1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月六日(木曜日)
午前十一時二十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
長島 銀藏君
植竹 春彦君
竹下 豐次君
委員
白波瀬米吉君
矢嶋 三義君
山下 義信君
八木 幸吉君
堀 眞琴君
三浦 義男君
国務大臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
国 務 大 臣 塚田十一郎君
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
政府委員
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○参考人の選定に関する件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑に入ります前にお諮りをいたしますが、本法律案に対しまして参考人の意見を聴取いたすことにいたしたいと思います。その参考人といたしましては、東京大学教授田中一郎君、経団連副会長植村甲午郎、ダイヤモンド社会長石山賢吉君、商工中金理事長村瀬直養君、全逓信従業員組合中央執行委員長横川正市君、全建設省労働組合執行委員長伊藤喜一君、全日本国立医療労働組合執行委員長井上五郎君、全農林省労働組合副中央執行委員長角屋堅次郎君、以上八名を参考人として当委員会において意見を聴取することに決定をいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/1
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002・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。
なお日取りにつきましては、委員長に御一任を願うことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/2
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003・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めまして、参考人の意見を聴取いたすことに決定をいたします。
それでは只今より本法律案に対する総括質疑をいたします。先ず山下義信君より御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/3
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004・山下義信
○山下義信君 当委員会がいよいよ本日より重要法案の審議に移るわけでありまして、差当つては定員法関係をやるわけですが、続いて防衛法に差しかかるわけであります。この際総理の御出席を煩わしまして政府の根本的な御方針を伺うことになつておつたのでありますが、代理として諸方副総理の御出席を得たわけでありますので副総理に対しまして私は一、二の御質疑を申上げたいと思う。その前に副総理にごあいさつをいたしておきます。先日は誠に失礼いたしました。
そこで私の伺いたいと思いますのは、こういう重要法案の審議に差しかかりまする前に何といたしましても当面の政情と申しますか、政局と申しますか、これが大変御心配のようでありますが、停頓をいたしております。言い換えますと政界は政局の新展開を待つておる、こういう状態であります。この政局のあり方と重要法案の審議の関係は非常に重大な関係がございます。国会側の我々といたしましてはその点を重視いたしますわけでございます。緒方副総理の御心配になつておられまする緒方構想の新党が結成できる、この国会の会期中に結成できる、会期は我々は反対しておりまするが与党の多数で或る程度の御延長がせられましよう。その間に新党が結成できますればひいて内閣の進退ということに及ぶは必然でございます。こういう国会の会期中に政局の変動がありますことは、従来私どもといたしましては記憶では二度あつたように思うのであります。片山内閣の後におきまする芦田内閣の政権異動、芦田内閣の後に吉田内閣の指名、国会の会期中に内閣の変動のありましたことが二回あるのでございますが、今回若し会期中に政局の新展開をみるということになりますれば、我々といたしましては新国会以来三回目の事態を経験するわけでありますが、こういう国会の会期中に政局の異動を見るというような場合における重要法案に対する審議のあり方というものにつきましては、相当に考えなくてはならんというふうに思われるのであります。
そこで私はそういう観点からいたしまして副総理の御所見を伺いたいと思うのでございますが、副総理の心配しておいでになりまする、否現政府与党の公式機関で御決定になりました新党結成というものは、今国会の会期中に、もとより延長を含んでの会期中にこれが結成を見るというお見通しがありますかどうかということを伺いたいと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/4
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005・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) いわゆる私どもが保守新党と申しておるもの、これは今の政局の安定ということから申しましても、それから政府の立場から政府の信ずる重要法案を通過成立させまする意味からも、私どもとしては是非実現したいと考えておるのでありまして、先般党の機関にかけて態度を決定し、声明を発したことも今山下さんからおつしやつた通りであります。ただこれは何分にも相手方のある話で、差当り私どもが保守勢力結集の対象と考えておりまするのは改進党でありまするが、改進党の党内事情もありまして、まだ改進党としての公式の態度がきまらんようでありますし、これをそれならば我々のほうから余り外からかれこれ申すべき場合でもないという考えで推移を今見ておるところであります。気運は私どもが見ておるところでは大体熟しておるとは思いまするけれども、更にこれを具体化するまでにはいろんな事情もそれぞれにあるようであります、従つて今度の会期、それは今言われました延長を含んだ会期、その会期の中には保守新党が必ずでき上るということは予断はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/5
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006・山下義信
○山下義信君 私は今副総理が重要法案の審議を促進するため、重要法案の成立を期するために今せつかく保守勢力の結合をやつておるんだというお言葉でありましたが、もとよりその点もあるわけなんでありますが、まあ率直に申上げまして世間では汚職問題等もありましたから一部にはそういう見方も出ると思いますが、現内閣の延命工作であるというようなふうに世間は批判している。私ども反対党からかれこれ要らざるおせつかいを申上げる限りではないかもわかりませんけれども、そういういわゆる緒方構想、あの御声明ではないと思うのであります。今の内閣の延命工作のためにやるんじやない、従つて世間で言うところの俗に言う多数派工作即内閣の延命工作、そういうものをやるんではない。つまり現状維持、現状持続のために新党結成への努力をやつているんじやないというのが私は副総理あたりの考えられる本筋だろうと思うのであります。かねて吉田総理は極めて不明朗な多数派工作というようなことはやらない、あくまで民主政治の筋を通す。若しやるならば主義政策によつて離合集散をやるべきだ、その大義名分はあくまで立て通すんだ、こういうことをしよつちゆう言つておられたのであります。若し今の内閣の単なる政権の延長工作、延命工作でやるんだ、従つて今の政府の持つておる政策、何らそれに変るようなことを考えておるんじやないということでありまするならば、これは私どもから批評をいたしますのは失礼でございますけれども、大した意味を持たない。ここでお伺いする必要もない。併しながらあの御声明を見ましても、新党を御結成しようとなされる御努力、保守勢力を結集せられた新党結成の暁には恐らく新たなる政綱政策を掲げられて、私は諸政一新の目的をもつて大きなる期待をもつてお進みになるだろうと、かように考えておるのであります。そういう点は副総理あたりのお考えはどういうお考えでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/6
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007・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 勿論そういうつもりでおります。只今の場合としましては保守政党のあり方とでも申しまするか、勿論今の重要法案が円滑に促進され通過成立することは望ましいのでありまするが、この保守新学の構想はただ今の目の前の国会だけを目標としておるんではなくて、保守政党は今の日本の政治の発展の段階においてかくありたいというような気持からああいう声明を発しておるのでありまして、その各いわゆる私ども同憂の諸勢力といつておりまするが、共鳴を得た上において今日の時局に最も適切な政綱政策というようなものを自由に討議をしてきめて参りたい。で自今由党と改進党を例にとりますると、米価の問題とか或いは自衛軍の問題とか多少の相違はありますけれども、これは同じ保守的立場に立つておつて歩み寄りのできんものではないのじやないだろうか。併しただ一方的に自由党が保守新党結集の声明をしてそれに先入的なものを述べるよりも、その政策はお互いに根本の方針に異存がなく、そして何かもう一つ進んだ段階で具体的な方針を研究する場合に論議すべきであろうという考えから、友の声明だけを出してそうして次の段階を待つておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/7
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008・山下義信
○山下義信君 私もそうであろうと御想像申上げておつたのでありますが、従つて私どもは今日政府与党におかれましても我々野党におきましても、言い換えますと政府においても国会においてもひとしく考えなきやなりませんことは、政治に対する国民の信頼の回復であります。従つて政局がこういうふうに何といいますか大きな渦を巻いておる、内閣の進退がそれに関連して考えられて行かなきやならんというような場合に、重要法案を控えておりまする国会がその審議の態度、国会のあり方というようなものは、与党であろうと野党であろうと、国民の政治に対しまする率直に申上げまして不信の挽回というような点から考えましても、我々といたしましても非常に注意を払わなきやならん、こう考えるのであります。そういう意味で私は今伺つておるのでありますが、私どもは新党が御結成になりますれば当然今の内閣は総辞職をなさる、そうして新らしき内閣の発生を国会にお尋ねに相成つてここに内閣の更迭が行われるべきものである、かように考えておりますが副総理如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/8
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009・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私も同様に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/9
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010・山下義信
○山下義信君 従いまして私どもは民主政治の大きなルールの上から行きまして、新たなる内閣すなわち新党を基礎にせられました新たなる内閣は、先ほど副総理も仰せになりました新政策と申しますか新政綱をかかげられまして、もつてその新政策に対する国民の信頼をお問いになる、こういう順序に相成ると心得ておりますが、御所見如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/10
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011・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつと伺いますが、国民に問うというのは総選挙というような意味でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/11
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012・山下義信
○山下義信君 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/12
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013・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは新内閣が政策を作りまして政策の上に新らしい内閣ができまして国政の上に余り支障のない際に、新たに国民の批判を求めることが筋であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/13
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014・山下義信
○山下義信君 ちよつと私伺い洩れたのでございますが、失礼でございますが、もう一度ちよつとおつしやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/14
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015・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 新らしい党として新らしい政策ができる、その上に新らしい内閣ができる、そうしてこの新らしい政策に対して国民の批判を求めるために総選挙をするということがこれは筋であると考えるのでありますが、その時期は国政の運営上できるだけ支障のない時期を選ぶべきではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/15
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016・山下義信
○山下義信君 わかりました。私ども全く同意見でございます。それでこそ民主政治のルールというものが確立されると考えるのでありますが、総理が近く外遊をされるようでありますが、これはもう政府のほうでは御決定になつておりましようか。又これは飽くまで総理大臣の資格でおいでになるのでございましようか。若しこれは政局に変動があるというような場合、つまり吉田現総理が首班をおやめになるというようなことになりますれば外遊はおやめになるんでしようか。これは首班をおやめになりましても依然として外遊の計画は実行なさるのでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/16
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017・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今の総理の構想は総理大臣として外遊して、欧米諸国特に米英の実力者との間に話をしてみたいという気持のようでありまするが、今の新党の構想が進みましてそうして新たな公選の下に新たな党首、従つて新たな総理大臣ができる場合のことは予測できませんので何とも申しかねまするが、今の総理の構想は政府でまだきめておるわけではありませんけれども、総理自身の構想は総理大臣の意思で行きたいというつもりのようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/17
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018・山下義信
○山下義信君 これは当然常識で予想されるわけではありますが、総理は外遊から帰られますれば当然臨時国会が予想せられるように考えられますが、さように予想いたしまして間違いございませんでしようか。お考え如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/18
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019・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それはまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/19
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020・山下義信
○山下義信君 私はこういうふうにもう政局の変動が近く迫つておりますというような政界の現状からいたしまして、重要法案に対しまする審議をいたしますることについてはよほど考えなきやならんとこう思う。つまり言い換えますと今の内閣というものは俗に申しますともう余命がない、先が知れておる、そうして新たなる保守勢力の政党が生れ、新たなる政権が樹立せられるという場合でありまするので、この今の内閣で提案されておりまする重要法案に対しましても相当変つて来るんじやないかという気持がするんです。その場に国会がこのまま重要法案の審議をいたしまするということの意義というものに私ども多少の疑惑を持つのであります。例えばこの政府職員定員法をもつて見ましても、恐らく防衛二法案でも同様のことが言えると思うのでありますが、この定員法を見ましても、これらの行政整理のあり方というようなものは非常に大きな一つの政策と考えられるのでありますが、こういうあり方ではないのではないかという気持がするのであります。私ども社会党でございますから、いたずらな公務員の意味のない首切には反対をいたします。併しながら私ども右派社会党は行政の合理化ということには決して反対はいたさないという線を出しております。私どもが求めるのは、日本の政治機構の根本的な合理化ということには賛意を表するのであります。私どもの党におきましても熱心にその点は考えております。従いまして今行政整理の定員法をやるといたします。私どもはこの次の新内閣におきましてはこういうような程度の行政整理では大政策にはならん、おそらく私どもは日本の行政機構といいますか、行所の大改革というものは次の内閣の重要政策の一つでなくてはならん、国民は要望いたしておると思います。こういう程度のものではないはずだと思うのであります。従つてこういうような重要法案につきましては一応政局の展開待ちということが国会としては当然とるべきではないか。今現内閣というもののあり方というものが変化をしようという直前ここれらの重要法案を国会審議をこのままするということは妥当でないと考えられますが、御所見は如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/20
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021・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その点につきましては政府は多少所見を異にするのでありますが、今回の行政整理の何といいますかやり方が、成果が法案に現れている限りにおきまして十分でないということは政府としても考えております。特に機構の点におきましては今国会に御審議を願つておるのはほんの一部分でありまして、更にこの機構のあり方について掘り下げて検討をして御審議を願わなければならんと考えておるのでありますが、併し同時に次の政府が、仮に代るといたしましても、保守的な政権でありまする限り、考え方にそう度合の違いはありましても根本的の傾向の違いはないものと政府では考えております。政府でこの行政整理或いは機構改革を考えましたのは、ただ目先のことだけを考えておるのでないのでありまして、勿論こういう法案は一時に成果があがらん場合が多いのでありまするが、それにしましても長い目で見ましてこれは今後行政機構その他の発展に伴つてこういう段階を追うて行くことはよろしい、正しいという考えの下に発足をいたしておるので、次の政権、将来どういう政権が出るかということは勿論予断は許しませんが、仮に保守的な政権が続く限りこの行政整理の方法は決して間違つていないので、今の国会におきましてはその点は御安心して頂いて御審議をお願いしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/21
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022・山下義信
○山下義信君 例えば警察法案というものがどうなるが私ども詳細には存じませんけれども、なかなか衆議院の審議も難航いたしております模様で、警察法案が成立しないということになりますと忽ち今度定員法に重大な影響を来たすわけであります。警察法案が成立もしないのに定員法を審議をしても何の審議をしたかと、こういうことになる。私ども順序から申しますれば、定員法に関係ある諸法案の成立を待つて、然るのちにこの人員整理の法案を調べて行くというのが順序であるとも言えるのであります。警察法案の成り行等も甚だ不明確なように見ておるようでございますが、政府は警察法案の成立はどう考えておられますか。お見通しはどういうふうに持つておられますか、承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/22
