1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年一月二十二日(土曜日)
午後三時二十三分開議
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○議事日程 第四号
昭和三十年一月二十二日
午後三時開議
第一 国務大臣の演説に関する件
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001・河井彌八
○議長(河井彌八君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
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002・河井彌八
○議長(河井彌八君) これより本日の会議を開きます。
日程第一、国務大臣の演説に関する件。鳩山内閣総理大臣、重光外務大臣、一萬田大蔵大臣から発言を求められております。これより順次発言を許します。鳩山内閣総理大臣。
〔国務大臣鳩山一郎君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/2
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003・鳩山一郎
○国務大臣(鳩山一郎君) さきに私は、本国会の指名によりまして内閣総理大臣の重責につき、ここに政府の所信を申し述べる機会を得ましたことは、私のまことに光栄とするところでございます。
明朗な政治を実現して、民主主義の徹底をはかり、国民大衆の声をよく国政の上に反映することの必要なことは、まさに時代の強い要請であると信じます。過ぐる第十九回国会以来の国会の実情及び吉田内閣退陣から現内閣の成立に至る政治情勢から見まして、国民の意思がまさしく国会の勢力分野に反映されておらないことは明白であります。よつて、政府はこの見地に立つて民主主義のルールを尊重いたしまして信を国民に問うべく、近く衆議院を解散いたしまして公明な選挙を行い、もつて国民の神聖な審判を仰ぎたい考えであります。かくして公明な選挙によつて国民の信任を確保して、難局の打開に邁進いたしたい所存であります。
今日わが国の最大の課題は、速かにわが国の自主独立を完成し、独立国家の国民としての自覚を高め、わが国の自立再建を達成するにあると信じます。
このため政府は、まず外交においては、世界平和の確保と各国との共存共栄を目標とし、広く国民の理解と支持とによる積極的な自主平和外交を展開しようとするものであります。このため、アメリカその他自由諸国との緊密な提携協力の基本方針を堅持いたしまして、国際緊張の緩和に努めるとともに、なお、これまで国交の開かれざる諸国との関係をもでき得る限り調整していく方針であります。韓国及び東南アジア各国に対しては、誠意をもつて諸懸案の解決をはかり、善隣友好と経済提携とを促進し、進んでアジアの復興と繁栄とに寄与したいと考えております。なお、多数の未帰還同胞がいまだ異国に残留しており、さらに現在、なお六百余名の同胞が戦争犯罪人として拘禁せられておるということは、まことに遺憾でありまして、政府といたしましては、関係諸国に訴えて、すみやかに引揚並びに釈放が実現するように一つそうの努力をする考えであります。
変転する国際情勢のもとにあつて、わが国の自主独立の実をあげるためにも、国力の許す範囲において、みずからの手によつてみずからの国を守るべき態勢を一日も早く樹立することは、国家として当然の責務であろうと存ずるのであります。従つて防衛問題に関する政府の基本方針は、国力相応の自衛力を充実整備して、すみやかに自主防衛態勢を確立することによつて駐留軍の早期撤退を期するにあります。
わが国の自主独立の達成のためには、占領下において制定された諸法令、諸制度につきましても、それぞれ所要の再検討を加えまして、わが国の国情に即した改善をいたしたいと考えるのであります。特に国家の基本法たる憲法については、制定当時の事情と、これが実施の結果にかんがみまして、国情に即した修正を施す必要があることは、これを認めざるを得ないところであります。しかし憲法は、その重要性にかんがみ、これが改革につきましては、最も慎重を期すべきものであると存じます。従つて政府といたしましては、国民各層の意見を十分に徴して、しさいにその内容を検討いたし、平和主義、民主主義の原則を堅持しつつ、最もわが国情に適するごとく改善の方途を講じなければならないと存ずる次第であります。すなわち、これがため国会に学識経験者その他国民各層代表者の参加を求めまして、超党派的な憲法調査審議機関を設置いたして、慎重審議の上でその成案を策定するようにいたすべきであると考えております。
