1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十日(月曜日)
午前十一時二十二分開会
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出席者は左の通り。
委員長 小酒井義男君
理事
植竹 春彦君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
井上 知治君
白波瀬米吉君
岡田 宗司君
松本治一郎君
山下 義信君
八木 幸吉君
三浦 義男君
国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
国 務 大 臣 緒方 竹虎君
政府委員
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
法務省人権擁護
局長 戸田 正直君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
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本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国務大臣等の私企業等への関与の制
限に関する法律案(八木幸吉君外八
十二名発議)
○人権委員会設置法案(亀田得治君外
九名発議)
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001・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。
行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続きまして緒方国務大臣に対する総括質疑を続行いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/1
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002・八木幸吉
○八木幸吉君 私、緒方副総理に簡単に項目の順に質疑をさせて頂きます。行政改革の問題は歴代吉田内閣の重要政策でございますが、政府は行政整理をいわゆる重要法案の中にお加えになつていないように承わつておりますが、これは一体どういうわけでありますか、最初に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/2
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003・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 行政整理の問題を政府としては無論重要な施策と考えておるのでありますが、これは総理もたびたび申上げておるようにまあ例年、例年と申しては少しきつ過ぎるかも知れませんが、たびたび行政整理というものは繰返す必要があるように考えますので、今お述べになりましたのは、私が議運の質問に対して、重要法案というものをどれどれを特に重要と考えておるかというときの答えを御引用になつたのじやないかと思いますが、行政整理そのものにつきましては、無論政府としてもこれを重要視しておることは申上げるまでもないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/3
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004・八木幸吉
○八木幸吉君 行政整理の基本的な問題について以下順々にお尋ねいたします。行政改革の目的はどこにあるかということにつきまして、緒方副総理は本会議の御答弁で、我が国力に相応した簡素且つ能率的で、而も国情に即する民主的な行政制度を確立し、併せて国民負担の軽減を図ることが政府の行政整理の根本の考え方でありますと、こう仰せられておるのでありますが、私も極めて御同感でありますが、このほかに合理的ということと、すべての官吏が国民全体の奉仕者たるの本分に徹すること、というのを併せて目的の一つに加えたい、かように存ずるわけであります。そこで、私が第一にお伺い申上げたいのは、我が国力に相応する行政機構とはどういうものであるかということでありますが、御承知の通り敗戦の結果我が国土及び国富は激減をいたしております。この現状に鑑みまして戦前と比較してどの程度に我が行政機構の規模をおさえるか、その基準を承わりたいと思います。
試みに人員の点で比較しますと、昭和六年陸海軍並びに外地の関係を除いての中央官吏の数は三十六万でありますが、現在は国民の国家に要求するところもふえ、又国家の機能も増大いたしておりますから、当時の機能をそのまま現在に持ち来すわけには参りません。併しながら第一に敗戦というこの厳粛な事実、第二に文化国家、福祉国家の方向に国家が歩みつつあるという事実、第三に貨幣価値の異常な下落はありましたけれども、昭和六年、中央、地方を通じての国民一人当りの税金が、大蔵省の調査によりますと、二十三円、こう計算されておりますが、二十八年度の予算では一万三千三百九十七円になつております、この事実。この三つの事実に基きまして、国家行政組織の規模がどの程度が妥当であるか。機構を極力合理的に簡素化して、国家のなす業務を極めて本質的なものに限つた場合に、仮に人員でその規模を現わすならば、どの程度が妥当であるとお考えになるか。この点を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/4
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005・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 人員でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/5
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006・八木幸吉
○八木幸吉君 人員です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/6
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007・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 戦前のものにつきましては正確な資料がなく、加えて戦前と戦後とは定員の規制範囲、規制方法等に相違もありまして、比較はなかなか容易でないのであります。併しながら何と申しましても、国土も小さくもなり、いわゆる国の総合的国力が、敗戦の結果小さくなつておりまするので、国民負担の点を考えまして、いわゆる国力に相応したところに持つて参りたいというのが政府の考えでございますが、今御質疑になりましたその御質疑に幾らか触れるかと思いますのは、昭和七年と二十八年度について一応の比較を試みますと、昭和二十八年度においては昭和七年の約三倍程度ではないかと推定されております。そういうふうなところから、行政機構の点におきましてもできるだけ簡素なものにしたいということで検討を始めまして、今まだ検討の途中にありまして、御審議には極く一部分を国会に御審議願つている程度で、まだ結論に達していないというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/7
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008・八木幸吉
○八木幸吉君 只今申上げました通り、昭和六年はまあ中央官庁は陸海軍その他を除きますと三十六万人、現在は同じ基準で申しますればざつと八十七、八万ではないか。というのは、電々公社ができましたから、それだけを仮に入れまして、今丁度副総理のおつしやる三倍ということになるのでありますが、これは大変伺うほうが少し無理かも知れませんが、大体何万くらいが適当だということを申され得るでしようか、そこをちよつと伺つてみたいと思います。例えば五十万ぐらいが妥当ではないかといつたようなことと、何か多少のお考えがおありになるか、その点如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/8
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009・大野木克彦
○政府委員(大野木克彦君) ちよつと私からどのくらいの程度が只今のところ果して適当であるかどうかちよつと申上げかねますが、この只今の数の中には、約三十万以上の企業関係の職員がおりますので、いわゆる行政事務に属しますのは四十万程度で、ございましていわゆる福祉国家としての体制を四十万或いは四十万のうちでいたしておりますので、この辺をどの程度に国力とにらみ合せてきめるかに問題があるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/9
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010・八木幸吉
○八木幸吉君 第二に、只今人員の規模で、行政組織の規模を現わすことは困難である、こういう御答弁でありましたが、それなら観点を変えまして世界の大勢として我国がいわゆる夜警国家から文化国家、福祉国家の方向に進んでおる。この過程において而も敗戦後の我国の現状においてこの国家の業務もどの程度でとめるのがよいかという、これの大体の何かお考えがあれば承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/10
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011・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 敗戦の結果国力は非常に削減されておりまするけれども、国民の福祉の上に鑑みまして国家でやつて行く仕事は、今日の社会情勢から言つて余り減つていない。むしろ社会の複雑化に伴つてふえていると考えております。その両方の事情を考えまして出さなければならん結論は即ち事務の簡素化、能率化ということで、これだけは如何に政府の行政の範囲が大きくなりましても、これは国として国民の負担を考えまする場合に是非とも遂行して行かなければならんことだと考えておりましてその一部分を御審議を願つておるような次第であります。ただ国情がこういう事態にありまする関係上、整理というものにも社会的にも一つの限界がありまして、生活問題から、その整理をした人の生活というようなことを考えなければならん点から、その退職の場合の方法或いは退職後のことにつきましても、これもやはり政府としてできる限りの或る程度の配慮をしなければならんというようなことから、机の上で考えるほどドラスチックな整理がとかく行いにくいということが最近の行政整理に伴う一つの動かし得ない事情だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/11
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012・八木幸吉
○八木幸吉君 第三に私は我国の現状としましては、国家の仕事はつとめて本質的な業務に限定する、例えば専売事業、国営事業はこれは民間に委譲するのが適当ではないか、この問題につきまして原則的にどういうふうにお考えになつているか、殊に自由党を基盤としての現内閣の立場としましては、当然民間委譲を本格的にお考えになるべき時期に到達しておるのではないか、こう思うのでありますが、これについての意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/12
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013・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 御指摘の通りでありまして、政府でも、今の政府の立場と申しますか、考え方から言いましても、できるだけ専売その他国営企業を民間に委譲したいという考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/13
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014・八木幸吉
○八木幸吉君 一第四番目に。本会議で副総理の御答弁の中に、我が国情に即する民主的な行政制度の確立、こういうことが行政整理の目的の一つに挙げられておるのでありますが、これは恐らく占領治下アメリカの指示若しぐは勧告によつてできた各省の制度の改廃を意味するものであると思いますが、例えば各種の行政委員会の制度等は純司法的な性格を有するもの以外は、大部分整理されておりますけれども、今後なお我が国情に適合せざるものとして改廃を考えられておる制度、機関が如何なるものがあるか、例えば首都建設委員会のごときは如何にされるのであるかという点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/14
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015・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 行政委員会の制度は只今お述べになりましたように、どうも総体的に見て国情に適していないようなものがありますし、今の首都建設委員会のほうのごときも、廃止する方針で成るべく推進して参りたい、そう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/15
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016・八木幸吉
○八木幸吉君 第五に。政府がすでにその改廃を決意しても法律、政令の関係で行政整理の実行できないというようなものは相当あるのは御承知の通りでありますが、臨時行政改革本部を設置せられましてから、すでに改廃を決定せられました法律政令の数と今後改廃せられんとするこれらのお見込の数を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/16
