1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月十五日(木曜日)
午前十時四十一分開会
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
剱木 亨弘君
加賀山之雄君
荒木正三郎君
相馬 助治君
委員
雨森 常夫君
木村 守江君
田中 啓一君
高橋 衛君
中川 幸平君
吉田 萬次君
杉山 昌作君
高橋 道男君
岡 三郎君
高田なほ子君
永井純一郎君
石川 浩一君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
野本 品吉君
国務大臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
政府委員
公安調査庁次長 高橋 一郎君
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工樂 英司君
説明員
文部省初等中等
教育局地方課長 齋藤 正君
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本日の会議に付した事件
○役務教育諸学校における教育の政治
的中立の確保に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○教育公務員特例法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。教育公務員特例法の一部を改正する法律案と義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案の御審議を願います。野本君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/1
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002・高田なほ子
○高田なほ子君 その前にちよつとお願いをしたいことがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) 野本君御異議ございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/3
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004・高田なほ子
○高田なほ子君 実は私は過般来から文部省提出による偏向教育の事例、これに関しまして新聞の資料、この資料をわかる範囲可及的速かに資料として提出して頂きたい、こういうことを委員長さんを通しまして申上げておきましたのですが、その後の経過、又いつ頃それを出されることになるのか、それについて。あのね、先生もう一度申上げます。新聞の資料、それは国会提出の二十四の偏向事例の、どこから出たかというようなことで、新聞から取つたというようなことだつたからその新聞を資料として出してもらいたい、何新聞から取られたかということを申上げておいた、今日なおまだそれが提出されておらない、どういうふうになつておりますか、お願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/4
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005・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと速記とめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/5
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006・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を付けて下さい。高田君にお答えいたします。今日の午後までに提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/6
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007・須藤五郎
○須藤五郎君 私から提出要求をしてある資料に関しては如何なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/7
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008・川村松助
○委員長(川村松助君) 何でしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/8
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009・須藤五郎
○須藤五郎君 民主主義と非民主主義という文部省出版のものと、それから反動教育に対する資料。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/9
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010・川村松助
○委員長(川村松助君) 今日の午後出します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/10
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011・須藤五郎
○須藤五郎君 全部ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/11
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012・高田なほ子
○高田なほ子君 委員長の御答弁も了承いたしますが、併しこのような長い時日を要しながら今催促をいたしますると、文部省側が大臣を初めとしてこそごそとしていらつしやつて、そうして午後に出しますと、私は誠にこういう点は遺憾だと思うのでございます。今後こういうことがないようにお出しになるものでありましたら、こういうことを催促され、又そういうようなこと、今日のような状態のあとに出すということではなく、早速誠意を以てお出しを頂けますように是非お取計い願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/12
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013・川村松助
○委員長(川村松助君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/13
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014・野本品吉
○野本品吉君 先般加賀山さんから文部大臣に対しまして、各界でいろいろとこの問題について意見が発表されているが、それに対してどうかということの御質疑がございましたが、これは非常に大まかな質問であつたと私は思つておりました。この法案に対しまする権威のある、相当権威のあります、そうして責任のある各界から発表されました声明は我々といたしましても相当耳な傾けて慎重に考えなければならない問題でありますので、私はそれらの各界の人たちの声明の要旨につきまして大臣の御意見をお伺いしたいと思います。先ず個々のことをお伺いする前に、各界と発表されました主な点につきまして一応申上げてみたいと思います。
東京教育大学の文学部では次のように発表しております。純然たる学問研究の成果に基く発表が義務教育諸学校の教員を通じて児童生徒に伝えられる場合、それが特定政党の支持或いは反対の教唆扇動と解釈され、罰則をも適用される慮れが多い。更に信濃教育会は教育の政治的中立性に名を藉りて基本的人権々剥奪し、教育の自由を侵害し、権力によつて時の政治勢力に属従し、教育の権威と自主性と大喪失せしめるに至ることは明白であると言つております。
全国連合小学校長会は、自由と真理を希求する人間を育成せんとする民主的教育を阻書し、教育の自主性を一方的に拘束しようとするものである。中立性の名の下に却つて教育が不当な支配に甘んじなければならないとすれば、それはやがて民主教育の危機を招くものと考える。
全国大学教授連合は、良識ある公民として必要な政治的教養を育成するための教育が、対立し抗争する現実政治の渦中に巻込まれ、政治的中立性を失うことは戒めねばならない。政府や国会が権力と処罰とによつて強制しようとするならば、教育を、教育基本法第十条に言う不当な支配に服せしめる結果を拓くだろう。
日本教育学会は、実践と密接な関係を持つ教育学の研究結果の発表に脅威を与え、真理よりも行政者の判断に重きを置く過去の誤謬を再現する傾向を助長し、教育の実践両においては教師を消極的にさせ、青少年の民主主義的態度を萎縮させる結果をもたらす。
歴史学研究会委員会におきましては、政府の意図とする政策を思い通りに遂行するために、それを批判する一切の行為を、教育活動から除去しようとするところに重点がある。
都立大学人文学部教授会は、政府は教育の政治的中立の維持を立法の理由としているが、このような立法こそ却つて教育の中立を侵し、民主的な憲法の擁護と人権思想の普及とを目指す教育の根本精神を破壊するものである。
法政大学の法学部、社会学部は、憲法に保障された市民的自由を著しく侵害し、教育者の良心的な任務遂行を困難にすると共に、純然たる学問的研究の成果の発表に対しても、不当な圧迫を加える結果となる虞れがある。
かように発表しておるのであります。これらの意見は先ほど申しましたように、相当権威ある、又責任のある団体の発表でありますので、私は大臣がこれらの各界の発表に対しまして、政府としての見解を明確に発表することが、大臣としても必要であろうと思いますし、又我々としてもこの点について明確を期するように努力しますことが議員の本務でもあると考えておるわけであります。
そこで以上申上げました点を要約いたしますというと、純然たる学問研究の成果の発表が、刑罰の対象となる虞れがある。
第二は教育が時の権力に屈従を強いられて、その権威と自主性を失う。
第三は、教育の自主性が一方的に拘束されて、教育が不当な支配に甘んじなければならない。
第四は、教育が、対立する現実政治の渦中に巻込まれて、不当な支配に屈する結果を招く。
五番目は、政府の政策を批判する一切の行為が、教育という場から除外されてしまう。
第六は、民主的な憲法擁護と、人権思想の普及を目指す教育の根本精神が破壊される、ということに要約されると思うのであります。
私は以上の諸点につきまして政府の所信を明確に御発表願いまして、一つには、これらまじめに発表された各界に対する答えとすると共に、この法案を審議する我々にとつての有力な手がかりといたしたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/14
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015・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) お話の通りこの二法案に対しまして、各方面、殊に教育関係の諸団体等において反対意見が発表せられ、又私どものほうに決議書として手交せられておるものもあります。文部省といたしましては、この二法案の趣旨とするところにつきまして、できるだけその趣旨を明らかにするように配意しておるのでありますが、まだ十分その趣旨が徹底しておらないように感じますことは、誠に遺憾に存じます。只今野本さんの、これらの教育関係諸団体の反対理由として掲げられておるところを要約してのお尋ねでありますから、できるだけ簡単にこの二法案に即して私の意見を申上げたいと存じます。
第一は、純然たる学問研究の成果の発表が、この法律によつて教唆扇動として罰則の対象になる虞れがある、こういう点であります。この法律案は、義務教育諸学校において、その教育の場において、一定の、特定の政党を支持し、或いは反対するための教育、こういうことを教えるようにということを、教唆扇動ということを取締るのがこの法律案であります。この場合に各学界、或いは学者等において学問研究の成果が発表せられる、これはその内容が、その結論がどういうことでありましても、勿論当然なことでありまして、この法律案とは関係のないことであります。ただこの、いわゆる学問研究の成果として発表せられる内容が、特定の政党の立場、或いは特定の政党の主張と全く合致をしておる、こういう場合があり得ると思います。そういう場合に、これが学校に対して支配力、事実上の影響力を持つておる教員団体という、そういうパイプを通して、さような教育をなすべきことを教唆扇動した、なすべきことを差し示した、こういう場合には、これはこの法律案によつて罰則の対象となるのであります。純然たる学問研究の発表、これはこの法律に何ら関するところではないのでありまして、これを学校において、さように教えろということを、特定の団体の活動、或いは組織を通して行う、而もその内容が特定の政党の立場、主張、その性格というものと全く合致をしておるような場合、こういうことに限られるのであります。学問研究の成果を発表することは危険だから困る、こういうことは全くあり得ないと私は思います。業間研究の成果を小学校の子供に教えなければ成果の発表にならん、こういうことは当然あり得ないと思います。従つて何らこの法律に関係する問題ではないと思います。(「答弁にならない」と呼ぶ者あり)
次は、教育が時の権力に強いられ、その権威と自主性を失う。これは極めて抽象的な反対論でありまして、観念的でありますので、具体的にどの点が権力に教育を属服させることを含んでおるかという点が実は明らかでありません。これは御承知のように、文部省或いは政府の行政的な権能に何にも加えるところはないのであります。行政権には一歩もプラスになる点はないのであります、ただそういう一定の行為をすれば罰則に触れるということを規差しただけでありまして、行政的の権限に何ら加えるところはない。従つて、この法律案が成立した場合に、時の権力というものに屈服させられると、こういうことは私は考えられないと思つております。
その次は、教育の自主性が一方的に拘束され、教育が不当な支配に甘んぜなければならん、こういうことでありますが、この点につきましても、一方的に拘束されるはずではないのでありまして、一方的に偏つた教育をしないようにしたい、こういうのが法律案の趣旨であることは明瞭であります。これが一方的に拘束される、従つて或る特定の不当な支配が及ぼされるということは、私どもとしては考えられない。むしろ教員の自主的な立場というものが、今日におきましては、ややもすれば、外からの教唆扇動といいますか、そういうことによつて自主性が損われておつて、現状こそ不当な支配が及ぼされておると、かように私どもは考えております。従つて、この中立性確保に関する法律案の成立は、この非難と逆に、教育の自主性を保持し不当な支配を排除するゆえんであると、かように考えております。
それからその次に、教育が対立する現実政党の渦中に捲込まれて不当な支配に屈すると、これも大体似たようなことでありますが、この法律案は、教育が現実政治の渦中に捲込まれないように、従つて特定の政党等に偏することのないようにということを目的とした法律であることは明瞭であります。従つて、この法律が出た結果現実政治の渦中に教育が捲込まれると、こういうことは私どもから言うと全く反対のことであると存じます。
それから、政府の政策を批判する一切の行為が教育から除外される、これもこの二法律のいずれを指して、かような結論が生まれるのか、私は了解に苦しむ。これは極めて抽象的で、又観念的で、具体の法律案というものに即した批評ではないのでありますから、見当がつきかねるのでありますが、恐らくはこれは教員の政治行為の制限、つまり法律案によるところの、特例法の一部改正に関する点を言つておるのではないかと思われます。これは政治行為の制限を受けます結果、一定の目的を持つて、はつきり言えば、特定の政党或いは政治団体の党勢拡張とか、団体の主張を推進するための目的を以て特定の政治行為をすることは、これは禁止せられることになります。政府の政策を批判する一切の行為が教育から除外される。これは教育から除外されるということはちよつとわかりませんが、教員がそういうことができなくなる、こういう趣旨であろうと思います。一切の行為ができなくなる、これは全く法律を誤解するか、曲解するか、いずれかと断ずるのほかはないのでありまして、現に国家公務員であるこれらの諸先生がこの決議をし、かような結論を出しておる。大学の教授先生のうちには国家公務員たる立場をとつておられるかたか非常に多いのでありまして、この人々かみずからかような政治的な発言をしておいて、そうして一切の政治的発言ができなくなると、こういうことを主張せられること自体が、私どもは不可解と言うのほかはないのであります。
それから次に、民主的な憲法擁護と人権思想の普及を目指す教育の根本精神が破壊される、これも非常に抽象的であり、観念的でありまして、法律案の具体的な条文と関連しての非難でありませんので、これもちよつとどの点がそういうことになるのかわからんのであります。何故にこの法律の結果民主的な憲法擁護と人権思想の普及ができなくなるか、或いはさようなことを目指すところの教育の根本精神が破壊される、こういうことに結論が生れるのか、これはかような決議をし、かような非難をされる先生がたに、私のほうから何故にそういうことになるのか教えを請わなければ、ちよつと返事のしようがないと、かように思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/15
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016・野本品吉
○野本品吉君 只今の質問は極めて抽象的でありましたために、大臣のお答えもおのずから抽象的にならざるを得ないのでありますが、これらの声明と又大臣のお答えとを勘案いたしまして、更に具体的に法案の審議の際に御意見を承わりたいと思いまして、その点につきましては以上で終つておきます。
次に、これはちよつと皮肉なような質問でありますが、私はこの点を心配するので申すのでありますが、私はいつも考えておるのですが、日本の国の各省と申しますか、農林省には、農林漁業の団体が農林省と協力していろいろ農政の推進に協力しておる。それから通産省は商工業者の団体がある。そういうことを考えますときに、やはり日本の国の文教というものを強力に推進し振興させるためには、文部省というものを中心と言つてはどうか知りませんが、文部省がやはり各界、特に政治方面からも強い協力と支援を求める必要があろうと思う。若しもこの二つの法案の成立によりまして恒久的にいわゆる政治活動というものが完全に封殺されてしまつたあとの状況を私は思い浮べるのであります。私は教育者及び教育に深い関心を持つ人が、有能な教育に理解と熱意を持つておる代表を国会に送るようにすることが、日本の文教の振興、刷新、あらゆる面において非常に大事なことだと思うのでありますが、この二法案の成立によつて、そういう教育を推進しようとする熱意を持つております人たちが政治に進出することの機会が非常に少くなると申しますか、その力が弱くなるというような結果が、将来におきまする日本の文教の政策の推進を弱体化させるのではないかと、そうして大臣が熱心に考えております文教の刷新、振興という点にマイナスな結果を及ぼすのではないかというようなことも、実は心配になるわけです。これらの点につきまして大臣はどういうふうなお考えを持つておられますか、一応承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/16
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017・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は教育に対する一般の理解が高まり、又教育に関して見識を持つておられる有能なかたがたが国会にも送られるということは、一国文教の振興の点からみて誠に望ましいと考えております。併しながら公務員の身分を持つておられる教職員の諸君が実際の選挙運動に没頭せられ、そうしてそれぞれ一党一派に、これは当然いずれかの政党というものを背景にして、そうしてこれに選挙運動をされる、こういうことはどうしても同じ人間のことでありますから、さようなことが熾烈に行われるということになれば、どうしてもその先生自体が熱心な政党員となり、又政党の支持者となる。これは免れない結果であります。それが自然やはり学校の教育の上に反映をして、そうしてややもすれば偏つた教育が行われがちになる。これも一般的にそういうことが判断し得ることであろうと思います。従つて教職員の諸君がどの政党を支持し、どの政党を是なりとされるか、これは当然のことであります。従つて選挙に当つてどの政党の候補者、又は教育に深い理解を持つておられると考えられる候補者に投票せられるということも、これも当然なことであると思います。併し先生自身が政治の渦中に余り没頭されるということが、どうしてもその担当する公務である教育の上に偏向的な傾向を生ずる虞れがそこに生ずる。これは否むべからざる事実であろうと思う。これはひとり教育だけに限りません。すべての国家の公務を担当する人人はやはり同じことがいえるのでありまして、全般に国の行政活動、あらゆる面における国家活動というものが活溌に健全に行われてこそ、国家国民の繁栄向上ということは期待されるのであります。この場合に各行政を担当しておるところの公務員も同じ制限を現に受けておるのであります。又地方公務員たる教育職員につきましても、やはりその地域内においては、その選挙活動というものは厳に制限をせられております。その制限をせられる根拠はやはり同一な理由から来ておるものであると思います。従つて教育についての深い理解を持ち見識を持つ立派ないわゆる選良が国会に送られることは、これは極めて望ましいことで、これは無論教育については特に私は望ましいことであると思います。併し国の活動のあらゆる分野において、立派な見識を持たれるいわゆる立派な国民の選良が国会に送られるということは、これは程度の違いがあり、人々の立場によつて考え方は多少の違いがあつても、その点は同一であると思います。その場合にそれと、それから教職員が非常に奔放自由な選挙活動を許されていいかどうかという問題とは、それは関係なしとはいえませんけれども、制度の上からいえばおのずから別の議論になり、又一面においていい点がある代りに、又弊害もそこに生ずる虞れがある、こういうことも考えられると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/17
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018・野本品吉
○野本品吉君 次に私は先般頂きました公安調査庁の提示されたという「教育研究大会における日共グループの活動状況」、この資料を中心といたしまして若干お伺いいたしたいと思つております。
私が特にこの資料に基きましてお伺いしたいと思いますのは、何遍か繰返し繰返しこの資料を私は読みますと、法案の提出が適当であるかないかということの判断の上に、又いわゆる偏向教育に対する我々の見方の上に、それから非常に問題視されておりまするいわゆる日教組に対する認識の上に、いろいろと関連の大きいものがありますので、特にこの資料を中心といたしましてお伺いいたしたいと思うわけであります。
第一には、この資料だけで私は限定して申しますが、日教組で開かれました高知における教育研究大会或いは静岡における教育研究大会等におきまする、天下の公党として私も尊重はいたしておりますが、日本共産党の活動状況その他であります。そこで私が特にお伺いしたいと思いますのは、例えば昭和二十八年一月二十五日から四日間、高知におきまする教育研究大会の際における日教組の相当活発な活動の状況がこの資料に現われておるわけであります。例えて申しますならば、いわゆる第八分科会における「平和と生産のための教育の具体的展開」、この問題につきまして共産党で事前におきましていろいろな指示と申しますか、指導をしておる。それから具体的に申しますというと、この全国大会において特に「第八分科会のテーマは平和の問題がボケており、危険な生産教育への傾きが強く出てきているので、このあやまりを正し、平和と独立の教育理論と実践の線を明らかに貫き通すことが重要である。われわれの責務は、大会を成果あらしめるために、植民地教育支配を全国教員の力で押しのけ、この大会を平和と民族独立の方向へ大きく前進させることである。」というような点がここに大きく出ておるわけであります。
それからして、なお「全国教員グループ会議の開催」というようなことが記されておりますが、この会議で「大会を反米にかり立てる。」或いは「組合運動は人民政府の母体たり得心ことを強調する。」というようなことが言われておるわけであります。それから更に「第八分科会における日共グループ及び統一委の活動状況」という項目によりまして、「二十六日、第一分科会においては義務教育費全額国庫負担に伴い教職員を国家公務とする政府案を取上げて、特別分科会を構成し討議に入つた。日共グルーブは前記の決定にもとずき、同日はこの分科会に全員集中して政府案に攻撃を加え「この法案の裏にはわれわれの政治活動を封鎖しようとする不純なものが含まれている。」「吉田内閣の文教政策は一部資本家の利益のためである。」「今こそ反動勢力に対し起ち上らなければならない。」など活発な論議がされて、結局この結果といたしましていわゆる平和と独立への教育というようなことが基本的に決定された。この論議の途上におきまして私が注意しなければならんと思いましたのは、「日教組中央執行部はこの大会に日共の策動が行われることを防ぐため、大会前日の二十四日、各都道府県教組文化部長、講師団を集めて大会運営方針を協議したが、教研大会である以上、あくまでも真面目な研究大会に終始、純粋な教育的成果を期待すべきであるという執行部の主張と、業務教育費国庫負担問題ならびに第三勢力論を中心とした世界平和勢力の捉え方の解決という重大な政治的上課題に真向から取組まざるを得なくなつた以上、政治的イデオロギーを明確にすべきである。という日共グループの主張が激しく対立した、」遂にこのグループの主張に押切られたということがこれに明らかに打出されておるわけであります。
更に高知大会合の成果といたしまして、日教組内における日共グループ全国大会の開催がこの機会に初めて確認されたこと、日教組の公式大会において日共グループが効果的に活動したこと、日教組内における統一委員会が全国教育戦線統一委員会という名称の下に初めて鋭鋒を表わし、その活動力の一端を現実に示したことというようなことが高知大会における効果として挙げておるわけであります。
更に静岡の大会に関しまして、この資料によりますというと静岡の大会は高知大会において決定しました平和と独立への教育の問題が中心テーマとして論議されており、そしてその大会の事前におきまして高知大会におけると同様ないわゆるグループ活動というようなものが行われており、これ又相当の成果を挙げたということを認めておる、こういろいろな角度からこの資料に示されておるわけであります。私はこの資料を仮に正しいものとして受取りました場合に、先ほど申しましたように法案の審議、或いは偏向教育の問題、或いは日教組の問題等につきましての我々の認識の上に非常に有力な資料であると、こう考えたわけであります。特に例えば第三勢力論を排撃いたしまして、そうしてソ連、中国、北鮮こそ実力ある平和勢力であるというふりな点がはつきりと確認され、又そういう線の上にいろいろ考えるべきであるというようなことが話合われて来たということ、そこで私がお伺いいたしたいことは、第一点は、私はこの資料を通しまして日本教職員組合というものがややもすれば全国民から日教組は赤だというような見方をされており、又簡単に日教組が赤だと宣伝しておる人もあるのでありますが、私は日教組が日教組の主体性というものを確立するためにいろいろな面においてなかなか苦労をされておるのだということを、これは従来からも存じておりましたけれども、特にこの資料を通じてその点を確認したわけであります。
そこで私は文部大臣にお伺いしたいのでありますが、日教組が直ちに共産党の、いい悪いは別としてそのものだというようなことに対しましては、世間一般の誤りを正して行くことが私は日教組のためでもあり、又五十万教職員のためでもあり、それが又教育のためでもあるというふうに考えるわけであります。この点についての大臣の御所見を改めてお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/18
