1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十八日(火曜日)
午前十時四十八分開会
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五月十七日委員高橋衛君、雨森常夫君
及び田中啓一君辞任につき、その補欠
として松本昇君、山縣勝見君及び堀末
治君を議長において指名した。
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出席者は左の通り。
委員長 川村 松助君
理事
剱木 亨弘君
荒木正三郎君
相馬 助治君
委員
木村 守江君
中川 幸平君
吉田 萬次君
高橋 道男君
岡 三郎君
高田なほ子君
松原 一彦君
須藤 五郎君
長谷部ひろ君
野本 品吉君
国務大臣
文 部 大 臣 大達 茂雄君
政府委員
文部省大学学術
局長 稻田 清助君
文化財保護委員
会委員長 高橋誠一郎君
文化財保護委員
会事務局長 森田 孝君
事務局側
常任委員会専門
員 竹内 敏夫君
常任委員会専門
員 工楽 英司君
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本日の会議に付した事件
○へき地教育振興法案(内閣提出、衆
議院送付)
○文化財保護法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○盲学校及びろう学校への就学奨励に
関する法律案(内閣送付)
○教育職員免許法の一部を改正する法
律案(内閣送付)
○教育職員免許法の一部を改正する法
律の施行に伴う関係法律の整理に関
する法律案(内閣送付)
○学校給食法案(内閣送付)
○文部省関係法令の整理に関する法律
案(内閣送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/0
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001・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今から文部委員会を開会いたします。
先ずへき地教育振興法案について提案理由の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/1
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002・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今回政府から提出いたしましたへき地教育振興法案につきまして、提案の理由並びに概要を御説明申上げます。
現下我が国の教育におきまして、全国的にみて、一般の場合と異つた特殊な事情によつてその発展を阻害されておりますのが、へき地における教育であります。
ここにへき地と申しますのは、山間地、離島その他これと似た条件を備えた地域でありまして、交通至難で自然的、経済的、文化的の諸条件に恵まれない所であります。而もへき地の持つこれらの諸条件は極めて顕著にその教育に影響いたしておりまして、これがへき地教育の特殊事情ないし特殊条件となつて現われているのであります。
即ち、へき地におきましては、一般に小規模の学校が多く、教育の施設、設備は不十分であり、而も教職員を確保することも容易でなく、その上これらの条件に応ずるためには、学習指導方法についても更に工夫と改善を加えなければならないものが少くない等の事情があります。
このようなへき地における教育の実情は、教育の機会均等の趣旨から考えまして、甚だ憂うべき状態であります。そこで何らか積極的な対策を講ずる必要を痛感いたしまして、この法律案を提出した次第であります。
次に、この法律案の骨子を御説明いたします。只今申上げました通り、へき地における教育は、各種の面について特殊な困難な条件を背負つているので、断片的な施策では十分にその充実発展を期待することができないのであります。そこで、その特殊事情に応ずる教育内容の充実、教育職員の確保、施設及び設備の整備等あらゆる面における総合的施策を、市町村、都道府県及び国がそれぞれの段階において実施することが必要であります。
このような考え方から、国及び地方公共団体がそれぞれ実施すべき具体的施策を明記したのであります。
先ず市町村につきましては、市町村は教育内容の充実、教員住宅の建設、学校教育及び社会教育の用に供するための教育施設の設置、健康管理の適正な実施、通学の便の提供等のため必要な措置を講ずることといたしております。
次に、都道府県は、教育内容の充実のため必要な調査、研究等を行い、必要に応じて教員養成施設を設け、教職員の特殊勤務手当について特別の考慮を払い、その他市町村の任務の遂行に関して必要な指導、助言を行うこととしております。
最後に、国の任務としましては、へき地における教育について必要な調査、研究を行い、地方公共団体の任務の遂行を援助すると共に、地方公共団体が教員住宅を建築したとき、学校教育及び社会教育の用に供する教育施設を設けたとき、教員養成施設を設置したとき、それらの経費の一部を補助することとしております。
以上がこの法律案を提案いたしました理由と其趣旨の大要でございます。何とぞ慎重に御審議の上速かに御賛同給わらんことをお願い申上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/2