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017・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは、この法律政令は成るべく廃止をしたいということで、内閣は今度の行政整理以前から法令整理本部というものを作つて検討しておつたのでありまして、今度の行政整理には非常に密接な関係がありますものでありますから私がこの度の行政整理に取りかかりますときに、政令整理本部でこれまでおやりになつて来られた仕事の引継ぎを受けまして一緒にやつたわけでございます。随分いろいろな面の検討はいたしましたのでありますが、なかなか最終結論を出すことの困難なるものが相当ありまして、取りあえず問題のない部分だけが今国会に法令整理として御審議願う段階まで行つております。それからその次の段階になりますのは、今大体のこの整理本部の案を各省とそれぞれ検討を続けている、こういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/17
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018・八木幸吉
○八木幸吉君 数がおわかりになつておりましたらお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/18
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019・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは今現実に整理することができるようになつた数は今ちよつと数えておりませんが、整理本部で検討いたしましたときには、第一次案のは一つの法律を全部改正いたしますのと、又一つの法律に全部改廃いたしますもの、それからして或る法律に改正部分を加えますもの、そういうものを大ざつぱに数えまして二百八十近い件数があつたように私は記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/19
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020・八木幸吉
○八木幸吉君 その中で今国会に出ているのはどれくらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/20
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021・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは今まだ数えておりませんし、まだ各省全部が或いは出揃つておらないかも知れないのでありますし、そしてここにまとまつて出ておりますものはむしろ今申上げた二百八十という概数の中にあるものとないものがあるので、その間の関係はないというふうに記憶いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/21
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022・八木幸吉
○八木幸吉君 今の二百数十の法律、政令の改廃の、何と申しますか一覧表を適当な時期に資料として頂戴いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/22
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023・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/23
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024・八木幸吉
○八木幸吉君 それから第六にお伺いいたしたいのは、中央と地方との行政事務の範囲を明確に区分して、その配分を適正化することが国家全体としての行政能率を高める上において必要と思うのでありますが、今後都道府県のあり方をどうするか、各省と出先機関との関係を如何ようにお考えになつておるか。又道州制の問題についてはどういうふうな御見解をお持ちになつておるか、これに対する基本的の考えを副総理から承わつておきたいと思いて配分のし直しをしたいという考え方で、そのと言いろいろ参考にすべきものといたしまして、例の地方行政調査委員会議の原案、通称神戸委員会というものでお出しになつた、委員会の相当適切なる示唆を与えてくれておると思います。又その方向に従つて検討いたしております。具体的な考え方といたしましては地方自治法の改正の際に若干これも考慮したいということを考えておつたのでありますが、今国会におきまして国会に御審議を願う自治法の改正には、遂にこの段階までには参りませんでした。今後いろいろこういう世間にある考え方の方向で、中央と地方の事務配分をし直すという方向で検討してみたいと考えております。
それから府県の性格でありますが、これは実はいろいろ考え方がありますので、今政府としてまとまつた考え方はないのであります。併し極く抽象的な表現でお許し願いますならば、現在の府県というもののあり方自体、性格、機構、運営の仕方自体にかなり問題点がたくさんあるのではないか、こういうように考えております。殊にこの問題点になりますのは今のような工合に行きますときに自治団体、而も完全な自治団体として考えられておるものは、御承知のように二段階になつておりますからその間に非常な無駄がある、府県というものは自治団体として二段階に無駄があると同時に、今度ああいう形になつておりますために止むを得ず国のいろいろな機関も各種地方に出先を持たなければならないというふうになつてどちらの面からも非常に無駄しておるという感じが強くいたしますので、そういう点を頭に置きながら府県のあり方というものを一再検討してみたいという考え方であります。これは引続いて国会が終りますと又発足いたします地方制度調査会において本格的な検討を願うということになります。それからそういうふうな府県のあり方というものを相当検討して参りますと、やはり私は行き着くところが一種の道州制というような形のものになるのではないかという見通しを持つておるわけでありますけれども、併しそれにいたしましてもやはり或る程度そこまで推移するのに段階的な経路が必要であると考えられますし、今のところ道州制の問題はその程度以上に余り考え方は発展いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/24
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025・八木幸吉
○八木幸吉君 少し問題は飛躍しますけれども、知事の官選の問題について一言だけ御見解を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/25
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026・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これも俗に官選々々と日われておりますけれども、これは政府として別にきまつた考え方があるわけじやないのでありまして、結局行政管理庁長官若しくは自治庁長官としての私の極めてまだまとまらない考え方でありますが、私が今考えております基本の考え方は今の公選制度についての非常に強い疑惑でありまして、あの制度が非常にやはり財政の面におきましても、機構の面におきましても、又制度としての在り方の面におきましても、問題点が非常に多いからしてあの制度を変えるという考え方があるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/26
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027・八木幸吉
○八木幸吉君 第七番目にお伺いしたいのは機構の合理的簡素化の問題でありますが、内閣の首長たる内閣総理大臣が行政各部の指揮監督という総合的事務を能率的に遂行し得ると同時に、国策の企画立案に便宜なるように総理府の機構を簡素強力に改組することが必要であると思うのであります。そこで内閣総理大臣の統合的機能を発揮せしめるために人事、予算、企画等の事務を総理府に統合することが妥当と思うのでありますが、如何でありましようか。例えば大蔵省の主計局を総理府に移して予算局とすべしという説は、従来の行政改革案におきましても最近にはすでに三回に亙つて提唱せられたところでありますが、これに対する御意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/27
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028・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 提携の合理化につきましては、行政改革本部でも相当検討いたしたのでありますが、国力は小さくなりましたが、この仕事は決して減つていない、そういうことから機構の合理化と言いますと省の廃合が一番先に問題として取上げられるのでありますが、省の廃合というものを一応考えてみたのですが、どうも実際に実益がそれほど伴わない、そういう点から更に検討を続けるということになりまして、今のところはこの事務の合理化、簡素化ということを主として先ず先にやつたわけでございます。併し総理府につきましては今御指摘になつた通りの考えを政府としても持つておりまして、まだ未定稿ではありますが総務長官というようなものを作つて総理府の仕事を統合させて行くということがよくないかというような考えを持つております。予算局の設置につきましては、これはアメリカ初め外国にもあつて、理論的にはまさに予算局というものが独立してこの政府を中心に総理大臣に直属してあるということが正しいと考えられるのでありますけれども、いろいろ検討して見ますると、結局仕事は現在大蔵省でやつておりますることと同じようなもので、現在政府としてまだ予算局を独立させるというまでの踏ぎりが付いておりません。これは行政整理の問題を取上げる場合に一応始終問題になつておりますが、今のところは大蔵省主計局をこの際に廃止して予算局を設けるという考えまでになつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/28
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029・八木幸吉
○八木幸吉君 予算局の問題は一つの行政部門である大蔵省にあるというのは、どうも今の主計局そのものは非常に算のなんと言いますか、各省からのぼう大な要求をチェックするという点についてはかなりな努力を払い又効果を挙げておられるようでありますけれども、今副総理が仰せになりましたように、どうしても理論的には総理の直轄の下にあるのが当然であるというふうに考えられますし、思い切つてこれは一つ実施する気持で御研究になる必要があるのではないかと常に私どもは考えるわけでございまして、なおこの点について一層の御検討をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/29
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030・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 更に検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/30
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031・八木幸吉
○八木幸吉君 それから第八番に、行政機構の改革を考えるに当りまして企画部面と実施部面はわけるのは当然だと思いますが、総合的な企画の部面はそういうふうに統合し、実施部面は挙げてこれを各省の権限に属せしめるというのがこれは必要である。その意味から北海道開発局がどうも総理府におかれているがごときは妥当ではないので、やはりこれは地方に移すのがよいではないか。又調達庁のごときも外務省にこれを移管するほうが本筋じやないか、こう考えるのでありますが、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/31
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032・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 今お話になりましたのも一つの考え方でありまするが、北海道はほかの内地の行政区域と少し違うような事情がありまするし、殊に日本が満州、朝鮮、台湾等を失いました今日におきましては、北海道の開発にこれまで以上の国としては関心を注いで、外地で失つたものをできるだけ国内の開発に待つという方針をとるのがいいのではないかという考えを今の政府は持つております。そういう意味から北海道開発庁の仕事は勿論北海道現地においてやることでありまするけれども、やはり中央においてこの北海道開発についての国としての考えをきめて行く機構が必要であるという考えから現在の制度をそのままにしておるのであります。政府としてはそういう考え方をすると同時に、北海道の開発というものに対しましては特に今日日本が食糧的に独立ができていないということはこれは非常な大きな問題で、国際収支の均衡を得る上からも是非急いで解決せねばならん問題でありまするので、北海道にはこれまで以上の関心を注いで行きたいというのが先般総理大臣の施政演説にも現われた政府の考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/32
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033・八木幸吉
