1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月十五日(月曜日)
午前十時三十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 松永 義雄君
理事
青柳 秀夫君
伊能繁次郎君
上林 忠次君
小笠原二三男君
武藤 常介君
委員
石井 桂君
榊原 亨君
高橋 衛君
松平 勇雄君
横川 信夫君
秋山俊一郎君
島村 軍次君
高橋 道男君
常岡 一郎君
三木與吉郎君
竹中 勝男君
成瀬 幡治君
三橋八次郎君
千田 正君
参考人
全国知事会代表
茨城県知事 友末 洋治君
全国町村会代表
静岡県福田町長 大竹 十郎君
全国未亡人団体
協議会事務局長 山高しげり君
全国教育委員会
連絡協議会幹事 平田 善行君
全国地方教育委
員会連絡協議会
会長 風巻 義雄君
全国農業改良普
及事業協会会長 秦 一英君
東京都建築局長 藤本勝満露君
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本日の会議に付した事件
○補助金等の臨時特例等に関する法律
案(内閣送付)
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001・松永義雄
○委員長(松永義雄君) これより特別委員会を開会いたします。
本日は公報掲載の通り、補助金等の臨時特例等に関する法律案について参考人から御意見を承わることになつておりますが、前回の委員会で御報告いたしました十六日の参考人のうち、日本開発銀行理事松田太郎君の代りに総務部長の正宗猪早夫君を、自転車関係で日本自転車産業協議会会長大蔵公望君又は日本自転車工業会理事長島野庄三郎君ということでありましたが、代りに日本自転車工業会理事中西忠一君を参考人にお願いすることにいたしましたので、どうぞ御了承を得たいと存じます。
それでは早速御意見を承わることにいたしますが、参考人のかたがたには御多忙のところ、遠路わざわざ御出席下さいまして、誠に有難うございます。委員一同に代り一言御挨拶申上げます。
なお議事の都合上、参考人の発言時間は一人十五分程度とし、参考人に対する質疑は各参考人ごとに行うことにいたしたいと存じますから、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。先ず茨城県知事友末洋治君からお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/1
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002・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 今回政府が国会に提案をされておりまする補助金等の臨時特例等に関する法律案につまして、意見を申述べたいと存じます。
この法案は昭和二十九年度国の緊縮予算におきまする補助金及び負担金等の整理、縮減の裏付をなすものでございまして、その手段としてこれらに関しまする現行法の規定を一時停止し、当分の間特例としてこれを措置されんといたしまする臨時的過渡的な立法でありますることは御承知の通りであります。かくのごとく暫定的な立法とは申しながら、その内容を検討いたしまするというと、やや筋の通らない不合理なものが多いのでございまして、これは地方団体に対しまして重大な悪影響を及ぼすものがあると考えるのでございます。即ち私ども地方団体が、かねてから国の補助負担金制度の根本的な改革を主張し、地方制度調査会や税制調査会も又これを大きく取上げられまして、すでに政府に答申されておるのでございまするが、この法案はよくその趣旨に沿つておるものとは認められないのでございます。ただ単に国の財政規模の圧縮されるためにのみ利用され、便乗された傾向があるやに考えるのであります。即ち予算査定の際に、各省と大蔵省といろいろ折衝されましたのち、一応の取きめができました、そのことをこの法案に移されるという気持が強いのであります。事の本質というものを検討されましての補助金変更ではない印象が強いと存じます。従つてこれによつて現行制度が改善されるというよりは、地方制度にとりましては、むしろ改悪であると言つても決して過言でないと存ずるのでございます。よつて、この際順序といたしまして、私が強くかねてから要望しておりました補助負担金制度の改革の本旨を一応申上げることをお許し願いたいと存じます。御承知のように、終戦後におきまする地方行政の一つの大きな特徴は、国の補助負担金制度が著しく拡張され、これによつて地方の人員や機構は著しく膨脹し、事務も非常に複雑になつて参つたことでございまするが、この民主化に反しまする逆現象は、各省が占領軍を利用されまして、競つてそれぞれの自己の勢力を地方に及ぼし、支配力を強化しよう、かような趣旨に基きますることは争われない事実でございます。併しこの悪い方向は御承知のようにシヤウプ使節団によつて大いに批判され、その廃止を勧告されまして、遂に昭和二十五年三百億円以上に上りまするところの大巾な整理が一応行われ、地方財政の自主性を固めなければならんという方向に切替えられたのでございまするが、中央集権を非常に固執されまする各省といたしましては、支配の直接手段を失つてこれに承服されるはずはないのでございまして、執拗にその後復活を主張され、今日に至つてはその殆んどが旧に復し、更に競つて新たに増加する趨勢になつて参り、中央各省は恰も補助金配分所のごとき感を呈しておるのでございます。新たに殖えた最も大きなものといたしましては、結核対策費、或いは又義務教育の教材費、その他極めて多いのでございます。昭和二十九年度国の予算案に計上されておりまする国庫支出金はなお二千七百億円に上つております。この額は地方歳入全体の約二割七分に相当いたしておりまして、府県分だけについてこれを見まするというと、三割四分、実に三分の一以上を占めておりまして、地方公共団体の行財政を有力に支配いたしまするところとなつておるのでございます。而うして国庫補助負担金制度はかくのごとく地方団体に対しまして有力な財源を与えるものではあるのでございまするが、これは又逆に幾多の大きな弊害を生ぜしめておるのでございます。その主なものを申上げますると、第一に中央の機構を不必要に膨脹せしめておるのでございます。補助金を徹底的に整理、廃止いたしますれば、国の機構も又人員も相当縮減いたしまする余地が出て来るのではないか、かように考えられます。
第二に地方自治体に不当に干渉し、その合理化を妨げ、地方行政の均衡性を失わしめておるということでございます。事業にも、又事務にも、人員にも、中央の金にも紐付きがございますので、地方々々が実情に即応いたしまして機構を縮小し、人員を減らそうといたしましても、これが各省の御注文によりましてなかなか実行できないのが現状の偽わらざる実情でございます。
第三には、補助基本額等が実情に即しておらない、過少なものでありまするがために、地方財政窮乏の重大な原因をなし、更に地方団体相互間におきまするところの財政力の不均衡化に拍車をかけておるわけであります。即ち補助単価というものが極めて少いのでございます。一応二分の一、三分の一となつておりますが、義務的な負担をいたしましただけでは仕事の実行ができませんので、勢い地方団体が自主的財源を以てこれを補う、そうしなければ事業の効果が上らない。又逆に自己の単独事業に対しまするところの財源を食われますので、殆んど大部分の府県が自主的に地方に適応いたしまするところの事業を計画実施できないというような状況に相成つております。なお又この数多くの負担金制度は、それでなくても不均衡になつておりますので、団体相互間の財政力の不均衡を非常に大きくいたしておるのでございます。義務教育特例法案を作らなければならん、それも実行できないというような実情はすでによく御承知の通りでございます。
次には、幾多少額な補助金、一万円とか五万円とか、数多くの少額補助金につきましてこれを見まするというと、実際この効率が極めて低いというものが多いのでございます。約三百種に上りまする補助項目の中に三分の一程度は極めて効率の低い国費を濫費しておるというものも決してないことはないのであります。他面この補助金制度は言うまでもなく、地方々々の補助金獲得運動というものを激化せしめまして、今日陳情の弊が各方面から憂えられておるわけでございます。これらは冗費増嵩の原因をなしており、補助金よりも運動費を多く使つたというふうなものもあるくらいでございます。殊に十万人というものを超える国庫補助職員制度、補助単価過少によりまするところの地方財政の不当な圧迫というものは地方行財政の今日癌とも称せられておるのでございまして、二、三の例をこの際に申上げてみたいと思います。
超過負担、いわゆる義務負担以上の負担を地方に強制されておりまする原因は種々あるのでございまするが、その主なものは補助職員の給与単価、或いは建築関係の坪単価等、その単価が非常に実情にそぐわない過少なものでありまするとか、或いは給与費の中で期末手当、勤勉手当、それは正式な給与になつておるのでありまするが、それらを補助の対象外とし、又工事費中に附帯工事費を当然やらなければならないというようなものを補助の対象外とされておりまする等、当然補助の範囲内に入るべきものを補助基準に算入しないということなどによるものでございまして、この法案にも重大な関係のございまする農業改良普及事業、保健所費等がその最も顕著な事例でございます。即ち本県の農業改良普及事業費についてこれを調べてみまするというと、約七〇%は給与費でございまするが、その基本額になりますると、一人年十四万二千四百円を実際要しまするところ、国は一方的に所要単価を十二万三千六百円程度に押えられております。その三分の二相当額として専門技術員に対しては一人年八万六千六百円、一般普及員に対しましては一人年八万二千二百円を補助するにとどめておるのでございます。かくのごとく基本給におきましてすでに一人一万八千八百円の超過負担となりまするほか、これはひどいのでございまするが、期末手当、勤勉手当、超過勤務手当、当然要しまするところのこれらの給与は一切補助対象外とされておりまするので、給与費のみの超過負担がすでに本県といたしましては二千万円余に達しております。給与費以外の旅費、出張費等を含めますると、その総額は約二千八百万円と相成り、補助率は一応三分の二とはなつておりまするが、実質的には二分の一の補助にも満たないという状況でございます。かかる状況下におきましては、今又補助率を二分の一に本案では引下げようとされておるのでございまするが、国の補助率は恐らく一分の一でなく、実質は四分の一程度にしか相当しないものと相成り、他面地方の超過負担はかような改正によつて著しく増大することとなるのであります。補助基準単価数量等にかかわる重大な不合理を是正しないでおいて、徒らに地方財政へのしわ寄せにおいてこれを実現しようといたしますることは、誠に地方にとつては迷惑至極に存ずるのでございます。保健所費等におきましても同様の事情によるのでございまして、その約七二%を占めます給与費の超過負担があるのでございます。なお給与費以外におきまして超過負担となりまするものは、極く新らしい事例といたしまして、冷害対策、道路改良費におきまして用地補償、建物移転補償費等が補助の枠外とされておりまするために、超過負担六百万円、聾学校建築費、高等学校の戦災復旧費等におきまして、坪当り所要単価三万二千円に対し、補助単価が二万三千円乃至二万六千円でございまするので、これによりまするところの超過負担は二百五十万円等々と相成つておるのでございます。かかる超過負担の総額は二十七年度七千六百万円、二十八年度見返みは八千二百万円に達するのでございます。公共事業の超過負担は別でございます。曽つて知事会で昭和二十六年度の決算でどのくらい超過負担があるかということを調べてみました結果、約五十億円に達する超過負担があるのでございます。今日におきましては更に何倍かに相成つておると存じます。
かくのごとく弊害の極めて大きい補助負担金制度につきましては、根本的な改正を要しまするので、地方団体、殊に府県といたしましては、先ず国と地方との事務配分を徹底的に合理化し、国に留保されまするところの事務を地方団体が委任を受けてこれを執行する場合におきましては、国がその全額をはつきり負担する必要がある。又災害復旧費等の臨時的な経費につきましては、高率の国庫負担をお願いしたい。その他は挙げてこれを整理又は廃止して、地方の一般財源によりましてこれを賄う。かように地方行財政にできるだけ自主性を与えられ、地方の実情に適応いたしまするところの行政の確立を要望して参つたのでありまするが、本法案によりましては、その趣旨は殆んど取入れられておりません。三百種以上に上りまする補助金の整理は僅かに五件、而も他は無意味な補助率の引下げを行わんといたしておりますることは、真に遺憾に存ずるところでございます。よつて私どもは国庫補助負担金制度を今後根本的に成るべく速かに改正改革されることを望みますることはもとより、臨時的なこの法案につきましては、補助率変更に伴いまするところの地方財政に対する不当なしわ寄せを防止する何らかの保証策をとられることを強く要請いたしたいのでございます。
即ち補助率と密接不可分の関係を持つておりまする数量、定員、基準単価、配分方法につきましては、すでに地方財政法の示すところでございまするので、法令によりまするものと法令以外の補助金につきましても、全面的に補助率引下が行われておるのでございまするが、これら行政措置によりまするものと否とを問わず実情に即するように今後政令を以て各省と大蔵省及び自治庁と協議の上で決定しなければならないというふうに本法に義務づけを願いたいのでございます。
単に補助率だけを法文化いたしますると、いろいろな弊害が地方財政に起つておる現実でございまするから、補助率だけの引下は余り意味をなさないのであります。これらの重要な事項を特に大蔵省自治庁と各省とが協議して、政令できめるという義務づけを願いたいのであります。と申しまするのは、特に法令による以外の補助につきましては、自治庁の調査と、それから大蔵省の調査と、各省とが非常にまちまちでございます。一応予算が取れたので、通牒や何かで一応は地方財政計画には二分の一になつておりまするが、いつの間にか三分の一というふうなことにきめられまして、その執行を強制される、そこに地方といたしましては実際仕事はしなければならん、金は足らぬ、地方財政計画、平衡交付金というようなものは何ら変更されず、捨てて顧みられないというのが現在の偽わらざる実情でございます。今日赤字に悩んでおりまする地方といたしましては、この問題に実は頭を悩ましておる次第でございます。なおこれに伴いますところの国の予算及び地方財政計画につきましては、二十九年度内におきまして、是非補正の措置が講ぜられますることを、我々といたしましては、強く期待いたしておるのでございます。
なお本法案の各条によりまするところの意見につきましては、お手許に差上げてございまする資料によつて御覧を頂きたいと存じまするが、そのうち二三重要と思われまする点だけを引出して簡単に御説明申上げたいと存じます。
第七条の保健所法に基きまする負担の特例でございまするが、これは本県の実例を申上げまするというと、人件費、物件費を通じまして、国の定めまする補助単価が実情に適しておりませんのでございます。昭和二十七年、八年度におきましては、共に千五百万円の超過負担を余儀なくされております。でこの補助率は三党修正によりまして、四分の一が恐らく三分の一に当然変更されるんじやないかと思います。それを計算に入れましても、明年度はベースアツプ等の関係がございまして、三千五百万円にも上る超過負担が予想されております。
それから第十二条の農業改良助長法に基きまするところの補助等の特例でございまするが、この法文は直訳の法文で、非常にわかりにくいのでございます。終戦後、国がうんと責任を持つて力こぶを入れてやる。それは三分の二は国で持つ、三分の一は地方で持て、こういう趣旨であつたと思うのでございまするが、これを今回は二分の一に引下げられようといたしております。二分の一に引下げられまするというと、前段申上げましたように、実質は四分の一に実は相成るので、恐らく各府県の二十九年度の予算といたしましては、二分の一の国の補助単価通りに予算を組むだろうと思います。そういたしまするというと、実行する場合においては金が足りませんので、実際人員整理をしなければならん、人員整理をするのかどうかという大きな問題が現実の問題になつておりまして、関係者にとりましては、現在人心に動揺も考えておるというふうな大きな問題でございます。
第十三条の漁業調整委に関しまするところの負担の特例は、これはもともと地方財政法にもございまするように、全額国が持つぞというはつきりした規定になつておるのであります。地方財政法をそのままにしておきまして、一部を負担する。而もこれだけに限つてその点は今後政令で定めよというのでございます。趣旨一貫しないような規定に実は相成つておるのでございまするので、これらは地方財政法の関係から見ましても、やはりこの筋を通して全額持つなら持つと、国で飽くまでも責任を持つてやらなければならんなら責任を持つ、そうでなければ地方に一般財源を与えて、こういうものは廃止すると、はつきりした線が必要かと思うのでございますが、極めてあいまい模糊でございます。
なお十七条、十八条、二十条、自転車競技法、小型自動車競技法、モーターボート競走法、これらに基きまするところの国庫納付金制度は廃止の方向をとつておりますことは、かねてから地方から要望しておりまする線に沿われておるので、全く賛意を表するわけでございまするが、ただ今日中央の一部におきましては、これによつて生じまするところの地方の自主財源約二十億程度になるかと思うのであります。その半分程度の十億は一つ通産省方面で公団でも作つて自転車事業というものの振興費に充てたらどうかという意向があるやに聞いて実は驚いておるのでございます。この独立自主の財源でありまする約二十億は二十九年度の地方財政計画に入つております。若しそれだけ殖えますれば、地方交付税というものをそれだけ減らされるのであります。地方財政計画も何ら手を着けないで、さようなことを考えますることは極めて不合理であると思うのであります。地方団体といたしまして、さような方向につきましては、絶対反対を主張せざるを得ない次第であります。
以上甚だ簡単でございまするが、この法案に対しまする意見を率直に申上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/2
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003・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 友末参考人に対する御質疑がございましたら、御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/3
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004・秋山俊一郎
○秋山俊一郎君 お尋ねいたしますが、只今の御意見によりますと、従来とても相当大きな超過負担になつておつた。今回補助率を引下げますためにいろいろな職員の給与が更に超過負担を増加して来ますために、中にはその職員を従来通り設置することのできなくなるような府県がありはしないか、若しそういつたような場合に、仮にそういうものを整理いたしますというと、これによつて退職資金その他のものも又要ることと存じますが、その点は如何でございますか。地方財政の負担が非常に重くなるけれども、事業の性質上泣く泣くでもやらなければならんということでございますか。又止むを得ず二分の一くらいの補助では維持できないということで整理するというような実情になりますでございましようか。お見通しは如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/4
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005・友末洋治
○参考人(友末洋治君) この問題に関連いたしまするものは、先ほど申上げましたように、重要な農業改良普及事業、或いは保健所事業という国民に直接重要な関係を持つておる行政でございまするので、それを廃止したり或いは弱めたりするということは、地方では到底実際の面においてはできないだろうと思います。そこで泣く泣くこの財源を出して、そしてこれを補うということに実はなろうかと思うのでございますが、そうなりますると、各府県のいわゆる単独事業というものは殆んど零になつて来るわけです。ほかの事業の財源まで割いて恐らくこの方面に当てざるを得ない、特に人件費等についてはどうしても急に整理するわけにも参りませんので、そういうような非常な無理が地方財政に起るというふうに一応考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/5
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006・小笠原二三男
○小笠原二三男君 只今の友末さんの公述のうちですね、大部分は全国的な傾向を代表されたと思うのですが、改良普及等の問題ですが、この法案が通つて実際実情に副わないという結果が出て来ますならば、全国的にこの事業は廃止はできないが、人員を減らさなくちやならんとかいうような事態が起つて来るかどうか、今の県知事会等の話合つておる上から言えばどういう見通しなのか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/6
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007・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 国の予算案及びこれと関連いたしまするところの法案が通過いたしましたのちにおきましては、全国知事会としては恐らくその補助金等の問題につきまして、実情を各府県別に詳細に調査を先ずする必要があろうかと思います。その調査の結果地方財政計画にどれだけ是正を要するかということになろうかと思いまするが、是非その実情に基きまする不足財源というものは、地方財政計画の補正によつて先ず賄つて頂くという方向にお願いをいたさなければならんというふうに実は考えておるのでございまして、それをやります上におきまして最も必要なことは、この特例法案に一つ先ほど申上げましたように、補助単価とか、或いは又数量、定員、それから配分の方法というものは法令に基く補助ばかりでなく、行政措置に基きまするところの補助につきましても、はつきり一つ各省が協議して政令できめるという法的措置を実はこの法案に追加願いたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/7
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008・小笠原二三男
○小笠原二三男君 もう一点お伺いしたいのですが、三派修正で今参議院に廻つて来ております予算案においては、改良普及事業費が五千万円が増額修正になつておりまするが、それらの内訳等を御検討になられて、二十八年度と比べてですね、まあ大体あれでもともとだというふうなお考えですか。やはりさつきからお話のように、こういうことでは何ら実質的な効果が上らんというふうなお考えですか。御意見を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/8
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009・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 三党修正によりまして、保健所の費用及び第九条の性病の診療所或いは精神衛生といつたようなものが或る程度補助率が復活されるのじやないか。補助率だけは一応変更し得るのじやないかというふうに実は考えておりまするが、ただ補助率変更だけでは、従来通りの補助率を以ていたしましては、ベースアツプ等の関係がございまして、到底二十八年度と同じような金額では賄えない、さように実は考えております。地方財政計画は国の補助単価というものを元にいたしまして、二分の一なら二分の一財政需要が殖えると、補助率は二分の一と、こういうふうに一応辻棲は合つているのでありまするが、これが実際と適合していないという面と、それから補助率を下げられた場合におきましては、地方の超過負担というものが多くなりまするので、補助率の変更だけでは実は地方の財政は適合しない。どうしても実際に適合する補助率と、それから単価と数量というものを見て頂かなければならん、かように実は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/9
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010・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうすると計算の上では、地方では二十八年度の所要経費分だけ本年盛るとしても、補助率の引下げというような点で考えれば、そのままで行くとすれば、そのしわ寄せはやはり人員を整理して行くと、こういうような形になつて行くように思われますが、大体そういう傾向が出て来そうでしようか。又農林省なり自治庁なりの話合い等においては、人員は四%減だというような話合いもあるやに聞いておるのですが、そういう点について御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/10
