1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和二十九年十二月十七日(金曜日)
午後二時三十八分開議
出席委員
委員長 猪俣 浩三君
理事 高瀬 傳君 理事 下川儀太郎君
辻 政信君 三浦 一雄君
栗山 博君 江藤 夏雄君
大久保武雄君 永田 良吉君
長野 長廣君 船田 中君
山崎 巖君 中居英太郎君
出席国務大臣
国 務 大 臣 大村 清一君
委員外の出席者
内閣官房副長官 井上 卓一君
調達庁次長 山内 隆一君
総理府事務官
(調達庁総務部
人事課長) 高坂清三郎君
防衛庁参事官
(装備局長) 久保 亀夫君
日本国有鉄道理
事
(厚生局長) 吾孫子 豊君
専 門 員 亀卦川 浩君
専 門 員 小関 紹夫君
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十二月十七日
委員中居英太郎君辞任につき、その補欠として
鈴木義男君が議長の指名で委員に選任された。
同 日
委員鈴木義男君辞任につき、その補欠として中
居英太郎君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した事件
恩給法の一部を改正する法律の一部
を改正する法律案
自衛隊に関する件
行政機構に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/0
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001・猪俣浩三
○猪俣委員長 これより内閣委員会を開きます。
ただいま委員長の手元に恩給法の一部改正につきまして草案が提出されております。四派共同で提出されておりますが、代表者としまして平井委員より草案の趣旨の説明を求めます。平井委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/1
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002・平井義一
○平井委員 ただいま議題となりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
さきに公務員恩給に関する在職年の加算制度は原則として廃止されたのでありますが、蒸気機関車乗務員等のごとく、特に不健康かつ危険な業務に従事する職員の加算制度については、別途措置せらるることとなつておりましたので、それまでの間これらの人々については加算を認めることに第十九回国会において恩給法の改正を行つたのでありますが、昭和三十年三月三十一日をもつてその期間が満了いたしますので、さらに一年その期間を延長し、もつて移行による空白を補うための措置をいたそうとするのが本案の要旨であります。
以上、はなはだ簡単でありますが、何とぞ提案の趣旨を了とせられ、御賛同あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/2
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003・猪俣浩三
○猪俣委員長 何か御質疑はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/3
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004・江藤夏雄
○江藤委員 ただいま御提案になりました恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、御趣旨まことにごもつともでございまして、私たち賛成いたすのでございますが、ここにも書いてございます通りに、一年々々とこう期間を延長して行つておるということでは困るのでありまして、やはりこの基本をなしますところの新共済組合法の立法化というものが原則的にどうしても必要だと思うのであります。幸い厚生局長もお見えになつておりますから、この点に関しましてどういうお見込みでございまするか、至急この立法化をやられるおつもりであるかどうか、この点をお伺いいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/4
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005・吾孫子説明員
○吾孫子説明員 ただいまお尋ねのございました共済組合法案の改正案でございますが、この点につきましては国有鉄道を初め電電、専売等が公共企業体に切りかえられましたときからの懸案でございまして、目下鋭意いろいろ作業中であるわけでございますが、何分にも非常に歴史の古い組合でございますので、経過措置その他財源の問題等いろいろ関係する範囲も広いためにいまだ法案を確定するところにまで至つておりませんけれども、鋭意作業をいたしておりますので、今後できるだけ早い機会に御審議を願うように取運びたいと考えております。以上簡単でありますがお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/5
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006・猪俣浩三
○猪俣委員長 ほかにありませんか。三浦君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/6
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007・三浦一雄
○三浦(一)委員 大体の御趣旨はわかつております。三十一年の三月まで延ばすわけでございますが、予算関係については、三十年の予算はどうなりますか、その関係をひとつお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/7
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008・平井義一
○平井委員 予算はほとんどふやすというようなことがなくして行けると思うのは、御承知のごとく三十年度において退職をするとかあるいは死亡するとかいう人に限つて恩給が加算されて行くのでありまして、大体そういうことがほとんどないというように考えましたので、政府の予算としてはほとんど影響はないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/8
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009・三浦一雄
○三浦(一)委員 おそらくは、二十九年度はすでにもう実行中、三十年度の場合に特段の予算的措置をとらずとも従来の経過措置に即して運用し得る、こういうお見込みであるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/9
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010・平井義一
○平井委員 その通りです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/10
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011・猪俣浩三
○猪俣委員長 高瀬君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/11
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012・高瀬傳
○高瀬委員 ただいまの恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の問題につきましては、わが党は前からこの機関車の従事員あるいはその他特殊勤務に従事しておるところの公務員に対して特段の配慮をすべしという立場に立つておりますので、この点はもちろんわれわれは賛成するにやぶさかではありません。ただ先ほど江藤君の質問に関連いたしまして、一年一年と延ばして行つて、しかも公共企業体共済組合法というものを政府は一体いつ決定するつもりであるか、そういう問題についてやはり政府の所信をこの際伺つておきたいということが一つ。
