1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年六月十日(木曜日)
午後二時十九分開会
—————————————
出席者は左の通り。
理事
植竹 春彦君
長島 銀藏君
竹下 豐次君
委員
石原幹市郎君
西郷吉之助君
白波瀬米吉君
井野 碩哉君
廣瀬 久忠君
堀木 鎌三君
野本 品吉君
国務大臣
国 務 大 臣 塚田十一郎君
政府委員
内閣官房副長官 江口見登留君
総理府事務官
(内閣総理大臣
官房審議室統轄
参事官) 田上 辰雄君
行政管理庁次長 大野木克彦君
行政管理庁管理
部長 岡部 史郎君
事務局側
常任委員会専門
員 杉田正三郎君
常任委員会専門
員 藤田 友作君
—————————————
本日の会議に付した事件
○行政機関職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/0
-
001・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) これより内閣委員会を開会いたします。
先ず行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題に供します。本法律案について質疑のあるかたは御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/1
-
002・竹下豐次
○竹下豐次君 大蔵省関係の保税倉庫等の派出職員と手数料の徴収との関係について、前にお尋ねいたしたのでありますが、その御答弁がはつきりしない点がありましたので、更に重ねて御説明をお願いしたいと思います。それからそれと一緒に、定員法で現在その関係の人員が定めてありますのを、今度政令に委ねたいという法案になつているのであります。で、その問題についてもこの前質問いたしておきましたが、併せてお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/2
-
003・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。只今お尋ねがございました通り、大蔵省に所属いたしまする税関特派職員につきましては、従来法律でその人数をきめておりましたが、このたびの改正案におきましては、その人数はこれを政令で定めることにいたしたい、こういうのが改正の趣旨でございますので、只今お尋ねがございました御趣旨に基きましてお答えを申上げることといたします。
いわゆる税関特派職員と申しますものは、保税倉庫、保税工場、保税上屋等の関税法規の適用上、特殊の取扱をする場所に派出いたしまして税関事務の一部を処理させる職員でございまして、これらの保税倉庫等を設けます場合には、関税法及び税関関係手数料令、こういう政令でございますが、これの規定によりまして、派出を要する税関官吏一人につき、期間一カ月までごとに一万一千円の手数料を徴収することとなつておつたのでありますが、この手数料算定基準は、その運用上好ましくない結果をもたらす虞れもあり、且つ、不合理な点もございまするので、このたびの国会におきまして、関税法の全面的改正によりまして、これを改められた次第でございます。で、このたび改正いたしました関税法の規定によりますると、手数料の額は、保税倉庫等の種類別、坪数、許可期間、それから税関事務の種類等を基準といたしまして、政令で定めることとなつておりまして、従来のように形式的、且つ一律に定められるものと異なりまして、客観的基準によりまして公正妥当な額を定められることとなりましたので、同法の他の改正規定と共に、その運用に関し遺憾なきを期し得られるものと思われる次第でございます。税関特派職員の定員は、保税倉庫等の設置の許可又はその許可の消滅によりまして、その所要定員が常時増減するものでございますから、これを直接法律の規定で規制いたしますことは、頻繁な法律改正を予定すればともかくとして、実際上不都合が多いのでございまして貿易振興の急務が痛切に感ぜられる現状に副わない事態を招くことも考えられる次第でございますので、このたびの定員法の改正によりましてこれを政令で定める定員といたしまして、貿易振興に関する他の制度と共に、保税制度の円滑な運用を図ろうとするものでございますが、これは、さればと申しまして、決して無制限に定員をきめる途を開いたものではございません。行政各部における各般の職員の場合との権衡を十分考慮して決定されるわけでございますし、又予算的にも厳格な規制を受けるわけでございますから、その規定の運用が厳格を欠く虞れはないものと思われますので、この改正案につきまして、御了承頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/3
-
004・竹下豐次
○竹下豐次君 了承いたしました。次に、この昭和二十九年二月二十日付で各都道府県知事宛に自治庁の次長から、地方公務員の人員整理について通牒が出ております。これにつきましては、もう年度も変りまして、相当に期間もたちましたので、地方からそれぞれ報告があつていることだと思いますが、大体どういうことになつておりますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/4
-
005・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは御承知でありますように、地方の行政整理は、国の行政整理を行政管理庁が指示をいたしますというような工合には参りませんので、一応国の基準に従つてやつてもらいたい、それに基いて財政計画は、従つてそういう整理が行われるという前提で計画をいたしておりますけれども、そのあとの、現実に行われるかどうかということは、これとは全然別になつて来るということもあり得るわけであります。別になつて来るということは、この通り行われないという場合もあるかと思いますが、それはただ整理が何も行われないという場合があると同時に、これ以上の整理が行われているという場合もあり得るわけでありまして、大体国としては一般標準を示して、これに則つてやるようにということを勧奨し、且つ希望するだけのものであります。従つて新聞などでも御覧であると思うのでありますが、青森県あたりにおきましては、非常によくこの行政整理をおやりになつている。又京都府市においても、つい最近の調査の結果では、そういう空気が非常に強く出ておるようでありますが、まだ各府県若しくは市町村において現実に行われた結果についての報告というようなものはまだ参つておる段階ではないのであります。さよう御了承頂きたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/5
-
006・竹下豐次
○竹下豐次君 政府としても、地方庁のほうでどういうふうにやつておるかということは、やはり御承知になつておく必要もあるだろうと思つておりますが、これはいつ頃までに大方その事情が全国的にわかりますか。そんな御予定もないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/6
-