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011・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 恐らく超過負担が非常に殖えまする結果、補助職員につきましても、この不足額を如何に処置するかという問題が必ず起つて来ると思います。県によりましては、すでに二十九年度予算を国庫の単価並びに補助率に基いたままの予算を組んでおりまするが、それをそのまま実行するという場合におきましては、どうしても人員整理ということになる傾向を持つのであります。年間の中途におきまして、やはり何らかの補正の措置をとらなかつたならば、人員整理の問題が起つて来ると思うのですが、地方におきまするところの人員整理は、この補助職員を含めて一般のこの職員の五・五%という実は見当になつておりまするが、この程度ならば二十九年、三十年両年に亘つて考えまするというと、自然退職或いは高齢者の自発的な退職で以て措置ができるのでございますが、財政面から参りまするところの人員整理は、これは実際問題として不可能でありまするので、どうしても財源措置をとつて頂きまして、年間におきまして財政計画を補正されるということを私どもは衷心から希つておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/11
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012・小笠原二三男
○小笠原二三男君 次にお尋ねしておきたいのですが、先ほど自転車のほうのそれや、モーターボートのほうの国庫納付金が地方に還元されることは最もよろしい、これは財政計画にも入つているというお話でしたが、それでお尋ねしたいのですが、確かにこの自治庁の出しております地方財政計画で、こういう補助金等の負担の増減に伴う経費の増は二十億八千三百万円というふうに出ております。そうして一方宝くじ、自転車、モーターボート等から還元される地方財源の増が二十二億三千万円ということにまあなつておる。けれどもこの自転車、或いはモーターボート、それらの施行者は一万以上もある地方公共団体のうち四百そこそこ、それで特殊なこれは財源なわけで、私のお尋ねしたいのは、これを全体的にひつからめて二十二億何がしという金を取るのだから、二十億何がしという地方の経費の増はこれは賄えるのだと、こういう考え方は間違つておりませんか。それがその何と申しますか、この単行法によれば、初めから独自の財源として、自主財源として使えることであつて、国と地方との間の財政計画にこれは盛込むべき筋合の財源でないという建前でできて来た競輪法なり、或いはモーターボート法なりの自主財源なんです。それを今度は国が使つて地方財政の計画に載せるということは、地方にだけその分を何というか財政負担を転嫁しておるということにならないかというふうに私考えるのですが、あなたの御意見はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/12
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013・友末洋治
○参考人(友末洋治君) この財源は地方が非常に一般財源に苦しんでおるから、地方々々で行なつて収益を上げるようなものはその地方の一般財源にすることが適当だろうということで、かような方針に定められていると思うのであります。実質的な一般財源を調達するという面から言いますると、さように私はなければならんというふうに思います。従いまして、その財源は地方財政計画にやはり基準財政収入の面で見て行かなければならん性質のものであります。さような考え方に立ちませんで、地方の財源が非常に団体相互間に不均衡になつておるからそれを是正する、不均衡是正の線から申しまするというと、一応国に納付せしめて納付したものを地方財源不均衡化是正、財政調整の面に使つて行くのも一つの行き方であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/13
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014・小笠原二三男
○小笠原二三男君 そうしますと、友末さんのお考えでは、こういう特殊な財源を特殊な収入とする地方公共団体は初めから基準財政需要額の中に、或いは収入額の中にこれを見込んでしまえばいい、そうして交付税のほうを減らすというのが一つの方法だ、そして余つた交付税が不均衡是正用に地方に配付になればいい。成いはそうでなかつたならば、何と申しますか、これを一旦国が吸上げてそうしてプールして、一般財源として地方に交付すればいい。まあどつちかの方法をとるべきだというふうにお伺いしましたが、では、まあ話はちよつと横道に外れますが、遊興飯食税等はこれはどういうふうにするのが一番いいとお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/14
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015・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 地方の自主独立な財源を確保して行くという線から言いまするというと、折角従来地方税であつたのでございまするから、やはり地方の税として存置するということも一応は考えられると思います。ただ今日地方財政を各団体別に見まするというと、財政力の不均衡が非常に甚だしいという実情でございまするので、その調整を何らかの方法で自主財源の賦与と並行して行うという場合におきましては、入場税、遊興飯食税もやはり一応国に吸上げて、そうしてこれを均衡化のために適当に地方に配分するというのも一つの行き方であろうと、かように実は考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/15
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016・小笠原二三男
○小笠原二三男君 それで前に戻つて、今度の場合は国庫納付金を納付しないでいいというふうに停止するわけでございますから、特定の施行者である公共団体にだけ二十二億八千万という財源が入つて行くわけであります。ところが自治庁のほうはそうではなく、全体の地方財政計画の中でそれを見ておるわけです。そうなると自治庁のほうではこの法律を停止するということは、その地方公共団体の基準財政収入の中にこれを見込むということでないと均衡がとれて行かないと思うのです。それでそれが実際見込むようになつているのかどうか私わからんので、却つてあなたのほうからお聞きしたいが、ところが非常に盛んな都市ではこの収益が非常に大きくなつた場合には、他の法定上の税金を税率を下げたりなどして、やはりとらないでもいい、税金は軽くてもいいというふうに、全体の基準財政需要額から言えば計算になる場合があると思う。ところが実際はそうではなくて、取るものは取り、又収益を上げるものは上げて行くということになつて、結局は特定の都市なり府県だけがこれで潤おうのではないか。そして全体の財政計画が何ら改善されない結果になるのではないかという意見を持つのですが、その点は如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/16
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017・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 地方財政計画の中には、やはり一般財源といたしまして納付しなくてもよろしい金額は基準財政収入の中に入つていると思います。そこで各府県に従来で申しますと、平衡交付金を配分いたします場合においては、当該府県の基準財政収入に入れられまして、いわゆる平衡交付金はそれだけ実は少くなるという、この調整ができると思います。ただお説のように特定の団体が非常に納付金を納めなくてもいいものが多くて、いわゆる超過団体で頭の出ているというものにつきましては、実は方法はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/17
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018・青柳秀夫
○青柳秀夫君 一点だけお伺いしたいのですけれども、この今度の補助金等の臨時特例に関する法律案を政府が提出しての説明に、こういう補助は或いは廃止或いは補助率を下げるけれども、地方団体には財源を与えるから、地方団体側とすれば困ることはないような説明をしているのでございます。併しその財源を与える点がはつきりしませんと、結局廃止或いは補助を切られ放しだと地方ではお困りになるわけですけれども、その点は自治庁なりその他とどんなふうに話合いがついているか。まだ全然ないのですか。そこをお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/18
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019・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 自治庁に対しましては、補助金等の整理について知事会としての意見は常々申上げております。超過負担の多いこと、又効率の低い補助金が多いというようなことにつきまして詳しく申上げて、その改革を要望しておりまするが、二十九年度のこの特例に関しますることにつきましては、自治庁と十分な打合せもできておりませんし、又知事会といたしましては、今後法案及び予算が通過いたしましたのち、実際の実情をしつかり調べて今後の是正をお願いするということにいたしたいと思います。政府は地方に対しては財源措置を講じていると言われるのでございまするが、それは僅かに財政計画の形式上の面において一部きめられているに過ぎないのであります。従来三分の二のものが実際は二分の一であつた、これを二分の一に下げられますと、実際は今度は四分の一に引き下るのでございますから、従来とは非常に違つた超過負担というものが実質増大する。これは自治庁でもはつきり押えているとは思いません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/19
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020・上林忠次
○上林忠次君 少し細かくなりますけれども、農業改良助長法に基くあの改良普及員の関係ですが、今もお話が出ましたように、多分今の問題じやないかと思いますが、三分の二が二分の一になつている一部は、その差額は地方税交付金で賄つている、与えはいるということになつておりますが、一応政府でそういうようなこれまで三分の二というものを二分の一に引下げるというようなことになりますと、県としてはすでに現在でも県負担の人員が相当あるのだ、苦しい財政状態から先ずこいつを減すのじやないか、減されるとするとこれからの農政の遂行、又農業生産の増大という大きな問題を元にして果して今でもどうか、足らないのじやないかと私ら想像するのですが、そういうような指導人員はますます弱体化するということになると、これは日本の農業生産の大きな問題になるのじやないか。果してまあ知事さんあたりの御意向が、あの農業指導普及員、あの人員に対してどういう工合にお考えになつておりますか。先ず苦しいから少しこれを減そうというお考えでございますか。これだけは何とかもう少し助長せねばいかん、もつと大きく強化して行かなければならんというようなお気持でいらつしやるのか。この農業改良助長法によつてできているあの陣営をどういう工合にお考えになつておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/20
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021・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 御承知のように昨年は各県とも水害、冷害凶作で農村は極めて大きな損害、打撃を蒙つております。で二十九年度以降それでなくても緊縮財政のしわ寄せが農村に来ることは誰しも予想しておるところでございます。農村経済復興という問題が地方々々にとつては勿論、国家的に見ましても極めて大きい問題だと思つております。従いまして、さような時期でございまするから、如何に財源は苦しくても食糧増産、或いは農業経済復興のためには万難を排してその面の強化をせざるを得ないだろうというふうに思つておりまするが、実際の面になりますと、金がない、ない袖は振れないというような県が出て参ると思います。従来だつて多年問題になつて来ておるこの助長法でございます。泣き泣き超過負担しておつたけれども、もう財政上緊縮財政の影響からにつちもさつちもつかないということに相成りますれば、勢い県によりましては人員整理をやらざるを得ないという状態に陥る虞れがある。さようなことのないように、今後の実態をはつきり見極めまして、自治庁及び政府等に要請を申上げたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/21
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022・上林忠次
○上林忠次君 今の普及員関係は、国におきましても今度の行政整理には入れない、現在でもまだ弱体だからというふうなことを含めてますます助長しなければいかんというような気持で、そういうような整理にも含めないというような分野でありますので、すでに今でも政府でバツクしている以外の人員を強化されているわけでありますが、この際は一応地方税交付金で残りは行つているじやないかという点十分お汲みになりまして、成るべく減らさんようにやつて頂きたいと私考えるのであります。これは私の意見でありまして、日本の現在の指導陣の状態から考えますと、ますますもつと強化しなければいかんということを痛感しておりまするので、そういう工合な処置をお考えを願いたいと、これは御参考に申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/22
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023・石井桂
○石井桂君 友末知事さんにお尋ねしたいと思いますが、友末知事さんの今日の立場は全国知事会を代表しておると思うんですが、そういう立場であれば、住宅問題に対して今回の補助率の引下げはどういうふうにお考えになるか。例えばあとのほうの条文のうちで重要な事項は、ということの御説明にはなかつたように思うんですが、茨城県としては大したことはないかもしれないけれども、どういうふうにお考えになつているか、もうこれでいいかどうか。お触れにならなかつたのはどういう程度に今回の補助率のうちでお考えになつておられるか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/23
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024・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 住宅関係の指導監督に要しまする費用は二分の一以内とする、こういうふうにきめられておるわけでございまするが、従来木造ブロツク或いは鉄筋等、それぞれに適当な率を設けられまして、指導監督費が地方に交付されておつたわけでございまするが、この率も実際の面におきましては、集団的に多くの建築をするという所と、田舎におきましてはそれぞれの地方にぽつぽつと建てて行かなければならんという所と、実際指導監督費の交付につきましては余り適当でなかつたように思いますが、むしろ富裕府県に非常によく行つておりまして、そうでない府県に貧弱であつたというふうに考えられるのでございます。現行法は交付しなければならないと義務付けられておるわけでございますが、二分の一以内とすることができるということで、極めて微弱な規定に相成つております。ただこの金額は重要ではございまするが、各府県にとつてみまするというと、実は少額補助金になるわけでございます。そこで実は少額補助金の整理を我々が主張をいたしておりまする建前から、かようなものにつきましては、一応はなくなつても、その程度のものはそれぞれの府県で補充できるというふうに思われるのでございまするが、それは補助金全般を通じて廃するものは廃する、強化するものは強化するという総合的な一連な政策をとられる場合において初めて実は有効になるんです。そこでかようにぽつぽつと僅かなものを取上げまして、補助総額を少くいたしますることは非常に地方にとつては迷惑であります。場合によりましては、住宅行政等も現行以下に弱化される慮れは確かにあると思つておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/24
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025・石井桂
○石井桂君 只今質問をいたしましたことがよくおわかりにならなかつたかと思うんでありますが、私がお伺いいたしましたのは、指導監督費もあるんですが、一番大切な公営住宅の建設費が二分の一からずつと少くなる慮れのある書き方なんです。そうすると、今の零細どころの騒ぎじやない、百何十億という額なんですよ。だから知事さんちよつとお聞き違いになつたんじやないかと思うんですがね、大きな額なんですよ。公営住宅建設費なんですからね。半額が国庫補助で半額が地方負担であるというのは公営住宅法に書いてある。それを二分の一以内と言うんですから、政令の定める度合なんかによつて三分の一にもなれば五分の一にもなるわけです。そういう不安な状態が今住宅問題が未解決のうちに、果して全体の知事さんを代表せられる友末さんとしていいかどうか。こういうことをお聞きしているわけです。だから指導監督費のほうはそのお考えも或いはお考えとしては承わつておいていいのですが、建設費については大きい額なものですから、もう一遍お考えをお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/25
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026・友末洋治
○参考人(友末洋治君) 予算の面で、恐らく従来通り二分の一を予算に計上しているのではないかというふうに聞いているのでありますが、ただ心配なのは従来通り二分の一になつておりますかどうか、以内ということに実はなりますと、その率が今後下つて来る。予算の範囲内というふうなことにでもなりますと、住宅問題にとりましては極めて大きい問題でございますが故に、はつきり二分の一なら二分の一を補助しなければならないというこの現行法のほうが適当であろうかというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/26
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027・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 時間も迫つて来ましたので、お急ぎのかたもございますから、知事さんに対する御質問はこの程度にして頂きたいと思います。どうも有難うございました。
次に全国町村会代表静岡県福田町長大竹十郎君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/27
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028・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 只今知事会のほうの代表として友末さんから、地方団体の補助金、負担金に対するいろいろの御意見の御発表がありましたが、実は地方制度調査会において負担金、補助金のことに対する地方団体の意見を検討したのでありますが、友末さんは知事会のほうの代表として参加せられましたし、町村側では実は私がそういう役を背負わされまして、御一緒に研究をいたしたのであります。それで今友末さんから出されました原則論というものは町村側も全く同様であります。地方制度調査会のときにも補助金の大部分はこれを整理するようにという意見が出ているのであります。併しそれについては、今お話になつたような前提がある。ただ何でもかんでも補助金、負担金を整理してすつきりすればそれでいいかというと、決してそうではない。今日町村長の代表を参考人にお呼びになつて、皆さんがお聞きになるにしても、この法律の中で補助金をなくする、或いはその率を減らすというようなことに対して、町村長がどういうことを言うかということを考えて見ます場合に、これはもう減らしては困るということを言うのは当り前な話で、町村長をお呼びになるまでもないことだと思う。併し町村会として、前に私たちが整理したほうがいい、減らしてもいいといつた点と組み合せてどうだろうかということの御参考にお聞きになるのだろうと私は解釈するのであります。
現在の補助金のうちには先ほど友末さんも述べられましたように、結局根本的に研究をして事務の再配分等によつて廃止して、府県なり市町村に委して行くものが相当にある。それから金額が誠に小さくて殆んど効用をなしておらんと思うようなものもたくさんある。そういうものは勿論それぞれの手続によつて廃止してもいいでありましようが、大部分のものは地方公共団体の言つている、殊に町村会の言つている補助を整理していいということは、結局補助金によらずに大体自主財源を多くして、そうして補助金というようなものを減らす、こういうのです。今回政府では地方税の改正を企図せられているのでありますが、そういうことで一面において自主的財源を多くして、それに見合つて補助金を減らすということならそれはわかります。我々の意図に副うものであります。けれどもそういうことによらずして、ただ単に補助金を減らす、率を少くするということだけでは、これは町村会のもとより希望するところでもないし、極力反対せざるを得ん、こういうことになるほかないと、こう思うのであります。この案をいろいろ見ましても、結局政府のほうの予算を一兆円に抑える、そうすることのためには補助金を減らす、或いはなくするということも一つの役に立つであろうということで出ているとしか思われない。それから先ほどお話のありましたように、その財源の措置は地方財政計画でしてある、こういう説明であります。恐らくそれは地方財政計画において辻褄が合うようにしてある、こういうお話でありましよう。けれども現在の地方団体においての理想は平衡交付金をもらわずに、どこの町村も大体自主財源で財政計画が立ち得る、これが理想であります。現在においてその理想に達するものは誠に少いのでありますが、こういうように補助金を全然減らして、平衡交付金というか、或いは新しい交付税で以て面倒を見てやる、そういう計画が立ててあるじやないか、こうおつしやつても、その交付税をもらわない団体は当然外れてしまう。そつちで見てやると言つたつてそういうものは聞きつこはありません。当然地方団体にしわ寄せして来るのは当り前の話で、そういうことで、町村においては国でこういつた措置をとられる、而も政府は各府県にやはり国の措置にならつて予算を緊縮しろ、こういうような指示をする、そうすると府県が又これと同様な手を打つて来る、結局一番そういう尻拭いの役に廻るのは市町村、市町村が結局国の、或いは県のしわ寄せを全部背負つて立たねばならんということにならざるを得んのです。それであるから先ほど申上げるように、自主財源を心配して税制を改正し、これでやつて行けるようになつたからという前提の下にならば、それは承服できます。それをしないでおいて、国の予算は一兆円におさめるという、府県がそれに従つて予算を緊縮する、あとのほうは要するに市町村でやれと、こういうことでは到底市町村は財政上立ち行かんことになるというので、これらの補助金なり負担金をやめる、或いは率を減らすということに対しては、市町村としては全面的に承服できない点だと、こう思うのであります。
それで今お話のありました、例えば改良普及員の話にしても、結局国で予算をやらず、県で足し前をして、人員については減らさないで今まで通り維持しようとするならば、結局その町村で以ていろいろの雑費、活動できるように或いは自転車を買つて与えなければならん、或いは通信、運搬費、そういうものは皆出してやらなければいかんというようなことになつて、結局すべてのしわ寄せが町村へ来るということにならざるを得ん。そうかと言つてこれを廃止してしまうわけにも行かん、こういうことになる。今の住宅の問題にしても、二分の一以内ということは以てのほかです。現在においても事実は全く二分の一以内に皆なつている。これは私のほうで二十八年度に住宅を建てたその模様をちよつと申上げてみると、二分の一の補助金をやるからそれでやれということでやつたのであります。結局頂いた金が七十八万七千円、実際支払つた額は百八十六万千五百円で、町の持出が百八万四千円、二分の一以内しか来ておらん。これでもおわかりの通りで、二分の一に押つけるように請負者その他にはこれだけの予算しかないのだということの、旨を含めて設計もさせるし、入札も極力これに合せるように努力してやつて、それでできなくて今言うような結果になるのでありますから、その他どの費目を抑えてみても、政府で予定しておるような理窟通りには行かない。皆町村にしわ寄せをする。予算を増額しなくても、もう十分だというような補助金は殆んどない。皆もう町村で若干持出しになつておるような状況であります。これ以上新らしい財源措置をせずに、補助金をやめるとか減らすとかいうようなことに対しては、町村会としては反対であるということを申上げておきます。ただ法律のうちには、先ほどお話がありましたような競技法、競走法による国庫納付金制度の停止ということがありますが、これは勿論この点については、先ほど友末さんのおつしやつたことと全く同様であります。先のお話に譲つておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/28
