1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年三月二十四日(水曜日)
午前十時三十九分開議
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議事日程 第二十二号
昭和二十九年三月二十四日
午前十時開議
第一 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第二 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第三 医療法の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第四 関税法案(内閣提出)(委員長報告)
第五 外国為替銀行法案(内閣提出)(委員長報告)
第六 株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組合に関する法律案(内閣提出)(委員長報告)
第七 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第八 郵便為替法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第九 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第一〇 昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書(委員長報告)
第一一 昭和二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/0
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001・河井彌八
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・河井彌八
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
去る十九日、内閣総理大臣から、国土総合開発審議会委員平井太郎君より、同審議会委員辞任方申出があつたので、後任者を指名せられたい旨の申出がございました。
つきましては、この際、日程に追加して、国土総合開発審議会委員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/2
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003・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/3
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004・榊原亨
○榊原亨君 只今の国土総合開発審議会の委員の選挙は、成規の手続を省略いたしまして、議長において指名せられんことの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/4
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005・杉山昌作
○杉山昌作君 私は、只今の榊原君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/5
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006・河井彌八
○議長(河井彌八君) 榊原君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/6
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007・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、国土総合開発審議会委員に小沢久太郎君を指名いたします。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/7
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008・戸叶武
○戸叶武君 私はこの際、米国における絹織物輸入禁止に関する緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/8
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009・藤田進
○藤田進君 私は、只今の戸叶武君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/9
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010・河井彌八
○議長(河井彌八君) 戸叶君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/10
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011・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。戸叶武君。
〔戸叶武君登壇、拍手]発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/11
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012・戸叶武
○戸叶武君 昨年六月三十日、米国第八十三議会において成立したパブリック・ロー第八十八号、可燃性織物禁止法は、一定の可燃性織物及び衣料の米国内における製造販売又は米国内への輸出を含む一切の取引を禁止することを目的としたものであります。この法律は、来たる七月一日から施行せられることになつております。この法律の我が国対米輸出に及ぼす影響たるや甚大であります。法の適用如何によつては、薄手の絹織物及びスカーフ、ハンカチーフ類は、全滅に近い大打撃を受けることになるでありましよう。非公式ではありまするが、テストの結果によると、対米絹織物輸出総額の約五〇%余の約三百四十万ドル、スカーフ、ハンカチーフ類の対米輸出総額の約六〇%の五百万ドル等が禁止の対象になるのではないかと取沙汰されております。
私が第一に質問したい点は、吉田首相は国会開会ごとに、国際収支の均衡、貿易の振興を口にし、岡崎外相は経済外交を強調しております。貿易に熱心な、而も外交官出身の吉田、岡崎氏の指揮下にある外交機関が、かかる日本経済に重大な影響を与える法律のアメリカ国会における立法化を何が故に未然に探知できなかつたかについて承わりたい。この法律は、すでに昨年六月三十日に国会を通過しております。漏れ聞くところによると、ワシントンの大使館から外務省への第一報は、去る三月三日とのことです。文明開化の時代に、気の長いにもほどがある。(拍手)アメリカにおいて大使館の諸君は白昼、ひる寝でもしておつたのでありましようか。何たる怠慢ですか、誠に唖然たるを得ません。輸出織物の死活に関する問題が立法化されたのを一年間も知らずに、のほほんをきめるに至つては、到底激甚を極める国際競争に勝ち抜くことはできません。(「そうだそうだ」と呼ぶ者あり)一体向米一辺倒とか、アメリカ第一主義とか非難されている吉田、岡崎外交の下におけるワシントンの日本大使館は、MSAの受入れのみに没頭しておつて、貿易関係その他一切の機能を停止しておつたのでありましようか。生糸貿易振興のために農林省関係からだけでも、昨年は二千万円、今年は五千万円計上せられております。大使館には通産省から通商振興局長であつた井上尚一氏、貿易関係の課長級の事務官松村氏、ニューヨークの総領事館には通産省の村田前政策課長が駐在しておるはずです。この際、外務大臣及び通産大臣は、貿易振興費の使途及び出先外交機関の職務上の台慢に関して責任を明らかにして頂きたい。
過去十年間にアメリカの各州において、子供のセーター、スカートに火がついて火だるまになつてやけどをした事件が幾つか起つているのであります。これがアメリカの世論を刺激し、すでにカリフォルニア州ではこの種の法律が立法化され、その他の各州においても問題になつているのであります。有能な外交官にあらずしても、新聞を見る目とラジオを聞く耳さえ持つておりさえすれば、アメリカの世論の動向をキヤッチし得るのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)今日においてカクテル・パーテイやダンス・パーティ、然らずんばゴルフのみに凝つている霞ヶ関流の古ぼけた宮廷外交の悪伝統を清算する絶好の機会が与えられたのであります。(拍手)ワシントン情報第一報三月三日とは、昔この日に黒船におびえた向米一辺倒の軟弱外交の元祖井伊大老が桜田門外において血祭にあげられた日であります。(笑声)何たる不思議な因縁でありましよう。(拍手、笑声)