007・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ適当な時期にやはりそういう工合に各地で個々に行われておりますものを、やはり何か調査でもいたしまして報告を求めて、全体的な調査をいたしてみなければならないと思つておりますけれども、恐らく今の段階では、まだ調べを出しましても、回答を得られる時期にはなつておらないのじやないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/7
-
008・竹下豐次
○竹下豐次君 もう一つお尋ねします。似寄つたことでありますが、二月二十三日に都道府県知事と、都道府県の教育委員会宛に、文部省の事務次官と自治庁の次長との連名で、地方公務員の人員整理に関する閣議決定に伴う小中学校教職員の取扱についてという通牒が行つております。これもやはり同様、まだあなたの方ではおわかりになつておりませんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/8
-
009・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) さようでございます。殊にこのほうは調査はいたしますにいたしましても、文部省が主になつてやられることになつておりますので、私のほうとしては、まだ結果を承知いたしておりません。ただこのほうは現在あるものを整理するということよりも、学童の増加によつて伸びる人員を抑制するということに重点が置かれておりますので、多少一般の地方職員とは様子が違うと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/9
-
010・竹下豐次
○竹下豐次君 私の質問はこれで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/10
-
011・井野碩哉
○井野碩哉君 この法律の附則を見ますと、「この法律は、昭和二十九年四月一日から施行する。」、こう書いてございますが、現在の状態でこれをこのまま公布するわけには行かんと思いますが、これは恐らく修正しなければならんと思いますが、これを仮に公布の日から施行するということにいたしますと、附則の九項と十項の関係でございますね、これはどういうふうになるのでございましようか。「各行政機関の職員の数は、昭和三十年七月一日において新法第二条第一項の定員をこえないように、昭和二十九年四月一日から昭和三十年六月三十日までの間に、整理されるものとし、」とありますが、これを今多少変更を加えないと無理ができると思うんですが、その点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/11
-
012・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) お尋ねの点は御尤もなお尋ねだと考えておるわけであります。この法律は、案を作りましたときには四月一日から施行できるという考え方でおりましたのが、いろいろな事情で以て今日まで延びておりますのでありまして、殊に整理をしてしまう最終の日を六月三十日までに切つておりますと、仮にこの法案が当委員会及び参議院におきまして最大限に我々の希望するように早く上げて頂きましても、十四日以前に公布施行するということはむずかしいのじやないかとまあ考えておるわけであります。従つてそういたしますと、あともう整理に充てられる時間というもの、日数というものは僅か半月ちよつとでありますので、省によつては非常に困難が起る省が出て来るのじやないかとも考えております。私のお預りしております郵政省などは、殊に非常に困難が出て来るように考えておりますので、何がしかの非整理期間というものを延ばさなくてはならんのではないかということを考えておるわけであります。ただ予算に若干引かかりが出て来る問題でありますので、只今実は大蔵省とも事務的な折衝を重ねて、政府の考え方を今まとめておる段階でございます。もう間もなく或いは話合いがついて返つて来るかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/12
-
013・井野碩哉
○井野碩哉君 次の十項の問題も同じでありますが、待命の問題でございますね。これも期間的にやはり無理が来ると思うんですが、この点もやはり修正しなければならんと思うんですが、その点は如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/13
-
014・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 同じ考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/14
-
015・堀木鎌三
○堀木鎌三君 私今替つたので、前に御説明があつたかも知れないと思うんですが、この定員法をきめるときに、実は各省とも定員を絞ると、ほかの何というか、請負的な仕事にしたり、それから或いは臨時人夫の形で使つたり、いろいろなことがされておる、そういうものについてお調べがあつたろうと思うんですが、そういうものが全体各省を通じてどれくらいありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/15
-
016・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。只今堀木委員からのお尋ねは、定員法以外に、各省に常勤労務者と言われるもの、それから非常勤職員というものがある、定員法のほうを絞るとこちらのほうが殖えるのじやなかろうかと、こういうお尋ねのように承わつたわけでありますが、この常勤労務者の人数につきましては、大体これはその数は予算の常勤労務者給与に計上されている数で把握するよりほかございませんが、その数は昨年も今年も大体三万四、五千のところでございまして、このたびの整理によりまして常勤労務者が殖えるということはございません。又このたびの整理におきまして、この三万四千余の常勤労務者につきましても、その数を整理しようかという話もあつたのでありまするが、これはその常勤労務者が従事している職務の実態からその整理数を割出すということも困難でありますので、これは専ら予算上の措置に委ねまして、特別な整理は行わない、従つて昨年と同じような状態になつておる、こういうような状態でありますので、特別これが殖えたということはございません。ただ非常勤職員につきましては、これはその中に若干年間を通じて雇用されるというような常勤的な形態のものもあるようでございますが、大部分のものは極く季節的に、或いは極く臨時的に使われるものが多かろうと思うのでありまして、それらは主として事業費から出て来るものであるというようなことでありまするので、この非常勤職員の実態を把握することは困難でありまするが、定員法の定員を絞つたからといいまして、直ちに非常勤職員が殖えるとは考えませんが、全然そちらのほうに逃げて行かないということも申せません。併しこの非常勤職員につきましては、大体その法制その他におきましてもいろいろ不備の点がございまするので、今後の公務員制度の問題といたしまして、非常勤職員につきましては、なおいろいろ規制を加えたり、その他適当な措置をとる面で必要な点が多かろうと思うのであります。実情はそういうようなことでございます。御了承を頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/16