○八木幸吉君 第九番目に各省の問題についてお伺いをいたしたいのでありますが、昨年の八月の行政改革本部の発足当時におきましては、塚田私案として現在の一府十一省を九省乃至十省に整理するということが新聞紙上に伝えられたのでありまするが、途中でこれはさたやみになりましたが、そのいきさつをごくあらましで結構ですが、伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/33
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034・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは九省案というものがあつたかどうか、その辺ちよつと記憶いたさないのでありますが、現在ある幾つかの省を統合したらどうだろうかという構想は立てたことが確かにございます。例えばまあ労働省と厚生省を統合して社会保障省というようなものにしてみたらどうだろうかという考え方もあります。又現在いろいろな企業をたくさん扱つておりますものを、これを例えば運輸省と国鉄の関係でありますとか、郵政省と電通公社の関係でありますとか、そういうものが幾つかありますので、これは企業経営自体を特に考えてみて特別の省というものがあつてもいいのじやないかというようなことも考えてみたこともあるわけでありまするが、併しやはりいろいろ検討して参りますると、それぞれに現在ある機構自体の持つ長所もあつたりいたしまして、なかなか簡単な考え方からそういうところまで結論を出すということは相当困難なものでありますので、やはりそこまで機構を改めます場合には、これは機構改革全体としての感じでありますが、相当大がかりに案を作つてただ例えば労働省と厚生省は一緒にしても然るべきじやないかというだけの考え方で、労働省と厚生省の統合というものはなかなかできないのでありまして、機構全体を相当大きな改革をするというときにその一環としてするのでないと、いろいろ摩擦があつて困難であるというような現実の事由などもいろいろありまして、今のところ見送りという形になつております。それと申しますことは、今後の本格的な検討に待つということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/34
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035・八木幸吉
○八木幸吉君 第十番目に、当初の塚田試案におきましては内政省の設置ということも考慮されていたように考えるのでありますが、この問題についての御意見を伺いたいのであります。旧内務省の解体は占領下という特殊な事情に基く要請ではありましたけれども、これに伴う内政事務の分裂化は国内行政面におびただしい浪費と不能率を招来いたしましたので、警察事務はこれを府県に委譲するといたしましても地方の一般の行政連絡、地方財務、土木等の専務を管掌せしめ、併せて建設省をも整理統合するという考えが一つあるわけであります。これについての御意見をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/35
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036・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは若し世上にそのように伝えられておつたといたしまするならばこれは誤りでありまして今のところの行政管理庁としての考え方には内政省という考え方は実はないのであります。と申しますのは、私もご指摘にいろいろ内教育が解体して幾つかの省、建設省、労働省、厚生省、これは旧内務省の一部分を分担いたしております。現在私が所管いたしております自治庁もその一つの部分を扱つておるわけであります。こういう工合に非常に分れて来る上から来るロスというものが多いと私思うのでありますが、併しこの占領後に行われた機構改革の面では私はこの部分が相当大きなポイントじやないかと考えるわけでありまして、これをそういうようなこの機構の上からロスがあるというような考え方からだけでもう一度まとめるということは、これは日本の自治というものを育成し、従つて民主政治の方向というものを育てて行くという上に、相当これは問題点が出て来るのじやないかという考え方がむしろ私といたしましては強くいたしますので、内政省にこれをまとめるという考え方については、かなりまだ疑点がたくさんあると考えておるわけでございます。むしろ今の考え方といたしましては、やはり地方の機構としては、府県は先ほど申上げましたような考え方でありますが、自治団体の第一段階の市町村というものを育成強化して、ここのところで本当に仕事をやつてもらう。そうしてそれこつながる月央の省はもう少しこの中央の機構の統廃合をいたしましても、やはり農業関係は農林省、商工関係は通産省というような行き方で、それを内政という形にまとめるということでないほうがいいのではないかというような、まあまだ漠然たる考え方の段階でありまするが、そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/36
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037・八木幸吉
○八木幸吉君 十一番目に、各省の事務の中に調査、統計、営繕、購買、印刷のごとく技術的に調整することによつてこれを専門化し、能率を発揮し、併せて経費を節約し得るものはこれを整備統合することが妥当であると考えるのでありますが、例えば統計調査等の事務はできる限り総理府に移す、それから営繕、購買等の事務は大蔵省に一括してこれを移すというふうな考え方についての御意見。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/37
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038・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは考え方としては全く同感であります。そのように又非常に考えましたのでありますが、ただこの考え方がで非常に実現にまで到達しなかつた原因は、例えばまあ非常に顕著に実現の可能性のあると考えられた建築、営繕でございますが、営繕の統合でもいざやつてみるということになりますると、例えば私が所管いたしております郵政省の場合なんぞでもやはり全部を打つて行けない、或る規模以上の大きなものまで統合すれば統合できるかも知れない、小さなものはやはり残さなくちやならない。そうなりますと結局営繕の機構というものが現省にも残る、新しいそれを統合した省には大きな機構として更に新しいものが必要となるということで、結局すつきりした形で全部統合ができない。その場合にこの日本の官庁機構の通弊として恐らく事務が簡素化されるどころじやない、一層複雑になつて、却つてどうもやりにくくなるのじやないかという感じの面がだんだんと検討している間に強く出て参りまして、これをやるならば徹底的にやるということでなければ、なかなかうまく行かないのではなかろうかということで、これもやはり考え方としてまだ熟して結論を得るというところへ行つておらない。併しこれは考え方の筋といたしましては、やはり依然として御指摘のような考えで行くべきものであると考えておりますので今後検討するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/38
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039・八木幸吉
○八木幸吉君 今の問題に関連してですけれども、例えば法務省で建築に関するものをやつておる。ところがあそこで設計をしてものを建てると、まるで中途半ぱなものになつちまつて非常にあとで困つたという事例も多々出ておるわけであります。この問題は一つ真剣に突込んで御研究を頂きたいという気持でおります。
それから第十二番目に各省の外局制度についてお尋ねをいたしたいのでありますが、本国会の決算委員会におきまして、昭和二十六年度の決算審査の際に、タイ米の輸入に関連して不急の麻袋三百万枚を八億七千万円で買つて七億五千万円損をしたという驚くべき事実がありました。当時の農林大臣の御出席を請いましてこの間の事情を聞きましたところが、外局のことであるから事前にも事後にも食糧長官から何らの報告を受けておらない、こういう御返事でありまして、委員一同その御答弁に実は驚いたわけでありますが、食糧庁に関しましてはこのほかにも昭和二十六、七年度にまたがりましてビルマ米の購入の際に黄変米の混入のために八億三千万円の損失をこうむつて会計検査院から指摘を受けた、こういう事実があるわけであります。そこでやはり私は大臣の責任分野を明確にするためには外局を内局に編入するのがいいじやないか。こう原則的に考えますが、食糧庁、林野庁、水産庁、国税庁といつたようなこういう外局を内局に編入することがてきないかどうか、なぜおやりにならないのだろうかということを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/39
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040・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは全く同じ意見で、その方針で問題を検討いたしております。一度作りました案といたしましては、従つてそういうような構想で、これはもう外局は原則として全部内局べ持つて行くという大原則を立てて問題を考えておるわけであります。ただその場合にも特許庁でありますとか、海難審判庁でありますとか、そういう審判的な機能を持つたものだけはこれは止むを得ないであろう。そうでない外局は全部内局べ持つて行くという考え方で検討いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/40
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041・八木幸吉
○八木幸吉君 もう案はできておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/41
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042・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 案は、まあ或る意味のものは一度作つたことはありますが、そのときにはそういう考え方であつたと申上げておるのでありまして、ただこの外局を全部内局へということは、これは自由党の機構改革の委員会におきましても、大原則としてはやはりそうすべきであるという決定をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/42
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043・八木幸吉
○八木幸吉君 そういたしますと、まあ先のことを言うのも何ですけれども、次の国会に提案できるような気持で検討しておられると、こう了承してよろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/43
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044・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 次の国会というように申上げられますか、要するに政府が今考えております或る程度の機構改革の成案を得る段階には、恐らくそういう線は出て来るだろうと、こういうように了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/44
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045・八木幸吉
○八木幸吉君 第十三番目には、各省に設けられた審議会、調査会は現在一体幾らあるか、今後これをどう整理するかということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/45
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046・大野木克彦
○政府委員(大野木克彦君) 審議会、協議会等をひつくるめまして曾つては三百くらいあつたのでございますが、だんだん整理をいたしまして只今百九十六、七になつております。今後も成るべく不要のものは整理をして行きたいというつもりでおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/46
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047・八木幸吉
○八木幸吉君 今後整理せられる見込の数は、例えば何割というふうな見当は付くのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/47
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048・大野木克彦
○政府委員(大野木克彦君) 実は審議会の設置につきましては、占領時代に一応の基準がございましたけれども、只今その基準を建て直す研究をいたしておりますので、それができましたら、それに併せまして考えたいと存じております。只今のところではまだ何割やるというところまでは出ておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/48
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049・八木幸吉
○八木幸吉君 次に第十四番目でありまして、附属機関中の試験研究機関の重点的整備についてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/49
