1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十六日(金曜日)
午後三時四十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
竹下 豐次君
委員
白波瀬米吉君
高瀬荘太郎君
矢嶋 三義君
山下 義信君
寺本 広作君
野本 品吉君
国務大臣
加藤鐐五郎君
政府委員
総理府恩給局長 三橋 則雄君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案(衆議院提出)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。
恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続いて質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/1
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002・竹下豐次
○竹下豐次君 大臣にお尋ねいたします。昨日の当委員会におきまして、恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の審議に入つたのでありますが、これは御存じの通り、議員立法で衆議院から廻つて来たものでありますが、この案に対する政府のお考えをまあ聞きたい、こういうわけであります。実はこの前、大臣にこの委員会へおいでを願いましたときに、一応の御意見を承わつたことを記憶しております。そのときの御説明では、我々の希望に副う二とのできないような消極的の御意見でありましたので、これは困つたものだ、この調子で行つたら又来年の三月末になつたら法律の改正案を出したりなんか、又更にしてやらなければならないことになるのかも知れない、困つたものだという感じを私は持つたわけでございます。そういつまでも何遍も何遍も改正案、修正案というのをするのは議会として余り面白いことでもありませんし、止むを得なければそれもやらなければならない、こういうふうに考えておつたのであります。その後議員立法で法律案が衆議院のほうへ出されてこちらに回つて来たのでありますが、承わりますとこれは各党派の共同で提案されたということを仄聞いたしましたので、その中にはもとより自由党もお入りになつておることでありますから、自由党の諸君から自由党を代表しておられる主管大臣のあなたに御相談がありまして、そうして或いは我々の平素希望しておるような線に沿うた、何と申しますか、御意見があなたのほうからも党のほうにもお示しになり提案者にもお示しになつたかも知れない、こういうふうに私たちは想像したわけであります。それで昨日は、今日は都合よくこちらの希望に副うような御説明を承わることができるかも知れないなというような期待を持ちまして私は席に出たわけであります。併し大臣お差支えでありましておいででございませんでした。提案者に伺つたのですが、提案者のほうでま改任のほうにどの程度に御交渉なすつたのか、どの程度に委員会で御質問になつたのかわかりません。結局政府でどういう御答弁があつたということははつきりしたことをおつしやらなかつたわけであります。それで大臣おいででありませんし、三橋局長が見えておりましたからそれじや政府委員の三橋さんに大臣に代つて御説明を願いたいということでお願いしましたところが、政府のほうからまだはつきりした意思を承わつていないから返事ができない、こういうわけでどうすることもできなかつたわけであります。そういうわけで今日又重ねて御出席を要望したような次第でありますが、その後この前御答弁がありましたあとに多少ともお考え直しになつた点がありますでしようか、どうでしようか、その点を先ずお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/2
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003・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 不健康業務に関して加算を認めるかどうかという問題でありまするが、これは私この席で先般申述べましたか或いは衆議院の委員会で申述べましたかはつきり覚えておりませんが、その趣意は従来不健康業務に従事するかたに対してはそれ相当の本俸のほかに手当を給しておりました。ところが今度の給与体系におきましてはそれはやめましていわゆる本俸に手当というものを加えましたものですが故にその体系を維持して行きたい、即ち本俸に手当が加わりましたが故にそれを基礎としたる恩給というものは必然多くなつて行くから加算を更に認める必要はないではなかろうかという考え方と、もう一つ恩給法特例審議会でいわゆる軍人恩給に対しましても、戦地へ行けば或いは一カ月が三カ月に加算せられるというようなこともございましたけれども、それもいわゆる旧軍人恩給においてはその答申に基きましてこれもやめたような次第でございまするが故に、只今のところでは今後更に不健康業務に従事する人に対して特に加算は認めないというようなつもりでおるのでございまして、殊に昨年十一月でありましたか、人事院からの勧告によりましてもそういう加算ということはやつておらないような次第でございまするが故に、政府といたしましては加算ということは認めない方針で、その不健康業務に従事しておる者には先般申しましたごとく手当を本俸に加えて、改めてそれが基礎になるから加える必要はなかろうかと思うのでありまして加えないつもりで参りたい、こう思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/3
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004・竹下豐次
○竹下豐次君 私はこの問題はほかの加算との権衡の問題とかいうようなことを政府のほうで一応お考えになるということもあるだろうというふうに考えておるわけでありまして、政府としては取扱いにくい問題であろうというふうに一応考えておるわけであります。ただ併し従来の待遇の程度をほかの公務員よりもより多く落すということに対して、不健康業務に従事しておる公務員に対して行われるということであつたならば甚だ困る。どうしても加算を政府のほうでお好みにならないと仮定的に考えますと、ほかの手段で何とかして一つ救済、救済という言葉は当らないかも知れないが、優遇の途を講ずるように考えられることが必要ではないか。それについては現在までの俸給が幾らであつたのを更にこの際上げてやるとか、とにかく今の状態よりより不利益な状態に陥れないように考慮されることが必要ではなかろうか。恩給だけで助けてやるのでなく、ほかのほうでも助けて優遇してもらえるならば、同じことじやないかと私は考えるのであります。むしろほかの優遇のほうがより多くの金額に当る場合があるかも知れませんが、それは金額による問題でありますから、私自身は何も恩給だけにこだわる必要はない、ほかの方法でも結構だと思います。ところがほかの優遇の方法については前に三橋局長から一応伺つたこともありましたが、この間もどなたからか御質問が出まして、現在不健康な業務に従事しておるがほかに転職する場合に、その俸給は現状維持で行くのか、下るのではないかという御質問がありました。そのときのお答えでは今更下げないだろうというお答えを承つたように記憶しております。