1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月二十三日(火曜日)
午後一時五十五分開会
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委員の異動
二月二十二日委員白井勇君辞任につ
き、その補欠として河合義一君を議長
において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 片柳 眞吉君
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
清澤 俊英君
戸叶 武君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
重政 庸徳君
関根 久藏君
横川 信夫君
上林 忠次君
河野 謙三君
河合 義一君
江田 三郎君
鈴木 一君
政府委員
農林省蚕糸局長 寺内 祥一君
食糧庁長官 前谷 重夫君
通商産業省通商
局次長 松尾泰一郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
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本日の会議に付した事件
○理事の補欠選任の件
○農林政策に関する調査の件
(蚕糸政策に関する件)
(糖業に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/0
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001・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開会いたします。
最初に理事補欠互選の件についてお諮りいたします。
理事白井勇君が委員を辞任され、理事が一名欠員になつております。その補欠互選は成規の手続を省略し、委員長より指名いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/1
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002・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ない認め、私から指名いたします。清澤俊英君に理事をお願いいたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/2
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003・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それから次に、今週及び来週にかけましての委員会の日程を先ほどの理事の打合会でお手許に配付したようなことで決定いたしましたので、御了承願います。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/3
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004・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 本日は先ず蚕糸政策の件を議題にいたします。
この件につきましては、前回の委員会で申上げましたように、過般の委員会において清澤委員から生糸輸出と粗糖輸入とのリンク問題について質問の要求がありますから、この機会にこの問題をも含めまして、蚕糸業の現況、最近政府において検討中の生糸輸出確保臨時措置並びに生糸原糸課税問題のその後の事情等、蚕糸政策全般について農林当局から説明を聞き、続いて質疑に入りたいと思います。先ず蚕糸局長から説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/4
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005・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 初めにお詫びいたしますが、私病気いたしまして、三週間ばかり役所を欠勤いたしましたので、この委員会のお呼出しがありましても、つい出席ができませんで今日まで延びましたことをお詫びいたします。
さてその後の蚕糸行政の問題でございますが、御承知の通り原糸課税の問題につきましては、去る昨年の十一月に、税制調査会の答申によりまして、生糸の原糸に課税をするというような方針がありまして、大蔵省で研究いたしておりましたのでありまするし、農林省とも打合せがあつたのでありますが、これは曽つての委員会で申上げました通り、我々といたしましては養蚕農家に結局はしわ寄せになるから反対であるということでいろいろ折衝を続けておりました。ところがその後税金に代る公社案というようなものが一部から考案せられまして、自由党の政調会等においても研究いたされまして、一時この案で行つたらどうかというので、私たちも上司の命令を受けましてこの案の検討をいたしたこともございますのでありまするが、その後いろいろな情勢によりまして、自由党の政調会におきましても本案を御研究の結果、これも取止めることになりまして、課税問題につきましては、全然生糸の原糸課税ということはやらないということになつたわけでありまして、その代りと申しますか、その後奢侈的な織物のほうに税をかけるというような方向に転換いたしましたので、こうなりますと、私の所管でございませんので、その後どうきまりましたかはつきり承知いたしませんが、少くとも私どもの所管であります生糸の原糸に税をかける、或いはその見返りとして公社で一手に買上げて、そこから納付金というような恰好で税に代るものを納めるというようなことも全然なくなつたわけでございます。ところが蚕糸業の根本使命でございます輸出の状況を申上げますと、生糸の国内価格が非常に高騰いたして参りまして、昨年の暮十一月の末項から……、昨年の十一月半ば頃から申上げますと、大体課税問題が喧伝せられました頃から、いわゆる十一月の中頃あたりから糸価が非常に高騰いたして参りました。それまでのところは実際の価格が二十四万五、六千円で、これは禁止価格を上廻つてはおりまするが、二十四万五、六千円というところで大体横這いであつたのでありまするが、この十一月の中頃、原糸課税という問題が起りまして、まあその見込買が主たる影響であろうと私たちは見込んでおるのでございますが、二十五万円を突破いたしまして、十一月の平均価格は遂に二十五万三千円、十二月もずつとその状況が続きまして遂に十二月の平均価格が二十六万七千二百円、現実には二十七万円程度の価格が出たわけでございます。従いまして輸出のほうが非常に減退いたしまして、遂に十二月になりましては、毎年十二月というのは一番たくさん輸出の数量が出るときでございまして、二十七年の十二月は八千俵の輸出があつたのでありまするが、二十八年、昨年は遂に四千八百七十三俵というような減退を来たして参りまして、殊に年間を通じましても、二十七年におきましては七万俵の輸出がありましたのに、二十八年は一年間を通じまして六万三千俵と約一割程度の減額になつたわけでございます。而も減額になつた上に、この輸出先を見て参りますると、アメリカに対する直接輸出が非常に減つて参りまして、大体アメリカの一月の消費量は大体三千俵から四千俵ございまして、大体日本の生糸も今まで平常時でございますと、三千俵近くがアメリカへ輸出されておつたのであります。ところがこういうふうに国内の価格が高騰いたしますと、従つて輸出全体が伸びないと同時に、アメリカへの直輸出が非常に減退いたして参りまして、十一月は僅かにアメリカへ直接輸出されたものが十俵というような現象がありまするし、十二月でも六十六俵というようなほんの僅かの数字しか出なかつた。尤もこれはブラジル或いはオランダを通じまして三角貿易というような恰好でアメリカへ入りまして、アメリカで実際消費いたしております消費数字は三千俵近く消費されておるのでありまするが、我が国の輸出増進、特にドル獲得という点から申しますると、非常に憂慮すべき事態になつたわけでございます。そこでこれを打破いたします方法につきまして、いろいろ研究いたしたのでございまするが、先ず第一は、これが禁止価格を突破いたしておりますので、禁止価格を変更するか、厳重な取締をやるかということが一つの方法でございます。これにつきましては、実は内々法務当局とも御相談いたしたのでありますけれども、現実の糸価がそれほど上つておつても、実際の生産費がそれを上廻つておるような状態でありますると、これはちよつと厳重に取締ると口では申しましても、実際にやりますと業界に非常な混乱を起すというような事態にもなりますし、現実に調べて参りますると、標準掛目だけで申しましても、大体の生産費が二十六万程度かかるというような数字が出て来たわけであります。そこでそれでは例えばそういう三角貿易を防止いたしまして、アメリカへ直接輸出いたしますためには何らかの、輸出しても国内の価格と見合つて、それほど損失が行かないというような方策を一つとらなければならないという問題が出て来たわけであります。これが即ち一つのリンク制でございます。そういう方法をとりますためには、例えば優先外貨の率を殖やすとか、或いはそういう報奨制度があるのでありまするが、御承知の通り優先外貨につきましてはIMFの勧告もございまして、御承知の通り昨年、今まで一五%でありましたのが一律に一〇%に下つたばかりでございますので、又ここで上げるということもいろいろ支障がございますので、その手は使えない。そこでリンク制ということを考えたのでありまするが、幸い通産省ともいろいろ交渉いたしまして、粗糖と生糸とのリンクということが、丁度昨年十二月頃から大体やつてもよかろうというふうな下打合せがだんだんできて参りました。これについてその後本格的に、今年の一月になりましても只今申上げましたような情勢が続いておりますので、この際何とか処置をとりませんと、アメリカに対する直輸出はますます減る一方であります。減る一方であるということは、結局生糸に対しましては化繊その他の強力な競争物資がございますので、暫らくこれが輸出がストツプするということになりますると、その方面に置き換えられてしまつて将来の輸出にも悪影響を及ぼす。とにかく或る程度の生糸の輸出は確保しておかなければならないというような点も考慮いたしまして、粗糖とのリンク制ということをいろいろ研究いたしまして、結局こういうリンク制というものは一時の輸出振興策ではありまするけれども、これを長く経常的にやるということは一方において弊害も起りますので、差当りまして、今生糸年度、大体今年の六月までの暫定措置といたしまして粗糖とのリンクをするということが大体話合が付きまして、これを二月の十一日から実行いたしております。このやり方は、大体只今申上げましたような三角貿易になるようなものは除きまして、ドル地域に対する輸出及びスターリング地域に対する輸出、それからオープン・アカウントの地域でございましても、フランス本国とか、西独或いはイタリアというような、輸出しましたその土地で生糸が使われるということがはつきりしております国に対してはリンク制を実行いたしますが、例えばオランダでありますとか、ブラジルというような三角貿易の前科者である国に対する輸出は、これを適用しないということにいたしております。それから又このリンク制をやりますると、粗糖の輸入によりまして、この国内価格の関係で場合によると相当の利益が生れて参ります。その利益を吐き出しまして安売りをするというような虞れがあるといけませんので、我々といたしましては、安売り防止のためにフロア・プライスというものをきめまして、これ以下で輸出するようなものに対してはリンク制の許可をしないという方針をとりたいと思つております。特に粗糖とのリンクの割合でございまするが、生糸につきましては、一俵につきまして粗糖を一・二七三トンと考えております。玉糸につきましては、一俵につきまして二・〇〇六トンということになつております。これは大体生糸につきましては、現実の生産原価が先ほど申しましたような二十六万五千円くらいのところを見まして、それと、それから輸出価格は大体フロア・プライスを五ドル十二セントといたしますと二十四万三千円となるわけであります。大体二十四万三千円と、それから生産原価と認められまする二十六万五千円の差額の三分の二程度は補償してやろう。そのためには一俵について粗糖を一・二七三トンの輸入権を認める、大体その程度の輸出価格と生産原価との差額の三分の二程度は補償できるというようなところから弾き出しましたリンク率でございます。で、この処置をいたしまして、大体どの程度の数量輸出をもくろんでおるかと申しますると、実はこの制度を行いますのは、只今のように二月から六月までございまして、生糸年度で申しますと、生糸の大体端境期にかかるわけでございまして、殊に二十八年の繭の生産量は御承知のように非常に減産になつておりまして、殊に価格が只今申上げましたように、大体小売価格を維持して糸価を維持しておりますので、製糸家のほうも売急いだわけでありましたし、或いは先売というものが相当行われまして、丁度このリンクをやるのが端境期にかかりまして、実はリンクにどのくらい出るかということを業界とも相談いたしたのでありまするが、或いは場合によると製糸業者のかたは相当の先売をしておるから数量確保が困難であろうというようなこともございましたが、まあ折角こういうことをやつて輸出を繋ぐのであるから、製糸業者のほうも極力これを出してくれるということで交渉いたしまして、その結果二月――三月の間では生糸は七千俵、玉糸一千俵。合計八千俵、四月――六月の間、生糸につきましては一万五百俵、玉糸につきましては千五百俵、合計一万二千俵。従いまして二月、三月、四月、六月を総計いたしますると、生糸が一万七千五百俵、玉糸が二千五百俵、合計二万俵程度のものをリンク制によつて輸出を維持しておるというふうな措置をとつたわけであります。で、このリンク制を実施いたしますためには、只今申上げました通り、大体製糸家のほうで生産原価の全部ではございませんが、それだけと、それから輸出価格との差額を補償してやることにいたしましても、輸出価格がすでに二十四万三千円でありますから、従つて製糸家の手取りは当然二十四万円を突破する。従つて禁止価格を突破することになるのでありますが、これは輸出振興のために止むを得ざる処置であると考えまして、この輸出用の生糸につきましては、例外許可として禁止価格以上の手取りになつてもよろしいというような措置をとりまして、禁止価格問題を解決いたしておきまして、このリンク制をとることになつたのであります。これでまあ一応今生糸年度、つまり六月までの輸出振興策につきましては、暫定的処置ではございまするが、こういう処置で輸出を繋いで行こうと考えておるのであります。それならば六月以降の来生糸年度の輸出振興についてはどうしたらいいかという問題になるわけでありますが、これも結局繭が相当の増産になりまして、糸価が繭糸価格安定法できめまする最高価格、最低価格の範囲内に入つて参りますれば、先ず問題はないと思うのでありますけれども、大体最高価格というものをきめる考え方が、輸出を増進するために余り糸価を高くしては輸出ができんというような考え方で最高価格をきめております関係上、来生糸年度におきましても、実勢に見合う立場から二十七万円の最高価格にするというようなことは、どうしても本来の糸価安定の精神に反するわけでございます。やはり現在行われております最高価格の前後で、来生糸年度におきましても最高価格を大体維持して行かなければ、輸出の増進の処置はとれないというようなことが予想せられまするし、それならば、その最高価格と最低価格の繭糸価格安定法によります安定帯の中へ来生糸年度が入つて来るかどうかという見通しを付けますると、これは繭の増産数量との関係もございまして、これは来年度の見通しでございまするから、はつきりしたことは申上げられませんけれども、我々の見込といたしましても、仮に本年度の天候が一応順調であつたと仮定いたしましても、昨年の凍霜害及びその後に引続きました冷害の関係で桑の木が相当いたんでおりますし、現在技術者の見るところによりましても、桑の芽の伸び方が平年に比べて非常に悪いそうでございます。従いまして少くとも今年度におきます春繭の生産量につきましては、やはり昨年の凍霜害の影響が相当ありまして、二十九年度の生産目標は、五カ年計画で申しますと、大体三千万貫とる予定でございまするし、又そうするために努力いたしたいと思いますが、そういたしますると、春蚕と夏秋蚕では大体半半でございまするから、春繭は千五百万貫くらいとらなければならないはずでございまするが、只今の状況では春繭で千五百万貫とることは、ちよつと今の桑の実勢から申しましてむずかしかろう、こういう見通しでございます。せいぜいよいよ見まして千四百万貫、場合によりますと、千三百万貫程度になりはしないか、こう考えております。で、夏秋蚕までにいろいろな施肥その他の桑園の操作によりまして回復いたすにいたしましたところで大体二十九年度の繭の生産額を、我々は天候が順調であるということを仮定いたしましても、先ず二千八百万貫程度であろうという見通しを持つております。これは二十七年の生産量が二千七百五十万貫なんでありますし、昨年が二千四百万、これは凍霜害によつてそれだけに減りました。それが今年は、天候が順調であれば二十七年度をちよつと上廻つた程度ではなかろうかという悲観的な見通しを持つております。従いまして、これからとれます生糸の数量も大体二千八百万といたしましても、二十六万か乃至二十七万程度であると考えております。そういたしますと、糸価が、他の経済情勢が同じでございまするというと、大体この数字は二十七年度と同じ程度の数量でございまするから、特に輸出増進ということを強力にやりますると、内需のほうの供給が不足になりますので、やはり二十七年においてすでに禁止価格を上廻りまして、二十四万五、六千円或いは二十五万程度の糸価が出たと同じような情勢になりはしないか。そこでそうなりました場合にも、これを放つておきますると、やはり輸出が伸びない。この際どうしても輸出としては八万俵程度は最低出さなければ、輸出を目的とする蚕糸業の本来の使命を果し、国家に貢献するゆえんでございませんので、その程度のことをいたそうとしますると、やはり繭糸価格安定法で最高価格、最低価格をきめるというだけでは、やはり今年と同じ不始末を仕出かすことになる、こう考えまして、この際最高価格なりを突破する実勢にある場合の糸価対策といたしましては、繭糸価格安定法の不備を補いまして、臨時措置ではありますけれども、何らか相当の手を打たなければならんと、こう考えまして、これも一つの案としましては、公社といつたようなものの手で一手にお買上げになる方法もございますけれども、これは先ほど申しますような、この間問題になりましたことは、税金というものに関連して、公社案でございますけれども、これと睨み合せるという点もございますし、この際公社というようなもので全部買上げる、或いは公社という新らしい組織を作るということは、六月以降の緊急措置令の措置といたしましては間に合わないというような点を考慮いたしまして、公社を作るという考え方ではなくて、現在あります特別会計の操作によつて何らかの方法はなかろうかということを研究いたしまして、一つの試案を今考究いたしておる最中でありまして、これが生糸の輸出確保のための臨時措置要領といたしまして、大体こういう線を考えておるのでありますが、糸価が繭糸価格安定法によつて定めまする生糸の最高価格を突破いたしまして、而も本来でありますならば繭糸価格安定法で予想いたしております制度は、政府がその場合に生糸を持つておりまして、最高価格になつたらこれを売り出して、それが最高価格で糸価を維持するということでありますが、只今御承知の通り一俵も持つておりません。そういうように政府が一俵も手持がなく、而も最高価格を上廻るような実勢になつた場合の措置といたしまして、こういうことを考えた次第であります。これは繭糸価格安定法の考え方とは違つておりますが、最高価格で政府が全部の生糸を一旦特別会計で買入れる。そうして直ちにそれを国内に対しては国内の実勢の糸価に見合う値段で売渡す。従いまして現在二十四万円を最高価格と一応きめております。これを例にとつてお話いたしますれば、二十四万円の最高価格であると一切の生糸を政府は一旦二十四万円で買上げる。仮に糸価が二十四万五千円とすると二十四万五千円で即時売渡す。結局その差額を徴収するというような恰好になりますけれども、そういうような操作をいたしまして、輸出に対しましては二十四万円が最高価格であります。それ以下の、以下と申しましても、それほど大きな差額は付けられないと思いますけれども、一応最高価格をきめますことは、これ以上では国外には売りませんということを約束するのも一つの意味があるのでありまするから、輸出用には二十三万円以下、最高価格以下の価格で売渡す。従いまして国内に高く売つた部分を、いわば輸出のほうの補給金として出すというような考え方で、そういう操作でやつて行きたい。そういう政府に一旦買上げる、これは我々の言葉では瞬間タツチと申しておりますが、直ちにこれを売払う。そうしてそういう処置をしたものの証紙を渡す。この証紙が貼つてあるものでなけれ売買取引することはできないという、そういう処置をとりますと同時に、そういう最高価格で政府が買入れます場合に、繭価のほうも或る程度最高価格に見合う高い価格で落着けてもらいませんと、これは今年我々が非常に苦い経験を舐めました禁止価格が守れなかつたということも、実は生糸のほうにだけ禁止価格がありまして、繭のほうにそれに見合う禁止価格とか、或いは最高価格という上値を抑える措置がございませんでしたので、繭価どんどん上つてしまつて、禁止価格が守れなかつたという実情がございますので、この場合もやはり生糸の最高価格に見合う繭の最高価格というものをきめておきませんと、最高価格で政府が一旦買上げるという処置がとれませんから、そういう処置をとりますために、繭のほうにつきましても最高価格を一応きめます。但しこれはもう一遍に最高価格をきめて、これでとるというのではありませんで、御承知の通り繭価のきめ方につきましては、養蚕団体と製糸団体との間に繭価協定というのをやつておりますから、一応その繭価協定をさせる。ただこれにつきましては、この前の国会におきまして独占禁止法を多少修正して頂きまして、こうい繭価協定をいたしますときに、製糸業者のほうの団体におきまして協定をして、繭の価格については協定ができるけれども、その数量であるとか、相手方とか、或いは普通言われております地盤等についての協定は全然認めておらないわけでありますが、この際最高価格を維持するための措置といたしましては、そういう特殊の事態の臨時措置といたしまして、製糸団体のほうにも団体協定を結ばせまして、繭の買入数量でありますとか、どつから相手方が買入れるかというような協定を認めさせる。勿論養蚕団体のほうはもともと協同組合でありますから、これは独禁法をはずしては如何なる協定もできないわけでありますから、お互いに両当事者の間で協定して、この協定に基いて今度は両者で繭価協定をやるというような措置をとつてもらいました。その際に繭の最高価格というものをきめまして、これ以上の協定はしないようにというような指導をいたしておるというような考えで一応の案を作りまして、これを自由党の政調会のほうにも御相談をいたしましたが、先ず業界方面の意向を取入れる必要があるし、又相談すべきであるという御指示がありましたので、その後いろいろ業界の方面と相談いたしておりましたところが、大体今までのところにおきましては、製糸関係、輸出関係及び問屋関係におきましては、大体只今申上げましたような線で生糸輸出確保のための臨時措置についての同意という返事をもらつたわけであります。ただ養蚕関係につきましては、実は相当この問題につきまして御相談いたしたわけでありまするが、これにつきましてはまだ多少の異論がございまして、お手許に差上げてあります生糸輸出確保臨時措置要領と申しますのは、これは実はまだ中間の資料でございまするが、今申上げました通り、大体昨日までまとまりました案として、この案を以ちまして実は養蚕団体のほうと交渉いたしたわけでございます。それで先ほどこの要領の骨子についてお話いたしましたのは、政調会へ持込みました骨子でございますが、その後いろいろ関係業界の意見も入れまして修正をいたしました。現在の所最後案として全養連のほうと相談いたしましたのがお手許にある案であります。