質問の第二点は、可燃性織物禁止法の内容並びにその適用に関する解釈如何であります。この点を通産大臣から詳細に報告して頂きたい。質問の第三点は、この法律の実施による我が国の受ける打撃の深さと広さであります。これは愛知通産大臣及び保利農林大臣から報告を承わりたい。申すまでもなく、生糸及び絹製品の輸出は、米国向けドル稼ぎの王者であります。昨二十八年度の輸出は、生糸二千万ドル、絹製品二千万ドル、「まぐろ」一千万ドル、二十六年、二十七年は生糸二千二百万ドル、絹八千万ドルを稼いでおります。生糸輸出の最盛期は昭和四年から八年頃までで、その当時は現在の十倍に上り五十万俵、二億ドルも稼いだことがあります。現在は織物と製品で輸出されるもの、生地は一千六百万、製品では一千五百万、合計三千百万平方ヤードで、この七割乃至八割がこの法律に引つかかるということであります。戦争中のナイロン出現による婦人用の絹靴下の敗退に次ぐ絹製品の第二回目の大受難であります。これによつて致命的な打撃を受けるのは、軽目羽二重の最大の生産地である福島県の川俣地方で、川俣では二百十二工場、織機五千八百三十五台が全部運転休止となり、従事員二千六百名、家族一万五千名の生計が絶たれると訴えております。これに次ぐ石川、福井両県の生産地も同様であり、又岡崎外相の郷里神奈川県でも、加工業者の下請の手巻き水洗の内職に従事している戦争未亡人数万名が路頭に迷わねばならないとのことであります。養蚕農家四百万もこの衝撃により深刻な動揺を起しております。農林大臣は、農民の受ける被害状況を調べた上に、万一に備えて応急対策を樹立する必要があります。漁民は、水素爆弾の実験による死の灰をかぶせられて死のベットに横たわり、生糸に次ぐ輸出の花形であつた「まぐろ」の輸出は止まり、また農民は絹織物の輸出禁止により養蚕の生産が不可能となれば、戦争中と同様に再び桑畑を捨てなければならない。かかる状況の下に、外交上の失敗により対米感情が深刻に悪化しないと誰が保証し得るでありましようか。この問題は一シルクの問題だけではありません。日米関係を結ぶ糸が切れるか切れないかの重大な問題であります。この法律は、米国の国内法で、我々がその内容の是非を論議することは差し控えるべきであります。米国としては人道上の見地から、可燃性の着物を身につけた子供に火がついたときに、火だるまによる災害から救おうとしての立法でありましよう。併し日本国民にとつては、これは農民、中小企業の織物業者、貿易商等には、死活問題の暗影を投げかける結果となるのであります。
問題はこの対策であります。第一の対策は、何とかしてこの法律をやめてもらうわけには行かないものでありましようか。昨年アメリカのスカーフ製造業者が運動し、絹スカーフを最恵国待遇による関税々率でなく、普通税率に引上ぐべく関税委員会を通過させたときに、アメリカ大使館側が日本側に同情し、日本人に悪感情を抱かせてはならないと大統領を動かし、大統領の拒否権によつてこれを食い止めることができたのであります。今回も出先外交機関の怠慢によらずして、未然に情報が入つていたならば、このことも可能であつたかと思われます。日本の窮状を如何に訴えても、この法を改正或いは修正してもらうことが絶対に不可能かどうか。これを外務大臣に承わりたいと思います。
第二の対策は、未だこの法律の施行規定の細目は決定していないということでありますが、それは事実かどうか。事実とすれば、カテゴリーの問題が残されております。この法律を見ると、スカーフ及びハンカチーフについて、何ら特別の規定が設けられておりません。スカーフ及びハンカチーフは衣料及び衣料用織物とは別個のもので、身につけてもその取りはずしの自在な装飾品であります。流行品としてのアクセサリーの一種として、これを解釈することができないものかどうか、又衣料の中に含まれた場合においても、帽子、手袋、履物と同様に除外品目としての取扱を得くべきではないでしようか。デユポンのナイロンの靴下が禁止品目から除外されたという例を以てすれば、その使途からして当然除外さるべきであります。
第三の対策は、可燃性織物であつても、不燃加工を施す場合は、この法律の適用を受けないと思うが、日本ではまだそうした発明が完成せられていないかどうか。井口大使の公報によると、USテステイング・カンパンイーなる米国最大の民間検査会社が、逸早くも薄物絹製品に加工を施し、燃焼性を減ずる方法を研究する注文を申込んで来たとのことであります。その研究費二千万ドルとのことでありますが、絹の肌ざわりや持味を失わない不燃加工ができるとするならば、それに応ずるつもりか。又日本の工業試験所における研究状態はどうか。これも承わりたい。若しも二千万ドルもの研究費を出すというような場合、或いは有力な弁護士等を依頼する場合、そのような場合に政府からの補助金なしには、中小企業者では何ら手の施しようがないと思うのであります。これらの費用を通産省、農林省で援助できるかどうか。
最後に、この法律実施によつて、中小企業が倒産に瀕した場合の救済策、当面の金融措置及び養蚕農家に対して繭価の安定策等に関して、政府は如何なる対策を練つているかもお示し願いたい。この問題が解決するに至るまで、養蚕家からメーカー、貿易商等に至るまで不安と動揺の中に生活を続けなければならないのであります。このような際に、往々起ることは市場の一部において投機的策動による思惑がなされる危険があります。政府は正確な情報を迅速に入手して、これを公開し、不正な人々をして乗ずる機会を与えないような注意をしなければならないことを警告して、私の質問を結ぶ次第であります。(拍手)
以上の質問に対して、外務大臣、通産大臣、農林大臣から御答弁を願います。外務大臣が欠席の場合は、改めて外務大臣から正式の御意見の発表を願いたいと思います。(拍手)
〔国務大臣保利茂君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/12
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013・保利茂
○国務大臣(保利茂君) 私からお答えいたすことが適当かと考えられる点についてお答えいたします。
アメリカの可燃性織物禁止法が七月一日より厳格にその通りに実施せられるということになりますれば、アメリカ向けの軽目織物のうち約八〇%くらいは該当するのではないかと見られるわけであります。八〇%と申しますれば、昨年は御承知のような内地の不作或いは又その他の事情もありまして、輸出が大分減つておりますけれども、平年度の推定輸出額からしますと、約六千万ヤードくらいになり、それに要しまする生糸に換算しますれば三万俵でございますから、従つてその八〇%ということになれば、糸といたしまして二万四千俵ほどの影響がここに現われて来るわけでございますから、従つて今年度予想いたしておりまする生糸生産見込、二十八万俵と予想いたしておりますが、その九%程度に相当することでございますから、その影響は決して少くないという考えを持つております。若し二万四千俵が、こういう障害のために輸出ができないということになりますれば、内地の消費、購買の状況からいたしましても、現在一般の購買力の減少傾向も反映いたして、糸の値段は頭打ちの状態でございますから、従つて今後の糸価に対する関係は弱目傾向に向わざるを得ないという見通しを立てざるを得ないと存じます。併しながら養蚕農家にとつて最も大事な繭の取引は、御承知のように製糸団体と養蚕団体との繭価協定によつて行われておるわけでございまして、その繭の値段は、繭の生産の状況及びその頃の糸価の関係からおおよその値建てができて来るわけでございまして、私どもとしましては、このことを口実として不当に養蚕農民が圧迫せられるようなことにならないように、厳重な監督指導をして行く所存でございます。そういうわけでございますけれども、いずれ通産大臣からお答えがあると存じますけれども、こういうふうに相当大きな影響を持つておりますから、このお話のように法律の実施を延期せられるとか、或いは日本の輸出軽目絹織物が除外を受けるように努力すると、そしてそれを実現するということが当面の私は一番大事なところであろうと、こういうふうな考えを持つてこの問題に対処いたしておる次第であります。
〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/13
