1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月十三日(土曜日)
午前十時三十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
劔木 亨弘君
加賀山之雄君
荒木正三郎君
委員
木村 守江君
田中 啓一君
中川 幸平君
安部キミ子君
高田なほ子君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
衆議院議員
辻原 弘市君
前田榮之助君
事務局側
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した事件
○教育委員会法の一部を改正する法律
案(衆議院送付)
○教育委員会法の一部を改正する法律
の施行に伴う関係法令の整理等に関
する法律案(衆議院送付)
○市町村立学校職員給与負担法の一部
を改正する法律案(衆議院送付)
○学校教育法等の一部を改正する法拠
案(衆議院送付)
○教育公務員特例法の一部を改正する
法律案(衆議院送付)
○派遣議員の報告
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/0
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) 文部委員会を開会いたします。
先ず教育委員会法の一部を改正する法律案につきまして提案者に御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/1
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002・辻原弘市
○衆議院議員(辻原弘市君) 教育委員会法の一部を改正する法律案の説明を申上げます。
只今議題となりました教育委員会法の一部改正法律案の改正要点について御説明申上げます。
教育委員会法の改正は御承知の如く過ぐる第十四国会におきまして、地方教育委員会の設置等を一年延期ずるという政府の改正提案が参議院におきましては全会一致可決されながら衆議院におきましては抜き打ち解散のために審議未了に相なつたのであります。
従つて現行法のごとく直ちに全市町村に教育委員会を設置することについては政府並びに自由党の各位も十分に検討の必要を認めておられ、世論も又効んどそれを望んでおつたのであります。更に地方教育委員会設置後の情況を見れば世論の動向も一段と明瞭であります。即ち地方制度調査会の答申、或いは地方公共団体等の反対の動きはその一端を示すものと存じます。
かかる世論の動きによつて本改正案と同様の改正案が去る十五国会に改進党、並びに両派社会党より共同提案され、審議半ばにおいて衆議院解散にあい、審議未了となつた経緯もあるのでありまして、従つて私どもはかかる経緯によつても全会一致超党派的に御替同頂けるものと確信している次第でございます。
次に法案の内容を申上げます。
先ず第一点の改正は、地方教育委員会は任意設置といたしました。即ち現行法におきましては、教育委員会は都道府県及び市町村にこれを設置するとありますが、これを五大市以外の市又は町村の教育委員会は当該市町村の条例によつてこれを廃止若しくは再設置することができるようにいたしました。この場合、あらかじめ当該教育委員会の意見を聞かなければならないこととし、又条例の制定には出席議員の三分の二以上の同意が要ることといたしました。このことは、現に就任している教育委員が地方住民の直接選挙によつて選ばれていることと教育基本法及び教育委員会法の精神に則る教育行政の重要性を考え、特にその存廃に当つて慎重を期する必要があると考えたからであります。更に教育委員会を置かない市町村の教育事務については特例を設けて当該市町村長がこれを管理し、執行することにいたしました。
第二点は、教科内容及びその取扱い、教科用図書の採択、教職員の研修、給与負担職員の人事、保健、福利厚生、等の事務を都道府県委員会の権限に移しました。これは一昨年十一月全市町村に教育委員会が設置されて以来の実情に鑑み、且つ又昭和二十三年教育委員会制度の発足以来都道府県委員会が処理して参りました結果を検討いたしまして、このようにし、教育行政の円滑な運営を期待いたしました次第であります。ただこの場合職員の人事につきましては特に慎重を要しますので、当該市町村の教育委員会、教育委員会の置かれていない市町村にあつては市町村長の意見を求めなければならないことにいたしました。
第三点は、五大市を除く市及び町村の教育委員会には教育長を置かないことができるようにいたしました。現行法によりますと、本年三月二十一日までは当該市町村の教育関係の部課の長が兼ねてもよいことになつておりますが、四月一日からはどうしても專任の教育長を置かなければならぬことに相成つております。
御承知のごとく、教育職員免許法によりまして教育長になるためには相当な資、格要件を必要とされております。このことは理想であり、そういたさねばならぬのでありしなすが、実情は貧弱町村等では財政的には非常な負担であると同時になかなか適材が得がたい現状であります。
従つて、この際実情に即する意味において置かないこともできるといたしたのであります。
その他の点については、これらの改正に伴う当然の措置として条項の整理をしたわけであります。
以上改正点の要旨を申上げました。何とぞよろしく御審議、御賛同を頂きたいと存じます。
次に若干の補足説明を申上げます。
第一点の改正については第三条の二項において地方自治法第百五十五条第二項の市以外の市及び町村においては条例で教育委員会を置かないことができるとし、その手続きについては新に一章を起しまして、第六十五条の二に定めました。なお一度置かないこととした市町村が再び置くことについての手続きについては第六十五条の三に定めました。教育委員会の置かれていない市町村の教育に関する事務に関する特例については新に第三軍の三を越し、第六十五条の四、第六十五条の五に定めました。
第二点の改正は、第四十九条及び第五十条において先の説明のようにいたしました。
第三点の改正は、第四十一条の第一項但書を加えて当該市町村の条例でこれを置かないことができるといたしました。
その他の条項はみなこれらの改正に伴う当然の措置として字句並びに条項の整理をいたしましたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に教育委員会法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案の説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/3
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004・辻原弘市
○衆議院議員(辻原弘市君) 只今議題となりました教育委員会法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案について、逐条御説明申上げます。