経済の自立再建は、国家の独立のため最も必要なことであることは言うまでもないところであります。もとより狭小な領土に、膨大な人口を擁するわが国経済の自立再建をはかることは容易ならぬところであります。これを実現するためには、国民全体の協力を必要とすることは申すまでもありませんが、そのためには、国民経済に対して長期の見通しを持つ総合的な計画を示し、国民に希望を持たさせることが必要であります。政府が自由企業の原則に立つて、総合経済六カ年計画を樹立いたしまして、広く国民の理解を求めようとするのは、全くこの趣旨にほかならぬものであります。すなわち、政府は、長期かつ総合的な計画のもとに、まず税制を改正して中小企業者、勤労者、農民等の負担軽減を行いつつ、中央、地方を通じて財政の健全化をはかり、もつて経済拡大への基礎を固めんとするものであります。また、金融面においても、その健全化に努力することといたし、これがためには豊富な資金が必要でありますので、資本の蓄積と国民貯蓄の増強に特段の措置を講じたいと考えております。
経済の自立を達成するため、正常貿易の伸張と、これが要件である基幹産業の近代化、合理化、科学技術振興の緊要なことは申すまでもありません。これらについて政府は必要有効な措置を講じ、万遺漏なきを期する所存でありますが、特に科学技術振興のため、官民研究機関の機能を充実いたしまして、もつて資源の開拓とその有効な利用とによりまして、優秀な国産品を生産し、その使用奨励に資せんとするものであります。産業を復興し、経済の自立を達成するためには、労働と資本の協力を必要とするものであります。政府は、労使の双方が正義と友愛の精神に基いて、相互にその立場を尊重いたしまして、産業の復興再建に最善の努力を傾けられることを切望するものであります。そのため政府は、労働運動の正常化を念願するとともに、各般の方策によつて労使の協力体制を確立いたしまして、産業平和の確保に努めようとするものであります。デフレによる経済健全化のための過程として、失業者の増大と中小企業者に対するしわ寄せの集中が見られるのでありますが、政府といたしましては、中小企業者に対しては、わが国における経済的、社会的重要性にかんがみ、その組織化と金融の円滑化につき、格段の措置を講じまして、特に中小企業製品の優秀化と、これが輸出振興について積極的施策を考慮中であります。
失業対策といたしましては、根本的には前述の長期総合計画の実施により、雇用の増加を期するはもちろんでありますが、さしあたりの強力な対策としては、公共事業の面において、緊急就労対策事業を全国的に実施いたしまして、もつて失業者の大幅な吸収をはかる所存でございます。
なお、国民生活、特に働く者の生活を安定せしむるがために、昭和三十年度においては、思い切つた予算措置を講じまして、庶民住宅建設の強力な推進をはかりたいと考えております。
農林、漁業及び食糧の問題につきましては、まず畜産物、水産物を含めた総合的食糧の計画的増産を確保することによつて、食糧輸入の節減をはかりまして、他面農林水産物の輸出振興方策を講ずる考えであります。内外の農業経済情勢に応じ、農林漁業の経営安定には特に力をいたし、これがため肥料、飼料等重要生産資材の価格の低廉化と需給の安定をはかるとともに、農林畜水産物の価格の安定と流通の改善刷新、農地担保金融制度の創設、農業災害補償制度の改善等を実施する所存であります。さらに、食糧管理制度につきましては、内外の食糧事情及び経済事情にかんがみまして、根本的改革を行うため、すみやかに成案を得るよう努力中でございます。
毎年頻発する災害の抜本的防除と国土保全のため、政府は、造林、林道並びに道路事業、都市計画事業、災害復旧事業等につきまして、総合的な治山治水基本計画を確立いたしまして、これが適正かつ能率的な推進をはかる所存であります。なお、政府は、北海道及び東北地方の占める地位の重要性に着目をいたしまして、これが開発については、特段の力をいたす所存であります。また、災害を未然に防止し、国土、人命の安全をはかるため、気象業務、非常無線通信網等の整備拡充をはかるとともに、船舶、航空機等の整備によつて海上保安態勢を強化していく考えであります。
社会保障の充実強化は、民生安定のため、きわめて肝要な事柄でありますが、政府は、各種疾病保険の普及充実をはかるとともに、これら保険に対する応急的補強措置を講じまして、また、結核その他の疾病予防に力をいたすとともに、医療機関の整備普及を用せんとするものであります。なお、恩給制度の改革、遺家族及び引揚者に対する援護については、財政事情の許す限り適宜の措置を講ぜんとするものであります。
文教の刷新は、現下のわが国にとつて最も緊急の問題であります。戦後急激に行われた学制の改革は国情に適合しない点が多々ありますので、現行教育制度及び教育内容について十分な検討を加えるとともに、教育施設の整備充実、特に最も緊急を要する六三制施設並びに老朽危険施設の整備をはかりたいと思つております。
わが国力を回復し、自立国家体制を確立するためには、何よりもまず国民各自の個人道徳の高揚をはかり、道義と相互扶助の精神を基調とした社会道徳を確立しなければならないのであります。覚せい剤、不良出版物等のはんらんは、まことに嘆かわしき事態でありますが、特にわが国の将来をになうべき青少年に対し悪影響を与えていることはまことに憂慮すべきことであります。政府としては広く民間諸団体の協力を求めまして、早急にこれが絶滅のため適切有効な対策を講じ、もつて明朗な社会の建設に邁進する所存であります。
近時わが国の治安は、ようやく平静に復しつつあることは御同慶にたえないところでありますが、暴力は絶対に否定いたしたい。すなわち極左的破壊活動については、わが国の現状にかんがみ断固これを取り締る方針であり、また、これと並んで最近極右分子の中には、直接行動に訴えようとする事例も発生しているので、これが取締りについても徹底的に行う方針であります。
