1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月三十一日(水曜日)
午前十一時十五分開会
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出席者は左の通り。
委員長
小酒井義男君
理事
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
秋山俊一郎君
井上 知治君
重宗 雄三君
白波瀬米吉君
高瀬荘太郎君
矢嶋 三義君
山下 義信君
寺本 広作君
堀 眞琴君
国務大臣
運 輸 大 臣 石井光次郎君
政府委員
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
運輸大臣官房長 山内 公猷君
運輸省船員局長 武田 元君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
説明員
大蔵省主計局
主計官 廣瀬 駿二君
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本日の会議に付した事件
○運輸省設置法の一部を改正する等の
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。運輸省設置法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。前回に引き続いて質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/1
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002・矢嶋三義
○矢嶋三義君 運輸大臣に伺いたいと思います。只今審議中の運輸省設置法の一部を改正する等の法律案について、昨日運輸省の事務当局に若干の質問を試みたのでありますが、やや了解しがたい点がありますので、運輸大臣に質問いたす次第でございます。我が国の海運界の伸展に伴つて、船員の養成機関を拡充強化して行くという方針には全く賛成でありまして、結構なことを考えるのでありますが、この法案の内容の一つである宮崎海員学校を廃止して、新たに長崎県の口之津に海員学校を新設するという問題について先ず承わたりのでありますが、事務当局の説明によりますと、日本でも九州は最も海上勤務者としての志望者の多い所である、従つて教育環境その他も勘案して、口之津に新設するようにしたのである、こういう提案理由の説明がなされているわけでございますが、これらの海員学校というものは、全寮制を布いて教育していることでありますから、そう或る数カ町村、或いは或る一定の郡に志望者が非常に多いからといつて、その土地に私は学校を強いて持つて行く必要はないと考えるのであります。九州におけるこの海員学校の配置分布図をみますと、門司にあり、唐津にあり、そして新たに長崎の口之津に置く、希望者が非常に多いからそう置くということは結構でありますが、それと同時にこの南九州と今度奄美大島も帰つて来たことでありますが、いずれ沖縄も帰つて来ることでありますし、又曾つては鹿児島には、元の中等学校程度の商船学校というのがあつたのですが、これが廃止されて今鹿児島大学の水産学部に昇格して、船員の養成機関というのも国立のはなくなつておるはずでございます。そういうことを考えました場合に、運輸の事務当局として考えられておりましたこの宮崎の海員学校を、いずれ宮崎に復元すると考えられておられたこの基本方針ですね、これを私はやはり実現さすべきではないか。非常に希望者が多ければ口之津に新設することも結構です。それと同時にこの宮崎にも復元さすべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、こういうこの学校の配置ということについて、非常に計画性が欠けておるという点について、大臣はどうお考えになつておられるか、これが一点です。
それから第二点として承わりたい点は、立法府の審議権を軽視しておる行政府の行き方について、私は納得しがたい点があるわけでございます。まあこの問題は最近の国会全般を通じた私は問題だと思うのでありますが、申上げることは只今二十九年度の予算案が審議されておりますが、予算案の審議だけが突つ走つて、我々参議院には法律案としてまだ予備審査の段階で本審査にもなつていない。その法律案と関係があるところの予算案が先に上がつてしまつてあとではもう予算が通過したのだからというようなことで法律案の審議というものが非常に浮いてしまつて、そうして予算は成立し、法律はうやむやのうちに通過して行くという、この国会の審議の仕方に私は先ず非常に基本的な疑点を持つているわけでございますが、この問題につきましてもここに出された資料によりますと、昭和二十八年度にはすでに千八百三十一万九千円という国庫支出が予定されている。この千八百三十一万九千円というものはどこからこの金が出たか。まだ法律案も審議されないのにこういう支出がなされている。而も伝え聞くところによりますと、すでに学校の建築というものは殆んど済んでいる。生徒募集も非常に進捗している。こういうことを承わつているわけです。いよいよ四月一日から発足するのだから、本日中にこの法律案を上げなければ非常に困るというような、こういう立場に法律案を審議するところの委員会が追い込まれて、そうしてこの法律案を審議して行くということは、我々の法律案の審議権が大きく制約されているということを私は感ずるものです。それはとりもなおさず、私は行政府の審議権の軽視という点と関連があると思つて非常に遺憾に思うものでありますが、これに対してどういうふうにお考えになつていらつしやるか。
それからあとほど又伺いますが、もう一点は、この海員学校の新設に当つて、かくも多額の地方負担を何がゆえに強要するかということですね。これはわが海国日本の海運界への進展ということは、一つの大きな私は国策だと思うのですね。その線から是非ともこの優秀な海上勤務者を養成せにやならんという立場から、国立の海員学校というものを新設するわけですが、それに当つて国庫支出を上廻るところの、所要経費の約三分の二にも近い金をこの地元に負担させるということです。これは一体運輸大臣はどういうようにお考えになつておられるか。御承知のように現在の市町村というのは、六三制による義務教育の学校建築すら、地方財政の窮迫下なし得ない実情であります。そのときに二千六百万円という金が地元に負担させられる場合には、必ずこれは半は強制的にこの市町村に割当てられたものと考えられるのでございます。この多額の地元負担については、どうしても私は納得いたしかねるところがあるわけでございますが、大臣としてはどういうようにお考えになつておられるのか。又過去においてこれについてどの程度努力されたのか。又は今後如何ようにしてこの地元負担の軽減を図られようとしているのかという点について伺いたい。以上三点について一応運輸大臣の御答弁を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/2
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003・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) お答えいたします、
第一番目のどうも海員の学校をこしらえて行くのに計画性がなさ過ぎるじやないかという御指摘でございますが、お話もありましたように、北九州に偏在しておるような形になるのでございます。御承知のように現在あります二つの学校の地帯の申込者と申しまするか入学志望者が、ほかのたくさんの学校への申込者に比例しましても遥かに多いということは、北九州地帯が特に海員という方面に熱意を持つておる現われだと思うのでございますが、今度の口之津の例を考えますると、ここは御説明申上げたと思いまするが、まあ長崎県は非常にたくさんの海員を出しておる。海外発展的な心持の特に強い地帯だと申しまするか、まあ今問題になつておりまする宮崎と比べましても、現に海員手帳を持つておる者が、宮崎県の七倍に及ぶという。宮崎県そのものも決して少いわけではないと思いまするが、まあ九州全体がこの海というものに非常に熱意を持つているという長い伝説の現われだと思うのでございます。それで口之津が長崎県に属しておりまして、それだけに海員になつておる者も多い。従つてそれになるべき入学希望者も自然多いという見込で、口之津が今度選ばれたわけでございまして、如何にもこういう北のほうに偏在しておるという感じは私も同様いたすのでございますが、今申しましたような実際上の生徒募集の上におきまして、最も海員に親しみの多い地帯にこういう学校の設けられることは大変結構だと私も思つておるわけでございます。矢嶋さんも口之津必ずしも悪いというわけじやない、併し地理的に見て面白くないじやないかというまあお話がありました。私は宮崎に設けられたという理由も、御承知のような心持で設けられたと思うのでございます。又宮崎必ずしも私は悪いとは思わないのでございますが、お聞きのような次第で、宮崎におきまする海員学校が、戦争終了を契機といたしまして、実際にその学校が接収されてしまつて、遂にいろいろないきさつがありまして、そこが使えなくなつてしまつておる実情でございまして、看板だけはその間四国のほうに、粟島でありますが、そこに掲げでおつて実際上はただ看板だけでありましたので、この際一応看板を取つてしまうというのが今度の案でございます。
で私どもは、それじや目先のことだけじやなしに、もつと大きく日本の海運の発展のために、海員の養成のために考える場合、宮崎というものはどうかという問題になりますると、私は宮崎とか、或いは鹿児島とか、南方のほうに、もう一つでも二つでも、将来できることが望ましい。そのくらいな需要が起るような情勢に海運界がだんだん私は船の数もだんだん多くなるべきだと思うのでございますから、必ずこの海員の養成というものは多くなるものだと思うのでございます。それで私は今の矢嶋さんの御意見に副うような意味におきまして、南のほう、すでに前にあつた歴史を持つておる所でございまするから、できるだけ早い機会において宮崎にも又学校を設け得るというような時期が来るように我々は今後努力したいと思うのでございます。今までそれじやもつと先にやつてくれたつていいじやないかというお説もあると思うのでありまするが、まあどちらかと申せば今までのところ宮崎の地元公共団体等があまり熱がなかつたという事実も、これはそういう熱があるとかないとかいうことをあまり考慮に入れないで立地条件を十分に考えるべきだということが大事でありますけれども、そういうふうなことも宮崎がやめるというような問題に多少の響きはあつたわけだと思うのでございますが、この宮崎のほうにも海員学校を置くべし、復活すべしという声も相当強いことも聞きますので、これは只今申しますようにぜひなんとか将来考えなくちやならない、こういうふうに思うのであります。