第一条は学校教育法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村のできることに対して必要な改正を行つたものであります。
第二条は地方自治法の改正であります。これは教育委員会を置かない市町村について、給与負担職員の人事権の移動について、教科内容及びその取扱い、教科用図書の採択等の権限についての当然の手続きであります。
条三条は教科書の発行に関する臨時措置法の一部改正であります。これは教科書採択の事務を都道府県委員会の事務としたことによる当然の手続きであります。
第四条は市町村立学校職責給与負担法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動に伴う所要の改正であります。
第五条は教育公務員特例法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動に伴つて給与負担職員の勤務条件に関する措置の要求及び不利益処分に関する審議機関が当然都道府県の人事委員会になることと、これに関連する職員団体の手続きであります。
第六条は教育職員免許法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動及び教育委員会を置かない市町村に関する手続きであります。
第七条は社会教育法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村、教育長を置かない市町村の教育委員会等についての当然の手続きであります。
第八条は学校施設の確保に関する政令の一部改正であります。これは教育委員会を置かない地方公共団体の手続きであります。
第九条は公職選挙法の一部改正であります。これは教育委員会の再設置の場合の手続きであります。
第十条は図書館法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村の手続きであります。
第十一条は産業教育振興法の一部改正であります。これも前条同様であります。
第十二条は博物館法の一部改正であります。これも前条同様であります。
第十三条は青年学級振興法の一部改正であります。これも前条同様であります。
第十四条は公立学校施設費国庫負担法の一部改正であります。これも前条同様であります。
第十五条は危険校舎改築促進臨時措置法の一部改正であります。これも前条同様であります。
第十六条は昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法の一部改正であります。これも前条同様であります。
以上要点を概略申上げましたが、何とぞてよろしく御審議の上満場一致の御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/4
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005・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に市町村立学校職員紬与負担法の一部を改正する法律案について提案理由を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/5
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006・辻原弘市
○衆議院議員(辻原弘市君) 只今議題となりしました「市町村立学校職員給与負担法の一部を改正、する法律案」の提案理由を説明いたします。
幼児教育についての重要性は今更申述べる必要もない所でありますが、殊に最近は、幼児の発達段階よりみまして小学校入学時期よりも更に重要性が大であるという実証もなされ義務教育実施の必要が強く叫ばれている現状であります。
従つて現在の幼稚園の入園希望者は年々増加し現在公立幼稚園にあつてはその希望岩の三分の一しか収容されておらず、又一教師の担任幼児数も増加して全国平均四四・六人で、最も多い一組の幼児数は実に六四名にも達しているのが実情であります。このことは幼稚園施設が非常に少いことを裏書していることであり、その最大の原因は幼稚園教員の給与が市町村になつているため施設費に余裕がないことを物語つているものであり、又幼稚園を殖す意思があつても給与費の負担にえられないので実現の運びにならない理由になつているのであります。財政負担能力に乏しい市町村に給与支払義務があるため、有資格者の採用が極めて困難であり、二十八年度公立幼稚園勤務岩五千九十二名中専任園長は二百三十一名、教諭二千百三十千五名に対し、助教諭は二千六百三十七名の割合で五二%の多きを数えるのであります。もともと幼稚園は法律で学校教育体系の一貫として学校教育法に明記され、教員免許法においでも義務教育教員と何等差がなく、免許状を有しなければならぬ義務を定めているにもかかわらず、市町村立学校職員給与負担法の適用を受けていないことは片手落ちの措置と言わなければなりません。
以上の理由によりまして他の市町村学校と同様に都道府県に幼稚園教員の給与支払義務を移管し幼稚園教育の振興を図る必要があると存ずるのであります。過ぐる十六国会において文部省当局も改正の必要性を認め、本年より実施したいとの意向を表明せられている所でありまして、何とぞ各位の御賛成をお願い申上げる次第であります。なお若干の補足説明を申上げます。
第一に幼稚園教員の紛与が市町村の負担になつているため実際に起つている不合理を例をとつて説明いたしますと、三重県の場合ですが、人事院規則で初任給は、はつきりきめられているにかかわらず、短大卒業の初任給において幼稚園は五級三号、小学校は五級六号で最初から開きがあり、その後の昇給期間にも差を生じ幼稚園においては経験年数三年で五級六号、小学校では六級六号となつている状態であります。この差は経験年数の多い者ほど開きが多いのであります。その理由は財政負担能力に乏しい市町村に給与支払義務があるためであります。
以上簡単に補足説明を申上げました。提案の説明を終ります。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/6
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007・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に学校教育法等の一部を改正する法律案につきまして、提案者の御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/7
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008・前田榮之助
○衆議院議員(前田榮之助君) 只今上提になりました学校教育法等の一部を改正する法律案の提案の理由及び法案の概要について説明申上げます。
