1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月二日(木曜日)
午後一時四十八分開議
出席委員
委員長 原 健三郎君
理事 臼井 莊一君 理事 木村 俊夫君
理事 山本 友一君 理事 青野 武一君
佐伯 宗義君 濱野 清吾君
堀内 一雄君 眞鍋 儀十君
關谷 勝利君 徳安 實藏君
永山 忠則君 井岡 大治君
栗原 俊夫君 下平 正一君
竹谷源太郎君
出席政府委員
運輸政務次官 河野 金昇君
運輸事務官
(航空局長) 荒木茂久二君
委員外の出席者
専 門 員 堤 正威君
専 門 員 志鎌 一之君
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六月二日
委員伊藤郷一君辞任につき、その補欠として永
山忠則君が議長の指名で委員に選任された。
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六月一日
一戸、荒沢間の鉄道敷設促進に関する請願(田
子一民君紹介)(第一五二九号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本航空株式会社法の一部を改正する法律案(
内閣提出第九三号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/0
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001・原健三郎
○原委員長 これより運輸委員会を開会いたします。
日本航空株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。最初に政府より説明を聴取いたします。運輸省航空局長荒木茂久二君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/1
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002・荒木茂久二
○荒木政府委員 では簡単な法律案でございますが、一応条文に即しまして御説明申し上げます。
まず四条で、従来は職員に関する規定が、日本航空株式会社法としての基本的な部面は商法と定款に譲ってあったわけでありますが、責任体制を明瞭ならしめるという意味におきまして、四条を新たに起したわけであります。取締役十人以内、うち代表取締役二人、監査役は三人以内ときめたわけでございます。そして四条の二で会社の社長、副社長を置きまして、この社長、副社長は代表取締役をもって充てるということで、商法との関連をつけた次第でございます。社長は社長という職務事項、副社長は副社長の職務事項を法定したわけでございまして、これは一般の例でございます。
次は四条の三でございますが、従来は代表取締役の決定、すなわち取締役会におきまして代表取締役が決定されるわけでございますが、その取締役会の代表取締役決定の決議を運輸大臣の認可にかからしめていたわけでございますが、提案理由の御説明のときに申し上げましたように、政府はさらに十億の出資をいたしますし、補助金も出しますので、それに応じまして監督規定を強化するという意味合いにおきまして、今度は取締役及び監査役の選任、解任の決議、それから従来通りの代表取締役の決定の決議を運輸大臣の認可を受けることにいたしたのでございます。
次に四条の四でございますが、運輸事業は特に安全性を強調しなければならない事業でございまして、やはりこの仕事に役員は専念するという建前を鮮明にすることが適当だと存じまして、兼職禁止の規定を設けてあります。しかしたとえば日航の重役が整備会社の重役を兼任するというようなこと等を勘案いたしまして、運輸大臣の承認を得たときは兼任ができるという緩和規定を置いたわけでございます。
第八条は補助金の交付でございますが、現在補助金の交付の規定があるわけでございますが、この補助金の交付の規定は、いわゆる離島航路の補助のように、その航路を細々でもとにかく続けていかせるという建前でもって補助ができるという規定を設けたわけでございますが、この規定によってまだ補助を出したことはないのであります。今度が最初なのでありますが、国内線につきましては、運賃値上げを行い、通行税の免除も行われますと、今年度は六千五百万円くらいの赤字で済み、来年度は黒字になるという見通しがつきましたので、国内線に関してこれをするということはまだ必要がないのではないか。しかし国際線につきましては各国の例も相当の補助金を出しておりますし、また非常な熾烈なる競争でございまして、日本は今スタートとしましていろいろな不利な条件にさらされておりますので、国際線における定期航空の維持発展をはかるために必要なるときは、予算の範囲内において補助金を交付するというように、国際線の趣旨を明瞭ならしめるために条文の改正をいたした次第でございます。
次は十二条でございますが、会社は重要な施設——おもなものは飛行機でございますが、「重要な施設を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、運輸大臣の許可を受けなければならない。」こういう規定になっておるのでありますが、実は重要な項目が抜けておったと申しますか、飛行機を買うという事柄が落ちておりましたので、これを追加いたした次第でございます。
