべく拡げましてやつてもらうようにしたいというのがこの法案の趣旨でございます。併しそうかと申しまして、余りに一つの地域で独占的になるというふうなところまでやる趣旨ではございませんので、これはその業者の持つておりまする設備、能力或いは雇用人員そういういろいろな点を考慮にいたしてきめるわけでございまして、砂利採取権を持つておりましてもそうまあ広範囲と申しましてもまあどの程度かという問題もございますが、べらぼうに広範囲の土地を採取できるわけでもございませんので、それらの点は、許可の実際の運用上適当に運用されて参るものと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/146
-
147・海野三朗
○海野三朗君 そうすると或る許可を得たと、ここから約一千メーターくらいの或る範囲の砂利を取るということの許可を得たとすれば、その間において今まで昔からまあつまり習慣的にその地方の農民が砂利を取りに行つておつた。そうするとそれが取れないことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/147
-
148・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今御指摘になりました点は、衆議院のほうでもしばしば議論せられましたようでございますが、そういつたような、まあ小業者或いは半商売人の立場を無視してそれを圧迫するということはこの法律の全く考えておらない点でございまして、そういつたような事情がある場合におきましては、そのための地域を残しておくとか、或いは極めて少量のものであれば、採取の区域の中に入りましても、それを取ることを採取業者に認めさせるとか、具体的の場合に即しまして只今お話のような小業者或いは半分くらいの商売人が困らないようにやつて参るということが私どもの考えでございまして、その点はさつき申上げましたように衆議院のほうでの附帯決議の中でもその趣旨が入つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/148
-
149・海野三朗
○海野三朗君 そういたしますと、まあその地方の人間がつまり山に入つて薪を取るというような程度のものであつて、必要に応じてまあときどきその地方から砂を取るという習慣になつていたと、それをまあ許可してもらつて払下げてもらつたんだとすれば、そこに入つて砂を取るということを禁ぜられることになるので、その零細なる人民が困りはいたしませんか、私はその点を心配するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/149
-
150・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) そういう御心配がほうぼうにあつたのでございますが、それは先ほど申上げましたように、そういう業者のための採取の区域を残しておくとか、或いはその他実情に即しましてそれが困まらないように運用して参りたい、又それは十分にできるであろう、こういうふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/150
-
151・海野三朗
○海野三朗君 それがこの附帯決議の中の第一でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/151
-
152・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/152
-
153・三輪貞治
○三輪貞治君 それに関連して……。これは議員提出の法案ですね。ですから附帯決議なんか附けないで第十一条の運用についてそういう虞れがあるから、こういうことをお附けになつたのですから、虞れのないように御修正をされるときに、そこまで御修正になつたらよかつたのじやないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/153
-
154・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) これは要するに第十一条の運用の問題でございまして、又そういう御懸念があることは事実でございますが、この法文の解釈上必然的にその場合そうなるんだという懸念があるわけではございませんので、これはさつきから申上げておりますように、今までの実情が河川管理の立場ばかり重視いたしまして、砂利の経営という面をむしろ無視し過ぎたわけでございまして、そのような点からの規定がこれでありまして、この十一条の運用の問題として今後政府から、建設省、通産省から府県等にもいろいろ通知をいたすような事柄もあると思うのでありまして、そういう趣旨を十分徹底いたしますれば、それで差支えなかろうというふうに考えるのでございまして、なお只今御指摘のような点を法律に現わすことができるかどうか、又現わすことができるのであるかどうかという点は法制局とも検討いたしたのでございますが、法律的な表現としてはこのようなことで、あとは運用の問題になる。かような見地からいたしましてこういうふうに規定が落ちついているのであるというふうにお答え申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/154
-
155・小松正雄
○小松正雄君 只今御答弁を聞いておりますると、土地の使用、これにも関連いたしまして土地主と砂利採取の事業主とが一度砂利を採取する目的を以て契約した。ところが土地主は転売することができる。採取する者はこれを転売されたのでは採取を持続、継続して行くことができない。それに対抗する権利がないから「目的」の第一条としては、砂利採取事業主がそういう土地買取人に対抗し得るようなことになるのだと、こういうことでありましたが、そうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/155
-
156・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 河川から砂利を採取いたします場合にはそのような問題は大体起らないのでございますが、一般の私有地から取ります場合にはその根本でありまする砂利の採取の権利というものが不安定で困りますので、只今お話のございましたように第三者に対抗ができるようにするということがこの法案の一つの大きい狙いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/156
