1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年五月十二日(水曜日)
午前十時四十八分開会
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出席者は左の通り。
委員長 郡 祐一君
理事
上原 正吉君
宮城タマヨ君
亀田 得治君
委員
青木 一男君
小野 義夫君
楠見 義男君
中山 福藏君
棚橋 小虎君
一松 定吉君
羽仁 五郎君
政府委員
法制局長官 佐藤 達夫君
法制局第二部長 野木 新一君
保安庁長官官房
長 上村健太郎君
法務政務次官 三浦寅之助君
法務省民事局長 村上 朝一君
外務省条約局長 下田 武三君
事務局側
常任委員会専門
員 西村 高兄君
常任委員会専門
員 堀 真道君
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本日の会議に付した事件
○国際連合の軍隊に関する民事特例法
の適用に関する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○日米相互防衛援助協定等に伴う秘密
保護法案(内閣送付)
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001・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 只今から委員会を開きます。
先ず国際連合の軍隊に関する民事特別法の適用に関する法律案を議題に供します。
本案につきましては、大体質疑は予備審査の段階において尽きておるようにも思われまするが、特に御発言もなければ、質疑は終局いたしたものと決定いたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/1
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002・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 御異議ないと認めてさよう決定いたします。これより討論採決に入ります。
これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/2
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003・亀田得治
○亀田得治君 私は日本社会党を代表いたしまして、本法案に反対いたします。反対の理由はたくさんございますが、主な点は今申上げる三点でございます。
その第一は、この法案が日本の国内に外国の軍隊を置くことを前提としておる。我が党は国内に外国の軍隊を置くことが、今日の情勢から見て、決して日本の有利には発展しない。却つて日本の独立と世界の平和に有害である、こういう考え方をとつておりまする関係上、外国軍隊の駐留を前提とするあらゆる法案に反対しておるわけでありまするが、その一つとして本法案にも又反対せざるを得ないわけであります。
それから第二の点は、国連軍の構成員による不法行為の損害の負担につきまして日本の政府が最終的には損害額の四分の一を負担することになつております。而も経過的に見れば、当初においては一応日本の政府が全額外国政府に代つて肩代りをして支払いをする、こういう形式になつております。この点は何か被害者に対する保護という立場から、有利なようにも主長されておりますが、被害者に対する救済の問題は、これは当然別個に考えるべき問題でありまして、いやしくも日本の政府が外国軍隊の構成員によつて起された不法行為、これに対して、一時的にせよ、全体の責任を背負つたような印象を与えるこの法案は、非常にに日本の独立という立場から言つて、問題が後に残ると考えるのであります。いわんや最終的に精算いたしましても、四分の一の責任は日本政府が背負う。この点は全然理由がないと考えるのであります。ヨーロツパ各国と、アメリカとの関係において、そういう協定が結ばれておるように説明はされておるのでありますが、その根拠というものが、少しも明らかでない、これが反対の第二の理由です。
それから反対の第三点は、今申上げたように、連合軍の構成員の不法行為を日本政府が背負う、そのことの合理性について疑問がある。そのような問題について更に遡つて責任を日本政府が負担する、こういうことになつておる点、いわゆる法律の遡及して施行されるという点であります。これは反対の第二点で申上げましたように、責任を負うことに疑問があるのに、そのようなものを更に過去のものにまで遡らせるということは、いよいよ以て理由が薄弱になると私どもは考えるのです。たとえこのような法律を施行しなければならないといたしましても、今後国連軍の構成員が侵した不法行為にだけ適用すればいいのであつて、今まで条約もなく、或いは従つて又このような法律のなかつた過去のもの、その過去の事件はすでに七百件も現在までに起きておるようでありますが、そういうものにつきましては、これは国際法の原則に従つて、やはり完全に国連軍構成員の不法行為として、これを日本政府が追及して行く、こういうことが当然あつて然るべきであるというふうに考えるわけであります。
以上のような三つの点を主なる理由といたしまして、この法案の成立に反対をする次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/3
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004・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 他に御発言はございませんか。——御発言がないようでありまするから、討論は終局したものと認めて直ちに採決に入ります。国際連合の軍隊に関する民事特別法の適用に関する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/4
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005・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたしました。
なお、例によりまして委員長の本会議における口頭報告の内容等は、便宜御一任を願います。