それは、大体養蚕側の意見といたしましては、そういうように繭最高の価格をきめる以上は、今度生糸が最低に下つた場合のその最低価格に見合う繭の最低価格の補償もしてもらいたいという御要望もありましたので、政調会に持込みました案にその修正を加えました案がお手許にある案でありまして、これによりまして繭の最低価格をきめる、この繭の最低価格の維持の方法といたしましては、備考にありますように、原則として団体で共同保管をしてもらう、これに対して政府のほうでは資金の融通をするというような方法で、養蚕団体と御相談いたしたわけでございます。ところがこれに対して養蚕団体のほうで非常な異論がございまして、これではまだ最低補償の線が弱い、もつと強く最低補償をしてもらいたい、できればこの最低価格のきめ方につきましても、これは生産費を補償するような制度にしてもらいたいという要望が相当強かつたのでございますが、まあこれについてはいろいろ問題がありますが、先ず第一に繭の最低価格を補償する。そういうような制度を作るという点については我々もまあ同様に考えまして、このような案を作つたのであります。で、この補償の方法論につきましても、いろいろありまするが、先ず第一に生糸の最低価格のきめ方につきまして、これは生産費を補償させるというような議論がございますが、これは曽つて十四国会でございましたか、繭糸価格安定法を施行いたしますときに、本委員会においても非常に問題になりまして、いろいろ御相談いたしました結果、現在の制度は生産費の八割五分を下らざる範囲内においてというふうになつておりまするし、又最低価格の補償ということは、この最高価格を突破したような臨時の事態でなく、恒常的な制度になりますると、結局は繭が大いに増産され、又生糸も増産になる。そこで荷もたれするので、その価格を維持するために政府が買上げる。或る程度救済的な意味もありまする買上値段でありますから、そういう私ども生産費をまるまる補償するということにつきましては、曽つて十四国会で、ここで皆様方に私も相当御質問ありました場合にも御説明いたしましたような関係もございまして、生産費をまるまる補償するということは恒久的な措置としてちよつと如何かと思うというような点もございますので、これらの点につきましては、まあいろいろ今後も折衝しなければなりませんが、できるだけそういう趣旨は見ますけれども、生産費を必ずまるまる補償するということはお約束できないという点が一つと、それからこの最低価格をきめましても、それを維持する方法として備考に書いてあるようなことでは工合が悪い。むしろ買上げてもらいたいというような全養連側の御要望があるわけでありまして、これは政府が買上げなくても、製糸家にその最低価格で買上げさせるような措置をしてもらいたいというような御要望があつて、これは我々のほうで検討しました結果、現在農産物価格安定法で或る程度そういうことをやつておりますので、その制度を取入れまして、生糸の最低価格に見合うように繭の最低価格をきめよう、それを維持する方法としては、農産物価格安定法でやつておる通りに、製糸業者がこのきめられた繭の最低価格以下で繭を買入れるような製糸家からは、生糸を最低価格で政府は買上をしない。そういたしますれば、ほかに売ればもう最低価格、仮に十八万円にいたしますと十八万円に売らない。政府に持つて来れば十八万円で買つてやるのでありますが、それに見合います最低価格をきめるから、繭も最低価格で買えるはずでありますが、そういうような措置によりまして最低価格の維持を図つて行こうというような、この点については養蚕団体側の御要望を容れて、そういう措置にいたしてもよいと考えております。
そういうような点で、今晩もう一遍養蚕側と御相談いたしまして、只今申上げますような線でもう一つ……、そうなりますと、最低価格を或る程度確保いたしますれば、このお手許に差上げてある要領の二に書いてあります「前項の支持価格」、こういう支持価格の必要はなくなります。繭価協定をする場合に糸価が最高価格を突破するような、いわば繭が足りない、非常に糸価が強いという場合でありますから、製糸業者のほうと団体協定をいたしましても、当然最高価格に食つつくから支持価格は要らないという意見があつた。これは成るほど御尤もと思うので、これをはずしてしまいます。そういうような三カ所ばかりの修正をいたしまして大体は話合が付くのじやなかろうか、こう考えておるわけでございまして、それがまとまりましたならば、まだ関係官庁方面とは内々の相談はいたしておりますが、正式な相談はまだ持ちかけておりませんので、関係官庁の相談をまとめまして至急立法化いたしたいと、こう考えておるわけでございます。
大分くどくなりましたが、昨年の暮から只今までの蚕糸業界の状況は以上のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/5
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006・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御質問がございましたらどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/6
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007・清澤俊英
○清澤俊英君 お伺いしますが、砂糖と生糸をリンクする場合、その輸出の当面の責任者と言いますか、それは製糸業者がやるのですか、輸出業者がやるのですか、リンクをやる主体は誰がやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/7
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008・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは輸出業者がやるわけでございまして、この輸出の機構は現在あります機構をそのまま使つて参りますから、輸出業者が製糸家から糸を買いまして、そうして輸出業者が外国へ、外へ売るわけでございます。そういたしますと、その輸出業者に粗糖の輸入権を与えるということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/8
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009・清澤俊英
○清澤俊英君 そうしますと、ここでは二十六万五千円から現在の最高価格二十四万三千円差引いた額の三分の二を製糸業者に補償して、三分の一を輸入業者に補償する、こういうわけになりますか、三分の一は、ここの意味はどうなんですか、輸出業者のマージンはどこから出るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/9
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010・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 三分の二だけ補償すると言いますのは、三分の一はやはり製糸業者のほうもこういう臨時の事態でありまするから我慢してもらいたい。それによつて企業の合理化なり、生産費の切下げによつて対処してもらいたい、こういう趣旨でありますから、輸出のほうのマージンは従来通り輸出業者がとつてよろしいのでありますけれども、結局輸出業者が生糸を輸出いたしまして、その見返りとして粗糖の輸入権をまあ持つわけでございます。これを粗糖の輸入業者のほうへその輸入権を譲渡するわけでございまして、ここで一つのプレミアムが付くわけでございます。これによつて生糸の輸出業者はそれだけ儲けるわけであります。その儲けを一部は製糸業者との話合によりまして、製糸業者と輸出業者の間でどの程度に儲けを分けるかということは、輸出業者と製糸業者との間の話合ということになりまして、従いまして粗糖を輸入いたしまして儲けは一応は生糸の輸出業者がとりますが、これはそれを見返つて、輸出業者が製糸家から糸を買う場合に少し高く買つてもよろしいということになつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/10
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011・清澤俊英
○清澤俊英君 ちよつとおかしい。三分の二というのは糸価をはつきりどこから出すのですか、三分の二を補償するというのはどこから出すのですか、輸入業者が出すのか、政府からとつてそこで出すのか、今言うと儲けは話合で分けるのでありまして、三分の二で補償するか、三分の一かわからない。三分の二を補償すると言うて、そのあとの或る利益というものがありますれば、それを輸入業者等で分つております。三分の二というのは優先的に製糸業者がとつてやる。そのほかにまだ儲けがあれば話合を付けて、製糸業者と砂糖会社と輸入商というのは分け合うのですか、利益を今分けると言われたのはどの部分を分けるのですか。三分の二というのは既定の事実である。あなたの今おつしやる三分の二というのは、三分の二で補償するというのは既定の事実である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/11
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012・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 只今三分の二程度補償すると申しましたのは、この粗糖のリンク率を算定いたします場合の基礎でございまして、粗糖を輸入いたしまして、これを粗糖の消費者に販売いたします場合には、粗糖の国内価格で売渡しますから、その場合に三分の二以上の儲けが出て来る場合もあるわけでございます。従つてその儲けの部分を輸入業者と製糸業者でどう分けるかは両者の協定によつてやるというふうな考え方でありまするが、三分の二を補償して、三分の一はこういう際であるから、輸出振興のために協力する意味におきまして、製糸業者にも損を覚悟でやつてくれということになつておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/12
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013・江田三郎
○江田三郎君 関連して……。今の三分の二程度ということで、そして三分の二以上になる場合もある、こういうことなんですが、一体一俵に一・二七三とか、二・〇〇六というような数量を割出して、それが二万円乃至その近所ですが、それの三分の二というのはどういう計算でそうなるのですか。砂糖の輸入値段が幾らであり、そして国内での売価が幾らになるのか、どういう数字を根拠としておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/13
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014・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは我々のほうではこういう推算をいたしたわけでございます。先ず生糸の生産原価を先ほど申しました通り二十六万五千六百十四円と見まして、これは繭代が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/14
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015・江田三郎
○江田三郎君 この辺はよろしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/15
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016・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) よろしうございますか。これに対しまして、輸出価格がこの生産原価で輸出するといたしますると、輸出のチヤージが三千円加わりますから、二十六万八千六百十四円と、こうなります。ところが先ほど申しました通り、輸出の価格は二十四万八千円でございます。そうすると、その差額が二万六百十四円、これは何でございます。輸分価格は二十四万八千円と一応見込みまして、フロア・プライスは二十三万幾ら、これ以下はいかんのですが、この大体の値段は二十四万八千円と見ました。そういたしますと、その差額が二万六百十四円、そうでございましよう。そうです。輸出の基準原価が二十六万八千六百十四円、これに対して通常輸出し得る価格を二十四万八千円、従つてその差額が二万六百十四円、その三分の二を補償いたすといたしますると、これが一万三千七百四十三円と、こうなります。この程度を補償いたしますためには、粗糖の一トン当りの利益を三十ドルと見ましたので、これから換算いたしまして、砂糖の割当量が一・二七三トン、こういう数字が出たわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/16
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017・江田三郎
○江田三郎君 だからその三十ドルという利益は、粗糖の輸入原価を幾らと見て、精白糖の販売値段を幾らと見ての計算かというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/17
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018・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) この当時は、この粗糖はキユーバ糖でございますから、キユーバ糖の価格を八十五ドル、これが国内では当時百十五ドルということでございましたから、その差額が三十ドル、こういう見通しを付けてこういう数字になりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/18
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019・江田三郎
○江田三郎君 一体国内で百十五ドルの砂糖なんてどこにあるのですか。それとも一体政府なり、農林省のほうでは、砂糖の国内での適正なる販売価格は百十五ドル、こう見ておるのですか、どつちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/19
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020・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは私のほうといたしましては、先ほどもお話いたしましたようにこのリンク制をやろうということを考えましたのは十一月頃でございましたので、所管の局長と相談いたしまして、そういう値段であるというので、私のほうではそれをとつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/20
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021・清澤俊英
○清澤俊英君 それでこの二十六万五千円という現在の価格は、先ほどあなたの御説明をお伺いしておりますと、昨年の十月以降原糸課税がきまりました際に大体上つて来た市場思惑相場である、こういう御説明もありましたし、我々が大会に出て聞きました当時の生糸の値上り状況も、二十五万円程度から現在二十七万円程度で、原糸課税がかかるというので、思惑的に上つた、こう言つておるんですが、そうい御説明をなさつておる。その思惑で上つたものが生産費計算における原価であるということはどういうことですか、そうして三十ドルの差額の補給をしなければならないというのは、一体どういう意味合になりますのか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/21
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022・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは糸価のほうは、先ほど申しましたような状況で上つたのでありまするが、その前にすでに繭の価格は、農林省へ報告のあります晩秋蚕の掛目でも、標準掛目といたしまして一万二千五百掛という数字が報告になつておりますが、これは原価協定の標準掛目でございますから、現実に今後いろいろと製糸との間で取引いたします場合には、もつとプラスが付くわけでありまして、大体の平均数字が一万二千七百掛ぐらいは見なければ生産原価が出て来ないというふうな我々のほうでも想像をいたしますので、従いまして製糸といたしましては、ああいう原糸課税の思惑によつて糸価が上つたので、どうやら赤字にならずに済んだという情勢でございまして、実は繭価のほうから計算いたしますると、生産原価は二十六万五、六千円程度のところに行つておつたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/22
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023・河野謙三
○河野謙三君 先ほど蚕糸局長の御説明のあつたこの六月以降の臨時措置については、これは農林大臣もそういう考え方は同様ですが、あなたのほうの保利さんはそういうことに同意ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/23
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024・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 勿論大綱につきましては大臣に御報告いたしておりますが、なお細かい点につきまして、先ほどから申しましたような業界との折衝その他については、変つた点についてはまだ詳しくはお話はいたしておりませんが、大綱については御承知でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/24
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025・河野謙三
○河野謙三君 そこで、今日農林大臣見えませんから、あなたから一つ農林大臣との折衝において、説明をしておる間に農林大臣の意向もわかつておると思うから、農林大臣の意向をあなたを通じて私は聞きたいのだが、私は非常におかしなことだと思うのだが、生糸の輸出を急がれるのはいい、輸出に重点をおくのはいいけれども、物を安く売つて、国内価格よりも二割も三制も安く売つて、そうして今度はそれで以てバーターで持つて来るものは高いものを買つて来る。安く売つて高く買つて来る。そういうことを生糸でもやれば、肥料でもやれば、何でもかんでもみんなでやる。そういうことで一体日本の経済は持つかどうか。一つの商品だけじやない。あらゆる商品において輸出振興、輸出振興と言つて、国内価格よりも二割も三割も安く売つて、そうして外国からそのバーターで高く買つて来る、そしてこれに附け込んで中間の業者が儲ける、こういうことをやつていて、一体日本の物価が下るかどうか、日本の経済は持つかどうか、先ほどあなたは自由党政務調査会に相談された、政務調査会に相談しなければいけませんか。これは日本経済の根本問題にやはり触れるんで、こういうことをやつては日本経済は持たない、こういう反対論はありませんでしたか、農林大臣はそれに対してどういう……、私が今言うような見解はありませんでしたか、私は先ず第一にこれを伺いたい。これはあなたの意見ではない。あなたが政務調査会に出て、農林大臣がそれに対して、私が今考えたようなことは当然誰でも考えるんだが、それに対してどういうふうな考えを持つておられるか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/25
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026・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 誠に申訳ありませんが、大臣に説明したとき及び政調会に行きましたときは、私は病気で休んでおりまして、糸政課長が参りましたので、私からお話できないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/26
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027・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それはどうですか、正式に報告でも受けていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/27
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028・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 当時代理で出ました糸政課長からそういう話は出なかつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/28
