1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十九日(水曜日)
午前十一時四十分開会
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出席者は左の通り。
委員長 片柳 眞吉君
理事
宮本 邦彦君
森田 豊壽君
戸叶 武君
委員
雨森 常夫君
川口爲之助君
佐藤清一郎君
関根 久藏君
横川 信夫君
上林 忠次君
北 勝太郎君
河野 謙三君
江田 三郎君
河合 義一君
松永 義雄君
鈴木 強平君
衆議院議員
足立 篤郎君
政府委員
農林省農林経済
局長 小倉 武一君
通商産業省企業
局長 記内 角一君
通商産業省軽工
業局長 中村辰五郎君
事務局側
常任委員会専門
員 安楽城敏男君
常任委員会専門
員 中田 吉雄君
説明員
通商産業省軽工
業局化学肥料部
長 柿手 操六君
参考人
日本開発銀行審
査部長 竹俣 高敏君
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本日の会議に付した事件
○農林漁業組合連合会整備促進法の一
部を改正する法律案(衆議院送付)
○農林政策に関する調査の件
(霜害に関する件)
○派遣議員の報告
○臨時硫安需給安定法案(内閣提出、
衆議院送付)(第十八回国会継続)
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001・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今より農林委員会を開会いたします。
霜害の報告はあとに廻しまして、最初に農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。本法律案は衆議院議員足立篤郎君ほか十名によつて去る五月十四日衆議院に提出、続いて去る五月十七日衆法第三十七号を以て衆議院より予備審査のため当院に送付、即日当委員会に予備付託になつたものであります。先ず、提案理由の説明を聞くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/1
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002・足立篤郎
○衆議院議員(足立篤郎君) 只今議題となりました農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案について提案の理由を御説明申上げます。
農業協同組合及び同連合会は、農林漁業組合再建整備法及び農林漁業組合連合会整備促進法が施行せられまして以来、国より増資奨励金又は利子補給金の交付を受け、その再建整備に努めておりますことは各位御承知の通りであります。この過程におきましては、これらの組合又は同連合会は、収支の成り立たん事業は廃止すると共に、これに関係のある固定設備等は速かに処分すべき必要があるのでございます。併しながら、これらの固定設備のうちには、金融機関再建整備法によつて、前の旧勘定に属するものが多いために、現在、農業協同組合又は同連合会が有しておりまする固定資産につきましては、調整勘定が閉鎖されまするまでの間は、主務大臣の認可を受けなければ、これを自由に処分することができないのであります。右の事情は、組合及び連合会の再建整備を促進する上に重大な障碍となつておりますので、確定評価基準による評価が行われていない場合におきましても、暫定評価基準による評価のまま、調整勘定を閉鎖することができることとし、これらの固定資産の自由且つ早急な処分を可能とする方途を講ずることが肝要であると存ずるのであります。
次に、調整勘定に利益があつたときには、金融機関再建整備法によりまして、この利益は先ず国から受けた補償金の返納に充当し、更に残額のあるときは、確定損を負担して消滅した指定債務に対する分配その他貯金債務で切り捨てましたもの及びその利息に充て、又調整勘定を閉鎖しました際、調整勘定になお利益金の残額があるときは、これを出資者に対する分配に充てることと相成つておるのでありますが、農業協同組合、同連合会が再建整備に邁進しております現状に鑑まして、国又は地方公共団体に納付すべき額に相当する金額は、一旦国庫に納付せしめる措置をとり、これを予算の定めるところにより、適正に再建整備又は整備の促進のために支出することが必要且つ妥当であると確信する次第であります。なお、この措置を行なつても調整勘定に利益の残額がある場合には、戦時補償特別税に関連して他の金融機関に対して履行すべき求償権の債務、退職金、指定債務以外の貯金によつて確定損を負担した者に対しては分配を行うことは従前の通りでございます。
以上の趣旨により、金融機関再建整備法の特例を設けまするため、農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正いたすべく、ここに本案を提出した次第でございます。
何とぞ慎重審議の上、速かに御可決あらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/2
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003・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 本法案の審査は後日に譲りたいと存じます。
ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/3
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004・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。
次に、霜害に関する件を議題といたします。去る五月十五日及び十六日の両日に亙つて、第一班は埼玉及び群馬県、第二班は栃木県の各県につきまして被害状況の現地調査を煩わしたのでありまして、本日はその御報告を願うことにいたします。第一班上林委員から御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/4
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005・上林忠次
○上林忠次君 それでは報告をいたします。
第一班の現地調査は河合委員、松永委員と私の三名でありまして、群馬県及び埼玉県下の実情を五月十五日及び十六日の両日調査いたした次第であります。なお松永委員は群馬県のみに参加されまして、埼玉県には参加されなかつたのであります。この調査は県当局及び農林省統計調査事務所等から、被害の状況及びその対策について説明を聞いたのち、現地へ参りまして、その実情の調査及び被害農民との懇談等に時間の許す限り努めた次第であります。
先ず群馬県下の被害状況について申上げますと、被害はこの県が全国有数の養蚕県でありますので、桑の被害が激しくて、四月二十一日及び二十八日と桑の第二乃至第三開葉期に霜を受けまして、五月九日現在の県調査の数字によりますと、被害面積一万八千四百二十二町歩で、全作付面積の約七〇%に及んでおります。そして平均被害程度は四四%になつております。又当県は有数の麦作県でありまして、その被害が現存のところ正確に把握しにくいのでありますが、一応収穫皆無面積に換算いたしますと、千七百七十三町歩、全面積五万五千二十五町歩に対しまして約三・二%という数字が出ております。その他馬鈴薯及び果樹等に若干の被害が出ておる状況であります。
県の応急対策としましては、三千万円の予算的措置を講じまして、病虫害の防除費に無利子で融通しており、又技術指導等の善後措置を講じている現状であります。続いて、県下の前橋市周辺の桂萱村、荒砥村、堤ケ岡村、長野村、秋間村、岩野谷村、板鼻村、小野村、岩平村及び黒岩村の被害地を一巡いたしたのであります。この状況について申上げますると、この地帯は集団的な桑園地帯でありまして、無被害地では濃緑色の葉が青々と茂つておる。ところが被害を受けた地帯では、枝が白く見えて桑葉はまだまばらに枝の先端に附いておる。或いは春蚕はもう諦めまして桑を根から切つている。又中途から切つているというようなもの等が見渡す限り見受けられます。この惨状が眼前一杯に見えるのであります。或る地帯におきましては、昨年以上のひどい被害であるということが想像できるのであります。又麦につきましては、穂の一部の小穂が点々と傷められているというもの、或いは穂の下のほうの茎の部分が傷められまして、それから上へ養分が上らない、恐らく收穫はできないのじやないかというようなものもあります。今後生育状況によりましては、相当に被害が増大するのじやないかと予想されるのでありますが、現在のところ的確な数字はつかみにくいというような状態であります。
次に、埼玉県下の状況でありますが、五月七日現在の県調査の数字によりますと、桑については、被害面積四千九百四十三町歩で、全作付面積の約三一%が被害を受けている。これを収穫皆無面積に換算いたしますと、一千五百八十三町歩で、全桑園面積に対する割合は一二%という程度に及んでおるのであります。又本県は茶の特産地でありまして、本年は凍霜害による被害は被害面積五百七十七町歩、皆無面積に換算いたしますと、百四十七町歩の被害でありますが、一月末日の寒害による被害がひどいので、これを皆無面積に換算いたしますと、四千九百九十九町歩という大きな被害でありまして、これは金額に直しますと、九千九百九十八万円というような見込みであります。本県におきましては、善後処置として、予算的措置は講じておりませんが、技術指導で被害を最小限にとどめたいと大きな努力を営んでおるわけであります。
続いて県下の児玉郡金谷村、松久村及び大沢村、又大里郡の本郷村及び用土村、入間郡の川角村、大家村及び鶴ケ島村、こういうような桑園地帯及び入間郡の豊岡町の附近の茶園の被害地を一巡した状況を申上げますと、当県は昨年の惨状に比べまして、被害は割合に軽微であつたのは、防衛対策が非常に徹底いたしておりましたこと、又四月二十一日の降霜はひどかつたのですが、二十八日の降霜は群馬県のようにひどくなかつたというような結果、昨年の被害の二、三割程度の被害にとどまつたという状況であります。現地を視察いたしましたところでは、本郷村が一番被害がひどかつたように感じたのであります。又川角村が部分的に相当被害を被つているというような印象を受けたのであります。又入間郡の茶園の現状は本当の茶園というよりも、畦畔と申しますか、畑の周辺にあります茶の被害が相当ひどい。一つのうねについて見ますと、雪を受けまして、これが早く融解したために、その後の寒気のために寒害を受けているというような被害が大きいのでありまして、雪の早く解けた南側の部分が、殆んど着葉部の枝が全部枯死しているというようなものが多く見られるのであります。これと反対に雪の長く積つておつた北側には、雪のために温度がそこで鬱滞いたしますと申しますか、そういうようなことで余り温度が低下しなかつたために被害が少い。一番上の芽から三番目くらいの芽までが枯死しておるというような状況でありまして、その後の追肥の施用或いは被害管理のよろしきを得まして、相当新らしい芽が出ておるというような状況であります。被害の様相が現われ始めました頃の天然色フイルムを見ますと、丁度秋のもみじの頃のような景観を呈しておりまして、被害地を一巡した私たちにも当時の惨状が忍ばれた次第であります。以上の諸点より、桑の被害範囲、その深さ及び繭の減収見込量等、又茶及び麦の減収量はいずれも昨年に比べると少いのであります。併しながら、地帯的に見ますと、昨年と全く同程度の被害の地帯もあるのであります。この地帯は昨年も同様の被害を受けた地帯であることを考えますと、農家の受ける損害は本年の被害量に、更に昨年の被害の影響を加えたものでありまして、経済的の損失は莫大なものであると思われます。以上が被害の概要であります。
次に、被災農民の懇談等による現地の要望事項及び私たちが感じました点を二、三附加えておきたいと思います。先ず、現地の要望事項といたしましては、一、桑樹病害虫防除薬剤購入の助成、又二番目が、桑樹の樹勢の回復速効性肥料の購入の助成、三番目、一般農作物に対する病虫害防助除費の助成、四番目が霜を防ぐため、防霜のためにいろいろの施設をやつておりますが、その諸施設に要しました出費に対する補助、五番目が営農資金償還延期及びその利子の補給、六番目が営農資金の特別融資、七番目が農業共済保険金の即時仮払の実施、八番、課税の減免措置、九番、蚕業技術指導強化費の助成、その他少くとも前年と同様の措置を講ぜられたい等の強い要望があつたのであります。
次に、私たちの感じました点は、第一に、昨年来の災害の続発によりまして、農家が非常に困憊している。その再生産に非常な打撃を与えているという点であります。本年の凍霜害は昨年の被害に比べると地域は狭いが、併しながら、殆んど同じ人間が或いは同じ地域が霜害を受けているというようなことで、昨年の被害がまだ経済的に回復していないというために、本年の被害による打撃は一層深刻な様相を呈しておる。来年の再生産に事欠くような地域が相当現われているということであります。
次に埼玉県の例にもありますように、予防対策の徹底によりまして相当程度の被害の防止が可能なことであります。今後一層科学的な対策を考究いたしまして或いは予防費の助成等によりまして、我が国の重要産業の一つである桑の生産を促進することができるのではないかと思われるのであります。又品種の改良等によりまして凍霜の悪魔よりこれを救うということも容易であるように見受けられたのであります。被害地帯の去年及び今年の被害の実情を十分検討してもらいまして、試験場とタイアツプして、この霜害を将来何とか解決するという日の一日も早く到来することを我々は願つておるのであります。
以上極めて簡単でありますが、御報告申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/5
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006・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 次に第二班の関根委員から御報告を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/6