-
017・堀木鎌三
○堀木鎌三君 大体そういうふうにお考えになつているのだろうとは思うんですが、事実我々が見たところでは、そう必ずしもあなたの御答弁の通りには行つていない。例えば調査のものなら、調査実施について、統計その他のものを減らしてしまうと、それはもうその職員は、これは職員の身分を保有しないでもやらせられるんだから、そういうものが常時一定の事業費の経費として使われる。それから工事の場合でも、常用人夫になつているというものははつきり或る程度わかる。併しそれを請負のほうの工事費にぶつかけてしまえばわからない。予算上人間の費用として出て来ればいいけれども、事業費で出て来ると全然わからない。そういう例はたくさんあるんですよ。そういうものを調べられないと、実際のところは、定員の穴はどこべだつて抜けられる。これは役人をしていた僕らは抜け道は幾らも知つているんです。そういうものも考えられないと、実際に適正な人件費の節約になり、適正な配置になつておるかという問題は疑わしい問題として起きて来る。これは本来から言えば、当然調べることが必要なのじやなかろうか、こう私は考えるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/17
-
018・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 誠に御説の通りの点が多かろうと思いますので、この非常勤職員及び常勤労務者の制度につきましては、公務員制度調査会におきましても、十分研究調査の対象とする予定でございます。これは今後も十分研究を続けて行きたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/18
-
019・堀木鎌三
○堀木鎌三君 それから、これはまあ誰でも聞いているだろうと思うんですが、大臣から特に御答弁を願いたいと思います。一体行政整理というものは、なかなか意図しながらも、それを実現することはむずかしいんですが、併し大づかみに考えて或る程度やはり国の経済なり、何か国民の所得、或いは経済の実態その他から見て、大づかみにどれくらいの、何というか、国家公務員が適当だと、そういうものを全体の組立て方から予算的に見、或いは過去の経験から見てどう考えておるか、これがまあ何といいますか、一つの目途になつて、まあ吉田総理は年中行政整理は毎年やるようなことを言つて、何だか大掃除を毎年やるようなつもりでやつているようだが、大づかみの考え方としては、そういう考えもできるでしようけれども、毎年やるといつたつて、目標というものがなくちやいけないので、目標なしに大体放つて置けば自然に殖えるから毎年やるんだというような考え方では事務にならないし、行政の方針にならないと思いますが、そういう点において、まあ必ずしも私はその御答弁をもらつたから所期の通りに行くとは考えないんだから、そう拘束を持たなくてもいいと思いますが、言われたことに拘束力を持たすつもりはありませんけれども、そういう点についての大臣のお考え方を一つ伺つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/19
-
020・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 誠に御尤もなお尋ねを受けておるわけでありますが、実は私も行政管理庁長官を拝命して、行政整理を考えて見るようにという指示を受けました当初におきましては、何らかどの点から見ても納得の行くような整理をやる工夫がないものかということで、いろいろ検討をいたして見たわけであります。で、一つは、私そういう意味におきましては、世界のいろいろな国々と比べて見て、人口一人当りについてどれくらいの公務員がおるかというようなことも、一つの日本の公務員制度自体、国、地方通じての公務員の数の適正な目安をつけるのに一つの参考になるのじやないかと、こう考えたわけであります。そういう意味の調べも幾らかいたして見たわけであります。それから又一方、今度国だけについて考えて見ましても、戦前の状態がどうであつたかということと、今の状態がどうであるかということを比べ合わせて見るのも一つの考え方であると、こういうようにその面からの調査もいたして見たこともあるわけであります。で、世界の国々から比べて見ると、例えば公務員の総数と総人口の対比から言えば、アメリカが一人に対して二十二人、イギリスが一人に対して三十六人、日本が一人に対して四十七人という工合で、却つてアメリカのほうがむしろ余計公務員を持つておるというようなまあ数字も出て来るような状態で、なかなかこれで以て納得の行く目安というものもつきにくいというような恰好になつたわけであります。勿論、ただ一人について人口どれくらいということを形式的に考えることも非常に無理があると思いますので、それから国のいろいろな政策的な、例えば非常に国家事務を余計にするような政策がとられているかというようなことも考えなければならないと実は思うわけであります。それからして日本の過去と現在ということについても、随分いろいろな観点から調べて見まして、平均して二倍半から三倍ぐらいにまで人間が伸びておるように感じられます。それも部局によつて同じ率に伸びておるのではなくて、非常に多い所は四倍近く、まあ農林省なんかはその部類に入るわけでありますが、又非常に少く余り伸びていない、又外務省なんかのように時の事情があつて、却つて減つておるというような所もあるわけで、まあそういうようにいろいろと目安をつけて検討いたして見たんでありますが、さて、今度その目安で現実に整理に当つて見ると、容易になかなか整理というものができなくて、実際の整理は、いつかも本委員会で繰返して申上げたように、結局各仕事の種類によつて整理の難易というものを考えて、同じ種類の仕事は各省を通じて大体同じぐらいの整理率ということで、或る意味においてまあ天引に近い形で基本の最初の整理数を出し、それに各省の、若しくはそれぞれの仕事の特殊事情を更に加味して、最大限に各省で協力願える数字というものが今度の各省別の整理予定人員になつた、こういう関係でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/20
-
021・堀木鎌三
