1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年六月一日(火曜日)
午後六時五十二分開議
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議事日程 第五十六号
昭和二十九年六月一日
午前十時開議
第一 協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案(第十六回国会衆議院提出)(委員長報告)
第二 道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
第三 小田急電鉄参宮橋駅附近の踏切改善に関する請願(委員長報告)
第四 小田急電鉄代田二号踏切等改善に関する請願(委員長報告)
第五 鉄道踏切施設整備強化に関する請願(委員長報告)
第六 赤穂線鉄道敷設促進に関する請願(委員長報告)
第七 長崎本線回り東京、長崎両駅間特別急行列車運行に関する請願(委員長報告)
第八 第十次造船計画促進に関する請願(委員長報告)
第九 第十次造船計画促進等に関する請願(委員長報告)
第一〇 第十次造船計画促進に関する陳情(委員長報告)
第一一 長尾、木津両駅間にジーゼルカー運行の陳情(委員長報告)
━━━━━━━━━━━━━発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/0
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001・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
この際、お諮りいたします。堀木鎌三君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、深川タマヱ君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたい旨の申出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/2
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003・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつていずれも許可することに決しました。
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004・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) つきましては、この際、日程に追加して、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/4
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005・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/5
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006・寺本廣作
○寺本広作君 裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙は、成規の手続を省略し、いずれも議長において指名することとし、なお、予備員の職務を行う順序も、議長に一任することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/6
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007・杉山昌作
○杉山昌作君 私は、只今の寺本君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/7
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008・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 寺本君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/8
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009・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつて議長は、裁判官弾劾裁判所裁判員に苫米地義三君、同予備員に最上英子君を指名いたします。なお、予備員の職務を行う順序は、第二順位といたします。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/9
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010・藤原道子
○藤原道子君 私は、この際、中国紅十字代表招聘に関する決議に対する政府の措置についての緊急質問の動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/10
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011・天田勝正
○天田勝正君 私は、只今の藤原君の動議に賛成いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/11
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012・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 藤原君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/12
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013・重宗雄三
○副議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。藤原道子君。
〔藤原道子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/13
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014・藤原道子
○藤原道子君 私は、過日本院におきまして、中国の紅十字代表李徳全女史招聘に関する決議案が、全会一致で決定いたしたのでございます。本問題に対しましては、肉身の上を案ずるその留守家族の切実なる要望は、この李徳全女史を招聘することによつて、そこに何らかの希望を求めている我々に対しましても、絶えずこうした涙ぐましい留守家族からの手紙が寄せられているのでございます。私ども厚生委員会におきましては、昨年十一月十一日の委員会におきまして、日赤の代表を招き、その実情をいろいろと調査いたしたのでございます。そのとき小瀧政務次官もこれに対しまして、各党一致の要望である。是非とも御期待に応えたい、応えるべく考慮するということを申されておりまするし、その際にも、全員一致で政府に対しまして、日赤の要求を一日も早く実現することの決議が行われまして、これを直ちに外務大臣に申入れいたしたのでございます。ところがそれ以来、委員長を通じまして、或いは理事を通じまして、しばしば要求いたしましたにもかかわらず、外務大臣は何らの意思を表明されなかつたのでございます。それのみではございません。今日まで引揚げが中断されていましたのに、漸く紅十字のその御好意によりまして、いろいろなる御斡旋によりまして、長い間待ちこがれておりましたその同胞が無事に帰国されましたことは、大臣も十分御案内の通りでございます。