学校教育法は昭和二十二年三月に制定されて昭和二十五年四月に最終改正されて今日に至つておりますが、直接教壇に立たないで教育に関係ある重要な職員が本法制度の外におかれておることは学校教育上遺憾とするところでありまして、即ち大学以外の学校において教育に関する事務に従事する者並びに盲学校やろう学校の寄宿舎において児童又は生徒の世話及び教育に当る者の職務の学校教育における重要性に鑑みまして、これらの職務を行う者について事務教諭及び寮母の制度を確立して学校教育の完璧を期したいと思うものであります。
改正法案の内容について御説明申上げますと、先ず第一に学校教育法の改正でありますが、第二十八条その他の条文において事務職員とあるのを事務教諭と改め、第七十四条において盲学校及びろう学校に寮母の存在が教育上痛感されているにかかわらず法文に出ておりません故、第七十四条の二に「盲学校及びろう学校には寮母を置かなければならない。但し宿舎をおかないものにあつてはこの限りでない。寮母は寄宿舎における児童又は生徒の世話及び教育に当る」を加えまして明確にしたのであります。
以上に伴ないまして市町村立学校職員給与負担法と教育公務員特例法、教育職員免許法、同上施行法、地方自治法、教育委員会法中の結果修正というような条文の整理を行うものであります。併し教育職員免許法及同法施行法は事務教諭及寮母の一級普通免許状、二級普通免許状、仮免許状の規定及び手続きを附加したのであります。施行期日は同施行法附則において昭和二十九年四月一日とし、現にその職にある者に必要な経過措置も焼足した次第であります。何とぞ慎重審議御議決下さいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/8
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009・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に教育公務員特例法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/9
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010・前田榮之助
○衆議院議員(前田榮之助君) 只今議題になつております教育公務員特例法の一部を改正する法律案の提案の理由及び法案の概要を説明いたします。
本特例法は昭和二十四年一月に制定され昭和二十六年十二月に最終改正されて今日に至つておりますが、教育公務員の職務の特殊性に基いて大学以外の学校の教育公務員について大学の教育公務員と同じくその転任、免職及び懲戒処分等について公開による事前審査を行うこととするほか、その異動を円滑にするため条件附任用に特例を設けまして学校の教育公務員については勤務成績の評定制度を廃止する必要があると思いまして本案を提出した次第であります。
よつて以下条文の内容について簡単に御説明申上げます。
即ち法第五条に口答審理制を民主的方法によりて採用し公開を規定し第十二条においては国家公務員法及び地方公務員法による評定制度が教育公務員に対しては甚しく不適当でありますので、その規定の適用をしないことにいたしました。
第十三条においては条件附任用の特例の定めを加え、第十五条に転任、降任、免職及び懲戒規定を事前審査を行うようにいたしたのであります。
なお附則の施行期日は可急的早急の必要がありますので公布の日から施行することとした次第であります。何とぞ慎重御審議の上御賛成議決下さるようお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/10
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011・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/11
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012・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。
それでは調査班の御報告を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/12
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013・田中啓一
○田中啓一君 それでは今般院議により派遣されました本委員会調査団の現地調査の結果の大要を御報告申上げます。
本調査団は、荒木委員、相馬委員、私並びに専一員室より滝調査主事が参加をいたしまして二月二十八日より一週間に亘り静岡、山口両県下を調査いたしました。そこでお諮りを申上げたいのでありますが、この報告は大分長うございますので、要点だけを読み上げたいと存じますが、併し折免の調査書でございますので全部速記録には記載を願いたいと思います。この点お許しが願えましようかどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/13
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014・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今の田中君の御注文に副うことに御異議ございいせんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/14
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015・安部キミ子
○安部キミ子君 併し私は概略というふうなことでなしに、初めから終りまで全部読んで頂きたい、そういうことを提案します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/15
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016・須藤五郎
○須藤五郎君 時間は二時間かかろうと三時間かかろうと差支えないのです。ですから詳細明瞭にとにかく述べて頂くことを提案します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/16
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017・田中啓一
○田中啓一君 ではそういうことにいたします。
調査項目としては教員の思想調査問題並びに教育の政治的中立問題を初めとして、教育財政状況、教育施設状況、学校給食状況等、できる限り広く深く調査をいたしました。以下順を遣うて御報告を申上げたいと存じます。
(一)先ず第一の教員の思想調査問題でありますが、静岡におきましては県教育委員会、地方教育委員会、県警察隊長、県教職員組合、学校長、報道関係者等多数参集を願い、事実の真相研究に努めた次第であります。
最初に県教組側より昨年一月末周知市において開催された第二回全国教育研究大会の前後、警官が教組支部や学校或いは教員の自宅等を訪れ、教研大会参加者の氏名等について調査した事実があつた。