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003・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に、文化財保護法の一部を改正する法律案について御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/3
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004・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今回政府より提出いたしました文化財保護法の一部を改正する法律案について御説明申上げます。
昭和二十五年文化財の保護に関する画期的立法として、文化財保護法が制定されて以来、文化財保護行政は、確固たる法的基盤の上に着着とその成果を挙げて参りました。
その後、三年有半に互る法運用の経験からしまして、その規定を整備しなければならない問題が種々出て参りましたので、ここにこの改正法律案を提出した次第であります。
次に、本改正法律案の主要な点について概略御説明いたします。
第一は、重要文化財について新たに管理団体の制度を設けたことであります。管理団体の制度は、従来、史跡、名勝、天然記念物について認められているものでありますが、重要文化財については、この制度がなく、所有者の判明しない場合、又は所有者による管理が著しく不適当である場合等には、その管理及び修理が或いは放置され、或いは極めて不完全な状態にとどまざるを得なかつたのであります。そこで、このような場合には、文化財保護委員会は、地方公共団体その他の法人を管理団体に指定して重要文化財の保存のため必要な管理、修理等な行わせることができることといたしました。
第二は、無形文化財について新たに指定制度を設ける等、その保護の規定を整備強化したことであります。価値の高い芸能、工芸技術等の保護は、文化財保護法の制定と共に始められたもので、その保護の必要性は、近時ますます一般に認識されて来ております。然るに、現行の規定は、僅かに二条で、三年有余の運用の経験からして、その整備強化を図る必要を特に痛感したのであります。そこで、今般無形文化財のうち重要なものを指定し、その保護の万全を期することとすると共に、その他無形文化財に関する規定を整備したのであります。
第三は、民俗保護の資料に関する制度を確立したことであります。民俗資料は、従来、有形文化財の一つとして規定されていたのであります。ところが有形文化財が芸術的価値を主眼としているのに対して、民俗資料は、国民生活の推移を理解するに欠くべからざる資料であり、両者それぞれ価値の観点を異にするのみならず、民族資料は、常に無形のものを伴つていることなど他の有形文化財の異なつた特色がありますので、別個の体系の下に保護する必要があるのであります。今般民族資料に関する一章を設け、適切な保護規定を整備したのはこのためであります。
第四は、史跡、名勝、天然記念物等の保護と所有権等の財産権及び一般公益との調整に関する規定を整備したことであります。史跡、名勝、天然記念物は、特に、土地に関する権利等と関連する面が強く、文化財保護委員会は、それらの間の調整について種々配慮して来たのであります。今回その趣旨を明らかにすると共に、文化財保護委員会の現状変更の処分等について不服のある者に異議申立の途を開き、その際、公開による聴聞な行い、関係行政機関と協議し、又は意見を開く等の措置により、所有権その他の財産権を尊重し、国土の開発その他の公益との調整を図る上に万全を期することとしたのであります。
以上のほか、史跡、名勝、天然記念物に関し、他の法令にならつて、無断現状変更等をした者に対する原状回復命令の制度を設け、又、罰則規定について他の法令との均衡を考慮して整備する等所要の法的整備を行なつた次第であります。
以上、本改正法律案の提案の理由と、その内容の骨子について御説明いたしました。
何とぞ、慎重御審議の上速かに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/4
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005・川村松助
○委員長(川村松助君) 森田局長から補足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/5
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006・森田孝
○政府委員(森田孝君) 文化財保護法の一部を改正する法律案について文部大臣の提案理由を補足いたしまして内容の大綱を御説明申上げます。