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023・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 警察法案は御指摘のように衆議院の審議が少し遅れておりまするし、これに対する相当大きな修正の意見がちらほら出て参つておることは事実であります。併し政府はどこまでもこの法案を今国会において成立させたいという熱意を持つておるのでありまして、その法案が通らないからこの定員法の一部改正、これはむしろ待つたほうがよくないかという御意見でありまするけれども、これは関連した法案が通らんでも予算の審議が進められますると同様に、警察法も通過するという前提の下に御審議を願う以外に御審議の願いようがないのでございます。この場合だけでなしに、いつの場合にもそういうケースが出て参るのであります。今日警察法の審議が多少遅れておりましても、その点はそういうお気持でお考えで御審議を願いたいと、政府ではそのように希望いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/23
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024・山下義信
○山下義信君 予算と法律案との関係はお説のような点がありますが、私は予算と法律案の関係と、それから定員と法律案との関係は、理窟から言えば同じようでありますけれども、ちよつと違うと思う。予算はこれは一応金を出すことにきめておきましても、法律案が成立しなければ出さなく、又金額に変更を来たしましても、金でございますから又その始末はつけやすいと思う。人間はそうは行かんと思う。一遍首切りましてあと首をつなぐというわけにはこれは参りません。それで警察法が修正を受けまして都市警察を存置するということになりますと、定員法では首切ります。こちらを先に可決してよろしうございますか。そうすると首切ります。そうすると今度はそれだけ減員したものを更に増員するというようなことは、これは生きた人間のことでございますから軽々にはできないわけであります。でありますから或いは又警察法が審議未了になるということになりますとこれは又非常に影響を来たすと思うのです。それで重要な関係の法律案の成り行というものと定員法とは至大な関係がありますので、私心配している。できるだけ御協力申上げたい。この審議を促進して行く上におきまして関係の法律案、他にもございます、けれども他のものは申上げませんが、そういう大きな関係のあります、三万人の警察員の整理をしようとする警察法案の成否如何、又修正如何というようなことは重大な関係がございますので、政府はいや少々譲歩しても、衆議院においての他の党との、改進党といいますか、或いは他党との妥協をしても成立させるのだというお考えか。いや、これは審議未了になつたつて政府の方針を貫徹するのだという、警察法案に対する態度をお持ちになるということは重大な関係があります。御方針さえきまればこちらのほうはその含みで審議を進めることができます。併し政府のほうは一応形通りのことはおつしやるのだけれども、審議の実情はどうなるかわからんというのでは我々は定員法の審議におきましてもまじめな審議はできないことになる。政府の答弁をどういうふうに聞いていいかわからんということになりますので、いわば警察法案に対しまする政府の御信念というものを承わつておきますればそれでよろしうございます。それで承わりたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/24
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025・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 警察法は、衆議院におきまして政府党が十分な多数を持つておりませんし、若しそうであれば政府としましては当然に原案をそのまま無修正で通過させたいのでありますけれども、十分な多数を持つていない、そこに改進党その他の友党からの修正案が出ております。政府としましてはできるだけ政府の考えに同調してもらう努力を傾けるつもりでありまするが、併しこれは他党の関連もありまするので私がかろがろしくここで予断をすることはできません。そういう予想もありまして、この法案にありまするように警察庁に関する部分だけは警察法が通りまして施行される日から実施するということになつておりまして、人に関することをあらかじめきめるのは一種の不安を与えるのじやないか。多少のそういうことはあるかも知れませんが、併し特段の個人をどうということまでご参るわけではないのでありまして、法案審議の方法としてはこの方法をとる以外にしようがないんだ。今お述べになりました警察法に対して政府はどれだけの熱意を持つているか、これは昨年の解散になりました国会にもすでに政府で警察法改正の考えを持つておりましたし、今日の治安の実情或いは警察の占領下における経験等から是非とも警察法を通したいという熱意を持ち続けておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/25
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026・山下義信
○山下義信君 警察法案に対しまする政府の最後のお考えを聞くことができませんで遺憾であります。譲歩しても、妥協してでも成立されたいという考えがあるか、いやあくまで原案で行くという決意があるということを承ることができませんことは遺憾であります。定員法に警察法案の万一の場合の措置、逃げ道がしてありますることは本員は承知しております。そういう御答弁を承りたいのではないのであります。誠意を持つてこの定員法の審議に当りますのには警察法案の成否如何ということにつきまして政府の真意を承りたいと考えておるのでありますが、承ることができませんで遺憾と思います。
最後に伺いたいと思いますことは、この定員法に関連してでございますが、いろいろ今後審議の上に議論も出て来るだろうと思います。今回の定員法に対する政府の方針、御態度その他につきましてはいろいろ御議論が出て来ると思います。行政機構の改革であろうと、いわゆる冗員の淘汰と言いますか整理であろうと何でありましようとも、この一つの行政整理というものの根本的な態度といたしましては、要するところ公務員の本来の職務を忠実精励にやらせる、行政能力を発揮させる、そうして行政事務の効果を発揮する、これであります。内閣はこれをなさる、内閣はこれを立法府の意見を汲んで頂いて、そしてその法律を執行して行政でやつて頂くのであります。これが根本である。併しその根本にはこの行政のあり方というものにつきまして大綱というものが確立しておらなければなりませんことは言うまでもないことであります。綱紀の粛正とでも申しますか、行政部内というものが緊張して張り切つてやるということが根本です。この定員法の御改正も根本はそれでなくちやならん。いろいろな形容詞や文字で表現もできます、言葉でも言い表わせますが、根本の目的はそれでなくちやならんと思うのです。今日の政治のあり方で今日の行政部の乱脈な状態を以ていたしましては、私は非常に憂慮に堪えんものがあると思うのです。これは何といたしましても官界の大改革をやらなくちやならん、かように考えます。そのもとは信賞必罰も明らかにしなければならんでございましようし、政治の正しいあり方というものがこれが何としても高揚されてゆかなければならんと思うのであります。近来の政治のあり方に対しましては、国会を通じまして副総理にしばしば苦言を呈し、我々野党といたしましても国家のために盛んに苦言を呈上いたして参つておるのであります。政府のほうにおかれましては、そういう根本的な行政の振粛と申しますか、そのあり方につきまして何か深い対策をお持ちになつておられますか、どういうふうに考えておられますか、その点を私は最後に承わつておきたい。このことをこの委員会で承わりますのは、後に本会議で総理か何とお答えになりますか知りませんけれども、このほど来私どもが参議院の総意といたしまして法務大臣の指揮権発動に関連いたしまして苦言を呈しましたそれらのよつて来たりますことはみなことごとく、広く申しますれば政治でございまするが、行政部のあり方といたしましても大いに綱紀の振粛をやらなければならん、政治を正しい軌道に乗せて頂かなければならんということに対しまする国民の熱意を代弁したもので、ございまして、政府の御決意はどうであろうかと首を長くして待つておりますのが今日の参議院の現状であります。定員法のこの重要法案の審議に際しまして、当委員会のこの場面におきましても、私は政府の何か御名案が、何かお考えがありまするかということを、従来長く総理に代つて国会の劇務に当られた副総理から私はこの席で承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/26
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027・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今官界の腐敗という言葉がありましたが、これは私考えますのに、官界だけでなくて今回の汚職事件の起つた原因をたずねますのに、もつと広い、政界にこういう汚職の起る原因があるのだということを我々としても十分反省しなければならんと考えております。一つの例を挙げまするならば、選挙に巨額の費用がかかる、公職選挙法は事実において殆んど守られていないというような選挙界の状況、こういうことがよほど大きな原因の一つをなしておると考えます。いずれにしましても今回の汚職の問題はひとり官界のみならず、政界全般につきまして非常に考えさせられるものがあるのでございます、或いは選挙法の改正でありまするとか、或いは国会の機構の運営ですか、そういうことにつきましても一つ十分にこの機会を逸しないように検討して、日本の議院民主政治が国民の信頼を裏切らないように、今の間にいわゆる狂瀾を既倒にかえすということが我々に負わされた非常な大きな責務である、さように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/27
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028・山下義信
○山下義信君 私はこれで質問を終りますが、不正官吏の、広くは政界のも、とより粛正にあるわけでございますが、行政部におきましても党利党略にとらわれた違憲的な問題で行政部の官吏を政治力において圧迫してゆく、地方からは怒濤のごとく、それぞれ又政治権力をたよりまして陳情団が押寄せて来る、それらがみな選挙地盤の培養となり政治勢力の基盤となりまして、そうして多くの官吏がその正当な判断を誤りまして、一部の勢力に偏するような行政措置をやつてゆくというような弊も非常に甚だしいものがある、目をおおわしむるものがあるのです。私どもはそういう点につきましても、政府のほうでたとえ政党内閣でありましても、厳正な態度で勇断を以て廓清を願いたいと思いますが、政府のほうではそういう点をどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/28
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029・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お述べになりましたことは申すまでもない、伺うまでもないことで、今日の議院制におきましては政党政治、政党内閣がこれは必然の所産でありまするけれども、そのできた政府というものは党の利益をのみ図るものではないのでありまして、いわゆる国家的立場に立つてへんぱのない政治を行なつてゆく、これは私どもとしても当然そうしなくちやならんと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/29
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030・山下義信
○山下義信君 私の質問は一応これで終ることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/30
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031・矢嶋三義
○矢嶋三義君 緒方副総理にお伺いしますが、只今ここに議題になつておる行政機関職員定員法の一部を改正する法律案、これは現吉田内閣としてはいわゆる重要法律案とお考えになつていらつしやるのかどうか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/31
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032・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは政府といたしましては行政機構の改革、行政の能率化ということは総理の施政演説にもたしかあつたと思いますが、それだけにそれに関連した法案、この定員法もその一部でありまして、重要な法案でぜひ国会を通して頂きたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/32
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033・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先般の本会議では副総理は会期の延長は考えていないということを答弁されておりますが、只今承わりますと、重要法律案で、吉田内閣としては是非これを今国会で通過成立させたい、こういう御答弁でございますが、国会の会期の延長について如何ようにお考えになつていらつしやいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/33
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034・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 先般参議院の本会議で申しましたときには、国会の延長ということをまだ取上げておりませんでした。今の議案の審議の状況から見まして、実は国会の延長をしなければ重要法案通過は困難であるというところから、新聞にも散見いたしておりまするが、今どの程度の会期延長を必要とするかということについて検討いたしまして、今日は衆議院におきましても委員長会議を開いておるはずと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/34
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035・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それでは先ず国会の会期は延長されるもの、こういう立場で我々も重要法律案を慎重審議して参りたいと思いますが、先ほどお話が出ました総理の外遊は、国会開会中、延長国会中には私はないものと考えておりますがさようでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/35
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036・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/36
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037・矢嶋三義
○矢嶋三義君 吉田総理が外遊されるとすると、吉田総理は総理大臣として外遊されることを総理は希望されておると思うのですが、吉田さんが総理大臣として外遊されることに緒方副総理個人としては賛成でございますか、それとも消極的な立場をとつておられますか、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/37
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038・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 個人の意見を申上げることが適切であるかどうか、公の議事でありますから判断いたしかねるのでありますが、まあ個人としては申さないほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/38
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039・矢嶋三義
○矢嶋三義君 吉田総理は個人として外遊されるのではなくして、我が国の内閣の首班者として、外遊をされるわけです。従つて内閣の副総理としては見解を持たれておるはずで、その答弁を求めることは私は少しも過ぎたことでないと思うのです。副総理として、吉田さんの総理としてのアメリカ初め諸外国の外遊ということは如何ようにお考えになつていらつしやるかということを重ねて伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/39
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040・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは国会が終了いたしまして、総理大臣が国を離れることを許す事情になれば総理の外遊はこれは望ましいことと考えております発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/40
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041・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私も大体この質問しておるポイントは、ときの政権の座にある内閣の政策と、今問題になつておる重要法律案との関連から山下委員と同じ角度から伺つておるわけですが、だとすればこういうことになるわけです。ここに新党ができる、新党ができたならば、その新党の政策によつて今後政治が行われて行くから内閣は総辞職をする。そうして若しこの国会中に新党ができると内閣は総辞職をする。そうして吉田さんが外遊されるときには総理として外遊されることを本人も希望し、又緒方副総理もその見解に立つということになれば、今の新党運動というものは、新党ができたのちの総裁は公選ということを言われておりますけれども、吉田総理並びに緒方副総理のお考えになつておる新党の総裁は、吉田さんが総裁になるということの大前提に立つたものだという結論が出て来るわけですね、さよう了承してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/41
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042・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは今度の保守新党の構想は今は対象に改進党でありますが、自由党、改進党が解体して一緒になろうじやないかということと、それからその場合に新たな総裁は民主的公選によろうじやないかということの二つが基本的原則になつておりますので、その場合誰が総裁になるかということは予断するわけには参らないと思いますが、ただその保守新党がいつ結成されるかということは問題外にしまして、この今の政府が、この政府の考えることとして総理か外遊をする、政府がきめておるのではありませんが、総理の外遊は望ましいということで、それによつて新たな政党の総裁が必ず現在の総理大臣であるということを予断しておるわけではないし、そういうことはすべきでないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/42
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043・矢嶋三義
○矢嶋三義君 重ねて伺いますが、ごこに新党ができて内閣は総辞職をする。新党の総裁は民主的に公選によつてきまる。その総裁が新内閣の首班になります。その場合に仮に吉田さん以外のかたが総裁に公選され、新内閣の首班になつた場合に、そのかたが吉田さんに代つての、今では吉田さんが外遊されるというのですが、新たに新党の総裁として公選され、新内閣の首班になつた人が外遊される、こういうことはやはり考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/43
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044・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) そういうことは、新たな総裁になり、総理になる人の考えもありましようが、私今の予断としては予想されません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/44