○堀木鎌三君 大体それは経過はよくわかるのですが、率直に言えば、行政整理のいろいろな方針というものは立てられるけれども、その大きな枠というものは一応何といいますか、考えられるのですね、国民の経済力なり、負担から。大体の目安をおいてそこへ到達するにどういう基準でやるか、能率化も簡素化もそこからスタートして来る。その枠内で初めからともかくも個々の問題の、これは比較的不要じやなかろうか、或いはこれは比較的重要でなかろうかというものも本当を言えば、私は、だから天引ということが一番無方針な行政整理方針だと言われるけれども、大きな総枠の目安というものはむしろそれから出て来るので、その範囲内において重要性を彼此勘案するとか、事務の刷新、能率化を図るとか、いろいろな問題がその中で基準ができて、それによつてその枠に到達するのにどうしたらいいかという問題のほうが出て来るのが本当だと思うのですがね。ところが今度考えられたのは、そういうとかくそれをやると画一的に一律天引になりがちだと、何も私は各省別の一律でなくて、全体としてはどういうふうに抑えるのだ、こういう問題があつてから基準が出て来るのだ。それにもかかわらず、なかなかできないと天引になるもんだから、天引の弊害というものが挙げられる。で、人を納得させられるその総枠というものが一応きまるべきものだ、こういうふうに私はむしろ逆に考える。だからそれで天引をやらないで、内容審査に入る、こういうように考えるのですね。どうも今度のは両方彼此勘案して並行的にやつているような気もするし、そうかと思うと、どうも一律天引を考える、非常にウエイトを少く考えたようにも見えて、実は結果的には割合にそれにウエイトがあるというようなことも、結局そういう基本的なものの考え方についての何といいますか、この方向の置き方そのものが初めいい加減にスタートするととかくそうなりがちだ、こういうふうに考えられますが、実際おやりになつてどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/21
-
022・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはもう考え方としてはまさに御意見の通りだと思うのでありますが、ただ実際にやつて見た感じで率直に申上げますと、或る目安を置いて、例えば前はこれくらいの数字だつたから、せいぞれ伸びてもこれくらいだ、今平均二倍半から三倍に定員が伸びておる、仮にそれでは一倍半ぐらいまでは認められるという結論が出ました場合に、その一倍半という数字にどういう工合に寄せて来るかということになりますと、現実の問題になりますと、やはり現在の仕事をやつておるやり方自体を根本的に変えて行くということでないと、やはりそこまで行けない。一番大きく伸びております農林の部分を見てみますと、農林でどこの人間が非常に多いかということを検討しますと、やはり食管と統計調査事務所に、約八万近い農林省全体のうち四万があそこにおるわけです。文部省が非常に伸びております。これは学制改革による学校に非常にたくさんいる。厚生省が非常に又伸びておる、これが病院、療養所におります。それで厚生省の場合は、病院や療養所の場合は、場合によれば公社みたいな考え方にすれば、現在予算の面でも収支大体とんとんに近いところまで……、殊に病院などやつておりますからして、定員から外してしまうという考え方もできないこともない。併し現在のようにああして仕事をやつておるとすると、人間を減らすということは、徒らにこの仕事の能率が上らず、国民の立場からはサービスの面で低下するということになつて、やはり無理があるんじやなかろうか。文部省の定員を減らすとすれば、学制改革そのものに検討を加えるのでないとやはり持つて行けない。そういうような幾つかの本質的な問題に皆ぶつかつてしまつて、その問題の解決ができないと、或る目安を置いたそこまでぐつと数字を詰めて来るということがなかなかできないというようなことで、結局非常に姑息的な整理のようになつてしまつたというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/22
-
023・堀木鎌三
○堀木鎌三君 よくわかりますが、我々が常識で考えて納得できないのは、戦前の行政と違つて地方自治の行政の範囲が非常に多くなつた。だから地方の職員というものは非常に殖えた。それから戦争中統制経済をやつたために職員が非常に殖えた。で、而も場合によれば占領政策の便宜からいろいろなものも殖えて来ておる。そうして而もあなたのほうは比較的自由主義経済を考えておられる。そうするとこれは何といいますか、国家機関で殖えて、地方自治機関で殖えて、而もそれが戦争で負けてみんなが生活に困つて税金の高さに嘆いているというような状態から考えると、ともかくも一つ一つのことは非常に納得ができるにしても、そういうふうな納得できない現象がそのままに国家的に存続されるということは、これはどうもどう考えたつておかしな話で、行政管理庁長官をしておられる塚田さんがやろうと思つても、その万人のおかしいなと思うところが一つもおかしくなくなる。これは恐らくまあ国会だつて、そう言えばどこの定員を減らすと言うと、いや減らしちや困るという国会職員も出て来るでしようし、或いは職員の中でいろいろな抵抗も出て来る。一つ一つ理窟をつければ、それらは必要だというようないろいろなことが言い得ると思うのです。ところが全体が納得できない状態にすべての枠があるということだけは確かだと思うのです。そうするとそういう問題の解決と努力される方向がはつきりしないとこれはもう比較論になつて来ちやう。どつちが大切なんだという個々の問題が入つて来れば入つて来る。整理というのはやはりまあ何といいますか、一遍にその状態が変革できるとは考えられない。少くともそういう万人が納得しない現象が今日の現象として、そのこと自体、それを許しておくこと自体がおかしいんじやないか、こういうふうに私は考える。そこでそういう問題についてのまあ大掃除式な考え方は、そういうふうな熱情がない。本来、まあともかくもこの程度毎年殖えて行くから掃除をするというふうで、而も掃除をするところの納屋や、何というか、そういう物置みたいなものがどんどん内閣の機構にあつちや掃除する場所が多くなるだけのことだ。そういう意味で実は塚田さんの御見識のほどを実際、ただ漫談でなく、漫談と言つちや申訳ないけれども、少くともこの仕事にお当りになつたのだから、そういう問題についての見識というふうなものを私は聞かして頂きたいというふうな気がしておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/23
-
024・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 実は私も同じ考え方でこのことに当つておつたし、当つておるわけでありまして、整理に当つて見ると抵抗が非常に激しい。殊に部局によつて最も激しく抵抗の出て来る所もあるのでありますけれども、併し私は全体論として、いつもそうは言つてもどこにも無駄がないという考え方は、国民も納得しないし、自分も納得しない、どこかに無駄があるからそれを一つ探し出すということに協力してもらいたいということで、各省に強く要請をしておるわけであります。ただ感じが非常に違いますのは、私は総理が煤掃きをする感じだと言われましたのは、放つておくとだんだん殖えて行くということだけでなしに、或る目標を頭において、理想ということになりましても、そこに到達する途は、一つは、さつき申上げたように事務の国家行政のやり方を変えるということと、それから仮に同じ仕事を同じようにやるにしても、たとえ今無駄があるといつても、一度にはやはり現実に生きているものはそこまで持つて行きにくいものだということを今度整理をして見て自分で感じたのでありまして、或る目標に到達するためにやはり逐次やつて行く、まさに私は御指摘の通りに感じますことは、丁度私よく申すのでありまするけれども、乾いている手拭を一度濡らしますと、幾ら絞つても乾いた状態は絞るだけでは出て来ない。やはり手拭の中に入つておるしめりというものは、絞るだけでは出て来ない。併しそれを絞つて乾いた状態まで持つて行こうという努力がこの行政整理の努力と同じものだという感じをしておる。やはり逐次繰返して必要な努力を重ねて行くということが、もう一つ行政整理を最終的に効果あらしめる一つの方法じやないだろうか。私はそういう意味において毎年、毎年やるということも恐らくできかねると思いますが、ときどきやつて縮めて行くという方法の一つとして役立つ方法じやないだろうかと、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/24