それから引続いて私が逆に現在ほかの仕事をしておる者が不健康な業務に移つた場合にその俸給は上るのかというお尋ねをしましたところ、それにお答えができませんでしたので後で一つお答え願つて結構ですからといつて私の質問は打切つたのであります。結局私をして言わしめるならば、先ほど大臣から御説明もありましたが、手当を本俸に繰入れたという優遇の程度で果して恩給の加算を削除する不利益の償いがつくか、つかないかという問題だろうと思います。償つてなお余りがあるというなら問題ないが、更にその上に恩給の加算を認めなければならないということは、私の考えとしては筋道が違うのではないかと思つております。ただその点がちよつと計算がわかりませんので、今足りないということを申上げるわけには行きませんが、どうも今日までの説明ではまだ私納得のできる程度まで、本俸に引直したことによつて満たされておるというところまではわからないのでありますが、政府のほうで何か確信があるのかどうかわかりませんけれども、若し今後研究の余地があるというようなことでありましたならば、もうその必要が絶対ないというなら別ですが、又更に研究して今の状態より悪い状態に陥れないように努める考えを持つておられるかどうか、その点を一つ承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/4
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005・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今は現在給与しておるほうに増したほうが、将来恩給をとる場合増加になるか、或いは加算を付けたほうが本人の利益であるかということでございますが、私はそういうそろばんをはじいたことがないから只今申せませんですが、少くとも私は加算制度を廃止してそれが本俸と申しまするか現在の恩給の基礎になるものに加わつた以上は、将来もそれが本人のために利益でなければならんと、こう思つておるのでありまして、若しそれが非常に不利益になるようなことであるならば何か考えなければならんと、こう思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/5
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006・竹下豐次
○竹下豐次君 私計算がまだわかりませんので何とも言えないのでありますが、そこに不安を持つのであります。要するに今より悪い待遇にしてもらつては困るというのです。ほかの公務員と比較して悪い待遇に落されるような結果になつては困るから、それをよくお考えになつて頂きたい。細かい計算もして頂きたい。それと逆に先ほども申上げましたように更によくしてくれということをこの際我々としては言うのもおもしろくないのじやないか、こういう考えを持つておるのであります。幸い恩給だけじやありませんの熔、給与関係の全体の責任の担当の大臣であるということを承つておりますので、両方をにらみ合せて研究して今後処理してもらうことが私は望ましいと思う。今度は三月三十一日までにこの案を出しませんと、実際これはこの際は困ると思うのです。私個人としては賛成できないと思うのです。更に又何度も何度も同じようなことを言うのもいやでもありますし、又納得の行くところまで研究しなければ、受給者に対しても私たちとしては責任を果さないということになりますので、こういう質問をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/6
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007・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 細かい個個の計算はわかりませんけれども、少くとも不健康業務に従事しておりました者は、普通の事業に従事した者より従来の加算という制度はやめましたけれども、それより不利益にならんということにいたすという根本理念と申しますか、それにおいては違いはないと思つておる次第でございます。将来もそういうふうに考えたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/7
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008・竹下豐次
○竹下豐次君 それでは一段と細かく一つ御研究をお願いすることにいたしまして私の質問はこれで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/8
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009・寺本廣作
○寺本広作君 先ほどから大臣の御説明をお伺いしたのでありますが、この間の俸給切替えの際に不健康な業務に従事しておる者には手当を本俸に繰入れた。それでそれが恩給の基礎になるから加算制度を廃止しても不利益ではないという御説明ですが、それから軍人恩給の加算もやめる、それから人事院の勧告にも加算を認められていないということで加算を認めないというような政府全体の御方針のように承わつたのですが、そうでございますか。それは恩給だけの問題じやなくて、この年金保険は、今丁度国会に出ております厚生年金やら共済組合制度の問題などで、加算制度全体を認められておるのか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/9
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010・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 私は細かいことはよくわかりませんけれども、諸外国の恩給制度の例を聞きましても、恩給には必ず加算というものがつくものとは限つておらないのでございまして、只今のところは加算という制度はやめたいという考えを持つておるということはしばしば申した通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/10
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011・寺本廣作
○寺本広作君 いや今この恩給の問題だけでなく政府全体の方針としてこの加算制度の合理性を認められるかどうかということです。それは年金保険の問題もあるし、共済組合の問題もあるし、社会保障的なものの考え方がだんだん恩給制度の中に浸み込んで来ておると思うのです。そうすると、労働力が急速に消耗してしまうものとそうでないものと別扱いにしたらいいんじやないか。現に厚生年金では鉱内労働や地下労働にはほかのものより早く年金がつくようになつておる。先ほどからの説明でこの手当を本法に繰入れたのだからいいのだという説明ですけれども、それじや恩給年限前に労働力が消耗してしまつてやめなければならん者にとつては、たとえ手当が本法に入つておつても非常に不利になる。だから手当が本法に入つたのだから加算をやめていいのだという説明にはならん。加算制度全体に合理性がないかどうか、政府はどう考えるか。それがだんだん社会保障制度的なものの考え方に近づいたものが国内に起つて来ておると思う。この際政府は加算制度全体をどういうふうに考えられるか。軍人恩給の加算制度をやめるのは財政的な理由じやないと思う。軍人恩給は特権的なものがあると言われますけれども、軍人恩給のうちの加算制度の事の起りは多少合理性があつた、それがだんだん高じて、世間では非常に特権的なもののようになつた。併しこれには非常に合理性があつたものと思うし、今軍人恩給の復活に当つて加算制度を認めないということは、主として財政的な理由だけじやなくして、加算制度自体に合理性があると政府は考えられるのかどうか、その点についての政府の方針をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/11