それから第二の立法府の審議権をどうも無視する傾向があるというお説、これに関連しておりますが、二十八年度の予算が成立いたしましてまだ法律がこうやつて審議の過程にあるのにもうぎりぎりの年度末になつて来て、わいわい攻め立てて誠におもしろくない状態に来ておるということは誠に申訳ないことだと思うのであります。今度の議会が始まりましてこの法律案を出したのでありまするが、のびのびになりまして今日御審議を願うようになりまして、これは甚だ進行の工合がおもしろくなくて申訳ないと思います。学校がすでに法律もできないのにどんどん建設が進行しておるという問題もあるのでございますが、これは言訳になつて甚だおもしろくないとお思いになるかわかりませんが、今までの学校の建設の行き方が大体予算が通りますると、なるべく次の開校時期に間に合せるというような関係上建設工事は割に急いで着手をしておる。この学校にいたしましても今着手をいたしておりまして、本年の七月頃に完成するようなことになつておるわけでございますが、そういうふうなわけでございまして、この点につきましてはなお一層私ども注意をいたさなければならない点であり、立法府の審議権を無視するという心持等は勿論一つもないのでございますが、或る意味からいたしますと、さつきもお話のありました、どうもこの頃の傾向はそういうふうにいろいろなものが見えるというお話でございましたが、学校建設というものの開校というような問題、生徒募集或いは先生の充実というようなこと等のために、どうもそれよりも先になつて自然やつているのが今まで文部省その他学校関係の慣例みたいになつておりまして、それのよしあしは別といたしまして、まあ開校に遅れないようにという心持で以ていろいろ準備いたしておつたということ等によつてまあ御了承願いたいと、こういうふうに思うのでございます。
第三の地方負担が多いじやないかということは誠にお説の通りでございます。政府の負担が結果においては地元負担よりも少くなります。これは予算が更に実行予算の上において節約を命ぜられまして約三割くらい減らされまして、それで今の千八百万の数字が出て来たわけでございます。そういたしますと地元負担よりも少くなつて来る。これは私もできれば、国の学校でございます、まあ義務教育についての話もございましたが、政府が多く負担し地元はそれに協力するという限度でやつて欲しいわけでございますが、成るほど学校はこしらえたい、金はないという実情だものでございまして、私ども大蔵省と折衡いたして、学校を是非こしらえたいがといつて新規予算がとりにくい立場にあります。折衝の上において大蔵省の考え方はまあ成るべく金を出すまいという一方的な考えもありまして、地元に初めの費用をできるだけ多く持つてもらうならば、この程度ならば政府も出せるというようなことになつて、折衝の結果実際上あなたのおつしやるように地方の負担が誠にこれは多くなつております。これは三カ年間にこれをだんだん出してもらうということになつているわけでございます。強要いたしたことは一切ないのでございます。地元の熱意によつてそれだけのものを出して頂けるということになつたと私は了解いたしております。誠に、方針といたしましては成るべく地元の負担を少くすべしということには私賛成誠ございます。まあ以上のような事情で地元の負担が多いわけで、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/3
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004・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は政治はやはり合理的なもの科学的な基盤というものに基いて政治というものが行われなければならんというふうに考えます。勿論民主政治下に陳情があるということは結構ですし、又その陳情をよく聞いてそうして政治をやるということは私は大事だと思いますが、併しその政治に合理主義的なものがなくなり理論的なものがなくなつてそうして陳情政治のウエイトが非常に多くなつて行くということは非常に私はこれは悲しむべきごとだと思うのですよ。そういうことが結局最近にぎわつているところの汚職の最も大きな要因になる、こう私は考える。まあ九州の地図を頭に描いた場合、壱岐、対馬、五島、ああいう島嶼をたくさん控えている長崎県、更に佐賀県、それからあの附近の業態を考えた場合に下級船員の希望者が多いし、又これを充実しなくちやならんということは私、異論はありません。ではこれを充実する場合に方法としては口之津に新設するか、或いは佐賀の唐津の充実を図るということも私は考えられると思うのです。そうして四国に二枚看板を掲げた当時から復元を期しておつた運輸省としては、宮崎に復元するということは理論的に考えた場合にそれのほうが私は強みがあると思うのです。ところでそれが唐津の拡充という形をとらないで新たに口之津に新設する。そうして当初から復元を期しておつた宮崎が看板を下した。これは私は結局二千六百万円がものを言つたと思う。運輸省はその一部を認められましたが、宮崎に熱意があまりなかつたということをちよつとお認めになりましたが、結局地元負担の二千六百万円、更に陳情というものがものを言つたのは明々白々だと思うのです。殊にこれが教育機関の設置の問題がありますれば、この教育と繋がつた問題であれば、そういう地元に陳情の熱意が厚いか薄いか、或いは受入態勢として地元がどれだけの金を出すかというその金額の多少によつて教育機関の配置がきまるというようなことは、私は非常になげかわしいことだと考えるものです。それで伺いますが、宮崎に是非とも海員学校を復活してほしいという大分、宮崎、鹿児島、こういう南九州の皆さんから要望があつた場合には、それに応えるところの用意が大臣にあられるかどうか、それを承わつておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/4
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005・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) ちよつと誤解のないように一応申上げておきたいのでありますが、地方からの陳情運動等によつてこれがきめられる、口之津のほうが運動を余計して宮崎が運動しなかつたからというような意味ではないのでございます。さつき私が地元のほうの熱意云々というような言葉を用いましたのは、宮崎県のほうはさつき申しますように長崎県の海員の手帳を持つているのと宮崎県とこれを比べましても一対七というくらいに長崎県が多い。従つて海員になりたいという人たちの熱意が多いのだ、海員になりたい人が多いのだというような意味で宮崎県のほうはこういうふうにやつたけれども、それほど海員になりたい人の熱意は少いのだろう。こういう意味でございまして、これは運動の云々という意味で申したのでないのでございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
それから宮崎のほうに置きたいということが、今の宮崎を初めとして附近のところからの熱意が出たらどうするか、熱意の表われで是非設けてくれと言われたらどうするかということでございます。これは私さつき申しましたように、宮崎に置くがいいか或いは鹿児島に置くがいいかというような、或いはそのほかの所の問題もあるかも知れませんが、南九州の地帯にも九州全体が海というものには熱意を持つている。私も九州人だからそう思うのであります。これから先海員の拡充ということがだんだん必要になつてその度が増すと思う。船が増せば自然海員の需要が増すわけであります。そういたしますとどうしても南のほうにも置くという問題が次には考えられると私は思うのでございます。その場合におきましてどこに置くかは別といたしまして、私どもはこの次に海員学校を新設するというためには、距離の関係、入学者の便宜、いろいろなことを考えましても、もう今度は南方に置く、従つて前に宮崎に置かれた事情もいろいろなその当時の事情があるようでありますが、一つの歴史を持つている所でございます。そこを中心とするか、或いは又そのほかに、更にそこよりもいいものがありますれば、どこかそのほかの場所でもいいわけであります。九州の南のほうにもう一つ学校を置くということは、是非やりたいという私は考えを持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/5
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006・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは次に二千六百万円の地元負担金について伺いますが、この二千六百万円で終りかどうか昨日承りますとこれは施設費及び教材費で、三カ年間に負担する。こういう説明を承つておるのでありますが、これで地元の負担は終了になるのかどうか。
それから海員学校は全国で九つですかあるようでございますが、例えば船を購入するとかというような、そういう臨時に費用負担を地元にさせるような場合があるのかどうか、それはどういうことになつているか、その点も承りたいと思います。
それから大体海員学校を新設する場合には、国庫支出を上廻るところの約三分の二程度地元負担にするというような、運輸省内に一つの不文律みたいなものができているのかどうか、この点承りたいと思います。それと関連して、私は外国の例を調べていないのでありますが、海を持たない国の例を挙げてもしようがないと思いますが、日本のように周囲を海で囲まれているような、こういう国の船員の養成というものは、その費用を受益者である船会社或いはその地元に負担させるというように、外国もそういうふうにやつているのかどうか。これも併せて私はこの際伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/6
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007・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 口之津の寄附は三カ年間に二千六百万でございます。これはこれでおしまいでございましてそれ以上のことはないのでございます。それからそのほかの船を造るときの寄附はどうかという問題、外国の例等につきましては船員局長から申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/7
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008・武田元
○政府委員(武田元君) 口之津の最初の予算成立額は国費が二千四百万円でございます。それに対して地元負担二千六百万円ということになつております。これは先ほど大臣からお話申上げましたようにこれで終りでございます。
それから海員学校が船を造る、その他必要がある場合に地元負担を考えているかという御質問でございますが、これは考えておりません。私のほうはあくまでも大蔵省のほうへ必要な予算を要求するつもりでおります。過去においてもそういう例はございません。