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050・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これも御指摘のような考え方で整理を考えておるわけでありまして、一つは各省に分散して同じようなことをやつておるということのために非常に無駄がある。だから統合できる性格のものは各省に散在しておるものは成るべく統合しようとこういう考え方でおるわけであります。それからもう一つの考え方も政府においてそういうものを置かなくてもいいようなものは民間に適当に入れてしまつて成るべく整理をしたい。こういう考え方で整理を考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/50
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051・八木幸吉
○八木幸吉君 第十五番目に行政運営の面についているくありますが、詳細は他の機会に塚田長官に、伺うことにいたしまして、行政運営の全般に立つて企業面で言われます科学的管理法の原理を徹底的に適用するということが私は必要だと思うのですが、副総理のお考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/51
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052・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 行政運営のことにつきましては現在の実績に鑑みまして行政管理庁でも非に苦慮をいたしまして、あらゆる改善の方途を考えて無論科学的の管理法ということもそれをどうあてはめて行くかということについて研究しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/52
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053・八木幸吉
○八木幸吉君 第十六番目に人員の整理と待遇の問題について伺いたいのですが、高賃銀、高能率は科学的経営法の原理でありますが、官吏の素質を向上してその所要人員を最小限度にとどめたときは当然官吏の待遇をよくするべきだと思うのでありますが、今回の行政整理で平年度における国費の節約額は百五十一億円と承わつておりますが、これは人員減少ののちの官吏の待遇改善の行われたのちの純節約額でありますか。或いは整理を行なつたのちの官吏の待遇を改善するということは、素質が向上するということを今お考えになつておらないのでありますか。或いは積極的にこれをお考えになつておるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/53
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054・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは行政整理の簡素化、能率化という精神の中には無論整理をするが、同時に待遇はできるだけやつてやりたいということで進めて行きたいという気持は持つておりますが、この百五十一億という節約額の中にはそういうものは入つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/54
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055・八木幸吉
○八木幸吉君 十七番目に私は各省の人員配置について一つの原則とも申すべきものがあると思うわけであります。それは経済学上で言ういわゆる限界効用の説でありまして、定員増加の場合においても国家的限界効用というようなものを考えなければならんのではないかと思うのであります。というのは各省内部におきまして、一人の人をふやすという場合にどこにその人をふやすのが一番国家的に役に立つかということをお考えにならなければならんと思うのであります。又各省それぞれと比較してみますと、政治力の強い省と然らざる省と比較してみますと、国家的にはより以上必要な人員であつても、場合によつて政治力の弱い省であるとどうしても人をふやすことがむずかしくなる。こういう点については十分総理が各省を監督され、又各省大臣は各部局のバランスをとるように注意されることが必要じやないかとこう思うのであります。一例を挙げて申上げますと、二十九年度の外米、小麦、大麦その他の主要食糧の輸入予定額は千六百億円になつているわけであります。ところがこれが買付のためには僅かに大使館に農林事務官が一名ずつしか各国に駐在しておらない、こういうことで果して農林省がこういう輸入の事務を外務省その他の通産省等に任しておいていいかどうか。一方農林省は、それでは非常に人が少いかと言えば今回の行政整理の問題につきましても、その合併が問題になりました食糧事務所と農林統計事務所と合せて三万九千人という人員があるわけであります。国家的の要請の見地から果してこれでバランスがとれているかどうかということを私はつくづくこの外米輸入の問題と、この今申しました食糧事務所なり、農林統計事務所の四万人近い人とを比較してみたときに考えるわけでありまするが、行政整理に当つてもやはり国家的の限界効用の見地に立つ必要が非常にあるのじやないか、こう実は考えるわけでありますが如何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/55
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056・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは私も御指摘の通りだと思うのでありまして、仮にこの整理をいたしてみましても、やはり抵抗の強いところと弱いところと、なかなか強いところの整理というものは非常に困難なんであります。そういうことを恐れましたので、今度の整理の場合には例外というものを置かない、どんなところも整理するという大原則を立てて、非常に強くお願いをいたして或る程度今度はそういうことのないように努力をしたつもりであります。整理するにおいてさえそうでありますからして、今度人間をふやすという場合にもやはり政治力の強いところは割に容易にふやして行く、政治力の弱いところは必要があるにかかわらずふえないというような結果になつて、それが或る時期続くとますますそういう状態が強くなつて非常にアンバランスが出て来ていると思われる筋も相当あると思つております。今御指摘になりましたこの農林関係の、殊に食糧に関連しております統計調査事務所と食糧庁の各出先機関、食糧事務所等は私といたしましても統合して然るべきものじやないか、又統合とは別にしてももう少し人員の整理の余地があるのではないか。そうして又御指摘のように必要な部面があれば、むしろそういう方向にその人たちを廻すなら廻すのが実質的でないだろうかということをいろいろ検討いたしまして十分御意見は農林当局に伝えて、その考え方に従つて農林当局も今度はかなり考えてもらつたつもりでおります。従つて今度の農林省の整理は一番高い整理になつていると承知をしております。併しなお今後とも御指摘のような考え方で一層整理の面、増員の面を検討して行かなければならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/56
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057・八木幸吉
○八木幸吉君 十八番目に、今回の行政整理は機構改革には殆んど見るべきものがなくて、警察制度の改正に伴う縮減のほかには主として各省の簡素化、合理化による人員の整理でありますが、この整理された人々に対しては配置転換協議会等を設置して再就職のあつ旋をせられるということが言われておるのでありますけれども、一体これは具体的にどういうふうにお世話なさるのか、もうちよつとつつこんだところを伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/57
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058・大野木克彦
○政府委員(大野木克彦君) 配置転換対策本部におきましては、今後出て来る配置転換困難な人々等につきましてお世話をするつもりでありますが、只今のところは一応御承知のように欠員不補充の原則ができておりますので、それらに対して止むを得ないものの範囲等を具体的にきめるような作業を一応いたしております。今後更に整理の進行に伴いまして活動が続けられるものと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/58
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059・八木幸吉
○八木幸吉君 十九番目に私は伺いたいのですが、行政改革は最も必要なことでありますが、又非常に困難なことであります。そこで副総理の本会議の御答弁を伺つてみますと、アメリカのフーバー委員会のようなものは、国状も違うし今直ちにかような機関を設けることには御熱意がないように伺つたわけですが、私はやはり国会、政府、殊に民間人を含めた権威のある強力な調査機関を設けて、相当巨額の予算を以て、年月も二カ年間くらいはかけて、そうして合理的な改革案を官民ともにちえをしぼつて作る必要があるのではないか。これは行政改革を志すものは、各方面ともに一致したどうも意見であると私は思うのですが、この考え方に政府としてもう一遍御再考を願いたいと思うのですが、それについて副総理に伺つてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/59
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060・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) これは従来たびたび繰返しました行政整理の、或いは行政機構改革の実績に鑑みまして、これにはいろいろな政治的の理由もありますが、極めて権威の高いものを作る必要を生ずるかも知れません。本会議で今御引用になりましたような答弁をいたしましたけれども、政府でも更に慎重に考えまして、場合によつたらフーバー委員会のような形のものを、つまり官民の見識を総合するようなものを作る必要があるかも知れません。更に検討してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/60
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061・八木幸吉
○八木幸吉君 今の問題は国会や民間、政府おのおの適当な数を推選して、成るたけ民間人を多くして、どうも今までは政府のほうに偏つておるように思うので、民間人のちえを十分いかすというようなことでお考えを願いたいと思います。
それから最後に、これは副総理にもお聞きを願いたいのでありますけれども、御答弁は吉田総理が本委員会に御出席になりましたときに直接御自身の口から私は承わりたいという問題であります。それはほかでもありませんが、行政整理によつて整理されるかたがたは、如何に国家の要請であるとはいえ相当の御本人としては苦痛があるというのは当然であります。従つてこの局に当る最高の責任者が最も自粛しなければならんということは、これ又当然でありまして、曾つて吉田総理が国会におきまして綱紀粛正の観点から、若し疑わしいことがあつたら自分をひつくくつてもいいということを言われたのを私は聞いたことがありますが、当時私はその意見は非常にそうであると思い感心をいたしました。併しその後長く権力の地位におられた結果であると思うのでありますが、御承知の通り最近におきましては与党の副幹事長が二人起訴をされております。更に又幹事長の逮捕許諾の請求が申請されても、指揮権発動という前例のない暴挙によつて法相が進退を決した。而もこういう事態に立つてもなおてんとして顧みないという現状で、果して整理される人たちが得心してその職を去るということは私は考えられないのでありますけれども、いや、こういうことをやつておつても整理される人は得心して席を去つて行くのだ、こういうふうにお考えになるかどうか、その点を端的に総理御自身から私は承わつてみたいということをここで申上げて、私の政府に対する総括質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/61
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062・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 総理に対する総括質問でありますが、御承知のように堀委員が質疑中に副総理が席を外されておりますので、若干残つていると思うのです。堀委員の質疑は一般質問の過程で残つた分を一つやつて頂くことにいたしまして、一応副総理に対する総括質問は堀委員の分を除いて終つたことといたして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/62
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063・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは終了をいたしました。
暫時休憩をいたします。
午後零時二十一分休憩
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午後二時四十一分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/63
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064・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは只今より委員会を再開いたします。
国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案を議題といたします。質疑に入りますに先立つて、衆議院議員中村高一君ほか十九名より同様趣旨の法律案が出ておりますので、これの両案に対する比較をしました諸点について杉田専門員から一つ説明を受けることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/64