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029・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/29
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030・千田正
○千田正君 今の大竹さんのおつしやる点は御尤もですが、大体政府がこの地方財政の平衡交付金を零にして、その代りに地方交付税配付金と地方譲与税配付金と併せてやるからと言うのでありますが、それを差引きしまして、昭和二十八年度よりも二十九年度においては八十一億ばかり地方交付税とか地方譲与税配付金というものが減つておるのですが、そうなると非常に圧縮される。町村の負担は今おつしやる通り勿論これではにつちもさつちも行かないでしようが、こういうようなやり方はどこを減らすことができるものがあるのと言えば、我々はないと思うのですが、一体これはどうなんですか、その点は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/30
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031・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 今おつしやつた財政計画の点については、結局何と言いますか、警察費等について非常に変動がありますから、そういう点を勘案いたしまして、つまり市で負担しておつた警察費というものは全部これは削除せられておる。府県のほうに移して、警察の部分を国のほうから出す。そういうものが絡み合つてそういう大きな開きが出て来たと思うのであります。市町村をくるめてと言うと、そういう当然減の部分が相当ありますから、それでいいと思います。町村側に対しては大体においてそういう大した財政計画上においての費用の圧縮という点は今の自治庁の財政計画では見ていない。主に減つているというような点は市の警察費の関係に原因があるのではないか、かように思われます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/31
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032・千田正
○千田正君 もう一つ聞きたいのは、仮に今まで平衡交付金等が地方に入つて行く場合において、県から配分された場合には、市町村に対しては例えば生活保護の面はこれこれ、或いは学校の面にはこれこれと、一々町における負担に対する割合とか率というものを県ではつきりきめて、そうして市町村に渡しておつたのですか。それとも枠として一括して渡しておつたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/32
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033・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 只今の平衡交付金の制度、それから今度改まる交付税の関係におきましても、只今お尋ねのありましたような点は結局全然個別的な考慮は払われておらないのです。今の平衡交付金の制度で行くと、財政収入が基準財政需要額に充たない部分をくれる、こういう計算のやり方でありますから、結局それぞれの土木費或いは衛生費、社会福祉費、そういつたようなものの算定基準というものがきまつておりまして、それに基いて基準財政の需要額を算定し、それから一定の法人税率によるその町村の各種の税の収入を計算いたしまして、差引して足りないだけが平衡交付金、こういうふうな制度になつておりまするから、その町村に生活援護を受くる者が何戸あつて、その費用が市町村で幾ら要るから、それの何分の一を補助する、こういうような建前ではございませんので、ちよつとおわかりにくい点があるかとも思いますけれども、以上のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/33
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034・千田正
○千田正君 その点は今度の問題でも、仮にこの法案が出て通過した場合においては、非常な疑点が生ずるのは、例えばそういうところなんです。例えば町村の運営に任しておく。町村の運営によつて足りない分は自由自在にやる。実際は国としての考え方は、例えば大竹さんの町の福田町においては庶民住宅は足りない。住宅補助のつもりで、例えば一億なら一億やつたけれども、町村の運営から行けば住宅建築よりも、例えば土木とか、或いは学校の建築のほうが早いのだ。そういうほうへやらなければならないということで、町自体の運営に任しておつた。それで本当は国の目的は庶民住宅の目的である、或いは困窮者の住宅の目的であつたという場合であつても、町の運営如何によつては、それは学校の建築に行つてみたり、或いは土木の改修費に行つてみたり、こういうことであつたと思うのです、今の御説明の通り。併しこの法案が仮に通過した場合においては、そこの点をよほど明確にせんというと、この法案が通過する意味をなさないのでありまして、その点に対するあなたのお考えはどういうふうに、今後仮にこういう問題が通過したとするなら、前の平衡交付金と同じように一括してもらつたほうがいいのか。それから紐付きでこれは庶民住宅として、これは学校建築として、これは災害復旧の助成費としてというふうにはつきり区分してもらつたほうがいいのか。その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/34
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035・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) これは町村によつて、どこの町村とも一様に全部そういう点を考慮しなければならない、こういう問題と、特殊の町村であるから特殊の施設が必要である、こういう経費と、町村の経費のうちにはそういう分け方がし得ると思います。例えば戸籍事務とか、そういつたような事務は、これは何としてもどこの町村でも一様に皆これは平時非常時を問わず、いつでもどうしたつてやらなきやならん事務でありますから、そういうものについては、これは平衡交付金の制度で結構なことであります。併しそれと違つて、その町村に差当つてこういうことをやらなければならない。例えば学校の建築のごとき費用、これはその校舎の模様を見て或る年に建築をすれば、それから数カ年の間はもうそれで間に合う。毎年繰返すことでなく、どこの町村でもやつて行かなければならんというわけのものでもありません。従つてそういう臨時に金がかかるが、その代り何十年に一遍あるというようなものが、これは紐付きであつてもやはり補助金というような恰好でなければいけないし、一概に同様な自立財源さえできれば補助金を皆削つてよい、こういうようなものではない。それで私の言うのも、今実際の町村に来ている補助のうちには、誠に微細なものもある。ちよつと例を挙げてみますと、二十七年度に私の町に入つて来た国からの補助として、教育統計調査費三百七十二円、主要食糧販売登録事務取扱、これは二百五十円、それから農産物検査手数料交付金、これが二百六十四円、千円以下のものだけちよつと拾つてみたのですが、千円以下が三つありました。私の町は人口一万、それで静岡県の町村の平均人口は五千に足りません。三千未満の町であつたら恐らくこれは百円かそこそこの額であります。こう思われます。こういうものはどこの町村にも皆、こういう金額は全国一万の町村に皆行つていると思いますが、こういうものは当然やめちやつてよいものじやないか。それでそういうものをやめて、その代りにやはりまとまつた先ほどの住宅の費用ですね、ああいうものを率は減らさずに少し余計奮発してもらうというほうが手数も省けるし、町村としても有難い、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/35
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036・小笠原二三男
○小笠原二三男君 先ほど友末さんの公述では、各論に入りまして、町村に関係のある公立の公民館等に対する補助費は零細補助だから、これをやめて交付税のほうでみたらどうか、或いは過渡的には補助の基準なり、補助率を明確化して実施したらどうかというようなお話がありましたが、これについての御意見と、実際運営費等までの補助が零細であつてもあるということで、専従の専門職員を採用したりして、公民館活動をやつておる町村が、その道が断ち切られて、なお専従の職員を而も優秀な職員を採用して公民館を維持し、この活動に支障を来たさないというふうに、自主財源を持つて町村が意欲的に運営をして頂けるかどうか。その見通しについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/36
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037・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 只今御質問のありましたように、この法律によると、公民館の運営の費用、それと一緒に図書館の運営に要する費用、これがなくなるようになるようであります。これも先ほど総論で申上げましたように、財源措置がしてあるという言い抜けだろうと思いますけれども、併しこういうことで図書館なり、或いは公民館の普及を図つておきながら、いざでき上つたという場合において、それを外されてしまつて、そうしてこれは交付税に廻してあるんだということは、これは町村としては承服できない。結局公民館や図書館というようなものは、大体において今日金をかけているのは町村のうちでは比較的まあ文化程度の高い、財源も余裕のある町村が多いと思います。然るに先ほど申上げましたような交付税とか交付金というものはそういう町村には行かない。であるから勢いそういう町村は既定の経費を切詰めなければ、恐らく折角設置した職員も維持できない、こういうことになると思います。併しそれはその職員は恐らく今日すぐ首切れと言うてもそういうことはできません。実際問題として非常にたくさんある職員の欠員補充をせずに置くというようなことなら、それはたやすくできますけれども、町村において図書館或いは公民館、恐らくどこでも両方かねて一人いるのがせいぜいですから、それを皆やめてしまうというようなことは到底できない。従つてその影響というものは、内容の充実、図書の購入とか、その他の運営面において忽ち支障を来たすということになるのは当然だろうと思います。そういう点においても、図書館或いは公民館の運営費を削るということは、簡単に考えられる問題ではないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/37
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038・小笠原二三男
○小笠原二三男君 もう一点伺つておきたいのですが、これも町村に関係のあるものですが、教科書を無償で配給しておつた問題ですが、これは天野文部大臣の時代に、憲法の義務教育無償の原則の一部でも果し、逐次学年を上級にまで上げて教科書の無償配給をやろうという臨時立法だつたものを、国の財源がないということと、町村の負担が半額であるということから、この運営に支障を来たすという点から、結局義務教育に就学する児童に餞とする、或いはそのことによつて童心の公共心を養成する一助ともしたい。その底を流れるものは、飽くまでも義務教育無償の原則に立つということで、一年にだけ限定して恒久立法としてこれを実施するということで全額負担になつたことは御承知の通りであります。それでこのことは町村に負担をさせないものですから、町村としては至極結構なものであり、又父兄にとつても、或いは義務教育に就学せしむるという精神からいつてもいいことであろうと考えて、これは多分全会一致でこの法律が通つたわけですが、財政の都合というような点から、こういう僅々五億足らずの金額を圧縮するがために、こういう制度を停止してしまうということについて、町村長の立場として、どういう御感想を持つておられるか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/38
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039・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) この義務教育の教科書の問題でありますが、これは精神上の問題としては非常に大きな関心を持つべきことであります。軽々に取扱うべき問題じやない、かように考えます。従つてその義務教育無償の憲法の精神を活かす意味において、この金を削るというような心構えというか、考え方それ自体には非常にこれは批評すべき素質が十分にあるものと考えます。ただ実際問題として、末端の町村における児童の教科書を無償でやるのと有償でやるのとどれだけの違いがあるか、要するにこれをやることによつて住民が非常に喜んで、非常に助かるかどうかという問題になると、これはそう大して、経済問題として論ずる場合においては、殆んどそのもらうことが始まつた場合において、大なる歓迎のうちに迎えられたということでもないと私は地方におつて観察いたしております。従つてそういう意味合いにおいて、これを経済問題として論ずる場合には、現在において生活援護の法律もあり、困る者に対してはいろいろの面倒がみられておる状況でありますから、そう大して議論をせんでもいいんじやないか。ただ今のその精神上の、憲法に規定してあるそれを尊重して義務教育を無償でやる筋を通す、こういう点から行けば、これは軽々にそう変改すべきものじやない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/39
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040・小笠原二三男
○小笠原二三男君 先ほどからお尋ねしておるような公民館或いは図書館、博物館の補助を切下げ、或いは内容的には補助を停止する、これらと又この教科書の無償配給を停止する、こういうことは教育、或いは特に義務教育に多くの財政支出をする町村としては、延いては六・三の学校建築費の補助とか、或いは老朽校舎の建築費の補助等まで逐次削減せられて行くという傾向になつて行くのじやないかという危険や心配をお感じになりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/40
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041・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 恐らくこれはまあ政府の予算をこう無理にでも切詰めるという意味合いにおいてとられた措置であつて、こういうように次々に地方団体の困るのを見殺しにするように、ただ国さえよければいいというようなことを図るようなむちやな政府でもあるまいし、又そういうようなことを容認する議会でもあるまいというように私は考えます。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/41
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042・千田正
○千田正君 大竹さんの後段の経済的な問題ですが、これはまあ静岡県のような或る程度富裕な県は、或いは大竹さんの町のような所は、或る程度までそれは考えられるかも知れないけれども、貧弱町村並びに引揚者とか戦争の犠牲者をたくさん抱えておる町村では恐らくこれは相当大きい問題だろうと私は思う。それでこれはやはり精神的な問題からというよりも、これは憲法から言つても、義務教育は国がこれは負わなくちやならんのは当然の姿であるのですが、非常にそうしたいろいろな苦しい人たちを抱えておる町村はそう簡単じやないのだろうと思うのですが、そういう点は大竹さんの町というばかりじやなく、全国町村会の代表という立場からお考えになつて如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/42
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043・大竹十郎
○参考人(大竹十郎君) 全国町村会の意見ということになると、これはやはり今の御説のように、これは困る、こういうことは是非やめてもらいたいと、こういう結論に勿論なると思います。私の今回申述べたことも、結局また町村会の意見としては、別に刷り物が用意してありますから、一つそれを御覧を願いたい。それで私の大分主観的な考え方が非常に入つておるわけなんですが、それで冒頭申上げましたように、結局全国町村会の意見としては、適当な自主財源を増加する措置をとらずに、如何なる補助金といえどもこれを削除し若しくは率を下げるというようなことは困ると、これが全国町村会の異論のない意見であると、かよう御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/43
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044・松永義雄
○委員長(松永義雄君) ちよつと速記をとめて下さいませんか。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/44
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045・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 速記を始めて下さい。
大竹さんに対する質問をこれで終つてよろしうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/45
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046・松永義雄
○委員長(松永義雄君) どうも有難うございました。
それでは次に全国未亡人団体協議会事務局長山高しげり君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/46
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047・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 只今全国未亡人団体協議会事務局長という肩書で御紹介を頂いたのでございますが、それに併せまして、全国の地域婦人団体連絡協議会をあずかつております立場から、一般の主婦であり母親である婦人の立場を併せまして申上げさせて頂きたいと思います。
私はこの法案につきまして厚生省関係の問題について特に申上げるわけでございますが、この厚生行政というものは、ほかのいろいろな行政面に比べまして、まあ平たい言葉で言いますと、一番弱いというようなことをよく俗に言われるのでございます、殊に財政の問題として、私ども国民の立場から申しますと、今度ここにお取上げになつております七条から十一条に関しまするものは、国民生活の基本的なものでございまして、私ども生活を守るという立場から申しますと、結論的に申上げますと、これは現在のままに全部お据置きを願いたいという希望を持つております。先ほどからお二人のかたからもいろいろお話がございましたけれども、国の財政を緊縮するために地方財政に肩替りをして行く、これが府県の財政から又町村財政へだんだんしわが寄せられて行くというその方向において、結局末端は国民の生活にしわ寄せになるというふうにどうしても感じなくてはいられないわけでございます。もとよりこの案文の中には、いずれも「当分の間」というように謳つてございますが、当分の間がいつの間にか、いついつまでもということになるのではないかというような不安も実は感じるわけでございます。
最初の保健所法でございますが、これはほかの参考人からもお話がございましたが、末端の事情、私どもは主婦であり母親である立場から、国民の健康管理をしておられる保健所とは直接結び付いておりますので、その立場から感じますことは、保健所のお仕事というものがようやつと軌道に乗りかかつて来たのではないか、この段階においてこういうふうに今までの三分の一のものを四分の一にお減らしになるということは、たださえ赤字に傾いておる地方財政に負担をより多くかけるということだけでなくて、保健所の機構そのものの能率を低下することになるのではないか。結核予防とかその他一般の防疫とか、家庭の家族の者の健康に直接繁がつておる仕事をして頂いておる保健所の実情は、もつともつとして頂きたいことがたくさんありまして、私ども婦人団体などの組織を通して保健所と提携してやつておる仕事がたくさんございますけれども、現状でも非常に手一ぱいでございまして、私ども国民の要望を入れて頂きにくいのでございますが、これが更に補助金が削られるということになりますと、もつと今より能率が低下して来るだろうということを非常に心配いたしておるわけでございます。これは衆議院のほうでは三分の一の修正におなりになつたようにも承わつておりまするけれども、どうか本院におきましてもよくお考えを願いたいと思つております。
それから第八条でございますが、これは母子手帳の問題でございますが、恐らく議員の諸先生も母子手帳というものをお手に取つて御覧になつたかたはお少いのではないかと思うのでございますけれども、母子手帳は、母親と子供の生活にも非常に緊密な関係を持つております制度で、歴史も相当古うございまして、現在までにもなかなか効果を挙げておる仕事でございます。これを平衡交付金に、従来の言い方かも知りませんけれども、平衡交付金にお移しになるというようなことで補助金からは削除になるように伺つておるのでございますが、これも本当に、丁度基本的なお仕事としてようやつと芽が出かかつて参りましたものを、今平衡交付金のほうにお移しになりますと、私どもが心配することは、おやりにならない地方が出て来るのではないかということでございます。先ほどからのお話にも出ておりますように、特に紐付きということがございませんと、突込みでお渡しになりますと、地方によりましてはもつと大事なほかの仕事とか、教育の仕事とかいうようなものにその費用が廻されてしまいますので、金額にしても七百万円くらいな僅かなお金のようでございますが、それが補助金で参りますれば、各地方にそれぞれ公平にこのお仕事が行われるわけでございますので、この点は一つ今まで通りにお願いをしたいと思つております。
それから第九条でございますが、この性病予防法に関係いたします特例でございますが、只今丁度内閣におきまして売春対策協議会が設置をいたされまして、たまたま私もその委員の一人でございますが、こういう性病予防法に関係いたしましたものは、売春の対策立法とやはり見合つてお考え願わなければならない必要があるように思うのでございます。性病予防法の中には、常習者に関する取締の規定とか、又強制入院、強制治療というような面がございますのですが、従来二分の一の補助が四分の一に減るといたしますと、私どもが一番心配をいたしますことは、今までのこの性病に対しましての定時診療というような面が或いは全面的に崩れて来るんじやないか。これは非常に売春の取締について緊急に立法の必要があるというふうに、政府当局がお考えになられまして、目下協議会が設置されて、そこで立法の審議を急いでおります現状とどうもそぐわないようなお取扱のように思われますので、この点は一つ、やはり性病病院のほうは、従来通り二分の一の補助金が頂けるのに、この診療所のほう、或いは代用診療所のほうがなぜ四分の一に減らなければならないのかというようなことも、私どもとしてはよくわからない点でございますけれども、どうぞ一つ、日本の国内のこの売春の問題の実情と考え合せましての御措置を願いたいと思つております。
第十条は、やはりこの精神衛生相談所というものは、この精神衛生面では第一線といいますか、最低線でございますので、これも確保できないということでは、目下この精神病の病棟というようなものは非常に不足をいたしておりますので、その上にこの最低線の相談所の線が崩れて来るということは、私ども、非常に地味な問題でございますけれども、案外重大な問題ではないかと、ひそかに心配をいたしております。