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029・河野謙三
○河野謙三君 それならば蚕糸局長は、今私が申上げたようなことについてどういう見解を持つておられますか、物価の引下げどころの騒ぎではありませんよ、こんなことをやつて……。砂糖の値を上げてしまう、肥料の値を上げてしまう、何でもかんでもバーターで持つて来るやつは皆高い。安く物を売つて高い物を買つて来る。わざわざ高いものを買つて来る。そういうことをして一体どうなるか、これは経済のけの字を知つていればそれくらいはわかると思う。別に何かそれで儲けようというやつは別だよ。だけれども日本の経済を本当に考え、日本の国を本当に思い憂うる人ならば、そういう智恵は私は出ないと思う。悪智恵です、これは……。私はそう思うが、蚕糸局長はどう思うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/29
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030・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 私の蚕糸局長の立場といたしましては、生糸を或る程度海外へ輸出して、日本の生糸の市場を確保いたしておきたいということが第一でございまして、そのためには、(江田三郎君「日本経済はどうなつても構わんのか」と述ぶ)いいえ、そういうわけではございませんで、当時といたしましては、粗糖のリンクということがほかの物資についても行われておりましたから、そういう粗糖のリンクで輸出を振興することがあるならば、先ず第一に生糸にも当然適用すべきじやないかということを主張いたしまして、特に生糸についてだけ粗糖のリンクを強行するのではございませんで、すでに粗糖のリンクということはほかの物資でやつておりましたから、そういう処置をとつて輸出振興をする以上は、先ず第一に一〇〇%外貨獲得に在る生糸にも適用せいということを主張いたしまして実施いたしたのでございますが、その後の粗糖の暴騰によりましてとかくの問題があるようでございますが、これは私の所管外の事項でございますので御遠慮申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/30
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031・清澤俊英
○清澤俊英君 そこで問題があるのは、この操作ですな、幾らか割戻しするとか、輸出入商が儲けるというやつの操作は、輸入商が勝手にやるのか、若しくはこれを統制して、三十ドルなら三十ドルでちやんと抑えて、ここのうちのこれだけは輸入商のマージンとしてやるし、これだけは補償するんだとするなら、こういうものは誰がやるんですか、誰がそれをはつきりやるんだか、これをお伺いします。ということは、このあとにお伺いしようと思つていたんですが、ついでに言いますが、最近の新聞を見ますと、中では、フロア・プライスをきめておきますので、そのフロア・プライスを破つて安売りをどんどんしておるのが出ている。これはこういう安売りをどんどんしているものが出ているということは、結局もつと何か輸入商の手許に儲けがあつて、製糸業者に儲けるものがあつて、若しくは輸出業者が安く売つても粗糖で以て埋合せの付く何ものかがここに、この三十ドル以外に出て来なければ、安い物を売るばかはない、損するばかはないんだから……。その三十ドルという枠にきめているところに何かがありやしないかと私は考える。誰が大体それを抑えているんです。そこをルーズにしておいて、大筋のところをルーズにしておいて、あつちに補助しろ、こつちに補助しろと言つたつて問題にならん。だから結局はあなた方が今一生懸命出しておられるフロア・プライスですか、最低価格ですね、それを割つて今出ている。あなた方狂奔しておられるでしよう。その方針はちやんと新聞に出ているから嘘はないと思う。これは何かそこになければ、そんな安い物を売るわけはないですよ。だからそれはどこがやつておるか、その儲けを分けるのは、どこがその儲けを分けるようにちやんとしてあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/31
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032・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 粗糖の輸入につきましては、このリンク制を実施いたしますときの通産省のほうの要望もございまして、粗糖の輸入機構を尊重してくれという話合もございましたので、生糸の輸出商が生糸を輸出いたしまして、粗糖の輸入権を一応生糸の輸出商がもらいますけれども、それで直ちに生糸の輸出商は粗糖の輸入はできないのでございます。輸入権は粗糖の輸入業者へ売るわけでございます。この売る価格は今どうなつておりますか調べてはおりませんけれども、或る生糸業者のほうでは、粗糖業者が入札したところが非常に安い価格しか入札しなかつたというようなことを言つておりまするから、生糸の輸出業者が粗糖の輸入権を粗糖の輸入業者に売る場合の価格がどの程度でありますか、今のところ……。従いまして粗糖の輸入業者が安く輸入権を買つて、実はここで儲けるのか、或いは輸入権のプレミアムがどの程度ついて、生糸の輸出業者がどの程度の儲けをしておるのか、まだこのリンク制を実施いたしたばかりでありまして、まだそこまで調べておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/32
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033・清澤俊英
○清澤俊英君 丁度前谷さんが見えておりますが、この前小麦の輸入の問題で、バーター輸入に対しまして、どんどんバーターに入つて来るものと、統制の枠とはどうなつておるか、こうあなたにお伺いしましたところ、大体それは外貨割当の枠の中できまりが付くのだから、それらのちぐはぐは出て来ない。余分に入ることは出て来ない。こういうような御答弁があつたように考えますが、粗糖の場合にはこのリンクで入りまする粗糖は輸入のドル枠とどういう関係を持ちますか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/33
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034・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) ちよつとさつき、その前の小麦の点は私も記憶がございませんが、小麦のことについてはバーターということはやつておらないのであります。ただ粗糖につきましては、御承知のように年間の輸入計画をきめますると、その中で直接ドルから入れまする場合と、それから台湾から入れまする場合、バーターで入れまする場合があるわけでございます。この輸出リンクで入れまする場合が一種のバーターになろうかと思いますが、こういう一つのケースがあると思います。その全体の輸入計画の中に、輸入計画と言いますか、輸入見込でございますね。輸入見込の中に生糸とのバーターの場合も総数量としては入ると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/34
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035・清澤俊英
○清澤俊英君 その場合ですね。割当は輸入商がやるのですか。あなたのほうでこれは勿論おやりになつたことだろうと思いますが、これは間違いありませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/35
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036・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この点につきましては、現実の為替の許可は御承知のように通産省で、細かい手続は私も存じませんが、生糸の輸出をいたした者がその輸出証明を持つて通産省に対して申請いたしまして、それに対して外貨の割当があるという形になろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/36
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037・清澤俊英
○清澤俊英君 バーターになつておるのでしよう。バーターの場合を聞いておるのですが、外貨は別に要らんわけじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/37
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038・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 為替の関係では、現実の金の出し入れ、バランスから言いますと、パーパーのものになるかと思いますけれども、やはり輸出の場合にはその代金は為替として出て参りまするし、輸入の場合にはやはり外貨を受ける、これは一つの手続としてそういう形になつておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/38
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039・江田三郎
○江田三郎君 さつきの、粗糖の輸入機構を尊重してくれ、こういうような通産省の条件が付いているということは、具体的にどういうことなんですか。例えば先だつてブラジルから入つて来た。そのときにインポーター・フリーが一万トンあつた。それについては念書をとつた、或いはその一万トンの配分先について指示があつたとか、なかつたとかいうような問題がありましたが、そういうことを具体的には言うのかどうか、それはどうなんです。
〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/39
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040・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 只今の御質問の粗糖の輸入機構を尊重してくれということで、通産省と我々で、話合いましたのは、結局こういうことなんでございまして、生糸の輸出商なり、或いは製糸家で直輸出をやつております業者がありまするが、これらの者が生糸を輸出して、その見返りに粗糖の輸入権をやるけれども、従来粗糖の輸入をやらなかつたような、そういう業者が直接輸入をやつてもらつては困る。粗糖の従来やつておる輸入業者へ譲り渡してもらいたい。こういう意味で、粗糖の輸入機構を尊重してくれというのは、そういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/40
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041・江田三郎
○江田三郎君 そうすると、譲り渡すときの値段というものはこれは全く自由であるのか、輸入機構を尊重してくれということは、従来の経験から行くというと、譲り渡すときの値段についても制約を受けるものと我々は解釈するが、そう解釈しなければならんのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/41
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042・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 生糸の輸出業者が生糸の輸出の見返りとしてもらいました粗糖の輸入権を、粗糖の輸入業者に売渡す場合、まだはつきり調べておりませんが、話に聞きますところによりますと、大きな輸出業者なり、輸出をやつております生糸業者では、粗糖の輸入権をその粗糖業者に渡す場合の価格を入札でやつておるところもありますし、或いは個人的に相談をして随意契約と申しますか、話合で、じや幾らで売ろうというようなことになつておるかとも思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/42
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043・江田三郎
○江田三郎君 それは入札であろうと、何であろうとよろしいが、そういうときに大体の標準価格を指示するというようなことはやらないのか、それからそういうものを、権利を譲り受けたものが輸入した場合に、それはどこへ振向けてもいいのか、輸入機構を尊重するということは、いろいろの意味があると思うけれども、そういう点は一体どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/43
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044・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) その問題につきましては私のほうでは何ともいたしておりません。粗糖のほうの輸入機構を尊重せよという趣旨は了承いたしまして、大体只今申上げましたような、粗糖の輸入権を輸入業者のほうへ譲り渡すという処置をとりまして、その後の粗糖がどうなつておるかということについては、私のほうといたしましては所管外の事項でございますので、別に希望も申しませんし、こういうふうにしてくれというようなことも申しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/44
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045・江田三郎
○江田三郎君 そこが大事なところなんですが、あなたはまあ病気中ということだろうと思うのです。大体そういう肝心なことは知らんほうがいいかもわからんが、そこで一つ関係しますから聞きますが、これは食糧庁長官に聞きますが、去年の暮にたしかなたね油の輸出についてやはり同じような粗糖のリンクの問題があつたと思うのです。そこで生糸について、損失を補償するためにこういうような制度があるんなら、やはり「なたね」油についても同じことが起きなきやならん。「なたね」油については国内においても特別な措置を講じておる。それを輸出に廻すというと明らかに損失を来たす、併し国内市価の維持のためにはそういうことが必要だ。そこで当然粗糖のリンクの問題が出るわけなんですが、あれはたしか農林省のほうでもその趣旨は正当なものを考えておられるように私は聞いておりましたが、その後一向にその話を聞かんのは、どういうところでどうなつたのか、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/45
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046・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 「なたね」油と粗糖とのリンクの問題につきましては、お話のように昨年の秋頃だと思いますが、そういう話があつたことは私も承知しております。ただ、その場合におきましての状態は、その後国内の物資の需給状況、「なたね」が思わない減産でございまして、需給状況も割に逼迫しておりまして、価格関係も上つて参りまして、その後海外の市場関係も予期のように出ていないということで、そのままその当時の話が現在においては立消えになつた、そういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/46
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047・江田三郎
○江田三郎君 これはたしか私の聞いた話では、長官もこれは尤ものこととして約束をされて、それを元にして、当時輸出貿易商のほうでなたねと大豆油を輸出したように、私の調査ではそうなつておりますが、そういうことは、あなたはその点は覚えていないという答弁をされるだろうと思いますが、そういうようなことになると、一体この話だつたところで最後になるとどうなるかわからない。生糸の話だつてどうなるかわからない。農林省なんというものは、いつも通産省に何か一ぱい引つかかつているんじやないかという気がするのですがね。ほかの物資とのバーターについては、例えばシツプ・プレートにしても、その他の通産省関係の物資についてはうまく行くけれども、事、農林物資については、いつでもいい加減なことになつてしまう。そのうちの肝心の生糸業者を保護するのなら、私はなぜ一体砂糖の輸入機構についても尊重しなければならないというような、通産省の条件を付けなければならんかと思います。そういうことで中間利潤を得られてしまつたのでは……。本来これはなすべき制度じやないのです。なすべき制度じやなしに、過渡的な制度として生糸の輸出を繋がなければならんからやるわけなんです。若しこれが全部生糸の輸出のほうに向けて行けば、もつともつと我々は生糸の輸出を伸ばすことができる。砂糖のほうの値段を下げるならば、砂糖の消費者は助かる。そういうことをしないで、いつも妙な条件を付けられて、話がきまつているやつでも途中で引つくり返る。私はそこに農林行政は何をしているかと言いたい、農林行政は資本の前に屈服するのかと言いたい、これは一体どうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/47
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048・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、この生糸の問題は従来のリンクと違つておりまして、従来の論拠は、大体輸出業者と、それから輸入業者は同一でございます。そういう場合におきましては、大体輸出値段と輸入値段とが同一人の間でコンペンセーシヨンされるわけでありますが、生糸の場合には私も十分承知いたしませんが、生糸の輸出というものは大体専業者が多い。一船輸出をやつていないことが多いということじやないかと思いますが、根本的な江田さんのお話のように、こういう制度は臨機の措置でございまするし、又全体の国内の点から申しまして、これが正常な形だというふうには我々としても考えておらないわけでございまして、臨時の措置として行い得るのだと、かように了解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/48
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049・江田三郎
○江田三郎君 あなた方から先般砂糖の問題を聞いてみても、砂糖の問題については臨時的の措置でなしに、根本的に誤まつた措置をしている。そうしてたまたま臨時の措置をしてもなお過まちを繰返しておる。そういうことなら食糧庁は通産省の中へ入つたらどうか、蚕糸局も通産省か何かの中に入つたらどうか、そう我々は言わざるを得ない。私は砂糖の問題についてはあとからゆつくりやります。生糸の問題が済んだあとで砂糖の問題を改めてやります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/49
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050・河野謙三
○河野謙三君 寺内さん、さつきの日本経済の根本問題だが、あなたの所管以外かも知れんけれども、砂糖のバーターをほかでもやつておるから、おれのほうでもやつたのだということですが、あなたの立場はわかるのだ。そういうことでは僕はいかんと思うのだな。これはよく、私からそういう質問があつたことを大臣に伝えて下さい。私は改めて大臣から大臣としての見解を伺いたいと思うのであります。そこでその措置について私は是認しません。もう少し日本経済については、根本的に為替レートの問題に入つて行かなければならんと思います。このことは今日の議題でないから次に譲りますが、御説明になつた臨時措置を前提にして、私は非常な矛盾があると思うのは、先ず第一に、政府が最高価格の二十四万五千円で買取るでしよう。併しそのときには国内価格はもつと高いというのですね。国内価格が高いということは、要するに需給関係が乱れておるということでしよう。そこへ持つて来て政府が買取るということは、余計需給関係に窮迫の度を加えるということです。そういうことになりませんか。需給調整的な考え方なら、物の幾らかだぶついておるときに政府がその時期を狙つて買う。こういうことならいいですよ。併し最高価格さえ突破しておるという、そういうときに、ただ輸入だけの一点にとらわれて、市場から何ぼかのものを政府が買取る。そしてこれを庫入れするということは、市場価格に対して余計油を注ぐようなことになると思いますが、私はそこに根本的な間違いがあると思いますが、そういう点についてはどういうような御見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/50
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051・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 六月以降から実施しようと考えております只今お手許にあります臨時措置要領では、最高価格で政府が一旦買いますが、直ちに国内の糸価で売渡すのでありまして、政府がその現物を買上げて倉庫にしまい込んでしまうという趣旨ではないのであります。それから一番初めおつしやいました点につきましては、私も生糸をそう無理に安売りしようとは考えておりませんので、できれば最高価格、最低価格のいわゆる繭糸価格安定帯の中に価格を安定させまして、その範囲で最高価格程度で売りたいということをやりたいと思つておりますが、それが余りにも最高価格を突破したので、止むを得ずこういうような臨時措置をやつておるのでありまして、安売りして高いものを輸出するという点については、根本的に誠に河野先生と同感であるし、只今おつしやいました趣旨をよく大臣に伝えまして善処いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/51
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052・河野謙三