だから日赤の社長が北京におきまして、李徳全女史に、若しもこの集団引揚げが終つたならば、是非とも感謝の意味で日本に御招聘申上げたいということをこちらから申出たはずでございます。ところがこれに対しまして、非常に向うは喜んで、是非ともその好意に私たちは甘えて、一日も早く日本へ伺つて見たいということを言われ、日赤社長は、このことを固く約束をして来られたのでございます。その後外務省に対しまして、たびたび日本赤十字の賓客として迎えたい。従来の御労苦に対する感謝をすると同時に、又今後のいろいろな御斡旋をも願う契機にいたしたい。こういうことで申入れたのにもかかわらず、外務省は、これに対しましても言を左右にして、明確なる態度が与えられていないのでございます。それのみならず、外務大臣は、感謝をするには、ほかにいろいろ方法があるはずだ。紅十字代表を迎えるだけが感謝の印しではない。こういうことを言われておる。或いは又この紅十字代表を迎えることによつて引揚げが促進するという何らの証拠がない。こういうことも言われておるのでございます。私たちは、やることの一つ一つを功利的に考えるべきではないと思います。それこそ、大臣が平素言われまするところの外交のエチケットにも反する言明であろうと思うのでございます。(拍手)私たちは、敗戦後九年を経過いたしましたその肉身の安否を思い煩つておる留守家族の気持を思いまするとき、どうぞしてその契機をつかみたい。どうぞして戦争の犠牲者を一日も早く祖国にお迎えいたしたい。これは全日本国民の感情であろうと信ずるのでございます。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)従いまして、これを実現いたしまする方法をいろいろと考えまするとき、ほかに方法はないじやございませんか。大臣は、ほかに感謝の印しを表わすことはできるとおつしやいましたが、然らは外務大臣は、今日まで引揚げに努力されました中国紅十字に対しまして、如何なる感謝の方法をお示しになつたでございましよう。如何なる努力をされたでございましよう。私は先ず、その点からお伺いをいたしたいのでございます。
それと併せまして、引揚問題にいろいろと御努力を続けられました草葉厚生大臣は、所管の厚生委員会において、満場一致で決議された本問題に対しまして、閣内において、或いは又厚生大臣として、如何なる努力を今日まで払われたでございましようか。その点も私は、この際お伺いをいたしたいのでございます。
そうしてその後、たまりかねました私どもは、大臣を大臣室にお訪ねしたのでございます。ところがそのときに、湯山委員と私とで参りましたときに、左派の主張には乗るわけに行かない。こういうことをおつしやいました。(「けしからんぞ」と呼ぶ者あり)で、私どもは、左派として来たのではない。厚生委員会の理事として来たのだ。(「罵詈雑言だ」と呼ぶ者あり)委員会の決定であるから、厚生委員会の理事としてお伺いしたのだから、何とかこの際善処をお願いしたいということを繰返しお願いしたのでございまするけれども、剣もほろろの挨拶であつたのでございます。
〔副議長退席、議長着席〕
その後私どもの前堂森厚生委員長、又現上條厚生委員長の御両人が大臣をお伺いいたしましたときにも、やつはり同じような答弁をしておいでになる。国際的に、国内的に考慮を払わねばならないから、その見極めがつくまで待つてくれ、こういうことを言つておいでになる。ところがその見極めはいつおつきになる御予定でございましようか。私たちはそういう言葉によりまして、大臣のその責任を回避し、どこやらの国に遠慮されておるような態度に対しまして、心からなる怒りを持つものでございます。(拍手)私は、衆議院におかれましても、この問題は非常に重視されまして、去る二十七日に、これ又全員一致でこの決議がなされておるのでございます。又参議院におきましても、二十九日に本院において決議いたしたことは大臣も御承知の通りなんです。院議を尊重すると常々言明されておりまする政府でございますから、恐らくこの紅十字代表を招聘することに対して、この院議を尊重されるとは思いまするけれども、過日の警告決議に対しまして、今日まで過されました政府の態度を思い合せまするとき、私は不安なきを得ないのでございます。従いまして本日、大臣の明確なる御答弁を伺いたいと同時に、私は吉田総理大臣は、中国のこの残留邦人を如何なる方法で帰還を促進されるお考えであるか。若し紅十字代表をこの際日赤が約束して来た、現在国際会議においてもこの引揚げのために、いろいろ努力しておいでになる島津社長のことを思いましても、政府として何らかの答えが出なければならないはずでございます。これに対して政府はどのような御用意があるか。若しこれを拒否するといたしましたならば、これでぶつつり糸は切れてしまう。残されました数千名の私たちの同胞をいつ如何なる方法でお迎えするというお考えであるかどうか。
最近フイリピンに、降伏をしない同胞がいるということがわかりましたときに、その留守家族はフイリピンに出かけて行つたはずでございます。フイリピンまでは行ける方法はあるけれども、中国へは誰も行けないのでございます。数千名のその留守家族は、その悲しい気持をどこへ訴えたらよろしいのでございましようか。(拍手)だから私はこの際紅十字代表をお迎えすることによつて、その留守家族の涙ながらのお訴えを私はいたしますることこそ、非常な効果のあることである。感謝と同時に、今後の引揚げに、その御協力をお願いする謙虚な方法がとらるべきものだと信ずるのでございますが、これに対して、私は政府の責任ある御回答をお伺いいたしたいと存じます。(拍手)
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/14
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015・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 中国に残りました引揚者の身の上につきましては、政府は常に深甚の関心を寄せておるものであります。中国紅十字会代表の招請につきましては、先般衆参両院で決議されましたことは、只今お述べになりました通りでありまして、政府は国交のない国で事情がよくわかりませんので、その点は、引揚の促進にどう役立つか。又それが国内的、国際的にどういう影響を生ずるか等のことにつきまして、十分、今検討をしておるところであります。
具体的なことにつきましては外務大臣からお答えをいたします。(「院議を尊重しないのか」と呼ぶ者あり)
〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/15
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016・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) お答えいたします。
元来、国交未回復国との間の往復は、特別な事情がない限り、これを認めないのが原則であります。又フイリピンとの間に往復ができて、中国には行けないのはどういうわけかと言われるのでありますが、フイリピンとの間には、正式の国交は回復しておりませんけれども、お互いに公使を派遣いたしまして、常に交際をいたしておるのであります。かかる事情でありまするから、日本赤十字が政府のあらかじめの了解なくして国交未回復国の人々を招待する約束をすることはできないはずであります。併しながら政府といたしましても、留守家族の事情は衷心より同情いたしておるのでありまするから、今回の御決議の趣旨もよく考慮をいたしまして御決議にありまする通り、適切なる考慮を加える考えでおります。(「考慮するとは何だ」と呼ぶ者あり)
又感謝の意を表するのにどういう方法があるかということでありますが、これは特に私から申上げるほどのこともありませんけれども、例えば記念品を贈るとか、家族からの感謝状を贈るとか、いろいろの方法はあろうかと考えます。(拍手)
〔国務大臣草葉隆圓君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/16