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012・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 加算制度は只今のところでは先刻来申上げたように成るべく認めないという方針をとつておるのでありまして、それでその場その場のそれに相当すると申しますか、どの程度まで相当するか知れませんが、不健康業務に従事する者には手当と申しまするか、それだけ俸給を多く一時的に出して行つたほうがよかろうかという考えを持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/12
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013・寺本廣作
○寺本広作君 私は政府で決定した結論を伺つておるのじやないのです。その結論になつた理由をどうお考えになるかということを伺つておるのです。御決定になることは先ほどから繰返しておるからよく承知しております。その理由は加算制度の合理性があると認められるか、或いは加算制度の合理性がないと認めて切つたのか、その理由を伺つておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/13
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014・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) いろいろ細かい理由もあるでございましようけれども、計算もなかなか面倒でございまするし、かたがたもちましてその場その場でやつたほうが却つてよくはないか、まあ今のところはそういうつもりでありますのでございまして、その理由も必ずしもどうというわけではないが、諸外国の例もそうでありまするが故に、そういう線に沿つて行つたほうがよかろうと、こういうはらでくだけて申上げますとそういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/14
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015・山下義信
○山下義信君 今寺本委員の御質問のようなことをお尋ねしようと思つておつたのですが、非常に何と言いますか適切な御質疑がありまして全く同感なんであります。この前に問題になつておりました点の修正がなされたときに、政府が本日おつしやつたようなことをおつしやつたかどうかということはわかりませんが、恐らくあの当時には今のようなはつきりとした意思表示はなされなかつたのだろうと思うのでありますが、本日は加算制度に対する政府の態度をややはつきりおつしやつた。併しまだ明瞭でない点があるので、同僚の寺本委員がその点を明確にして欲しいという御質疑があつたのでありますが、私も明確にしてもらいたいと思う。これは重大な問題です。ただ単に今問題になつております修正点についてのみ政府が当面する処置に困るからとか、或いはいろいろ御事情があつてそういう所信を表明なされたというのでは私も納得ができない。従つて将来恩給制度については、今寺本委員から広く関連した共済組合制度、或いはその他の年金制度の上においても一貫した方針をとるかという御質疑があつたのでありますが、御答弁が明確でなかつたのであります。私は紋つて恩給制度に関して、恩給制度というものが存続する以上、この制度の上において将来加算制度というものを再考慮するということは絶対にないかどうかということを伺いたいと思うのです。それが一点です。それから先ほど加算制度を廃止する、今後もそう行きたいという御理由にこの種の業種に対する給与の改善をこれに当てるのだということは、果して給与の改善と加算制度というものとの必然的な関係があるという御見解でしようか。これも寺本委員の御質疑と全く同様です。私も給与の改善というものと恩給制度の加算というものは幾らか関係があるか知らんが、それは元の俸給の金額的なそういつたようなものには幾らか関係があるか知らんけれども、加算制度というものを考慮したその理論と、その業態によるところの給与というものの差というものとは、これは違うのじやないかと思うのです。私はそう考える。加算制度を考えるゆえんはそれは言うまでもなくその受給者の生存の残存年令というものを考慮して、そうして考えられておる。給与は平素の給与ですから恩給金額の上において影響があるという関係はあつても、これは加算制度を廃止したために給与を改善した、給与を幾らか改善したために加算制度の必要はなくなつたのだという、全部これがとつて代るということの合理性は私も納得しがたい。政府はどういうふうにそれを合理化されるかということを私も聞きたい。ですから私の質問は結局二つでありますが、寺本委員の御質疑と全く同様です。恩給制度を存続する以上は加算制度は絶対に将来再考慮しないかどうかという点が一点。それから給与の改善と加算制度の廃止というものは全くこれは振替えのできるものだと政府は信じておるのか。おるならばその理由を承わつておきたいと思うのです。その二つです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/15
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016・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 加算制度を将来絶対に設けんかという御意見でございますが、絶対という言葉は私も申上げかねまするが、只今のところでは再考慮いたさないというようなつもりでおります。
それから只今加算制度を認めずしてそしてその給与を多くすればいいという議論は少しくどうであろうかという御意見でありまするが、これは結局見解の相違とも私は言い得るかとも存じまするが、私はその不健康業務に対して給与を或る程度上げますれば、それが将来の加算制度とどうなるかという細かいそろばんのことはわかりませんけれども、一時従事しておる間給与を多くすればそれで加算制度と同様とは申されないかも知れませんが、或る場合においてはよくなる場合もあるかも知れない。結局問題は最終的に言つて金額がどうなるかという問題であろうと思います。最後の恩給と申しまするか、最後に給与される額がどうなるかという問題であろうかと思いますが、それが加算制度と同様に行くか或いは重くなるか或いは軽くなるかということはわかりませんけれども、これは私はそのときぞれによりまして、不健康業務の状態によりまして給与を増して行けばそれでいいのではないかと、こう思つておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/16
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017・山下義信