又本年一月末第三回全国教育研究大会を静岡で開催するに当り、更に多数の思想調査と思われる事例が県下各所に発生したので、県教組は二月四日正式に国家地方警察江口隊長に面接し善処方を要望したのであるが、その具体的事例としては
1、昨年十二月二十二日午後志太地区署西益津駐在所のT巡査は、西益津学校長I氏を訪ね、同校教諭Y先生並びにM先生の氏名行動、(生活教育同好会への主席の仕方、日常の授業の仕方)について調査した。
2、本年一月一日午後志太地区署藤枝駅前駐在所S巡査は、青島町小学校教諭T先生の留守宅を二回訪問した。帰宅した丁先生はみずから駐在所に出頭したところ、教研大会の出席、教研大会の内容等について聴取をした。
3、昨年十一月庵原郡奥津町立小学校A先生のところへ、友人の名前で呼び出しの電話があつたので駐在所に出向いたところ、友人でない人から庵原支部幹部の役員の氏名、動向等について調査された。
4、本年一月下旬から二月上旬にかけ庵原郡内房小学校、松野小学校、冨士川小中学校、蒲原小中学校に対し、東庵原地区署員により教研大会参加者の調査が行われた。
5、本年一月下旬田方郡北狩野南小中学校、下狩野小中学校、西豆小中学校、上大見小中学校、湯ケ島小中学校、月ヶ瀬小中学校、上狩町中学校に対し、教研大会の出席看について調査が行われた。
而して特に我々が警察に対し要難した事項は
1、警察官がその職責上必要な調査を行うことについては、その手続や方法が妥当である限り当然であること。
2、静岡において開かれた第三回教研大会は静岡県民の声にも反映されている通り素朴にまじめに子供の教育について一般夫兄をも加えて計討議れたものであつて、調査の対象にならないこと、3、いずれの調査にしても制服の警察官が直接子供のおる学校へ出向いて調査されることについは十分教育的配慮をなされたいこと、であるとの陳述がありました。
次に国警隊長から、細く合側の発表さしれた具体的事例については、事実であるものもあり、事実でないものもあるが、すべて思想調査ではないと確信すると前提して、その事例について二項目ごとに警察側の調査の結集を述べました。
先ず事例として挙げた4と5は事実であるが、この種の調査、例えばマラソン大会や雄弁大会に誰が参加したかを調べるというようなことは従来からやつて来たことである。但し、学校まで行つて調べたという方法は多少問題かも知れない。なお警察署の警備主任が下僚に警察は教研大会ぐらいのことは知つておかなければいけないという話をしたという事例があつたことを調査の結果知つた。
2、の事例も事実である。警官と先生がかねがね懇意であつたようである。
1、の事例は警備の必要から調べたが、本人は全然無関係であることがわかり、調べを打切つている。
3、の事例は確かに会つているが偽つたという事例はない。これは組合名簿作成のため一巡査が友人の先生に聞くべく電話したが、その巡査に用事ができたため、代りの巡査が聞いたという事情である。
要するに警察としては、1、統一した指令は出しておらない。2、教研大会というものは警察として、特に注意しなければならない事件でぱないが、故、生徒のいる学校へ行つて直接調べるといような方法はまずいと思う。それで多少行き過ぎがあり、迷惑をかけた点、遺憾の意を表するということを新聞に発表したわけであるとの陳述でありました。
以上が両者の表明した見解の大要でありますが、なお調査団と関係者の問の質疑応答1により明らかになつた点は組合側並びに県教育委員会等は、今回の静岡の教研大会がまじめに熱心に行われ、特に過激な政治的言動が行われないよう注意し、或いは注意していることが看取されたことを陳述しております。
次に山口県下におきましても、この問題につきましてほぼ同様な関係者の参集を求め調査をいたしました。
先ず県教組側から、警官並びに教育委員会等により受けた思想調査等の事例といたしまして、
其の一、地方教育委員会が支部組合幹部の思想調査を行なつた事例として、一九五三年三月十九日午後、教員四名が岩国市教育委員会会議室において、県教組の支部、長宇野順二、文化部長大岡昇、執行委員松井十郎の三氏について調査をした。又秘密会で傍聴を拒否し、三氏を別々に合計四時間に亘つて調査し、詳細にメモを取り、暗々裡に人事異動に絡める態度を示した。これはあとに支部全組合員の激しい抗議を受けて撤回したが、調査内容の骨子は次の通りである。
再軍備反対の立場に立つた教育は許されないと思うがどうか。憲法をどう考えるか。君が代に反対するのは違法でないか。天皇について、どう考えるか。一斉賜暇戦術の合法性。平和教育をなぜ行うか。
其の二、私服の氏名不詳の男より教研大会参加者について調査した。一九五四年三月一日午前中のことである。宇部市岬小学校校長室で調べた。調べを受けたのは岬小学校校長白石忠二氏を通じ、教研大会参加者である同校教官長谷川キミ子、梅田久子さんについてである。内容は教研大会の横様、出席者の氏名、性別、どんなことを発表したか。童話研究会というのがあるというが、どういうものか。
調べの其の三、国警による教研大会参加名の調査。日時 一九五四年二月九日第一回、同二月十五日頃 第二回、調査を受けたのは阿武郡弥富村弥富中学校浅野正人氏、内容は阿武北署西川某は二月九日村内冨重旅館より電話で浅野氏に対し、話したいから旅館に来いと言つたが断つた。学校に来て教研大会の状況を聞いたので静国民報を渡した。二月十五日頃ふたたび旅館から全く同じような電話をして来たが断つた。
その四、国警による組合幹部の調査、一九五三年七月上旬、調査を受けたのは玖東支部桂支部長山本書記長である。
内容は、国警某が最初支部長を訪問し、組合の運営について賛同したが、支部長は書記長に聞いてくれるよう答えた。その警官はその旨を署長に報告した。国警玖珂中地区署の中浜某が山本書記長を訪ね、組合員数、役員氏名、組合費、機関紙等について調査した。調査の目的を尋ねたら「国警には各団体の実態調査があるが教組については未だ確認していないから」の旨答えた。
その五、国警による教職員の身許調査、一九五三年六月乃至七月頃、 内容は南河内村駐在所から河内中学校教職員の住所、氏名、年齢、本籍地などの一覧表の提出を求めた。この陳述がありましたが、これに対し、事例その一の、岩国市教育委員会の事件は丸茂教育委員長より説明があり、このようなことはあつたが、その内容は組合の言うこととやや異なるとして相違点が挙げられました。