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017・草葉隆圓
○国務大臣(草葉隆圓君) お話のように、中共には、なお多数の残留者がある状態に鑑みまして、これらの人々の一日も早い帰還促進を熱望し、従つて残留者の調査なり、留守家族の援護なり、延いては引揚げの促進に努力をいたして参つておりますることは御承知の通りであります。この李徳全女史の招聘につきましては、只今外務大臣から答えられましたように、十分協力をいたして、相談をいたしておる次第でありまして、厚生委員会並びに理事会等の御要望の点も相談をいたしながら話合つておる次第でございます。(「相談とは何だ」と呼ぶ者あり)
〔藤原道子君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/17
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018・河井彌八
○議長(河井彌八君) 藤原道子君
〔藤原道子君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/18
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019・藤原道子
○藤原道子君 私は、只今の各大臣の答弁に対しまして、誠に不満足でございます。一体政府は、院議をどのようにお考えであるか。先ずこの一点をお伺いしたい。それから緒方副総理は、深甚の考慮を払つている、深甚の考慮とは、如何なるものでございましようか。(「具体的に言わなきや駄目だ」と呼ぶ者あり)それを具体的に私はお伺いいたしたいと存じます。
いま一つ、国交未回復の国に対しては云々という言葉がございましたが、私は、国交未回復の国へ何も代表をやれと言つているのではない。未回復の国だからこそ、幸いにも引揚げに御協力を頂いた紅十字の代表を日本にお迎えする。これよりほかに日本の悲しい気持を訴える術はないじやございませんか。それから国交が回復している国なら政府みずからが引揚げをやるべきなんです。それを政府が一方的な外交方針を立てておられますために、だから国交が回復しないのじやございませんか。国交が回復しないからこそ、今まで引揚げができなかつた。それを赤十字精神においてここまで打開して来られた。ソ連の引揚げも中共の引揚げも、すべて赤十字の功績ではございませんか。民間外交の功績ではございませんか。政府は何らなすべき方法がなかつた。これは、私は考えてもらいたい。だからこそ私は、赤十字の社長のやられましたことを政府は尊重しなきやならん。尊重する義務があると思う。若しこれを突き放したならば、どういう方法でおやりになるか。若し国交が回復しなかつたならば、永遠に、あの愛すべき人たち、気の毒な人たちは、永遠に手の付けようがなくても、政府は知らん顔をして行くような無慈悲な態度でよろしいのでございましようか。私はその点を明確にお伺いいたしたいのでございます。
それから草葉厚生大臣は、もつと私は強くなつて欲しい。結局私どもは、どれだけ厚生委員会或いは引揚特別委員会で、この引揚げのことに努力いたしたでございましよう。あなたも留守家族の涙は、十分御承知でございましよう。だからあなたが、今のような答弁、通り一ぺんの答弁では、私は承知ができません。あなたはどういうふうな努力をして来られたか。具体的に伺いたい。どういう話をなすつたか、この点を私はお伺いいたしたいと思います。
それから重ねて私は、外務大臣にお願いをしたいのです。日本の外務大臣なら、もつと涙のある外交をお願いしたいのです。毎年々々留守家族が引揚促進の大会を開いてどういうことを決議しているでしよう。どういう訴えをしているでございましよう。ところがフイリピンヘは、行ける人たちはあるけれども、中共へもソ連へも、留守家族は行けないのです。正式代表を送れないのです。だから頼りにするのは赤十字よりほかないじやございませんか。民間外交よりほかないじやございませんか。だからこそ私はこの際お迎えして、或いは記念品を送る、そういうことでお喜びになる人ではございますまい。人間には温い愛情が要るでありましよう。人間的な愛情によつて今日解決するほかに途がない本問題なればこそ、私は必死になつて努力している。与党の皆さんがそれこそ心から、この引揚げに対しては熱願しておられることは、委員会を通じ、本会議を通じて明らかに現われておるということになれば、最高の決議機関であり、立法府である本院におきまして、衆議院におきまして決議いたしましたことは、必ず実行すべき私は義務と責任があると思います。これに対しましての御答弁を重ねて私はお尋ねをいたします。
〔国務大臣緒方竹虎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/19
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020・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) お答えをいたしますが、深甚の考慮という言葉は、極めてわかりやすい言葉だと考えておつたのでありますが、これは引揚者の場合におきましては、如何にすれば引揚げを促進することができるかということを種々深甚に考えているということであります。
それから事情がわからず、国交のない国云々と申しましたのは、国交がないから中国の、中共の事情がよくわからないということを申上げたのでありまして、中共の事情がよくわかつていないから、今回の李徳全女史を招聘することによつて、直ちに引揚げの促進を十分に結果することができるかどうかということを検討中であるということを申したのであります。
〔国務大臣岡崎勝男君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/20
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021・岡崎勝男
○国務大臣(岡崎勝男君) 前回の引揚げに政府が当らなかつたのは、赤十字社及び他の二団体をして引揚げに当らせるということを先方が主張いたし、そうしてこれは甚だ従来の普通の例からは違つたことでありましたが、政府としましては留守家族の心情も考えまして、この政府の責任でしようということは、この際は引込めて、三団体に当らしたわけであつて、政府が決して責任をとらないとか、或いは政府が引揚げに熱心でないというのではなくして、むしろそれ以外に政府が忌避された恰好になつておりますから、やむを得ず赤十字等の三団体にやらしたのであります。留守家族の心情を思う点につきましては、我々といえども藤原さんに劣るものではないのであります。
なお、両院の決議につきましては、政府としては勿論これを尊重いたしまして適切な考慮を払う考えであります。(拍手)
〔国務大臣草葉隆圓君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/21
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022・草葉隆圓
○国務大臣(草葉隆圓君) 政府が引揚促進並びに引揚げにつきまして、熱情を持ち涙を持つて当つておりますることは御承知と存じます。決して私自身も、通り一ぺんには考えておりません。十分この問題につきましては、真情を吐露して事に当つて参つており、又参るつもりでございます。従つて院議は十分尊重しながら、外務大臣並びに閣僚と相談しながら進んでいる次第でございます。(拍手)
〔藤原道子君発言の許可を求む〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/22
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023・河井彌八
○議長(河井彌八君) 発言の時間が切れております。