それから先ほど来根本官房長官が食事に行つてどこへ行つたかわからぬ。そこでただいま井上副長官がお見えになつたようでありますが、政府においても今後そういう点について委員会を軽視せざるよう特に要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/12
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013・吾孫子説明員
○吾孫子説明員 先ほども申し上げましたように公共企業体の現在の共済組合というものは四十年に近い歴史を持つた組合でございますので、新しい制度に切りかえますためには、いろいろ経過措置について詳細な検討を加えませんとなかなか成案をまとめるわけには参りかねますので、現在の段階におきましては国鉄以外の他の公共企業体の関係者とも数回にわたつて今まで協議を進めておりまするし、現在までの経過の状態につきましては直接監督官庁でありますところの運輸省の当局にも連絡をいたしておるような次第でございますが、現在のところではまだ確定した案まで至つておりませんので、この点は一日も早く成案を得まするように今後も国鉄の当局としては努力を払つて行きたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/13
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014・猪俣浩三
○猪俣委員長 井上官房副長官が出席されておりますが、説明員として説明願つて御異議ございませんか。
〔「異議なし」「異議あり」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/14
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015・猪俣浩三
○猪俣委員長 平井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/15
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016・平井義一
○平井委員 これはもう、どうせ途中から来たのでありますから、これを採決したあとで、いかなる理由で官房長官はいなくなつたのか、あるいは副長官はどうして遅れたのか、それをお聞きしたい。その採決を先にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/16
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017・高瀬傳
○高瀬委員 ただいま私は政府の所信をただしてあるわけでありますから、内閣委員としての拙者の質問に対して政府の所信をまず答弁してもらいたい。それが順序であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/17
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018・猪俣浩三
○猪俣委員長 高瀬さんにお尋ねしますが、その政府の所信というのは本案に関しまする政府の所信ですか何ですか。もし本案に関係ない説明ならばあとに譲つていただきます。
ただいま提案の恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/18
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019・猪俣浩三
○猪俣委員長 御異議なければさよう決定いたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/19
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020・猪俣浩三
○猪俣委員長 ただいま井上内閣官房副長官が出ておられますが、釈明をしたい点があるそうでございますから井上さんの発言を許したいと存じます。井上内閣官房副長宮。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/20
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021・井上卓一
○井上説明員 皆様、はからずもこのたび内閣官房副長官を拝名いたしました。至つて法規典礼に通ぜず、かつ野人でありますが、万事につきましてどうかよろしくお願いいたします。
本日突然ある所用をもつて出ておつたところがこつちへ来いということでありましたが、何事も存じませんでいろいろお世話になりましてありがとうございました。よろしくお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/21
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022・猪俣浩三
○猪俣委員長 大久保君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/22
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023・大久保武雄
○大久保委員 ただいま恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議決いたしましたが、私たちはすでに一時から本委員会に集まつておりまして、しかもごらんの通り委員多数が出席いたしておりまして、政府委員を待つことすでに二時間に及んだのであります。しかるに政府委員は幾たびその出席を要求いたしましても遂に出席がなく、委員会はまことに不本意ながら政府委員欠席のまま審議を開始したような次第であります。しかも驚くべきことには、官房長官も官房副長官も一体その主管の議事が進行しておるのにどこにおられるのか、どこに行つたのかまつたく居所不明、行方不明である。この国家まことに危急存亡のときに、内閣の官房長官初め副長官全部行方不明の内閣というものが一体あるでありましようか。私はかつて政府委員を十年くらいやりましたけれども、政府委員なくして委員会が始められたという経験はかつてありません。まことに言語道断であります。私はかくのごとき政府のやり方は、口には国会を尊重すると言いながらその実行するところはまつたく委員会を無視し、国会を軽視するものであると断定しなければならぬと考えつおります。これは今日の政府のみずからとられました行動が最も雄弁に物語つておると思うのであります。議政の運営は口頭をもつて禅を説くことでなくして、その実行によつて善を行うことであります。私はこの点政府に対して猛省を促さんとするものであります。
よつてここに私は一つの決議をいたしたいということを議員諸公にお諮りをいたしたい、こう考えます。すなわち政府委員一名の出席もなく、本法律案を議決するに至りたるは政府の委員会無視、国会軽視はなはだしきものにて、ここに官房長官に対し糾弾の決議を行い、政府の反省を求むるものとす、以上であります。何とぞ御賛同あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/23
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024・猪俣浩三
○猪俣委員長 ただいまの大久保委員の御要望は委員長において善処いたしたいと存じますが、よろしゆうございますか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/24
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025・猪俣浩三
○猪俣委員長 では、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/25
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026・猪俣浩三
○猪俣委員長 次に自衛隊に関する調査を進めます。質疑の通告があります。これを許します。大久保武雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/26