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065・杉田正三郎
○専門員(杉田正三郎君) 当委員会に現在付託になつておりまする国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案と、特定の公務員の営利企業等への関与の制限に関する法律案、この二つの法律案は立法趣旨におきましては大体同様でありまするが、この両法律案の規定の内容につきましていささか差異のある点がありまするので、只今議題となつておりまするこの法律案の御審議の御参考までに二つの法律案の主な立法上の差違につきまして簡単に御説明いたします。
先ず両案の比較の説明に先立ちましてこの種の制限立法の形式につきまして一言御説明をいたしておきたいと存じます。国務大臣等の私企業等への関与につきましてこれを制限する立法の形に二つの形が考えられるのであります。即ちその一つは純然たる取締的規定の形でございます。例えば一般職の国家公務員の私企業等への関与の制限を規定しておりまする国家公務員法の立法形式のごときものでありまして、この国家公務員法ではその服務の制限規定に違反したものに対しましては罰則の規定が設けられておりまして厳重に取締ることといたしておるのであります。他の一つは訓示的規定の形でありまして、この法律案では大体その趣旨に基きまして立案されておるもののように見受けられるのであります。即ち国務大臣等のごとき行政の最も要職にある公務員に対しましては、特に私企業等への関与の制限につきましてその手続を詳細に規定し、又規定に違反した場合の罰則の規定を特に設けなくとも、単に訓示的に兼職を禁止する趣旨を明らかにいたしておけば法の目的は達し得るものと認めまして、他の事柄は国務大臣等はその良識と判断とによつて善処せられるであろうということを前提としておるのであります。この訓示的規定という形の顕著な例として一つ古い法律で定められておるものを例示いたしておくならば、現在の刑事訴訟法の前身でありまする旧刑事訴訟法、大正十一年にできました旧刑事訴訟法でありまするが、その百三十五条にこういう規定がございます。被告人の尋問のところでございますが、「被告人二対シテハ丁寧深切ヲ旨トシ」云々という規定がございます。検事が取調を行う場合に被告人に対して丁寧親切を旨とすべきことは当然でありまするが、これを特に法律の規定にさしはさんでおるという趣旨は、これは当時まま検事がいわゆる検事フアッシヨというようなところで人権じうりんのごときこともときにあり得るというのでこういう規定がおかれたものと思うのでございます。そういう訓示的規定の趣旨によつておるものがこの現在出ておりまする法律案の形であろうかと思います。
そこで次にこの法律案と他方の法律案、この二つを立法形式の上で比較いたしまして御説明いたしておきたいと思います。便宜この国務大臣の私企業等への関与の制限に関する法律案をA案とし、他方をB案として御説明申上げます。
両法律案の違いの第一点は、両法律案におきましては私企業等への関与の制限を受ける国家公務員の範囲の点でありまして、このA案におきましては内閣総理大臣、国務大臣、内閣官房長官及び政務次官を制限の対象といたしておりまするが、B案におきましては、そのほかに法制局長官、内閣官房副長官、人事官、検査官、大使、公使を掲げております。A案におきましてB案に上つております法制局長官以下のものを除外しておりますのは、これら法制局長官等は国務大臣、内閣官房長官、政務次官などと比較いたしまして事務官的な色彩が強く政務官的色彩が薄いので、国務大臣などと服務の上で一律に規定する必要がないとの立法趣旨に基いているかと考えられるのであります。なお念のために一言申上げておきますが、人事官、検査官、大使、公使の服務につきましては、官吏服務規律のほか、すでにそれぞれの特別法が設けられているのでございます。
その第二点は、営利企業を目的とする私企業への関与の制限につきましては、両法案とも全く同一の形で規定せられておりまするが、営利企業以外の事業へ関与する場合の制限につきましては両法律案に多少の違いが見受けられるのであります。その一つはA案におきましては私企業の場合と同様に兼職の例外も全く認めていないのでありまするが、B案におきましては但書の規定を以て内閣の承認を得た場合には兼職し得ることとなつているのであります。
その二は、B案におきましては特定の公務員が法令の規定に基いてその職に伴つて営利企業以外の事業を行う団体、例えば公益法人のごときものでございますが、こういう団体の役員等の職を兼ねることとされている場合には兼職しても差支えないという趣旨の規定を特に設けているのでありまするが、このA案にはそのような規定はないのであります。純然たる法律論からすれば、他の法令で特にこれらの場合の兼職を認めているならば、その法令が特別法でありまするから、特にここに重ねて規定する必要はないと考えられまするが、B案でこの規定を特に設けておりまするのは、注意的規定の意味合ではなかろうかと推測せられるのであります。
その三点は、B案におきましてはその規定で特定の公務員について禁止又は制限されている職を兼ね又は業務を営んでいるものは、その当該公務員となろうとする場合においては、当該公務員となつた日から起算して三十日以内に限つて従来通り兼職し又はその職を営むことができるという猶予期間の規定を特に設けておりまするが、A案にはそのような規定はいたしておりません。A案においてこのような規定の設けられなかつた理由は、最初に申述べましたように、A案は国務大臣等の私企業等への関与の制限については取締的規定の形をとらずに、純然たる禁止的規定の形をとることが最もふさわしいものと認めて従つて罰則規定は申すに及ばず、このような猶予期間について何ら規定されなかつたものと考えられます。
その第四点は、附則の立法の形が両法案の間で趣きを異にしておりまするが、その狙いとするところは結局両者とも同じであります。要するに現在国務大臣等の公務員で私企業等に関与しておる者があつた場合におきまして、これらの法律案が成立して法律となつた場合、これらの法律が公布されて即日施行せられ又即日適用せられたとした場合はいろいろの支障が生じ得ることも予想せられますので、これらの公務員が従来関係していた私企業等の退職等の手続に要する期間を一カ月と見込みまして、この両法案におきましては結局同一趣旨の附則の規定が設けられておるものと考えます。以上がごの両法律案の比較の説明でございます。以上私の説明を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/65
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066・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それでは質疑を続行いたします。ちよつと速記をやめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/66
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067・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/67
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068・岡田宗司
○岡田宗司君 衆議院の議員提出法律になつておるほうでは法制局長官、内閣官房副長官、それから人事官及び検査官、大使、公使まで含んでいますが、この点こちらのは政務次官までで限られておりますが、これはやはわここまで含ませるほうがいいのではないかと思いますが、その点はどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/68
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069・八木幸吉
○八木幸吉君 今杉田専門員から御説明ありましたように政治性が比較的薄いという意味でのけましたので、是非これをのけなければならんという気持は別にありませんので、皆さんの御意向で入れたらよかろうということなら私は無論異論はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/69
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070・岡田宗司
○岡田宗司君 私はやはり入れたほうがいいように思うのですが、まあ内閣官房副長官にいたしましても、とにかくまあ長官とはかなり違いますけれども、併しやはり相当何といいますか任命等に当つて政務次官と同じようなことであるのでやはりこれは入れたほうがいいのじやないかと、他についても同じと思います。
それから先ほど竹下さんの指摘されました点ですが、これはやはり若干の仕事を整理する期間を設けておいたほうがいいのじやないかと、そのほうが合理的ではないかという二点について私申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/70
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071・八木幸吉
○八木幸吉君 今の猶予期間の話なんでございますが、この法律の施行は法律が公布されましてから一カ月ということが附則にあるわけでありますが、その間に現在の該当する職にあるかたがたは、その手続をなさる。それからすでに国務大臣等の私企業禁止のこの法律が制定されましたら、新しく国務大臣になられるかた、若しくはこの職に該当する職になられるかたは事前にすでに例えば会社で言いますれば辞表を一枚書けばそれで済むんですからもうその必要はないだろうというような意味合で、実はこういうふうにきめたわけでございますが、併しそのほうがよかろうということであればいずれも私はそのようにすることに異論はございませんが、現在その職にある人と将来その職にある人とは、そこに若干開きがあつてもいいだろう。成るべくこれを厳格に守る気持で、辞表一本書けばそれで済むんじやないかということで考えておりますので、これは皆さんの意見でどのようになりましてもいささかもそれに対して異議を申すわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/71
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072・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/72
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073・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それじや速記を始めて下さい。
それではほかに御発言もないようでございますので、国務大臣等の私企業等への関与の制限に関する法律案については質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/73
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074・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 御異議ないと認めます。速記をちよつととめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/74
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075・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) じや始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/75
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076・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 次に人権委員会設置法案を議題といたしまして前回に引続いて質疑を続行いたします。
なおちよつとお断わり申上げておきますが、発議者の亀田得治君が本日病気のため委員会に出席ができませんので、人権擁護局長が出席しておられますから局長に対する一つ御質疑がありましたらお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/76
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077・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/77
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078・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/78
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079・山下義信
○山下義信君 実はこの前の委員の矢嶋君からも質疑が出ておつたのですけれども、委員の任期の五年ですが、これは私も少し長過ぎる感じがするのです。その理由は委員長及び委員は国会が承認を与えるのです、条件としては。私はこの種の委員の任命について国会が承認を与えるということは、ほかに例がいろいろあるが、つまり同意を表するのですが、これは同意を表する、承認を与える、議決を求める、いろいろ表現はあるけれども、又その国会承認を求める求め方にもいろいろあるけれども、私はその本質は国会の任命と解するのです。単に承知しましたというものじやなくて、各種委員について国会の同意を求めるという行き方は、私は国会が任命することがその理論から言つて本質だと思うのです。そうしますと、そういう観点に立つてみると、委員長及び委員の任期は五年ということになると、国会の任期は衆議院においては四年なんです。それから参議院は三年ごとに参議院の構成が変るのです。ですから参議院議員の任期は六年であるが、一応参議院は三年ごとに構成が変るとみなければならん。衆議院は通常の任期通りいつても四年で変るのです。そうすると五年という任期は、国会が五年の任期の承認を与えておくということになると、次の衆参両院はこの委員の任命についてはもう検討をすることができない。言い換えると、次の構成される国会の任命権、つまり人事の審議権までも今の国会でやつて行くということは、私は建前上不合理だと思うのです。ですから、そういう意味から言いますと、やはり議員の任期と同じか少くともそれ以上になつてはならんとこう思うのです。そういう意味で五年は長いと思うのですが、こういうことを政府に聞くのはおかしいのですね。これを問題にしておきますから、一つ提案者でもいいです、どう考えるかということを答弁してもらいたいと思います。
