1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年四月二十三日(金曜日)
午後一時二十七分開会
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出席者は左の通り。
委員長 郡 祐一君
理事
上原 正吉君
宮城タマヨ君
亀田 得治君
委員
小野 義夫君
三橋八次郎君
小林 亦治君
一松 定吉君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 眞道君
説明員
法務省民事局参
事官 平賀 健太君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局長) 鈴木 忠一君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局人事
局給与課長) 守田 直君
最高裁判所長官
代理者
(事務総局民事
局長) 関根 小郷君
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本日の会議に付した事件
○委員長の報告
○民事訴訟法等の一部を改正する法律
案(内閣送付)
○利息制限法案(内閑送付)
○裁判所法の一部を改正する油津案
(内閣送付)
○民事訴訟用印紙法等の一部を改正す
る法律案(内閣送付)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
の件
(裁判所書記官等の俸給調整につい
ての最高裁判所通達に関する件)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/0
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001・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開きます。
先ず委員長より先ほど行いました理事打合会で決定いたしました事項につきまして御報告いたしたいと思います。
日米防衛援助協定等に伴う秘密保護法案の審査日程については、只今表をお配りいたしましたが、御欄の通り二十七日以降休日を除きまして連日午前十時に開会いたし、午前午後と続けて審査を行おうと思います。なお、表にもございますように二十八日、六日の両日は総括質問をいたし、木村保宏庁長官の出席を求めて質疑を行うことにいたします。本法案の性質上総括的な質疑と逐条的な質疑とは相関連すると思いまするので、その間にも長官の出席は可及的に求むることにいたしまして、大体さような方法で進めたいと存じます。なお、審査のための日数も余りございませんので、本案の審査につきましては、開会時間を厳守いたしたいと存じまするし、又御質問が各委員問の関連がある場合も多いと思いまするので、連日に亙つて恐縮でございますが、委員各位の御出席をお願いいたしたいと思います。なお二十八日の総括質問につきましては、成るべく多くの方に御質疑を願いたいと存じますので、議事の進行上二十八日の総括質問については便宜御質疑の通告を委員長なり事務当局なりにお知らせを願いたいと存じます。かような方法によりまして秘密保証法案審査を進めますことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/1
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002・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。
なお、二十七日の公聴会の公述人のことでございまするが、あらかじめ委員長理事に御一任を願つておきましたので、本日打合会におきまして、学識経験者として大竹武七郎君、報道通信機関関係として東京新聞編集局長児島末吉君、一般公述人としまして岐阜県鳥羽律定君、大阪市和島岩吉君、以上の諸君をお願いすることにいたします。なお、在野法曹につきましては、日本弁護士連合会から推薦を求めておりまするが、只今のところ具体的の人間については未定でございます。以上でございます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/2
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003・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 只今から本委員会に付託されておりまする民事関係の諸法案、民事訴訟法等の一部を改正する法律案、利息制限法案、裁判所法の一部を改正する法律案、民事訴訟用印紙法等の一部を改正する法律案、以上各案を一括して議題に供しますので、御質疑のおありの方から御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/3
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004・亀田得治
○亀田得治君 先ず民事訴訟決算の一部を改正する法律案についてお尋ねをして行きたいと思います。その第百四十三条について伺いたいと思うのです。百四十三条並びL百四十四条は、私どもこの条項をずつと見ますると、これは是非この調書の中にこの程度は書かなければならない事項、そういう事項ばかりだと思うのですね。従つてこの新らしく予想される最高裁規則では、何か削除されるものがあるのかどうか、或いはこれに対して追加されるものがあるのかどうか、この点についてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/4
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005・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今亀田委員のお問いの点は、若しこういう法律案が通過いたしますると、ルールではどうかということに帰着いたしますかと思いますので、便宜私からお答えしたいと思いますが、先般お手許に差上げました調書の方式の合理化等に関する構想、ここで大体書いてございますのですが、この百四十三条と百四十四条そのままでございますると、調書の中に、大体大別いたしますると、狭い意味の主張、当事者の言うこと、例えて申上げますれば、請求原因のこととか、或いは抗弁のこととか、いわゆる狭義の弁論とか、それから証拠の問題、証拠の問題を又分けますると、証拠のどういう証拠を申出るか、それから申出た証拠の内容、例えば証人がどういうことを言つたかという証言調書、大体大きく分けまするとこの三つに分れるかと思うのであります。それを今までの調書で参りますると、年月日順に全部大福帳式に綴じておりましたものを、今度の考え方では事項別に分けて行きたい、そういたしますると、今申上げました、例えて申上げれば、証拠の目録等につきましては、この百四十二条の要件全部を書かなくてもいいじやないかということになろうかと思うのであります。そういたしますると、百四十四条は調書の実質的記載事項に当りまするが、この実質的記載事項の内合によつては、百四十三条の形式的記載事項の一部を省略してもいいのじやないか。でありますので、先般も申上げましたが、百四十三条と百四十四条を事項別に分けますると、これを換骨脱胎せざるを得ないということになろうかと思います。でありますので、百四十三条全部の形式要件全部につきまして書かなくちやならないものについては勿論でございまするけれども、証拠の目録等についてはそういうことを省略してもいいのじやないか、その具体的の実例は、やはりお手許に民事第一審訴訟記録というものを差上げてございますが、これを御覧預けばおわかりになるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/5
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006・亀田得治
○亀田得治君 百四十四条の第四号、「裁判長ノ記載ヲ命シタル事項及当事者ノ請求二因リ記載ヲ許シクル事項」、これは規則においてはどういうふうになる予定ですか。現在は必要的な記載事項になつておるわけですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/6
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007・関根小郷
○説明員(関根小郷君) この今お問いの百四十四条の記載事項は全部ルールの中に載せて行く考えでございまして、百四十四条の調書を内容的に分けまして、先ほど申上げましたように、主張調書、それから証拠の目録、それから証拠の内容の問題になりますが、大別いたしましてそのうちに入るわけになります。でありますので実質的にこれを削除することはないわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/7
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008・亀田得治
○亀田得治君 この百四十四条の第四号の点は、これは一、二、三の項目なんかと少しこれは問題は違うと思うのです。例えば二の証人調べ、それに関連して特に当事者なり裁判長が注意をしたような事項なんですね。だから或る意味では二の中の一部になるわけです。或いは三の中の一部にもなるかも知れない。で、これが特にここに書かれているのは、私どもその重要性を実務上では非常に痛感しているんです。これは日本の裁判が速記とか或いは何らかの方法でいろいろな陳述が全部そのまま記録の上に反映される、そういうことになつておればいいんですが、そうじやない。そのためにいろいろ調書の文字なり、或いはその解釈について重要な点でやはり争いが起きたりするわけですね。そういうのは裁判の進行中、特に問題になつたものは、厳格にそれは明確にしておかなければならんということで、これは非常に大事な規定なんです。で、現行法の百四十三条、百四十四条というもののこういう規定の仕方を御破算にして、いわゆる裏項別にやつて行くということになりますと、この四というのは、これは事項別の問題じやないんですからね。ですからうつかりしているとこういうものは落されてしまうんじやないか、こう思うんです。そういうふうに絶対にならんようにそれは規則は考えられておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/8
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009・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今亀田委員のお問いの点は、我々十分その点を承知しておりますが、ルール委員会、それから裁判官会議で取終の決定をするわけでありまして、そういう落すようなことはもう全くないと申上げていいと思います。こういうふうな突貫的な内容の問題ですから、重要なことでありますが、ただ調書の方式に関連いたしまする関係から分けざるを得ない。併しながら実費的なものをルールで落すということは、これは予想できない。で、現在、例えを申上げて恐縮ですけれども、刑事訴訟法でも全部落して調書の記載事項についてルール自体に御議論或いは反対があるということを聞いたことがないのです。大体どこの規則の点が悪いという御指摘があれば又或いは反省しなければならんと思いますが、そういう御心配はないと申上げていいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/9
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010・亀田得治
○亀田得治君 それからもう一つは、現在の百四十三条、百四十四条をこのままにしておいても、当局のほうでお考えになつておるような事項別の整理ですね、これは私してもいいんじやないかと思うのですね。ただその際に、百四十三条の形式的な記載事項なんか幾らか煩雑さがあるかも知れんが、これは併し別に一々それを書いたからと言つてそう面倒なことじやないと私は思う。むしろ現行法のままでも、そんな事項別の整理をしてならんとは別に書いてないのですからね。私、あの規則なら規則で一つそれをおやりになつていいんじやないかと思うのですが、それはできないんですか、現行法のままでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/10
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011・関根小郷
○説明員(関根小郷君) それができることならば、私ども何も今まで停滞していないわけなんです。調書の簡易化と申しますか、合理化と申しますか、何とかしてあの大福帳式のものを改めて行きたいというために突当りますのは現在の法律なんでありまして、今お話がございます点について例を挙げて申上げますと、お手許にこれございますでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/11