次は十二条の二でございます。これはなお赤字が国際線におきましては相当ございますし、政府において補助金も出すということになっておりますので、あらかじめ会社の事業計画、資金計画、収支予算を提出してもらいまして、それを検討してこの辺でよかろうという話し合いをつけまして認可をする。それを変更するときには、また政府と話し合いをするという規定をつける必要がある、こう考えた次第であります。二項につきましては、一応認可をいたしまして、大体それで済むわけでございますが、年度の進行に従いまして、事業計画、資金計画、予算の執行が情勢の変化等によりまして、情勢に即しないという場合は、会社側から大てい申し出があると思いますが、もしさようなことがない場合には、監督上必要な命令をすることができるという規定を念のために設けた次第であります。
それから第十三条でございますが、これは社債の募集とか定款の変更というようなことを運輸大臣が認可するわけですが、その認可の際には事前に大蔵大臣と協議して認可をするという規定でございますが、それに今度「第十二条及び前条第一項」というのを追加いたしまして、事業計画、資金計画、収支予算等の認可をいたします際に、あらかじめ大蔵大臣と協議するということにいたした次第であります。
次は罰則の規定でございます。先ほど申しましたように「若しくは担保に供し、又は取得した」ということを認可事項につけ加えましたので、それに従って「第十二条の二第一項前段の規定に違反して、事業計画、資金計画又は収支予算を提出しなかつたとき。」、「第十二条の二第二項の規定に基く命令に違反したとき。」というのを、平仄を合せる意味におきまして追加をいたしたわけであります。
次にこの法律は、公布の日から施行する建前であります。
こういうふうに法律が変って参ったわけでございますが、しかしこの法律が施行されたときに現に在任しておる取締役、監査役は、すぐに改正法の施行によりましてその職を失うということでございませんで、この法律施行後おそらく臨時株主総会が開かれると思いますので、その臨時株主総会の終結のときまで在任する、そしてその臨時総会で新役員が選任されまして交代する、こういうふうにいたしたのであります。
第三項は、従いましてその間は、新法の第四条の二及び第四条の四は適用しない、従前のままにしておく、こういう措置にしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/2
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003・原健三郎
○原委員長 これより質疑を許します。木村俊夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/3
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004・木村俊夫
○木村(俊)委員 この法案の内容につきまして、二、三航空局長に御質問したいと思います。まず第一点は、大臣の提案理由の御説明の内容によりますと、日航におきましては本年三月期決算において、日航の設立以来の欠損が累計十五億四千万円になったということであります。これは非常に莫大な欠損なんで、これは当初からこの会社が悪条件で出発したのですから仕方がないと思いますが、こういうことになりますと、政府の強力な助成措置をやる一方におきましては、日航自体においても相当経営の合理化をやらなければならないことは当然だと思います。最近ちょっと聞きますと、大蔵省と運輸省の両省で何か共同監査をなさるということを聞いておりますが、その監査の結果、何か日航自体の経営の合理化について実績をお認めになったか、まずそれを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/4
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005・荒木茂久二
○荒木政府委員 去る二月、大蔵省及び航空局から八人ずつ出しまして、班別に五班か設けまして、十六人で詳細に監査をいたした次第であります。その結果によりますと、その前から大分いろいろ言われておりますので、相当改善の跡が見られるのでございます。そうしてその結果といたしまして、国際線における赤字はある程度やむを得ないものと認められる、こういうことになりまして、政府出資もし、補助金も出す、こういうことになってきたわけでございます。資金面その他各班に分けて監査をいたしたのでございますが、その監査の結果といたしまして、分けて言いますと、収入をふやすという面と、それから支出を減らすという面との両方に分れてくるわけでございますが、収入をふやすという面につきましては、サービスをよくし、特に集客、お客さんを集めるという点に重点を置かなければならぬと思います。特に現在アメリカから来るお客さんが、こちらから行くお客さんよりも少し少いわけでございまして、日本についてみますると、太平洋を渡る日本人は相当日航を利用いたしておりますので、これ以上そうたくさん日本人に期待はできませんから、従って外国人を吸引しなければならないということになっております。そこでできるだけサンフランシスコその他米国及び香港における活動を強化すべきだという点に、要約すると帰着するわけでございます。