それから外国の例につきましては今手元に詳細な資料を持つておりませんが、大体においてやはり国が負担しておるように承知しております。地元負担というふうなことは余りない、ただ宗教団体とかその他一部公益団体等が積極的に寄附するような例があるやに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/8
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009・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私石井運輸大臣に重ねて承りたいのですが、現在政府がどういうことを考えていようとも、現在における我が国の基本法である日本国憲法は、これは民主国家、平和国家、文化国家というものを目指して、いるものです。その憲法下に我々は現在政治を論じているわけですが、海上の治安に従事するところの海上警備官、こういう方々を養成しているところの保安大学、これは地元負担金は全然ないですね、それから衣服も支給しているんですね。月にたしか三千円の学費が給されているわけですね。こういう行き方と、海国日本の海上勤務者を養成する海員学校、而もこの海員学校は下級船員を育成する所でありますから、ここに就学する学生というものは、私はまあ中産階級以下の子弟、農漁村の子弟が多いと思うのです。この海員学校に至つては国庫を上廻るところの負担をさせる、この行き方ですね。私はどうも納得しかねるところがあるんでございますが、これは大臣はどういうふうにお考えになつていらつしやるのか、又この予算の編成等の場合に、運輸省を代表しての運輸大臣は、どういう態度で予算閣議等に臨まれているのか。私は御所見とそれから今後もあることでございますから、運輸大臣としてのこれらに対する決意というものを承つてみたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/9
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010・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 海上保安隊のほうでやつておりまする船員の教育というものは、国家の直接の何といいますか警備に任ずる者の教育でございます、これはまあどうしても国で全面的に持つことは当然のことだと思うのでございます。私どもの関連いたしますこの民間の海運業に働きまする人たちの教育問題になりますると、これはそこに入る人たちにまあできるだけの便宜は与えたい。できるだけ今お話のようになかなか楽な人たちだかりでもないという問題等も考えてやらなくちやならんのでございますが、これはちよつと民間の需要を満すための教育というものと、政府直接の用に働いてもらう人たちとの教育というものとは、そこに差があることも当然止を得ないことだと思うのでございます。これは余裕が十分あればあるほど私どもの関係いたしておりまするような諸種の教育機関の上においても金を多く出してもらう。それは初度調弁費的な問題におきまして地元に負担をかけるということは仮にも国の施設である以上はやらないと、進んで伺うから、さつき船員局長が申しましたように宗教団体であるとか公益団体等が自分たちの何かの記念或いは何かそういうものに援助をするという意味で、進んでいろいろ施設の寄附等のことがあるということは別問題といたしまして、できるだけ国が負担するという線に進むべきものだと、こういうふうに思うのでございます。又教育を実際にやつて行く経営費的の面につきましても、できるだけ国の負担を多くして、少い費用を以て個人がそれぞれの面に教育を受けられるように、特に海国日本としてこれから進んで行く上の海上要員、これは先ほどからもかつお、まぐろ漁船の船員の資格がまだ不十分である者を、一年間延ばして教育の充実を待つまで、不完全な船員でも大洋になる所まで出て行つていいという特別な法律をこの間きめて頂きましたような状態で、まだまだ日本の船員は戦争中にたくさんの人を失いましたために教育が不十分な状態でございます。従つてこれらの人の教育というものをやる機関でありまするから、まあできるだけ国が余計負担をして優秀な人で教育を受けにくい立場にあるような人たちを進んで受けられるようにして上げるのが私どもの考え方での本筋だと、こう思つております。それは私どもの狙いでありそういうことが努力する線でありますが実際上になりますとすぐ金の問題にひつかかつてしまいまして、初めのように建設の場合においても寄附を受け、途中におきまする経営費におきましても思う存分のことが、思う存分ということじやありません。もつとしてやりたいことも十分できないという形であります。これはまあできるだけの予算を毎年々々その問題で話をしながら進めておるのであります。貧しいふところのために十分のお世話ができないという状態であることが今日の実情でございます。この点も今後とも私どもは海上要員というものが非常に重要であることを考えまして、これらの教育の充実にできるだけの力を尽して行かなければならんと、こういうふうに思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/10
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011・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは本法律案の審議の中心点から外れるから余り長く伺いませんが、併し私は納得しかねるんですよ。それは先ほど局長からもお話がありましたように、他国でも周囲に海を持つているような国の海上要員の教育というものは、おおむね国費で賄われておるという説明があつたわけでございますが、これは一つ一国の私は大きな海運政策の根幹なすものだと思うんですね。それで大臣は今保安庁法に基くところの保安大学とは違う云々という御説明があつたのですが、まあ本筋から外れるから議論しませんが、これは納得しかねると思うんですよ。そこに私は欺瞞があると思うのです、政府の。それは現在の保安大学、今度防衛大学と改称するらしいですが、この保安大学に対する政府の考え方というものは、元の陸軍士官学校或いは海軍兵学校という考え方で扱つていると思うんですね、従つてその予算の裏付をそうしていると思う。ところが表面では今あなたの発言からもわかるようにああいう説明をされていることは非常に欺瞞があると思うのですよ。本当に今の憲法を忠実にこれを守つて行き、それから保安庁法に謳われているあの精神で保安大学を扱つて行くならば、保安大学の学生とこの海員学校の学生等に甲乙がつくはずがないのです。本当にそう考えたら欺瞞があるからこういうなにが出て来るわけで、私としてはこれは納得できない問題であります。そこで私は伺いますが、この二千六百万円をもう少し三カ年計画を四年、五年に延ばすとか或いはもう少し地元の負担を軽くするというようなことはできませんか。一つ私は日本の海運界を背負つて立つ大臣としては閣内で頑張つてもらいたいと思うのですね。保安庁のほうは木村長官がやつておられるわけですが、これにも負けないように。筋は私は立つと思うのです。実際のところこの二千六百万円を長崎県の島原半島の各町村にどのように割当てる、どのくらい各町村は困つているかということを実際は行つてみるなり或いは町村長さんに来て頂いて聞きたいような気持で実際はあるわけなんですよ。きつとこれは困つておると思うのですね。これは運輸省の総予算から行けば二千六百万円は微々たるものです。最近のこの造船所やら或いは船会社の間のリベートの世上に伝えられる問題等々と比べて、全く比較にならんほどの数字なんです。ところが、これが町村の負担に行つた場合には、相当のやつぱり圧迫になるわけですね。従つて私はこの二千六百万円の減額に大臣一つ努力して頂きたい。而もそれは不能の問題でないと思うのです。これはやはり他の海員学校にも影響することですし、あなたの所管の海技専門学院、こういう船員の養成機関全般に通ずる問題でありますので、一つ大臣の私は御奮発を願いたいと思うのでありますが、その答弁とそれからこれに関連して伺うのでございますが、今度般空大学校ができたわけですね。このほうは地元負担金というのはないのですね、御説明によりますと。日航からも寄附を仰いでいるということもないようです。これは全部国の負担ですね。ところが海員学校のほうは地元に国庫を上廻る負担をさせる、こういうところ、どうも私は、まあ海と空の区別はありますけれども、何か一貫していないように思うのでございますが、これについても併せて答弁頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/11
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012・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 口之津の寄附が今聞きますとこれは後援会ができております。それで後援会が自由な立場で運輸省は何らのこれに参画しないでやつて頂いておるそうでございますが、今まで集つているのが千二百四十一万円ほど集まつておるということだそうであります。大体半分近く集まつているそうでございます。只今のお話のように若しこれが非常にそこらに大きな負担となり、どうしても動けないというような問題でありますれば、三年を四年にするとか四年を五年にするとかいうような方法等も勿論講じなければならないだろうと思います。無理を強いるわけにはいかないと私ども思うのであります。
それから航空大学のほうは地元からの寄附は一つも受けておりません。まあその関係は官房長から御説明いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/12
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013・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 航空大学校につきましては只今大臣から御説明いたしましたように、地元の負担がございません。宮崎の飛行場と申しますのは現在大蔵省所管の普通財産になつておりますので、そこに旧海軍時代の滑空路がありまして終戦後連合国に接収されたのでありますが、昨年六月解除後は不時着飛行場となつておりますので、非常に施設といたしまして利用可能な状態でありますので、宮崎に航空大学校を作るということにいたしましたわけでございます。その関係で地元には何らの御負担をかけておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/13