この際、特に一言したいのは、戦争終結以来すでに十年の歳月を経過したのにかかわらず、自主独立の気風上らず、国民道義のいまだ全からざることでありまして、これは私の衷心遺憾に感ずるところであります。特に、近時政界、官界を通じて著しく綱紀の弛緩頽廃を招き、国民の激しい指弾を受けておりますことは、私のまことに慨嘆にたえないところであります。政府は、この現状にかんがみまして、公明選挙を基盤として政界の粛正刷新をはかり、議会政治の信用を回復するとともに、官公吏については信賞必罰を徹底して官紀の振粛をはかる方針であります。さらに政府は、社会道義、国民道徳の高揚をはかり、遵法精神を振起し、精神、物質両面にわたる国家再建の一大国民運動を強力に推進いたす考えであります。
近く行われる予定の総選挙は、前国会において成立した新選挙法のもとにおいて初めて行われる選挙であつて、その意義はまことに重大であります。政府は、前国会における衆議院の決議の趣旨に従つて強力な公明選挙運動を展開することとし、引き続き行われる地方選挙とともに、各界各層の御協力のもとに公正明朗な選挙に有終の美をおさめしむるため、全力を傾注いたしたいと念じておるものであります。
以上明らかにいたしました諸施策によりまして、人心を新たにし、国民が前途に希望を持ち得る明朗清新な社会を建設いたしたいと存じます。ここに、所信の一端を披瀝いたしまして国会を通じて国民各位の御理解と御協力とを衷心切望する次第であります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/3
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004・河井彌八
○議長(河井彌八君) 重光外務大臣。
〔国務大臣重光葵君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/4
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005・重光葵
○国務大臣(重光葵君) 現在の国際政局を概観いたしまするに、幸いにして一応平穏な様相を呈しております。しかしながら、米英等の民主陣営においては、これを共産陣営の戦術の転換による平和攻勢に基くものであると見て、これが対策に怠りがないのであります。すなわち欧州方面においては西ドイツの再軍備を認めて、北大西洋軍事機構の強化をはかり、中近東方面においてはトルコ、パキスタン等の武力を充実し、また、アジア方面においては東南アジアの防衛機構を樹立し、あわせて背後戦線の整備に努めておるようなありさまであります。かくのごとくにして、力による平和の体制を築き、もつて勢力の均衡を有利にすることによつて、共産側を真の平和共存に誘導せんと努力しておるありさまであります。
以上のごとき国際情勢のもとにおきまして、わが国の地位は、現在なお遺憾ながら、いまだ十分確立せらるるに至つておりません。三年前、日本はサンフランシスコ条約によりまして独立をかち得たのでありますが、これは主要民主諸国との平和が回復せられたのにとどまり、共産主義諸国との間には瀞和は成立せず、また、戦後新たに独立したアジア諸国との国交もいまだに全般的には樹立せられておらぬのであります。その上、国際連合加入もまた今日まで実現に至らぬありさまでありますから、わが国が積極的に国際問題に貢献する地位に達するには、今後格段の努力を必要とする次第と思うのであります。
わが国際的地位の向上に最も必要なるものは総合国力の涵養であるということは申すまでもございませんが、それにしてもまず自主独立の精神を作興することが前提であります。自主独立の完成こそは、わが民族の悲願でありまして、われわれは敗戦の跡を一掃して、自衛の体制を整え、経済の自立を実現し、社会不安を除去して、新日本の建設に努力を結集する決意を有するものでございます。現内閣が米国との緊密なる協力関係をもつて外交政策の基調としておるゆえんのものは、米国が日本のこの進路に対して深い理解を示すからにほかならぬのでございます。政府はこの政策を一そう推進せんことを期しておるものでございます。本年初め、ビキニ補償問題が円満妥結に至つたことは、反米感情の原因となつた懸案の一つを解決したものとして重要な意義を持つ次第でございます。
アジアは日本の郷土であります。アジア民族が往年の植民地主義より解放せられ、自由独立の天地に発展向上することは、日本の切にこいねごうところでございます。共産、民主両陣営間の激甚なる闘争のうちにあつて、アジアが国際政局において占める重要度は、とうてい昔日の談ではございません。現にコロンボ、グループ諸国の提唱によつて、近くアジア、アフリカ会議も招集せられる機運になつております。
日本といたしましては、東亜における責任を自覚し、アジアの平和と進歩とに寄与せねばならぬ次第でございます。そのためにはアジア諸国との修交がいよいよ必要となつて参ります。このため、当面幾多の障害を克服せねばなりません。賠償問題の解決はその主要なものでありまして、わが国の経済能力の許す限り、誠意をもつて急速に処理したい意向でございます。政府はその方針のもとに鋭意準備を進めておる次第でございます。ビルマとの賠償交渉が妥結し、同国とは、すでに経済協力の段階に進んだことは欣快とするところでございます。