第一は、重要文化財に関するものであります。これに関する改正のうち、先ず、重要文化財について新たに管理団体の制度を設けたことであります。管理団体は、重要文化財の所有者が判明しない場合又は所有者による管理が著しく困難若しくは不適当であると明らかに認められる場合に指定するのでありますが、その際、所有権を尊重して所有者の同意を要件としますと共に、指定しようとする地方公共団体その他の法人の同意をも得ることとしまして、運営の円滑を期したのであります。この管理団体は、所有者に代つて重要文化財の保存のための管理、修理及び公開の責任を負うものとし、これらに要する費用は、管理団体の負担といたしました。そこで、これらの費用の国庫補助等が従来所有者に対してのみ行い得ることとなつていたのを改めて、管理団体に対しても行い得るようにいたしました。又、管理団体が公開を行う場合の観覧料は、管理団体の収入とし、所有者が管理団体の行う修理等により利益を得る場合には、管理団体と所有者との協議により、費用の一部を所有者の負担とすることができることとして、管理団体の費用負担の軽減を考慮した次第であります。次に、重要文化財について所有者が自費で修理を行う場合、所有者は善意ではあつても許可を要すべき現状変更が無断で行われたり、或いは、修理が却つて改悪となる場合もあり得ますので、これを事前届出制とし、文化財保護委員会は、修理に関し技術的な指導と助言を与えることができることとしました。更に、重要文化財の所在の場所以外の場所で所有者が一般に公開する場合に、ややもすれば、貴重な重要文化財に危険が伴いがちでありますので、その危険を防止するため、文化財保護委員会は、その公開について必要な指示等をなし得ることとしました。
第二は、無形文化財について新たに指定制度を設ける等その保護の規定を整備したことであります。先ず、重要無形文化財の指定であります。無形文化財については、従来、無形文化財のうち価値の高いもので、国が保護しなければ衰亡する虞れのあるものについて、国は助成の措置を講じなければならないことになつていたのでありまして、助成の措置を講ずべき無形文化財の選定には、その無形文化財の価値以外の判断が加わつていたのであります。ところが、無形文化財の保護の面から考えますと、有形文化財の場合と同様に、価値の見地から判断して重要無形文化財を指定し、必要あるものについて適切な助成措置を講ずることとする方が客観的であり、行政上の的確を期することができると考えますので、ここに重要無形文化財の指定制度を設けたわけであります。ところで、無形文化財は、芸能、工芸技術等無形の技そのものでありますので、指定に当つては、その存在を具体化するため、当該重要無形文化財を体現している人として、その保持者を認定することとしたのであります。これらの重要無形文化財の保護に関しましては、文化財保護委員会みずからその記録の作成、伝承者の養成等その保存のための適当な措置をとると共に、国は、保持者、地方公共団体その他その保存に当ることを適当と認める者に対して、その保存に要する経費の一部を補助し得ることとしました。又、文化財保護委員会の勧告及び承認による公開の制度を設け、これについても重要文化財と同様に、文化財保護委員会が適当と認めたものについては、国は、その費用の一部を負担し得ることとしました。更に、無形文化財のうちには、重要無形文化財に指定して、そのままの形で存続のための措置を講ずることは、社会情勢その他の関係で到底不可能と認められるものでも、資料的価値が高く、将来の無形文化財の発展に寄与し得るものも相当数認められますので、特に一条を設けてこれらを選択して、記録の作成、保存等の措置を講ずることができるようにしました。
第三に、民族資料の保護に関する制度を確立したことであります。民族資料について有形文化財の体系から切離して新たに一章を設けて規定した理由は、文部大臣の提案理由の通りであります。この民族資料の保護のための措置としまして、先ず有形の民族資料については、特に重要なものを重要民族資料として、指定し、重要民族資料の現状変更輸出及び第三者による公開を届出制としましたほか、管理、保護、公開等について重要文化財に準じた保護規定を設けることとしたのであります。次に、無形の民俗資料につきましては、無形文化財の場合と同様の趣旨で資料的価値のあるもの等特に必要のあるものを選択して記録の作成等の措置を講ずることができるようにしました。
第四に、埋蔵文化財につきましては、まず濫掘防止のための文化財発保護委員会による指導を十分にするため、埋蔵文化財の調査のための発掘の事前届出期限を十日間延長して五十日としました。又、埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝塚、古墳その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地を発掘しようとする場合には、事前届出を要するものとし、文化財保護委員会において必要な指示をすることができることとしたのであります。
第五に、史跡名勝天然記念物についてであります。史跡名勝天然記念物は、土地に関する権利等と関連する面が強いので、その指定及び現状変更等の制限に当つては、特に、財産権の尊重及びその他の公益との調整に留意すべき趣旨の訓示規定を設けたのであります。又、都道府県の教育委員会の行う史跡名勝天然記念物の仮指定については、その性質上有効期間を限定することが適当と考えられますので、これを二年といたしました。更に、史跡名勝天然記念物の管理団体の制度につきましは、重要文化財の管理団体の制度を規定したことに伴つて、現在制令で規定されている事項を法律に規定することといたしました。以上のほか、他の立法例にならつて、史跡名勝天然記然物の無断現状変更及び環境保全命令違反をした者に対しては原状回復命令をなし得ることとして保護の確実を期することとすると共に、罰則についても重要文化財に関する罰則その他、他の法令との均衡等を考慮して必要な整備を行いました。