それから最後に、第十一条でございますが、母子福祉資金の貸付等に関する法律の中で、母子相談員の制度というものがございまして、従来はこれが国の負担二分の一ということでございましたが、これも今度は平衡交付金にお廻わしになられるという御案のようでございますが、これはどうぞ一つ補助金におとどめおきを願いたいと強く要望をいたしたいと思います。この法律は昨年から行われておる法律でございまして、母子相談員の制度はようやつと一年の経験を閲するところに参つておるのでございますけれども、非常に母子相談員の人たちがよく働いておられますので、全国的にこれはむしろ全額国庫負担の性質を持つておる仕事でないかと、そういつた要望が強いにもかかわらず、これを国が面倒を御覧にならない、尤も平衡交付金で渡せばいいでないかというお考えのようでございますが、国民といたしましては、その平衡交付金というのは一番有難くない。若しもどうしても交付金でお渡しにならなければならないのならば、いわゆる紐付きということを要望するわけでございますが、紐付きにするくらいなら、もつとはつきり補助金ということにしておいて頂くほうが、仕事の性格上私正しいのでないかと思つております。若しもこれが平衡交付金になりますと、富裕県にはこれが参りませんのでございますから、例えば東京都のごときはそれを頂けない地方でございますが、現在二分の一を頂いております今日でも、東京都のごときはいろいろな事情がございまして、母子相談員が設置をされながらも、能率が上げられないというような特別な事情もございますので、若しもそれが補助金が廻りません場合には、或いは東京では母子相談員というものは設置をしなくなるのでないかというようなことも、私どもは心配をいたしておりますので、こういうやはり法律の裏書きのありますお仕事にでこぼこができて来るということは、折角の立法の精神にも副わなくなるのではないかということを少なからず心配しておるような次第でございます。以上簡単でございますが、一応意見を申上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/47
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048・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/48
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049・竹中勝男
○竹中勝男君 一つ二つありますのですが、この保健所は、実際に現在の状態の運営で末端において相当よくやつておられると思いますか。何か大きい欠陥が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/49
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050・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 保健所でございますか。保健所はまあ東京都内なんかを例にとりますと、非常によくやつておられるけれども、まだ機能が十分発揮されておらない保健所も勿論あることは私ども認めないわけに参りませんけれども、いずれにいたしましても、お仕事の量が多過ぎまして、今の保健所をただ私ども責められないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/50
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051・竹中勝男
○竹中勝男君 どういう点で弱い点があると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/51
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052・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 保健所でやつて頂くお仕事が非常に殖えつつあると思います。例えば今度母子衛生地区というようなものを設定したいという厚生省児童局の要望があり、これに対して私どもも又婦人の立場から非常に賛成をしておるわけでございますけれども、そういう仕事をいたしますのにも、仕事の一つのより所としてやはり保健所を中心に仕事を展開して行きたいと、こう思うわけでございますけれども、そういう場合にも新らしい仕事を殖やしてくれるなということを、仕事の性質の如何にかかわらず、保健所側は悲鳴をお上げになる実例もあるのでございまして、併し私どもも、若しも母子衛生地区というようなものが、その地域に住んでいる住民の協力によつて、保健所との協力によりまして行われるようになりますれば、乳幼児とか妊産婦とか、そういつたものの保護にも非常に積極的に実績が上つて来るということは、過去の母子愛育会あたりの実績に鑑みて見通しがつくのでございまして、そういう金がかからなくて国民も協力してやりたいという仕事すらも、現在の保健所がなかなか余力がないからというようなことでおしぶりになるというようなことは、非常に残念なことだと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/52
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053・竹中勝男
○竹中勝男君 保健所に関する限りは本年度、まあ少くとも来年度は大体本年度と増加する分も入れて同じだけの予算はあるわけなんですが、私この精神衛生法に関して、これは精神病が非常に殖えているということは事実であるように思うのですが、東京都なんかは、或る医者の調べたのに、二十八人に一人の精神病があるというのですね。この国会の中にも或いは(笑声)……とにかく精神病が殖えているというのは事実なんです。そうしますと、これは当然なんです。非常に生活が逼迫して来ることと、それから都市的ないろいろな生活の環境が複雑で、刺激的で過労だとかいろいろな条件が重なりますから、これは当然傾向として増大するということは、増加するということは言えるんですが、併しそれがあらゆる点において、今度逆に生活を困難にする、或いは犯罪だとか、そういう逆に精神病が増大するということが生活を逼迫することになるのでありますけれども、これは非常に、これでは問題の解決にならないというふうに実際にやつておられても感じられるのじやないかと思うのです。そういう点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/53
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054・山高しげり
○参考人(山高しげり君) その点、例えば最近東京都にできました一つの母子寮の例でございますが、この母子寮に三十数名の母子世帯が収容されておるんですが、その新設の母子寮に対しては、東京都は乳幼児を連れている母親ということを基準において収容いたしましたのです。最近必要がございまして、私どもこの母子寮の調査をいたしましたが、夫が、競輪とかいろいろなことで以てだんだん生活に責任を負わなくなつた夫が非常に多くて、それがただもう心掛けが悪いというのでなくて、やはりこう精神病の範囲に入つているような夫が非常に殖えて、それに対して離婚という結果に逢着した若い母子世帯が非常に多うございまして、これでは東京都が幾つ母子寮を建てましても、もつと根源を衝かなければ対策にはならんという、これはほんの小さい一つの窓から見ました実例でございますけれども、非常にそういう精神病患者を抱えて不安におののいている主婦というようなものが殖えて来ております。又主婦自身がそういつた方向に健康を害しているという実例もございまして、昔のように、ただ遺伝だけで精神病にはならない社会環境から来る精神病が都市には増大しておるという事実を私どもまざまざと見せつけられておるわけでございます。婦人団体なんかでも、よくそういう相談事が寄るとさわると出て参るようになつて来ておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/54
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055・竹中勝男
○竹中勝男君 もう一つ聞きますが、この間参議院で調査に参つたわけですが、そのときも一つの大きな問題は、これは精神衛生に関し、又児童福祉にも関すると思いますが、麻薬といいますか、ヒロポン、覚醒剤が非常に青少年の中に拡まつて来たというのです。そしてこれはどんどん拡まりつつあるのですが、これに対する取締がない。そういうことがやはり精神衛生の面にも相当これから現われて来るのじやないかと私ども見ておるのでありますが、それからその点はまあ私の意見といいますか、希望なんですが、この東京都で、或いは全国的にですけれども、母子相談員の手当といいますか、これはどういうようになつておるのですか。京都府なぞでは全然社会保険などはつかないのですからね。非常に一生懸命にやつておる人に対して気の毒な状態なんですね。こういうようになつて来ると、今度のように平衡交付金になると、これは一層、非常に熱心な、非常にまじめな適当な人があつて、この仕事の性質を了解して精勤しておるのにかかわらず、もう待遇の面で実に気の毒だというのが実情のように、京都でもそうなんですけれども、東京都、まあ全国的にどういう状態なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/55
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056・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 母子相談員の待遇でございますが、大体国から参参りますあれに対して、今まで七千円というのが基準になつておるのでございますが、七千円では、尤も法律の表では非常動ということになつておりますのですけれども、実質的には殆んど常勤の実情でございまして、それで七千円では到底足りませんために、府県でいろいろ御心配を下さいまして、何か加算の途を講じられておる地方もございますけれども、地方財政もお苦しいのですから何ら殖やして頂けない所のほうが多うございます。それで府県当局からこういう仕事は全額国庫負担であるべきだというお声をむしろ私ども聞かされておるのでございますが、それで今の医療の面とか、いろいろこれを普通の公務員並みの待遇がしたいということも、府県当局はしばしば言つておられますけれども、それに対しまして公然とその途が開かれておりませんために、まあ府県の御努力によりまして健康保険にかけるようにしたとか、或いは共済組合に入れたとかおつしやる所がございますが、それは非常に稀な特例でございまして、大部分は気の毒だけれどもどうしようもない、だからやはり全額国庫負担にするなり、これを常動の職員にすべきだというお声は非常に高いわけでございます。相談員さんたちは、本当にこの仕事に対して初めは相当な決意を以て飛込んで来るのでありますが、仕事を始めてみますと、対象である母子世帯の実情というものにだんだん引ずり込まれまして、大体昼間の勤務だけで事が済んでいる相談員さんはないと言つてもいいと思います。みんな自宅へ向けて相談に参りますものですから、何しろ社会福祉事務所に机を置いてそこで勤務しておるというようなことでは、到底母子相談の実質的なお仕事ができませんものですから、昼夜を挙げて働いているという勤務状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/56
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057・千田正
○千田正君 最近都市ばかりでなく、農村にも非常に親子心中が殖えて来た。親子心中の大体新聞等の発表は生活苦ということになつておりますけれども、実際根源を調べてみた場合には、大抵病気がもとなんであります。結核或いはその他の今の精神病、そういうようないろいろな面において、小さい何も知らない子供たちまで抱えて親子心中をやつている。これは非常に、殊に本年に入りましてから激増の状況であるということは、私はやはり保健所のようなものが本当に真剣になつて早期診断や何かでそういうような人たちを救える点があるのではないか。むしろこの際逆に、こうした費用が削減するどころではなくて、増加すべきなのが、社会に対する一つの制度として当然なされなければならないところの大きな問題ではないかと思うのですが、その点については如何でございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/57
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058・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 親子心中の中では相変らず母子心中という種別が多数を占めておるようでございますが、昭和の初期に非常にはやりました母子心中の実態と今日と一つ違いますところは、昭和の初頭においては未亡人、母子家庭の母子心中が多かつたのでございますが、この頃はむしろ夫のある家庭の母親が子供を抱えて死ぬというのが非常に殖えておりますので、それならば未亡人世帯は非常に生活が楽になつたかというと、そういうわけではございませんけれども、未亡人の母親たちが何とかして子供を育て上げたいという強い意欲で、自分で経済力がございませんのに一生懸命に働いておりますので、結果はまあ闇屋をやつたり、パンパンをやるというような面白くない結果も生じておるわけでございますが、そういう母子世帯でも、働き者の母親が明日病気になつたらどうしようということで、医療の面ではいつも脅かされておるわけでございます。それから夫のございます世帯における母子心中は、やはりこれはもう先ほど申上げましたような、夫の病気とかというようなこと、或いは夫の経済力に対する将来の不安というようなことが原因になつておりまして、一口に申せば、夫のあるお母さんのほうが少し、何でもしなければならないという意欲について、幾らか弱いようなふうに私ども見えるのです。それだけ未亡人のほうが生活に鍛えられて来たように思うのですが、いずれにいたしましても、それらの家庭において、医療の面などでもう少し対策が講じられておれば死なずに済む、いずれの場合でも子供を犠牲にしないでも済むということははつきりいたしておりますので、まあその場合に保健所に駈け込むか、母子相談員さんの所にすがりに行くか。民生委員さんの所に行くか、社会福祉事務所に行くかというような繋がりにつきましては、いろいろ問題があるように思いますけれども、やはり窓口は一つでも多いほうがよろしいわけであり、それと同時にそういう相談事業というものにおいて、このいろいろな精神病なり、結核なりの大きな問題の予防対策に随分役立つて参るわけでございますので、事態を一番悪いところまで追込んでしまつて、それにお金をかけるというようなお金の使い途に私たち主婦は非常に反対でございまして、入口のところで何とか防ぎとめて頂きたいという意味において、保健所の問題でも、精神衛生の相談所においても、又母子相談員の制度においても、そういう面の予防行政のほうにどうかお金をかけるようにして頂きたいというのがお願いでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/58
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059・小笠原二三男
○小笠原二三男君 山高さんのお説、私個人ぎりでは一々御尤もだと思います。他の如何なる同僚議員でも反対する筋はさらさらないかと、その内容についてはよくわかりましたが、その形式上の問題について率直なあなたの御見解を表現願えればいいと思うんで、一例としてこの十一条の「母子相談員に要する費用」の問題でお尋ねしますが、この母子福祉資金の貸付等に関する法律というのは、特に議員が、国会が必要と認めてこれは立法したものでございます。それが政府の財政的な都合で、「当分の間、適用しない。」ということは違憲であるという学者間の意見もございますが、こういうことをするこの政府に対して、どういう感想をお持ちになつておるのかお尋ねしたい。
それでもう一つ理由を私のほうからお上げしますが、先ほど友末さんもおつしやいましたが、これは地方財政法に違反するのじやないかという疑いがあるわけでございます。即ち、地方財政法の第十条におきましては、「地方公共団体又は地方公共団体の機関が法令に基いて実施しなければならない事務であつて、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務のうち、その円滑な運営を期するためには」、この次が大事なんです。「なお、国が進んで経費を負担する必要がある左の各号の一に掲げるものについては、国が、その経費の全部又は一部を負担する。」とあつて、そのうちの七の二に、「母子相談員に要する経費」というものが載つておるわけでございます。従つて、国が進んで円滑な事務の遂行上、経費を負担しなければならない条項として掲げられてあるものを、「当分の間、適用しない。」という臨時立法を以つて、これを消してしまうということは、少くとも円滑な事務遂行が地方財政の負担だけで十分できておる。もうその成果は上つておるという現実の上に立たない限りは、これはこういうことはできない。今あなたのおつしやるように、実際母子相談員を維持する、或いはこれを殖やすというようなことは、到底できない現状である。これは県知事代表からも御説明があつたと思うのです。即ちこういう法律違反或いは議院の立法を尊重しない、こういう違憲の疑いさえあるような立法をしてまで、この近代政治として、最も直接この国民の生活利害に関係するこういう援助を断ち切る、こういう政府に対して、国民としてどういう御批判があるか、率直にお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/59
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060・山高しげり
○参考人(山高しげり君) 地方財政法違反であるかどうかということは、私ども法律に素人だものでございますから、うつかりしておりましたのでございますが、ただ議院立法で、まあ非常に母子世帯の母親たちの痛切な要求で、議院立法を実現して頂いております経過がございますので、この問題につきましては、立法にお骨折りを願いました議員のかたがたにも、一つ折角作つて頂いた法律が崩れるようなことのないように、お願いをしたいということは、申入れをしているようなわけでございます。憲法違反であるかどうかということにつきましても、結局私どもはこの社会福祉というようなものは、もつともつと国と申しますか、政府自身が身を入れて頂かなければ、弱い立場の母親たちはどういうふうな気持になるかわからないということは、常に感じております。それでございますから、本年の当初におきまして、生活保護費を、国が八割お持ちになるのを、五割になさろうとか、児童保護費も同じく減額をなさろうとかいうことにつきましても、その弱い立場の母親たちまで立ち上つて反対をいたしましたわけでございまして、非常にそういうふうにまあよく世間で言われる言葉をそのまま拝借いたしますならば、大砲よりバターという方向へ向いて頂きたいわけでございまして、バターを削つて大砲へ持つて行つて頂くのではあるまいかと、まあ今年のお正月は母子世帯は冷汗を流したわけでございまして、その流した冷汗は一応引込んだ形でございますけれども、二度と再びああいう冷汗は流さして頂きたくないと、お願いをいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/60
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061・松永義雄
○委員長(松永義雄君) ちよつと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/61
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062・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 速記を始めて。
暫時休憩をいたします。
午後零時五十六分休憩
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午後一時四十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/62
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063・松永義雄
○委員長(松永義雄君) これより委員会を再開いたします。
午前中に引続き、参考人から御意見を承わることにいたします。
全国教育委員会連絡協議会幹事平田善行君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/63
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064・平田善行
○参考人(平田善行君) 全国都道府県の教育委員会の者といたしまして、本法案に対して御意見を申上げます。
総括的なことに関しましては、先ほど友末知事並びに町村会代表のかたがお話になりましたことと大体私ども同様なことを考えておるのでございます。従いまして、只今私が申上げますのは、本法案の第一章、即ち教育関係の点だけに限定をいたしたい、かように考えております。細かく申上げますると時間の都合もございますので、この第一章に関して総括的に申上げたいと考えております。
御覧の通りに、第一条は公立高等学校の定時制の職員の国庫補助に関する問題でありまするが、御承知のように定時制高等学校と申しますのは、勤労者の働きながら学ぶという筋合から、大都市か、又は山間僻地におおむねあるのであります。而うしてその定時制高等学校に学びます生徒は、平素から只今のような理由によりまして、非常に不十分な、又いろいろ不満も持つておるような状況でございますので、私ども府県の教育委員会といたしましては、いわゆる全日制の生徒と何ら劣らないようなことをしてやりたいというふうに平素から考えておりまするけれども、予算その他の関係で、これは実地に定時制高等学校というものが如何なるものであるかということを御視察頂きますならば、明瞭なんでございますが、設備或いはその他の関係でも殆んど空屋同然、乃至はよその全日制の高等学校の間借をしておるというのが現実の姿であります。従いまして、そこに働きます教師については、何とかこれが全額国庫負担というような制度を用いましてやりませんことには、只今申上げましたように、都市におきましては夜間であり、その他におきましては山間僻地の学校でありまするために、教師を求めますることに非常な不便を感じておるような実情にあるのでございます。従来これは四割の国庫負担ということになつておりましたのでありまするが、今回の法案におきましては、これが廃止に相成ります。先ほど友末知事及び町村長代表のかたのお話にもありましたように、これは地方財政計画のほうに織り込んであるのだから心配はないというふうなお話でございまするけれども、先ほど来御意見の御交換がございましたように、私どもとしては、それでは非常に不安を現場に働きまする教職員が感ずるのではないかと、かように考えておりまするので、できることでありまするならば、むしろ私どもは従来の負担率を増して頂きたいというふうに考えておりまするけれども、万止むを得んことでありまするならば、せめて先ほど来お話がありましたように、是非とも紐付きにして頂いて、どこへ行つたかわからんというようなことのありませんように、是非とも本委員会で御協議頂きますることを私は希望いたすのでございます。
なお、第二条以下は公民館、図書館、博物館に関する件でございまするが、先ほど来ときどき質疑応答の間に出ておりましたが、公民館、図書館、博物館とは、御承知のようにいわゆる社会教育の面でございまして、今日都道府県の教育委員会が一番頭痛に病んでおりますることは、如何にしてもこの社会教育というものをいま少し振興しなければならんということなのでございます。あたかも学校教育のみに専念しておるような恰好に相成つておることは誠に遺憾でございまして、無論これにつきましては教育委員自身にも大きな責任がございまするし、大いに反省しなければならんとは考えておりまするけれども、半面におきまして、この社会教育に関する国家の温かい思いやりというものがいま少しあつてもいいのじやないかというようなことを私ども平素考えておりました。殊にそういういろいろの関係がございまして、我が国におきましては社会教育というものは非常に遅れておることはどなたも御承知の通りであります。この日本における社会教育の後進性というようなものを何とか私どもとしても打開いたしたい、又向上発展をさせたいというふうに平素考えておつたのでありますが、本法案におきましては、御承知のようにこれらの運営費等は削られてしまい、その他の施設等の補助にいたしましても、従来は社会教育法におきまして義務的にこれがなされることになつておりましたけれども、今回の法案におきましては「することができる。」というふうな文章、表現になつておりまして、非常に遺憾である、かように考えておるのであります。先ほど町村長代表のほうで、公民館というのはおおむね富裕町村に設置されておるというふうなお話がございましたけれども、これは何かのお間違いであろうかと私は考えております。只今全国の町村のおおむね七割五分は公民館を持つておるのであります。併しそれは必ずしも独立した公民館という建物があるかないかは別といたしまして、公民館というものを持つておるのでありまして、分館その他を合せますると、おおむね三万に余つておるのであります。而して従来の社会教育法に規定されておりまする補助にいたしましても、決して無制限に補助を頂いておつたのでなくして、前年度の実績に基いて、そのいわゆる公民館に働いておりまする人並びにその事業といたしておりまする定期講座等に対しては、前年度の実績に基いてその年の補助が行われるということでありまして、誠に私どもから申しまするならば、つつしまやかであり、又ささやかであると申すよりないと思うのであります。昭和二十八年度におきまする補助がどういうふうな形に相成つておるかと申しますると、補助を申請して参つたものが全国で六千三百十七、これに対しまして補助されたものが五千六百十五でありまして、その金額が二千一百三万九千円となつておるのでございます。従つて一館当りに対しましては、実に僅かな三千七百円というふうな補助でございまして、容易にこれが私どもが希望いたしておるようなことには相成らんのじやないか、かように考えております。先ほど友末知事のお話もございましたけれども、改良普及員その他におきましても、現在の状態では到底現在の人員を抱えて行けないというお話がございましたが、私ども考えましても、若しこの公民館の運営費というようなものが全然補助を打切られまするならば、或いは町村におきましては、従来専任の主事或いは又名前は官庁と同じでありましても、いずれにいたしましても、そういう専従者がおりましたものが、到底置けないというふうな状態に立至るのじやないか。従来私どもといたしましては、何とかしてこの公民館活動というものを活撥にいたしたい、私が申上げるまでもなく、町村におきましては公民館活動というものが大きな一つの思想対策でもあり、又文教対策でもあるというふうに考えまして、その奨励に実は苦心いたしまして、優良なるものについてはいろいろな方途を講じて参つたのでありまするが、本法案におきまするがごとく、運営費は一切これを見ない、施設については多少「補助することができる。」というふうなことに相成りまするというと、現にすでに二十九年度の各府県の当初予算に現われておりまするように、政府が見ないんだから到底九県は見るわけに行かないというようなお話でございまするし、更にはそれが町村に響いて参るということは火を見るよりも明らかではないかというふうに推測をいたすのであります。図書館、博物館につきましても、世界各国の状況を見ましても、日本が到底満足すべき状態でないということは十分に承知をいたしておりまするけれども、なかんずくこの公民館については、僅かな金で而も村作り、町村りの大きな働きをなすのじやないかというふうに考えておりまする関係上、是非ともこれらにつきましても本委員会の賢明なる御処置を願いたい、かように考えておる次第でございます。