-
157・小松正雄
○小松正雄君 そういたしますと、今度は逆にその土地主と砂利を採取する事業主と契約される当時は、例えばトン当り単価が幾らであつたとか、或いはその山一体がどのくらいであつたということで以て契約をした。併しながらその砂利の採取、或いは砂利の需要が拡大されて、その砂利そのものの販売に対する値段が上つて来た、そういうような場合になつて来ると、今度土地主は何月何日まではこういうふうに二年なら二年は切つて契約するでしよう。ところが三年目からは時の情勢によつて採取に対しては値段を上げてでもこういうふうな多分契約がなされると思いますが、そういうふうなことになつたときに、それはもうどうしても上げることはできない、上げられない、こういうふうに言つてなかなか採取事業主が反対にそれを押切ろうとする場合は、土地主としては泣寝入をしなければならないということになりますが、それらの土地の裏付としては何か法文的に現われておるのか、或いはどういうふうなことをなさるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/157
-
158・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今の御質問でございますが、この法律が引用いたしておりまする、採石法の規定を引用いたしておるのでございまするが、その第七条に規定がございまして、丁度只今御指摘のありましたように採石法でございますから、これは砂利ではなくて岩石でございまするが、「採石料が岩石の価格の変動又は土地に対する租税その他の公課の増減によつて著しく不相当となつたときは、当事者は、将来に向つてその増減を請求することができる。」とございますので、法律的に只今のような合理的な砂利採取料の値上げにつきましては、その裏付があるというようにお答えできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/158
-
159・小松正雄
○小松正雄君 なおこの岩石ということからいたしまして、それらを採取する場合には例えば道路があるのです、県道なら県道に沿うてそういう山があつて、そういう山の中の岩石を砕いて砂利にしておるというところが見受けられますので、この砕石するために発破をかけておる、ダイナマイトをかけておる。そのためにこの附近におる人たちが非常に迷惑をしておる、こういうような実例もあるのでありますが、これに対すな保安法とか、或いは鉱業法に匹敵する採取法ということになりますれば鉱業法に匹敵した届出等がなされて、そうしてそれによつて採取する仕事ということになりますれば、それに対しての保安方法にまでやつて行こうということになつておりますのかどうか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/159
-
160・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今採石法の規定が砂利採取のこの法案のほうに引用されておるということを申上げたのでございまして、只今のお話のございました岩石を砕きまして砂利代用と申しますか、砂利として使うというものはこの法案の直接の対象ではございませんで、ここで砂利と申しますのは、第二条にございますように砂、玉石を含みましたいわゆる砂利でございまして、その点ちよつとお答えを申上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/160
-
161・小松正雄
○小松正雄君 私の今尋ねておりますのは、岩石というものにも砂利として採用するという提案者のお説であつたので、そういうことを尋ねておりまするが、重ねてお尋ねいたしますが、岩石を砕いて砂利にするというようなことに対しては、この法案では何も関係ないということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/161
-
162・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) その点は先ほどお答え申上げた通りでございまして、岩石を砕きまして砂利として使うというものは、この法案には全く関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/162
-
163・小松正雄
○小松正雄君 なお河川から採取いたしまする砂利のことでございますが、只今伺つておりますると、例えば千メーターであろうと、五百メーターであろうと届出をして、そうしてその認可を得て、或いは又緊急を要する鉄道軌道その他道路等に必要な、時に応じては土建業者と申しますか、それらが届出をしないで単に独立にその幅の中から、人が仕事をしておつても緊急を要するという意味において採取ができるというように、この面から見てみますると考えられるような気がいたしますが、そうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/163
-
164・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 土建業者などの届出の義務などを免除いたしましたのは、この法律の規定によりまする届出の義務を或る場合には免除するということでございまして、河川から砂利を採取いたします場合には、河川管理者としての府県の採取の許可がこれは必要なわけでございます。そのようにお答え申しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/164
-
165・小松正雄
○小松正雄君 なお第一点の問題、第二点、主な問題と申されましたのは、河川の中から砂利の採取をするということについて、機械器具、或いは又それに従事している人員等を以て業としてやつている者に対しては、その人たちが例えば幅尺五百メーターというか、千メーターというか……、の届けをして、その間に順次機械化をしてやろうということについて許可された場合には、年限、期限というものがなくて、永遠に独占的にやつてもいいということになる、かように考えますことは、一つの業として行わしめるという目的だと、こう私は聞きましたが、そういうふうに受取りましたが、そう考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/165
-