○山下義信君 第二の点は今の御説明では政府の御見解をちつともおつしやつていないのです。見解の相違ということをおつしやればそれ切りでありますが、政府が給与を改善すれば加算制度を廃止してもいいという理論は私としては納得しがたい。その第一点の将来再考慮するかしないかということが只今おつしやつたことでは明確でないのですが、只今は再考慮しない、将来は又再考慮なさることがあるかもわからん、かように承わつてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/17
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018・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 絶対にというお言葉をお使いになりましたものですから私はさようにお答えいたしましたが、只今のところは考えておりませんと、こう申したほうが率直であろうと思いますが、絶対にというお言葉を頂いたものですから今のようにお答えをしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/18
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019・山下義信
○山下義信君 私どもは再延長の修正について賛否を決する場合、極めて明明白々にそれが不合理であるというような意見の上に立つて賛成することはできないので政府の見解も質すのです。政府が反対しても我々が賛成すればそれでいいわけでありますがその政府の御見解が表明されましたから重ねて私はそれを伺うわけですが、恐らく政府は今日そういう加算制度について躊躇なされるような御意見をお述べになるのは、近く加算制度を考慮しなければならんような事情がおありになるから、実は非常に御苦心じやないかと思う。それならば今でも認めればい、いじやないかと、こうなりますが、併しまだ恐らく私のこれは邪推かもわからんが、政府部内で御結論が出ない前に、加算制度を再考慮する考えがあるから延長も或いは全面的に否定ができないというような意思表示もなされにくいのではないか。これは私の邪推なんです。恐らく自衛隊が設置せられて来て、いわゆる軍隊、軍人式のものが出て参りまする以上は、これは考慮なさらなければならんという一大問題がこれはもう政府部内に私はあるだろうと邪推をいたします。従つて将来ということを何百年先を決して言うのじやありませんので、ですから今日のところではそういう御態度でありまするけれども、加算制度については恐らく再考慮なさる場合があるのじやないかということを伺うのです。その点は如何に考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/19
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020・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 今事例といたしまして保安隊と申しまするか自衛隊と申しまするか、将来そういうものが或いは船に乗るとか飛行機に乗るとか戦車に乗るとかいうようなことがあります場合に、加算制度を認めるかどうかという、そういう迫つた問題が凝るのてないかという御意見もありましたが、そういう場合も私どもは加算制度を認めないという立場で行きたいと、こう存じておるような次第でございまして、私が将来のことを申しましたが、そのことも考えに含ませて加算制度は認めない、給与で行きたい、こういう考えを持つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/20
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021・山下義信
○山下義信君 先ほど寺本委員が各種類似のこういつた年金関係の諸制度について加算制度が現存しておる、それに対する政府の御見解を求められましたが、私もその点関連して御所見を承わつておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/21
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022・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) ちよつと聞き洩らしましたが、もう一度おつしやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/22
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023・山下義信
○山下義信君 他の例えば今例示されましたような厚生年金法につきましても坑内夫等につきましての加算制度があります。共済組合等も又然りでありまして、それらについて全面的に政府は加算制度というものを認めて行かないという方針かどうか、先ほど寺本委員の質問で政府の所見を承わつておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/23
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024・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 只今御指摘になりました共済組合その他につきましても、只今のところでは加算制度はないように思つております。それは私どもとしては只今私が申した立場で行きたいと、こう存じておりまするけれども、厚生省のことでございますが、併し私どもとしては只今申しました立場で行きたい、こう存じておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/24
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025・山下義信
○山下義信君 現に厚生年金では坑内夫につきましては支給開始の年令等も特別に認めておるのでありまして、又資格年限等につきましても特別の扱いを認めておる、これもやはり政府のほうではそれには賛成しがたいという御意見でしようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/25
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026・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 今山下委員の御質問になりました点は、年金を支給する年令の問題ではないかと思うのでございます。お話にございましたごとくに、たしかに厚生年金制度におきましては坑内夫等に対しまする年金の支給年令においてはほかの人々に比較いたしまして若干年令が引下げられております。ところで恩給制度におきまして公務員の従事する公務といいますか仕事、そういうようなことからいたしまして恩給支給開始年令に差を設けるかどうかということは今山下委員の申されましたように一つの研究問題ではないかと思います。併し現在の恩給制度におきましては、公務員の従事する状態によりまして恩給の支給開始の年令に差をつけることをしない、一般的に或る年令に達するまでは恩給を支給しない、又或る年令に達するまでは若干恩給の年額を減らす、こういうような制度をとつておるのであります。そこで今お話にありましたような厚生年金保険制度におけるような年金恩給の支給開始の年令を厚生年金保険制度のようなものにするかどうかにつきましては研究はしておりまするけれども、まだきめるまでに至つていないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/26