〔藤原道子君「緒方副総理から、院議を尊重するということの具体的な方法をお聞きしたい。それから今一つは、外国に対してのいろいろな問題が、答弁漏れでございます。」と述ぶ〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/23
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024・河井彌八
○議長(河井彌八君) 発言の時間が切れておりますから……。
〔「答弁が漏れている「院議をどうするか、簡単に答弁なさい」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/24
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025・河井彌八
○議長(河井彌八君) 緒方国務大臣。
〔国務大臣緒方竹虎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/25
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026・緒方竹虎
○国務大臣(緒方竹虎君) 院議を尊重し、院議の趣旨を実現すべく検討中であるということを申上げたのであります。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/26
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027・河井彌八
○議長(河井彌八君) この際、お諮りいたします。
中小企業の危機打開に関する決議案(中川以良君外三十名発議)
本案は発議者から、委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り、委員会の審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/27
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028・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。よつて本案を議題といたします。これより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。中川以良君。
〔中川以良君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/28
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029・中川以良
○中川以良君 只今議題となりました中小企業の危機打開に関する決議案につき、提案の理由とその趣旨を簡単に御説明を申上げます。
先ず決議案の全文を朗読いたします。
中小企業の危機打開に関する決議
わが国現下の経済情勢に鑑み緊縮政策の遂行は真にやむを得ざるものあるも、不況の皺は経済的に弱小なる中小企業に多く寄せられ、その倒産また相次ぎ事態甚だ憂慮すべきものがある。而もこの困難は寧ろ今後において愈々深刻の度を加えようとしている。
よつて政府は次の諸点に深甚の配慮を加え、中小企業の危機打開に万遺憾なきを期せられたい。
一、中小企業に対する不当なる圧迫、特に下請代金の支払遅延等に対し厳重なる取締を励行すること。
二、中小企業等協同組合に対する税制上その他の処遇につき、他の協同組合との均衡をはかるよう措置するとともに、中小企業者の団結を強力に推進すること。
三、加工貿易の一層の推進により、原料高・製品安に悩む中小企業の難局打開をはかること。
四、親企業振出の手形不渡によつて生ずる中小企業の苦難打開のため適切なる措置を講ずること。
五、回収困難なる債権の損金算入を認めるなど中小企業に対し税制運用上特別の配慮を加えること。
六、中小企業金融機関に対する指定預金の引揚延期・新規預託並びに金融債の引受増加等を行い、もつて中小企業向資金源を確保し、更に金融機関の中小企業向貸倒準備金の損金算入限度を引上げること。
右決議する。
このような決議案を提出するに至りましたのは、要するに最近の経済情勢が然らしめたものと申上げて差支えないと存じます。
世界の貿易が自由化の傾向を帯びて参ります際に、国内の物価の割高を是正し、産業の国際的競争力を強化するため、国内産業の体質を改善することが緊急の要事でありますることは、何人もこれを認めるにやぶさかではないのであります。
このために緊縮政策の必要なことは申すまでもありませんが、併しながらそのために生じた不況のしわ寄せが、常に中小企業に及ぶ事実は、私どもといたしまして黙視するに忍びないものがあるのであります。例えば大企業の下請代金支払状況に見るごとく、百貨店の問屋に対する不当返品にも見られるがごとく、大企業はややともすると中小企業の犠牲の上に繁栄するとすら思われるものがあります。
又、中小企業は金融面において不遇なる取扱いを受けております。それは全国銀行の総貸出金額中に占むる中小企業の割合が最近において急激に低下して参つたこと、又最近中小企業者の振出手形、受取手形の多くが不渡りとなつて、而もその一つ一つの額面が少額になつて参つたことなどを見ましても明らかなる事実でございます。
このように中小企業の犠牲において日本経済の再建が行われようとしているのでありますが、中小企業を倒して日本経済の立直しが行い得ると思つたら、大きな間違いで、体質の改善が、鍛錬の行き過ぎとなり、遂に体質の破壊になることは、極力避けなければなりません。全中小企業が倒れるときは、我が国経済そのものも崩壊し去つて、経済上、社会上の由々しき問題を生じますことは、火を見るよりも明らかでございます。それは、中小企業の産業構造に占める地位の重要性、大企業と中小企業との関連の緊密性などを考えましただけでも、容易に肯ける事実でありまして、私どもは中小企業を育成助長し、健全化することによつて、初めて日本経済の真の再建が可能であると信じまするが故に、目下中小企業が直面しつつある危機打開に、政府が適切なる措置を講ずる必要ありと考えまして、ここに本決議案を提出するに至つた次第であります。
決議案の内容につきまして、簡単に御説明申上げます。
先ず最初に、中小企業に対する不当なる圧迫の除去を要求をしてあります、不当なる圧迫の重要なる一例といたしましては、ここ数年来下請代金の支払が遅延をし、中小下請業者が非常に困つている事実がございますので、本院の通商産業委員会におきましては、或いは下請産業に関する特別立法の必要がありはしないかと考えまして、つぶさに実情を調査したのであります。これに対し公正取引委員会では、改正独禁法の運用により、これを不公正なる取引として、不当支払を処断する意思を表明をいたしましたので、不当なる支払遅延の認定基準なるものを発表させました。併しこの認定基準の周知徹底は今なお不十分であり、不当支払の取締りも緩漫に過ぎると存じまするので、これが厳重なる励行、更にこれが適用業種の拡張を要求をしたいのであります。
第二は、中小企業者の団結を強化推進することであります。前項の不当なる圧迫も、しばしば中小企業者の団結力の不足から起ります。不況に処して行くのには、何と申しましても団結の力に待つことが頗る多いので、これを強化する措置を講じなければならないと存じます。最近中小企業安定法の一部改正をして、調整組合の統制力を強化する措置をとりましたことは御承知の通りであります。ところが組織化の中心でございまする中小企業等協同組合が、税制上その他の点で他の協同組合に比べて差別待遇を受けておりまする点が少くないのであります。過去において単なる脱税のための組合があつたことは甚だ遺憾でございますが、大多数のまじめなる組合につき、これが特典の供与に当り、他の組合と甲乙なきよう措置されたいのであります。そして今なおこれら組合が政府の随意契約の相手方にすらなり得ないというがごときことは、速かに是正すべきであると存ずるのであります。
第三は、原料高製品安の是正であります。国内大企業が潜在カルテルによりまして、原料をややともすると不当に高く推持し、輸出中小企業が非常に苦しんでいる場合がありますので、先般の新聞税法通過と相待つて加工貿易を大いに促進をすることにより輸出振興を策しますると共に、中小企業の難局を打開するよう外貨割当等について特別の配慮を希望いたしておるのであります。