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027・大久保武雄
○大久保委員 私はあまり大村長官に質問をいたさないつもりでありましたが、政府から次から次に所信の発表がありました。きのうも平井君の信念の御質問があつたようでありますが、政府が発表されますからやはり聞きたくなるわけであります。そこで私は二、三の点についてお尋ねを申し上げたいと考えております。政府におきましては共産圏と武装共存、こういう御発表を先般なさいました。共産圏と武装共存をする、これはいかなることでございますか。大村長官の御答弁を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/27
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028・大村清一
○大村国務大臣 ちよつと聞き取りにくかつたのでございますが、はなはだ失礼でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/28
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029・大久保武雄
○大久保委員 政府は先般新聞紙に新しい考え方としまして、共産圏と武装共存をする、武装をしてともに存する、こういう御発表がありました。これはあるいは正式の発表ではなかつたかもしれませんが、いずれの新聞もこれを鳩山内閣の考え方として取上げております。これは大村大臣は御存じでありまするかどうか、もし御存じであるならば、いかなることをお考えになつておるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/29
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030・大村清一
○大村国務大臣 ただいまお尋ねになりましたことは、私案は一切存じないのであります。新聞に出ておつたそうでありますが、私はどういうわけか見落しておりまして、もう少し詳しくお尋ねいただかないと、どういう趣旨であつたか答弁ができないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/30
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031・大久保武雄
○大久保委員 それならばお尋ねいたしますが、昨日の委員会におきまして、憲法を改正しないで軍備を持てる、こういう御答弁でありました。軍備を持てるということは現在の自衛隊を自衛軍にすることだ。しからば自衛軍にするということは自衛隊を強化することである、こういうふうに考えてよろしゆうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/31
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032・大村清一
○大村国務大臣 現行憲法のもとでいかなる軍備も持てるかということにつきましては、私疑問があると思います。但し現在私が所管いたしております自衛隊は憲法に抵触するものではない、このように信じておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/32
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033・大久保武雄
○大久保委員 現在の憲法のもとにおいていかなる軍備も持てるかというとそれは怪しい。しかし現在の自衛隊は憲法のもとにおいても軍である、こういうことでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/33
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034・大村清一
○大村国務大臣 現在の自衛隊は現行憲法下においてもさしつかえのないものだという趣旨であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/34
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035・大久保武雄
○大久保委員 しからばきのう御答弁になりました現在の憲法下におきましても軍備を持てるというのは、自衛隊を軍にするということじやないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/35
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036・大村清一
○大村国務大臣 昨日どのようにお答えいたしましたか正確に記憶はいたしておりませんが、ちよつと速記録を調べたところによりますと、現在の自衛隊は憲法違反ではない、このような趣旨に申し上げたつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/36
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037・大久保武雄
○大久保委員 それでは答弁が今までとちつともかわりはないのであつて、新しい考え方でも何でもない。憲法のもとにおいて自衛隊は軍としてこれを編成できる、そういうようなことを政府は新しい考え方として打出された、私はかように了承いたしますがそうではないのでありますか。現在の自衛隊を憲法のもとにおいて置いておける、こういうことでございますか。それならばちつとも従来と違いはないと存じますが、その点をはつきり御答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/37
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038・大村清一
○大村国務大臣 鳩山総理が答弁になりましたことは詳細聞いておりませんので、私その問題について深く立ち入つて御答弁を申し上げるわけに行きかねるのでございますが、私防衛庁長官といたしまして、現在の自衛隊は自由党内閣時代にできました自衛隊と同様に考えて、現職についておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/38
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039・大久保武雄
○大久保委員 はなはだ御答弁があいまいですが、大体了承するところは、五十歩百歩じやなく、もう全然同じであつて、ちつともかわりはない。それならばあまり違うようなことは言われぬ方がよくはないかと思うのでありますが、今までの御答弁でこれはほとんど違いないということがはつきりして参つたわけであります。
それから自主軍備をする。きのうも同僚、与党の辻委員がアメリカの傭兵的な軍備はやめろとしきりに強調されておりましたが、いかなる自立軍備をおつくりになりますか。従来とかわつて自立軍備をするという点はどういう点でありますか。アメリカから武器の援助は受けられないのでありますか。その点は武装中立をなさるのでありますか。いわゆる傭兵的じやないというのは、辻君の個人的意見であるのか。あるいは自主的軍備ということを政府もよく言われますが、自主的防衛の自主とはいかなることを言うのか。この点をひとつはつきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/39
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040・大村清一
○大村国務大臣 私どもも自衛力を充実整備するにつきましては、自主的な境地まで発展をすることを望むものでありますが、遺憾ながら自衛力を充実する上におきましては、一面において国力、国の経済力ということとマツチしたものでなければならぬ。敗戦後わが国の経済力は民生安定の上にはなはだ心もとないような現状でございますので、自衛力の充実という上におきましても、なかなか理想通りに行かないのが現実であります。私は自衛力の自主性というものを将来ぜひ確立したいと考えますが、現実はその程度にまだ至つておりません。逐次その理想に向つて邁進するよりほかはないものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/40
