1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和二十九年四月二十八日(水曜日)
午前十時四十七分開会
—————————————
委員の異動
本日委員吉田萬次君及び中山福藏君辞
任につき、その補欠として横川信夫君
及び高橋道男君を議長において指名し
た。
—————————————
出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
剱木 亨弘君
加賀山之雄君
荒木正三郎君
相馬 助治君
委員
雨森 常夫君
木村 守江君
田中 啓一君
高橋 衛君
中川 幸平君
吉田 萬次君
横川 信夫君
高橋 道男君
岡 三郎君
高田なほ子君
永井純一郎君
松原 一彦君
長谷部ひろ君
須藤 五郎君
野本 品吉君
国務大臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
政府委員
人事院総裁 浅井 清君
人事院事務総局
管理局長 丸尾 毅君
法務政務次官 三浦寅之助君
文部政務次官 福井 勇君
文部省初等中等
教育局長 緒方 信一君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
—————————————
本日の会議に付した事件
○義務教育諸学校における教育の政治
的中立の確保に関する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○教育公務員特別法の一部を改正する
法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/0
-
001・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。
教育公務員特例法の一部を改正する法律案、義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する法律案を議題といたします。
どうぞ御質疑を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/1
-
002・相馬助治
○相馬助治君 議事進行。ちよつと速記をとめて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/2
-
003・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/3
-
004・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/4
-
005・高田なほ子
○高田なほ子君 須藤先生の質問に入ります前に、憲法式典のことについてお尋ねをしておきたいと思うわけであります。衆議院の議運でかねて問題になつておることでございますが、憲法式典をとりやめる、こういうような院側の主張でございますが、この憲法発布の日の式典は新らしく日本の憲法に副つて日本の祝日がきめられたのでありますが、文部省としては新らしい祝日の取扱いについては従来どういうような方法をとつて来られ、又今回の憲法式典をとりやめることに対して文部省はどういうような態度をおとりになるおつもりですか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/5
-
006・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは内閣でやつておりましたことで、文部省として特にこの式典に直接の関係はもつておりません。只今文部省としてどういうふうに扱つて来たかということでありますが、従つて実は私もこれは甚だ迂濶でありましたが、こちらからやめるというようなことを承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/6
-
007・高田なほ子
○高田なほ子君 新らしい祝日はやつぱり法規できめられておるものであり、又それは文部省としても当然その祝日の取扱いというようなものに関しては従来いろいろと指導やら勧告やらがございました。ただ内閣が今までやつて来たということでございますけれども、折から憲法改正などというような声が出ておるので、そういうようなために憲法式典をとりやめるのではないかというような臆測もされないわけではないのでございます。そこで内閣のやつて来たということでありますが、閣僚の一人として、日本のこの憲法の式典を祝うということは私どもとしては誠に意味の深いことである、こういうふうに考えられますが、大臣としてはこの憲法式典をどういうふうにお考えになつておられますか。個人の御見解でも結構でございますが、お述べを頂きたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/7
-
008・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは国民の祝日に関する法律という法律がありまして、憲法記念日を、つまり五月三日というものを憲法記念日としていわゆる国民の祝日にする、この点は法律できまつております。この法律を見ますというと「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。」こういう意味の祭日となつておるのであります。この点はこれは法律できまつておる。この点は問題はないのであります。ただ今の式典と言いますか、これはただいわゆる国の祭日とするというだけじやなしに、別に従来特別の式典を、式を挙行する、こういうことが毎年行われて来たのであるけれども、毎年行われなくても五年目とか十年目とかいうようなふうにしたらいいじやないかというような話も出ておる、こういうふうに私は聞いております。でありますから祭日については問題はない。ただ特別にこの祭日ということの関係を離れて、その日をきめて特別の式典を毎年やるかどうかという問題であろうと思います。勿論私はこれをやめるとか何とかいう話を実はよく知りませんが、勿論現在の憲法というものを否定するような気持からこの式典をやめるということであることはあり得ないことであると私は思います。仮に憲法の改正の意見があるにいたしましても、それは今の憲法をよりよくするという気持以外にありようはないと思います。それとこれとが一緒になつて式典をやめるということは私としては考えられないことである、こう思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/8
-
009・高田なほ子
○高田なほ子君 私も大臣の御意見は、この法規の精神から考えても御答弁には賛意を表するわけであります。併しながらこの新聞が真か偽かわかりませんが、我が党の議運のかたから、なぜ今年は式典をやらないか、憲法記念の式典をやらないのか、こういうような問に対しまして、衆議院の大池事務総長が、「これまではアメリカ側の要求で毎年やつてきたが、われわれとしては五年ないし十年に一回式典をやればいいと思つている。昨年はちようど五周年だつたので、今年からは毎年やらないことにしたい」と説明があつた。こういう誠に由々しい発言がされているのであります。この発言の真偽のほどはわかりませんけれども、今までの憲法の式典の考え方というものは、アメリカから強要されてやつて来たのだ、こういう考え方に対しては私どもとしては絶対に納得が行かない。又院の責任のあるものがこういう不埒な発言をしているということに対して、大達文相としてはやはり国の定めたこの祝いの日をただ単にアメリカがやらせたというような言い分に対してあなたはどういう措置をおとりになられますか、お伺いしたい。(「それは大池さんに言えばいいじやないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/9
-
010・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは法律の定めた国の祭日であります、祝日でありますから、この祝日の規定を変更するということであれば、これは法律の問題であり、政府が提案をし、或いは国会において議員から提案があつて法律改正の問題になります、今お読み上げになりましたので、私も或る程度わかつたのですが、式典をするかしないか、これは祭日の問題とは別個の問題であります。アメリカから強要されてして来たというふうな、今お読みになりましたが、どういうことでありますか、占領時代には実質的に強要されるされんの問題ではなくして、主権がアメリカにあつたのでありますから、これは占領下でありますから、だから或いはアメリカからそういうことをしたほうがいいという話があれば、これはまあせざるを得ないということであつたろうと思いますが、独立後、占領時代と独立後のそこに日本のそういう政府の行動についてのアメリカの発言というものが違つて来ておる。恐らく何ではないでしようか、独立したことであつて、日本だけの、日本政府だけの考えでやるとすれば、そう毎年特に式典をしなくても、五年目とか十年目とかいうふうにしてやつたほうがいいのじやないかと、こういう意見があるのじやないでしようか。そうであればそう非常に大きな問題と考える必要もないと思いますが、これは強要されたというふうにここに書いてありまするが、強要されたということじやなしに、戦争中は、軍の、アメリカ進駐軍のほうでそういう意向があればこれはやらざるを得ないという関係はあつたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/10
-
011・高田なほ子
○高田なほ子君 私はこだわるわけでは決してございませんが、ただこういうような考えの下に憲法式典というものを取扱うということに対しては甚だ私は遺憾だと思う。やはり日本の、独立した日本として、又日本の国民として憲法を守つて行こう、又その憲法の基礎において国を発展させて行こう、こういうような精神というものは飽くまでこれは活かさなければならないものであり、又我々がこの法律を規定したその責任においてもそう歪曲した考え方に対しては正しい方向に持つて行かなければならないという義務すら感ずるわけでございます。どうぞ今大臣はこういつたような発言に対してはやはり正しい方向に持つて行かれるように御努力願うと共に、この五月三日の日にもろもろあらゆる場合を通して憲法の式典というものを本当に心から喜び合えるような措置がとられまするよう大臣としても手際のよい御協力をお願いしたい、こういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/11
-
012・須藤五郎
○須藤五郎君 私は少しMSAとこの法案との関連について先ず最初お尋ねいたしたいと思うのですが、どうも私たちいろいろな方面から考えますと、この法案はMSAと深い関係があるというふうに結論が出て来るのですが、文部大臣はどういうふうに考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/12
-
013・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この法律案はMSAの受入れと何も関係ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/13
-
014・須藤五郎
○須藤五郎君 全然関係ないと言つておりますが、吉田総理も国会で、重要法案が解決しない間は、とにかく検察庁法の十四条を適用してまで汚職議員を逮捕させない、そういう非常手段、非常手段と言いますか、非常識な手段ですが、そういう手段までとつてこの教育法案を通そうと言つていることは、これは吉田総理のお言葉でも明らかなんだ。それは皆MSA関係法案がずつと一連として並べられているわけですね、要するに軍機保護法や防衛関係法案、それから警察法案、それにこの教育法案、この五つが重要法案だと緒方副総理も言つておりますが、これはどう考えてもMSAに一連の関係のある法案だということは吉田総理も言外に私は言つていると思うのです。これは国民はすべてそういうふうに理解をしておると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/14
-
015・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) MSAだけが国務でもなければ政策の全部でもありません。でありますから、重要法案と言う場合に、MSAに関係したものが重要法案だというふうに御解釈願つておるようでありますが、私はそうは思いません。国民全部がそう思つておるということでありますが、私も国民の一人でありますが、そういうふうな、理論上から言つても、そのMSAに関係するものでなければ重要法案でない、重要法案と言つた以上はMSAに関係があるに違いない、こういう論理は私は承認できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/15
-
016・須藤五郎
○須藤五郎君 併し私たち今度の吉田政府のとつたやり方は、どうも日本人の国民感情から言うと理解できないものです。どうも日本人の常識では考えられない態度を今度吉田政府はとつておる。即ち何と言いますか、植民地政治家の態度だ。国民に責任をとるのではなくして、アメリカに責任をとつているような態度だと思うのでありますが、そういう点から考えてこのMSAとこの法案との間には緊密な関係があるというふうに私たちは考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/16
-
017・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 吉田総理の発言なり或いはその態度についてのあなたの御感想は、これは御感想として私から何も申上げることはありませんが、併しこの法案とMSAと関係があるということは、私から言うと強弁だと思います。何も理論的にどこがこの法案がMSAに関係しておるか、私は理解に苦しみます。あなたがそういうふうに考える、あなたのみならず国民の殆んど全部がそう思つておると断定せられることは、私は全く理解し得ない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/17
-
018・須藤五郎
○須藤五郎君 或る人がうまいことを言つておりますが、ワシントンで発布された新編教育勅語、即ち池田・ロバートソン会談をこういうふうな新編教育勅語だと、こういうふうに言つておりますが、(笑声)このロバートソン会談で、これは昨年の十月二十五日の朝日新聞所載ですが、ワシントン特派員からの報道として、日本側議事録草案の要旨として、「日本側代表団は十分な防衛努力を完全に実現する上で次の四つの制約があることを強調した。」その中の二つをここで挙げますと、「政治的、社会的制約」という条項に、「これは憲法起草にあたつて占領軍当局がとつた政策に源を発する。占領八年にわたつて、日本人はいかなることが起つても武器をとるべきではないとの教育を最も強く受けたのは、防衛の任に先ずつかなければならない青少年であつた。」それからもう一つは、「会談当事者は日本国民の防衛に対する責任感を増大させるような日本の空気を助長することが最も重要であることに同意した。日本政府は教育および広報によつて日本に愛国心と自らのための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである。」こういうことが日本側の議事録に載つている。そういうことがワシントンから特派員によつて報道されている。この点から見ましても、この二法案と池田・ロバートソン会談の間には大きな関係があると私は思います。如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/18
-
019・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この点から見て大きな関係があると言われますが、そこの理窟が私にはわからないのです。池田君とロバートソンがアメリカで話をされた。これはその話をした内容が一々日本の政府を拘束するものでないことはこれは当然であります。若し拘束するとすれば、そんな非常識なことはあり得ない。私は池田君とロバートソンがどんな話をされたかということはまだ、今以て池田君から何も聞いておりません。でありますから、ワシントンだか、ニューヨークだかで話をしたことが、あたかも日本の文教に対する指令、訓令であるような影響を持つというようなことは、又私はロバートソンという人はどういう人か知りませんが、ロバートソンがそんなことを言つたからといつて、それに基いてこの法律案を作つたということは、これは常識からいつても考えられない。のみならず、私は日本人が真に国を愛するという精神に燃えたつことは、これは切望してやみません。切望してやまんけれども、これは教育それ自体においてなされることであつて、この法律は日本人をどつちの方向に持つて行くか、教育の内容を言つている問題ではありません。つまり偏らせないということ、基本法にあるその精神を維持したいということであつて、池田・ロバートソンの会談と何らの関係はあり得ないことは当然であります。若し池田・ロバートソンと関係あると言われるならば基本法第八条の二項が池田・ロバートソン会談の結果と言いますが、少くもその以後においてでき上つたということならまだそこに想像する余地がありますが、八条の二項というのは初めからあるのですよ。それを維持しようということがどうして池田・ロバートソン会談と関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/19
-
020・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたロバートソンという人間はどんな人間か知らないということはこれはおかしい。これは知つていると思う。知らなければ文部大臣は勤まりませんよ。そんなロバートソンを知らないということはない。そんなことはまあ議論する値打もないことですから私は議論しませんが、池田・ロバートソン会談、あなたが何らアメリカに拘束されるものではないと言われますが、MSA協定はやはり日本の政治を拘束するものです。その日本の政治を拘束するMSAとこの二法案とが非常な関係があるという点を私は言つている。だからMSAに拘束されている二法案ができたということを私は言つているわけなんです。そこでMSAと関連のある池田・ロバートソンの会談の中にこの日本の思想、教育に関してまでの話合いがされておるという点が私は重要な点だと思うのです。そこで私は今のような質問をしたわけです。ちやんとあなたこの中に、このMSAのこの池田・ロバートソン会談というのは大体MSAの総仕上げですよ。MSAを具体的に話合つた会談なんです。そこにちやんと「日本政府は教育および広報によつて日本に愛国心と自衛のための自発的精神が成長するような空気を助長することに第一の責任をもつものである。」と、こう出ておるのです。その前にはこの日本の防衛に最も当らなくちやならん青年が戦争に反対するような教育を受けておるというようなことがらやんと覚書の中に、議事録に載つておる。ですからこの池田・ロバートソン会談における中心は、平和を愛好するような教育をしてはいけないと、もつと再軍備に熱意を持つような教育をしなければいけないというようにこれはとれるわけであります。そこで私は今度の法案と大きな関係があるということを言つておるわけであります。第一今度の法案は何じやないですか、あなたの言を以てすれば平和教育をやつているような学校には偏向教育はあると認められる、いわゆる平和教育ということが一番大きい眼目になつている。この法案の狙いはだから明らかにこれは池田・ロバートソン会談から出たのではなく、先ず最初MSAから出発してそれがたまたま池田・ロバートソン会談において具体的にこういう言葉になつて現われた、そういうふうに解釈していいと思うのですが、それでもあなたMSAとの関係はないとおつしやるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/20
-
021・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私はあなたの言われる論理は全く了解できません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/21
-
022・須藤五郎
○須藤五郎君 そういう答弁ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/22
-
023・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) もつと答弁せよと言われれば言いますが、それは成るほどMSA協定というものが成立すればそれはその協定の内容に関係しては日米それぞれが拘束されると思うのです。これは双方合意の上でいわゆる国と国との約束でありますから約束は守らなければならん。その場合にその内容は協定自身によつてきめられるのであります。これは厳にさような協定を国民の総意においてきめる、そういう約束をしたほうがいいか悪いかという点は現に国会に提出をせられて只今審議されておるわけであります。そのMSA協定の中にこういう法律案を提出するということがどこに書いてあるのですか。MSA協定によつて日米相互が拘束されるとするならば、それは協定の内容、つまり契約の内容だけに限定されることは当然であります。その協定が成立するまでの間に池田君がどういう資格でアメリカへ行かれたか知りませんが、その成立に至るまでのいろいろの打合せとか、そういうことで話合われたその会話の中身が一々日本の国を拘束したり政府を拘束する、そういうことはあり得ないことなんです。若しそれが拘束力を持つものであるならば、そういう会談の内容から悉く挙げて国会の審議にかけなければ、MSA協定だけやつてみたところで仕方がない。私はあなたと違つてMSA協定というものはその協定の内容は協定自身によつてきまるものであるから、それに関連して行われたロバートソンとか池田とかいう人の話は会話の内容が一々この協定の効力として政府を拘束したり、日本を拘束したりする、そういう馬鹿げたことはあり得ないと思う。MSA協定の協定そのものの中にこういう中立性の維持に関する法律案を出さなければならない、日本政府はそういうことをしなければならないということがどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/23
-
024・須藤五郎