それで今私は政府にせつかく御出席ですから聞くのですが、第六条第五項に「委員は、非常動とする。」とあるのです。この非常勤というのはどういう性格のものか、私は役員のことはよくわからんから、承知をしていないから教えてもらうのですが、非常勤というのはどういう性質のものか、それで委員をなぜ非常勤にしたか、こういうことです。それで能率を非常に上げ、経験を高め、人権擁護の非常に大きな仕事をこうして強化してやろうという建前の下に委員会制度をとつて、どうして委員を非常勤にしたかということで私は不徹底に思う。ただ非常勤ならば言い換えるならば嘱託と同じようなもので、弁護士をやつておる人もほかの仕事をしておる人も、今の国務大臣の私企業の禁止の反対に、仕事をしておりながらこの委員になれるという便利からだけでしたというのでは、私は非常にこういう機構を強化拡大して行こうという趣旨と矛盾すると思うのですがね。それから又非常勤になれば日当で済むから経費がどうとかということは些々たることであつて、人権擁護を強化して行こうというような大きなことの前には二人や三人の委員を非常勤にしたところが、経費が節約されるからというようなことま、これは天びんにかからない理論です。なぜ委員を非常勤にしたかということは私に納得できない。非常勤というのは出ても出なくてもいいのです。つまり毎日常動の職員のようにきちつと出なくてもよい。自分の都合のいいときに出ればいいということなんです。そういう建前のものになるのだろうと思う。それで従来政府部内に持つておるところの各種の非常勤の委員があるのですね。審議会なり委員会なりそういつたものがある。この非常勤の委員の出席率が悪いのですね、実際から言つたら。それでいつか提案者が説明しておつたが、一週間に委員会を一回ぐらい開くと言つたが、非常に多数の案件を抱えておつてそんな程度のことではいけないのじやないかと思うのですね。私は委員なども常勤にしてやるくらいでなければ、こういう考え方にそぐわんような気かするのです。
以上が私がこの委員の非常勤についての疑問に思うところだが、これは一つ局長から私のわからないところを教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/79
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080・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 人権擁護委員会設置法案の委員長及び委員が非常勤になつておるのはどういうことかということであつたのですが、これは議員提案でありまして私のほうとしてはそれに対してどうこうという批判はちよつといたしかねるのでありますけれども、ただ非常勤と申しますのは私はまだよく研究いたしておりませんが、公務員は公務員法に基いて常勤いたすことになつておりまして非常勤の場合はいわゆる常時常勤しないという程度でありまして、実際の運営としてはいつでも勝手なとき出てよいということではなくして一週間に何回とか日をきめて実際に出ておるように承知いたしております。
そこで人権擁護の仕事が非常勤でよいかどうかという問題でありますが、これは委員の皆様に御判断願わなければならんことなんでございますが、恐らく議員提案者の御意向としては、委員長が常勤であるならば委員は非常勤であつても人権侵犯事件を処理するのが必ず毎日たくさんな事務量があるということでもないだろうというようなところから出たのではなかろうかと、これは想像でありまして私どもわかりませんが、さような意味から非常勤でまかなえるのじやなかろうかというような考えではないかと思うのであります。で、私のほうで侵犯事件として受理いたしました件数はこの前も御報告いたしましたが、二十八年度では二万九千百四十四件ということになつておりまして、そのうち人権擁護上一番問題になりまする特別公務員の人権侵犯事件というものは、二十八年度におきまして八百八十一件でございます。これらの点から委員全部が常勤でなくても賄えるのじやなかろうかというふうに提案者のかたはお考えになつたのじやなかろうかというふうに想像いたしております。ただ理想として全部常勤であるならばこれはますますいいことはもう申上げるまでもないと思うのでありますが、そういうような点から侵犯事件の処理件数、予算面等を考慮されて、まあ委員長は常勤であるが他の委員は非常勤でもよいというのじやなかろうかというふうなお考えになつたのではなかろうかというふうに想像いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/80
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081・山下義信
○山下義信君 今の政府の御所見ですがね、そういう意見では、これは委員長は非常勤じやないんでしようね。第六条第五項の委員だけが非常勤なんですから、委員長は非常勤じやない。あなたは今委員長及び委員とおつしやつたけれども、委員長は常勤ですね。ですけれども非常勤の委員では、会議が成立しないことが多いだろう。つまり第十二条の会議のところで会議成立の諸要件がある。これはそういうふうな、随時出勤的な性格の勤務要件になつておる。非常勤では会議は成立しない。それで今の政府の所見ではまあいわば大して会議にかけるような件数がありませんからしばしば会を開くこともなくて、この状態でいいだろうという御所見である。そういう考え方は私聞いているとどうも現状から一歩も出ないという考え方ですね。それで侵犯謹といいますか、いろいろな件数が十分機構が強化されれば今の三倍でも五倍でも実際はある。人手が少くて機構が小さくて弱いから十分な活動ができないというように我々は聞いている。今の程度で行ける、今の件数の程度を予想されているのであつたならば何もこういうふうなことをする必要はないと思うのです。
政府についでに参考に私が聞きたいと思うのは、こういう委員の推選というものは、つまり任命ですね、みんなこれは所管大臣がやるのですか。これは人権擁護委員会の委員は法務大臣が両議院の同意を得て任命者になる。それだから法務大臣が又罷免することができるようになつておるようですね。或いは総理大臣が推選をして我々国会の同意を求める委員というものがかなりあつたように思う。それで通産大臣とか厚生大臣とかいうものが任命者になつて、又その委員の首を切ることもできるようになつている者、みんな他もそういうようなものですかね。ほかの委員はどうですか。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/81
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082・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 公正取引委員会では総理大臣が任命いたすことになつております。この人権委員会設置法案によりますと、法務省の外局として人権委員会を設けるということにたつておりますので、外局ということになりますと、所管大臣が普通任命いたしておるように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/82
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083・山下義信
○山下義信君 それでは同じ質問をするわけなんですが、省の外局としての委員会というものの行政機関を持つているのが他に例がありますか。私が質問する要旨は、これは強くする意味なんですね、人権擁護関係の行政機関を強くしよう、この委員会というのは怖い。強いのはどこが強いかといえば、それが主管大臣のそういう大臣などがあごの先に使われることが強い。それですから大体独立的な性格を持たせる。そういうふうにすると余り大げさ過ぎるというので、この程度で遠慮して立案したのでしようけれども、ともかくやはりこの委員の任命権は法務大臣が握つておるというのじや局長と同じことなんです。強そうに見えているけれども、実体はちつとも強くなくて、それで省の外局だから国会の同意を要件にしているけれども、法律の形式はやはり法務大臣が推選をし、つまり罷免権まて持つている。こういうふうな委員会が果して強いかどうかということも疑問があるのですけれども、こういうふうに外局で主務大臣が任命権を持つているような委員会というのは他の例でどういうものがありますか、私は非常に少いのじやないかという気持ちがするのですが、たいがい総理大臣が推選するのが多いと思うんです、今までうろおぼえにおぼえているところでは。専門員のほうで御承知ならば教えて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/83
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084・杉田正三郎
○専門員(杉田正三郎君) ちよつと私から御質問に対して御答弁申上げます。現在いわゆる行政委員会として置かれておるものは、総理府に三つ、法務省に二つ、文部省に一つ、運輸省に二つ、労働省に三つ、それから建設省に一つございます。各省に置かれております行政委員会は御承知のごとく各省の外局でございまして、その外局の委員会の委員の任命の形式は、只今のところその省の所管大臣がこれを任命するということになつております。例えば現在法務省にありまする委員会は司法試験管理委員会、公安審査委員会でございます。文部省の例えば文化財保護委員会、運輸省では船員労働委員会、捕獲審検再審査委員会、労働省の委員会は中央労働委員会、公共企業体等仲裁委員会、公共企業体等調停委員会、建設省の委員会は首都建設委員会でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/84
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085・山下義信
○山下義信君 仲裁委も労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/85
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086・杉田正三郎
○専門員(杉田正三郎君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/86
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087・山下義信
○山下義信君 その点は疑義が晴れました、そういう他に例があるので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/87
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088・八木幸吉
○八木幸吉君 関連して専門員に伺いたいのですが、土地調整委員会の委員の任命は総理大臣ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/88
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089・杉田正三郎
○専門員(杉田正三郎君) これは今ちよつと申し落しましたが、総理府には委員会が三つございます。一つは公正取引委員会、国家公安委員会、土地調整委員会、この総理府の委員会の委員の任命は総理大臣ということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/89
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090・山下義信
○山下義信君 任期はどうですかね、他の各種委員のこれは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/90
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091・杉田正三郎
○専門員(杉田正三郎君) 任期は各行政委員会で区々になつておりまして、一番大体長いのが五年、三年というような形で、むしろ三年のほうが数から言えば多いんじやないか、私正確にちよつとお答えできませんが、三年が一番多いんじやないかと思つております。或いは次回にこの全部の行政委員会の任期が何年になつているかということを表につくつてお手元に資料として差上げたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/91
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092・山下義信
○山下義信君 五年の任期の分は恐らく委員の任期全部が五年でなしに、例の交替制で、五年、三年、一年とかいうことになつておるのが多いんじやないかと思います。今はあの制度は最近の委員会の立法ではとらないでしよう。近頃はこういうふうに一斉にたいがい三年とか二年とかいうように行くでしようね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/92
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093・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/93
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094・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/94