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012・亀田得治
○亀田得治君 あります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/12
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013・関根小郷
○説明員(関根小郷君) これの青い紙が中に入つておるのでございますが、その中の二番目の青い紙を御覧頂きますると証拠関係書類、そこの最初が人証目録でありますが、その次に書証目録というのがございます。で、これなどにつきまして一々、この百四十三条をこのままにいたしますると、全部書証目録を公判廷で出した場合には、そのときの公判の裁判長、裁判書記がこれに署名捺印する。そして百四十三条各号に書いてございますことを全部書かなくちやならんということになる。そうなりますと又今までのような大福帳式に非常に厚いものになつてしまう。で、こういうことは書証目録、今度の考え方で参りますると、この目録一ページ御覧になればそれで済むということになる。でありますので、やつぱり百四十三条そのままではどうしても合理化ということはできないんじやないか、ここまで参りまする合理化は少くともできないという考えを特つておる次第なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/13
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014・亀田得治
○亀田得治君 それから調書に関連して法律のほうでは重要な事項と、こういうことだけが記載されることになるわけですが、規則のほうで思要な事項を何か抜かしておる、規則にね。規則を作る場合にうつかりして抜けておる。これは非常に重要なことじやないかということになつて来た場合には、それはそういう調書はこの百四十三条違反の調書になるんですか。この「重要ナル」という意味はですね、ただ形式的に羅列、どういうことが重要かということが書かれるでしようが、恐らくそこへ全部網羅することはできないんじやないかと思うのですね。どうなんですか。つまり私の聞くのはね、法律に一々こういうふうに幸いてあればこれとこれとこれと記載すればいいんだと、こうなる。ところが法律では「重要ナル」とこう言つている。言つているから、範囲というものは明確じやないのですね。だから規則に書かれたことだけ、結局「重要ナル」というのは規則に委任するのか、それとも規則以外に更に重要なことが出て来た場合それが書いてない。そうなつたらその規則自身がいかんのだから、やはりこれは百四十三条に沿わない訓告なんだ、そういうことが言えるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/14
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015・平賀健太
○説明員(平賀健太君) この「審判ニ関スル重要ナル事項」、これは客観的にやはり「重要ナル事項」というものの範囲があるのであろうと思いますが、併し実際問題といたしましては「審判ニ関スル重要ナル事項」というものが規則から落つこちるという虞れは万々ないのでありまして、この重要事項は最高裁判所の規則でも必ず拾い上げられるというふうに考えられてもいいのじやないかと思うのであります。併しながら若し万一規則に落つこちておるという点がありますれば、規則を更に改正するという問題も起りましようが、差当りましてはこの百四十七条におきまして「口頭弁論ノ方式ニ関スル規定ノ遵守ハ調書ニ依リテノミ之ヲ証スルコトヲ得」ということになりまして、若し重要な事項が落ちていたために、そのために調書に記載されないということになれば、その点の証明は調書ではできない。従つて実際の証拠によりまして認定をして行くということになろうかと思います。従いましてそのためにその調書が違法な調書になるということにはならんのではないかと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/15
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016・亀田得治
○亀田得治君 ちよつと問題ですね。それから逆にこういう場合はどうですか。大して重要でないことを規則の中に盛られておる。それでその重要でないことを調書が落しておるという場合ですね、それは私はこの法律違反にほならないと思うのですがね、そういう場合はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/16
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017・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 若しそういう場合がございますと、この第百四十七条の改正規定によりまして、その事項については調書に記載がないとということになりますので、やはり証拠によりまして事実の認定をして行く。調書は証明力を持たないということになろと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/17
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018・亀田得治
○亀田得治君 だからやはり百四十三条、百四十四条のような場合には、牛だつてからも問題になつておるように、こういう規則を作るのだというやつを考え方だけではなしに、具体的にやはり規則の案というものを示して欲しいですね。だからどうもそれが示されないというと、今私が申上げたようないろいろな疑問点が起きて来る。それはやはり適当に規則でおやり下さるだろう、こういうようなことで賛成して、あとからえらいことになつたというようなことを衝かれたのでは非常に我々としてもお互いに困るわけなんですね。あなた今一応そういうふうに御答弁をなさつておるわけなんですが、やはりこれはそういう点では規則の原案を示されないということは非常に不備だと思うのです。併しこの程度にしておきましよう。それから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/18
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019・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 最高裁判所のほうからちよつと一言……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/19
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020・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今規則の点がお話がございましたのですが、実は亀田委員この前御欠席のときかと思いますが、更にその後調書に関する規則要綱案試案というものをお手許へお配りしてあると思います。構想以外にそれを……、これも要綱に過ぎませんけれども、お手許へ差上げてあると思います。これは構想よりもやや具体的に、今私が御説明したようなことが書いてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/20
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021・亀田得治
○亀田得治君 その点私まだ見ておりませんので失礼しました。将来調書はどの程度詳細におやりになる予定ですか。現在裁判所によつて、例えば代理人が代つて調書を見るというような場合、なかなかよくわからないようなのもある。非常に詳しいのもある。私どもこれは成るべく、やつぱり評しくして欲しいと実はこう思つているのです。これはどういうようにやられる御予定ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/21
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022・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今のお尋ねの点は、私のほうもできるだけ詳細に、例えて申しますというと、今のお話の点、恐らく証人調べの内容と思いますが、これなどは一番詳しく書くといたしますると、速記休で問答式に書くのが一番いい。殊に当事者の弁護人の方が、こういう事実があるからということに対して、証人が黙して答えないというような場合には、黙して答えずとまで書いてもらわんと、信憑力がわからない。そういうところまで書くのが原則なのです。ところが現実の調書になりますると、必ずしも全部調書を取ります書記官が優秀であるとは限らない関係から、必ずしも理想通り行つていない点もあると思いますが、それはやはり書記官の訓練その他で、或いは裁判長の注意、弁護人の方の御注意等で内容をよくすることは、これは規則の問題以外に訓練その他の注意を喚起するというところから行くんじやないかと思うのです。そういつた方向で、できるだけ詳細に、実際に合うように書いて行きたいということは、我々の念願なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/22
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023・亀田得治
○亀田得治君 非常にこれはよくできている調書もありますし、いろいろなんですが、これは裁判所のほうで、平生何かその点の調査なんか、やつぱりおやりになつているんでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/23
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024・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 実はその何万件とあります事件全部について、調書の記載内容まで一々調査することは不可能と思いますが、実はこの査察と申しますか、上級官庁のほうから出張で、参りまして調べるということはいたしたことはございます。それから、それ以外に書記官のほうの書記官研修所がございまして、そこで又一般的なものとしての訓練を重ねるという指導をやつておるわけです。具体的に、どの事件についても全部上級官庁のほうで調べるということはできかねますので、先ほど申上げました査察の方法で事件を取上げまして、拾い上げまして、それを調べるということにいたしておりますが、これもなかなか上級官庁でも忙しいという関係から徹底的に行われておりませんが、そういつた方向でいたしておることはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/24
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025・亀田得治
○亀田得治君 まあこれは、訴訟関係者がやつぱり非常に望んでおることですから、是非御努力を願いたいと思います。で、勿論それをやれは非常にいろいろな手間がかかると思いますが、それはやはりかかる手間のほうは何とか予算面なり、そういうことは努力するような方向でやつてもらいたい、そういうようにこれは希望いたしておきます。
それから更に、この百九十一条の判決の点ですが、判決なんかはこの現行法のままでも、あなたのほうでおつしやるように、実質的な問題にこの重点を置いて書いて行く、こんなことはできそうなものなんですが、どこが一体隘路になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/25