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014・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私伺つている点はね、この航空大学を宮崎市に持つて行つたからといつて宮崎市に負担金を出せといつたつて負担するはずもないのです。ときどき練習機なんか落つこちてひどい目に会うのですからね。で私が伺つている点は、海員学校はなんでしよう、僅か四千四百三十一万、その程度の金額であるのに、二千六百万、船会社及び市町村に負担さしたわけですね。ところが航空大学校にしてみれば、一億六千八十四万という金額ですね。比較にならん。四倍の金額ですね。一方のほうは船会社に負担さしたが、こちらのほうは日本航空等民間航空その他には何ら負担も何もないというようなところを私は不思議に思つているわけなんですよ。日本航空の経理状態もあるんでしようが、何か高級船員を求めている船会社の弱味に、更に市町村の弱味に、政府がつけ込んでそして多額の地元負担をさせるのじやないかというような印象を受けるのでこの関連、つりあいというものをどういうふうに御説明なさいますか。その説明を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/14
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015・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) これは別に深い意味はないのでございまして、筋合からいたしましても航空大学の行き方のような政府がみんな負担することができますれば全部負担するほうが筋合としては私はいいと思います。でまあ航空大学においても今矢嶋さんのお話のように、そんなものを置くといつたつてビタ一文も出すはずはないとまあおつしやるのでございますが、そういうたとは別といたしまして、航空大学は日本の航空の全滅状態から立ち上る場合に、どうしても非常に進んだ教育をしなければもう今日の飛行機を操縦するには間に合わない状態でございまして、航空大学を置くことにしたわけでございます。これは一日航のためのみならず、日本の各方面の航空の技術者を養成するのが目的でございまして、その意味からいたしまして金額も初め相当大きな金額が認められたわけでございます。船の方も重要さにおいては航空そのものよりも遥かに日本の現実的な問題としては重要なことでございます。この船員の充実ということは、航空要員の充実と同じ、或いはそれ以上に重要だということも言えるのでございますが、これはほかにも学校そのものもあることはあるのでございます。それでもう少しふやしたいというのが私どもの結論でございますけれども、さつき申しましたように、なかなか金がないというようなことから延ばすならばこういうふうな方法ならば延ばせる、初度調弁費一切なんとかあれば後は政府でもう経営費は見てやれるというようなこと等のために私どもはこの学校の問題も余りこれが一番いい方法とは勿論思わないが、地元の寄附によりまして、それと政府の金とで一年でも早く学校をこしらえて海員を養成したいという心持の現われでございまして、一貫しないような或るものには出さない。或るものには出すじやないかということでありまして、今の考えからいたしまして航空大学校には地元の飛行場、その設備がいろいろ要るのでありますが、幸いにそういうものがあつたためにこういう航空大学校の初めに寄附を何も募集を求めなかつたのでありますが、或いは、これはまあわかりますんが、どうしても予算が一億六千万なら一億六千万要る。それだけ事実政府は出せない。土地の問題等についてはどうしても又新規に買わなくちやならんとかの問題があると、やはり日本の今の状態とすると、正直なところを申上げますと地元で少し土地くらひ寄附してくれんかというようなこと等が起つたんだろうと、こう思うのでございますが、幸いにそういう問題が今度の場合なかつた。幸いに持つている所にこの学校を設けるということにいたしましたのでその必要はなく、後の経営費の問題はほかの海員の学校と同じように政府のほうで皆持てるということになつているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/15
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016・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一、二点質問さして頂きたいと思うんですが、海上要員と航空要員の需要の緊急度という立場から言うならば、むしろ航空のほうが緊急を要するような状況ではないかと思うんですがね。ところがこの法案を見ると海員学校は四月一日から、航空大学校は七月一日から、こういうことになつているのでありますが、こういうところからも私今日冒頭にお伺いしましたように、どうも立法府の審議というものを、言葉は適当でないかも知れんが、なめてかかつて、一切の膳立を陳情に押されて、海員学校が先行したというような印象を受けることは非常に私は遺憾に思つているわけでございますが、この一方四月一日、七月一日として提案した理由、それから航空大学の場合、今度宮崎に新設すれば今後外国へ航空要員の教育のために派遣するようなことはなくなるのかどうかということですね。昨日の説明では昨年度アメリカへ三十一人教育に派遣されたということを承つたわけでありますが、今後外国に派遣を要しないのかどうか。それからこの民間航空要員の教育機関というものは戦前及び戦時中はどういうふうにしていたのかという点ですね。この三点についてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/16
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017・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 航空大学校が七月、海員学校が四月ということにつきましては先ほどから大臣御説明ありましたように、一応海員学校といたしましては多少の無理はあるのでありまするが、四月から開校できるような施設の状況が一応整つて参りましたということが一つございます。大体各海員学校、既設のものがすでに八つあるわけでございます。その教程と併せまして四月からやりましたほうがいろいろな方面に非常に便利であるということで多少の困難があるのでございますが、四月からやりたいというふうに御審議を願つたわけでございます。航空大学校につきましては、運輸省といたしまして、御指摘のありましたように、非常にこの乗員養成は昨日来御説明いたしておりますように非常に緊急のものでありまして、前から速くこういう学校を持ちたいということで、いろいろ大蔵省或いは現地を物色いたしておつたわけでございます。併しこの航空大学校を造りますのには、何といいましても滑走路が非常に農地をつぶします関係がありまして、なかなか適地が見出しかねたわけでございまして、漸く宮崎にそれを見出したのでありますので、今後施設をいたしまして開校いたしますと非常に急ぎましても七月ということになるわけでございます。従来何故航空大学校を速く作りたいということを念願しておつたかと申しますと、これはやはり日本の航空士は日本の教育施設でやらなければ外国へこの教養に参つておりますると、まず外貨が非常にたくさんかかるわけでございまして、昨日御説明いたしましたように、二十七年度におきましても二千九百二十五万円、二十八年度におきましても四千五百万円というような多額の教養の金を使つているわけでございます。これを内地の学校でやれば非常に経済であります。まず数をたくさん作らなければなりませんので一日も速く開校いたしたい、かように考えているわけであります。戦前のそういうことにつきましては地方航空機乗員養成所というものを十数カ所持つておりました。これは一応いわゆる普通の高等でない飛行士の養成機関として日本全国に十数カ所持つておつたわけでございます。そのほかに高等航空機乗員養成所というものを二カ所持つておりまして航空関係乗員の養成に当つておつたわけであります。その次に将来航空大学校がこれだけでよろしいかと申しますと、これはむしろ需要の関係でございまして、日本における航空の発達につれまして、或いは宮崎を拡充するか、他に求めるかという問題が起るわけでありまして、それは今後の問題といたしまして研究して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/17
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018・矢嶋三義
○矢嶋三義君 ちよつと聞き落しましたが、戦前の十数カ所というのは国立でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/18
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019・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 国立でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/19
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020・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その戦前にありました十数カ所の教育機関と、戦時中において航空省というのはなかつたと思うんですが、日本の空軍部隊ですね。それとの関連は戦時中どういうふうに保たれておりましたか。教育その他について戦時中は何らかの関連が保たれておつたと思うのでありますが、その点を伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/20
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021・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 戦前におきましては逓信省の所管になつておりまして、こういう逓信省所管のそういう航空機乗員養成所におきましては民間航空の職員を養成するということでやつておりました。一応組織的には日本海軍のそういう空軍養成というものとは関係なかつたように私考えております。先ほどお話ありましたのはたしか逓信省に航空局というのがありました。それが運輸通信省になりましてもやはり航空局といたしまして、乗員養成その他の民間航空関係の監督をいたしておつたと記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/21
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022・矢嶋三義
○矢嶋三義君 併しこういうことがあつたでしよう。その訓練計画とかその教育機関を卒業した人が陸軍空軍に入つた場合には、どういう特典を与えるとか或いは査閲と言いますかね、その国立の乗員養成機関に陸海軍将校が出かけて行つてその教育状況を査閲する、そういうものをパスしなければ民間航空要員としての免許状を下付されないというような、それは例でありますが、そういう関連性というものはあつたのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/22