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045・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今総理の外遊ということは政府できめたことでなくて、吉田総理の個人の云々ということを言われておりますが、これは終戦後約十年になんなんとして日本も独立して、最近諸外国といろいろ条約、協定を結びつつあるこういう段階に、日本の政府の代表者として外遊は必要である、こういう見解の下に話が進まれていると我々は了承しているわけです。従つて吉田さんが総理として外遊される。それから新内閣の首班が別の人になつた場合に外遊されるかどうかということは、それは私は今の緒方副総理としては御答弁できることだと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/45
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046・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 答弁をしておるつもりなのですが、吉田総理が外遊されるということはわかります。併し政府できめていないということは、無論政府できめるのですが、国会も開会中でありますし、国会はいつまで延長するかもわからないので、今の段階として政府としてきめるべきでないということから決定していないというだけであります。
それから吉田総理は占領期間を通して数年に亘つて日本の実際の行政に当つて来た人、言葉が悪いかも知れませんが、日本の実情を最もよく知つている実力者、その人が仮に個人の資格でも外遊されることには相当の期待が持てると思います。
いまもう一つの問は、そうでない場合、これは何びとが新たな党の総裁になり総理になるか知りませんが、ただ総理であるからということで外遊するということは、それほどの意味はないと思います。今、何か日本の総理大臣が外国に出て、イギリスとかアメリカとかで国際会議に列席をする、或いは特段の条約を結ぶという目的はないので、こういう意味から私の考えとしましては、この占領期間を通して日本の行政に当つておつた吉田総理が、総理の資格にしろそうでないにしろ外遊をするということは意味がある、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/46
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047・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はこの法律案は、内容的には後刻質疑もあるし審議して参りますが、今の政局と併せ考えるときに、次の機会に行政機関の機構並びに定員法は審議すればいいのじやないか。それは適当じやないかという見解を私は持つておるわけです。従つてその立場から更に伺うのですが、緒方副総理はつねづね政局の安定その他から新党というものは是非結成されなければならない。そして本国会中にもこの志を遂げたい。こういう気持でおられるということは我々承知いたしております。となりますと、曾つての選挙の当時のことを考えましても、その新党によつて長く政治が運ばれて行くべきものではなくて、一刻も早く私は国民の総意に問わなければならない。先ほど緒方副総理は国政は支障のないときと、こういう表現で答えられておりますが、これは先般の指揮権の発動についてもわかりますように、政府の見解というものは随分近頃私はおかしな見解がちよいちよい現われて来ておると思います。従つて私はここで明確に伺いたいのでありますが、新党ができた場合に、その新党の総裁によつて新内閣ができた場合、その内閣の手で昭和三十年度の予算を審議するところの通常国会を召集するということは私は絶対あり得ないと思います。国政に支障のないときとかいう口実の下にここに幾つかの党が解党してそして新らしい党ができる。そうして内閣を作つて行く。その内閣の手で通常国会を召集するということは私はあり得ないと思いますが、この点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/47
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048・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) それは解散というものに対する考え方がいろいろあると思いますが、今仰せられましたのは総選挙というものは国会の解散の結果でなければできない、国会開会中でなければ解散はできない。従つて総選挙はできない。従つて新たな内閣ができようもないというお考えでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/48
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049・矢嶋三義
○矢嶋三義君 新たな内閣ですね。その内閣で私は昭和三十年度の予算を審議するところの通常国会ですね、これは国政に支障があるから、それで国民の総意を問うことなく新党で新内閣を作つて、そうして三十年度の予算の審議をするところの国会に臨むということは私はこれは考えられないと思います。政策の違う政党が解体してそして新党を作つたわけですから、だから昭和三十年度という新年度の大きい政策を織込むところの予算を審議するところの通常国会をその内閣で召集するということは、これは私は主権在民の民主主義という立場から許されないことと思います。その前に必ず国民に新党の政策を掲げ、国民に総意を問うて、然るのちに新年度の予算を編成し国会に上程されるべきものだとこういうふうに私は考える。これに対する副総理の御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/49
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050・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 理論的に言えば正しくその通りであります。ただその内閣を主宰する人がどういう考えを持つか、それは人間もきまつていないので予断することはできませんが、理論的にはその通りだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/50
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051・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私はお互い法治国に住んでおるのですから、理論的に筋の通つたやり方を常にしてもらわなければならんと思うのです。それで余り話が拡がつて行かないように本法案に戻して申しますが、例えば先ほど出た警察法については、新党を作ろうとするところの自由党と改進党の意見がかなり根本的な面について食い違つています。それは今後衆議院で如何ように審議されて参りますか、更に参議院において波乱万丈の審議過程をたどるでしようが、それは附則一項において「警察法施行の日から施行する。」となつておるから、その人員整理の問題は起らないのです。けれども他の例をとれば国家公務員法の一部改正法律案、人事院廃止の法律案、これなどもまだ衆議院で上つていない状況です。相当期間国会を延長しなければこの法律案は衆参で成立しない状況ですが、ところがその実施は四月一日ということになつておるわけです。従つて首切り法案であるこの法案と、それらの機構改革の一部でありますけれども、それらの内容を持つこの法律案の関係は極めて密接だと思いますけれども、筋の通つた理論的に正しいことをやつてもらうために伺うのですが、この法律は四月一日施行になつております。ところがこの法律立はまだ衆議院で通過成立しないのに、政府においては四月一日付乃至は三月三十一日付ですでにこの法律案が通つた前提の下に政令或いは省令、こういうものを出しておるということは、これは立法府にいる一人としては許しがたいことだと思うのでございますが、内閣の主権者として如何ようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/51
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052・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) そういう政令は一つも出ていないそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/52
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053・矢嶋三義
○矢嶋三義君 出ていないということになれば、一つの例を申上げますが、丁度文部大臣もお見えになつておるから伺いますが、文部省は三月三十一日付の政令第四十三号としてこの法律が成立した後の国家公務員である学校教職員が減員されたものを基準としての政令を出された。ごていねいにも行政機関職員定員法改正後の数によつておりますということまで付加しております。これは立法府を無視することも甚だしいと思うのです。これが事実であつたならば、立法府に対して釈明すると同時に直ちに撤回して下さい、答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/53
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054・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この国会に文部省から国立学校設置法、この法律を提出してそれは可決成立しております。従来国立学校の先生の定員は一々法律できめることになつております。これは年々予算が変りますから殆んど毎年法律によつてその定員をきめることになつております。今回の成立した法律によりましてそれは政令できめる、こういうことになりましたので、その法律の成立に従つて政令を公布したわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/54
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055・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは答弁にならないと思うのです。国立学校設置法の一部を改正されて今まで各大学別に定員が法律として規定されておつたものが、今度の法の改正によつてそうでなくなつて政令によつてきめるようになつた。これはともかく多数決で国会を通過した、その通りでございます。その場合の政令はあくまでも法で定められているところの定員内でならなければならんわけです。ところがこの法律が今度国家公務員である即ち国立学校の教職員については約二%の定員減をやつおりますがその定員減をやつて即ちこの法律が通過した数に基いて政令を出されているんですから、これは許すべからざることだと思うんですよ。打合せされる間にもうちよつと申上げますが、国立学校の定員減については問題がございますよ。あとでずつと伺いますが、事務の再配分とか、行政事務の整理とかいうようなことを行政整理の一つの方針として挙げられていますが、大学の助教授とか講師に一体事務の整理とかいうことがあり得るのかどうかということですね。従つて大学の教職員の二%の天引削減には相当の私は意見を持つているものです。従つてこれは質疑もし場合によつては国会で修正をしなければならんとまで考えている。ところがもうすでに政令として員数によつて各大学に通知を出され、政令を出されているわけです。これは吉田内閣総理大臣としては立法府にあやまつて然るべきです。と同時に直ちに撤回されるべきです。先ず出しているか出していないか、その点から伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/55
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056・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 政令が出ています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/56
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057・矢嶋三義
○矢嶋三義君 緒方副総理の答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/57
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058・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 事務当局から政令は出ていないということを申上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/58
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059・矢嶋三義
○矢嶋三義君 出ているという答弁ですが、出ているということを前提として、内閣の責任者として立法府に対して答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/59
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060・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 国立学校設置法におきましては、予算によつてきめられたそれに基いて従来は法律できめ、今度は政令できめることになつておるわけです。その場合に、国立学校設置法におきましては、この行政機関職員定員法のきめられておる定員の範囲内においてきめます。こういうふうに国立学校設置法の規定ができているわけですから、従つてこの法律が先ず成立いたしませんでも従来の法律の範囲内であれば法律的には差支えない、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/60
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061・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣は文部委員会で、衆参においてうまいことを答弁したものだから、内閣委員会に来ても何とか心臓で押し通そうとしておるのですが、そういうことは許されんですよ。文部大臣あなたは判をついて政令を出すに当つて、文部省の定員を六万一千九百二十一人のこの二%整理するであろうこの内容でやつておるわけですよ。現在の定員法というものは、そういうものになつていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/61
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062・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) ここに今度成立した国立学校設置法の一部を改正する法律……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/62
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063・矢嶋三義
○矢嶋三義君 わかつて、おりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/63
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064・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この中にこういうのがあります。第五条のうちに『第九条中「別表第一及び第二による。」』こういう従来あつた法律を「行政機関職員定員法に定める国立学校の職員の定員の範囲内において、政令で定める。」こういう規定が今度できた。「行政機関職員定員法に定める国立学校の職員の定員の範囲内において、政令で定める。」こうなつておりますから、この職員定員法をこえて政令できめることは勿論できませんけれども、その範囲内であれば差支えない、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/64
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065・矢嶋三義
○矢嶋三義君 詭弁も甚だしいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/65
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066・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 範囲内とあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/66
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067・矢嶋三義
○矢嶋三義君 範囲内というのはそれは詭弁ですよ。あなたは定員法で定員がきまつたらその定員を各大学に必ず配置しますよ。私はその定員の範囲内とか何とかそんな字句でごまかすようなことは文部大臣やめようじやないですか。私そんなことを言つたら叱られますよ。なぜかといえば、これはわざわざ行政機関職員定員法改正後においてとなつております。国会で通過していないのに、如何ように国会で修正され、成立するかわからないときに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/67
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068・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それは何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/68
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069・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これはあなたのところで出した通知ですよ。とにかく法律が成立しない前にすでに法律の成立を見越して、この政令はあなたが出したというだけは間違いない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/69
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070・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは予算が成立しておりますから予算に合せて政令を作つたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/70
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071・矢嶋三義
○矢嶋三義君 予算が何が成立しましようが、ともかく当面のこの大学の教授以下雇員まで配当するところの基礎になるものは何と言つてもそのときに適用されておる定員法です。定員法によつてやるわけですからね。それはその定員法が国会で審議中であるのに、すでにそれはもう成立したものとして、通知ならまだしも政令まで出しておるというこういう行き方。更に申上げますが、補助金打切りの中に、教育の学校の教科書の打切りが入つておるわけです。ここは内閣委員会だから多く申上げませんが、吉田内閣の天野文部大臣が、小学校の一年に入つた生徒だけにでもせめてお祝として国費で教科書を無償で与えて、当時の天野文部大臣の言葉を借りて言えば国民的な自覚を喚起したい。こういう教育的な立場から教科書無償の法律を作り予算を組んだのですね。それを今度大達文部大臣の手で、補助金整理の諸法案の中の一つとしてあれを切つたわけですね。ところがこの法律はまだ国会成立していないじやないですか、ところがあなたのほうでは、都道府県に対して今年の新入一年生には教科書を無償で供与することは取りやめにする予定だから、そういうふうにしようという通知を出しておられる。これは考えてみれば、そのほうが幾らか今問題になつておるよりか軽いのですけれども、今の全国小学校一年生というものは四月一日に入学しておる。そのときには法律があつたのですからね。堂々と国から法に基いて教科書を無償で頂くところの権利がありますよ。その法律が未だに成立していないのに早々とこの二月中旬頃通知を出されておる。こういう点は全く行政府のやり方というのは私は立法府を無視していると思うのですね。こういう行き方を緒方副総理は如何ように考えられますか。ともかくもこの政令は撤回してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/71
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072・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/72
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073・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あなたは副総理になつていないじやないですか、副総理に聞いているのです。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/73