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027・山下義信
○山下義信君 この問題は今のような制度を、共済組合なり、或いは厚生年金なり恩給なり、そういつたようなばらばらの現在のような制度のままで行くかどうか、到底行くということはできないので、すべて一貫して年金制度というか退職年金制度というか、そういうものに一貫した場合に加算制度というものを存置するかどうか、これは非常に大きな論争点になる。寺本委員の指摘された通りそういう全般を見て政府は加算制度というものを恩給から削るという一つの理論的根拠を以て出発しているのかどうか。ただ便宜的にいろいろな社会事情、財政事情による、即ち私もその点は同感でありますが、ただ軍人恩給予算の厖大を恐れて加算を削つたというような事情から来ておる加算制度の廃止というのが実は実情ではないか、政府のほうでも一定の一つの結論を出してこういつたようなハンデキャップをつけることはよそう、それは厚生年金制度でもその他の制度でも、これから恩給の上においても諸般の年金制度ことごとく一つこういう線に揃えて行こう、言い換れば今のようなばらくな制度をいつかは一貫した統合制度にして行く、そういう場合に加算制度があれば非常にこれは邪魔になるというような深い筋の通つた考え方で加算制度の存廃というもののはらをきめたのかどうかという点を寺本委員も質問されたし私も聞きたい。そういうことならそういう考えをこの際はつきり打出されておかれれば大蔵省所管の年金制度であろうと、厚生省所管の年金制度であろうと、これが労働者の年金制度であろうと公務員の年金制度であろうとすべてことごとくこれから政府の提出法案は皆そうなつて行かなければならんはずだと思うのです。然るに現在各種の改正案が出ておりまするけれども、政府提出の例えば厚生年金の改正法案も出ておるけれども、やはり或る種の状態の労働者にはハンデキャップをつけておる、これは事実です。ですからその点を政府は検討してそういう上に立つて恩給法の加算制度を廃止するという結論を出すのかどうか、それならそれで筋が通るのです。そうでなくて軍人恩給に処する財政上の事情から、寺本委員も指摘されておる通りです。そして加算制度は四百億圧縮しようとしてこれを廃止した、それをずつと持つて来てここでこの修正は結構でございますと言いにくいから飽くまで加算制度はこれからやめるつもりだというのでは、政府のこの種年金制度に対する一定の方針とは言いがたいので、それを私も承わつてたしかめておきたい、こういうわけです。それで今の自衛隊についてもいずれ防衛出動をしたときには戦争に入つておるから、戦争に入つても今のような加算のない恩給制度でやつて行くのか、恐らくそれじや私どもの想像ではそれでやつて行くというのならばそれで筋が通るが、戦争に行つて命をまとにして働くことが起きたとき、今自衛隊の隊員がそういうふうな恩給制度でも、十五年もかからなければもらえんといつたような今の諸制度でそれで満足して行けるかどうか、それは私は疑問だと思うのです。やはりそれは五年、三年、そういう非常事態の出動に対しては相当なそれが加算制度にならなければ命をまとにするのですから、そういうふうな生命というものの危険性というものを考えてみると、受くる年金の額の過少というよりは、受給の年限に早く到達するということも一つの加算制度の、いわゆる生命の危険性に対する考慮から根拠があるのですから、私どもは加算制度に賛成して言つているのじやない。言つているのじやないのでありまするけれども、そういう場合に対して政府はやはりそれでも加算制度というものを認めないという方針で行くというなればそれを承わつておくわけなんです。今大臣は自衛隊の恩給についても加算制度は考えない方針だとおつしやつたが、それはそれではつきりするのです。それならいいのです。いいのでありますが、今の一般的な方針についてのお考えを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/27
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028・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 現行恩給制度の下におきましてはすべて私が述べた通りに行きたいと思いまして、又はかの組合、厚生年金その他のほうにつきましては今回はまだまとまつたことになつておりませんが故に将来まとめて行きたいと、こう存じておる次第でございます。又新しい恩給制度について考えるときには、人事院の勧告もあり、人事院の勧告が加算を認めるというようなことになつて来れば又考えたいと思いますが、只今のところでは私の先刻申上げた通りの趣旨の下に行きたいと、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/28
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029・山下義信
○山下義信君 わかりました。それでは私もう一度確認しておきますが、自衛隊の恩給制度が特別に考えられるという場合でも、政府におきましては加算制度は用いない、こういうお考えでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/29
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030・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) 自衛隊の件につきましても只今申したような立場で行きたいと、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/30
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031・野本品吉
○野本品吉君 大体私のお伺いしたいことも今までの質問に出ておるのですが、それで加算制度を認めない、ハンデキャップを付けない、そういうことになつて来ますと、現行恩給法の六十条に規定されております一般の文官は在職十七年で恩給を支給する、それから警察、監獄職員は十二年で恩給を支給する。この在職年数の長短がここに職種によつてあるわけですが、それをどういうふうに大臣は理解されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/31
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032・加藤鐐五郎
○国務大臣(加藤鐐五郎君) この職業によりまして年限の違いますのは加算ということと違うと思います。或る種の業務に従事しておる者は何年、或る種の業務に従事しておる者は何年ということで、加算して一年を何カ年に見るとか、或いは一カ月をどれだけに見るしかということと同じようでありまするけれどもこれは違うと、こう思つておるのでありまして、この差異はあるだろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/32