韓国との関係は、すみやかに改善を要する次第でありまして、この際、いたずらに過去の経緯に拘泥せず、大局的見地より両国においてこの問題を善処すべきものと考えられるのであります。また、わが国の承認している国民政府が中共政権と抗争しているということは、東亜の安定から見て、はなはだ不幸なことでありますが、これは世界情勢に重大なる変化の起らない限り、容易に解決し得る問題とは思われません。従つてわが国としては、さしあたり現実の状況に応じて、実際的に対処するのほかはないと考えるものでございます。中国大陸との物資交易が、わが国、民生上必要なことは否定できぬのでありまして、国際義務に反せざる限り、これを促したい所存でございます
冷たい戦争は、なお激しく展開されておる情勢でありまして、軍事的に両陣営の勢力均衡が回復せられ、軍事戦線が次第に強化されるについて、背後の戦線が重要視せられることは当然であります。現に共産勢力は、アジア、アフリカにおける民族主義の問題、ないし生活程度向上の問題等を利用して巧みに背後戦線の撹乱を試みておるようであります。アジアにおける民族独立は、今日実現の緒についたと見るべきでございましよう。しかし経済開発、民生向上のごときはこれからの仕事であります。この背後戦線において民主主義と共産主義の、果していずれが終局の勝利を占むるかによつて、冷たい戦争の帰趨が定まると申しても差しつかえはありません。英国のコロンボ計画といい、米国の東南アジア開発計画といい、いずれもその着眼はひとしくこの点に存する次第であります。日本がアジアの一国として、進んでアジア全般の問題に寄与することは、アジア地域の政情安定に資するのみではなく、わが国の経済的発展をつちかうゆえんであると信ずるのでございます。
共産、民主両陣営が共存し得るかいなかの論争はしばらく別として、現実には両陣営は並存して生存競争を行なつておる次第であります。
共産陣営がサンフランシスコ平和条約の調印を拒否して以来、日本と共産諸国との間には、戦後十年を経た現在も、なお戦争状態が継続しておる形と相なつております。これは、はなはだしく非現実的であり、かような変則的事態は、すみやかに終息せんことを希望するものでございます。ソ連との平和の回復を言えば、直ちに対米関係が悪化するかのように考えるのは皮相の観察と思います。われわれは、むしろ日米協力を密接にし、わが国の国際的地歩を強固にすることが、かえつて日ソの国交を調整する捷径であると信じておる次第でございます。
いまだ返らざる島嶼及び未帰還同胞の運命は、寸時も私の念頭を去らぬ問題でありまして、機会あるごとに、直接間接に関係諸国の注意を喚起しておるのでありますが、米国との関係におきましては、沖縄及び小笠原群島の返還問題、特に小笠原島民の帰島問題につきましては、今後日米協力の実が上り、両国相互間の理解と信頼とが増進するにつれて、おのずから解決の日が近づくものとひそかに期待しておる次第でございます。
またソ連との関係におきましては、領土問題につきましても、また抑留者帰還の問題につきましても、解決が今日まで思うように進展はいたしておりません。しかるに他方中国大陸及びベトミン地区からの邦人引き揚げが進行いたしておりますことは、われわれ同胞の喜びにたえぬところでございます。さらにわが方不断の努力にかかわらず、今なお六百数十名の巣鴨残留者のあることを思いますれば、心事暗たんたらざるを得ません。戦後十年、もはや恩讐二つながら存しないはずでございます。自由民主諸国の結束がきわめて肝要である今日、関係国の理解と同情とに訴え、一日もすみやかに本問題が解消せられんことを祈つてやまぬものでございます。
年々増大するわが国の人口の圧力は、単に日本のみの問題でなく、世界の問題と考えておる次第でございます。ために移民につきましては、政府は特に力を入れたい方針を持つております。受け入れ諸国の繁栄に貢献し得るがごとき移住者を、ただに農業方面のみでなく、技術方面にも送り出したいと思つておりますが、移民の問題も人口問題の解決には、ほど遠い感があるのでありまして、最も肝要なことは、言うまでもなく、わが貿易の伸張でございます。いまだガットにも正式加入を得ないのであります。諸外国の差別的待遇についても必ずしも楽観を許しません。もとよりわれわれは経済難局の打開を期するに当つて、いたずらに友邦の援助と同情とのみに依頼するものではもとよりございません。産業の合理化、製品の向上等、自力更生に努めると同時に、公正なる競争の原則を厳守するものでありますが、相手方たる友邦よりもまた公平の待遇を受けんことを要望するものでございます。
最後に、大量破壊兵器の発達によつて、人類は今や共存か共演かの岐路に直面しておるようなありさまであります。原爆の惨禍をつぶさに味わつた唯一の国として日本は世界を原爆戦争の悪夢から解放する使命を持つておるとも言うべきであります。国際連合の提唱する原子力平和利用の問題に関して、日本が率先賛成したのはそのためであります。私は世界が一日もすみやかに混迷を脱して、真の共存が実現することを切に祈るものでございます。