○須藤五郎君 まさかそんな馬鹿げた下手なことはMSA協定はやらない、もう少し国民を巧く騙しますよ、そういう露骨にMSA協定の中にこの二法案を出せというそんな法案であつたらそれこそアメリカから笑われますよ。(「それはそうだ」と呼ぶ者あり)そんな非常識なことを言つては駄目ですよ、ちやんとMSA協定の第八条にあります「日本国政府は、国際の理解および善意の増進並びに世界平和の維持に協同すること、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること並びに自国政府が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約に基いて負つている軍事的義務を履行することの決意を再確認するとともに、自国の政治および経済の安定と矛盾しない範囲でその人力、資源、施設および一般的経済条件の許す限り自国の防衛力および自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、自国の防衛能力の増強に必要となることがあるすべての合理的な措置を執り、且つ、アメリカ合衆国政府が提供するすべての援助の効果的な利用を確保するための適当な措置を執るものとする。」と、第八条にありますが、これをもつとわかりよく噛みくだいて説明したのが池田・ロバートソンの会談です。こんなわけのわからない文章で国民を騙くらかしているのです。池田・ロバートソンの会談はここの条項をもつと噛みくだいてやつている、即ち日本の政府は教育及び広報によつて愛国心と自衛のための自発的精神を云々という、こういうことを言つている、それであなたはMSAとこの法案は何ら関係はないと言つておりますが、衆議院でもあなたはそんなふうに答えている、今年三月十六日の衆議院の文部委員会で教育の中立性は昨年七、八月頃からですか、山口県の日記の問題からやかましくなつた問題であります。ロバートソンの談というのはいつでありますか、去年の暮でしよう、これはずつと時間的に違うのです。何も関係はないのです。と言つてあなたは答えられておるのですが、ところがMSAというものは去年の暮から起つた問題ではないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/24
-
025・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) いつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/25
-
026・須藤五郎
○須藤五郎君 MSAは昨年の五月からですよ、五月の二十八日にちやんと衆議院外務委員会においてちやんとそういう発言をされている、MSA問題が採り上げられ、政府側も受入の準備を進めておりますということをちやんと外務大臣が答えているのです。日にちを合わすと五月からMSAの下交渉があつたと見なければならない。その中にこういう条項がちやんとあつて、だから日本の青年が今のままではどうもアメリカの役に立ちそうにない、だから日本の青年をアメリカの傭兵として使うに役立つような準備をすることが必要ではないかというふうに話が進められ、そうして文部省でいろいろなことを考えておつたときに丁度山口県の日記帳の問題が飛び出して来た、これ幸いとあなたがこれを採り上げて(笑声)やつたとそういうふうに考えることができると思うが、どうですか。それでもMSAとの関係はないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/26
-
027・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) あなたの論法を以てすればMSAの問題が起つてから以後の日本政府の施策というものはみんなMSAに関係を持つている、(「殆んどそうです、その通りです」と呼ぶ者あり)こういう議論になりますが、そういう……、これは甚だ失礼でありますが、そういう乱暴な議論は私は全然御同意できません。そういうあなたは私とは全くなんと言いますか、論理の扱い方が違いますから、これは同じことを幾らお尋ねになりましても先ほどの御答弁で一つ御了承を頂きます。MSAの関係はこの法案とは何も関係ありません。これは重ねて申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/27
-
028・須藤五郎
○須藤五郎君 いやいやそういうふうに逃げてもこれはなんですよ。MSAの条項から判断しても、池田・ロバートソンの会談のこの趣旨から言つても、要するに日本の教育を変えて「教育及び広報」によつてというのですから、教育から改善して、改革して、そうしてMSAを受入れるのに都合のいいような態勢をあらゆる面において作ろうというのがこれはアメリカの狙いですよ。MSAの協定の中にもちやんとそういうことが出ているわけです、第八条に。それと歩調を合してあなたがこういうことを考えているのだから、そこには何の関係もないと言つても結果的に言えば関係があると言われても仕方ないじやないですか。あなたは関係ないと言われるかも知れないが、事実は結果的に関係あると言つても仕方ないでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/28
-
029・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) あなたは関係あるとお考えになることはあなたの自由であります。ただ関係があるのかどうかということを政府にお尋ねになるから私は関係ないと申上げたので、あなたのほうで御判断になることで御判断になることは、これはあなたの御勝手ですが、決してそう思わんように願いたいということを申上げたのです。これは関係あるかどうかということをお尋ねになりますから文部省として関係ありません、こういうことを言つておるのであります。そういうふうにあなたはお考えになることはこれはやむを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/29
-
030・須藤五郎
○須藤五郎君 文部省としても我々が関係あるかと言えば、はあ関係がありますということは申されないだろう。併し結果的に煎じ詰めて行けばこれは必ず関係あるということは明らかになつて来ていると思うのですよ。だから国民は問題にするわけです。MSAができて、MSAの構想ができて、次にこの二法案が文部当局によつて構想された、そういうことにやはり僕は結論付けられると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/30
-
031・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これはこの法案がMSAに関係がある、こういうことを言う人はこれは須藤君だけではありません。多数と言われますが、多数か少数か知らんけれども、やはりそういうような議論をされる方があります。私は日本人の推理力が発達して非常にこじつけをやる、何でもこじつけがはやり出したということをびつくりしている、私どもの頭からはこういうものはこじつけとしか考えられない。あなたはさつきMSA協定の八条の規定はこれは表で、表でこれはそういうことを言つているだけで、本当はその内容は池田・ロバートソン会談のほうが本物なんだ。これは表にただこういうふうに書いてあるのだというようなことを言われましたが、それでは一体そういう表向きの中身のないものだけを、それぞれの日米両国の国会に提出して、肝腎の本物の池田・ロバートソン会談の内容を、少くとも資料としてでも国会に提出しなければ国会で審議ができないはずなんですよ、私はそういうことは少くとも私どもの頭では考えられないことなんです。近頃そういう非常なこじつけが、むちやくちやなこじつけが世の中にはやり出したということを私どもは驚いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/31
-
032・須藤五郎
○須藤五郎君 それは政府の秘密外交が多くなつた、だから疑うわけですよ。秘密でやつているでしよう。国民の前にこれを話合いだとか、何とかだとかいつて……、だから国民は政府のやつている事柄はこうだろうというふうに推測せざるを得なくなつて来るのです。あなたたちの政治がガラス張でやられるなら疑い深いことを何も言う必要はない。事実を言わないから我々は国家を憂うる立場からいろいろなことまで考えなくちやならん、その結果はこういうことになつているわけです。先ず反省しなければならんのは政府の秘密政策ですよ、秘密外交政策です。先ずあなたが反省しなければならん。国民が非常に疑惑深くなつた、あなたたちも非常に詭弁を弄する、疑惑深くなつたということを国民に押しつける前に、政府は先ず秘密外交をなくなさなければなりませんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/32
-
033・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御意見として伺つておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/33
-
034・須藤五郎
○須藤五郎君 答弁は必要ないです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/34
-
035・高田なほ子
○高田なほ子君 私須藤さんの只今の発言は、大臣はそうおつしやつておりますけれども、これは閣僚の一人として、やはり日本の政府の閣僚の一人として、慎重な御答弁を煩わしたいと思うのです。池田さんはわざわざアメリカまで遊びに行つたわけじやないと思う。やはりそれはそれとして、重要な役割を持つてあのロバートソンと会談をされたと思う。その会談の議事録というものが、これは日本政府の意図ではないけれども新聞に発表せられ、その結果として新木大使に対する或る意味での責任の追究がされたということは、これはもう隠しもない事実だと思う。そういう重要な議事録というものは、すでに国民が新聞に発表されて知つておる。当然やはり閣僚の各位もこの議事録というものについてはお目を通され、又これがかなり今後の日本の将来というものについていろいろな影響を持つもでのあるということは誰も否むものではないと思う。そういつたような議事録の中でアメリカが強く要望しておるものは、アメリカの急速な再軍備の要求に応えるためには、日本は以下の四つの制約を急速に克服しなければならないという議事録がある。
本年度の、二十九年度の一兆億というものは近来稀な緊縮予算である。而も小笠原蔵相はこの一兆億の緊縮予算に絶対に補正予算を組まない、これは近来稀な私は固い御言明だろうと思う。本予算に対して補正予算を断じて組まないというのはよくよく私は事があると思う。即ち池田・ロバートソン会談の中で最も大きな制約を占められるものは日本の貧乏を克服するということだ、日本の経済を緊縮するということだ、これに応えて国は一兆億予算というものをああいうふうに強引に組まれ、同時に制税の改革というものが今日行われている。日本の貧乏を克服するということ、制約の大きな現実の問題として、やはり池田・ロバートソン会談の中にあるこの経済の克服というものは、今日の一兆億予算と全然関係がないとは考えられない。
第二に考えられることは、予備隊から保安隊でしよう。保安隊から自衛隊に三転しておる。このことは日本の独自の考えによる、こういうふうにおつしやるかも知れませんけれども、これは我々は安保条約を締結した日本の政府の立場として、無関係であるとは言えないと思うのですね。アメリカ軍が撤退する前提としての日本の自衛力の漸増である、これはアメリカと全然関係がないとは言えない而もアメリカの今度のロバートソン会談の中で大きな比重を占めておるのは日本の再軍備だ、それに基くところの自衛力の漸増である。それに基くところの自衛隊法の改正である、はつきり関連がつけられる。
勿論教育の問題もここに大きな制約の一つとして出されておるわけです。今日の占領後八年間における日本の教育は、防衛の直接の先頭に立たなければならない青少年に対して、精神的な支柱を失わせる平和教育をやられて来たということが教育上の制約として大きく挙げられておるところです。
もう一つ挙げられておるのは、この平和憲法の制約だ。実際日本の国情に適する範囲内においてやるということになれば、これは憲法は改正できないからお預けです。経済の、貧乏を救うということは一兆億予算でできるのです。再軍備促進ははつきり防衛二法案を作つてできておる。教育上の制約は教育の方向を変えることによつてこれはできるわけです、方向を変えることによつて。そうでしよう。その方向については私はあとで質問をして十分に質したいと思いますが、大臣は無関係だというようなことをここではおつしやいますけれども、決して私は、そう空々しくおつしやらなければならないお立場でしようけれども、無関係であるというふうにおつしやるならば、私はもつともつと例を挙げて申上げたいくらいです。それは私言えないと思う。やはり日本の政府のあり方というものは、ここに率直にあなたは確認なさるべきだと思う。全然関係がないなんということはお取消しなさつたらいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/35
-
036・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは関係があるのならば関係があると申上げます。関係がないから関係がないと申上げておるのであつて、それをどうしても関係があると言えと言われても無理です。(笑声)そういうことは自白強要のようなものなんです。それ無理です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/36
-
037・高田なほ子
○高田なほ子君 それは強要するわけじやありません。そうするとMSA協定はアメリカと全然関係がございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/37
-
038・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) MSA協定は日本とアメリカとの両国の間の約束協定であります。だから無論関係がございます。アメリカとも関係があれば、日本とも関係がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/38
-
039・高田なほ子
○高田なほ子君 自衛力の漸増はアメリカと関係はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/39
-
040・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 自衛力を漸増するために日本の政府が如何なる方法によるかということは、これはアメリカの関係するところではないと思います。その観念としては。先ほども申されましたが、経済の建直しは、これはもう日本自体の問題であつて、アメリカの指図によつてすべき筋合のものではない。(「それは大変だ」と呼ぶ者あり)又日本の教育をどうするか。自衛力の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/40
-
041・高田なほ子
○高田なほ子君 私は自衛力の漸増だけをお尋ねしておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/41
-
042・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 自衛力の漸増ということは、これは日本政府が日本の自衛力の漸増と言いますが、日本の自衛を如何にして全うすべきか、これを考えるものは日本政府だけであります。外国から考えてもらう必要はない。その必要の基礎に立つて、その手段としてアメリカと約束をして、その協定を結んで、そうしてそれに役立たせようとするかせんかは、日本政府の自由なる意思によつて決定される。政府と言つては語弊がありますが、日本国民の自由な意思によつて決定される。それは協定として国会の意思によつて決定せられる。ですから本質的にアメリカが日本の自衛に関係があるわけではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/42
-
043・高田なほ子
○高田なほ子君 私は大臣の御答弁は甚だ不満です。何とならば、日本の自衛力の漸増という問題は、これはアメリカと結んだ安全保障協定に基いて、日本の自衛力の漸増について期待を持つておるわけです。即ち大臣の御答弁になつておることは、自衛力漸増に対する日本の国の独自の計画というものは、これはアメリカから何ら指図されなくてもよいと思う。その通りでよいと思う。併し日本の自衛力漸増に対して期待をしておるのは、日本だけではありません。アメリカ自体が期待しておるじやありませんか。そうだとすれば、日本の自衛力漸増がアメリカと全然関係がないと言い張るあなたは安保条約を否認され、行政協定も否認される立場に立たれるならば問題は別個です。少くとも日本政府の閣僚として、日本の自衛力は全然アメリカと関係がないと言われるならば、なぜこのMSA協定というものを躍起になつて騒がれますか。無関係などとおつしやつてはいけませんよ。一年生に言うことです、そんなことは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/43
-
044・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 日本の国をどうして守つて行くか、そのことは日本自身が考えなければならんことであります。日本がどういうふうにあつて欲しいということは、よその国がそういうことを希望するかも知れませんが、そのことを決定することは日本自身の問題であつて、(「そうそう」と呼ぶ者あり)他国の容喙すべき限りでない。ただ日本がそれをする場合に、その手段、方法として外国と約束をして、そうしてそれを日本防衛のための方法として採用することは、これは日本の意思によつて……よその国が同意をすれば、それをやることは日本国民の意思によつてなされることであります。安全保障協定にしたところで、今回のMSAにしたところで、これは日本国自身の意思によつて決定されて、初めてこれが協定として成立することであります。決してアメリカか強要されるとか、アメリカはアメリカの立場があつていろいろ日本に対して希望するところはありましよう。これはアメリカが希望することはこれは勝手であります。この協定の成立ということは、アメリカの意思によつて決して成立しておるのじやない。日本国民の意思によつてその方法がとられる。一家の経済を……商売をすることは商売する人の自由であります。商売をする必要のためにいろいろ取引上の契約をする、これも自由でありますが、その場合商売をすることが取引先によつて左右せられるという論理は成り立たない。(「一方的なものは駄目だ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/44
-
045・高田なほ子
○高田なほ子君 自衛力の規模内容については日本の国、政府がそれは当然計画もしなければならんでしよう。ならんでしようけれども、それではなぜ日米安全保障協定という名前があるのですか。日本の自衛力の漸増と共にここにはつきり書いてあるではありませんか。「日本国政府は、国際の理解及び善意の増進並びに世界平和の維持に協同すること、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置を執ること並びに自国政府が」云々とあるわけなんですね。でありますから、自衛力の漸増ということはただ単にアメリカとは全然無関係なんだ、そういうような立場に立つているのではなくて、自衛力の漸増と共に世界の平和の寄与するための軍事的負担を日本が負つているのです。これははつきりとそうでしよう。そうしたらそのことは全然アメリカと無関係だということは言い得ないでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/45
-
046・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほども申上げたようにMSA協定にしたところで、安全保障条約にしたところで、無論相手があることでありますから、日本にも関係しておりますし、アメリカにも関係しております。併しそれを成立させることは、日米それぞれの国民の意思によつて決定される。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/46
-
047・高田なほ子
○高田なほ子君 そうそう、最後はね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/47
-
048・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) いずれか片方の意思で片方の意思を強圧することはできない。商売上の取引にしても、お互いの利益としてその取引の契約をするのですが、これは双方の意思によつて決定することであります。取引が成立した場合に片方が……取引の当事者の甲は乙によつて支配されておる、こういう理窟は成り立たんということを申上げておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/48
-
049・高田なほ子
○高田なほ子君 関係があるということはあなたがおつしやるように強圧するという意味にはならないと思います。そんなものじやないと思います。関係というのは協定を結ぶ場合もあるでしようし、話合もあるでしようし、それはいずれも関係ですよ。私はそういう意味のことを言つているのです。最後はそれは日本の政府、国民がきめるということはあなたの御説の通りです。そういうので、全然アメリカと関係がないのだということは本当に私は詭弁だと思います。
話はのびますけれども、インド支那の英、米、仏の緊迫した国際情勢の中で、アイゼンハワーがはつきり昨日の新聞にもいろいろと書いてありますが、あなたは御覧になつたかどうか知りませんけれども、アメリカはフランス軍を援助するために出兵をするというのです。アイゼンハワーは出兵をするというのです。これはアメリカの意思です。ところがこれに対して日本政府は密接な関連を持つてアジアに協力するのだと書いてあるのです。そういうふうに関係というものは強圧するというような問題ではなくて、いずれもMSA協定というものそれ自体の中に含まれておるものは、日本の国とアメリカの国とが密接不可分の関連を持つことであるということを、あなたはやつぱり閣僚の一人として否定なさる筋合いのものでは私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/49
-
050・須藤五郎
○須藤五郎君 全くMSAと関係がないなんということは高田君も言つたが、大臣、余り不まじめな答弁だと思います。今の高田君に対する答弁は、防衛力に対してもみんなすべて日本が考える前にアメリカが考えて行くべきじやないでしようか。そうして三十何万の防衛隊を作れとか、何とかということは、全部アメリカから来ておると思います。それに対して日本の意思を述べることはそれは述べるでしよう。併し全然アメリカと関係がない措置だということは私は言えないと思います。二つの国で結ぶ条約であるけれども、一方は強国であり、一方は弱小国だ。その二つの国において結ばれる条約は、強国の意思によつて左右されて行くということは当然じやないでしようか。狼と羊の相談みたいなことになつてしまう。だから羊の意思によつてこの条約が結ばれたのじやないということが明らかに僕は言えると思います。それでもあなたは全然アメリカの意思はこれに作用していないということを言い切れるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/50