第四は、大企業の振出す手形が不渡になつた場合、中小企業者が非常な困難に直面いたしますことは、あの日平産業の事件について、すでに各位御承知のところであります。若しこれに対して輸出における手形保険のごときものがあれは、中小企業者の経営に多大の安定感を付与し得るのであります。これらの点、早急に検討を行い、何らかの適切なる措置を講ぜられたいのであります。
第五は、回収困難なる債権に対する税制運用上の問題でありまして、例えは受取つた手形が不渡になつても、これを損失として落すまでは、税制上何らの措置がとられていないが、損金として課税しないようにしたいのでありまして、その他下請代金、売掛金についても回収困難なものに同様の措置が必要と考えられます。なお、税制運用上についても延納その他に亘り格段の配慮を加える必要があると思うのであります。
第六は、中小企業金融の円滑を期しまするための措置でありまして、特にデフレ政策が進展をいたしまするにつれ、極めて近き将来において中小企業の困難は一層激化するものと予想され、その中小企業受難時代における資金需要は、極めて大きくなるでございましようから、現状の資金だけでは到底これに応じ切れないと思われますので、政府は今から、これが対応策を考えるべきであります。その一つとしては、政府指定預金の引揚げを猶予すること、更に今後これを増加すること、又商工中金の金融債については事情の許す限り資金運用部の資金にて特にこれを優先的に引受けること等の、資金源の充実について特段なる配慮をすべきであります。更に又、一般金融機関の資金が中小企業に円滑に流れるようにするため、中小企業向け貸倒れ準備金については特別の優遇措置を講じて、損金算入限度を引上げることにしたいのであります。
以上、六項目について簡単に申上げましたが、中小企業の危機を打開するのには、勿論これだけでは十分でありません。中小企業者自身の反省と奮起とは申すまでもなく、更に経営の合理化と診断制度の強化、中小企業金融公庫の運営改善等、幾多言及すべきものがございますが、少くとも当面の難局に対しては、右の諸点について特別の配慮を加える必要のあることを痛感するものであります。政府はすべからく、現下における我が国中小企業の重要性と必要性とに深く思いをいたし、これが対策に、そしてその実現に、真摯なる努力と熱情とを傾倒せられんことを強く強く要望して止まざるところであります。
以上を以て提案趣旨の説明といたします。何とぞ諸君の挙つて御賛同あらんことをお願い申上げる次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/29
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030・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/30
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031・河井彌八
○議長(河井彌八君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は、全会一致を以て可決せられました。
只今の決議案に対し、通商産業大臣より発言を求められました。愛知通商産業大臣。
〔国務大臣愛知揆一君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/31
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032・愛知揆一
○国務大臣(愛知揆一君) 只今御採択に相成りました中小企業対策に関する御決議につきましては、政府といたしましては、御趣旨の存するところを体しまして、更に一段の努力をいたす覚悟でございます。
具体的に簡単に申述べまするが、先ず中小産業政策といたしましては、御指摘のございました加工貿易の推進によつて、原料高に悩む中小企業の苦難を打開いたしたい。又大企業の下請企業への不当なる支払の遅延その他、大企業の中小企業に対する不当なる圧迫を排除いたしまするためには、諸般の措置を講じておりまするが、今後一層強力に且つ具体的に推進をいたしたいと考えております。
次に金融、税制等の問題につきましては、差当り政府は指定預金の引揚げの延期をいたすつもりでございます。又、金融機関の中小企業向け貸倒れ準備金の損金算入限度の引上げを行うことにいたしました。これらによりまして相当の効果を挙げ得るものとは存じまするが、なお只今御指摘のございました数点につきまして、でき得る限りの努力を払いたいと考えております。
要するに、政府といたしましては、中小企業の安定と振興を図ることが経済正常化の最大目標の一つであるという広い視野に立ちまして、各般の施策を総合的に運用することが必要であると存ずるのでありまして、御決議の趣旨に副いまして、私といたしましても全力を尽したい所存でございます。(拍手)
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/32
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033・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第一、協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案(第十六回国会衆議院提出)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員長大矢半次郎君。
〔大矢半次郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/33
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034・大矢半次郎
○大矢半次郎君 只今議題となりました協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案について、大蔵委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
本案は衆議院議員千葉三郎君ほか十一名の提出にかかるものであります。
御承知のごとく昭和二十六年六月に信用金庫法が施行され、信用協同組合の大半は信用金庫に転換したのでありまして、残存信用協同組合は、同法施行後二年間は、従前通り組合員以外のものの預金又は定期積立金の受入れができることとなつていたのであります。然るところ、二年間を経過いたしました今日においては、残存信用協同組合及び新たに都道府県知事の認可を受けて設立された信用協同組合は、現在いわゆる員外預金の取扱いはできないこととなつているのでありますが、提案の理由によりますと、本案はこれら信用協同組合の行う金融の円滑化を図るために、金融業務の公共性と預金者保護の見地より、大蔵大臣の認可を受けたもののみについて員外預金の取扱いをなし得ることとし、協同組合による金融事業に関する法律及び中小企業等協同組合法にそれぞれ所要の改正を加えようとするものであります。なお本案は、第十六回国会に提案され、継続審査を重ねて今日に至つたものでありまして、その間、租税、金融制度及び専売事業等に関する調査の一環として調査研究をいたして参つたものであります。