166・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 経営が成立つようにという意味でございまして、砂利採取業者が一つの採取場だけで永遠にやつて行けるようにという趣旨ではございませんので、例えば機械採取船がございますが、機械船がございますが、これによりますると、年間に一万坪くらいなものが採取できるのだ、そうしてなお耐用命数は五年ぐらいだというような客観的な事情もございますので、一つの場所で永遠にこれを独占させるというふうな趣旨でないのでございまして、この点は先ほどから申上げておりますように、現状が、例えば三月でありますとか、一月でありますとか、むしろ現状のほうが極端に不合理な場合が多いのでございまして、その不合理なものをできるだけ或る程度において改善して参りたいというふうな趣旨でございまして、只今御指摘がございましたように、永久にやる場所を独占させるというようなことは全く考えておらない点でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/166
-
167・小松正雄
○小松正雄君 採石するための機械等を有するというのは、まあ大きな河川には必要性がありましようが、又私たちのところのような、幅僅かに五十メーターか、三十メーターくらいの川が流れておりまして、それには相当な砂利があり、その砂利を農民、或いは中小企業その他の者が、区分的に、例えば五十メートル、百メートルという届出をして、区分的にその間で以て採取して、生活をやつておるというのが通例でありまするが、そういつた採取機械を持つて行つてやるという者に許可された場合には、その人がやつておつてもやれるということに、業を中心にしてやらせようとする法律であるならば、そういうことになると思いますが、そういうことをすることになつたときには、これらの管理者としては、重点的にその採取機械を持つ者に対して許可する、こういうことに相成ると思いますが、そういうことはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/167
-
168・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今お話がございましたように、川の条件等によりまして、むしろ手掘のほうが適当なんだ、そういう区域も相当にあるわけでございまして、この法案の趣旨といたしておりまするところは、機械船を使つておりまする者は、そういう基礎の上にまあ適当な経営ができるように、又手掘業者でございましても、常時雇用いたしておりまする者の、人間の数等を考慮いたしまして、成るべく合理的に経営ができるように、又期間というものを、余り二月も三月もというふうなものでなしに、河川の状況の許す限り、成るべく安定のできるようなやり方で、一つ事業の経営をやらすように、そういう方針によつて運用して参りたい、こういう趣旨でございまして、従いまして機械船を持つている者が優先するのだとか何とかいうような趣旨じやございません。それぞれ適当な規模で経営して行ける、このように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/168
-
169・小松正雄
○小松正雄君 さつきも三輪委員から指摘されましたように、この附帯決議というものについて私どもは特に審査をするために、今そういつたことを御質問申上げたわけでございますが、これはいやしくも議員の提出として立法化されることでありまするならば、この第一、第二、第三、こういつたものを組入れて、法文の中に組入れて、附帯決議でなくて、実際こういうこともし得るというようなことに織り入れるということはできないのかどうか、なぜ織り入れなかつたかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/169
-
170・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) これは法律運用の注意事項と申しますか、運用方針に関する問題でございまして、法律技術的にはちよつとまあ無理なように承知をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/170
-
171・中川以良
○委員長(中川以良君) ちよつと御質疑中でございますが、農林委員長に私は連絡をしようと思いますので、農林委員会の終ります前にお会いしたいと思いまするので、ちよつとお諮りいたします。
先般当委員会の御総意によりまして、臨時硫安需給安定法案に対しまして修正方を農林委員会に申入れておつたのでありまするが、なかなか修正が困難な模様でございます。それで当初私はこの修正をお願い申上げますと共に、若しも修正がどうしてもいたしがたいという場合には、少くとも附帯決議を附けて、いわゆる肥料業者の構成する団体が結成されたときには、これをやはり保管団体としての指定をされるような附帯決議をしてもらう、こういうような意味を当委員会の総意として、更に農林委員長に只今より申入をいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/171
-
172・中川以良
○委員長(中川以良君) それではさよう取計らいます。どうぞ御質疑をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/172
-
173・三輪貞治
○三輪貞治君 我々はその点については態度をまだはつきりしておりませんので、保留しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/173
-
174・中川以良
○委員長(中川以良君) 申入は、先般一応お諮りして申入してあつたわけでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/174
-
175・三輪貞治
○三輪貞治君 まあその後多少の条件の変化の……、条件がありますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/175
-
176・中川以良
○委員長(中川以良君) わかりました。それじや然るべく委員長から口頭で以て農林委員長に申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/176
-
177・天田勝正
○天田勝正君 私は例によつて、他の委員会との関係上余り出席しませんから、前の質疑と重複する点があつたら、委員長から御注意を頂いたり、又答弁者からその旨を申されれば、了承いたします。
そこで第一にお伺いいたしたいのは、この砂利採取法案の提案理由の説明の中にあるわけですが、その一枚目のずつと終りのほうですが、「その適切なる価格を維持するがため、砂利採取業の安定並びに合理化を図ることは」云々、