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095・三浦義男
○三浦義男君 委員は非常勤とする、こう言つているのですね。これは前に御質問があつてお答えになつているので私は不勉強かも知れませんけれども、これは人権を擁護するということを非常に強く打出した法律案なんですね。ところが非常勤にするということになりますと、私はむしろ前の内局で行政権を持つていたときよりも、事務の能率が下るんじやないかそういうような心配があるのです。どうせもうおやりになつてこれを強化して行こうというのならば、むしろ常勤にして、勿論委員長は常勤でありますが委員も常勤にして、それで事務能率をお挙げになるということがよろしいのじやないかと思うのですが、又この委員会が非常勤であるというようなことで、事務能率が下つておるという事例も相当あると思うのですよ。これはどういうお考えですか。せつかく強めようとするのに非常勤というようになされたその辺のことを一つお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/95
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096・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/96
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097・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 速記を始めて。只今御質問になつた点は、発議者が出席した際に改めて答弁をして頂くことにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/97
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098・三浦義男
○三浦義男君 それからもう一つは、村なり市町村におりますこの事務を担当しております嘱託のかたが、私は本当に報酬なり何なりというものは見てやれないような恰好で非常に微力なものじやないかと思うのですがね。この前の委員会でもお話があつたように、自分のポケットマネーまで出して仕事をやつておられるというようなことがありましたが、むしろこういう方面にもつと金を出されるなり何なりして力をつけてやることが事務を促進したり能率を上げるもとだと思うのですが、これに対しては事務当局は御答弁できると思うのですが、どういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/98
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099・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 人権擁護委員の手当報酬の問題に関連しまして、予算の問題が常に問題になるのでありまして人権擁護委員に与えられました予算というものは、年間一人千円ということになりまして一切がつさい年間千円のうちでまかなう、かような状態でありまして、かような予算で一体人権擁護委員が本当の仕事ができるかどうか、予算の範囲内でできるかということになりますと、これは申上げるまでもないので、今日の物価を考えましても一月八十円そこそこのもので一体人権擁護の仕事ができるかというということになりますと、この予算では無理だということは申上げるまでもないと思います。ただ従つてこういう予算では思うような仕事ができませんので、何とかこれを増額しなければならんというので努力いたしておるのでございますが、どうも私たちの力が足りないと申しますか、大変申訳ないのですが、どうもこの予算がふやしてもらえないということで実は今日まで参つております。この前もちよつと申上げたのですが、人権擁護局のいろいろの予算の折衝時期になりますと、偶然といいますか、何といいますか常に人権擁護局の縮小問題が出て来るというようなことで、予算上非常に折衝する面において人権擁護局が縮小されるんじやないかということで、大蔵省としても力が入らんというような結果じやなかろうかと私は想像しておるのですが、常識ではさような予算でまかなえないことはわかつておりながら、これが認めてもらえないというようなことで今日まで参つております。ただ幸いなことに、幸いなことに甘んじてはいけないのですが、人権擁護委員になられるかたが非常に立派な見識を持つておられ、これに対して予算のことを考えずに本当に国民のためにやるのだ、国民の人権を擁護するのだという気がまえを持たれるかたが多いために、かろうじてそういうかたの御努力でやつて来た。このようなことで今後ともそのままでよろしいというような考えは毛頭持つておりません。できるだけ一つ予算の増額等にも力を入れなければならん、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/99
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100・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 局長に私ちよつとお尋ねしておきたいのですが、例えば今問題になつておる法律案がこのまま成立するとした場合に、現在の人権擁護高等のやつておることと比較をしてこれでも現在よりはよくなつて行くというふうなお考えかということと、それからこれによつて相当の人権擁護、仕事の独立性を高めることができるというふうに考えられるかどうかということと二点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/100
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101・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 先般も法務次官が法務省としての意見を述べられまして趣旨には賛成であるが、今直ちに賛成しがたいというような法務省としての見解を当初からはつきりせられまして、私の立場としてはちよつとお答えの非常にしにくい面があるのですが、ただ私個人の意見として答えられる範囲でお答えいたしたいと思いますが、人権擁護の仕事が権威と独立性を必要とするものであることは、仕事の性質上すでに委員の皆さん御承知のところであろうと思います。そこでこれを委員会にして外局にした場合に今までよりどうかという比較論になるのでありまして、これはやはり委員会の委員長及び委員等になられるかたがたの熱意等が相当影響すると思うのですが、委員会にしましても先ほど委員の皆さんの中からもお話ありましたように、とかく委員会というものは冗長に流れて誰が責任を持つて仕事をするかということが薄くなる面が往々にしてあるとは断定いたしかねるのでございますが、そういう面が考えられるのであります。そこでやはり委員長なり委員になられるかたがたの熱意と運用如何ということにやはりかかると思います。ただ機構の上からは外局ということになりますと、内部局よりはやはり機構上独立性を持つし、大きくなるということに相成ると思うのでございますが、そこで例えば先ほどお話ありました予算にいたしましても、或いは人権擁護局職員が現在十四名である、四十九法務局の職員が全部で百六十三名であるというようなことも、独立性を以て外局になりますれば、予算或いは人事等においても今までよりは相当のゆとりができるだろうということは考えられるのでありまして、最前申しましたように法務省の方針がきまつておりませんので、私からそうしなければならんということを申上げると、又先ほどの山下委員の質問に対しても多少私の答弁の仕方が極めてあいまいなようなことになりましたのですが、それは今申上げたような事情からそういうことになりましたのですが、ひややかな今の考え方としては外局になれば予算もとりやすいし、人事の問題についても相当の余裕が持てるだろうということも考えられます。それから人権擁護の仕事の面でもやはり独立性を持つことが必要である。又そうすることが一般の国民の立場からも、内部局よりは外局において事件が処理されるということのほうが、公平な処理がされたということに信頼されるのじやなかろうかというような気がいたすのでありまして、それらの点を一つ御勘案願つて御審議を賜わりたいと思うのでございますが、ただ内部局であるからこの種の仕事が従来できなかつた、又できない、さようには申上げられないのでありますが、委員会にいたしますと冗長に流れやすい、誰が責任を持つて一生懸命やるかというような点については一つ委員長なり、委員になられるかたの御選任なり、又選任された委員のかたの御熱意等が相当影響するのではなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/101
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102・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) )れからもう一点。最近の新聞で私見たことなんですが、東大の文学部助教授が蔵書の調査を受けたということなんですが、人件侵害の問題で擁護局のほうで取上げられたということが出ておつたのですが、それの概略でいいのですが、一つその経過と、そしてそうした問題が最近従来に比べて減つて行きつつあるのか、そうでなしに逆にふえる傾向にあるのか、その点についてちよつと話を参考にお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/102
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103・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 只今の御質問につきましてお答えいたしますが、本年の三月三十日午前十時半頃だと存じますが、台東区谷中三崎町に居住しております関野雄助、このかたは東大の助教授でありますが、その関野助教授宅に谷中警察の安蒜安正という警察官が案内簿、前は戸籍簿というのが警察にあつたのですが今は案内簿と言つておりますが、この案内簿を持ちまして防犯予防等の考えで関野助教授宅を訪れた、そこへ奥さんが玄関べ出て参りまして、その奥さんに対して安蒜巡査が丁度玄関のところの障子が一つ切れてありまして、これをお宅は大変まあのぞき穴をこしらえられておつて用心がいいですねという話がございまして、それから間もなくお宅は文部教官でございますかという質問に対して、奥さんからさようでございます、どちらにお勤めですかと言われて東大に勤めています、こういうような質問のうちに丁度玄関の前の四畳半に本箱がおいてありまして本がぎつしり詰つております。その本箱を見ておりました安蒜巡査が奥さんに本を見せて頂けませんかというようなことで、余り突然なんで奥さんがはあと言つて驚いているうちに、靴を脱いで帽子をかぶつたまま上り込んで本を見ておつた、それで引出した本がマルクス・エンゲルスの芸術論と、「ソ同盟の自然改革」というような、そうした本を二冊ほど抜き出して見ておつた、そこへその隣の奥の部屋におりました主人が出て参りまして、一体何しに来たんだというようなことで押し問答があつて、約三十分ばかりして関野助教授からいろいろ難詰されて帰つたという事件なんであります。そうした事件を東京法務局の人権擁護部に訴えがございましたので直ちに調査いたしたのでありますが、その結果大体今申上げたような事実が判明いたしたのであります。安蒜巡査としましては、自分は前々からこつとう物とか盆栽等に趣味を持つておつた、本に対しては趣味はなかつたが、前々からそうした本を見たいなと思つておつたような矢先であつたので、たまたま本箱があつたので、つい何気なく見たくなつたというようなことを言つているのでありますが、私のほうの調査した結果として、一体何のために上り込んで人の本を見なければならないかという理由が極めて薄弱でありまして、併しこの本件が思想調査のためにやつたものであるかどうかということに対しては私のほうから直ちに確定付けることはできないのでございますけれども、諸般の事情から見て思想問題というものがいろいろ世間でやかましく言われている折から、こうした警察官の態度というものが一般のまあ思想調査をしたのじやなかろうかというような疑いを持たれるような事情があるというようなことから、警察官のとつた行為が人権擁護上よろしてないというので勧告いたすことにきめたのでございます。まあ大体の概略は今申上げたような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/103
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104・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) それから最近の人権侵害の件数はどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/104
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105・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) もう一つ落ちておりましたが、御質問の趣旨は思想問題等の侵犯事件でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/105
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106・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) そういうものも含めて全体的に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/106