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041・大久保武雄
○大久保委員 将来自主的軍備をするということはあたりまえのことであつて、自分の軍備が自主的軍備でないということはあり得ない。自主なき防衛というものはあり得ないと思う。ただ非常に事新しくすぐにでもアメリカと手を切つて、援助を打切つて自立されるのなら、かように考えたわけであります。
次に日本の防衛の主力をどこに置かれるか。陸海空とありますが、陸上防衛をあまり偏重することは、辻君のいわゆる対米に片寄るんじやないかと思います。むしろ日本の防衛の主眼は海と空に力点を置くべきじやないか、私はかように考えますが、新長官の御見解を承つておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/41
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042・大村清一
○大村国務大臣 日本が独立を回復いたしましても、自衛力の点においてははなはだ遺憾なものがございますので、私から申し上げるまでもなく、その欠陥を補うためには、日米安全保障条約の力によつてわずかに安全を維持しておる現状であります。そこでこの現実におきましては、理想の境地は遠き将来にあるのでありまして、今ただちに海空を主にして陸を従にするというようなところまでは行つていないと思うのであります。将来の理想といたしましては、お述べのごとく今日のような世界の軍備の状態からいたしますと、海空、ことに空軍のごときは最も重視しなければならぬものであろうと思います。しかし現状におきましては国防上はなはだ不十分な段階にあるのでありまして、国力の充実とまちまして、お述べのごとき理想の境地に逐次進んで行くよりほかはないと考えるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/42
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043・大久保武雄
○大久保委員 これはあとで外務大臣が取消されましたが、総理は中国には二つの独立国がある、また外務大臣も中ソと国交を回復したい、こういう御発言があつて、大体中ソと仲よくして行こうという方向にある。ところが一方中ソは、共産圏として日本に対する間接侵略のほこ先は納めていない。依然として武力革命の機縁というものをねらつておるし、また不可侵相互防衛条約によつて日本を仮想敵国にしておる。そこで大村長官の日本防衛の方針というものは、やはり日本を仮想敵国にしておる諸国に対してどう処置するか、こういう点にウエートがかかつて来るのであろうと思う。中ソからの侵略を防止しなければならぬ、こういう考え方と、総理大臣や外務大臣が言つておる中ソと仲よくしようという点とが、私は若干思想の食い違いがあると思いますが、この点に関しまして大村長官はいかに御処理なさいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/43
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044・大村清一
○大村国務大臣 外交方針につきましては私からお答えをいたしますよりも、外務大臣よりお聞取りを願いたいと思います。ただ私一閣僚といたしまして外交政策につきましても責任がないわけではございません。これはたびたび外務大臣が説明をいたし、また意見も述べておりますように、わが国の外交は自由諸国、ことに米国を中心とした線を堅持して進むことが必要であると述べられております点は、私もまつたく同感であるのであります。ことに日米安全保障条約が厳然と存在しております以上、私の所管しております自衛隊につきましても、ただいま申しましたところの大きな線に沿うて進んで行くことが、はなはだ必要であるというように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/44
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045・大久保武雄
○大久保委員 次に私は文民優位の点についてお尋ねしたいと思つております。最近防衛庁内部におきましても若干制服と文官との間に軋轢があり、また旧軍人指揮官と文官から入つた部隊指揮官との間に軋轢があることを承知いたしております。そこで大臣は文民優位についていかにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/45
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046・大村清一
○大村国務大臣 ただいま御指摘になりましたことは、あるいは一部においてそういうような事実があるのかも存じませんが、この点について、就任以来私も特に留点して参つておるのでありますが、元軍人の諸君とまたシヴイリアンの間にそのような対立抗争の目立つたものは全然ございません。われわれは両者が協力して、自衛隊の創設に熱心に協力しておられるところに対して多大の敬意を払つておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/46
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047・大久保武雄
○大久保委員 最後に一点お尋ねいたします。私はさようなことはわが尊敬する大村大臣はなさらぬと思いますが、防衛庁といいますか、防衛隊、自衛隊は政党というものとは独立して運営さるべきである、そこでもちろん政党関係ではありますけれども、その政党というものから自衛隊なり防衛庁をある程度超然として運営して行く、そういうお考えをお持ちでありますかどうか、この点の御信念を伺つておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/47
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048・大村清一
○大村国務大臣 ただいまお述べになりましたことは私全然同感でありまして、たとい私が政党出身の長官でございましても、防衛庁及び自衛隊におきましては政党から自立性を確保いたしまして、おのおのその使命に向つてまつしぐらに進んで行つてもらうということを目途といたしまして、今後も全力を傾注するということをここにはつきり申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/48
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049・大久保武雄
○大久保委員 大村大臣のたいへん明快なる御答弁がございまして、まことに意を強うする次第でございますが、しかしながら私が承知するところによりますと、ここに官房副長官も御列席でありますが、最近政府の発令される人事等には、かなり党色が明確であつて、あるいは防衛庁とか、あるいは警察とか、そういう方面にかなり——大臣は政党大臣であるけれどもそのほかの面においてかなり政党色を濃厚に入れておるのではないかというような人事の発令を見るのであります。これは大村大臣がよく御存じでありまするが、大村大臣のお使いになる秘書官も、今度は民間人をお入れになつたと聞いております。また警察担当の面におきましても相当な民間人が入つておる。これらの私の知つておる若干の例をとりましても、これらの人々は相当名の通つた、地方における政治ボスでである。そこで私は、大臣はりつぱなお方であつて、私も大村先生は、大臣ではない、先生と思うくらいりつぱなお方であると尊敬おくあたわざるものでありますけれども、その本人はいいけれども、それについておるひもつきが庁内をひつかきまわして、いわばその看板をよくしておいて、その陰にまわつて警察を動かそう、あるいは防衛隊を動かそうとか、そういうことがありましたならばこれはたいへんなことである。一応看板をりつぱにしておつて、その陰に政争が持ち込まれましては、まことに大事な日本の将来の土台が腐つて行きますから、どうか大村大臣におかれましては、この点を先ほどの御信念通り完全に運営され、また官房副長官も出ておられますが、内閣の運営においてもさような点を厳正にお取扱いになるように私はここに希望を申し上げておく次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/49