-
051・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それは御意見ですか。御意見として承わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/51
-
052・須藤五郎
○須藤五郎君 そう言わざるを得ないでしよう。そこで私はもう一つ尋ねて行きたいのですが、日教組の宇治山田大会における運動方針即ち平和教育を推進するという運動方針が、あたかも偏向教育の原因となつておるがごとき、又偏向教育の事例のごとく、あなたはこれまでずつと言つてきていると思うのですが、これはどういう根拠によつてあなたはおつしやつておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/52
-
053・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) しばしば申上げておりますように、教育には平和教育とか、産業教育、独立教育、これは名前をつけておる。その名前がついたから偏向しておる、さようなことを言つたことは毛頭ありません。逆に平和教育という名前をつけて平和を教えるのがどこが偏向しておるのか、これも殆んどそれ自体では意味をなさないことであります。要するに教育というものが偏向しておるかどうかということは、与えられる具体的な教育の内容について、これを検討しなければならん。教育がどうして偏向しておるかいうことは、私はそれ自身問題にならんと思うのです。例えば独立教育がどうしていけないのだ、青年教育がどうしていけないのか、道徳教育がどうしていけないのだというのと同じことでありますから、それが偏向しておるかどうかということは、教育そのものの内容について調べてみなければ言えないことであると思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/53
-
054・須藤五郎
○須藤五郎君 併しあなたは前に日教組が、あたかも政治結社のような方向を辿つておるということの例として、大会の運動方針を取上げて、それがあたかもそういう方向に教育を持つていこうとしている意図のあるがごとくあなたはこれまで発言をしてきていると思うのですが、そういうことはどこが日教組の……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/54
-
055・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 意図があるということは言いません。意図が察知せられると言つております。日教組がその政治的平和闘争という題目の下に、政治的な主張を掲げて、そして平和教育は平和闘争の一環としてこれを教室において児童生徒に滲透させなければならん、こう言つておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/55
-
056・須藤五郎
○須藤五郎君 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/56
-
057・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) だから児童生徒に教室においてその方向に子供を持つて行かなければならんと、こう言つておることは、偏向教育を目指しているというように見えるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/57
-
058・須藤五郎
○須藤五郎君 どうして見えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/58
-
059・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 教育上そういうことを子供に教えなければならんと言つておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/59
-
060・須藤五郎
○須藤五郎君 平和憲法を守れというのが今の日教組の主張であり、そしてこれは私は五十万日本の教職員の自己批判の結果生まれた結論だと思うのです。というのは戦時中戦争前から、日本の教員は政治的批判を許されず、そして文部省の押しつけるところの軍事教育ですね、軍国主義教育を押しつけられた。その結果心ならずも自分の教え子をそういう方向に、軍国主義的な方向に持つて行つたわけです。駆り立てて行つた、その結果が非常な悲惨な結果を招いた。それに対して今五十万の日教組の組合員は、先生として再びそういう間違いを起したくないということで、非常な自己批判を通して、身を以て今日教育に当つていると思うのです。どうしてそういう確信を持つことが、偏向教育と言えるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/60
-
061・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 確信を持つことが偏向教育だなんということは、言つたことはありません。ただ自分の確信している一方的な主張を子供に教えるということは、偏向教育である。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/61
-
062・須藤五郎
○須藤五郎君 教育というものは先生の持つた確信を児童に与えるのがこれが教育です。確信のないのを与えることは教育じやないのです。最もこれが是なりと思つて、ここに初めて教育が生きて来るわけです。而も憲法においてちやんと平和を守れ、平和じやなくちやならん、戦争をしてはならんということは、ちやんと憲法において規定をされておる。再軍備しちやいかん、軍備を持つちやいかんということが、憲法で規定され、又教育基本法において定められたところの平和の精神を、それを児童に与えるということが、どうして偏向教育になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/62
-
063・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そういう教育に関しては先生の考えを、確信を持つた考えを教えなければならん。従つてその場合にいわゆる教育の中立ということは考えられない、あり得ない、こういうことは、須藤君は前にもそういうことを言つておられますし、これは須藤君に限らず共産党の考えかたのようであります。併しながらそのことは、一つの形式でありましよう。一つの形式だと私は思う。思うけれども、併し法律が定める学校においてさようなことをしてはならんということは、現行法上はつきり書いてある。これが個人の私塾か何かで子弟を集めていろいろ講釈をして聞かせる場合、そういうことは起り得るでしよう。併しそれは一つの教育であり、一つの形式であると思います。併し今日の制度において、法律の定める学校においては、一方に偏した教育をしてはならんと、こういう規定があるわけです。こういう規定の枠の中でものを考えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/63
-
064・須藤五郎
○須藤五郎君 とんでもないことです。平和でなくちやならんという教育をすることがどうして一方的な教育ということが出て来るのですか。それじやあなたたちは一方的だというのなら、あなたは戦争しようという意思を持つておるのですか。あなたがたが戦争をしようという意思を持つておることに対して学校の先生がそういうことはけしからんから、平和を守れということを生徒に教える、そういうことが偏向を意味するのですか。その場合でも私は決して一方的な偏向教育だとは思いませんよ。平和を守るということがどうして政治教育だと、一方的な偏向教育ということが言えるでしようか。あなたはたびたび私が本会議の質問において、本来教育に中立性なんということはあり得ないと言つたことを掴まえて、再三食い下つているようでありますが、ここに戦争をやろうという、悪いことをしようという一つの主張があつて、それに対して厳正中立といつてそれを批判しないというようなこと、こういう中立はあり得ないということを言つている。これは大いにそれに対する批判を加えなければならない。そんなつまらない意味の中立なんか私はあり得ないということを言つている。私の主張を、ここにうまいことを清水幾太郎君が中央公論に書いておりますから、これを私が言うよりも、うまく私の意思を表明しているから、私はここで読んでみますが、聞いて下さい。「自由党から共産党に至る諸政党は、国民生活の凡ゆる側面に亘つて種々の政策を発表している。国民生活ばかりではない。外交関係及び国際問題について、それぞれの政策を公表している。言い換えれば、凡ての政党は、地上の一切の問題について方針を樹てているのである。試みに、日本の国土の問題をとれば、治山治水や国土開発の政策が出て来る。日本の人口の問題をとれば、受胎調節や移民や完全雇傭の政策が現われて来る。政党の方が地上一面に綱を張りめぐらしているのであるから、教師の方がいかに控え目に教えても、何か有意味な発言をすれば、その途端に、必ず、或る政党の政策を支持する結果になり、同時に、他の政党の政策に反対する結果になる。天上の星を論じていない限り、警官の監視と五年以下の懲役と十万円以下の罰金とを免れることはできない。その上、戦後の新教育は教科書の抽象的な記述の暗記でなく、現実の諸問題、或いは具体的経験の解決と分析とを主眼とするものである。従つて新教育の精神が教師と生徒とをその前へ辿れて行く諸問題に、今新しく、危険な電流が通じようとしているのである。それは触れねばならぬものであり、しかも触れてはならぬものである。真面目な人間なら、誰だつて戸惑う。もしこの馬鹿らしい法律が成立すれば、新教育の精神も方法も、やがてどこかへ消えてしまうであろう。地上には、教師の安んじて触れ得るものはなくなるであろう。残るのは、時の政府の政策は政党的でもなく政治的でもないと考える抜け殻のような教師と、同じく抜け殻のような一群の子供たちだけになる。」ということを書いておりますが、私はその通りだと思います。そういう意味において私は発言しておるので、如何にも共産党がいわゆる共産党的な教育を今日児童に押し付けようと考えているというようなふうにあなたは言を曲げて行こうとしている、そういう意味において私は言つたのじやない。どうですか、御理解になりましたか。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/64
-
065・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 拝聴しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/65
-
066・須藤五郎
○須藤五郎君 拝聴しました……、じやまあ理解したのですね。そこで私はもう一遍元へ戻さなくちやならん。どうして今日学校の先生が平和を守りましようという情熱を持つて、平和を守ろうという情熱、人間を幸福にしようという、日本を立派に育てようとする情熱を持つてやることが、どうして偏向だとあなたは規定付けられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/66
-
067・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 平和を守りましようということを、子供にそういう気持を吹き込む、教える、それを偏向教育だなんと言つた覚えはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/67
-
068・須藤五郎
○須藤五郎君 それはおかしい。今あなたは日教組の平和運動方針を推進することは政治的な偏向を来すということをあなたは今言つているじやないですか。どうしてそれが政治的な偏向になるのですか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/68
-
069・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 平和を守りましようということだけをやるのなら問題はありません。ただ日教組はこれはもうしばしば申上げて、ここに資料がありますが、平和三原則であるとか、その他具体的の政策についてそれを内容として、そしてそれが特定政党に結び付くような内容を持つた一連の教育を、これを平和教育としておる。これを人からかれこれ言われる場合には、平和を守るというのが何が悪いか、こういうことを言つているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/69
-
070・須藤五郎
○須藤五郎君 それは社会党も共産党も平和勢力を結集しなければならんということを言つておりますよ。それはアメリカを一連とする戦争勢力があつて、その勢力に日本が引つぱり込まれようとしておるから、その危険を防止するために日本を飽くまでも平和な楽土とするために平和を守らなければならんということを主張しておる。たまたま残念ながら不幸にも日本の第一政党である自由党がその危険を見通しているのです。その点無関心であるということなんです。それがむしろあなたたらに責任がある、平和を守ろうとするほうには責任はない、あなたたちの言わないほうに責任がある。だから我我は非常に警戒しなければならないから、声を大にして今平和を叫んでおる。自由党が今私たちと同じような気持になつてくれれば問題はない。むしろこれはあなたたちに責任があるのじやないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/70
-
071・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 偏向教育を日教組がするようになつたことが我々の責任だというようなことを言われますが、これは非常に迷惑であります。日教組の平和憲法擁護並びに平和闘争、これは第九回の新潟大会、これはこういうことはそのときそのときによつてたくさんありますが、こういうことを言つている。我々は飽くまで平和四原則を労働階級の立場として堅持し、両条約反対の基盤に立つて政治、経済と結び付いた再軍備徴兵を含む憲法改正に反対する広汎な国民運動を展開し、民族の独立と真の平和を闘い取らねばならん、(「その通りですよ」と呼ぶ者あり)その事柄の内容がいいか悪いか、これは別論であります。これを平和教育という名の下にこれに関連する政策内容を持つた内容の教育を教員の職場である教室においてこれを展開する、これは私は偏向教育になる虞れが非常にある、こういうことを言つているだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/71
-
072・須藤五郎
○須藤五郎君 その中にある講和、安保条約を破棄しなければならん、要するにああいう一方的な講和条約を結んで、安保条約を結んで、MSA協定を受入れる、行政協定を結ぶという、そういう一連の行為が日本の平和を脅して来る結果になるのですよ。ですからそれを先ず破つて行かなかつたならば日本は平和にならない、だからそういうことを主張するのは、偏向的な政治偏向じやないと思いますよ。それが当然なんです。偏向というものは変なように偏つているのが偏向というのですよ。正しい途を歩いているのがどうして偏向なんです。それは正しい途です。それなくして日本は平和にならないのですよ。そこを主張しているに過ぎないのであります。どうしてそれが偏向というのです。曲つているのはあなたたちじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/72
-
073・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私はここで政策の当否を論じているものではありません。それの内容がいいか悪いか、これはそれぞれの立場に立つて国のためを思う人のこれは主張であります。ただそれを学校の子供に教えることが偏向教育になるかならんかという問題であります。あなたがたから見て中身はいいから、我々の考えではこれはいいことである、こう思うからそれを子供に教えても偏向教育にはならん、こういうふうに言われますけれども、そのいい悪いは別として、私は何も日教組のそのことだけを採上げているのじやない、特定の政党を支持し、又は反対させるような教育を、極左であろうが極右であろうが、或いは自由党であろうが、改進党であろうが、そういうことを子供に教室で教えてはいけない、そういうものを指示させるような教育をしてはならん、こういうことを言つているのであります。これは私が言つているのじやない、それは基本法に書いてあるのです。だからその内容がいいか悪いかという議論ではありません。(「関連して」「関連事項で一つ私も」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/73
-
074・相馬助治
○相馬助治君 関連して。現在議論の対象になつておりますことから引例して、新潟の大会における日教組の決定が問題になつているようでありますが、平和憲法を守り、再軍備に反対し、平和を推進して行くというような日教組の大会の決定それ自体には問題はない、これは文部大臣おつしやる通りであり、私もその通りだと思います。但し文部大臣が何かの機会に申したことは、日教組の大会がかかることを決定し、その影響力が個々の教員を通じて学校という職場に持込まれる、この考え方が強調される場合には、ややもすると一党一派の主義主張を賞伝し、一党一派を利するような教育の現実というものが予想されるから問題であるというような意味のことを曾つて文部大臣はおつしやつたと思うんです。この平和議論がありますけれども、この議論に一応私どもはそういう事実があるかないかは別として、議論このものとしてはやはり耳を傾けるべきことであろうと考えていたのです。ところが只今須藤委員に対しての文部大臣の答えには、そういう決定を新潟大会においてしたことについては問題ないが、そういう決定そのものが直ちに職場において偏向事例というものが端的に考えられるというようなことに相成るというと、これは問題であろうと思うんです。ただ何回か、もう質問されたので、文部大臣もこまごまとやることが面倒くさくなつたので、そういうことも、もう悪いのだと、こう言うならば又別でありまするが、私は平和憲法を守り再軍備に反対するというような原則的な教育そのものは何ら偏向教育でないと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/74
-
075・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 平和四原則をいうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/75
-
076・相馬助治
○相馬助治君 いや、あなたが今実例に引かれたように、平和を守り再軍備に反対する、こういう意味で民主憲法を守つて行くということ自体が、仮にそのまま教室において教師の口から話されたとしても、そのことだけならば原則論として何ら偏向教育では私はないと思います。これすらも偏向教育であるということになると、私は大きな問題だと思う。私が、文部大臣の申したことについて私は議論はあるけれども、一応了解していたことは、教員組合の大会がさようなことをきめる、すると教員組合の影響を受けて教師がその精神によつて現実を解剖して議論をなして行くときに、ともすると一党一派を利するようなことを直接に指導し影響を与える懸念があると、こういうことならば私は議論としてはわかるんです。事実日教組のそういう決定が教壇の上にそのまま持ち来たらされて、政党政治がやつているかいないかということになれば、さような実例は我々は知らないのであつて、そのこと自体には、又問題は別であるけれども、基本論としても私は日教組が大会でさようなことをきめた、もうそれ自体がすでに偏向であるというようなことは、もうとても聞きおくわけに行かないので、一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/76
-
077・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 言わないですよ、そんなこと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/77
-
078・相馬助治
○相馬助治君 ちよつと速記をとめて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/78
-
079・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/79
-
080・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/80
-
081・相馬助治
○相馬助治君 それじや簡単に、私自身は先ほど須藤委員と問題になつたようなこと自体が教室において問題になる場合には、そのことだけでは偏向教育ではないと、かように考えるのですが、やはり偏向教育であると文部大臣はお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/81
-