-
025・堀木鎌三
○堀木鎌三君 余り塚田さんの御答弁は要求しませんが、私は無駄なやつはないと思うのです。今あるのはやはりそれ相当の理由をみんな持つておる。それ一つ一つ捕まえて来て、むしろないほうがいいというような行政機構はありつこないのです。必ず相当の理窟と相当の存在価値は持つておる。併し要するに国家としてどうするか、全体の枠を、そういうことがきまつて来ると、それと比較すれば、つまりそれが国民の税金の負担に現れて来る。それから国家の全体の産業から見て、或いはその富の程度から見ても、これはこの程度にしなくちやならんという問題が出て来て、初めて決心がつく問題だと思うのです。みんな理由はある。まさかみんな大臣がいて無駄な仕事をさせておるとは思いません。どれもこれも或る程度の存在理由がある。だから無駄という意味ならば、結局絶対的に考えられた無駄、ないほうがいいというふうなものは絶対あり得ない。ただ今申上げたような全体としての比較考量からこの程度に圧縮する、そういう考え方がきまつて来てその中でいろいろな行政整理の方針が立つ、こういうふうに私は考えておるだけなんで、議論をするつもりもありませんし、実は自分としても余り研究が十分ついてないものでありますから、ただどういうふうにお考えになつたかということを伺えばそれでいいんですが、まあ私の考え方はそうだということを申添えておく程度にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/25
-
026・石原幹市郎
○石原幹市郎君 先ほど井野委員から御質問のあつたところなんですが、附則の第十、第九のところは、これは「昭和三十年六月三十日までの間」云々でありますから、これはまあいいと思うのですが、第十のは、本年の六月三十日までの間にやらなければならんのでありますから、先ほど大臣は大蔵省と予算の関係なんかで折衝しておると言われましたが、これは如何なる関係がありましようとも、ちよつと六月三十日では期間がえらい短いんじやないか。これはどうしても修正をしなけりやならんと思うのでありますが、もう一回お考えを聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/26
-
027・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは殊に私が郵政大臣の立場として、この法案が法律になりました場合に、郵政省として整理をしなければならない予定数というものは約三千名ちよつと残つておるわけであります。そして全国に亙りまして特定局まで行きますからして、非常に広い地域にこれだけ大きな人間の整理というものを、大体行政整理自体はどこでも無理なものなのでありますが、その無理をこの短期間にやるということは非常に無理を更に重ねるということになつて好ましくないというように考えておりまして、郵政大臣といたしましては大蔵省の了解を得て是非ともこれは少くとももう十五日くらいは延ばしてもらう、最小限に延ばしてもらいたいという希望を持つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/27
-
028・石原幹市郎
○石原幹市郎君 この法案審議中にこの問題をやらにやならんわけでありまするが、まだ大蔵省と話合いがつかないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/28
-
029・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 只今特に関係のある私のところ、それから農林省あたりの事務当局が大蔵省とどこでやつておりますか、どこかで折衝しておると思いますから、もう間もなく結論を得て来るのではなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/29
-
030・石原幹市郎
○石原幹市郎君 それからこれは衆議院のほうでも論議されたようでありまするが、待命に関するいろいろの便宜は二十九年度だけということになつておりまするが、三十年度でもやはりこういう問題が残るという場合もあり得ると我々も考えるのでありまするが、三十年度についても同じような考えをとられるのか。又そういう考えをとる場合には大臣の考えであるのか。或いは法的措置をやつぱりやらにやならんのか。そこらのところをもう一遍聞かして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/30
-
031・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) いろいろな理由があつてこのように本年限りということになつておりますけれども、来年度において整理されるものについて、本年度において整理されるものと同じような事情ありと考えられるものがありますならば、当然これは同じような恩典、同じような措置というものを考えなければならないと考えております。その場合には勿論来年度においても法酌措置をしなければならないと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/31
-
032・石原幹市郎
○石原幹市郎君 それからこれは午前中郵政委員長からもいろいろお話が出ておつたのでありまするが、この末端の特定郵便局など、どうも地方の実情を見まするというと、非常に少いのじやないかという感じがするのであります。大体無集配局が集配局にして欲しいというような希望が非常にたくさん出ております。それから又全然ないところ或いは簡易郵便局あたりを無集配の郵便局にしてくれというところもこれは非常に多いのでありまして、ときどき中央でいろいろ機構がいじられて変な機構ができたりするのでありますが、そういうことを我々は余り歓迎しない。地方の末端のサービスといいまするか、こういう点はよく考えてもらわにやならんと思いますが、行政管理庁長官はみずからが郵政大臣を兼ねておられますので、そういう点もみずから範を示すというような意味で、却つて遠慮し過ぎておられるのじやないかと思うのでありまするが、中央その他の機構を根本的に改革して人員も減らして能率化するということは我々非常に賛成なんであります。末端サービス行政まで国民に不便をかけるというようなことは相当考えてもらわにやならんと思いますので、公平な立場からどういう考えに立つておられるか、御所見をもう一回聞かしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/32
-
