1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年二月二十六日(金曜日)
午前十時五十三分開議
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議事日程 第十三号
昭和二十九年二月二十六日
午前十時開議
第一 日本銀行券預入令等を廃止する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第二 当せん金附証票法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第三 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/0
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001・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
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002・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、日本銀行券預入令等を廃止する法律案、
日程第二、当せん金附証票法の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)
日程第三、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件、
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/2
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003・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
〔大矢半次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/3
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004・大矢半次郎
○大矢半次郎君 只今議題となりました法律案二件及び議決を求めるの件一件について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず日本銀行券預入令等を廃止する法律案について申上げます。
本案は、先に終戦直後の経済緊急事態に対処するため制定されました日本銀行券預入令を関係法令と共に廃止し、併せて所要の経過措置を規定いたそうとするものであります。日本銀行券預入令は、昭和二十一年三月二日以前に流通していた旧日本銀行券の強制通用力を失わせると共に、これをすベて金融機関等に対する預貯金等とし、一定の制限の下に新日本銀行券によつて引き出させることを目的としておるのでありますが、企業及び金融機関の再建整備も一段落し、財産税の課税もほぼ完了した現在におきましては、その目的をすでに達成いたしておるわけであります。ただ終戦後の引揚者の大部分は、その帰国の際に携帯した旧日本銀行券を税関に寄託せしめられたまま、現在までこれを新日本銀行券と引換える機会が与えられていなかつたのであります。昨年九月以降、旧日本銀行券の税関による保管を取止めることとなつたのに伴い、これらの者に引換えの機会を与えることが適当であると考えられますので、この際、日本銀行券預入令を廃止すると同時に、経過措置として、これらの引揚者及び今後の引揚者の携帯した旧日本銀行券の引換えについて所要の規定を設けようとするものであります。この引換えに当りましては、国内におりました者との負担の権衡をも考慮いたしまして、その持帰り旧日本銀行券が五万円以下である場合には全額の引換えを認めることとし、五万円を超える場合には、その超える金額の七割を交換することといたそうとするものであります。而してこの措置が周知されますと、今後の引揚に当つて、国外において不当に旧日本銀行券を入取して帰国する場合が発生することを考慮に入れまして、引換えの最高限度を二十万円と定めようというのであります。
なお、引揚者の持帰つた旧日本銀行券以外のもので、刑事事件について押収又は領置されていた旧日本銀行券等、止むを得ず新日本銀行券と引換えがなされていないものについても、引揚者の場合に準じて引換えの機会を与えることとしようとするものであります。
委員会の審議における主なる質疑応答について申上げますと、「本案は在外公館等借入金の返済措置及び現在検討中と言われる在外資産の処理方針との権衡を考慮して提案されたのであるか」との質疑に対し、「勿論これらの措置との釣合いを十分考慮の上提案したものである」との答弁があり、又「本法によつて全額引換えできる限度を五万円とし、五万円を超える場合にはその超える金額の七割を交換することにした根拠はどうか」との質疑に対し、「昭和二十一年、旧日本銀行券と新日本銀行券の引換えがなされたときは、一人当り一万五千円、一世帯当り三万二千円を限度として引換えが認められたのであり、又郵便貯金については一律に三〇%の切捨て、市中銀行預金等は六九%の切捨てがなされたのであつて、更に財産税の課税率等を彼此勘案して、五万円までは全額引換えとし、五万円を超える金額は七割を交換することとしたのである。なお、税関が引上保管等をした旧日本銀行券についてみると、総件数一万九千四百八十八件、総金額二千四百四十三万二千余円のうち、五万円を超えるものは、件数は僅か九件であり、金額にして七十五万四千余円に過ぎない。」との答弁がなされたのであります。その他詳細は速記録に譲ることを御了承願います。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、別段の発言もなく、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、当せん金附証票法の一部を改正する法律案について申上げます。
いわゆる宝くじは、戦後における経済の実情に即応して、浮動購買力の吸収と政府及び地方公共団体の財政資金調達のための暫定措置として、当せん金附証票法に基きまして、政府、都道府県、五大市及び戦災都市にのみ、その発売が認められて来たのであります。
本案は、最近の経済情勢に鑑みまして、昭和二十九年度から政府による宝くじの発売の制度を取止める等の改正をしようとするものでありまして、その改正点を申上げますと、第一に、当せん金附証票法から政府宝くじに関する規定を削除しようとすること。第二に、地方公共団体が発売する宝くじに関しては、従来自治庁長官は、これを許可するに先立つて大蔵大臣に協議しなければならないことになつているのでありますが、この協議を不要とするよう規定を削除しようとすること等であります。
本案の審議における質疑応答の主なるものを申上げますと、「地方宝くじの発行額を見ると、昭和二十八年度は大体八億八百万円であり、今回政府宝くじを廃止すると、地方財政の現状からして、地方宝くじの発行額が現在よりも上廻るのではないかと思うが、その対策如何」との質疑に対し、「今後は地方自治庁が地方宝くじの発行額を定めることになるのであるが、昭和二十八年度の地方宝くじの発行額を上廻るかも知れない。併し、政府は地方宝くじの発行額を漸減する方針であり、将来は廃止する意向である」旨の答弁がありました。又「競輪、モーターボート・レース等と政府宝くじの廃止との関連如何」との質問に対し、「競輪、モーターボート・レース等については、国庫納付金の制度は今回これを廃止するが、競輪、モーターボート・レースそのものについては、既存の設備等の関係もあり、政府の方針は未だきまつていない」旨の答弁がなされたのであります。その他詳細は速記録によつて御承知頂きたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、「政府が地方宝くじについても将来廃止する方針をきめていることは多とするところであり、地方財政が投機的なものの収入に依存しないよう努力されることを条件として賛成する。競輪、モーターボート・レース等のごときも速かに廃止の方向に措置されるよう要望する」との賛成意見が述べられました。
討論を終り、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件について申上げます。
現在、皇室用財産として管理している正倉院宝庫には、千二百余年に亘つて貴重な宝物が保存せられておるのでありますが、ここに収蔵せられている宝物を更に永久且つ完全に保存するためには、完全な管理の下に修理を施す必要がありますが、現在完備した施設がなく、支障を来たしている現状でありますので、昭和二十八年度予算を以て新たに保存修理室を新築することになつておるのであります。
本件は、この保存修理室を、宝庫と同様、皇室用財産として取得することについて、国有財産法第十三条第二項の規定により、国会の議決を求めて参つたものであります。
本件につきましては、格別質疑もなく、討論、採決の結果、全会一致を以て原案通り異議ないものと決定いたした次第であります。
以上御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/4
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005・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。
先ず、日本銀行券預入令等を廃止する法律案、当せん金附証票法の一部を改正する法律案、以上両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/5
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006・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/6
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007・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 次に、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件を問題に供します。本件を委員長の報告の通り可決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/7
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008・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て委員長報告の通り可決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時七分散会
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○本日の会議に付した事件
一、日程第一 日本銀行券預入令等を廃止する法律案
一、日程第二 当せん金附証票法の一部を改正する法律案
一、日程第三 国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X01319540226/8
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