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023・山内公猷
○政府委員(山内公猷君) 御質問の趣旨は地方航空機乗員養成所の卒業生と陸海軍との特別な関係がそこにあつたのではないかということでありますが、実際に陸海軍に若しもその卒業生が入つた場合にも何らの特典が与えられておらなかつたということであります。それから軍人が、それならそれらの要員の養成に関係しておつたかと申しますと、軍人の教官は一人も入つていないというふうになつております。そのほか査閲その他もなかつたように記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/23
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024・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今直ちに直接法律案に関係ないのですが、査閲或いは教育計画の樹立、そういう点について私は関係が必ずあつたと思う。陸上における地方公共団体の設立している学校にすら陸軍将校がおいでになつてそしてこの教育計画というものを仔細に検討し、その査閲にパスしなければ卒業免状をもらえなかつたわけですから、ましてや国立の航空要員養成機関であれば、必ずそれに類似したものが私はあつたと思う。後ほど調べて御返事を願いたいと思います。そこでそれを関連してでありますが、大臣に伺いますが、今度この自衛隊法が成立しますと、航空幕僚監部というのが創設されることになる。いずれは航空幕僚監部の所属の機関として飛行学校というものは相当に拡充強化されて行く方向に進んで参ると思うのです。その自衛隊の航空要員養成機関とあなたの所管の航空大学校との関係というものは、今後如何ように結び付いて行くものかどうかということは非常に私は重大な問題だと考えるわけでございますが、今大臣から答弁頂きますと、大体大臣のおつしやることは予想つくわけでございますけれども、念のために私はどういうふうにあるべきだというような、又どういうようにするつもりだというところの御見解を持つていらつしやると思いますので、念のためにこの際伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/24
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025・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 保安隊のほうの航空の教育と私どものほうの航空大学の教育とは飛行機に乗るという事実、従つてそれに航空機の機械類が似ておるというようなこと等においては一致点があると思いますが、民間航空と保安隊の警備上の航空とはおのずから大きな差があるのは当然だと思う。私は今はつきりいたしませんから、さつき官房長の言うたのも多分そうだつたろうという漫然たる心持でございますが、私戦前ずつと長い間朝日新聞社におりまして、最初の日本の民間航空からずつといろいろ、直接ではありませんが見ておりましたが、民間航空のほうに軍人が来て、航空の指導をしたことはなかつたように私どもは思つております。それはおのずからみな航空のやり方等が違うからじやないかと考えるのであります。私らの民間航空としては安全第一、それから戦争前の兵隊さんは、敵を如何に制圧するかという建前、そこに非常に航空のやり方等の違いがあつたのではないかと今日思い出すわけであります。これはそれとしまして、これから先の私どもの学校で、旅客用の飛行機或いは小さいものにして宣伝用の飛行機というようなもの等につきましての技術の習得、それから本当に国際航空に向つて行くようになりますには、私はさつき外国に教育に出さないということにするために、こういうものが是非必要だということを官房長が申しておりましたが、今日本の航空士について一番の悩みは飛行機の技術も勿論問題でありますが、言葉の問題であります。これは世界の国際航空に使いまする標準の言葉が英語になつておりまして、これで盲飛行をやるような場合でも、地上と家との関連、着陸場においての関連、すべて英語中心になつておりまして、羽田において昨年私のほうが、交通管制要員をアメリカ側から是非我々のほうに引継げというので、もう少しやつておかなければ無理じやないかというのを、無理に日本側に引継いでしまつたのでありますが、そのときも新しい人を入れて交通管制をやるだけでも、言葉の関係で使う人だけでもなかなか得にくうございまして、今までの人を、日本人も大分使つており、その連中を入れたりして漸く民間のパンアメリカンやノースウエストの人たちが非常に協力してくれまして漸く今日に段々慣れて参つたのでありますけれども、今度交通管制要員は言葉だけで連絡はしたのでありますが、今度は上に乗つている飛行士は飛行しながらそれをやつて行かなければならないというので言葉の問題がありまして、非常にこういうふうな教育に相当力を入れて行かなくちやならない問題がありますので、国際航空に従事するような者には、或いはこの大学を出ましても、何かそういうふうな点で、ほんの見習程度にでもこの人たちの教育をこちらで受けるか、向うに行つて受けるかというようなこと等も多少は考えなくちやならんじやないか。すぐ飛行の技術は或る程度できますので、非常なたくさんの国際関係の人が随分乗りますから、その下の下級からやつてだんだんそういうことを慣らして行くということにして行かなくちやなるまいといろいろ考えておるのでございますが、そういうふうなこと等のために私は民間の航空要員を養う所と、それから保安隊の航空要員を養う所とは非常に違う大きな隔たりがあると思う。初め申しました程度の関係があるわけでありまして、例えば私どもの学校を出た者が保安隊に行つたらどうかというと、恐らくすぐには役立たない者ばかりじやないかと、こういうふうに思つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/25
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026・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これは最後の質問でありますが、最後に念のためもう一回伺つておきます。それは口之津の海員学校の施設及び教材費としての地元負担でありますが、この二千六百万円というものは国庫の負担よりは多いわけでありまして、こういう形で国立学校を設ける例というのは他にはないだろうと思う。あれば運輸省だけだと思います。先ほどの大臣の言明は、この二千六百万円のうち、声が小さかつたのでよく聞こえなかつたのですが、地元に約千二百万くらい、半分ほど集つておるということでございますが、それ以上地元負担能力がなければ残りについては大臣のほうで善処される、こういうふうに私は先ほどの答弁をとつたわけでございますが、重ねてその点確認いたしておきたいし、又大蔵省からどなたかお出でになつていると思うのですが、大蔵省は一体これをどう考えておられるのか。善処される用意があるかどうか、恐らくこの問題は大臣は私は正式には予算折衝をやつておられないと思うのです。運輸省の主管局の事務当局で大蔵当局に折衝して、大蔵当局が非常に高飛車に出て、そうして出さない。そこで弱いところにしわ寄せが行つて、今度は運輸省の主管局のほうで、地元で二千六百万円作らなければ学校を作つてやらんぞというような、まあ言葉は悪いかも知れんけれども、ざつくばらんに言えばそういう形でこの国立の海員学校は建てるのだろうというふうに私は推測できろと思うのです。それで大蔵当局からどなたかお出でになつていられると思うのですが、その点石井運輸大臣の御答弁のあとに伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/26
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027・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) さつき申しましたのはお話の通り千二百四十一万円集つております。それでさつき私が申上げましたのは、これが三年間に約束の金を出して頂くことになつておりますが、若しそれがどうにもいかんというような場合には、三年が四年になる、あるいは五年になるかもわからんがそうしてでも仕方がないであろうと、ここに集つただけであるとは集まらんからと言われれば、政府が善処するという意味にお答えしたわけではないのでございます。まあその寄附のきまつたいきさつにつきまして、今船員局長から申上げますが、そういう後援会等のはうでこれだけ出して頂けるということと、政府の出すものと合せて初めの計画を立てておるのでありますから、それが出んということになりますると、又新たな問題がそこに起つて来るわけでございます。それであとは私のほうで引受ける、大蔵省に出してもらうということで出発していないということだけは御了承願いたいと思います。詳細につきましては船員局長からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/27
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028・武田元
○政府委員(武田元君) 国費の負担は当初は二千四百万円でございましたが、先ほど大臣から御説明申上げましたように、行政費の節約で千八百三十一万に削減になつたわけでございますが、地元負担の二千六百万円につきましては、私のほうから地元で負担しなければ学校を建ててやらんというようなことは決して申したことはございません。ただむしろ地元のほうから私どものほうで或る程度の金は是非集めたいと思うから、大蔵省に是非話してくれというようなことでございまして、何故こんなに熱心かと思いましたら口之津の町、それから近接の町村で船に乗つております者が千二百名おります。そうして口之津の世帯数は二千二百二十四でございます。殆んど口之津の半ば程度が船員の家庭だそうでございます。それで従来から非常に熱心に、今までは唐津の海員学校まで試験を受けに行かなければならない、非常に不便である、できれば地元に作つてほしい、出身船員数も非常に多いし、家族送金は年間四億に達しているというような状況で、どうしても海員学校を口之津に置いてもらいたい、従つて二千六百万円程度は自分のほうでなんとかするからということの熱意を示されましたのであつて、私どものほうから口之津のほうへ申したようなことはございません。それから二千六百万円のうち、船会社、これは今申上げましたように、現在船に乗つております船員を使つております船会社、これは非常に積極的に口之津のほうの出身者は非常によろしい、将来とも口之津のほうから人を採用することにしたいということで、船会社のほうも非常に熱心に援助しようということであつたそうでございますが、ただ船会社のほうは今の海運界の状況から今すぐには出せないから、もう少し先になつて考えたいということで、今まで集りました金は地元の分でございまして、船会社からはまだ出ておりません。それで将来金が若し二千六百万円集りませんようでしたら、大臣から申上げましたように、建設の年度計更の変更の止むなきに至るのではないかと思います。なお大蔵省に対しましては実情を申上げて折衝をいたしたのでございますが、大蔵省も十分理解して頂きまして、国費の非常に緊縮の折柄でもあるが、これをなんとか必要があつたらしたいということで、まあできるだけの努力をしてくれたのでございますが、我々のほうはもつと多いことは勿論希望いたしたのでございますが、右の関係でこれ以上は出せないからということで、私どものほうも折衝を打切つたわけでございますが、大蔵当局もお見えになつておりますから御説明を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/28