033・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは私は郵政大臣兼行政管理庁長官でありますから、そのために非常に郵便局の新設をしぶつておるというような考え方はいたしておりませんのでありまして、むしろ私も御意見の通りこれはサービス官庁でありますからして、成るべく国民のために便宜なようにということを絶えず考えながら善処いたしておるのであります。ただ午前にもちよつと申上げましたように、各地から非常に多数の新らしい局の設置の要望というものが出ておりますのでありますが、勿論こういう事業の性質でありますからがして、百パーセント採算ということを考えるべきじやないということは十分承知をいたしておりますけれども、余り僅かな業務量のところにまでそういうものを作るというわけにはやはり参りませんものでありますから、或る標準というものを置きましてその標準に合致する程度まで環境が整つておりますものは成るべく郵便局を新設すると、こういうことにいたしております。又或るものは昇格をする、これも先ほど申上げたのでありますが、そこまで行かないで、まあ特殊の人があつて自分でやつてやろうというようなかたがおありの所には簡易郵便局というものを取りあえず設けて、最小限の郵便事務をそこでやらしておる。それでそれが将来伸びて参りましたときに、或る程度の条件によつて特定局に取上げるというような、この予算の上からも、定員の上からも、非常な窮屈な中からも、国民のそういう面の要望に対しては最大限にお応えするように努力をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/33
-
034・竹下豐次
○竹下豐次君 待命制度の適用について先ほど石原さんからお尋ねがありましたが、今議題になつておりまする定員法の改正案に二年計画、三年計画、四年計画と、一番遅いのが昭和三十二年の六月三十日というようになつておるようでありますが、そういう年度割になつておる分については、今年と同様に来年、再来年、その次までもやはり待命制度の恩典にあずかるようになつていないというと大変不公平になる、こういうように思われます。ところが又来年、再来年その次というように、順次に新たな行政整理がこの法案と関係なしにやつぱりされることが考えられるが、同じ年に、例えばこの法案によると来年待命制度と同じようなものを適用する、来年又新らしい行政整理がある。来年のそのときにおける社会状態というものは同じわけなんですね。そういう点から考えるというと、新たに行政整理を来年、再来年お始めになる、おやりになるというのに、やはり今度と同じようなことにやつて行かなきや不公平が起るのじやないか、こういうふうに考えられるのですが、それはどういうふうにお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/34
-
035・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) まあ今新らしく又行政整理のどうということは考えておるわけではないのでありますが、御指摘のように、仮にそういうことがあるといたしますれば、公平という観点からやはり新らしく行われる行政整理についても、殊に今次の行政整理のものが一部分来年以降に残つておる、それに対して待命制度が適用されるということになれば、やはり当然これは公平観念の上からもそれらのものについても待命という措置を考えなければならないと、こういうふうに今考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/35
-
036・竹下豐次
○竹下豐次君 そうすると総理大臣の言われるように、先ほど堀木さんからもお話がありましたが、煤はらいを年々おやりになる、これは私は当然、煤はらいというと何でありますが、おやりになるのは当然のことじやないかと思つております。そうなると、この制度はずつと長く続いて行くということになりそうな気持がするんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/36
-
037・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 今年のこの待命という制度を特に取上げましたのは、一つは、やはり今年の見通される経済情勢、従つて職を離れられるかたがたの再就職の機会が非常な困難さが増しておるということも一つの考え方の要素になつて入つておるわけでありますから、まあ整理が行われましても、再就職の機会が非常に容易に得られるという情勢に社会がなつておりますならば、恐らくそういうときにはこういう制度は行われないであろう、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/37
-
038・竹下豐次
○竹下豐次君 只今の御議論で行きますというと、この計画に入つておる来年以後に整理される人でも、来年の社会状態、生活状態が違つて行つたならば必ずしもその待命制度をそのまま適用されるということがない場合があり得る、こういうふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/38
-
039・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/39
-
040・野本品吉
○野本品吉君 ちよつとお伺いいたしますけれども、今度の行政整理で、整理の数から言いますというと、一番多数を占めておるのは、計画といたしましては警察関係の三万人ということになるわけですね。今度警察法が修正されて大都市が警察が暫らく現状のままでおるということになりますと、この整理件数の三万というのはどういう数字になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/40
-
041・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げますが、警察職員三万名の整理は四年間にこれを行う予定になつておりまするので、このたびの警察制度の改正によりまして、最初の一年間は五大市におきましては従来通りの制度を存続いたすといたしましても、四年間のうちにはこの三万名の整理はこれを最初の計画通り実施し得られる見込でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/41
-
042・野本品吉
○野本品吉君 私のお伺いしますのは、現実に昭和二十九年度において、この間修正されました警察関係の法律が実施されるとして、どれくらい二十九年度で減る見込であるかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/42
-
043・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 三万名の整理の四年間におきまして、二十九年度におきまして一万名、三十年度におきまして七千五百名、三十一年度におきまして七千五百名、三十二年度におきまして五千名、こういう計画でございますので、その計画を変更しないでやれる見込でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/43
-
044・野本品吉
○野本品吉君 二十九年度の一万名という中には、整理される予定であつて、而も今度の法律によつて当分の間そのままあります数が相当額ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/44