〔委員長退席、理事海野三朗君着席〕
こうしてあるのですが、どうも私はこの法律を全部通覧を今いたしたわけでありますけれども、適切なる価格の維持をするための措置も別段どこにも講じられておらないし、それからその「砂利採取業の安定並びに合理化を図ることは」としてありましても、別にその採取業の安定合理化を図つたという点は一向に見受られないわけでありますけれども、提案者といたしましては、ここに掲げるこれが一番の大目的だろうと、私は恐らく想像いたすわけですが、この大目的に副つたところの条文はどこにあるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/177
-
178・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 安定、合理化と、それから価格の問題が、これが本法の二大目的でございますが、この砂利採取を認められておりまする場所につきましては、その採取権の面積と、それから期間の安定が先決でございまして、これが砂利採取業の安定という点から申しましても、又合理的な経営によりまして価格を成るべく安くするという点から申しましても、これが先決条件になるわけでございます。それでその規定は河川等から採取するものにつきましては第十一条の規定があるのでございまして、これにつきましては先ほど申上げた通りでございます。
それから一般の私有地につきましては、これは私契約だけでは甚だ不安定でございまするので、それに物権的な効果を持たせまして、安定した基礎の上にいろいろな合理的な経営方針が立つというふうに規定をいたしておるのでございまして、その点は附則によりまして、先ほど申上げましたように、採石法の中の規定を準用いたしておるのでございます。附則の規定が大体それでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/178
-
179・天田勝正
○天田勝正君 元来この法律は、その目的に副うようにいろいろな条文ができるはずでありまして、この説明の今指摘したそれ以前の事柄は、すべてこれは現状における砂利採取の需給状況の説明であつて、今後これこれの必要があるということを説明されてあるのです。だから飽くまで「従つて、」という、この今私が指摘いたしましたここのところが、この法律のすべての根幹にならなければならない。こういうことからすると、まあ御指摘なされました十一条、或いは附則という問題については、こう鬼面人を驚かすような説明をつけなくても、私としてはいいものだ。別に価格の安定というのは、まあこれで規制をして、余り許可をしないようにして、そうしてむしろこの砂利というものを社会に逼迫せしむることによつて価格の維持をするというふうに想像されるわけですが、そういう解釈してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/179
-
180・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今のお話は逆でございまして、合理的な基礎の上に砂利の供給を成るべく多くいたしまして、そうして競争価格によつて価格を引下げて参りたいというのが狙いでございまして、まるで逆の方向をこつちは狙つているのだということを申上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/180
-
181・天田勝正
○天田勝正君 まあそれは見解の相違ですから、その点はそれでやめまして、そこで、この法律の第二条に、「この法律の本則において」云々というので、ここに定義がそれぞれございます。そこで一般にまあこの種の定義をいたしまする場合には、この法律においてはと、こうするわけでありますけれども、この際特に「本則において」と、こう規定したのは、私は恐らく第一章の総則、この則をとつて本則においてというふうに規定なされたのだろうと想像するわけです。そういたしますると、然らばここに規定した定義というものは第二章以下にも出て参るわけでありますけれども、一体この本則というところで、この総則だけにこの定義を限つたのは一体どういう理由でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/181
-
182・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 本則と申しますのは、附則を含まない意味でございまして、附則に対して本則という言葉を使う慣例に相成つておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/182
-
183・天田勝正
○天田勝正君 併し附則を含まなくても、この法律という言葉で現わしても一向差支えないし、又そういう表現の仕方のほうが我々法案審議等に当つての普通の慣例であると私は思うのですが、附則を別にしなければならないという特段の理由がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/183
-
184・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今の御質問なかなか専門的な事柄でございまして、これは要するに法制局の意見によりまして、こういう言葉を使つたようでございまして、なお附則には採石法関係のことだけが出て参つておりますので、この場合には本則と附則とはかなり違うということが言えると思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/184
-
185・天田勝正
○天田勝正君 これも見解の相違になりますけれども、私の私見によりますれば、そういう際は、私もこれを今見ておりまして、附則の場合は確かに本則に掲げられたような文字の定義を必要とするものではございません。でありますから、勿論そうした文字が出て来ないのでありますから、むしろこの法律においてはこうされて一向差支えない、たまたま出て来ないだけなんです。これを立法上どうしても本則と限定しなければならないのか、この点については私どもにはどうも法律の扱い上として了解に苦しむわけでありまして、これは今すぐに答弁を求めましても困難と思いますので、これは御相談の上御答弁を煩わしたいと存じます。
〔理事海野三朗君退席、委員長着席〕