第六に、異議申立の制度につきましては、文化財保護委員会の現状変更等に関する処分、環境保全のためにする処分及び史跡名勝天然記念物の管理団体の指定に不服のある者に対して認めることとし、この場合には、公開による聴聞を行い、これらの処分の適正を期したわけであります。なお、異議申立に係る事案が鉱業又は採石業との調整に関するものであるときは、土地調整委員会に協議する等他の権利との調整に関して十分考慮し得るようにしたのであります。
以上のほか、地方公共団体の文化財の保護に関する任務を明らかにすると共に、国有財産である重要文化財、重要民族資料及び史跡名勝天然記念物についても管理団体の制度について規定を整備する等本法全体にわたつて規定の整備を行なつた次第であります。
以上が、本改正法律案の内容の大綱であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/6
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007・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案の説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/7
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008・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今回政府から提出いたしました盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案について、提案の理由及びその概要を御説明申上げます。
昭和二十二年に学校教育法が制定施行されましてから、新たに、盲学校及びろう学校の小学部及び中学部における教育が義務教育とせられ、その就学義務は、逐年進行いたしまして、昭和二十八年度において小学部が完成いたし、昭和二十九年度から中学部への就学義務が始まるに至つたのであります。然るにこれらの学校への就学の現況は、各種の事情によつて極めて低調な状態にありまして、教育の機会均等及び就学義務の主旨に鑑みこれが充実を図る必要を痛感するものであります。
このような状態の原因として次のような事情が考えられるのであります。即ちこれらの学校へ就学すべき児童生徒は、身体の障害者であるためその就学、通学及び勉学には多くの不便が伴い、本人及びその保健者にとつて物心両面の負担も少くなく、更に加えて、
これらの者の家庭には一般にかなり貧困の度合が高いという事情が存するのであります。従つて身体健全な者の就学の場合に比してこれらの者の就学に要する費用は嵩み、その経済的負担の過重に悩む保護者も多いのであります。
このような事情による就学状態の低調を改善するためには、少くともこれらの学校への就学による保護者の経済的負担を軽減することが必要であります。そのために国及び地方公共団体が必要な経済的援助を行うことを法律に規定し、以てその就学を促進し、義務教育の普及向上に資しようとするのがこの法律案の根本的な考え方であります。
次にこの法律案の骨子を申上げます。国は国立の盲学校又はろう学校に就学する学齢児童生徒について、都道府県はそれ以外の盲学校又はろう学校に就学する者のうち、当該都道府県の区域内に住所を有する学齢児童生徒について、その就学のため必要な教科用図書の購入費、学校給食費、通学又は帰省に要する交通費及び付添に要する交通費並びに学校附設の寄宿舎居住に伴う経費の全部又は一部を支弁しなければならないこととし、国は、このために都道府県が支弁する経費の二分の一を負担しようとするものであります。
以上、この法律案を提出しました理由とその骨子を御説明いたしました。なにとぞ慎重に御審議の上速やかに御賛同を給わらんことをお願い申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/8
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009・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に教育職員免許法の一部を改正する法律案について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/9
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010・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 只今議題となりました教育職員免許法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を申述べます。
教育職員免許法は、教育職員の免許に関する基準を定め、その資質の保持と向上を図るために制定されたのでありますが、その施行以来約四年を経過いたしました。この間において、各大学における教員養成課程の内容も次第に整備され、又教職員の現職教育計画も各方面の理解ある協力により極めて順調に運びつつあることは、御同慶の至りであります。
元来、教育職員免許法は、大学における教員義成、現職教育及び教育職員需給状況とも密接に関連するばかりでなく、教職員個人の利害にも影響するところが大であります。そこで政府は、免許法のこのような性格と同法の施行後の実情にかんがみ、この法律の規定な現場の事態に即応させるとともに、その本来の趣旨の実現に遺憾がないようにするため常に研究を続け、すでに四回にわたり改正をいたして参りました。