-
045・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お説の通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/45
-
046・野本品吉
○野本品吉君 それでなおそれに関連してお伺いしたいのですが、まあ地方の小さな都市等の自治体警察のものが、今度の警察職員の整理が自治体警察にしわ寄せをされるのではないかということを非常に恐れておる。この整理の基準等につきましては、どんなふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/46
-
047・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げますが、要するにこのたびの整理の案の考え方と申しまするのは、現在自治警、国警合せまして十六万七千余の職員のうち、警察庁に残ります七千五百人を除きましてそれ全体を、その残りのものを都道府県警察職員といたしましてその中から四年間に三万名を整理する。都道府県一本になりまして、その中から年次計画によつて整理して行くと、いうことになつておりまするので、国警、現在の国警、自治警を通じまして同じ基準によつて中でやつて行く予定になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/47
-
048・野本品吉
○野本品吉君 これももう新聞等でも書かれておるのですが、国警、従来の国警と自治警を一緒にしてやつて行くということですが、待遇の非常な開きとか、自治警の職員が著しく待遇がよろしい、その待遇の調整の問題については、どんなふうにお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/48
-
049・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これは警察法のほうに一応、高いものがそのまま移つたから低くなるということでは非常に混乱が起るであろうからして、或る程度手当を出しまして、そうして今までの給料を維持して行く。今までの給料の水準を維続して行く。そうして逐次昇給か何かの機会にだんだんと調和がとれるようになるまでその状態で続けて行くということになつておりまして、従つて警察制度の改正に伴う財政計画を策定いたします場合にも、計画の上にその面の数字の必要額の計上をいたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/49
-
050・野本品吉
○野本品吉君 それから市町村等の警察職員が、統合される前に退職されるものが相当あると思うのです。そういう場合に、町村としましては、これは私の常識から考えますというと、退職手当と申しますか、その他いろいろの市町村の負担というものが起つて来るわけであろうと思うのですが、それらについては市町村の財政その他の事情から見まして、相当考えさせられるように思うのですが、それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/50
-
051・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはこの全体の計画といたしましては、地方財政計画の上で整理によつて必要でなくなつた、つまり整理による経費の点と、それから仕事をおやめになる退職金その他の経費の増等が調整がとれるように財政計画をきめるわけです。ただ個々の町村になると、特殊な御指摘のようなものも出て参るということも考えられますので、特にその事情が多くなつて来るという現実の事態の発生します場合には、特別交付税制度によつて適当に措置をして参りたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/51
-
052・野本品吉
○野本品吉君 そうしますと今の町村の財政計画、警察の整理統合の結果生じて来ます町村の財政計画に及ぼす影響については、個々の町村に対して国として相当面倒を見てやる用意があるということでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/52
-
053・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 全体としては、財政計画の上では大体の見通しは経費減、経費が要らなくなる部分と新らしく必要な部分と大体同じくらいの数字で行くだろうということで、今年度はそういう減員があるにかかわらず、その面の経費減は、予算の財政計画の上には出しませんで、同じだけの数字を見込んで見ておるわけであります。ただまあ現実にそれが各村、町にどういう実態になつて現われるかということになると、全体計画によつて見て行くわけには行かないことになりますので、これは特別交付税で雇用する、こういう形になつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/53
-
054・竹下豐次
○竹下豐次君 警察官の減員の問題について、先ほどお答えもありましたが、よく了解できませんでしたから、念のためにお伺いいたします。四年計画、初年度が一万ということになりますが、それはあなたのほうの原案通りに行けばそれでいい。一年自治体警察がそのままに残されるということになりますというとその関係で一万名の本年度の減員というものはどういうことになりますか。自治体をそのままにしておいて、或いは四年計画を三年間にまとめてやめるということになるのか。それとも自治体警察は残すけれども、その一万名はやはり整理するということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/54
-
055・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) お答え申上げます。先ほど申上げました通り、警察職員三万は四年計画でやりまして、初年度に一万名を整理するということは、勿論五大都市の警察も都道府県警察一本にするという前提でございますから、その計画が窮屈に、若干窮屈になつただろうということは、これは想像できるわけであります。事実窮屈になつておると思うのでありますが、ただ御承知の通り、町村が自治体警察を維持しなくなるにつれまして、それが国警のほうに分配されて参ります職員が次第に殖えておりまして、今年の一月一日現在でも一万八千九百九十六名という職員が国警のほうにたまつておるような状態であります。これらの職員につきましては、やはり相当整理の余地の大きいものがありまするので、全体といたしまして初年度におきまする一万名を、そう計画を狂わせないで、整理することは今のところは不可能である、こう見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/55
-
056・竹下豐次
○竹下豐次君 ただ一万名を今年中に減らされるというその一万名の内訳を想像して見るというとですね、五大都市が相当に大きな部分を占めておる。それが一年延びるということになると、ほかのしわ寄せが余り無理が行くのじやないかという疑問が持たれるのです。それは心配ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/56