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074・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私に政令を出したことはないそうですという答弁を撤回してあやまれという目的のようですが、まだ根本の何が私、頭に入つておらないし、まだきまつてないようですから、それがきまつた上で、取消すなら取消す、あやまるならあやまると、その根本の事実がきまつていないのですから、発言のしようがないから、先ほど来だまつておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/74
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075・矢嶋三義
○矢嶋三義君 あとで申上げたのは、まあ一般的に立法府の審議権を無視した行政府のやり方というものが最近露骨になつて来たと、これに対して副総理としてどういうふうにお考えになるかというのと、それから法律ができない前にこの政令を出したということは事実です、はつきりしたのです。従つて私は、これに対してはあやまるべきであるし、又この政令を撤回すべきであると思う。もう一つ例を挙げれば、運輸省設置法の審議のときに問題になつたのですが、口之津に海員学校を作るのに、国会で海員学校設置という法律がきまつて初めて予算が執行さるべきであるのに、その法律ができる前に予算を執行して家まででき上つて試験までしてもう入学通知を出すばかりにして、そしてこれから設置法を御審議願いたいと、こういうように運輸省の設置法の一部はこういう内容を持つて国会に臨んで来られた。こういう例を挙げると数限りなくあるのですよ。従つて私は、副総理としては閣議で何らかの発言をしてこういう点は抑制してもらいたいですね。すでに出された政令のごときは私は撤回して頂きたい。これに対する答弁を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/75
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076・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 数限りはないと思いますが、今の運輸省の事実、これも私この場で承知しておりませんので、政府を代表して何か発言せよと言われますと、軽々は発言できませんから、あなたの言つておられることを疑うわけではありませんが、よく事実を調査した上で御答弁をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/76
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077・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣のほうはどうですか、文部省のほうは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/77
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078・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この予算と関係する法律案が予算の審議と歩調を合せるということは、実際の行政の上から申しますと、そういうことは非常に望ましいのでありますが、実情はいろいろの事情で、必ずしもそうなつておりません。そこで今お話になりますような各省の事務のやり方が、少くとも予算のきまらないうちにどうこうということはできませんが、法律案との関係で多少その点が違うようになるということは、これはあり得ることでありまして、この点は認めざるを得ないと思います。ただ決してこれが国会を無視するとか何とかそういうことではないのでありまして、先ほどお述べになりました教科書の問題でも、これは従来はお話のように新学年の初めに算数と国語、この二種類の教科書を無償で交付しております。ただこれが新学年早々に無償交付するのでありますから、どうしても多数の新入の児童に対して交付するにつきましては、いろいろの準備があります。二月から準備にかからなければその場に間に合いませんし又混乱をする。でありますから二月から従来準備をしまして渡しておつたのであります。ただこの二十九年度におきましては、その予算が遺憾ながら緊縮の関係で削減せられておりますので、法律がまだきまらないのでありますけれども、併しそれはあらかじめその点を通知をしておきませんと現場の混乱が起りますので、さような意味で通達を出して、あらかじめ心がまえとしてそういうことを通知しておいたのであります。予算の関係上という字句は使つておりますけれども、それが確定的にそうであるという印象を与えるような通牒でありまして、その点は事務上不用意であつたと思います。さような事情で予算がないのでありますから、どうしてもこれは予算のないものにさようなものを交付するということはできませんから、これはまあ法律が成立していなければ法律違反になるというような問題も起り得る問題でありますけれども、事実上さような実際上の事務的な混乱を防ぐためにあらかじめそれを通知をしておく、そうなる見込だから意味の通牒であつたのでありますけれども、それが予算の関係上そうなりましたからというような文句でありますことは、これは事務的に不適当な文句の使い方であると思います。意味は、そういう意味だからということをあらかじめ通達するという意味であつたわけであります。
それからこの政令の問題でありますけれども、これも定員法そのものが、まだきまらないのでありますから、国立学校設置法においては、定員法に定める職員の定員の範囲内において政令できめると、こういうふうに定められておつて、定員法そのものがまだその改正が成立しておらんのでありますから、これもでき得れば定員法が成立した上で政令を出すということが一番形が整い、そうあつたほうがよいのでありますけれども、併しこれもやはり予算の関係がありまして、定員の改正をしなければならん、四月一日から施行しなければならんわけであります。併しこれは定員法の改正が成立していない限りは現在の定員法がつまり現行法でありますから、その範囲内において政令できめるということであれば、今回きめた政令の内容というものは、やはり定員の範囲内においてという枠を逸脱していないのでありますから、まあ恰好から申しますと全部揃つた上で出すのがよいのでありますけれども、やはり定員というようなことは、予算の経理の上の問題でありますから、どうしても四月一日に間に合うようにしなければならん。今のように、ただ政令そのものが違法であるとかいう問題は起らないと思います。現在の定員法に定めておる職員の定員の範囲内において政令できめておるのでありますから、ここにありますことを基準にして書いてあることは間違いないのでありますから、その点は違法とか何とかいう問題は起らない。
ただ先ほどお読上げになりました、実は私それをよく知らなかつたのでありますが、定員法の改正の関係でそういうことになつたということが書いてあるとすれば、これはまあ政令にさようなことが書いてあるはずはないと思いますけれども、恐らく通牒か何かの文句にさような字句があつたのだろうと思いますけれども、これも事務的に申しますと正確を欠いておつたということはあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/78
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079・矢嶋三義
○矢嶋三義君 先ほど委員会の申合せがありましたから、これ一つで一応打切つて本会議場に入りますが、併し今の大達文部大臣の発言は重大だと思うのです。あなたのような御発言だと、予算が通過すれば法律審議というものは要らないというように極言されますよ。予算が通過しておらないから四月一日から施行しなければならんと言いますが、この法律は成立しておりませんから四月一日から施行されませんよ。これはあとで行政管理庁長官に一般的にどういうふうになつておるかということを聞きますが、四月一日から施行しなければならんから通牒を出した、政令を出したと言われますが、まだこれは成立しておらないのです。成立しておらないのですから旧定員で人件費を支出しなければなりませんよ。この原案が四月一日施行となつており、予算が通つたからというようなことで行政府のほうで執行されたのでは、会の審議というものは無意味になつてしまいますよ。これは私は相当根本的な不都合な御意見だと思うのですね。それから又定員の範囲内で云々とあるからということでありますが、定員の範囲内でやるというような法律なんかありますか。定員の範囲内とあるからこれはやつたらいいというようなことは、定員の範囲内という法律があるかのように言つておりますが、そんなものはありません。定員の範囲内と言いますから、あなたのそれは詭弁になると思うのです。時間のようですから。ともかく出された政令と、それに伴つて出された通牒を各委員に資料として出して頂きたいと思います。委員長、私は一般質問はずつとあるわけですが、本会議のベルが鳴れば緊急質問の間だけ休憩するという申合せのようですから、これで一応終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/79
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080・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは暫時休憩をいたします。
午後零時五十一分休憩
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午後三時十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/80
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081・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは休憩前に引続いて委員会を開会いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/81
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082・矢嶋三義
○矢嶋三義君 休憩前に引続いてお伺いいたしますが、従つて内容も先ず休憩前に質疑しておりました点で結論を得ていない部分について、更にお伺いいたしたいと思います。先ほど私は立法府の審議権を行政府によつてとり行われる処置との時間的関係と、更にそれにもましてやはり行政府の第一線で働かれているかたがあくまでも立法府の審議権を尊重して、立法府の意思を十分尊重して行政に携わるという基本的な考え方というものがどうも最近欠如しているように思う。それを私は非常に基本的な問題と考えますので、文部省の政令を例に、更に運輸省設置法を例にお伺いしたわけでありますが、先ほど緒方副総理は調べて答弁しようということであつたのでありますが、重ねて私はこれを伺いたいと思うのであります。さつきの休み中に石井運輸大臣にお伺いになつたかどうかわかりませんが、お伺いになつておればそれ、お伺いになつておらなかつたならば更に私、事態を明白に申上げますが、運輸省の設置法の一部改正のときは、本院でもあの法律を通すときに附帯決議までやつた。その内容は一年前の国会で予算だけの承認を得ておいて、そして予算を執行して家まで作つて生徒の試験までして入学するばかりにし、一年後の国会に学校設立の即ち運輸省の一部改正法律案を出して来た。こういう私は手はずというものはあり得ないと思うのです。
それから只今のちよつと私が一つの問題として提起しました文部省から出されました施行令にしましても、はつきりと今まさに審議を始めようとしておるこの定員法が成立したものという前提に立つて出されているわけです。こういう点は十分私は今後心して頂かなければならん立法府と行政府の基本的な問題だと考えますので、重ねて緒方副総理に午前に引続いてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/82
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083・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 休憩中に運輸大臣が見えないので会うことができなかつたのですが、運輸省設置法に関する今の御質疑に対しましては、よく事実を突きとめまして御答弁したいと思います。大体わかつておるところでは少し運輸省の計らいがよくないと思いますから、改めて御答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/83
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084・矢嶋三義
○矢嶋三義君 文部大臣に伺いたい点はいろいろあるのですけれども、今の点だけ一応片付けておきたいと思うのですが、文部大臣は言葉の言い廻しで何とか私を丸めようというような態度に出られていますが、範囲内で云々とあるからやられたと言われますが、今あなたから頂いた資料によりますと、この法律の六万千三百六十九人にぴしやつと合つているじやないですか、数字が。一人も違つていない。六万千三百六十九人にぴつたり合つているのです。あなたのほうで出した政令はこれは新たに定員法が通過したということを前提に出されているわけでしよう。そういうことはやはり私は慎んで頂かなきやいかんと思うのです。その点が一つと。
それからさつきの大臣の発言から私ここでやはり更に伺わなくちやならないのですが、さつき大臣の言葉から出ました国立学校の設置法の一部改正は、この国会で行われたからということがありましたね。従来は各大学の定員というものは法律でぴしやつときまつておつた、だから大臣があの大学の定員を少くしよう、動かそうと思つても、これは法律事項でできなかつたわけですね。それを今度政令事項にしようというようなことで提案して参つたわけですね。これ自体は私は随分問題があると思うのですが、更に先ほど大臣は定員の範囲内であるから云々ということを非常に強力に発言されているのですが、そういうことになりますと、これが前例となつて定員の範囲内だからというので、今まで法律事項でやつていたやつを今度は政令事項にしたから、大臣はあの大学の定員を定員の範囲内だからと言つて少くする、この大学は少くするということは自由自在になるわけですね。これはちよつと話が延びるようですが、やはり大学の自主性というものに相当私は影響して来ると思うのです。将来は恐らく大学の事務局長とか学長は、範囲内なら大臣が政令事項で如何ようにでもできると、こうなつたのだから、いつうちの大学の定員が減らされるかも知れんという気持で、従来の文部省と大学との関係というものはぐつと変つて来て、大学の自主性というものは私は侵されて来るのじやないかとこういう心配を、大臣の先ほどの定員の範囲内でやつたのだから云々ということから私は感ぜざるを得ない。こういう議論というものは、この国会で文部省設置法の一部改正、国立学校設置法の一部改正が審議された場合に論ぜられたことなんですが、私はこれは非常に遺憾なことだと思うのですがね。従つてこういうことは再び繰返されてはなりませんし、大臣としては私は遺憾の意を表して頂きたいし、又出された政令については少くとも通牒を出されて、その趣旨が那辺にあつたかということを明確に私はして頂きたいと思うのです。如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/84
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085・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは午前中にお答えいたしました通りでありまして、今度成立しました国立学校設置法によつて政令に委任せられましたので、それに基いて政令を以て定員をきめたのであります。その以外に別に他意があるわけではございません。今この職員定員法の数にちやんと合つているじやないか。これは決してこの法律に合わせるというよりは、むしろこれは予算に計上してある数字がこの数字を基礎にして予算に計上してありますから、政令におきましてもそれを基礎として政令の規定をきめた、定員をきめたわけであります。従つてここの法律にある六万一千四百九十七人ですか、これもやはり予算と照応しておるものでありますから、これはみんなそれぞれ数字が合うのが当り前であります。内輪にきめるという意味ではないのであります。ただ現行法の範囲を超えて政令できめるということは、これは到底できないことであつて、現行法におきましては六万三千七百五十二というのが定員であります。従つてその範囲内であるところの六万一千四百九十七人、この数字を政令できめるということは少くとも法律上の問題は起る余地はない、かように考えております。でこれがみんな一致することは、これは予算がそういう数字になつておりますから自然これが一緒に一致するのが当り前である、こういうふうに考えております。決してこの法律がまだ成立しておらんのに、その成立していない法律を基準にしてという意味ではありませんから、その点は重ねて御了承を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/85
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086・矢嶋三義
○矢嶋三義君 予算がそうなつておるのですから、予算とこの六万一千四百九十七人と合うのは当然です。それは当然ですよ。ところがあなたのおつしやるようなことを言えば、予算が通ればあとは何も審議が要らなくなりますね。若し我々が、これは文部省を今例にしているわけですが、この内閣委員会でこの定員法の原案を大修正してですよ、或いは運輸省に無理があるとか、或いは農林省に無理がある、文部省に無理があるというようなことが修正するということはあり得ることなんですよ。でこの法律が通過したものとして、すでにあなたのほうで政令を出した、その政令に基いて学校は整理をした。ところが法律は原案のまま通らないで修正されたというような場合は、そういう、さつきも山下議員が触れられておりましたが、人をやめさせる云々ということは非常に困難が起つうきまれば行政府としてはそういう方向でやればいいという考え方が最近各官庁に、私は特に文部省には強いと思うのでありますが、午前中もちよつと触れましたが、教科書の問題でも断定的に書いてあるでしよう。小学校教科書の無償交付はやめることになつたからという過去形で書いて地方に通知して処置さしておる、こういうことは立法府の審議権を無視したものだと思うのであります。行政府としては反省して然るべきじやないかと思うのですね、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/86
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087・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この政令にここに資料として差上げました通りに、定員法の職員の定員の範囲内と、こうありますから、そうしてこれは勿論現行の法律を基礎としてその範囲をきめる。その範囲内というのが現行法を基礎とするということは当然であります。先ほど申上げましたように、現行法は六万三千という数字であります。であるからして六万一千人、国立学校の六万六人という数字は、これは当然に現行法の範囲内でありますから、これは政令を出すことは、この法律の成立とは関係がないと私は考えております。無論国会で現行法を改正をせられてそうして定員が非常に減るということになれば当然その政令も変えなければなりません。併しその政令が出た当時の現行法は、現在のこの一部改正法律案が成立する前の現在の職員の定員法でありますから、これは六万三千という数字が謳つてあるのだから、従つてこの点に法律上の問題は私は起る余地がない、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/87
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088・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は精神的なものを言つておるのですよ。はつきりとこの法律が成立したものという前提に立つていることは間違いないのです。そうでなければ数字が合うということはないのです。私はそういう心掛けがいけないということを言つておる。それが一つと、それからそういうふうに大臣が範囲内でやるから云々ということになれば、先ほど言つたような心配が将来起つて来るわけですよ。具体的に聞きますが、例えば昭和三十一年六月三十日までに六万六百八十七人という定員になることになつておりますが、そうすそとあなたは範囲内で政令をきめるというのだから、六万六百八十七人の範囲内なら自分の好きなように政令をこしらえて各大学に定員を割当てる場合もあり得るというような考えでいらつしやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/88
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089・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これはこの国立学校設置法の改正の場合において、文部委員会でも詳細にその点を審議しておつたのでありますが、これはそれぞれの大学における具体的な定員を積上げて、そうして総体の数が出るのでありますから、それを政令によつて勝手自在に減らしたり又片方をふやしたり、そういうことはないのであります。その点は文部委員会においてもそういう点を懸念せられていろいろ御審議があつたのでありますが、その点は十分御了解を頂いたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/89