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019・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は日教組内におけるいわゆる共産グループの状況、そうしてその共産的な人々と日教組の内部におけるそうでない人々の間の論争せられ、いろいろ争つておられる、さような状態については実は全然知らないのであります。私どもも今度の国会に資料として提出せられた国警本部なり公安調査局の資料によつてその一端を知ることができたのでありまして、これは私どもはつまびらかにいたしません。又私ども文教の立場の者といたしましては、これと関係なしということはできんと思いますけれども、これを直接どうしても承知しなければ私どもとしての考えが成り立たない、こういうものでも実はないのであります。ただ私どもの関係方面から提出せられました資料というものを見まして、そうして日教組が表向き打出しておるところの教育に関する各種の方針というようなもの合せて見ますというと、そこに非常に符号しておるといいますか、一致しておる点が非常に多いということ発見するのであります。その点から申しますというと、やはり日教組内における共産グループというものの教組内におけるその人々の政治的勢力の如何は、これ私ども存じません。併し日教組の掲げておる思想というものには相当な影響を持つておるのではないか、こういうふうに実は判断をしておるのであります。又今日いろいろと伝えられおるところの学校に現われた偏向的な傾向、それに具体的に現われておる事例を拾つて見ますというと、これ又それに一致しておるのではないかというものを非常に発見するのであります。その間の因果の関係は具体的にはわかりません。わかりませんけれども、表面現われた現象についてだけ見て、その相互の間に関連なしとは判断し得ないのであります。私は日教組の職員が日本の教育のために鋭意努力をしておられるということであれば、これは結構であると思います。併しこれが一部の政党の、そこに潜入すると申しますか、これを利用せんとする政党勢力というものがこれに及んで、そうして教員団体である日教組というものが激しい政治的な傾向を持つておる。それをはつきり打ち出しておる。又実際の行動においてその道をとつておる。これは私は甚だ遺憾に思うのであります。今日日教組というものはいわゆる職員団体、一口に考え方から言うと労働団体として発足しておるものと思います。併しながら如何なる労働組合、労働団体においても、その労働者の職場において相当する仕事にまでその団体の決議、団体の方針を打ち出してその仕事を左右せんとする労働団体は余りないのである、こう思うのであります。然るに日教組はいわゆる労働者の生活条件の、或いは労働条件の改善向上ということ以外に、その担当する職場の内容に立入つて決議をしておるのであります。私はいわゆる教研大会等において教員が集つて、そうして切瑳琢磨してお互いに報告し合つて、教育上の効果を報告し合つて、そうして少しでも教育の効果を挙げるようにお互いに切瑳琢磨されることは非常に結構だと思う。併しながらこの教研大会で決議をしてさような方向に教育をすべきものであるというふうな決議をされることは私は実は不可解である。これは私から言わせれば決議を以ていわゆる各個の教職員の教育上の自主性に対して不当な支配を及ぼすものである、かように考えておるのであります。これは私の極く希望を言えば、真に教育者の団体として日本の教育を改善向上するためにそういう在り方になつて欲しい、又いわゆる教職員の、職員組合としての真面目に立返つて一党一派から、これは或いは不用意に、或いは知らないうちに乗せられておるのではないかと私は思うのでありますが、さような政治的な動き方に左右されることのないように自重をして真に日本の教育の将来の上に輝かしい実績収めるような方向になつて頂きたい、これを私は切にいつも念願をしておるのであります。今日のこの法案も、ややもすれば教職員に対して非常な圧迫を加える、或いはその動きに対して不当な制肘を加えるというふうにとられておることは私は残念に思いますが、私の願うところは教職員諸君にしても或いはその団体である日教組にしても、真に日本の教育を立派なものに作り上げて行く、さような意味で健全なる、他から見て正常な軌道に乗つてもらいたいことを念願をしてこの法律案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/19
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020・野本品吉
○野本品吉君 そこで次に公安調査庁のかたがお見えだそうでありますから、次の点についての所見を本当に率直にお伺いしておきたいと思います。
第一の点は、日本共産党の全国教育宣伝統一委員会の全貌。
第二に日教組の内部におけるグルーープ活動、それから統一委員会の状況。
第三は日教組に対する日本共産党の影響力の消長と今後の見通し、一応この一つの点につきまして御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/20
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021・高橋一郎
○政府委員(高橋一郎君) 公安調査庁は、御承知のように破壊活動防止法に承いて仕事をやつておりますので、当面の対象は労働組合ではなくして日本共産党なのであります。それで日本共産党を調査しております関係で教職員活動或いは日教組に対する関係なども触れて参りますので、その限りにおいて承知しておりますことをお答えしたいと思います。
お尋ねの順序を変えますけれども、教職員活動乃至日教組に対する日本共産党の影響というものをどういうふうに考えるかという問題であります。
現在具体的に日本共産党が日教組の中に勢力を及ぼして、日教組全体をして党の方針に近付けようというための方法としましては、日教組内部におります党員をしてグループという責任を負わして、このグループの活動によりまして組合の枠の中でその組合を日共のほうに近付けておるのであります。その又一つの中立ちとして統一委員会というものを設けておるのでありますが、そのグループ活動の具体的な例として提出いたしました資料があるわけであります。この内容は、私どもが調査活動の必要から承知しておりますことでありまして、判断はともかくといたしまして、事実としましては御信用下さつて差支えないものと考えております。
ただ、今のようなグループ活動によつて日教組自体が日本共産党に影響されておる問題と、もう一つ私は見落してはならない重要な問題として、教職員の教壇利用ということについて、結局渕源は日本共産党に遡るのでありますけれども、恐らくやつておられるかたがたは必ずしもそう意識しないで、而もそのような方法をとつておられる場合が非常に多いのではないかということを申上げたいのであります。
私どもが一番問題にしておりますのは、今の教師という身分を利用して教育を行う、いわば教壇を利用するという方法でありまして、これが日本共産党が言ういわゆる業務管理方式というものであります。この業務管理方式を非常に重視しておりますので、簡単に業務管理方式というものを我々は如何に考えているかということを申上げたいのでありますが、結局資本と労働が争います場合に、いずれも自分の処分し得る権限というものを引込めることが、これが現在の憲法下における民主的な争議の在り方であろうと思います。従つて資本家が資本、或いは経営というものを引込めるのがロック・アウトでありますし、労働者側が労働の提供を拒否するというのがストライキになるのであります。ところが業務管理方式というのは、労働者側がこの資本の化体した設備を占領しまして、これを闘争の具に供するというのでありまして、全く現在のいわゆる憲法の保障する団結権、団体交渉権といつたような枠を出ている実力闘争主義なのであります。これが若し国鉄労働組合でありますと、組合が自分でダイヤを組んでこれを動かすということになります。それから電産がこれを用いたならば、いわゆる狙い撃ち停電といつた現象が生ずるわけであります。ただ幸いにして国鉄や電産などでそのような広汎ないわゆる業務管理方式というものは、組合内部にこれを抑える力が当然働きますから、従つてこれはできません。ところが教壇利用の場合には、必ずしも全国一斉にやらないでも、個々の教壇を利用するという形で非常に行われ易い形態をとるのであります。
この業務管理方式というのは、元来は革命の決定的な段階でいわゆるソヴイエトを組織しまして、そうして工場の生産を管理するとか、官庁の業務を管理するとかいうような形で一般的に現われるものでありますけれども、勿論現在はそのような情勢でもなければ、又共産党のほうでそういうふりに考えてやつておるわけでもない。併しこれを利用するのは、できるだけいわゆるそういう闘争の枠を拡げようという一貫した方針でやつておることと、もう一つは、こういう闘争をやる間に、労働者の革命意識を高揚する、それをやつて行きますと、必ず制限を受けます。制限を受けるというと、そこでどうしてもそれをぶち破らなければ事態は改善されないのだというふうに思い込ませることによつて、労働者を革命化するという方法が便法として現在行われているのであります。
この方法は終戦後に徳田球一その他によりまして広汎に主張されて、御承知のように非常に広く実際に行われたのであります。必ずしもそれは成功したかどうか、(野本品吉君「時間がないようですから、簡単で結構です」と述ぶ)それでそれが一時火炎びん戦術なんかに向いまして、(「馬鹿言え」「でたら目言つてはいけない」と呼ぶ者あり)その後火炎びん戦術の行過ぎを批判したときに、いわゆる一昨年の七月、徳田論文というのが出て批判しているのであります。そのときに又業務管理方式というものを言葉を費して思い出さしているわけであります。又そういう業務管理方式をとるかとらないかということが非常に問題であろうと思うのでありますが、共産党のほうはそのグループ活動の指導をやつております。日教組中央グループ指導部の決定で、一昨年の十二月の日教組グループ当面の活動方針の中で、民族の解放と平和を目指す学校の自主管理という項目の中で、学内の授業、行事等の一切の運営を、教師と生徒、児童と父兄の手で自主的に管理するという活動を作り上げて行かなければならないということを申しております。
それから昨年十月の教育労働者断面の要求草案の中では、教え子たちを平和と独立と民主義的自由のため青少年を教育するという使命を果して行かなければならないというふうにしまして、我々はこの要求を闘い取るために次のような組織活動を行うことが必要である。その最後に学校の自主管理として、その中でいろいろ自主管理の例を挙げておりますけれども、自主的な教科課程を作ること、あらゆる教科の授業、学芸会、音楽会、課外指導等で、平和と独立と民主主義を貫く教育の闘いは各地で広汎に展開されておるというふうに申しておるのであります。このような指導が行われております一方、例えば山口県の平和日記のごとき問題を生じておるのでありますが、この山口県の平和日記に関しまして、昨年の九月四日の日教組中央グループ指示百一号において、自主的な教育実践の記録、報告、資料、例えば山口県教組の平和の日記を集めて九月三十日までに教育労働新聞、これは全国教育戦線統一委員会の機関紙の教育労働者の発行所であります。そこに送付することというようなことを申しておるのであります。即ち山口県の平和日記のごとき自主的な教科課程を作つて教育を利用して党の政策を実施するというような業務管理方式というものを宣伝するのでありまして、この平和日記などは、その党の方針に合致しておるというふうに認めておるといわなければならないと思うのであります。このような業務管理方式というものは、終戦後の、先ほど申しましたような広汎に行われた当時の影響が未だに残つておりまして、必ずしも共産主義者でないというように考えておられる人たらでも非常に放漫にこの方法に慣れておられるのではないか。例えば日共組の第六回定期大会の決定の中に、平和と独立のための教育内容の強化、教育の場を通じて父兄、生徒の啓蒙を行うとか、或いは平和教育を日常教育活動の中で具体的に展開する、或いは科学的な歴史教育、生活に密着する綴方教育を推進し、自主的教育を確立する、こういうふうなこと言つておられるのでありますが、これはこの場合に教える内容がいわゆる社会民主主義であるとか、或いは共産主義であるとか、そういう内容の問題ではなくして一つの政治目的を持つた内容を直接教育を通じて、教壇を利用して教えるという方式自体が、これは日本共産党の業務管理方式に通ずるものであるというふうに見られるのであります。私どもはこの決定によつて判断しておりますので、果してそういうふうな意味で書いておられるのかどうかその点はわかりません。わかりませんが、一応そのように理解できるのであります。
それからグループ活動の全貌ということにつきましては、私どもこれは直接日本共産党の党員の問題でありますから相当調べてございますが、その数や何かはまだ精密にここで申上げる、正確な数字を申上げるということはできません。ただそう多数はいないのではないか、まあ数有名という言葉で表わし得るのではないかというふうに考えておるのであります。統一委員会の実情というものは、私どもの調査も十分手が伸びておりませんので、ここ具体的に申上げるはどのものはございません。国警のほうの資料にも統一委員会については若干資料が出ておるようあります。私どもは国警のほうとしよつ中情報交換しておりますので、大体それによつて御承知願いたいというように考えて心ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/21
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022・野本品吉
○野本品吉君 最後に、大変時間をとつて失礼ですが、皆さんお許しを願います。
静岡の大会の資料として、教育の中立性に関する特別委員会、これは日教組のほうとしては初めそういう特別委員会を設ける予定ではなかつたけれども、ここへ落着けられたといいますか、引付けられてこういう特別委員会が設けられた。この特別委員会の決定事項の中には、私は政治と教育の問題で見落すことのできない極めて重大な点があるので、あえてお伺いするわけです。それは、それの二番目、三番目です、この資料の数字の。「幼児のための保育施設、精神薄弱児童のための特殊学校、昼間勤労する青年たちを温く迎える正規の高校等を増設し、すべての子供たちにひとしく能力に応じた教育を求める運動がある特定の政党の主張と一致したとき。」それから三番目は、「個性に応じた指導を施すため、学級五十名の多数では無理であることから、定員増加の運動を行いこれをとくにある政党が支持し、この政党とともに教師が要求の実現のために闘うとき。」さようなときの教員の活動が一切禁止されるであろう、こう書いてあるのです、これには。このことは私は政治の中における教育の在り方と極めて重大な関係かあると思う。そこでそこにあります、若しこういうようなことになつて参りますと、教育というものは特定政党に、まあ教員の力というものが特定政党に結集される。その当然の勢いとして教育そのものが特定政党のイデオロギーに影響されて来る。更に先ほど問題に出ました、教育が政争の渦中に投せられる端緒ともなる、こう考えますので、この点は極めて私は重大視して見たわけです。この或る特定政党というのは私にはわかりませんが、どういう政党であるかというようなことは無理だか知りませんが、何か御感想かありましたならばお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/22
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023・高橋一郎
○政府委員(高橋一郎君) 今お尋ねの資料はこれは私どものほうの文章ではございませんので、これはどういうふうに向うで考えておるかということは推測はつきますけれども、ちよつとわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/23
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024・野本品吉
○野本品吉君 以上大変貴重な時間を長時間頂きましたが、私は先ほど来大臣及び公安調査庁の方のお話に更に再検討を加えまして今後における具体的な法案の審議の際に御質問申上げたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/24
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025・須藤五郎
○須藤五郎君 文部大臣に質すんでありますが、私たちは文部省が提出した二十四の事例に関してこれまでその出所を追及して参つたんでありますが、文部大臣は未だにその出所を明らかにしない。その状態の中で月曜日と火曜日と二日間証人喚問がされたわけです。私はそういう状態では証人喚問が無意味に終るだろうということを実は考えて前以てその点発言してあるわけでありますが、果して所期の成果は得られなかつたと思うんであります。而も二十四の事例のうち九つの証人喚問をして審査しました結果を見ましても、絶対的に事実何もなかつたという事例が相当現われたし、それからそういうことはあつたことはあつたが、そのことは偏向教育と何ら関係ないということ、この三つだつたと思うのであります。例えば京都における大将軍学校の給食の問題なぞ、PTAや学校の先生たちが協力して如何にして困難な給食問題を解決しようか、そういう給食に対する熱心な行動がそれが偏向教育だというような事例にされているということが明らかになつた。そこでなお文部大臣か素直に文部省が提出した二十四の事例はことごとくかくのごとき種類のものであつて、偏向教育の事例としてはふさわしくないのだ、全部取下げますと言つて取下げるならばともかく、なお文部大臣が所信を曲げず、証人喚問した結果がたといそうであろうと、自分はこの二十四の事例が正しい、偏向教育だという所信を、曲げないならば、私はここにおいて再び文部大臣にあの二十四の事例の出所を質し、そしてなお慎重にこの問題を論議しなかつたならば、この法案を審議する本筋へ入らないと私は考えるものであります。その点私は文部大臣になお所信を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/25
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026・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 文部省から提出をいたしました資料について証人を喚問せられて、そのうちの幾つかの事例について御聴取になりましたのは、これは当委員会の委員の各位がこの事例の信憑性と申しますか、その事実についての認識を深めるためにお呼び出しになつたと私は承知をしております。従つて、私も大聞いておつたのでありますが、まあ私のその証人の陳述に対する判断はこれは別といたしまして、委員各位のほうでそれぞれこの陳述によつて事例の真実性についての御判断があつたことと存じます。又これが偏向教育であるかどうか、これは真実性の問題とは違つて、これは法律の解釈若しくは現在の学校教育の在り方から見て偏つた教育と考えるか考えないかという各自のこれは所見の問題であります。従つてこの点は、お呼び出しになつた証人のかたがたがそういう見解を持つておられた、個人的なそういう所見を持つておられるということとして私は伺つておつたのであります。今須藤君のほうでは、これらの事例がことごとく事実無根若しくは偏向教育にあらずという大体結論に達した、従つて文部省はこれを取下けるかどうか、間違つておつたとして撤回するかどうか、こういう御趣旨のようでありますが、これは須藤君のほうは証人喚問の結果そういう御判断に達せられたかも知れません。私の判断はそれとは違うのでありまして、従つてこれを撤回するとか、そういう気持は毛頭ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/26
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027・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣がそこまで信念を持つて出した資料ならば、この資料の出所を明らかにすべきです。資料の出所を明らかにしないでおいて、私はこう思う、私は正しいと思うというような個人的な意見を固守することによつてこの法案衣裏付けようとすることには非常な無理がある。それならば誰でも勝手に資料出して、私はこう思いますといつて出す。こんないわゆる怪文書に類したようなものを当委員会に責任のある文部大臣が出すということは私は甚だ遺憾だと思います。あなたの個人的な私はこう思うというようなことでこの法案を審議して行くというのは大きな間違いだと思う。出した以上、出所はこうであつてこうこうこうだ、我々各委員が納得の行けるような方法をもつてこれを審議しなかつたら意味はないと思うのです。あなたはそういう途を塞いでおいて私はこれが正しいと思いますという独断的な考えでこの法案を裏付けようとすることに非常な無理があると思います。今日朝日新聞を見ますと、天声人語にこの二日間の証人喚問においてこの二十四の事例は偏向教育でないという大体例証があがつた、これを偏向教育だと思つているのは大臣こそ偏向的な考えを持つているんではないかというふうに批評しておりますが、正に僕な適切な批評だと思つて、読んだのです。それはあなたが如何に信念の固い人であろうとも、それはあんた個人の信念であつて、社会的な通念にならないと思うのですね。だからそこを大いに反省しなきやいかん。私たちこの二十四の事例は約六割までは国警の調査によつてなされた資料だし、私はそういうふうに大体考えているのです。私たちはそう考えるべきちやんと根拠も持つているのですが、国警の調査であるためにあなたはそれを出し得ないという苦境に立つているのと違うのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/27
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028・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は前々申上げますようにこの出所或いは一々の場合の調査方法についてはお答えを差控えたい、かように申しておるのであります。それがあなた方のほうから御覧になつて如何にもこの事例が信憑性に欠けているという一つの判断の資料にされるならばこれはやむを得ません。私が独断的にこれを出しておる、こういうふうに言われますが、私はこの資料の真実であるということについてのあなたがたの御判断を強制する意図は毛頭ありません。納得なさらないなら納得なさらないでやむを得ない。又これが本当だからあなたがたも是非そう思つて下さい、こういうことを言つているのではない。嘘だとお考ええになるならそれもやむを得ない。昨日もこの二、三日前の証人喚問の場合にもそういう事実があるとお考えになつてあの証言を聞いて判断されたかたもありましようし、それから事実無根であるというふうに判断をされたかたもありましよう。これは委員各位のそれ、れの御判断によることであり、又それぞれの判断に基く御見解によつてこの法律案の審議を願つておるのであります。私のほうで決してこの資料をあなたがどうしても本当だと思つてもらいたいということを、こういうことを言つているのではありませんから、従つて独断とか何とかいう問題はあり得ない。人の判断を強制する意図は毛頭ない。文部省の資料を出せと言われたから文部省としての資料を出した。何も須藤君にこれを無理やりに本当だと思つてもらいたい、是非納得してもらいたいということを、こういうことを言つておるのではありませんから、その点誤解のないように願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/28
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029・須藤五郎
○須藤五郎君 それは勿論あなたがこれを本当だといつて我々に差しつけたつてこんなものは蹴飛ばしますよ、こんなことは御免蒙りますよ、あなたからそんなことを強制される立場にならないのですから。併しですよ、あなた個人が本当だと思つてなお今日信念を曲げないでいても、二日間の証人喚問によつて真実でないという証拠が出て、いるのじやないですか。何もない、問題はない。それから多少それに似た事実はある、そういうことがあつたというけれども、そのあつたことは偏向教育の事例には何ら関係のないことだということが現われているのです。それをなお今日所信を曲げないで、いやこれは偏向教育の事例だといつて頑張るというならばおかしいということを私は申上げているのです。それならばあなたの独断なんです。新聞でもそういう批評です。傍聴に来た人でもそういう観念をもつて帰つているのです。だからあなたが今日なお二十四の事例を偏向教育の事例だといつて頑張るならば、もつとこれを追及して慎重審議してあなたの頭を訂正しなければならんということなんです。あなたの頭を訂正してすつきりした気持ちにして、そうして日本の民主的な文教の責任者としてふさわしい頭に僕は改造したいと思うんです。そのためには証人か喚問してこの信憑性を質してあなたをすつきりした気持にしなければ僕は気の毒だと思うから、それでこれを追及しておるのです。ところがあなたは頑固一徹で、信憑性があることは本当だと思うと言つてここで淡呵を切つておつても、それは一方的な淡呵の切り方で、そういう一方的な頭でこの法案が作成されるとなると、これは大変な問題です。あの証人喚問の中にそういう田舎のおぢさんがありましたよ。お上がお上がというようなことを言つて、そうして何ら根拠なしに、教育基本法すらも知らないで教育の中心に立つてものをやろうというようなおぢさんがあつたのですが、そこで僕はあなたに質しておるわけです。なおもあなたが所信を曲げないならば、一つ二十四の出所を明らかにして、これの信憑性を明らかにしようじやないか。私たちもこれが明らかになつて、真実これは偏向教育の事例だということがわかつたら僕は釈然としますよ。それをあなたはしようとしないでおいて事を運ぼうとするから、僕はそういうことを重ねて言つておるわけです。もう一度言つて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/29
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030・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど申上げたように、私がどう思うかということは、これは私がきめる以外にない。一方的にきめるとおつしやるけれども、私はどう思うかということは私自身がきめる以外にない、ほかにきめるものはおりません。それからさつき言つたように、それは須藤君にそれを是非そう思つてもらいたいとか、思いなさいということを言つておらん、強制されるものでないことはその通りなんです。それと同じようなことが、あなたが証人喚問の結果そういう事実はない、こういうふうに判断された、その判断を私が強制される理由はない。あなたの判断がそうであつたということは今のお言葉でわかりました。あなたの判断と天声人語の判断だけは事実無根であつたという結論であつたということはわかりましたが、併しあなたがそれを客観的の証拠であるかのごとく、あなたの判断は何の客観的の証拠ではありません。だから頭を改造してそう思わせる。こう言われてもこれは私もあなたの強制に服するわけに行かない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/30
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031・須藤五郎
○須藤五郎君 それならばあなたは男らしく出所を明らかにしなさいよ。出所を明らかにし得ないで口を噤んでそうしてそんなことを言つたつてそれは卑怯千万、曾つての大達さんともあろう人間がもつと男らしくちやんとしたらどうですか。そんな出所を隠しておいて、まあ法務大臣に叱られても出所を明らかにしなさいよ。出所を明らかにしなかつたら釈然としませんよ。それは出所を明らかにして下さいよ。どうですか。出所を明らかにできないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/31
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032・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先刻お答え申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/32
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033・永井純一郎
○永井純一郎君 私は文部大臣に一つお尋ねをしておきたいのですが、なおこの九つの事例について証人の証言を委員会が聞いた結果については、なお後日詳細に文部大臣に質したい点がございますが、今日時間もないようですから簡単に二、三聞いておきたいと思います。それは全体として大体文部大臣は証人喚問の席にずつとおいでになりましたから、どういう三十幾人かの証人の証言について感じを持たれたかということ。これは大体抽象的ですが、これを伺つておきたい。それからこの証人か率直に申上げて私どものほうから来て頂いた証人と、それから又与党の諸君が推選下さつて来て頂いた証人のかたがたが、高知県立の山田高校その他県のような場合のごとく、全然その事実無根であるということはとにかく認めておられる事件がありました。これに対してはどういうお考えを持つておられるかという点が二点です。それからもう一つは山口県からはこの県教育委員会の教育長がお見えになりました。教育長でありますから私どもは法律的或いは専門的な証言を要求いたしました。それに対してその教育長はまあ山口日記もはつきり偏向しておるこいうことは言えないという意味のことを、匂いがするということで表現をこれております。これは文部省はむしつそういう偏向があるかないかの判断をする権限はむしろないのであつて教育委員会にこそあるのでありますから、こういう証言に対してはやはり教育委員長としての証言でありますかつ、文部大臣これを尊重すべきものと私は思いますが、こういう点は文部大臣はどうお考えになるかということで、それからもう一つは山口県に山口日県の件で文部大臣はみずから出張をして行かれたということを、証人が言つておりましたが、山口県に文部大臣はみずから行つてどういうことを話して来られたのか、この点を明らかにして頂きたいと思います。それから山口日記について山口の教育委員会は文部省に照会と言いますか、助言を求めたと言つております。その助言を求めたことに対してどういう助言を与えたか、その通牒をここに資料として提出を願いたいと思うのであります、以上の点について一応の文部大臣の答弁を要求いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/33
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034・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 証言についてどういう感想を持つたかというお尋ねでありますが、私は証言について私が今まで持つております予備知識と申しますか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/34
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035・永井純一郎
○永井純一郎君 感じでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/35
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036・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私の得ております知識の上から見て、或る証人は非常に正直に言われたと思われる人もあります。又非常に言いにくそうで、どうも少し事実を曲げて苦しい言い方をしておられるのじやないかと思うような人もあります。これはまあ誰がどうということは申上げません。