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007・関根久藏
○関根久藏君 第二班は鈴木委員と私と宮出調査員と栃木県下の被害状況を見て参つたのであります。栃木県は昨年も凍霜害にかかりまして、又冷害で稲も被害を受けた県であります。農家経済が相当痛めつけられていたところへ、今年も又凍霜害を受けましたので、精神的にも大きな打撃を受けているようであります。昨年も被害を受けたので今年も十分手配をしていたようでありますが、四月以来天候不順で、四月十日、二十一日、二十八日と結霜を見たのでありますが、特に二十八日の降霜は被害甚大で、県北養蚕地帯の桑園に殆んど全滅に近い被害を受けたようであります。その地表類、馬鈴薯、果樹、煙草、大麻等もそれぞれ被害を受けたようでありますが、降霜が比較的早い時期であつたので、その後若干回復を見たようであります。ただ麦はその後五月十日の強風で腰折れができ、県北畑作地帯では若干被害が増しているようであります。従つて県下全体で見ますと、農作物の総被害額一億六千万円と発表しておりまして、昨年に比較すれば、被害面積も被害額も小さいのでありますが、今年の被害は、昨年の被害の最もひどかつた県北の畑作地帯に局部的に集中し、而も昨年以上の被害を受けておるところに特徴があるのでありまして、これらの地帯の農家に対しましては、真にお気の毒に堪えない次第であります。元来この県は畑作、養蚕の比重が比較的高いのでありますが、連年の凍霜害で農家経済が窮迫し、県各種農業団体の調査を総合してみましても、農業手形の貸出は昨年よりも十五億増加し、二十八億を超え、逆に農協の預金は十億減、農家の負債は増加しておるようであります。又農家経済の赤字も増加し、昭和二十八年度農家経済調査の速報では、赤字が二万円を超えておるとのことであります。
県の調査によりますと、県下二千町歩の桑園中、六百二十三町歩が三割以上の被害を受け、そのため掃立不能二万一千グラムに達し、東北の塩那地方では九〇%が春蚕が飼えない事情に置かれております。従つて県では被害桑樹の樹勢回復のために取りあえず速効肥料を農家に配布し、これが融資の斡旋と利子補給を行うよう県議会農務委員会で決定し、これが対策に乗り出しておるようであります。昨年の凍霜害対策には、若干の批判もあつたようでありますが、この災害連続発生地帯で、昨年以上の被害を受けておる地帯に対しましては、昨年の例もありますし、又本年も特別に助成、援助をお願いしたいとの強い要望が出ております。又例年のことながら、被害農家の共済金の仮払につきましても、早急に係数の整理に努力しているから、成るべく早く支払われるよう特段の御配慮を煩わしたいとの、これ又強い要望が出ておつたのであります。
以上が県庁でお聞きいたしました県下の被害状況でありますが、直ちに県庁を辞して、被害の最も激甚でありました県北那須郡狩野村役場に参りました。ここで狩野村、西那須野町の被害状況を、或いは村長から、或いは養蚕組合長等から伺いました。狩野村の被害を申上げますと、桑園被害最も大きく、桑園四十九町歩中四十町歩が収穫皆無となり、三千グラムの蚕の掃立見込量が僅か二十グラムしか掃立できず、他は蚕種を種屋のほうに返してしまつたという実情であります。被害桑樹は刈取つてしまつたが、春蚕で失敗いたしますと、煙草等の関係で、夏秋産の増産では絶対に取戻すことができないようであります。連続二年の凍霜害で養蚕農家の疲弊は極めて著しく、増産意欲が極めて鎖沈しておるのであります。なお、五月九日、十日両日の強風によりまして、「なたね」、麦類の葉茎の腰折れによる被害がありました。特に茎の太い大麦の被害が著しく、作付面積二百町歩中六十町歩が収穫皆無と同様の被害を受けておる。その他果樹、特に「ぶどう」の被害が甚大であります。こういう状況でありまして、誠に同情に堪えないものがあります。又西那須野町では、一、桑園九十町五反中七十五町五反が収穫皆無で、掃立見込七千グラム中六千八百グラムが掃立不能となつた。二、この被害は桑葉のみについて見ても三百三十八万円に上つている。三、この村も二年、三年の連続的被害を受けたが、今年のように春蚕全滅というのは古老に聞いても知らないと言つているのであります。こののち役場の係員の案内により、西那須野、狩野及び塩谷郡箒根の各町村の被害地を見て廻りました。この地方は明治初年からの開拓地で、入植後六十年の年月を経ているものもあるようでありますが、小石混りの火山灰土で、水田、畑共に生産力が低く、被害を受けていない農作物を見ても気の毒なほど貧弱で、那須用水によつて開けた水田でも反二、三俵の収穫しかなく、十年七石と言われております。桑園は群馬、埼玉のように集団的でなく散在しており、而も殆んど刈取られてしまつているので、それらの跡を見て廻つたのでありますが、たまに被害を受けていない桑樹がありましても、極めて生育が悪く、このような悪条件と闘つて育てた桑が収穫皆無となつているだけに、一層哀れをとどめているのを感じた次第であります。
第二日は、地元の横川、戸叶両委員の参加を得まして、高林、那須の両村を現地調査いたしました。高林村は那須平原中央部の畑作地帯で、一面の平地林の中に開拓地が散在しており、煙草、小麦、馬鈴薯、養蚕、「しいたけ」等を特産としている村であります。村の被害状況は、一、養蚕農家百四十戸の大部分が蚕種用の種繭を生産しているが、四月二十八日の霜害で桑が全滅となり、三千グムラの掃立見込量が二百五十グラムしか掃立できなかつた。三、種繭の関係上、又煙草作と競合するので、春蚕の違作を夏秋蚕で取返し得ない実情にある。三、六百町歩は共済組合に入つているが、加入していない開拓地の被害が甚大である。四、五月十日の風害による大麦の腰折れの被害が特に甚だしいのであります。一行は那珂川上流の亀山部落まで入つて被害現地を視察し、次いで那須村に参り、陸羽街道を福島県境まで北上して調査したのであります。那須村は学校が十二もあるという広い村で、農家戸数一千九百二十五戸、養蚕を副業とした農業によつて生計を立てているのでありますが、桑園の九〇%は被害を受け、二千グラムが掃立を放棄したと言われ、農家経済上深刻な打撃を受けているようであります。
以上、現地調査の大要を申述べましたが、栃木県下の被害状況を視察し、結論として申述べたい点は次のようであります。即ち一、県下の調査によつて見ましても、昨年に比し面積は小さいが、局部的には昨年以上の被害を集中的に受けている。二、而もそれらの被害農家は昨年と連続して被害を受けている。三、従つて昨年の凍霜害対策については、便乗等の批判もありましたが、そのためこれら連続的、集中的に被害を受け、真に疲労困憊している農家の救済を等閑に附してはならないということであります。なお、これら被害常襲地帯の農家に対しては、補助、助成と共に、単に養蚕、耕種を中心とした営農指導のみならず、原野を利用し、酪農その他有畜営農の積極的指導奨励が一層必要ではないかと痛感した次第であります。
以上、御報告を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/7
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008・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 有難うございました。只今の御報告につきまして何か御質疑ありませんか……。なお、農林省の統計調査部の作物統計課長と農林統計課長も見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/8
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009・北勝太郎
○北勝太郎君 防禦の方法を講じられたというが、どういう方法を講じられたのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/9
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010・上林忠次
○上林忠次君 技術的な方法が多いのでありまして、桑の枝条を横伏せにたたみ込みまして、その上へこもをきせるというような方法、又昔からやつておりまする立つたままでそこをこもで被せて行くというようなもの、それから燻煙の方法ですが、燻煙も落葉をくゆらす方法のほかに重油を焚く、一町歩に十カ所、十五カ所という工合に重油を焚いて、この熱と煙で霜を防除するというようなこと、又水をうね間に撒くというような方法、そういうような方法が主な点であります。去年も凍霜害に対しまして相当な研究費が出ておりますが、試験場でも相当研究しておるらしいのであります。併しながら、今年やつておりますのは、この程度の昔から行われている方法が主であつたのであります。原子力の時代もやつて参つておりまして、これが一般の産業に応用されるということ、又ホルモン剤の最近の発達、こういうようなことで相当零度以下に下げない、零度より一度でも半度でも高かつたらこれが防げる。而もそれを適当な時間にタイムリーにうまくやつて行くというような防除の方法の完成を見ますならば、案外この霜害というものも、私たちは四、五年のうちに霧消するのじやないかというような期待も持つておりまして、山地を廻ります際に民間の連中に話したのでありますが、大体霜の害というのは道があるので、大体低いところ、それから高台のところ、低い実地、高度の高いところというようなところが多いのでありまして、この冷い空気が動くところは非常に被害が少いというような、普通のこれは常識でありますが、今年の被害の状況、又去年の状況と同じような地帯がやられているというところから、何かいい示唆があるのじやないか、試験場でもいろいろ防除法には研究をしておる最中でありますが、この試験の効果を早く上げるために、現地の今年の実情を十分検討してもらつていい暗示を、サゼシヨンを試験場に与えるように、そして業者と試験場と提携しながら、この霜害の防除法を早く完成するということにしなければいかんじやないかということを話して参つたのであります。防除法はそういうような簡単な今の防除法であります。併しながら、ちよいちよい話を聞いておりますと、堆肥を余計やるということが一つの防除の大きな効果的な方策で、それからやはり燐酸、加里肥料を余計やつたところは被害が少い、同じ地帯であつても被害が少いというようなことを言つております。又或る人はオートジヤイロを使つて冷い空気を動かすというなら、これ又一つの防除法じやないかというようなことをサゼストする人もあつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/10
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011・北勝太郎
○北勝太郎君 燻煙の経過はどんなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/11
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012・上林忠次
○上林忠次君 燻煙は相当効果を挙げております。燻煙したところと、してないところと比較した畑がありましたが、燻煙は大体夜中の二時頃からやるというようなことを言つておりますが、大体温度の低下状態を見ながら零度に近付いて来る間ぎわにやる。余り早くからやつても空気が動いてしまいますから効果的でない。県なら県の各地帯の温度の状況を見ながら、何時頃が危いという温度の限界を見定めてスタートする。火を焚くというようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/12
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013・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/13
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014・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。それではこの霜害の点につきましては、先程の御懇談のような線で申入をいたしたいと存じます。なお、北海道中心の暴風雨の災害等もございますので、これにつきましても、農林省の調査或いはできれば衆議院の現地調査の報告等も聞きまして、これにつきましても適宜な申入をすることにいたしまして御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/14
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015・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、さように決定いたします。これで休憩いたします…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/15
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016・河野謙三
○河野謙三君 ちよつとその前に私資料の要求がありますから……。例の酪農振興法案の審議に当つて、私が昨日申上げましたように、まだ現下の餌の問題が片付かないのに、酪農振興法案を審議したくないのでありますけれども、一応資料を要求したいと思いますから、お願いいたします。それは昭和二十五年以降の日本の乳牛の飼育頭数の年度別の調査表並びに牛乳の生産量の年度別の資料、それからこの牛乳の処理機関の処理能力の年度別の調査表、これを私は資料として要求したい。同時に、この目下農林省で計画しておる畜産の増殖計画、これに基いて今後五年の間に乳牛がどれだけ殖えて、それに要する処理能力は一体幾らが必要であるか、これらの点について、一つ至急に畜産局から資料の提出をしてもらいたい。こう考えます。それからもう一つは、資料じやありませんけれども、餌の対策につきまして、農林大臣に私は質疑を試みたいと思いますから、至急本日午後、若しくは明日、農林大臣の出席を一つ委員長から要求して頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/16