本案に賛成の諸君の御署名を願います。
多数意見者署名
上原 正吉 富城タマヨ
一松 定吉 棚橋 小虎
青木 一男 小野 義夫
中山 福藏 楠見 義男発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/5
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006・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記をやめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/6
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007・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて、
暫時休憩いたし午後一時から再開することにいたします。
午前十一時六分休憩
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午後二時七分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/7
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008・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 午前に引続き委員会を開会いたします。
日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法案を議題に供します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/8
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009・羽仁五郎
○羽仁五郎君 本法案との関連におきましてれ国民が重大な関心を持つております原爆乃至水爆などの問題について、前に政府の説明を求めたんでありますが、今日は外務省のほうからお見え下さつて御説明頂くということになりましたので、大体三点について伺いたいと思います。
先日参議院の本会議で、木村保安庁長官は、本法案に対する議員、の質疑に対するお答えの中で、日本においてアメリカ軍が原子爆撃又は水素爆撃、そういうことをやるということは、日本の政府としては全く考えていないというお答えを頂いたんです。これで、このお答えで国民が安心をすることができれば誠に仕合わせなのであります。私はどうもそこに三つの問題があるのじやないか。その第一として御説明を願いたいと思いますのは、現在までの条約、或いはそれに類する協定又法律などの関係で、アメリカ軍は現在日本においていつ何時でも原子爆撃、水素爆撃の基地を作る、又その基地を用いて原子爆撃、水素爆撃を行こうことができる、私はできるのじやないかというように深く心配をするものなんでありますが、できないのだということが御説明願えれば誠に有難いのでありますが、その点第一に伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/9
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010・下田武三
○政府委員(下田武三君) 現在日本に駐留しておりまする米軍が原爆基地を日本に設定し得るかという御質問でございまするが、御承知のように日米安全保障条約はその第一条におきまして駐留軍がどういう場合に使用されるかという使用目的を掲げております。つまり「極東における国際の平和と安全の維持に寄与」するということと「外部からの武力攻撃に対する日本国の安全に寄与する」という二つの目的のために駐留軍を使用し得ると書いておりまして、従いましてこの自的のために必要である武器兵器でありまするならば、これは米軍が持つて来得ることは当然であると考えるのであります。日本にどういう兵器、武器を持つて来てはいかんという制限は安保条約にはございません。でございまするから、理論的には如何なる兵器でも持ち得るのでありまするが、実際問題といたしまして現在までのところ日本に原爆を持つて来るというようなことは私どもも聞いておりませんし、米軍にその意向があるようなこともまだ聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/10
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011・羽仁五郎
○羽仁五郎君 すると、今の御説明によりまして、実際問題としてはそういうことがないということを日本政府としては希望せられるのでありまして、我々もその希望に全く一致するものでありますが、併しその希望の基礎となるものは特にない。でいつ何時その希望は空に帰するかもわからない。少くとも米軍が日本に原爆乃至水爆の基地を設定し、又その基地から原爆乃至水爆をなすということを禁じられていない、やろうと思えばいつでもできるということが御説明によつてわかつたのだと思います。それに相違ございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/11
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012・下田武三
○政府委員(下田武三君) 原爆基地とおつしやいまするが、特に原爆のための基地を設定するということはないと思います。又原爆の基地にせんがために施設を借りようという場合には、一切の施設の借用につきましては日米合同委員会の議を経まして日本側の同意がなければ、そういう施設や何かを設けられないことになつておりまするから、そういうことも若しあれば日本側にわかるわけであります。基地をわざわざ日本の国内に設けるようなことは考えられませんで、仮に万一そういうような場合がありといたしますならば、飛行機で運んで短時間日本の基地に寄つて給油するというようなことはあるかも知れません。これは原爆が飛行機に搭載してキャリーし得るような現状におきましては、何も好んで地理的に共産陣営に近い日本にそういう基地を作るということを計画するはずがないと私どもは思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/12