それから、その次に、事実無根なりとして証言せられた事例かある。これについてどう思うかと、そういう意味ですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/36
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037・永井純一郎
○永井純一郎君 ええそうですね。そういう認めるか認めないかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/37
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038・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) その証言に承服するかというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/38
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039・永井純一郎
○永井純一郎君 それを事実無根であるかどうかということを、それをあなたが認めるかどうかは別ですが、事実無根だという証言がなされたということに対しては、あなたはどういう感じを持たれるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/39
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040・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は事実無根であると、こう言われたその証言をされたうちには、自分は聞いておりません。こういう表現を用いられた場合が非常に多かつたように思います。その人の知る範囲においては承知をせんと、こういうふうにおつしやつたのではないかと、かように考えておつて、絶対にさような事実はないのだと、こういう、まあ断言された場合もあるかも知れませんが、実はまだ速記録を一度見たいと思つておりますが、私の記憶に残つておるのは、自分はさような事実は知らない。承知しておらん。或いは聞いておりません。こういう表現のし方であつたように思います。従つて、私はあの証言が直ちに事実無根なりと断定した証言とは受取れない場合があると、こう思つております。
それから、その次には山口県の教育長が山口日記について偏向の匂いがする。こう言つたと、そうして、それは教育長というものが、法律の解釈をする立場であるから、その発言を尊重するかしないか、こういう趣旨のようなお尋ねであつたと思います。そうでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/40
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041・永井純一郎
○永井純一郎君 ええそうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/41
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042・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は山口県の教育長がこの具体の問題についての判断は、これは教育長の判断として尊重しなければならんと思います。併しながら、山口県の教育長が具体の問題についての偏向教育なりや否やということの判断、或いは更に進んで第八条二項の解釈、それに文部当局は拘束される理由はちつともない。さように考えておるのであります。
それからその次に、私が山口県にこれに関連をして出張をして何か調べたと、或いは何か言つたというようなことを証言された。これはさような証言のあつたことを私知つております。これは私自身に関係することでありますから、この証言は間違つておつたということをはつきり申上げます。但し、私は昨年の特別国会終了後一週間ばかりの予定で、私は郷里が島根県でありますが、選挙区に帰りました。これは私は選挙区に帰つたのでありますから、出張ではありませんで、私個人の用で帰りました。そのときに、こちらに帰る順序が山口県を通るように予定ができている。それで、そのときに山口県知事から是非ちよつとでもいいから県庁に寄つてくれという再三に亘つて電話で話がありましたので県庁に立ち寄りました。立ち寄つて、あれは小郡という所から乗換えるのですが、そこで降りて自動車で山口の県庁に行つて、小郡で次の汽車が出るまでの間でありますから大体一時間程度でありましよう、山口の県庁に寄つて、丁度新聞記者の諸君がおられたから、それで合同会見を申込まれて合同会見をして、そのとき教育委員並びに教育関係の人が七、八人集つておりました。そこ、約三十分程度でありますが、懇談をして帰つたのでありまして、いろいろ話は出ましたけれども、この問題について調査をしたとか或いは指示をしたとか、助言をしたとか、そういう事実は全然ありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/42
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043・川村松助
○委員長(川村松助君) 永井君ちよつとお諮りいたしますが、只今御要求された通牒の件、齋藤課長から御報告をいたしまして御異議ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/43
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044・永井純一郎
○永井純一郎君 いいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/44
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045・齋藤正
○説明員(齋藤正君) 昭和二十八年六月二十日に初中局長から山口県教育長宛てに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/45
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046・永井純一郎
○永井純一郎君 それは資料で下さい、書いたものを。読まないでもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/46
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047・齋藤正
○説明員(齋藤正君) ああそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/47
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048・永井純一郎
○永井純一郎君 そこで更にもう少し大臣に伺つて置きますが、山口県の教育長の偏向があつたかどうかということに対するあの証言については、あなたはとにかく尊重はする。併しながら偏向があつたかなかつたか、或いは法の解釈、考え方等について拘束はされないと、こう言われました。尊重はするが拘束されない。これは教育委員会から言つても同じことでありまして、あなたに教育委員会は少しも拘束されません。
そこで私が確かめて置きたいことは、拘束されるされないは別問題として、有権的な物の考え方というものはむしろ教育長のほうにあつてあなたのほうにはない。これは確かなことで、これはあなたに文部大臣の考えを確かめて置きたい。
それからもう一つは、出張されたいというあの証言は成るほど間違つておつたことは非常に遺憾だ。あなた大臣はみずからのことでありますから、私が言うことが本当だと言つてこの委員会でお答えになるから、それは私は信用しなければいけないと思いまするが、あなたと知事との約一時間のお話の中に山口日記の問題が全然出なかつたのかどうかということを私はもう一度これは確かめて置きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/48
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049・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど私が申上げた申上げ方が、成るほどそうおつしやられるとちよつと悪かつたと思います。足りなかつたと思います。私は山口県の教育長の偏向なりや否やということについての考えは尊重する。こう申しましたのは、さつきあなたがおつしやつたように、山口県の教育長という職にあるかたでありますから、その教育長が自分の職務を執行する上においてさような見解をとつておられるというそのことは尊重されなければならん。その意味においてです。文部省は尊重するとかというのじやなしに、そういう意味でありまして、丁度あなたがおつしやつたように山口県の教育長の仕事について山口県の教育長がそういう考えを持つておられることについて文部省は別に干渉する筋合いはありません。従つてそれは尊重せられるべきものだという気持をもつて、これは私の言い方が足りなかつたと思います。と同時に、又文部省が山口県の教育長そういう考え方を持つておつても、それによつて文部省の見解が左右されるものではない。こういう意味の、丁度あなたがおつしやつた意味で申上げたのでありまして、その点ちよつと申し方が足りなかつたと思います。
それから有権的な解釈云々ということでありますが、これはそれぞれの県の教育を担当しておられる教育委員会において、その県内において、その担当する限りにおいて解釈せられることは有権的であると思います。それから文部省が全体として考えることは、これは文教に責任を持つ省としてはこれ又有権的な解釈だと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/49
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050・永井純一郎
○永井純一郎君 打切ろうと思つたのですが、大臣の考え方が大分私はおかしいと思うので、文部省が法の解釈なり或いはこの運用について、特に運用についてはあなたのほうは助言勧告の府に過ぎない、特に運用の面において監督などは一切できないことになつておる、特に法の解釈なども。従つて私はあなたのほうが法の解釈についてこうであろうと思うという助言はできる。併し法は又文部省は文部省として一つの考え方を有権的に持つということは、これは今の教育委員会法の建前からいつて、私はそういうことはあり得ないと思う。これはあなたの考え方が少しおかしいのじやないかと思うのです。結局この問題は山口日記の教育長の証言に入つて行きますから、又後日私どももよく調べてやりたいと思うのですが、この点は今の文部大臣のお考えが私はやはり間違つておるのじやないかと思うのですが、どうでしよう。
〔委員長退席、理事剱木亨弘君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/50
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051・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは有権的という言葉は通常使われる言葉でありますが、有権的という言葉の解釈のし方であろうと思うのです。有権的という意味が他の諸機関を拘束する、こういう意味とは思わない。例えば人事院の規則については人事院総裁が有権的な解釈を持つておる、こう言いますけれども、それは決して裁判官を拘束するものでない、他を拘束するものでないことは明瞭であります。この場合の有権的ということは責任ある当局の解釈、こういうふうに私どもは解釈して申上げたのであります。文部省は指揮監督の権限はありませんけれども、日本の教育の在り方について指導もしなければならないし、助言勧告もしなければならん、その実状の調査もしなければならない、報告もとらなければならない、日本の義務教育学校について重大な責任を持つておるものであります。で、文部省は文部省として、これに責任を持つ地位であることは当然であろうと思います。責任ある解釈、こういうふうに御了承を頂きたいと思います。
それから先ほど答弁が漏れておりましたが、山口県に一時間ばかりおつて、そうして新聞記者に会見をして、それから知事以下県の幹部、それから教育委員の当時そこにおられた人たち、教育関係の県会議員の人々、合計十二、三人ぐらいでありましたろう、そこで懇談をしたのであります。そのときにはこの山口県の日記についての話は出ましたけれども、ちよつとでありますが。併しその日記についてこれが偏向であるとかないとか、この点がどうであるとか、日記それ自身についての穿鑿のような意味のことは別に話は出ませんでした。この日記が出たために非常に県下の教職員の間に問題といいますか、多少の動きが起つておる、何とか余り騒ぎにならんようにしたいものだというような意味の話があつたように思つております。これはこの間もちよつと何かそういうふうな証言があつたようであります。この間の証言によつてみると、校長が立場上教員組合から脱退をするというふうに前から話があつて、そのあとでこの日記の問題を取上げたというふうな証言であつたように私は記憶しております。間違つておるかも知れませんが、私が当時山口県で聞きましたのは、この日記の問題に関連して動揺が起つておる、で、余り大したむずかしいことにならないようにしたいと思つている、こういう意味の話は聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/51
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052・永井純一郎
○永井純一郎君 先ほど私の答弁に対するこの山口日記についての知事その他の新聞記者との一時間の会見の内容がちよつと違つて来たと思うのです。私はその点遺憾だと思うのですが、全然触れなかつたようなお話が初めにあつて、今のお話では全然触れなかつたわけではない、やはり日記の話は出たというふうに今あなたはお答えになりましたが、それは併し大した内容に入つたのではなかつた、困つたものだといつたような程度だ、こういうお話ですが、私は先ほどのままであれば追及もしなかつたと思うのですが、初め話はなかつたのだと言いながら、又実は少しは出たのだということでありますが、そこで私は更にお尋ねいたしたいと思いまするのは、文部大臣はそのとき自分の意見を一切お述べにならなかつたかということを私は聞きたい。あなたは自由党員である大臣でありまするから、そのときいきなり私はこう思うという指図がましい御意見がなかつたのかという点を更に念を押してお聞きしたいと思います。
それから先ほどの有権的解釈云々は非常にぼんやりしておると思います。これは私はまだ本論に入る一番先に文部大臣にお伺いしようと思つておりますが、文部大臣の考え方が教育委員会なり或いは教育基本法に基く教育というものをよく御理解がない点があるからそういうお考えになるのじやないかと思う。有権的解釈ということを極く常識的に考えて、文部大臣は責任ある解釈というような意味で言つておるんだと、こういうふうに私は常識的に理解はできますが、とにかく法の解釈についてもあなたは助言はできるけれども指図もできなければ責任ある解釈も私はできない、これをはつきりしておいて頂かないとすべての問題がその錯覚から、あなたの感覚のずれから私は起つて来るような心配があると思うので、この点をごまかしの答弁でなしにはつきりして頂きたいと思う。有権的な解釈は教育委員会にあるのであつて、その解釈について助言を与えること以外のことは権限はお持ちにならないと私は考える、これは山口日記について将来の問題になつて来ると思うので、もう少しはつきりとおつしやつて頂きたい。この二点をお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/52
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053・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私が先ほど申上げたのは、これは速記録を御覧になればよくわかりますが、山口へ私が出張してこの問題を調査し若しくはこの問題について何か打合せとか指図をした、こういうふうな証書であつたので、それは間違つておる、こういうことを言つたのであります。引続いてあなたは山口県の日記について何も話が出来なかつたかと、こうおつしやるから、先ほど申上げておるような意味の話というか報告というか、その席上でそういう話を聞いたと、こう言つたのでありまして、決してその前後矛盾しておるとは思いません。私はわざわざ指図をし調査をするために山口県に出張したんではありません。
それからそこで指図がましいことを言うたかどうかという質問でありますが、指図がましいということは、あなたのはつきり言われるように指図をする権限は持ちません。従つて指図がましいことを言うことはあり得ない。ただ教育について最後に一言大臣から一つ立つて話をしてくれと、こういうことがありました。私は山口県日記には触れませんが、どうぞ義務教育の学校を預つておられる、関係しておられるかたがたは子供に偏つた教育をすることのないようにして頂きたいと思うと、こういう意味の話を十五分か二十分しました。この話が済まんうちに実は時間ですということを直ぐ私は記者のかたに申上げたのでありますが、それだけが全部であります。決して指図がましい点、これは併し指図がましいと言えば指図がましいことでありますか、併し偏つた教育をすることのないようにして頂きたいと思うと、こういうことは申しました。別に山口県の日記を具体的に取上げたわけではありません。
それからもう一つこの有権的という言葉でありますが、これは有権的という言葉をどういうふうに永井君は御解釈になつておるか知りませんが、私は有権的ということは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/53
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054・永井純一郎
○永井純一郎君 率直に答えて頂きたい。
〔理事剱木亨弘君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/54
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055・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それの関係の役所はその責任の限度において解釈する、こういう、つまりよそからのものでなしに、責任を持つている役所が、その扱う法規について自分の責任のある限りにおいて解釈をして、それによつて行動する、それが有権的解釈という意味だろうと私は思うんです。文部省は助言もしなければならんし、勧告もしなければならん、指導もしなければならんという立場があります。その限度において文部省は文部省の解釈に従つてこれが偏向なりや否や、具体的に言うて山口県の日記が偏向しているかどうかということは文部省独自の見解に従つて解釈し、その解釈に基いて文部省は行動するのであります。勧告もするかも知れんし、助言もするかも知れん。その限りにおいて私は有権的解釈である、こういうように申上げたのである。あなた、どういうふうに有権的解釈という言葉を御使用になつたか知りませんが、私はこれには普通行政上使われておる有権的解釈ということは、そういう言葉として使用されておるものと私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/55
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056・永井純一郎
○永井純一郎君 だんだんとこじつけのあなた答弁を例によつてやつておられるが、従つて私が言うように、助言勧告等の権限があるのだからその範囲においてあなたのほうが解釈をする、それはそうだとこう言えばいいんです。いろいろ附加える必要はありません。そういう意味ですね、あなたが責任と解釈されるのは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/56
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057・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 文部省が文部省としての解釈権といいますか、立場を持つておるからこそ山口県からこれについての意見を聞いて来たものと思います。まさか山口県の教育委員会がこれは偏向しているかどうかということは、ほかの誰にも助言を求めたり意見を聞くことはないと思います。県会のほうへ言うとか或いは他の学者のほうにこれは参考に聞くかも知れんが、とにかく公文書を持つて意見を聞いて来たということは、文部省がこれらの法規についてその助言勧告をすることについての解釈権を持つておるからこそ文部省に聞きに来た、これを解釈したものをその通りほかの自分の権限外に押しつける権限がないということはこれは当然であります。これは如何なる場合においても有権的解釈というものに、何人の解釈権を拘束するような権限のないことは、はつきり初めからわかつておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/57
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058・永井純一郎
○永井純一郎君 ですから、素直に答えたらどうですか。私が言うように勧告助言の範囲であなたはこの解釈を下すんだとこれでいいんですね、はいだけ返事して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/58
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059・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) その通り、それを有権的解釈の立場をとつておる、こう申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/59
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060・高田なほ子
○高田なほ子君 まだ私はこの速記録を拝見しておりませんから、この問題にまだ触れることはできませんけれども、先ほど須藤委員の発言に対しまして、大臣は文部省から出した資料の解釈はあなたの御自由である。全く私はその通りであろうと思う。自由に解釈されていいし又押付けるべき性格のものでもない、これはよくわかるのでございます。ただ一点資料というものについての性格をここで、はつきり大臣にお尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/60
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061・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この場合は文部委員会のかたのうちからこの法律案を審議するに必要な資料として偏向事例があれば出してもらいたい、こういう御要求がありましたので提出したわけであります。従つてこの資料はこの法案を御審議になる上の何かの参考になるからと、こういう意味であろうと思います。それは詳細には資料を請求されたかたのほうの関係だろうと思います。どういう気持で言われたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/61
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062・高田なほ子
○高田なほ子君 資料は常に議員が国会議員として審議をする上に非常に必要である、こういう立場から請求をされるのでありますから、当然当局としてはこの資料が出されなければいかんことに今日の法律ではなつておるわけであります、そこで私が御質問申上げた意図が十分お呑み込めになれなかつたようでありますが、国会に出されまする当局の資料というものが国会議員の審議に必要なものであるが故に、やはり資料そのものについても十分考慮しなければならないいろいろの点が私はあるのではないかと思うのでございます。只今文部大臣の永井委員の御質問に対するお考えから総合いたしましても、文部省独自の解釈に基くということが再三言われたようでございますが、この二十四の偏向教育の事例に対しましても、文部省独自の解釈に基くところの資料として出されましたものですかどうですかということを実は伺つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/62
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063・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは何度も申上げたと思いますが、文部省として入手したところの情報、この偏向教育に関係する情報を差上げた、こういうことであります。これはその当時からもその意味で御説明申上げたと思います。そうしてこれはその事実についてはそういう事実があると文部省としては思うので出した、こういうことも申上げたのであります。そうしてなおその当時申上げましたが、これは御記憶があろうと思いますが、この一々の具体の事例についてこれを裁判所の証拠物件のような意味で出したのではないので、日本の義務教育諸学校或いはその他の学校において今日偏向教育というものが行われておるかおらんか、この大勢を察知する意味においてその御判断の資料として提出した、こういうふうに申上げたと記憶しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/63
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064・高田なほ子
○高田なほ子君 情報を一つの足がかりとしてこの資料をお出しになつたように只今御発言があつたわけです。参考資料としてそういうものも又適当かと思います。併しながら偏向教育の事例としてお出しになるからには、盲滅法にただ情報を手当り次第に出して偏向教育の事例は岐阜県の誰それである、山口県の何それであるということは、今後いろいろな私は問題を残すのではないかと思うのですが、これも解釈の御自由と言われればそれまでです。併しながら偏向教育と銘を打たれる限りにおいては、やはり文部省としては立法機関に差出す資料とあるからには、法的な根拠に基いてこれが出されなければならないものだと私は常識的に考えるわけです。何かこの偏向事例をあなたがお諮りになる法的な根拠というものがおありになりましたならば、これをお示しを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/64
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065・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは情報を出しました当時にも御質問に対するお答えをしたと思います。法的根拠ということはどういう意味でございますか、私にはよくわかりませんが、法律に基いて集めた、こういうものではありません。ただ法律に基いてとすればこれもしばしば申上げたと思いますが、文部省は地方の教育委員会に対して報告を求める法律上の権限を持つております。従つてその報告を求めたけれども、それに対して報告を得たものは極めて少い。殆んど皆無と言つていい状態であつたとこれも申上げたのであります。その他、その当時詳しく申上げましたように、新聞に出たような事例について、これは新聞に出たものをそのまま資料として出したものではありません。これは絶えず何かそういうふうに感違いしていらつしやるように伺つたのでありますが、それは前に申上げたように、速記録を見て頂けばよくわかるわけであります。新聞に出たものについて、その事実について文部省の職員を派遣して調べたというような場合とか、或いは地方の教育委員のかたがた、或いはその他の先生とか関係の人か、文部省に出てお話になつたこととか、そういう種類の情報というものをお手許に差上げたのであります。これはそのときにはつきり申上げたのでありまして、そういうものと御承知を頂きたい。法律によつてこれを何か裁判所のように取調べをしたりする権限はありませんことは、これはよく御承知であります。法律によつて通牒を出しても、思想調査であると言つて非常な非難を受けるような情けない状態であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/65
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066・高田なほ子
○高田なほ子君 大臣のお答えは丁寧なんですけれども、ちよつと的が外れるのですよ。私がお尋ねするのは、偏向教育とおつしやるからには、教育基本法に外れておられる教育を偏向教育だと言うことは、再三言つておられるので、多分この二十四の偏向事例というものは、あなたが判断する基礎として、教育基本法の第八条第二項に違反しているということを素材として出されたのじやないかという質問なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/66
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067・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは当時も申上げたと思いますが、偏向教育があるのではないかということを想像させる、若しくは判断、推定させるに足るような資料、こういうふうに考えて提出したわけでございます。ここに資料として掲げられてある極めて簡単な一行か二行のものがありますが、これは直ぐ偏向教育に、いわゆる法律八条の二項に該当するかしないか、こういうものという考えではないのでありまして、該当する教育が行われているのではないかということを推測せしむる資料、こういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/67