082・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは偏向教育であるかないかということは、始終申上げるように具体の教室において行われる教育自身について検討しなければ言えないことであります。そこで、この平和を守るとか或いは教え子を戦場に送るな、こういうスローガンが使われております。その内容が問題なんです、内容が。そこでこの日教組の教育情報というものによつて見るというと、「教え子を戦場に送るな、このスローガンの下に今日まで心血を注いで闘つて来た我々の運動は、両条約を批准し、行政協定を結んだ今日の段階においては更に一歩前進して、再軍備反対の国民運動を展開し、政府の企図する憲法の改正に対して飽くまでも闘わなければならない。」そこで再軍備反対ということを打出しておるその日教組のもとの考えというものはこれで一応わかります。それからその他、例えばこういう……、これも日教組情報、二十八年の六月です。「日教組は今や日本の平和勢力の牙城であり、頼もしい限りである。平和運動を繰り拡げ、平和教育を推し進め、(中略)これらの闘いは日本の保守勢力、戦争勢力の一大脅威でもあつた。特に八月の中央委員会では平和教育のための具体策を決定したが、それぞれ政府自由党のいう教育構想と真つ向から四つに取組んでいる。」こういうふうに日教組……、私どもの観察によるとこれはたくさんありますよ、この資料は。日教組はこの新潟大会においても、日教組の先ほどなにしたこの平和闘争というものについての基本的な、これもまあ一つの場合でありますが、そういうことをやつておる。平和闘争をやるということが日教組のいわゆるあらゆる目標を通しての最高方針であということまでも言つておる。その平和闘争を推進する、それは一定の内容を持つたものだ。平和四原則であるとか、或いはアジア諸国との文化の交流の問題であるとか、進んで吉田政府の打倒であるとか、こういう内容を持つたものを集めて、これを平和闘争と言つておる。そうしてその平和闘争を進めて行くその一環として教育というものを採上げておる。私はそこに非常な疑問を実は持つております。教育はそれ自身が至上のものであつて、他の手段に採用せらるべきものでない。教育自身が至高至上のものを持つていなければならないはずです。然るに日教組においては、日教組の平和闘争を進めるための手段として平和教育を進めておる。これはそもそも私は偏向的な考え方であると思う。自分の持つている政治闘争と言いますか、社会闘争というか何か知らんけれども、そういう闘争を進めるための手段として平和教育というものを採上げておることは、これは明らかな事実です。これ自体がすでに偏向的な考えです。教育を利用して自分の政治闘争の具にしようとする意図であることは大体聡察できる。而もその平和教育を進めるということを学童に対して行え、こう言つておる。行えということははつきり言つておる、いつでも。これが偏向教育という危険をここで感ぜざる者があれば、私はそれは推理力のない人間だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/82
-
083・川村松助
○委員長(川村松助君) お諮りいたします。只今本会議が始りましたので、申合せの通りMSA法案と補正予算案が審議を終りましたならば、再びここで再開したいと思います。どうぞ御了承願います。
〔「賛成」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/83
-
084・川村松助
○委員長(川村松助君) 休憩いたします。
午後零時九分休憩
—————・—————
午後八時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/84
-
085・川村松助
○委員長(川村松助君) 再開いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/85
-
086・須藤五郎
○須藤五郎君 定足数はあるのですか。(「ありますよ、十分あります」と呼ぶ者あり)私は再開することは異議はありませんけれども、折角社会党左右がおるのですから、一応走らして、再開して異議がないかということだけ駄目を押しておいて下すつたほうが私はいいと思うのです。それが礼儀じやないかと思うのです。やつてくれということなら私は喜んで質疑に入りたいと思うのですが、ただそれだけのことだけをちよつと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/86
-
087・川村松助
○委員長(川村松助君) あなたと同一の考えで今向うに通知を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/87
-
088・須藤五郎
○須藤五郎君 了承しているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/88
-
089・川村松助
○委員長(川村松助君) 返事はまだ帰つて来ませんが通知は行つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/89
-
090・須藤五郎
○須藤五郎君 返事が来るまで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/90
-
091・川村松助
○委員長(川村松助君) まだ使いの者が帰つて来ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/91
-
092・須藤五郎
○須藤五郎君 ちよつと待つてやつたらどうかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/92
-
093・川村松助
○委員長(川村松助君) はいはい。ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/93
-
094・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を付けて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/94
-
095・須藤五郎
○須藤五郎君 先ほど質疑の最中で本会議になつてしまつて、話が途中で切れてしまつておるのでありますが、たしか最後のときに文部大臣は平和教育が目的ではなく、平和教育が手段にとられておる、こういう御発言があつたと思うのです。私はそれとは反対で、平和教育は目的である、こういうふうに解釈しておるのですが、文部大臣が平和教育を手段としてやつておるというその根拠を私は伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/95
-
096・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 平和教育は目的であるというふうに自分は思う、こういうお言葉でありますが、私が先ほど申上げたのは日教組の資料について見れば、日教組は平和教育というそのものを目的としておるというよりも、その資料についてみれば日教組のいわゆる平和闘争というその闘争の手段として平和教育というものをやつているかに見える、こういう意味のことを申上げたのです。平和教育というものを手段としてなすべきものである、こういうことを言つたのである。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/96
-
097・須藤五郎
○須藤五郎君 それでいいですが、日教組が平和教育を手段として使つておるかに見えるというその根拠を私は伺つておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/97
-
098・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先ほどその点は申上げたと思うのです。これはこの前も読んだのでありますが、日教組の教育情報の、昨年の六月の教育情報でありますが、このうちに、第十回の定期大会の運動方針書というものがあります。それによるというと、この平和闘争の目標、平和と独立を守る戦い、こういう註釈をつけて、この戦いは日教組のあらゆる闘争を貫く最高方針であり云々、ということが書いてあります。そうしてこの平和闘争の内容というものが再軍備に反対するとか、憲法改正に反対するとか、或いは全面講和を勝取るのであるとか、或いは安保条約を破棄するのであるとか、という類のことをずつと書いてあります。そうしてこの平和運動というか、平和闘争のこれがあらゆる闘争を通じての最高の目標でありますから、この文章だけによれば。そうすると平和教育というものはこれは平和闘争の一貫として、つまり日教組が最高の運動方針としておる平和闘争、それの一つのやり方として平和教育というものを進めておる。そうしてそれを父兄大衆のうちに進めて、教師としては平和教育というものを進めて、そうして父兄大衆のうちに平和運動のオルグとなる、こういうことが書いてある。そうすると、平和闘争をするということが日教組の目的、その平和闘争とは何ぞや、これは今申上げるような一定の政治的な内容を含んだ闘争であります。そうしてその闘争を進めるための方法手段として平和教育というものを採上げておる。これはこの運動方針、この日教組の資料ですから、これは極めて明瞭なんです。そうでありとすれば、この平和教育なるものは少くとも日教組においてはそれ自体を目的とするものではなくして、平和闘争を達成する手段としてこれが使われておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/98
-
099・須藤五郎
○須藤五郎君 私は日教組に関係しておりませんので、日教組の内容に関しては詳しくは存じません。そうしてその情報というものを読んでおりませんが、あなたが今読まれただけでも目的であつて手段でないということは明らかに理解される。平和教育の内容に過ぎないのです。平和教育を如何にして進めるかという内容です。それは手段ではないと思うのです。それを内容をあなたは手段だとか目的だといつて平和教育はあたかも変なもの、政治闘争の手段として平和教育をやつておるというような言いがかりですが、平和教育の内容とは如何なるものぞというと、そこに書かれてあるところが平和教育の内容です。それをやらなかつたら平和教育にならないわけなんですよ。どうですか。手段じやないですよ。内容ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/99
-
100・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 平和闘争ということは日教組の目指しておるところの政治的な闘争であります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)その内容から見て、それはそうです。今読上げたのはそうなんです。なおほかにも資料があります。やはり昨年の六月の日教組の情報を見るというと、日教組は今や日本の平和勢力の牙城であり、頼もしい限りであり(「その通り」と呼ぶ者あり)これらの戦いは日本保守勢力、戦争勢力の一大脅威でもあつた、こういうことなんです。それは明らかにこの政治勢力としてのいわゆる平和勢力というものの伸長、これは明らかに政治闘争であります。そうして平和教育というものはこの全般の政治闘争というものの一つの手段として、その一翼として平和教育というものを推し進める、でありますからして、その平和教育の場合においても日教組はただ児童にそういうことを教え込む、児童に浸透させるという字を使つておる、教え込むのみならず更に児童を通して母親、青年、父兄の間にもこれを浸透させている、これは明らかに教育それ自体ということを目的とするのではなくして、教育というものを一つの手段として日教組の目指すいわゆる平和闘争、政治闘争を推進して行くものであると私は判断する、あなたはこれを御覧になつたことがないと言われるから読み上げたのです。それはやはりそうじやないとお考えになればそれまでです。私はそう判断いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/100
-
101・須藤五郎
○須藤五郎君 どうもあなたは、平和というものは政治闘争だという先入観がどうも抜け切れていない。平和を守ろうということはこれは決して政治運動じやないのですよ、これは崇高な教育ですよ、政治闘争じやないです、平和を守ろうというのが何で政治だということが言えるのですか、その平和を守ろうという闘いはどういうふうにしてやつたら行けるかというその方針を日教組は出しておる、だから手段じやない、目的なのです。平和々々と言つても何もわからん。それじやいけないので、それを具体的に説明したのがその内容です。だから日教組の運動方針というものは平和教育の内容を指しておるので、決して手段ではない。そうしてその内容は決して政治活動ではないと私は考える。あなたはそれを政治活動だと言うが、それはどうも私には理解できない。私はそれじや具体的に例を挙げて質問いたしましよう。日本が平和を守るにはどうしたらいいかということ、平和々々と言つても平和は守れない。平和を守るには如何にしたらいいか、日本が戦争に捲き込まれないでアジアの平和を守るということを具体的に考えなければならん。そこで基地に反対する闘争というものが起つて来る。日本に軍事基地があればいつ何時日本が戦争に捲込まれるかわからない、だから日本の軍事基地を早く撤去してもらうための闘争方針なんです。軍事基地をなくすことが目的なんです。平和を守るためのこれは一つの目的なんですよ。今日本に軍事基地があることによつて如何に国民が迷惑をして、そして如何に日本の子供たちがひどい目に会つているかということを私は一例を挙げましよう。私は大阪の伊丹飛行場の傍に住んでおるのです。私の家の上をジェット機が飛んで来ると、私の家のかわいい孫などは首を縮めて私にしがみつきます。こういう状態なんです。そこに小学校があるわけですが、その小学校の子供たちは……、ここに書いたものがありますから読みますから聞いておつて下さい。伊丹基地について、これは兵庫県教組津名郡支部の発表した教研大会における大阪都市騒音対策委員会の特別調査によると、伊丹市から約一キロ離れた豊中市勝部では飛行機の頭上通過の騒音は八十ホーン、時に百ホーンを超えることもあるという。百三十ホーンになれば耳が痛む。大体繁華街の騒音は七十乃至八十ホーンである。大工場では八十乃至百ホーンとなつている。そのような音が毎日平均百五十回と記録されている。それから周辺の伊丹市神津、豊中市螢ヶ池、私はここに住んでおるのです。両市の小学校の子供は口を揃えて授業中先生の声が聞えないと述べ、それで或る子供は詩を作つてこのことを歌つている。「算数の時間」という詩です。
しゆ算の読み上げをする
パチパチパチ
気持のよい音がひびく
急にすごいジープの爆音
先生の声が
ばく音にのみこまれて聞えなくなつた
地ひびきがするような音を立てて
何台も通る
先生は変な顔をしておられる
だれかが
ガチヤガチヤとそろばんをゆすつた
みんながそれに合わせてガチヤガチヤやつた。(笑声)
こういう詩を作つておるくらいです。これほど教育上非常な被害を与えておる。笑い事でないです。日本の子供の教育の問題ですよ。いいですか。こういう状態が軍事基地の教育の状態です。私たちは視察に行つてよく知つておるのですが、それではこれと闘うにはどうしたらいいのですか。軍事基地撤去という闘いをしなかつたら、こういう状態にある日本の子供を救うことができないのじやないか。それをやることがどうして一党一派に偏した行動だとあなたはおつしやるのですか。そういうことを日教組の平和教育に対する指針の中で言つているに過ぎないのです。これはどうして文部大臣、政治的偏向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/101
-
102・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 一体あなたの政治的偏向とか、何とかいう問題じやなかつたのです。あなたの基地撤廃の運動が教育に関係しておるという意味の只今の御発言はわかりました。わかりましたが、私の申上げる教育というものは教育と関係があるものはすべて教育だという意味ではなくて、子供に教える、それを教育というつもりであります。教育に関係があるから基地撤廃の闘争、そういう政治的な運動もみんなこれは教育だ、こういうふうにあなたはお考えになることはわかりましたが、私はそういう考えで教育というものを考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/102
-
103・須藤五郎
○須藤五郎君 実際の教育をやろうと思うとまじめな先生はこういう運動をやらなかつたらできないのですよ。政府がやらなければ先生がやらざるを得ないのじやないか。政府はどこへでも軍事基地を作つて下さいと言つて野放しでやつておる。それはそういう状態から日本のかあいそうな子供たちを守るためには、先生がいやでも応でも闘わなければならないのじやないですか。そうして先生が軍事基地撤去の運動をやるとあなたは政治的偏向だと言つて牢屋に放り込む、こういうむちやな話がありますか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/103
-
104・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 先生が教育を守る意味で軍事基地撤廃の闘争というものをされる。これはいい悪いは別として、そのことを私は何も教育とは思いませんから、それはあなたの説明によればこれは教育に関係するということはわかりましたが、併しそれ自体が教育ではないのでありますから、私の見解に従えば内灘へ行つて座り込んで騒ぐという事自体が、これは教育とは私は考えない。従つてこれを偏向教育だと言つたことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/104
-
105・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは今後先生たちが自分たちの学校を、児童を守るためにこの運動を進めることは政治的偏向の事例には入らんわけですね、一向差支えないという御意見ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/105
-
106・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今申上げたような、先生がそういう基地撤廃の運動ですか、闘争ですか、そういうことをされるということが教育だとは私は思いませんから、従つてこれが偏向だということは申上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/106
-
107・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは今度の教育二法案の対象にはならんということですね、そこをはつきり言つて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/107
-
108・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 教育とは考えておりませんから、いわゆる特定の政党を支持し、又反対させるような教育、そういうことにはなりません、てんで。これは教育と私は考えていないのだから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/108
-
109・須藤五郎
○須藤五郎君 もう一遍確認しておきますが、あなたの今度言う政治的偏向を犯した先生に対しては、又教唆扇動をした人に対しての刑罰を伴う法案の対象にはならんということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/109
-
110・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この法律案は先生自身が政治的偏向に陥つているというか、政治的偏向になつておる先生自身のですよ、これをはつきり言葉を換えて言えば、先生が共産党に入党したとか、或いは社会党左派に入党した、自由党に入党した、これは先生自身が政治に偏向したかどうか知らんが、自分が政党に入つたということでしよう。それは何もこの法案に関係がない、要するにそういう一方に偏した教育というものを教唆扇動したものを罰するというのでありますから、先生自身が入党したとか、政治的に偏つたということがあつても、それはこの法案には何も関係がない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/110
-
111・須藤五郎
○須藤五郎君 私はもう少し明確に答弁して頂きたいのですが、先生たちが児童をこういう騒音から守るために基地撤去の運動をした場合、あなたはそれが政治的な行動だといつてその先生たちを処罰しようという意思はないわけなのですか。処罰の対象にならんということなのですね。ならんならならんと、はつきり答えて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/111
-
112・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 偏向教育ではないのでありますから……どの法律によつてですか、あなたの言われるのは。何でもかでも先生を処罰するというような法律ではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/112
-
113・須藤五郎
○須藤五郎君 特例法の一部改正法です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/113
-
114・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 特例法ですか。それは特例法ならば、先生が特定の政党を支持したり、反対したり、こういうことを一定の目的を以て、そうした行為についても一定の限定がしてあります。それに該当する場合に限つてこれは特例法違反、これが成立すれば政治行為の違反ということになります。例えば目的としては安保条約によつて、行政協定に基いて基地が提供される、これは現在の法律或いは政策の現存するそれの実施、その実施を妨害するためにという目的を以て或る行動がとられれば、目的を以てそういう国できめた政策或いは法規の実施を妨害する目的を以て云々とあります。ですから今のように安保条約、行政協定に基いて実施される国の施策、それを力づくで撤回させようというような、つまり実施を妨害する目的を以てする、これはそういうことになる場合が多いのです。恐らくは実施を妨害する目的を以てということになる。そうしてこれは人事院規則の政治行為の各号に該当するようなことをすれば、それは特例法の違反だと、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/114
-
115・須藤五郎
○須藤五郎君 それではもう一遍伺いますが、廻りくどい答弁は私は要求していない。学校の先生はそんなに法律を一々頭に入れている人ばかりじやない。実際の、自分でやつている行動がこれに触れるかどうかという問題なのですから、実際こういう小学校があつた場合、そこの学校の先生たちが、こういうことがあつては困る、だから早く軍事基地を撤去してもらいたいという希望を述べると、そういう行動をしたときは、やはり縛られるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/115
-
116・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は廻りくどい答弁をするとおつしやるが、ただ闘争と言われても、人事院規則には一定の行為の形態をきめて、それに当てはまる場合のみこれは罰則を科するのでありますが、闘争というものの内容になつている行為がどういう行為であるかということがはつきりしなければ、一つだけで返事をせいと言われてもできない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/116