○河野謙三君 買つてすぐ売ると言いますけれども、それにしても一時的にこれはデツド・ストツクになりますね。時期の問題、流通過程を幾らか阻害するかと思います。政府が買つてすぐ売るにしても、その政府が買うことによつて何ら市場価格を安定することにはならない、結果においては……。むしろ何ぼか市場価格を上げることになると思います。私はそう思います。その点は一体どういうことですかね。政府が買つてすぐ売る。買つてすぐ売るなら、そんなことをしなくてもいいじやないか、こういうことになる。買つてすぐ売るとしても、その間たとえ十日でも、十五日でも手持ちになる。そういうことは需給関係を却つて悪化させるのじやないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/52
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053・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 只今我々の考えておりますやり方は、一日も政府が手持をしないというやり方で行こうと考えておるのであります。御承知の通り生糸につきましては、輸出についても国内についても強制検査がありますから、検査所に出て来て検査をするときに最高価格で買つたことにし、それから直ちにそれを国用であるならば国内価格と見合つた価格で売渡しをいたします。従つてその差額をいわゆる調整金のような形で取つて、そうして証紙を渡すという操作をするから、市場の流通に対して、全然とは申上げませんが、殆んど流通を阻害することのないようにいたして行きたいというのが我々の考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/53
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054・河野謙三
○河野謙三君 私はそれ以上言いませんけれども、およそ世間でのろいもの、遅いもののたとえに役人の仕事ということがある。あなたたちは早いと思つていても、民間から見ると随分遅い仕事だ。中気病みが足を引摺つておるようなものだ。そういうことは言いません。(「言つてしまつたじやないか」と呼ぶ者あり、笑声)いや、それについて突つ込んだ議論はしないということだ。もう一つ私が伺いたいのは国際価格、これも常に動いておるでしよう。これを常に一つの、二十四万三千円とか、二十四万八千円とかいうものに固定しておくことがどういうわけかわからない。或る程度これはスライドしていいのじやないですか。外国の物価で下つておるものも上つておるものもある。これについては今後どういうふうにやつて行かれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/54
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055・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 六月以降の臨時措置として考えております輸出向けの売渡価格と申しますが、輸出を確保するための価格については、これは一本にきめたほうがいいという議論と、いや、これは我々さざ波論と言つておりますが、そう大きな値幅があつては困るけれども、多少は動いたほうがいいという議論と、実は業界に二つの意見があるわけであります。大体これで区別して考えますと、輸出商と申しますか、それからアメリカのほうではやはりこれを取扱いますのはデイーラーと申しておりますが、これらの商業関係のものの意見はさざ波論と申しまして、多少の変動があつたほうがいいという議論であります。例えば国内におきまする製糸業者でありますとか、向うへ行きますと、機屋というような工業関係に携わつておるものの意見は一本価格のほうがよいという意見でありまして、大体業界でもこの二つに分れております。我々といたしましては、どちらがいいかという点については、今研究中でありまするが、やはり少なくともこの輸出とか、貿易とかいう面においては、貿易業者を或る程度利用しなければならんという点から考えますと、やはりさざ波論で或る程度行かなければならないのじやないかと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/55
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056・河野謙三
○河野謙三君 私も貿易業者が言うか、誰が言うか知らんけれども、ものの動きというものは、価格が余り大きく幅があつちやいけませんけれども、或る程度価格の変動があるところにものの動きが活溌になると思います。私はそういう点で需要を刺戟しなければならんと思う。それを一本価格ということは輸出振興にちつともならないと思う。もう一つ伺いたいのは、国内価格は一体生産者価格、繭の価格というものは、今の御意向では現在までの価格を据置くような御意向ですか。これは審議会等の御意見もあるでしようが政府当局としてはどうですか、生産費価格は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/56
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057・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは繭糸価格安定法によります最高価格、最低価格は御承知の通り生産費を大体基準といたしまして、現在の政令で申しますると、最高価格のほうは、生産費の十二割と物価参酌値できめる。最低価格のほうは生産費の八割五分を下らざる範囲内において経済物価の需要をみてきめるということになつておりますから、大体生産費が問題になるわけでございますが、これはまだ二十八年度の繭の生産費が出ておりませんから、これはちよつと問題になると思いますが、御承知の通り昨年は非常に凍霜害、冷害がありまして異常の年でありますから、相当異常の生産費が出て来ると思いますが、それをそのままにとりますか、或いは平年に直して生産費を算出しなければならんか、さればと言つて又直すならばどういう方法があるか、非常にむずかしい問題でありまして、生産費がどの程度に付くかはつきりわかりませんので、只今この生糸の最低価格、最高価格はどの程度にしたらいいかということは、今ちよつと言明いたしかねる現状にありますが、輸出のほうの情勢から申しますると、この前申上げたかと思いますが、ミラノの国際絹業協議会で申しますところでは、二十四万円以上の値段を出しては困るというのが海外の意向であります。これらを斟酌いたしまして適当に審議会に諮問してきめなければなりませんので、ちよつとどの程度であるかということは政府として言明を遠慮さして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/57
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058・河野謙三
○河野謙三君 本年の生産者価格については、全部の資料があなたの手許に揃わんから確たることは言えないと思いますけれども、これは別にいたしまして、先ほどあなたの御説明のように、本年は昨年の凍霜害等の関係から一割乃至二割程度減産だろうと言つたでしよう。米に減額の加算がある、減収加算があると同じように、養蚕の場合にはもつとそれが大きく響くのですよ。減収加算が……。すでにあなたのほうでは昨年並みにいかんだろうと言つておる。こういうことを言つておつたから、少なくとも本年は生産費は昨年よりは上るであろう。それが幾ら上るかということについてはまだ言明の時期ではないけれども、昨年よりは生産費は上るだろうという見通しくらいは持つていられていいと思うし、又それくらいのことはあなたも今から言明されてもいいと思いますが、それでないと、これはあなたが今本年の繭が幾らになるかわからんということであれば、せめて自然の条件が減収になるような条件があるのに持つて来て、農家の生産意欲を更に阻害して、本年は生産費が高く付く、それでも政府は上げてくれないかも知れないということならば、こういうことならば、ほかのものをやつたほうがいい、そういう面から更に減収に拍車をかける。何も私はあなたに、本年は繭を高く買つてやるぞということを、私を通じてあなたの言明を求めるゼスチアをやつて農家に喜こんでもらおう、そんなことを言つておるのではない。ここで私ははつきり言うけれども、お蔭で参議院のほうは解散はないのだから、選挙でものを言つておるのではないから、そういう意味ではつきり言つておく。私が言うのはあなたもそういうことを考えて、如何にしたら本年の養蚕家の生産意欲を刺戟するか、こういう観点から、一つあなたはこの際今の生産費の問題について、あなたのお見通しを伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/58
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059・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 今までの繭の生産費の算出の方法が、実は前年度の生産費しかわからんものですから、前年度の生産費を参考にして、それから後の一年間の最高価格なり、最低価格をきめるということになつておりますので、今年も一応は二十八年の生産費を基準に考えなければならんのでありまするが、この二十八年度の生産費そのものは、成るほど凍霜害というものがありましたので、恐らく生産費は相当高騰しておると思うのでありますが、それを直ちにそのままの数字をとれるかどうかということは、先ほど申上げましたような事情がありますので、相当研究いたさなければならんと考えておりますが、御説の通り繭の増産は、一方におきまして増産が何と申しましても蚕糸業の根本使命でございますから、これを阻書しない程度の最低価格はきめたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/59
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060・森田豊壽
○森田豊壽君 蚕糸局長に一つ伺いたいことは、先ほど生糸を輸出した者、即ち輸出商に砂糖の輸入権を与える。而してその輸入権をもらつた生糸の輸出商は、これを業者に権利を売るというお話であります。その業者というものはどういう者でありますか、貿易商でありますか、或いはどういうものでありますか、私はよく存じておりませんから、それを教えて頂きたい。若しそれが輸出商、つまり貿易商、一般貿易商というか、これを扱つている貿易商と仮定いたしますれば、その貿易商はこれを製糖会社に又売ることはなかろうか、こう思うのです。その行末はどこへ行くのか、その点をはつきり教えて頂きたい。それを先に伺いましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/60
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061・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 生糸の輸出商は輸出した生糸の見返りとして粗糖の輸入権を得る。相手は粗糖の輸入業者、従つてその輸入業者は、その輸入権において輸入しました粗糖は恐らく製糖会社に売るだろうと思いますが、私の所管外でどういうことになつておりますか、恐らく粗糖会社に売るのだろうと思います。これを輸出商が輸入権をもらつて粗糖を輸入しまして、その粗糖を粗糖会社会に売るということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/61
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062・江田三郎
○江田三郎君 製糖会社だろう、粗糖か砂糖かはつきりし給え。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/62
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063・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 私承知いたしておりますのは、従来のリンクの場合におきましてもそうでございますが、今度の場合においても同様だと思いますが、輸入した場合におきまして、輸入商がそれを国内に売捌きます場合におきまして、行先は自由でありまして、限定しておらないはずだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/63
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064・森田豊壽
○森田豊壽君 粗糖の輸入商が権利を買つた場合には、それを買つた人はそれをどこへ売つても、その粗糖をどこへやろうと差支えないという食糧庁長官のお話ですが、これは先ほどのとちよつと違つているようですが、違つているのか、どつちが本当か、それを確めなければなりませんが、主管の、扱つている食管長官さんからのお話ですから、これは食管のほうで言うことは、それはそれで受取りますが、その間に二度も権利を売買するということになるわけです。とにかく輸出したから、その見返りに持つて来るのだから、輸出いたしました製糸業者、つまり製糸の輸出商が粗糖の貿易商に売り、而して粗糖の貿易業者がこれをどこへ売つても差支えないのだということになりますると、この売り方を指定してもらうということもできるわけですね。指定してもらうということは、政府が指定するのでなくて、その人にお願いすれば、製糖会社でなくても粗糖を私のほうへもらいたいと言つたらもらうこともできるわけですね。そういう場合に、例えば団体なら団体がそういう要求をした場合、消費者の団体、或いはその他の団体が……、それから売買しても差支えないわけですね。その団体から製糖会社へやつて加工してもらつて、それをみずから分けるというやり方もできる、こういうことにもなるのですね。その点をちよつと伺つておきたいと思います。これは食管のほうでも、どちらでも結構です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/64
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065・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お話のように、第一回は為替の許可を輸出業者はもらうわけであります。その後それが一般輸入商社に移ると思いますが、輸入商社が輸入しました粗糖につきましては、これの販売先については限定はいたしませんから、そういうことは貿易業者の間の契約によりまして可能だというふうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/65
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066・森田豊壽
○森田豊壽君 この問題については、これは私は幾多の疑問を持つておりますが、長くなりますから、これは又次の機会に御質問申上げることにいたしまして、ここに説明を受けましたる生糸輸出確保臨時措置要領の中のこの精神につきまして、これは一通り説明を受けましたし、自分でも読んでみましたが、この案はまだ非常に不備のように考えておるわけです。これから審議をするわけでありますから、それは別といたしまして、この精神は先ほど河野委員からもいろいろと質問ありましたが、私は繭の生産、即ち蚕糸業の振興という総体から行きますれば、繭の増産以外には何ものもない。繭を増産することによりまして、そうして而も輸出の振興も高めるということになることは言うまでもないのであります。繭が少し取れたときに輸出をしろ
しろと言つても、これは言うべくして行われない。又この法律をきめましても、私がこの前話しましたが、禁止価格については、政府が持たずして禁止しても、お題目だけで一向できないと
いうことは前から主張しておつたのです。今度それと同じようにこれをきめましたところで、これは政府は一つの手持を持つておるわけじやなし、この法律によつて強制的に買上げをしたり、何かしようということは、繭の増産というものを、この輸出の大宗である生糸の問題とは申しながら、国内の需要を忘れて輸出に没頭するということは、日本経済の上から言つて、どうしても農家の蚕糸業を振興する上におきまして、繭を増産せしめる上におきまして、これは必ずしもそれは適切とは考えられない場合があるのであります。従いまして繭を増産せしめることが、これが一番必要であります。それにはともかく何を以てするかというと、最低価格、即ち生産費というものをすつかり織込みました生産価格と申しましようか、生産者価格をしつかりできるだけ高い値段できめてやるということが、農家が安心して永年作物でありまする桑を植えることになるわけであります。従つて繭がとれるということになるわけであります。桑園を大いに殖やさなければ、これは繭の増産はできんことは言うまでもないのでありまするが、そこに永年の作物であります桑というものを作る場合におきましては、或る程度までその最低価格を高くすることが最高価格を高くしないことになるのだということを十分一つ考えて頂かなければならん。最高価格が安過ぎるとかという問題よりも、最低価格が問題になる。即ち生産者の引合うようにしてやらなければ、御承知のように、煙草と桑とは隣り合つてはいけない作物であることは御承知の通りであります。今専売局がやつております煙草というものはどんどん増産をしておる。桑はその反対に駆逐されておる。今の日本の状態から行けば、まさに金融で言うところの悪貨が良貨を駆逐しておる。良貨でなければならない、それが悪貨のために良貨が駆逐されておるというのが現在の日本の農村のあり方であるわけであります。従いまして真に政府が輸出を振興しよう、又大きな目で見れば我が国を国際経済にうまくバランスを合わせて行こうというためには、又我が国の需給をうまくやつて行こうというためには、何と申しましてもこの桑の増産、繭の最低価格、これを法律できめるには、問題はいろいろありましようが、とにかく繭の生産価格を、先ほどの説明では少しは生産費を割りましても止むを得ないじやないかという片鱗が漏れたように聞こえたが、これは私が誤まり聞いたのかも知れませんが、この席の私がよく聞えたくらいですから、恐らく間違いないかも知れませんが、生産費は幾らか割つてもかまわないということであつたならば、輸出振興ということは思いもよらないことである。然らば政府がこれに対して何らか農家、生産者のほうへ補償することがなかつたならば、まるで砂糖をいじくつている輸出商についてだけ、或いは製糸家だけを援護するというやり方では一方的であつて、相対的でない。生産があつてこそ又生糸ができるのであります。繭の生産があつてできるのでありますから、この繭を生産する意欲を養蚕農家に与えることなくいたしましては、この法文は空文化するということを私は言わなければならんと思うのであります。又そうであると実際思います。従いましてこの点に対する蚕糸局長の心構えは、先ほどの説明なりからして、どのようにお持ちであるか、この点を一つはつきりして頂くことが、今後法案を審議するに当りまして最も重要な問題であると考えるのであります。この点をはつきりこの席上でお答え願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/66
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067・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 只今繭の最低価格のきめ方についていろいろ御教示を受けたのでありますが、昨日の養蚕関係の打合せのときにもそういう主張が縷々述べられまして、誠に御尤とは思うのでありますけれども、先ほどもちよつと触れました通りに、生産費というものの構成の方法でありまするが、例えば減価償却というようなものを完全に見た意味においての生産費も、まるまる補償するという意味においての生産費補償となりますと、これは最低価格の場合も常にこれを見るというわけにはちよつと行かないと思うのでありますけれども、それらのものを差引きました我々のほうと申しますか、普通プライム・コストと申しまして、再生産が補う程度の価格は補償するという意味におきましての生産を、将来の生産を維持し得るに足るだけの価格を最低価格で見るという点については、誠に繭の増産をしなければならない今日でございますから、そういう意味において最低価格をきめるという点については誠に同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/67
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068・森田豊壽
○森田豊壽君 繭の増産を阻害しない程度に、再生産のできるような価格、最低価格、生産者価格をきめるというお話でありましたが、一体いつも私どもが質問いたしますというと、そういうような答弁が多いのであります。私は豊凶係数を以て計算をするということよりも、大きな目で見て需給係数を以てこれをきめるべきだということが私は必要なんだと思うのであります。私は繭が今年も足りなかろうという予想の下にきめるときは、足りないというものは再生産すべきことが当然なんであります。又将来の再生産という理想を持ちました以上は、これはもう現在最高価格を突破しておる現状からいつて、増産見込から見ましても、三千万貫はむずかしいという予想である以上は、これは当然需給係数を以てしなければならん。ただ豊凶係数という言葉なんかじやなく、或いは凶作係数という言葉だけじやなく、これは考えなければならん問題であると思います。ということを十分考えて頂きたいと思うのですが、一体局長は、現在の需給状態から行けば最高を抑えることが一番困難であつて、最低のほうはさほどでない。最高を抑えるためには繭を増産することだ、引合わない相場、最高というのは引合う相場での最高にしなければならん、僕の言うのは……。あなた方の御意思では恐らく最低価格をきめようという御意思はないように思いますが、この最高価格というものは、これは或る程度最低価格よりも高い価格でなければ承知しつこないと思います。従いまして、そのときに需給係数を考え、需給係数は無論豊凶係数に由来するわけでありますが、ところが豊凶係数なんというものはどこがどういうものだかさつぱりわからない。需給係数は相場がものを言うのですから、誰が見てもすぐにわかるのです。その点需給係数によつてやるべきと思うが、その意味において生産価格をきめる考えであるか、その意味を含めた最低価格であるかということをここではつきりして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/68