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068・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると、まあ教育基本法の第八条の第二項に該当するかも知れない。しないものもある。こういうふうに巾広く解釈できると思います。私はまあ大臣の御答弁をそういうふうに受取つたわけであります。
第二は、文部省は国会からいろいろな資料が要求されるわけです。例えば老朽校合の予算が算定される基準はどうかというようなことについては、やはり国の法律に基いて算出されるいろいろな基礎的な数字や、それが積算された予算の総額というものが出されるわけです。こういうふうなことは当り前の手続きでありますが、常に国会から要求される資料が、ここに、国会に出されるまでの径路というものは、事務的にどういう径路をとつて来るのか、なかんづくこの二十四の偏向事例が国会に出されるまでの事務当局はどこであつたか。どういう手続きで出されて来たか。それから、事務的なことでありますから大臣の御答弁でなく、わかりいいようにお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/68
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069・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 偏向教育、今問題になつております資料につきましては、三月の十一日であつたかと記憶いたしますけれども、今国会から要求があつたということを知りまして、早速私のほうから提出したした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/69
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070・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると初等中等局、その局から出されたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/70
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071・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これはそうでございます。文部省として提出いたしましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/71
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072・高田なほ子
○高田なほ子君 そうすると担当の直接の事務の責任者はあなたですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/72
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073・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これは国会から要求されます資料はみんなそうでございますが、文部省としていたしますから、それぞれの関係の局で担当いたしまして、文部省として提出いたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/73
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074・高田なほ子
○高田なほ子君 当然これは文部委員会でございますから、文部省としてお出しになるということは当り前のことで、そんなことは私聞かなくてもわかつているのです。そんなことはあなたに改めてお聞きしなくてもわかつているのです。ただ直接に扱われた事務当局は何局かとお尋ねしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/74
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075・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) それは初中局でございます。初中局の関係の事務でございますから、初中局でまとめて出したのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/75
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076・高田なほ子
○高田なほ子君 そうするとあなたが初等中等局長ですから、あなたがこの事務の直接の責任を持つていらつしやることになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/76
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077・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/77
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078・高田なほ子
○高田なほ子君 それを文部大臣が責任を持つて、全部責任をお持ちになつて偏向教育の事例として責任を持つてお出しになつた。こういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/78
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079・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは文部省のどこの事務でありましようとも、文部省というものの組織を通じて出すものでありますから、これは文部省から出した資料である。無論さようにお考え頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/79
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080・高田なほ子
○高田なほ子君 出されました資料の中には、いろいろ我々が検討して参りますと、たとえ厳密に法律に副つて出されました資料であつても、しばしば間違いがあることもあつたと思う。今日までたびたび数字の間違いなどもありました。それは率直に直されました。大臣はやつぱりこれはどんなことがあつても絶対直すような、研究する余地もないというようなことをさつきから言われているようですけれども、まさか如何に頑迷固陋でありましようとも、証言の速記録が出ておりますことですから、やはりこの証言の言葉は尊重されるとおつしやつておいでですが、今後大臣としては永久にこういう態度で行かれると思いますがどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/80
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081・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は以前もさような御質問に対しまして、私が成るほどこれは間違つておつたということを私自身が判断した場合には何時でも訂正するし、又それに関連して適当な処置をとるつもりであります。こういうことを申上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/81
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082・高田なほ子
○高田なほ子君 改めて念を押します。が、私は、文部大臣が、あなた個人の単独な判断で以てこの物事を処置して行くということは、如何に大臣であろうとも私は許されないと思う。国の法律に基いて判断されるので、法律を物差にしてその物差に照らしたそのこと自体を、大臣は文部大臣として行政面の責任を私は持つておられると思う。私はそうだと思う。そうでなければあなたはネロになつちやう。ネロ皇帝の、暴虐ネロになつちやう。やはり国会は国会でありますから、法律に基いて判断をされるのだと私は思うのですが、大臣がその通りだと私は思いますから、もう一度誤解のないような御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/82
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083・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 法律に基いて判断すると言われるのは、どういう意見かわかりません。これが事実であるかないかということを法律に基いて、法律はこれを事実であるとかないとかいうことを規定するはずはありません。従つて法律に基いて判断するとおつしやることは私はちよつと理解ができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/83
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084・高田なほ子
○高田なほ子君 私は、ちよつと御理解にくかつたと思いますが、教育基本法に基いて今後文部大臣は判断されて行かれることと私は思うのです。その通りだと思うのです。そのことを申上げているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/84
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085・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それは、この事例が、教育基本法に違反しているかどうかという意味なんですか。これは先ほど申上げましたように、これらの事例が、一連の事例というものは、基本法の八条二項に違反している教育が行われている。かように判断し得る資料として差上げてあるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/85
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086・岡三郎
○岡三郎君 文部大臣にこの前も言つたのですけれども、この前資料を出して、どう勝手に判断しようとあなたがたの自由だ、そういうことで一応出されているけれども、反響が非常にでかいわけです。速記録を私はずつと読んでいるわけですが、で、大臣は衆議院で、戦争裁判というものは人食い人種の首祭りのようなものだ。こういうことをおつしやられた。私はそれを咎めようと言つているのではない、問題は、あなたの意思というものもやはり一括して、人の言うこともよく聞かないで、そうして勝手に追放なり百を切つたり、こういうことをすることはいかんこいうあなたの意思から出ている言葉だと私は推測するわけです。つまり裁判というものにしても、こういう問題の法律の審議にしても、公正なる立場じやつて行つてもらいたいという意思かそこに含まれていると私は判断した。そのことの当否は別として、大臣が、あなたが今ここで述べていることの事実、それは二十四の事例を挙げて、そうしてこれは偏向の事例であると文部省の責任において判断しているわけです。それの出所或いは調査方法を言えと言つてもお言いにならない。それでわざわざ多額な費用をかけて証人を呼んで、そうして二日間に亘つて深夜までかかつてやつたわけです。その事実の中から、速記録に出ているからお読みになると思うのですが、確かにこれは根拠薄弱だ、こういう点があるわけです。そういう点については、文部大臣が文部省の出した資料としても、やはり句々の間であるから、やはりこれはちよつとどうかと思うような点もあつたというふうに率直に申述べられて、そういう点については至急調査して、文部省の権威とか、文部委員会の審議がどうなるとか、そういう点については我々は必要以上に食い下がろうとは思つていないので、そういう点については何とかこれを善処して行こう、こういうふうな一国の文部大臣としての、やはり文教政策の中から教育を明るくして行こう、非は非としても、何とか間違つたような点はお互いにもう少し検討してこれを、是正して行こう、こういうふうな態度で行くならば、私はたとえこの法案に対して反対する者、賛成する者はそれぞれ所見を述べても、これは堂々とやつて行けばいいんです。私はそういう点にかかずり合わないので、そういうような方向を私は文部大臣に期待しておつたわけであります。だからこういう点で私は審議を混乱に陥れようというような気持は毛頭ない。ただ問題はあなたが教師であつたり、或いは我々の子供が行つている学校にあつた場合に、この問題について皆真剣になつている。そうして多くの子供も真剣になり、PTAも真剣になつているときに、それをわざわざ多額の費用を出して呼んでやつて、どうもあの事例は、いろいろ見解の相違があるということは別として、出所その他についてどうもあいまい的なものである。あると言えばあると言えそうだけれども、この点についてはちようと不確かである、こういう点についてはやはり文部省としても善処したいという趣意を述べて、これはあるとかないとかいう断定はお互いにできないかもわからんけれども、推定としてどうもこれはちよつとおかしいというような点があつたら、これは何とか調査をして取消して行こうというふうな立場をとらなければ、証人があそこで宣誓して一体何の意味があつたかと思う。証人は嘘を言わん、法律に照らして委員長は罰金までもいつて、そうして国会法に基いて証人に堂々と宣言さしたことの事実の中から我々は判断する以外に資料はないわけです。そうでなかつたら、私はこの文部委員会を一時閉鎖して、現地調査へ私は行く必要があると思う。簡単なものではないと思う。だからそういう点は私はそういうふうに思つているわけなんです。文部大臣はいわゆる人食い人種の首祭とか何と言つて、そうして非難を言つておきながら、これに対するところのフアツシヨ的な態度は何ですか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)自分の独断で、そうしてそうでないということを言つておるのに対して一顧の価値も認めない。私はそういう点で後刻委員長に言つて、あとで理事会に諮つてもらいたいと思うが、そういう態度ならば、初中局長なり齋藤君なり文部大臣を証人としてここへ私は喚問して事実審査をしなければならん。私はこの法文に照らして、今までやつて来た径路からいつてこれはできると思う。これはできます。そういう態度ならば、私はあなた方を政府提案の説明者でなくて、証人として喚問することを私は今日ここで表明しておきます。それに対して文部大臣意見がございましたらおつしやつて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/86
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087・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 岡君のお話になることを聞いていると、私が証人喚問の結果、明らかにこれは事実と違つておつたということを心の中で認めながら頑張つて言つている、こういうふうにお考えになつている。私はそんな気持はありませんが、若しそうでないとするならば、私がそういう認識に達していないにもかかわらず、あなたがそういう認識に達せられたという理由を以つてこれを取消せとか、事実無根と言えと、こういうことを私に押付けて来られることが、これがフアツシヨというものであります。(「その通りだ」「大変だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/87
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088・岡三郎
○岡三郎君 これはあとで速記録を又見てやりますが、私が言つたのは、大臣が出所とかそういうことを言わないから多額の費用を出して証人喚問して二日間に亘つてやつた、あの中でやはり証人の証言だけでは断定できないとしても、併し証人は堂々と宣誓して言つている限りにおいては責任があるわけなんです。それを我々は判断の元にするということも一つの理由があると思う。それであの中からこれはちよつとひどかつた、文部省としても、まあこれは拙速であつたというふうな個所が、私どもとしても常識的に見て党派を問わずあつたと思います。(「あるよ、情報程度だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)それならば私はやりますよ。人のことを言わんでもいい。そういうようなことを本村君は言わんでもいい、ときどき暴言を言うから、(「自分の考えていることを言つていいじやないか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)荒木委員の質問に答えているんですよ。岐阜の恵那の事例について、あなたはこの資料については否定されますか、こういうことについて三人の証人がそのようなことを言つているわけなんです。これを読むことについては時間がかかるので、ちよつと今読みませんが、あとで文部大臣もこの資料を読まれると思う。そういうふうな点で、あなたがその点について善処をするというならば、この問題については、私は私の個人に関する限り誉めません。併しそのような態度ならば、私はやはり日本の教育について、そのような独断によつて義務教育が混乱に陥れられておるこの事実の中から、あなたに対して午後更に私は質問いたします。時間がないから今ちよつとやめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/88
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089・川村松助
○委員長(川村松助君) 暫時休憩いたします。
午後零時五十八分休憩
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午後零時五十八分休憩
午後二時三十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/89
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090・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今より開会いたします。午前に引続き御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/90
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091・中川幸平
○中川幸平君 議事進行。先刻から須藤君初め各委員の各位から偏向教育の事例について又むし返しの質疑が行われ、而も激烈な質疑を繰返されて、高田委員は遂に文部大臣に対して頑迷固陋な文部大臣というような言葉まで吐かれております。高田委員は婦人議員としてそこまで興奮しておられる、この間もさようなことも聞いたのであります。又岡委員はどうしても言つてもらえんなら証人として呼び出す、先だつてもどなたか議運で呼び出すとか、或いは証人として呼び出す、なんの権利あつてそういうことを言われるのか、議運に呼び出すというのは議運の委員会の議決を経なければならん、当委員会に証人として呼ぶ場合には当委員会の議決によつてするのであつて、岡議員個人としてそういうことは言い得ないはずだと思います。元来この偏向教育の事例、これは私厳格に申しますると、偏向教育の疑わしき事例、或いは偏向教育にありそうな事例ということになるのじやなかろうか、と申しますることは、かような事柄は全部が全部物的証拠のあるものではないのでありまして、さような観点から文部省としても一々そういうことは言われない、信憑性のあるなしは委員の各位で一つ判断してくれと言つておられるのもそこにあると私思うのであります。さような観点からそういうことを一々詮議しておつたのでは法案そのものの審議に非常に差支える。これは理事会で検討せんければいけないということで理事会に任してあると思うのです。而もそのために証人を喚問しようということになつて、あとで聞きました際に九件の事柄について証言を求め、三十二人、大変余計とは思いましたけれども、まず、いいであろうと、二日間この九件の二十二人の証人を冷静な頭で私聞いておりまして、中には証人全部が否認しておつた事例もあります。例えば高知県の山田校のごとき否認はしておりましたが、それなら山田校報にこういうことが書いてあつたのはどうかと言われた際に、着任早々でその校報か見なかつた、当の校長が大事な事柄を書いてあることを見なかつた、聞かなかつた。その裏を考え、或いは岐阜県の否認しておられたあの事件にしても、教員が大会をして何がために松川事件の緊急決議をするか、要求をするか、そのために松川の当該裁判長のところ学校の生徒がいろいろと手紙をやつた、その裏を考え、初めて我々は考える。又安下庄の、高田議員は非常に校長を誉めておられる。成るほど誉める点はありましよう。けれども我々は教育長がいろいろと注意しておるものを何の手当もせずにやつておつたという点を眺めて、如何に証人が否認をしておられてもその裏を考えるということで、これらの点は我々委員が証人の言葉を聞いて判断の資料にするというに尽きるものと存ずるのであります。かようなことを一々一件をやるにいたしましても、発見するにいたしましても二月や三月かかるものと思います。さようなことにやたらに論議を尽す必要がないと思うのであります。これを判断の資料にしてこの教育二法案の審議を進めて頂きたい。もつと当文部委員会は冷静な質疑を繰返して頂きたいということを委員長を通じてお願いしたいと思つて議事進行に藉つて発言をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/91
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092・高田なほ子
○高田なほ子君 たまたま私の名前が小川委員より出されました。私は一言申上げなければならないのは、極めて本委員会において私は冷静慎重に物事を審議しようと、こういう態度をもつているわけです。興奮してものを言つたり、ヒステリーでものを言つたりするということはこれはあり得ないことです。国会の審議は最も慎重にやられるということが当り前でございます。私は婦人議員に云々と言われましたけれども、婦人議員はこれは国民の代表でございますから、婦人議員だからこういうことを言つちやならないとか、ああいうことを言つちやならないとか、(中川幸平君「頑迷固陋とは何だ、一国の文部大臣に対して」と述ぶ)そういうことはあり得ないのでございます。頑迷固陋であると思うのは私の自由でありまして、あなたが当代随一の文部大臣であると思うのならこれはあなたの御自由でございます。私の言うことについて何らあなたから制肘を加えられる必要もないし、義理もありません。我が党は曾てしばしば頑迷固陋なる吉田総理大臣に対して質問していることもあります。何らあなたからそういうことを言われる必要はないのでございまして、今後もたびたびこういうことは繰返すでございましよう。即ち法律は、これは我々は立法機関でありますから、法律に基いて審議をし、法律に基いて大臣の発言はなされなければならない。然るにもかかわらず文部省独自の考え方で云々ということは、私はこれは誠に言葉をやさしくして申上げておるにかかわらず、そういう御発言があるから頑迷固陋である、こう考えるのは当り前です。そんなことは御自由でございます。私も国会議員、あなたと対等の国会議員なんです。婦人とか男とか、そういうことを言われることそれ自体が問題でございます。(「その通り」と呼ぶ者あり)私は民主主義の原則をこの委員会ではつきり守つているつもりでございますから、あなたも民主主義の原則をお守りになつて発言をして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/92
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093・田中啓一
○田中啓一君 いろいろなご意見があるようでございますが、それはそれといたしまして、私は皆さんが御質問に入る前に、先般本委員会の決定として本教職員組合吉大会の決定と何種類かの記録をお出し願うように動議を提出したのであります。たしか七、八日頃であつたと思いますが、本日はもう一週間以上経つておりますので、まだ資材が出ませんでございますか、どうで了か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/93
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094・川村松助
○委員長(川村松助君) もう暫くお待ち願います。手配はしてあります。また届きませんから、もう暫くお待ち願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/94
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095・田中啓一
○田中啓一君 そう遠いところではございませんし、私は御記録は当然あるものと存じますので、一週間以上も出ないということは大変この法案の審議に困つておりますので、よろしく一つ御催促を委員長にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/95
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096・川村松助
○委員長(川村松助君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/96
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097・岡三郎
○岡三郎君 いろいろ意見が中川さんから言われたわけですが、私のお願いしていることは、私が判断した限りにおいては今回の偏向教育の事例について、岐阜県恵那郡大井小学校の問題の事例と、岩手県の一関の小学校の問題と、高知県立山田高等学校の問題は、やはり偏向教育として採り上げること自体、内容の問題よりも出所の問題を明確にしてもらわんと、或いは証人の言葉からこれはお気の毒であるというふうに私は申上げているわけです。私はその他の点についてはいろいろな見解がありますが、それぞれの認識の相違というものがあつて、これはそれぞれ所論があるとしても、この三件についてはいずれの証人もがこういうことはないということをはつきりと宣誓して申しているわけです。私は先ほども申上げましたように、それぞれの学校及び子供、親たちはこういうふうな問題が新聞に公表され、而もそれが文部大臣の判断に基いて出されたということ、それから全国的に今この問題が採り上げられているということで至大な関心と、一刻も早くこれについて分明してもらいたいという希望を強く言つていることを我々は聞いておるわけなんです。そういうふうな観点から見解の相違であるという点は暫くおくとして、一応このような出所根拠というものが明確でないような、或いは非常にあやふやの印象を受けるようた事例については、文部当局としても、さつぱりと、こういう問題については誠に不十分でおるような気配がするので、今後若しもこれが大きな事実として出て来たならば、この問題についてはやればよろしいけれども、併しそれは現在わからないものは将来わからん。私はただ単に見なかつたとか聞かなかつたということでなくて、山田高校の問題にしても証人が明確にそういう事実はないと最終的に言い切つておるのです。ですから若しもこれが嘘言であるならば、法に照らして処罰すればよろしいのであつて、それほどはつきりと言うことはこれは重大なる私はやはり証人の立場を表明しておると思うのです。それがそうでないとすればやはり文部省のほうでこの三件だけについてでも出所、調査方法を言つて頂いて、そして議事進行を円満にして頂くことを、私は義務教育を推進し、日本の教育の責任に応える当文部委員会の国会議員として、これは文部省のほうに委員長を通じてお願いするわけなんです。それは普通ならは当然その場所に行つてこういうものを事実調査をする必要があると思つておつたわけですが、審議の都合上並びに反対をされる人があるので、我々はそういう点をあえて強く主張して来なかつたわけです。併し一旦それに代るところの重要なる証人喚問のなかにおいて、いずれも証人がこのように言い切つておることについて、やはり文部省としてはそういうものに対してとる方策というものを考えてもらわにやならん。併しそれは証人が勝手に言つてるんだというふうならば、これば証人と文部省の言つていることがいずれが正しいか、これは明確にされなくては私はならんと思う。これは将来においてもあやふやなこと、或いは不十分なことを偏向教育なり何なりと断定して提出されるということ自体、誠にこれは国会として我々としては考えさせられる問題だと思うわけなんです。しばしば言つたように、文部大臣が人食い人種の首祭と戦争裁判を言つていることにやや通じていると思う。所管においてあんたがそう言われたこと、併しこれに対して違うという根拠が出て来たら、それに対して謙虚に対応されるような文部省であつて欲しいわけです。大達文相であつて欲しいわけです。それはそれとして勝手にあなたが判断すればいい。そういう点からなれば、それはそれとして資料を御撤回願いたいということを私は言いたくなるのです。併しそこまで言つたつてどうしようもないので、私は極限につめてこの三件について文部大臣としては善処されないかということをお願いしているのです。これは日本の教育を明るくするためにもやつてもらいたい。その他の問題についてはそれぞれの所見があるので、それぞれの立場で論じられれば私はいいと思うのです。これは今のところは現地調査のでさない段階において、多額の費用をかけて国家の権威を以て呼び、これが宣言をして宣誓をやらした、その証人から聴取した事項の中から私はこの事例を判断する以外に持合せがないので、私はそのような筋を通した立場で文部当局に善処を要望しておるわけなんです。御回答願いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/97