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026・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 例えて申しますと、現在の現行の規定におきましては、判決に関しましては、百九十一条の一般的規定と、そのほかに簡易裁判所の判決、それから控訴審の判決につきまして、それぞれ規定があるわけでございます。三つに今分れているわけでございます。三百五十九条でございますが、これは簡易裁判所の判決でございます。それから控訴審の判決につきましては、三百九十一条でありますが、「判決二事実及理由ヲ記載スルニハ第一審判決ヲ引用スルコトヲ得」、こういう規定があるわけでございます。ところが実際問題といたしましては、第一審の判決におきましても、例えば訴状或いは当事者の準備しました準備書面が非常によくできている、それをそのまま判決の事実及び理由に引用してもいいという場合があり得るわけでございまして、そういう場合には、この訴状や準備書面を引用してもいいのではないか。ところがこの三百九十一条のような規定がございます関係で、他の書面の引用ということは、三百九十一条の場合だけに限られるのじやないかというような解釈も出て来るわけなのでございます。そういう点も、現行法の下では、判決というものを合理化する上において、一つの支障になると考えられるのであります。それから又例えば第一審におきまして、被告が判決に未出顧である原告訴公事実を自白したとみなされる場合に、現在いわゆる欠席判決と申しているのでありますが、欠席判決のような場合には、必ずしも判決書を別に作らないで、調書に判決の内合を記載するというようなことも認めてもいいのではなかろうか、当事者の権利に実際上何ら不都合を来すわけではございませんので、調古判決のようなものも認める余地がありはせんか。それからなお在来の判決というのが、ずつと以前からの仕来たりを踏襲しておりまして、法律的には成るほど手落ちがないにいたしましても、当事者にとつて非常に読んでもわかりにくい。で、そういうようなのを、合理的にもつと当事者が読んでもすぐにわかる、すなおにわかるような判決にする、そういうことにするためには、やはり規則で以て合理的な判決の記載方式というものを定めたほうがいいのではないかということで以て、この百九十一条を改めまして、この判決の生命ともいうべき主文、事実、争点及び理由、これだけは必ず書かなくちやならんということだけを法律で明示いたしまして、その記載の方式は規則の定めるところによるということにしても、不都合は生じないのではないかということなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/26
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027・亀田得治
○亀田得治君 この三百九十二条並びに三百四十条、これは削除して規則にやはり同じようなことを載せるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/27
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028・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 今御指摘の二つの条文を削除いたしましたのは、規則にやはり譲るという趣旨で削除いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/28
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029・亀田得治
○亀田得治君 これはむしろ非常に重要な事柄ですから、法律に残して置くのが正しいのじやないかと思いますが、単なるこれは手続上のことじやなしに、宣誓をしたかしないか、これはもう直ちに証言の内容にまで響いて行く重要な事柄ですからね。単なる訴訟上の手続上の事柄と解釈するには、余りにもやはり重大なことではないかと思うのです。わざわざ削除してまで規則に持つて行くほどのことは……。私はほかの調書とか、判決の体裁とか、そういうことと、少しこれは宜的に違うように思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/29
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030・平賀健太
○説明員(平賀健太君) この裁判所のほうで一応お作りになつておりますところの訴訟記録のこの試案を拝見いたしますと、宣暫した場合には……、特にこれは宣誓をなさしめない場合でございますから、二百九十二条の場合は宣誓をなさしめずして証人を尋問した場合、この場合には、これはお説の通りに非常に重要なことであると考えられますので、当惑規則でこれは落つことすことはない。必ず規則の中でも、これに該当する規定が設けられると思うのでございます。それからなお、この事項を調書に載せろと言つた場合に、法律でやつた場合と、規則でやつた場合の軽重の差別はないと私どもも思うのでございまして法律で規定してあれば必ず守られるが、規則で規定してあるので、ルースにしか守られないという懸念は全然ないのではないかと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/30
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031・亀田得治
○亀田得治君 いやそれはやはり法律で規定した場合と、規則で規定した場合と非常に違うのじやないですか。規則だから軽く考えるということはないでしようが、法律ではつきりきまつておればですね、これは誰でも十分注意しますよ。で、これは決して事項式に調書を作る、記録を作る、そのことに影響するわけじやないのですからね、このことがあつても……。事項式に記録を作つても、このことは事項式に記録の中にはつきりしなければならんわけでしよう、こういう重大なことは……。だからやはりこれはこう入れておくべきじやないかと思うのですがね。この法律のこの中では……。事項式に、形式はどんな形式になつてもこれは守られなければならない。こういう意味のものだと私は思うのですがね。だからそういうものですから、軽々に全部規則に委してしまうことは少し行過ぎのように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/31
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032・関根小郷
○説明員(関根小郷君) 今亀田委員のおつしやる点は誠に御尤もだと思うのです。併し宣誓をさせるか、或いはさせないかということは、これは重要な問題なんです。而も又それを調書に載せるかということも、これに準じて、重要でないとは申上げられませんが、併し調書自体に載せます事項自体について、先ほど御質問がございました百四十三条、百四十三条の改正規定を、今度の改正案のようにいたしますと、その重要事項の中に入つてしまうわけなんですね。でありますので、更にこの二百九十二条、三百四十条というような、個々の重慶手頃を一々残しますと、百四十三条を改正案通りにすることがおかしくなつて来る。
それからもう一つ実際側で申上げますと、今おつしやつたように、これは記載の内容のことだから、この調書の方式と関係ないではないか。これも御尤もだと思いますが、先ほど申上げましたように、実際にこれを御覧になるとわかりますが、訊岡調書、それから主張調書、それから証拠目録、こういうふうなふうに、実際分けて参りますと、この証人の証言を記載しております調書を、どういう名義で言うかというようなふうなことは、広い意味で言いまする調書でありますが、それを更に技術的に分けて考えますと、証拠調書とかいうふうに名前を変えて来なければならん、そういう技術的の細かいことについては、規則に任して頂いたほうが、実際面としていいのではないかというようないろいろな点がございました。而もその規則で重要な事項を落すということは、これは予想できないのです。我々のほうから一方的に申上げると、そんなことはわからないとおつしやるかも知れませんけれども、現にもう刑事訴訟法でも、その問題については非難を受けたこともございませんし、そして若し御質問でもあれば、いつでも御指摘頂いて、我々が若し誤まりがあれば、直すということに行かざるを得ないと思う。又そういうことは絶対にないと申上げてもいいと思うのです。重要事項を落すということになると、それは重大な問題です。而も御承知の通り弁護士の方も入つていらつしやると思いますし、そういつたことの御心配は全然ないと申上げていいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/32
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033・亀田得治
○亀田得治君 大体先ほど申上げたような点は、絶対落してもらつちや困るところを申上げたのです。結局これに賛成するとすれば、賛成したあとに、それが落ちたか落ちないかを調べなきやいかんわけですね。私としてはそれはこういうふうに叩上げておれば、必ず落ちないことになるだろうと思つて申上げているので、そういう点は一つ十分お考えを願いたいと思うのです。
それから形式的な問題はその程度にしておきまして、次に三百九十四条ですね、上告理由関係の問題に移りたいと思いますが、これは最初にも幾らか当局の御意見は開いたのですが、判例違背の場合の取扱いですね。これは当然この法令違背の一部なんだ、こういうふうにはつきりこれはもう解釈をされておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/33
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034・平賀健太
○説明員(平賀健太君) その点はそういうふうに解釈をしておりまして疑問の余地はないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/34
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035・亀田得治
○亀田得治君 よく刑事訴訟法上のことを引合いに出されるわけですが、刑事訴訟法では判例違背というのを法令違背と別個に、項目として上告理由の中に挙げておられる。これは私は法律の体裁としては非常に明確でいいと思うのですね。どうせ規定を改正されるのであれば、誰が見てもわかりやすく、法令違背と、判例違背と二つ並べられたほうがわかりいいのじやないかと思うのですが、なぜ刑事訴訟法でそういうふうにやつておるのに、民訴の場合にはおやりにならんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/35
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036・平賀健太
○説明員(平賀健太君) この民事訴訟法の現行法は、従来いわゆる判例違背に該当する場合も、やはり全部三百九十四条で賄つておるわけなのでございまして、要するに判例と申しますのは、やはり法律の解釈を示したものであるわけでありますからしてその判例に違背したということは、即ち法律の解釈を誤つておるということに帰着するのでありまして、理論上当然これは判例違背ということは法令違背の主主張になる、こういうふうに思うわけでございます。
なおこの刑事訴訟法の四百五条が、最高裁判所の判例と違背する判断をしたものを以て上告理由としておりますのは、これは四百五条が、他面におきまして一般の法令違背の主張、これは上告申立の適法な要件にならないのだということを前提しておるから、こういう表現をとつたのであろうと思います。即ちただ単なる法令違背の主張は、もう上告申立の適法要件を具備しないのである。最高裁判所の判例に示された法令の解釈、その判例と違背した解釈をしたということを理由にする場合だけに限つて上告はできるのだ。そういう見地から、即ちこれは上告の申立てを制限するという見地からこういう表現がとられておると思うのであります。併し民事訴訟法の今回の改正におきましては、法令違背は、すべていやしくも判決の結果に影響を及ぼす限りは上告の理由となるのでありますから、こういう刑訴のような表現をとらないことのほうがむしろ理論的なのでありましてそういう観点から最高裁判所の判例に反するような主張は、これは当然法令違肯の主張の中に入つて来るというふうに考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/36
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037・亀田得治
○亀田得治君 そういうふうにお聞きしておけば一応いいのですが、今年の一月十六日の法制審議会の司法制度部会の中間報告によりますと、刑事についても上告手続の改正の要否について、刑訴法部会で検討されたいというふうなことが打出されております。これはどういう一体方向でそういうことが言われておるのか。民事訴訟法と刑事訴訟の場合、一、二点重要な点で、上告理由で建つ点があるのですが、それは一体同じように将来されようというのか、刑訴法部会との関係について承りたいと思います。例えば判決に影響を及ぼすような重大なる事実の誤認、こういうことが刑事関係では上告理由になつておる。民事のほうではない。そういうような点は、何か将来どういうふうになつて行くのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/37