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050・大村清一
○大村国務大臣 御忠言つつしんで傾聴いたしました。ただ一言申し上げておきますが、私防衛長官に就任いたしまして、もとより政務次官、秘書官はすでに新任されたのであります。これは私から御説明を申し上げるまでもなく特別職でありまして、この点につきましてはその点を御考慮願いたいと思います。一般職の者につきましては厳正公平に、党を離れて、何人も承服するような人事によつて自衛隊並びに防衛庁の真価を十分発揮することに努力する覚悟であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/50
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051・平井義一
○平井委員 今の大久保委員の発言の中で不穏当な言があるやに私は考えますが、そういう点はひとつ取消しを願いたいと思いますが、どうですか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/51
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052・三浦一雄
○三浦(一)委員 ただいま大久保委員からの御質疑中に、大村大臣の任命された秘書官等に、あたかも町の政治ボスのごとき者がおるかの印象を受けるお言葉があつたと思うのであります。それに対しただいま大村大臣から御心境が吐露されたのでありますが、さような印象を受けることは私は非常に不愉快であります。先ほど大村大臣から秘書官等のことについても非常に含蓄のある御説明がございましたが、いやしくも町の政治ボスなるものをとつておるかのごとき御発言でありましたから、この点あらためて釈明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/52
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053・大村清一
○大村国務大臣 言葉が足らなかつたのですが、私、防衛庁長官に就任いたしまして、まだ一般職の人はほとんどたれも人事をやつておりません。先に申しましたように政務次官と秘書官が就任しただけであります。しかし私の見るところではこの人事はただいまお話になるようなことは全然ないとここではつきり申し上げます。また今後政務次官及び秘書官の行動につきましては、私も十分に注意いたしまして御心配のようなことは全然起させないつもりであります。蛇足ながらこの点も申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/53
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054・猪俣浩三
○猪俣委員長 今取消し云々を言つておられる方があるけれども、議員の発言をすぐ取消すということは権威にかかわります。発言なさる以上は、もちろん信念を持つてなさつておられると思う。それに対しまして多少不愉快なる人たちがあつたといたしましても、ただちに取消す取消すということはぼくはあまり感心しません。しかし委員会の品位を害するような言動があるかないかは、これまた十二分に委員長として関心を持つ次第でありますから、速記録を調査の上善処したいと思いますから、その程度で今日は納めていただきたいと思います。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/54
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055・猪俣浩三
○猪俣委員長 次に行政機構に関する調査に移ります。本日は調達庁関係の問題について調査いたします。質疑の通告があります。それを許します。下川委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/55
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056・下川儀太郎
○下川委員 ただいま委員長からお話がありました調達庁の行政整理に関する問題であります。この問題につきまして、この陳情書を見て参りますると、かつて一万一千五百六十七名、この人数が、現実的には三千七百四十八名になつております。しかるに最近その業務の縮小によつて約三百三十二名が減員されるということが明確になつております。現在調達庁の所管が防衛庁に移つたということを聞いております。あるいは近く移るということを聞いております。従いましてこの三百三十二名の労働者諸君を一体どのように処理されるのか。そのままにたなざらしされるのか。あるいは失業群の中にほうり出されるのか。あるいはまた防衛庁がこれを受取り、何とか善処するというようなことを言つておるように聞いておりますが、それをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/56
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057・大村清一
○大村国務大臣 ただいまの御質問のうちで、調達庁を現在は労働大臣が管理するということになつております。本日の一部の新聞に、これを大村国務大臣の所管に所管がえをするということが報道されておりますが、この問題につきましてはまだそのような所管がえのあつた事実はないのであります。このことをはつきり申し上げておきます。
なおついでに、労働者のお尋ねでありますが、調達庁の一般職員につきましては、これがだんだん縮小されるたびごとに防衛庁の方に転職させるに適する人は努めてその方途を講じておるということを、あわせて御答弁申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/57
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058・下川儀太郎
○下川委員 その件について調達庁の長官の方から説明を願たいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/58
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059・山内隆一
○山内説明員 ただいま大村大臣のお答えした以外のことで、私の方の整理計画について少し申し上げたいと思います。来年度の定員としまして、三百三十二名切り落されることはすでに先般の通常国会の末期において決定せられておりますので、私ども事務当局としては、その数がどこまでも落される以上は、何とか真の出血を最小限にとどめる、理想から申すならば一人も失業者を出さないくらいに整理をやつて行きたい、かような考えのもとに、いかにしたらばこの三百三十二名の減を最も円滑に犠牲を少く整理することができるかということをいち早く研究しました結果、少しでも早く計画を立てて手をつけることの方がいいのではないか。それは一つには就職運動という言葉はどうかと思いますが、就職のためにいろいろ努力する機会をなるべく長く与えるということ。いま一つは、大勢の人に絶えず整理の不安動揺を与えてそれがひいては事務の能率に影響するということは、これまた国家のためにまことに相済まない、かように考えまして、早く方針をきめたわけであります。そこで三百三十二名の定員減ではありますけれども、できるだけ欠員を充当して真の整理者をなるべく少くしたいという考え方から、今は大体三百三十二名のうち二百五十ないし二百八十を整理の計画といたしたわけであります。そういたしまして、その整理の方法としましては、なるべく希望退職を根幹といたしまして進めたいと思つておりますが、しかし調達庁の過去長い間の整理のやり方からいいまして、今日非常に能率の悪い、きわめて成績のよくないという人もないではありませんので、そういう方面についてはできるだけ早く予告をいたしまして、極力就職の機会を得させるように、また役所としてもできるだけ就職のあつせんをするようにというわけで、早く計画を立ててその準備に入つたわけであります。もちろん三十年度に入つてから実際の整理をすればいいわけでありますが、今申しましたような理由から、早く計画を立ててそうしできるだけ就職運動の長くできるように、しかもまた大勢の人に整理問題がひつからまつている限り、かりに一割整理するとしましても、全員が不安動揺にかられて仕事の成績に影響するということは、過去の何回かの整理の場合の経験から明らかになつておりますので、できるだけそういうことのないようにということが今の計画の根本の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/59