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014・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) お答え申上げます。昨年の六月の三十日、米国の第八十三議会で成立いたしました法律第八十八号によりまして、只今御指摘の可燃性の織物の製造販売又は米国内への輸入を含む一切の取引を禁止することに相成つておるわけでございますが、我我の調査いたしましたところで申しますると、この禁止に該当いたしますものを具体的に申しますると、幅二インチ、長さ六インチ大の生地につきまして、引火テストを行い、その大きさのものを四秒未満の速度で全部焔が伝播し尽す場合には、かかる生地を以て作られた衣料と衣料用の織物は禁止品目となると、かくのごとくなるのでございますが、但し、一定の帽子、手袋、靴下、糸、芯地等は、衣料にあらずとの理由で除外されておるわけでございます。最近公式のテストの方法を入手いたしましたので、目下国立繊維工業試験所においてテストを行なつておるのでありますが、今までの非公式テストの結果によりまして、一応五匁以下が本法適用の危険性のあるものと考えられまするので、この点が非常に重大と思うのでございます。若しさようになりますると、先ほどお尋ねの点でございまするが、我が国に対する影響といたしまして、対米輸出に及ぼす影響は極めて重大でございます。特に薄手の絹織物或いは絹スカーフ、ハンカチーフ類は大打撃を受けることになると思うのであります。対米絹織物輸出総額の約五〇%、約三百四十万ドル、それからスカーフ、ハンカチーフ類の対米輸出総額の約六〇%、五百万ドルがその対象になるかと考えられます。殊にこれらの禁止品目に該当しそうな軽目織物の生産に当つておりまする地方等におきましては、その影響が相当に重大であると考えられます。
そこで、対策を申上げるのでありますが、第一に私どもといたしましては、先ほど申上げましたような関係にございまするから、スカーフなりハンカチーフ類なりは、いわゆる衣料にあらずとの見解で以て、その全面的な適用除外を強く主張いたしておるわけでございまして、外務省を通ずる外交交渉により、或いは通産省といたしましても、直接なし得る限りの折衝を現在展開いたしております。
それから第二には、各種の衣料及び織物につきまして、所定の公式のテストを行いまして、該当の範囲を明確にいたしたいということに全力を注いでおるわけでございます。
それから第三に、今後の対策にも関連いたしまするが、軽目織物等につきましては、あらゆる角度から不燃加工に関する研究を行いまして、市場の確保に今後とも努力しなければならない。恒久的な対策を併せ考えることにいたしております。
それから第四に、この点も御質疑の点の重大な点と思いますが、すでに契約いたしました分等につきまして、織布業者、加工業者、輸出業者等があとで損害を受けることがないように、金融なり保険の面等に関しまして、可能な限りの保障手段を研究中でございます。
なお、本法の施行細則につきましては、未だ決定はされておりませんので、近くこれが決定発表されるものと思うのでございまするが、それまでの間におきまして、我が国に対してできるだけ有利になりまするような方法を先方において好意的に講じてくれますように、この点につきましては特に努力をいたしておるつもりでございます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/14
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015・河井彌八
○議長(河井彌八君) 外務大臣の答弁は、他日に留保されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/15
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016・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第一、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案
日程第二、児童福祉法の一部を改正する法律案
日程第三、医療法の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/16
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017・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長上條愛一君。
〔上條愛一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/17
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018・上條愛一
○上條愛一君 只今議題となりました身体障害者福祉法の一部を改正する法律案ほか二法案につきまして、厚生委員会における審議の経過及び結果を御報告申上げます。
先ず、身体障害者福祉法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。身体障害者の障害を軽減又は除去するための更生医療の給付につきましては、長年関係者の間において要望されていたところでありまするが、これうを昭和二十九年度より実施することとし、又同法の適用を受ける障害の範囲につきましても、若干の改正を加えるう等の必要が生じたため、この法律案の提出を見た次第であります。
改正の第一点は、身体障害者更生援護施設のうちに、ろうあ者更生施設を加えることといたしております。これは現行法において欠けております聴覚障害者に対する専門の施設を設置せんとするものであります。第二点は、身体障害者に対して、その障害を軽減又は除去し、以てその更生に資するために更生医療の給付を行う旨を規定いたしております。この更生医療の給付は、原則として厚生大臣の指定した医療機関に委託して行うこととし、医療機関の指定等につきましては、おおむね他の立法例によつておるのであります。なお更生医療の対象者は、全国で約五万を数え、昭和二十九年度には、国庫負担額(八割負担)約二千万円を計上いたしております。第三点は、本法の対象となる身体障害の範囲を規定している別表につきましては、現在本法の対象とされていない障害のうち、その程度より見て、これに加えることが必要であると認められる若干の障害を加え、併せてその表現について修正を行い、より正確を期せんとするものであります。
以上三点がこの法律案の主要な点でありますが、この他に中央身体障害者福祉審議会に、出版物、芸能等について推薦又は勧告の権限を与うる等の点について改正し、又これらの改正に伴つて字句等について所要の訂正を加うることといたしております。なお附則におきましては、本改正に関係のある社会福祉事業法、社会保険診療報酬支払基金法等の一部を改正し、又、本法との規定の調整を図るために、戦傷病者戦没者遣族等援護法、生活保護法等の一部を改正せんといたしておるのであります。
以上が、本案の提案理由並びに改正の骨子でありますが、厚生委員会におきましては、政府当局より法案の内容について詳細なる説明を聴取いたしました後、慎重審議を重ねたのであります。なかんずく問題となりました点は、「更生医療に要する予算額が余りに少額であるが、これで十分な効果を収めることができるかどうか。又、厚生医療の給付を受けた身体障害者又はその扶養義務者に負担能力があるときは費用の一部を負担させることになつているが、この負担能力の有無は如何にして認定するか」等でありまして、これに対して政府委員から、「更生医療関係予算は如何にも少額ではあるが、初めての試みでもあり、且つ国家財政の関係上止むを得ないので、巡回相談等により努めて効果を挙げ得ると認められるものから順次実施して行きたい。又、費用負担能力の有無は、生活保護法による被保護者の生活水準より多少高度の生活程度を基準として認定するようにしたい」旨の答弁がありました。その他詳細は速記録によつて御了承願いたいと存じます。
かくて質疑を打切り、討論を省略して採決いたしましたところ、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして申上げます。
今回改正しようとする第一点は、身体に障害のある児童に対し生活の能力を与えるために必要な医療、即ち育成医療の給付を行うことにいたそうとするものであります。肢体不自由、聴力障害、視力障害又は言語機能障害のある児童に対しましては、従来、児童福祉法の規定に基きまして、保健所において定期的に療育相談を実施し、身体障害者手帳の交付を受けた児童に対して盲人安全杖、補装具の交付を行かつておりまするほか、特に必要のある児童は、肢体不自由児施設等の児童福祉施設に入所の措置がとられておるのでありまするが、身体に障害のある児童は、これを早期に発見して、早期に適正な治療の措置を講ずれば、比較的短期間に且つ低廉な費用で治癒する可能性が多いにもかかわらず、従来このための予算が計上されることがなかつたのでありまするが、このたび昭和二十九年度予算案に約三千万円計上すると共に、児童福祉法に必要な規定を設け、身体障害児対策に一貫性を持たせることにいたしてあるのであります。