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038・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 御指摘の法制審議会の司法制度部会におきましては、主として最高裁判所の機構をどうするかという点が検討されたのでございますが、最両裁判所の機構は、何と申しましても、やはり上告制度と密接な関係があるわけでございます。民事、刑事の上告と密接な関係があるわげなのでございます。ところが、この民事、刑事の上告ということになりますると、やはり同じ法制審議会の民事訴訟法部会、或いは刑事訴訟部会のほうで検討しておる事柄でもあるわけでございます。この司法制度部会の中間報告にございますように、民事に関しましては、上告特例法の関係がございますので、司法制度部会としても一応附帯意見、なお以下の附帯意見をつけまして法制審議会の民事訴訟法部会の参考として附帯意見がつけられたのでございますが、刑事の問題におきましても、なお今後更に検討する必要がございますし、とにかく一応は現行の刑事訴訟法で一応は解決されておるのでありますけれども、なおこれを更に改める必要があるかどうか。あるとすればどういうふうに改めたらよいかということは、この司法制度部会では十分検討されておりませんし、又事柄は、本来刑事訴訟法部会のほうで検討すべき事柄でもあります関係で、この中間報告の第三におきましては、上告手続きの改正の要否等ついては、刑事訴訟法部会において検討されたいということになつたのでありまして司法制度部会といたしましては、具体的に刑事のほうはどうする、民事のほうに合せるのか、それとも現行の通りにするのか。そういう点は一切将来のことには触れませんで、又実際問題として、この司法制度部会には、刑事につきましても、民事、刑事を通じましていろいろの意見が出たのではありますけれども、その可否はいずれとも決しないで、刑事訴訟法部会においてなお十分検討されたいというので、将来どちらの方向に持つて行くという結論は出ていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/38
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039・亀田得治
○亀田得治君 これは最高裁のまあ構成についてこの法案の審議の最初に私ども聞いたときにも、最高裁判機構の将来の行き方については、結論が出ておらない。まあこういうことは承わつているんですが、その点にきまつておらない。それから刑訴と民訴の上告理由か統一をされておらない、統一されておらないが、併し一応こういう程度で現在のところは考えている。将来は更に検討の余地があるのだ、こういうことになりますと、この問題は非常に中間的な措置なんですね。現在ここに出されておる上告理由、或いは最高裁の機構に対する考え方というものは……。で、そんな状態で一体いろいろ法律を改正されることが果して適当かどうか。一部では民事特例法をもう一年なら一年延ばして、やはりこれは結論を出してからいろんなことに手をつけるべきじやないか。こういう意見が相当強いのですね。民事特例法を延ばすことがいい悪いということを別にしてただ基本的な肚がきまらないのに、一応こうしてくれ……、非常にこれは重大な問題なるが故に、我々賛成するほうでも賛成はしたいのだが、どうも何か肚の底がこそばいような気持もする。その点はだからと言つて特例法を延ばすことにそれじや賛成なのかと言われると、ちよつと困るわけなんですが、ざつくばらんに言つて、当局はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/39
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040・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 御承知と思うのでございますが、最高裁判所の機構をどうするかということにつきましては、司法制度部会におきまして、裁判官の増員論と、それからこれに対しまして、現在の機構を維持すべきであるという意見が非常に対立いたしまして、なかなかその決定が容易でなかつたのであります。法務省といたしましては、この問穎が、近い将来におきまして、早急に各方面の納得の行くような妥当な結論が得られるという見通しが立ちますれば、史に特例法を少しばかり延ばして頂きまして、その間に機構の問題の結論に基づきまして、民事訴訟法の改正を考えるということがまあ当然の措置であるのでありますが、何分にもこの機構の問題をどうするかということにつきましては、各方面の利害が対立いたしまして、要するに決定を見ないし、而もこれが早急に近い特来に結論が出るという見通しが立たない状況なのであります。そういう状況であるのに特例法を延ばしますと、ずるずるで一年というのが二年になり、三年になり、もう本当に不定期問特例法が延ばされたような結果になつてしまう危険が十分にあるわけでありまして、そういうことに相成りましては、特例法が当初二年、更に途中でもう二年ということで延ばされましたこの特例法制定の趣旨というのと、やはり真つ向うから矛欣するわけでありまして、これ以上特例法を延ばすべきではあるまいという考えなのであります。特例法を延ばさないということになりますと、考え得る最善の案といたしましては、この民車訴訟法の改正案以外にはないという結論に立ちましてこういう改正案になつておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/40
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041・亀田得治
○亀田得治君 その基本的な問題につきまして結論が出ないというのは、私も記録全部は見ておりません。御配付願つたものを少しこう見た感じでは、やつぱり何か自分の地位とかいろんな立場とか、そういうことに捉われておる点があるんじやないか。それであつてはいつまで行つたつて私解決しないと思うんですね。真剣に肚を打割つて、やはり日本の現状で上告制度はこうあるべきじやないかというふうなことをやれば結論が出ると思うんですがね。で、たとえ自分に不利なことであつても、やはりそのほうがいいということならそれに賛成して行くというふうなことになりませんと、いつまで経つてもこれは平行線だと思うんですが、それはどんな実情ですか。あなたからそういうことをちよつとお答え願うのは無理かも知れませんがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/41
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042・平賀健太
○説明員(平賀健太君) その点は全く御意見の通りであると思うのでございますが、実際の問題といたしましては、昨年の初めから今年の初めまで約一年に亙る間、可決制度部会の部会が開かれますこと前後八回、その間には小委員会も何回も開きまして、委員の方々の忌憚のない意見を腹蔵なくお述べになつて御討議なされたのでございますけれども、実際問題としては結論が出なかつたという実情なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/42
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043・亀田得治
○亀田得治君 私、政治家の集りだとこれは又別なんですが、一つの法というようなものを取扱つておられる人たちの間で、この結論が出ないというのは、ちよつと実は不思議に思つておる。一つしかないんですからね、一番いいことは……。で、これは一つなんですね。大いにもつと真剣にやつてもらわなきやいかんと思うのです。この場所じや適当じやないかも知れんと思うのですが、そういう私ども感じがするんです。
それから、これはちよつと確めておきたいんですが、憲法違背が上古理由にあちこちでなつておるわけですね。普通の判決のほかに、例えば抗告とかそういつたような場合、これは丁度現行法の三百九十四条の法令違背ということが書いてあるんだが、その場合単なる法令違背じや駄目だと、そこに判決に影響を及ぼす、何と言いますか、蓋然性がなきやならないというふうに、まあ判例はずつとなつておるのですが、憲法違背の場合にはそういう蓋然性とかそういうものはなくとも、これは全部上告理由になるという解釈だと思いますが、ちよつと確めておきたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/43
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044・平賀健太
○説明員(平賀健太君) この現行法の三百九十四条は、法令違背があればすべて上告理由があるというふうに一応読めますけれども、今御意見の通り法令違背がありましても、その法令違背が判決の結論に影響がない場合には上告理由にはやはりならんのでありまして、そういう場合には上告理由なしとして上告が棄却されるわけであります。現行法におきましても判決に影響を及ぼすべき法令の違背があることが、言い換えますと、その法令違背と判決の結論との間に関係あること、即ちその法令違背が判決の結論に影郷を及ぼす可能性があることをやはり予定いたしておるわけであります。で、この改正案の三百九十四条は、従いまして「判決ニ憲法ノ解釈ノ誤アルコト其ノ他憲法ノ違背アルコト」と言つておりますけれども、これもやはり現行法とその点は変りはないのでありましてれその憲法違背がやはり判決の結論に影響を及ぼす可能性があることをやはり要するという趣旨なのでございます。で憲法違背の場合は、この現行法と同じように判決の結論に影響を及ぼす可能性があれば足りるのでありますが、その他の法令の違背の場合には、判決に影響を及ぼすことが明らかなという蓋然性と申しますか、蓋然性がなくてはならんと、憲法の違背の場合よりもちよつと狭くなつておるのであります。三百九十四条のそういう趣旨なのでございます。併しながらここで憲法違背の場合とその他の法令違背の場合とは表現上は区別いたしておりますけれども、一般の法令違背の場合日におきましても、これが実体法の違反でありますと、当然これは判決の結果に影響があるものと考えられますので、この場合は蓋然性があるということになると思うのであります。それから手続法違背でございましても、三百九十五条所定の「絶対的上告理由」の場合、この場合は判決の結果に影響の有無を問わず、当然これは上告理由となるということになつておりますので、この場合もやはり蓋然性があると言わざるを得なくなつて来るわけであります。そういたしますと、三百九十四条の後段の規定が実際物を言つて来ますのは、実体法の違背でもない、この三百九十五条に定めております絶対的上告理由にも当らない、従つて結局軽微な手続法違背の場合ということに実際問題としてはなつて来るのではないかと思うのであります。そういう余り重大でない手続法違背の場合には、単に判決に或いは影響を及ぼすかも知れんという可能性では足りないで、判決に明らかに影響を及ぼすという、そういう蓋然性がなければならんということになつて来るわけでございます。併しながら実際問題といたしましては、従来におきましても軽微な手続法違背というようなものは、判決に影響を乃ぼす可能性もない場合が大部分なのでありまして、従つてこの改正されました三百九十四条の下におきましても、そういうものは蓋然性がないということになると思うのであります。然らばそういう手続法違背であつて、判決に影響を及ぼす可能性はあるが、蓋然性はない場合が果してあるかということになりますと、実例を挙げることは非常に困難なのでございまして、そういう関係で以ちまして、この改正規定を本当に法律的に分析して考えてみますと、従来とそう大した変化がこれによつて生ずるとは考えられないのであります。でありますから、この三百九十四条の改正規定というのは、むしろ従来の上告の実例に徴しますと、全然判決に影響を及ぼす可能性もないような法令違背を理由とする上告が必ずしも絶無ではなかつた、かなりそういう上告が多かつたのであります。そういう上告を心理的にでも或る程度これをチエツクするという作用が、この三百九十四条の改正によつて生まれて来やしないかということが主たる狙いだと言つていいと思うのであります。法律的にはさほど従来とは異なつた結果を生ずることはあるまいいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/44
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045・亀田得治
○亀田得治君 現行法の三百九十四条、これで法令違背というのは、判決に影響を及ぼす可能性のある場合、そういうふうに解釈されておるわけですね。これは判例によつてそうなつておるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/45
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046・平賀健太