それから次に十三条の所でございますが、これは先ほど来各委員から御質問がございました。そこで私はここで聞きたいのは、これは土地使用権をここへ規定してあるわけでございますけれども、さてその土地使用の場合に、どういう場合に使用するか、こういうことになりますと、そのうちの但書以下「第二号に掲げる目的のため利用する場合においては、」云々、ここで第一号と第二号とぴたりと分けて、第一号の場合は、まあ一般的といつていい土地使用権を認め、第二号においては非常な制限がここに加えられておるわけであります。そういたしますると、ここに加えられた制限が、余り数が余計ありますから読むのはやめますが、とにかくこれこれのもの「でないときに限る。」とこう最後を結んであります。そういたしますと、これらのものでない土地というのは一体どういう土地を指すのでございましようか。私は殆んどこれだけ並べたら、もう世の中にこれ以外の土地はないような気がする、荒蕪地以外はない、こういうふうに思いますが、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/185
-
186・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今のお尋ねに対しまして、どういうわけでこういう案を出したかという点につきましては御説明を申上げてもよろしいのでございますが、冐頭に申上げましたように、実は衆議院の通産委員会のほうではこの第十三条が削除になりましたので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/186
-
187・天田勝正
○天田勝正君 ああ、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/187
-
188・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/188
-
189・天田勝正
○天田勝正君 それなら……。
併しそれは、ちよつとこの際聞いておきたいのですが、原案として一遍これを出されたのですが、これほど掲げて、そうして「でないとき」というふうにそこを切つたのは、どういうものを指すことを目安にされたのでしようか、一番初めは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/189
-
190・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) お尋ねでございますのでお答え申上げますが、ここにございますものは、大体において公共的な要素が主でございますが、然らばどういう土地が残るかと申しますと、荒蕪地とか或いは雑木林といつたようなものが砂利の置場のほうとしては残るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/190
-
191・天田勝正
○天田勝正君 そこでその次にお伺いいたしたいのは、一般に採取業者に使用されておる者、その中で序列をつけてこの法律においては管理者、こういう名称が附されておつて、他の採取業者とは区別される職務がここに現われて来たわけなんですが、ほかの法律の例をとりますというと、例えばガス事業法にいたしましても、ガス主任技術者、こういう何があつた場合には、そこには権利もあれば義務もある、こういうことが普通であつて、それには一定の資格が必要とされる、こういうのがまあ通常であろうと私は思うわけですが、この法律では、採取管理者という者があつて、一つの権限を与えられておりますので、そうしてその資格はということになると、誰でもいいのだというふうに読めるわけでありますけれども、それでよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/191
-
192・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 資格につきましては、実は鉱山の保安責任者、又御指摘のガスの主任技術者ほどやかましい資格は必要ではなかろうかと思いますが、それにいたしましても、砂利の採取なり、或いは河川の事情等につきまして相当な経験知識があることと、それから大勢の人を使いますので、そういうような点についての統率能力のようなものがなければならない。この二点が重要でございまして、ただこれはいわば自明の理とも申すべきことでございますので、これを取扱の内規程度にとどめるか、或いは何らかの形で法文の表てに現わすかという点につきましては、当局のほうで十分検討をいたすようにしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/192
-
193・天田勝正
○天田勝正君 御答弁の中の、一般的に統率する能力があるとかないとかという、この問題につきましては、何らかの事業をしようとする者は五人の長、十人の長、それぞれの長を任命する場合に、統率力のない者を任命したら直ちに自分にそれがはね返つて来るのですから、これはそういう馬鹿なことをする理窟はない。事この法律の精神でありまする公益の保持を如何するか、ここに私は問題がかかつて来ると思うし、又立案者もその意図で管理者というものを制定するようにお考えになつたであろうと、こう想像するわけです。そうすると公益の保持ということになれば、やつぱり若干そこに何らかの資格を附して公益保持が十分できるような御措置を考えるべきだと思うわけでありますけれども、その点については何らの御議論もなかつたかどうか、或いはそれについて政令或いは省令等に委ねる何らかの意図があるでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/193
-
194・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 砂利の採取業者の中にはいろいろ種類がございまして、極めて小規模な手掘り業者等もあるのでございまして、画一的な採取責任者を設けることも如何かと思うのでございまして、これはまあ先ほど申上げましたような、極めて大ざつぱな、常識的な意味での資格があればよろしい、このように考えておるのでございまして、従いましてこの点につきましては、原案の趣旨は、これは法制局や建設省とも相談いたしました結果法律で定める資格要件というほどやかましいものは一応要らなかろうというような考え方をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/194
-
195・天田勝正