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029・廣瀬駿二
○説明員(廣瀬駿二君) 只今の御質問の点は石井運輸大臣、それから今船員局長から縷々細かく御説明がございました通りでありまして、大蔵省といたしまして地方負担が二千六百万円なければこれを建ててやらんというような高びしやなことを申したことはございません。むしろ今船員局長の申されたように地元の負担がこの通りあるんだ、この海員学校は非常に重要なものだ、国費はこれほど出せばよろしいということで御折衝があつたと思います。又国費の問題につきましては大臣からお話がありましたように、万一地元負担ができないような場合につきましては、又今後の問題といたしまして運輸省側と十分折衝いたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/29
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030・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大蔵省のかたに伺いますが、この国立学校の場合に国庫負担よりも地元の負担が多いというようなこういう形態ですね、これをあなたのほうでどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/30
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031・廣瀬駿二
○説明員(廣瀬駿二君) そういう例は余りないと思います。ただこの場合は非常に異例でございまして、地元の熱意が非常にあつたのと、我々のほうから或いは政府側から地元負担を強制しているものではない、全く自発的なものだと思います。そういう例は御指摘のようにほかには余りないと思います。ただほかに考えられますことは、例えば測候所を作りたいから地所を寄附したい、そういう問題は従来過去にも例があつたと思いますが、今正確には記憶しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/31
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032・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これで終ります。船員局長は、大蔵省は十分了解して下さつたようなことを言つたが冗談じやないと思いますよ。そんなことを言つてはいけませんよ。大蔵省は私は理解していないと思う。それから運輸大臣もこれは私は腰か弱すぎると思うんですよ。あなたがたの今のお答えから結論として出ることは、宮崎に海員学校を復元する方針であつたが、宮崎側は二千六百万円を言つて来ないので、だから宮崎には復元できないで、非常に熱心であつた口之津から二千六百万の声がかかつたから口之津に海員学校が設立されることになつた。これが提案理由です。そういうことになる。それから船会社から八百万円寄附を仰ぐように割当ておると言いますが、これは船会社をして結局船員の低賃金に行つて、船員負担に実質上はなつて来るんですよ。そういう形でやはりこの農村或いは漁村のささやかな学費で海上要員を志し、教育を受ける海上勤務者に、而もこういうかたは下級船員のかたです。こういうかたにそれほど犠牲を強要するような予算の組み方には私は納得をいたしかねるものがあります。
で、まあこの法律案に賛否の問題は、後ほど更に協議されるべき問題でありますが、今後この船員の養成機関というものは、日本の海運界の進展上相待つていよいよ拡充強化されて行くと思うのでありますが、それに当つては直接事務当局である船員局長の御健闘御努力を要請することは勿論でありますが、運輸大臣も大いは政治力を発揮して頂きたい。又大蔵当局も十分こういう方面に理解を持つて今後善処されるように希望しまして私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/32
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033・山下義信
○山下義信君 私はこの船員学校の問題だけを極めて簡単に伺いたいと思うんですが、これは午後続行されますか、そして午後も大臣御出席になりますか。若し大臣が午後御出席にならなければ、四、五分ですむと思いますが、この機会に伺いたいと思うのですが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/33
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034・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) どうぞ。質問を続行いたして行きたいと思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/34
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035・山下義信
○山下義信君 この海員学校の問題で、先日来同僚各委員から御質疑がありまして、私も非常に興味を持つて伺つておつたのでありますが、本日は大臣が出られまして海員の養成の教育計画につきまして大体のお話があつた、けれどもこれはまあ大体のことであります。具体的にこの海員学校というものの増設計画といいますか、設置計画といいますか、年次計画といいますか、そういうものがあるんでしようか、ないんでしようかということを伺いたいと思います。それで大臣からその御答弁を頂く前に、ちよつと気になることがありますから船員局長に伺うのですが、この口之津の海員学校の開校式はいつやる予定になつておりますか。それから生徒の募集をしておられる、これはまあおやりになることは当然だと思いますが、計画があるのですから法律が通過いたしましたらすぐに始まるわけですから、あらかじめ募集せられることもこれはまあ或る意味でいいと思いますが、この入学式というものはいつやられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/35
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036・武田元
○政府委員(武田元君) 準備は四月十五日ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/36
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037・山下義信
○山下義信君 それは開校式……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/37
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038・武田元
○政府委員(武田元君) はあ、さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/38
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039・山下義信
○山下義信君 じやまだ間がありますね。じや今の船員学校の設置計画というか、このほうはどういう計画を持つておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/39
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040・武田元
○政府委員(武田元君) 只今の準備は四月十五日開校式の予定でございますが、学生に対しては早く合格通知を出す必要があるのでございますが、今のところ法律も通つておりませんしまあ待機の姿勢にあるわけでございます。
それから海員学校の拡充計画につきましては、只今のところは口之津一校を増設して全国計九校と相成りますが、来年度はこの九校で賄つて行くつもりでございまして、将来についてはまだ計画を立てておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/40
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041・山下義信
○山下義信君 つまり無計画ですね。私は大臣に伺いたいと思うのですが、昨日船員局長が同僚委員の質問に対しまして、この宮崎海員学校の廃止について縷々答弁をせられた末に、私の聞きました記憶では、若し間違つておりますと速記録を見なければなりませんが、極めて近い機会に宮崎海員学校を復帰する考えである、そういうことに努力したいと思う、こういう御答弁があつたと思う。間違つておつたらば御指摘下さい。それから本日大臣が御出席になりまして、やはり大体船員局長の昨日の答弁を裏書されるような大体同様な御答弁が前段にあつた、近い将来に宮崎海員学校の復校というか、復帰というか、再興というか、再開というか、そういう意味のことについては矢嶋委員の質疑の中に述べられた要望というかそれに副うように善処したい、こういう御答弁があつた。だんだん聞いているうちに今度後段の大臣の御答弁には、将来南九州方面にも必要であろうと思うし、だんだん海運界が隆盛になると同時に当然必要なんだから、その場合には宮崎とは言わんが、鹿児島か宮崎かとにかく南九州のどこかに将来置きたいと思う、こういうのが後段の大臣の御答弁、少しくぼけていたんです、しまいのほうは。私は九州ではないのでありまして、宮崎にも口之津にも関係はございませんから、そういう地域的には全くどちらでもいいわけですが、この法律案を審議いたします上に非常に私は重大と思いますので、その点をもう一度政府の御方針を聞いておきたいと思います。大臣から御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/41