-
117・須藤五郎
○須藤五郎君 例を挙げますが、学校の先生たちが署名運動をやつて、その軍事基地を早く撤去してもらいたい、飛行場の拡大に反対ですと実際問題はあるわけなんですね、そういう署名運動をやつた場合ですね、それは罰せられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/117
-
118・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そういうこれはただ撤回してもらいたい、こういうような陳情のようなことですか、これは政治目的といううちに入りますまい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/118
-
119・須藤五郎
○須藤五郎君 署名運動はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/119
-
120・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) いや、それは目的のことから言つているのです。これは非常に目的ときちんときめてありますから、そう簡単に罰則に触れる触れないの問題は精密に言わなければ御返事にはならんから御辛抱して聞いて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/120
-
121・須藤五郎
○須藤五郎君 ええ、聞きますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/121
-
122・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この国の機関又は公の機関によつて決定した法令又は省令の妨害された、これは勿論条約もこのうちに含まれると私は考えます。そこでその決定した政策の実施を妨害することを目的として実施を妨害する、つまり基地を提供するということは、これは行政協定か何かできまつている国の義務であります。その実施を妨害することを目的として、その目的のための署名運動を企画し、主催し、又は指導しその他これに積極的に参加する、こういうことになりますれば、これは人事院規則に触れるものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/122
-
123・須藤五郎
○須藤五郎君 それ御覧なさい。だから私はこういう法案はけしからんと言つておる。日本の先生が、自分の教えている子供を、教育上、その教育が満足に行くように、今のような政府のだらしない行動では我慢ができなくて、そうして署名運動をやり、請願運動をやるというと、すぐその人事院規則に触れて、やはり縛られる、こんな馬鹿げた不合理なことがありますか。学校の先生が真面目であれば真面目であるだけ、純真であれば純真であるだけ、自分たちの子供の教育に関して無関心であり得ないじやないですか。それがすぐその法の対象になるところに、この悪法の悪法たるゆえんのあるわけじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/123
-
124・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私はそういう行為が、この場合に、人事院規則に触れることになるかどうか、こういう御質問でありますから、その点について答弁をしたのであります。それは甚だ、だからこの規則はけしからんということであれば、これはあなたの御見解でありますから、これに対しては答弁のしようはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/124
-
125・相馬助治
○相馬助治君 議事進行。連合審査には人事院総裁が見えたのですけれども、単独の文部委員会には今日初めて見えたと思うのです。従つて、私も人事院総裁の、ここで顔を見れば、人事院総裁に是非尋ねなくちやならない件があるのです。こういうことも勘案して、委員長においてはあとずつと人事院総裁の出席を要求し、それが可能であるならば別ですが、折角ここに人事院総裁が見えたのであるから、人事院総裁並びに法務省から次官が見えているようですから、こういう政府委員に質問があるという者に対しては、これは質疑の機会が与えらるべきだと私は思うので、それらは一つ委員長においてよく全般的の、時間的希望を考えながら、各委員の質問を許して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/125
-
126・川村松助
○委員長(川村松助君) 了承いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/126
-
127・須藤五郎
○須藤五郎君 私もその通りで、人事院総裁の意見も、この点で、こういうことが人事院規則の対象になるかということを、念を押して聞いておきたいと思つていた点なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/127
-
128・川村松助
○委員長(川村松助君) 念のためにお諮りします。まだまだ質問者がたくさんあるのですから、長く一人で亘つて占領しないようにお頼みします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/128
-
129・須藤五郎
○須藤五郎君 急ぎます。急ぎますが、やはり質疑は慎重にやつておかないと問題になる。それからもう一点私は例を挙げて申したいと思うのですが、先ほど証人喚問をして調べたところの大将軍の問題なんです。大将軍のあれは給食問題の闘争だと思うのですが、今日休職問題で非常ないろいろな問題をはらんでいるのは大将軍だけではないのです。ほうぼうにありまして、この給食問題でも学校の先生は実は非常に頭を悩ましているのです。その給食問題を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/129
-
130・川村松助
○委員長(川村松助君) 須藤君、給食問題も、今の大将軍のそのほうも、無論御質問なさることはいいのですが、今相馬君からの要望がありましたように、珍らしく見えた人事院総裁に質問をやりたいという希望もありますし、人事院総裁に御質問があるならば何ですが、それでなかつたら一応他のほうに移つてもらつたらどうでしよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/130
-
131・須藤五郎
○須藤五郎君 もう一つやつておきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/131
-
132・川村松助
○委員長(川村松助君) それでは整理の都合もありますから、あと五分間くらいやつてもらつて、順ぐり順ぐりに廻つてもらいましよう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/132
-
133・岡三郎
○岡三郎君 総裁が見えたから質問を強制されるならば、総裁に何のために……、帰つてもらつたらいいと思うのです。顔が見えておるからやると言うのなら帰つてもらつたらいいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/133
-
134・川村松助
○委員長(川村松助君) 幸い見えたかり……ちよつと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/134
-
135・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/135
-
136・永井純一郎
○永井純一郎君 委員長にお尋ねいたしますが、折角須藤君が質問しておるのに、五分でやめろ十分でやめろと言うのは、どういうわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/136
-
137・川村松助
○委員長(川村松助君) けれども、昨日までの経験だと、一人で三時間もぶつ通しやつておるわけです。そういうふうでは困るです。幸い須藤君が相当時間を長くまつておりますし、全般的にやはり質問をしてもらいませんと、一方においては不公平だと、こう言われますから、なかなか容易じやないです。(笑声)
ちよつと速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/137
-
138・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/138
-
139・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは給食の問題はあとで又なさると思いますから、私は一応今日はお預けにしておきますが、もう一遍私はこの点を繰返します。「冬の友」という中国から帰つた子供の日記帳を大臣はこの事例の中に挙げていらつしやいますが、あれだつてやはり平和を守ろうという精神の内容だと私は考えるわけです。何も政治的な偏向を侵す問題じやないと思うのです。中国というところはこういういい国だと、だから日本が中国を目の仇のごとくしてやつておる理由はないじやないかと、中国はこういう立派な国になりましたよ、日本も模範として学ばなくちやなりませんよということを、この子供たちは日記に書いておるのです。ところがそれがあなたの目には、あなたの色目には、すぐそれが政治的偏向を侵す事例として採上げられている。こんな馬鹿なことはないと思うのです。それは尤も、今日の自由党内閣は汚職で一ぱいですよ、実際のところ。而も、その汚職で検察庁が検挙しようという大臣が幹事長ですか、それを数的な暴力において拒否してまでやつて行こうというような、そんな不届な料簡を持つ政府にとつては、あの純心な子供の声というものは、それはとても耳が痛くて聞くに堪えないかもわからん。だから自分たちに気に入らんことを言う奴はこれは政治的偏向だと言つて、そういうこととを言う奴は監獄に放り込むというのは、これはとんでもない思想だと思うのですよ。どうですか、あなたはそういうことを考えていらつしやるのではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/139
-
140・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は決して自分たちに気に入らんことを言つた者だけを偏向教育だとか何とかいうことを言つておりません。そういう気持もありません。又この法律なり教育基本法の解釈からそういう解釈ができる余地はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/140
-
141・須藤五郎
○須藤五郎君 今日もうヴエトナムなんかでもヴエトナムとアメリカは統一行動で、たとえフランスが兵隊を引揚げてもアメリカの兵隊を押出そうというようなことを言つておる。ところが、実際はアメリカの兵隊はヴエトナムに持つて行くことはできないのです。これはよくわかつている。アメリカ国内の世論も許さないが、実際上そういうことは不可能なんだ、だからヴエトナムへ若しも戦線を拡げるとするならば、日本の兵隊を持つて行く以外に途はないのです。そういうことは明らかです。そういうことをやらせるためにMSA協定を押付ける、そうして太平洋同盟まで発展させようというのがアメリカの意図なんです。そういうことになつたらどうなりますか。水爆で今やあやあ騒いでいるときに、若しもヴエトナムへ日本の兵隊が引張られて行くということになつたら、これはとんでもないことになる。だからそういうことを拒否して、そういう危険から日本を守るために、又自分達の教え子がそういう不幸な目に会うことから守るために、学校の先生たちは平和を守ろう、そのためには再軍備を拒否しましよう、平和憲法を守りましよう、海外出兵などということはけしからん、そういうものは拒否しましようという運動、これは当然やらなくちやならん。この法律ができようができまいが、日本の先生は必ずやります。そういうことはやらないではおれないのです。若しもやらなかつたら日本の先生は堕落したのです。立派な先生は必ずやる、この法律が通つても。そういうときにあなたはそれを監獄へ抛り込もうという、そういう馬鹿なことがありますか。日本の国土の安全を守つて、日本の子供を守ろう、生命を守ろうという、この運動をやること、それがあなたの作つた法律によつて監獄へ入ることになる、こんな馬鹿げたことがありますか、そうしてそういうことを意図する平和教育がなぜ政治的な偏向を犯した教育だということをあなたは言えるのですか。その点もう一遍はつきり答えてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/141
-
142・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 偏向した教育ということはその教育の内容がいいとか悪いとかいう問題とは又別の観念であります。特定政党に偏り過ぎておる、こういう考え方でありまして、それがいいとか悪いとかいう問題ではありません。でありますから、あなたはそれが非常にいいことだと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/142
-
143・須藤五郎
○須藤五郎君 いいことです。最高道徳だ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/143
-
144・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) いいことだから、偏向したということはないのだとか、こういうふうにおつしやるが、そういう考え方ではありません。これは法律を御覧になればその点ははつきりすると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/144
-
145・須藤五郎
○須藤五郎君 それは具体的にお尋ねしますが、ヴエトナムに出兵しようというようなことが若しも具体的に起つた場合、保安隊が引つ張られて行くというようなことが具体的に起つた場合、それに反対して学校の先生が立上つたとき、あなたはそれを政治的偏向として監獄に抛り込みますか、抛り込みませんか、はつきり言つて下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/145
-
146・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そういうヴエトナムへ行くとか行かんとかいうことは私どもにはよくわかりませんことでありますが、そういう仮定の問題であるとすれば、それを日本の政府が決定をしたとか、或いは国会においてそれを決定したとかいう一定のはつきりとした仮定を作つた上でお尋ね下さらないと、ヴエトナムへ行くときにそれを悪いと言つたから偏向教育になるとかならんとか、そういうことではお答えはできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/146
-
147・須藤五郎
○須藤五郎君 今日議題で改進党から海外出兵は許さないという決議案を出そうという案が出たそうです。私は議運に直接出席はしておりませんが、伝え聞くところによりますと、そういうことです。そうすると自由党の或る人がそんな問題を今決議案で出したらMSAでもらえるものがもらえなくなるぞというようなことを発言したというのです。それでそれを聞いた人は非常に問題にしているのです。これはとりも直さずMSAというものは海外出兵が義務付けられるということをちやんと裏書きしている、海外出兵を拒否するような決議案を通したらMSAでもらえるものがもらえない、こういう卑屈な乞食根性です。ところがMSA協定というものはそういうことを伴つておるのです。第一大臣がもうそれに似たことを言つているじやないですか、木村篤太郎大臣がですよ、私の私的意見だつたら今の自衛軍は軍隊でありますと言つている。憲法改正も間近に迫つておると思いますと言つている。こういう危険なときです。而も南方においては水爆が破裂して、そうして日本の空に死の灰が降る、こういうときにこの国土の安全を守つて、そうして生命の安全を守るために学校の先生はどうしたらいいのです。戦後学校の先生はこの平和憲法のために、教育基本法の精神のために一時喪失しておつたところの精神を取戻して、そうして勇敢に立ち上つて日本の教育の上に非常に大きな希望を持つて今日まで働いて来ておる、それをあなたが踏みにじつて抑えつけてしまう、こういう状態が今あるわけなんです。この法案は平和に対する挑戦だと私は言つておるのです。明らかに平和に対する挑戦です。それから再軍備は戦争に対する批判力を国民の手から奪い去ろうとしている法案だと私は思うのです。少くとも日本の先生の立場からこういう批判力や平和に対する熱意をこの法案によつてあなたは踏みにじろうとしておる、これは許すべからざることだと私は思いますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/147
-
148・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この法案に対する須藤君の御批判は御批判として拝承しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/148
-
149・須藤五郎
○須藤五郎君 もつと誠意のある答えをしたらどうですか。そうじやないというならそうじやないと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/149
-
150・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御意見は拝承します。御意見でありますからして私の意見と違つておる点もあります。併しこれは御意見でありますから、聞いておくほかにはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/150
-
151・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは今後あなたはこういう状態が具体的に起つた場合、仮定だから答えられないということは吉田さんの言う手です。あなたはそんなことを真似しないでいいのです。あなたは自分自身おれは自由主義者だと言つて嘯いておる、自由主義者というものは人をふん縛るような法律というものはめつたに作るものではないですよ。それはあなたは自由主義者だと言つておるけれども、決して私の目から見たら自由主義者ではない、オポチユニストです。軍部が勢力を占めておるときには軍部に尾を振つてシンガポールに行つていたじやないですか、そうして今や吉田政府が全盛を極めておると見ると吉田さんのところに行つて自由主義者だと言つておる。自由主義者というものはそんなものじやない。自由主義者というものはもつと節操を持つて、そして本当の自由を守る。こんな人を、ふん縛るような法律を作るものではない。やすやすと法律を作るけれども、それが私の気に食わんのです。そしてそれは大きな間違いです。
それからもう一点、今日は委員長がそうまでおつしやいますから、私は委員長の顔を買つて余り無理はしませんが、あなたは私の質問に対して一つ答えてない問題があるわけなんです。というのは、君が代を歌うことが愛国心の涵養になるということをあなたは言つておるわけです。好ましいことだと言つている。それで君が代によつて涵養される愛国心というものはどういうものだという質問に対してあなたは一言も答えられていないのです。今日はそのお答えを頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/151
-
152・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は君が代を歌うことは愛国心の涵養になるということを申上げたことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/152
-
153・須藤五郎
○須藤五郎君 委員会の記録に出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/153
-
154・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) どうぞ記録をお読み下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/154
-
155・須藤五郎
○須藤五郎君 君が代がなぜ好ましいかと言つたら、あなたはこの歌を歌うことは愛国心を育てることになるから好ましいのだと言つた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/155
-
156・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) そういうことはありませんから、記録にあるとおつしやるなら読んで下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/156
-
157・須藤五郎
○須藤五郎君 私は不幸にしてその記録を持つていませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/157
-
158・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は言つた覚えはありませんが、併しこれはどつちでもいいことですが、私が申上げた記憶によれば、君が代というものは、その歌の意味は愛国心から出た、愛国心を歌つたものだ、こういうふうに思う。そうしてこれを教育の上で強いて無理に歌わせる必要はない、或いは又これを歌わせないというのもよくない。ただこれが、こういうものは強いて歌わせてどうこうというものではないから、先生にしても子供にしてもこれがやはり自分の気持から出てこれが一斉に斉唱せられるというようなことは誠に望ましいということは言いました。併し君が代を歌わせることが愛国心を涵養させることであるからこれを歌わせることがいい、そういう意味を言つた覚えはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/158
-
159・須藤五郎