その二については、調査したという人物が全くわからないので不問にすることといたしまして、その三以下について山口県警察隊長の説明を求めましたところ、この種の事件は今初めて聞くことであり、そのような調査の必要もないし、従つて命令したことも全くない。併しながらこの問題は別として、一般的に言つて警察官が教員と接触することは大いにあることであり、そのようなことが誤り伝えられているのではないかということで、それ以上究明のしようもないままに、至急調査の上回答することを我々は希望したわけでありますが、その後調査報告書が参りましたので、それを申しますと、事例のその一その二は警察関係以外につき省略、事例のその三、教研大会出席者の調査について、調査者は阿武北地区牌勤務警備係巡査西川秀男、被調査者は山口県阿武郡弥富村弥富中学校教官浅野正人民である。調査者と被調査者との関係は西川巡査の妻照子と浅野教官の妻貞子とは従姉妹の関係にあるため、互いに往来し親密な交際を続けているものである。調査事実、電話をかけたことは認められない。西川巡査は浅野教宣とは前記関係にあるため、昭和二十九年二月二日弥富村長選挙に明前運動をしているとの風評を聞いたので同村に捜査に赴き、たまたま弥富中学校前に差かかつた際同校に立寄つたところ、浅野教宣が職員室におり面会すると、静岡へ教研大会に出張したと言つて静国民報を出してくれたので、もらつて帰つただけで、別に思想調査を行なつていない。西川巡査は昭和二十九年二月十三日前記同様選挙違反の容疑事実に対する風評について、浅野教官が知つていたらその詳細を聞こうと思い、富重旅館より電話をかけたが忙しいと言つて断わられたと言つている。
事例のその四、国警による組合幹部の調査、調査者は玖珂中地区警察署勤務警備係中浜勝、それから被調査者は山口県玖珂郡南河内村河内中学校教官山本叙男、以上両名とも号国中学校の卒業生、調査者と被調査者との関係は中浜巡査は昭和二十四年十一月より昭和二十七年四月までの間玖珂郡南河内村巡査駐在所勤務をしておつた当時、岩国中学校卒業の同窓生福城寺住職山本叙男とたびたび会合で面接していたため、懇意となり、特に中浜巡査の妻の死亡などにより、両者の関係はますます親密の度を深くし、前記山本叙男が家庭の専属により昭和二十六年四月頃教官に就職以来も親出交を続けており、ときどき会食することもあつた。調査事実は玖珂中地区警察署につき詳細調査するも当該事実は認められない。中浜巡査は昭和二十八年七月頃南河内村巡査駐有所へ事務連絡に赴いた際、山本教官に暫く面接していないので、若しいたら面会しようと思い、河内中学校に立寄つたところ、同教官がおり、宿直室に案内してくれ、久方振りに世間話をなし、このとき組合の問題が話題に上つたがこれは教職員の思想を調査したものではない。
事例のその五、国警による教職員の身許調査。玖珂郡南河内村にはたぴたび青少年犯罪があるので、それを防止するには、警察は学校当局と緊密な連絡をとつておく必要があるので、南河内村巡査駐在所巡査福村正二は昭和二十八年六、七月頃河内中学校教職員の住所氏名を知るため教職員一覧表の提出を求めたが提出してくれなかつた。山口県の警察の思想調査の問題は以上の通りてありますが、次に思想調査の問題の一環といたしまして調査しました山口大学の柴田経斉学部長の書簡問題について御報告申上げます。
この問題については昨年七月本委員会で文部大臣に対し質問がありましたが、はつきりしない点が多かつたため今回山口に行きましたのを機会に調べたわけでありますが、このような問題を起すに至つた書簡とは次のようなものであります。
拝啓、籔から棒に此のような御手紙を差上げて御騒がせしてすみません。実は本学部の教官のうちに学究にあるまじき政治活動をしている人があるという警告を受け、柳か憂慮しているのです。私は、そのような警告を与えられる向に対して、それが誤解にもとずくものなる所以を、出来ることならそれぞれのケースについて一々確固たる根拠によつて弁明し、事態の悪化を防止し、以て学問の自由と学部の自治とを擁護したいのです。それで若し学兄がだれかと面会されたこと、又はどこかの集合に参加されたこと、ないしばその集合で発言の他のか行動をされたことが、学究にあるまじき政治活動をしたものと解されたかも知れぬ、というようなお心当りでもおありでしたら、どこでいつ誰にあつたこと、又はいつどの集合に参加したこと、ないしはいつどの集合でどのように言つた(又はした)ことがあるが、それは実は斯うであつたのだ、ということを小生宛至急お知らせ下さいませんでしようか(私は少くとも十二日頃までは東京に居るつもりです。)もつとも此の手紙は嫌疑を受けて居られないお方にも此の様に差上げて居ります。さうしたのでは要らぬお騒かせをする事になるので誠に相済まない訳ですが嫌疑を受けて居られるお方だけに差上げたのでは、それこそ大変な御迷惑をその方におかけする事になる恐れがあるからです。
その点は何卒御諒解戴き度く、御多用中御手数かけて恐縮ですが、何分宜敷お願い申上げます。
頓首このような書簡が昨年六月四日付けを以て経済学部全教官に対し、柴田学部、長から発送されておるのでありますが、これが大きな問題となり、これは思想調査だという非難の声が大学教職員組合や、経済学部の助教授、講師団から起つたのであります。
そこで私どもは何故にこのような書簡を出したかを学部長自身に尋ねたのでありますが、柴田氏の陳述によれば、警察当局より経済学部の教官のうちに或る種の政治活動をしている疑いがあるので警戒していること。又捜査のため学内に立入りたいことの連絡や要請を学部長は受けたが、特に学部長は、学問の自由、大学の自治擁護の立場から警察官の介入を拒否した。併し実は拒否するための積極的証拠もなかつたし、二、三の教授と相談し、反証蒐集のため、あの書簡を出したというのであります。併しその意図がたとえ善意であつたとしても結果的に見ればこの書簡が教官の間に一種の不安を醸成したことは否めない実であるのであります。
次に山口県の小中学生の日記の問題について報告をいたします。この調査も関係者多数の参集を願い、懇談的に行なつたのでありますが、先ずこれを編集した県教組側の陳述は、先ずその編集方針は、地域の具体的材料を以て特色ずける。平和と独立のための自主教育に資する。適応、追従保存でなく自分の生活を作りかえる子供、生活条件を作りかえる子供を作る。子供の生活を守るため、できるだけ子供の生活の具体的事実に目を注いで感傷に陥ることなく、リアルな批判の限を育てる。日記を通じて子供生活を明らかにし、学級、学校、社会の問題として正しくつかむ。生徒会、子供会など子供自身の組織的な活動を助長する。自分で考え自分で行うような子供を作る。小学生日記は五年、中学生日記は一年程度を標準として編集する。
このような方針に従つて過去四年間、年間四冊ずつ出して来た。販売は学校生活協同組合が各学校の注文希望を聞いて、実物見本を配布、学校で子供が自由に選択の上購入している。従つて発行部数も小学、中学合せて一万部で、問題となつた小学生日記も県下児童総数の三・五%が使用したに過ぎない。問題の欄外記事の一つ「ソ連とはどんな国か」は主として少年朝日年鑑並びに社会科検定教科書の「人間と環境」の中から取材したもので、この記事を以て赤だと非難することは当らない。同様な記事が教科書では問題にならず、日記帳のほうは問題にするという意図がむしろ問題で、決して共産党の指示や共産党の主張をとり入れたものでもなく、日教組の指命によつたものでもない。欄外記事は飽くまで副次的なもので、日記をつけさせることこそ我々の狙いである。
以上が教組側の説明の要点であります。
これに対して県教育委員会は、この日記が出た直後問題があるということで検討を始め、六月五日次の通達を出した旨の陳述がありました。
昭和二十八年六月五日
山口県教育委員会教育長
各出張所長 各市教育委員会教育長 殿