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013・羽仁五郎
○羽仁五郎君 外務省のお考えはよくわかりましたが、その第一に日本に原爆、水爆基地を作るはずがないという外務省のお考えは、外務省のお考えとして伺つておきますが、併しアメリカでは最近のいわゆるニュールック戦略というものでは、むしろソビエトの周辺に原爆、水爆の基地を設定するということを明瞭に言明しておられますから、只今の外務省のお考えとは違う考えでアメリカ側では新らしい戦略を立てておられるものと考えざるを得ない根拠もあると思います。いずれにしましてもこの点なお外務省におかれましては十分、勿論御努力を願つていることとは思うのでありますが、更にこの点について一層明確に御研究下さり御努力を願いたい。これは国民にとつては非常な不安であります。御承知でもありましようが、昨年末くらいから日本の数種類の新聞に沖縄及び小笠原にすでに原爆基地ができているんじやないかという報道がなされております。これもまあ今のうちですと、まだそういう報道もなされるでしようが、日米安全保障条約に伴います刑事特別法とか、それから又今議題になつております防衛秘密保護法とかいうものが法律としてできますと、これらの問題について国民がこれについて世論の方向を明らかにするということが一層困難になつて参りますので、私は刻々にこういう問題について我々国民が発言する機会がなくなりつつあるのだから、この際どうか外務省としては全力を挙げて只今の第一の問題、即ちアメリカは日本に原爆、水爆基地を設定し得るか否か、勿論木村保安庁長官がおつしやるように日本の政府としてはこれは飽くまで反対されるというお立場であろう。それから国会としては原爆水爆の兵器使用の禁止を国連に請願しているのでありますから、この国会の意思は外務省においても十分御尊重になり、すでに国連にもその国会の決議を御伝達に相成つたことだというふうに承知しております。以上の点を通じてこの第一の点についてはなお十分の御研究と御努力を願いたい。
そこで第二の点について伺いたいが、只今万一そういうことはあるまい、又そういう場合には日本に相談があるだろうというお話がございました。然るに、よく御承知でありましようが、アメリカの法律によつて原爆、水爆に関して外国政府と相談することができないようになつているのじやないか。この点が若し私の心配しておる通りであるとすれば、アメリカが日本に原爆、水爆の基地を作り、又その基地よりして水爆、原爆を行う場合に、アメリカは日本政府に相談いたしません。従つて行われたあとで日本国民は実際右往左往するわけです。昔の古い言葉に隠れ家もなしという言葉もありますが、実際この狭い島で、そして何らのそういう設備のないところで我々一同お互いに隠れ家はないのです。でありますから、少くとも若しそういうことをなされるとするならば、基地を設定せられるなり、いわんやまさかそういうことは万々ないと私ども思いますけれども、若し原爆などを実行されるという場合には、どうしてもこれはあらかじめ御相談がなければ、国民の不安は堪えられないです。これは今朝の新聞などを見ますと、これはちよつと余談になりますが、スポーツの関係で外務省の方針に対して三笠宮が辞意を表明せられたというようなことを報道せられております。原爆、水爆などが行われれば、これは我々国会議員ばかりじやない、国民全体にとつて非常な恐るべき事態が発生することはくだくだ申上げるまでもない。然るに私の知る限りでは、アメリカ大統領は日本国首相に向つてこの相談をすることを禁ぜられている、アメリカの国内法によつて…。従つてこれは相談なしに行われるものと心配いたすのでありますが、外務省の御見解は如何でありますか、伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/13
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014・下田武三
○政府委員(下田武三君) 原爆に関する情報を外国政府に、外国政府のみに限りませんが、米国政府の担当官以外に洩らすべからざることは、これは米国の当然の機密保護立法になつて、最も高度の機密になつておりますので、米国政府の職員、少数の関係当局以外には一切漏らさないことになつておると思います。併しそれは原爆そのものに対する情報の供与の問題でありまして戦争が起つた場合に原爆を戦略的にどういう目的で使う使わないかということは、これはヨーロツパ方面でありましたら、NATO各国を総合いハしましたNATOの統合司令部の問題
でありますので、参加国は当然議にあずかることでありましよう。極東方面にはNATOのような多数国の相互安全保障機構ができておりませんが、若しできましたならば、やはりそういう協議ということは統合参謀本部で議に上ることだろうと思います。従つて原爆自体に対する秘密の情報と、原爆を一定の戦略目的のために使用せんとする場合の関係国問の協議という問題とは、これはおのずから全然別問題であろうと思うのであります。日本といたしましては最大の関心事は日本が二度と原爆の災禍に見舞れないということ、それから自由主義諸国に限らず共産陣営におきましても原爆を使用しないということが最大の関心事でございまするが、併し命あつての物種でございましてれ原爆を使用する以外には極東の平和及び安全並びに日本の安全が保障し得ないという事態になりましたならば、これは原爆の使用をやめること自体が日本の安全に関することでありまするから、そういうような際には、これは国家の最高の利益に従つて考慮すべき問題であろうと思います。問題は原爆使用禁止を早く実現するということでありまして、双方の陣営が使用禁止に同意しない現在の段階におきましては、やはり先ほど申しました日本政府の強い希望、併しこの強い希望にもかかわらず、万一原爆の戦いが行われるような場合には、我がほうの陣営だけが原爆を使用しない結果、我がほうの安全自体が危殆に瀕するというようなことは、これは又本末転倒なことでありまして、そういう場合には最高の見地から検討すべきものであろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/14
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015・羽仁五郎