○須藤五郎君 よろしうございます。私は確かにそれを言つておると思いままから、後刻速記録を調査して、もう一遍やりますが、併しあなたはこの前君が代の問題に関して私が質問したときに、君が代が何とかかんとか言つて自分に都合のいいところを読みましたが、君が代の歌詞は主権在民の憲法に照らして憲法に合わないということをちやんと明らかに言つていますよ。そういうところの、その憲法の精神に合わない歌詞を持つた君が代を歌うことがなぜ好ましいのでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/159
-
160・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) この点はこの前お話になつて私は御返事を申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/160
-
161・須藤五郎
○須藤五郎君 非常に抽象的で意味をなさない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/161
-
162・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは何ですか、過日の御質問ですか、それとも衆議院の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/162
-
163・須藤五郎
○須藤五郎君 衆議院じやない。参議院の昨年の……今年の初めか昨年の暮頃に質問したものです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/163
-
164・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これはここに速記録があります。「私は君が代を学校で無理に歌わせるということはどうかと思うけれども、併し、子供が歌うものをとめる必要もないだろう、若し自発的に君が代が斉唱せられることは私としては望ましいと、こう言うたのです。」発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/164
-
165・須藤五郎
○須藤五郎君 ちよつとそれを拝借させて下さい、私に。「これは日本の愛国心、国民の民族愛を歌つたものである、かように考えておるのであります。」こうなつておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/165
-
166・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) それは先ほど申上げた通りそういう意味のことは言つた覚えがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/166
-
167・須藤五郎
○須藤五郎君 そこで私は愛国心ということを問題にしたいのですが愛国心とは、今日言う主権在民の憲法下に愛国心というものはどういうもんであるかと言うのです。私は国を愛するということは、その国の主権を愛し、国土を愛し、風俗を愛するのが、これが私は愛国心だと思う。そうしますと、今日主権在民の憲法の下における愛国心というものは、主権在民ですから人民が主権者なんです。その主権を愛するというのだから、この人民大衆を愛するということなんです。決して天皇を愛するということは愛国心にならないのです、今日は。ところが君が代は何を歌つているのです。「君が代は千代に八千代にさざれ石のいわほとなりて苔のむすまで」と、これは天皇のことを言つているのじやないですか。なぜそれが愛国心になるのですか。そう言うことが間違いですよ。愛国心というものは、主権在民ですから、人民を愛する気持を歌つた歌でなければ愛国心の涵養にならないのですよ。而も君が代のごとき非科学的で、大きい石が小さくなつて行くというなら当り前ですが、さざれ石がいわほになる、こんな馬鹿なことはありません。こんな非科学的な而も音楽的に大きな欠陥を持つた国家を歌うことが何で愛国心に役立つんですか。あなたの言う愛国心、役立つ愛国心というものはやはり天皇主義です。あなたはノスタルジアで、昔の天皇中心主義をあなたは頭の中に画いておる証拠じやないですか。それは非常な違いですよ。それは主権在民の憲法を持つた人民としては非常に間違つた行動をとつているんじやないかと思う。文部大臣自身が主権在民の憲法下においては間違つた考えを持つておるとしか私は判断せざるを得ない。その間違つた頭を以てこの法案を作つたというところに問題があると思う。主権在民の憲法を身に着けた自由主義者がこんな法案など考えることは毛頭ないと私は考えるのです。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/167
-
168・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は一番初めのお尋ねが、君が代を歌わせることは愛国心を涵養することになるから歌わせるんだということを私が言うたということを、さような記録があるといつてあなたは言われた。私はどうも覚えがないから、そういうことを言つた気がしませんでした。たまたまここに速記録がありますから、それを今あなたも御覧になりましたが、私はこれを無理に歌わせるということはどうかと思うけれども、併し子供が歌うものをとめる必要もないだろうと思う、こういうことを言つておつたのであつて、決してこれを愛国心涵養のために歌わせるんだというようなことを言つたことはありません。これは速記録であるから、これは明瞭です。
それから今も君が代という歌に流れておる考え方は、これは日本の愛国心、国民の民族愛を歌つたものである、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/168
-
169・須藤五郎
○須藤五郎君 その解釈がおかしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/169
-
170・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) おかしいとおつしやるが、これは私の解釈を申上げたんですから、その解釈についての御批判は御批判として承わつておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/170
-
171・須藤五郎
○須藤五郎君 冗談じやない、そんなことはないですよ。主権在民の今日においてはその憲法に合わない箇所を持つた君が代を歌つてどうして愛国心が生まれるかということなんです。これは愛国心ということをそこにちやんと使つているんです。それは言葉の問題じやないですよ。小さい言葉に私はこだわつているわけじやないのですよ。それを君が代を歌うと愛国心と関係があると言つているから君が代と関係のある愛国心は今日の主権在民の憲法下においては好ましからざる愛国心ということを私は言つておるのです。若し主権在民の憲法の下に好ましい愛国心というものは人民を愛する歌であるべきですよ。ところが君が代というものはそういうものじやないということを私は言つておるのです。而も君が代を歌わん者は政治的偏向を侵しているというふうに推測ができるという、そういうあなたの思想の発展の仕方で行つたら、とんでもないことになつてしまう。そこなんです、問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/171
-
172・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これはこの前の国会における答弁のここに速記がありますから、その点はこの前も須藤君がお尋ねになつております。この君が代と主権在民の関係はどういうふうにお考えになつておりますか、こういう御質問に対して……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/172
-
173・須藤五郎
○須藤五郎君 あんたは私の質問に対して答えようとしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/173
-
174・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) いや答えてあります。「君が代という字は主権在民という今日のとられている政体からいえば、文字にとらわれていえば、君が代ということは時代遅れであると思います。」。それから更にあとで「君が代という、君という字が……」君が代という字が問題である。併し「君が代という歌に流れておる考え方は、これは日本の愛国心、国民の民族愛を歌つたものである、」。君が代という字は当時は主権が天皇にあるというそういう政治形態を基礎にして言われた言葉でありますから、君が代という言葉は今日の日本人社会、君が代ということは天皇が主権者として臨んでおられるその世ということでありますから、これは日本人社会、こういうふうに私は考えます。(「こじつけも甚だしい」と呼ぶ者あり)日本人社会というものは、それは私はこの解釈についてあなたに決して御同意を求めておるのじやございません。私はあなたが解釈を聞かれるから私の考え方を申上げておるので、それが間違つておるということをあなたがおつしやるなら、それはあなたの解釈でありますから、そのまま承わつておく。あなたの言われる通りに私があなたの解釈に同意しなければ承知せんと言われても、これは人間それぞれ考えがありますから、これはやむを得ません。(「その通りだ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/174
-
175・須藤五郎
○須藤五郎君 その点あなたの考えが間違つておるということを言つておる。(「間違つておらん」と呼ぶ者あり)いや、それでは話にならんよ。君が代のそんなこじつけた解釈というものは通らんですよ。それはどこへ行つても通らん。憲法にそぐわないことがなんであんたいい歌だということは言えるのですか。そういうことを歌うことがなんで好ましいなどということが言われるのですか。あなたの言うやつぱり肚の底は、あなたは詭弁を弄することがうまい。(「どつちだ」と呼ぶ者あり)詭弁学派とも言うべきですな。なかなか詭弁においては天下一品だと私は思うのだが、そうい詭弁でごまかして言われちまつてはいけない問題です。而もその君が代を歌わなかつたことによつてそれが偏向教育をやつている人に違いないというような、警察官をもつてあなたがその学校なりその個人を眺めるというようなことになつて来るから、そこが問題なんですね。だから君が代はもう過去の歌だから歌つても歌わなくてもどうでも結構でございます、そんなことは私は問題にしておりませんとすつぱりあなたが素直に出るなら、それでいいのです。ところがそれを問題にするから私は問題にするのです。問題にすることがおかしいのじやないですか。問題にしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/175
-
176・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は私としての意見がありますから、私も自主的な一人の人間でありますから、私の意見は私の意見で申上げます。ただあなたの気に入るような答弁はできる場合もできない場合もあります。人は皆考えが違いますから、これはやむを得ません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/176
-
177・須藤五郎
○須藤五郎君 私は私の気に入るような答弁を要求しておるのじやないのです。大勢の人が傷付かないような答弁を要求しておるのですよ。あなたの個人的なそんな偏見の考えで大勢の学校の先生が傷付くとなつたら、それは許されないです。そこが問題だから私は質しておるわけです。ただ単なるあなたの一個人の考えに過ぎないという答弁ですか、あなたはそれじや、君が代に対する解釈は。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/177
-
178・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御批評に対しては答弁の限りではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/178
-
179・須藤五郎
○須藤五郎君 え……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/179
-
180・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) あなたの御意見、あなたの御批評に対しては答弁の限りでありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/180
-
181・須藤五郎
○須藤五郎君 それじや答弁できないということなんですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/181
-
182・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) あなたの御意見に対しては聞いておく以上答弁はできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/182
-
183・須藤五郎
○須藤五郎君 私はどうしても大臣の答弁では、事君が代に関して絶対私は承服することできないのですよ。これは実に言を左右にして私は不誠意な答弁をしているとしか受取れないのです。これでは学校の先生たちは判断に苦しむのです。今日学校の先生が君が代を歌わないことが偏向教育をやる人だというふうに、もう君が代を歌わないことによつて何だか犯罪者として見られておる、疑惑を持つて見られておるというのが今日の状態です。だからこの点ははつきりしておかないといけないわけであります。だから君が代は歌つても、歌わんでもいいのだ。そんなことは偏向教育の事例でも何でもないし、安心してやりなさいと言うのか、それとも飽くまでも君が代を歌わないのは偏向教育を侵す危険性のある人間であつて、警戒を要する人間であるというふうに、被疑者的なものの見方をしようというのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/183
-
184・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御質問の内容が変りましたからお答えを申上げます。私は君が代を歌わないということが偏向教育だとは無論思つておりません。併しこの間の事例にある例は、君が代を歌わせるような、歌うほうがいいというようなことを考えておる者は教師である資格はない。(須藤五郎君「どうしてです。」と述ぶ)答弁中です。資格はないということを言われた、こういう事例であります。私はそういう先生の手によつてなされる教育は偏向の危険を生ずる虞れがあると、こういうふうに私は判断をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/184
-
185・須藤五郎
○須藤五郎君 君が代を歌わない先生は偏向を侵す先生だ、それは先生としての資格がない先生だというのはどこから起つて来るのです。法的な根拠がどこから出て来ているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/185
-
186・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私が言つたのじやないのです。この間の事例でそういう発言がなされた。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/186
-
187・須藤五郎
○須藤五郎君 それではあなたはどういうふうに思うのですか。あなたは君が代を歌わない先生は先生としての資格がないというふうに考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/187
-
188・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私はその説に同意したのじやないのです。君が代を歌わないほうがいいのだ、歌わしてはいけないのだ、歌うほうがいい、或いは歌わしたほうがいい、こういうことを言うような先生は先生たる資格がない。こういう発言があつたという事例であります。それは職員会議における発言でありますから、そのこと自体が教育でないのですから、これは偏向教育であるはずはありません。ただそういうことを言う先生によつて行われる教育というものには偏向の可能性というものが考えられると、こういうふうに申上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/188
-
189・須藤五郎
○須藤五郎君 憲法の精神にそぐわない歌を歌うことはいやだと言つた先生は、なぜ偏向教育を行う虞れがあるのですか。それはどこからそういう理論が出て来るのですか。我々が一番守らなくちやならんのは憲法ですよ。憲法の精神ですよ。憲法の精神を守るために、君が代をこれは憲法の精神に合わないから歌うのをやめなさいと言う先生がどうして偏向教育の対象になり、この法案の対象になるというふうにあなたは考えられるのですか。それはおかしいじやないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/189
-
190・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 偏向教育であるか否かということは、具体の政党にそれが結び付くか結び付かんかということについて判断しなければならん、こう思います。抽象的な問題じやありません。そこで、君が代を歌わせるというようなことを言う先生はすでに教師たるの資格がないのだと、こういう考え方は非常に偏つた考え方だと私は思います。(須藤五郎君「そこまでは正しいよ。」と述ぶ)それは先生が偏つておると思います。それでそういう先生によつてなされる教育は、偏つた教育というものの可能性がある、こういうふうに私は思う。で、殊に今の具体の事例と結び付く関係を申上げますと、日教組内における共産党グループはたくさんの教育方針を出しております。その一つは天皇制に関連をしておると思いますが、日の丸、君が代教育に対する抵抗、こういうことを一つ出しておる。これは具体の共産党グループですよ。共産党……(須藤五郎君「よく聞いておりますよ」と述ぶ)党派的勢力の伸張を常に図りつつある共産党グループが、共産党の勢力の伸張の手段として、その一つとして君が代、日の丸教育に対する抵抗という筋を出しておる。これは具体の事実です。その他にも出しております。だからその線に合致する考え方であります。いいですか。そういう合致する考え方を持つておる先生、つまり君が代を歌わせるような者は先生たる資格がない。ただ歌うほうがその場合にいいとか悪いとかいうのではないが、君が代を歌わせるというような考え方のものはすでに先生たるの資格がない、それは具体的の事実についてはそれが共産党の線から来ているのですが、それは調べてみなければわかりません。併したまたま共産党が共産党の党派的勢力の伸張のために、そうしてそれを教育の場を通じて、それをなす手段として日の丸、君が代教育に対する抵抗という筋を出しおる。これはたまたま非常によく合う、合うのだからそういう先生についてはよく調べてみるというと偏向教育、つまり共産党を支持するような教育が行われる場合が、可能性というものが考えられる。詳しく申上げるとそういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/190
-
191・須藤五郎
○須藤五郎君 共産党は天下の公党です。共産党を支持しようとしまいとそれは先生の自由です。問題にならない。それから共産党が私はその指令を出したということは聞いていないからわからないのですが、たとえ出したとしても何が故に共産党が今日君が代を歌い、国旗を掲げることに反対するか、恐らく私はそんな指令は出していないのじやないかと思います。私は事の真相は知らないが、併し若しも出しておつたとするならば、今日日の丸を掲げさしたり、君が代を歌うことは好ましいことだというような指令が出されておるところのこの意図に対して、それはどういう意図かあなたが君が代を歌うことは好ましいことだという指令を各小学校に出した、その意図するところは何か、主権在民の憲法下においてそういう意図することは間違いだが、又曾つての天皇制を復活して、そうして天皇中心的な軍隊を作ろうというその意図の下においてなされておるであろうその意図に対して我々は闘わなければならん。我々は主権在民の憲法を守つて、民主的な日本を作らなければならんというそういう方向を持つております。これは共産党のみじやないかしらんが、共産党はそういう方針です。だからあなたたちのそういう保守反動的な意図に対して闘うために或いはそういうことを言う人もあるかもわからん。併しそれは手段じやないのです。こういうあなたたちは手段に使つておる。その手段を粉砕しなければいけない。民主的な日本を作るためにはそういう反動的な手段とは闘わなければならんということを言つておる、そうでしよう。主権在民に合わないのですよ。君が代というものは科学的に見ても合わない。又音楽的に見てもいい音楽じやないですよ。そういうことを歌うことを好ましいということすら私はおかしい。而も文部大臣の肩書を以て全国の学校にそういうことを言うということは実に不謹慎極まると思う。而もそれを本当に愛国的な立場から、平和憲法を愛する立場から学校の先生がそういう意図に対抗して、君が代を歌うことはやめましようという運動をすれば政治的偏向だ。あなたたちの言うことを聞かないものはみんな政治的偏向だという判コを押す。アメリカのマツカーシズムと同じです。そんな馬鹿気たことはないのじやないか、そうでしよう。あなたたちこそ偏向教育的な教育を強制しておるものじやありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/191
-
192・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 御意見として拝聴しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/192
-
193・須藤五郎
○須藤五郎君 もう少し時間を許して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/193
-
194・川村松助
○委員長(川村松助君) あたりのかたがたも困つておるだろうと思いますので、私は制限するわけではありませんが、ただ会議ですから、どなたも御発言できることを祈るわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/194
-
195・須藤五郎