委員会の審議に当りましては熱心な質疑がなされたのでありますが、主なるものを申上げますと、「信用協同組合に員外預金の取扱いを許さない理由如何」との質疑に対し、政府委員より「信用協同組合に員外預金を許す場合には、本案によると、大蔵大臣の許可を要することとなるのであるが、信用協同組合の中に員外預金を取扱う組合と然らざる組合と二本建てとなる。又、信用協同組合に員外預金の取扱いを許すと、信用金庫と殆んど同様の機能を持つこととなるので、同じ機能を果す金融機関が二つの法律によつて競合することとなり、好ましくない結果が生ずる」との答弁があり、「信用協同組合に員外預金の取扱いを許した場合、如何なる効果があるか」との質疑に対し、提案者より「信用協同組合に員外預金の取扱いを許すならば、信用協同組合の資金量を増大し、ひいて金融事業の円滑なる運営を期し得る利益が考えられる」旨の答弁があり、又「信用協同組合に員外預金を許可する基準如何」との質疑に対し、提案者より、「一応、資金量、人的構成等を基準の要件として考えている」との答弁がなされたのであります。
その他詳細につきましては、速記録によつて御承知願いたいと存じます。
質疑を終了し、討論に入りましたところ、小林委員より、「信用協同組合に員外預金を許すことは金融制度上より好ましくない。むしろ信用協同組合から信用金庫に転換する条件を簡素化すべきであると考えるので本案に反対する。なお最近全国信用協同組合連合会が許可されたが、商工組合中央金庫との関係を速かに明確にすることを要望する」旨の意見が述べられ、東委員より、「信用協同組合より信用金庫に移行するには、出資金、理事者の兼職禁止等の制限があり、狭い地域又は職域の信用協同組合が信用金庫に転換することはなかなか困難である。信用協同組合の理想的なあり方は、その区域内の者をできるだけ多く組合員として加入せしめることであり、そのためにも員外預金の取扱いは認めらるべきであり、本案に賛成する」との意見が述べられ、次いで菊川委員より、「第一に、零細企業の金融難は相当深刻になりつつあり、大銀行は系列融資の傾向を強めつつある。このことは、金融独占化として批判されているが、その点、大銀行の反省を促すためにも、又中小企業の金融難を緩和するためにも、信用協同組合に員外預金を認めるべきである。第二に、この法律案は衆議院において第十六回国会に通過したものであり、衆議院の意思を尊重すべきである。以上の点から本案に賛成する」との意見が述べられ、採決の結果、多数を以て、本案は否決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/34
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035・河井彌八
○議長(河井彌八君) 本案に対し、討論の通告がございます。発言を許します。東隆君。
〔東隆君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/35
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036・東隆
○東隆君 私は日本社会党左右両派を代表して、上程されている協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案に対する只今の委員長報告に反対の意を表すると共に、衆議院より回付の原案に賛成をするものであります。
半生を協同組合関係の仕事に携わつて来た私は、本法案の運命について至大の関心を持つものであります。事案は極めて簡単なものであります。即ち、中小企業者等の協同組合法で設立されている信用組合或いは信用協同組合が、員外の預貯金の受入れができるようにするための法律改正案なのであります。同僚議員各位に、先ず聞いて頂きたいことがあります。それは昭和二十六年六月十五日に信用金庫法が公布になるまでは、信用協同組合は員外の預貯金の受入れは認められていたことであります。それが羽が生え、信用金庫という蝶々になつたとき、毛虫に相当する信用協同組合は、みずからの成長のために食糧をとる口を封ぜられたのであります。羽化登仙して蝶々になるために、大蔵省の銀行局長は、脱皮して蝶々になればいいではないかと申します。併し蝶々になるには、東京都や人口五十万以上の都市では出資額一千万円以上、その他の場合は五百万円以上の出資を持たねば信用金庫にはなれないのであります。豪華な蝶々になるためには、その前身である毛虫は、折角食糧を口に入れなければならんことは、小学校の生徒でも知つておることであります。その小学校の生徒ですら知つていなければならんことを無視して、法律の改正をあえてして協同組合拡充のための口を封じた理由は一体どこにあるか。これ金融の総本山とも言うべき大蔵省の、特に銀行局の諸君が、協同組合という協同組織に対する理解がないからであります。株式会社組織の銀行、営利を目的にしている株式会社の銀行と、協同組織である信用協同組合、営利を目的としない協同組織の信用協同組合とを、同じカテゴリーの金融機関と見る大蔵省約偏見が、かくのごとき片手落の措置を講じたものであると断ぜざるを得ません。私は信用金庫が協同組織であることを疑うものではありません。併し今日の信用金庫と曾つての信用組合の間には、協同組織が当然かもし出すところの雰囲気に大きな相違があります。中小企業者等の協同組合法、市街地信用組合法、更に産業組合法と歴史を遡るにつれて、その感を深くするでありましよう。信用金庫が協同組織に無理解な大蔵省の専管になるに及んで、協同組合というよりも銀行という感じを深くしておることは、私のみではなく、信用金庫直接の当事者も同感の意を表するところであります。私は協同組織としての今日の信用金庫の隆々たる発展に意を強くするものでありますが、この銀行色を次第に濃化して行く蝶々の羽色には、協同社会主義者として一抹の不安を感ずるものであります。
同僚議員各位、私のこの一抹の不安は、私を駆つて今日の中小商工業者に思いを馳せさせます。全国の都市、工場、鉱山に生業を励んでおるおびただしい人々を思い出させます。今日のこれらの人々が望んでいるものは、資本と言わんよりはささやかな金融であります。併しその金融は銀行が与えるでありましようか。相互銀行が手を伸べるでありましようか。大蔵省専管の協同組織の信用金庫が口をきくでありましようか。私はここに思いを馳せたとき、協同組合による組織のみがこれらのおびただしい人々に活路を与えるものであると確信をするものであります。
同僚議員各位、諸君も御承知のように、我が国に協同組合関係の法律が布かれてから、半世紀を超えています。農山漁村における協同組織は、或る程度見るべきものがあります。併しこの農山漁村を除いた地帯、即ち都市、工場、鉱山等における協同組織は、極めて微々たるものがあります。中小企業者等の協同組合は、全国といたしますと万を以て数えるでありましよう。併しこれらの組織は、お座なりのものが多いし、歴史も極めて浅いのであります。金融の面における協同組織は、古い歴史を持つていた信用組合が、信用金庫になつてしまつたのでありますから、まさに蝉の脱けがら同然であります。従つて信用協同組合は、協同組織としては信用金庫になり得ない職域を中心とするもの、或いは小地域のもののみが残つているのであります。而もての地域は多年協同組織とはおよそ逆の方向に進んでいた、いわゆる反産運動のお先棒を担いだところであります。協同組織をはぐくむための土地としては、大掛かりの土地改良や肥料を施さねばならんところなのであります。中小企業者等の協同組合法によつてたくさんの協同組合ができている。併しこれらの協同組合を金融面からする協同組織によるバツク・アツプの途は、何ら講ぜられていないのであります。貨幣経済の行われている時代に、金融の面を分離した協同組織のなし得る分野は、おのずから限定されるものがあることは明らかであります。従つて今日の中小企業者の唯一の活路が協同組織にあるとするならば、その組織を金融面において裏打ちする信用協同組合の組織を強化する以外に方途はないはずであります。都市、工場、鉱山の地帯は、協同組織をはぐくむための土地としては荒野である。砂漠である。そこに協同組織の種を蒔くものは、よほどの困難と闘わなければならないのであります。