学校における教材資料の選定について、このことについては学校教育法第二十一条の趣旨にのつとり、各学校においてその選定がなされていると思うが、近時各種の教材資料が豊富に出廻るようになつたので、この際のときに学校において左記のごとき教材資料を選定する場合には、学校教育の立場において、じゆうぶん検討し「有益適切」なものを選定するよう市教育委員会にあつては貴管内各小中学校長に、各出張所長にあつては町村教育委員会を通じて、各小中学校長に周知徹底方取計らわれたい。
記
一、ワークブック、学習帳
二、長期休暇用、学習帳
三、視聴覚教材資料
四、児童生徒用図書雑誌類
五、日記帳等
(附語)
例えば日記帳で「山口県学校生活協同組合」発行の「小学生日記」五八月川「中学生日記」の記載事項のうちには、児童生徒の発達段階に必ずしも即応しないものや、国際理解の教育の観点から難ましくないと考えられるものがあるので、これを使用している学校に対しては、じゆうぶん検討吟味して適当に措置するよう指導されたい。
という通達を出しておるのであります。
次に岩国市教育委員会は、六月四日市内小中学校長集会において、問題の日記について意見を聴取したところ、その欄外記事は行過ぎの個所があるのに意見の一致をみた。なお処置については、市教育委員会事務局当事者と関係学校長とが協議の上決定することになつた。六月六日当委員会は善後策を講ずるため、協議会を開いた。その大要は次の通りで、この日記は教材資料としては、学校教育法第十七条及び第十八条に照らして不適当であり、これを使用させることは不可であると認定する。但しPTA正副会長がすでに学校と協議して、円満裡に解決することを申合せているので、その成行きを見守ることにした。併しとりあえず教職員の勤務並びに教育活動について、左のごとき通達を各学校長に発送することにした。
六月六日岩国市教育委員会教育長より市内各中小学校長宛。
教職員の勤務ならびに教育活動について。
標記については格別の御配意を煩わして居りますが、なお特に左花嵐項に御留意の上、部下教職員の御指導をお願いいたします。
記
一、学校長においては、教育基本法、学校教育法、地方公務員法、教育公務員特例法等の趣旨を充分究明せられ、平素から部下教職員に対して、よりよき指導助昔者となつて、真に教育者としてふさわしい教育活動、公務員として遺憾のない服務に専念するよう、慎重な指導と監督をすること。
二、教師としては児童生徒の教導にあたつて、有識成人聞にあつても解決困難な政治、経済其の他各種の問題について一方的な批判や解明をすべきではなく、いやしくも偏頗な思想教育を実施して居るかの如き疑惑を父兄及び社会一般に与えるような言動は厳に煩しむこと。
次に六月十五日に、市内の小中学校長及びPTA会長宛の文書を発送しました。小学生日記及び中学生日記について。
このことは六月四日の校長集会において教材資料として不適当の箇所ありとの意見の一致をみたのであるが、当委員会においても、学校教育法に照して、同日記は不適当と認めたから、これを使用している学校においては速かに校長の責任において、措置されたい。なお、学校又は父兄において回収した場合、児童生徒に対しては、同日記相当額を当委員会において負担する。
追つて措置の結果については速かに回報されたい。
六月十四日、教育委員、学校長合同協議会を再開し、数時間懇談の結果、左の決定事項を得た。
学校としてはこの日記帳によつて指導しない、学校としては、この日記帳を回収しないが、市教育委員会のお願い事項については鞍処する、その市教育委員会のお願い事項とは、市教育委員会としては、教材資料として、この日記帳を不適当と表明したのであるから、代償を支払うべきものと思うので、支払うことが出来るよう善処願いたい。以上が本問題の主要な経過でありますが、本日記については県教育委員会も岩国市教育委員会もその記載事項のうちに生徒児童の発達段階に必らずしも即応しないものや、国際理解の教育の観点から望ましくないものと考えられるものがあるので、学校で使用することは望ましくないと言つておるのでありまして、国際理解の上から見て欠けるところがあるが、それが直ちにいわゆる赤い教育であるとは考えていないと言つておるものと私どもは存じます。以上でいわゆる思想調査問題並びに日記問題を終るのでありまして、次に地方教育の財政状況或いは施設の状況或いは学校給食の状況につきましても、でき得る限り調査をいたしたのでありますが、大部時間も経ちましたので、ここで述べることを省略いたしまして、この点だけは速記録によつて御承知を願いたいと思います。
(五)次に地方教育財政状況についてでありますが、これは主として義務教育費国庫負担金を中心として調べた次第であります。静岡県におきましては小、中併せて児童生徒二万六千人に対し、教員の増加を三一四人行う予定だそうでありまして、知事は教職員費は人件費と考えないで、事業費と考えて、予算捻出に努力しているということでありました。又山口県におきましては、児童生徒増二万人に対し六十六人しか増員できない。このことは、半額は国庫負担法によつて確保できるか、他の半額の平衡交付金の算定基準が低いため、勢い予算が足りなくなるのだという意見でありました。教育施設状況につきましては、山口県は従来より非常にこの問題について熱心でありますが、その山口県において〇・七坪未満の中学が二五二校中七九校あり、その不足坪数は九三三七坪の実情で、速かに基準を一・二六坪まで引上げてほしいということでありました。
又学校給食状況につきましては、我我丹念に視察して廻りましたが、都市、農村いずれにおきましても非常に熱心であり、その土地々々に応じて上手に運営されております。静岡県におきましては学校数にして二九%、生徒数にして四一%、山口県におきましては学校数五〇%、生徒数にして八〇%が給食を実施しております。この給食は、ガリオアの援助打切後一時減つたものの、最近又増加の傾向を辿り、今日においては着実な前進が見られると考えられるのであります。併しその方法においてもつと改善すべきこともありましようし、父兄負担をもつと安くするために或いは準要保護児童を救うため等に国庫補助を行うよう、法的措置を可及的速かに行うことを痛感した次第であります。以上を以て御報告といたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/17
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018・須藤五郎