○羽仁五郎君 私が心配しております第二の問題は、日本に原爆、水爆基地をアメリカが設定せられる場合、それからその基地によつて原爆、水爆を実行される場合に、日本政府に相談は全くないのじやないか、あらかじめ知ることができないんじやないかというよに考えますのは、実は最近三月一日であつたかと思いますが、イギリスの議会でこのことが問題になつたことは私本会議で外務大臣に向つてお尋ねをしまして、そのとき外務大臣からお答えがなかつたんですが、外務省においては御研究下さつたことと思いますが、ここで繰返します。アトリー労働党首がチャーチル首相に向いまして、イギリスにはノーフォークというアメリカの軍事基地がある。これは原爆基地であることはすでに明らかにされている。併しながらノーフォークの原爆基地から米軍がいずれかの国に向つて原子爆撃を開始する際には、どうかそのことを大英帝国の首相であるチャーチルはアメリカからあらかじめ通知を受けられるよう努力をせられたい。そうでないと原爆戦にいつ入つたのかも知らずに英国民は滅亡に瀕する。これは全く党派を超えた重大問題であるから、チャーチル首相は全力を挙げてこの努力をされたいという声涙ともにくだる質問をされたのでありますが、これに対してイギリスのチャーチル老首相は、実際目に涙を浮べて、この重大な心配というものに対して自分は飽くまで努力はするが、併しながらマクマホン法によつて、アメリカ合衆国大統領は目分に向つてその原爆、水爆に関しあらかじめ相談をするということを禁じられている。従つて自分が如何に努力を尽しても、その相談を受けるということはできないというように思つている。これは自分も非常に悲しみ、且つ苦しんでいるところだというふうに苦衷を述べておられます。私はアメリカとイギリスとの関係というものは、我が国とアメリカとの関係に劣らない親密の関係にあるものと承知をしておりますが、合衆国大統領がイギリスの首相に対して相談することができないというようであるならば、これはやはり私は甚だ心配に堪えないことでありますが、合衆国大統領は日本国首相に対してあらかじめ相談をせられることも、やはりマクマホン法で禁止されていると解釈せざるを得ないんじやないか。従いましてことによれば日本の場合には、原爆、水爆の基地の類定ということについても御相談がないのかも知れない。そうしてその原爆水爆の実行される場合には、イギリスの場合と同様に御相談がないのじやないか。この点についていやそんな心配は要らない、日本では必ずそういう相談は受けることになつているというお答えが頂ければ、私の心配は消え去るので誠に有難いのでありますが、外務省の御覧になつているところを御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/15
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016・下田武三
○政府委員(下田武三君) イギリスに原爆基地がありますかどうかは、もとより軍事上の最高機密でありまして、私ども窺知する余地はないのでございますが、ただ原爆の基地と申しましても、原爆を搭載した飛行機が離着できるような設備ということでありましたら、これは確かにイギリスにあり得るだろうと思います。これは何も原爆専用の飛行場というようなものはないのでありまして、大型の長距離爆撃機の発着をするための必要な滑走距離を有する飛行場の設備ということでございますから、これはもうそういう大きな飛行場はざらにあるだろうと思います。そうでなくて、原爆のストック・パイルを詰めておく倉庫とか、或いは補給とかいうような意味の基地でございましたならば、これは私はイギリスにも恐らくないのではないかと思います。いわんや日本のような地理的のところにそういうストック・パイルを重ねるとか、或いは補給をするというような意味の基地は、これは設定することは到底想像できないと思います。でございますから、この意味の基地ということは、借りたいというような申し出はないだろうと思いますし、仮にあつたとしましても、これは先ほど申しましたように日本側の同意なしに新たな基地はできないのでございますから、十分わかると思います。
第二に、アトリー労働党首の質問に関連してお話がございましたが、これはどういうことか私もよくわかりませんが、原爆をいよいよ使うという場合に、日本に最初に原爆を投下いたしましたときも、トルーマン大統領からチャーチル首相にやはり御相談があつたという歴史的事実もございますので、原爆の製造方法その他の技術的情報或いはその保有牲、その存在の場所等に関することは、これはマクマホン法その他の法制で厳秘に付せられると思いますが、これをいよいよ戦略的に使うという場合の戦略的協議と申しますものは、これは当然現在の英米関係でありましたならば、日本に原爆が投下された場合の例と同じようにあるのではないかと推察いたすのであります。ただ、日本につきましてはまだそういうような戦略的な協議というようなことが現実の問題となつておりませんので、これは只今何とも申上げかねるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/16
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017・羽仁五郎
○羽仁五郎君 いろいろ御説明頂いて大変感謝するのですがこの第一の点に関連しまして、沖縄及び小笠原についても只今の御説明と同様に了解をしておつてよろしいのでしようか、その点をなお念のために御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/17
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018・下田武三
○政府委員(下田武三君) 小笠原には、そう大きな飛行場や基地を設定する地理的条件に欠けておりまするので、将来もそういうことはないと思いますが、沖縄のほうは原爆基地に現在なつておるか或いは将来なるかというような点は、これは非常な軍事上の機密でありまして、私どもにも全然わかつておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/18
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019・羽仁五郎