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033・野本品吉
○野本品吉君 この恩給受給条件としての在職年数の扱いは二色になつておるということは、つまり警察、監獄職員の任務或いは仕事というものが、一般文官に比較して勤務が非常に骨が折れるとか、或いは危険があるとか、そういう理由でこの年限の差が設けられておるものと解釈するのですけれども、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/33
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034・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) 現行恩給制度のもとにおきましていわゆる警察、監獄職員の普通恩給の所要在職年限につきましては、いわゆる恩給法上の文官と言われる人々の普通恩給の所要在職年限に比較いたしまして、今野本委員の仰せられまするごとくに若干年限が短くなつております。この年限が短くなつております理由につきましては、今野本委員の仰せられましたようなこともあるかと思いますが、私は従来の警察、監獄職員の恩給についての沿革的なことも考えてみますると、軍人に恩給が給せられました時代におきまする下士官、兵の恩給との釣合も非常に考えられておつたのではなかろうかというふうに考えるところでございます。併しそのいずれにウエイトが置かれておつたか、こういう点になりますると私もはつきりしたことは申上げかねるのでございますが、いろいろ調べてみますると、どうも警察、監獄職員の恩給つきましては下士官、兵の恩給との釣合ということが非常に考えられていたんじやないかと思つておるのでございます。従いまして私は率直に申上げれば、警察、監獄職員の普通恩給の所要在職年限が一般文官の普通恩給所要在職年限に比較いたしまして若干短くなつておりまするので、このことにつきましても今日におきまして、これら警察、監獄職員の給与も相当改善されて来つつあるという点から考えましても、相当考え直さなければならない問題があるんじやなかろうかと思つて検討いたしておりまするけれども、それならばこの年限をどういうふうにしたらいいかということにつきましてまだ結論をつけてないような状況でございます。従いましてその理由につきましては野本委員の仰せられるようなことも確かにあるのじやなかろうかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/34
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035・野本品吉
○野本品吉君 今の恩給局長の説明は、非常に詳しい説明ですけれども、日頃の説明に比べて割合に明確を欠いておるとこう思うのです。で、私は端的に申しますと、やはりここに危険業務であるという要素が多分に入つておるというふうにどうしても考えたい。若しそういうことになりますると、職種によつて恩給受給条件としての在職年数の違いがあるという以上は、やはり危険業務及びこれに類するものの、類する職種があることを認められておるので、従つてその考え方は旧恩給法の三十八条に規定されております、いわゆる危険業務に適用される考え方であるべきである、こういうふうに思つておるのですが如何なものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/35
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036・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) ちよつともう一遍最後のところを教えて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/36
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037・野本品吉
○野本品吉君 結局まあ警察、監獄職員の在職年数が短いということは、これが危険業務であるからという要素が相当大きいと思うのです。そういうことになれば、単に危険業務というのは警察、監獄職員だけでなしに、旧恩給法の三十八条ですか、あれに示されております危険業務に対しても適用されるべき考え方じやないか、こう言うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/37
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038・三橋則雄
○政府委員(三橋則雄君) たしかアメリカの恩給制度におきましても、警察官のような人につきましては、恩給の支給開始の年令は若干引下げられておつたと思います。併し在職所要年数は変らない、こういうふうになつておると思います。それから陸海軍人と一般の公務員と比較いたしました場合におきましては、一般の職業軍人の恩給所要在職年数は一般の文官に比較いたしまして必ずしも短くはなつていなかつたような気がするのでございます。従いましてそういうようなことを考えてみますると、恩給制度として考えた場合におきましては、この恩給の所要在職年限を短くするということはいろいろな事情から来ておるわけじやなかろうかというような気がするのでありまして、今野本委員の仰せられまするがごときことも確かに一つの理由ではなかつたかと思いまするが、ただそれだけで警察、監獄職員の普通恩給所要在職年数が短くされておるとも私は言い切れないところでございます。従いましてその趣旨を貫いて行つて、そうして警察官と同じように、又それに類するような危険な業務に従事する者については恩給の所要在職年限について短くなるような措置を考えるのが至当じやないかという御意見に対しましては、まだ私ははつきりしかと答えかねるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/38
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039・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/39
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040・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
それでは本法律案に対する質疑はこれを以て終つたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/40
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041・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは質疑は終了したものと認めまして、それではこれより討論に入りますから御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/41