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017・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それではこれで休憩をいたします。午後は一時半から再開いたします。
午後零時三十分休憩
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午後二時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/17
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018・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それでは休憩前に引続きまして、委員会を再開いたします。
先ず、臨時硫安需給安定法案を議題といたしまして、最初に昨日通商産業省及び日本開発銀行から提出されました硫安コストに関する資料について御質問を願いたいと存じます。
本件の処理について、通商産業省及び日本開発銀行から秘密会の要求がございますので、秘密会にいたしたいと存じまするが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/18
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019・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認めます。それでは只今から秘密会に入ります。国会議員、参考人、政府関係者、事務担当者及び農林委員秘審以外のかたは御退場を願います。
午後二時九分秘密会に移る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/19
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020・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 本日は参考人として日本開発銀行竹俣審査部長の出席を得ております。なお政府側からは、只今のところ農林省農林経済局長、通商産業省企業局長、同じく軽工業局長、説明員として農林省肥料課長、通商産業省化学肥料部長が出席をせられております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/20
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021・江田三郎
○江田三郎君 先ず開発銀行のお方にお尋ねしますが、この開発銀行から金を借りるときには、一体申込に附ける書類というようなものは、およそこれこれのものがなければならんというようなきまりはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/21
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022・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 一応内容的に申上げますれば、貸借対照表、損益計算書といつたような、そういう考課表でございますね、これを大体できれば二年分か、三年分くらい頂戴いたしたい。そのほか申込のところが大抵事業会社でございますから、事業会社の規模と言いますか、或いは設備の内容といつたようなもの、従つてそれの設備を更にこういうふうに更新したい、ああいうふうに更新したいといつたようなことがございますから、新らしい企業の計画といつたようなことを頂きたいというようなことを申上げるのでございますが、これは必ずしも四角四面に申上げているわけじやありませんので、場合によつては近く増資をおやりになるとか、或いは社債を発行されたりいたしますと、増資目論見書或いは社債発行目論見書といつたものができます。従つてそういうもので代替いたしても結構でございますという言い方をしておりますが、世に言われております増資目論見書に書いてあるような項目を一応お尋ねするということになつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/22
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023・江田三郎
○江田三郎君 それで合理化資金を借りるときに合理化計画が出されているわけですが、この合理化計画というものは別にこれこれのテーマについてといつたようなことでなしに、何でもいい、借りたいものが勝手に考えた合理化計画でいいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/23
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024・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 実は私どものほうとすれば、成るべく詳しいものを頂戴したいのでございますが、必ずしも私どもの要求に合つたものが出て来ない場合が多いのでございます。従いまして、その足りないところは止むを得ませんのでございますから、相手の会社のかたに御説明をして頂く、或いは現場に伺つていろいろ実情を知らせて頂くということでございますから、そういつたことで以て補わせて頂くといつたような方法を大体はとつております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/24
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025・江田三郎
○江田三郎君 金を貸すほうにしては誠に親切な態度で、我々もそういう金を貸して頂くと有難いのですが、それでこの計画書を見て行きますというと、原価の全然ないものでざいますが、原価の出ているのもあります。そこでこの原価の出ていないものについては、あなた方のほうで今おつしやつたような親切に現場へ出向かれ、或いはその他誠に親切に応待をされて調べられると、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/25
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026・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 大体そう御想像頂いて結構なんでございますが、実はこの前たしか河野委員からお話がございましたような、どうも国家銀行でもごつ過ぎて業者が泣いているといつたような風評もあるといつたようなお話もございましたのですが、これは小林総裁の方針でもございまして、国家銀行ではあるけれども、成るべく親切にやれ、併し場合によりましては、何と言いますか、融資をお出しできるのか、ないのかといつたような、かなり大きなきめ手になります場合には、是非そういつた点をお教え願えないだろうかといつたようなことで多少強く申上げることがあり得るのでございます。例えて申上げますと、比較的最近にできた会社、例えばアプレの会社でありますと、何十年という実績がございません。従つて例えば原価の問題なんかにつきましても、結局その原価の如何といつたようなことまできめ手になる場合もございまするけれども、現在今日問題になつております硫安会社というのは、最も新らしいものでも恐らく十数年くらいの経過を経ておりまして、一応業種が固まつておると考えられますので、そういつた点が多少何と言いますか、それが必ずしもきめ手になりませんので、それを非常に厳格にとるということは必ずしもいたしておりません。更に申上げますならば、新らしい業種、例えば新興の企業といつたようなものは、かなり甲の会社と乙の会社とにおいて原価に非常な差があると思います。ところが非常に古い産業、例えて言えば味噌、醤油といつたようなもの、或いは肥料工場も大体それに当るかと思いますが、そういうものは大体において甲会社、乙会社というものにおいてもそう大きな懸隔は出て来ていないと私は大体見てよろしいと思いますが、従いまして、そういう場合には新興会社或いはその新らしい業種の会社に対して、原価をきびしく見なければ融資の判定が付かないという場合に比べまして、付きやすいわけでございますので、とことんまで原価の価格そのものを調べて行くのでございますれば大いにやらなければなりませんが、必ずしもそうでございませんので、私どもの調べそのものがすぐ直接にお役に立つかどうかという点については若干の疑問を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/26
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027・江田三郎
○江田三郎君 それでここに出された資料で見ますというと、例えば新日本窒素、日本水素、東北肥料、こんなのはこの中で一応原価というのが出ておる。ところがその他の三社については出ていないわけでございます。そこでこの間、この一枚刷りのやつをもらいましたが、これで行きますというと、最低が—————、最高は—————ということになる。—————というのは、恐らく新日本窒素のところぐらいに当るんだろうと想像するんですが、それはいいですが、————というような原価であれば一体幾らで売つたらいいのかということが問題になるわけです。或いは—————の分でも幾らで売つたらこの会社というものは採算がとれて行くかということが問題になるわけです。この前あなたにそのことをお尋ねしたらば、はつきりした答えがなかつたのですが、その後私の欠席した委員会、五月七日の委員会で、あなたの速記録を読みますと、二万二千数百円の原価ということだが、併し二十七年の肥料年度のこれらの会社は一社だけが二万三千円で売つているが、あとはいずれも二万三千円以上で売つておるから十分利益があるんだということですが、成るほど平均的に、平均的にというのはこれはおかしいですよ、この説明は……。この二万三千円以上というならこれは又問題だ。あなたのほうの以上とか、数百円とかいうような漠然とした数字を使われますと困りますが、————というと「かます」当り————になる。一体二万二千数百円というものは、二万三千円で売つた場合に配当したり、社内留保する金はどこから出るかということが問題になる。そういうことは別にして、—————とか、—————とかいう単価は、昭和二十七肥料年度は幾らで売つたらこの会社は赤字を出さんでやつて行けるかということは、我々としては非常に奇妙に思うのです。誠にこう、どういう計算をしてあんな大きな配当をしているのかわからない。そこでこの原価のない別府、或いは昭電、或いは東洋高圧、世評では昭電、東洋高圧はなかなか立派な会社ですが、別府あたりはなかなかそうでないような我々噂さを聞くわけですが、そういう会社に金を貸すのはいいけれども、その金を貸した、その貸した金が合理化に使われて、例えば原単位の単価が下つたところで、併しながら、その間一体この会社というものはどうやつて経営を続けて行くのかということは我々として非常に疑問に思うわけですが、あなたのほうは誠に親切な立場で金を貸されて、別にそういうことは疑問になさらないで、すらすらと金をお貸しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/27
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028・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 秘密会でございますからはつきり会社名を申上げましてもよろしいのでありますが、只今江田委員の御質問の—————になつておるかどうかとおつしやられましたが、この前にも申上げましたように、ここに出ておりまする原価は、二十七年度上下通算の原価でございます。従いまして、二十七年度上下通算のその一年間の間におきまして、一体幾らに売れておるかということを具体的に申上げましたならば、その御疑問は解消して頂けるのではないかと思いまして申上げますが、この表のAというところに—————というところに対しまして、これは売上は平均八百九十三円、それからその次が————の原価という、これはメーカーの申入でございますが、それに対して現実的に売れております実績は八百七十一円「かます」当り見ております。それからCは八百八十四円、Dは八百八十三円、Eは八百八十五円、最後のやつは八百八十二円で実績として売れております。従いまして、ここに或る程度のマージン、非常に大きなマージンとは必ずしも思いませんが、そうなつております。従いまして、今御疑問のようなことを私ども当然逆鞘というか、そのマイナスを続けて行くような会社、而も末の見通しのないところに、そのまま大切な国家資金を、或いは無駄にしてしまう虞れもございますので、そういつた点は当然考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/28
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029・江田三郎
○江田三郎君 この際ちよつと通産省の柿手さんにお尋ねしますが、通産省のほうでから、この前硫安の原価償却、生産原価という二枚の資料を頂いたわけですが、そのときに愛知通産大臣も見えておりましたが、生産費というものは生産原価プラス適正利潤であるかと、こういう質問をしましたら、愛知通産大臣はその通りだ、これはこう答えられた。そこでその適正利潤というものは一体「かます」当りにするとどの程度になるのかと、こういうことを聞きましたら、それに対して柿手部長のほうで、一割五分配当の場合には社内留保、配当金等を入れて、この「かます」当り四十一円くらいになる、二割の場合には「かます」当り五十五円になる、こういうふうな説明がありましたが、この説明は速記録にも載つておりますが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/29