○天田勝正君 次に河川法との関係でございますが、まあ御説明にもあります通り、従来都道府県知事が許可を与えている。この許可に対しまして、別にこの法律を通覧いたしましても、制限らしきものはございませんで、ただ許可に当つて合理的な経営が維持できるように考慮しろ、こういう条件を附しただけのようでありますが、従つて許可権は依然として地方の知事にある。こういうふうに私は受取つているわけでございますが、そういたしますと、ただこの監督権といいますか、それが通商産業局長に一部移動した、こういうことになつて来るだろうと思いますけれども、それだけでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/195
-
196・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 河川法等の規定に基きまして、府県知事が持つている権限がこの法律によりまして殖えもいたしませんし、又減りもいたさないのであります。お答え申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/196
-
197・三輪貞治
○三輪貞治君 非常に幼稚な質問かも知れませんが、私知らないので聞くのですが、従来とも砂利の採取の事業というのは、通産省の許可でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/197
-
198・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 例えば川の中にありましても、魚は農林省であるし、川辺の葦はこれは又若し問題が起るとすれば農林省の所管というようなことになると思うのでありまして、生産販売は昔から通産省が関係をいたしているのでありまして、従いまして、先ほどお話のように、若し砂利が非常に不足いたしまして、価格の指示でもするというような必要がございます場合には、これは通産省の問題になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/198
-
199・三輪貞治
○三輪貞治君 これは従来のいきさつを知らないから聞くのですが、これが議員立法として出されたゆえんは、どうも通産省から出すと建設省あたりとの間でなかなかお話合いがつかない、そういうような問題が過去においてあつたのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/199
-
200・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今お話のような点が確かにございました。先般も申上げたのでございますが、採石法ができますとき前後から砂利におきましてもこういつたような監督取締、又保護の法律制定を要求する声がございましたのでありまするが、建設省、或いは農林省というような関係方面との話合いがなかなかつきにくかつたというような事情もこれが遅れて参りました事情の一つでございます。ただ申上げておきますが、今回のこの法案につきましては、完全な意思の疏通ができているのでありまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/200
-
201・天田勝正
○天田勝正君 私はそこで一つの心配がここに生ずるのは、この法律によりますれば、まあ通産局に対しましては、届出制をとる、そうすると地方長官に対しては、依然として許可権限があるのでありますから、その申請を行う。ここに二重に申請をするということになる。そこで監督権が今度通産局に移つた場合に、いろいろ公益が保持されているか否かという基準に従つてこの法律の定むるところによつてこれをやめさせたりいろいろなことがあるようであります。或いは報告の徴収や立入検査をやつたりしてそれを怠つたら今度は罰則もある。こういうわけになつております。ところが河川の、特に河川の場合を私は申上げますが、河川の場合は堤防から何メートルの間というものは作物を作つたりいたしますと、これは一遍洪水の経験を目で見た者だつたら、どんな素人でもわかるくらいはつきりと堤防が決壊する大きな原因を生じて来る。そこでこの採取をどんどんして行つた場合に、一体いつそれを発見できて、いつこれを注意を与えたり、いつこれを許可を取消したり一体するのか。通産局の用務が、こうした河川等に余り関係のない仕事をしておりますために、若しこれを万全を期してその監督を十分にするといたしますると、人間を改めて作らねばならん。場違いの、これが農林省やら建設省ならばもとよりそれをやつた人がおつて、直ちにこの監督に当つても、兼任しても間に合うのでありますけれども、通産局でありますと、急にそういう人は法律だけ押付けられても間に合わない。こういう問題が必ず起きて来るんです。そういたしますと、その人間を一体どこから得てどう配置して、これだけ広い所へ、各地方の通産局へ二人や三人置いて見たところでとてもこれはもう毎日出張しても間に合わないという、私は状態が起きて来やせんかと思いますけれども、それらのことに対する処理はどうされるお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/201
-
202・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 河川のほうの関係でございますが、河川の保全につきましては、これは府県知事の砂利採取の附帯条件としての命令がいろいろついておるのでございまして、従いましてその意味においての監督が、これは従前通り府県知事でございます。ただこの法案によりまして若干附加えられまするところは、今度は河川の現場ごとに採取管理者と現場の責任者がはつきりするという点が違つて参るのでございまして、建設省が監督に参りました場合にたくさん人がおるが、そのうちの誰が責任者であるかわからんといつたような従来の弊は、これによつて除かれるということになつておる点が若干違うだけでございます。河川以外でも、例えば保安林というようなものにつきましても、同じような意味での監督は農林省系統の機関にあるのでございまして、それ以外の私有地を中心にいたしました、全然従来保安的な監督という意味では野放しにされておつた地域でございますが、そういう地域だけが保安監督としては通産局長の権限になるのでございまして、これが第九条の規定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/202
-
203・天田勝正