このたび、各方面の要望及び教育職員養成審議会の審議の結論を勘案し、慎重に研究をいたしました結果、若干の規定について制度の簡素化又は内容の改善の必要を認め、ここにこの改正案を提出することにいたしました、
次に、この法案の主要点について簡単に説明をいたします。
第一は、教員の仮免許状を廃止したことであります。現行法では、教員の免許状は、一級、二級、仮、臨時の四種類となつておりますが、元来望ましい教員は、一級又は二級の普通免許状所有者であり、現行の四種類は法施行当時における我が国の現職教員の実態及び大学の養成教育の実情からこのように定めたのでありまして、その後の状況の推移に伴い、本来の理想に一歩近づける意味で、この仮免許状を廃止し、かたがた行政事務と法の規定内容の簡素化を図つたものであります。
第二は、高等学校教諭一級普通免許状について、従来の現職教育によつて、授与する方法のほか、大学院、大学の専攻科等の整備にに伴い、これらの課程の修了者に直接授与する道を開くとともに、高等学校助教諭の資格を大学二年修了以上としたことであります。
第三は、免許状の授与を受けるために大学において修得することを必要とする単位のうち、専門科目の単位の内容を、学校教育の実情に即応して充実したことであります。
第四は、現職教員が上級免許状を取得する方法は、一定の経験年数を有し、その間に所定の単位を修得することを必要としますが、その単位の一部又は全部を教職経験年数をもつて替えることができるよう新たに特例を設け、現職教員が上級免許状を取得する方法について、無理のないように措置したことであります。
第五は、校長、教育長及び指導主事の免許制度を廃止して、行政事務を簡素化したことであります。
第六は、仮免許状の廃止に伴い法施行の際仮免許状を有する者について、不利益を生じないよう必要な経過措置を設け、その他法改正に伴う法文の整理を行なつたことであります。
以上申述べましたのが、教育職員免許法の一部を改正する法律案の提案理由及びその主要店であります。何にとぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/10
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011・川村松助
○委員長(川村松助君) 稲田局長から補足説明を申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/11
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012・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 補足して御説明申し上げます。第二条を改正いたしましたのは、校長、教育長及び指導主事のの免許状の廃止に伴う法文の整理であります。第四条を改正いたしましたのは、教員の仮免許状並びに校長、教育長及び
指導主事の免許状の廃止に伴う法文の整理であります。
第五条の改正及び別表第二を廃止いたしましたのは、第一項及び第二項の改正は、教員の仮免許状並びに校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止に伴う法文の整理であります。第三項の改正は、高等学校教諭免許状の授与資格を大学二年修了以上としたことに伴い、臨時免許状の授与規定であるこの規定を改正したものであります。
第六条第二項、第七条第二項、第九条 第二項、第十条第二項、第十一条、第十四条、第二十条及び附則第四項を改正いたしましたのは、教員の仮免許状並びに校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止等に伴う法文の整理であります。
附則第五項を廃止いたしましたのは、免許法施行当時の経過規定であり、不要となつたので廃止したものであります。
附則第六項を改正いたしましたのは、施行法第七条の規定の改正に伴い法文を整理し、同項を附則第五項としたものであります。
附則第七項を廃止いたしましたのは、別表第四及び施行法第七条の規定の改正に伴い、不要となつたので廃止したものであります。
附則第八項を改正いたしましたのは、教員の仮免許状の廃止等に伴い、法文を整理し、同項を附則第六項としたものであります。
附則第九項を改正いたしましたのは、教員の仮免許状の廃止に伴い法文を整理し、同項を附則第七項としたものであります。
附則第十項を改正いたしましたのは、第五条第三項の改正に伴い法文々整理し、同項を附則第八項としたものであります。
別表第一を改正いたしましたのは、教員になろうとする者が、大学において修得することを必要とする単位のうち、専門科目の単位の内容を学校教育の実情に即応して充実し、高等学校教諭一級普通免許状を大学院、大学の専攻科等における直接養成によつて授与する途を開き、教員の仮免許状を廃止したことによるものであります。
別表第一備考を改正いたしましたのは、備考第二号の改正は、教員の仮免許状の廃止に伴い、従来の仮免許状授与のための臨時教員養成機関を、二級普通免許状を授与するため
のものに切替える必要を生じたことによるものであります。備考第二号を除く他の各号の改正及び第四号の廃止は、法改正に伴う法文の整理であります。