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042・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は本法律案に賛成いたします。賛成するに当りまして若干申述べておきたいと思います。それは昨年恩給法の改正案が本委員会にかかつた場合に、当時の本委員会としては修正を行なつたわけでございますが、その後一カ年間政府の研究と善処方を要望したにもかかわらず、先日来の各委員諸君の質疑の経過から見ますると、一年前修正した当時と何ら事態が変つていないので当時の態度を寸毫も変える必要はない、こういう立場に立つものでございます。特に私は政府側に要望いたしたい点は、加算制度に対する見解というものが非常に不明確であり、而も我々を納得させるところの科学的な論拠を何も持たない、例えばベースをそれだけ考慮してあるからだから加算はやめたのだ、こういうように説明されておりますが、これはそもそも軍人恩給復活に伴う恩給法改正のときに、軍人恩給というものをどういう内容において復活するかということは私は重大な問題であつたと思うのでありますが、財政的な立場から非常に不用意に加算制度というものを落した。例えば従来同じ教職員でも、高等学校の教職員と義務制の教職員との間には加算の率の差があつた、これは本俸が若干違うから、だからその立場から加算率の相違があつたと、こういうふうに私は考えております。併しながら旧恩給法における三十八条ノ四の不健康業務に従事する者に対する加算率というものは、先ほど私例を挙げました義務制の教職員と高等学校の教職員の加算率とは、これは私は違うと思うのです。これは労働力の消耗度とか或いは危険度というものが入つてこういう加算というものが行われているわけで、これらを不用意に軍人恩給の加算を廃止するからといつて、十ぱ一からげでやつたところに非常に不用意なものがあるとこういうように考える次第です。更に先ほど同僚委員諸君からの質問に対しましても、警察官とか或いは看護職員、或いはこれから成長するであろう自衛隊員に対する加算制度につきましては、山下委員の申した誘導訊問に加藤国務大臣は漸く堪えたようでありますが、今加藤国務大臣が何と言おうが、これは将来事実がはつきり示して来るであろうと思うのです。これらについての全般的な検討、それから我々を納得させるところの科学的な説明というものがされていない。従つて私冒頭に申上げましたように、一年前に修正をして、旧恩給法三十八条ノ四の延長を図つたその当時と現在は何ら変つていませんので、私は更にこれを一カ年間延長するところの本法律案に賛成するわけでございますが、昨年度のことを繰返して政府に要望するわけですけれども、この一年八カ月の満期となる来年まで、私の納得できるような処置並びに説明ができるように特に善処方を要望して私の賛成の意を現わす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/42
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043・山下義信
○山下義信君 私は社会党第二控室を代表いたしまして本案に賛成の意を表します。その理由は矢嶋委員の述べられたのと大同小異でございますが、私ども旧軍人恩給の復活に際しまして、加算制度の廃止には全面的に賛成をいたしたのであります。その主たる理由は、軍隊というものがなく軍人というものがなくなつた今日、これが廃止ということによりまする影響は、現在その対象がないのでありますから、思い切つて制度の改廃をいたしましても一向差支えない、かような考え方。殊に何と申しまするか、国民感情の上から行きまして、旧職業軍人に対しまして特別の庇護を加えて特殊の取扱いをするということは、国民全部がこの戦争による惨害をこうむつておりまする立場からいたしまして、そういう点に同意を表しがたいので、加算制度の廃止には賛成いたしました。併しながらその余波といたしまして、この種の業種に対しまする加算制度も又関連して廃止されたのでありますが、併しながらこういう対象者は現に存続しておるのでありまするから、制度の改廃に当りましては十分既得権尊重の建前からいたしましても、期待権尊重の建前からいたしましても、いずれにいたしましてもすでに恩給制度の上において考えられました加算制度が理由がありまする以上は、これを廃止いたしますれば代りまして適当な措置が講ぜらるべきでありますことは言うまでもないんです。廃止しても一向差支えないならば、その既存の制度は非常に不合理なものが行われておつたということになるわけでありますから、その制度が合理性がありまする以上これを廃止いたしますれば、当然先に質疑中に現われましたような、竹下委員の御所見のように、実質的において損失を与えないような適当な対策が講ぜらるべきであるということは言うまでもないことであります。従つて平素の給与の上に相当な措置がなされたということでありますが、私は未だそのことを詳かにいたしませんと同時に、果して加算制度を廃止したことに代るだけの十分なる給与改善であつたかどうかということにつきましては、幾多の疑問を持つものであります。なお一部の者にとりましては、そういう事実はない、給与は改善されていないと抗弁をする対象者もあるわけでございまして、それらの実情を調査するということになりますれば相当審議に時日を要することにもなりましようし、或いは又率直に申しまして、完全な給与の改善が行われたかどうかということも私は疑問だと思う。で、そういう対象者はたとえ加算制度というものがありましても、当然平素の給与というものはその業体の困難性、危険性、或いは労働力の減耗性、或いは体力の消耗その他から参りましても、当然他の職種よりは給与が高いのが当然である。加算制度を廃止したということになれば、それだけ更に私はそれに振り替るべき措置がなされてあるのが至当であると思いますが、そこまでの給与の改善になつておるかどうかということは、先に申しました通り非常に疑問とするのであります。なお前回修正の際には恐らく政府も何らか対策を講ずるような意思表示が、不明確ではあるが当然なされたのではないかということを伝聞しております。併し今日それを追求しようとは思いません。併しながら少くともこの種の改正がその対象者に十分その趣旨が徹底せられる、今矢嶋委員の述べられたように相手方に納得するような努力が試みられてあるかどうかという点につきましては、私は不十分なものがあるのではないかという気持がいたします。従つて今日は加算制度のその合理性、不合理性、全般に亘つての検討というような立場でなくいたしまして、前回の修正せられましたあの期間延長の間になおこの加算制度は自他周知のごとくかなり難解でございますので、その趣旨が対象者に未だ十分に徹底していないということは事実でございますから、相当この趣旨を徹底せしめ、或いは又必要な措置が落ちておるとしまするならば、或いは落ちていないかということを更に検討いたしまするためにも、若干の時日を延長する必要があると考えられまするので、本案に賛成の意を表するものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/43
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044・寺本廣作
○寺本広作君 私も改進党を代表しましてこの法案に賛成をいたします。本来ならば財政支出を伴う議員立法でありますから、最近におきまする私どもの党の方針としては賛成できないわけでございますが、加算制度を十分私どもの納得できる程度に研究をするごとなくして削除された点に無理がある。こう考えますので、まあ財政支出を伴う議員立法であつても止むを得ん、賛成したいと、こういうふうに考えます。