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090・矢嶋三義
○矢嶋三義君 じや定員ぎりぎりで政令はこしらえますね、そういう意味ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/90
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091・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そうです。それはもう機械的に実際の数字がきまつておるのですから、それを勝手に動かすということは事実上できないことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/91
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092・矢嶋三義
○矢嶋三義君 その通りだと思うのです。この件は長くやるのはばからしいから切りますが、でなければ大蔵省に今後予算要求なんかできやしませんよ。定員できまつただけをフルに、範囲内だからといつてそれは範囲内で割当ててフルに、定員と合わないようだつたら大蔵省は必要ないのだろうと言つて、次の段階では予算が切られてしまうのですから、だから定員をフルに割当てることは、これは必ず行われると思うのです。従つてあなたのところでは今度は六万千四百九十七人と新定員法で政令をこしらえたわけであつて、これはまあ範囲内となつておるから法律的には云々だと言われていますが、恐らく四月一日にこの法律は施行されるであろう、こういうふうに事務当局は予想してやられたのだと思いますが、そういうやり方は今後私は注意してもらわなければならん、そういう心掛けがよろしくないということを申上げておるわけです。この問題にせよ或いは教科書無償、打切のときにせよ、或いは運輸省の設置法に見られた行政府の態度にしろ、これらの点については十分今後注意して頂くように要望いたしておきます。これで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/92
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093・堀眞琴
○堀眞琴君 関連して、只今矢嶋君から国立学校の問題がちよつと出ましたので、私二点ばかりお尋ねいたしたいと思います。一つは文部大臣としては大学の自治というものをどのように考えていられるかという問題です。私が申上げるまでもなく、大学というものは古い伝統の上に立つて、そうして少くとも大学に関する事項については大学の教授会というものが権威を以てそれを決定するということが、外国では勿論でありますが日本でも行われて来たわけですね。で、ところが最近の傾向を見ますと文部省がこれに対して非常に干渉がましいような態度をとつておるというようなことが見られるということです。
もう一つの問題は、今度の定員法によつて相当の首切りが出るわけです。併し、これも文部大臣は御承知だと思うのですけれども、国立大学が非常にたくさんできまして、どこの大学でも大体において講座の一応の名目はできているのだが、それを満たすべき教授、助教授の数が極めて少いというようなことは、もう文部省のほうでおわかりだと思うのです。現に私も学校におつた関係からよく学校のことは知つておるのでございますが、例えば私の専門に関する学問の範囲でも、国立大学のほうでそういう教授、助教授が足りないというので、まあ推せん方とかというようなことを頼まれたこともつい二、三年前までしばしばあつた。私自身にも出ないかという話すらあつた。今でもそういう状態です。その状態は少しも変つておらんのです。今度の定員法では助教授以下を首切るということになつておるのでございますがね。ところがあの教授、助教授のあの地位というものは、非常にほかの人にはわからん非常に特殊なものなんです。教授が何人いるからこつちの講座をこれに担当することができるのだというような、そういう機械的な考え方ではこれを解決することができないのです。ところが文部省のほうではこれを機械的にここは助教授を何名切るとか、講師を何名切るとかという形でこれをやろうとしておる。こういうことでは果して一体日本の学問というものを育て上げることができるだろうかということが心配になつて来るわけです。この二点について丁度いい機会ですから文部大臣から御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/93
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094・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 大学自治の問題でありますが、これは勿論学問研究の自由ということを確保する意味におきまして、大学の自治というものは無論これを尊重しなければならない、かように考えております。現在におきましてもやはり教授会においてすべてを決定をするということになつておるのであります。文部省といたしましても大学側からのいろいろ相談がある場合には無論相談に応じますけれども、文部省から干渉するというようなことのないように努めておるつもりであります。将来とも大学の自治ということは十分尊重して参りたいとこう思つております。
それから定員法のこの大学の教授、助教授先生がたの整理でありますが、御承知の通り従来、只今お話になりましたように、大学は他の官庁と殊に事務職員なんかと非常に性質が違つておるものでございますから、これは余り整理の対象にされるということは好ましくない。従つて、従来におきましても整理の対象外ということにされて、たいていの整理の場合にはそういうふうな扱いになつておつたと思います。ただ今回の整理におきましては全然除外例を作るということはいろいろな関係でなかなかむずかしいということでありまして、私どもとしてはできるだけこの大学の先生の整理は実はしたくなかつたのでありますが、まあ最低の率として二%程度、それも三カ年に亘つてそれだけの整理をするという、まあ最小限度の整理ということでこの法律の改正案が出ておるのであります。ただ大学におきましてはお話の通りであります。大学の先生というものは、無論学問その他において立派な先生の資格のある人ばかりでありますから、ただ誰でもそこの席を埋めるというわけにはなりません。立派な資格を持つた実質の立派な学者でなければ困りますからその関係で簡単に人を得がたいという事情があつて、実はいつも或る程度の欠員のあるのが実情であります。でありまするから、この場合におきましてはこれは常時或る程度の相当多い欠員がありますから、ここで形式上少しばかり整理することになりましても、実際におきましては実員を減らすというようなことはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/94
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095・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今の問題は、これは文部省の定員関係を審議する機会もありますし、それから又文部大臣にも後刻その機会があると思いますので、私もその点はついでにお聞きしたのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/95
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096・八木幸吉
○八木幸吉君 あなたが終つたら私もついでにお聞きしたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/96
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097・矢嶋三義
○矢嶋三義君 今私のやつているのは法の施行と時間的関係をやつておりますのでその関連ならば一つやつて下さい。各省の内容的なものは後日やる機会があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/97
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098・八木幸吉
○八木幸吉君 それは新党問題ですが、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/98
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099・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは私もう少しやりましてから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/99
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100・八木幸吉
○八木幸吉君 それではいいときに五分ばかり頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/100
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101・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そこで塚田行政管理庁長官に伺うのですが、この法律は四月一日から施行ということになつておりますが、更に臨時待命は四月一日から六月三十日までの間において、或いは希望者に、或いは希望者外の者にも強制的に臨時待命を命ずることができる、こういうことになつているのですね。先ほどからの質疑の一端を見てもおわかりになります通り、文部省のほうといたしましては精神的に実質的にすでにこの法が通過したものとしてもうすべり出しているわけですから、動いているものはこれは大臣が何と答弁しようと動いているわけであります。行政管理庁長官として各省全般的に如何ようになつているか、その点ここで伺つておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/101
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102・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは文部省のように特殊な又公立学校設置法というものの規定に基いて措置されるようになつているものがありますので特段のことになつたと思うのでありますが、一般的には新しい定員法のこの改正が行われますと、これによつて数がきまり、従つてそれを予定して予算も組んでありまして、これはもうすでに両院を通過して国会の御意思がきまつているのでありますが、併しもう案が通りますまでは措置ができませんので非常に不便を忍んではおりますが、まだ措置をいたしておらん次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/102
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103・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それで結構です。
私どもこれから慎重審議してどうしても無理なところは、若干他の会派の方々と御相談して、場合によつたら修正しなければならんものだというように内容的に考えているわけで、文部省がとられたようなこの法律がすでに通過成立したというような仮定に立つて物事を運ばれては、人をやめさせるというような又内容を含んでおりますので元には戻られないわけでありますから、十分その点は管理庁長官として御注意おきを願いたいと思います。
それから午前中に引続いての問題としてもう一、二点緒方副総理に伺いたいのでありますが、やはり機構の改革それから人員整理、こういう問題も現在の政界の粛正というようなものとは私はやはり国民の立場から立つて考えた場合には不可分の問題だ。こういうふうに考えますし、緒方副総理も現在の政界というものを立直して、国民に政治に対するところの信頼感を一刻も早く回復するように更に強化しなければならないという立場に立つておるというようなことも御言明あつたわけですが、私はそれに関連してここで簡単に具体的に伺いたいのですが、先ほど副総理は選挙法の問題にも一部触れられました。確かに国民の世論としては金のかからない選挙法の改正というものが欠くべからざるものだという一つの世論化しております。その一つの最も重要なポイントとして連坐制の強化というものが識者の間にも政治家の中にも叫ばれているわけです、現政府はこういう連坐制の強化というものに賛成かどうか、これを一つ伺いたい。
それからもう一つは、現在の行政機構のあり方からも起つて来るわけですが、最近の収賄事件みたいなものが起つて来る要素がそこにも私はあると考えます。従つてこれも国民的な世論の下にあつせん収賄罪の問題が提起されて、衆議院では今議員立法で審議過程にあるわけですから、こういう立法について現在の吉田内閣としては賛成なのか反対なのか、如何ようお考えになつていらつしやるのか、この二点簡単でいいですからお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/103
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104・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) まだ政府として公式の協議も決定もしておりませんから政府としてのことは申せませんが、私個人としてはどつちも実施すべきである、規定すべきである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/104
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105・矢嶋三義
○矢嶋三義君 もう一点伺つて八木委員の関連質問して頂きたいと思うのでありますが、それは先ほどから行政府と立法府の関係とか、或いはとられたる行政府の措置が法律的には違反していないというような質疑応答があつたわけですが、こういう問題が出るたびに私が頭に浮ぶことは、これは防衛二法案関係のときにも、そのとき詳しく伺いたいと思うのですが、例えば憲法解釈につきましても私は最近の政府の法律等の解釈、それによつての処置には割切れないものがたくさんあつてどうも釈然といたしかねる点がある。従つて私はここで本日本会議もあつたことですからただ一言伺いますが、副総理としては耳がたこになるほど聞いたことでいやでございましようけれども、一つ伺いたい点は、例の検察庁法十四条の発動ですね、これも余計触れませんから、簡単に伺いますから。この問題についても国会で本会議或いは委員会を通じて吉田さんみずから、又副総理も司直の手によつて明確になれば政府は責任をとる、こういうことを再三再四御言明になつたわけです。今日も吉田総理はそれに類したことを本会議で答弁されておりました。併しこの国民の常識、通念を以てするならば検察庁で調べて行つてこの事件を明確にするためには佐藤幹事長の逮捕が必要である。こういうふうに結論が得られたということは、これは私は司直の手によつてその段階まで事が明白になつたことだと思うのです。ところがそういう段階になつて政府の一方的な重要法律案云々という解釈の下に、あの十四条を発動したということはどうもこの国会における大臣の言明と実際に取行われることとが食い違つておつて、重要法案と取組んでこれから責任ある大臣と質疑応答してそれを足がかりに審議し、又その法律が成立した後の法のよりよき運用を期する立場から審議を開始するに当つて、どうもそのあなた方の答弁に対する私自身の信頼性というものが非常に薄らいが非常に遺憾に感じているのですが、従つて本問題とそれほど直接に関係ないから多く伺いませんが、こういうふうに司直の手によつて明確になつたならば善処すると言われて、さつき私が申しましたそのような経過をたどつたことについてそれで一般の国民は釈然として納得するとお考えですか。それともやはり若干不明な点があつたというようなお気持でいらつしやるのですか、伺つておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/105
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106・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) ちよつと御質問の要点がわからんのですが、今最後にお述べになりましたようなことは例えば手紙等で両方言うて来ております。甚だ不明朗だと言うて来るのもあれば、これで重要法案を是非通してほしいというようなことも言うて来ておりますが、御質問の要点はどういうのでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/106
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107・矢嶋三義
○矢嶋三義君 私は審議するに当つて大臣の答弁というものは責任を持つてもらわなければならんし、こちらも大臣の答弁は信じて行きたい。そしてその責任というものは、その大臣が所属する内閣も責任を持つてもらわなければならん。それだけの責任あり権威ある答弁を委員会でやつて頂かないと、この重要法案の審議というものはできないと思う。今朝来質疑をしてみると法的に云々というような言葉が出て来るわけです。従つて私がここで一つの例で率直に承つておることは、あの汚職問題のときに吉田総理並びにあなたは本会議及び委員会を通じて司直の手によつて事態が明確になつたならば責任をとると、こう言われておつたわけです。ところが佐藤幹事長の逮捕というものがあの汚職事件の事態を明白にするために必要であるということを、検察庁が結論を出したということは、これは司直の手によつてその段階まで事態が明白になつたことだと思う。従つて従来の皆さんの答弁から言えば、当然そのときに責任あるところの措置がとられなければならなかつたと思う。ところが逆に検察庁法第十四条によつてああいう措置をとられた。その結果贈賄者側も全部拘置所から釈放されてしまつた。そうなりますとあの汚職問題を司直の手によつて明白にしようにもしようがない。私はその方面の専門家でなくても常識で考えて、贈賄者を全部釈放してしまう、そうして重要法案が済んでからということを言われますが、国会の会期が延長されればその佐藤さんの逮捕もできなくなります。今日の段階になつても司直の手によつて事態が明白に云々と言われますが、司直の手によつても明白にしようがないじやないですか。これは非常に遺憾なことだとこういうことを申上げたのです。本国会においてこれらの問題について責任ある立場において答弁された両大臣の答弁というものは責任がないようであり、又私としては信頼性が薄らぐということなのです。そういうことは今後或いは定員法或いは防衛二法案について皆さんから答弁して頂かなければならんのですが、今までのようなそういう具体例を以てすればどうも私は答弁に信頼性が薄らいで来て審議するのに困つたものだと、こう考えておりますので、例を挙げてあの汚職のときの前後における答弁について如何ようにお考えになつていらつしやるか、それを伺つているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/107
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108・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 私自身法律家でもありませんので、別に法律的に言い抜けをするような答弁をしておるつもりは少しもございません。司直の手によつて事件が明瞭になれば責任をとる、これはそういう抽象的な言葉で始終繰返しておるのですが、少し突込んで申せば、司直の手が政府に及べばというつもりで始終申しておるのであります。これは私は責任政治である以上当然であると今でも思つております。それから佐藤幹事長の場合は、今もう捜査ができんじやないかというようなことを言われますが、その捜査技術のことはよく知りませんが、議運等で事務当局の質問に答えておるあれを見ましても、これは逮捕しなければ捜査が十分できないということでもなく、又犯罪の全貌がきまつておるというわけではないのです。政府としては重要法案を通過成立させるためにその逮捕の延期を求めたので、その捜査の内容については繰返繰返し申したのですが、少しも触れていない、ただそうすることによつて捜査が遅れるということがあるかも知れませんが、現行犯ではありませんし、証拠のいん滅或いは逃亡の虞れは多分ないと思いますので、そういう常識的な立場に立つて政治的に逮捕の延期を申入れたのが指揮権発動であつて、これは今の重要法案の必要から幹事長の場合にそういう措置に出たのであります。今事件が波及すればその責任をとるということを言つておりますが、大体政府に司直の手が及ぶということを言つておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/108
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109・矢嶋三義
○矢嶋三義君 只今の法案と直接関係がないから時間の関係上深入りしませんが、併し政府側においては幹事長という立場は非常に重要なポストである、与党の幹事長に及んだ場合には責任を明白にとるというようなことも新聞記者諸君には談話として発表されたこともあるわけです。それから又検察庁としては逮捕しなければ捜査ができないということを刑事局長みずから議運でも言明したことです。