これを要するに、わが外交政策の要諦は、日本が現在置かれた国際環境のもとに、米国を初め自由民主主義国との協力を基調としつつ、自主的平和外交を展開し、民族の復興と独立とを完成するとともに、進んで世界の平和及び人類の福祉に貢献せんことを期するものであります。
以上をもつて私の外交演説を終ります。ありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/5
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006・河井彌八
○議長(河井彌八君) 一萬田大蔵大臣。
〔国務大臣一萬田尚登君登壇、拍手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/6
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007・一萬田尚登
○国務大臣(一萬田尚登君) 私は、この機会に、わが国経済が直面いたしておりまする基本的な動向を明らかにいたしまして、今後これに対処すべき財政金融政策に関する所信を申述べまして、国民各位の協力を得たいと存じます。
国内資源に乏しく、狭小なる領土に膨大なる人口を擁しておりまするわが国といたしましては、自給自足によりまして生産の拡大、国民生活の向上をはかりますことは、とうてい望み得ないのでありまして、わが国経済の発展は、諸外国との間の経済交流の増大に待たねばならないのであります。従つて、われわれといたしましては、国際経済の動向に常に十分な注意を払うとともに、これに応ずる国内経済体制の整備をはからねばなりません。
最近における国際経済の特徴的情勢は、世界の主要国が貿易及び為替の自由化に向つて真摯な努力を傾けているということであります。
西欧諸国におきましては、戦後、欧州経済の一体化が叫ばれ、欧州経済協力機構、支払同盟等の結成強化が促進され、諸国間の紐帯の緊密化がはかられるとともに、各国またこの目標に向つて、それぞれの通貨及び物価の安定、経済の復興、貿易規模の拡大等に邁進しているのであります。最近における各国の保有外貨の増加、国際収支の改善等には著しいものがあります。西欧主要国の通貨の交換性は遠からず実現するものと思われるのであります。
米国におきましても、かかる情勢を促進すべく、自国経済の安定を通じて世界経済の自由化を促進することに重大な関心を寄せるとともに、互恵通商法の延長等によりまして、貿易の自由化に寄与せんとしつつあるのであります。このような動向を反映いたしまして、一時憂慮せられておりました米国の景気後退の現象も最近は解消したのでありまして今後もかかる景況は持続され、国際取引も促進されるものと見られているのであります。
東南アジア地域諸国の経済も、昨年下半期以降米国等の景気好転の影響を受けまして、概して好転し、国際収支の面でも幾分改善が見られるようになつて参りました。
今日、世界の貿易の半ば近くは、ドルその他の交換性のある通貨によりまして行われているのでありまするが、もし、英国、西独等の通貨が交換性を回復した暁には、世界の貿易の大部分が交換可能通貨によりまして行われることとなります。貿易の自由化も、一段と促進されることとなるのでありまするが、その反面、国際場裏における競争はますます激化いたしていくことを覚悟いたさねばならないのであります。かくのごとき世界の基本的動向に対しましてわが国の態勢は果して整備されているでありましようか。これこそ、最も重大な問題であると考えるのであります。
戦後十年を経ました今日、わが国の生産及び国民所得は、すでに戦前の水準を突破いたしました。しかしながら、このように一応順調に推移してきたかに見えまする繁栄にもかかわらず、現下の国際情勢に対処するわが国経済の基礎はいまだ十分に固まつたとは申しがたいのでありまして、経済発展の基盤たるべき輸出貿易の規模におきましては、いまだ戦前の半ばにも達していない状態であります。
国際収支の面におきましては、本年度は幸い二億数千万ドルの実質的黒字を期待し得るに至つたのでありまするが、(「だれの功績だ」と呼ぶ者あり)それは必ずしもすべてが国際競争力ある正常なる輸出の伸張によるものではないとともに、輸入規模の縮小もあつたのでありまして、国際収支の状況は、なお今後の特需の減退等とも考え合せますると、不安定な基礎に立つていると申さねばならないのであります。
翻つて従来の経済政策を顧みまするに、国内的には、一貫した方針に従い総合的に施策する面が欠け、その場限りの対策に終始しがちであつて、これがため対外的には、かえつて為替及び貿易管理の強化、外貨予算の引き締め等を行わざるを得なくなり、その結果といたしまして、貿易及び為替の自由化という国際経済の基本的動向に対しまして、むしろ逆行する方向に施策がおもむくことともなつていたのであります。
私は、現下の国際情勢にかんがみまして、わが国経済は国際的な経済交流の増大のうちにおいてのみ、その安定した発展が可能であるという基本的性格から考えましてこの際、従来の施策に対比し、重点の置き方を変えるべきであり、対外経済政策が国際経済の基本的動向である自由化の趨勢になるべくすみやかに即応して運営されるよう改善することをもつて第一義といたしまして、それが可能なるがごとく国内経済政策の運営に計画性と総合性を盛り込んでいくことが、今後のわが国の財政金融方策の基本となるべきものと確信するのであります。