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042・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) さつきお答え申しましたのは前のお話のような筋でございましたが、昨日船員局長から申しましたのは私と同じような考えから言われたのだろうと思います。宮崎に設けられましたのは、一応前にあつたということは、まあ宮崎方面から海員になる人が相当あるというようなことが考えられる。それとそこにいろいろな施設があつたとか、いろいろな問題等があつたと思うのですが、それらのことから宮崎に置かれておつたわけなのでございます。
大体見まして九州は非常に御承知のように海に縁故が余計深いと申しまするか海員になる人の志望者も非常に多いし、現在も海員の数も多いのでございます。そういう地帯に丁度口之津がさつきからいろいろ説明が加えられましたような非常な立地条件のいいということでそこに置いたと同じように、宮崎にも前に置かれておつたわけでありますが、私はこの次置くとすれば候補地の最も有力なる一つに違いないと思うのでございます。
それで今度九州に置くというが、どこに置くかという問題になりますれば立地的の考えから行きましても南のほうに置きたい。来年度の予算には間に合いませんが、だんだんと私は船も殖えて参りまするし、さつき申しましたように。従つて海員の需要も多くなりますし、その教育機関の充実も求められるということになるのでございますから、そういう意味からいたしまして成るべく早い機会において学校を増設するということになれば、南九州は最もその有力な案として私どもは取上げてみたいと、そういうふうな気持を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/42
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043・山下義信
○山下義信君 わかりました。船員局長昨日の答弁もそうでしたね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/43
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044・武田元
○政府委員(武田元君) 海運界並びにその船腹の状況に応じて成るべく速かに、又大臣の御答弁の中にもありましたような御方針に従つて行きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/44
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045・山下義信
○山下義信君 それで私がまあ純理論的に伺うのですが、全く利害関係は何にもありませんで、実はこれは簡単な法律案だと思いましてさほど気にもかけていなかつたのでありますが、だんだん質疑を通じて伺つている間にかなり重大に考えられて来るようになつたのですが、海員学校の増設計画というものについて政府が計画を持つていない、まあこういうことですね。それで率直にそれをおつしやつたのでありますから無計画なら無計画でいいのでありますが、結局宮崎海員学校を廃止するということも無計画ですね。増設にも計画性がないが廃止するということにも計画性がない、首尾一貫しないのですね。それで私は批評はいたしません。今討論でございませんから批評はいたしませんが、計画性がない、これでは私どもがこの法律案を審議するに困るのですね。それで今気になりますから伺つたのは、開校式はいつか、生徒の入学式はいつかということを承わりましたのは、若し世間に通例あるごとく明日四月一日を期して開校式が行われるとか、入学式が行われるとかいうようなことがありましたら、本院などは夜を徹しましても間に合せたいと思う。少数の生徒でありましても、一つの地方の小さな学校でありましても、その学校が創立する、その学校が開校するということは、終生の記念日であります。できるだけその門出を幸祝いたいという気持で一杯なのです。それで伺つたのでありますが、その意味で熱心に審議するのでありますが、我々を困らせるようなことを政府がおつしやられると、審議を良心的に急ごうとしても審議ができなくなる。ですからこの海員学校の設置についてこういうような無計画、増設にも計画がないが廃止にも計画がない。承わりますと宮崎海員学校は事実上もうやつていなくて閉鎖というか、廃止というかそういう状態にもう数年置かれている、二十二年このかたですか数年置かれている。その数年の間この設置法の一部改正をしなくても何らの政府には苦痛もなければ差支えもなしに過したわけですね。かくのごとく宮崎海員学校の廃止を運輸省設置法の中から削らなければ何か不都合を生ずるのだ、或いはその職員の身分或いはその他始末について不都合を生ずるのだということがあるならば早くこれは処置をなさつておられるはずなんです。然るに事実は廃止同様の状態において而も法律上は運輸省の付属の学校として設置法中にはこれをそのまま存置しておられるということは、何ら痛痒を感じておられなかつたということになるわけですね。その点は船員局長は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/45
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046・武田元
○政府委員(武田元君) 船員の養成計画につきましては昨日申上げたのでございますが、船員教育審議会というものがございまして、毎年船員の養成計画を立てるにつきましてその審議会の御審議を願つて、その際にこういつた養成計画に合せまして学校の施設計画につきましても御意見を伺つております。この問題につきましてもすでに教育審議会にお諮りをしたわけでございます。今後におきましても船員の養成計画並びに学校の施設計画につきましては審議会の御意見を伺うことにいたしております。なお今まで船員の養成計画を立てるに当りましては、宮崎海員学校の実情を申上げて事実上廃校のようなことになつておるので、宮崎海員学校は養成計画の際にはオミツトして考える。それでそれを今まで形ばかり残したということは当初はできるだけ速かに宮崎に復活したいという考え方があつたからでございますが、その後不可能な見通しになりましたので、いつまでも形だけ置いておくのはむしろ政府として無責任ではないかというような考えで、私着任いたしましてからどうもこれはおかしい、宮崎海員学校が荒れて始末せずにそのままになつているのはどういうわけか、実は筋が通らないでそのままになつているということでございましたので、これはやはり将来復活すればそこに置くということで一応はつきりしておいたほうがいいのじやないかという考えに基きまして、このたび御審議を願うようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/46
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047・山下義信
○山下義信君 私は理屈を加えての御質疑はやめましよう。それであの近い将来にこれを復活する考えだということは昨日からの局長並びに本日は責任ある大臣からもその趣旨の答弁があつた。そうすればこの宮崎海員学校は廃止するということの、このことは一応やめたらどうですか。思いとどまつたら。ですから口之津海員学校を新たに加えるということだけここで議決しておきまして宮崎海員学校はこのまま存置しておきましても予算が一文もいるわけでもないのですから今日まで、この看板、この名称を設置法中に置きましたつてちつとも差支えない、極めて近い将来復帰するということならばこのままにしておいたらどうですか。そのほうが首尾一貫しませんか。先ほど国会の審議権を尊重するというお話が出た。国会がひとたび意思を決定します、議決ということは申上げるまでもないのです。ここに国会の意思決定を求めて間もなくこれを復帰する。今日から復帰する意思を表現しておかれて、廃止を今日決を求められるということは、これは国会に無理な議決を求めるということになりはいたしませんか。それよりも少しも政府のほうには痛いこともかゆいこともないのですから、このまま宮崎海員学校の名称設置法中に存置しておかれて、都合がついた時分に改めて定員その他を置くような予算を要求なされて実施なされるというのが至当だと思う。政府の意思が昨日来からそういうふうに極めて近い将来に復帰するという公式の意思表示をなされた以上は、ここに国会にその廃止の議決を求められるということは少し御無理のように思いますが、大臣如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/47
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048・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 長い間有名無実の状態でありましたものを、まあそれそのものがおかしかつたといえばおかしかつたわけなんでございます。それをこの際新らしく一つの学校ができますので、この機会にはつきりしておきたいというのが私どもの願いでございます。それで私どもとしては次に学校を増設する場合にはさつきから申しましたような心持でおるわけでございます。それが果して三十年度にその通り盛られますか、或いは三十一年度になりますか、私どもできるとすれば予算が許されますれば私どもはさつき申したような線に副つてやりたいのでありますが、そういうことがまだはつきりしない。少くとも来年度にはないのでありますからこの際新らしいものを加えてそして有名無実である現在のものを一応除いておく。そして新規に予算が盛られ、そして皆さんがたの御賛成を得て法律が改正されるという手順になるほうがはつきりして私はよろしいと思うておるのであります。それから先は皆さんがたの御相談にまつばかりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/48
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049・山下義信