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030・柿手操六
○説明員(柿手操六君) この硫安工業の適正利潤が幾らが妥当であるかということにつきましては、いろいろな経済情勢その他の点から俄かに私が結論をすることはむずかしいのでありますけれども、お話のように、仮に現在の硫安会社の資本の構成の内容、それから現在の税法、それから通常の積立金をしております積立金の率というようなものを前提にして、一割五歩配当をする場合、二割配当する場合の利潤の所要額を計算をいたしまして、又生産量も現在の生産量というものを元にして割当ててみると、大体一割五歩配当の場合四十一円、二割配当をする場合に五十五円ということになる、こういうことを申上げたのであります。これが適正な利潤であるかどうかということにつきましては、これはいろいろなことがありますが、仮定として申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/30
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031・江田三郎
○江田三郎君 そこで、まあその際大体肥料関係十四社の総資本が百三十五億円であつて、そのうち硫安関係の資本が五十三億円と推定をすると、こういう前提の上に立つてその説明ができたわけですから、比較的この計算は精密にやつておられると思うのです。それでそうなると、この一割五分配当が適正か、二割配当が適正かということはこれは議論があります。併しながら、最近の硫安関係の会社の考課状、或いは決算報告を見ますと、おおむね一割五分から二割五分の配当をやつておるわけなんです。そうしますと、少くとも「かます」当り一割五分の場合は四十一円、或いは二割の場合が五十五円、二割五分の場合がもつとたくさん、そういうものが加算されたもので売れておらなければ、この会社の経営は非常に不健全だということになるのですが、今の開発銀行のおかたのお答えでみますというと、Bの場合の————が八百七十一円に売れ、Cの——————が八百八十四円に売れておるというあたりは、成るほどそれで計算が立つかも知れませんが、Aの—————が八百九十三円に売れて鞘が僅かに—円、—————が八百八十三円に売れ、或いは—————が八百八十五円、—————が八百八十二円という鞘では、この経営というものは非常にあやしげな経営ということになりますが、そういう疑問は持たれたことはございませんか。それとも柿手さんの言われることが間違いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/31
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032・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) ABCに出ておりますのは、私どもの主観と言いますか、判断を交えないで会社の出した数字を書いて来いというお話でございましたので、実は前に書きつけてAが—————と出ておりまするが、私どもの見方では大体それが———くらい、低いところの—————見当であろうといつたような押え方をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/32
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033・江田三郎
○江田三郎君 それでは一つの例がそこに出ましたから、私ももう少しはつきりお尋ねしますが、それではこの会社側が申出た数字をそのままやつているのだということになれば、あなたのほうが金を貸すお立場から国民の金を無駄にしないで、そういう立場から金を貸すに当つては一体生産費というものはあなたのほうの推定ではどうなつておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/33
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034・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 申上げましよう。これは先ほどから出ておりまするように、かなりコストもむずかしうございまするし、私のほうが価格そのものを調べておるのでございませんから、必ずしも精密ではございませんが、併し一応の心覚えがなければ、今の御質問のようにおよその構想もできないわけでございます。従いまして、Aの場合は——————見当、Bの場合ですね、それは——————見当ではないかというふうに考えましたし、三番目は大体———見当であろう、それから四番目が、これは少し殖えまして——————くらいかかつておるのじやなかろうか、それからその次の五番目が—————くらいではないだろうか、一番最後は——————じやないだろうかといつたような、およその押えはいたしております。併しこれは私どもの一つの心覚えでございまして、お断わりいたしますが、対外的にと言いまするか、これこれこうだという、先ほど言いましたように全部のものが細かい資料が出ておるわけではございませんので、或る部分は勘で、或いは腰だめ的に抑えている部分もございますので、十二分の御説明ということは或いは困難かと思いますが、私どもが長年企業の審査に当つておりまする勘から言いますると、先ずこんなところではないだろうかということでございますから、申上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/34
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035・江田三郎
○江田三郎君 ——————としましてもですよ、この会社が果して具体的にどういう会社であるか、私どもまだ知らされておりませんから、従つてこの会社の配当率が幾らであるかということもわかりませんが、それにしても非常に危い、そういう、どう考えても常識的にはそうたくさんの配当ができるように思われませんが、あなたのほうでは、現在あなた方は国民の金を貸している肥料会社あたりの配当の状態というものは、これは適正だとお認めになつていますか。勿論考えなければならないのはですよ、このほかに輸出硫安というものがあるわけですよ。今の販売価格で売れない輸出硫安というものがあるはずですよ。輸出硫安というものは出血ということが宣伝されているはずですよ。どうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/35
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036・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 非常に余裕を持つてやつておるとは私ども思つておりません。かなりつらいところであろうと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/36
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037・江田三郎
○江田三郎君 だから、この今のあなたの推定された原価と販売価格だけ見ても、どうもその中には非常に儲かり過ぎているのもありますけれども、そうでないものもあるわけです。そして若しそういう窮屈な会社が輸出硫安によつて宣伝するがごとく大変な出血をしておるということになると、この会社の経営というものは非常に不安定なものだと、貸した金が返るかどうかそれはわからんと、こういうことに結論が理論的には当然私はなると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/37
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038・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 一応お説の通りでございまするが、実はこの前御欠席のときにも若干御説明申上げたのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/38
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039・江田三郎
○江田三郎君 そのときの議事録は全部読みました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/39
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040・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 償却の問題もお読み頂きましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/40
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041・江田三郎
○江田三郎君 読みました。それを読みまして、私今の説明並びに議事録を読んだ限りにおいては納得ができませんが、ほかの委員もおられますから、私次の問題に飛んで行きますが、二十七年の年間を通じての生産原価がこういうことだということですが、その後二十八肥料年度においては、大体においてこの数字はどういう工合になつていると思われますか。具体的に何円ということでなしに、大ざつぱに言うて、この二十七年、年間を通じての生産原価と二十八肥料年度における生産原価とはどういう違いがあるというふうに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/41
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042・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 率直に申上げまして、実は本格的な調査というのはその後いたしておりませんが、私ども専門家の立場からいたしますれば、当然その後炭価の値下り、或いは硫化鉱の変動といつたようなことがございまするので、当然下押をしているであろうというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/42
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043・江田三郎
○江田三郎君 そこで肥料の市価を見ると、二十七肥料年度の八月が九百十三円、それが二十八肥料年度の最初が八百六十二円、現在の実勢価格が八百三、四十円、こういうことでしようが、こういうように販売価格が下つたのと即応して、肥料の原価というのは下つているというふうにお認めになりますか。若しそうでなければ、肥料の販売価格が下つて、それに釣合うように生産費が下つていないというふうな、これらの会社は一層不健全な経営に落込んでいるということになるのですが、その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/43
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044・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 実は調べておりませんので、勘で申上げるより仕方がございませんが、恐らく私どもの勘では、二十七年のときにあつた幅よりは狭まつていると思います。江田さんのおつしやる通り、その限りでは不健全な形が出始めておるということであろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/44
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045・江田三郎
○江田三郎君 これはすべて金を貸すという人はどこでも非常にそういう点きびしいですから、その勘というのはよく当ると思うのです。そうでなければ、あなたのほうで金を貸してもらつては困るのですから、ほかの金とは違うのですから、我々が払つている金ですから……。そこでちよつと幅が縮小しておるというのは考えられるが、併し今の実勢価格と今の生産原価とを以てしても、最近発表された各社の配当率から言つて、これが別にたこ配当にはなつていないと、こういうふうなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/45
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046・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) たこ配になつているとは考えておりませんが、金融業者から申しますると、たこ配なんていうのは言語道断でございますが、そのほかに相当量の内部留保といつたようなものが本当はなければならないと考えております。併しそういうものが極めて少くなつておるというふうに私どもは憂慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/46
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047・江田三郎