○羽仁五郎君 これはこの点が私は特に心配になる点じやないかと思います。それで新聞などはこの点についての国民の心配を代表しておられるのも理由なしとしないのでありますが、これについては日本国として何らかの努力をすることができないものでありましようか。十分御研究のことだとは思うのでありますが、今のお答えですと、沖縄に原爆、水爆基地を作るか作らないかということは、日本国政府としては全然タッチすることはできない。いわんやそこを基地として原爆、水爆をやるかやらないかということは、日本国政府としては全くタッチができないということになつているようですが、これはそれ以上全く手のつけようがないものでしようかどういうものでしようか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/19
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020・下田武三
○政府委員(下田武三君) 沖縄に対しましては日本は潜在主権は保有しておりますが、平和条約によりまして立法、可決、行政上の一切の権利を米国側に譲渡いたしておりますので、これは安保条約によつて旧在日米軍の使用目的の制限があるようなふうには参りませんので、全く沖縄の基地をどういう軍事目的に使おうとも米国の完全なる自由でございます。ただ、センチメンタルな理由から申しますと、日本が潜在主権を保有しておる領土というものは、日本の最も希望せざる原爆の基地に使用されるということは、国民感情からいたしましてはこれは私は決して歓迎できないことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/20
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021・羽仁五郎
○羽仁五郎君 只今お述べ下すつた通りだと思いますので、その点についてこれ以上申上げませんが、たとえ潜在しておる、眠つておるとはいえ、その主権は日本にあるのでありますし、当時平和条約或いは日米安全保障条約審議の際にも、眠つておるけれども主権はあるということを政府としても御説明になつておりましたし、我々もそう了承しておりますので、そして又その原爆、水爆の問題というのはその後に一層具体的になつて来た点もあると思いますので、日米安全保障条約に伴います基地の問題と並んで、或いはそれよりは一層困難な関係にありますだけ、一層重大な御努力を沖縄或いは小笠原について、お願いするということは、国民の切々たる願望であると私は信じますので、どうか外務省におかれましても御努力をお重ね願いたいと思うのであります。私は、昨年八月ヨーロツパから帰つて参りましたときに、飛行機で沖縄の上を通りましたが、沖縄の有様というものは全く非常な状態——、まあ我々素人ですし、飛行機から遠方から見たものですから何もはつきりしたことは申せやしません。併しどうも通常な状態には全くないというように考えます。而も今後これは一日を過すごとにこれらの問題の解決は、非常に、容易になることを私も願うのでありますけれども、併し場合によつては困難になると思いますが、どうか今お述べ下すつた国民感情というものも十分御尊重下すつて御努力願いたいと思うのです。
第二に伺つております後段の点でありますが、これはなお御研究下さいまして……、さつき私三月一日と申上げましたが、三月二日であつたかも知れません。私が見ましたのは、二週間ぐらい前…一週間前に飛行便で到着しましたニュー・ステートマン・アンド・ネーシヨンの社説にこのことを論じております。それでノーフォークが原爆に使用される基地であるということはイギリスで明らかにされております。これは英米間の親密さによるものでありましようし、先はど御説明になりましたようなNATOの関係などもあることだと思うのでありますが、日本の場合にもせめて少くとも沖縄に原爆基地を設定せられているならば設定せられているという知識を日本に与えられる——、言うまでもなく只今御説明になつた国民感情として沖縄に飽くまでも絶対に原爆基地を設定しないという御努力を願うのでありますが、若しそれにもかかわらず設けられるならば、設けられているということだけは、やはり国民が知つておく必要があるのじやないか。ところがその先ですが、イギリスの場合にはそのことがわかつているのですが、アトリー労働党首の質問は、そのノーフォークの基地を使用して米軍が原爆を行うときに、どうか英国政府はそのことをあらかじめ相談を受けたいという質問に対して、チヤーチルがそのことは遺憾ながら不可能であるということを答えられた。それについては下田局長もよく御承知のように過去のいきさつを述べられて、一時そういう了解ができていたこともあつたけれども、併しその後その了解が消滅しているので、現在としてはそういう相談はないということを述べられた。これらの点はいわゆるアメリカがニュールック政策によつて戦略的に包囲しようとしている国の周辺にアメリカの軍事基地を持つておる国は、イギリス、日本、そのほかそれぞれ不安に堪えないで、それぞれに努力を重ねているところだと私は承知しておりますので、日本も是非それらの国々と可能な限りにおいては努力せられて、これらの問題の共同の解決ということを努力せられることが日本国の幸福でもあり、又それらの国々の幸福でもあると思います。一つの国の努力だけではなかなかこれはできないかも知れない。イギリスの努力によつてさえもそれはできない。併しその周辺の国々が一致してこの努力をすれば、或いはそういうこともできるかも知れないと思うので、その点を御努力願いたい。
それから第二の点で最後の点でありますが、それについては、先ほど局長がおつしやいました、日本としては原爆、水爆の兵器としての使用禁上ということを一刻も早く実現しなければならないというこの点については後ほど申上げます。