○説明員(平賀健太君) はあ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/46
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047・亀田得治
○亀田得治君 若しそうであれば、憲法違背の場合もそれと同じように考えるんだということであれば、三百九十四条を今度改正される際に、憲法違背の部分について単に憲法違背というのではなしに、判決に影響を及ぼす虞れのある憲法違背、こういうふうにお考えになるほうがはつきりしていいんじやないかと思うのです。そうしてあとの法令違背の場合は「明ナル」が入りますから、少し憲法違背の場合よりもきつくなる。その間が非常に明確になつていいと思うのですね。そうしませんと又いろいろな憲法違背、ともかく憲法という規定はもうああいう非常に大まかな規定ですからね、違背したと言えば何でも違背したと言えます。ところがやはりそういうものがだんだん出て来るのではないか。そうすれば結局三百九十四条のは、現行法の解釈と同じようにそれは可能性がないから駄目なんだ、こういうふうにやはり一つの解釈を加えなければいかんことになるのですね。私は、そんな、そういうことが予想される場合には、はつきり立法において解決されておいたらいいと思うのですね。丁度利息制限法を今度あとからも質疑したいのですが、いろいろな慣行行の問題が今度法律の上に現われて来ている。あのほうがはつきりしていいわけでしよう。だからこの場合でも、判決に影郷を及ぼす可能性のある憲法違背たけの意味だというなら、なぜそのことを法文に書かないか。書いてちつとも悪いことはないのですから、その点をお聞きしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/47
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048・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 現行法の三百九十四条も、この改正案の三百九十四条も、これは上告の適法要件を定めた規定ではないのでございまして、上告が理由あるための要件即ち原判決が破毀される場合のことをやはり規定しておるのでございまして、たとえ法令違背がある、或いは憲法違背がございましても、判決の主文と全然関係がない。例えば判決の中で傍論といたしまして、判決の主文の出て来ます判決の結論と関係のない事項につきまして、仮に原判決が憲法論をやつておる。その憲法論が間違つておると仮定いたしましても、判決の主文には全然無影がない。そういうような場合に、これは原判決を破毀する理由はないのでございまして可能性、原判決に影響を及ぼす可能性が全然ないわけでございます。そのことは特にこの判決に影響を及ぼすべき憲法の解釈の誤あることと書かなくとも、現行法もやはりそういう解釈で来ておりますし、誤解を招く余地はないのではないかということで以て、こういう表現にいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/48
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049・亀田得治
○亀田得治君 私は書いたほうがいいと思つておるのです。まあ併しいいでしようそれは、意見の違いだから……。それから三百九十九条第一項三号の点で先だつても一応お聞きした点ですが、これは、原裁判所が裁判をする場合に、原裁判所の同一判事が当るのかどうか。その点は規則等ではどのようにこれは処理をされる予定でしようか。今までの質疑ではちよつと私が聞いた限りでは少し不明確なんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/49
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050・平賀健太
○説明員(平賀健太君) この三百九十九条の関係、三百九十九条第三号の関係では、この法律案の建前では、別にこの点が規則に定められるということは予定していないわけでございますが、この三百九十九条の考え方といたしましては、この原裁判所というのは原判決をしました同一の部、同一の裁判官でも差支えない。或いは別の部、別の裁判官でも差支えない。必ずしもどちらでなくちやならんということを限定しておるわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/50
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051・亀田得治
○亀田得治君 私申上げたのは、この三百九十九条の一項の「原裁判所」ですね。だから、ここに書いてある「原裁判所」というのはどちらとも決定しておらないというのだが、併しこれはこの法律ができしりた後には、どちらかに一定しなければいかんわけでしよう。裁判所によつてそこを適当にやつたらいい、そんなものじやなかろうと思うのですね。原判決に関与した判事は抜けてやるのかどうか。このことが相当やはり論議されておるわけですから、それであなたのほうの方針を聞くわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/51
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052・平賀健太
○説明員(平賀健太君) どちらとも未定というのではございませんので、どちらがやつてもよろしいという趣旨なんでございます。原判決をした裁判官が関与してもよろしいし、又必ずしも関与しなくても、ほかの裁判官がやつてもよろしい。どちらでもよろしいという趣旨でございます。結局事務分配の規則が各裁判所であるわけでございます。その事務分配に従つて或いは別の裁判官ということになる場合もございましようし、或いは同じ裁判官ということになる場合もございましようし、いずれでも差支えない、そういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/52
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053・亀田得治
○亀田得治君 だからその点は原裁判所の取扱いに任すわけですね。原裁判所最扱い方に任すわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/53
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054・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 結局そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/54
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055・亀田得治
○亀田得治君 では民訴のほうは一応これくらいにしておきます。
それから引続いて利息制限法についてお尋ねしたいと思いますが、先ずお伺いしたいのは、第一条の第二項に「債務者は、前項の超過部分を任意に支払つたときは、」と書いてあるのです。その「任意」ですね、これの意味についてお尋ねしたいのですが、例えばこういう場合ですね、利息の制限がこういう法律できめられておる、こういうことは知つておる人があるのですね。債務者のほうが知つておる。知つておるのだが、そのことは余り口に出したのじや、どうも金を借りることができないかも知れない、そういう理由で、知つておりながら、いやいやともかく高い利息を払つている。一種の間接的に強制されておるような恰好なんですね。そういう場合は一体任意と解釈されるつもりですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/55
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056・平賀健太
○説明員(平賀健太君) こういう制限外の利息なんだけれども、それを口に出せば借りられないからまいあ仕方がないといつて、そういう気持で払つたという場合は、これは任意に支払つた場合に当たるとし思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/56
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057・亀田得治
○亀田得治君 そういう場合が非常に多いのですよ。それが入るとすると、この第二項で高利貸が随分逃れて行くことになるのですが、そういう解釈ですと、ちよつといろいろ問題が残りますわ。こういう場合はどうですか。こういう利息制限法でこの法律のような利息の制限があることを知らない。ところが知つておつたら決して俺は払わなかつたのだ、知らんものだからうつかり払つておるのだ。払つておること自身はこれは任意でしよう、金を渡しておるのだから……。こういう場合はやつばり任意ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/57
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058・平賀健太
○説明員(平賀健太君) その場合もやはり任意と解釈すべきものと思います。要するにこの二項というものは、例えば非常に任意でない場合がはつきりしておるのは、強制執行の方法によつて取立てられるというような場合、それ以外の場合の自由意思に基いて、自己の意思に基いてすでに支払つたようなものについては裁判所は更にそれに介入して超過部分の利息を取戻してやるというところまでは関与しない。そういう趣旨なのでありまして、今お話のような制限利息の限度を知らずに払つたというような場合は、当然にこれは任意に支払つた場合に該当するものと解釈すべきものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/58
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059・亀田得治
○亀田得治君 それから現在まあ利息は月一割、こういうふうに個人間で貸借されておるのが通り相場ですね。でこの法律ができますと、その現状とは相当食い違つたものが出て来るわけですが、法律を作る以上は、この法律を守る努力が法務当局になければならんと思うのですが、これはやれますか。やるとするとどういうふうに、例えば周知徹底させるとか何とかいろいろあると思うのですが、何か具体的な方策というものを考えておられるでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/59
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060・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 結局仮にこの法律が国会を通過いたしまして決行となりました場合に、国民に対して周知徹底させる方法を考えておるかという御趣旨であろうと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/60
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061・亀田得治
○亀田得治君 そればかりじやないのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/61
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062・平賀健太
○説明員(平賀健太君) で、その点につきましては、やはり何らかの方法を以ちまして、この利点制限法が改正になつたということは周知徹底させなくてはならん。その方法を講ずる必要があることは勿論でございます。それからなお従来とは利率が違つて来るわけでございましてその点の混乱ということもお説の通り考えられんわけではありませんが、附則の第四項で申しまして従来の貸借についてはやはりなお従前の例によるということになつております関係で、法律上の混乱というのは生じないのではないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/62
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063・亀田得治