それから常識的に考えて、金のやり取りをしたのにやつた人が釈放されて来て、もらつた人がそのあとに逮捕されたからと言つてこれは捜査なんか全然できないことですよ。司直の手によつて明白になつてからと言つても明白にすることができなくなつたのです。明白にならないように手を打つたわけです。従つて私は只今の緒方副総理の言明は一〇〇%納得できないことですが、この委員会でそういうことに余り触れることは審議の都合上どうかと思いますのでこの程度にしておきますが、併し本委員会において今後防衛二法案と定員法の重要法律案が審議されるわけですが、吉田総理以下大臣は将来長きに亘つて責任を持つというところの決意を以て責任ある答弁をして頂きたいことを特に要望いたしまして、そしてここで新党問題に対する八木委員の関連質問をして頂きまして、それから定員法の内容的なものを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/109
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110・八木幸吉
○八木幸吉君 政界廓清の意味で公職選挙法の連坐規定、第三者収賄あつせんに関する問題並びにそれと同じような性質を持つた政治資金規正法の一部を改正する法律案が衆議院に出ておるが、この案に御賛成のお考えですか。この案の趣意は御存じだろうと思いますけれども、政府と特殊の利益関係のある者から政党が寄附金をもらつてはいかんという趣旨のあれですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/110
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111・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) その趣旨には賛成でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/111
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112・八木幸吉
○八木幸吉君 それから新党問題で矢嶋委員から御質疑があつて、新党かできたら成るべく早い機会に解散して民意を問う、而もそれは昭和三十年度の通常予算が審議される前が当然であるというような御発言に対して自分もさように思うという御答弁が午前中ありました。そこで私は伺いたい。いずれ新党ができましたら副総理は新党の最高幹部におなりになることはこれは当然のことでありますが、今申しますように民意を問うために解散をすることをあなたは幹部の一人として積極的にお進めになるお考えであるかどうかということを念のために伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/112
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113・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 新党の新らしい政策に対して民意を聞くということはすべきことであると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/113
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114・八木幸吉
○八木幸吉君 それは当然だというふうにお考えのようですが、幹部におなりになつたらそれを積極的にお進めになる意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/114
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115・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) まだ幹部になつておらんから先のことはちよつと申上げられません。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/115
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116・矢嶋三義
○矢嶋三義君 二十七年の国会に行政整理の案件がかかつたとき、吉田総理は人員整理についてこういう発言をせられておるのです。丁度家の掃除を春季、秋季に二回、三回といたさなければならんと同じように、時がたてば自然ほこりもたまり、ちりもたまるから時々清潔法を施すということは当然なことであろうと思います。それで清潔法のような気持でこの定員法を提案したということを一昨年のときに国会で堂々と答弁されておるのですが、このたびの定員法はこれはどういうところに狙いがあるのか、基本的な考え方というものはどこにあるのか、極く簡単に一つ御答弁頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/116
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117・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今回の行政整理は事務の能率化、簡素化というのがその基本の趣旨でありまして各官庁とそれから行政管理庁との間に十分に協議をいたしまして、協議を進めながらできるだけ国の今の財政上からも簡素化して行きたいという趣旨から、今の社会的な状況から余り無理な整理はできないけれども、とにかくそういう方針で進めて行こうということで、実際の仕事の妨げにならん、而も行政整理の趣旨はできるだけ実現したいという協議ずくでやつて行つたのが、今度の行政整理の進め方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/117
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118・矢嶋三義
○矢嶋三義君 昨年この機構改革と人員整理は吉田内閣の施政方針の一つの大きな柱として総理は国民に公約されたのでありますが、このたび提案されて参つたものは当時の公約と随分と変つております。例えば天引整理というものは絶対にやらない、我が国の実情に副うように機構の再検討をして、そしてその事務量から科学的に納得の行く人員整理をして、それによつて国民の負担を軽減するということが大方針だということを吉田さんも言明していますし、塚田長官も昨年の八月頃は新聞で天引整理は絶対にやらないということを相当強く言明されておられるわけですね。ところが定員法が出て来るまでには機構改革のほうは与党でやり、それから人員整理のほうは政府のほうでやると、こういうような方針をとられて来られたわけですね、どういうわけでこういう方針をとられたのですか。従つて、機構改革らしいものは殆んど行われない。従つて私は人員整理というものは見送るのかと思つていましたところが、天引整理はやらんと言つたのに、国家公務員に都道府県が五・五%、市が五%、国立学校関係は二%というような一つの率を与えて、無理やりに天引整理になつてしまつた。只今副総理は事務の簡素化云々と言われますが、ここに各省から資料を頂いていますが、これを見ますと事務の簡素化云々については目下検討中とたいがい書いてありますよ。これは全く私は基本が崩れたものであつて、昨年の言明等からするならば全く相反するものであるし、殆んど私は意義のない、而も無理な天引人員整理になつていると、こういうふうに一言に尽すことができると思つています。従つて私は、かくのごとき人員整理案というものは、新党等による政局転換がある時期でもあればこれを一応撤回して、そして強力なる新党ができた場合に、その新党の新しき抱負経綸の下に機構に先ず手をつけ、そうして中央地方を通じての事務量というものを適当に配分整理統合というものをやつて、それに基いて働く公務員諸君に無理が行かないで、而も能率が上つて国民にサービスができるように人員の再検討というものを図るべきだと、こういうふうに私は考えるのでありますが、伺いたい点は、どういうわけでこの内閣の一つの施政方針として大きく掲げたこの問題がかくのごときまでばらばらになつて来たかですね、それが一つ。それから、昨年来の国民に対するところの公約違反の法案が出て来たことをどう考えられるか。それから第三点としては撤回して一応出直したらどうかということに対する答弁、以上三点について伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/118
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119・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 答弁の順序が逆になるかも知れませんが、これを撤回するつもりはございません。少しでもいい方向に向つておりますれば、どうぞ是非御賛成を願いたいと思います。
今の行政機構の改革がまるでできていないじやないか、それを人員整理のほうは政府がやり機構のほうを党に任せたのはどういうことであるか。これは行政機構の問題も行政機構改革本部で勿論取上げたのです。そして党の調査との間に調整を図るといいますか、連絡をして両方進めたのでありますが、各官庁との間の折衝を党のほうでやるという建前で党の協力を求めたのでありますが、その間に多少政府の最初の考えが緩和されまして、或る点不満が政府自身にもありますし、それから世間の見る目もこれは十分でないという批判があるようであります。但し機構改革のほうは今年を以て打切つておるわけではないのでありまして、今人事院の問題或いは警察制度の問題等を先ずこの際に処理しようということで引続き検討するつもりで現に進めつつあります。
それから人員整理の問題は出直してやつたらどうかというお話でありますが、今の日本の政費を成るべく減すということによつて国の財政的の立直りを遂げて行きたいという気持からは、一日も早く少しでも機構の簡素化によつて多少でも政費を節約して参りたい。これは私結果が小さくても休む必要はないものであると思つております。今お読上げになりました政府の何か文書、その作文の内容はどういうのでできたのか私知りませんが、実際にやつたところは、行政事務の合理化、僅かのことでも、合理化といいますか、簡素化といいますか、そういうものを考えずにはできんので、その点は十分に各省庁と協議をしまして、事務内容を無視して現在の定員を一律に減すというようなことはやらなかつたつもりであります。なお足りないところは行政管理庁長官から補います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/119
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120・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 天引整理になつておるのではないかという点でありますが、これは若干私も行政管理庁長官をお引受けした当時に考えておりました考え方と、現実に国会に御提案申上げるまでになつた案との間にズレがあるということは認めざるを得ないと思つております。それはこういうことによるわけでありまして、本当の行政整理は、一つは大きく機構を簡素にするというところにあると思います。それから又事務運営の運び方を合理的にやると、又整理すべきものがあるならば事務の整理をして行く、そこでどれだけ人間が減らせるかということを算定して、そうして新らしい定員というものを出すという工合に行かなければならないと、こういう工合に考えられるわけであります。そういう工合に行つた場合には、天引整理というものはあり得ないわけでありますが、さて現実にやつてみました場合に、今副総理からもお答え申上げましたように、なかなか機構はいろいろな面に私どもの予期した以上の難点がありまして、国会側、世間、私どもの間に大体納得の行くという線がなかなか見出しがたいので、大体そういう結論の出た部分だけを取りあえず取上げて、他の部分はなお十分慎重に検討するということで見送りになつてしまつたわけであります。なお検討を続けておるわけでありますが、そういたしますと、機構整理の分、機構改革の分から来る整理というものは当然出て参らないわけであります。あとは事務の整理、簡素化、それから事務の運び方の合理化というような面から来る整理だけになるわけでありますが、そこで今度そういう考え方て現在の定員を見てみますときに、一方国民の間に非常に広く、行政官庁には無駄がある、運営のし方が非能率であり、従つて人員に無駄がある、こういう考え方が根強くあることは、恐らく矢嶋委員も御承知であろうと思うのです。さて検討してみますと、内部の人たちのいろいろの意見を総合しましても、抽象的に大ざつぱに考える無駄がある、もう少し少しの人間で以てやれると思うということを皆言われるようでありますが、さて今度個々のそれではどこに無駄があるかということになると、具体的に取上げると、どの部署も無駄がない、いやまだ足りないくらいだという意見が非常に強い。そこで内部的に見ても、もう少し一般的に能率が挙げられるといいと思う、世間一般はそれよりも一層強く無駄があると言われておるのと、個個に取上げた場合にどこにも無駄がないというように見えるのと、どこに一体考え方の食い違うところがあるかということがなかなか突きつめにくいのであります。更に又或る事務を整理してみます、又或る事務の運営のし方を変えてみます、そのときにそのことによつてそれではどの部署にどれだけ人員が要らなくなるかということの算定ができるかということも検討いたしてみましたが、これもなかなか妙にできて参りません。殊にそれができにくいのは、今の予算の編成のし方自体にもあると思うのでありまして、予算の編成が、例えば給与費をあれいたしますのにも、この事務にこの人間が付いておるというようにはいたしておらんものでありますからなかなか算定しにくい。そこでいろいろと検討いたしました結果、やはり全体として無駄があるという結論に間違いがない。そこでその無駄があるという結論を頭におきながら大体の目安を仕事の性質によつてつけて行く。非常に無駄があるといつても、例えば学校の先生のようなところには無駄は非常に少いだろう、一般本省の管理の事務のところには相当無駄があるだろう、そういうようにこの仕事の種類によつて或る目安をつけて、そうしてこの考え方で行けばこれくらいの人間は整理してもなお仕事がやつて行けそうに思うがどうだろうかという或る数字を出しまして、そうして現実に責任を持つて仕事を運んで頂いておる各省に意見を伺つてみる。そうして、成るほどここは無理である、併しこの考え方は大体当つておるだろうというような意見を出して頂いて、最終的に各省の整理を願う予定の数字というものを出したわけであります。従つて、当初の出し方は、御指摘のように或る部署について或る率というものを予定をいたしておりますけれども、最終的に各省に割当られる数字が決定いたします場合には、その困難な部分というものはおのずから調整をされておりますからして天引にはなつておらないはずであります。そうして更に、そういう工合にしたことの無理が起らないように、事務整理、運営の合理化というものをきめて数字を出しておりませんけれども、各省が自分のところでこれだけの人間で仕事を運営するという場合には事務の運び方のなお検討を要する部分があるならば御検討を願うと、又やつて然るべき部分があるならばやめて頂くというように、各省自体がそれぞれのところに応じた運営の方法や整理というものを考えて各省の数字というものを出して頂いておると思いますので、これは勿論行政整理でありますからして、困難はあると思いますが、それによつて非常な事務運営に支障を来たすというようなことはないと私どもは確信をしておりますし、又今申上げる程度の困難ならば、これは国民の強い熱望からしても、当然行政府を預かる者としてはその線に努力をして行くべきであろうと、こういう考え方をしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/120
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121・矢嶋三義
○矢嶋三義君 新党でもできて、新内閣でもできた暁において、現在の我が国の行政機構、これについては抜本的な検討をすると、こういうようなお考えで御両人いらつしやるのでしようか。それとも塚田長官相当の意気込を持つて発足されたわけですが、こういう結果になつたので、やはり機構の改革というようなものは我が国とすれば現状よりもう打開の途はないのだと、こういうようなお考えでいらつしやるのか、これを一つ簡単にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/121
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122・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは新らしい政党ができ新らしい内閣ができるまでもなく、吉田内閣が続きますならば、私はこの内閣でやはり機構の面も抜本的な改革を是非したいし、又しなければならない事柄であると考えております。ただ、今当面いたしております困難は、先ほども申上げましたように、やはり現在の政党基盤その他の多少まだ弱いという点にもあると思いますからして、新らしく強力な内閣ができますならば、恐らく一層そういうことの実現の可能性も大きくなつて来るであろうというふうには考えられます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/122
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123・矢嶋三義
○矢嶋三義君 緒方副総理、あまりこれよく大臣から説明を聴取されておらないのですよ、定員法をですね。ともかく日本の行政機構には無駄があると、人員は整理しなければならんと、この一般的なお考えだけ頭に入つていらつしやるのでね。このたびの定員法というものの内容がどんなものであるかということは、殆んど私は説明を十分聞いておられないか、それとも行政管理庁長官がほどよく御説明しておるのだろうと思うのです。私さつきの答弁に返すようですがね。これは昨年の選挙のときに、自由党が国民に、機構の改革と人員の整理、而もこれは合理的にやると、それによつて国民の負担を軽減すると言われたところの公約というものは、その政策的な立場から完全に破綻しておりますよ、この定員法というものは。長官はいろいろ話されておりますが、如何ですか、あなたのほうで機構改革をずつと検討されたのを、途中から機構改革を検討するのを取上げられたのではないですか、自由党から。そうして増田さんが自由党の党内の機構改革の責任者になつて、そうして言葉は適当であるかどうか知らんが、行政管理庁長官のほうは人員整理のほうをやつておれと、これは与党がやるのだから暫らくというような恰好で、あなたの構想というものはそこで完全につぶれてしまつた。ところが選挙のときに人員整理、機構改革と言つたから何かやらなければ面子が立たんというので無理やりやつたのが今度の定員法ですよ。具体的に申上げましようか、あなたが郵政大臣ですね。ところが、郵政省としては戦後非常に事務量がふえたと、従つて大蔵省に対する要求あたりは、一万八千人の人員増加が必要だというので郵政省は要求しおるではありませんか。そうしなければ、現在は戦前よりはサービスは落らておりますが、現在程度のサービスさえできない。これは一つ郵政省を例にとつておるわけですが、年次休暇というものがあつても、その年次休暇もとれない。定員は減しても非常勤労務者、こういうものが非常に多い。それらは定員化しなければならないのが私が資料を調べたのでは約八万人程度ある。ところがあなたは郵政大臣としてそういうことを要求されたのは御尤もたと認められたのだと思う。ところが世に八千人近くの人員整理をやられておられる。従つてこれが実際の機構の改革もされていないわけですから、事務量も何ら検討されていないわけですから、如何にサービスが低下するか、それから勤務者に過重労働の立場から無理が行くということは私ははつきりしておると思う。それと国民の負担が軽減されると言いますけれども、機構は全然当つていないのです。機構に当つていなければ必ずふくれて来ますよ。必ず人員はふえますよ、それが吉田さんのいわゆる清潔論法ですよ。殆んど意味がない定員法になつていると思うのですよ。これは昨年の選挙のとざに公約されたあなたがたの政策は完全に破綻したと言つても私は過言じやないと思うのです。