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060・下川儀太郎
○下川委員 もちろん業務の縮小によつて人員が一応減少するということはわかるのですが、問題はその処理でございます。御承知の通り、東京都だけでも約三十万の失業者があるという現在、全国的には相当数の失業者があると思います。そういうふうに就職を求める、あるいはまたほうり出すということが一体可能かどうかということになつて来る。三百三十二名の中において二百五十五名ですか、これが整理の対象になつておる。これは就職されるとかあるいは転職するとか、そういう人たはそのパーセントから見るとわずかです。そうすると相当数の人間がやはり失業の中にはうり込まれる。これはやはり非常に問題になつて来ると私は思います。もしこれが就職ができなかつたらどうするのか。あるいは防衛庁にしろ大蔵省にしろ、各省にこれが一応引取られるということがあればよいけれども、なかつたならば一体どうするか、そのままほうり出されるのか、これでは政治にならないと私は思います。大村防衛庁長官もおられますが、鳩山内閣はいわゆる完全雇用ということをスローガンに掲げられておる。その鳩山内閣のスローガンの中に、完全雇用ということで失業者をなくするというなかなか善良なるスローガンを掲げておる。これは大衆にアピールするかもしれない。しかし現実的には、すでに調達庁の首切り問題がわれわれの面前に出て来ておる。それに対して三百三十二名の中でわずかに七、八十名しか就職ができない現実です。そうなつて来ると打出したスローガンとまつたく逆の立場がわれわれの眼前に出て来ておるが、これを一体どうするのか。だから私はきのうあなたに言つたのです。場当り的の単に選挙かせぎのようなそういうスローガンはやめてほしい。もつとこうした現実問題をつかまえて、これをどういうふうに処理するかということが鳩山内閣の問題であります。その現実の問題を解決せずして、いわゆる完全雇用というようなスローガンを打出すということは、もつてのほかだと思います。これが防衛庁の所管になるということがいろいろいわれておるが、もしこれが防衛庁に移管された場合には、結局大村防衛庁長官の責任になつて来る。二十一日あたりの閣議で決定するということも聞いておるのですが、そうなるともう数日の後にはあなたの所管になる。あなたの所管になると、結局そういう完全雇用を打出した鳩山内閣の同じ大臣の仲間であるあなたが同じ立場のそのスローガンの解決をしなければならない。この現実の問題を防衛庁でどのくらい解決するか知りませんけれども、しかしこれに対する確約を与えなくては大きな声で完全雇用なんということは言えないと思います。その点ひとつ長官のはつきりした御回答をお願いしたいと思います。完全雇用ということに対する確約をお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/60
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061・大村清一
○大村国務大臣 さきにもお答え申し上げましたように、調達庁が私の所管の方に振りかえられるという事実はないのでありますから、将来のことにつきましては、もしそうなつたらどうするかということに対しましては、はなはだ失礼でありますが今お答え申し上げる筋ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/61
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062・下川儀太郎
○下川委員 防衛庁長官の方に所管が移らなくとも、あなたは鳩山内閣の閣僚なんでありますから、閣僚の一員として同じスローガンを背負つて閣内におるのですから、それに対する見解を表明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/62
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063・大村清一
○大村国務大臣 あれは、完全雇用を新内閣は目途として今後の経済、労働政策を推進するという発表であると思います。今日のように相当多数の失業者があるときにおきまして、あの完全雇用を口に唱えてただちにこれが実行できるわけのものではないと信ずるのであります。ただ新内閣が完全雇用を目途として今後の諸政策を推進するというその心根に対しましては大いに共鳴を願いまして、また御協力もいただきたいと思うのであります。今日のごとき失業者の多いときにおきまして失業者をほつておくということとは、結果におきましては非常な相違が起るのでありまして、われわれは完全雇用を目途として今後の諸政策を推進し、国民の御期待にこたえたい、この信念を持つて邁進をする覚悟でおる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/63
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064・下川儀太郎
○下川委員 完全雇用はそれは目途かもしれない。ところが現実の問題は、完全雇用でなくして雇われておる職員を首切るという形になるのだから、おのずから性質が違つて来る。つまりいわゆる現実の失業者を救済する、現実のいわゆる失業大群をどのような政治的な手を打つてこれを完全雇用に持つて行くかという誠意はわかる。ところが現実に政府に使われておる多くの労働者諸君を首切るという立場は、これは逆な立場になつて来る。だから首切らない立場において政治的にこれを解決するということは完全雇用の一歩手前の問題だと私は思う。だから首切らないためには——従来長年にわたつて調達庁の一切の苦しい仕事をやつて来た、それを仕事がなくなつたから今度は整理によつで首切るというのじやあまりにも政治じやない。その人間をどう動かしてどの方へ持つて行つて、どのようにこれに生活を与えるかというところに私は政治があると思う。だから完全雇用一歩手前の首切らないという前提のもとに政治が行われなければ、完全雇用なんて何でもない、そんなおこがましい話はないと思う。だから完全雇用の前に首切らないという前提がとられなければならぬ。首切らなければならぬという労務者があつたとしても、それにどのように生活を与え、仕事を与えるというその道を裏づけなければ、私はそういうことはでき得ないと思う。その点をひとつ両方の方にお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/64
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065・山内隆一
○山内説明員 今のお尋ねのうち、私からお答えすることを適当とするようなことについてお答え申し上げます。先ほど二百五十ないし二百八十と申し上げましたが、実は各調達事務所というのが割合に辺鄙な所にありますので、そういうところ定員もおのずから若干減るわけであります。ところがその人々の配置転換が、たとえばそれぞれの所属の局なり、あるいは所属外の局にでも移るとか、あるいは本庁にでも移ることができるとかいうような、いわゆる配置転換を可能とするような状態であつて、それが理想的に行くならば二百五十がさらに多少下まわるかと思つております。できるだけ配置転換が理想的にできるならば、そういうわけで二百五十を若干下まわると思つておりまして、なるべく下まわるように努力したいと思いますが、過去の経験から、また現在の経済状態から、配置転換ということがずつと以前に比べまして非常に困難でありまして、配置転換でその身分を保てる場合でも、ぼくはそんな遠方にまで行つて自分の今の私生活を全部かえるというようなことはとてもできない、それならばやめさせてもらいますというような場合が往々にしてありますので、それらも多少編み込んでおります。それがもし理想的に行くならばさらに若干下まわる、こういうことが申し上げられると思います。