-
057・岡部史郎
○政府委員(岡部史郎君) 只今申上げました通り若干窮屈にはなつておりまするが、国警のほうにおきましてもすでに特別待命者も各府県に計画通り割当てております。それから今申上げましたこの定員法以外の職員の一万九千名というものもございます。それからこれは五大都市におきましても一年間の存続期間におきまして、整理縮小するという方向に向うわけであります。この計画を現在通り大体やれる見込があるというようなことになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/57
-
058・竹下豐次
○竹下豐次君 ただ私余りしわ寄せが来ますというと、定員不足のために治安その他のことに影響するのではないかということを心配しているのです。大体お話わかりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/58
-
059・野本品吉
○野本品吉君 私は今竹下さんのおつしやつた通り、予定通り一万近いものを整理するというと、どこかにそれが響いて来る、その響いて来た結果が警察の機能の十全を期する上に欠陥を生ずるのではないかというような気持がするのでお伺いしたわけです。更にこれは少し根本の問題になつて来るのですが、私は前から塚田大臣が法令の整理、法令の整理を通して事務の整理、事務の整理を通して機構の改革、機構の改革に伴う人員整理と極めて合理的に一貫した方針で臨まれ、又その方針の実現に随分御苦心なさつたことを大体知つておりますので、この点については敬意を表しておるのですが、そういう途上でその仕事が非常に大事業であるという理由、大事業であるだけに極めて困難であるという理由の下に、臨時行政改革本部というものが、私は設置されたものと考えておるのですが、それは間違いありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/59
-
060・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) その通りでございます。それと併せて各省に亙る内閣としての一種の総合的な事務でありますので、やはり一行政管理庁という官庁がそれに当るよりも、何らか内閣にそういう総合的なものを置いたほうがいいだろうという考慮も含めてああいうものを設置いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/60
-
061・野本品吉
○野本品吉君 そこでそういう合理的な行政整理というものを強力に推進するために設けられた臨時行政改革本部というものが、すでに一年近い日子を経過しておりますが、何をしたかということを意地悪いようですがお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/61
-
062・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあ行政改革本部は構成員から御判断頂きましてもおわかりのように、結局行政管理庁が事務的に考えましたものを以てあそこで判断をして頂く、又各省にいろいろな御覧があるものは、あそこで調整をして頂くということになつておりますので、結局あそこで御審議願う段階になるまでは行政管理庁が案を作つてやるということで、この案ができますまでの最終的な判断を皆あそこでやつて頂いたわけであります。今は一応当面の事務はここに法案になつて出ておりますし、又機構の部面はもう少し本格的に考え直さなければならないと思つておりますから、国会でも終ればということで、現在は改革本部の一応活動を中止しておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/62
-
063・野本品吉
○野本品吉君 私はこの非常に期待をかけられた臨時行政改革本部が真剣に終始苦心され、努力されておつた行政管理庁長官にとつては、極めて厄介な舅であつたろうと想像するわけであります。従つて今その業務を停止しておるということならば、こういう鬼面人を驚かすようなものはお早くなくして、そうして早く管理庁長官の責任においてぐんぐん進められるように考えられたほうがよろしいのではないかと思つておるのですが、これはどうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/63
-
064・塚田十一郎
○国務大臣(塚田十一郎君) 決してこれはそういう形ではなく非常によくまとめて頂いた大事な機関でありますので、仮に今後私がやつて行くといたしましても、やはり改革本部でたくさんの人の智恵で力を借りてやればいいのではないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/64
-
065・野本品吉
○野本品吉君 まあそれだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/65
-
066・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) 他に御発言はございませんか。他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/66
-
067・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは、それぞれ賛否を明らかにしてお述べ願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/67
-
068・堀木鎌三
○堀木鎌三君 ちよつと議事進行。法案の施行日について直さなければならん。それをしておいて討論採決をするのですか。そんなおかしな話はない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/68
-
069・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) ちよつと速記をとめて。
午後三時二十五分速記中止
—————・—————
午後三時四十五分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/69
-
070・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) 速記をつけて。
それでは本案に関する討論採決は次回に譲ることにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/70
-
071・長島銀藏
○理事(長島銀藏君) それでは御異議ないものと認めまして、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時四十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914889X05219540610/71
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。