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098・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 午前中お答えを申上げた通りでありまして、私は文部省が提出した資料について、これが間違つておる、或いはこれは事実無根であるということを私自身として確認をいたしますれば、しばしば申上げておるように取消しなり訂正なりそれに関連をして適当な処置はとるつもりであります。さようでない場合にはこれを撤回するとか、私自身がそう考えておらんものを取消すとか、そういうことはこれはできない相談であると思います。それから出所その他につきましては、前々から申上げるところによつて御承知を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/98
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099・岡三郎
○岡三郎君 どうもお久しいですね。あれだけの証人があの公的の立場において、公的の場所において分明したことを、まだそうでないと言われるならば、そういうふうに言われるならば、やはり文部大臣はですね、この三件の事例についてのみ限定してもいいから、やはりこれこれだからああいう証言は我々としては受取れないと言つてもらわにやならんと思う、その点如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/99
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100・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど来のお話のように、それがあやふやなものを出したという御判断であれば、これはやむを得ません。あやふやだとお考えであろうとも、本当だとお考えになろうとも、これは資料を御覧になつて頂き、それの判断に待つよりありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/100
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101・岡三郎
○岡三郎君 あやふやとか何とか言つておるのじやなくて、あんたは証人喚問というものを形式的に考えておられるのですか、国会における証人喚問について大達文相の見解を問う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/101
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102・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は証人に喚問せられたかたがたは宣誓をした上で証言をされるのでありますから、当然真実を述べられるべきものだと思つております。決して私は証人の諸君が嘘を言つておられるとかということを私は断定すべき何らの資料はありません。併しながらその証人の言われたことをこれを本当と受取るか受取らんかということになれば、それはそれぞれの人の判断に待つのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/102
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103・岡三郎
○岡三郎君 そうでないという判断を言つてもらいたいと思う。あれをあんたのほうで大臣は本当ではないというふうに判断されて、飽くまでもこの事例が正しいと見ておるのだから、あの証人の言つたことの信憑性ですね、そうでないという判断を言つてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/103
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104・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは前から申上げておりますように、私はこの資料は絶対的に真実間違いのない、こういう裁判所に出すような意味で資料を出しておるのではありません。従つて証人の言われたことは嘘であると言つておるのじやない。併しながらそうかといつて、それじや全然あの通りであつたかどうか、それはわからない、そういうことは聞いておらん、こういうことを言つておられる場合が多いのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/104
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105・岡三郎
○岡三郎君 それだから私はあなたのやつておることは人食い人種の首祭と同じだと言うのです。それは原則によつて自分がこう判断したのだと言つて、その聴取者がそうでないのだ、それは公的な場所において宣誓をして言つておるでしよう、それを採上げて、それを証人が言つておることは、それはあやふやだと言えば、それに対してやはり筋の通るようにこれはこういうわけだからあいまいなんだ、あの証人が幾らそういうふうに、これは違つておるのだ、あの証人がこういうことはないのだと言つても私はそうはとれないのだ、ということを筋を通して行くことが、公正なる判断をもたらすものだと考えるのです。それをしなければあなたが言つておるように人食い人種の首祭をやつているということになるのですよ。そうだよ。あんたは、丁度今の判事検事のように、下から幾らそうではないそうではないと言つているのに、そんなことはないという、そんなことはないという理由は何も言わないのです。これだから人食い人種の首祭と私は言うのだよ。そうでしよう。それに対してあんたが一片の誠意があるなら、やはり真面目にそういう問題について追及するなら追及して答えを出さなければならんと思うのです。そたはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/105
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106・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 証人の言われることを私は嘘だと言つておりません。併し証人が言つたからその通りに思わないのかと、こういうことを言われてもこれは無理であります。併し事実の事例というものはそう簡単なものではないのであります。この問題については過日新聞を見ると、日教組が指導せられてこの二十七の事例についてそれぞれの地元から虚偽の事実を出したということで文部大臣告訴されるという話であります。法廷へ出れば恐らくこの事実ははつきりするでありましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/106
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107・杉山昌作
○杉山昌作君 関連して、只今の岡君と文部大臣のお話を承わつていて、どうも私にも納得のできないところがあるのですが、まああの事実を基本法の八条二項に関する、即ち偏向教育であるかどうかということはこれは私は認定ですね。文部省といえどもあれが偏向教育だと認定したんじやない。こういうふうなものが偏向教育と認定してもいいだろう、或いはその疑いが多分にあるのじやないか、だから参考資料として出したということは、その意味においては私はわかります。ただ問題は、あの事実があつたかないか。あそこに書いてある事実があつたかないか。事実無根であるかどうか、或いは非常に歪曲されたとか、大げさに書いてあるかどうかという事実問題なんです。これは、今、岡委員もおつしやつておるように、宣誓をした証人が、宣誓をしてまであれは事実無根であるという、あれは事実が建つている、非常に歪曲されているということであれば、聞いていた我々は証人がまさか嘘を言つておるとはちよつと受取れない。そうかといつて一方文部省のほうがこれ又事実無根だという書面を出したとも私たちは考えておりません。それだから私たちとしてはどちらが本当かということになれば、これは自分で調べるよりほかにしようがないということに追い込まれるのですが、それもできませんので、今、岡君もおつしやつたように、すぐ文部大臣に取消すとか撤回するということはできないにしても、我々としては更にここで文部省で、もう一度、証人が宣誓の上にあれほどまでに言つているのだから、もう一度文部省は真相をよくお調べ願つて、若しも文部省のほうが事実が違つているということだつたらば、そのときには我我は御訂正なりお取消しなりする、そういうだけの御用意はお願いしたいと、思うのです。(「同感々々。」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/107
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108・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) その通りでありまして、私どもとして先ほど申上げましたように、いわゆる本当に間違つておつたということを確認すれば、私は間違いということは絶対にないということは申上げんのであります。これは文部省に入つた情報で、先ず大体事実であろう、こう思うものについて出した。これは前々から申上げている通りでありますから、これは絶対に間違つていない、こういうことを私は言い張つているわけではないのであります。間違いであるということが私ども納得して、はつきりそうであつたということであれば、何時でもこれは訂正その他適当な方法を講じて善処するということは、前から実は申上げておるのでありまして、その点は今でも変りはないのであります。
そこで証人として立たれる以上は、これは当然真実を話されなければならん、そういうものであると思います。従つて軽々しくその人の発言を本当であるか嘘であるかということを、我々が心の中で判断することは別であります。併しそれを客観的にこれは本当である、或いは嘘である、こういうことを打出すことは私は慎しみたいと思う。というのは、三十幾人の証人が呼ばれたんでありますが、これは委員会においてお呼び出しになつたけれども、私はやはり重大なことでありますから、殆んど終始傍聴しておりました。その場合に宣誓をして真実を話されるべき証人が、同じ事件について甲の人はそういう事実はなかつたと主張する、乙の人はそういう事実があつたと、こう主張される。若し宣誓をして言うことだからこれは間違いない、こういう前提に立つならば、一体その場合に、甲の人の言うことを本当にするか、乙の人の言うことを本当にするか、これは迷わざるを得ないのであります。でありますから、人間というものは記憶違いということもあり、或いは又間違いということもあり、それから又その人が一から十まで立会つておつたわけじやなしに、人に聞いたということもあり、或いはそういうことは聞いていないということもありましよう。たから決して私は証人が一斉に虚偽の陳述をしておつたということは申しませんし、又そういうことは思いたくない。併し宣誓をした以上は、その人の言うておることは本音であるということ客観的に打建てられるものとして、文部大臣もその通り受取れ、こう言われましても、それならば一体同じ事実について宣誓をした証人が、事実ありということと事実なしということを言つておる。その場合にどつちを一体正しいとお考えになりますか。私は宣誓をしたからと言つてその通りに考えなければならんということは無理であります。やはりそれぞれ聞く人によつてそれぞれの判断に従つて考える、そういう信憑性について考えるというのが当然であろうと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/108
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109・岡三郎
○岡三郎君 私はそういうふうに、証人がそれぞれ食い違つている場合はあえてここで言つていないわけなんです。だから先ほど言つたように、岐阜県の例と岩手県の例と高知県の山田高校の例について限定して私は言つておるわけなんです。そういうふうに異論がなくして、証人全部が一致してそう言われたということの事例のみを言つているわけなんです。だからこれがそうでないと言うなら、文部大臣のほうで、やはりそうでないということを一応言つて頂けたらどうかと思う。何も言えないで、そうでないというような、こういう審議の仕方については私は疑問を持たざるを得ないのです。若しもそれがどうしても言えないというなら、一体証人を喚問した当委員会は何をしたかということになると私は思う、結果論として。この事例について、この事例だけでもいいから、文部省が、いやそれは文部省の資料のほうが正しいのだということをやはりはつきりとわかるようにおつしやつて頂きたいと私は思うのです。ほかのことを言つておるわけではない。証人が全部反論して一致しておる問題のみに私は限定して言つておるわけであります。それしもそうでないというならば、そうでないということを文部大臣のほうから言つてもらいたいと思う。その事例についての出所等はこうこうこういうわけだから、あの証人の言うことはあながち正しくはないのだ、文部省のほうで採り上げた事例のほうが判断としては、偏向しておるのだ、こういう事例があつたのだということを言つてもらいたいと思う。そのことを言つておるのだ。杉山委員の言つておることもそのことだと思う。この問題については衆議院においても至急調査して訂正すべきものは訂正すると言つておるけれども、その行動というものは更に行われていないわけです。少しもそういう気配がないわけです。時々刻々下のほうはこの問題については非常に悩んでおる。この間の証人の言葉でも非常に心痛しておる。そういう観点で時間をとることは私はここで余りしたくないので、その点について言つてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/109
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110・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 実は文部省といたしましては、若し的確にこれを再調査をするという方法があればそれをして、若し御迷惑のかかつておる向きがあれば一日も早くそれを解消してお詫びを申上げたいと思つておるのであります。併しながら、残念ながら文部省として的確な調査の方法がない。殊にこの委員会の御審議に間に合うように調査するというような方法は実は適当な方法がないのでありまして、私どもとしましては、成るほどこれは間違つておつたということが私どもで気が付けば、これは今申上げたように、今杉山君からお話のように、特は頑冥固随ではありますが、(「ちやんと自分で認めておる」と呼ぶ者あり)決してそれをそこまで頑張る考えは毛頭ないのです。
ただ三人、二人の証人が揃つて言つた、こう言われますけれども、先ほど申上げたように私は、証人自身が嘘を言つておるとは思わない。思わないけれども、併しその証人の言われたことが、一体事実の有無についてそれほどの的確性を持つておるかどうかということは、必ずしもそうはつきりしたものじやない、こう思う。現に同じことについてそうだと言う人と、そうでないと言う人がある。たまたまそうだと言う、これは証言というものの性質を私は申上げておる。そこで二人とも言うのだからこの場合はもう絶対動かすべからず。二人と三人にわかれたからこれはわからないと、こういうものではないのであつて、証人の言うことを私は嘘だとは言わないけれども、併し証人の証言というものをどの程度に信ずるかということは、それから納得を以てこれを聞くかということは、これはそれぞれの人の判断によるべきものだと思う。(「それでは偏見になつてしまう」と呼ぶ者あり)だからこれを本当に、私は事実を絶対に真実なりと主張してはないことは、初めからこれは申上げておる。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)若しも間違つておると言えと言えば、それは間違つておるということは言えない。こう言うのです。なぜならば間違つておるということをはつきり掴み得ないから。だから日教組が訴えると言つておるから、こういうことは法廷で事実を調べるのが一番法律的です。文部大臣を訴えるそうでありますから、恐らくいずれ真偽というものは、はつきりするだろうと思う。それまではわからない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/110
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111・岡三郎
○岡三郎君 私の言つていることは、証人の言つたことがどれだけの的確性があるかどうかわからんと言つているから、我々の判断は、現地調査も拒否されている、だから文部委員として当委員会で審議する場合に、必要として、証人喚問を行なつた。その証人喚問を行なつた中において、証人が宣誓して言つていることをやはり私たちは一つの拠ろとせざるを得ない。現地調査を拒否されているから。文部省のほうは的確な調査方法がないと、こういうふうにお逃げになつているが、これは併し、証人の言つていることが正しいかどうかわからんと言つているならば、その判断の根拠はやはり文部省としてはあつたのでしよう。それだから事例をここに載せたと私は思う。そうでなかつたならば、この資料は全部あやふやだということになるわけです。正しいかどうかわからんけれども資料を出した、それならば文部委員会に出された資料は、そういうものならば撤回したらどうですか。こういうことを私は言つているわけです。併しその前にこの三事例について文部省が幾らそう言われても、的確性を持つているかどうかわからん、こうおつしやるならばわからんところを言つてもらいたい。片方に、はつきり出ているわけでしよう。証人のほうでこれは事実に相違している、歪曲されていると言つているわけですよ。それに対してあなたがたのほうがそうでないというならば、それに対してそうでないということを簡明にでも言つてもらわなければならんと思う。私は責任があると思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)それを言つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/111
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112・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 出所等を明らかにする点につきましては、前々から何度申上げても同じことであります。これによつて御承知頂きます。(「そんな馬鹿なことはないよ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/112
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113・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣の答弁も大分最初とは変つて来ているように私は思うのです。最初は、あなたたちにこれを真実だということを押しつけないけれども、私は真実だと思つていると答弁していらつしやつた。ところが今では、自分もこれを真実だと固守しないというふうに変つて来ている。これはとんでもない資料を出してしまつたと大臣が後悔していらつしやるのじやないかと思うのですね。とんでもないことになつてしまつたと、心の中で後悔していると私は思う。そこであなたが一番困つていることを明快にばさつとやるのは、出所を明らかにするということなんです。出所を明らかにすれば、もつとこの審議が明らかになつて、そうして信憑性が明らかになつて来て、あなたの今困つていることも解決される。それを元を閉じているから、いつまで経つてもそれは解決しない。そうしてだんだんあなたが困つて来ている状態になつている。えらいものを出してしまつたと思つて夜も寝れないということになつている、(笑声)実際は。それでやはりこれはものを明らかにするためには出所を明らかにしなさいよ。それでなかつたら証人が来て宣誓までして証言したことが、何にもならないということになる。どうしてもそれはやらなければ駄目ですよ。そうでなかつたらあなたはだんだん困ることになつてしまいますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/113
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114・岡三郎
○岡三郎君 だから日教組が何とかかんとか言うことは、そういうことは私は知らん。そういうことは私は無用のことで、それをやられるかどうかは私たちの関知するところではない。私は先ほど言つているように、どうしても文部大臣が言わん、だから私はあなたは人食い人種の首曝しをやつていると言う。(笑声)「何回言うのだよ」と呼ぶ者あり)何回言つてもこれは言いますよ。文部大臣はああいう裁判は不当だと言つているが、このやり方は不当ですよ。日本の教育の偏向事例というものを挙げて、ここに曝しものにしておいて、これを的確に調査する方法は今ないのだ、こういうふうなことを言つて、而もあの証人がみんな一生懸命になつてそういう事実はないのだ、これは非常に歪曲されているということを断言して言つているのに、勝手にその資料を判断すればよろしい、こういうふうなことは私は国会の慣例を本当にそれこそ誤るものだと考える。どうしてもそれを言わないのなら、初中局長、あなたのほうでその資料をまとめたというのなら、まとめた根拠を言つてもらいたい、先ほどあなたは言われたのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/114
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115・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それは……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/115
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116・岡三郎
○岡三郎君 私は初中局長に聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/116
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117・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 初中局長にお尋ねになりましても、これは文部省として出したものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/117
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118・岡三郎
○岡三郎君 大臣がそんなにでしやばらなくてもいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/118
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119・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 文部省の代表としてお聞きになるのであつて、初中局長個人にお聞きになるはずはない。これは先ほど午前中だけでなしに、もう前々からの答弁によつて、何度言つても同じことでありますから、それによつて御承知を願いたい。(「そんな馬鹿なことはない」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/119
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120・岡三郎
○岡三郎君 大達大臣は緒方さんに何か言われては困ると思つて、(笑声)かつて出て、それを答弁なさつているようですけれども、そんなに困つているならば、私も親心を以ていい加減で下りたいのだけれども、事これは現場に影響している問題ですよ、現場の直接教育に影響している問題だから重要だといつている、現場に影響して、あれほど証人が真面目に一生懸命になつて言つていることに対して、あなたは現場の教員の心情も何も全然酌んでいないじやないですか。だから戦争裁判と同じだといつているのです。もつと真面目に聞いて一生懸命考えて、そのことについては何とかしてやろうというのが、やはり一国の文教の責任を以て任ずるところの大臣の立場だと私は思うわけであります。それだから大臣が言わぬとするならば、作られたところの元締であつた緒方初中局長に、私はどういうふうな角度でまとめたかお聞きしたいと言つているわけです。それを言つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/120
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121・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 先ほどから大臣の御答弁があつた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/121
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122・岡三郎
○岡三郎君 何を言つているんだ、それは先ほどは初中局でまとめましたと言つた、速記録に載つておりますよ、それは私も耳があるのだから聞えるわけだ、そうするとあなたのところでまとめたのだから、どういう工合にしておまとめになつたのか、それを聞いているわけです。大臣のほうはさつぱりそんなことは言つておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/122
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123・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 調査方法及び出所等につきましては、先ほどから大臣が答弁されました通りであります。差控えさして頂きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/123
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124・岡三郎
○岡三郎君 私は調査方法なんてそんな詳しいことを聞いているのじやない、どうしてあなたはまとめられて、プリントを出したかということを聞いているわけであります。どういうふうにしてまとめて出したかということを聞いている、もうちよつと簡単なことでもいいから言つて御覧なさいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/124
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125・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) これにつきましても、前から大臣の答弁のございました教育委員会から報告があつたものやら、或いは文部省で調製いたしましたものやら、そのほかの資料によつて提出いたしたものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/125
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126・岡三郎
○岡三郎君 そんなにわからないことでまとめて出したということだと、あなたは責任を感じていますか、あなたは言わないこと、訳のわからんこと、風で舞つて来たような資料だ、そういうようなことでこの資料をあなたのでまとめられたということになれば重大ですよ、もうちよつと国会議員を侮辱しないで、あなたのところでまとめたという、まとめた径路を言つてもらいたい、大臣が言つちやいかんといつて緘口令を布いているのですか、そんならそれで言いなさい、そうしたらあとは聞かないから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/126
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127・緒方信一
○政府委員(緒方信一君) 前の答弁を繰返すほかございませんが、只今申上げた通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/127
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128・剱木亨弘