○須藤五郎君 それは確かにその通りです。私一人の会議ではありませんから、私も非常に気兼ねをしながらやつておるのであります。(笑声)私はまだまだたくさんの問題を持つておりますから、許されるならばもう一つやらせて頂きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/195
-
196・川村松助
○委員長(川村松助君) あなたがたの会議ですから、あなたがたの良識に待つばかりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/196
-
197・須藤五郎
○須藤五郎君 それではこの問題はほかのかたがたもたくさんおありだと思いますから……。
私は政府に対してこれまでいわゆる反動教育と言いますか、軍国主義教育が今日なされておる事例がたくさんあるはずだから、その資料を提出してもらいたいということを政府に要求しました。ところが政府はそういうことは全然ありませんから資料がありません、というお答えです。そこで政府が資料を提出しなければ私から資料を提出せざるを得ないので、私はここに自分の調査したものを持つておりますから、政府に教えて上げたい。こういうことが行われておるということを私は政府に注意を喚起したい。
第一、日本の教科書から非常な変化が今日起りつつある。この教科書の変化は何を意図しておるかという点を私はお尋ねしたい。日本史の教科書、昭和二十九年度使用検定合格の本が殆んど改悪されておるわけです。例えて申しますならば、「五箇条の誓文」となつておつたところが「五箇条の御誓文」というふうに、「御」という字が頭に載つておるわけですね。それから新版八種の教科書のうち、「中学新日本」(日本教団株式会社)を除いて全部こういうふうに変つておるのです。「五箇条の御誓文」になつておる。これまでは「五箇条の誓文」だつたわけです。それが「五箇条の御誓文」になつておる。それから、「育ちゆく日本」薬井甚太郎さん菅野二郎さん、それから「中等日本史」菅野二郎さん、箭内健次さん、というこの二つの著書を調べますと、これら二つの本はやつぱり日本教団株式会社、同社から出版され、内容構成は殆んど変りがないのでありますが、百ヶ所余りの修正箇所があるわけなんです。それから、その中には削除された文章が大分あるわけなんです。その削除された文章を私は今読んでみますと、「育ちゆく日本」下巻八十五頁です。これは前にはあつたが今削除されておる。「戦争を決意して立ち上つた政府や軍部に対して「戦争反対」を唱える一部の人々がありました。内村鑑三らはキリスト教の立場で、幸徳秋水、堺利彦らは社会主義の立場から新聞、雑誌その他によつて戦争反対を主張しました。また与謝野晶子は戦場にある弟の身をなげいて、長い詩を書きつらね、女性の立場から戦争反対を叫びました。また木下尚江は小説「火の柱」などで軍人や大資本家をするどい筆で攻撃しました。反戦運動をとなえたこれらの人々の数はごく僅かでしたが、単に戦争をきらうのでなく、世界の人々は互いに仲よくしなければならないと考えたからです。これらの人々に対して国民の大多数は戦争を行うからには是非とも勝たなければならないと考えて、政府や軍隊に強く協力しました。」この箇所が削除されているわけです。いいですか。それから又削除されたのは下巻の終りのほうの四頁に、下巻のほうの文章が一つ削除されている。それはこういう文章であります。「しかし、これから歩もうとしている日本の道は、けつしてよういではありません。ソ連や中共などの勢力下にある東洋で、ソ連の同意もなく、中共の関係しない講和条約を結び、アメリカ軍を始め、国連軍の駐留を認めたことは、東西に分れた世界の二大陣営の一方を日本みずからえらんだことになります。」こういうことも削除された。こういうことは何を意図するのでしようか。これは日本の過去の過ちをここに明らかにいたしている。これから日本の平和を守つて行くためには過去に勇敢に闘つたこういう人たちを手本として我々も闘つて行かなければならないという、最初はそういう意図を以て編纂された。ところが最近これが削除された。その削除された意図はどこにあるか。あなたはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/197
-
198・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) お答え申します。「五箇条の誓文」というのに御誓文という「御」の字がついた、これはまあ御承知のように教科書は今日は文部省のいわゆる国定教科書ではありません、文部省はその検定に当るだけであります。一般の民間において教科書というものは作られる、それでこれはどういう関係で附加えられたり削除されたか、その辺私は詳細には存じませんが御誓文の場合について考えてみますと、御の字がついたからといつてこれを検定不合格にするということはできないと思います。御の字がついたから不合格にする、そういうことはこれは編纂者或いは著者が御の字を入れた、随分こういうことを拵える人はそのときそのときの時代的の空気によつて随分字を変えます。新聞でも皇室のことを非常に、場合によると礼を失したと思われるような書き方をしたときもあります。この頃では丁寧な書き方をしておる、これはそういうことはよく世間の風でそういうふうに非常に書き方を変えるようなことがあります。そこで御の字をつけたのだろうと私は思う。御の字をつけたからこれを不合格すにるというわけには参りません。私は御の字をつけたから不都合だ、私も不都合だとは思いません。天皇はこれはたとえ憲法が変りましても、その第一条においてはつきり書いてある通り、国家の象徴として国民親和の中心であられるかたであります。でありますからして、これは国民としてそれに敬愛の気持を抱き、そうしてそれに一般にこの敬愛を意味するような御の字をつけたからといつて、それが不都合だとか不都合でないとか、これは私は御の字がついてなければ不合格にすべきものとも思いませんが、併し御の字がついたからといつてそれを不合格にするということはないと思います。ですから、こんなことは問題になりません。
それからその次の削除された、これもどういう関係で削除されてか、これも事情が判明いたしません。やはり著者において著者の考えで削除したものであろう。これが削除してあれば不合格にする理由もありません。削除したから不合格にする、そういうことにはならん、ただ最後におつしやつた文章は、私は削除するのが当然であると思います。私が若し検定に当るとすれば、この一番終いの文は恐らくは著者に言つて削除して欲しいと言うただろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/198
-
199・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたが答えるだろうと僕が予定しておつた通りあなたが答えられた、併しそれは私の質問した意図の通りの答えではないわけです。最初終戦直後の民主的な考えがこういうものを削除しようという方向に行つておる、即ち日本の教育は反動のほうを向いて一歩ずつ歩み出しておるということを私は指摘しておるわけです。こういうことが好ましいことかどうか。これが文部省に迎合する著者たちの意図です。こういうことをされておる。これが日本の教育が終戦直後に比較すると今日はだんだんと右のほうに方向を向けておる証拠じやないかという一つの証拠として私は出した。なお一点言いますが、秋田市の敬愛学園は二十七年平和条約が発効した直後真先に天皇の御真影を宮内庁からもらい受け、同年七月から平和塔と名付けられた奉安所に安置し、儀式の際は必ず飾るばかりで高く、月に一回高橋副校長みずから全校生徒を集め、天皇の話を中心とした講話を行い、問題となつた学校である。高橋副校長が語る御真影復活の動機はこうである。終戦の詔勅で示された天皇の平和への努力を認め、道徳人として完成された人として敬愛の念を高めるため毎月一回天皇のよさについて私から生徒に解説しているのだ。天皇は日本国を創設されたる天照大神の子孫であり、我々としては血筋が繋がつているのだから天皇を誇りとするのは当然で、人格的にも優れた天皇を精神的な拠りどころにするのに何の不思議があろうか。こういう天照大神、天皇はみずからの口を以ておれは神ではない、人間だということをはつきり言つておる。その天皇を再び天照大神という神さんの子孫に祭り上げよう、こういう気持で御真影をもらつて行つて拝ましておる。私が申しておるこういう教育は好ましいのですか。どうでしようか。
なお昭和二十五年の六月十三日御真影下附願、これは文部大臣に出してそうして文部省で世話をして出したはずでありますが、それによりますと、今や講話独立を迎えた以上は速かに本来の天皇礼讃に立還りたく考えます。この内外昏迷の中に我らの天皇こそは昭和の初めより戦時戦後を通じ一貫して真理、道徳、平和を常に御教訓賜り、実に全世界ただお一人の尊きお姿なることを罪深き愚かなりし我ら国民が今更のごとく衷心感泣するのであります云々という文章を書いて、そうして文部省にその御真影下附願の斡旋をしてくれと言つておる。こういう思想が今はびころうとしておる、こういうことはあなた好ましいことと思いますか、どうですか。又こういうことをやるのは正しいこととお考えになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/199
-
200・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 須藤君はそういうことはけしからんという感覚でおつしやつているようでありますが、私は結構なことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/200
-
201・須藤五郎
○須藤五郎君 ははあ、そういう感覚だつたのですか、それはなつとらん。(「別の世界だよ」と呼ぶ者あり)あなたはこういう教育は好ましい教育だというふうに考えられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/201
-
202・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/202
-
203・須藤五郎
○須藤五郎君 それはとても大変な文部大臣だと思うですね。(「仕方がない」と呼ぶ者あり)それは憲法の精神に反しておる。(「君がそう思うだけだよ」と呼ぶ者あり)それは驚いたね、そんな頭の人が大勢おるのかね。(「たくさんおる」と呼ぶ者あり)それは困つたものだ。日本の将来憂うべきだ。これは憲法違反ですよ。教育基本法の精神に反しておりますよ、この教育のやり方は。そうでしよう。それがどうして好ましいのですか。若しもこれをあなたが好ましいとするならば、こういう偏向教育を好ましいというような頭で以てこの二法案を作ろうとしたら、こんな二法案ほど悪法も甚しいものはない、これこそ偏向的な悪法ですよ、どうです。(「と須藤君は思う」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/203
-
204・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) これは私は偏向教育とは思いません。無論別にどこの政党を支持するとか何とかいうことに何の関係はない、ただ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/204
-
205・須藤五郎
○須藤五郎君 憲法に違反しておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/205
-
206・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 憲法に違反するということは甚だ私は奇怪なことだと思う。憲法第一条には先ほど申上げましたように、天皇は国民の象徴であるということを書いてあります。でありますからして、天皇を馬鹿にするということは憲法に違反します。私はそう思う。少くともその気持の上においては、この憲法下にある国民が天皇を馬鹿にしたり、軽蔑したり、そういうことをするということは、憲法の趣旨とは違うと思います。ただあなたが憲法違反だと言われるのは、いわゆる天皇は主権者の地位を去つておる今日、この点は憲法において明瞭であります。今お読みになつただけでは、私が聞いておりますと、天皇は主権者だから御真影を頂く、こういう意味のことは一つもなかつたようであります。非常に平和を愛する誠に尊敬すべき立派なかただからと、こういうことであつたようであります。それがどうしていけないのですか。どうして憲法違反になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/206
-
207・須藤五郎
○須藤五郎君 天皇を再び神格化そうとしておる教育です。憲法に反しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/207
-
208・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 天照大神の子孫である。これは長い間申し伝えられた日本人の伝説というか、信仰といいますか、そういうふうに伝えられておるのであります。神の子孫だから、神と言つたつてこれは人間でしよう。そういう人を昔は神様と言つておつた。これはキリスト教のエホバとは違います。エホバとは違う。そこで神の子孫だからそれはいつまでも神様だ、こういうことはありません。今日は藤原氏の末孫近衛、鷹司、こういう人は誰も神様だと思つておりません。これは天児屋尊という昔の神様の子孫です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/208
-
209・須藤五郎
○須藤五郎君 あなたは今宗教だと言つたが、これは大きな問題ですよ。教育基本法では宗教的な教育は禁止されておるのですよ。あなたは若しも天皇を宗教の対象として学校で教えられていると言うのならば大きな間違いですよ。基本法の精神に反します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/209
-
210・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は宗教とは言いませんよ。信仰と言いました。信仰と言うか、言い伝えと言うか、とにかく日本に一般に信じられておることである。そうしてその校長先生は、その人間天皇という宣言というものをやはり引合いに出して、そしてそれを肯定しておるのです。そしてそれを有難いと言つておるのですよ。誠に親しみやすいということを言つておるのですよ。どこにそれを天皇を神様だとその先生は言つておるか。天照大神の子孫であるということを言つておるだけで、今の天皇を神様と言つていないので、むしろ逆にいわゆる人間宣言というものを引合いに出して、それを肯定しておるのです。別に天皇を神様と言つているようなことはない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/210
-
211・須藤五郎
○須藤五郎君 それではそれほどあなたはそれじや御真影をやがて全国に、又文部省から校長を集めてその御真影を持たせて帰して、そうして祝祭日にはその前に子供は頭を下げる、再び元のようにしようというお考えが肚にあるのだろうと思います。私は僅か一時間の質疑でありますが、一時間の質疑を通じてあなたの本質というものがはつきりしましたよ。(「その通り」と呼ぶ者あり)そこでこれだけあなたの本質がはつきりしましたので、私は満足します。この法案がそういうあなたの発案によつて、そうしてこの二法案が作られた、こういうことがはつきりして来ましたので、私はこれ以上、今晩は私の質問時間が一時間半になりましたので、私はここで御遠慮申上げて、後日なお質問を続けさせてもらうことにしまして、この辺でほかのかたにバトンをお渡しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/211
-
212・川村松助
○委員長(川村松助君) 高田なほ子君質問をされますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/212
-
213・高田なほ子
○高田なほ子君 私は天皇神格化の問題から今須藤さんが出されましたような問題で、少し文部大臣に、もう一度質してみたいと思います。どうも須藤さんは復古調の時代の流れに沿うて再び天皇を又元のように神格化したような動きがある、その動きに対して大臣に質されたと思うのでありますが、大臣はそれは大変望ましいことである。こういう御答弁であつたことは、これは私どももかなり重大だと思うのです。どういう意味でそういう御答弁をなされましたか、売り言葉に買い言葉ということもあると思う。言葉の調子ということもあるだろうと私は善意に解釈して再びお尋ねしたいと思う。私は天皇は日本の国の象徴としてのお立場であり、又天皇と私どもはお互いに尊敬し合い、愛し合う、そういうような形以外に出るべき筋合いのものでないと思う。それを奉安殿に神として祭つて、又そこで昔のようにお辞儀をして奉るというようなあり方は、これは如何にどうでありましようとも、私どもの考え方は、それは正しい考え方ではない。それはちよつと、もうどちらのほうにか頭が飛んで行つてしまつておる考え方じやないか、こういうふうに思うわけです。もう少し普通に、そういう極端なことでなしに、もつと普通に憲法に示された天皇の地位というものが明らかになるような行き方が私は尋常な行き方であると思う。今須藤さんから読み上げられたものは何ですか、私は大昔の話を聞くような嫌な思いをしておるわけですが、大臣は本気で誠に結構なことだと言われるのでしようか、如何でしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/213
-
214・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 私は何かお聞き違えになつていやせんかと思うのでありますが、私は天皇を神格化することがいいということを申上げたこともなし、又勿論天皇を主権者である、こういう地位を回復されることが望ましい、そういう意味のことはちつとも申上げておりません。ただ天皇は国民の象徴でありますから、併し同時に人間でありますから、これは人に天皇を尊敬し、天皇に対して敬愛の念を持つということを強制することはできません。それは天皇自身の人格に欠点があつて、どうも嫌いだと言えばそれまでです、その人によつて。併し象徴であるとすれば、これが望ましいことはお互いに敬愛をし合つて、そうして平和な日本、真に世界の中心としての、親愛の中心となられるということが憲法の希望するところであろうと思います。だからしてその敬愛の気持を表すために御真影を掲げて、そうして歴史上の話をするとか、それは今もこの校長さんの話にあつたように、個人的に天皇のなされること、そういう御性質、そういうものの話をして、それはその間批判もありましようけれども、とにかくそうして国民の象徴としてお互いに睦び合うということをすることは、私は憲法の違反どころではない、望ましいことである、こう思つたので、何も神格化するとか、昔の天皇の法律上の地位を回復するとか、そういう意味のことはちつとも申上げておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/214
-
215・高田なほ子
○高田なほ子君 よくわかりました。問題は縦の道徳というものが日本の一つの封建制度の最も特質的なものだと思うのです。上と下との間における道徳、そういつたようなものを民主主義社会では横の道徳、人間と人間との間における横の道徳、人間を尊重し合う道徳、そういうふうに置き換えて来たのでありますから、天皇に対しても同時に縦の道徳ではなくて、横の道徳という観念における尊敬でなければならん、こういう意味から考えますと、奉安殿を作つて子供にお辞儀をさせるというようなことは、縦の道徳というものに逆戻りする、いわゆる封建社会に戻そうとする、教育者としては好ましくない傾向ではないか、私どもはそういう考え方を持つている、例えばイギリスのロンドンの街はエリザベスクインがずつと行かれるところなんかを見ると、実に気持がいいのですね。民衆は皆わあわあ見ておりますし、お巡りも来ておりますけれども、日本のお巡りのように一間ごとに立つて公衆を威圧したり何かする様子はさつぱりないわけです。お巡りも国民も共に喜んでクインを迎えるという、実にそれは和やかな気持があつて、何とも言えない。要するに零囲気があるわけです。日本の場合は天皇がこられるということになると、一間も間をおかないでお巡りが立つて睨みつけるということですね。こういうようなことがいいか悪いかは別問題として、非常に復古調に今走つておるというこういう点は、やはり文部大臣としても十分御注意頂いて、民主主義社会を再び元の封建社会、封建道徳に引戻すような動きに対しては、大臣としてもこれは警告を発せられるべきであつて、それをお喜びになるというようなことは、やはりその筋合いが違うのではないか。多分大臣も私の気持というものには同感されると思う。決してそれはうまくないなんということはお考えになつておらないだろうと思う。私は極めて善意に解釈したいと思うので、先ほどの須藤さんの質問に対し、このあなたの御答弁は大変な私は売り言葉に買い言葉の間違いであつたというふうに解釈しておるわけでございます。
私は実はかくのごとく質問をたくさん持つておるわけなんです。今日は理事のかたがたも先ほどから、大変遅くなつているし、連日遅いから保留されてはという御注文もあるので、私も非常に睡くなつておるわけです。(笑声)大変不まじめのようですけれども、実は決して不まじめではないので、このたくさんの質問をあとに保留いたしまして、どうか一つ岡さんの御質問もあるわけでありますが、これをお認め下さつて、ここらで私は終りにいたしますからそのようにお取計らい願います。(「たくさんあるならやつたら」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/215
-
216・岡三郎
○岡三郎君 高田さんが今けしかけているけれども、私は非常に状況を察すると、何か殊更質問するように言われるのだが、そういうことじやなくして、今までずつと審議して来た中で、不明な点があるからまだやろう。今までまとまつた質問もしていないわけでそれで質問を打切りそうな空気があるから、やはり意地になるわけなのです。私たちは非常に素直なのです。(「やりなさい」と呼ぶ者あり)三十日にやらしてもらえるならばいいけれども、どうもぼつぼつ質問の打切りをしようという行動がちらほら伝わつて来るわけです。(「そんなのはけしからん」と呼ぶ者あり)併し会期はまだ八日まであるし、政府の言つているように防衛二法案なり、MSA協定は今日可されましたが、警察法なり教育法なり、これが一連として昨日緒方副総理も参議院の議運ではつきりと答えているわけです、この五つだと。大達さんははそのほかにこれも重要法案だと言うけれども、あなたはそういうふうにごまかしておるけれども、副総理は明確に五つの法案を重要法案だと断定しておるわけなんです。このような重要法案が審議されて、而も会期はまだある、その中で打切りとか何とかいうことが出て来るから、やはりここで質問を控えれば、お前たちは質問がもうないだろう、だから質疑打切りだ、七十何時間やつたからこれで打切りだ、こういうことでは困る、かなわんと思う。公聴会も入れたり証人喚問も入れたり連合審査も入れて七十時間、八十時間、そんなことを言つたらほかのほうに時間をとられて困るということになると思うのです。だからそういう点を委員長にちよつとお伺いしたいのですが……(「時間が大事だ」と呼ぶ者あり)自由党のほうはちよつと黙つて下さい。(笑声)委員長にお伺いしたいのですが、今日みんなやはりお互いに疲れているわけですよ。それでまあ……(「明日は休みですよ」と呼ぶ者あり)いや、そういうわけで大体目安をきめてもらえばいいと思うのです。それに従つて私は無理をしようとは思いません。だからその点をお諮り願つて……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/216