すなわち、終戦後のわが国経済の再建に当つては、その戦争による被害があまりにも甚大であつたためでもありまするが、各人おのおの、いちずに生産の回復と消費生活の向上に立ち向つてきた結果、技術の立ちおくれ、経営の放漫、無秩序な産業構造、企業の過大な借入金依存等の脆弱な経済基盤を内包いたしましたまま、表面的な経済力の拡充が行われてきたのであります。これをそのままに放置いたしまするならば、国際物価に比べての国内物価の割高と国際収支の不安定は解消せず、とうてい国際競争に伍していくことはできないのであります。
従いまして、今後の国内経済政策におきましては、健全な財政金融政策によりまして、経済の健全化をはからなければならないのでありまするが、経済力の貧弱なわが国といたしましては、ただ単に従来のような成り行きにまかせるという行き方ではなく、かかる目的が着実に、かつ、計画的に達成されていくように、総合的かつ効果的な施策を必要とすると考えるものであります。これがためには、今後わが国経済の向うべき理想的な目標と方向を描きつつ、これが実現のため必要な諸施策を段階的総合的に実施して参る構想が樹立されねばなりません。今回政府が、昭和三十年度以降六カ年にわたる経済の構図を描きまして、前半三カ年においては、経済の正常化、なかんずく正常貿易による国際収支の均衡と将来の経済発展の基盤の確立に主眼を置き、後半においては特需に依存することなく、正常貿易によつて国際収支の均衡を維持しつつ、経済の拡大発展と完全雇用の達成をはかることを目標とする総合経済六カ年計画を立案いたしましたのも、またこの趣旨にほかならないのでありまして、この計画は今後さらに各方面から検討を加えて、逐次具体的な施策のよるべき基準といたしたいのであります。
以上のような基本態勢を現実問題としていかに実現していくかにつきましては、もとよりこれに多大の困難が伴うことは当然でありますが、首尾一貫した計画のもとに、狐疑逡巡するところなく邁進するの勇断を必要とすると考えるのであります。かかる全体的視野に立つた場合とらるべき財政金融面の施策につきまして以下基本的な考えを申し述べてみたいと存じます。
まず、為替貿易の自由化方策でありまするが、その前提は、何といつてもわが国産業の国際競争力を培養強化いたし、正常な輸出を伸ばして国際収支の実質的改善をはかるごとにあります。この意味におきまして、根本的な点として、重要基礎産業及び輸出産業の合理化、コストの引き下げをはかるほか、商社を育成強化し、輸出入銀行の資金の確保をはかり、また税制の面においても輸出免税措置を拡大する等、総合的諸施策によりまして、極力輸出の振興を行う考えであります。このような輸出振興のための諸施策と相応じ、補償リンク制度の廃止、特別外貨割当の削減、バーター取引等の特殊貿易の縮小等、為替及び貿易の正常化に努めるとともに、為替貿易の現行諸制度に関しましても、自由化の線に沿つて検討を加える所存であります。すなわち、現行為替レートを堅持することはもちろんでありまするが、さしあたり現在の複雑な為替相場の建て方を簡素化いたしまして弾力性を持たせ、保有外貨の管理運用制度の円滑化をはかりますとともに、今後重要輸入物資別に、これに対する外貨予算の運用の長期化、弾力化を検討いたしたいと考えております。
以上のような為替貿易の自由化方策を実現して参りますためには、これを可能ならしむるごとき強力な国土的裏づけを必要とするのでありまして、その最も重要なるものとして物価の動向を考えねばなりません。幸いに物価は昨年中、下落の傾向に転じたのでありますが、この傾向をさらに持続せしむることが肝要であると存じます。これがためには通貨価値の安定を維持するとともに、その基盤の上に経済の合理化、健全化を進めねばならぬのでありまして、特に財政においては健全性を堅持するとともに、物価下落を織り込んでこれを編成すべきであると信じます。
この意味において、まず国の昭和三十年度予算におきましては、一般会計の総枠は一兆円以内にとどめることといたし、その範囲内において重点的に政府の重要施策を推進いたす考えであります。財政投融資につきましても、その総枠はほぼ前年度程度といたしまして、その運用に当り、生産、輸送、民生等各面にわたつて総合性を保持しつつ、その効果を十分発揮し得るよう重点化をはかる方針であります。さらに財源の調達に当りましては、租税その他通常の収入によつてまかなうことといたし、新たな公債の発行はこれを行わない考えであります。
また、地方財政につきましても、特に年々規模が膨張し、また赤字が累積している現状にかんがみましてその規模の抑制をはかるとともに、極力健全化を推進することが緊要と存じますこのため、まず地方団体の自主的努力による経費の節減及び収入の確保を期することが肝要でありまするが、同時に地方行政機構及び事務の抜本的簡素合理化をはかり、国の補助金等の整理、効率化をはかつて、地方負担を軽減するとともに、地方道路税の創設等によりまして、地方の自主財源を充実いたしたいと考えております。なお、すでに生じました地方団体の赤字につきましては、その再建整備の促進のために、適切な法的措置を講じたいと考えております。