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069・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) お説の通り需給係数を計算に入れるということについては同感でございますけれども、ただここで考えなければなりませんのは、需給係数を繭の価格について余りにそれに重きを置きますると、何と申しますか、今丁度繭は増産の途上にございますから、一応我々の計画といたしましても、今年はまあ三千万貫も増産いたしますが、先ほど申しましたように、それもちよつと無理かも知れませんが、将来四千万貫にもしたいと思つておりますから、従いまして供給数量がずつと上つて来るわけでございます。非常な急カーヴで上ります。従いまして、これに見合う価格をきめるとすると、価格はむしろ逆に下るという関係がありまするから、それにばかりこだわりますると、例えば今年は相当の最高価格になりましても、来年、再来年と増産に伴なつてだんだん最低価格を下げて行くというような結果になりますから、この点は結局最高価格というものは、増産のためにこれだけの価格は支持するという価格でございまするから、そう年々下げたのでは本来の趣旨に副いませんので、その点を勘案いたしまして、どうしようかということを目下研究中でございまするが、大体この需給数字を勘案いたしまして、増産に支障のない程度の最低価格をきめて行くという方式を今研究中でございますので、御趣旨は十分了承いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/69
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070・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) ちよつと……。通産省の通商局の松尾次長が見えておりますからそちらにもどうぞ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/70
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071・森田豊壽
○森田豊壽君 今四千万貫という言葉が出ましたが、私は繭を四千万貫も今作つたならば、あなたのおつしやる通り繭価を暴落させてしまうということを私は今から予言しておきます。三千万貫以上、三千五百万貫くらいになつたならば国内の需給関係も相当低下して来る虞れも今なしとは言えません。これは局長も御承知だと思う。これを増産させるといつても、これは無闇やたらに増産させると、いわゆる時局便乗主義の生産をさせるということは、将来を見ないで生産させるということについては不賛成なんです。繭を増産しろということは言つておりますが、引合う相場にしておかなければ、この現状維持ができないということを私は指摘しておきます。どうかその点を曲解しないようにして下さい。四千万貫も作つたならば、これは最低価格を訂正して……、農民をして塗炭の苦しみを嘗めさせるということになつて、施策、方針は誤まつたということになつて、その原因はどこにあるかということになるので、その点はよく指導者といたしまして、先を見てやつて頂かないといかないのじやないか、私はこう思うのです。そうして毎年々々今の最低価格を、今私が需給係数と言つたので、あなたもそのことを言つたと思うが、毎年これを変更してしまうと……、私は底値というものはいつでも置くべきものであると思う、上だけ動かす、無論これは安定させるのが目的である、上がうんと高かつたら引合うところへ引下げる、引合う相場にするということが目的でなければならない、つまり需給関係とか、いろいろな関係で最高価格を直すということは上を直すということでなければならない、下を直すという話になつては、これは私の質問の趣旨に相反することになる。これは来年は又需給の関係によつて変えるということがあるならば、これはとんでもないことをしたということになる。見せびらかして最低価格をきめて、今年はよかつた、あとは駄目だということを言わなければならない、そんな不安なものを……。現在桑などを植える人はいない、桑の苗の状態を見ましても、地方において奨励金を出しても桑を植える人がいないというのが現状であります。ただ桑苗を分けてくれたのでもらつて助かると言つて薪にしている状態でありまして、実際に植えない、そういうのを私は現実に見ているのであります。こういう点からいつて、これはよほど考えて頂かなければならない、そういうふうな変更する最低価格をきめてもらうということではない。だから局長はその最低価格は将来の十年後は別といたしまして、とにかく当分のうち、とにかく数年の間は絶対に、桑は少くとも三年経たなければ使い途にならない状態でありますから、五年なり、七年なりは下は変えないということをやつてもらわないと、これは意味をなさない、これは今のお言葉では変えるようなことでしたが、本当にそうか、その点……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/71
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072・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 今四千万貫の増産についてのお話がありましたが、これは何も二、三年で急にやろうというのではなくて、実は只今実行している五カ年計画が三十年で終るので、引続いての五カ年計画、七カ年計画になるか、その最終目標に大体四千万貫程度を頭に置きまして五カ年計画というものを考えておりましたので、つい四千万貫という数字を出しました次第でありますが、二、三年で急にやるというのではないので、その点は御了承を願いたい、大体においては、そういう増産計画を立てておりますので、計画の数字というものは農林省が農産物価格安定法によつてがつちりとした数字を弾き出すと、只今申したような少しずつではあつても、最低価格がだんだんと下らざるを得ないような相場になるので、そうなつては困るので。先生のおつしやる御趣旨は御尤もでありますので、それをはつきり係数なり、文句で、需給係数を最低価格の算定のとき入れるというのではなくて、而も再生産を確保する、最低価格の算出方法について只今研究中だということを申上げたのです。趣旨は全く先生のおつしやる通りやりたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/72
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073・森田豊壽
○森田豊壽君 趣旨は賛成だとその通りやつてくれるということ、そういう意味にとつて終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/73
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074・重政庸徳
○重政庸徳君 只今森田さんの御質問に対して、局長は厳格な意味における生産費ではないが、再生産に代る生産費は補償する措置を講ずると、かように御答弁になつておりますが、まあいろいろ議論は……、この問題についてはもう矛盾だらけであると思う。局長は端的に再生産に必要な生産費、これはどのくらいとお考えになつているか、それはあなたのお考えで結構ですが、これは何円何銭何厘という細かいことではなく、およそこれくらいというお考えは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/74
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075・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 生産費の価格を言えというお話でございましたが、先ほど申しました通り、昨年の生産費の調査がまだできておりませんので、ちよつと今のところ申上げるわけに行かないわけでございますけれども、もう暫らく統計調査部の調査ができるまで御猶予を願えないでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/75
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076・関根久藏
○関根久藏君 そうしますと、調査ができ上れば、その調査によつて最低価格をその通りにやる、こういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/76
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077・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) これは繭糸価格安定法の規定によりましても、最高価格、最低価格をきめる場合には、生産、殊に最低価格の場合に生産費を基準にしてやり、これに基きまして政令その他にきめておりますものも生産費を大体基準に考えておりまするから、それに基いて最低価格をきめるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/77
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078・関根久藏
○関根久藏君 そうしますと、大体お話の点から考え合わしてみますというと、糸の値にして大体二十万くらいは最低というふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/78
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079・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) たびたび申上げまするが、昨二十八年度の繭の生産費もまだまとまつておりませんし、これに加算すべき生糸の加工販売費も目下調査中で数字が出ておりませんので、今最低価格を幾らということは、ちよつと今のところ申上げかねます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/79
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080・関根久藏
○関根久藏君 申上げかねるというお話でございますけれども、大体私が申上げたようなことは局長お認めになりますか、およその見当で結構なんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/80
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081・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 加工販売費のほうも只今蚕糸局で調査いたしておりますが、まだまとまつておりませんので、昨年に比べまして上つておりますか、下つておりますか、それさえまだ集計ができておりませんので、只今のところ生産費幾らということはちよつと責任を以てここで申上げるわけには参りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/81
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082・関根久藏
○関根久藏君 今お話の価格は、これ以上私も申上げませんが、然らば先ほど来だんだんお話があるこの臨時措置要領によりまして、政府は最低価格を保証する適当な処置を講ずる、かようにお考えになるのでありますか、その辺はお間違いないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/82
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083・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 農林省におきましてお手許に差上げました資料を修正いたしまして、生糸の最低価格に見合う繭の最低価格をきめまして、大体その値段以下で買つたような生糸価格で生糸を買わないということを第一項とすると同時に、備考にも書いてありますような、組合に自主的な保管をいたしてもらいまして、それに対して手持資金の融資をし、又委託資金を出して、そうしてできた生糸を正式に買上げるというような最低価格の保証の手段は講じたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/83
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084・関根久藏
○関根久藏君 仮にかような臨時的な措置が出来た場合には、政府はこれを安定法に関連しておる問題でありますから、多分安定法の改正で行くんであろうと思うのでありますが、単独立法でやるのですか、どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/84
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085・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) 最高価格を突破いたしました場合の処置といたしましては、このお手許にありますように、これは或る程度製糸の方面の団体協定と申しますか、強い協定を認めますので、これは臨時的な処置にいたしたいと思つておりまするが、最低価格の保証のほうは、これは繭糸価格安定法の改正によりまして恒久処置にいたしたいと考えております。なお最高の場合も、規定としては繭糸価格安定法の改正で行きましても、ただその発動する場合が糸価が最高価格を超えてしまつて、而もそうして政府が手持がないというような場合の処置と実際の運用は臨時処置にしてもいいと思つておりまするが、是非とも最低価格の保証のほうは繭糸価格安定法に則つて行きたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/85
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086・関根久藏
○関根久藏君 臨時措置のほうの最高価格の場合には別な政令でもやるということなんですか、別な法律でやるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/86
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087・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) やはり最高のほうの場合におきましても、これは法律事項でございますから、やはり法律が要りますが、最初の考えは臨時立法として特別立法をする考えでおりましたが、今のところは最低との見合もありまするので、或いは繭糸価格安定法の改正で行つたほうがいいのではないか、これはきまつたわけではございませんが、法律が要ることは確かであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/87
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088・河野謙三
○河野謙三君 関連……。蚕糸局長、私は増産意慾を刺戟しなければいかん、それにはもうすぐのことであるから、今年の春繭は一体幾らくらいで政府は考えておるかということを、何百何十円まで言わないでいいから、大体あなたの腹づもりを言うことは、そういう意味において必要だと思う。大体わかつているでしよう、繭の生産費の一番大きなフアクターは何だ、桑苗でしよう、農家の労賃でしよう、肥料代でしよう、そういう大きなものを三つ四つ拾つてもいずれも現在上つておるわけです。すべて上つておるわけです。でありますから、少くとも現在の最低価格ではこれは無理である、幾ら上げるということはここで又計算が出ないけれども、何分か本年の繭については政府としても考えなければならんと思つておる、こういうことを言えばいいのです。私はあなたを別に責めるわけじやありません、そういう程度のことは言えるでしよう、桑が一体どうなつているのか、農家の労賃がどうなつておる、肥料がどうなつておる、こういうことを一々大きなフアクターを拾つてみれば計算がでると思う。マイナス、下る要素は一つもない、そういうことを私はこの際言われることが、これが全国の養蚕農家に対する増産意慾を非常に刺戟することになるのじやないか、こういうことなんですよ、どうも私は前谷さんにも伺つたけれども、砂糖の問題をとつても繭の問題をとつても、あなた方固くなり過ぎる、僕らが責めておると思うことが間違いなんだ、責めるのじやない、あなた方の背後のボスを対象として言うので、あなた方は良心的の行政をやつておることは認めるんです。だからそういう点について繭の生産費の場合もですよ、もう少し目標は私が言うところにあつたのだから、全国の養蚕農家を対象にして、この際蚕糸局長として、こういうことを言つたらいいだろうと思うのだが、何のために躊躇しておるか、それからたびたび立つこともほかの委員に御迷惑をかけますから、さつきからの質疑応答で腑におちないのは、バーターとして生糸を輸出しますね、例えば河野謙三が生糸の輸出業者になりますと、そうすると、この河野謙三が同時に砂糖を持つて来て、そうしてこれを国内の製糖会社なり、若しくに最終の消費者団体に売ることは勝手である。こういうふうに解釈しているのでありますけれども、今までは河野謙三が砂糖を輸入する、砂糖を輸入する場合には、砂糖の専町家である安部幸さんであるとか、藤山愛一郎氏に今度は輸入業務をリレーしようという、こういうのが通産省の意向だと思います。通産省としては当然それは言われる。この連中には多少の義理がありますから言いますよ。農林省はそうじやないでしよう。私が。生糸を輸出して私が砂糖を輸入するということは勝手でしよう。そうして輸入したやつを今度は大日本製糖にやろうが、例の問題の名古屋精糖にやろうが、全購連にやろうが、誰にやろうがそれは勝手である。こういうふうに解釈してよろしうございますか、農林省はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/88
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089・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) この生糸の輸出に見合う粗糖の輸入につきましては、先ほども申上げました通り、通産省との話合で生糸の輸出商が直らに砂糖の輸入はしないようにいたしまして、砂糖の輸入業者の輸入機構を尊重するという申合せになつておりまするから、粗糖の輸入権は砂糖の輸入業者のほうに譲り渡すというやり方でございます。併しこれはそういうことをやります場合、我々のほうで考えておりますことは、大体生糸の輸出商は専業が多いのでありまして、砂糖の輸入に従来経験がございませんので、我々といたしましても、通産省で言つておりまする砂糖の輸入機構を尊重してくれという処置をしたほうが却つて輸入がスムースに行くと思つて、実はそういうことを了承いたしたわけであります。従いまして生糸の輸出業者が直ちに粗糖を輸入するということは今のところやつておりませんので、粗糖の輸入は粗糖の輸入業者のほうでやらせるということにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/89
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090・河野謙三
○河野謙三君 それは農林省に通産省がそういう注文を付けたのは知つておりますけれども、農林省はこれに最終の了解を与えたのですか。若し与えたのならば私は改めて伺いたいことがある。与えたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/90
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091・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) この点につきましては、生糸の輸出は大体生糸の輸出専業でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/91
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092・河野謙三
○河野謙三君 それはわかつておる。与えたかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/92
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093・寺内祥一
○政府委員(寺内祥一君) そういう従来の経験がございませんので、私といたしましては通産省に対して了承の承諾をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/93
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094・河野謙三
○河野謙三君 然らば伺いますが、今農林委員会なり、通産委員会へ硫安輸出株式会社法案こいうものが出ております。これは硫安業者が株主になつて、硫安の製造会社が株主になつて輸出会社を作つて硫安を輸出して、そうして砂糖なり、バナナなりを輸入して来る。そうしてこれをその硫安業者がですよ、砂糖会社なり、バナナの業者に売る、こういうことになつている。これは政府の考えで、我々の手許に今法案が出ているのですよ。肥料の場合にはそういうような法案を政府みずから出しておいて、生糸の場合なぜそういうことをやるのですか、なぜ、あなたを責めても仕方がないので、これは農林大臣に一遍よく伺いますが、あなたよく言つて下さい。硫安輸出株式会社法案というものが出ている。今もう半年に亘つて審議している、硫安の輸出会社が硫安を輸出するわけです。そのバーターによつて持つて来る砂糖なり、バナナは、バナナの業者なり、砂糖の業者でなくちや扱つちやいかんということは書いてありません。そんなことを制約する必要はないと思う、生糸の場合なぜそういうことをするか。私は併しあなたを責めても仕方がない。あなたなり前谷さんにそう言つているのじやない。農林省の考え方は商品別にそういうふうに違うのはどういうことか。終始一貫して政府の考え方を私はまとめて持つて来てもらいたい、こういうふうに思う。なお大臣が答弁される前に、あなたからそれについて何か弁明があつたならば、これは伺いたいと思います。弁明があれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/94