○亀田得治君 従来の借金についての法律上の混乱は別に生じないでしようが、今後の問題ですね。こういう法律を作つても、何か空文にされてしまうということを非常に心配するわけですよ。それで先ほど第一条第二項の「任意」があなたのおつしやつたようなああいう広い解釈になりますと、殆んどそれに当るのじやないかと思うのですね。ひつたくつても利息を取つて行かれたとか、そんなことはそれは普通ないことですからね。結局は現在の慣習が、月一割というようなのが民間で行われている。それが先ほどのような解釈で、任意に殆んどの場合日が払つたということになれば、もう第一条第一項の制限は実際上これは駄目になつてしまう。そこをこの利息の制限は飽くまでも守つて行くのだという決意があれば、いろいろ周知徹底させることもそうだし、もう一つは第一条第一項の任意という解釈をもう少し厳重に解釈するとか、或いはこういう第二項のようなものはもう削除してしまうとか何とかしなければ空文になるのじやないか、そういう気がするのです。なりませんか、空文に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/63
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064・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 当事者同士の話合いで以て制限利息を超過する利息を契約いたしまして任意に支払つた場合には、措置がないことになるわけでございますけれども、併し少くとも政府の直接の監督に服します金融機関なんかにおいては、これは当然守られる、この制限利息を守る措置を講ずることはできると思います。それから又一般の債権関係におきましても、公正証書なんか作る場合が非常に多いのであります。公正証書を作るということになりますと、やはり制限利息を超える利息の証書は作れないわけでございます。更に又債務者が任意に払わない場合には、強制執行の問題を裁判所まで請求して来る。裁判所の請求になるわけでございますが、裁判所は当然一条の一項の規定によつて制限超過の利息の請求は認めないわけでありますから、その関係におきましても、やはり一条一項というのは十分実際上もものを言うのじやないかと考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/64
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065・亀田得治
○亀田得治君 この利息制限法というものを作られた一つの大きな目標は、高利貸に苦しめられているという、そういう状態に対する対策だと思うのですね。だから今おつしやつたようなのはむしろ例外的な場合であつて、普通は高利と知りつつなかば強制されて払つて行く、そういうことになる。でこれは弁護士会なんかでも幾らか意見が出ているのはその点のようですが、従来は第一条第二項のような問題は判例に委しておつたわけですね。それを今度利息制限法の中にはつきり書かれると、高利貸のほうではもう公然とこれをやるわけですね。そうなるとあつちは任意に払つたのだから、法律上保護されているのだからと、これは堂々とそういうことが罷り通つて行く。現在までですと例えば調停なんかになりますが、借金で苦しんで、幾ら利息を払つても元金が減らん、調停なんかになりますと、やはり任意に払つたものであつても、やはり非常に高利貸のほうはそれがずつと計算が出て来ると立場が悪くなる、道義的にもこれは責められる、判例の如何にかかわらず……。これはどうもそういうことが逆になるような気がするのですね。利息制限法を改正される場合に、物価とかいろいろなことに応じて率を改正される。これは御尤もだと思うのですが、第二項なるものが先ほどのような解釈でここに出て来ますると、却つて法律の趣旨に副わんというような感じがしているのですが、在野法曹の諸君もそういう点をいろいろ意見を出しているように聞くのですが、そうなりませんかね。きつとそういうふうになると思うがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/65
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066・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 現存の利点制限法におきましては制限超過の利率を定める契約は裁判上無効とし、裁判上請求できうないということになつておりまして、やはりこの改正案の一条二項と同じ解釈なのでございます。任意に払えばやはり仮還の請求ができないというのが現行法の長い解釈で、かたまつたところなのでございまして、この法律案におきましても、その点をやはり実質上踏襲いたしたのでございます。若しこれを従来の利息制限法の解釈と異なる、当然向うで返還請求もできるというふうにいたしますと、これはやはり先ほどのお説のようにむしろ波乱を生ずるんではないかというふうに考えられるのが第一の理由であります。
それから第二には、いわゆる高利貸に債務者が普しめられるというような、高利貸の定める利率というのは年二割というようなそんなものではなくて、もつともつと高い利率の場合が実は多いのでありまして、この年二割というのも、現行法の年一割を現在の経済情勢に照しまして、この線が妥当だということは、裁判上請求し得る最高限度だという程度でございまして、非常に高い率じや勿論ないわけであります。でありますから、二割の限度であれば任意に支払つてしまつたものについてまで取戻さなくてもいいんじやないかという考えなのあります。むしろいわゆる高利貸の暴利行為の取締りというのは、もつとやはり高い率のところに限界を置きまして、それ以上取つたら裁判上無効というのでは手ぬるいので、やはり刑罰で以て処罰するというところまで行つてこそ、初めて高利貸の暴利行為の取締りができるわけでありまして、その点は別に本国会に出ておりまするところの「出資の受入、預り金及び金利等の取締に関する法律案」におきまして、日歩三十銭を越える高利に対しては罰則を科する、そちらのほうでやはり目的が十分達せられるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/66
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067・亀田得治
○亀田得治君 刑事問題とかそういうことにならない状態で、下のほうで苦しめられて行く問題が多いわけなんですね。で私は第一条の第二項をこういうふうに積極的に書かないで、やはり現行法の程度のほうがどうもいいように思うんですがね。裁判上お前のやつは請求できんのだぞ、こういうことはやはり素人なり一般の人は、あいつは実際は本当の請求権じやないんだ、裁判所へ持つて行つてもだめなんだから本当はだめなんだと、非常に請求するほうだつて遠慮がありますしね。それが周停等においても非常にやはり一つの話をつけるいい機能にもなつておる。ところが改正法になりますと、任意に支払つたやつはもうそれでいいんだ。何か少しこれは読み方によつていろいろ違うかも知れんがね、どうも別行法に比較すると、守られるほうが強いように感ずるんですがね。これはその点は、何ですか、立法されるときに比較検討されたわけですか。まあ判例上こうなつておるから、こう書いておいたらいいじやないかというふうにおやりになつたんでしようか、どうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/67
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068・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 現行法の二条の「裁判上無効」につきましては、学説の上では、裁判上請求ができないという趣旨なんで、裁判外で任意に払えば返還の請求はできないんだという解釈と、いやこれは絶対無効である。ですから制限を超えて払えば、返還請求ができるんだという両方の解釈が、御承知の通り、あるわけでございます。併しながら従来の大審院の判決、最高裁判所もそうなるかと思うわけですが、これは一貫いたしましてこの改正案の一条の二項と同じ解釈をとつて来ておるわけであります。そういう関係でありますので、法律に明るい貸金業者であれば、当然そのことを知つているわけでありまして、やはり従来「裁判上無効」という明治十年頃の用語を使つております関係で、非常に学説でも争いが生ずるほど用語が非常に不明確である。これはやはり法律的にはつきりしておく必要があるというので、一条の二項のような表現をとつた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/68
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069・亀田得治
○亀田得治君 この点も意見の相違になつて来ましたけれども、「裁判上無効」というあの表現は実は私はいいと思つているんですがね、高利貸に対しては……。どつから生まれた言葉ずかいか知りませんが、非常に強い感じを与える。これは一つ私の意見だけにとどめておきましよう。
それから三条の但書ですれ、「契約の締結及び債務の弁済の費用は、この限りでない。」、こう書かれておるんですが、こういうことになりますと、この但書を一つ大いに高利貸は活用をして三条の本法案で禁止しておるようなことを、どんどんやるような虞れがあるんですが、これはどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/69
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070・平賀健太
○説明員(平賀健太君) ここの但書に言つております契約締結の費用、債務弁済の費用、これは本当に純然たる契約締結の費用、債務弁済の費用なのでございまして、仮に高利貸しが、契約上、契約締結費用幾ら、弁済費用幾らということを申しましても、実質的に、それが契約締結の必要或いは債務弁済の必要に当らない場合でありましたら、前段本文のほうで行くわけでありますから、その点は結局これは裁判所の問題となつて解決処理されることでありますから、その点は心配ないと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/70
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071・亀田得治
○亀田得治君 契約締結の費用というのを具体的に言うと、紙代とか、それに貼る印紙代とか、そんな程度ですか。もつとほかに考えているのですか、法務当局のお考えはどういう範囲を言つているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/71
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072・平賀健太
○説明員(平賀健太君) 只今仰せになつたようなものも入ります。それから公正証書作成の費用というようなものも考えられるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/72
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073・亀田得治
○亀田得治君 例えばいろいろ金を借りるのに交渉する、そういう場合に一緒に食事でもする。そういうような費用はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/73
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074・平賀健太
○説明員(平賀健太君) そういうのは入らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/74
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075・亀田得治
○亀田得治君 入らない……、ところがそういうのがややこしくなるのですね、そういうやつが……。だからこういう書き方でなく、丁度三条本文にいろいろな例がたくさん書いてありますように、公正証書作成の費用、或いは何々というふうに五つ、六つお書きになれば問題が残らないようにも思うのですが、それはどうなんでしようか。そうしてそういうふうに書いておけば、一般の人はごまかされませんがね。一般の人がこういう条文を見た場合に、やはり今の慣習ですと、ちよつとお土産を持つて行つたり、いろいろするのは、これは当然契約締結の費用だというふうにだんだんルーズに考えておりますから、そういうような点が非常に防げると思うのですが、それはどうでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/75
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076・平賀健太
○説明員(平賀健太君) それは全くお説の通りでございますが、契約の締結の費用をここに例示いたしますと、非常に細かいことになつて来ますし、それから要するにこれが問題になりますのは、やはり裁判上請求する場合に、結局において問題になるのでございますから、具体的に例示しなくても十分わかるのではないかというふうに考らた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/76