○須藤五郎君 長いこと御報告頂きましてよくわかりましたが、なお今回の旅行の報告は、今後当委員会におきまして法案の審議の上に非常に重要な参考資料としなくちやならんと存じますので、一日も早く速記録を印刷に付して私たちに御配付下さることをお願いしたいと思います。それが一点。それと同特に本日配付を受けました偏向教育の二十四事例の資料をもらいましたが、これと同時に伊勢崎におきましても、又先日同僚高田委員が問題にされました八紘一宇の教育を初めとして、全国各地におきましていわゆる再軍備、フアツシヨ教育がなされておる事例がたくさんあると思います。これに関します資料を私は提出して頂きたいと存じます。委員長におきましてどうぞその資料の提出、いわゆる文部省が政治偏向教育資料を二十四十した、私たちそれを見ると随分でたらめ、でつち上げが多いので、最近ほうぼうからPTAの人たちも上京して参りまして、私たちにこれは事実無根だ、時実何でもないのだということをたびたび訴えて参つておりますが、こういうものを文部省が私たちに出す以上、再軍備教育、フアツシヨ教育がなされておるという事実もあるのですから、それに対する資料も併せて当委員会に提出されるように委員長でお取計らいを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/18
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019・川村松助
○委員長(川村松助君) 要するにそういう御要望は承つておきまして、委細理事会で善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/19
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020・木村守江
○木村守江君 ちよつとお尋ねしたいのですが、最後のところ、誰でもいいのですが、山口の小中学校の日記ですが、これは学校では回収しない、市の教育委員会で不適当と認めてこれを回収するのだからその代償は支払え、代償については適当に考えてもらいたいということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/20
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021・田中啓一
○田中啓一君 私から……。又補足的に、或いは間違つた点がありましたら、荒木君から御答弁することにいたします。
これは校長会に善処を要望して、教育委員会は適当でないと思うという意思を表示して、善処を要望して、校長会の決定は、指道をしないということは、この日記を使わない、学校で使わないという趣旨だそうであります。そこで使わないということになると、これからは岩国教育委員会側の答弁になりますが、指導するには何か代りの日記帳のようなものを買わなければならん、その代価をやらなければ父兄児童に過重な負担をかけるので、その代りのものを買う代価を出すということを決定した。だからいつでも支払える状態にあるのだ、こでいうことであり求す。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/21
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022・木村守江
○木村守江君 そうすると言い換えますれば、これは教育的には指導をしない。従つてこれは学校では回収するから、その代りこれと代りのものを子供たちにやらなければ子供たちは困るから、それ相当の代償を支払つてくれというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/22
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023・田中啓一
○田中啓一君 そうでなくて、学校側は児童から取上げるということは非常に教育的に悪影響を及ぼすであろう。だからこれは使うなというだけでとめておきたい。使うなということになると、ほかの日記を買わなければならんから、ほかの日記を買う金を出すということに教育委員会は決定した。それは恐らくPTAを通じてでありましよう、代りの日記を買つた者に代償を支払う、こういうことであります。そこは非常に微妙なんで、回収ということは、取上げることになるから、それは誰も決定しておらん、ただ校長側が決定したのは指導しない、指導をしないようにするということだけだ、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/23
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024・木村守江
○木村守江君 校長会でこれは使わない、その日記を母体としては教育したいということになると、生徒たちにもこれは使わないのだということを、やはりどういう方法かで通知しなければいけないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/24
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025・田中啓一
○田中啓君 そうです。通じたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/25
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026・木村守江
○木村守江君 そうすると、そういうことを通じていながら、それを回収しないで、実際子供たちに持たしておくということになりますと、却つて一種の好奇心を起して、一体どういうことが使わしてはいけないのだろうということになりはしないでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/26
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027・田中啓一
○田中啓一君 実はそれらの点を考えまして、一人岩国の校長が出席しておりましたから、大分追及いたしましたが、回収と使用しないということについての教育の効果、影響等については余りはつきりした答弁は求められなかつたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/27
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028・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私も、補足というわけではありませんが、今へ田中さんがおつしやつた通りであつて、教育委員会それから学校長、そういう人たちの間で協議されて、結論として出たのは、私どもがよい悪いという問題じやありません、その人たちによつて協議されて、結論として出た結果は、この日記は学校で指導しない、こういうことである。学校で指導しないということであります。そこで教育委員会としては、新たに日記を買う者に対しては、この購入の代金を支払つてやる、こういうことであります。そこで教育委員会としても、この日記を回收しろ、その回収の代金を払う、こういう決定ではないわけであります。これはどう批判するかは別問題として、きめられたことは事実そのようにきめられたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/28
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029・木村守江