○江田三郎君 通産省のほうにお尋ねいたしますが、これらの資料というものは、勿論通産省でも開銀のほうでやるだけでなしに、通産省にもある、或いはないと言われても、少くとも目は通しておられる。そうして通産省のほうは通産省のほうで、又専門的な立場でいろいろ調べになつたわけです。そこで今開発銀行のほうから言われるように、二十七年度の生産費と販売価格、二十八年度の販売価格が非常に下つた場合に、多少不健全になつてもそれに即応しているところの生産原価、そういうようなものから行けば、少くとも二十七、二十八肥料年度の相場から行くと相当生産原価というのは下つておらなければ勘定が合わんわけです。あなた方がこの前配られた二十八年度の生産原価は、やはり開銀発行と同じような認識を持たれてこの数字をお作りになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/47
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048・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 私のほうは先般御提出いたしました六社の試算は、開発銀行で先般一枚の小さい紙の、今審査部長から御説明がありました資料とは実は無関係に、昨年の夏頃開銀融資を推薦いたします場合に私のほうで試算をいたしたものでありまして、二十七年度の資料に基いて作つたものではないのであります。去年の開銀融資を推薦するときに私どもの手許でいろいろなデーターを、生産数量も大体二十八年の電力の割当計画から、このくらいは二十八年度にできるだろうというような操業度も推定いたしまして、その当時のいろいろな物価も大体推定をいたしました。会社からもいろいろ説明を聞きまして、そうして大体こういう生産費になるだろうということを推定いたしたのであります。今の開発銀行でお出しになつた、二十七年度の会社が出したというふうなデーターは私どものほうでは持つておらないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/48
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049・江田三郎
○江田三郎君 持つておらんということを一遍言われたから最後までそう言わなければならんということもありますから。その問題は追及しませんが、一つ嘘を言うと次々嘘を言わなければならん、これはしようがない。それはよろしいが、ともかく二十七肥料年度の初めに卸相場九百十三円であつたものが、二十八肥料年度の八月には八百六十二円、五十円下つているわけです。それで二十七年の開発銀行はこういう数字を出されたわけです。これは二十七年度の年間の数字だと言つて出されたわけです。そうすると、あなたのほうで出される二十八年度の数字というものは、どういうような手続で調べられたにしろ、若し本当に科学的におやりになつているということなら、少くとも我々としてはこの開発銀行の出された一枚刷りと、あなたのほうで出された一枚刷りとでは、あなたのほうのは相当下つた数字が出されなければ勘定が合わんわけです。ところがどうも比べてみると、そう大して下つていないということになるので、若し二十八年度のこの生産原価があなたの出されたこういう数字になり、そうして柿手さん自身お認めになりましたように、一割五分配当をする場合には幾ら、二割配当をする場合には幾らという社内留保の「かます」当りの掛りを考えて行くと、これは全く肥料会社というものはとんでもない経営をやつているということになつてしまいますよ。あなた方が金を貸すのではありません。金を貸すのではありませんけれども、あなた方はやはり肥料では適正な価格の指導をやつておられるでしよう。そうして今度はこういう法案を出して来られたのです。この法案が通過すれば、又大幅な非常に多額の資金をこの硫安会社へ合理化資金として貸さなければならないということ、貸すべきだということをあなた方は言つておられるでしよう。そういう立場にありながら、かような数字が出て来るということはどうも私たちとしては納得できない。或いはこれが作業のミスであるならそれはいいですけれども、どうも今の開発銀行の説明と通産省の説明との間には一致点を見出せない。納得ができないものがありますが、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/49
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050・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 只今御指摘の点は、開発銀行でお調べになつたコストは二十七年の年間のものである。私のほうの先般御説明いたしましたものは、去年の夏の状況における原価であるのであります。そうすると、二十七年全体の平均と二十八年の夏頃の状況とでは、私のほうの資料は下つているけれども、下り方が足らないじやないかという御質問でありますが、御指摘の通り、結果から見ればその通りであります。でありますから、私の意見を申しますと、現在は相当下つておると思うのです。石炭にしましても、その他にしましても、相当に去年の夏頃から急速に下りましたから、そうでありますが、去年の夏頃の推定は相当各社につきまして、帳簿を見たわけではありませんけれども、工事の内容について各社の担当者と私どもの係員とがしばしばヒヤリングをやりました。そういうような内容も直接聞いておるのであります。今開発銀行の資料と私のほうの資料との差が少な過ぎるという点については、もう少し、物価の値下りがあつただろうということは、私もそういうふうに考えますけれども、これでどこがそれでは間違いがあるかというような点につきまして、ここですぐ御説明をすることは私どもも基礎がありませんし、それから開発銀行でお調べになつた内容についても存じませんので、説明は非常に困難でございますけれども、感想としては少し差が少な過ぎるということは認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/50
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051・江田三郎
○江田三郎君 この資料というものは、これは私柿手さんばかり責めるのじやないのです。一体この資料はどういう経過を辿つて出て来たかということです。我々はこの生産原価の資料提出を求めたところが、政府は出さなかつた。新らしい国会になつて初めて前例を作つたのです、出さないという前例を……。それで我々は本会議でも問題にしたのです。議運でも問題にしたのです。そういう経過を辿つて政府のほうが参議院に宛てた回答をもう一遍訂正をされて、そうしてこの資料というものをわざわざ大臣が出席されて出されたのです。そこで私どもは、この資料というものを非常に重要視しておるわけです。然るに今のお答えで行きますというと、この資料というものは、いろいろ注釈を付ければ注釈は付こうが、少くとも昭和二十八年度のこの開銀融資対象工場の生産原価の資料として出されておる限りは、非常に不適正な資料だという断定を下さなければなりません。その点は局長のほうはどうお考えになりますか。我々がこういう資料を元にしてこの法案を審議していいのかどうか、どうでしよう。これは柿手さんでなしに、大臣がおれば大臣に聞きたいのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/51
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052・中村辰五郎
○政府委員(中村辰五郎君) 御答弁申上げますが、生産コストの問題につきまして、通産省としまして、肥料政策をやりまする場合に非常に大事なポイントでございまして、特に輸出価格におきまして国内価格と著しく違つたような輸出をいたしますような情勢になりましたので、通産省としましては、これらの二重価格を解決する方策ということを、或いは肥料対策委員会その他政府部内でも検討いたしまして、何とか生産コストを正確につかみたい。こういう気持で進んで参つたのでありまするが、一応自由主義経済を前提といたします今日の段階で、法的な根拠がございませんと、なかなか目的通りの資料を確保できないのでございまして、止むを得ず肥料部におきまして専門的な技術官が、或いは事務官が、業者の意見その他の検討を加えまして、我々の事務的な参考になりますと一応のコストの推定というのをいたして参つたのでございます。その推定が先般当委員会において御答弁申上げた説明資料でございまして、只今のような、非常にこの資料につきましての不完備だという点についての御指摘がございましたが、私たちの立場からいたしますると、肥料部におきまして特に努力して一応推定して参つた資料でございまして、勿論この資料につきましては、私どもといたしましては、更に強権的な強い、例えば臨検検査或いは帳簿の強制的な意味においての見るというような検査乃至は報告の常時強制報告を出させる。こういうような非常に幅広な計画的な、又時間的に申しましても、相当長い目で見ました継続的変化を見ませんと、コストの実態をつかめませんので、そういう意味合におきまして立法をいたしましてこれらの問題を解決したい、こういう結論に到達しておるのでございまして、私どもとしては、できるだけの努力をいたしまして、資料の提出並びにこれの説明に当つておる次第でございます。でき得ますれば、このような重大な問題につきましては、国家の制度として一年とか、一回限りというような調査でなしに、数年に亙り継続的調査によつて実態を把握して、誤まりのない肥料政策を推進して参りたい、こういう考えでございます。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/52
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053・江田三郎
○江田三郎君 その弁明は私は要らないと思うのです。これが本法案を審議するのに、あなた方のほうで適当な資料だとお考えになつて出されたというならそれでいいのです。それなら我々はここから計算して見て、一体この法案が通つた暁の最高価格は幾らになるかということを判断するのです。それとも適当でない数字だというなら、それで又考え直さなければならん、弁明は要らんのです。それでなお申しますけれども、この法案が通つたら調査ができるようなことを言われますけれども、一体法案が通つて臨検検査をやつたところで、資料の提出を法的に求めたところで、どこまで正直なところがわかるかということです。あなた方法案が通つたら、通つたらということを言われるけれども、法案が通つたら大変手足ができる、大変な権限ができるということを言われるけれども、今度の定員で、この法案が通つたときに何人の人をこれに殖やそうとしているのか、何人の人を使つてそういうことができると思つているか、我々はそれによつて大きな違いはないと思う。つまり今の通産省の態度であつて、いわゆる通産省に関する限りは妥当な適切な資料であるとお考えになるなら、それだけのことを聞かして頂けばいいのであつて弁明は要りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/53
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054・中村辰五郎
○政府委員(中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、私たちといたしましても、只今縷々申しましたような事情の下にできましたものでございまして、これが妥当なものであると、こう断定し得ないのでございます。ただこれを前提といたしまして、今後にどういう肥料政策を行うかということにもとより私たちとしては専心努力して参りたいと考えております。なお現在の人員につきまして御指摘がございましたが、私のほうとしましては、人員についての増員は考えておりません。安定法に明言してございますように、農林通産両省の共管で、共同一致してこの実態を把握するという態勢にいたした点が従来と非常に違つた点でございまして、勿論これに農林省側の協力によりまして御期待に副い得るような実態把握を努力して参りたい、こう考えておりまして、現状におきます態勢下でできないことではないかと御推定下さいますが、私のほうとしましては、こういうコストの実態調査と申しますのは、やはり法的な制度というものが加わることによつて、我々公務員は十分に努力できます要素のものが新たに加わるのでございます。その点につきましては、只今の御指摘はございまするが、私たちとしては全力を尽しまして適正なる価格をはつきりいたしたい、こう考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/54
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055・江田三郎
○江田三郎君 通産省のやつておられることに対しては、少くとも今日までの経過については我々はどうも信頼を寄せることができないような結論に到達せざるを得ない。そこで開発のほうにもう一遍お尋ねしますが、この合理化計画のほうも、それからこの一枚刷りのほうも、いずれもメーカーのほうから出された数字をそのまま出したということですが、こちらのほうで見ると、例えば———————という原価が出る。それに見合うものが—————ぐらいだろうと我々は見当を付ける。—————————————というのが出ている。そうすると、————というものを探してみると、Bのところが————だからそうだろうということになつて来る。ところが——————————という計算が出る。ところが————見当のものはこれを見ても出て来ないですよ。これは一体どういうわけですか、一枚刷りのほうには出て来ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/55
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056・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 一枚刷りのほうは—————でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/56