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095・宮本邦彦
○理事(宮本邦彦君) 本件については又後日日を改めてお願いいたしたいと思いますが、次の議題に移りたいと思います。前谷長官からちよつと訂正があるそうですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/95
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096・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 事実だけを……。(「何を訂正しなくちやならん」と呼ぶ者あり)先ほどの生糸の輸入のリンクにつきまして、私ちよつと思い違いいたしておりまして、その点を御訂正申上げたいと思います。この輸入のリンクにつきましては、昨年十一月の中頃に全体としての輸入リンク制が公表されたわけでございます。その際先ほど森田委員からのお話がございましたように、輸入いたしました粗糖の販売先につきまして、その輸入公表の場合におきまして、精製設備を有するものというふうに限定いたしているそうでございまして、先ほどの私の答弁からいたしますと、その点が自由だと、こういうふうに答弁申上げましたが、その点は事実と相違いたしておりまするから、精製設備を有するものというふうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/96
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097・森田豊壽
○森田豊壽君 一言だけ、関連していますから……。先ほど折角質問申上げまして、誠にいい御答弁を願つたと思つたのですが、束の間に訂正ということでやられまして、実はあとでこのことについて質問するということは言い残しておいたわけなんですが、この問題はそう規則がなつておつたでしよう。又そのことは私も調べて見ますが、併しながら、とにかく繭というものは農家が生産をしたものである。それを加工したるものが製糸業者だという建前から行きますれば、今日農家の生活必需物資である砂糖、白糖とは申しません。中ザラでも半黒でも結構なんですが、黒白半分くらいで結構なんですか、その程度のものでいいと思いますか、わざわざ白糖にした高いものを買わないで、これはやはり繭の増産に影響することである。又農家にそういう気分を与えることであるという趣旨から行きますれば、こういう問題こそ私は製糸家のほうも、むしろその権利は誰にあるかとつぶさに研究いたしますれば、やはり繭を作るものにあると言わなければならんと思うのであります。
その問題を考えて、この問題に対しては特別の措置を講じて頂きたい。又その措置を講ずべきであると私は考えるのであります。何も精製設備を持つておるところの、そうい機械を持つておるいわゆる製糖会社に売らなければ、ほかのものに売つてはいけないというような制限を設けることは、これは消費者の立場から言いまして、又今の現在の砂糖の暴騰しておる状態を考えたときに、先ず農家といたしましては、油と砂糖という問題は今地方を廻りましても深刻な問題であります。この二つの問題はこれは大いに何とか弁明するだけ……、又弁明するというよりも、農家に対するこういうふうにやるということで、何かおみやげがなければならんのであります。又親心がなければいけません。又我々は議員といたしまして当然このことを考えてやるべきだと思うのでありまするが、食糧庁長官は、これに対してどういうお考えか、規則がそうだから、そういう特例は設けない、臨時措置法だとか、特別だとかいう法律は随分分出しますが、こういうところにそういう考え方をしておられるかどうか、又そういう考えがないかどうかはつきりしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/97
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098・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この問題は、御承知のように昨年の十一月頃にスタートをいたしました全体のリンク制の問題の中に生糸が追加されたわけでございまして、従来のリンク制の形としては、私後に申上げたような形になつておるわけであります。その当時といたしましては、砂糖価格も安定いたしておりまするし、又需給事情も安定いたしましたわけでございますので、そういう考え方で出発をいたし、又実行をいたしておるわけでございます。ただ森田さんの御指摘のように、現在の糖価の状態から行きましても、又同時に今後におきまする需給条件、需給事情の変化ということは、これは十分考慮いたさなければならんことでありますからして、我々といたしましては、そういう需給条件の変化をも考慮して再検討をいたしたいというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/98
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099・江田三郎
○江田三郎君 これは全く不可解ですよ。食糧庁長官が自分の扱つておる品物についての手続を間違えておつたというような、そういうことは私はおよそあり得んことだと思う。私はこの砂糖の話を質問するときに最初に申上げたのですが、一体農林次官とか、或いは食糧庁長官とかいうような人は、つまり現在の農林省の首脳部は、農地問題とか、或いは農業技術の問題とか、日本の米の増産というような問題は考えておるけれども、こういう砂糖とか、油とかいうようなものは殆んど考えていないのじやないか、そこであなた方の考えていない間に大変な穴ができてしまつて、そういうものにも、下僚と言いますか、何と言いますか、そういう人々の手によつてとんでもない誤まつた行政に落込んでいるのじやないかということを私は申したことがありますけれども、全くその通りです。食糧庁長官が今言つたことを、自分の管轄のことについて五分間前に述べたことをすぐ訂正しなきやならん、あり得んことですよ。一体あなたは何だと言つて聞きたいのですよ。それでも食糧庁長官なのか、砂糖と油を除く食糧庁長官なのか、どつちかと聞きたいのです。だから私さつきも申しましたように、例えば昨年の「なたね」のリンクの問題でもあなたの答弁は答弁になりませんよ。その後「なたね」の国内相場が予期以上に上つたから、あの問題は立消えになつたと、こう言われますけれども、併しながら、あの「なたね」を輸出した人は、その後国内相場の値上りからは大して関係ないそうですよ。砂糖のリンクをやるからと言うので相場の引合をして、その輸出をして、その取引について明らかに損をしているでしよう、貿易業者ですよ。これはあなたの答弁じや答弁になつていないわけです。恐らくあなた方も理論的に考えても、どう考えても、これは当然なすべきものと考えておるのが、通産省のほうで横槍を入れられて、引つ込めざるを得なかつたのじやないかと私は思いますが、私はそれだけでなしに、恐らくこれは事実でしよう。どうもそういうような問題について、私ども、通産省とあなた方の間が一向腑に落ちないわけです。先ほどの生糸のリンクについても粗糖の輸出機構を尊重する、これは河野さんの言われるようにおかしな話ですよ。現在政府がやつておる硫安の輸出会社の関係から考えても合点が行かない。理論的に考えたら、当然硫安の輸出会社と同じような方向へ行かざるを得んのです。それをなぜここでチエツクしなければならんか、なぜ農林物資についてだけチエツクされなければならんか。通産省本来の品物なら黙つておる。農林物資についてはあなた方はもう何の発言もなしに、平身低頭するのか、その理由がわからない。私は先だつての委員会の最後に質問をして答えを待つております。あの問題についても五万トンのブラジルの砂糖を輸入した。一万トンはインポーター・フリーだ。通産省の話によると、その一万トンの適正価格でインポーターが他へ譲り渡すという念書をとつたということははつきりしておる。その念書をとつて適正価格で売渡すということは一体何を意味するのか。若し国の行政が正しい行政をやつておるなら、あなたが正しい行政をやつておるのなら、行政機関が関与をして、念書をとるということは、砂糖の最終の消費者である国民のために念書をとらなければならん、そうではないでしよう。国民のために最終価格を決定する念書じやないのじやないでしようか。ただ製糖業者の利益或いは製糖業者でなくて、その他の菓子協であるとか、何とかいうような、そういう人人の利益のための念書じやないでしよう。一体製糖業者が今輸入したあの単価で小売相場をこんなに値上りさすのを放つておいて、而もそのときに念書をとると言つても、その念書は何ら最終消費者である国民のための念書ではない。そういうやり方をいつまでやろうというのか。あなたは昨年の十一月に輸入した砂糖の販売先については製糖会社というところの措置をしておる。一体どういう法律的根拠でそういう措置をするのか。何のためにしなければならんのか。製糖会社については可能な範囲の一切の保護を与えているじやありませんか。例えば砂糖消費税についても三カ月の延納というようなものがほかの品物についてありますか。清涼飲料と比べて御覧なさい。それだけでも製糖会社は百億円の金が毎月浮いているじやありませんか。中白糖、原料粗糖との関税の率は違えておる。当然、考えられる保護は与え尽して、なお又そういうような輸入した粗糖については製糖会社でなければ渡してはならんというようなことを、如何なる法律的根拠に基いてやられたのか、その根拠を承わりたい。法律的根拠だけでなしに、国民生活の立場からどういう論理的な根拠があるのか、その根拠を承わりたい。それだけではございません。ブラジルの一万トンのフリーについても、とにかく念書をとつて適正価格というものをきめたが、それは一体どういう根拠に基いて適正価格を支持できるのか。或いは法律も何もなしに、製糖会社の利益のために、資本家の利益のために何でもやつたらいいのでありますか。先ほどの森田委員の質問は、法律がどうの、何がどうかは抜きにして、当然あるべき姿を言つたのです。だからあなたも率直に裃を抜いで、人間前谷として、それをその通りでございますと、こう答えられた。(笑声)あれははつきりしております。そうして食蚕業の振興のためには繭を作る生産業者が第一じやないかということまで森田委員は言われておる。それについてあなたがその通りだと言われたのは、誰が考えたつてそれは当然だからであります。あなた方は当然でない仕事をしておるじやないか。当然である仕事をして、後のほうから又声をかけられた、それを取消さなければならないというような、私はこういう政治を悲しむわけであります。今汚職でやかましい。これは汚職ではないかもわかりません。併し道義的に見たらもつともつと私は責め立てらるべきものじやないかと思います。先だつて私は砂糖の問題についていろいろ聞きました。あなたの答弁は私どもの言うことを一応理論的に受入れられたようでありますが、そういう点について、私はこの砂糖行政についてはあなたは新らしい見地に立つてやられるものと期待しておつた。併し今又その期待を裏切られてしまう。一体どうする気なのか。只今私が申しましたような点についてはつきり答えて頂きたい。そうしてやかましく我々が砂糖の問題を言い出してからも、毎日々々上つているこの砂糖を一体どうするのか。それでもいいのか、上げて製糖会社だけ儲ければいいのか、三十割の利益率が四十割になればそれでいいのか、それが食糧庁の仕事か。私はこれは汚職以上の汚職であると言いたい。はつきりした答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/99
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100・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 私先ほど思い違いをいたしまして申上げた点を訂正いたしたわけでありますが、これは先ほど申上げましたように、十一月のことでありますので、事実と違つた場合、これは非常な間違いを来たしますから、訂正いたしたわけでありますが、この考え方といたしましては、我我といたしましても只今の江田委員のお話、根本的に至極御尤もと思いますし、又食糧庁といたしましても砂糖の価格が安定いたしまして、そうしてそれが消費者の面におきまして、その家計に対して影響を与えないようにするということは重々承知いたしております。従いまして現在の価格の状態と、その当時における価格の状態とはいささか違つておるわけでありまして、その当時におきましては、大体四十五円までに行つていないと私は思つておりますが。その程度でございまして、砂糖の価格といたしましても、需給状況もほぼ安定いたしておりますので、安定した価格で行われておるというように考えておりましたので、そういう意味におきまして、その場合におきましては国内に加工設備もあるしいたしますので、従来の通常のルートでやることによりまして、それが又同時に価格の安定であり、又配給の円滑化であるというように考えていたしたわけでございます。併し現在のように需給条件が変動いたしますし、又価格がこういうような価格になつた場合におきまして、需給状況が安定しておりました場合及び価格が安定しておりました場合に考えたことを私もそのまま踏襲することがよいかどうかということについては、現在検討いたしておるわけでございまして、このままそれを続けるということを申上げたわけではないのでありますが、ただ事実として昨年の十一月の公表の場合にそういう公表をして、それが行われておるということについては誤解をされてはいけませんから、訂正をいたしたわけでありまして、あとで訂正したものを将来もずつと続ける、こういう趣旨で申上げたことでないことを御了承願いたいと思います。ただこの法的根拠につきましては、為替の許可の条件ということで、通産省において輸入条件を発表いたします条件となつておるわけでございまして、これは為替許可の条件として取扱われておるわけであります。そういうわけでございますので、只今の御指摘のように、我々もこの砂糖の高値をどうかして抑えたいうことで、更に輸入の増加についても関係官庁とも協議いたしておりますし、できるだけ早く政府の甜菜糖の手持も補充する。目下北海道から急速に輸送の手配をいたしておりますので、できるだけ早くこれも入札によつて売却いたしまして高価を抑えたい、と同時に、来年度におきまする需給につきましても、我々といたしましては、そういう点も十分考え、又外貨の点もございまするが、そういう点もありましようが、我々といたしましては価格が安定し得るように、できるだけその点については努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/100
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101・江田三郎
○江田三郎君 私はこの砂糖の問題を発言しましてから、私の手許にはほうぼうからいろいろな手紙も来るし資料も参ります。その中には私ども口にするのも嫌なような問題が書いてあります。併し私はそういうことを問題にしようとは思わない。もつとこの制度というものを根本的に改めてもらいたい。何も個人的に誰がどうしたというようなことを問題にしようとは思わない。併しこの制度をどうするということについて、あなたが今おつしやるように、急速にそういう現在の実情から見た措置がとられるなら、これはまあ結構でございますけれども、そうでなしに、今までのような行き方をとつておるなら、我々はもつともつと堀下げてこの砂糖の問題について言わざるを得ないわけなんです。一体今の、この価格が上つておる原因がどこにあつたのか。私はやはり二十八年の四―九月の輸入の問題だと思うのです。あれは一体どういう輸入計画を持つておられたのか、四月から九月の間その実績は一体どうであつたのか、そのときになぜ計画量だけの輸入をしなかつたのか、私どもはそこに或る力が働いたんじやないかと思わざるを得ない。最近の砂糖相場の動きについても、これは製糖業者が生産取引の場に行つて注文を付けるということはこれは自由でしよう。できるわけです。若し製糖業者が生産取引へ買いに出たならば値段は幾らでも上るわけです。そういうことはあり得ないことじやないわけです。そういうことについても私どもはいろいろなことを聞かれるわけなんです。併し先だつて来のあなたに対する私の質問に対して、あなた方は、今までの扱いは最終実需者というものを誤まつておるのだ。製糖業者というものは中間の需要者であつて、最終実需者は飽くまで家庭でなければならん。ところがあなたは、そういうことは認めるけれども、ただ残念ながら、そういう最終実需者のまとまつた意向というものはこれは捕捉しがたいのだ、然る故にこういうようなことになつているのだ、こうおつしやいましたけれども、捕捉できないわけはございません。若しそうだと、それが捕捉できたらやると言うなら、私たちはいつでもそういう意向というものをまとめることができるわけです。農村には農民の団体がありますし、労働者には労働者の団体があるし、そういうもののまとまつた声を持つて来いというならいつでも持つて行けるわけなんです。そういう点について急速に一つ思い切つた措置をとつて、今のように生産相場が七十円近くなつた、まだどのくらい上るかわからん。こういうばかげたことを続けておるというのは全く私どもは言葉がないです。製糖業者には至る限りの保護を与えて、その上こういうような目に合わされて、なおあなた方は何もようしない。それでは私どもはやはりもう一遍鼓を鳴らしてあなたのところに攻めて行かなければならん。具体的に聞きますが、最近十万トン輸入の計画が進んでおるということでありますが、それは一体どうなつておるか。そういう十万トンの輸入をする場合には、森田委員なり私どもが今申すような線を慎重にお考えになつてやられるのかどうか。若しそうでなしに、仮に十万トン輸入しましたところで、これを従来の通りに製糖業者にだけしか渡さない、彼らに原料を独占をさすという限りにおいては、私は今日の砂糖の我々が問題にしていることは一向解決は付かんのじやないかと思う。一時ここで輸入によつて供給が殖えましたところで、将来の外貨割当、外貨使用というものは一体どうなるのか。恐らく今までの通りの外貨政策を続けて行つたならば、日本は破産せざるを得んでしよう。この際どうしても外貨の使い方については、従来と変つた措置がなければ物価の引下も耐乏生活も何もできやしないのです。耐乏生活を言われるなら、物価の引下を言われるなら、どうしたところで外貨の政策というものは変つて来るわけです。仮にここで十万トン入れましたところで、そのあとの見通しを考えた場合には、必ずこれが投機の対象になるということは火をみるよりも明らかです。今の十万トンについてどういうお考えなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/101
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102・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、実は二十八年度におきまする砂糖の輸入につきましては、当初から大体需要を測定いたしまして百万トンの輸入を計画いたしておつたわけでございます。ただ前年度からのズレがございまするので、実際のアライバルといたしまして百万トンというふうな考え方でおつたわけでございまして、先ほどの江田さんのお話のように、実は本年度の十月から本年の三月までの輸入につきましては、これを二回に分けまして、十二月までは本年三月までのアライバルとして計画をいたしておつたのであります。従いまして、これにつきましては百万トンのアライバルになるように外貨の割当をいたしておるわけでございます。ただ一月から三月は、平年ございまするように四月以降のスリツページの関係になりますので、一月から三月以降のものにつきましては、四月以降のスリツページとして考えておつたわけでございます。これにつきまして、いろいろ外貨事情との関係でその決定が遅れておつたわけでございますが、この点につきましては、最近の価格の上昇に見合いまして、又先行き不安という点もございまするので、これを急速にやりたいということで漸次やつて参つたわけでございますが、ただ残念ながら、この現物の状態からいたしまして急速に着く場所、まあ考えますると台湾でございますが、これには現在まあ砂糖の在庫がない、こういう状態でございまするので、何とかしてこれを早いところから持つて行きたい、こういうことで苦慮いたしておつたわけでございます。併しそう言つて外貨の割当を遅らしておりますると、又同時に不安定が来るということで、先般の五万トン、その後の六万トンというものの外貨の発表をいたしたわけでございますが、更にインドネシアから中ザラ程度のものも持つて参りたいというふうな形で関係省と協議いたしておるわけでございますが、御指摘のように現在の糖価の事情等も考えまして、今後の輸入につきましては、我々も従来の輸入の方式というものを再検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。ただ御承知のようにこの砂糖の関係は、最終的に価格なり数量の配給統制をいたしておりませんので、結局どういう形においてやることが粗糖のと言いますか、砂糖の市価を下げ得るか、こういう点が我々としても悩みの種なんでございます。ただ御指摘のように、直接最終消費者に行渡るということの方法も御指摘がございましたが、これも一つの方法かと思いますが、現実の問題といたしまして、その需要量が全国民に行渡るようにするということは、これは非常に大きな需要量になりますし、又相当その需要が殺到いたしまして、その間におきまする配分と申しますか、そういう点なんか非常に基礎としてむずかしい点があるという点がございますので、そういう点も十分検討をいたしたいと私は考えております。そうして現在の市況なり或いは需給状況も考えて、必ずしも従来通りの状態でないということは、その条件の変化もございますので、従来通りの方法が最善だというふうに私は考えておらないので、これをもう少し検討いたしたい、再検討したいという気持は十分持つているのでございますが、一方におきまして、その再検討のために現実の外貨の発表ということを遅らすということが、又一方におきましての不安に影響するというような事情もございますので、そういう点をやりつつ、できるだけ早く再検討をいたしたいというふうに考えております。現にインドネシアのスウイツチ等におきましての中ザラの輸入等いろいろ相談いたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/102
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103・江田三郎