次に、金融面におきましても、健全金融の方針を堅持いたしまして、財政金融一体となり、経済健全化の基盤を造成すべきでありまして、政策の基調はいささかのやすきをも許すべきものではないと思うのであります。ただ一口に財政金融一体と申しまするが、私は金融がその本来の機能に従い、経済の実情に応じて、ある程度の弾力性を持つて運営されることが望ましいと思うものでありまして、財政が健全に運営されることと相待ちまして、今後できるだけ金融の正常な機能発揮をはかるようにいたしたいと考えております。このような意味での金融正常化の方向におきまして、まず取り上げねばならぬ問題は、預貯金の増強と企業資本の充実とによりまする民間資本蓄積の推進ということであります。金融機関の日本銀行からの借り入れ依存の傾向は逐次是正せられて参りましたが、まだ十分とは言えません。企業の金融機関に対する依存の弊風も、なお改善されたとは言い得ません。国民経済の拡大発展を期するためには、このような状態をすみやかに脱却し、正常にして安定した経済基盤を確立することが何よりもまずその大前提でなければならないと信じます。
このような民間資本蓄積の充実に伴い、金融正常化の一環といたしまして、国際金利水準に比しまして、なお高位にありまするわが国の金利水準の低下をはかりましてコストの引き下げに寄与することを政策の目標といたしつつ、戦後の特殊事情により不均衡を免れなかつた現行金利体系の整備をはかつて参りたいと考えております。このことはまた、日本銀行を中心とする金融の調節方式の問題と相関連するものでありまして、従来の日本銀行の金利政策が、もつぱら高率適用制度を中心として運営されて参りましたのを改め、今後は中央銀行本来の正常な金利政策をとるようにいたすとともに、公開市場操作その他の金融調節の方式をも取り上げるように進めて参りますことといたしまして、また日本銀行法その他金融に関する諸制度の整備ということも慎重に検討をいたしたいと考えております。
なお、以上のごとき施策と相待ちまして、金融機関の資金運用につきましては、これが長期的な経済計画の線に沿うて適切かつ効率的に行われますよう、さらに一そうの配意を加えて参るようにいたしたいと存じます。
以上、金融の正常化ということについて申し述べましたが、当面、この方向に向つて、まず力をいたさねばならぬことは、何をおいても預貯金その他資本蓄積のより一そうの増強をはかるということであります。資本蓄積の促進は、戦後一貫して取り上げられて参りました政策でありますが、私といたしましては、現在までの施策をもつてしても、なお十分ではないと考えるものでありまして、民力を涵養し、国民貯蓄を助長するためには、そのような環境をまず作り出すための思い切つた措置を講じて参りたいと思うのであります。特に資金吸収の面におきましては、通貨価値を安定し、通貨に対する信用を高めることを、すべての施策の根底といたしますると同時に、たとえば臨時に預貯金利子に対する課税を全廃する等、国民の蓄積意欲を大いに高揚いたしまして、一大国民運動にまで盛り上げるようにいたしたいと存ずるのであります。
以上為替及び貿易の自由化、財政の健全化、金融の正常化を今後の施策の基本方針とすることについて申し述べたのでありまするが、この方策の推進は相当きびしいものでありまして、安易な考え方は絶対に許されないのであります。しかしながら、その推進の過程において生じまする経過的な、あるいは摩擦的な現象はこれを緩和いたしまして、民生の安定をはかり、国民が明日への力をたくわえつつ当面の困難を克服し得るよう、適当の配慮を加えて参ることは当然であろうと思うのであります。
従いまして昭和三十年度の予算の編成に際しまては、一般の補助金、物件費、施設賞等の経費につきまして根本的な再検討を加え、徹底的にその重点化、効率化をはかり、極力これを節減することといたしまして、民生の安定等に欠くべからざる部面については、特に計画的、重点的に考慮いたして参りたいと存じておりまするが、そのおもなるものは次の諸点であります。
その第一は、住宅政策の拡充であります。今日、わが国民生活は衣食の面におきましてはほぼ戦前の水準程度まで回復いたしましたが、ひとり住宅につきましては、なお著しい不足を見ておる現状であります。従つてこの際、民生安定の見地から、政府は住宅対策の飛躍的拡充をはかる所存であります。すなわち、本年四月における住宅不足は二百八十四万戸に上ると見られております。これに年々の新規需要は二十五万戸程度と見られるのでありまするが、これらの不足を今後十年間に解消することを目途といたしまして住宅建設の長期計画を樹立いたしまするとともに、この計画に基きまして、少くとも昭和三十年度において四十二万戸程度の住宅建設を実現いたしたいと存じます。このため、まず財政的措置といたしましては、公営住宅の予算を増額するほか、住宅金融公庫の資金を充実し、厚生年金資金の勤労者厚生住宅への還元融資を確保する等の措置を講ずることといたしたいのであります。しかして、集団庶民住宅の建設、不燃化の促進、宅地対策の拡充に特に重点を置くとともに、公費による住宅の建設及び運営の方式の合理化をはかる考えであります。さらに従来民間の自力によりまする住宅建設が建設総戸数の半ば以上を占めている実情にかんがみまして、民間の住宅建設の意欲を大いに促進するために、税制上の特別償却制度の拡張等を行う所存であります。他面、不要不急の建物の新築は、当分の間これを抑制する措置を講じたいと存じます。