もう一遍伺いたいのでありますが、この本法案に関連しまして、第三にやはり御説明を願つておきたいと思いますのは、只今のようのことで、アメリカはいつ何時でもアメリカの判断によつて日本に原爆、水爆の基地を持ち、そしてそれを使つて原爆、水爆を行うことができるのではないか、それをできないという保障はない。それから第二には、それをやる際に基地を設定し、又は原爆、水爆を行う場合に日本に相談しないのではないか、相談を受けるという保障はない、こういうことでありますから、国民の中にこの問題について不安が高まつて行くのはこれは当然のことであります。従つて特に新聞なり、言論機関がこの問題について国民の不安を解決する、又世論によつてこの問題の平和な解決の方向を打出して行きたいというように考えて、さまざまに努力をされます、これは当然と思います。その際に、この原爆、水爆そのものについてはタッチすることは勿論不可能でもありましようし、又現に禁ぜられておることでもありましようが、併しそれを推察するに足るさまざまの材料が考えられると思うのであります。それで本法案に問題になつております日本の防衛隊とおつしやるのか、保安隊とおつしやるのか、そういうものがアメリカから貸与せられる武器とか、装備品、そういうものの中には、或いは日米安全保障条約及び日米の相互防衛援助協定、その他の関係で、直接又は間接に行動をとることが可能であります。日本のそういう防衛力ということでありますから、そこに或いはアメリカが日本に原爆、水爆の基地を持ち、又はそれを実行しようとしておる場合には、その日本の防衛力のほうにも或いはそれに対する装備品などの供与があるのじやないか。原爆を供与されるということは勿論ない。けれども米軍が原爆をするために、それに伴うさまざまの装備品などで、米軍が日本の防衛隊に供与されるものはあるのじやないか。特にこの点について日本側で日本国民が心配して、そうしてそれについて言論或いは国会というものが、そういう問題が生じた場合に、それに対して重大な関心を払わざるを得ないことは言うまでもないのでありますが、これらは本立法によつて直ちに刑に処せられることになるのか。私はこれは先日来、法制局長官に伺いましたところでも、これらはそういうことはあり得ないというのがお答えでありましたが、それはないことを希望するという希望的観測であつて、只今申上げましたような意味では、これはあり得るのじやないか。従つて本立法のようなものが不幸にしてこのまま法律として成立いたしますと、今後そういう部面から、つまり遠巻きにこの問題を日本国民の世論としてアメリカに訴える、又は国際的に訴えることも不可能になつて来る虞れがございます。そこで一層本法案の国会に提出せられました場合に、外務省としても十分責任を分たれたのでありますが、こういう法案を提出する際に、こういう法律が成立する以前に、又は成立した後にもそういう関係においては、只今の原爆、水爆の日本における墓地の設定、又はそれを使用する原、水爆の実行というものを極力阻止せられるお考えがおありになるのかどうか。その点を伺つておかないと、本法案の審議の上にも重大な心配があると考えますので、只今の点についての外務省の所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/21
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022・下田武三
○政府委員(下田武三君) 原爆そのものでなくても、原爆に関連した装備品というようなものが日本側に供与されて、その秘密保持のために本法案の適用の枠内の問題として入つて来るのではないかという前提の下にお出しになりました御質問でございますが、先ずその前提が、在日米軍自体につきましては或いは何らかの関連のある原爆使用の際にも使えるような装備品というようなものは配付になるかも知れませんが、日本の保安隊、やつと自衛力になろうとしておる段階に、そういう最高度の装備品や備品を米軍からもらいましたところで、しようがないのでありますし、又向うもくれるはずもないと思いますので、その点からの本法案との関係という問題は、これは現実問題として発生いたさないのではないかと存じております。なお、米軍自体が持ちます装備品等につきましての秘密保護は、これは本法案とは全く無関係に、御承知の行政協定に伴う刑事特別法の問題になつて参りますので、これも本法案とは直接の関係がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/22
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023・羽仁五郎
○羽仁五郎君 御説明のように私も信じたいと思いますが、なお多少心配がありますので、重ねて申上げますが、原爆そのものは日本の防衛隊に供与されるということは絶対ない。それからそれに関連する装備というものについても、日本の防衛隊に供与されるということは絶対ないかどうかという点については、私は問題がまだありはしないかと思う。それはやはりこれも新聞などによつて報道されておりますところでは、現に日本にある米軍基地、日米安全保障条約、行政協定に伴う米軍基地には、原爆の際に備える装置がなされつつあるということが報道されております。私は勿論その証拠を持つておるものではありませんし、断言するものでもありませんが、そういうことが行われているのじやないかという報道はしばしば耳にいたします。これは当然でありまして、日本に原、水爆の基地を持つとすれば、万一必要によつてその原、水爆撃を行う場合、リタリエーシヨンというのですか、報復爆撃を受ける。従つてその報復爆撃に対する装備というものは必要だろうと思います。これを或る新聞などは、日本にある米軍基地の米軍だけがその報復爆撃に対する装備をやつていて、日本側には全然そういうことをさせていない。だからこれは米軍が仮に不幸にして原、水爆撃などをやる場合には、米軍だけはその報復爆撃に対して安全の装置をやつているのに、日本側は全然安全装置をやつていないのだ。従つて非常に心配する人々は、或いは杞憂であるとおつしやるかも知れませんが、併しそれには理由があると思いますけれども、若し原、水爆撃をやる場合には、日本のほうは全滅しちやうのだ、防衛隊も全滅しちやうだろう。アメリカ軍だけはそれに対する装備を持つて或いは前進され、或いは戦闘行為を継続され、或いは撤退されるということになるというような心配が生じて来るのは、必ずしも杞憂とばかりは言えないと思います。これはそういうふうな関係であれば、全然原水爆関係の装備品の供与というものはないということになるのですが、それがないということは、私は一層或る意味においては国民感情としては不安に堪えないだろう。そうすると進んで、日本に基地を持つておる米軍のそういう原、水爆撃関係の装備というものを知りたいというふうに考えると、今御説明になりました行政協定に基く刑事特別法というものに触れることになるのですが、従つて本法とは関係はない。