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077・亀田得治
○亀田得治君 これは裁判所まで出て来ないで苦しめられておるのを僕らがいつも目撃している。その立場で実は考えて言つているのです。で、そういうふうに具体的にここでちやんと書いてありますと、請求するほうだつて、これはまあ現在いろいろやつているものも、三分の二とか四分の一くらいけそれだけで整理されるのじやないかと思うのですよ。若しこれは差支えなければ、そういうふうに具体的に、これは言葉を殖やすだけですから、お書き願いたいと僕ら思つているのですがね。僕らもちよいちよい金を借りるほうだし、ちやんと書いてあれば、相手から請求されないで済む。これは法律に違反するわけにもいかんから、断わりやすいように、これは是非どうですかね、やはり法作家はこういうふうに書いて、大体これで解決ついたと思つているのですが、そういう趣旨の法律じやないのですから、これは保護法なんだから、随分詳しく書いてある法律たくさんありますよ。それに比較すると、これなんか実に整理され過ぎておる法律ですから、少しも冗漫には私はならないと思う。そのほうが親切な立法だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/77
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078・平賀健太
○説明員(平賀健太君) お税制尤もな点があるのでございますが、前段本文でございますと、とにかく名目の立たん金が取引されましたら、それは名目の立たない金が契約で定めてありましたら、それはやはり利息とみなすという本文の規定が非常に広いのでありまして、こういうものに入らない契約締結費用、債務弁済費用というのは、やはりこれは限定されるのでありまして、例示しなくてもその明確を欠くことはないのではないかと考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/78
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079・郡祐一
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をとめて下さい。
午後三時六分速記中止
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午後三時二十四分速記開始発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/79
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080・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
それでは次に、裁判所書記官等の俸給調整についての最高裁通達に関します件について経過、処置等について鈴木最高裁判所人事局長から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/80
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081・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 只今の問題について一応私から経過を御説明申上げます。
御承知のように、裁判所の職員は、職員の種類を申上げますと、書記官それから調査官、これにはそれぞれ書記官補、調査官補というのがついております。それから事務官それから事務官以下の雇、給仕、こういうのが裁判所における裁判官以外の職員の種類でございます。これ以外に裁判官の出身を以てしております裁判官付の調査官というのもございますけれども、大体裁判官以外の職員は今のような種類があるわけです。それで御承知のように裁判所の書記官とそれから少年調査官、これはいずれもその官補を含むわけですが、この書記官と少年調査官には号俸調整というのが現在なされておるわけです。これは官には二号、それから補には一号、その書記官と調査官に号俸調整がされましたのは昭和二十五年の多分十二月だつたと思います。その際どうして書記官と調査官に号俸調整がついたかと申しますと、検察局の辛勝官について先に号俸調整の実施がなされたわけなんです。裁判所はそれに立遅れたものですから、裁判所の職員のほうから猛烈なる要求がありましたし、それから私どもも仕来司法省の傘下にあつた当時は、裁判所書記という名目の下に検察庁で働いておる書記官も、裁判所における書記官も、同じく裁判所書記ということで同様の待遇を受けておつた。いわば同僚の関係なんですから、そういう実質面から見ましても、沿革的に見ましても、裁判所の書記官に号俸調整をつけないという法はないというので、人事院と随分交渉をいたしましたし、大蔵省にも交渉をいたしました結果、二十五年の暮から書記官、それから同様に仕事が困難だというので少年調査官にも、法務省の職員と同様に号俸調整ということがなされてずつと今日まで来ておつたわけです。
ところが書記官と調査官に号俸調整はなされましたけれども、裁判所の事務官というものには号俸調整がずつと現在までなされておらないのです。これは仕事の内容から言いまして、書記官、調査官というものは、ほかの官庁における職員とは仕事が困難だということの認定の下に、そういう前提の下に調整がなされておつて来たわけです。ところが一緒に帆を並べておつた事務官にはなされない。それでそれ以来裁判所の内部においては職員の側から事務官にも書記官と同様の調整をつけろという声がずつと二十五年の暮以来強く叫ばれて来ておつたわけです。それから単に職員の方面からのみでなく、高等長官とか地方の所長であるとかいうような、いわゆる管理者側からも事務官にも号俸調整をつけろ、つけるのが至当だというそういう声が機会あるごとに事務局のほうに要求されて来ておつたわけです。で、事務局の私どものほうとしては、仕事の内容から見て、事務官と書記官との間には相違がありますし、書記官につけるが故に直ちに事務官に号俸調整をつけるということは、これは性格から言つてなかなか実行困難である。それを実行しますと、一位の省においても事務官に号俸調整をつけろという、要求が必ず大蔵当局になされるわけですから、大蔵省が用かないわけなんです。そのまま実行が困難で、書記官と事務官をいわゆる一本化しろという要求が強く叫ばれたまま現在に至つておつたわけなんです。
ところが最近検察庁の事務官について従来一号及び二号の調整を一挙にして四号調整にするということがわかつたわけです、私どものほうに……。そうしますと今まで説明してあることからもわかりますように、従来裁判所の書記官と検察庁の事務官というものは待遇がずつと同じでありましたし、号俸調整がつけば号俸調整がついたし、その前も同じ役所で同じ俸給の表で裁判所書記として、同僚としてやつて来たものなんですから、必ず又裁判所の側においても、つまり書記官の側からも四号調整にしろという要求は必至と私どもは見たわけです。それから私どもの立場としても検察庁が四号調整になるなれば、こちらも四号調整にしてもらわなければ、素質のいい職員をこつちへ取ることができなくなる。だから私どもの立場としても四号調整を今後法務省の検察事務官についてやるならば、こちらもしてもらわなければならないということで、大蔵省に昨年の暮れあたりから向うをやるならば必らずこちらもしてくれというので申入れがしてあつたわけです。ところがいろいろ予算の締切り等にも迫られましたので、大蔵省はしぶつておりましたけれども、とにかく検察庁の職員を、事務官を四号調整するならば、少くとも書記官と調査官は四号調整にするだけの予算をとにかく組んでおいてくれ。いざ実行する段になつて予算がないということでつつぱねられるならば、我々の立場上困るからということで、予算的な折糊は大蔵省に無理を言つてしてもらつたわけなんです。ところがいろいろ事情を調べてみますと、四号調整は無条件でないことがわかつたわけです。その条件というのは、結局四十四時間の労働時間を週五十二時間にするということ、それから事実上超過勤務手当は支給ができないということ。それからもう一つ、法務省における検察事務官は事実上組合の結成をやめた。と申しますのは、俸給というものはいうまでもなく仕事の内容、困難性、それから勤務時間、環境等の労働条件、そういうものを勘案をして給与というものがきまる建前になつておることは御承知の通りであります。そうしてそういう観点からして刑務所の職員、消防の職員、それから警察官というようなものは、大体普通の公務員よりも四号程度の調整をした、上廻つた特別の俸給の調整をしてあるわけです。それと同時に勤務時間も五十二時間にしてあります。それから消防、刑務所、警察というようなものは、御承知のように国家公務員法上組合の結成、加入ということは禁止されております。ですから大蔵省の給与の建前を崩さないということになれば、それに右へならえのような条件で、四号調整をするという大蔵省の立場をこちらとしては崩すわけにはやはり行かない。それで法務省が実際にそういうことを行なつている、それで呑んでいるから、そういう同じ条件ならば裁判所の職員、殊に書記官、調査官に四号調整をそれと同じ条件でいいというならば応じざるを得ないということに大蔵省は了解をしたわけです。それで私どものほうとしては、これは同じ条件を呑むか呑まないかということは職員がきむべきことで、我々としてはそれを強要することはいかないけれども、今申上げましたような同じ条件で号俸調整を受けるという足並みが揃つた場合、予算がなければ困るから予算を入れておいてくれということで、予算的措置だけはいたしたわけなんであります。
ところが仮にそうしますと、書記官と調査官は足並みが揃つて仮に号俸調整ができたという場合に、従来非常に強い要求をされて、おつた事務官との一本化ということがどうなるかというこを私どもは考えたのですが、そうなりますと一木化が叫ばれているのと逆な方向に持つて行かれるという結論になる。つまり事務官と書記官との俸給、待遇上の溝が更に深まるということになるわけなんです。それでどうもこれではやはり更に困るというので、その後ずつと大蔵省にいろいろ折衝しておつたのですが、丁度四月の五日だと思いますが、この月の五日に漸く大蔵省と、それならば伐る程度裁判所の事務官にも四号調整を、全部ではないけれども四号調整を認めようというところまで、私どものはうがむしろ無理を言つて認めさしたわけです。併しそれは結局裁判所の職員が自由にきめることなんだから、職員が四号調整を受ける、今申上げたようなあれで受けるということになつた場合に、改めて大蔵省と四号調整について折衝をしようということで、五百に最後の私どもから言えば念願しておつたところの一本化の線が完全ではありませんけれども出たわけなんです。その一本化の線で賄えない事務官が多少ありますが、その賄えない事務官の点は給与を上げるとか、超勤を余計につけるとか何とかいうような形で実施面では殆ど一本化というに近い一面を実行できるという見通しが付いたわけなんです。
それでそれならばこれを各地に流して、職員が果してそういう案で受けられるかどうか一つそれの検討を十分してもらつて、足並みが揃うならばつけよう。併しこれは強制すべきものではないから、併しこれは対大蔵省との関係、給与体系の関係でこれを無条件で四百万調整することはできないから、その辺の利害得失は職員の自由に委せようということになつて、丁度七日に主席書記官の任命という制度が問題になつておりましたので、その主席書記官をとういう方式で任命をするかということについて、高等裁判所の事務局長を招集してあるわけなんです。その事務局長の席で初めて今までのいきさつを話して、こういう案ならば四号調整になるのだ。これは併し今申上げましたように時間の延長ということもございますし、超勤が事実上もらえないということもありますし、それから組合を脱退するということもあるのだから、これは各自が現地へ帰つて案の内容をよく職員に示して、そうして自由にきめてもらうほうがいいじやないか。ただ従来四号調整になるか二号調整になるか、それからその範囲が書記官だけかどうかというようなことがはつきりしておらなかつた。それはおらなかつたというのは、今までの経過で申上げましたようなわけで、はつきりしておらなかつた。だからそこを一つはつきりしておいて、そして自由にきめるようにしてもらいたい、こう言つて発表したのが七日なんです。で責任を持つて、帰つて現地へ伝えてそうして自由にきめてくれ、いずれ最高裁判所でもアンケートか何かとるつもりだからと、こう言つてその七日の会議で説明を事実上したんです。