第二は、社会保障の強化であります。長期的には総合的な経済計画のもとに完全雇用を実現することを目標としておりまするが、さしあたり来年度におきましては、失業者につき生産に寄与し得るよう極力これが吸収をはかりますとともに、生活困窮者の救済に遺憾なきを期するため、失業対策費その他の社会保障関係費を充実するとともに、緊急就労対策事業を拡充し、公共事業等についても、でき得るだけ失業者がその職につき得るように促進をはかり、またその施行地域、工事種目等に適切な配慮を加え、これを実施して参る所存であります。
その第三は、中小企業対策の充実であります。経済健全化政策の円滑な推進をはかりますため、中小企業対策を重点的に充実することといたし、これがために、中小企業を組織化、系列化して企業の合理化をはかりまするほか、金融面におきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫等に対する資金を確保いたしまするとともに、中小企業の租税及び金利負担の軽減について、所要の措置を講じたいと考えております。
その第四は、税制の改正であります。現行の租税制度は、わが国の社会、経済の実情に即しないという批判もありますので、政府といたしましては、根本的に再検討を行いたいと考えておりまするが、さしあたり来年度につきましては、民生の安定に資するとともに、資本の蓄積を推進するため、所要の改正を行いたい所存であります。すなわち、勤労者、中小企業者、農民等の低額所得者の負担軽減を中心とする所得税、法人税、事業税の軽減を行うことといたし、また、臨時に預貯金利子に対する課税の免除、配当所得に対する源泉課税の軽減を考慮いたしておりまするが、これらの措置に伴つて生じます財源の不足は、消費税その他間接税の増収等をもつて補てんする方針であります。(「減税じやない」と呼ぶ者あり)これらの直接税の波税額は、平年度におきまして五百億円程度に達する見込みであります。
なお、防衛問題につきましては、わが国の国力に相応した自主的な防衛態勢を整えることを目標といたしまして、財政経済の規模を勘案しつつ、自衛隊を漸次充実することを基本方針といたし、昭和三十年度における自衛隊の充実につきましては、防衛費の総額を前年度の枠内にとどめることといたし、防衛分担金の減額を求めることにいたしたいと考えておるのであります。(「そんなうまいことできるか」と呼ぶ者あり)
以上、政府が実施いたしたいと思う財政金融政策の概要を申し述べました。
正常な輸出や生産の増加によつて国際収支の継続的な均衡と経済の拡大発展を確保いたしまして、年々増大する人口に雇用の機会を与え、生活水準の向上をはかりますことは、一挙に実現し得るとは考えられません。今日の経済健全化は、そのような目標実現の地固めを行う第一段階であるのでございまして、しかもこの施策は、その実現の過程において、なお容易ならぬ困難を持つものであります。同時に、健全化に伴う犠牲ないし摩擦は、極力これを調整いたしまして将来の希望に向つて邁進しなければならないのであります
私は、以上に述べました政府の施策が広く世論の支持を受けることを確信いたすものでありまするが、あらためて国民各位の協力を期待し、ここに、決意を新たにいたしましてわが国経済の自立発展のために最善の努力を誓うものであります。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/7
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008・河井彌八
○議長(河井彌八君) ただいまの国務大臣の演説に対し、質疑の通告がございますが、これを次会に譲り、本日は、これにて延会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/8
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009・河井彌八
○議長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。
次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報をもつて御通知いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十一分散会
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○本日の会議に付した案件
一、日程第一 国務大臣の件に関する件発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102115254X00519550122/9
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