更に、先ほどもお話がございましたように、最後に例の義務教育の学校における教科用図書の配布の問題でございまするが、これは御承知のように昭和二十七年に只今の吉田内閣でそういうふうな法律が設けられまして、新たに入つた小学校の児童に対して教科書の一部を無償配布をするということに相成つたわけでありまして、先ほど来もお話がございましたように、大きなその義務教育無償の原則というものがほんの僅かでもここに実現されたというふうに非常に私どもも喜んでおり、又生徒も喜んでおつたわけでありまするので、これを今回今年から打切られるということに相成りますると、童心に与える影響というものは私どもが想像する以上のものではないか、かように考えまして非常に遺憾に存じておるのであります。先ほど町村会代表のかたのお話では、精神的には相当な問題であるかも知れんけれども、経済的には大したことはないというふうなお話もございましたけれども、私どもといたしましては、この文教行政と申しましようか、思想対策と申しましようか、そういうふうな面からも少くともこれが従来通りの実現をみたい、かように考えておるのであります。金額はたしか三億九千万円くらいであつたかというふうに記憶をいたしておりまして、そう僅かな金とは申上げかねるかも知れませんけれども、何かこういうふうな教育面へ緊縮財政のしわ寄せが来ておるのじやないかというふうな感じを与えるということは誠に残念であり、遺憾であるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
なお第四条の産業教育振興法に関する問題を落しましたけれども、これは余り御存じないかとも思いまするが、産業教育の振興のためにいろいろな教科書を出版をいたしておるわけでありまするが、一部に非常に数の少い教科書があるのであります。或いは水産関係でありまするとか、或いは特殊の産業に関する教科書等は非常に発行部数が少いため、どこの会社もこれを引受けない。そこで従来はこれに対しまして補助をいたしまして、漸くその教科書の出版をいたしておつたような状況なのでございまするが、今回これが削除されるということになりまするというと、忽ちそれらの教科書を発行する方法がないというふうなことに相成りまして、非常に遺憾なことに相成るのでありまして、何らかの方法を以ちまして、僅か二百七十万円かと存じておりまするので、そういうふうな教科書発行ということに対する支障のないような取計らいが願いたいと考えております。その中には文部省が編纂しておるものもございまして、折角編纂はしたけれども、それが発行ができないというようなことに相成るのではないかというふうに考えておるのであります。
これを要しまするに、先ほどどなたか参考人のお話にもございましたように、無論私どもも緊縮財政ということも十分承知いたしておりまするけれども、只今申上げましたように、定時制の高等学校であるとか、或いは又公民館、図書館であるとか、或いは又産業教育の特殊の教科書であるとかというふうな、いわば政治力の弱いところにこういうふうな緊縮財政のしわ寄せが現われて来るというようなことに若しなりまするならば、国家の思想対策としても、文教政策としても誠に遺憾ではないかというふうに考えておりまするので、金額としてはいずれも教科書配布を除きましては僅かな金でございまして、二千万円、三千万円、又只今の教科書のごときは僅かに二、三百万円という程度でございまするので、何らかの方法を以ちまして、紐付或いはその他の方法でこれが実現いたしまするように特別な御配慮を頂きたいと、かように考えております。
大変御無礼をいたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/64
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065・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 御質問ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/65
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066・小笠原二三男
○小笠原二三男君 地方教育委員会関係のかたのほうの公述も願つて、同じ問題になるわけですから……。それから質疑があつたらやつて頂くようにお取計らい願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/66
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067・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 只今小笠原君からお話がありましたが、そのように取計らつて御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/67
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068・松永義雄
○委員長(松永義雄君) それでは次に全国地方教育委員会連絡協議会の会長風巻義雄さんに御公述を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/68
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069・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) 全国の市町村の教育委員会としまして、一番末端で実際教育の掌に当り、且つ公民館、博物館、図書館等の管理運営をやつている現場の意見といたしまして申上げてみたいのでありますが、只今都道府県の委員会のお方からもお話がありまして、大体の今のお話と一致しているのでありまして、成るべく簡潔に申上げたいと思います。
公立学校の定時制の問題は、御案内のようにこれは誠に恵まれなくて、而も最も向学心の強い、働きながら血みどろになつてやつている学生であります。こうした問題に対しまして、この補助法によりまして当分の間これを施行を停止するということになりました際に、どういう結果になるかというと、誠に恐ろしい気がするのであります。と申しますのは、只今までもこれは紐付でありまして、十分の四を国庫が負担されて、市町村の定時制の職員の給与の負担は都道府県がこれを負担する、従つて十分の六が負担されなければならないわけでありますが、県財政の窮迫した事情によりまして、県によりましては十分の六が実際に出ない。私は神奈川県でありますが、神奈川県は十分の四は国家から来ておりまして、あとの十分の三・一、約十分の三というものを県が負担している。従つてあとは市町村のほうの負担ということに現実にはなつているのでありまして、これは殊に市等においては切実でございますから、たびたび県のほうにお願いしておりますけれども、県の財政の都合上、もう一つは授業料の収入があるのじやないか、そうした面から何とか賄つてくれというふうなことで、最近の県会等においても答弁されております。今日までそうした法律によつて、はつきり謳われた問題ですら市町村の負担になつておりまして、ましてや専任の教諭、助教諭、講師以外の用員その他の経費は市町村において賄つているという状況でございますので、こうしたことが施行されて、地方財政措置として地方へ国庫から流されましても、先ほど来お話のように、その行方、そうしたものに対するはつきりした線が出ていない以上は、これは誠に心細い結果になる、現状においてそうでありますから……。殊にこの問題につきましては、先ほども御説明がありましたが、三年間のところを四年やるのでありまして、この経営では非常に苦心しております。殊に子供の熱烈な態度には、或る市におきましては後援会を作つている。そうして無理解な事業主がストツプさせることがある、それらに対抗しましたり、或いは学校給食、職場を離れて来るのでありますから、学校給食をやる。その施設はその後援会でやる、負担は自己負担というような、その他あらゆる面におきまして、いろいろの関係からつかえ棒をかけて、本当に細々と申しては何でありますが、やつているようなわけで、実にこうした勤労青少年の将来ということを考え、又一番大事な勤労大衆、而も何と申しますか、正規の学校に行き得ないような、而も家庭が豊かでなくて、みずからの力によつて働きつつ学ぶ、こうした青少年に国家の政策としても、これは十分の施策と、この要する財政措置をして頂かなければならないものであると思うのでありまして、最もこの恵まれないこうした問題に大きな支障を来たすようなこの法律案は絶対に反対であるのであります。
なお、公民館、博物館、図書館等に対しましては、只今の御意見通りでありまして、全くこの運営費を除かれまして、僅かの金と言いながら、只今までは基本事業に対してもありましたし、或いは人件費等にもありました。殊にこの公民館の運営等に至つては相当識見の高い堪能な人でなければこの成果を挙げることはできない。誰でもいいという問題じやありません。殊に図書館は資格がある。司書でも司書補でも補助の対象となるべきところの必要資格を持つている。而も十五単位以上の講習を受けなきやならん。実にあの図書館の経営というものは、カードを作り、書籍を分類したり、その他いろんな貸出等から考えてみましても、非常に技術的にも専門的なものを要するのであります。そうした人を今いろいろの国の恩恵を受けまして予算を計上して今日運営をやつて来ておりまするときに当つて、こうした運営費を除き、而も政府の経費の補助に対するところの範囲は政令で定めるというようなことになりますと、誠に不安に堪えないのでございます。御案内のように公民館は末端におきましても、これは勤労大衆ばかりでなく、すべての大衆、男も女も青年も全部が恩恵を受け、又これによつて村も立派になり、町も立派になるという、こうしたものでありまして、何と申しましても私たちは文化国家建設等ということをすぐ申しますけれども、全国全部に亘るところの教養水準を高めるためには、こうした社会教育の部分がなくちや私は高まらないと思う。都市集中の文化に終つてしまうと思う。殊に学校ということだけに限られまして、それ以外の方面の予算措置というのはなかなか困難なんです。どこも六三制の財政措置がいろいろ講じられまして、その余力あるところに社会教育というようなものだけで予算編成等をやられて参つておりまして、非常に経営者は苦心惨憺これに当つておるのであります。でありますから、公民館の事業等に対しましても、或いは農業協同組合のほうからの御寄附を願つたり、或いは社会学級又は講座等を設ける場合に、いわゆる基本事業を行う場合においては、一戸三百円乃至二百円を、これは普通の市あたりでもやつておりますが、そういうような工合にして協力しまして、そして運営をやつておるような現状でございまして、甚だこの金額が補助と言いましても今日まで少かつたのであります。神奈川県あたりは割当百三十一万くらいなことでございましたが、それでもせめてその額でも只今まで紐付になりまして、県の社会教育委によつて最も妥当にそれに交付された。それを呼び水としまして、市町村では財政措置をし、僅かな金であつても国がこうした心配をしてくれたということで皆がやつて参つたのであります。こうした方面の十分御理解のある皆様でありますので、何としてもこれからの教育は大衆の教育をし、又水準を上げるという意味からも、この図書館並びに公民館、博物館等に対するところの補助の範囲といたしましては、運営費という方面或いは維持費というものを国が代つて見て頂かないというと、実は施設あつて手を拱いているというようなことになるのであります。先年地方教育委員会ができまして、町村等にそれぞれ置かれました関係上、この社会教育に対して非常に熱を持ちましてこの方面の活動を開始をしておるのであります。そういうような現状におきまして、この際一層強く要望申上げる次第でございます。
なお、教科書の無償配布のことも、これは県同様の意見でありまして、憲法の精神に則りまして無償交付の形をとつて参りまして、これは朝令暮改のような結果になりますのですが、法に謳つてあるように、これは一面におきましては、そうした面でありますが、やはり生徒の前途、門出を祝うというような意味もあるやに承わつております。ただここで先ほど来、経済面は大したことはないというような御意見もありましたが、これは私どもはそう考えておりません。殊にどこの入学に一番金が要るか、これは子供をお持ちの皆さんはよくおわかりと思いますが、小学校が案外要るのであります。これは非常な負担だ、初めて学校に行くのでありますから、親としてもほかの子供にひけめを感じさせまいというような考えから、それぞれの支度その他に金がかかつて来るのでありまして、例えば今までは国語の本が上中下となつた場合もありますし、算数が一冊としまして大体二百円ぐらいのものです。PTAの会費は約年間四百二十円ぐらいになつております。それくらいを出すのだから二百円の金は僅かなものだ、こういうような意見を言うかたもありますけれども、なかなか入学当初においてのプレゼントとしては誠に貴重なものだと思うのであります。御案内のように、市等におきましては就学奨励費等を持つておるのでありますが、年々刻々却つて都会地などにおいて生活が困難なかたがある。従つて生活保護法によるかたがたはそれぞれやつておりますが、その上のすれすれのところが非常に困つておられる。必要な就学奨励費というようなものは、そうしたものの配分等におきましては、民生委員、PTAの役員、学校の教員等の協議によつて、その上のすれすれの線以上のところに大体交付されておるのでありまして、その辺のところは又生活保護を受けられない、又子供の教育に相当熱心だというようなかたがたのことを思えば、都会地などにおきましては、これは経済上も全然これは関係がないとは言えないではないかというふうに考えております。これらに対しても、金額は三億八千か九千であると思いますが、是非精神的にも経済的にもこれは復活して頂きたい、従つてこの法の停止ということには賛成いたしかねるのであります。
なお、産業教育振興法の教科書に対しても県教育委員会と同様でございますので、反対でございまして、省略いたしまして意見を終らせて頂くことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/69
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070・松永義雄
○委員長(松永義雄君) それでは一括して質問願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/70
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071・成瀬幡治
○成瀬幡治君 風巻さんにお尋ねするわけですが、先ほど定時制高校のところで、給食というようなことが、後援会ができておつて給食をやつておるというようなお話ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/71
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072・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) それは施設のほうですね、施設をしてやつて、あと夜間部の生徒会のほうで金を払うわけです。それで小使とか、その他用員がうどんを売つて、大もりが二十円というようなことで、それで会社、工場から馳けつけてやつて来て、そこで食事をして、それから授業を受けるというようなことでございまして、そうした施設が金の出どころがないのであります。それで後援会の仕事はたくさんあるようで、先ほどの事業主に対することも非常に大きく動いておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/72
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073・成瀬幡治
○成瀬幡治君 私実は愛知県の瀬戸という陶器の産地におるのですが、瀬戸の定時制高校の生徒さんなんかの考え方を聞いてみると、一日仕事をして働いて、そして学校へ行きたい、但しその間に弁当を二度持つて行くのは困る。だから何か給食施設というようなものをやつてもらつたら非常に有難いからやつてもらいたいというようなことの要望が非常に強かつたわけです。そういうことについて、神奈川のほうで或る工場地帯だと思いますけれども、それに対しては経営者が相当協力しておつてくれるのじやないかと思うのですけれども、そういうことをやつておられるということ対しては非常に私は嬉しく思つておるわけですけれども、実際そういつたような定時制高校の問題については給食をやれというような要求が私は相当強いのじやないか、単に神奈川県だけの問題じやなくて、或いは私が今例に引いたところばかりじやなくて、相当問題になつているのじやないかと思う。従つてそういうようなことに対しては、全国教育委員会のほうとしては文部省の何かに対しまして、相当何と言いますか、働きかけをやつておみえになつたかどうかということを平田さん一つ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/73
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074・平田善行
○参考人(平田善行君) 従来とも、先ほど申遅れましたが、社会教育面については、私ども集まりますたびごとに、非常に遺憾に思いまして、決議その他を以ちまして文部省その他の当局にお願いをして参つたのであります。けれども今お話申上げましたように、現在の段階では全く職員の給与が、先ほど風巻さんもお話のように四割ということになつておりますし、これは先ほど友末知事のお話がありましたが、いわゆる実支給単価の四割ではございませんので、理論単価の四割でございますために、実際には私は全国的な統計は持つておりませんけれども、私は広島県でございまするが、広島県等でもたしか三割くらいにしかなつておらんと思う。殊に定時制で山間僻地の学校におきましては、いろいろな関係から割合年の多い先生が多いのであります。ますます現給単価が高くなつておるのですから、四割の補助というものは実際の実支給単価からすれば遥かに下廻つております。従つてこれさえも認めて頂けないということになれば、先ほど風巻先生のお話もございましたけれども、ますますこの町村負担が殖えて参るのであります。町村におきましてはもう設備もやらなきやならん、それから先ほどお話がありましたように、小使、用員その他の費用も持たなきやならん、この上又持つというようなことは到底不可能じやないか、まあ私はさように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/74
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075・成瀬幡治
○成瀬幡治君 去年、例の青年学級振興法ですね、あれをやるときに、まあ文部省の教育方針というものはいわゆるこういう恰好で行くのか、曽つての青年学校のような、そういう社会教育面のようなところに重点を置いて行くのかどういう点だというようなことで非常にまあ論争したこともあるわけですけれども、これと絡み合つて青年学級振興法のことについては今度は何ら触れていないわけですけれども、そういうふうなものに関して一つ御意見を伺つておきたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/75
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076・平田善行
○参考人(平田善行君) これはまあ文部省との話合になりまして、ちよつと工合が悪いのでございますが、私どもといたしましても、今お話のありましたように、この青年学級というものを一方に作り、又一方で定時制を推進するというようなことでなしに、社会教育というような大きな立場から何とかこれはまとめて、何らかの法的措置にいたしましても、財政措置にしましてもやつてもらつたほうがいいんじやないかということは、私どもとしてはそういうふうな意見を持つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/76
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077・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) ちよつと関連しまして、よろしゆうございましようか……。市のほうは市町村のほうでこの問題を議しましたときは、やはり僻村は青年学級の必要を非常に称えた、もう高等学校のある所までは六里ある、やはりこれは補助の対象として昔の青年学校じやなくて、我々の意思によつてやつたものに対しては補助の対象にしてもらいたい、僻村とか、そういうような所は非常にこれを主張されました。それから市なり、町の大きい所は一本論でございましたので、一応まあ状況を申上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/77
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078・成瀬幡治
○成瀬幡治君 今風巻さんからもそういうようなお話ですが、私たちも意見もあるわけですけれども、このことはさておいて、第六条に関連するわけですが、やはり前の大竹さんは経済的な問題に云々と、こういう意見をおつしやつたのですが、不就学児童或いは長欠児童、これは私は不就学児童が多いと思うのですが、本当に金がなくて、或いは家庭の都合で小学へはやらないというような生徒はいないのじやないかと思うのですが、そういう生徒がありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/78
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079・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) 金がなくてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/79
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080・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/80
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081・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) ありますです。それは私のほうの川崎は、これは特殊性で一般に推せませんけれども、相当多いのでございまして、事実今まあ夜間中学というものを、いわゆる定時制のようなものを置いておるのが、まあ病気で来れないとか、家の家計のために来れないとか、いろいろ五年あたりから調べまして、どうしても必要でございまして、まあちよつといろいろ法規的に不備のところもありますけれども、そのときの調査から見ますと相当多うございまして、今三校を夜間中学としてやつているというような情勢でございます。数はちよつと今日は持つて来ておりませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/81
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082・成瀬幡治
○成瀬幡治君 平田さんのほうは実際新制中学の不就学児童に対して経済的なもの、何か数字なんかお調べになつたものはありましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/82
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083・平田善行