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057・江田三郎
○江田三郎君 ところがこれで見ると—————というようなことが出ておる。この説明資料の三十二頁、現状というところです。そうすると、————————という単価が出て、——————と、こういう工合に出ているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/57
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058・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 御説明申上げますが、これは会社の作つたものでございまするが、硫安原価比較表のところの現状と申しまするのは、これは年間————トン、能力を恐らくこれは理想的に動かしてということであろうかと思います。私の申上げておりますのは、丁度その左の二十一頁のところに書いてございまする————————と出ておりまするが、これが本当の実績である。この—————トンというふうにはできていなかつたはずでございます。量がずつと少いが故に、結局トン当りのコストは高くかかつておるということでございまするので、前に御説明いたしましたように、ABCの一枚刷りのところは、二十七年度上下の大体通算を載せようということ、勿論それはわからん場合には出されたものを載せておりまするが、こういうふうに二つ出ておりまして、こつちは理想的に動かした場合には幾ら、こつちは現実の二十七年度の上、下を通算して幾らということで、それをとつているというようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/58
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059・江田三郎
○江田三郎君 そうすると、回転率がいい場合には———————の場合にはできるというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/59
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060・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) その通りでございますが、なお御質問がございましたので、私又もう一遍見直したのでございますが、そういたしますと、これは恐らく会社のかたも御存じだろうかと思いまするが、これは計算間違いでございまして、この通りを計算をいたしましても、今、江田委員の御質問の———————————————
らというのは、普通に計算いたしますと、——————————ぐらいになるわけでございます。従つて「かます」当りは理想的に計算いたしました場合には———————ぐらいになるんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/60
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061・江田三郎
○江田三郎君 こういう肝心な数字が間違つておつても、それで金が貸してもらえることになると、世の中も大分明るくなつたと思いますが、これはまあ私ばかり質問してもいけませんから、ほかの御質問もありましようから、又皆さんが終つてから通産省にも開銀にも伺います。私は一応これで終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/61
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062・河野謙三
○河野謙三君 開発銀行に伺いたいのですが、頂いた九社の資料を見ますと、いわゆる原価計算の結論の出ておるのは、新日本窒素、東北肥料、日本水素、宇部興産これだけであつて、その他の三社につきましては出ていないですね。私は毎度申しますように、事業効果の認定というものは、現在幾らであつて、この資金をあなたのほうから借りることによつて幾ら下る。そうしてそれから推定して国内の硫安価格というものは幾ら下げ得るということが一番の急所だと思う。この資料には出ておりませんけれども、あなたの手許には今申上げたような三社につきましては、別にあなたのほうで調査なり資料を要求されまして、何か現在のコストを今後引下げ得る価格というものはあるのですか、それを私は伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/62
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063・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 十分なるものはございませんが、およそ私どもが心の中で見当を付けた程度のものはございます。それを申上げましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/63
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064・河野謙三
○河野謙三君 それはあなたのほうの推定も結構でありますが、製造会社からとつたらいいでしよう。当然要求すべき資料でしよう。現にこれだけの会社は出ている。資料が不十分であるということでとられたらいい。おとりになつていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/64
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065・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 御説御尤もだと思います。実は実情を申上げますると、或る会社に行きまして調べようと思つて現場を歩つておる。これは合成塔でございましようかといつたような質問に対しても答えてもらえなかつたというようなことさえ出たような状態でございまして……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/65
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066・江田三郎
○江田三郎君 それはおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/66
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067・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) おつしやる通りおかしいのでございますが、併しそれじやこれは融資しないでよろしいかということを又私は反問いたしました。そのくらいならば一つ断わつてみようか、甚だ軽卒な申上げ方でございますが、そういつたような気持も一部動いたのでございまするが、いろいろまわりから聞いて参りますると、先ほども申上げましたように、長年の事業であり、又業種も社会的にも通つておりまするので、ここに合理化の工事をやつて金を注ぐことが何がしか硫安コストの下るのに役立つことであろうというふうに思い直しまして、手を変え品を変えていろいろ聞き、結局口頭で聞き、或いは向うの帳簿をのぞかしてもらいたい、これは極く秘密なんだから筆記しないで下さいと言われるようなこともあつたくらいでございますが、それはのぞきまして、およその見当を付けたというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/67
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068・河野謙三
○河野謙三君 私は改めて要求しますけれども、この四社につきましても、あなたのほうから他の会社と同じように、原価計算の結論を私のほうへ資料として出して頂きたい。出せますね。私は毎度申上げます。あなたは酢だのこんにやくだのいろいろ言うけれども、そんなことではなくて、あなたたちが硫安工業の合理化のために金を貸す以上は、何と申したつて一番大事な点は、この金を借りることによつて幾ら硫安の値が下るかということですよ。それを忘れて金を貸す理由がない。その大事なことを推定とか、認定とかいうことでは理由にならないですよ。そうでしよう。あんたはまだそんなことをおつしやいますが、見せてもらつたとか、何とか、不見識極まる。開発銀行の使命というものはそんなものじやないですよ。我々が開発銀行として融資の事業をやつてもらつておるのはそういうものじやないですよ。幾ら硫安の値を下げるかということです。それともあなたは、それはどうでもいいことなんですか。私はそうじやないと思う。従つてこの四社についてはとつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/68
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069・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) お説御尤もだと思うのでございまするが、これは相手のあることでございますから、当然こういう御要求があつたということを言いまして、出してくれということは申上げまするが、実は私どものほうに、例えば検察庁におけるがごときそういう権能を頂いておりませんので、果してできるかどうかということをここで自信を以てお答えすることができないということは実に残念でございます。事実そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/69
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070・河野謙三
○河野謙三君 それならばあなたは金を貸す必要はないじやないですか、この金を貸すことによつて幾ら値が下るんだ、それは答えられませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/70
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071・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) そういうことを申上げているのではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/71
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072・河野謙三
○河野謙三君 そうでしよう。あなたのほうへ聞きたいのは、そうでしよう、この金を貸すことによつて幾ら合理化されるのか、硫安が一トン当り幾ら下るのか、ほかの会社では出しておるじやないですか。出さないところについては、これは出してもらわなければ困る、それでも向うが出さないなら、それなら金は貸せない、この金は硫安コストを下げるために貸すのだから、それを出さなければ貸さないと堂々と断わればいい。あなたが断わらないのはおかしい。なぜ断わらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/72
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073・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) お答え申上げまするが、絶対にわからんということではなしに、いろいろな意味で推定は付くわけであります。或いは、それからこの合理化をやれば幾ら下るのかということは、これは勿論いろいろな前提があるかも知れませんが、一応わかるわけであります。例えば常識で、従来はこういうふうに無駄になつておつた。それはこういうふうにして回収する、従つて値段を石炭のほうから計算して参りますれば、硫安トン当り、こういう貸付をやることによつて幾ら下つて来るのだということは一応出て参ります。従いまして、従来のコストがぎりぎりこれこれであるということがわからなければ、合理化の効果が全然絶対出て来ないということであればお説の通りでありまするが、決してそうではございませんで、この工事の効果はこれこれであるということは物理計算に基きまして、それを経済計算に直して出て来るわけであります。従いまして、開発銀行で二十八年度において援助いたしました資金、当然その資金の貸し方、貸す量、それからそこに出て来るところの効果の割合ということは当然秤量いたしまして、多少の、僅かの効果のためにたくさん金を貸すということは当然これは心すべきことでございますが、たまたま今御指摘の会社のような場合には十分そういう採算が成立つ、別の言葉で言えば資金効率が一応認められるというところに対しては一応貸してあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/73
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074・河野謙三
○河野謙三君 いろいろ言れましたが、この四社は出してくれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/74
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075・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 私の手許にはないのです。開発銀行の手許にはございませんので、結局それはメーカーが持つておる。従来私どもは是非知りたくて非常に苦心したのでございまするが、遂に手に入つておりません。私ども持つておるものならおつしやる通りに出せまするが、持つておらんものでありますから、これはどうしたらよろしいか、むしろお尋ね申上げたい次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/75