別表第三を改正いたしましたのは、養護教諭の需給状況及び現場の要望等に鑑みて、保健婦の免許を受けている者に養護教諭二級普通免許状を授与する途を開き、仮免許状の廃止等に伴い法文を整理し、別表第二が廃止されたので同表を、別表第二としたものであります。
別表第四を改正いたしましたのは、教員仮免許状の廃止に伴う法文の整理をし、別表第二の廃止に伴い同表を別表第三としたものであります。
別表第四備考を改正いたしましたのは、備考第一号から第四号までの改正は、法改正に伴う法文の整理であります。備考第五号及び第六号の新設は、現職教員が上級免許状を取得する方法を従来より一層容易ならしめるため、現職教員が上級免許状を取得する際に必要とする単位の一部又は全部を教職経験年数を以て替えることができるよう特例を設けたものであります。
別表第四の二及び同表の備考を改正いたしましたのは、別表第一に規定する所要単位内容の改正及び教員の仮免許状の廃止等に伴う法文の整理をし、別表第二の廃止に伴い同表を別表第四としたものであります。
別表第五及び同表の備考を改正いたしましたのは、教員の仮免許状の廃止及び第五条第三項の高等学校助教諭免許状の授与規定の改正に伴う法文の整理であります。
別表第六及び同表の備考を改正いたしましたのは、養護教諭仮免許状の廃止及び関係規定の改正に伴う法文の整理であります。
別表第七を改正いたしましたのは、盲学校、ろう学校及び養護学校の教員の仮免許状並びに校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止に伴う法文の整理であります。
改正法の附則第一項は、この法律は、個々の教員の利害関係等とも密接に関連いたしますので、この施行をこの法律公布後六ケ月といたしまして、第二項から第四項までは、教員の仮免許状の廃止に伴い、この法律施行の際仮免許状を有する者が、直ちに教諭の身分を失うことのないように必要な措置を講じ、またこの法律施行の際、大学に在学して仮免許状にかかる資格を得つつある者等の事情及び現下の教員の需給状況等も勘案して、法施行後一定期間内に仮免許状にかかる所要資格を得た者は、相当の期間教諭の職にあることができるよう措置するとともに、これらの者が従来と同様の条件で三級普通免許状の授与を受けることができる途を開いたものであります。第五項及び第六項は、高等学校教諭免許状の授与資格の向上に伴い、現に高等学校の助教諭の職にある者が直ちにその資格を失うことがないよう措置するとともに、上級免許状の授与を受ける方法を規定したものであります。
第七項は、附則第三項の規定と照応して、現行の仮免許状を授与するための臨時教員養成機関を一定期間存続させるよう措置したものであります。
第八項は、別表第一の改正により大学において修得することを必要とする単位の内容が変更せらしれまたが、現に大学に在学する者等については、改正規定によらないこともできるようにし、改正法の適用に無理のないようにしたものであります。
第九項から第十六項までこれらの規定は、教員の仮免許状の廃止に伴い、今後仮免許状相当の資格を有する者が上級免許状を取得しようとする場合等に、修得単位数及び経験年数を軽減して不均衡のないようにするための規定、その他必要な経過規定であります。
第十七項はこの規定は、高等学校における実習助教諭の免許状の授与資格の特例を設け実情に即応し無理のないようにしたものであります。
第十八項はこの規定は、盲学校、ろう学校及び養護学校の教員の仮免許状の廃止に伴い、これらの学校の教諭になろうとするためには所定の単位を修得することが必要となりますが、これらの学校の教員の需給関係及び現職教育の実情等から、相当期間は普通学校の教員の教諭免許状を有する者が、これらの学校の教諭になれるよう措置し、盲学校、ろう学校及び養護学校の教員の需給を円滑ならしめるための経過規定であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/12
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013・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案について説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/13
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014・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 只今議題となりました教育職員、免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案につきまして、その提案理由を申述べます。
先に説明いたしました教育職員免許法の改正に伴い、教育職員免許法施行法等の一部を改正する必要がありますが、この法律案の主要点は次の通りであります。
第二は、校長、教育長及指導主事の免許状の廃止に伴い、これらの職員の任用資格に関する規定を教育公務員特例法に設けたことであります。
第二は、教育職員免許法の一部改正に伴い、関係法律の法文の整理を行なつたことであります。
以上申し述べましたのが、教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案の提案理由及びその主要点であります。