○参考人(平田善行君) 無論あるはずでございますが、私手許に持つておりませんでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/83
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084・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この定時制の職員費の国庫補助は二十三年にできて、二十五年のシヤウプ勧告による地方税制の改革の場合、平衡交付金のほうに組入れられたということで、法によつて紐付で実施されたことは以後ないわけです。以後一括平衡交付金の算定基準によつて職員費の単位をきめ、そうして各県なりの職員の員数をきめて出してやつておるものですから、県の自由裁量によつては減らすこともできるし、殖やすこともできておつたわけですが、私たちの聞き及んでいるところでは、実情は国から割当てられている定員程度のところで定時制教育を考えて、それ以上県費の負担によつて府県立の定時制高校を拡大して、いわゆる働きつ学ぶという勤労青年のための教育というものに十分な金をかけないというようなのが実情のように聞いておる。それが今度停止されるということになれば、なお顕著な問題として現われるということは、さつきお伺いした通りなんですが、特にこの都市においては市立の定時制校は、勤労をしておる青少年工の養成等で、夜間の学校としてそれぞれ置く必要もあつて御苦労なさつておることはわかるのですが、地方の農村部等において向学心に燃えて、それに対して普通教育或いは今日実業補習学校も青年学校もございませんから、これに代替される考えで或る程度の技術教育も加味するというようなことで、定時制の分校を持つて欲しいというような要請が町村において非常に全国的に熾烈なわけです。ところが県のほうではそれを持つて欲しいのならば、条件として教室を設備する費用を負担せいとか、或いは小使を置くならば小使さんの費用を或る程度見てくれとか、いろいろなその条件が伴つて、そういうものができる。而も教員そのものになりますと、住宅等も地元で面倒をみてやらなければ、人材を長く僻村に置くことができないというようなことで、一年間継続的な教育が優秀な教員によつて行われないという事情もあるように聞いておるのです。それをもう初めから交付税という形で見るんだということで、何ら計画的な基準その他も示されないで、地方の府県なり、或いは間接には市町村の負担になるような、こういう定時制の学校のあり方というもので、今後定時制教育というもの、唯一の勤労青年のための定時制教育というものが伸びて行くというふうにお考えですか、その見通しを率直に私はお聞きしたい。而も県の教育委員会なり、地方教育委員会等では財政権がないから、呼び水になる紐がなければなおのこと、県当局或いは市町村当局に対して、これらの要請をするということが困難になるのではないか。それらも考えてお尋ねしているわけで、もう定時制の教育が今後において地方の実際財源で伸び得る、或いは現状の維持ができるということであるか、こういうことをされたのではもう定時制教育というものは瓦解してしまう、根底からもう変なものになつてしまうというふうにお考えになつているか、もう少し強い御発言を、強いということでは語弊がありますが、はつきりした御発言をお願いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/84
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085・平田善行
○参考人(平田善行君) 御意見の通り、かなり強く申上げたように思つたのですが、若し表現が弱かつたら強いというふうに御了解頂きたいと思つております。瓦解してしまうということになりますると、非常に問題でありまするが、先ほどお話にもありましたように、私の県は広島県でございまするが、広島県等におきましても定時制の運営には非常に財政的に困つておりまして、いわゆる零細学校と申しましようか、学級が三学級以下のようなものはできるだけ許さないし、又現在あるものについても、何らかの整理統合をしようというようなことで、本年からいろいろやつておるような状況でございまして、お話のように現在以下に相成りまするというと、定時制高等学校の運営というものは極めて困難なものになりますると同時に、先ほど風巻先生のお話にもございましたように、現在大部分の負担というものを設置町村がやつておるのであります。従つて、川崎等のような大都市におきましては、まだ余裕がございましようけれども、先ほど御質問にありましたように、非常な寒村僻地に高等学校の分校としてございますのが殆んど大部分ございまするから、それらの地等におきましては、年間数十万円の維持費等は非常な苦しい財政であるのであります。極めて困難になるということははつきり申上げることができる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/85
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086・上林忠次
○上林忠次君 定時制の高等学校の問題ですが、私自分の経験から考えて、昼間職を持つていて夜勉強する。これはもう体の健康状態から考えて相当無理がある。先ほども問題になつておる、こういうような小さい問題すら解決できないというような今状態ですが、融資の問題とか、いろいろの施設の問題を相当考えてやらないと、こういうようなことをやつては却つて国民の体位にも影響し、十分な教育の効果も挙らないと思うのでありまして、皆さんのほうで雇用主とのどういうような連絡が付いておるか、教育を十分効果あらしめるために、この疲れた学生生徒のためにどういうふうなことをやつておられるか。現在やつておられるようなこと、又やりにくい点、そういうふうな点をお願いしたい。
〔委員長退席、理事小笠原三三男君着席〕
それから雇用主とどういう工合な協調連絡を保つておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/86
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087・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) 只今のお話の通りでございまして、事業主との関係は、やはり事業王の消長によりましていろいろ御理解のないかたもありますですが、事業主と学校当局と、それから市の委員会との懇談会をやつております。それから健康のほうは保健所のほうにお願いしますが、大体昼間より多いものですから、いわゆるリクリエーシヨン式なもの、或いは音楽会とか、自治会とかというようなものを挟みまして、そうして学校で相当それらを按配しておりますが、事実何と申しますか、球技などにおいて、定時制の学校だけの練習、競技会とか、そういうことも行われております。大体球技だけでございますが、あと体操、やはり健康を通じて……、皆勤というのが極めて少い。自分の意思でなくて他人の意思でやつぱり遅れたり、休んだりするために非常に気の毒なんです。こういう点についてまだ誠にこれは我々委員会としましても手が廻つていないことは事実です。それともう一つは一般社会の理解がない。六三制で義務教育のほうばかりやりましてね、もう能事足れりというようなことで、これはもう義務教育じやないじやないかというような一般市民の考えもそういうようにありまして、こういうことこそ社会的に日本を救うところの大事な点だということを一般の人に理解せしめる、そうでないと予算措置がどうしても得られない。そういうようなことで本当に十分でないと思つております。施策がなかなか実行に移されておりません。東京方面と相当性質上これは違います。それと先ほどお話のありました、やはり昨年も文部省の予算になかつたのでありますが、何か紐付で呼び水のようなものがないと財政措置がなかなか困難であります。ただ通信教育のほうの費用は増加になつたようで、そうした方面では得られますけれども、これはやはりあの青年期における先生と生徒との接触は大事なことです。それと今言つた実物実験、実習というものができない。こういうような方面も非常に通信教育だけでありまして、むしろこちらのほうを先にというような考えでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/87
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088・上林忠次
○上林忠次君 戦後産業教育と言いますか、実業教育、このほうが社会から疎んじられておるじやないかという感じで私見ておるのですが、なかなか教育関係の皆さんからもそういうような意見が余り出て来ない。文部省も余り考えない。たくさんの学校ができているけれども、殆んど文科系統の学校ばかりというようなことで、日本の産業がこれから大きく発展せんならんという原動力となる産業教育ができておらんじやないか、大体世界中で二流三流の植民地の連中は、医者とか、弁護士とか、そういう人間になるのを理想として産業人になることを恥のように考えておる。未開地の連中はそうなつておりまして、日本もそういうようなところへ今来ておるじやないか、もつと我々が産業教育というものを充実して行かなければいかんじやないかと思うのですが、こういうふうなことが余り出て来ない。而も戦前に比べて減つておるというような現状から考えると淋しい感じがするのですが、皆さん教育の関係者の立場から考えて、そういうことを痛感されないのですが、御意向を承わりたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/88
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089・平田善行
○参考人(平田善行君) 只今のお話全く同感でございまして、私どもしよつちゆうそういうふうに考えておりますが、ただこれは非常に問題が大きな問題でございますし、果して現在の六三三四の学制というものが、さような産業教育に最も適したものであるかどうかということは、私は再検討しなければならん余地があるのではないか、かように考えます。と同時に、産業教育をいたしまするときには設備が非常に要るのでございます。只今お話がありましたような、決して教育関係のものも、それを等閑視しておるわけではございませんで何か例えば工業学校、工業の高等学校であるとか、或いは農業の高等学校であるとかいうようなものを設置しようとしますと、非常に多額の経費を要します。同時に御承知のように、数年前に高等学校におきましては、学校の再編成というものが行われまして、相当無理な再編成をやつておるのであります。それを只今各県教育委員には、非常な何と申しましようか、困難の中にも是正をいたしておるような状況でございまして、その是正に奔命にそれぞれ疲れておるという状況で、更にこれを一歩進めて設備の拡充とか、或いは内容の充実であるとかいうところまで行きかねておる。その一番大きな理由は財政的な理由である。かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/89
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090・成瀬幡治
○成瀬幡治君 産業教育振興法の、教科書の補助金打切の点ですが、前に文部省が提案するときに、あなたが御指摘になつたような特殊産業の教科書がなくて困る。そこで先生がプリントを刷つてやつておつたから、非常にまあ先生の負担がえらいから、そして而もそれが授業に差支えておる。だからこういうことをやるのだと、こんな提案理由の説明だと私は記憶しておる。実際問題としてそういうことがあつたのでしようか。例えば広島県のようなところではどうですか。
〔理事小笠原二三男君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/90
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091・平田善行
○参考人(平田善行君) 御質問の何がよくわからないのですが、これは従来昔の旧制度の学校自体にいたしましても、実業学校というものは教科書には非常に困つたのです。無論今日でも非常に困つておりますが……。ですから従来非常な極端なことを言えば、農学校或いは工業学校で、普通の工業学校と高等工業学校と大学とで教える内容がどこが違うかということで非常に問題になつたことがあるのですが、そういうことをお考え頂ければおわかりになりけすように、恐らく教科書の編纂というものは殆んど経済的な価値がございませんから、従来ともこれは非常に困つておつたんです。只今御指摘のように……、ですから先生が自分の古いノートを持出して、それをプリントにするとかいうようなことは随所に行われておつたろうと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/91
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092・石井桂
○石井桂君 私は教育、学校関係の補助金単価についてちよつとお伺いしたいと思います。午前中の友末知事の御説明にも、高等学校の実際の坪当り所要単価が三万二千円のところを、六千円乃至九千円くらい低い補助金単価をもらつて困つておるという話があります。恐らくこの事情は中学校、小学ともやはり同じだろうと存じます。そこで困つておる不足の費用は地方公共団体で御自分でお出しになるか、或いはPTAのほうの寄附金によるとかどうかしておつけておると思いますが、そのお困りになつておる事情がわかりますれば大変結構だと思いますが、お二人の中で、両方でも結構でございます、知りたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/92
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093・風巻義雄
○参考人(風巻義雄君) 全く困りまして、大体学校建築等その他につきましては、自己財源だけでできませんですから、その他起債等もやる。そうしますればずれます。そこへ持つて来て、今のような単価がこうなもんですから、少ないもんですから、建築費においてもそうこういたしますうち、土地の値上りもどんどん行きます。土地を何坪と予定いたしましたところが、五分の一を減らすということで、そういうことで縮めてやれば運動場も将来殖えた場合には、生徒一人当りの坪数は少なくなる。その補助の額が坪単価が低いために、こういう問題に対しては、年中県教育委員会、地方教育委員会に単価の向上ということで陳情なりやつて参りました。今年は多少増しましたが、まだ窮屈な状況でございまして、教室だけでやつておるので、便所、廊下までできないというような実情が頻々としてございまして、だんだんにそれをずらしているというような状態です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/93
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094・石井桂
○石井桂君 非常にお困りになつておるということはわかりますが、私も二、三実情を知つておりまして、今のような計画坪数が少ないために、必要な便所とか、小使部屋とか、廊下というものをすつかり節約してしまつて、あとでPTAの寄附金に仰いだり、随分苦しい思いをするので、所詮学校が望むところのものができませんで、比較的建築としては程度の低いものが供給される、こういうような事情であります。そこで普通の他の建築予算であれば、例えば住宅のごときは建設省で随分骨を折つて、大蔵省あたりと随分交渉をして逐次高くなつて来ているようです。それに比べて学校建築費の単価というものが弱いのですか、何ですか、わかりませんが、非常に全体的に言うと、建築費の単価が私は非常に少いように思うのです。この点私としてもできるだけ高くしなければ学校として立派なものはできないと思います。皆さんのほうでどういうように今までの活動を、文部省だけに、御交渉になつていたか、或いは財源を出す大蔵省、計画する大蔵省等に運動なさいましたか、その辺如何でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/94
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095・平田善行
○参考人(平田善行君) 只今お話の通りでございまして、その点については常に運動をやつておりますし、単価の引上と、それから基準坪数の引上ということが一つの大きな問題になつておりまして、今年は先ほど風巻先生からお話のあつたように、基準坪数のほうも多少よくなつて参りましたし、単価も多少高くなつて参りました。ただ高等学校には御承知の通り戦災復興等はございますが、一般の補助がございません。小中の、殊に中学校の六三建築に関しましては、実はあの補助というものだけで建てているような学校は、よその県のことは存じませんが、広島県あたりはないのでございます。これは本当に建てますものの一部分となりまして、補助金、或いは起債等が参つておるのでありますから、割合に無神経だ、若しあれが本当に補助、起債だけであの基準単価で建てますならば、到底家にならないのでありますが、父兄の寄附であるとか、或いは町村の負担であるとか、その他の方法を以て、大部分の学校におきましては、補助、起債の倍額或いは三倍というようなもので実際には建築をいたしておりまして、その一部分の助けにするというような気持を持つておりますから、どうも切実な声が出て来ないのではないかというふうに観測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/95
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096・松永義雄
○委員長(松永義雄君) ほかにございませんか。この点は質疑は一応打切つてよろしうございますか……。
次に、全国農業改良普及事業協会会長秦一英君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/96
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097・秦一英
○参考人(秦一英君) 私は全国農業改良普及事業協会の代表者であります。又村長という立場にありますので、そういう立場から補助金等の臨時特例等に関する法律案のうち、農業改良助長法に基く補助金の特例、第十二条になりますか、この点につきまして意見を申述べさして頂きたいと思います。
私ども全国農業改良事業協会は、普及事業受入側として、各地において、町村であるとか、或いは農業委員会であるとか、農業協同組合であるとかというものが集まつて、農業改良普及事業に協力する組織があるわけでありますが、この県連合会の全国協議体でありまして、国からも県からも補助金等を頂かない自主的な団体であります。むしろ地区の団体におきましては、普及事業のために金を出しておるという団体でありまして、結局私の申上げる意見は、農業改良普及事業に対しまする受入側の者の意見としてお聞きを願いたいと思うわけであります。
最近の農村の動向から申しますと、農村におきましても最近インフレが次第に高進して参りまして、農家は次第にその経営、生活内容共に苦しくなつて来ております。又農業そのものが、規模が非常に弱体でありますから、この不況から脱出するというために、農地の造成でありますとか、或いは土地改良の実施であるとか、或いは営農上の資金、或いは資材の援助を受けたり、価格政策上の対策を何らか国や県から援助して頂きたいというような希望を持つております。こうした環境の中で、農民の考え方には現在において非常に対立した二つのものがあるように見られるわけであります。その一つのものは、このような農業不安の状態において、農業に対する情熱というものを持つことができないために、漫然と毎日その日を暮しているというような、いわば農業の生産の向上を期待することのできないグループであります。もう一つの存在というものは、何とかしてこのような困窮の中から打開の途を講じようと日夜努力しているグループ、こういうふうに分けられると思うのでありますが、私は農村の将来であるとか、現在の日本の農業に骨負わされているところの責任が重いという状態から考えまして、何とか打開の途を講じたいというグループを育てたり、或いは技術的に、知識的に引上げて行きたいという努力をすることが大切だと考えておるものでございますが、その仕事を末端において本当にやつておるのは農業改良普及員でございます。農業改良普及事業というものは、御承知のように昭和二十三年に実施になりまして、すでに五カ年の歳月を経ておるわけでありますが、その間普及員の献身的な努力というものが認められまして、今日におきましては、この普及事業に対する認識或いは普及員に対しまするところの信頼というものは、今日におきましては動かすことのできない状態にまで立至つております。その理由もいろいろありましようけれども、今日におきましては、農業薬剤というようなものにおきましても、次々と新らしい薬剤が出て来る、それから農法におきましても新らしい農法というものが順次提唱されて来る、こうなりますと、毎日勉強しなければ到底今日の農業経営はできないという現実の必要が、そうさせたことも一つでありますけれども、昔のいわゆる技術員というものは、供出に関連したり、或いは農産物の検査の手伝いをしたり、或いは補助金の事務をやるというような行政的な仕事が非常に多うございまして、結局本来の技術指導というものが十分にされなかつたのであります。ところが今度農業改良助長法に基きますところの普及員、或いは専門技術員というものは、法律の定める、或いは政令の定めるところによりまして、非常に高い程度の資格試験を通つて来た立派な技術者であります。而もそれが行政的な煩わしさから放たれまして、本当に真剣に技術指導に専念できる、こういうことのために信頼を受けているのではないかと思つております。それから特に最近顕著に農業改良普及というものに地方の農民が関心を持つたというのは、昨年生じました農業の大きな災害の経験であります。その経験を通しまして、全く日夜寝食を忘れて何とか最小限度に災害を止めようと努力したのは農業改良普及員であつたわけであります。その努力が実を結びまして、或る程度の災害の阻止はできたわけでありますが、このようなあり方が今日農村におきましては、普及事業そのものから離れることのできないような大きな関連を持たせる結果になつておるわけであります。
そこで、私たちは今この普及事業に対しまして幾つかの希望があるわけであります。第一番に希望いたしますことは、普及事業は結局は根本的には人間の問題でありまして、先ず質のいい普及員をたくさん揃えて頂きたい、それから又普及員が十分に活動できるような予算をほしい、或いは俸給の措置におきましても、十分他の同等の資格のある者に匹敵するような処遇が与えられるべきである。それから又地位も安定するような措置を講じて頂きたい。講じないというと、普及員が安定してその地域団体のために、或いは農家のために尽すことができないのではないかと考える。又少い普及員でありますので、大体現在千戸前後の農家を受持つておるのでありますが、このような厖大な農家を指導するためにはどうしても機動力が必要であります。各農業改良普及所員は少くともオートバイくらいの施設がなければ、到底十分な技術指導は行えないのではないか、このように思います。それから又普及事務所の運営の経費というようなものにつきましては、現在殆んど国から流れて来ないというのが実情でございまして、このようなことでは、到底現在の普及事業を維持し、或いはこれ以上に推し進めて行くということは望めないと思うわけであります。現在普及員の駐在しておりますところの事務所の費用が国からも県からも経費が出ないというような現実のために、殆んどその全部を地元の町村で負担しております。これは全国的に見れば、昭和二十八年度の実績は、三億三千百八十六万七千円、ほぼ全経費の一一%にも当つておる実情であります。例えば、私は山梨県でございますが、山梨県の実情を申上げますと、二十八年度の実績では地元負担の合計が六百六万六千円になつております。それから又私の村の所属する普及事務所は町と村が八カ町村で区域になつておるわけであります。二十九年度の地区の普及事業の協力体の予算が先日成立しましたのを見ますと、四十五万八千四十五円という額を本年度は町村で出さなければならない。これを言換えますと、殆んど普及事業の末端事業の費用というものは、すべてが地元の町村で出しておるというのが現状であると言い得ると思います。このような地元の協力というものも最近の町村財政の困窮の状態から見ましても、又来年度の国家財政の緊縮の状態から見ましても、到底これ以上殖やしてもらうことは殆んど困難だと思いますし、又そう続くべきものではない性質のものだというように考えております。一体普及事業の経済的効果というものについても、国でもよくお考え願えば、この経費がどのようなものであるかということがよくおわかりになると思うわけでありますが、二十八年度に要しました全国の推計経費は、国、府県、町村を通じまして大体二十九億七千八百三十九万九千円になるわけでございまして、その一戸当りは僅かに四百八十五円にしかなつておりません。而も水稲の昨年の作付面積二百八十九万五千八百三十町歩に対しまする一反当りの費用にいたしますというと、百三円ということになる次第でございます。これを二十八年の基準米価で換算いたしますというと、ほぼ米一升分でございます。この一升分というものを全国平均の平年反収二石一斗というものに比較してみますと、大体これは〇・五%にしかならない。要すれば稲作において〇・五%の指導による増収が得られれば、この普及事業に対する経費の収支というものは償うはずである。その他の効果のすべては全部が利益だということになるわけであります。而も私たちの地区におきまするところの事例から申上げますと、原種圃の増収の実績というものはほぼ一割ぐらいになるようでございます。こうなりまするというと、この普及事業というものが、今日の食糧の自給度を向上させなければならないという国家的必要の面からみましても如何に大事なものであるかということもわかりますし、又この経費を外貨の節約という面から計算しましても、全く論議するに足らないような経費になるのではないかということを思うわけであります。而も本年度におきましては、国におきましてはいろいろの事情から緊縮予算の止むなきに立至つておるようでございますが、こうなりますと、結局食糧増産関係の経費にも相当な減額が見込まれるのも当然なことと思うのであります。而もこれを補つて直ちにその効果が期待できるというのは改良普及員の技術指導の徹底以外にないということを痛感いたします。このような意味合から国も県ももつと本気にこの農業改良普及事業というものに力を入れるべきではないか、こういうように思う次第であります。そこで補助金等の臨時特例に関する法律の第十二条によりますというと、従来農業改良助長法によりまして農業改良助長法第十四条第一項一号乃至二号の経費につきましては、従来三分の二の補助、こういうものを二分の一に改めるというようになつておるわけでございますが、これは今まで申上げましたような事情からも、又次に申上げますような理由からも極めて適当でない、全く今日の農業の国家におけるところの重要性というものを無視した行き方ではないかとさえ私たちは思うわけであります。