○木村守江君 これはおいでになつたかたがたの御意見を伺うことになるかも知れませんが、山口県の岩国市の教育委員会公聴会の決定はよくわかりました。わかりましたが、やつぱり理窟から言えば、やつぱり決定されたような通りだと思うのですが、実際問題として、教育的に指導すべきものでない、むしろ市の教育委員会でなけなしの金で代りのものを買つてやるというような大きな犠牲までして、代償金を出そうというような恰好までなつていることから見ると、やはりこれは教育的にはその旧記というものは思わしくないということになると思うのですよ。そういう思わしくないというものを、回収という言葉になるとちよつときつくなりますが、何らかの方法でやはり子供の手から放させるというような方法が教育の効果がよりよくなると思われるのですが、どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/29
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030・荒木正三郎
○荒木正三郎君 それは調査に行つた三人各様の意見が、或いは見解が私は出るかと思います。従つて私の見解を述ベろということであれば、私はいつでもお述べいたしますが、これは私の見解です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/30
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031・木村守江
○木村守江君 私は別にこれが共産党教育だとは言わない。赤い教育だとは言つてないのですが、これはいずれにしましても、教育委員会としても思わしくない。校長会としても思わしくないという結論だと思うのです。そういう思わしくないというような結論に行つたものを回収するということが、教育的に子供たちの感情に及ぼす影響か大きいということから、子供たちの手に残しておくというよりは、実際問題として子供の手から離すというほうが教育的効果が大きいのではないか。そいつとは全然別個のものとしても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/31
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032・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私はこの日記問題について、どういう見解を持つておるか、というのは、それによつて事後の処置が変つて来るわけですから、私の意見を述べても。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/32
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033・川村松助
○委員長(川村松助君) どうでしよう。今日は報告を承わつておくだけにしては如何ですか。意見の交換は必要ならば改めてやろうじやありませんか。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/33
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034・荒木正三郎
○荒木正三郎君 須藤君からの要望もあつたことに関連して、ちよつと文部省に資料の提出を要果しておきたいと思います。
今日私の手許に配付されました資料の中に、偏向教育の事例というのがございます。これによりますと可なりの点に亘つてその事例が挙げられているわけですが、これについては私は非常に重要な内容を持つていると思うんです。そこで十分に知つておきたいと思いますので、文部省がどういう方法で調査されたか、それを一つ一つの事件について明白にしておいて頂きたいと思います。例えば文部省が面接係員を出張さし、調査したのか、或いは教育委員会の報告に基いてここに挙げられたのか、或いは警察の手を通じて調査されたのか、或いはその他の方法、新聞とか、或いは父兄とかその他の方法によつて調査されたのか、その調査の実際を一つ一つの事例について一つ明白にして頂きたいということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/34
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035・須藤五郎
○須藤五郎君 この前の委員会におきまして法務大臣の出席をお願いしておきましたのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/35
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036・川村松助
○委員長(川村松助君) この問題につきまして理事会で協議いたしましたが、報告を聞いてからお互いもそれに基いて質問をする箇処が出て来るかも知れない。ついては一応報告を承わつて、それから後にしようじやないか、こういうわけで取止めになりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/36
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037・高田なほ子
○高田なほ子君 重ねてくどいようですが、御要望申上げますが、私も荒木さんと同じようなお願いなんですが、実は一度偏向教育の事例で、文部省側にどういう資料でそういうものを出したと言つたら、新聞の事例によつて出した、それから行つて御覧になつたのか、実は行つていないのもあるし、見たのもあるというふうにして、主に新聞の事例によつたのだという答弁をしておられます。それでその新聞の事例というと、どの新聞の何月何日の新聞かということをはつきりと資料を添えて出して頂くということを重ねてお願いいたします。ただ新聞というだけでなくて、それを詳しくお願いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/37
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038・荒木正三郎
○荒木正三郎君 これはできるだけ早くやつてもらいたいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/38
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039・川村松助
○委員長(川村松助君) ほかに御要望はございませんか。それでは本日はこれを以て散会いたします。
午後零時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X00819540313/39
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