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076・河野謙三
○河野謙三君 そうすると、従つて要求しても出ない、仕方ないからそれはそれとして、金を貸すのは貸してやる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/76
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077・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) そうおつしやられますと、非常に言葉がまずいのでございますが、現実問題といたしまして、二十七年上下通算原価は大体幾らであるということは、ほかの三社から出ておりまするような、そういう書類によつては出ておりませんが、これはもうさつきから申上げておるわけでございまするが、言葉の上で、或いは現場に参りましたときに帳簿をのぞかして頂いたりいたしまして、およその見当は付けております。従いまして、絶対にないというわけではないので、そういう限りではあり得たわけであります。それをキヤツチする、そういう程度では断わるべきであるか、どうであろうかということは私どもとしては相当煩悶したのであります。併しこれはやはり断わるほうに向けるべきではなくて、やはり貸し出すことが業界のためにも、或いは開発銀行の使命という点から言つても、いろいろな点からいいだろうという最後の判断を下しまして、或る程度限定はいたしておりますが、限定した貸し方をいたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/77
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078・河野謙三
○河野謙三君 あなたが親切にいろいろ言つて下さるのは結構ですが、私はそんな余計なことを聞いているのではない。出ている会社と出ていない会社がある。出ていない会社は作為で出さないのではない、説明資料の作り方において、それは要領が悪かつたと私は解釈してもいいと思う。だから要領よく、現在幾らであつて、この合理化資金によつて幾ら下りますというのが出ていますね。出ている会社がありますね。こういうふうに、ここのところは資料を作り直して来てくれと言えばそれでいいじやありませんか。私はそういうふうに善意に解釈している。製造会社は、この九社のうちで五社も六社もちやんと出している。今幾らで幾ら下つて幾らになる。出していない会社が先ほど申上げたように四つある。こういうふうなところを一つ要領よく資料を作つてもらいたい。こう言うのを私は拒むのはおかしいと思う。或る会社は率先して出した。或る会社は出さない。だから開発銀行のほうで、ここは大事なところだから一つ説明を加えてくれ、それで私はいいと思う。私はそう思う。それについてですよ。ほかのことはよしましよう。あんたのほうで、これをあとの四社についてこういう形式で資料を要求したら作るなんということはわけはない。一時間もかからない。メモで出してもいい、製造会社にあるのだから……。それを明日届けてくれますか、それだけ答えて下さい。酢だのこんにやくだのはやめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/78
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079・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 相手が承諾してくれれば勿論お出ししてもよろしいのですが、果して私どもにそれの力があるかどうかわかりませんので、自信を以て今お答えすることができないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/79
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080・河野謙三
○河野謙三君 幾度も言いますがね。それでは一体あんたは、例えばここに出していないところの、東洋高圧とか、別府化学、日産化学、昭和電工、四社ある。この要求資料の出ていない四社、この中ですでに融資を決定しちやつたのがある。日産化学はこれからだ。この会社で幾ら下るのかわからないままで貸しますか。幾ら下るのだかわからないで出しますか。あんたの推定なんということは余計なことだ。会社に対して、これによつて幾ら下るかということを、ほかの会社がやつているように出さしたらいいじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/80
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081・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) これらの問題は今後はこの委員会でいろいろお教え頂きましたので、当然とるようにいたしまするし、とれなかつた場合にはお断わりいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/81
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082・河野謙三
○河野謙三君 それは一つ明日までにできるだけとつて出して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/82
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083・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 要求はいたしますが、保証はちよつとできないのでありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/83
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084・河野謙三
○河野謙三君 要求して出なかつたときには、出なかつたときで我々態度を決定します。それからこの機会に伺いますが、開発銀行は融資決定に当つてどういう基礎的条件というものを持つておるか。例えば私は融資決定に当つて一番大事な問題は、その会社にこれだけの金を貸すことによつて原価が一「かます」にして百円下るという計算のところもある、百五十円下るというところもある。二十円きり下らないというところもある。その中で貸付の一番大きな条件として、現在例えば八百数十円のものが二桁違つて六百何円に下るというようなところが仮にあれば、私は率先して融資をすべきだと思う。勿論そのほかの条件もありますが、これだけ一つではないけれども、これは非常に大きなフアクターになるわけでありますが、そういうようなことはお考えになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/84
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085・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) おつしやる通りでございます。それはやつぱりいいところに出せば効率がいいので、私どもはむしろそつちのほうへ飛びついて出したいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/85
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086・河野謙三
○河野謙三君 これは通産省は同様ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/86
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087・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 私のほうも原則としてはそういうことが適当であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/87
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088・河野謙三
○河野謙三君 念のために伺いますが、通産省なり、開発銀行は、貸付の条件としてそのほかに何か重要な要素があれば教えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/88
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089・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 貸付の条件とおつしやつたつて、どういうことを御要求になつていらつしやるかわかりませんが、私どもは結局企業に貸すのでありまするから、企業の経営者に信頼がどういうふうに置けるかといつたようなことを当然考えなければなりません。第二番目に、その事業に援助して今後はその事業が国の役に立つかどうか、別の言い廻し方をすれば、育成価値がありや否や、結局その事業の素質がいいかどうかということを先ず第二番に考える。第三番目に、経営者とか、或いは事業の素質とかのほかに、将来に期待するものだけでなしに、現在どうであるかという、いわば一種の実績的なもので動かすことのできない、主観的な判断のきかない現実的なものを先ずつかまえようということで、三番目に現状的なものを把握いたします。開発銀行はやはり金融機関でございますから、財政状態の確からしさ、これは経営の体力になるわけで、非常に素質がよくたつて体力がなければその人が大をなすに至らないで夭折してしまうかも知れません。従つて財政状態といつたようなことも相当一生懸命調べます。最後には一種の結論と申しますか、金融というのは当然返してもらうのでありますから、償還力如何ということ、償還力如何ということは、増資の可能性、不可能性或いはほかの借入ができるかできないか、それからもつと根本的なことは、その事業として自立的な採算経済が成りたつか、成り立たないかということでございます。大体大きく分けてその五点を私どもは中心に調べをいたして、それでそいつを総合して考える。その場合に五つの項目を仮にABCと段階を付けましたときに、算術平均でやるのじやなくて、結局五つの鎖りみたいなもので、一つのところが弱ければ、例えば経営者が悪ければ、ほかの点がよくつたつてなかなかお貸ししにくいということになるのでございます。そういうような判断の仕方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/89
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090・河野謙三
○河野謙三君 要するに、その他の要素というものは、一般の市中銀行が貸付けに当つての要素というものだということに私は尽きると思う。金を貸して貸倒れになつちやいかんとか、その他いろいろな問題で、今あなたが御説明になつたことは、一言にして言えば、市中銀行が貸付けに当つての態度というものそのままであります。そのほかにやはり国策会社として、国の産業の合理化のために一翼を担うという意味合から、私は先ほど申上げたような事業効果、その中でも取分け幾ら下がるかという問題が、これが大きい問題だ、これはあなたもお認めになりましたが、今後それに最も重点をおいて、この資金を運用するということに間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/90
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091・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) おつしやる通りでございます。恐らく河野委員の言われましたことは、私の言葉で言いますれば、事業の素質がいいかどうかということで、育成の価値ありやなしやということでありますので、私どもとしてはそこに非常に心ひかれるわけでございますが、先ほど言いましたように、体力がなければ、仮にそういう素質がよくても、素質がいいものに至らないということもありまするので、それを総合判断をいたしまして、結論を付けさせて頂きたい、こう考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/91
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092・河野謙三