更にもう一つ付加えますが、各省の出たものを見ますと、大概給士を整理していますよ。雇員、要員というところです。或る省のごときは全部雇員と用員だけですよ。たしか法務省もそうでした。実際机に着いて仕事やつている人は整理しようと言つても整理できないわけです。機構も当つていないし、それから仕事の再配分というようなそういうこともやつてないわけです。労働省あたりを見て御覧なさい。事務の再配分とか事務の能率化については目下検討中と書いてある。どこも全部そう書いてある。従つて国民の負担の軽減にもならない。この前本会議でも申されたように、平年度百五十一億になる予定だそうですが、今年度は全然プラスがない。とんとんであると答弁されております。来年になつたら機構が残つたら必ずふくれて来ますよ。而も整理されているのはそういうすよ。こ用員とか雇員とかそういうものばかりですよ。これでは国民の負担の軽減にもなければならないわけです。事務の能率化というようなものも期待されない。むしろ国民に対するサービスが、これは郵政省あたり典型的なものだと思うのですけれども、必ずサービスが低下して来ます。その証拠にはあなたは一万八千人の人員増加を要求されておる、そういうことを考えると、この定員法というものは昨年あなたがたが国民に公約されたことから見るならば完全にめちやくちやになつていると思うのです。従つてやる以上はやはり強力な政治力を持つて、本当に戦後の日本の機構改革と、戦前の機構改革をしん酌して日本の実情に副うところの行政機構改革をやつて仕事の分量というものを科学的によく測定して、それに伴つて人員の再配置をする。そして一方は国民に対してサービスをする。又国民の負担の軽減を図り、それから公務員諸君に無理が行かないようにするというような、やはり合理的な科学的な立場から検討しなければ、ただ行政整理、機構改革をやると選挙のときに言つたから、総理が本会議で言つたからと言つてこだわつて出されたこの定員法というものは全然意味のないものになつている。而も作る過程がさつき申したように機構改革について管理庁長官がやつておると与党が別個にやつてそれを取上げる。そしてその機構と全く別個に管理庁長官は人員整理だけやつておれ、こういうようなことを言うことはもう根本から崩れていると思うのです。一般論として緒方副総理から、更に塚田長官から節約と事務の整理、それから今言つた郵政省あたりのいきさつについてあなたは一番詳しいわけなのですから一つお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/123
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124・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 機構整理は党のほうに取上げ、行政管理庁のほうでは定員の縮減だけをやつておれというような事実はございません。それは両方でやつているので、党のほうで相当大がかりな行政整理委員会というものを作つて検討して両方の案を突き合せたのですが、実は経過から申しますと、行政改革本部で塚田長官の下にやつたもののほうがドラスチックなものであつたのが、現場と折衝の結果緩和されたという事実があります。でありますが、行政管理庁のほうは人員整理だけを研究しておれという事実はないのであります。
それから今回の行政整理の案については政府としても無論満足しておりません。特に機構の問題については本当のまだとばくちにあるようなもので、これから更に検討を進めて参りたいと思つておりまするが、併しいいことは小なりといえどもやはり進めたいので、今後新党が果して成功するかどうか、又その上にどういう内閣ができるかどうか、その大きな政治力を以てドラスチックな行政整理をやるというは無論結構なことであり、やらねばならんことだと思いまするが、それを徒らに手をあけて待つておるということはないので、この法案についても若しこれが不十分ではあるが合理的であるというお考えであれば、是非これを通過させ成立さしたいと、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/124
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125・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろ御指摘になりましたのでどういうことをお答え申上げたらいいのかよくわからないのですが、郵政省は増員を要求しながら減員をして増員はできなかつたじやないかというのでありますけれども、これは単に郵政省だけでなしに、どの省もそれぞれの立場からいろいろな考え方を当初は持つて出たと思います。私も一方事務量がふえておるからして増員然るべきじやないかという面もある、その面は増員、又減員すべき面は減員ということで両建に問題を考えて出たわけでありますが、最終的に決定をいたします場合にはやはり先に申上げましたように、仕事がふえておるならふえておるのを頭において私が郵政大臣として責任を持つてこの仕事をやつて行けるかどうかということを頭において、この数字でやつて行けるという最終的な線が増員、減員を総合して出て参つておりますので、その点はどうか行政府にお任せ願つて一つやらしてみて頂きたい、こういう考え方であります。
非常勤労務者というものがあることは私も承知いたしております。郵政省にもございます。各省にもございます。大分郵政省などの場合には非常勤労務者が現在あるのを相当数今度の新しい定員法で定員の中に入れられるというふうになつておりますし、又昨年中相当労務者からして定員に入れたのも四千名くらいあつたと配慮をいたしております。併し大体現在の国家公務員のあり方といたしまして私は非常勤労務者というものが或る程度各省にあるということは必ずしも差支えないのじやないだろうか。昔は傭人、雇員、それからして判任官、高等官というようにいろいろあつたようでありますけれども、今は一律に国家公務員という枠で縛つておりまして、そうして一部分は定員法によつて規律しておるわけでありますが、定員法に入らない部分でなお仕事の上に必要なものが非常勤労務者という形であると思います。郵政省が先ほど申上げました例のように、成る期間そういう工合においてこれが定員化されて然るべきである場合には逐次これは定員化されて行く、こういう形になつておるのでありますから、現在常勤労務者があるからといつて必ずしもそれを全部定員法に繰込まなければならないというふうには必ずしも考えないでいいのじやないだろうか。要するに定員に入つておらん定員外のこういう労務者、そういう者を、それぞれを含めて総合して一つの仕事が円満に運営されて行くようにということにあると思うのであります。そうして国民の立場からはどういう形になつて国費を使つておるにしても、国費によつて雇われて国の仕事をしておる者ができるならばできるだけ数が少なくあつてほしいというきとはこれは当然国民の望まれるところでありますから、たとえ雇員であろうが用員であろうが、又は定員に入つておる者であろうが、常勤労務者であろうが、無駄な者であればそこから整理をして行くというふうに持つて行くべきであろうと思うのです。それから私は自然にふくれるということも御指摘になりましたが、たしかにふくれると思います。併しふくれるということを頭におきながら整理をしないでおくとふくれるほうだけがふくれるので、それこそ国民の期待と全く反対の方向に行つてしまうのでありまして、そうでなくてもなかなか抵抗の強いものでありますから整理は困難になり、放つておけばふくれる傾向にあるものをこうしてときどき困難をおかしながら整理をして行くということでかろうじて国民の期待に合致、十分とまでは行かないけれども沿うて行くというふうになるものだと私どもは考えておる。負担の軽減にならんじやないかということでありますが、まあそりまま切つて退職金も出さずに整理すれば、すぐその年から負担の軽減になるわけでありますけれども、それは今日の世情として恐らく行けないでしようし、恐らくそういう整理の仕方は一層御賛成は得られないと思うのでありまして、今日の世情に合致した整理の方法というものを考えると、当年度或いは次年度くらいには大きな負担軽減にはならん、併しこれが落付いて参ればやはり整理しただけは国民の負担軽減にまでやがてなつて参るということありますから、これだけは国民も御了承頂けるだろうと私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/125
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126・矢嶋三義
○矢嶋三義君 郵政大臣、今まで郵政省の例をとつてちよつと申上げたところが反論されたわけですが、少くとも郵政省関係の事務量の増加から一万八千人の増員は必要だと大臣は御認定になつて大蔵省に要求されたのでしよう。大臣としては必要だということを御認定になつておるのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/126
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127・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) その通りであります。さつき申上げましたように、減員と増員と両建で折衝しておるわけです。従つて増員が十分できないときにはそれだけ減員も減つて来るという関係で、最終的には先ほど申上げたように、私が郵政省の定員を考えるときには郵政大臣として郵政省のふえて来ておるその仕事の量も責任を持つてやれるかどうかという線が、郵政省の増員をやめて減員をどの線できめるかという決定線であると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/127
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128・矢嶋三義
○矢嶋三義君 詳しいことは郵政省を審議するときやりますけれども、要求としては一万八千の増が必要だと結論を出して要求されて、今度の結果から言うと勿論郵政省の中で増加の必要な分と減員の分とプラスマイナスで結局マイナスで、増員どころか何千人という減員をやつておるわけです。従つてこれはあなたは管理庁長官として先ず隗(かい)から始めようというようなことでやつたのかも知れませんけれども、それじや郵政省の職員は困ると思うのです。そういう点に無理があると思うのです。全然仕事の量とか機構というものを考えないで大体率をきめて一律的にやつて行つたわけですから、そこに無理があるということを私は申上げておる。これは一省に亘ることでありますからそのときに更に研究することにして、一般論として先ほど大臣は常勤労務者、非常勤労務者は若干あつてもいいと思う、昔は勅任、奏任、判任というものもあつたのだから、こういうこともちよつと申されましたが、私が調べたところでは二十九年度で常勤労務者は二万四千四百六十五という予算を組んでおりますね。非常勤務者はいわゆる賃金用員四十五万程度あるようですね。こういう諸君は身分保障というものがないわけですから、例えば共済組合なんかに参加できないわけです。たからそういう点で同じ常勤労務者も全く定員法内の人と同じ仕事をしているわけですが、而も保障されていないわけですから、本人に対しては気の毒であるし、又能率が低下すると思うのです。こういう必要なのはこれは私は定員に入れておかなくちやいかん、極端な例を一つ挙げましようか。あなたの所管ではないが独立しておるのですが、会計検査院、これはあなたの所管の国家公務員に準じて整理するというように要望されてやつたわけでしよう。そして出た資料によると、二十三人減員するがそのうちの十六人は常勤労務者として扱うから、実際に減員するのは六人だとかそういうように書いてある、おかしいことですね。従来と全く同じ仕事をしているのにそれを一律に切つて仕事をやめさせるわけにいかんから常勤労務者の予算でやるのだ、こういう資料を堂々とこの委員会に出したこと自体私はおかしいと思うのです。本当にこの時期的に仕事がある、例えば年末の年賀はがきというような場合に賃金用員を確保するということは何ですけれども、一年中そうして定員法内の人員と同じような仕事をしておる常勤労務者を何万と抱えておるにもかかわらず、画一的に定員を減らして行くということは能率の低下を来す、国民に対するサービスは低下する、こう考えざるを得ないと思うのです。そういう立場から考えてもこの定員法というものは全く人員整理の基本的な行き方から私ははずれておる無意味なものだとこう考えるのですが、如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/128
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129・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは常勤労務者、非常勤労務者、それからして定員化されておる公務員をどういう工合にするか、基本的な考え方は先ほど申上げたような考え方でおるわけであります。併し御指摘のようにいろいろ考えるべき点は多々あることは私も承知をいたしておりますので、公務員制度の調査会においてはこの点は十分検討してもらつて、何か然るべき意見が出たらその方向に向つて直して行こうという考え方をしておるわけであります。ただ私の所管をいたしております郵政省の例について申上げますならば、さつき申上げたように逐次定員化されて然るべきという段階に到達したものは逐次定員化をいたしております。なお若干のものが常勤の労務者で残つております。更にそのほかに極く時期を限つて使用されます者はこれは非常勤の労務者になつておりますので、これは当然定員化さるべき性質のものではありません。従つてそういう性質のものであります呈はいろいろな定員化されておる国家公務員が受けておりますような待遇上の便宜、利益というようなものは得られないのがむしろ常識的にあるあり方だと、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/129
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130・矢嶋三義
○矢嶋三義君 副総理に言つたのはおわかりだと思いますが、非常に無理なんですね、実際仕事の現場へ行つて見ますと。これは副総理先ほど御答弁なさいましたが、行政管理庁長官が機構改革もそれから人員整理も長官の責任と見識を以て一つやれというように任されて行つたのならば、機構と人員とが有機的にくつ付きますから筋が通る、或るまとまつたものができたと思う。緒方副総理が何とここで話されようと、それは機構改革というものは塚田長官は与党党ら、増田さんに取上げられたのです。そうして塚田長官がえがいておつたところの機構改革というものはつぶれてしまつて人員整理の天引になつて行つたからちぐはぐになつておる。従つて実際末端における事務量というものを考えないで一律にやつておるから非常に無理な面が出て来ておるわけです。この点は私は絶対に確信を持つて申上げることができますので、副総理一応頭に入れておいて頂きたいと思います。この角度から今後私は審議して行きたいと思います。
次に伺いますが、国家公務員に準じて地方公務員を整理するという通牒を出されております。そして地方公務員の整理に伴うところの退職金、それから待命、これらは国家公務員に準じて行われるような法的措置をされるということを、この通牒に書いてあるわけですが、そういう法的措置はされ、而もこの地方財政計画の中に財源的なものを組まれているかどうか、これが一つと。それからこれは文部大臣と長官への質問ですが、文部省に関係するものは文部省を審議するときに詳しくやりますが、文部大臣よくお聞き願いたいと思いますが、資料によりますと生徒児童は今年度約百万ふえるのですね。そうしてここでは申しません、文部省を審議するときにやりますが、一つの教員の定員の計算の仕方で出して、そして国家公務員並みにやるというので実質上は三万四百十三人というものを減らしたことになつているわけです。三万四百十三人というのを。これを自治庁次長から各都道都県知事に出た書類であり、それから文部事務次官と自治庁次長から出たのです。生徒が百万ふえるが而もその定員の計算の仕方は従来は避けて、併し帳面ずらでは三万四百十三人という先生を減らすことになるということが通牒として出ているわけです。そこで私が伺いたいのは、今年度やめられた先生がたは当然これは行政整理として扱われるべきだと思いますね。三万四百十三人という、従来の計算で言えばまだ多くなりますが、これはまあ政府の数字をとります。これだけ減員したのですから本度年やめられた先生方は他の公務員と同様に、退職金の面についても待命の問題についても同じように扱われなければならんと思います。そういうように地方財政計画の中でも盛り込まれなくちやならんと思いますが、ところがそうなつていないと私は了承しているのですが、如何でございますか。両大臣にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/130
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131・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 地方公務員の行政整理に伴つて法的措置を必要とする部分は法的措置をいたしております。併し大体の点、只今殊に御指摘の待命なんかの部分は、各府県市町村の部分はそれぞれの条例で措置ができるようになつておりまして法的措置は要らない、こういう考え方でございます。なお地方の自治団体に在勤をしているもので国家公務員たる性質を持つておりますものは、この定員整理法のこの規則に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/131
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132・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは出ております。純然たる……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/132
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133・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 繰返して申上げますが、従つて法的措置の必要な部分は地方公務員の部分についてもできておりますし、いたしておりません部分は法的措置を必要としないで整理ができると、こういう見解でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/133
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134・矢嶋三義
○矢嶋三義君 それは整理できるでしようが、私は整理した場合の、整理された人の待遇の面から、例えば待命それから退職金ですね、こういう点については国家公務員並みに云々ということは通牒を出されておりますが、そういう財政的な裏付はされているのかどうかということです。それとさつき文部大臣も合せて伺いましたが、あなたのところから出された通牒では、本年度義務制の先生だけで三万四百十三人の定員減をやつたということが出ておるわけです。従つてこれは行政整理によつて退職されるわけですから、当然退職金とか或いは待命等も国家公務員並みに取扱われるべきが当然だと思います。従つて地方財政に対する予算的な措置もそういう角度から地方財政計画というものはとられなければならんと思いますが、それは如何ですかということを伺つたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/134
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135・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 財政措置は財政計画の作定の場合にそれを考慮においていたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/135
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136・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) お手許に資料として出ております、閣議決定になつておるのだと思いますが、これは小中学校につきましては、ここに備考に書いておりますように、従来の算定方式による人員が二十九年度については只今御指摘になりました約百万人、これは高等学校は別ですが、小中学校において百万人児童数が増加いたしますので、それを従来の算定方式によつて計算すると、それに所要の教職員の数が五十五万二千六百八十余人ということになる。でこの決定に基くところの五十二万二千、この数字との差をここに出しておる。それがまあ整理人員という裏に三万四百十三人ということになつておるのでありますが、これは矢嶋さん御承知のように実員の整理ではないのであります。従来理論学級と言いますか、五十人を一学級としていわゆる定員定額というこの定員の算定方式がきまつております。これは平衡交付金についてそういう方式をとつておるのでありますが、実際はそれによるともう数が多いのでありますが、実員を相当上廻つておる数字でありまして、二十八年度の人員数は四十九万七千、ざつと五十万という数字であります。そうしてそれに対して約二万人を二十九年度においては実員としては増加するものとみておるのでありまして、従つてこの実際の整理というものはないのであります。いわゆる人員整理という意味での整理人員という数字は出ないのであります。ただここにはこの三万というのは、ここに備考にありますように、従来の算定方式によるものと一応比べた上でその数字を出してあります。その意味で御承知願いたい。実際は整理をしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/136
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137・矢嶋三義