○天田勝正君 これから質問申上げる点は、別段この法律が単にできたから改めて発生する問題ではないのでございますけれども、やはりこの法律に基いて届出をした場合に、又同じようなそういう問題が起きるということが考え及びます点は、仮に、今盛んにダム等の建設工事等が進捗しつつありますけれども、そういう場合にもう殆んどそのダム建設が予定される、併しこれは公式にまだきまつておらないという段階において、府県知事がダム建設地とおぼしきところへ砂利採集場を許可する、或いは通産省に届出てこれを許可ではないけれどもやはり認める、こういう状態になつた場合に、それに引続いて今後はダムの建設が行われるというようなことになりますと、ここに直ちに又補償問題が発生いたして参りまして、その補償問題が本来のダム建設に非常に悪影響を及ぼしている一つの例は、尾瀬ですが、尾瀬あたりに発生しておつて、一反当りが一番少いところでも十五万円というようなことが言われておることは御案内の通りであります。そういうことがむしろ私は府県知事によつて故意に行われることもなしとはしない、必ずこういうことはあり得るんです。そのリベート等の関係で大きくその補償を取つてやろうということからして、多分ここにはダムが建設されるだろう、その前に許可をしておく、そうするとこれは自分が許可を受けた土地なんであつて、当然将来に亙つての補償を受けなければならないなんというようなことになつて来て、公益に非常な害を及ぼす、こういうことになると思うのです。折角この法律を作られたならばそういうことのなきような一つの規制をなされて初めて私は新らしい議員立法をされた価値があると思うのですけれども、そういう点についての御検討はなさつたんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/203
-
204・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今の誠に適切な御意見に対する完全なお答えにはなりませんが、実は河川の中に御承知の通り私有地が相当にございます。その私有地につきましては、河川法による砂利採取の許可のほかに、土地所有者と協議いたしまして、いわゆる第三者に対抗のできる物権、ここで言う採石権の設定ができるのでございますが、その場合におきましては、第十二条の規定がございますが、砂利採石権の設定区域と存続期間につきましては特に府県知事の承認を受けなきやいかんということにいたしたのでございまして、これは専ら只今お話のような一つの既得権益ができまして、そこに補償の問題が起るというようなことを恐れまして、そのような見地からこの条項が特に加わつたわけでございます。従いまして河川の中の私有地について、この法律によつて只今御指摘のような点についての特別の悪い影響というものを除くための条文はあるのでございまして、それ以外において一般の砂利採取権というものを認めた場合の問題でございますが、この点は実はこれは河川法それ自体の問題でございまして、そこまではこの法律としては立至つておりません。ただ実情を調査いたしますと、大体のところ、従来から許可には条件が附いておるようでございまして、只今御指摘のような場合には許可を取消すと、こういう附帯条件を附けておりまする場合が殆んど大部分であるというように私どもとしては承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/204
-
205・天田勝正
○天田勝正君 それで私有地の場合は、この近くの荒川等にもたくさんあつて、これは洪水敷になつておりまするから着々として国有に移管しつつある、又譲渡すように勧奨もいたしておりますし、漸次そうなつておる。ただ一般的の問題といたしますと、折角私はこういう法律を作つた以上は、河川法の規定にもかかわらずかくかく、こういうような規制をされたら初めて万全が期せられるのではなかろうか。つまり将来の公益増進のためには、それはそうした私益は決して優先しない、公益が優先である、こういうことに僕は法定したほうがむしろよかつたのではないかと、こう存じますけれども、私が今この主張をいたしましても、すでに原案が出たのでございますから、これはどうにもならないでございましようが、併し本院において修正するという場合もあり得るから、お聞きしておくわけです。それでこの点については今までの許可実例からいたしまして決して問題がないという状態でございましようか、念のためにもう一遍聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/205
-
206・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 私もすべての場合を承知いたしておるわけではありませんが、極めて大多数の場合におきましては、先ほど申上げました取消の条件が附いておりまして、問題は仮にございましても、極めて異例であろうというふうに考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/206
-
207・天田勝正
○天田勝正君 最後に一つだけお伺いいたしますが、私はこの砂利採取の問題については非常に不思議な事例が行われておるんだ、こういうふうに実は考える。先ほど海野委員も指摘されましたけれども、私どものように、関東地方のように殆んどまあ下流と言つていい地域に住まつておる者から見ますと、具体的な例で申上げますならば、利根川のいつか大決壊をいたしました栗橋地区などは一年に一尺ずつ河床が上つておる。これはむしろ奨励をいたしましてもその砂利採取を行なつたほうが公益のために非常になる。ところがさて許可を、これは私自身の経験でありますが、許可を受けようといたしますと、とてもこれは許可するものではない。これは関東建設局でございますの、いや県でありますの、いや他県との関係、まあ他県の関係は割合いいのですが、実際は建設局の関係で河川の保全なんということで実際に許可されない。そのためにだんだんと堤防を蒿上げして行かなければならない。あの調子で行くと、しまいには私は赤城山のてつぺんと同じだけに堤防をしなければ追つつかないのではないか(笑声)こういうふうにさえ実際考えるくらいなんですね。実際奨励をしなければならないような地域に許可を申請して届出だけでもいいような地域でも許可という河川法の規定がありまするが故に、どうもその許可はせない。あすこはあれだけ広い所ですからむしろ採取船を持つておる人が二十人、三十人入つたところでとてもあれだけの広い地域を一尺下げるなどということはもう不可能に近いのですね。恐らく今やつていても、何か三分くらいしか下らんという話です。一尺ずつ上つて行くのに、現状のままですと三分しか下つて行かない。こういう状態の所にむしろ積極的に入れるような措置がこの法律では一つもどこにも書いてない。そういうことの御検討はなさつたんでございましようか、なさらなかつたんでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/207