○河野謙三君 ちよつと前の質問に戻りますけれども、先ほど私が原価計算、いわゆる私たちが言うところの原価計算が付いてない会社の原価計算をとつてくれといつたのは、今出ております九社の資料の中で、原価計算が付いておるのは、これは硫安界から見れば、いずれも取るに足らないような会社なんですよ、大部分は……。東海硫安とか、日本水素とか、東北肥料、新日本窒素にしろ、非常に生産量が少い会社だ。我々が最も知りたいまだ二、三の会社を知ることによつて、日本の硫安工業全体を推定できるような昭和電工とか、東洋高圧であるとか、こういう会社が抜けている。それから又世間でいうところの弱体の見本に考えられておるものが出ておるけれども、あらゆる意味合から言えば、あらゆる角度から推定の基礎になるこういう会社が抜けている。でありますから、私の要求はなまはんかな要求じやありません。でありますから、よく一つ私の要求についてお考え願いたい。それからこれは通産省なり、開発銀行、どちらでもいいですが、私はこの機会にお尋ねしたいのは、先ほど我々の手許に出ました各会社からの原価計算書と申しますか、合理化説明書と申しますか、こういうもので更に遡つて、曽つて通産省が出しました通産省独自の立場で作られました原価計算書、又開発銀行の出されました資料、こういうものにつきまして、それぞれ相互の間に矛盾がありますが、こういう問題は私は今どうだ、こうだと言つているひまもないので、そういうことはやめますが、いずれにしましても、製造会社から出たこの説明資料、これはいずれも昨年の二月乃至九月です。この説明資料を基礎にして、それから本年の現在までの操業度が上つたり、その他合理化されていますね、こういうものを計算に入れて推定して、これを基礎にして合理化促進の速度並びにまあ操業度が上つたということは、やはり合理化の一部でありますけれども、こういうあらゆるものをその後今日まで約一年間のものを推定して、通産省でも開発銀行でも、どちらでもいいですから、推定の現在の価格というものを一つ私は資料に頂きたいと思う。これはできるでしよう、できませんか。ここに一つの基礎がある。製造会社が出ている。例えば東北肥料なら、二十八年の九月に、その当時の東北肥料の原価計算はこうであると出ている。それからその後の東北肥料の操業度の上つた点、若しくは東北肥料の機械の合理化、そういうものを計算に入れて、東北肥料は去年の九月にはこうであつたけれども、本年の五月なら、その後今日までの間これくらい東北肥料の原価は下つているはずだという推定は、開発銀行なり通産省でできると思う。そういうのを九社別に作つてお出し願えませんか、これは不可能ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/92
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093・柿手操六
○説明員(柿手操六君) 今ここに出ております九社の資料の中にあります資料についての、それを前提としたいわゆる物価の変動、操業率の変化等によるコストの変動、そういうものについては、これは或る程度の推定はできます。ただ私のほうは、この前全体の推算をいたした平均八百二十円というのがございますが、これは二月頃に現在の石炭であるとか、コークスであるとか、或いは操業度二百三十四万四千トンというような、現在の上つた操業度の下における、これは各社別ではありませんが、なかなか各社別にはできませんが、大数観察的なものをお示ししたのであります。これは最近の物価、最近の操業度によつたものであります。今の各社が、このお配りした資料の中に出しておるものを前提として石炭が下つたり、物価が下つたり、或いは操業度が上つたり、人件費が変動したりしたのを直すというようなことは、これはできないことではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/93
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094・河野謙三
○河野謙三君 それはできますかね、推定で……。現在のこれらの各会社の推定価格というものはできますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/94
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095・柿手操六
○説明員(柿手操六君) できます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/95
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096・河野謙三
○河野謙三君 それではそいつを一つ私は是非見せて頂きたいと、こう思います。それからもう一つ、かねて頂きましたABCDEFとして出されました通産省独自の計算によるところの、この各社別を見ますと、今度頂きました各会社自体の説明資料と、これはまあ符合しないのが当り前でありましよう。この各会社の説明資料を基礎にして通産省で計算されたのじやないということになつておるから、それは符合しないのは当り前でありましようけれども、併し余りに符合しなさ過ぎると思いますが、これは一体どういうことですか。これは江田さんのさつきの御質問と重複するかも知れませんが、専門家のあなた方がやつたABCDEFのそれぞれの計算と、各会社に割当をいたしましたものとちつとも符合しないのですがね。これは一体どういうのです。例えば日本水素が━━━━━━というものを出しておる。日本窒素が━━━━━━になりますが、━━━━━━というのを出しておりますが、これは一体それに当るようなのはぶつからない。これは一体どういうのでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/96
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097・柿手操六
○説明員(柿手操六君) これは私どもでお出ししたのは、会社の名前を実は書かないでABCとなつているようですが、今河野さんのおつしやつた、その日本窒素の会社が出しておる資料と、私の持参した原価とは実はよく似ておるのであります。余りひどく差はないと思う。で、私のほうのやつは例の━━━━━というのがそれに当るのです。それから日本水素の御指摘がございましたが、これは私のほうの資料では━というところに当るわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/97
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098・河野謙三
○河野謙三君 よくわかりました。それじや、私も先ほども申上げましたような、現在の各工場の推定価格の資料並びに原価計算書の付いていないところの四社の資料を頂いた上で、又一つ質疑を続けて参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/98
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099・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 他に御質問は本日はございませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/99
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100・江田三郎
○江田三郎君 ちよつと……。先ほど最後にちよつとお尋ねしました━━━━の資料の問題ですが、肝心な割算が違つておつたんだということですから、割算の違いは割算の違いでいいんですが、併し例えばこの資料一つ見ても、私どもどうもわけがわからんのですが、この二十一と二十二に、現在における原価、二十二頁は現状というのですから、どちらも同じことだろうと思うので、ただ、今の審査部長の説明によりますと、現状というのは、フル稼働をした場合のことだ、こう言われますが、併し例えばこの給料について見ますというと、━━━━トンの場合も━━━━トンの場合も同じ数字が出ているんです。フル稼働をした場合と、そうでない場合とは給料というのは、やはり労賃というものは違うのが当り前だと思うのですが、それが同じ数字が出ているんですが、それからまあ例えばコークスにいたしましても、その他のものにしても、原単位が多少違いますが、総量においてはそう大して違わないので、例えば銅の場合をとつて考えるというと、━━━━トンの場合も━━━━トンの場合も同じ原単位で、同じ原単位で、同じ相場が出たりしているんです。これはどういうことですかね、これは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/100
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101・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) 会社がお作りになりましたので十分御説明ができないかと思いますが、私どもとしては前から申上げておりますように、二十七年以降の通算原価と言うか、よりその実績的なほうの原価のほうにその重点を置きまして、この右のほうの広い紙でございますね、こちらのほうをむしろ私どもとしては軽視いたしました。そういう方法で以て推定をやつて行つたわけでございます。それから細かいことで或いは会社の意図と違うかもわかりませんが、人件費云々ということは、やはり設備工業でございまするから、数量が殖えたから、その殖えたのに応じて人件費が殖えて来るということではむしろないのであろうと思います。勿論お説のように余計になりますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/101
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102・江田三郎
○江田三郎君 全然同じということはありませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/102
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103・竹俣高敏
○参考人(竹俣高敏君) いや、大体そうでございますね、どうせ或るところに配置しなきやならん人間は配置しなきやならない。仮に百出ても、七十出てもやはり一人は一人でなきやならんといつたような性格が特に化学工業に多いわけでございまするから、そういつたようなことの建前で恐らく会社はお作りになつたのであろう、これは私推察でございますので、十分責任を持つてお答えできませんが、そういうふうに考えております。先ほどこういう間違つた数字で以て金を貸すのはけしからんというお話でございましが、実は私どもといたしましては、こちらのほうは、先ほど言いましたように重視いたしておりませんで、むしろ私どものほうでは実績原価的な方面に重点を置いて調べておりますので、御了承頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/103
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104・江田三郎
○江田三郎君 まあよろしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/104
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105・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) ではこの件について御質問もなければ、秘密会はこれで閉じたいと思います。
午後三時二十五分秘密会を終る発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/105
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106・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 只今の秘密会議の記録中、特に秘密を要するものにつきましては、国会法第六十三条によりまして公表しないことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/106
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107・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、削除の個所等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/107
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108・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 御異議なしと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/108
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109・江田三郎
○江田三郎君 河野委員の資料要求でそれでいいわけですが、ともかく先ほどの委員会の経過から見ましても、二十八年度の生産原価として出されておるこの数字は必ずしも適当でないということですから、一つよほど慎重に調査されて出して頂きたいと思います。そうしませんと、これはもうこの原価が一体どうなるかということによつて、我々がこの法案の可否を決するに当つて、これが重大な要素になるということは考えなきやならんのです。そういう点については通産省のほうも十分前後をお考えになつて頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/109
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110・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) それでは参考人のかた、どうも有難うございました。
ちよつと速記を止めて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/110
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111・片柳眞吉
○委員長(片柳眞吉君) 速記を始めて。それでは本日はこれにて散会いたします。
午後三時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101914988X03819540519/111
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