改正の第二点は、身体障害者手帳の交付を受けた児童に対して交付することとになつておりまする補装具の名称を整理し、補装具の交付又は修理を行う機関を明記したことでありまして、これは従来からありました規定を身体障害者福祉法の規定に合せたものであります。
以上が、この法律案の提案理由並びに改正の要点でありまするが、厚生委員会におきましては、先ず政府当局から提案理由及び法案の内容につきまして詳細な説明を聴取いたしました後、慎重審議をいたし、種々熱心な質疑が行われたのでありまするが、その詳細は速記録によりて御了承願うことにいたします。
かくて討論省略の上、採決いたしました結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に医療法の一部を改正する法律案について申上げます。
医療法においては、病院は傷病者の収容加療を主たる目的とする医療機関としての性格を明示し、その有すべき医療関係者の数、施設等について、特に一定の基準を設けられておるのでありまするが、診療所については原則としてこれらの規制を行わず、その第十三条において、診療所の管理者は原則として同一の患者を四十八時間を超えて収容してはならないことになつておるのであります。ただ、医療法制定の際、病院の分布の状況等に鑑みて、同法の附則において、第十三条の適用について特例を設け、更に、昭和二十六年法律第二百五十九号、診療所における同一患者の収容時間の制限に関する医療法の特例に関する法律を以て、同条の適用を今年十一月十一日まで猶予して来たのであります。かくのごとく、病院は患者を収容し診療することを建前としておるので、収容を要する患者は病院において診療することが望ましいと思うのでありまするが、診療上止むを得ない事情がある場合には、診療所においても四十八時間以上収容して診療する必要がある場合も少くないのであります。特例法による猶予期間終了後直ちに医療法第十三条を適用いたしますことは、国民医療上却つて支障を来たす虞れがあると認められますので、今回、医療法第十三条そのものを改正して、診療上止むを得ない場合のほかは診療所の管理者は同一の患者を四十八時間を超えて収容しないように努めなければならないこととし、同条違反に対する罰則を削除することといたしたのであります。なお、右の改正に伴いまして、診療所における同一患者の収容時間の制限に関する医療法の特例に関する法律は廃止することとなつたのであります。
以上が、提案理由の概要でありまするが、本委員会においては、三月八日、本案が付託せられて以来慎重審議を重ねましたが、診療上止むを得ない実情がある場合とは、主観的及び客観的に判断して処置すべきであるが、これを厳格に解釈せず、その極端なる場合は、これを矯正すべく指導するとのことでありました。かくて三月二十二日の本委員会におきまして、質疑を打切り、討論を省略して採決を行なつた結果、全会一致を以て、原案通り可決すべきものと決定した次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/18
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019・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより三案の採決をいたします。三案全部を問題に供します。三案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/19
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020・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて三案は、全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/20
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021・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第四、関税法案
日程第五、外国為替銀行法案
日程第六、株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案(いずれも内閣提出)
以上三案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/21
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022・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
〔大矢半次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/22
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023・大矢半次郎
○大矢半次郎君 只今議題となりました三法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
先ず関税法案について申上げます。
現行関税法は明治三十二年に制定され、終戦時までに五回、終戦後は十五回に亘り改正されたのでありますが、古い立法でありますので、これを近代的な行政法規として全文を書き改め、内外の諸情勢に即応せしめて関税の賦課徴収に関する規定を整備し、税関手続を簡素化し、保税制度の活用を便ならしめる等の改正を図ろうとするものであります。以下現行法と照応しながら、本案の主なる内容を申上げます。
第一点は、関税関係法規の統合及び整備を図ろうとすることであります。即ち諸外国の例に見られるごとく、法体系を関税法と関税定率法の二本建とし、保税倉庫法及び保税工場法を関税法に統合して官設保税倉庫の規定を廃止し、用語の定義を規定して法解釈の基礎を明確にし、更に従来勅令及び政令又は行政慣例等に委ねられていた輸入貨物に対する課税確定の時期、船舶又は航空機の資格変更等について成文化する等規定を整備しようとすることであります。第二点は、税関手続の簡素化を図ろうとすることでありますが、関税の担保として金銭を提供した納税義務者は、その担保を以て直ちに関税を納付できることとし、外国貿易船及び外国貿易機の入港に際して、船舶国籍証書等の必要書類を税関に預け入れることとなつておりますのを、単に呈示せしめることとするほか、貨物の輸出入に際しての提出書類を少くし、保税地域における貨物の取扱等についても、支障なき限り税関の規則を緩和しようとするものであります。第三点は、保税地域の活用を図るために貨物保管規則及び庫敷料についての税関長の認可を廃止し、保税倉庫主の担保提供義務を廃止して倉庫業者等の負担軽減を図り、加工貿易振興の見地から、保税工場外における保税作業ができることとし、保税工場において外国貨物と内国貨物を混じて使用した場合の便宜取扱を認めると共に、保税上屋等の許可手数料について一定の場合は減免できることとしようとするものであります。第四点は、私権尊重の見地から、従来の関税の賦課処分のほかに、徴収に関する処分又は滞納処分についても、審査請求等の救済制度の適用範囲を拡張し、更に税関が貨物の収容又は留置を行なつた際、その貨物について質権又は留置権を有していた者は、その保管料及び立替金等について、その貨物の公売又は売却代金の残金から優先弁済が受けられることにしようとするものであります。第五点は、輸入禁製品密輸入、無免許輸出入等の罪に関する罰金の情状による加重の規定を廃止する等罰則規定を調整すると共に、第三者通報制度を廃止しようとすることであります。第六点は、最近の貿易実績等に徴して、新たに宮古、千葉、尼崎、松山、佐伯、油津、名瀬の七港を開港として別表に追加し、両津港を不開港として別表から削除しようとすることであります。