何とぞ、慎重審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/14
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015・川村松助
○委員長(川村松助君) 稲田局長の補
足説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/15
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016・稻田清助
○政府委員(稻田清助君) 補足して御
説明申上げます。
第一条は、教育職員免許法施行法の一部改正であります。同法第一条及び第二条の改正、この改正は、教員の仮免許状の廃止等に伴う法文の整理であります。
同法第四条及び第五条の削除並びに第六条の改正、これらの規定の削除及び改正は、校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止に伴う法文の整理であります。
同法第七条の改正、この改正は、免許法別表第三備考第五号及び第六号の新設に伴い、この規定と重複することとなつた部分を削除し、その他免許法の改正に伴う法文の整理をしたものであります。
同法第八条及び地九条の削除、これらの規定は、免許法施行当時の経過規定であり、不要となりましたので削除いたしました。
第二条は、教育委員会法の一部改正でありまして、校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止に伴う法文の整理をしたものであります。
第三条は、教育公務員特例法の一部改正でありまして、校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止に伴い、これら職員の任用資格をこの法律を改正して規定いたしたものであります。
第四条は社会教育法の一部改正、等五条は私立学校法の一部改正、第六条は青年学級振興法の一部改正でありまして、いずれも校長、教育長及び指導主事の免許状の廃止等に伴う法文の整理をしたものであります。整理法附則は、校長、教育長及び指導主事の任用資格について、これらの職員の需給状況等も勘案し、経過的な暫定資格を定めると共に、現行免許法によりこれらの職員の免許状を有する者は、今後も校長、教育長又は指導主事になれるよう措置するための規定であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/16
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017・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に学校給食法案について御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/17
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018・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 只今上程になりました学校給食法案について、その提案の理由及び大綱を御説明申上げます。
学校給食は、児童の心身の健全な発達に資し、且つ、国民の食生活の改善に寄与するものでありまして、その普及充実を図ることが必要であることは申上げるまでもないところであります。
小学校等において、その教育の一環として学校給食が適正に実施されるということは、取りもなおさず、児童がみずからの体験を通して、望ましい日常の食生活の営みを学びとることであつて、学校給食が児童の現在及び将来の生活を幸福にするゆえんであり、教育的に実施される学校給食の意義はまことに重要であると存ずるのであります。学校給食の重要性は、この点に存するものと考えられるのでありまして、すでに全国各地で学校給食が行われました結果、その効果は極めて顕著であり、学校給食に対する認識も深まり、今や世論は学校給食の普及充実を強く要望するに至つておるのであります。
更に我が国の現下の食糧事情から申しまして、今後国民の食生活は、粉食混合の形態に移行することが必要であると思うのでありますが、米食偏重の傾向を是正し、また粉食実施に伴う栄養摂取方法を適正することは、なかなか困難なことでありますので、学校給食によつて幼少の時代において教育的に配慮された合理的な食事に慣れさせることが国民の食生活の改善上、最も肝要であると存じます。
ところが現在、小学校等において実施されております学校給食につきましては、未だはつきりした法的根拠はないのであります。そこで政府といたしましては、多年に互る学校給食関係者の学校給食に関する法制化の熱望に応えると共に、学校給食の重要性にかんがみ、その普及充実を図るために、ここに学校給食法案を立案上程いたした次第であります。
本法律案の骨子といたしますところは、学校給食の目標及び定義を明らかにし、学校給食に関し小学校等の設置者、地方公共団体及び国の任務について所要の規定を設けたのであります。
即ち小学校等の設置者は、当該小学校等において学校給食が実施されるように努めなければならないものとし、学校給食の実施に必要な施設及び設備に要する経費並びに学校給食の運営に要する経費のうち政令で定めるもの即ち主として人件費は、小学校等の設置者の負担とし、これら以外の学校給食に要する経費は給食費として、給食を受ける児童の保護者の負担といたし、一応その負担区分を明確にいたしたのであります。