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107・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 人権侵犯事件全体として先般も御説明申上げましたが、毎年逐次というよりかなりの数が上昇いたしておりまして、先ほども申上げましたように昨年度は二万九千百四十四件というような数に相当増大いたしております。それは人権が侵害された場合にみずからの人権を自分から守らなければならないんだ、もう泣寝入りするようなことはしてはいけないんだ、若しそういうようなことがあつた場合には、人権擁護局なり法務局なりに届け出でなければならん、救済を求めなければならんというようなことが漸く地方にも行き渡つて来た結果が、この数に相当影響しておると思うのであります。実質的な人権侵犯事件がふえたかどうかということについては、今直ちには私も断定いたしかねるのでございますけれども、併し戦後民主政治という時代となつても、なお人権侵犯事件が跡を断つておらないということだけは間違いないところでありまして、侵犯事件がなおある。又侵された場合にもう昔のように泣寝入りしておらないというような二つの面から、事件が年々増加しつつある。かように考えておりまして、特に今年度に入りましても、これも大体の傾向でございますけれども、昨年度よりは事件が多くなつて来ておるんじやなかろうかという感じがいたすのであります。と申上げますのは、本年に入りまして、私のほうで告発いたしました事件がすでに五件くらいに相成つております。昨年度は事件はございましたが、告発しました事件が昨年度は一件か多分二件でありました。今年度はすでにもう一月以来五件の告発をいたしておるというようなことから、侵犯事件が決して減らない、むしろふえつつあるんじやなかろうかというような気がいたすのであります。
それから思想調査等の問題につきましては、これは極く最近の新しい事例でありまして、従来はそういう問題は殆んど私のほうで取扱つたことがないのでございますが、御承知のように新聞等において御承知と存じますが、最近におきましては長野の公安調査庁の職員による郵便の調査と申しますか、それから静岡における教研大会の出席者の氏名、動向等を警察官が調べたというような事件、それから先ほど申上げました谷中の警察署の蔵書を調べた事件というようなものが私のほうに取上げられて参りまして、以前には余りなかつた事件でございまして、今年に入りまして最近にそういう事件を私のほうで取扱つた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/107
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108・植竹春彦
○植竹春彦君 今日の人権擁護局長のお話、御答弁は、政府の代表としての御意見、御答弁でございますか。外局のほうがいいという御意見があつたのですが、あれは局長個人の御意見ですか。政府代表としての御意見ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/108
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109・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) それは政府の意見は先般実は政務次官がすでに述べられまして、趣旨には賛成であるが、今直ちに賛成しがたいという反対の意見を述べられておりますので、政府委員といたしましては、私は私の立場上人権委員会を設けて外局にすべきだという意見を直ちに申上げられないのでございまして、ただ私個人の意見として外局にした場合はこうでなかろうかという意見を申上げただけでございまして、私個人の意見でございます。法務省としてはこの前申上げたように、趣旨には反対でないけれども予算或いは機構の縮小を今いろいろ考えておる時期でもあるし、外局にして行くということにはすぐには賛成できないというような趣旨の答弁がこの前ございました。ですから私の人権局長としての立場においては、政府の方針がきまつておりませんので、これは止むを得ないと思いますが、ただ私個人の意見とした場合には外局にした場合にこういうことが考えられるという意見を申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/109
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110・植竹春彦
○植竹春彦君 考えられるということは外局にしたほうがいいという結論なんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/110
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111・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 一つ皆さんで御判断なすつて下さい。いいということははつきり申上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/111
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112・植竹春彦
○植竹春彦君 わかりました。政府では今行政機構の改革で外局をできるだけ圧縮したいという意向を承知しておりましたので、そこに疑問を持ちましたので質問した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/112
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113・岡田宗司
○岡田宗司君 今の例の谷中のその本の調査の話でございますが、勧告をされた、併しああいう事件はどうも個人の巡査が勝手にやつたとは思われない。勿論ああいうことをやるについては警察として何か思想調査をやるというようなことがあつて、それに基いてその巡査がやつてたまたま露骨にやり過ぎたのでまあ問題になつた。それから他の方面において雑誌を買つた者の名前を調べるとか、公安調査官が上田でやつた事件というのは、私は一連のやはり裏に政府のほうで思想調査を復活しつつあるということがたまたまそういう事件になつて現われた、こういうふうに思つておるのですが、あなたがたはそういう点をお調べになつたときにそこまでお調べになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/113
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114・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 今度の谷中の事件が一連の思想調査の一つであるかどうかということは、これは私たちの調査したところではそういう点は何とも申上げられないのでありますが、どうもそういうあれがあつたのではなかろうかということは、今度の谷中の事件についてはほぼそうでなかつたのではなかろうかという気がいたすのでありまして、ただそういう折に警察官が何の必要があつてそういう本等を調べるのかというような点から、客観的に見て思想調査をした疑いを持たれるのではないかというふうに考えたのでありますが、本件のこの巡査は私のほうで調べたところによりますと、小学校を出ただけで十五年間平巡査をやつておつて、警察等を調べたのですが、そのほうから見ましても非常に成績の悪い、十五年いてまだ進級もできないという極く百何番中の殆んどビリくらいの成績なんで、そういろいろ諸般の事情から見ますと、そう上からの命令によつてそういうことをしたというようなことはちよつと考えられないような気がいたすのであります。これはどうも私どものほうとしても何ともお答えいたしかねるのでありますが、ほかの場合はどうかわかりませんが、本件の場合はそういうことはなかつたのではなかろうかという気がして実は公平に見て思つております。ただそういう疑惑を持たれるような行為をすることは一般の人に与える影響が極めて大きいのじやないか。警察等がいわゆるそういう思想調査をしておるようなことを一般に思わせるというところに私は非常に遺憾な点があるのではなかろうかというような考え方から、処分勧告を実は要求いたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/114
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115・岡田宗司
○岡田宗司君 処分勧告というと懲戒免職でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/115
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116・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 処分勧告というのは必ずしも懲戒免職というわけじやございませんですが、私のほうでは勿論監督者じやございませんので、懲戒する権限を持つておりませんので、それは監督者であるところにおいて適当なる処分をしてもらいたいという意味でありまして、懲戒は必ずしも免職だけではございませんで、いろいろほかの処分もあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/116
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117・八木幸吉
○八木幸吉君 ちよつとお伺いしたいのですが、今人権擁護委員というのは全国で何人ぐらいおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/117
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118・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 現在の実数は大体四千五百名ぐらいおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/118
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119・八木幸吉
○八木幸吉君 その人の一人の手当が千円以下とこういうわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/119
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120・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 一人の予算は年間で千円ということになつております。現在予算上認められておりまする人権擁護委員の人員は三千九百二十三名分だけ認められておりまして、あとは予算なしに委員をお願いしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/120
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121・八木幸吉
○八木幸吉君 委員法には二万名までこれを委嘱することができるというふうに書いておりますが、本年度どのくらいおふやしになりますか。予算で制約されて予算だけしかおふやしにならんと、こういう意味でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/121
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122・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) お尋ねのように委員法では二万名まで委員を置くことができるということになつておりまして、実際数は今申上げたように予算等の関係から四千五百名ということになつておりまして、これも予算からはみ出しておるのでございますけれども、もうすでに事務局ができまして五年以上たつております。予算がとれないからと言つていつまでもこのままにできませんので、予算を考えずに増員をしつつあるのでありましてそれが四千五百名までになつて参つたわけであります。本年度におきましてはできる限り委嘱申上げたいということは、むしろ都市より農村においてこの人権思想というものは普及させる必要がある。そこで各町村、村全部までも置きたい。こう考えるのでありまして、村まで全部置くことになりますと、大体一万名を超えるかと存じますので、いろいろ実際問題としては手続上のいろいろあれもございますけれども、全村にまで置きたいという考えで村のほうに委嘱を逐次いたしております。ふえて参りましたのが四千五百名でございます。できる限り数はふやしたい、かように考えております。ただ今申上げましたように予算がございませんので、各地方の協議会なり連合会なり又現地の法務局とも連絡をとりまして、予算に関係なく、とにかく全部の村にまで置いてもらいたいというようなところから先に上申をさせまして委嘱を急いでいるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/122
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123・八木幸吉
○八木幸吉君 府県別の人権擁護委員と侵犯件数の表を資料として御提出願いたいのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/123
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124・戸田正直
○政府委員(戸田正直君) 早速作りまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/124
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125・小酒井義男
○委員長(小酒井義男君) 人権委員会設置法につきましてはなお若干資料の必要もありますので、これの提出を求めて更に質疑を続行いたすことにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X03019540510/125
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