本案の審議における質疑応答の詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。質疑を終了し討論に入りましたところ、野溝委員より、「第三十八条に規定している指定保税地域の処分等について、税関長の権限行使に遺憾なきを期せられるよう強く要望して本案に賛成する。」次いで小林委員より、「第二十三条の船用品の積込について税関長の承認を要する規定に関しては、将来海上自衛隊の自衛艦について除外規定を設ける必要があると考えるから善処されることを要望して賛成する」との賛成意見がそれぞれ述べられたのであります。討論を終局し採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に外国為替銀行法案について申上げます。
本案は、外国為替取引及び貿易金融の円滑化を図るために、広く海外の主要為替市場及び貿易市場に支店網を持ち、外国の為替銀行にも比肩し得るほどの十分の能力と信用を備えた外国為替銀行の制度を確立しようとするものであります。
以下内容の主なる点を申上げますと、第一に、外国為替銀行は大蔵大臣の免許を受けなければならないこととし、資本金の最低限度を十億円と定めようとするものであります。第二に、外国為替銀行の業務は、外国為替取引又は輸出入取引その他の対外取引に関する信用供与を主とし、一般国内貸出業務は対外取引関係の金融と関連のあるものに限ることとし、なお預金の受入は特に制限を加えないことといたそうとするものであります。第三に、店鋪は、外国為替取引又は貿易金融上の重要な地に限つて設置できることとし、国内店鋪はこの意味でかなりの制限を受けることとなるのでありますが、その半面、海外では重要な地には広くその設置が認められることになるのであります。第四に、本法の旅行に伴つて既存の銀行が外国為替銀行になることを予想いたしまして、その切換えの円滑を図るための所要の規定を整備しようとすること等であります。
本案審議に当り、各委員より熱心なる質疑がなされたのでありますが、その主なる点を申上げますれば、「為替専門銀行を複数制とするか単行制とするか」との質疑に対して、「本法の建前としては複数制であるが、我が国の貿易及び外国為替取引の実情よりして、差当り一行を予定している」旨の答弁がありました。「市中為替銀行と為替専門銀行の差異如何」との質疑に対して、戦後における我が国為替銀行の機能と能力が外国銀行に比して劣つていることは争われない事実であつて、これは基本的には店鋪網の貧弱、外国為替取引上の能力の低いこと、外国金融市場における信用の低いこと、資力不十分なこと、或いは商社の地位の弱体なこと等に由来しておるのであります。従つてこのため我が国の外国為替取引が実質的には外国銀行に依存しなければならない実情にあるのであります。貿易依存度の高い我が国の経済の自立と発展を期するため、外国為替取引及び貿易金融の自立的な立場における円滑且つ適正な運営を要望するならば、外国銀行に比肩し得る十分な能力と信用を具備した強力な我が国為替銀行の出現を期さなければならないのであります。このような理由により為替貿易金融業務に専念する銀行の設置が望ましいのであります。而して為替取引及び貿易金融は、的確な国際的な商況判断や、国際市場における適切な外貨運用等のために、国内金融とはかなり異なつた特殊な専門的能力を必要とする。然るに国内業務にその基盤を持つ銀行が外国為替業務を併せ行うときは、外国為替業務の遂行については、人事、資金等の面において、或る程度国内業務面からの制約を受け、或いはその業務が自己の特定取引先に偏する傾向が免れがたい。これに反し外国為替業務に専念する銀行は、外国為替業務、ひいては日本の貿易の伸展合理化に格段の熱意を持たざるを得ないし、我が国貿易又は貿易界の発展又は合理化に対して真剣な創意を発揮するものと期待されるものであります。為替専門銀行は、本法に準拠した民間銀行であるので、旧横浜正金銀行に対して与えられたごとき特権は考えていない。従つて為替専門銀行は、従前の市中為替銀行の外国為替業務の取扱を排除するものでなく、又為替管理上の特殊な地位に立つものでもない。従前の市中為替銀行は、従来通りその能力に応じて外国為替取引及び貿易金融に従事せしめ、為替専門銀行との間に十分競争と補完の余地を与えることにしているのであり、又為替管理法の適用についても、その実体的規定には為替専門銀行も等しく服するのであつて、飽くまで政府又は対日本銀行との関係においては、為替専門銀行も他の市中為替銀行と同列の地位に立つのであります。
以上のごとく、「為替専門銀行に対しては、質的優遇措置はとらないが、外貨預託に当つて或る程度の量的裁量を行うほか、外国における国庫代理店を認めるとか、海外店鋪の設置等について優先的な考慮を払う」旨の答弁がなされたのであります。第八条において、特に海外における担保附社債信託業務を認めた理由如何についての質疑に対し、「外国為替銀行は貿易為替金融に専念し、国内金融、特に事業金融的なものを行わない建前をとることになつているので、その性格上、一般的に担保附社債信託の業務を認めることは適当ではない。ただ本邦法人が外債を募集するような場合に、海外においてこの種の業務を行う機関が必要とされるときは、この銀行の信用と店鋪網を活用し、その顧客の要請に応ずることが適当であると考えられる場合があるので、特にこのような場合に限つて兼営を認めることにした」旨の答弁がありました。その他質疑の詳細は速記録により御承知願いたいと思います。
質疑を終了し討論に入り、野溝委員より、「本法案の構想によつて設立される為替専門銀行の基礎は脆弱であるので、政府は為替専門銀行を育成して、日本貿易の振興に寄与せしめることを条件として賛成する」旨の意見が述べられ、小林委員より、「為替専門銀行の公共性並びに国際性に鑑み、金融界、貿易界、生産界等各方面の心からなる協力が得られるよう、同行の資本及び人事の構成等に関し格段の工夫を払うこと、為替専門銀行設立のため、経過的にも貿易に関する国内金融、商社並びに生産金融に疏通を欠くことのないよう特段の配慮を払うこと、為替専門銀行の国際的信用力の培養並びに同行機能の完全な発揮のために、政府保有外貨の重点的預託及び為替貿易資金確保のため円資金融通の途を確保すべきである。円資金融通については、特に日本銀行をして協力せしむるよう配慮せられたい。為替貿易金融制度の正常化、特にユーザンス制の採用並びに為替相場体系の正常化を図ること」などを要望して賛成の意見が述べられ、青柳委員より、「政府の為替専門銀行に対する答弁は消極的であるが、新銀行に対する期待が大であるので、積極的に日本経済に役立たしめるよう育成することを要望する」旨の賛成意見が述べられ、更に堀木委員より、「為替専門銀行は、その機能の発揮如何は、すべて政府の行政的運営にかかつている。従つて本案による為替専門銀行が設立されたときは、政府の金融政策において、為替専門銀行の基本的運営方針を定め、その方向に運用されるよう強く要望する」旨の意見が述べられたのであります。
かくて討論を終局し採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案について申上げます。
本案は、従来、株式会社についてのみ認められておりました再評価積立金の資本組入に関しまして、今回株式会社以外の法人である合名会社、合資会社、有限会社及び協同組合等につきましても、同様の措置を講ずることが適当であると考えられますので、必要な事項を規定しようとするものであります。
先ず内容の大要について申上げますと、第一点は、再評価積立金を資本に組入れるには、定款変更の場合と同様の決議を必要とすることといたしたのであります。第二点は、出資について口数の定めがある法人が、資本組入を行なつた場合には、組入額の総額に対応して、出資の総口数が増加するものとし、出資者各人の出資品数は、それぞれの出資者が現に有しておる出資品数に応じて増加することといたしております。第三点は、資本組入の場合においては、原則として無償で出資口数が増加するのでありますが、株式会社の場合と同様、出資一口の金額の一部を出資者に払込ませることを認めると共に、端数又は払込のなかつた出資の品数が生じた場合における売却又は出資者の募集及びこれによつて得た金額の分配について所要の規定を設けております。第四点は、資本組入を行なつた結果、出資者の口数が法令に規定する保有限度を超える場合の特例を設けると共に、出資者に対して分配すべき金銭の額について、所得計算上所要の特例措置を講じております。このほか、株式会社の資本組入の場合において失権株又は端株を公募する際の発行価額について商法の特例を設けております。
次に、本案審議において交わされた質疑応答を通じて明らかにされた主なる点を要約して申上げますと、一、この法律の実施によつて、株式会社以外の法人について、その資本構成の是正を図り得ることと、現在株式会社に与えられている種々の税制面での優遇措置を均等に受けられ得る効果があること。二、この法律の対象となる法人の数は十七万五千二百二十五で、その再評価積立金の昭和二十八年度末現在高は百四十二億六千九百万円であることなどでありますが、詳細は速記録によつて御承知願いたいと存じます。