それからいかにして就職あつせんをするかということは、先ほどはただ機会を長く与えるということだけを申し上げましたが、さらに機会を長く与えるということは、本人だけにまかすという意味ではなしに、役所が盲めつぽうにどこにどうあつせんしたらいいかわからないような状態になつていることでは、いたずらに努力が多くて効が少いので、まず本人に思う存分に活躍させて、そしてあるねらいを定めたならば、それに対して役所として非常な力を入れて最後の仕上げをするというようなことにすれば、そこに幾分か効果が上るのではないか、かように思つていることと、それから希望退職の中には、もちろん希望はするけれども就職はできるだけあつせんしてもらいたいという人もありますし、自分で何かやれるという、ある程度自信といいますか、そういう相当な力を持つておる人もおるわけだし、また中にはもう特別就職せぬで何とか自分でやつて行くという者もおるだろうと思われます。そういう者をかれこれ差引きますとどれくらいの数になりますか、とにかくいずれにしても相当の数は就職あつせんをしなければなりませんが、過去においては主として官庁方面を就職先としてねらつて努力して大体目的を達したのでありますが、それは以前は減るところもありましてもまた増員するところもありますので、そういうところに主として力を集中したわけであります。たとえば建設省とか防衛庁のごときは、過去において大量の整理の場合の大多数を採用していただいておるというのが実情であります。そのほかの役所におきましても全部照会をしまして、多少でも増員になるとか欠員があつて調達庁の整理の人からとつてもいいというところには極力採用をお願いしたようなわけで、過去何回かにわたる大量の整理について、寡聞でありまして私ども就職ができぬために生活に困つているという話はまだ聞かないのであります。とにかく過去においてはまずまず何とか整理される者のご満足の行くような程度で済んだのじやないかと考えております。今年の整理はかなり苦しんだのですが、まずこれも大体完了いたしました。しかし来年度の三百三十二名のうち何人になるかわかりませんが、これをほんとうに就職あつせんすることは容易でないということは考えております。でありますからこそ早くから計画を立てて長い期間にわたつてあつせんをしたい。しかも法律の今の建前では、臨時待命という制度は今年一箇年になつておりまして、整理は三箇年計画でありますが、臨時待命は今年一箇年しか入つていない。そこであの国会で六月末に通つた翌日から私は行政管理庁に向つて、調達庁の方は来年度もどうしても臨時待命制度をつくつてもらわなければ困るということを持ち出しまして、ようやく昨今正式に向うから、行政管理庁としてはそういうような法律改正をする、だから調達庁としては臨時待命制度がしかれるものという前提にやつてよろしい、また大蔵省に対してもそういうような予算の要求をしてよろしいということで、その前提のもとに、まだ国会にも提案になりませんし通過にもなりませんときに申し上げるのはどうかと思いますけれども、私どもの努力しておることの一端を御理解願うために申し上げるわけであります。ですから来年の四月以降まだ若干の予算もおそらくもらえると思います。その先に臨時待命ということになりますと、相当長い間あつせんの余裕があるわけでありまして、その間に各官庁の新年度予算の増員もわかるかもしれない。そういう場合には、極力他の官庁にもお願いしてできるだけ就職あつせんをして、失業に苦しむようなことのないように努力をいたしたいと今から調達庁の幹部はみな一致協力して努力しておるような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/65
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066・下川儀太郎
○下川委員 努力はわかるのでありますが、やはりあなた方の処理でき得なかつた失業者が相当数生れるのではないかと私は思う。それは過去の実績を聞いてみるとそう困つておらないということも言つておりますが、これは表面だけの事象をとらえて言つているのだと思う。根本的には実にひどい人もあるらしい。ですからやはりこういう点はもう一歩掘り下げて、自分たちが労務者をここから離れさしてしまう、そうすると社会面にそれがどういう形になつて現われて来るか、そこの解決を私はちつとも考えておらないと思う。だからかつて自分が首を切つた者の生活水準あるいは生活状態というものは非常に弱つている。その弱い者の持つ大きな姿というものを把握しておらないと私は思うのです。もちろん、各省に頼むとか、あるいは各会社に頼むとか、あらゆる手段を講ずるかもしれない。しかし、幸いに転職のできた人はいいが、残された人間を一体どのように処理するのか、これをほうりつぱなしにしておくのか、この問題は私は重要な問題だと思う。その問題がやはり政治的な解決だと思う。これは単に調達庁だけの問題として考えるのは無理かもしれません。ですから、待命の問題、あるいはまた各省にまたがつて協力した態勢をとる。あるいはまた、各政党間においても、そういう現実的な首切りにどのように対処し、どのように裏づけるかという大きな政治的な配慮まで持つて来なければならぬと私は思う。ですから、鳩山内閣があの完全雇用という大きな呼び声ででき上つて、まあ管理内閣ではございますけれども、しかしやがてまた鳩山内閣ができるのか、あるいは緒方内閣ができるのか——社会党の内閣ができればこれは片づけてしまいますけれども、いわゆる実際の問題として、もう少しやはり真剣な態度がほしいと思うのです。これはたまたまわれわれのところへこういうものを持つて来られたのでこれが論議の中心になつたけれども、なぜもつと早く政治的な配慮をやらなかつたか、なぜ各党に呼びかけてこの問題の解決に尽力しなかつたか、私はこう思う。その点をひとつ十分私は考えてほしいと思う。なお、この処理の問題、いわゆる失業者の対策の問題は、これは延々として続くかもしれない。だから、単に調達庁だけで問題を解決せずに、政治的にもつと盛り上げて解決する、その方に私は持つて行かなければならぬと思う。幸いにも大村防衛庁長官は、いわゆる完全雇用内閣の閣員であるから、こういう点を十分配慮して、もし完全雇用の前に首切りをやるというような姿が現われて来たら、われわれは、徹頭徹尾こういうごまかしの政党はだめだということを国民大衆に訴える。だから、きようのこういうわれわれの意見もよく聞いていただいて、われわれは十分あなた方の方にも交渉を持ち、あるいはまた今後の状態についても努力いたしますけれども、もう一歩ひとつ過去における失業者の生活実態を調査して、自分たちのかつての部下でもあり、あるいは働いてくれた人の姿を把握した上に立つて、再びそういう轍を踏まないようなそういう強力な形の上においてこれらの処理を行つていただきたいと思う。まあ鳩山内閣の完全雇用に期待は持ちませんけれども、しかしラツパを吹いただけで、あとは知らぬというような考え方では私は困るので、その点は十分ひとつ警告をし、あるいは今後のお願いをしておく次第でございます。なおいろいろと意見もございますけれども、本日はこの程度にしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/66
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067・平井義一