併しそれよりももう少し状況が日本にとつて多少有利であつて、日本側にも、日本の防衛隊というものが使うだけで、亡びちやうときには勝手に亡びちやえというのではない、一緒に行動する以上は、多少防衛隊に対して防禦ということも指導され或いは援助されるということがあれば、そういう関係の私は専門家でないからよくわかりませんが、鉛などで作つたそういう放射能などを防禦するようなそういうものの供与はあるのじやないか。いずれにしましても第三にお尋ね申上げたいのは、そういう点で第一に、原、水爆関係の行動をアメリカが日本においてなし得るのじやないか、それで第二にそれについて事前にそういう相談はないのじやないかということから、当然国民としてはこれらについて情報を得たい、知りたい、そうして不安がないならばない、あるならばそれをどういうふうに世論に訴えて、国際世論に訴えて解決するかという国民の意思がそこにそういうふうに現われて来ることは、これは何人も防ぐことはできない、又日本国政府もこれを防ぐ権利はない。ないので、今御引例になりました刑事特別法並びに本法案というものに触れて来る人が生ずることを私は非常に憂えるのであります。それはそういう法律がある以上は、そういう人は触れる。触れるけれども、そういう方々としては…、私は別に傍観するというわけではありませんが、誰でもその問題について不安を解消したいという努力はされるのじやないか。そうしてそういうことから刑事特別法に触れ、又は本法案に触れるという人が出るということは、私はできるだけ防ぎたい。その意味から外務省が特にこの問題について十分なる御努力、万全の御努力を願いたいと思うのです。そこでさつきの最後の問題に入りますが、そこでこの日本としては、すでに国会がその意思を明らかに、全会一致を以て明らかにしておりますように、原爆並びに水爆というものが兵器として使用されることを禁止して頂きたいということを国連に訴えたのでありますが、これは局長はよく御承知の通りに、原、水爆の問題につきましては、米ソの間の意見の対立というものは、これは極く簡単に私どもが了解しておるところでは、ソビエト側では禁止ということを先にする、アメリカ側ではそれの国際管理ということを先にするというようになつておるように思われます。詳しくはここで繰返しませんが、大体結論としてはそういうふうになつていると言つて差支えないと思います。前にありましたバルフ・プランというふうなものは、禁止を先にするのではなくて、国際管理というものを先にして次第に禁止にする、ソビエト側はそれでは非常に心配だ、先ず禁止、然る後にその管理をして行くというような極く大ざつぱに考えて、精密ではありませんが、そういうふうに考えられるのではないか。従つて今日問題は、その輪廓におきましては、ソビエト同盟では原、水爆禁止という態度を繰返して明らかにされているのに、アメリカ側は原、水爆禁止ということをする前に国際管理ということを解決する必要がある。で、特にアメリカ側では原、水爆ばかりではない、ソビエトが持つておるであろう強大な陸上兵力というものについての一般軍縮という問題をも含めてこれを解決しなければならんという態度を今日までとつておられると私は了承しております。或いは誤つておるかも知れませんが、誤つておつたら御訂正を願いたいと思います。そういうふうな状況であると、若しそうであるとしますならば、日本としては勿論ソビエトの持つておる強大な陸上兵力或いは国際管理という問題について、アメリカが重大な関心を持たれることに少しも非難をしようとするものではない。ないけれども併し日本の問題としては、先ほど御説明がありましたように、みずから広島、長崎において原爆を受けたその国民であります。その世界において最初にそういう原爆の悲しむべき惨禍というものを受けた。その原爆の病気というふうなものは、専門家の判断するところでは、恐らく遺伝するであろうとまで言われておる。従つて我々が責任を持つて、我々現代の国民ばかりでなく、次の世代の国民に対してもそういう惨禍が及んで行くということをみずから体験した日本国民が、その他の問題に優先して原、水爆の即時禁止ということを願うことは、私は内外共に理解を求めることは無理でないと思うのであります。そこでこの際特に日本国政府は、特に外務省におかれまして一刻も早くこの原、水爆の禁止ということが実現せられるように御努力をなさる御意思がおありになるか、おありにならないか。この点はどうぞ十分、これ以上申上げませんが、お答えを頂きたい。八千万の国民と共にこのお答えを期待します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/23
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024・下田武三
○政府委員(下田武三君) 仰せの通り、世界各国のうちで原爆の実際の被害にあいました唯一の国民といたしまして、原爆の禁止の実現の速やかならんことを祈る転では、各国の政府のうちで日本政府が最も熾烈なものがあることは、これは当然だろうと思います。ただ、原爆禁止に到達する過程の問題といたしまして、国際管理を先にするか、或いは原爆禁止をいきなり実現するかという点につきましては、羽仁先生と多少意見を異にするものでございますが、つまり共産陣営一千万の現役と五百万の予備軍というこの人海戦術に対抗する唯一の自由主義諸国側の対抗し得る力というものは、僅かに原、水爆における一日の長ということであります。その一日の長もだんだん追いつかれておるという状態でありますので、これは米国はじめ自由主義諸国側としてはこの原爆を使えないということになりましたら、到底この人海戦術にかないつこないのでありまして、これは自由主義諸国の防衛の根本問題に触れる問題でありまして、アメリカ側がやはり管理から始めて、そうして禁止に到達しようというプロセスが尤もではないかと私どもは存じております。併しその点の見解にかかわりませず、仰せのように原爆禁止の実現の一日も速やかならんことを最も強く希望いたしておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/24
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025・羽仁五郎