その理由の第一でありますが、それは食糧の増産或いは確保ということが国の責任であると思いますし、これを達成しまするところの一環の施策でありますところの普及事業について、国が負担するということがむしろ当然だ、これは府県や町村が負担するということは、この事業の性質上から行きましても誠に遺憾のことであると思うわけでございます。少くとも国では県が負担する以上のものを負担すべきでありますし、できれば全額負担してもいいではないかとさえ私たちは思うわけであります。今日の食糧確保の緊急性から見まして、国の果す責任というものが急に減少したとは思われないと思います。理由の第二は、この農業改良普及事業というものは継続的な事業でございまして、一年ごとにぽつりぽつりと突然に出て来る仕事ではないわけであります。而もその予算のほぼ九四%というものは人件費で占められているわけでありまして、各都道府県におきましては、この九四%にも及ぶ人件費の三分の二というものが国から来るであろうということを予定して、完全に与えられた定員を置いているわけであります。而もこれが突然に二分の一になるというようなことになりますれば、友末参考人からも申上げたようでありますが、結局人員整理というようなことにしわ寄せしなければならん結果になる。現在でさえ不足する普及員の定員が、更に財政的な理由から減員されるということになりますというと、全く農業改良助長法の目的というものは達成することができない。これは全く国の考え方としては乱暴極まる考え方ではないかと存じます。理由の第三は、現在普及事業に対しまするところの補助は、その補助対象が限られておりまして、必ずしも全部のものに補助をしておらないわけであります。例えば友末さんからもお話がありましたけれども、当然公務員に給与さるべき期末手当でありますとか、或いは勤勉手当でありますとか、或いは超過勤務手当でありますとかいうようなものが全然補助の対象にならない。昨年度の国のこの事業に対する経費の総額を見ますというと、三億四百七十一万六千円にも及んでおります。こういうものは全部県負担で賄わなければならない、こういう結果になるわけであります。而もやはり友末参考人からも申上げましたが、この補助の基準となるべき人件費の単価というものが非常に安い。国におきましては、府県の給仕から部長に至るまでの全職員の平均したもののベースをとつてほぼきめているようであります。これは六級五号俸程度にきめているようでございますが、先ほど申上げましたように、普及事業に携わるものは国の厳重な資格試験を受けることになつております。そういつた関係上、かなり高度の勉強をしておりますし、而も質の揃つた同質の職員が全部占めるということになります関係上、結局給仕から平均しました給与では到底間に合わない、普及員の場合を見ますと、六級五号で算定されたものがほぼ全国平均して七級二号になつております。それから専門技術員の場合におきましては、更に差がありまして十級三号というような給与差があるわけであります。そうなりますというと、結局三分の二の補助を頂きましても実質的には三分の二にならない、現状におきましては半分にも達しないというのが実情でございます。例えば二十八年の現在の推計によりますところの額から見ますというと、総体の額が二十九億七千八百三十九万九千円であります。ところが国庫の補助は十二億八千百三十八万三千円で、ほぼ四三%にしか当つておりません。あと残りのうち四六%は府県が負担しまして、更にその残りの一一%というものが、先ほど申しましたように財政上負担すべからざる町村の負担になつているということが現状であります。これを若し二分の一に引下げるというふうなことになりますというと、更にこの補助の内容は実質的に下つて行く。これは到底今日の地方財政の現状では賄い切れるにずがないと思うのであります。そうなりますと、結局府県はない袖は振れないのでございまして、弱いものにしわ寄せする結果となりまして、町村に負担を転嫁するか、或いは普及事業というものを縮小して、更にその整理が行われるということになりまりと、これ又農業改良助長法の目的を達することを困難ならしめる原因になろうかと思います。更に理由の第四は、補助率を三分の二から二分の一に下げましたその差額六分の一というものを、国では地方交付税のほうへ繰込まれるというようなことを申されておりますが、或いはそれはその通りであるかも知れません、併しながら私たちは地方財政平衡交付金の例でよく存じているわけでありますが、国は一定の単位費用を乗じまして地方の財政需要額を算定するわけでありますが、この財政需要額の算定基準そのものが、必ずしも地方の実際の財政需要額に合うかというと合わないのでございます。これは国におきまして自治庁を通じましてお調べになればよくわかるわけでありますが、いわゆる財政計画に盛りましたところの財政需要額と年度末の予算現額というものを比較しますると、市町村の場合におきましてはほぼ七〇%にしかあたらない。甚だしい町村におきましては六〇%以下にしかあたらないというような事例がたくさんあるのでございまして、結局如何ような計算をなさりましても、交付税の額の中に組入れましても、その財政需要額の絶対額というものが地方の財政需要の絶対額に合わない。それ以下であるということからいたしますると、結局何かでその差額を地方では節約しなければならないということになりますので、勢い農村を対象といたしまする普及事業というような弱い面へはしわ寄せが来るのではないかと思うわけであります 特に各参考人からも意見がありましたが、この交付税というものの性格がひも付きでないわけでありまするので何らこれに拘束されることはない。結果するところはやはり必要な政策面のその県その県の必要の度合に応じて重点的に流されて行く。当然国家的の見地から見れば一瀞必要な農業改良事業でありながら、府県自体の当面の困窮からこれが置いておかれるということになりますると、現在の国の要請する普及事業の確保は非常に困難になる。こう思うのであります。更に又法案の十二条の中には必ずしもこれだけの額を府県が出せということをおきめになつておらないのでございます。即ち言い方は、府県が出す費用を超える部分については補助金を受けることはできないというような表現の仕方をしておりまするが、こういうことになりますると、私ども受入れる側のものから考えますると、府県が場合によつては国の補助金さえもらわなければこの事業を縮小してもいいという印象を受取るわけであります。これは非常に遺憾であります。必ず義務経費として与えられた負担を地方はなすべきであるというふうに本当は書かるべきではないかと存じます。要するに自立経済の確立と言いましても又食糧の自給度の向上ということから見ましても、農業の改良ということが先決条件でありまして、これが解決しなければ意味をなさないと思うわけであります。こういう目的を達しまするためには、科学技術を高度に利用することと、資源の活用を図るということ以外にはないわけでありまして、普及事業は農業に科学を導入することによりまして、四割の人口を占めまするところの農民の生活を向上せしめたり、又農産物の増産によりまして国家経済の安定に寄与したり、或いは又それを引き延しては国民全体の福祉を増進するという根本施策に共通するものでございまして、現段階におきましては国家がこの事業に現在以上の力を注ぐべきである。結論といたしましてはこのように補助率を引下げることには絶対に受入者側としては反対せざるを得ないということを申上げて私の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/97
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098・上林忠次
○上林忠次君 現在の日本の農業の状態から考えまして、まあ農業関係として一番効果的な仕事は今の普及員の充実、指導網の強化、これは一番まあ食糧の自給の点から行きましても農村の経済の向上から行きましても必要じやないか。私もそういうような技術関係にタツチしておりまして、指導というのは幾ら金を入れてもそれの何倍か何十倍かの効果が上るのだということをいつも言つて来た一人でありますが、今回の修正の案を見まして、何とかこれだけはやらなくちやいかん。つきましては現在の指導網、普及網というのは十分じやないと思つておりますが、どこまで行つたらいいのか現況は二町村或いは三カ町村の上に指導網がとまつていて末端まで徹底していないのじやないか。そういうふうな指導の現在のネツトの状態なのであります。どの点までが理想なのか。又町村の協同組合にくつけるとか、ああいうふうな農業団体の再編成の問題ともからんでこの指導の機関を十分完全に動かす場合にはどういうふうな態様になつたら一番効果的なのか。そういうような御意見を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/98
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099・秦一英
○参考人(秦一英君) 只今の御質問誠に同感でございまして、私どももこの問題に対してはふだんから大きな関心を持つておるわけであります。昨年来農業団体の再編成をめぐりましてやはりこのような問題が取上げられておると存じておりますが、私たちは指導行政の一貫性を保持したいということが先ず念願であります。そのために当初団体再編成のときに政府が考えましたように、農業委員会の職員のうち、一人を技術員にしてこれを市町村の農業協同組合に勤務さしたらどうかというようなことがありましたが、そのような若し経費がありまするならば、むしろ今日人員の不足に悩んで指導の充実が期し得られない普及員の増員を先ずなすべきだ。この限界でありますが大体一町村一人ぐらいは最低ほしい。特に生活改良普及員におきましては、現在の状況を申しますると全国に二千百六十地区普及所があるわけでありますが、このほぼ二つに一人しかいない。千たしか二十二人ぐらいだと思いました。そのような乏しい人を、十カ村も十一カ村も一人の生活普及員で持つておるというような実情でございますので、十分に仕事ができないのは当り前でございますから、少くともこういうものも現在の普及所単位に一人ぐらいほしい。農業改良普及員は最低一カ町村に一人ほしい。而もこれが町村に分散する必要は私はないと思う。私はこの事業に相当長く関係しておりますけれども、念願といたしましては現存の中地区制を維持することが一番好ましい。大体技術のたまりでありますので一人々々の特技のある者を町村に分散してしまいますと、その利用度というものは非常に落ちますので、一定の箇所に数名の者をまとめて巡回の能率が落ちない程度の規模に駐在所を設けまして、そこに個々の専門に突込んだ技術員がいることが必要だ。個々の農家の技術水準というものは戦前より相当上つております。今日の農家が一番必要に思つておりますのは、更にそれより高い専門的な一人々々の指導が受けられるということでありますので、そういう面から行きますれば農業協同組合、或いは農業委員会に個々の浅く広い技術員を配置することよりも、専門的な能力を持つた優秀な技術員を一定の個所に集めて、その事務所へ行きさえすればどの専門のかたにも会えるという状態が好ましい。こういうことのためにはやはり農業改良普及事務所を中心とする普及員の増員によつて解決して頂きたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/99
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100・上林忠次
○上林忠次君 では現在の数から行きますとどの程度必要ということになりますか、あなたの御意見で行きますと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/100
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101・秦一英
○参考人(秦一英君) 現在のほぼ二倍半にならないと満足な数字にはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/101
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102・三橋八次郎
○三橋八次郎君 今お話を承わりますと、農業普及事業の重要であり且つ現下の食糧増産というような面には重要な役目を持つておるということがよくわかるのでありますが、併し今お話を伺いますと、秦さんの地方でも千戸前後を一人で受持つておられるというようなことをお伺いしたのでございますが、それで十分な指導ができるんでございますか、できませんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/102
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103・秦一英
○参考人(秦一英君) 勿論それでは十分な指導はでき得ないわけでありまして、この指導能率を上げるために、例えば私どもの地区では本年度県と相談をいたしまして、県費で半分市町村で半分持ちまして、すべての普及所へ国の予算を待たずにオートバイを入れることを議決した。そういうことによりまして巡回能率を上げる。もう一つはやはり国の予算がありませんけれども、移動指導が可能なように移動放送施設も各普及所で持ちまして、これによつて直接たんぼに働く農家に指導を徹底させるようにも図つております。そのようなことをいたしませんと、今日におきましての状態では指導が殆んど不可能だと、個々の農家指導はとても及びも付きませんし、団体指導においても現在のような機動力の不足なときにおきましては駄目であります。一地区本職員になつておりますものは私の地区で八カ村でありまけけれども四人でございます。このような状態では到底満足な指導ができない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/103
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104・三橋八次郎
○三橋八次郎君 そこでやはり人が不足であるということが指導が徹底しないという一つの原因でもあり、又人の不足を補うためにオートバイであるとかスピーカーであるとかを設備するというのであれば経費が又不足だということになつて来るわけでございます。秦さんのところでも八カ町村で四十五万円を負担して仕事をやつておるというようなお話でございますが、これ以上若し国の補助が減つて地元で出さなければならん経費がふえたとしたらやつて行けるでしようか、どうでございましようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/104
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105・秦一英
○参考人(秦一英君) この事業の必要性は十分に痛感しておりますし、又この事業がなくなつては困るということは骨身にこたえて一人々々の農民が知つておりますけれども、この事業の性格から行きましても個々の農家から負担をとることは不可能であります。そういたしますると今日の農村の実情から見ますると、国家の財政負担がふえない限りこれ以上の負担はできないということが断言できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/105
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106・三橋八次郎
○三橋八次郎君 そういたしますと若しこの法律がそのまま成立したとすれば普及事業の性質というものは将来どうなるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/106
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107・秦一英
○参考人(秦一英君) このまま二分の一になりますると、全部の府県とは申せませんけれども、相当の府県では人員の整理が行われて普及員が更に減員せられると思います。それから更に普及事務所の運営経費というものは支出ができない。又町村でもこれ以上の負担ができないということになりますると、半身不随の状態で開店休業のような普及事業になるのではないか、法律の狙う目的の効果は上らない。どのようなことがありましても是非このような法律の改正が行われないように格段の御心配を頂きたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/107
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108・小笠原二三男
○小笠原二三男君 あなたが御説明になつた農業改良局かで出しております参考資料で計数的に二つ三つお尋ねしたい。ようございますか。それで見ますと別表第一の二十八年度において給与費として本俸、勤務地手当、扶養手当が国庫補助十億五千百五十七万四千円で、県の義務負担が五億二千五百七十八万七千円ですから、総計、給与費としては十五億七千七百三十六万一千円となるように私一応合計して考えた。考え方だけを私は聞こうと思うので数字は余り拘泥しなくてもようござんす。これが仮に二十九年度そのまま持越しとなれば二分の一の県負担ですから、七億八千八百六十八万五百円ということになつて、従つて県費で持出している分と合わせると十億三千六百十三万八千五百円、相当の金額になる。いわゆる十億程度が国のもの、義務負担と純県費を合わせた地方負担であつて、国は七億八千万程度に減額される。こういうことになるのですが、そういう考え方にただベースアツプ分等を計数的に計算をしたものが二十八年度の三派修正額を含む補助標準が九千三百七十四万二千円を含む二十億九千五百七十八万四千円とこういう数字になつて出て来ておるのかどうか。即ち従来の人員は確保されるという前提で三派修正を含めば二十億九千五百七十八万四千円で、従来なかつた期末手当、勤勉手当、超過勤務手当を除いた他の給与は賄えると、こういうような計算にあなたのほうでなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/108
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109・秦一英
○参考人(秦一英君) 只今の御直問でありまするが、数字的なことはちよつと困難でありますが、現在お手元にあるようでございますが、この二十八年度に使用しました実績に対しまする国と県との負担の割合、又義務以外の純県費負担の割合でございますが、これは結局こういうことになるのではないかと思います。二十九年度になりましても二十九年度の定員に国の基準単価を掛けましてその二分の一ということになりますから、結局この差額は多くなる。県費負担の分が増加するということになる。結局友末さんもおつしやいましたように期末手当、勤勉手当、超過勤務手当等を加えまする二分の一ではない、四分の一程度になるのではないかということを恐れております。
それからもう一つはちよつと質問と関連があるかどうかはわかりませんが、三派修正で増額されたものの地方費の義務負担になるものが果して財政計画を修正されて、その措置がついておるかどうか、私ども心配いたしております。若しこれが交付税のほうに入るような措置、即ち地方財政計画の修正が行われないとしますると、只今申上げましたように県費負担が更に理論的に増大するばかりでなく、更に国家予算の修正に伴うところの地方財政の穴が附加されるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/109
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110・小笠原二三男
○小笠原二三男君 三派の修正を含んだ人件費としての基礎になつている定員の関係で申しますと、総計が一万三千百七十三人となつておるのですが、これは二十八年度の定員一万二千七百十三人の予定より上廻つておるわけです。それでこの計数上から言えばいわゆる整理される人もない。又ないだけでなくて純県費で単価にプラスして実際人を抱えておつたものが、昨年通りの人員であれば大体操作ができる。一万三千なんという定員はないのだから、欠員になる部分を以て賄えば昨年度のやつは賄えるというような関係になる資料のようですが、私はこれは疑問が多々あるわけなんで、もう少しあなたたち専門家なんですから、計数的にもう理由も何も十分これはわかつておるわけなんで、その理論でない、計数的にこの予算修正で実際に従来のような農業改良事業ということが、助長できるかどうか、こういう面を御説明願いたいと思うわけです発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/110
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111・秦一英
○参考人(秦一英君) 定員が昨年の定員と本年の予算定員とでどのような差があるかということは私、事務当局でないからよく存じません。ただ現実の問題といたしましては、末端の都府県におきましては予算定員より以上にすでに昨年においてなつております。で、今日各普及所には殆んどの府県で傭人の待遇で置いている職員もおるようであります。そういうことから言いますと、実際の国庫負担の額というものが、やはり本年度におきましても、依然として昨年と同様な質的な内容になるんじやないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/111
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112・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ではその関係団体において御承認願えるのならば委員長において、委員会の審議の参考になるように以下申上げる資料を出して頂けるようにお願いして頂きます。と申しますのは、本年度の農業改良助長法関係予算、三派修正を含むこの予算についての計数上に亘る意見を出して頂きたい。いわゆる国の農業改良普及員設置費についての単価は如何ほどで定員は如何ほど、従つてこうこうこうなる。併し現実には実人員はこうなつて実給与はこうなつている。そういう対比される資料をはつきり出して頂いて、この間食い違いが現実にあるならばあるということが計数でわかるようにお示し願いたい、如何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/112
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113・秦一英
○参考人(秦一英君) 是非私たちの会といたしましても、そのような資料をそろえて委員会のほうでお願いしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/113
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114・小笠原二三男
○小笠原二三男君 最後にちよつと伺いますが、二十八年度の関係で、普及事務所の運営費というものが地元町村なり農協等の寄付等による負担で三億三千万ばかり出ておるということですが、このことについては又聞きで結構ですが、農林当局なり或いは各府県なりは当り前のこととしておられるようですが、これは地方財政法において禁ぜられていることなんです。こういうことを当り前のこととしておりますか、この点お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/114
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115・秦一英