かくて質疑を終了し、討論採決の結果、多数を以て原案通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/23
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024・河井彌八
○議長(河井彌八君) 株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。東隆君。
〔東隆君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/24
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025・東隆
○東隆君 只今上程されている株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案に対し、日本社会党を代表して反対の意を表明するものであります。以下反対の理由を述べます。
本法律案は、昭和二十六年四月、法律第百四十三号を以て公布された再評価積立金の資本組入に関する法律が、営利を目的とする株式会社の資本組入について規定しているのに対して、株式会社以外の法人について、前と同様その再評価による資本組入を規定しようとしているのであります。株式会社と株式会社以外の法人、この二つの中に見過してはならぬ問題が伏在しているのであります。見過してはならぬ問題とは何かと申しますと、それは、一見この法律案は、株式会社以外の法人の資本蓄積をすすめているようであります。併しこの法案は決して資本蓄積を狙つているのではなく、株式会社以外の法人に対し、将来長く課税を続けようとする法律案なのであります。そのことを端的に立証するものは、この法案の説明には、大蔵省の主税局長がこれに当り、関係のある資産再評価法や、再評価積立金の資本組入に関する法律等は、衆参両法制局編纂の現行法規総覧中、その第十綴、第十三編租税・専売編の租税の中にまとめられているのであります。このことは極めて小さいことのようでありますが、政府のこの法案を立案した狙いを明らかにしたものと言わなければなりません。
次に、この法案は、株式会社以外の法人と称して、他の営利法人を対象としているかのようでありますが、それは附けたりで、各種の協同組合を対象とし、これから長く税金を得ようとする途を開くことが主たる目的であると言つて過言ではないのであります。そのことは、この法文を読めば明らかになるのであります。この法案は、全文十三条からなつているささやかな法律案でありますが、第九条までは協同組合とは明記してありませんが、主として協同組合関係の法文であることは明らかであります。第十条が合名会社又は合資会社における資本組入、第十一条が有限会社における質権の効力、第十二条が所得計算の特例、第十三条が罰則を謳つているのであります。第十条と第十一条が協同組合外の法人に関する条文であつて、これらは先に公布になつた再評価資本の組入に関する法律の中に規定すれば足るのであつて、この法律案は、まさしく協同組合という営利を目的としない法人を対象として立案されているのであります。このことは何を意味しているのでありましようか。これは明らかに政府が営利を目的としない各種の協同組合から、税金を長く上手に吸い上げようとの企らみを以て立案したものであることを雄弁に物語つています。更に、このことを裏書するものは、この法案の附則三項を見ると、なお明らかであります。ここでは昭和二十六年法律第四十三号の再評価積立金の資本組入に関する法律の題名を、株式会社の再評価積立金の資本組入に関する法律に変更しようとしているのであります。このことは、この法案と相待つて、如何にも各種の経済法人を網羅しているかのように見せかけていますが、この法案は、協同組合を主として対象としているので、相互保険会社や相互銀行などは、各種協同組合より数段儲けることにやぶさかでない法人であるが、対象外になつているのであります。かくて各種協同組合を課税の対象として縛りつけようとしているのであります。
以上述べたように、如何にも資産の再評価を行うことにより、適正な減価償却を可能にして、企業経理の合理化を図るかの、ごとくに見えますが、この法案の基礎になつている資産再評価法の第一条には、明らかに「資産譲渡等の場合における課税上の特例を設けて云々」という言葉が示すように、どうして法人税を的確にかけようかと狙つ、いるのであります。協同組合に税をかけるべきでないというのが我々の主張であります。今回の法案の意図するところは、各種協同組合を税の対象としようとしているのであります。従つてここには、協同組合に課税すべきでないということを述べる必要があります。協同組合は、中小企業者、農山漁村民、労働者等の自己防衛の組織であつて、組合員のなすべき仕事を組合が代行しているのであります。この際協同組合が営利を目的としない法人であることを明らかにするため、協同組合と株式会社を簡単に比較することといたします。
協同組合の目的は、利潤の追求ではありませんが、会社の目的は、利潤追求が目的なのであります。協同組合は、一人一票で議決もし役員の選任もするが、会社では、一人一票ではない。株がものを言う、即ち資本がオール・マイテイであります。協同組合の組合員は発議権を持つているが、会社の一株株主には発議権は実質的にはないも同様であります。リコールについても、協同組合と会社ではお話になりません。これらの民主的な条項というものは、会社と協同組合ではまさに正反対であります。協同組合は、会社よりも自治体に近いのであります。殊に主権在国民の今の憲法の下においては、先に挙げた民主的な条項は、完全に協同組合と自治体に当てはまります。ただ違つているところは、協同組合は任意加入であり、自治体は強制加入であります。従つて英国の有名なシドニー・ウエツブは、「協同組合は任意加入の自治体であり、自治体は強制加入の協同組合である」と申しています。このことはその局に当つているものが銘記すべきことであると思います。かように協同組合は、会社とはまさに相反しており、自治体に近いのであつて、自治体に課税しない原則は、協同組合に完全に当てはまります。明治、大正、昭和を通じて協同組合である産業組合は、非課税の原則を官僚によつて支持せられて来たのであります。支那事変が進展するにつれ、昭和十七年、国策即応の名の下に課税されたが、非課税の原則は貫いたのであります。戦後においては、民主憲法の下であるにかかわらず、戦時中の課税の惰性を続けているのであります。而も大蔵官僚は、漸く発芽し成長しようとする各種協同組合に課税して、この国における民主主義的機構の中心をなすべき協同組合の発達を阻止しようとしているのであります。この法案こそ、その端的な意図が盛られているものであり、今国会を通して、提案されている税制の改正案中にも、国と地方を問わず、協同組合に課税しようとする意図が濃厚に且つ具体的に現われていまし。かくのごとき政府の意図を持つているこの法案に対し、我が党は断固として反対しなければなりません。
以上を以て反対討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/25
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026・河井彌八
○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより三案の採決をいたします。
先ず、関税法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/26
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027・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/27
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028・河井彌八
○議長(河井彌八君) 次に外国為替銀行法案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
[賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/28
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029・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/29
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030・河井彌八