○平井委員 調達庁の行政整理問題に関しましては、張る十九国会におきまして、各省全般的に政府が行政整理を断行したわけでありますが、多分調達庁は三年間に七百幾らと記憶いたしておるのであります。その当時、大村大臣は内閣委員の一人でわれわれと行動をともにしたのであります。そこで、調達庁といえば、特別の任務というので、また特別に仕事が減ればよけい減らせるというような特殊な業務であると思うのであります。そこで、来年三百三十二人、それに対して欠員などを合せれば二百五十人から整理をする。そこで私が防衛庁長官にお願いするのは、できるだけひとつ防衛庁に引取つて、なるだけ出血を軽くしてやつていただきたい。これは実は陳情であります。それと同時に、調達庁の次長に対しましては、この二百五十の人間をどういうふうに整理をして行くか。これは各省きまつておりますから、いまさらやらぬというわけには行きますまい。これは私は当時与党でありましたから身にしみて覚えるわけであります。そこで、年をとつた人間からやめてもらうのか、あるいは年をとつても、これは実は有能な人もおります。そこがわれわれが停年制というものをしかないゆえんでありますから、年をとつたからあれはやめさせようというようなことではいけません。また、役所でありますから、あと半年か一年すれば恩給のつく人もありましよう。そういう人を目の前にして、恩給がつくのでしんぼうしたいというものを、お前もうやめてくれというのも残酷な話であると思います。それかといつて、また、いい人間を整理するというお考えもございますまい。だれが見てもこの人間なら少し能率が上らな過ぎるという者からやると思いますが、大体役所の考え方は、年寄りから先に片づけるというような整理の仕方をして行きますが、年寄りだからといつて行政整理の対象になさらぬように願いたい。年をとれば、失業すればなお困ります。そうして、なるたけ公平な整理の仕方と、先ほどお願いしましたように、大村防衛庁長官の方にこの所管が移つたならば、大村先生も内閣委員の一人であつたという因縁において、でき得る限り、一人でも多く調達庁の役人を引取つてやるという親心を示していただくように特にお願いをし、次長には、これは政府の方針でありますから減らして行くでありましようが、どういう方法で減らして行くか、どういう方法で出血を軽くし、どういう方法でどういう人に先にやめてもらうかということをちよつとお尋ねいたします。大村大臣は答弁はいりません。要望でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/67
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068・山内隆一
○山内説明員 整理の仕方のお尋ねでございますが、大体において、能率主義で、能率の比較的悪い方面に整理の力を注ぎたい。と申しまするのは、だんだんと数学的に仕事の分量が減れば整理をしなければならぬことは当然のことでありますが、しかし、あとへ残る仕事というものはなかなかむずかしい仕事ばかり残つて、いよいよ調達庁の仕事というものは一件の処理が困難であります。従つて、同じ定数でありましても事実は相当むずかしくなつて来る。そんな関係から、今までの整理の仕方は、どんな人であつても、先方でとつてくださるものはいかに優秀な人でも差上げますという形で、採用してもらうことによつて整理をいたしたために、比較的成績の悪い人がたくさん残つておる。優秀な人もたくさんおりますけれども、成績の比較的悪いような人が他に比べて比較的多いのじやないかという気がしております。そんな関係から、整理の方針は、あとに残つた調達庁の機構、各人の力、それが十分発揮できて、与えられた仕事が完全によく行くようにしたい、大体こういう考え方でやつております。しかし、そういう方針をきめて行かなければ計画も立ちませんからきめておりますけれども、現実の問題になりますれば、地方の実情なら、あるいは、きわどいところの個人々々の問題なんかにつきましては、十分そこに弾力性を持たせて円滑に行くようにいたしたいと思つております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/68
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069・平井義一
○平井委員 大体整理の方針はわかりましたが、これは、実は、昨年定員法をきめるときにおきまして、各省定員を減らしたわけであります。そのときに、次長でありましたか、調達庁の責任者が見えて、大体これで納得したのであります。納得が行かなければあのときにもう少し言うてくれれば、われわれも調達庁には特別な考慮を払いたかつたのでありますが、まあその程度ならば仕事にはさしつかえあるまいということで、最後までがんばつたのは農林省と郵政省であつたのであります。そういうことで、あなたの方といたしましては、大体これを減らしても業務にはさしつかえないと思われるでありましようが、先ほど下川君からお話のあつたように、調達庁の仕事というものはなかなか特殊な仕事であり、また、われわれは今やめれば非常に困るというのが大体この陳情の趣旨であります。しからば、調達庁のこの職員組合の委員長その他をあなた方が納得させて、こういう方法を講じて行くぞという、円満なる団体交渉をして円満に進んで行くということは、これは鳩山内閣の主義主張であろうと考えております。そこで、鳩山内閣の味方をするわけではありませんけれども、人類愛の上に立つて、ひとつ何とか、みんなあなたの子供ばかりでありますから、子供を一人でも出血をさせぬようにして行くというふうな方針で臨んでいただき、特にお願いするのは組合とあなたの方とが円満に話合つて解決をさせられるよう私から特にお願いを申し上げまして、私の質問を打切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/69
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070・猪俣浩三
○猪俣委員長 委員長からちよつと大臣の御方針を承りたいのですが、けさの新聞で調達庁が防衛庁の管轄になつたというのを見まして、これは非常に自然の姿であると思つたのでありますが、駐留軍が減れば調達庁の仕事は減る。片方また防衛庁の方はそれだけふえておるわけですから、そこで防衛庁の管轄にしておいて、調達庁のこの減少人員を防衛庁において何とか吸収していただくということが最も自然であり、筋道が通る、こう考えておつたのでありますが、今長官の御説明を聞きますと、きまつておらぬのだという話でありますが、これは閣議でどうしても長官から主張していただいて、調達庁の管轄を防衛庁でおとりいただくこと、これは平井君も言われたのですが、そうして調達庁と防衛庁においてよく計画的に御協議くださいまして、さつきから何べんも出ておりまするいわゆる失業者をつくらぬような方法を御考慮願いたい。これは調達庁という特別の性格を持つ官庁でありますがゆえに、そうして将来必ず自然消滅する運命を持つておる官庁でありますがゆえに、これに対しまして、普通一般と違いまして、政府は計画的にこの調達庁の人員に対してどう処理するかを立てなければならぬ義務があると考えるのであります。そこで長官は閣議におかれて、この調達庁の事務を防衛庁の管轄下に移すように御主張いただけるであろうかどうか。もしそうなりました場合におきましては、調達庁の人たちとよく相談の上、調達庁の自然に整理せられる人たちを何とかして処理していただける親心がおありでありましようか、この点につきまして長官の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/70
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071・大村清一
○大村国務大臣 調達庁を大村国務大臣の所管に移すという問題は、さきにも申し上げましたように、まだ新聞に出ておるだけできまつていない事柄であります。少しりくつがましくなりますが、委員長のお尋ねの中には、調達庁を防衛庁の所管にするということでありますが、これは防衛庁法を改正しなければできないことでありまして、ただ調達庁の管理大臣を大村にするという問題だけなのであります。そこでこれはどういうようにきまりますか、後日の問題でございますが、それがかりに私の所管になるといたしましても、ならぬといたしましても、委員長のお述べになりました御趣旨のごとく、従来もできるだけ防衛庁職員の中に、退職して行く方を採用し行くことには努めておるのであります。どのような所管にきまりましても、この方針は堅持して進むべきものである。こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/71
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072・猪俣浩三
○猪俣委員長 ほかに御質問はありまんか。——質問がなければ、本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102104889X00219541217/72
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