○江田三郎君 インドネシア・スウイツチの今の中ザラというものは、我々の常識で行きますと直消糖だと考えるのですが、そういうものですか、どうですか。それからもう一つ、念のために通商局のほうに伺つておきたい。両方からお答え願つておきたいのですが、一体砂糖の輸入ということについては、これは通産省のほうの管轄だと思いますが、ただそのやり方についても、先ほどの硫安輸出会社の例から考えまして、生糸に対して通産省のほうがこの条件を付けるというのは、これは合点が行かない。なぜそういう条件を付けられなければならんのか。河野委員の質問されました硫安会社の、政府原案との関連においてお答えを願いたいと思います。その次に、輸入された砂糖は一体通産省なのか、農林省なのか。私は当然農林省の取扱うべき管轄だと思いますが、そうではないのか、輸入された砂糖についてまで通産省が何かを言わなければならないのか、又従来そういうような慣行があるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/103
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104・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 只今、江田、河野両先生から御指摘のありました生糸の輸出なり、或いは硫安の輸出に関運した輸入に関する輸入機構を尊重すべしというような条件を付けたということについての点でございますが、若干誤解があるのではないかというふうに、両先生のお話を承わつておりまして感じたのでございます。実は硫安のほうからちよつと簡単に御説明申上げますと、我々は硫安の輸出会社ができるまで、台湾向けの硫安につきまして出血を補償する術がないから、何とかバナナを、どうせ通商協定の関係で輸入をしなければいかんとするならば、それで一部協力を願えないかというような話がありまして、事情止むを得ないということでバナナの輸入によつて協力をいたしたのでありまして、その場合は、申上げるまでもなく輸出をした人に輸入権を与えたわけであります。従つて今後できるであろう硫安の輸出会社にその輸入権を与えるということはまだ全然考えておりません。今後もそういう問題が起るかも知れませんが、この出血輸出に関連しまして、一般的に割高物資の輸入で以て補償するという考え方は、我々としてはできるだけ排除いたすべきだという考え方を従来もとつて参つておりますので、先ほど何か硫安の輸出会社に対して輸入権を与えるというようなことを考えているのではないかというようなお話でありましたが、そういうことは今のところは考えておらんのであります。従来の硫安の輸出の場合にも、輸出したものに輸入権を与えた、併しながら実際問際問題としまして、硫安を輸出したものはバナナの輸入につきましては不案内でございますので、実際の輸入はバナナの輸入の専門家に、我我の言葉で申しますと、信用状の代理開設をしまして、現実問題として専業者に輸入はやらしているというのが実情になつているわけであります。次に、生糸の輸出につきましても同様でございまして、生糸を輸出する業者の中には、勿論砂糖の輸入に精しきものもいるわけでありますが、必ずしもそうではございませんので、生糸の輸出をした人に砂糖の輸入権を与えるわけでございますが、その輸入の実施に当つては専門の輸入業者もあることだから、できるだけそういう業者を活用願えないかということを申入れているわけでありまして、輸入の割当につきましては飽くまで、輸出業者なんであります。従つてその輸出業者が実際の砂糖の輸入に当つて誰を使おうかということは自由であります。即ち砂糖の輸入を新しくやろうとする人がありますれば、これ又止むを得ないことなんであります。別段その辺のところは輸入条件で以て法制的に規制するとかいうようなことはいたしておりません。が併し、実際問題といたしまして生糸の輸出専業者が、明日からすぐ砂糖の輸入業をやるということは、実際問題としてできないのでありまして、実際は専門の輸入業者に任せているのが私は実情じやないかと思います。ただ我々は輸入業者から来る、何と言いますか、反対も予想されましたので、できるだけ輸入業者の顔を立てるようにしてもらいたいと言うただけのことでありまして、生糸を輸出した人が直接輸入しましても、別段これを法制的に罰するという術は全然ございません。実際問題としてそういうことを申しただけでありまして、実際は今から砂糖の輸入を新らしく始めようという人はないようであります。実際従来の砂糖の輸入の専門業者に、委託なりその他の方法でやられているようでありまするので、今両先生の言われました条件を付けて云々と、非常に何かむずかしくややこしいことをやつておるように言われましたが、実情はお調べ願えばわかると思いますが、全然そういうことはございません。それから次に、輸入した後の配給の問題は、我々としては農林省でやるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/104
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105・江田三郎
○江田三郎君 さつき質問したときに、まだ答えてもらつていないのですけれども、ブラジルの一万トン・フリーについて、あなたのほうで念書をとられて適正価格を指示された、これはどういう根拠に基いてやられたのか、この問題はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/105
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106・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) この念書をとりましたのも、まあ一般的な行政監督権と申しますか、そういう考慮でありまして、なぜ一万トンを輸入業者に当てたかという経緯については、或いは食糧庁長官からお話があつたかも知れませんが、精製設備を持つておるもの以外に割当をするということはなかなか急に間に合わない。そこで取りあえず輸入業者に一万トンを割当てることにして……、併しながら、これは製糖業者以外のものに売らせるという条件にしようということに、両省の意見が一致したわけであります。ところが今の諸法規から言いますと、そういう厳重な統制をする実は根拠の法規はないわけであります。実際問題といたしまして……。従いまして我々は農林省と話合をしたことを、できるだけ忠実に輸入業者に指示をしたいという趣旨から、製糖業者以外のものに売るということと、それから価格は適正価格と申しておりますが、実際問として適正価格とは何ぞやということになつて、人々によつて意見が違つてもいかんということで、これ又非常に苦慮したのでありますが、まあこのブラジルの砂糖は州価格にしまして、百二、三ドル程度にきいておりましたので、又国内価格は非常に暴騰しておる。従つて仮に輸入業者に非常に安く売れということを言いましても、その次の段階で又高くなることもあり得る。従いまして、この輸入業者だけを責め付けるというふうなことも非常に片手落ではないからいう意見も実はあつたのでありますが、少くとも我々この通商面を担当するものといたしましては、輸入業者に不当な利得をさせるというのが今度の輸入業者割当の本旨ではございませんので、いろいろ相談の結果百十ドルが最高価格である、百十ドル以内でやれ、こういふうなことと、製糖業者以外に売らなきやならんということで、売つた場合の売先は報告しろというふうな意味の念書をとつたわけでありまして、これについても御批判あろうかと思いますが、今の不備な法規の中におきまして、我々は行政的になし得た最善ではなかつたかと、私自身は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/106
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107・江田三郎
○江田三郎君 その輸入業者に暴利をとらせんために、法律的な根拠はともかくとして、最善の措置と考えるので適正価格の指示をした、これについて私はいろいろ意見があります。併し通産省のほうで若しそういうことができるなら、砂糖の問題について通産省と始終相談の立場に立つておる農林省は、精製糖の最終価格について同じような措置はとれないのかどうか。それから今の一万トンについては、売先についての報告を求めるということでありました、その報告によると、その売先はどことどことであつたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/107
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108・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) まだつい先日割当をいたしたことでございますので、まだ向うの港から、船に積んでおるかおらんかということで、来ましてからのことになろうかと思いますので、相当これは時間がかかると思います。今のところまだそういう報告をとる段階と考えていないので、いずれ報告をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/108
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109・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 只今の江田さんと御意見の輸入業者に対して価格が或る程度指示ができるなら、精製糖会社に対しても指示ができるじやないか、こういうお話でございます。これは行政的な意味におきまする観点でございますると、これはできないことはないと思います。ただ御承知のように、精製糖工場に対しまする現在の法規というものは全然ないわけでございます。ただ輸入の場合におきましては為替管理法に基きまして、為替管理をするという条件でございますから、その条件として、或る程度の行政的な勧告はあつたと思います。私のほうの関係においては、行政的な勧告というものは、法規に基かない勧告ということはこれはなし得る、一般的な行政の勧告としてはあると思います。厳重な意味における勧告と申しますか、指示と申しますか、こういうことは非常に困難だと思いますが、自粛を促すということは我々としても勧告はできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/109
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110・河野謙三
○河野謙三君 松尾さん、初めてお目にかかりますから、よろしくお願いいたします。(笑声)あのね、あなたは生糸なり、硫安の輸出業者が、バーターの場合に砂糖の輸入業務をやられることは原則として認める、こういうわけですね。生糸、硫安を輸出して、そのバーターで砂糖を持つて来る場合に、その砂糖の輸入の業者、その生糸や硫安の輸出業者が又同時に砂糖の輸入業者として業務を担当することは、これは認めるということなんでしよう、原則としては……。そうだとおつしやいましたね、さつき……。あなたがその後段に言つた、併しまあというそのあとが悪い。(笑声)併しまあ実質的にはなかなか生糸輸出業者なり、硫安の業者が砂糖の輸入業務はできないから、そこでその道の専門家の砂糖の輸入業者を使つたらいいじやないか、尊重したらいいじやないかということをあなたは言つているというわけです。併しまあからあとが悪い。よく役所がやることで、悪女の深情というものです、親切の押売りというものです。硫安の業者が砂糖の輸入がうまくできようができまいが、できない場合には頼むし、できる場合には自分でやる。生糸の輸出業者が砂糖の業務に不案内であるかどうかは、あなたが干渉しないでも当然その道の専門家に頼みますよ、輸入業務の代行をやつてもらう。そんなことまで深入りして、通産省が農林省に砂糖の輸入業者を尊重しろというようなことを言う必要はないじやないですか。あなたは軽く言つたつもりでも、さつきから農林省ではそれを固苦しく受けている。この点ははつきりしてもらいたい。そういう尊重なんということを言わなくてもいいじやないですか。そんなことは生糸輸出業者なり、硫安の輸出業者がやるからいいじやありませんか。同時にあなたは硫安の輸出株式会社法案の審議に当つてこの議会に出られたことがありますか。硫安の輸出株式会社法案の審議に当つて、幸か不幸か、あなたが今おつしやつたことと大分違う、法案の説明は……。これも一つ伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/110
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111・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) お互いに行政をやつているものといたしますれば、或いは一〇〇%それが実行できないような場合においても、まあ情をかけるのが、先生が言われましたように、一つの道理かと思う。そこで我々としては実際問題としては、輸出のほうの関係、輸入のほうの関係そのものは通産省関係でやるので、別段農林省にとやかく言うのもおかしいことではございますが、まあ生糸の輸出業者が又ここで新らしく砂糖の輸入業務を始めるということになつて、小さな輸入業務をやる人が殖えても如何かというふうな配慮があつたので、まあそういうふうな表現、今先生の言われましたように変な情のかけ方があつたかも知らんのでありますが、輸入業者に対する思いやりを持つたわけなんであります。別段それを飽くまで強行するとか、制度的にそれを縛るとかいうことは何もないわけでありまして、実害も弊害も何も生じておらんわけでございます。従つて一言そういう声をかけるぐらいのことが、そう別段現実問題として弊害を生むならばあれでありまするが、我々としてはまあそういうことを言おうと言うまいと、実際問題としては専門の商社におやりにならせるのでありまするが、ところがこういう制度を新らしくやる場合には、そういう又反対の面からの非難も起るのじやないかというふうな配慮からそういうことを申したということでありまして、別段それをどうしても実行せしめるために言うたというふうにおとり願わんでもよろしいかと思います。抹殺願つても結構でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/111
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112・河野謙三
○河野謙三君 それはあなたはそういうふうに軽くおつしやつておるつもりだろうけれども、あなたの言うように、浪人して民間で飯を食つた人でないとこれはわからんのは無理もない。我々民間で飯を食つた人は役所から出る通諜だとか、お役人さんの一言というものはそんな生やさしいものじやないのですよ。それは非常に影響力が大きいのです。だからこういう問題になる、現に問題になつておる。でありますから、今あなたがそういうふうにおつしやるならそれは親切がなくちやいかん、情がなくちやいかんが、今あなたの言う情というのは、さつきも言つたように悪女の深情というやつだ。若し生糸の輸出業者が砂糖をもらつたけれども、どうしていいかわからん。けれども松尾さん何かあなたその道の大家を紹介して下さい、こう言われたときに、それはおれの知つたことじやない。そのときは安部幸さんを使いなさい、何幸さんを使いなさいと教えてやるのがそれが親切である。あなたの親切は深く入り過ぎている。そこでまあ通産省の気持ははつきりわかりましたが、さて農林省は一体どうです。そういうふうな松尾さんのほうは軽い気持で親切に言つておるのだ、それ以上のことはないのだと、こういう場合に蚕糸局長帰つちやつたけれども、蚕糸局長なり、前谷さんは今の松尾さんの言うように軽く受けていない。さつきからの答弁では軽く受けていないでしよう。それは通産省からその業者を尊重しろという申渡があるからそれを使わなきやならん、こう言つておるでしよう。それに対して前谷さんどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/112
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113・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 蚕糸局長がおられませんので、私の関知し得る限りにおいて申上げようと思いますが、通産省から輸入業者の点につきまして、生糸の輸出は御承知のように特殊の形態でございますので、まあ特にそういう御注意があつたのだろうと思います。これは業態の実態に応じまして、そうしてたしか輸入公表にはそういうことの条件は付いておらないと思いますが、これは輸入公表の条件に従つてやつて差支えないものだと思います。ただ現実の問題として、これは河野さんも御承知のように大体生糸の輸出は殆んど専業者が多い。だから自然にそういうことになるということはこれは御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/113
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114・河野謙三
○河野謙三君 そこでまあ、答弁を求めませんけれども、通産省のほうは尊重すべしということは取消してもいいくらいに言つておられるのでありますから、もつと楽な気持で、蚕糸局長とも御相談されて、農林省は農林省として消費者価格を安定させるために、これを狙いにして善処されたらいいと思う。それからもう一つ伺いたいのは、砂糖の根本機構の問題ですが、まあ前谷さん御承知のように、今国民はこう言つていますよ。議会が民心から離れ、政府は信を失し、丁度二・二六事件の前夜のようだ、これが国民の声です。これはあなたの耳にも入つていると思う。そこで二・二六事件を思い出すと、今からでも遅くないということなんです。今朝の日本経済を見ると、食糧庁は砂糖の行政について根本的に今検討して、一つの考え方として砂糖の買取販売を政府がやるということを計画している、こういうことが出ておりますが、私はこれも一つの案だと思う。何かやらなければいけません。今からでも遅くない。今朝の日本経済のあれは、何かああいつたことが食糧庁なり、農林省内部でも一つの話題になつているのですか、どうですか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/114
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115・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げます。只今の河野さんの御質問でございますが、我々といたしましては、これは二つの問題があろうと思います。一つは根本的な砂糖の価格の水準の問題でございますが、これにつきましては我々の考えといたしましては、如何にして需給のバランスを合わすかという問題があろうと思います。もう一つは、需給の状態が窮屈な場合におきまするその利益の、利益と申しますか、そこの帰属関係というふうな問題があろうと思います。そういう場合におきまする一つの考え方として、一つの意見として、政府が買上げたらどうかというふうな考え方もありますが、これは又御承知のように、いろいろ政府がそういうものを取扱うということについては、又他のいろいろな問題があろうと思います。第一その点につきましては、食糧管理の関係におきまして、従来からの考え方からいたしますると、食糧管理の純粋性と申しますか、食糧管理が余りいろいろなものを取扱つてはいかんじやないかという議論も当委員会においてもいろいろ拝聴したことがございます。そういう面でも砂糖のみならず、そして又他の面からも検討いたさなければいかんかと思います。又そのほかにも何かこれについていろいろ当委員会でもご意見が出ておりましたが、そういうふうな方法も十分検討しなければいかん。我々としては、現在この一つの方法ということだけで考えませんで、いろいろな面で来年度の需給の状態の見通しと合せまして、どうやつたらいいかということをいろいろ検討し苦慮している状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/115
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116・河野謙三
○河野謙三君 その今朝の日本経済に出ているようなことは、これは今の段階では食糧庁の内部の一つの意見でありますか、省議等で参考に出た意見でありますか、この点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/116
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117・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、これは食糧庁の内部においても固まつた意見でございませんで、ただ議論されておる一つの議論であるというふうに御了解願つたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/117
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118・河野謙三
○河野謙三君 然らば砂糖の今後の行政についてですね、何らかの具体案を速急に生み出さなければならなん段課になつている。これに苦慮しておられる。併しこれには時期がありますが、大体今月一杯とか三月の半ばとか、何か目標を置いて砂糖の機構について具体案を出さなければいかんと思いますが、そういうことについて、いつ頃までに何らかの成案を得て臨むというようなお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/118
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119・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) この砂糖の問題につきましては、一つは砂糖の需給の問題が根本的な問題でございまして、その需給の下におきまして、どういう考え方をとるか、こういう問題になると思います。勿論御承知のように外貨予算のものは一年間の見通しは立ちまするけれども、具体的には四―六、七―九、一〇―三というような形で実施されるわけでございます。併しその後の変更もあろうかと思いまするが、外貨の大体の見通しというものが確定的にはなかなか行かんと思いますが、見通しが或る度程経ちまして、その下における需給事情を考えまして、我々としてはどういうふうにやつたらいいかということを考えたい、こういう考え方でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/119
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120・河野謙三