○議長(河井彌八君) 次に株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/30
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031・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/31
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032・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第七、国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長前田穰君。
〔前田穰君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/32
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033・前田穰
○前田穰君 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案の運輸委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
この法律案の要旨は、従来一、二等旅客運賃及び料金の中に含めて徴収いたしておりました通行税を、今後運賃料金の外枠にして徴収しようとするものでありまして、具体的に申しますと、従来いわゆる一、二等の旅客運賃として公示されておりましたものは、通行税を含めてそれぞれ三等の四倍、二倍となつておりましたのを、今後通行税を外枠にして、旅客の負担にしようとするものでありまして、その結果一、二等の旅客運賃は、規定通り三等の四倍、二倍として算出した額がそのまま国鉄の収入となりますので、旅客は通行税額、即ち運賃の約二割だけ負担を増すということになります。次に一等の航路旅客運賃及び一、二等急行料金も、現在は通行税額を含めたものが運賃料金となつておりますが、これも通行税額を外枠にした運賃料金に改めます結果、約二割の値上げとなります。又右に伴い一、二等寝台料金及び特別二等料金につきましても同様二割の値上げとなります。二等普通定期旅客運賃につきましては、現在の運賃が三等普通定期旅客運賃に比較いたしまして相当割高になつておりますので、通行税額を含めて、現在の運賃より約五分程度の値上げをすることになつております。これにより国鉄といたしましては、年額二十億円程度の増収が見込まれることになります。
次いで質疑に入りましたところ、各委員より、こもごも質問がありましたが、その主たる点は、先ず、「今回の運賃改正の目的は、収入の確保にあるのか。又運賃体系を整えるためであるのか。若し増収を図ろうという趣旨ならば、僅か二十億円程度の値上げをすることにより、国民感情を刺激することになりはしないか」との質問に対しまして、政府委員より、「今回の改正は、最初国鉄ではその整備を図るため運賃の全般的な値上げを企図したのであつたが、現在の経済情勢に鑑み、又一方運賃体系の明確化を図るため、一、二等の通行税の部分を外枠にする、ことによる増収にとどめたのである」との答弁がありました。又、「今回の改正による増収が二十億円ということであるが、この程度の金額なら、経営の合理化、例えば購入資材の単価の切下げ、或いは雑収入の増加を図ること等により捻出する途はなかつたか」との質問に対しましては、政府委員及び国鉄総裁より、「国鉄の二十九年度予算は、できるだけの節約と合理化を織込んだものであるので、これ以上合理化の余地は見出しがたい実情である」との答弁がありました。次に、「今回の一、二等の運賃値上げは、将来三等を含めた運賃の値上げを考えているのではないか」との質問に対しましては、政府委員より、「今回の値上げに関連して只今のところ三等運賃の値上げは考えていない」との答弁がありました。その他国鉄経営に対する将来の方針、航空運賃との比較、運賃値上げに関連して三等寝台の復活等、サービスの向上、一等車の存廃等、国鉄の経営に関しあらゆる角度から本案に関連した質問が活発に行われましたが、それらの点についての詳細は、委員会速記録により御承知願います。
以上で質疑を終り、続いて討論に入りましたところ、植竹委員より、原案に賛成する旨の意見の開陳があり、希望として、運賃は合理的に定むべきであり、且つ独立採算制の立場から、根本的な運賃制度を樹立すべきであるが、国鉄の経理の現状においては、予算の執行上今回の措置も止むを得ないとの意見がありました。次に、天田委員よりは原案に反対の旨の意見を明らかにされ、その事由としては、この法案に現われているのは一、二等運賃の値上げだけであるが、その底には三等運賃値上げの危惧があるということ及び時期的に芳しくないこと、並びに運賃収入以外に収入の途を考慮する余地がありはしないかということでありました。続いて大和委員よりは原案に賛成の旨の意見の開陳があり、今回の運賃改訂には理論的、科学的裏付けを欠くきらいがあるので、今後は十分この点を考慮すべきである。又更に独立採算制に努力し、なお職員の声を聞き、経営の合理化に進んで欲しいと強く希望意見が述べられました。最後に高木委員よりは原案に賛成の旨意見の開陳があり、緊縮予算、耐乏生活を要求している際に、運賃の値上げはしないほうがよいと思うし、又経営合理化についても更に努力を要する途がありはしないかと思うが、国鉄の財政の現状から、比較的負担力のある一、二等の運賃改訂は止むを得ないとして、前述のごとく賛成の意見を開陳されました。
以上で討論を終り、直ちに採決に入りましたところ、多数を以ちまして原案通り可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/33
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034・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/34
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035・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/35
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036・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第八、郵便為替法の一部を改正する法律案
日程第九、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案(いずれも内閣提出、衆議院送付)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/36
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037・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。郵政委員長池田宇右衞門君。
〔池田宇右衞門君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/37
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038・池田宇右衞門
○池田宇右衞門君 只今議題となりました郵便為替法の一部を改正する法律案及び郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、郵政委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
第一に、郵便為替法の一部を改正する法律案について御報告申上げます。
この法律案は、我が国と米国、カナダ及び英国との各為替条約が復活されましたが、これらの条約には、料金の範囲が規定されておらないので、この料金を定める根拠規定を設けますと共に、奄美大島の復帰に伴いまして、特例を設けて、郵便為替を取扱うべき南西諸島の範囲を改めようとするものでありまして、その要点を申上げますと、先ず外国郵便為替に関する料金を定める根拠規定を設ける改正については、日本国との平和条約第七条の規定に基きまして、現在その効力が発生いたしておりますところの我が国と米国、カナダ及び英国との間における各二国間の為替条約は、いずれも外国郵便為替に関する料金の範囲を規定していないので、万国郵便連合の郵便為替に関する約定に規定する同種の料金を超えない範囲内において、省令でこれを定めることができるよう根拠規定を設けようとするものであります。