-
208・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今の御指摘の点は大変御尤もと存じます。河川の管理の見地からむしろ砂利を取らしたほうがいいのじやないか、そういう場所がほうぼうに相当あるということは私どもも十分に承知はいたしておるのでございまして、なお通産省が建設省と相談いたしまして、その結果に基きまして砂利の許可の方針というようなものを府県知事に通達をいたしたものがあるのでございますが、その中にも、只今お話のありましたような河川の管理上から砂利の採取をむしろ積極的にやらしたほうがいいという場所のあることをはつきりと認めて、そういう地区については特に善処するようにというような条項もあるのでございまして、この法律によりまして、この砂利採取の方針がいろいろこれは建設省と通産省の相談によりまして地方庁に出されることになると思いますので、御趣旨のような点は十分に一つ徹底するようにいたしたいと、提案者といたしましてさように考えておるのでございまして、なお又こういう問題も検討したことがあるかというお尋ねでございますので申上げておきますが、まあ砂利採取公社というものを作りまして、これで政府が或る程度援助いたしまして、堰堤を上げるよりも、只今お話のありましたように、川底を低くするというようなまあ一つの案がございまして、いろいろ検討いたしたこともあるのでございますが、この案はいろいろな事情でまだ実現いたしておりませんのでありますが、只今別途検討いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/208
-
209・海野三朗
○海野三朗君 この附帯決議案の「小量採取」というこの小量というのはどのくらいの量になりますか、附帯決議のところの「小量採取」は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/209
-
210・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 只今考えておりまするのは大体百トン程度というふうに御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/210
-
211・海野三朗
○海野三朗君 「一般の自家用需要者」としますというと、販売業者はこれに入らないのでございますか。その点につきましては、私は先ほどもちよつと申しましたように、日雇労働者で砂利売りをやつておる者が相当あるのです。そういう者が職を奪われるようなことになりやせんかということを私は非常に懸念するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/211
-
212・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 自家用に限りませんで、営業としてやりまするこういう小業者も全く同様に扱いたいという趣旨でございます。この衆議院のほうの決議案はその点多少不備であつたと考えられるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/212
-
213・海野三朗
○海野三朗君 それから、この砂利の置場でありますが、先に私が申しましたのは道路工事の人たちであります。この道路工事の人たちが或る一カ所に少し置いたんでありまするけれども、御承知のように、砂も、置くと富士山のような恰好になつておるものですからして、とんでもない田圃のほうを皆埋めてしまつておる。ところが、地方民としましては、県のほうの事業であるとか何とかいうので、つまりお役人のほうの仕事であるとかいうのでその百姓が泣寝入りしておるのでありますが、そういうふうなことを将来これはこの砂利の置場の設置に当つては十分善処しておかれないといけないと思いまするが、そういうことに対してのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/213
-
214・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 先ほど申上げましたように、民法によりまする損害賠償、或いは撤去要求ができるのでございますが、この法律といたしましては、そういういわゆる一般の私有地関係につきまして従来全く公法的な見地からの監督がございませんでしたのを第九条の規定を設けまして、只今お話のございましたような点につきましても或る程度監督ができまするようにいたした次第でございまして、十分に注意をいたして本法の運用をして参りたいと存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/214
-
215・海野三朗
○海野三朗君 そこでこの附帯決議案の第一の、「一般の自家用需要者」としますというと、今の商売しておる日雇労働者なんぞのうちで砂利商いしておる者は入らないことになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/215
-
216・始関伊平
○衆議院議員(始関伊平君) 附帯決議そのものの文字解釈からは入らないのでございますが、私どもの考えております法律の運用方針といたしましては全く同様に考えるのでございまして、さつきから申上げておりまするように、この法律の運用につきまして、府県などに通牒でも出すというようなときには、只今御心配の点がはつきりいたしまするようにいたして参るつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/216
-
217・中川以良
○委員長(中川以良君) 他に御質疑はございませんか。……本日はこの程度にいたしたいと存じますが御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/217
-
218・中川以良
○委員長(中川以良君) それでは本日はこれにて散会いたします。
午後五時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914793X04819540527/218
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。