○羽仁五郎君 重ねて申上げることは失礼でありますから差控えますが、この只今御説明になりました人海戦術或いは強大な地上兵力というものも、これは或いは場合によつては理論L上どうしてそういうものが共産側においてできるものだろうか。勿論これは強制に基くものもありましよう、併しながらこのアメリカ側はいわゆる自由主義諸国間のほうでそれに対抗できないということは、又その社会上の理由もあるというような議論も成り立つ場合もあろうかと思うのです。いずれにしましても、この問題が或る意味において日本にとりましては自由主義か共産主義かということよりも、米ソの対立に捲き込まれて、そうして原爆、水爆の被害を受けて滅亡に瀕するか、それともそうでない途を発見するかというような問題に変りつつあるというふうにも考えられます。私は先日、本会議におきましても、MSAの意義は、昨日のMSAの意義と今日のMSAの意義とは非常に違うものになつて来たのではないか。従つて秘密保護法案も私はそういうふうな違つた目で見なければならん面もあるのではないか。私は簡単に一言にして申上げますれば、MSAなり本法案の秘密保護法案なりというものが、場合によつてはアメリカが日本を原、水爆基地として使用するという主たる目的があるという意味でMSAを考え、又本法案を考えなければならないのじやないかという点を本会議において質疑をしたのでありますが、それに対する政府の御説明、或いはお答えというものはなかつたのであります。私としてはそういう心配もあるのじやないか、これも杞憂だというふうにおつしやられれば、非常に却つて私としては幸福に感ずるものでありますが、併しそういう杞憂を含んでおることでありますので、只今のお答えは原、水爆、さまざまの問題はあるけれども、そのさまざまな問題に優先して、日本国としては、日本国民の意思としては原、水爆の即時禁止ということを外務省として御希望になるということを御言明下さいましたので、私はそれで満足をいたしますが、併し希望といたしましては、どうか外務省は御希望に相成るだけでなく、それについての御尽力を少しも惜しまれないということをお願いいたして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/25
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026・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 他に本法案について御質疑のおありの方は御発言を願います。
ちよつと速記をとめて。
〔速記中止]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/26
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027・郡祐一
○委員長(郡祐一君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/27
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028・羽仁五郎
○羽仁五郎君 先日国会で全会一致を以て決議されました原、水爆の武器としての使用禁止について外務省から国連にお伝えを願つたことだと思いますが、それについてその後御報告をお受けでございましようか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/28
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029・下田武三
○政府委員(下田武三君) 国会の御決議を直ちに外務省から沢田国連大使に送付いたしまして、事務総長に伝達いたしました。その後の報告によりますと、国連事務当局からは直ちに日本政府の公文の写しを作成いたしまして、各国代表部に配付する措置をとつたそうでございます。そこでこれを国連自体としてどう取扱うかにつきましては、時を同じうしてインドのネール首相からもやはり原爆の国際管理及び禁止促進方に関する書簡が来ておりまして、これと併せて取扱うというふうになりそうである、如何なる機関がこれを取り上げるかという点につきましては、軍縮委員会に送付されて軍縮委員会で取上げられるだろうということは、これは推測の報告でございますがございまして、その後今日に至るまでまだ軍縮委員会が動いておるという報告はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/29
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030・羽仁五郎
○羽仁五郎君 それらの点につきまして一層の御努力を願います。
それから、最近のイギリスの世論では、こういう問題についてこそイギリスが外交上のイニシアチブをとるべきだということを政府に向つて労働党も、そうして新聞も筆を揃えて迫つておりますが、或る意味においては、こういう問題については日本こそイニシアチブをとるべきであるかも知れない。最近の日韓会談及びフィリピンの問題などでいろいろ御苦心でありますが、或いは一層大きな問題としてこの問題を日本がイニシアチブをとつて解決することができれば、日本にとつての幸福であるのみならず、世界にとつても幸福でありますので、どうか、特にインドなどはこの点で日本を非常に励まして下さつているのです。イギリス国民もこの点については非常に努力していることだと思いますが、それらの国の助けを受けてれ場合によつては日本が責任を持つてイニシアチブを発揮せられて、どうか一つもその手段は余さずに努力して頂くようにお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/30
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031・郡祐一
○委員長(郡祐一君) ちよつと速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/31
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032・郡祐一
○委員長(郡祐一君) では速記を始めて。
次回は明十三日午前十時から開会することとし、本日はこれを以て散会いたします。
午後三時六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915206X03419540512/32
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