或る市街地に、ささやかな信用協同組合が同志の手によつて生れた。その組合区域の人は信用協同組合の何たるかを解しない。それのみではない。協同組織ならざる金融機関の廻し者は逆宣伝をする。このような環境にあつて、信用協同組合の組織を発展せしむるの方途は如何。その区域内の逆宣伝をする者は別として、何たるかを解しない人々の信用協同組合に対する理解を進めるよりほかに手はないはずであります。この理解を進める最も恰好な方法手段は、組合が先ずその人の預金を預かることである。そして協同組織のうま味をこのことを通して知らしめることである。協同組織のうま味を感じた者が出資を持ち、正式の組合員となるという段階が、最も自然な協同組合という、強制加入でない任意加入の協同組織を強化する唯一とも言うべき方途なのであります。信用協同組合という種が、余りよくない土地に播かれたときに、意地の悪い烏のやつが来て、種をついばんで飛んで行つてしまつたのであります。この際、烏が何者であるかは、賢明なる議員各位の御了解のつくことと思います。
本法案は、昨年の七月三十日、第十六国会において衆議院大蔵委員会において可決され、八月四日には衆議院本会議において可決、同日我が参議院に回付され、大蔵委員会に付議されたのであります。八月七日、本法案はこの議場で継続審議と決定いたしました。爾来第十七、第十八両国会とも継続と決定され、第十九国会の会期末の今日に至るまで放置されたのがこの法案なのであります。我が大蔵委員会における与党たる自由党の諸君と、是々非々の緑風会の諸賢は、本法案の審議に熱意を持たず、衆議院の意思を川に流そうと考えられたようであります。我々社会党両派の委員は本法案の審議を進めることを要請し、審議を遂げました。併し委員長報告のごとく、法案は委員会では否決の運命に立ち至りました。ここに私はあえてこの段階に立つて、諸君に、特に自由党、緑風会の諸君に物申すものであります。諸君よ、まじめな中小企業者の蒔いた協同組織の種を、意地悪な鳥になつてほじくることなかれ。即ち委員長報告に反対せられることによつて、原案支持の表明をせられんことを期待いたして、討論を終ります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/36
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037・河井彌八
○議長(河井彌八君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔「どつちだ」「委員長報告は否決だ」と呼ぶ者あり、その他発言す
る者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/37
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038・河井彌八
○議長(河井彌八君) もう一度、はつきり申します。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
〔「原案か委員長報告か」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/38
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039・河井彌八
○議長(河井彌八君) 少数と認めます。本案は否決されました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/39
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040・河井彌八
○議長(河井彌八君) 日程第二、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず委員長の報告を求めます。……(「採決の方法がおかしいぞ」「何のための委員長報告だ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
改めて報告いたします。
日程第二、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
先ず、委員長の報告を求めます。建設委員長深川タマヱ君。
〔深川タマヱ君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/40
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041・深川タマヱ
○深川タマヱ君 只今議題となりました道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして建設委員会の審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
本法律案は御承知の通り、先に第十六国会におきまして成立いたした法律、即ち昭和二十九年度以降五カ年間揮発油税収入額相当額を道路整備五カ年計画の財源に充当して、全国に亘り、幹線道路の整備を図る画期的な法律を、昭和二十九年度に限り改正するものでございます。
提案の趣旨説明によりますと、政府も道路の整備は経済発展の基礎として、又最近の自動車の激増、大型化、重量化に伴い、その緊要であることは十分認めるものであるが、昭和二十九年度予算規模を極力圧縮する必要があることと、特に国と地方の財源配分上、揮発油税収入額相当額の全額を国の道路財源に充当することが非常に困難となつたため、止むを得ない措置として、昭和二十九年度に限り揮発油税収入額の三分の二相当額を国の道路財源に充当するよう改正するというのでございます。なお、本法律案に関連いたしまして昭和二十九年度揮発油譲与税に関する法律案が只今参議院地方行政委員会において審議中であることは御承知の通りでございます。
委員会におきましては、本案につきまして慎重審議をいたし、又一方におきましては、昭和二十九年度揮発油譲与税法案に関する地方行政委員会との連合審査におきまして、多くの質疑応答が重ねられたのでございますが、詳細はそれぞれの速記録によつて御承知を願います。
本案に対する質疑応答の主なるものは、昭和二十九年度以降の揮発油税収入見込額のほかは、殆んど道路整備五カ年計画に関するものでございます。道路整備五カ年計画につきましては、先ず閣議決定を経たるものの提出が求められて、その事業量と経費総額、道路種類別、事業別の内訳、揮発油譲与税中の四十八億円が充当せられる部分等、その内容につきまして多くの質疑がございましたが、特に閣議決定の五カ年計画と年次計画との関係、五カ年計画遂行と、地方負担、特に昭和三十年度以降揮発油譲与税がなくなるため必要な財源措置、来年度以降四カ年間における事業計画が、大体において均等を建前とすること等については、副総理、大蔵大臣、自治庁長官の出席を求め、慎重なる審議をいたしました。
政府の答弁の要旨は、本法案と揮発油譲与税との関連につきましては、双方とも成立を期待していること、年次計画は地方財源について一部未決のものがあるため定めるに至らなかつたものであり、事業を計画的に遂行するためにこれを作ることに努めること、揮発油譲与税は二十九年度限りであり、三十年度以降の地方財源計画には含まれておらぬこと、五カ年計画の事業量はすでに閣議を経ており、天災事変等非常の場合のほかは、明年度以降、原則として均等の建前であること、等でございました。又本案と揮発油譲与税との関連につきましては、委員会の懇談会におきましても、建設省当局との間に重要な質疑応答がございましたが、万一、本法案だけが成立した場合の事業遂行の措置につきましては、「地方公共団体側は、将来揮発油譲与税法案が成立するに至るまでの間、他の事業費財源の中で繰合せ処理することができる」旨の答弁がございました。
かくて質疑を終了、討論に入りましたところ、田中委員より、「本案に反する。本案は二十九年度限りであるが、法制定の趣旨に反し、又三十年度以降の地方財源も明確になつておらぬ。緊縮予算のためと言いながら、国政の根幹である道路整備を犠牲にすることは反対である」旨の発言があり、三浦委員は、「本案に賛成、年次計画は具体的、且つ関係府県別に閣議を経べきものである。関係省庁間で作成確認することを強く要望する」との賛成意見が述べられ、石川委員からは、「本案に賛成、財源措置法は、道路整備五カ年計画が眼目である。本案は緊縮予算のため二十九年度限りのものとして不満足ながら止むを得ぬ。明年度以降一両年度くらいに、今回の地方譲与分を回復することを政府に要望する」旨の発言がありました。