○山下義信君 見解の相違というような御答弁でございましたから私も重ねては伺いませんが、ただ所感だけ申上げておきます。これは口之津を新たに開くためにその代りに宮崎を廃止するという提案の御理由にはなつていない。宮崎を廃止する理由は廃止する理由としてある。口之津を新設する理由は理由としてある。廃止と新設とが同一の理由じやない。口之津を新設するためには宮崎海員学校の廃止が絶対条件ではない。これは交換的になされるような提案の御理由には私は承わつていない。宮崎海員学校を廃止しなきやならん御理由は縷々として述べられたのですがその理由は厳として独立的に存する。その宮崎海員学校の廃止の理由を述べたのは極めて近い将来に復帰するのだ、これを又廃止するということとしたのは、事情の如何を問わずして妥当でなかつたという政府の御意思なんです。それではこの廃止ということをやめられて、暫くこのままでその予算の獲得をなさるときに初めて実施なさればいいので、名称は何も九カ所に限つたとか八カ所に限つたとかいう、この海員学校の数に関する法律の規定もなければならないものでもないのでありまするから、この名称だけ存置されて極めて近い将来とおつしやたことが三十年から三十一年かそれは存じませんけれども、そういうふうになさるのが妥当ではあるまいかと思うのです。そういう不明朗な提案の仕方をなさり、或いは審議の途中に政府の方針が御変更になるということが私ども納得できない。併しながらその変更たるや、私どもも賛意を表するにやぶさかでございませんからよい意味に受取りまするが、併しかくのごときことは私ども国会に多年列席さして頂いておりまするが極めて稀に見る状況です。これは有力なる同僚議員或いはこの地区に最も密接な関係の諸君の熱心に政府当局の措置の妥当にあらざる点を追及されるから態度を豹変なされたのが卒直に言つて事実なんです。当初から確たる御方針がない、無計画であるとおつしやつたからそれ以上は申上げませんが、簡単に申上げますればでたらめなんです。この席にお臨みになつてそうして宮崎の復帰をお約束になる、まるででたらめであります。本員どもは納得しがたい。併しでたらめならでたらめでもよろしいが、そういうことに御意思の変更がなされ、或いは意思表示なされたら、それに副うような法律をお作りなさるように政府も御努力なさらねば、この法律案のこの御提案も全くそれでは矛盾するということになり、当然この法律案は政府のほうから御修正なさる、この質疑中に御表明になりましたようなそういうように審理をして行かなきやならんということを痛感いたします。それだけ申上げておきます。何か政府のほうでおつしやることがあれば承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/49
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050・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) 非常にこの席に出て来てでたらめを言うたような感じをお与えしているように受取るのでありますが、私はこの問題につきまして説明を当該局長から聞きましたときから宮崎の問題はさつきから説明もいろいろありましたような理由で、現在も開店休業の状態であつて、これよりも一方において口之津のほうをやつて行くのだから、これは将来又、こういうふうにして戦前はやつておつたところなんだからやるべきような時代が必ず来るであろうし、そのときはそこを又新たに附け加えればいいので、ないものをただ看板だけ出しておるということでこのまま残しておくのはどうも余り面白くないと思うからやめる、一応取下げたいというような意味に説明を聞いております。私もまあそういうふうな有名無実なものを一年でも二年でもほつておいたのもおかしいが、これから先もまだ来年度どうということもないのであるから、それはそうとはつきりしたほうがよかろうということに賛成したわけでございまして、その点は誤解のないようにお願いいたしたいと存ずるものでございます。その他の問題につきましては本筋の問題は私さつきからいろいろ申上げたような心持でやつて行きたい、こういうふうに思うのでございます。御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/50
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051・山下義信
○山下義信君 一言だけ。大臣の只今のお話で最初からそういうお考えを持つておつたということであります。それならそれでもいいわけですが、そういうお考えが政府にあるならば、なぜ初めからそのことを提案のときにお述べになりません。提案理由の御説明のときには、将来この宮崎海員学校を一応廃止にしておいても他日必ず復帰するときがあるだろう、又そういう考えを持つておるということをなぜ政府は御説明になりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/51
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052・武田元
○政府委員(武田元君) 先ほど大臣から申上げましたように一応はつきりするという意味になつておるので、いつまでもそのままにしておくことは行政上いかんからこれをはつきりしたいということで、将来日本の海運が発展をし、船腹が増強し、船員を養成し、更にその要を増すという場合には、更に海員学校を増設するということについては勿論方針としては持つておつたわけでございます。そういう際には何といいましても古い歴史を持つておつた宮崎というものは、有力候補地であるという頭は持つておつたわけでございますけれども、廃止の一応のきりをつけるという法律の正面から行きますと、提案の正面から行きますと、廃止の理由を御説明申上げるということが必要であろうかということで、その点だけを申上げておきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/52
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053・山下義信
○山下義信君 私の質問は保留いたしまして、一応大臣に対する質疑はこれで終了いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/53
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054・矢嶋三義
○矢嶋三義君 午前中私ここで切つてですね、午後再開したら如何かと思うのです。午後の協議の必要上私は速記をとめて二、三分間ちよつとかみしもをぬいで聞きたいことがあるんですが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/54
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055・竹下豐次
○竹下豐次君 大臣にちよつと簡単にお伺いしたいのですが、時間がなければ構いませんが、今のあなたの御提案に賛成なんですが、その前にちよつと時間を借りて。事務当局から大臣に御報告があつたことだろうと思いますが、お忙しいので或いは細かくお聞になつていないかも知れませんが、簡単に。昨日から私の質問に対してのお答え、政府委員のお答えになりましたことを申述べまして、もう一遍念のために大臣の御意見を承わりたいのであります。いろいろ門答いたしますのでありますが、昨日私が最後に質問いたしましたのは、私としては、宮崎を今度廃止されるなら来年度からでもですね、又復活するということを政府のほうで言明してもらいたい、それにはいろいろ理由を申上げまして、今それはここで申述べるのは時間をとりますからすべて省略いたしますが、併しそれは予算の関係なり設置法の改正の関係等があつて、国会というものが存在しておるのであるから、来年復活するということをはつきりここで答弁して欲しいということは、それは無理だろうと思いますからそこまでは申しません。併しでき得べくんば来年からできるだけ早い機会に復活するという考えがあるということはおつしやつてもいいんじやありませんかという、こういうことを申上げたのでありますが、それに対する答えとしましては、先ほど山下委員からお話のありました大体そうであつたと思いますが、船員局長のお答えでは、宮崎以外に鹿児島、大分ということはお考えになつておりません、宮崎海員学校を復活するということをできるだけやることにしたいと、こういうお答えであつたのであります。今日大臣の一番初めの御説明でもそういうふうに伺つたので、やつぱりそうだつたなあというふうに思つたのでありますが、二度目の御説明で山下さんがおつしやつたようにぼけました。もう一遍南九州全体を見直して検討した上で適当な所にきめるというふうに考えられるかのようにぼけて来たのであります。それで山下さんがそれを質問されたわけで、三度目にお出しになりましたときに少しぼけまして、(笑声)甚だどうもそれじや困るのです。私は実は宮崎なんです。私の地元のことでありますので発言が実はしにくうございましたけれども、併しどう考えても私が仮に北海道の人間であつたとしても、いろいろな配置の問題やら今日までの歴史などを考えまして、これは議員として当然遠慮していつて然るべきことだというふうに私は考えましたので、先日からいろいろまあ政府のほうとしてはお困りの顔をしておられましたけれども質問いたしまして、今まではそういう経過になつているのであります。まあ二度、三度目の大臣の御説明がぼけたように承わりましたが、そうでないのであつて、やはり船員局長の言われたのが大臣の意味じやないかと、少し考え過ぎて念を入れ過ぎて、あんなこうぼけたような、誤解されるようなお答えになつたのじやないかと私は思うのであります。そういうふうに了解してよろしうございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/55
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056・石井光次郎
○国務大臣(石井光次郎君) さつき南九州のほうと北九州の話がありましたので、南九州のほうにこの次置くときは置くべきだということの意味を申しました。南九州と申しますと、まあ鹿児島、大分、宮崎県になりますが、宮崎の今までの沿革等考えますと、まあ恐らくそのときは問題なく宮崎という答が出て来るのだろうと思いますけれども、今宮崎とはつきり申上げなかつたのは、南九州方面に一つ置くことが、この次の問題としては一番先に考えられるという意味に私は申したわけでございます。お心持と、あなたのおつしやることと、私の考えていること、大体同じことだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/56
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057・竹下豐次
○竹下豐次君 実は只今の答弁ではつきりいたしましたが、若しぼけて考えるような疑問が起るようなことになりますと、あなたのところに置いたからおれのところにも置いてくれ、おれのところにも置いてくれというような問題が起りましては、こつちを迷惑するし、運輸省のほうでも御迷惑だと思いましたので、念のためにお伺いした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/57
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058・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/58
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059・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をつけて下さい。
それでは暫時休憩いたします。
午後一時二十六分休憩
〔後開会に至らなかつた。〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X01519540331/59
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