-
217・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/217
-
218・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記をつけて下さい。相馬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/218
-
219・岡三郎
○岡三郎君 第一段の質問は……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/219
-
220・相馬助治
○相馬助治君 議事進行について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/220
-
221・川村松助
○委員長(川村松助君) ちよつと議事進行の発言だそうですから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/221
-
222・岡三郎
○岡三郎君 ちよつと一つ二つやつてから……(「発言中」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/222
-
223・相馬助治
○相馬助治君 議事進行のほうが優先するんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/223
-
224・川村松助
○委員長(川村松助君) 発言中だつた、では……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/224
-
225・岡三郎
○岡三郎君 議事進行の意見もあるので、それも尊重して私はやりますから、それで文部大臣が、日教組が政治的団体の嫌いがあると、いろいろ言われて来ているわけだ。私はいろいろとそういう見解を持たれることは、あなたのお勝手とも言い切れないわけなんです。もう少し組合の運営なり、その組合の歴史なり、そういつたものをよく知つた中から一つ一つの素材というものを精巧に判断してもらわないと、或る意図を持つて、いわゆるこの法案の裏付けをせんがための証を立てるために、あれこれと署名を集めたような形で、これはああだ、これはこうだと判断をせられている嫌いが私は随分あると思う。これは私は、将来よくわかる時期が来ると思うので、あえて私はここであなたにそういうふうに思つてもらいたいとは言わないけれども、併し一、二私は言つておきたいと思う。私の考えるところでは、労働運動が終戦後発足して、当時の最高権威であつた総司令部が組合の結成を奨励して、そして日本の民主化のこれは一つの柱にして来たわけです。組合運動についてもいろいろとありましよう。併しその中で少くとも終戦直後、労働組合として教員組合も許されて、そうしてその中でそれぞれの行動をして来たわけなんです。当時の組合の運営というものは、殆んど給与一点張で、そうして六百円闘争から順次べース・アツプの闘争が殆んどであつたわけです。そういうふうな中で、いろいろとその他の組合の運営もあつて、これはマッカーサー書簡によつて二・一スト後労働権を剥奪する代りに人事院というものを設置したのです。当時のマッカーサー書簡というものをよく読めば、正しく言えば、憲法に保障されている通りに、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」という条項というものは、ゆるがせにはできないから、併し公務員であるということによつて、公共の福祉その他を考えて、人事院を設置して、これで公務員の生活安定を図るということで、権利を取上げる場合においても、いろいろとそういう言い訳がましいような書簡を出して、そして処置して来たわけです。ところが公務員に対してはこういう処置をとつて来たのですが、人事院そのものが勧告をした勧告案を、政府はどれだけ実施して来たのか、この間において組合運動もさまざまありました。いろいろと変革もあつたわけですが、少くとも純正公平に、こうした公務員は、やはりインフレーシヨンの波の中で非常に生活は苦しい、そういう中で、せめて労働組合の要求と、政府の出した数字との間の人事院の勧告程度は実施してもよかろう、政府の財政は苦しいけれども、そういうふうな掟で、仕組で人事院というものが設置されたからには、やはりそれを実施してもらいたいということは、私は行き過ぎでも何でもない、公務員の正しいあり方だと思うし、それを推進して行く団体、組合の行動も正しいと思う、ところが政府のほうはあれこれといろいろのことを言われるけれども、それが本当に公務員全体に納得できるような言い訳ではなかつたわけです、我々に言わせれば。そういう中で人事院その他の勧告は、これをなかなか国会も認めてくれない、で、我々は政府に交渉し、或いは当時の総司令部の公務員制度課に陳情し、或いは人事院にこれを陳情し、そういうような中において、当時政府並びに公務員制度課は何を言つたかというと、君たちの意見が容れられないのは、国会の数が足りないのだ、君たちの言つていることは至当である、その程度の給与というものはやり繰りすればできないことはないと思う。そういうふうにこれは絶対のものではなくして相関的のものだから、こういうものに対しては君たちはできるだけの許された範囲において行動すべきである、こういうふうに言われて来たわけなんです。我々はそれを忠実に守つて、そうして、(「公聴会だ」と呼ぶ者あり)ちよつと待ちなさいよ。公務員というものが給与を改善するための選挙闘争というものも、これは合法の中においてやるというふうにしてやつて来たわけなんです。ところが、教員組合がそういつた生活改善のために一生懸命になればなるほど、何とかしてその事実を具体的にはつきりと具現しなければならん、形に表わさなければならん。そこに許されたいろいろな方法がとられて来たわけなんです。ところが驚くなかれ、その後において地公法が改正されて、団体の結成に対しても政府の重圧が加つて来たわけなんです。つまり、全国の連合体は認めない、都道府県のいわゆる連合体にも条件を付ける、市町村の単位組合ということを基本にするというふうな、抜本塞源的な考え方をして来たわけなんです。こういうふうに、団体の結成に対しても不当干渉をして、あれこれといろいろなことを言つて来ておるその中で、(「質問をしなさい、釈明か質問か」と呼ぶ者あり)初めから言つているじやないか、委員長、ちよつと時間をとらせるから注意して下さい。(笑声)いいから黙つて聞いていらつしやい。(「質問だか何だかわからない」と呼ぶ者あり)ちよつと御静粛に願います。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/225
-
226・川村松助
○委員長(川村松助君) 御静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/226
-
227・岡三郎
○岡三郎君 そこで、団体そのものに今言つたように不当な干渉をして来て、そうして日教組というものを、中央本部は任意団体にしたわけなんです。都道府県のほうは職員団体という枠の内でそれぞれの行動というものを規制し、日教組というものを任意団体にして、そうして文部当局に交渉に行つても、お前たちは団体交渉を許されていないから会う必要はないのだと、法的に言つてお前たちと交渉する必要はないのだと、こういうふうな行き方で正しい組合というものが助成されるか。私は、労働政策なり、こういつた公務員の職員団体に対して、労働組合が過激だとか何とか言うけれども、私はそれを政府が一方的にそういうふうに断定せられることは無理だと思う。それはやはり一つの考え方としては偏つておる考え方であつて、もう少し中正に考えるならば、やはり職員団体であろうと何であろうと、そういつたものは法的な裏付をしたものを許して、その中において行き過ぎがあるならば行き過ぎがあるというふうに指摘されるならばよい。給与の交渉に教組が文部省に行つても、君たちは正当に認められておらないのだからと、給与の問題もまともに交渉のできないような構成の仕方にしておいて、それならばやはり教員組合は教員組合としていろいろな方法を考えなければならん。而もあなたの言つておる、日教組は政治団体のきらいがあると言つておるけれども、教員組合というものは他の労働組合とは違うことをあなたがたが一番言つておるはずなんです。教員組合というものは子供の本当の幸福を願うことが中心だと思うけれども、併しやはりその基本になるものは教員自体の生活を裏表なしに作り上げることが必要だと、つまり表で聖職のようなことを言つても、裏で生徒の親からいろいろなものをもらつたり、或いは夜間に内職をして子供に教えるというようなことをやつていて、国の重要な負託に応える教師には私はなれんと思う。そういうふうにして子供の幸福を考え、自己の生婆守るためにいろいろと仕事をして来た。そこに朝鮮事変が始まつて、そうしてあの三十八度線のところで二大勢力が格闘しておる、その中において。いわんや何どき日本がその中に巻き込まれるかわからんというときに、教師がこのいわゆる戦争の危機を回避するために日本はこういつた問題に巻き込まれないようにしようという考え方も、私は当然出て来ると思うし、憲法に規定せられておる事項そのものについても、馬鹿まじめに考えれは考えるほど、私はそういう方向というものが出て来ると思う。そういう径路を抜きにして、これは政治団体だとか行き過ぎだとかいうことばかり言つて取締られるということ自体、私は残念で堪らないわけなんです。私の考えておるところは、そういう意味において労働運動なり組合運動なりというものをやはり民主的に運営させるためには、それぞれのそれだけの余裕を与えて、その中においてやはり十分反省を求めることもあるでしようけれども、自主自立の建前を以て運営さしてゆく、そういうふうな掴まえ方が私は必要ではないかと思うわけなんです。そういうことをせんで、手も足も全部ふん縛つておいて、そうして何か……手も足もふん縛つたら正当に歩けないじやないですか、転がつて行く以外にないでしよう。這つて行く以外にないじやないですか。そういう歩き方はないといつたつて、そういう仕方を要請している。だからこれは教員組合が行き過ぎだということを言われているけれども、我々からいえば、こういう法案を追討ち法案だというふうに考えておるわけです。追討ち的に、情勢が変化して日本がアメリカとの関連においていろいろな紐付を受けた、そういうふうな形の中において、更に教員組合に追討ちをかけようとするこれは法案じやないか、私はこれは僻目ではないというふうに自分では思つているわけです。三思三考しても私はやはり……、そういう拠りどころがあるから、悪ければ卒然として反省することにやぶさかでないわけなんです。そういうふうな立場でものを見てゆかないと、いつまで経つてもこういうふうなトラブルというものは私は終らんと思う。そこで私はそういうふうな点を文部大臣に今言つたわけなんです。そこで私御質問申上げますが、憲法で規定されていることで、あえて私はここでくどくどしく申上げませんが、やはり一つの教師の団体なりそういうものが運営よろしきを得よとか、或いはもう少し穏健になれとかいろんな方式を言われるけれども、それにはそれなりの仕事場といいますか、運営をするところの裕りとか、そういうものを私は与えてゆく必要があると思うのですが、これは大臣如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/227
-
228・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 只今岡君から……、私は日教組の実情については無論詳しいことは承知しておりません。又岡君から只今縷々日教組の今日に至るまでの事情なり、経過なりその又やむを得ざる事情、ゆえんについても御説明を聞きましたが、それは傾聴いたしました。私はこれはその通りであるものとして承わります。又岡君自身がその間日教組の最高首脳者としていろいろ御苦衷のあつたことは実は御想像申上げておつたのであります。でありますから、私は今日の日教組の誰が悪い、彼が悪いというようなことは考えておりませんし、又日教組が今日政治的な偏向を示しておるということについても、そのこと自体を不都合であるとかいうことは私は考えていない。少くとも現在の法制下においてこれを不都合だときめつける理由はない、こう思つております。このことはこの法案の提出せられる前から、日教組の諸君が私どものところに会見に見えましたときも、又新聞記者諸君の質問その他に対しましても、日教組が団体としてどういうあり方をしておるかということについて、それを直接に私がいけないとかいいとかいうことはあえて言わない、ただその日教組の考え方に由来して日本の教育そのものの上に偏向的な傾向が現われるとすれば、これは至大の関心を払わざるを得ない、終始一貫して私はそういうふうな考え方でもあるし、又そういう言い方をして来ておると思います。これはあなたの後輩である現在の日教組の幹部のかたにお聞き質しになつても、私は一貫してそういうふうに言つておるつもりであります。又日教組が政治的な偏向を示しておるという点については、これは私だけの観測ではないと思います。今日一般にさようなことを認めておると思います。(「組織上の問題だ」と呼ぶ者あり)併しそのことが直ちに甚だ不都合であるというふうには私は考えていないということは今申上げた通りです。この国会において日教組が政治的団体と思うかどうかという類の御質問がありますから、それを申上げておつたのであります。でありますから、この政治的団体であるからすぐこの法律の対象にするという点は、この法律には出て来ないのでありまして、要するにこの偏向教育というものについてこれは是非守らなければならない、日教組の今日まで歩んで来られた幾多困難の途、又従つて今申されたような余儀なくそういう傾向に追い込まれた事情も恐らくそうであろうかと思います。私はこの法律案が成立した場合においても日教組が真に当初に考えられたような職員の経済的事情の向上であるとか、勤務条件の改善であるとか、そういうことをひた向きな目的として、そうしてその途を進んで行かれるということであれば、成るほど承わるというと法制上においてもいろいろ困難があつたでありましよう。私は今後においてもさような意味において教職員団体がその途を進まれるということであれば、若し私がそれに対して何らかの御助成を申上げるという関係があれば決してそれにやぶさかではありません。ただ日教組が勢いの赴くところでありましたろうが、又極めて矯激な一部の分子のために、幹部の中に知らず知らず自分では気がつかずにいても、共産党その他の矯激な連中に乗ぜられるところとなつて、そうしてその政治的偏向を強めており、進んでは学校の教育の場にその影響が非常に現われておるということだけは是非これは直して頂きたい。私は日教組自身が健全なる職員団体として今後の発達を期せられるならば、文部省の、少くとも私の関する限りはこれを決して敵に廻したり、これを邪魔物扱いにするという気持はありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/228
-
229・岡三郎
○岡三郎君 いろいろと大臣が今お答えになつたわけですが、根本問題として一般の経済問題が政治問題に移つて行くということは、これは労働組合運動においても、一般の社会問題においても、ひとしく認めておるところなのです。いわゆるアメリカのILO、CIOがこの前の大統領選挙においてそれまではそういうことはしなかつたけれども、スチーブンソンを推薦して強力なる運動を展開してアイゼンハワーに反対をやつたという事実があるわけです。つまりすべて経済問題というものは政治問題を抜きにして解決されないというところに現代の問題が私はあると思う。そういう観点から経済運動と政治問題と、即ち政治闘争と経済闘争、そういうものを二元化するという考え方は我々の今までの検討の結果から言えば古いわけである。経済というものが政治とどういう結び付きがあるかということは人事院の勧告一つにしてもこれはすべて政治問題化して来るわけです。そういうわけで、今広汎に私鉄のかたがたがストライキをやつておる。この点について、憲法に保障されておる条項の中で経済闘争をやつておるわけですが、併しあれはやはり発展して今政治問題化しようというふうになつておるわけです。国鉄の問題においても然り、すべての問題において然りですよ。それが教職員なるが故に労働権を取り、人事院の勧告も当てはまらない。今義務教育学校職員に対しては同じ学校を卒業して同じ勤務をしておる者が高等学校と義務制に分けられて、そうして義務制のほうな低くする、こういう形で、而もその義務制にはこういう法律の枠を別に適用する、こういうようなことを義務制にのみ犠牲を強いておるという形の文教政策は私は何とかこれをやめてもらいたいということは、坊主憎けりや袈裟まで憎いというわけで、日教組に対して大連文相がこれが気に食わんという点はわかるとしても、それを結成しておる義務教育学校の職員に対して不当な取扱いをするということは、私は困ると思うわけなんです。併しこれについては後刻又十分時間をとつて私は言いたいと思うのだが、少くとも今までの文教政策をずつと見て来ると、吉田首相はしばしば義務教育の尊重を言い、前の天野文相も義務教育の完遂ということを言われて来た。義務教育というものは教育の基本をなすものであるから、これを国家として尊重しなければならんし、それに従事する職員に対しても十分考慮を加えなければならんということをしばしば仰せられて来たわけなんです。それに対して三本建において同じ大学を卒業して、同じ学校に就職しているならば、同じにしてもいいけれども、学校の職場が違つたならば、その火脚は俸給に差等をつけられなければならない、こういうことを重要政策において、経済問題において義務制の教員に対してやつて、又この法案においては義務職員に対して一つの枠をかけて来る。私はこういうふうなことについて大臣がどういうふうにお考えになつているか、その点を一つお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/229
-
230・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 労働組合というものが経済と、なるほど政治というものは密接な関連がありますから、政治的の方向に向い易いということは私も同様である、そう思います。殊に我が国のように戦後に労働組合運動というものが急激に発達といいますか、世の中に出て来て、今までの伝統もなければ、歴史もない、いわゆる完熟をしておらない。そういう場合に、とかくそのほうに走るような傾向を持ち易いという点も十分私はそうであろうと思います。併しそれにはおのずから限界があると思うのであります。殊にこれは日教組側に気がついておられるか、気がついておられないということはまさかないと思いますけれども、なるほど私は労働運動については知識はありませんけれども、併しこれはやはり労働者として自分の経済上の利益を推進するためにおのずから考える手段というものがあろうと思います。その場合に業務管理と申しますか、これは共産党においてそういうことを望んでおられると思いますが、業務管理の方式をとられるということは、これはともかく我々の常識としては正常な組合運動とは私は考えておらん、いずれの労働組合の場合においても。で、日教組の場合においてはそれぞれの組合員の職場である、つまり職場である教育の場に組合運動を滲透させようとしておる、この点が私は最も関心を持たざるを得ない点であります。でありますからして、成るほど日教組は公務員でありますから、その関係において労働運動を展開するにおいてもいろいろな制約があるということは、私もその通りであると思います。併しそれであるからといつて、業務管理の方式が採用せられていて、その職場に労働組合運動が浸透して行く。これは私は義務教育が大切であればあるだけに、これは是非やめてもらわなければならぬ、こういうふうに私は思います。職場に浸透して行つて、そうして今日の日教組がややもすると共産党、少くとも社会党左派の主張と合致するような、そういう政治的な偏向的な教育を職場において持込んでおる、こういう点はこれは日本の教育が大切であると思えば、これはそのままで放つておけないのじやないか、こう実は私は思つております。それで今岡君が義務教育だけに特殊な圧迫を加える、こういうふうなことをおつしやいましたが、私はこの法律案については義務教育は大切で、これを守るという見地に立つておりますことは、前に申上げております。これに特別な圧迫を加えられると感ずるのは、私はそこに日教組の従来の行き過ぎがあるのじやないか、こういうふうに私は思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/230
-
231・相馬助治
○相馬助治君 議事進行。同僚岡君の質問に答えた文部大臣の言葉、その内容、かなり重大で、私も関連してお聞きしたいこともありますし、又岡君はこの重要な問題について質疑中でありますので、委員長において特別な事情のない限り、次回の委員会には岡君から発言を許されるというようなことをも考慮されて、なお高田君、須藤君からも質問の残余の分についての、あることを保留しているようですから、これらも勘案して、この委員会を運ぶべきだとは思いますが、何せもう十時半ですから、いろいろな点を考慮して、今晩はこの辺にして散会せられんことの動議を私は提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/231
-
232・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今の相馬君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/232
-
233・川村松助
○委員長(川村松助君) 御異議がなければ、今晩はこれを以て散会いたします。
午後十時三十一分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03119540428/233
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。