○剱木亨弘君 関連して、岡委員の質問に対しまして関連して杉山委員から、今お話がございましたが、この偏向事例に対しまして証人を喚問して、我々がこれを審査したのでございまして、その資料によつて我々が、偏向事例のありやなしやということは判断すべきものと思いますが、併しこの事例につきまして証人を喚問して、文部大臣も、証人が嘘を言つているとは考えられない、併しその事実のありやなしやは文部大臣がみずから納得しなければならないので、自分が納得した上は、その事実が、事実でないというようなことがはつきりすれば、これは取消したり或いは適当な処置をするのに吝かでないということを御答弁になつたようでございます。それで又御答弁の中に、若し審議に間に合うように、又その他のことで、これが文部大臣みずから御調査なさる的確なる、適当な手段があれば、それは自分もそうしたいと思うけれども、その適当にこれを真偽を確かめる的確なる手段が見当らない。だから、事実これに対して、自分は納得するという事実を掴むことができないので、今それを訂正するとか、できないと、こういうふうにお答えになつたように私承わつております。そこで問題はその的確なる手段があるかどうかという問題でございますが、勿論裁判官ではない限りは、この事実について一々、その事実を明確に把握するということは、非常に文部大臣としては困難であろうかと思いますけれども、併しなお証人の言つたこと、その他につきまして、この事例について積極的に文部大臣のできる可能なる程度におきまして、この真偽をなお一度お確かめになるということは、私できるのじやないか、これが例え或る程度の時間的な問題もあると思います。併し現在は、やはり杉山委員からも御要求がありましたように、又皆さんの言われるのも御尤もな点もございますので、この際文部省といたしましては、なお誠意を以て、取り得るだけの手段を尽して、この事実についての御調査をなさつて頂く。その結果につきまして、これは例え審議のあとになりましても、この事実はやはり事実でないものか、事実である場合には、相当にやはり個人的な、或いは地方的に利害関係するものがございますので、一応明確にして頂くということを申して頂ければ、私はこの際この問題につきましては、皆さんも納得して頂けるのじやないかと思うのでございまして、何らかの方法でそういう手段が取れませんかどうか。一つこれを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/128
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129・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 成るほど御尤もなことでありまして、文部省として果して先ほど来おつしやいましたような意味での正確度を持つた調査ができるかどうか。これは甚だむずかしいことでありますが、併し文部省としてでき得る限りの調査をいすことにいたします。これはやはり相当な係官を現地に派遣をして、できるだけ詳細に調査をする以外にはありません。これが果して事実を的確に把握するだけの有力な調査に終りますか、どうでありますか、その辺は或いは御期待に副い得ない場合があるかと思いますけれども、とにかく誠意をもつて調査をすることにいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/129
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130・岡三郎
○岡三郎君 調査だけでは私は困るのです。調査によつてそれがそうでないというふうにわかつたならばどうされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/130
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131・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほど来申上げておりますように、調査によつて明らかに間違つておつたということを確認いたしますれば、取消しなり、訂正なり、その他適当な方法はいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/131
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132・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこれは問題があると思う。昨年の七月か八月頃からこの調査に当つたというのですが、要するに山口日記というものが問題に取上げられて、こういう事例があるからこの法案を考えたということをちやんと大臣は答弁している。ですからこの法案のもとを成すものは、山口日記のような事件があつたということなんです。そうすると、こういう事例がなければ何もこの法案を作る根拠はなくなるわけです。ところが今の劔木さんの言い方ですと、僕は逆だと思う。だからこれが、法案の審議をやる前に、事実あつたかどうかということを十分究めなかつたらこの法案を審議する価値はないと思う。これが事実無根ということになれば、この法案はいらない。法案を審議する必要はない。そういうふうに文部大臣はちやんと言つている。だから早くやつて調査するならよろしい。文部省が慎重調査して下さい。その間審議を休んで待つておつたらいい。(「冗談じやない」と呼ぶ者あり)それから先ずきめてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/132
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133・岡三郎
○岡三郎君 私はやはり今重要なる審議をやつて、それで証人を喚問したのですよ。証人を喚問した結論についても、いろいろ言われている。私は適当な調査方法がないと、そんなことはないと思う。私は人もおることだし、場所もきまつておるのだし、ヨーロツパじやない。これはとにかく日本の、すぐ行けば、十数時間で行けるところに起つている事柄ですから、これはこの国会のこの法案審議中に私はどうしても出してもらわなければ困るのです。いつかわからん、半年もあとになつて、そんなもの出たつて意味がない。時々刻々に学校の教育は行われている。こんなことは私が言わなくても文部省はそれだけの声が起つて来たら誠意をもつて応えるべきですよ、現地に行つて。今までに当然行つていられるべきだと思う。それを調査方法がないというふうにいつて、この事例を出して来られることもおかしい。聞き込みか何か、私の言いたいことは、法案を審議中にこの結論を出してもらいたいということと、それからもう一点は、これは聞き込みによるのか、何によるのか、その点だけでもちよつと言つてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/133
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134・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 聞き込みによるか、何によるか、出所については申上げられないことは、もう前々から御返事を申上げました通りであります。これはその通りに御承知を願いたい。これは何度お聞きになつても同じことであります。それから調査でありますが、先ほど申上げましたように、この委員会に今採上げられているような非常な精密度を持つた調査ということになれば、これはなかなか簡単には参りません。恐らくは行つて、そちらの関係者から話を聞いただけでは、もうすでに先生を証人としてお呼びになつていることで拠りますから、それだけの調査では意味をなさないと私は思います。文部省として、はつきり今度こそ確信をもつて、こうでおりますということを、その事実であることを責任を以て申上げられるような調査をして、いつまでに出せと言うたつても、これはできるかできんか、先ほどちよつと申上げましたが、果してそういう調査ができるか、できんかも私は今お話合いするわけには参りません。それから須藤君がさつきおつしやつた点でありますが私はこの二十四の偏向事例と称するもの、これがあるから本法案を出したと、こういうことを申上げた覚えはない。私は山口県日記の先生を契機として日本の末端の学校において偏向した教育が行なわれている、若しくはその虞れがある、そうしてそれを教唆扇動しているところの働きかけがある、かような認識に立つて法律案を提出した、こういう意味のことを申上げたのであつて、この二十四の事例の一つが欠けてもこの法案を出さなかつたであろう、こういうことは今まで申上げたことはありませんから、若し、そういうような意味に私どものことをお考えになつているとすれば、その点は私どもの気持は違いますから、その点は、はつきり申上げておきます。私どもはこの偏向事例というものは、これは資料なあなたが出せと言われたから出したのでありまして、これがあるから法律案を作つた、こういう因果関係は申上げた覚えはありまん。山口日記を契機として学校において偏つた教育が行なわれているということを発見して、そうして更に掘下て、これを研究して見ますというと、これは日教組の方針としてさようを教育を行なうべきことを実施指令をしているという事実がはつきりした、これでは困るということで法律案を作成したのでありまして、その点は、はつきり申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/134
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135・須藤五郎
○須藤五郎君 それはわかつています。(「委員長」と呼ぶ者あり、その他発言を求める者多し)僕の発言に関して大臣が発言しているんです、委員長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/135
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136・川村松助
○委員長(川村松助君) 岡君が基本です。岡君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/136
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137・岡三郎
○岡三郎君 それが本当だ。(笑声)今度こそ本当に出す、今文部大臣が言われたんですよ。今度こそ本当に出す、そうすれば今まで出たのはあやふやで出したことになるんですよ。この点は、はつきりしてもらいたいと思うのです。それで今のように言われたらいりになるかわからんという、こういう御返答なんですね、いつになるか……。今ここでそういうふうにいたしますといつても、その結論をいつに出すかわからん、そういうことが私は形式的にこれで満足して、はい、さようでございますかとに言えないと私は思う。どうして調査がそんなにできないのか私はわからんと思うのですよ。どうしてできないのか、それを聞かしてもらいたい。それが納得すれば私は下りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/137
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138・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今度こそ、はつきりしたものを出す、こういうふに申上げたのではないので、はつきりしたものを出すことになれば相当困難であろうし、適当な方法も考えられない、だから現地に人を出して調べさせますと、これは明日にでも出すようにいたします。調べさせますが、御注入のようなはつきりしたものが出せるかどうか、これはお話合いにできないと、こう言つているのです、若しはつきりした調査が、つまり裁判所で取扱うような意味におけるはつきりした調査ができる方法があるはずだとおつしやればお教え頂きます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/138
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139・岡三郎
○岡三郎君 そんなことを言つているのじやない。あなたのほうで調査を依頼することも、教育委員会にできるのですよ。そのほか係官を発することもできるわけですよ。裁判所のことを言つているわけじやない。そういうふうにして調べて、そしてこれが違つておつたら訂正する必要があると思う。なぜならば、これは裁判所のように調査して出した資料じやないでしよう、根本は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/139
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140・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/140
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141・岡三郎
○岡三郎君 それほどあやふやな資料なら、今までよりももつと念には念を入れて調査された結果出て来たものに基いて、これはやはりちよつとひどかつた、というふうになつたら、御訂正になつて私は然るべきだと思う。あなたの言つていることを聞けば裁判所でなければわからんというが、それでここに出して来たものはいい加減な程度の資料で出されたものじやないということを飽くまでも固守して、これが正しいのだ、文部大臣はそう言つておられる。それだから私はおかしいと言つているのですよ。とにかくこれは正しいのだ、こう言つておられるわけだ。だからその元をお聞きしたいと言つたらそれは言えん、調査してもらいたい。私は何も裁判所の調査以上のものをあなたにお教えする私は考え方も何もないから。併し常識的に考えて文部省が調査することもできるわけなんです。教育委員会等なり、係官をやつてなり、できるわけでしよう。そういうことによつて出て来た結論を参考にしてこれはちよつといけなかつた、この出所はそうでなかつたということが出て来ると思う、このいわゆる資料の根拠になる問題から考えてみて。そういうふうに裁判所の結論を待たなければわからんというふうなことならば、堂々とそこまでやはり調査されて、確固たるところで出して行くべきが、これが正しい資料ですよ。今後例えばこの委員会が文部省なりその他の団体なりに資料を出してもらいたい、併しこの出所は言えません。こういうふうに言われたら、この文部委員会はその都度々々資料を要求しても、その資料の元になることが言えんでは私たちはさがれないと思う。その前例をあなたがお作りになろうとしているのですよ。今後若しも資料を提出して、当委員会において委員がこの出所はどこですかと聞かれたときに、それは言えません、申述べられません、勝手に御判断願います、そういうふうな審議の形を文部委員会がとるということは、文部委員長が、それでも仕方がないのだとおつしやられるならば、私は議事に協力する意味においてさがりますが、これは将来において重大なる禍根を残すと思う。資料を出さして、その資料については言えん。(「事柄によるぞ」と呼ぶ者あり)いや、そういうふうなことの慣例がここで許されるならば私は何をか言わん、この文部委員会の権能は無きに等しいと私は言いたいと思う。私はそれについて先ず委員長の所見を聞きたいと思う。文部委員会の運営について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/141
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142・木村守江
○木村守江君 関連して。十二日、十三日の偏向教育に関する証人喚問は我々が証人のお話を聞きまして、(「ちよつと待つて下さい」と呼ぶ者あり)そして我々委員が、(「その前に文部大臣に」と呼ぶ者あり)発言中です。(「いや、こつちの答えがないのだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/142
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143・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと待つて下さい。(「文部大臣に資料について」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/143
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144・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは私どものほうとしてはむろん情報によるものであります。併しこれはあやふやなものとして出したのではありません。これはあやふやなものとあなたのほうでそうおきめになることはやむを得ません。併し私どもはあやふやなものとして出したのではないから、その点はそういうふうにお考え願いたい。それからこの資料についての出所は言える場合と言えない場合がありましよう。この場合は申上げることは差控えたいと思います。一般に政府の資料について出所を必らず言わんとか必らず言うとか、こういうことは申上げられないのであります。(「その通り」「うまいことを言う」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/144
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145・岡三郎
○岡三郎君 文部大臣に対して幾ら言つてもあなたのほうはあやふやなものでないというならば、やはり証人喚問の証人の証言と対立しているのですよ、証人が言つているんだから。あなたのほうじや、資料を出した御本尊だから御本尊があやふやでないということの証明をしてもらいたい、そう判断をしたところの根拠を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/145
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146・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 証人は委員会でお呼びになつて、委員会の審議の上の御参考にお聞きになつたと私は思います。証人を呼んで委員会か文部省と対決せよと言われたのではない、従つて文部省は聞きたいことがあつても文部省は質問なんかできません、だから文部省の言うことと各証人からお聞取りになつたことについて、これは委員会において御判断願いたい。本人がいなくなつたあとにおいて文部省はどういうあの証言に対して言分があるかと言われても、これは私どもとしてはしようがないことだと思います。だから文部省が出した資料と、それに基いてあなたがたのほうでお呼びになつた証人の証言と、これによつて御判断願う以外に、いなくなつてから言分があるなら言えと言われても、私どものほうは質問をする機会も何もなかつたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/146
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147・岡三郎
○岡三郎君 大臣の言われることは、私はとてもわからないんです。いいですか、証人がちやんと言つているでしよう、ところがこの事例を出した意図は、あなたがたのほうが要求があろうがなかろうが、とにかく出した責任があるわけですよ。あなたのほうは出したでしよう、こつちが勝手にやつている問題じやないのですよ。文部委員会だけで勝手にやつているんじやないのですよ。あなたのほうが法案を出した関連としての資料を要求して出して来ているわけでしよう。だからそれをどう御判断なさろうということじやない、判断じやないのですよ。(「判断だ」と呼ぶ者あり)出された資料について正しいと言つているんだから、正しいという判断に基いた資料を言つてもらいたい、どこがこれは無理なんでしよう。文部省のほうでこれこれだから正しいと言つている資料だから、だからそれをそういうふうな御答弁では私は済まんと思います。(「同じことじやないか」と呼ぶ者あり)同じじやなくて、文部大臣がおかしいんだよ。(「おかしくない」と呼ぶ者あり)もうさつきまでは確かなことだと言つて、あやふやでしようと言つたらあやふやじやない、こう言つて来た、あやふやでなかつたら、あんたのほうが資料を出して来たんだから、あやふやでないということを言つてもらえば私は釈然とします。(「あやふやでないということを言つている」と呼ぶ者あり)根拠を示してもらいたい、元を聞いている。そういうふうに答弁を拒否するならこれはしようがない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/147
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148・木村守江
○木村守江君 我々はこの偏向教育に対する証人喚問をいたしましたのは、証人からいろいろなことを聞きまして、そうして我々委員がお互いの良識によつてこれを判断して偏向教育と認めるか認めないかを決定すべきものだと思います。証人が言つたことが言葉の表面に現われたこと、又言葉の裏面に蔵されていること、そういうふうなことを我々が勘案して、その信憑性を判断すべきものであると私は思うのでありまして、ただ一方の人が反対をしたから、又ここに証人として喚問された人が品を揃えて表面上反対したからということによつて、これが信憑性がないということを判断できるものでは私はないと思うのであります。例えば口を極めて否定いたしておりましても、その中に何か無意識的にこの事実を承認しているような幾多の発言がありましたならば、私はやはり(「一割だ」と呼ぶ者あり)そこに信憑性を疑わなければいけないと思うのであります。かように考えまして、只今岡君の発言を聞いておりますと、岡君は一関その他の問題につきましては信憑性がないというような判断をされたからと言つて、只今質問を続けられているようでありまするが、私どもは岡君とは全く反対に、一関の問題につきまして両人の証言はありましたが、この両人の証言の間に而もこの偏向教育の一例として挙げられました文部省の事例にぴつたり、もう言葉全部が合つているとは申上げませんが、その本質において合致しているものがあると認めざるを得ないのであります。(「おかしいね」と呼ぶ者あり)私はこの読売新聞、この新聞にありまするが、この新聞の報道によりましても、君が代は国歌と思わないと、そうして、但し卒業式に歌わなかつたということは、田舎の学校の例で祝辞が多過ぎて、生徒の中には卒倒する者が出ることを心配して、祝辞も、お祝いの歌も、君が代をやることも反対をしたのだというふうなことを言つておりまして、君が代を斉唱しなかつた。君が代を斉唱することに反対したというようなこの事実は肯定していることになるのであります。私はかように考えまして、その次の『われわれは天皇のためになるような人間を作るために』云々というようなことは、不幸にしてこの言葉なりには引き出すことはできなかつたのでありまするが、私はこの前段の言葉を以てしましては、相当の議論がされまして、或いはそういうような考えの意図にこの君が代に反対されたのではないか(「何世紀の頭だ、二十世紀の頭か」と呼ぶ者あり)というような判断をするのであります。かような観点から考えまして、岡君が独断的に判断したことを以て信憑性がないということを言うことは私はでき得ないと考えるのでありまして、この問題につきまして私はかような論議をしているよりも、我々お互いの良識で以て判断いたしまして、而うしてこの偏向教育が国家にあるかないかということが問題でありまし出て、これは一々の問題が偏向教育でないということによつてこの法案が審議されるというようなことは大きな間違いだろうと思われますので、これ以上この問題についての論議を交わすことは非常な、一方的な考えを、岡君がよく言つておりまするが、これは本当に一方的な考えを押しつけると言つておりますが、岡君の言うことこそ一方的な判断を押しつけているものだろうと、而もこれは戦争裁判とは違うことだ。(「何の質問だ」と呼ぶ者あり)証人喚問ですね、証人喚問してみんなの委員に聞かせるというような最も民主的な方法で決定されて参つているのでありまして、そういう点から考えますると、(「事実ないと言つてるじやないか、証人が。」と呼ぶ者あり)かようなことから、私はこの岡君の只今までの質問は、これは今日質問するのがちよつと的をはずれているものだからして、(「冗談言つちやいかん」と呼ぶ者あり)基本的な問題ではないと考えますので、これ以上この問題につきましては質疑を打切りまして、本案の審議に入られますようにお願いする次第であります。(「何だそれは、関連質問じやないじやないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/148
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149・岡三郎
○岡三郎君 関連でとつて、ああいうことを言われたら非常に迷惑なんで、私は先ほど申上げた通り、(「岡君関連しているのですか」と呼ぶ者あり)ちよつと待つて下さい。今日言つている、私の言つていることはですね、的がはずれているということですね、今まで現地調査に行つたら現地調査に行つたことを報告しているでしよ。そうして委員会のほうでそれをうまく資料として審議に資しているわけなんです。我々夜遅くまで二日証人喚問してやつたことについてこれを頬かぶりでこの委員会が行くというのならば、私はあれだけの国費を費して、経費を費しているということについては、これは形式的で木村委員の言つていることが私はピントがはずれていると思うのです。二日間文部委員命が証人喚問してやつて、その喚問した事項について本日触れて行くということは正しい審議の在り方だと私は信じているわけです。それで二日間夜遅くまで一生懸命に三十幾人の証人から聞いて、それを今日質しているのに、そんなことは的はずれだ、こういうふうな審議の方法では私はそれは間違つていると思うわけなんです。たから私はやはりこの問題については折角費用をかけて御足労を煩わしてやつて来たものですから、私は本日先ほど言つたように聞いているわけです。なぜかと言えば、来た証人は当事者なんです。この資料を出した文部省も当事者なんです。いいですか。文部省も当事者であつて、文部省が言えんと言うから当事君の証人を呼んでここで委員会で審議したわけです。文部省の言つていることと証人の言つていることが食い違つたならば、当然食い違つた点について証人のほう、宣誓しているのだから、文部省のほうに対してあなたがたはなぜそういうような判断をせられたかということをお伺いするのは当り前でしよう。文部省の言つていることと証人が言つたことと見解の違いという点ならば、私は今日は触れていないわけなんです。見解の違いではなくして、明らかに否定されたことについて二人であろうと三人であろうと当事者が否定している。それを文部省当事者がそれはそうでないのだと言うならば、そうでないことを言つてもらいたいということは私は当然だと思う。そういうふうに審議が進められて行かなかつたならば証人喚問とか、現地調査なんていうのは私は意味がないと思う。形成的になつてしまうと思う。私は飽くまでも証人喚問をしたからには、形成的ではなくして、この問題について当事者の文部省当局にお聞きしているわけなんです。明らかに証人と当事者の文部省当局との見解が対立し、根拠が対立するならば、対立したところを明確に言つてもらいたい。そうして何とか進行してもらいたいというように私はお願いしたわけなんです。一言言つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/149
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150・川村松助
○委員長(川村松助君) 劔木君が関連質問を求めていましたから岡君の了解を得ます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/150
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151・岡三郎
○岡三郎君 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/151
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152・剱木亨弘
○剱木亨弘君 先ほど私が申上げたことについて文部大臣は直ちに調査さしてもよろしいということを申されたのでございますが、実際この際確実に裁判で調べるような結果が出るとは私どもも想像いたしておりません。併しこの法案につきまして、やはりこの書かれた事例として出ました地方の人につきましては非常にこれはやはり大問題でございますし、なおこの岡さんなりそういうところから言われる筋も多少私ども全部承服しておるわけじやございませんが、併しできるだけその事実を明らかにするという、その必要ということは私ども認めるのでございまして、従つてただ全部これを審議中に調査の結果を的確に文部大臣が自信を持つて出せるような調査をこれは是非出せというふうに私どもは強制するということはできんし又事実上非常に困難だとは思います。併しできるだけ誠意を持つてこれを調査して頂いて、そうして少くとも審議中におきましてこれだけの調査の状態だということがわかるようなことにいたす、いわゆるまあ少くとも意図を持つてこの調査をお始め願つて、その結果これがはつきりいたしましたならば、できるだけ本委員会に資料として御提出頂くということで皆さんの御納得を頂いたらと思いまして、その点を一応申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/152
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153・岡三郎
○岡三郎君 どうも私と文部大臣とで意地張り競争していたのじや、又迷惑にもなると思うので、今劔木さんのほうから言われたことについて、一応今日はこれ以上私はここでやつていると、両方の意地張りで、他の委員のかたに御迷惑をかけてもあれだから、一応保留しておきますが、併し飽くまでも当事者のかたが言わんとすることについて、私は国会議員として証拠に……、これは社会党、左派であろうと、右派であろうと、自由党もないと思います。私が仮に自由党議員でも、もうこれは是は是、否は否としてやらなければならんと思つているのです。併しそういう点で御迷惑をかけるようになつても困ると思いますので、一応劔木さんの言われたことはあれとして、私としては、とにかく一応調査方法という観点から、やればできることだということのほうに思つているわけです。併し文部省のほうで、なかなか時間がかかるということでありますので、今劔木さんが言われたように、可及的に調査をしてもらうということで情勢を見るより仕方がないと思うのであります。そういうわけで、私としては一応この問題については質問はとりやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/153
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154・川村松助