次いで採決の結果、多数を以て、原案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。
右、御報告申上げます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/41
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042・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/42
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043・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/43
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044・河井彌八
○議長(河井彌八君) 参事に報告させます。
〔参事朗読〕
本日委員長から左の報告書を提出した。
農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案可決報告書
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/44
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045・河井彌八
○議長(河井彌八君) この際、日程に追加して、農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題とすることに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/45
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046・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。農林委員長片柳眞吉君。
〔片柳眞吉君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/46
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047・片柳眞吉
○片柳眞吉君 只今議題となりました農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案につきまして農林委員会における審査の経過及び結果を報告いたします。
先に制定されました農林漁業組合再建整備法及び農林漁業組合連合会整備促進法によりまして、農業協同組合及び農業協同組合連合会の再建整備或いは整備が進められているのでありますが、ここに金融機関再建整備法の特例を設け、一段とこれが促進を図ろうとするのが本改正法律案提出の理由であります。
而してその内容の骨子とするところは大要次のようであります。即ち、
第一は、調整勘定の閉鎖に関するものでありまして、再建整備途上にある組合及び連合会は、不要設備等の固定資産を速かに処分する必要があるのであります。併しながらこれらの固定資産のうちには金融機関再建整備法によつて、前の旧勘定に属するものが少くないため、現在、組合又は連合会が所有しております固定資産は、調整勘定が閉鎖されるまでは、主務大臣の認可を受けなければ、これを自由に処分することができないのでありまして、再建整備を促進する上に重大な障害となつているとの理由によつて、これらの組合及び連合会につきましては、確定評価基準による評価が行われていない場合におきましても、暫定評価基準による評価のまま大蔵大臣及び農林大臣の認可を受けて調整勘定を閉鎖することができることとなし、以て不要資産の処分を容易ならしめようとするものであります。
第二は、調整勘定における利益金の処分に関するものでありまして金融機関整備法第三十七条の二の規定によりますれば、調整勘定に利益があつた場合は、この利益金は、先ず国から受けた補償金の返納に充て、かくして、なお残額があるときは確定損を負担して、消滅した指定債務の債権者その他に対して規定する順序に従つて分配することになつておるのでありますが、農業協同組合及び農業協同組合連合会が再建整備の過程にある現状に鑑みまして、右利益金のうち、国又は地方公共団体に納付又は分配すべき額に相当する金額は、これを一旦国庫に納付せしめ、而してこれを予算の定めるところによつて、整備又は再建整備を行なつている農業協同組合又は農業協同組合連合会の整備又は再建整備を促進するための経費に充当することにしようとするものであります。
委員会におきましては、衆議院における提案者代表及び政府並びに参考人として農林中央金庫当局の出席を求めて本法案提出の経緯、かかる特別措置の当否、農業協同組合及び農林漁業組合連合会の再建整備の状況及び今後の見通し、農林金融の現状及びその見通し、農業協同組合及び同連合会の運営及び経理並びに資産の現況、本法に伴う国庫納付金の使途等、諸般の事項について質疑が行われ、かくして質疑を終り、討論に入りましたところ、関根委員から次のような附帯決議、即ち、
一、政府は、本法の施行に当つて、調整勘定閉鎖認可申請等の諸手続を極力簡素にし、認可等の事務をできるだけ迅速に処理し且つ国庫納金付の分割納付等の便法を設ける等本法が所期する成果の達成に対して遺憾なく措置すること。
二、政府において、本法第十九条第一項の規定による納付金に伴う予算を編成するに当つては、再建整備又は整備を促進するため既に実施せられている助成事項以外の事項の実施を対象となし、従来における促進のための経費の肩替り或は行政庁の事務人件費等に充てるがようなことを絶対に避けること。
三、政府は再建整備又は整備の促進にあたつて、農業協同組合及び同連合会が組合員の利益をまもるために、厳正なる処理を行うよう指導すること。
という附帯決議の動議が提出され、続きまして採決の結果、全会一致を以て、衆議院送付案に関根委員の附帯決議を附して、可決すべきものと決定いたした次第であります。
右、御報告いたします。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/47
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048・河井彌八
○議長(河井彌八君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/48
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049・河井彌八
○議長(河井彌八君) 過半数と認めます。よつて本案は、可決せられました。
議事の都合により、暫時休憩をいたします。
午後八時二十一分休憩
〔休憩後開会に至らなかつた〕
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○本日の会議に付した事件
一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員辞任の件
一、裁判官弾劾裁判所裁判員及び同予備員の選挙
一、中国紅十字会代表招請に関する決議に対する政府の措置についての緊急質問
一、中小企業の危機打開に関する決議案
一、日程第一 協同組合による金融事業に関する法律等の一部を改正する法律案
一、日程第二 道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
一、農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/101915254X05619540601/49
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