○河野謙三君 そうすると、今の段階では砂糖の市価を下げる方法として、需給関係だけを考えておるのですか。要するに砂糖の輸入量を殖やす、そういうことによつて価格の安定を図る、その一点にかかつておつて、それ以外にはいろいろの意見はあるでしようけれども、政府としてはそれ以外の何か配給機構その他において安定策を求めようというようなことは、一応政府ではできていないのですか。愚の骨頂だと思う。物をたくさん入れて砂糖の値段を安くしよう、誰だつてできますよ、それができないでおるところに日本の経済の苦しさがある。そんなことを考えたつて砂糖にばかり外貨を割当てるわけに行かんことは当り前なことだ。そんなできもしないことを考えている間に日が暮れちやいますよ。私がいつも言うように、今に今にと言つているうちに死んじやつた人がある。でありますから外貨の割当を殖やして、砂糖の輸入量を殖やして安定しようということでなしに何か考えなければならん段階に私はなつている、これは誰でもわかると思う。こういうことについては私は何か今ここで具体案を伺おうとしない。何かそういう配給機構の上において安定策をとろうという具体案を何か急いでおられるかどうかということを私は伺つておる。そういうことがなくて、ただ需給関係だけで供給量を殖やすことによつてのみ価格の安定を図ろう、これだけが今の政府の考え方ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/120
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121・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) お答え申上げますが、河野さんのお話の配給について何か考えておるか、その配給と言いましても非常に幅が広いのじやなかろうかと思いますが、つまり御承知のように、根本的に配給統制をするとか何とかいうことになりますと、これは経済政策全体の非常に基本の問題になります。これは又別の観点からそういう問題が取扱われなければならないと思いますが、我々といたしましても、現状の機構におきましてこれを改善する方法は勿論考えなければならんと思いまするが、根本的いろいろな問題になりますると、そういうふうな需給状況からして、どういうことをやるかということも同時に考えなければならん。ただ現在の市価に対して直ちに現在のままでいいということも考えておりませんで、更にこれを改善する余地があれば改善したいということで検討いたしておりますが、根本的にはやはり全体的な需給条件を基礎にいたしまして、その下におきましてどういうふうにやるかということを考えたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/121
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122・河野謙三
○河野謙三君 余り長くなりますから、これは次回に譲りまして、今日手許に頂きました資料でちよつと私わからん点がありますから、更に資料を附加えてもらいたいと思うのです。手許に来ましたものの中に一枚、二十八年度の政府所有の砂糖の払下についての明細を頂きましたが、肝心の払下の価格が入つていない、と同時に条件が入つていない、キヤツシユであるか、延べであるか、こういうことを一つ附加えてもらいたい。と同時に、この資料は二十八年度としてはわかりましたけれども、過去ずつと年度別に年次を追つてこの資料をもらいたいと思います。こう思います。価格を入れて下さい、条件も入れて下さい。同時にここに一言二十八年度だけで伺いますけれども、非常に驚き入つたことは、全国と名の付いたパン屋さんとか、菓子屋さんの団体に、この団体そのものも疑わしいのでありますが、百トン行つているかと思うと、僅か一つの県、千葉県であるとか、三重県であるとか、協同組合とか、何とか名が付いておりますけれども、こうしたところにも百トンか二百トンか行つている。どういう基準でこういう数量を割当てされたか、これなんかも一つ説明してもらいたい、どういうわけなのか、これもわけがわからんですよ。それから団体のいろいろの役員その他についても御説明がありましたが、これも全く腑に落ちません。もう一つ、例えばパン屋さんの組合員が何人とか、それから加盟組合が幾らとか書いてありますけれども、こういうものについてももう少しわかるようにしてもらいたい。例えば全国にパン屋さんが何軒あつて、そのうちの何名が加入しておる、それから菓子屋さんの組合でも四十六組合と書いてありますけれども、これは府県別に一つ一つ入つているのだか、それともこの四十六というのは府県別ということじやなくして、一つの県に二つも三つもあるというのか、そういう点について、私の知つている範囲はこの間申上げましたように全国の各府県が加盟しておりません、それから同時に全国の菓子屋さんに砂糖を流しましても、それが途中で消えちやつて下まで行つていない。これはパン屋さんの場合も同様、ビスケツトの場合も同様、こういうことにつきまして我々の納得の行く資料を親切に、あなたの知り得る範囲のことを一つ附加えて頂きたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/122
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123・前谷重夫
○政府委員(前谷重夫君) 資料の点につきましては、お説のように各年度ということになりますと非常に時間がかかりますので、二十八年度をお出ししたわけでありますが、二十八年度につきましては、これも河野さん御承知のように、大体統制後政府が輸入しておりました手持のものを漸次入札によつて出して行つたわけでありまして、随契の場合におきましては、その入札時の中値をとりましてやつておるわけでありまして、それで大体府県等からの申請による申入等がありました場合にやつておるわけでございます。これは普通の場合と同様に現金でやつておると思います。なおこの菓子の組合は、私どもの承知しているところでは四十六は各府県の組合と思います。ただ河野さんも御承知のように、ここにも大体の数字を入れてございますが、組合は府県に必らずしも一つでなければいかんということではございませんで、やはり府県に二つあるということはあり得ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/123
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124・河野謙三
○河野謙三君 そうしますと、あとで資料をもらえばわかりますけれども、四十六あつて、一つの府に二つも四つもあるところがあれば、各府県にということにならんでしよう。日本は今何府県あるかということです。これに書いてあるのは全部で四十六組合になつている、そのうち府県によつては二つも三つもあるということになると各府県にないということになるでしよう。この点についてここで私はあえて御説明を求めませんが、資料によつてそういうことがわかるように、我々の疑いを持つている点は先ほど申上げましたから、その我々の疑いが解けるように教えて頂きたいと思います。それからさつき伺つた価格ですね、払下の価格並びに条件、同時にその当時の市価を入れて下さい。これは特に重大なことは随意契約の分だけ載つている、随意契約であるので、その随意契約は一体そのときの市価とどうなんだということを知りたい、むしろこの種の払下の問題は、期限も二十七、八年じやなくてもつとその前に問題がある、ですからお手数でしようけれども、二十四年、五年、六年の分ももらいたい、これはお手数のことはわかりますけれども、これはあなたの就任される前のことでありますけれども、その辺のところに問題があるのです。政府から払下を受けた砂糖、それを延納してその金をぐるぐる廻していろいろ皆うまいことをやつた、こういうことがあるから、そういうことにつきまして甚だお手数でありますけれども、御苦労でありますけれども、一つ詳細に御説明頂きたい。それから先ほど申上げましたように、全国団体の、例えばいんちきであつても全国と名の付いているのは百トンであつて、三重県二百トン、千棄県百トンであるとか、県も全国も同じである、こういうのは一体随意契約の場合どういう基準でこういうことをやられたか、これも我々が誤解を生む元であります。こういうことも説明してもらいたい。こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/124
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125・清澤俊英
○清澤俊英君 長官にお伺いいたしますが、先ほど蚕糸局長にリンクの砂糖の輸入について糸価ですね。最低糸価と最高系価との差額の三分の二を補償する、損失を補償してやる、それを誰がやるんだ、誰がどういうふうにしてやるんだ、こういうふうにお伺いしたんですが、これは大体商工関係の輸出業者に任してあるのでわからんという御答弁だつたのです。これをどういう機構で、仮にあなたが言つたように、輸出業者と砂糖の輸入業者とありますならば、これと製糸業者と三者がどういうような機構でどういうふうに定めるか。それはどういう法律的な根拠を持つてやつているのか。或いは砂糖の輸入の際に、すでにそういう輸入価格、輸入した砂糖の差額価格というものを条件にして輸入をさせるとか、どうかというようないろいろな方法が講じられていると思いますが、その点を明らかにして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/125
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126・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) ちよつと書類を今持つて参つておりませんので、この詳細につきまして、若干或いは不正確な申上げ方をするかも知れません。その点はお許しを願うことにいたしまして、生糸の輸出をした人に割当をするということを申上げたのであります。従いまして生糸の輸出をしたという証明書を、たしか税関に対する輸出申告書、エキスポート・デクラレーシヨン・サーテイフイケートと言つておりますが、それを使うことになつておると思いますが、それを提示した人に砂糖の輸入割当をいたす、こういうことなんです。従つて手続的には、輸出したという証明書を持つて来た人に自動的に砂糖の割当をいたすわけであります。その場合に、たしか生糸の標準ものを一俵輸出した、それに対して一・二七トンでございましたか、それが基準になりまして銘柄の上下によつて若干スライドをいたすことになつておりますが、これらはもう機械的に計算ができるわけなんです。それを割当をするわけです。で、現実のコンペンセートということになりますと、農林当局と我々が話をいたしました基礎は、砂糖一トンにつきまして三十ドルだつたかと思います。その程度のさやが稼げるという基礎に立ちまして、先ほども蚕糸局長の御説明になつたような、例えば三分の二というふうな計算をいたしましてやつておるわけであります。従いまして結局輸出業者が製糸家から、何と申しますか、生の価格で買いまして、そして何がしかの砂糖による儲けがございまするので、要するに輸出をする価格は安く出す、こういうことになるわけであります。従いまして率直に申しますと、輸出するときには損をして出している、そうしてあとで輸入をしたときの砂糖の差益金で埋めておる、こういうことになる。そこで我々の一番心配いたしましたのは、砂糖の価格も非常に浮動をいたしておりまするので、若し海外市場に対して日本の生糸をダンピングしたという非難が起きることを、正直のところこの制度の実施を決定するのに一番苦慮をした点なんであります。そこで厳重なフロア・プライスを設けまして、その価格以下で若し売つたというふうなことが露見したような場合は、その人に対しては砂糖の割当をいたさないのだというふうな条件を付けておるのであります。実際の輸出、輸入の事務から申しますと、先ほど申したような通りでありまして、先に損をして出しておいて、あとの輸入で儲けた利益でカバーする、こういう恰好になつております。従つて飽くまで輸出業者が、或いは実際問題として輸入は別の人が扱う場合がありましても、輸出業者のところにおいて扱うという建前になつておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/126
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127・清澤俊英
○清澤俊英君 何かしら操作が行われて、公定的な勘定ドルのさやで差額を解決するという線でなく、ほかのものが何か出やしないかと思う。ということは、一昨日からの新聞を見ますと、あなた方の一番心配しておられるフロア・プライスが今破れて輸出しておるということで、あなた方が非常にこれに対して警戒をし心配をしておられる、こういう新聞記事が出ておる。こういう中で安く投売りして持つて来ても、プライスが頭のきまつたものでせられるということになりますと、そこに何かあなた方の考えておられるよりほかの操作が行われて、従つて高い砂糖、これは結局国が補償すべきものを形を変えた税金で補償していますからね。そこで何か機構の不備でそういう不当な利益が一ところに集まるというようなものがありますならば、これは大変な話だと思う。一体これほどの重要な、さつきからも問題になつておる砂糖の操作をします上に、現に始まつて何日も見ないでそういうような問題が起きておるものに対して、法的な根拠を持たないで、そういうものが将来あなた方がやつて行けるかやつて行けないか。何か法的の取締のはつきりしたものを持つてかからないで、大体話合とか何とかいう方法でやつて行けるのかどうか、その御自信を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/127
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128・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 先ほどもちよつと申上げたのでありまするが、我々の立場といたしましては、輸出も大いにいたしたいが、又無理な輸出をいたしますためにそういう出血輸出をし、それをそういう儲かる輸入品でカバーするという行き方は、これは飽くまで邪道ではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、できるだけそういう制度をとりたくないということで、従来からもそういう立場をとつておるのでありますが、生糸につきましては、昨年度の天候不順等によりまする非常に変態的な凶作と申しまするか、そういうことで放つておくと、結局三角貿易が横行し、その三角貿易の取締もなかなかうまく行かない。そういうことになりますと、又余りにこれを厳重に取締るということになると、結局三角貿易でもできる輸出すらとめるというようにもなり、非常な名案もないということで、農林当局からも、このような非常に強い御要望等もあり、我々も同様に輸出振興ということについてはいろいろ苦慮しておる立場にありまするので、どうも政府としてそういうことを採用するのは根本的な疑問を感ずるのでありますけれども、臨時的な便法としてはいたし方ないのじやないかということで、そういう制度を実施ということになつたわけでありますので、できるだけ早くこういう制度をやめたいというふうに考えておるわけであります。農林当局との話もこの春繭が出るまでというように考えております。従いまして六月末を以てこの制度は打切ろうという話合になつております。先ほどの御指摘のフロア・プライスを切つているという点につきましても、我々が最初から懸念しておつた問題でありますので非常に私は心配しておりまして、輸出組合を通じまして輸出業者にもたびたび忠告をいたしておるような次第であります。又私昨日も聞いたのでありまするが、この一週間、十日ほどの間にかなり取引も順調に進んでおる。中に若干そういうフロア・プライスを切つているという向きもありますが、ちつとでもそういうことがあれば非常に強く響きますので、こういう場合は問題を殊更大きくされているのではないかと思うのでありますが、御指摘の点については我々も非常に苦慮いたしまして、まあ再三忠告もし、若し如何なる方法であろうとも、それが露見したようなことになりますと、我々はその業者の割当はとめるということを、率直に申しましておどしを言うておるわけであります。御承知のように、輸出をしてからあとで輸入の許可をするというような恰好になりますので、若しわかつた場合には輸入をとめるということは可能なんであります。輸出を許可する前にわからなかつたという場合には、その事後に同一の業者が同じようなことを繰返す虞れがある場合、事後の輸入割当をチエツクするという、こういうような制度を伴う場合は、少くとも現段階にいい手続も見付かりませんので、そういうことになつておるのでありますが、今御指摘の点につきましては、我々としても正面なところ、まあ臨時便法ということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/128
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129・清澤俊英
○清澤俊英君 そこでいろいろ御苦心になつておるし、今の法律のない中で行政措置だけでやろうとせられ、いろいろ苦心せられることはようわかつておりますが、それで問題としまして、輸入商が輸入して参りました砂糖を砂糖業者に渡す場合、若しくは農林省が引当てました割当て先へ渡します場合の価格というものは、輸入条件としてもう初めからきまつているのですか。きまつているとするならば幾らになつておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/129
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130・松尾泰一郎
○政府委員(松尾泰一郎君) 実は先ほど申上げましたように、三十ドルという計算をいたしておるのでありまして、従いまして、その三十ドル以上を超えてはならないということまでも、これも先ほどのこのブラジルの砂糖について申しましたように、条件を付けることは非常にむつかしいのであります、率直に申上げまして……。それでまあ精糖業界或いはその他の需用面には、これは三十ドルということになつておるのだから、買うほうで、そのつもりであまり無茶に買い煽らんように、共に協力を我々としては願いたいということを申しておるのであります。まあ最近の実情から見ると、こういう価格の情勢でありますので、或いはそれを上廻つている面があるのではないか。まあそういう面から実はいろいろと弊害も出て参るのではないか。従いまして実は今後その三十ドルを確保するかどうかについて今研究をいたしております。併し今他方甘いような意見もありまするが、三分の二というふうな計算にもなつております。若しも一部買うところがあつて若干補償ができるならば、それをあまり厳重に追及するのも如何かということもあつたわけでありす。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/130
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131・戸叶武
○戸叶武君 もう質問は今後もいろいろあると思いますけれども、一応みんなの意見というものは出て来ておると思うのです。とにかくこのような砂糖行政をやつておるのでは、これは農林省も通産省も、国民から何のための行政機関か実際疑われて来ると思うのです。確かに我々はガツトに加入しながらも、こういう変則な貿易をやつて行かなればならないといういろいろ苦労の点はわかりますけれども、問題は我々のフアイトが足りない。而も砂糖の輸入というものにいろいろ制約を受けておる。それを理由にやたらに消費者値段が高くなつている。それに対して何らの処置もしないということは、これは全く信を欠くものです。農林委員会としては、この際とにかく厳重な申入れを行なつて、とにかく製糖業者に対して、やたらにぼろい儲けをさせるような行政機構のだらしないやり方を一応改めてもらつて、飽くまでも最終消費者の人たちの生活をやはり守らなければならない。だから需給関係を基準としていろいろ考えなければならないでしようけれども、現状の割当に対してもどういうふうにしなければならんかという、そういう具体的なことを行政当局において成案を当然作るでしようけれども、それをぐずぐずに、いい加減にやらしていちやいけないから、急速にそれを作れ、砂糖にやたらに暴騰を許しちやいかんというだけの相当厳重な申入をやるように委員長のほうで取計らいを願いたいと思いますが。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/131
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132・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 今の戸叶委員から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/132
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133・森田豊壽
○森田豊壽君 今の御意見に関連して、今の御意見御尤もですがね、この問題は非常にまだ質してみなければならんところもありますし、よく聞いて、それから出さないというと、又この程度で以てぽんと出してしまつて成案を出せなんと言つても、希望もまだ相当あると思いますし、次回まで質問をもう少し延期しておいてじつくり考えて、その上でやらないと、これは私は言いたいこともあるけれども、而も聞いておると又質問したいことがあるわけなんです。あまりあわててやつてもどうかと思うから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/133
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134・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/134
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135・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
電力料金の議題については次回に譲り、本日はこれを以て散会いたします。
午後五時二十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X01019540223/135
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