○矢嶋三義君 驚くべきことを大臣おつしやつておるのですね。まあ教育二法案がお忙しかつたからでもありましようが、それは我が国の教育の振興というものは、質と量において教師を確保するということは最も大事なことですよ。驚くべきことをあなたは発言されておるのです。今度人員整理は各省とも事務量によつて増加したものはどうか。それから一定率で減ずるのは減ずる、それでプラス・マイナスは扱つているのです、全部。だからこの三万四百十三人というこの定員減をやらなかつたら、先生はやめなくてよかつたですよ。これが出たためにやめさせられたのです、非常に今年は余計やめさせられておるのです。なぜやめさせられたかというと、三万四百十三人、これは算定方式は後日やります。ここにも問題があるのですが、約三万という人聞を減らしたために、それに基いて自治庁のほうで財政をやつておりますかり、地方は持ち堪えないから大きな整理が行われておる。それが例えば女教員というものですね、もう女教員の高給者はやめろ、共かせぎは奥さんのほりはやめろ。或いは場合によると御主人を校長にしてやるからあなたはやめなさいといつてやめさせられておる。大臣この資料を見て下さいよ。よその省では大概五十五歳以上ですよ、やめるのは。待命を見ても六十歳、七十歳こいうのがありますよ。ところが義務制の先生は全部五十一歳、二歳でばらばらやめさせられているのですよ。それはどこから来るかというと、この三万人という人数を減らしたから助教員は四十五歳、男教員は五十五歳でやめなければならん、共かせぎはやめよ、こういう事態が起つて来たわけですよ。この三万というのは従来のあなたがたの計算方式を認められれば、そういう人はやめなくてもよかつたわけですよ。立派な定員法によるところの整理のためにその先生がたはやめているのですよ。その結果は各学校は六十人或いは六十五人のクラスなんかができて教師の生徒管理が十分に行かないためにいろいろな事件が学校で起つて来ているのですよ。だから私はこの整理自体、これは文部省審議のときにもう少し具体的に突込んでやりますが、整理自体の問題があるのですよ、教育の面から。そこで私はその整理された人々の待遇の点について国家公務員、他の地方公務員とのバランスの点から言つて、当然こういう人は生徒が百万人もふえておればやめなくてもいいものを、こういうことをやつて三万人もやめなければならんことになつたのですから、これは立派な行政整理ですよ。従つて退職金にしろ待命でも他の公務員と同じに扱うのでなければ、これはあなた、気の毒ですよ、これは文部 大臣として私はがん張つて頂かなくちやならんと思うのですが、この見解無理がございましようか、緒方副総理お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/137
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138・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは今いい加減なことを言つているのではないのですが、先ほど申上げたように前二十八年度の先生の実数が五十万弱なんです。そうしてこの新年度における地方財政計画において認めておる一応のこれは見込数です。これは生徒数の増を見込んで五十二万二千という数字を出しておる、それによつて予算が組んであるのだから。で定員々々とおつしやるけれどもこれは御承知のように算定の基礎として従来組んでいる定員定額制をとつておる。併し二十八年度からは地方の実際支出額の半額を負担する、こういうことになつておるのでありまして、そうしていわゆる実員実額によつて予算を見積つておるのであります。従つていわゆる定員定額という観念は今日はなくなつておる。そこで実員について見ると二十八年度の実数が五十万弱、そうして本年度においては五十二万二千というものを大体目やすにして予算を組んでおるのであります。地方において五十二万二千を上廻る先生を置けばやはりこれは実際支出額の二分の一を負担するのてありますから、それは当然やはり国庫でそれだけの負担をするのであります。でこの三万という数字がここに出ておるので、その点は誤解を招いたかと思うのでありますが、これはここにそれだからこの備考で従来の算定方式によるものとの比較を書いてある。現に義務教育費国庫負担の予算におきましても、前年から比べれば約百億の増額の計上をしてある。そうしてこの平衡交付金でございますか、地方交付税のほうにおいてもそれと見合つて予算が計上してあるのです。そうしてそれは実際の支出額がそれに上廻わればやはりそれは何らかの方法で半額の支出をする。こういう建前でありますからこれがために人員整理で首が切られる。こういうことは絶対にないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/138
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139・矢嶋三義
○矢嶋三義君 大臣、どの政府委員が説明されたか知れませんですが、私は納得できないのですよ。論争のポイントを一つ外さんようにいたしましよう。半額国庫負担、それらも私承知いたしておりますが、問題のポイントは、あなたのところで自治庁次長とそれから文部次官で二十九年度はこういうふうに教員の計算をするぞという通牒を出したから、それに基いて各県はやるわけですからね、その実支出の二分の一をあなたのところは見て行くわけなんです。ところがその通牒によつて、その通牒がなければ全国で三万の人がふえるはずのが、その通牒のために三万四百十三人減つたということはこれは絶対間違いないのだから、あなたのところで通牒を出しているのだから。従つてそれを合わしてこのたびの行政整理で地方公務員は五万八千七百八十八人整理しましたということを資料として出しているのです。だからそういうような新らしい圧縮方針がとられなかつたら全国で三万というものがあるわけですから、従つて今年共かせぎだからやめよ、女だからやめなさい、こういうような整理された人は整理されなくて済んだわけなんです。問題のポイントはそこにあるわけですね。だからこれは今度の各省との釣合から考えても、当然今年やめた人は、殊に共かせぎだからやめよとかいつて、婦人で整理された人ですね、こういう人は他の省と同様に待命、それからこの退職金の特別扱いというものは当然なさるべきだと思うのであります。これは文部大臣が責任を持つて行政管理庁長官によくわかるように説明をし、そうして閣議でもそういう決定をなさるべきだと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/139
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140・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは学年の、年度替りのときには従来とも教員の異動が行われるのが年々の例でありまして、その際或る程度の入れ替えと言いますか、やめる人があり、又新しく採用する人がおるのであります。こういうことは従来年々行われておるのであります。無論これは地方々々の財政の実情によることでありますから、その地方の考えによつて行うのでありまして、無論全国一律一定のものでないことは申上げるまでもありません。でありますから、この整理方針というものが、これが出たから整理が行われたということは、これは現に予算が増しておるのでありますから、その一点から見ても実員を減らすという点は出ておらん。これは決して私事務当局から説明を聞いたということでなしに、これは文部省としては一番大事だと言つていいほどの大事な問題でありますから、その点私自身責任を以て御答弁申上げるのでありますが、地方によるとそれぞれ違いますから一概には言えないけれども、年々これは整理というものは行われておるのであります。常に新しい先生が入つておる。そこでこれは今年どれくらい整理されたかということは、これは私どもには正確にはわかりません。今調べております。調べておりますが、今までわかつたところによりましても、従来大体五%六%くらいの整理をやつておる。入れ替えです、整理と言つても。全体の数字は減らないのです。昨年あたりからこれは減りまして、去年今年あたりは只今のところ三%程度で、従来から見るとパーセンテージは低下しておるようであります。これは地方によるそれぞれの事情がありますから、無論地方によつては相当無理の整理らしいことをしておる所もあるかも知れません。あるかも知れませんが、少くとも政府の方針とか或いは予算の計上の面から実員を減らさなければならんというような数字は実際出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/140
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141・矢嶋三義
○矢嶋三義君 事務当局のかたも大臣によく説明しなければいけないと思うのです。問題は日本の教育の問題ですけれども、大臣は年々やめると言つておるけれども、それはやめますよ、こういう機会に。併し百万人ふえたのです。他の官庁より事務量がふえたのです、百万人。百万人を一クラス五十人として割つて御覧なさい。あなたがたはそれすら割つていない。それは又後日やりますが、学級増を縮減して、まあ普通の五十人で割つて御覧なさい。学級はふえるのです。事務量が多くなるのです。そうしたら年々教員をやめさせなくていいわけです。そうして現在の教員は五十一歳から五十二歳で整理されておるのです。この勤続年限というものを一年でも二年でも延ばしてやるのです。よく実情を知らないですよ、あなたがたは。この教育者が全国義務制に約五十万近くいるわけですが、こういう人は教育者でありながら自分の子供に下宿させるとか高等学校へはやり切れん。大学は勿論やり切れんですよ。それで、恩給法の改正は勿論御承知でしようけれども、五十五歳になれば恩給がつきますが、ところがどこの学校でも五十一歳、五十二歳で皆切つているのですよ。従つて、現在の日本の教育界の大きな問題は、五十五歳から恩給法によつて恩給がもらえるようになつたのだから、五十五歳まで勤続年限を延ばさなければならん。これは人事行政の大きな問題になつているのです。ところがそれができんのです、予算の関係で。ところが今年は百万人から生徒がふえたのですからね。従来通り計算するとこれはまだまだふえるわけですよ。ところが行政管理庁の意向もあつたのでしようが、相当あなた問題は学級数の増加も欠員も一%で調節しているのです。そうして、例の今までの一・五、一・八というのも六分の七、六分の九という係数も下げて、そうして三万という数が出て来ている。だから、今年などは特別やめたいという人か、病人か、特別無能力者以外は整理しないという建前で当然行くべきなんですよ。それをあなたこの三万の整理からやつて、今年ほど男女不平等な人事行政をやつたことはありませんよ。或る県のごときは女教師は卒倒したじやございませんか。四十五歳であなた地方教育委員会からやめよと言われて詰腹を切らされた先生がたはたくさんおりますよ。而もあなた退職金についても待命についても他の地方公務員、国家公務員と同じ扱いをされない。これじやあ余り気の毒じやないですか。ところが教育二法案によつて教員の政治活動だけは国家公務員なみにしている。これはこの委員会で論ずべきことじやないから申上げませんが、これは大臣の信念の下にやられたのですが、それに忙しくてそれに御熱心だからこういう点抜けたのかも知れませんがこれは納得できないと思う。一応きまつたことにしても、この日本の教育の振興に関することですし、五十万教職員の生活権に関する問題ですよ。一応きまつたことにしても無理があるとなつたら大臣によく説明して、文部大臣から私は閣議まで動かすまでやつて頂かんことには納得できない。これ随分この定員法の問題はありますが、これ一つ大きな問題です。
それから、長官は地方公務員の待命と退職金については地方財政計画で云々と言われますが、はつきりこの次までに幾らどういうふうにしてやるということを数字的に示して頂きたい。実際は地方は、まあ第一事務再配分その他全然やつてもらえないのだから、整理することもできんでおりますが、整理する場合でもそういう財源に非常に苦しんでおります。この地方公務員と国家公務員との関連は大きな問題。その中でもこの教職員の場合は非常に私は今度落ちている点と思う。それはただ大臣、これで余り過ごしてもいけませんから、文部大臣にこの次の委員会まで十分に検討されて改めて答弁頂きたいと思います。それから行政管理庁長官、塚田長官のほうも今お聞き下さつていたと思うのですがね。その点検討されて答弁頂きたいと思います。私はこの私の主張は絶対間違つていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/141
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142・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御指摘の通りに、二十九年度はこれは急激に子供の数が増しております。小中学校を通じて約百万人の自然増であります。でありますからして、只今平衡交付金と申しますかそれによる財政計画による数字というものが、その百万人の児童の増加ということを考える場合には、或る程度無理があるということは言い得るかと思うのであります。ただ従来の実績を申しますると、従来の算定方式によると二十八年度において五十二万人という数字が出たのであります。五十二万人という数字が従来の算定方式で、それが今度百万人増しますから、同じ算定方式を採用する場合にはこれは五十五万という数字になる。ところが実際を申しますと二十八年度において一応の仮定の計数のこの五十二万という数字に対して地方における実際の数というものは、先ほど申上げましたような五十万人という数字であります。つまり算定方式によつてはじき出された数よりも二万人下廻つている。これが実際であります。実数であります。そこで今度の二十九年度においては仮に従来の算定方式を採用するとすれば五十五万人要るはずだ。その場合に予算において、この財政計画において見た数字が五十二万二千、つまり従来の方式に従つて行くと三万人増加するはずのところが二万二千の増加にとどまつている。これは併し実情から申しますと大体この程度でおさまるものである。こういうふうに見込んだのであります。従つて五十万人という従来の実数に対して五十二万人という予算措置であるが、それであるから従来の人がその関係において退職するとか首を切られるという問題は生じていない。ただもつと採用したいという数字が思うように採用ができないということはあるかも知れないけれども、それがために従来の先生がたが首を切られるという場合は、これは実際整理ということが或いは退職をさせられるということがあるでしよう。あるでしようけれども、これはそれぞれの事情から来るものであつてこの予算措置から来たものではない。これは私は明瞭である。現に予算もふえているのでありますから、義務教育費支出負担額においても百億という相当な金がふえておるのです。でありますから少くともその関係において従来の人を現実に減らさなければならないという問題が起つて来る。ただ非常にふえる数が或る程度押えられるということはあるかも知れない。私はこれは非常に無理な数字とは思つておらない。ただ従来の実数から割出したもので行つてその辺でおさまると思つてそれを予算に計上してある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/142
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143・矢嶋三義
○矢嶋三義君 そういう数はこれは私も持つておりますので、文部省の審議をやるときにそれはやりましよう。これは大臣の答弁は文部大臣らしくないと思うのであります。実際欠員があつたというのは、財政の裏付がないから欠員を埋めることができずそれを割つたのだ。それを定員を割つたからと言つてそれを基盤にやつてその増員をやらないというようなお考え方は全く詭弁に類するものです。
最後に緒方副総理に一つお尋ねしておきたいが、少しでもいい点があればこの定員法を通過させてもらいたい。少しでもいい点というのは私ども内容にはないと思う。(笑声)ないのです。これは傷だらけです。
一つ伺いたい点は、結局経費の節約という面から来ていると思います。副総理は現在の我が国の実情から浪費というものは一体どういうところにあるとお考えになつておりますか。とにかく節約しなければならんとお考えになつているのでしようが、どういうところに浪費というものがあると、どういうところを締めなければならないというふうに大所高所から見ておられるか。それがうまくその認識が当つてそれを実現した場合に初めて国民の負担というものが軽減されるわけなんです。どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/143
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144・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今の政府の機構が年々行政整理を繰返しておるのですけれども、やはりこの占領下におきまして非常にぼう大になつた。その点が政府としては一番国民の税金と申しますか、経費の節約の余地のある点であるとかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/144
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145・矢嶋三義
○矢嶋三義君 これで本会議が始まつたようですから副総理に対して終りますが、もう一つ伺いたい点は、例えばこの前の造船利子補給など四億のうちの約三億はリベートに帰つて、そして船会社のほうの個人生活を豊かにするものもあれば、或いは合法的た政治献金、或いは賄賂或いは赤坂、築地等の森脇メモに出ましたがああいう経費、よくいえば交際費、悪くいえば遊興享楽、そういうものに流れているわけですね、約四分の三というものが。こういうところにこそ私はこの無駄使いというものがあるのじやないか。むしろそんなところを締めるべきじやないか。又これは淵源がさつき申されたように、選挙に金がたくさんかかるということにもなれば、金のかからない選挙法の改正あたりには、さつき副総理個人としては連坐制の強化に賛成だという答弁があつたわけですが、もう少し積極的にそういう抜本的解決に私は国民負担の軽減という立場から努力されるべきじやないか。選挙法の連坐制の強化には社会党はいつでも賛成いたします。議員立法までやつておる。ところが副総理の所属される与党では、改進党も含みますが、なかなか賛成されないようですね。こういう点はただ個人として賛成するというだけでなくして、むしろ内閣提出法律案としてやるくらいのことをやられなければ、この国民の負担軽減、政界の明朗化、強力なる政治の具現というものはないと思う。で、はすつばのこんな給仕とか掃除人夫、そういうものを整理するような定員法を、堂々と我が党の政策で国民の負担の軽減をやるためにこれは提案したのだというのでは、私はこつけいに近いものだとこう考えるのですが、さつき言つたようなこの浪費の節約、引締め、それらについてこれから内閣の責任者として極めて積極的に善処されることを要望したいのですが、如何でしようか、それだけを承わつて本日は終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/145
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146・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今御引用になりました計画造船というようなことは、政策としては間違つていないと考えます。これは会社のほうの民間側のやり方がいろいろルーズな点、或いは汚職的な点、汚職を起しやすい動きというものがありますが、政府の利子補給についての負担、これは浪費じやない、政府としては今の戦争中に非常に痛められた日本の造船業、或いは通商関係の船の問題を解決するのには、この程度の積極的な政策をとるのは止むを得ない。このほかお述べになりましたこと、これは無論今後積極的に政府としても進めなければならん問題で、それには汚職の問題がどこまで拡大されるか知りませんが、世間の世論の注視を集めたこの機会において、そういう画期的な経費の節約、或いは選挙の粛正、或いは汚職の原因を断つというようなことをせひやつて行くべきだと私は相当な考えを打つておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/146
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147・矢嶋三義
○矢嶋三義君 さつきの文部大臣に対する質疑の締めくくりですが、私文部大臣の答弁はどうしても了解できません。で、文部大臣と管理庁長官は更に研究されて、私の満足のできる答弁をしてもらいたい。それが若し不可能な場合においては、私はこれは都道府県教育委員会の責任者或いは地方教育委員会の責任者、それから実際整理された人から実情とその見解を私は聴取する必要があると思つております。もう一つそれに附加えなくちやならんのですが、県議会の責任者か或いは県の総務部長、財政を握つておるこういう方々の意見を聞けば、事は明白になつて来ると思うのです。非常にこれは重大な問題でありますので、さつきの質疑は終つたわけじやございませんので、この次もう一回文部省内でも検討され、文部大臣は管理庁長官と打合わされて答弁して頂くようにお願いいたします。委員長、まだ質問ありますが、時間が相当延びたようですし、皆さん大変御迷惑のようですから、委員長がここで切られれば私切られても差支えございません。質問せよというならばやりますが、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/147
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148・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/148
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149・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
それでは本日はこれにて散会いたします。
午後五時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X02819540506/149
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