従つて新聞などに書かれておりますように、通達というものを出すいとまはないんです。まだ通知は出しておりません。それから組合に対して解放を要求したとか組合の弾圧のためだというようなことは、我々ちつとも考えておらないのです。組合自身も四号調整ということは七日に会議がありまして、八日に組合の中執の連中が私の部屋に来て、四号調整の内容はどうだと言つたときた、初めてこういう内要だと言つて説明をしたようなわけで、従つて組合に対しても解散を要求するというようなことは勿論ありませんし、組合に対してどうこうというようなことはちつとも申入れも何もしてないわけです。ところが組合のほうはこれは組合に対する弾圧だ、解散だと、こういうようにとつて大分騒ぎますし、それから私どものほうは、これは全部足並みが揃わなければできないことだ。それから第一、四号調整を受けるほうの側がいろいろな観点を考えて得失を天秤にかけてそして自由にきめべきことだ、そういう方針でやつておりましたところが、各地の情勢をその後聞いてみますと必ずしも足並みが揃わない。そのうちに憲法違反だ、組合弾圧だというような声がかかりますものですから、これは痛くない腹を探られるよりも、結局足並みが揃わない、職員全部がそういうことを希望しないなら、これはあつさりやめてしまつたほうがいいだろう。職員の待遇ということについてはいずれ別途の方法で又考えたらいいじやないかというので、十五日の、多分金曜日だと思いますが、十五日の夕方に、これはもうそういうことは実行しないということを総長から記者に発表をして、実行をしないということになつた事情は今申上げました通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/81
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082・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御質疑ございましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/82
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083・亀田得治
○亀田得治君 これは実際には待遇は結果においてはよくなるのですか、どうなんですか。この超勤なんかがもらえなくなるとかいろいろな点をかれこれ勘案した結果は……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/83
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084・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 私どもの計算では二十円以上四千円くらいまでみんなベース・アツプになつたと同様な計算になると思います。ただ大体平均して、二十円以上二十四、五百円のベース・アツプの形になるのじやないか、こういうように思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/84
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085・亀田得治
○亀田得治君 結局一番問題は、あなたもちよつと先ほど言われたと思うのですが、裁判所の職員の方の仕事がまあ特殊な面を持つている、そういうことが是認されるのであればすなおに出すべきなんですね。お金は……。いろいろな条件がつくから、それがやはり非常に問題になると思う。私大蔵省のこの出された条件というものは実に非常識だと思うのですね。例えば資本家が労働者といろいろ折衝している、君たち組合を解散したらこれだけ上げてやろう、これはもう明かな不当労働行為ですからね。だから国の場合だつてこういう俸給の場合には同じことなんですからね。何か大蔵省のほうでは組合側のほうは待遇改善が目的なんだから待遇さえよくしてやれば解散するのは当り前じやないか、もう必要ないじやないか、何かそんなようなお考えを持つていらつしやるんじやないかと思うのですね、どうもこういう条件なんか出されるところを見ると……。これは非常な間違いなんでしてね。それでしたらいろいろストライキが解決して昇給があつた場合には、労働組合は解散しなければならんことになる。そうじやなしに、組合介解散する、しないとは別個の問題ですからね、昇給できるかできないかということは……。純粋に仕事の分量なり或いは出すほうの経済状況、この二つが共準になるわけでしようね。だからそこなんですが、従つてこれは大蔵省の考えは甚だけしからんのですが、法律の番人とも言われる最高裁のほうで一応そのような条件を下のほうへ、たとえこれは相談にしろお示しになつた。この点が私非常に実は遺憾だと思つているんですよ。大蔵省から出て来たときに、なぜその点をもつと明確にされなかつたか、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/85
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086・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 大蔵省の代弁をするわけじやありませんけれども、この問題に関してはむしろ私どもの行うが大蔵省にとにかく四号調整をつけるということになつた場合の予算的な措置としてくれ、それから更にその措置を一応書記官、調査官についてしてもらつた後に、更に一本化の緯を何とか実現をしたいという、これは年来の裁判所全体の希望なんですよ、だもんですから更に大蔵省にせつついてやつたんで、大蔵省から押しつけられて組合を解散をしろとか、解散の対象に、いうような意味よりも、むしろ大蔵省の建前としては給与体系を崩せない。結局刑務官、警察官、それから検察庁の職員、更にそれに繋かる裁判所の職員というようなものの類似性からいつて、給与体系上その線を崩すと他の官庁が黙つていないという、これは大蔵省の肚が確かにそこにあると思うのです。我々は条件を呑むか呑まないかわからないけれども、呑むと言つた場合に、予算がないといつて突張られたのじや、我々として責任が果せないから、とにかく予算的措置はしてくれと言つて、我々のはうからその脈は無理を言つたという形になつておるわけなんです。ただ最前から申上げましたように、これは職員がやつはり自由にきめなければならないことなんですから、これは我々としても必ず四号調整をつけるというような意図の下にやつたわけでもありませんし、それから四号調整を呑ませるということも、これは事実上不可能なわけなんですから、その辺の見通しは我々としても、どつちにころぶかわからないということは承知しておつたわけなんですけれども、法務省の検察事務官がついている以上は必ず前の例、ずつと歴史的に沿革的に見てですね。うちの職員にもこれは黙つてはいられないから、とにかくその場合の予算的措置だけはしろということで、むしろ大蔵省に私どものほうから無理を言つた形になつているわけです。大蔵省から私どものほうに今おつしやられたような金をやるから解散をさせろというような形で来たならば、これはもう私どものほうがはねつけべきことは当然なんですけれども、今言つたような事情からして一本化したいということと、隣りが拙翻する以上は、こちらも黙つて必ずいないのだという点を持つていたものですから、予算的措置をしてくれということで大蔵省にねばつて、大蔵省には一応措置をさせてもらつたんです。そうして職員の実際の自由な考えを聞いて、そうして措置をしようという肚で、その意図になつていたものを、むしろ妙に取られたものですから、あれ以上事態を紛糾させるというのも却つていけないというので中止をした、こういういきさつです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/86
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087・亀田得治
○亀田得治君 大蔵省から先ほどおつしやつたような条件を書いた文書でも来ているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/87
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088・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 文書は来ておりません。全部口頭です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/88
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089・亀田得治
○亀田得治君 口頭の話ですね。そうするとともかく予算的な裏付はできる可能性は大蔵省にあると、こういうことだけはこの折衝を通じて明確になつたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/89
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090・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) 予算の丁度締切り真際に、この話がだんだん具体化して行つたものですから、とにかく予算だけは、つまり予算と申しますのは書記官と調査官ですれ、書記官と調査官に号俸調整をつけるということになつたら、つけられるような予算をとにかく入れておいてくれ。そうしてつけることになつた場合には、改めて大蔵省と会議をするから、こういうことになつておるのです。ですから正式にそれだけを実行するだけの予算があると正式に言えない状態にあるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/90
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091・亀田得治
○亀田得治君 大戒省のそういう条件がそんなに強いものでなければ、ともかく裁判所職員の仕事の特殊性だけは認められて、それに対する予算措置は何とかしよう、こういうことになつたのであれば、その点だけが生きるように今後できませんか。組合解散ということが絶対の条件じやないというのならもうさつぱりしてしまつて、そういうことはともかく、仕事の特殊性は認められたのなら、これは当然何でしよう、その裏付けをすべきなんですからね。このままこれをうるさいからここで御破算だ、これじやちよつとおかしいじやないかと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/91
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092・鈴木忠一
○説明員(鈴木忠一君) その予算的な措置と申しますのは一種の条件付きの措置であることは今も申上げましたのですが、裁判所の職員の仕事の特殊性ということを結局強調して、その特殊性に応じた給与というものを他の一般官庁の職員に比べてより有利に認めてもらう、そういう給与にしてもらうということは、これは私どもの年来の主張なんです。今回の大蔵省との話合いでこういうことになつたというのも、これはかなり私どものほうで無理を言つて大蔵省にかなり無理をして言つてそういうようになつた場合には、じや止むを得ないから、そのときは又改めてやろうというような了解で、本当を言いますと大蔵省に無理往生を私どものほうがさしたというような建前に実際はなつておるわけなんでありますから、勤務の時間の延長とかその他の条件というようなものがつかないと、相当やはりこれは給与の体系を崩すという点から言つて、大蔵省は承諾しないと思います。併し私どもは今、御指摘になりましたような裁判所の職員の仕事の内容の特殊性を強調して、そうして他の官庁の職員よりも有利な給与ということに持つて行こうとすることは、今までもその方針で努力して参りましたし、今後もその方針は変えないで何らかの形で努力はし、実現をいたしたい、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/92
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093・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/93
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094・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。
次回は来る二十六日午前十時から文部委員会との連合委員会を開き、午後一時から法務委員会を開会いたします。
本日はこれを以て散会いたします。
午後三時五十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X02319540423/94
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