次に、南西諸島の範囲の改定についてでありますが、旧鹿児島県大島郡の区域であつて、北緯二十九度以南にある奄美群島が今回我が国に復帰したのに伴いまして、特例を設けて郵便為替を取扱うべき南西諸島の範囲が変更されることとなりましたので、その範囲を現状に適合するよう改めようとするものであります。
委員会におきましても、本件改正は、いずれも当然の措置として、さしたる質疑もなく、直ちに討論に入りましたところ、別に発言もなく、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
次に、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案について申上げます。
この法律案は、郵便切手類及び印紙の売捌人に支払う売捌手数料の料率を若干引上げると共に、従来規定上明確でなかつた二、三の事項を明定して規定を整備いたそうとするものであります。
先ずその主なるものとして、売捌手数料率の改正についてでありますが、現行の売捌手数料は、昭和二十四年に定められたものでありまして、その後郵便切手類及び印紙の売捌額は著しく増加しており、又売捌きに要する経費も、最近の賃金、物価、金利等から見て、昭和二十四年当時に比較し、若干増加しているものと認められるので、これら諸種の事情を考慮して、売捌手数料率を、買受月額五千円以下の金額の百分の五を買受月額一万円以下の金額の百分の六に、買受月額五千円を超える五万円以下の金額の百分の三を買受月額一万円を超える十万円以下の金額の百分の三に、買受月額五万円を超える百万円以下の金額の百分の一を買受月額十万円を超える百万円以下の金額の百分の一に、それぞれ改訂いたそうとするものであります。
委員会における質疑の主なるものを申上げますと、この売捌手数料とたばこ売捌手数料、各種乗車券販売手数料との比較、売捌所の設置、切手類の売捌所への配給方法等について質疑がありましたが、その詳細は会議録によつて御了承を願いたいと思います。
かくて質疑を終り、討論に入りましたるところ、別に発言もなく、直ちに討論を終結し、採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/38
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039・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/39
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040・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両案は、全会一致を以て可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/40
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041・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第十、昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
日程第十一、昭和二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書
以上両件を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/41
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042・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。決算委員長小林亦治君。
〔小林亦治君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/42
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043・小林亦治
○小林亦治君 只今議題となりました昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書に関する決算委員会の審議の経過並びに結果を御報告いたします。
先ず本件の内容の概略を申上げますと、昭和二十七年度におきまして一般会計、特別会計を合計いたし、国有財産の増加額は二千三百九十一億余円、減少額は九百八十九億余円でありまして、差引純増加額は千四百一億余円となつております。年度末、即ち昭和二十八年三月三十一日現在の国有財産の総額は四千百六十四億余円でありましてこの内訳は、行政財産千二百六億余円、普通財産二千九百五十八億余円となつております。行政財産を更に分類いたしますと、公用財産五百八十億余円、公共福祉用財産一億余円、皇室用財産二億余円、企業用財産六百二十一億余円となつております。次に、国有財産を無償で貸付けましたものは、一般会計、特別会計を合計して、昭和二十七年度における増加額は一億余円、減少額は八千余万円、差引純増加額は千余万円でありまして、年度末における無償貸付の総額は一億七千余万円となつております。
決算委員会におきましては、右二件につき政府の報告を聞きました上、慎重に審議をいたしました。本件に関する会計検査院の検査報告によりますと、一般会計から昭和二十七年度に農業共済基金に出資した十五億円及び同年度までに私立学校振興会に出資した二十一億四千九百余万円、米国対日援助見返資金特別会計から二十六年度に日本開発銀行に出資した百億円及び同年度までに日本輸出銀行に出資した七十五億円は、いずれも本計算書に計上洩れとなつていることが指摘されているのに対し、政府から、これらは関係各省の手違い又は法令解釈上の疑義のために手続が遅れたものであるが、昭和二十八年度においてそれぞれ国有財産に計上いたしたとの説明がありました。その他国有財産の管理処分等の処理の適正でない事項については、別途昭和二十七年度決算審査においてこれを検討することといたしまして、この二件の計算書は、これは承認することに異議がないことに議決いたしました。
右、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/43
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044・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより両件の採決をいたします。両件全部を問題に供します。両件は、委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/44
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045・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて両件は、全会一致を以て、委員長報告の通り議決せられました。
本日の議事日程は、これにて終了いたしました。次会の議事日程は、決定次第公報を以て御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後零時十分散会
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○本日の会議に付した事件
一、国土総合開発審議会委員の選挙
一、米国における絹織物輸入禁止に関する緊急質問
一、日程第一 身体障害者福祉法の一部を改正する法律案
一、日程第二 児童福祉法の一部を改正する法律案
一、日程第三 医療法の一部を改正する法律案
一、日程第四 関税法案
一、日程第五 外国為替銀行法案
一、日程第六 株式会社以外の法人の再評価積立金の資本組入に関する法律案
一、日程第七 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案
一、日程第八 郵便為替法の一部を改正する法律案
一、日程第九郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案
一、日程第十 昭和二十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
一、日程第十一 昭和二十七年度国有財産無償貸付状況総計算書発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X02219540324/45
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