次に国及び地方公共団体の任務は、学校給食の普及と健全な発達を図るように努めなければならないのでありまして、本法律案におきましては特に国の補助について規定しておるのであります。すなわち国は、公立または私立の小学校等の設置者に対し、予算の範囲内において、学校給食の開設に必要な施設又は設備に要する経費の一部を補助することができるものとし、又国はその負担において、学校給食用小麦等の代金について特別低廉な価格を定めることができるのでありまして、給食を受ける児童の保護者の負担である給食費はおのずから相当に軽減されるわけであります。以上のほか学校給食用小麦粉等の用途外使用の禁止、報告の徴取等について規定を設け、いずれも学校給食の実施に関し、その管理の適正を期しておるのであります。以上がこの法律案を提案いたしました理由とその趣旨の大要でございます。何とぞ慎重に御審議の上、速かに御賛同給わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/18
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019・川村松助
○委員長(川村松助君) 次に文部省関係法令の整理に関する法律案について御説明を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/19
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020・大達茂雄
○国務大臣(大達茂雄君) 今回、政府から提出いたしました文部省関係法令の整理に関する法律案について、提案の理由及び内容の概要を御説明申上げます。
明治時代以降に制定された法令のうちには、既に実効性がなくなつたにもかかわらず、形式的な廃止の措置を講じていないものが若干残つております。
これらの法令について、今回各省所管の法令を通じて検討の結果、法令の整理といの見地から廃止の措置を講ずることになりました。従つて文部省関係の法令についてはこの整理に関する法律案を提出いたしたのであります。
次に廃止しようとする四件の法令について簡単に御説明申上げます。
第一に明治四年太政官布告で出されました「古器旧物保存方」は、古器旧物の類を厚く保全しなければならない旨の布告でありまして、これは今日すでに文化財保護法の制定により全く実効性を失つているものであります。
第二に明治六年太政官布告で出されました「社寺境内樹木濫伐禁止の件」は、社寺境内の樹木は地方庁の許可を受けなければ社寺修繕等に用いるためにもみだりに伐木してはならない旨の布告でありまして、今日では実情に則さないと考えられるものであり、この際廃止することが適当であると思われます。
第三に官立府県立師範学校卒業生の徴兵に関する件は、当然実効性のないものであります。
第四に市町村立尋常小学校費臨時国庫補助法は、昭和七年度から昭和十年度まで市町村立小学校の経常費の一部を国庫が支出する旨の法律でありまして、現在では、全く適用の余地のないものであります。
以上この法律案を提出しました理由と、廃止しようといたします法令について御説明いたしました。何とぞ御審議の上速やかに御賛同を給わらんことをお願い申上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/20
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021・川村松助
○委員長(川村松助君) 午前はこの程度で一応休憩いたしまして、午後一時から朝鮮人学校問題について懇談会に入りたいと思います。御異議ございま
せんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/21
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022・川村松助
○委員長(川村松助君) 御異議なければ休憩いたします。
午前十一時三十三分休憩
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午後一時三十七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/22
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023・川村松助
○委員長(川村松助君) 只今より委員会を再開いたします。速記をとめて下さい。
午後一時三十八分速記中止
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午後三時十五分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/23
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024・川村松助
○委員長(川村松助君) 速記を始めて。本日はこれにて散会いたします。
午後三時十大分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915115X03419540518/24
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