○委員長(川村松助君) 岡君の関連質問は一応これで打切ることにして御異議ございませんか。
(「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/154
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155・川村松助
○委員長(川村松助君) 御異議がなければ、岡君の関連質問は一応これで打切ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/155
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156・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの明らかにして置かなければならないと思うのは、さつき大臣が私の質問に対しての答弁の中に、私は食い違いがあると思うのですよ。やはり山口日記というものがこの法案を作る動機になつていると思うのですね。動機になつているのです。そうすると、この二十四というのは、山口日記を初めこの二十四の事例というものが、この法案を作る動機になつているのだから、それが全然ないということになれば、この法案を作る理由が全然なくなるわけなのです。たから僕はそれをあなたに言つているのです。それからあなたは最初確信を持つて出したと言つていたが、最近その確信が鈍つて来たのですが、昨年の七、八月頃からこれは調査した資料、事例でしよう。それをうやむやな、確信も何もないような、十分調査もしないで今日まで放つておいて、それを国会に出したということに私はやはり問題があると思う。だからそういう杜撰な資料によつて大勢の人が迷惑を受けているということに対して、やはり文部大臣は政治的責任を感じなくちや私は嘘だと思う。道義的な責任でもいいが、それを感じなくちや私は嘘だと思う。だからその点に対してあなたがどういうふうに考えているかということと同時に、文部省が今後調査して、その調査が半年後に出て来たからといつて、この法案が通過して、若しも半年の進行の……、二十四の事例が全部でたらめであつたということがわかつたつて、それからあなたが辞職してみたところで、その動機であつたものが杜撰な、でたらめなものを動機として成立したこの法案を、あなたは引込めますか、それで済みますか、だからそんな状態では駄目だと思う。やはり私は今日出された事例を基にして、皆やつて行かなくちや、今後文部省が調査した事例を基にして問題にするなんてことは、問題にならないと思うのですよ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/156
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157・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 山口県の日記というものが、少くとも当時就任して間もなくで、事情に暗かつた私は相当に実はびつくりした。そういう影響を、与えたことは間違いではありません。それを契機として、先ほど申上げましたが、この学校における偏向教育というものについて非常に関心を持つようになつて来た。これもその通りであります。そうして現状のまま放置することはできない。又これを一定の組織的或いは計画的な考え方で、この偏向教育というものを行うことを目的として働いておる働きかけというものもある、こういうことで、この法律案を出したのであります。そこでこの点はあなた今おつしやつた通りであります。山口県日記というものが動機と、どうも私も少くとも契機になつたことだけは間違いありません。山口県日記は御承知のようにこれはちやんと日記帳として印刷してあるものでありまして、これが偏向教育であるかどうかということの見解の相違は、それは人によつて違いましよう。併しこの事実だけは、これはあるもないもない。これはちやんと印刷物になつて現にあることでありますから、これは間違いもない。これが跡方もないことであるということは先ずあり得ないと私は思つております。それで私がそれをどういう責任をとるかというようなことでありますが、どういう意味でありますか、私は文部省として提出した資料につきましても、法律案につきましても責任を感じております。責任をとるということが、すぐやめるというようなことになるのか、その辺のあなたの内容はわかりませんが、併し私は人がしたことのようには思つていません。私の責任において提出をし、私の責任において差出した資料であります。その意味において私は決して逃げも隠れもしようとは思つておりません。それでいいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/157
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158・須藤五郎
○須藤五郎君 昨年の七、八月頃から調査した事例を、今日自信がないような状態でなぜ出したかということなんだ。時間的に余裕は十分あつたじやないか、今日まで。これから調査するなら、今日までちやんとやつて来なくちやならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/158
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159・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 前にも申上げましたように、積極的に実は調査する方法は持たない。その方法というのは、ただ残されているのは、教育委員会に報告を求める以外にないのであります。これは前も申上げた、いわばこれらの事例は、自然に私どものところへ入つて来た情報であり、自然に隻つたものであります。私どもはこれを嘘であると、こう思つておりませんので、そういう事例があつたであろう、こういう信ずべき情報としてここに出したのでありまして、この情報は今申上げるように、私のほうで計画的に集めた情報ではありません。これは前にも申上げてあるのであります。又この情報が二十四揃つたから、そこで法律案を考え出した、(須藤五郎君「わかりました。その点はわかつております。」と述ぶ)こういうものでもありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/159
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160・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは昨年の七、八月頃から集つた情報を、今日まで調査もせずに放つておいた。調査のしようがなかつたというのですね。それでは今後の調査のしようがありますか。これまで調査のしようがなかつた事例を、今後あなたは劔木君の説を、容れて、どういう調査をしようというのですか。今後するのですか、これまでしなかつたものを。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/160
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161・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これも前々から申上げているように、非常な精密な、誰にも承認して頂けるような正確な調査ができるかどうかということは、その方法が的確の方法はありません。ただ文部省として、当委員会の御要望であれば、文部省としてできるだけ、文部省の力の及ぶ限りのできるだけの詳しい調査をいたしたい、というのは、これが事実に無根であり、或いは歪曲せられておる関係上、地元の方面において、迷惑しておられるというようなことがあれば、これは非常に相済まんことであります。事実無根であり、歪曲せれておるということを前提とすればですよ、これは地元に非常な御迷惑をかけていることでありますから、これは私どもとしてその御迷惑を早く払拭しなければならんということを考えております。これも私どもそういうふうに思えば何時でも訂正もし、適当な方法をとりますということを申上げておるのであつて、それで今劔木君からのお話もあり、誠意を持つて、若し私どもの資料に訂正すべきところがあるということになれば、そのような処置をとりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/161
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162・須藤五郎
○須藤五郎君 いや、もう一問、そこではつきり言つているのですね、これから調査しようと思う方法でですよ、何で正確にちやんと調査をしておかなかつたということです。そういうことに対しては、文部省はやはり責任がある。そういう杜撰な資料を出したということに対して、やはり文部省は責任を感じなくちやいかんというのです。これまで何も調査していないでしよう。それで言われて、これから何か文部省のできる範囲内においてしよう、まあ恐らくどういう方法をとられるか知りませんが、とられる方法で、なぜこれまでそれを調査をして、ちやんと確信のある方法で、人にも迷惑をかけない方法で、なぜこの資料を出さなかつたかということを私は言つているのです。それに対して文部大臣は責任を感じないのかということを私は質問しておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/162
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163・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今繰返して申上げました通り、同じことを言うようでありますが、文部省としては誠意を持つてなお再調査をしたい、こういうことを申上げておるのでありまして、それは今まで出したのがこれは調査方法なり、出所については申上げられないことは大変遺憾でありますが、(須藤五郎君「知つております」と述ぶ)御要望に副いたい。
けれども、あなたは又もう一遍それじや調査をしますと、こう言うと、すぐそれはあなたは前の調査が杜撰な方法であつて、なぜそれを前からやらんか、こう言われるけれども、私どものほうでは杜撰とは思つておらんので、これは前から申上げた通り。ただ証人をお呼びになつて当委員会の、まあ大体のあなたがたの御判断として、これは事実を曲げておりはせんか、或いは事実無根でありはせんかというふうなことでありますから、そこで改めてもう一度再調査をいたしたい。これも誠意を持つて、決して私どもはここへ出したからといつて、みすみす間違つているものを言い張るなんということはいたしません。誠意を持つて調査をしたい、こう申上げておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/163
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164・岡三郎
○岡三郎君 私の言つているのは、なぜ早く出してもらいたいかというと、いいですか、見解の相違の問題は別ですよ。大臣、いいですか。明らかにこれは事実と相違しておることが誇大に言われているかという、私の言うのは三件の事例たから、三件ぐらいは早くできるだろう、こう言つているわけですよ。あとの点は私は今直接触れていないわけです、見解の相違の問題は、これはあとで偏向であるかどうかの点については触れるけれども。たからその点について私は審議期間中に出してもらいたいと言つている理由はそこにあるのです。とにかく事実と相違しておるという点に私は限定しているから、できると思つているわけです。日本中隈なく探してやつてもらえば結構だけれども、そういうことは又とてもできないと思うから、三件の事例について明確に対立しているので、この点について当事者の文部省としては至急つてもらいたい、こういうわけです。(「了解々々」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/164
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165・剱木亨弘
○剱木亨弘君 私はまあこの問題にばかり終始いたしますので、少し法案に関しまして御質問申上げたいと思います。
午前中に野本委員から文部大臣への質問に対しまして、文部大臣が御答弁なさつた点につきまして、多少私疑問を持つた点がございますので、その点につきまして私自身の考え方は間違いであもかも知れませんが、これに対して文部大臣の御見解を承わりたいと思います。
それは日教組の行う教育研究大会に関する問題でございます。私は高知県においてでしたか、どちらが先だつたか記憶しておりませんが、日光であつたかと思いますが、日教組が全国的に自発的な研究の態勢を促進し、日本の教育に資するという意味合いをもちまして、全国的に教員の日教組の主催におきまして教育研究大会を開きましてやつた場合に、日本の殆んど私の知つている限りにおきまして、言論機関は日教組がその活動を労働運動の域に没頭せずして、この教員の自発的な研究の形態にこれを力を注ぐようになつて来たと、これは教員の自発的研究を促進ずる意味において極めて有意義なことであるというのが、当時の言論界の大体の批判であつたと思います。私はその当時におきまして、その言論界のこの批判に対して非常な疑問を持つたのでございます。
それはこの日教組が成立の過程に、今日まで見まして、労働組合としての性格は非常に強くて、いわゆる労働運動のための組合だと一応考えられるのでございます。而して労働運動と申しますのは、この一つの全体、教員の打つて一丸とした一つの大きな団体として、その組織の、団体の力を持つて教員の待遇を改善し、地位を向上して行く、この目的のために存するのでございまして、その性格におきまして、その団体員の行動は、或いは全国の教員の大会におきまして、或いは全国から選ばれたものの代議員の会におきまして、或いは一部執行部に廻されたものについては執行委員会の決議におきにまして、民主主義の原理に則つて多数決の制度によつて一定の行動綱領を定め、その定められました行動綱領によつて全団体員が一つの統制ある形におきまして運動するというのが労働運動の形態であり、又常道であると考えるのでございます。
然るにこの教育活動と申しますのは、その一定の法規なり法律なり、又はいろいろな示された教育論の範囲内におきまして、各先生が、教師が、自由な立場において自分がその教育計画を、その許された範囲内において立てて、自由な形において、何人からもその範囲においては強制されない、そうしてこの教育たやつて行くというのが本質的なものでありまして、その本質においては、一つの統制によつて、一つのきめられた統制によつて教育活動をすべきものではないと考えるのでございます。従つて労働組合自体の活動方式と、教育の実際の場における活動方式とは、これは全然性格を異にするものであつて、労働組合がこの教育の場における一つの研究大会を持つて行くということは如何なるものであろうかということを、その当時非常に疑問を持つておつたのでございます。私は飽くまで曾つてございました教育会とかいうようなものでなくして、何らの統制的なものでなくして、教員の自発的な活動を、この教育的な自発的な活動を促進するというような形態において、自由な一つの団体であるならば、これはそのところで教育研究大会を持つということも適当であると思うのでございますが、併し労働組合そのものが教育の研究を持つて行くということは如何なものであるかという疑問を持つておりました。
先ほど文部大臣は御答弁におきまして、労働組合品がその仕事場における仕事自身に対することを労働組合がきめて行くということは例がない、こう申しておりましたが、私は教育の場におきましては、労働組合がこれをやるということ自体が本質に反するのではないか、こういう私は考え方を持つておるのであります。従つてこの日教組の行いました教育研究大会は、各地域におきまして課題を持つて先生がたがみずから研究したものを持寄つて、そうして研究大会におぎ止して一つの結輪を出して行くように努めて行こうということの努力はなされておる。文部大臣のいわゆる切瑳琢磨するという形は自分は結構たと思うということを申されましたが、私自身の考え方としては、この労働組合の形において、そういう切嵯琢磨をすべきものが、若しくは教師は教師としての立場においてほかに研究、お互いに自発的な今研究をする場があつていいのじやないか、こういうふうに私は思つております。従つて文部大臣は先ほどこの研究大会において一定の決議を出して、これを以て強制、その決議に従つて強制しようという方針をきめて行くということは誤りではないかということを申されておりましたが、その或る結論な得て、或る教育について或る結論をお互い同志で持寄つて結論を得るということは、これは私自然的に研究大会としてあり得ることと思いますけれども、併しそれが労働組合の形におきまして、その結論を何らかの強制をするものでないということであるならば、これは又考えようがございますけれども、労働組合の本質的な面から言えば、これは一つの統制団体でございます。そこできまつたものがその線に乗つて統制されて行くという形が必然に労働組合の教育活動にはつきまとうものであつて、私はむしろ教育研究大会そのものがごの日教組という一つの労働組合的な団体がやるべきかどうか、やつていいのかどうか、その点について甚だ疑問を持つているわけでございます。この点につきまして文部大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/165
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166・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 日教組が主催するとこるのいわゆ教研大会、これは労働組合である日教組の組合の活動の一環として行われ乙場合に、只今劔木君が言われたような問題かそこに孕むものであると私は思うのであります。日教組が如何なる団体であるか、これは見る人によつて違うでありましようが、いわゆる労働組合的な面を持つていることは確かであります。併し同時に又教育者又教職員のアソシエーシヨンとして、そしてそういう面をよく持つておつて、そうして教研大会というものが組合活動ということでなしに、教育者の団体としてのそういう研究の催しであるという性質に立つて、そうして先生がたが集つて自分の経験なり、自分の教育に関する考え方を持ち寄つて研究される。いわゆる切瑳琢磨して、相互に参考として教育の向上を図る。こういう趣旨のものであれば、これは私は先ほど申上げたように結構なものである、こういうふうに思つておるのであります。ただ教研大会というものが、今劔木君がお話になりましたように、労働組合の組合活動の一環として、そうしてそこで何らかの結論を出して、その結論が組合の方針となつて組合員たる個々の先生がたの教育活動というものに対して或る一定の方針を示すと言いますか、そういう型を指示するということ。つまりそういう一種の教育に関する統制の方式をそこに打出すということであるならば、これは明らかにいわゆる自由なる教育の自主性というものに対する不当な支配である、こういうふうに考えて私午前中にその意味のことを申上げたつもりであります。
そこで問題は、日教組が行なつている教研大会というものが、そのいずれの性質に属するものか、こういうことであります。ただお互いにふだんの経験を持寄り、考えを持寄つてお互いに研究をする。そうしてその得るところに従つておのおのの先生が職場に帰つて、そうして自分の責任において、自分の自主的な立場においてなすところの教育の上にそれを参考とし、利用される。これだけの問題であるのか。或いは教研大会というものが、お互いに話合つた上で一定の結論を出して、そうして組合員たる各個の教職員に対して教育をこういう方向で進めて行かなければならん。こういう一種の拘束力か持つところの決議様のものとして現われて来るものであるか。前者であるか、後者であるかということは非常に重大な分れ目であると思う。私は若し組合活動として教研大会が行われて、そこできめられたところの決議というか、多数決によつて方針がきまつて、その方針の下に組合員たる教職員は職場においてかくのごとき教育をせよ、こういう事例となつて現われるものとすれば、これは明らかに教育の自主性、自由なる教育というものを破壊する以外の何ものでもない。かように考えておるのであります。ところでそのいずれに実際は属するかという問題が、要するに問題のキー・ポイントであると思います。そこで第三十一回の中央委員会の決定事項の中にこういう、これは日教組の教育情報昭和二十八年の十一月三十日付のものであります。それによりますというと、この決定事項の中に、教育研究大会と組合活動は一体をなしている。こういうことが出ております。これは決議であります。そうしてそのうちの十一ページにこういうことが書いてある。イ各都道府県の研究大会終了と同時に事後処理委員会を設置し、研究結果のうち具体的な要求事項を抜出して教育委員会や関係当局に要求する。又、研究の成果は、組合運動推進のための基礎資料とし、組合大会で新年度の運動方針に活用する。これによつて見ますれば、明らかにこの教研大会というものは多数決によつて一定の結論を出して、そうしてそれを組合活動の一環として、そして大会等においてこれを決議として打出して、そして現場の教育の場においてこれを推進する。こういうことを極めて明瞭に、鮮明に打出しているのであります。私は午前中この職場まで労働組合の、こういうふうに仕事をせよ、ああいうふうに仕事をせよというような、職場まで組合の考え方を押し進めて行くと、こういうことは余り他に例がないように思うということを、先ほど劔木君は指摘されましたが、その通りに申しました。余り他に例がないということは、日教組の場合においてはこれをやつているという意味であります。今日、先はど公安調査局の次長からお話がありましたが、業務管理ということで、国鉄労組の諸君が勝手に鉄道のダイヤをきめて、そして勝手な国鉄の運営をしているわけではない、各民間労組の人たが職場においてはこういう式なものを作る、こういうふうなもの以外はこしらえないとか、そういうことはやつておらん。然るに若し日教組というものがその実態において労働組合であるとするならば、この場合の日教組は、おのおのの職場に立入つて、そして各個の組合員の職務であるところの教育というものをこういうふうにやれ、ああいうふうにやれということを指図をしているその基礎になるものが、いわゆる教研大会であります。でありますから、その点を私は午前中に申上げた。これは公安調査局の次長のお話によつても明らかであるがごとくに、これは普通の労働組合運動として是認せられるべき範囲のものではありません。これは明らかに業務管理、この方式が日教組によつて今日教員の職場であるところの教室に持込まれている。こういうふうに考えております。さような意味を極くばらばらに申上げましたから、或いは私の意味が不徹底であつたかも知れません。大体劔木君のお考えになつていることと同様に私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/166
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167・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の質疑は、私はかなり重要性を持つていると思います。それで剱木委員の質問に関連をして文部大臣にお尋ねしたいと思います。
先ず、文部大臣は、日教組の規約を御存じであるかどうか、お伺いしたいと思います。日本教職員組合は、その規約に基いて運営されているのであります。従つてその規約にも明らかな通り、日教組の組合員を統制するということは、大会の決定を経なければならないわけであります。今文部大臣は、日教組が主催した研究大会の決議、或いは決定が、結論が組合員を拘束すると、こういうふうな見解をとつておられるように私は聞きました。併しかようなことは日教組の規約から考えましても到底あり得ないことであります。日教組は何も研究大会だけを主催しておるのではなしにいろいろの会合を主催しております。併しそれらは日教組の組合員を拘束するものではありません。そういう意味において今文部大臣が教研大会の結論が組合員を拘束しているかのように判断しておられるということは非常な間違いであると私は考えますので、(「全然違う」と呼ぶ者あり)規約の問題をどう解釈しておられるか、その点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/167
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168・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私が拘束と申上げましたのは、決して法律の持つ拘束力と同じような意味で申上げたのではない。これは申上げるまでもなく当然なことであります。労働組合と申しますか、その団体として多数決によつて決議をして、こういうふうにやる、こういうことは一応組合員がそれに従うという前提でなされたことで、これに従わん場合はどうということはこれは別問題でございます。それでなければ組合として決議をしたり何かすることはこれは無意味であります。その意味において、その意味における拘束力を持つものである。それでなければ組合として決議をしたり多数決できめたりすることは、全然組合員に関係のないことであればこれは無意味であろう、そういう意味での拘束力ということを申上げたのあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/168
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169・荒木正三郎
○荒木正三郎君 私が言つておるのは、日教組が主催しておるところの研究会の結論が、これが組合員を拘束するかのように文部大臣は判断しておられる。これは私はあり得ないことだと思う。これは規約を見れば明瞭であつて、こういう研究会の結論が組合員を拘束するということはあり得ないということは明瞭であろうと思うのです。そういう点規約を見れば明らかでありますので、考え違いをしているのではないか、こういうふうに思うのです。ただそれは研究大会によつて出されたところの結論が、非常に組合員に周知せしめることがいいと思う場合は、組合はそういう内容を組合員に周知するような方法をとるでしよう。或いは研究大会の結論が教員諸君によつて更に深く研究されることが望ましいという場合もあるでしよう。そういう場合はそれに必要な措置をとるでしようが、それらの結論が組合員を拘束するというようなことはあり得ないことと私は思うのです。従つて劔木さんが言つておられるようなことは、まあ極端な言葉で言えば的が外れておる、こういうふうに私は思うのです。なぜ文部大臣は組合員を拘束するように判断しておられるのか、どこからそういう判断が出て来るのか、私は疑問に思うので、その規約の点をお尋ねをしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/169
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170・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 教研大会は、私の承知しておりますところでは、教研大会において研究をせられて出た結論と申しますか、これはその時時に発表されておると思います。これは発表でありますから、これによつて一般に教職員の諸君にこれは周知されるでありましようけれども、それが直ちに組合員を拘束するとかいうような関係は起らないことは勿論であります。ただ先ほど読みましたように、日教組自身のこの教研大会における結論というものに対する取扱いの態度ですね、これが先ほど読んだように、中央委員会の決定事項としてはつきり出ておる。それによるというと、教育研究大会と組合活動というものは一体をなして行くということが前提にあつて、そうして研究の成果を組合運動の推進のための基礎資料として、組合大会で新年度の運動方針に活用する、こういうのでありますから、この基礎資料としてできた教研大会の結論というものが、組合の大会においてこれがとり上げられて、それを基礎資料にするのである。基礎資料として組合運動の推進の基にするのである、こういうことが決議として現われております。この点から、そうして組合大会の決議としてこれが決定されれば、その限りにおいて私は拘束力を持つて来る。かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/170
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171・荒木正三郎
○荒木正三郎君 これは教研大会の結論を組合活動でとり上げるということは、組合員をこの結論で拘束するという意味とは全然別個なんです。大臣、よく聞いて頂かないと答弁できないんじやないかと思います。この教研大会の結論を新年度の組合運動においてとり上げるということは、組合において十分検討しようということなんです。ですからどういうとり上げられ方がするかわかりませんが、これの結論が、教研大会の結論が組合員を拘束するということにはならない。それとは全く別個の問題である。それから研究活動と組合活動の一体を図るということなんですが、これは組合運営の考え方に基因している問題であつて、教員組合はいわゆる労働条件とか、或いは待遇改善とか、それだけに限定して組合運動をすべきか、或いは組合が教育研究の問題についても研究すべきかということは、これは組合自身が決定するものであつて、何ら差支えない問題である。これは私も、私は別に広い知識を持つているわけじやありませんが、アメリカの教育会は教育の研究もやつておりますが、同時に労働条件の改善、或いは待遇改善の問題も併せてやつております。少くとも私どもの知つている範囲においては、教育組合の特殊性というものはそこにあるのじやないか。これはイギリスにおいても、フランスにおいても、これらが並行して行われております。これは教員組合が教育研究の問題にタツチしてはならんということは私は言えないと思う。これらはそのほうがいいという考えであればそれをとり上げて何ら差支えがない。ただ問題は研究大会の結論が五十万教職員の行動、教育行動を規定するとか、拘束するとか、そういうことはあり得ないことなんです。それをあり得るかのように思われるので私は非常に不審に思つているのです。ですから今さつき言われたように、教員組合の活動と教育研究活動を一体としてなすということは何ら差支えがないことであり、而も一体としてなしてもそれが拘束するとは思いませんし、又新年度の組合運動の方針にいろいろの研究の結論とり上げるとか、とり入れるとかいうことは、私は何ら差支えがない。而してこれが教育活動を拘束すると言うことはできないし、又しておらない、こういうことを申上げておきます。これは誤りであると思います。この点はよく研究をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/171