なお一年延長するということになつておりますが、その一年以内に国鉄などの公共企業の危険業務に従事する者は、共済組合制度の改善によつて救済されるだろうということでありますが、それ以外の一般の公務員で危険業務に従事されるものを、できるだけ何らかの方法でこの一年の間に救済されるように、政府において研究されることを希望いたします。このことは厚生年金制度や、今の恩給制度の中にあります過激な業務に従事しておる者との均衡から言つても当然であると考えます。なおこの一年の間にそういう制度ができない場合のことを考えられますので、本来であればこの一年というのは当分の間というふうにまあ変えたいところでありますが、折角衆議院のほうを通過して来ておる問題でもありますし、皆さんも御賛成のようでありますので、そういう含みでこの案に賛成したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/44
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045・竹下豐次
○竹下豐次君 私も本案に賛成いたします。私から申しまするまでもなく、六カ月の猶予期間を八カ月に延長をしましたのは、その案がこの委員会でできまして、おとで衆議院の同調を得た、そうして修正案が成立したということに相成つておるわけでありまして、もうこの委員会でこれは実は本案を作つて、議員立法として提出したいというように私は考えておつたところであります。丁度その私どもなどの期待しておつたような案が衆議院で出て参つたのでありまして、実質において変つたことはないのでありまして、もとよりこれに異議のあるはずもないと私は思つておるわけであります。ただ提案者の昨日の提案理由の説明によりますると、公共企業体云々という説明でありまして、そのほかの部分についてどうお考えになつておるか、どうもはつきりしない部分がありましたので、只今寺本委員から御希望のありましたように、私もそのほかの部分も落ちないように、よくこの後の改正の場合に織り込むような機運を作りたい、政府のほうでもそういうことをよく御考慮を今から願つておきたい。かように考えておる次第でございます。私の希望は先ほど大臣おいでの際に、質問のうちに織り込んでいろいろ申しておきましたから、そのことを繰返して又ここで希望を申述べることはさし控えたいと思います。賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/45
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046・白波瀬米吉
○白波瀬米吉君 私もこの案に自由党としては賛成なんであります。政府の加算制度に対する考え方がどうもその廃止するという理由が明確でない。これは私はどうもこういう制度を置いておくと、次々に加算制度の要望が殖えて来るからといつたようなことがむしろ大きく考えら凡ているのじやないかどいうような実は考え方をするのです。それでその一年間の延長されたその期間において政府においても又当委員会においても十分この問題は検討して納得の行く方法を見出して行きたい、そういうような意味において賛成するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/46
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047・野本品吉
○野本品吉君 私もこの案に賛成をするものでありますが、次の二点について希望意見を付しておきたいと思います。
その一つは在職中の給与で見ておるというこの考え方でありますが、私は現在の日本の公務員の在職中の給与は退職後の生活を維持するだけに足るだけの備蓄ができる給与ではないと思つております。従つて在職中の給与でカバーしてあるからという考え方で、この退職年金と申しますか、恩給の本来を考える考え方については、更に十分御考慮を煩わしておきたいという点。
もう一点はこの法律案がともしますると、最も熱心にこの問題のために尽力し、又熱望されておつた鉄道の機関車の従事員だけの問題であるというような印象を一般に与えることはよろしくないと思います。機関車の従事員はその他の一般の危険業務不健康業務のかたがたを代表してこの主案されたものと私は考えておりますので、特殊なもののために我々が考えておるのではなくて、一般的な問題としてこのことを考えておるのであるということをここではつきりしておくべきである、かように考えておるのであります。以上二点を申しそえまして賛意を表します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/47
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048・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それではほかに御意見もないようでありますが、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/48
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049・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
これより恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたは御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/49
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050・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決するべきものと決定いたしました。
なお本会議における委員長の口頭報告は前例によつて御一任願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/50
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051・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
それでは委員長の議院に提出する報告書には多数意見者の署名が必要となつておりますので、本案を可とされたかたは順次御署名をお願いいたします。
多数意見者署名
竹下 豐次 白波瀬米吉
高瀬駐太郎 矢嶋 三義
山下 義信 寺本 広作
野本 品吉発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/51
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052・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) では本日はこれにて散会いたします。
午後五時三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01219540326/52
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