○参考人(秦一英君) 只今の御質問でありますが、実はこの負担すべからざる市町村の負担でありますが、これにつきましては全国町村会におきましても、農業改良普及事業に対する負担ばかりでなく、その他の法令に基かない市町村の負担の問題が論議されましてこれにも出すべきではない。而もこういうようなものは完全に国或いは府県で支弁されるべきだという要請を全国町村会といたしましても政府並びに各関係県に出しております。私たちの県といたしましても県側へその要求を強く数年来開設以来し続けておりますけれども、何と申しましても国から予算の配分がなく、又県におきましてもできるだけの努力はして人件費の不足を補う。その他の経費を出しておるという現状からいたしまして結局実際には出せない。併しながら普及所がある以上においてはそれを利用したいという、関係受入れ地方の住民の熱意がやむなく出している。これは町村の公けの経済からいいますと地方財政法上の違法行為でありまして、むずかしくなれば当然その他の与えられた財源を取上げられる性質のものだということは承知しております。併しながら現在におきましてはまだこれが解決せずにやむを得ない。而もそれが地域団体の利益に共通するという一点において、どのような理由があろうともやらなければならないという必要のために出しているという実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/115
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116・小笠原二三男
○小笠原二三男君 町村の農協等の部屋を借りて普及事務所等を置くところはまずまずとしまして、若しもこれは仮に独立庁舎を持つているというところはこの庁舎は地元関係町村等の負担でできているものですか。或いは県費で一切を賄つているというような府県の例がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/116
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117・秦一英
○参考人(秦一英君) 只今の質問でありますが全国の状況はつまびらかにしておりませんが、私の山梨県の実例を申上げますと地区普及事務所は二十六地区ございます。そのうち県の建物を使用しているものが三カ所ございます。それから残りの二十三カ所は全部独立庁舎を新設してございます。この新設につきましてはほぼ二分の一を県か負担し二分の一を地元の関係町村が負担する。こういうことにはなつておりますけれども、本日資料を持つておりませんから数学的にこまかくは申上げられませんが、最高の場合は五割、普通の場合は四割以下しか県で実際出せないというのが実情でございます。その他残りは地元町村が支出して県に寄附しているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/117
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118・小笠原二三男
○小笠原二三男君 この本法ができましてから、従来の経過としまして給与費のうち期末手当、勤勉手当、超過勤務手当等を国が補助の対象としなかつた理由はどこにあつたわけですか。あなたがたが仄聞している点があつたらこの経過をお知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/118
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119・秦一英
○参考人(秦一英君) 別に深く存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/119
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120・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 他に秦さんに対する御質問はございませんか……、終了したものと認めます。
最後に東京都建築局長藤本勝満露君にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/120
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121・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 東京都の建築局長の藤本であります。公営住宅に関する法案についての御説明を申上げたいと存じます。東京都の実態を勢い中心といたしまして話が進むようになるかと思いますが、さよう御了承願いたいと思います。
先ずこの法案の二十三条の問題でございます。二十三条には一種の公営住宅に関する国の補助率でございますが、この法案を素直に読みますと、当分の間二分の一以内とするという問題が政令で定める第一種公営住宅と書いてあります。そういたしますと、政令で定められますと、第一種公営住宅の現在建つている鉄筋住宅、木造住宅等、どの部面にいつ政令で定められるか、極めて第一種公営住宅の補助率に関する点が、現行法で公営住宅法二分の一とはつきりきまつているのが不安定に相成るのであります。この点は御承知の通り衣食住の中で現在一番逼迫しているところの住宅政策の面につきまして、公営住宅法の第一条にもありますように国とそれから地方とが協力いたしまして、そして低額所得者のために低家賃の賃貸住宅を作るのだというような大前提の下に、一番大事な第一種公営住宅に関しまして、国の協力態勢におきまして不安感を国民に与えるという点において本改正案につきましてはこの体裁は我々として好ましくないと、かように申上げる次第でございます。承わるところによりますと、この政令に定める第一種公営住宅というのは高層建築の部分だけだと、かような話を聞いております。十一階、十二階というような公営の賃貸住宅を作る場合に限ると、そういうように政令では定める用意があると仄聞をしております。若しさように相成ります場合でも全国の実態から申しまして、賃貸公営住宅ではさような高層なものはないのでございますが、最近の土地の取得難或いは木材、セメント等その他の資材の値上りの際に、土地の高度利用というような点を考えますならば当然に東京を初め大都市におきましては高層住宅を考えべきであります。又さような検討もいたしておるのでございますが、いかんせん現在の物価事情等或いは土地の値上り等の事情におきましては、これを家賃に換算いたしますならば相当高い家賃になりまして、いわゆる公営住宅法が狙つておりますところの低家賃等の性質が帯びかねると、こういう失態にあるわけでございます。併し東京都その他大都市の中心地に近いところに高層建築を建てることは、家賃それ自体以外の生活関係のいろいろな諸費用の点を考え、土地の高度利用の点を考えましてサンプル的に、こういう高層住宅を建てなければならんという考え方については誠に同調をするのでございますが、少くともその部面におきましても補助は現行公営住宅法の二分の一の線を保持して頂きたいと考えておるわけでございます、これは高層の建物を見本的にするのだという点におきまして。だから或いは四割程度の補助でも一つ我慢してやつてみないかというのも或いは一説かも知れませんけれども、奨励的に且つ見本的にするならばなお更のこと、それらには二分の一むしろ以上の補助を与えて、そうしてそれの経営をさしてみることこそ必要ではないかと考えるわけでございます。国の財政等の御事情極めて逼迫しているのは当然でございますが、これ又地方も同様でございます。そこでどうしてもこの案が通らなければならんかというような場合には、我々としては最後の一線といたしまして、高層住宅ということをこの条文の中に入れてもらいたい。或いは更に附則の線にでも入れて頂いて、それは二十九年度に限るのだというような線にでも持つて行かなければ、実施面を担当する地方当局は容易にこれが受入が困難ではないかと存ずるのでございます。
なお第二番目の指導監督に要する費用、これは金額的に言いまして、例えば東京都のような場合におきましては、二十八年度においては大体二百二十戸程度を市町村をして行わしめました。それに対する補助が十八万九千円と二十八年度になつておるわけでございます。この程度では一人の人件費にも間に合わん程度の監督費に対する費用でございます。金額的には極めて僅かなものでございます。けれどもご承知のように、やはり地方財政逼迫の折から出張をいたしまして指導監督するというような場合の旅費等に実はこれを引当てておるわけでございます。殊に補助を頂いておりますならば特別の枠をこれによつこ与えられておりますので、その部面に関する仕事の面が十分とは行かないまでも比較的スムーズに進められる。こういうようなことでございますので、指導監督に要する経費も従来通りが結構ではないかと思うのでございます。
簡単でございますが、あとは御質問によつてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/121
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122・小笠原二三男
○小笠原二三男君 只今の御意見に、二十九年度内定せられておると噂されるものは六階以上の高層建築のそれだけに限るというようなことですが、たしかにそれが政令で定めるという点が拡大されて、予算の都合上来年度逐次他の方面にも及ぶという憂いがある。或いは二分の一以内としても今年は四割交付するということにきまつておるやに聞くのですが、これも予算の都合では四割以下に来年度以降にならないとは限らない。そういう点からいえば法律において補助の対象なり補助率なりを明確化しておかなくちやいけないということは、私もその通り賛成でございます。是非そうしたいと考えますが、さてそうなつた場合に丁度たまたま東京都でございますからお伺いしますが、二十九年度高層建築は三百戸予定せられておる。殆んどこれは東京大阪等五大都市というまでには行かない、中心はどうしても東京であろうと考える。そこで仮に現行通りの補助率にしました場合に、国の施策で住宅政策上、東京都においては高層建築をこれほどほしいということで補助金の枠を与えた場合に、それを完全に消化する自信が東京都におありになるかどうかという点を私お伺いしたい。実は私は建設委員のほうもやつておりまして、甚だ恐縮な話ですがお隣りにおられる石井君が建築局長当時の二十七年度において、国の割当てた公営住宅のそれを消化し切れず返上しておる、そういう分が相当ある。で、あなたになつてからは二十八年度ですから、先ず本年度建築局が割当てた東京都の割当を消化できるかどうか、或いは消化できないとすればどれだけ返上しなければならない見通しがあるか、この点を承わりたい。あなたの先ほどの発言では今日困窮している住宅をどしどし建設して行くのに不都合だという自信のおありになる御発言があつたが、東京都が一番公営住宅については国に協力しないというか、成績不良であるというか、これはもう建設委員会においても最近各種の論議をされて、議員になりました石井君もしこたま過去の実績を追求されたところなんですが、自信がおありになるかどうか、この点をお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/122
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123・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 先ず第一点について二十九年度において高層建築をやる意思があるかどうか、又その自信を持つているかという点についてお答えいたします。
先ず先ほど計数的な話もありましたので、極めて粗野ではございますが計数から一つ御説明を申上げてみたいと思います。具体的に粗野ではございますが検討いたしました。高層建築を、東京都の場合におきましては江東区の亀戸の駅前或いは青山の一丁目或いはその他一、二の個所を選びましたが、亀戸駅前のところに七百三十六坪ばかりの地所がありまして、ここに地下を入れまして十一階を建てるようにという一つの案を立ててみたわけでございます。そしてそれは一階、地下一階並びに二階を商店に、二階を事務所に、三階以上十一階までをアパートの賃貸住宅にすると、こういうような案を一つ考えてみたのであります。これは要するに地下を借りる者から権利金をとる。これも法律上問題がありますが権利金をとりまして、その権利金で一階、二階のほかに三階以上をカバーできるかどうかというような計算等をし、或いはもう下から全部を都営住宅にして二分の一補助をもらつた場合にはどうなるだろうか。こういうような計算をしてみたのでございますが、先ず我々といたしましては国においては十五坪を考えておるやに聞いておるのでございますが、この十五坪の問題これ自身が一つ東京都民の実態からいわゆる三室の都営住宅が現在の段階で適当かどうかということで相当論議したのでありますが、一応十五坪のものを考えましてもこれの家賃が大体五千二百三十四円程度かかります。そしてエレベーター等いわゆる共同施設のようなものの維持等、これは電気代或いはその他の井同的な施設の経費といいますかそれが二千円程度かかる。要するに十五坪程度でしたら月々御本人の負担はおおむね七千二百三十四円という仮の数字が出て参つております。同様な計算におきまして十二坪の場合でしたらば家賃が四千百八十八円、共同施設維持費千六百円、合せて五千七百八十八円、現在大体都営住宅のアパートは十二坪を基準としておりますが、それが五千七、八百円かかるわけでございます。御承知のように今日四階乃至五階程度のものは三千百円、一応最高として三万三千余戸の中で一番高いので三千百円か三千二百円程度、そのほかに維持費がやはり二百円程度かかるものでございます。それが高層にするばつかりでやはり五千七百八十八円程度月の掛りがかかる。こういうような点において補助が四割と申します。而もこの補助はこれも先ほど来お話がありましたように、基準単価に対して補助が四割ということになつております。私のほうにおきましてはこれを一坪当り大体七万五千円見当にしておりますが、東京都の計算におきましてはどうしても九万円から十万円程度かかるわけでございます。従つて実際単価から見ますならば、四割は三割にもなり或いは二割五分にもなろうとしているのであります。尤もこの亀戸の場合にはいわゆる特殊地層の問題がございますので、青山等に建設するならば少くとも一割程度は下るではなかろうかという計算をいたしております。尤も又青山方面という具体的な場所になりますと、現に不良住宅がございましてこれらをやはり他に移すとか、或いは入替えをするとか、これにやはり結構大きな経費がかかる。実際建設するためにはやはりトータルにおいては相当な経費を要するというようなことに相成るのでございますが、いずれにいたしましても家賃計算をしますならば、相当な高層建築においては家賃計算は相当な高い値になると、こういうようなことでございます。
それに加えまして先ほど来もお話がありました通りに、東京都に対する補助は国のほうでも全くお話のように私のほうの願い出の通りに、それ以上にお認め下すつて戸数を今まで頂いているわけでございますが、これに見返りになるところの他の財源、これが二十八年度の今日現在においてすらも起債が建設に関して一銭もきまつていないというような情ない情態にあります。
なおこの高層建築を考える場合におきまして、若しこれに起債を見てやるから考えろという特別な恩典があつたといたしまして特別わくを認めて頂くといたしましても、これが預金部資金の場合におきましては六分五厘程度、公募債の場合においては八分五厘程度、而も公営住宅法はたまたまこの二十三条で補助ばかりを改正いたしますが、家賃計算の中におけるところの利子計算は六分以内となつております。六分以上げて計算をなし得ない矛盾があるのであります。従つて六分と、預金部計算においても五厘の開きがあり、或いは公募債の場合においては二分五厘の開きを東京都では家賃計算に入れずに一般税財源で負担しなければならないと、こういうような問題すらもはらんでおりますので、諸般検討いたしましたが悲しいかな本年度の当初予算におきましては高層住宅を織込むことはできなかつたのでございます。併しともかく三百戸の国の予算が成立しかかつている、そうしてこの問題は明らかに東京都が百戸或いはそれ以上を負担しなければならん態勢にあるので、曽つて公営住宅を木造から鉄筋に移す場合に、二年間の苦労をされて鉄筋に高輪アパートを移した苦労を考えて、今日においては鉄筋アパートがむしろ非常によろしいものとなつた。その常道に復して今日来ている実態に鑑みて、この際これを何とか取上げて国も他の部面において協力するから考えてみろという強い御斡旋もありますが、東京都においては目下この問題を取上げるべく検討中の線を出ておらないような実態でございます。
なお第二点におきましての御質問の本年度分の実績について、東京都はもう過去において返納をし、又二十八年度も住宅戸数を返納しているではないか、そういうことについて住宅に関して極めて熱意が足らんというようなお話に承りました熱意の点におきましては決して私たち他の府県或いは国にも負けない自信と確信を持つております。併し先ほど来申上げましたように実施面におきまして二分の一の補助に関する限りはたくさん頂けます。併しこれは実質面におきまして大体四割補助程度でございます。従つて他の六制程度はやはり一般の税又は起債に仰がなければならんということになります。御承知のように起債は二十八年度において十六億五千万程度が住宅のために東京都議会の議決を経て今日まで来ておりますが、これが一厘も承認されていない。住宅に関する限りは極めて適債事業、起債を起すのに適当な事業であり、而もこれは過去の終戦直後の不良住宅、応急住宅、簡易バラツクというようなものを除いては相当企業採算的な見地においても、家賃の面を通じまして返つて来るいわゆる適債事業である。長期木造二十年鉄筋七十五年も存続するような、こういう事業に対して起債を認めてもらえないという点におきまして、実は事業が進捗しない点はこの一点にかかつているといつても過言でないのであります。併しそうかといつて住宅を建てないということは現下の事情から到底許されません。従いまして東京都においてはこの十六億五千万の中で、過去に約七億程度を一般財源で負担しておるほかに最近五億を更に税財源から出すことを決定をいたして事業を進めました。併しこれでいたしましても四千戸足らずしかできません。国からの六千余戸に対しまして実施面は四千戸足らず。併し私たちは国と幾度かのお話をいたしました結果、国においては地方府県におきまして木造を要望するが鉄筋は未消化である、こういうような状況になつておるというお話も伺つたので、六千戸の国の補助の線を、この一月頃だと考えておりますが、これを鉄筋のほうに予算額を変えないで、而も鉄筋をより多くするという関係におきまして五千二十七戸に戸数を減らしました。併しそれは質的には鉄筋を余計作る、予算額は減つておりません。そういうことで五千二十七戸の中で本年度は換算四千戸が完成する。従つて残りの千二百戸程度は次年度は繰越します。併しこれは知事をはじめといたしまして責任を以て二十九年度において完成をいたすという確信を持つておるわけでございますが、これもやはり一部起債が入つておりますので、この起債の面につきまして更に政府の協力をお願いしたいと思つておるのでございます。
なおついでに熱意の点でございますが、然らば二十九年度予算はどのようにしたかといいますれば、これを東京都の第一重点事業にいたしました。それで例えば二十八年度の当初予算で二十七億三千五百余万円でございましたが、二十九年度の当初予算では六十一億七千三百万円、従つて差引三十四億三千七百万円もふえておる。前年度の倍以上二十九年度に予算を編成いたしまして、只今都議会で審議中であるような次第でございまして、東京都知事といたしましても、住宅問題の必要性にかんがみて第一順位に持つて行つて、前年度の倍以上二十七億に対しまして六十一億をも組んだというこの熱意を一つおくみとり願えれば幸いだと存ずるわけでございます。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/123
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124・小笠原二三男
○小笠原二三男君 ぶしつけな質問をしたのに対し各種の計画をいろいろされ、而も起債等が認められないのにそれぞれ自主財源で割当消化に努力し来つつあるという点誠に結構でございますし、ましてや二十九年度まあ激増した住宅建設ぶりが見られるということは私たち大変嬉ばしいと考えております。熱意がないと私申した点はこの際よく氷解しましたので取消しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/124
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125・石井桂
○石井桂君 新らしい改正案によりますと四割補助になつているんですが、今の説明によると多分遠慮して説明していたようですが、立派なアパートができるように思う。そこでそういうものには四割ぐらいが適当だろうという一番初めの説明がそうでしたよ。そこでこいつをよく私は咀嚼してみますとぜいたく視しているような意味があつただろうと思うんですが、実際は高層アパートというものは御承知のように都心には不燃住宅でなければいけなくなつておる。而も適当な敷地がないし、而も通うには近い所がほしいという要求を満たすためにはやはり高層アパートでなければいけないと思うんです。実際そこで最小限度の費用を投入しても五階以上は構造的に経費は二割か三割余計かかるのは技術屋ならばはつきりわかるところなんです。それを今度は経費全体から見ると、不燃建築のうちで高層アパートは二割か三割余計かかるものだから、予算の額から見るとぜいたくにみえるんですが、実際藤本さんはそういうものをぜいたくなものとお考えになつておるかどうかということが一点と、もう一つは、四割補助でほんとうにできるかどうか。これは小笠原さんもさつきお聞きになつたようですが、第二点は四割補助でできるかどうか。四割補助というのは今度は地方費で六割、こういうことですからそれでできるかどうか。地方が負担に堪え得るかどうか、その二つだけ
お聞かせ下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/125
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126・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) ぜいたくかどうかという点につきましては、私たちは必ずしもぜいたくとは考えておりません。おりませんけれども現下の情勢から言いまして、これは第二点に入るのですが、これでできるかということ、受入れられるかどうかということが地方議会の実情、都民の要請から見ましてぜいたくではないと考えておりますけれども、実施上極めて困難かと存じます。と言いますのは、現在の勤労者の大体八割程度が実収二万円以下と私たちのほうの計算になつておるわけであります。その二万円以下の八割程度の人の要請というものが極めて熾烈なんでございます。そこで都営住宅の申込等を御覧になりましても平均大体百倍になつております。一番高いところでは一千倍を越します。又極めて遠い或いは不便なところにたまたまできると四、五倍になる場合もございますが、大体百倍程度の人たちであつて、而も収入が公営住宅の場合は一万五千円というような線になつておりますが、都民の実態収入、勤労者の収入自体が、大体八割程度が二万円以下、そしてその人たちの生計指数から見てせいぜい二割程度が先ず最高ではなかろうか。そうすると四千円ぐらいの家賃以下が至当ではないかと考えられている際、高層住宅をその線まで持つて行かなければまずかろう。ここに都と国との協力の部面があろうかと存じます。従つて私たちは逆に高層結構、又これがぜいたくとは考えない。そういう面においては国も地方ももつと協力して、むしろ二分の一以上の補助をこそ考えるべき問題ではなかろうかと思うのであります。
そうして今の第二点のこれでできるかという点は、主として財政事情によるのでございますが、現在の財政事情として、或いは都民要望の社会、政治情勢から見ましてこれをこのまま受入れることは極めて困難であります。ただ問題は見本だから一つやつてみようという特別な熱意なり、そこに総意の一致点がなければ実現は困難だと思います。まして来年度公営住宅を東京都においては一万二千五百戸程度、繰越を千二百戸入れますと相当な数になり、本年度の三倍の力を出さなければ仕事が進みません。こういうような一般庶民住宅のやつができない際にこの高層住宅にかかるというためには、重ねて申上げますが特別な国の援助協力がなければ進まないと考えているわけでございます。併し建築当局といたしましてはあくまでぜいたくとは考えておりませんし、サンプル的にも一つ作つてみたいという熱意は持つている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/126
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127・石井桂
○石井桂君 もう一つ最後に。公営住宅を作るのにどういう方面で国なり国会の協力を得たいですか、端的に一つ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/127
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128・藤本勝満露
○参考人(藤本勝満露君) 先ず国会でございます。もう地方自治庁はいささかこちらでしびれを切らすくらいに陳情もし、請願もし、御説明もしているわけですが、せめて頼むところは衆参両院の議員の格別の御理解を以てこの問題の妥結に当つて頂くよりほか今の段階ではないとすら考えている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/128
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129・松永義雄
○委員長(松永義雄君) 御質問ございませんか……。ないと思います。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915191X00419540315/129
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