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172・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 教育研究大会と組合活動は一体をなしている、この場合の組合活動ということの意味であります。先ほど申上げましたけれども、教育者の団体として教育上の研究を持ち寄つて、そうして採長補短と言いますか、切瑳琢磨と言うか、研究をするということであれば、これは結構であります。これは教育者の団体が当然していいことであります。(「そういう意味です」と呼ぶ者あり)ただ、そこで一定の結論を出して、その方向に全体を組織的にやつて行こう、そうしてそれを各職場に持ち返つてその方向で教育を進めて行こう、こういうところに問題があるのであります。この場合に組合活動ということは、これがどういう意味であるか、これは、まあこれ以上詳しいことはありませんが、組合運動推進のための基礎資料として組合大会でその運動方針にこれをきめるのだ、そして日教組の大会なり中央委員会において映させておる教育に関する方針は極めて鮮明であります。鮮明であります。これは申上げるまでもない、あなたがたのほうがよく知つておられることでありますから。のみならず……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/172
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173・荒木正三郎
○荒木正三郎君 いや、僕はよく知つているというわけではないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/173
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174・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そこでこの教研活動の推進についてということで、これは日教組の教育情報第二三八号でありますが、これに日教組の文教部長和田敬久君の論文があります。これによりましても、ただ先ほど私が申上げるように、お互いに自他補うための研究をすると、こういう単純なものではないと私は少くとも、判断せざるを得ないのであります。こういうことが書いてある。我々の研究の特色はそれが組織的であるという点にある。組織的で刈るという点にある。中略をいたしますが、我々は組織者として研究し、研究者として組織され、且つ団結せなければならん。団結は最高の倫理であるというなら我々の研究は即ち我我の倫理でもある。でありますからして、この研究というものがお互いの経験を持寄つて知識を広める、眼を開かせるということでなくして、その研究の結果を団結に持つて行く、ここに教研活動の真の真髄がある。これは日教組の文教部長が日教組の機関誌の上に発表されておる論文であります。でありますから、私はこれが一貫した日教組の方針であるというふうに考えております。若しそうであるとすれば、この組合活動と一体をなすものであると言われて、組合というものが若し労働組合であるというのならば、これは先ほど申上げましたように、組合員個々の職場であるところの教壇の上に組合の考え方を持込む、こういうことにほかならない。私はそう考えますが、その点間違つておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/174
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175・荒木正三郎
○荒木正三郎君 今の問題に関連して、これだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/175
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176・剱木亨弘
○剱木亨弘君 いやそうじやない。私の質問中に関連質問しているのですよ。もう一つですか……それならやつて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/176
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177・荒木正三郎
○荒木正三郎君 これは研究大会が組織的であるという意味、希望者は自由に参加するというような仕組にはなつていない。これは各分会とか、学校とか、或いは単位組合とか、そういうところで研究をした成果をだんだんと持つて来るような仕組になつている。そういう意味において組織的である。これはその通りであります。併しこれが組合員を拘束するということは何らならない。
それから団結ということを言つていますがね。これも組合員を拘束することにならない。それは一文教部長の希望の所見が述べられているに過ぎない。そういうものが組合員を拘束するはずはない。よく所見とか意見というものが組合員を拘束するか、或いは組合の意思を代表しているかのように言いますが、組合の意思というようなもの、或いは組合員を拘束するというのは、正式に選出された代議員の或る決議だけじやなしに、拘束する意味を附した決議でなければ拘束し得ないものなんです。そういう点で大臣少し誤解があるように思いますので、どうも食違つておるように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/177
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178・剱木亨弘
○剱木亨弘君 委員長それは……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/178
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179・岡三郎
○岡三郎君 劔木さん劔木さん、それわね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/179
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180・川村松助
○委員長(川村松助君) これは劔木さんの発言に基いた関連ですから混線されないようにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/180
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181・岡三郎
○岡三郎君 発祥の私が根本的なことを言つてやらなかつたら、あなたがたが勝手に混線して……だから私の意見も聞かなければいけない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/181
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182・剱木亨弘
○剱木亨弘君 今の私の質問に対しまして、岡委員から関連質問としてありまして、この問題を私はここでこういう大臣に質問の形で討議なするという気持はございません。ただ私が申上げましたのは、労働組合の本質という意味合から、この自由なる立場に立つべき教育の問題を取上げて行くということ自体が、研究を取上げて行くということ自体が本質的に相反しておるのじやないかということを申すのでございまして、勿論アメリカの教員連盟がこの教育活動をやつておるということは、この性格上、当然のことであると私は思つています。ただこの教員連盟が同時に教員の待遇の改善をやる、これも又決して悪いことではないので、ただ日教組というものの性格が非常に多分に強いので、これがやはり教育活動をやるということはいいのかどうかという問題を私は一つ提起したのでございます。勿論私の考え方が必ず正しいというので提起したのではなくして、これは皆さんの御批判に待つところでございますが、ただ私がこういうことを何故申上げますかと言いますと、現実に高知県の研究大会が持たれましたときに、私の郷里の二、三の教師のかたが高知県の組合大会に臨んで、その帰りに東京に寄つて来られました。それで研究大会の模様はどうであつたかということを私が聞きましたときに、この日教組の研究大会は私どもは、私どもが自発的に研究したものを自由に発表して来る研究大会と思つて参りましたが、行つてみますればさながら講習会であつて、一つのものを、きめられたものをお前たちはこういうふうにしてやるのだぞという一つの講習会を受けたような感じで帰つて参りました、ということを申しておりました。それでそのことは、その人から聞いたのは真実でございますが、研究大会が果して講習会のようなものであつたかどうかは私は現場に行つて見ていませんし、知りません。ただ私が付度しますのに、やはりこの研究大会には相当指導者という格でいわゆる講師団というものが存在しておりまして、その講師団を構成して一つの結論を出して、そして組合員にわからして行くというような意図がなかつたとは私も又これも反証を持つておりません。特に先ほど公安調査庁から出されました研究大会における日共グループの活動状況を見ますれば、相当これに日共グループとしてはその資料に聴きましても、力を入れてこの研究大会の結論を奈辺に持つて行こうかと努力しておるということは、相当私どもあの資料によつて察知できるのでございまして、若しこれが完全に自由なる意見の交換であつて、お互いに切礎琢磨して人の言うことを聞いて、足りないところを聞いて帰るというだけのものであるならば、あそこまで日共グループが私はこれに全力を注ぐものでないというふうに考えておるのでございまして、これは私は性格上日教組が大会におきましてこれを取上げて、そして指令として全職員に強制して行くという質のものではないということは、一応荒木君の説明のように承わりました。だが併し、この労働組合的なものが、これを処理して行こうとする限りにおきましては、全然その組合員に対して一定の教育活動に向つて一つの道に行くようにするという少くとも意図がないとは私は言えないと思うのでございまして、この意味合におきまして、私は教育研究大会というものが、日教組が、労働組合のような性格を持つものがこれを取上げたというところに私は根本的な一つの基礎的な疑問を持つのでございます。このことを実は文部大臣に質問したのでございまして、この点につきましては、私は文部大臣の御答弁を御要求するわけではございません。
次いで私はもう一つの問題といたしまして、ここにお伺いいたしたいのは、同じく日教組の問題でございますが、私が曾つてこの学校教育法の制定のときに、当時におきまして、非常に論争があつたのでございますが、学校内におきまする教師の会合におきまして、その議長を校長が勤めないで、その教師のうちから誰かが議長をやつて行くという形態がこの進駐軍において相当強く主張されたのでございます。私どもは飽くまでも学校の教師の会合というものは、学校内において正式の場合においては、校長が責任を持つてこれをやるべきだということは、今日もなお考えておりますが、ところがその際におきましては、単に学校の中のいろいろな相談をするというだけの意味におきまして、私はそういう形態も又今日校長がいなくてやるという場合もあり得ると思いますが、先般行われました証人喚問を通じて特に感じましたことは、学校内におけるいろいろな各種の行事の会合が、教組の会合に置換えられて、学校の行政やらいろんな行事の問題が、この教組としての会議に持換えられて行くという形態が、相当各学校において行われておるのじやないかということを私は察知したのでございますが、若しそういうようなことが行われておるとすれば、一種の学校行政に対する、私は組合管理が如実に行われておるのではないかと考えるのでございますが、この点につきましての文部大臣の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/182
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183・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) どうも今の劔木さんのお尋ねの点につきましては、私も非常に関心を持つておるのでありますが、実際は余りつまびらかでありません。例えば旭丘中学の場合において、やはりそういう形態があつた、いわゆる業務管理と言いますか、一定の先生方の手で学校の運営が壟断れさておるというふうなことを聞いております。それから、学校に県教組なら県教組の分会というようなものがあつて、そうしてその分会の手で運営が図られておる、こういうようなこともあるやに聞いております。いずれにいたしましても、これについての的確な資料をそうたくさん私どもが承知しているわけではありません。ただそういう傾向にある、若しくはそういう方向に何らかの努力が進められておるということはあるのではないか、実はかように考えておるのであります。殊に旭丘中学、この間証言にもあつたかと思いましたけれども、学校の改築とか何とかいうことの協議会にPTAの代表、それから先生の代表、それから生徒の代表、その場合に生徒の代表が議長をしておるというようなことは、少くとも従来の常識から言うと非常に極端なことで、これは私どもの頭が古いからそう思うのかも知れません。そういう世間とは非常に進んだと言うか、かなりかけ離れたようなことが今日学校運営の面において現われて、あつちこつちに現われておるのではないか、こういうように考えております。これはつまるところ、やはりいわゆる学校における組合による業務管理ということに通ずる虞れのあるものでありまして、私は非常な関心は払つておりますけれども、今そういうことがあるのではないかと、非常な疑惧の念と心配をいたしております。ただ具体的には只今申上げるように、そういう事例を的確にはつきり掴んでおる、こういう事態ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/183
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184・剱木亨弘
○剱木亨弘君 これは私は実は本委員会の審査の続行中におきまして、法律的に日教組の性格について反省する機会を持ちたいと思つておりますが、併し今日の教育の実際の場におきまして、この日教組の法律的な組合としての性格が明確でないというところに、相当本質的な今日の教育に対する欠陥が私は露出されておると思います。例えば労働組合としての考え方からいたしますというと、果して校長が組合員になつていいのかどうか、現在の事情はたまにこの山口日記のときの証言等に聞きまして、校長が全部日教組を脱退をしたというようなことを聞きましたが、殆んど今日においては多くの場合校長も組合員であるという形においてあると思うのであります。そこにこの組合活動と学校の運営というものの混同が来たしておつて、例えば先般安下庄でございましたか、教育委員会というものが教育行政については全責任を持つてやるべきものが、その教育委員会の具体的にやつておることのよし悪しは別の問題であろうと思います。ただ少くとも学校行政については教育委員会がこれを主宰すべきものであるのを、特に極端に、この点は私は非常に疑問がありますが、相馬委員の質問におきまして、教育委員は思想調査もできるのだというくらいに申されたくらいであります。私は教育委員が果して思想調査することができるかどうか、これは恐らくできんと思います。それを相馬委員は、思想調査すらできるというようなふうにお考えのくらいに、私は教育委員会というものが、少くとも学校行政については責任を持つてやるべきものであるのに、事実においては学校と教育委員会とは全然別個の活動をしておるということが相当強く考えられたのであります。先般全国に指令をいたしまして、授業の組替を日教組が指令をして、そうして何でこれが授業の組替が実施されるのか、私はそこに非常な疑問があるので、ここにいわゆる教育というものが実質的には組合管理の形態において行われておるのではないか、これが今日の私どもは教育を考えなければならん根本的な問題があると思うのでございます。これはそこに私は学校教育の偏向、いわゆる偏向というようなものが起つて来る根本的な原因がそこにあると考えておるのでございますが、こういう点につきまして、文部大臣の所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/184
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185・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 簡単にお答えいたしますが、どうも日教組というものの性格がはつきりしない。これは任意の契約による団体でありますから、法律では明瞭でないのが当り前であります。この日教組の性格というものがはつきりするということは、私は非常に望ましい問題である。日教組が世間の納得するようなあり方をされれば、これは何も法律を作る必要はないと思いますが、併しそうでない場合には、やはり日教組というものがどういうものであり、又どういうものであるべきであるという点ははつきりされなければならんものではないか、こういうふうに私は思うのであります。労働組合のような極めて強い色彩を持つておる点ははつきり認められます。これは県教組までは御承知のように職員組合でありますから、それの連合体という形をとつておるから、一応労働組合的な色彩が強いと思います。併し又教育者の団体として、先ほどもお話になりましたが、教育等についての曾つての教育会等のような働き方をされるということも、決してこれを拒むべき筋合はない。同時に今日の日教組は一面から言うと非常に強い政治的な偏向を示している。これも衆目の見るところであります。見ようによつては殆んど政党と考えても大した違いはないくらいな、強い政治団体であるというふうに私は判断をしております。でありますから、この今日の日教組というものを、ただ労働組合という外からだけではつかみにくい点があるのであります。これはどうしてもはつきりしたことにならなければ日教組自身の今後の健全なる運営と発展の上から言つても、そういうふうなことは望ましいのではないか、こういうふうに思つております。ただ日教組の全体の動きというものにつきまして、遺憾ながら私どもの知識というものは非常に少いのでありまして、的確にこれを把握することができません。先ほど例を以てお話になりましたこの最近における振替え授業、こういうことは実は私は驚いたのでありまして、これは非常に疎いのかも知れませんが、振替え授業のごときものはこれは純然たる学校の管理運営の問題であります。それが日教組の指令によつて日曜日に出て月曜日に休む、そういうことがとにかく大部分と言いますか、多くの学校において日教組の指令によつてさようの方法がとられたということは、これは日教組が学校の管理の面までも非常に強い支配と言いますか、事実上の影響力を持つているというこれは的確な証拠であります。でありますから、かような点からみまして、先ほども申上げまするように、学校の業務管理というか、運管というか、そういう面までがこの日教組の組合活動によつて左右されているのではないか、具体的にどういう形で行われているかはこれは先ほど申上げたようにつまびらかでありませんけれども、さような点に非常に関心を持ち、危惧の念を持たざるを得ないのであります。若し日教組が純然たる労働組合として終始されるものであるならば、お話の通り校長、そういうような管理者の立場にある人はこの組合に入らないのが適当だと思います。これは今後の課題として、日教組が真に日本の教職員の地位の向上、その勤務条件の改善、更に進んで日本の教育全般の改善、向上のために業績を上げられるということのためには、果して今日の日教組の動向というものがふさわしいものであるかどうか、このあり方でいいのかどうかということは、日本における教育界の最も大きな問題として慎重に且つ十分に検討されなければならない、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/185
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186・田中啓一
○田中啓一君 関連でございますが、質問ではございません。ここで私は資料を一つ委員長よりお願いしたいと思います。それは今御質問伺つておりましても、日教組から、いろいろ規約でありますとか、その他のものは文部省もお持ちになつておらんかも知れないようなお口振りでありますし、(「持つているよ」と呼ぶ者あり)私どももございません。そこで私が持つておらんごとだけは間違いないのでありまして、若干大会の決議等、自然に手に入つたものもございますけれども、これはどうも断片的でございますので、この前若干資料をお願いいたしましたが、更に本日、日教組の規約、運営その他の規程、それから中央の役員、これは委員長とか副委員長とか、中央執行委員とかいうようなことでありまして、それから事務局でございましようか、書記長以下の主たる事務局の構成メンバー、それから二十八年の、暦年でありますか、会計年度でありますか存じませんが、予算、決算、二十九年度は予算であると思いますが予算、(「二十九年度はまだできつこないよ」と呼ぶ者あり)これは一般会計、特別会計、(「ないよ」と呼ぶ者あり)まだこれはないものはないのでございますから無理には申しません。(「決算なんかできてない」と呼ぶ者あり)まあどうでありますか、進行のものは進行でよろしいのでありますから、それでないものはないんで、事実ないものは誰でもどうもしようのないことでありますので、今以上申上げましたものを一つ皆様の御賛同を得まして、委員長から日本教職員組合のほうへお申入れをお願いいたしたいと存じます。(「異議なし」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/186
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187・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今田中君が要望いたしましたような書類を頂くように取計つて御異議ございませんか。
〔「異議なし「必要なし」委員長、ちよつと異議あり」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/187
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188・荒木正三郎
○荒木正三郎君 この法案を審議する上において私は必要ないと思います。(「執行委員の名前調べてどうするんだ」と呼ぶ者あり)別に大して差支えのない資料かと思いますけれども、私は必要ないと思いますので、反対でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/188
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189・岡三郎
○岡三郎君 知りたければ、「大達文政と日教組の対決」という本の中で、こういうものをいろいろやつておられるけれども、まあ出ておるわけです、ちやんと名前が……、あなた見ている、そこにあるじやないですか。たしかこの間見ていたですね。むちやくちやに誰々の名前を出せとか、そんなものが何がこの法案に関係あるのか、私は一一団体のほうから言つたら迷惑だと思う。私は出して差支えないと思うけれども、何でもかんでも小使の名前まで出せということになつてしまう、事務局で……。そんな馬鹿げたことを言わないで、法案にかかり合うところの先ほどいつたように、運動方針とか何とか言われたけれども、大臣はこれは日教組日教組と言われると、日教組に関してだけやつているんじやないのだといつてお逃げになつておるのですが、(「委員長」と呼ぶ者あり)それで出した資料についてもこんなもの一々田中さん、名前とか何とかいつて、一体何の関係があるか、聞きたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/189
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190・田中啓一
○田中啓一君 理由を一応申上げんと納得行かんと思いますから申上げますが、実は何も事務局の小使まで出してくれというのではありません。私は確かに事務局の主たる構成メンバーと申したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/190
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191・岡三郎
○岡三郎君 事務職員と言つたよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/191
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192・田中啓一
○田中啓一君 事務局の主たる構成メンバーと申上げたのでありまして、若しそういう間違いがありましたら、事務局の主たるメンバーと申しますが、(「どういう関連がある」と呼ぶ者あり)関連のあることをおつしやいますから、只今日教組の私は規約、運営その他の規程と申しましたが、どうもこの日教組というものを中心といたしまして、日教組が組合活動をしておられることは当然だろうと思うのでありますが、教育活動との限界が、殊に今のような拘束力の点と申しますか、拘束力と申しますか何でありますか、はつきりいたしませんが、そういうところで問題にもなつておりますので、私はやはりそういう意味におきまして、そういうものの限界を明らかにするために頂きたいと思います。
それからもう一つは、私はやはり学校の先生がたも、国民としてできる限りの政治活動をして頂くのは当然のことであると思います。ところが世間非常に政治活動が多い、こういうようなことも言われておりまして、又これが三位一体のような関係になりまして、いわゆる偏向教育というようなものにも重大なる影響を与えて来るのではなかろうか、かように実は存じますので、これが理由の概略でございますが、どうぞ皆様御納得頂きまして、以上申上げました、先ほど申上げましたものはこの際頂戴をいたしたいと存ずるわけであります。
〔「何も理由がない」「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/192
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193・木村守江
○木村守江君 私は只今の田中君の動議に賛成いたします。これは数日来のお話を聞いておりましても、日教組の動きというものは日本の教育にも大きな関係があると思われます。特にこの本法案の審議に入りましてから、日教組の動きというものが非常な関連性があるのではないかということが我々に深く印象づけられておるのであります。特に先ほど荒木君から文部大臣に対して、一体その日教組の規約を知つているのかというような反問もありましたし、我々はこの際日本の教育の将来のために日教組のことを勉強しておくことも非常にためになると考えます。只今田中君が要求されました資料の提出方を委員長にお願い申上げる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/193
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194・川村松助
○委員長(川村松助君) お諮りいたします。これを採決や数で争いたくありません。(「そうそう」と呼ぶ者あり)つきましては、理事会にお預かり願いまして、検討さして頂きたいと思いますが、如何でしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/194
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195・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは理事会のほうで一応相談さして頂きます。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/195
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196・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。ほかに御発言ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/196
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197・須藤五郎
○須藤五郎君 議事進行について…。もう時間も切迫しましたし、我々も疲労を感じて参りましたから、この辺で本日は終了して、ただ一つ私一点お伺いしておきたいのは、(「もうやめろ」と呼ぶ者あり)議事進行だ。本日公安調査庁次長から我が党に関して重大な発言があつた。今我が党というのは共産党か。」と呼ぶ者あり、これは私として放つておくことはできませんので、責任者であるところの法務大臣の御出席を希望いたします。適当な機会でよろしゆうございますから……。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/197
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198・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは御異議もなければ、これを以て散会いたします。
午後四時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X02119540415/198
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