それから支出を減らすという点でございますが。これに関しましては、支出の部の一番大きいものは整備費と油代でございますが、整備費と油代を加えますと支出の大体五五%くらいを占めるわけでございまして、油代は各航空会社が買うのが共通でございますので、これは全体的に一体になって値下げをするということでなければならぬと思います。日航だけ安く買うというわけにも参りませんので、整備費を下げるという問題に最も重点を置くべきことだと思います。これは御承知のように戦争後すっかりブランクになっておりまして、技術者の訓練もできておりませんので、実際は外国人を雇ってきて、その監督のもとに再スタートをしたわけでございまして、その技量がまだ十分に達していないわけでございます。これを具体的に言いますと、たとえばエンジンのオーバー・ホールというものは、一定の時間がたちますとすぐにこれをおろして分解点検をすることになっておりますが、この時間が非常に短かいということは、整備費を非常に増すゆえんでありまして、その時間が今ようやく一千時間というところまできておるのであります。これを日本の技術と合せていきますと、一挙に上げるというわけにも参らぬので、逐次上げていきたいと思いますが、その点をさらに一そう勉強して、千四百時間くらいまでは外国の例を見ても上げられるわけでありますから、そういうふうにすべきものという点と、それから一人工当りの単価といいますか、マン・アワー・レートといいますか、一人当りの単価を下げるということに力を入れていきたいという気持でおりまして、マン・アワーレートは七百五十円から始まったわけでございますが、現在六百円程度にまで下げて、さらにそれを下げられるのではなかろうかということを検討しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/5
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006・木村俊夫
○木村(俊)委員 監査の結果を大体お聞きしたのですが、その結果、国内線については別に補助金は要らぬ、こういうことをおっしゃったのです。しかし私いろいろいただいた資料を検討してみますと、必ずしも楽観を許さないのじゃないかという気がするのです。と申しますのは、確かに運賃の引き上げと通行税の免税によりまして、多少業績の好転することはわかりますけれども、国際線と違いまして、昨昭和二十九年度の上半期の実績を見ますと、大体旅客の実数から言って十四万七千人、利用率が約七五%、収入が約八億七千万円になっておる。ところが下半期になりますると、旅客数が十二万二千人に落ちており、利用率も七一%に落ちておる。従って旅客の運賃収入も七億七千七百万円に落ちておる。こういう傾向を見ますと、たといその運賃引き上げあるいは免税によりましても、必ずしも好転することは楽観できないのじゃないかと考えられるのであります。そこで二十九年度、三十年度の収支の実績と見積りというのがありますが、これを見ますと、国内線におきましては、昭和三十年度は約六億円くらいの増収を見込んでおるわけであります。この点、そういう楽観が許されるかどうか、ちょっとお見通しをもう一度承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/6
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007・荒木茂久二
○荒木政府委員 実はこの収支の見積りでございますが、当初からいろいろ見積りを立てたわけでございますが、その見積りと実績とは実績の方がはるかに悪くて、見込み違いをいたしてきたのでございます。そこで三十年度につきましてはさらに十分に検討いたしまして、従来のように見込み違いがないようにということで、相当かた目にかたく踏んだつもりでございます。そこでその六億円ほどの収入増加になると見込みました内訳を申し上げますと、現行運賃の値上げが六月一日から行われる、通行税の一割になるのが七月一日と、こう見込みまして、その関係の増収分が二億八千万円、それから毎年の旅客の増加の傾向を見ますと、今まではスタートしてからでございますが、実績は毎年五〇%という高い率でもって伸びてきているわけであります。今年度は相当伸びてきて、利用率において非常に高くなっておりますが、今までのような勢いでふえるということは期待できませんので、営業マイルの増加、すなわち便数の増加を勘案いたしまして、旅客がふえるという面からは一%程度、約一億六千万円くらいがふえるだろう。これはいわゆる運航の増加に対応するものでございます。三番目にさらに一人当りの旅客の利用率が前年に比して一〇%程度増収するであろう、その程度が限度であろう、その増収分が今の一億六千万円と合せまして約六億になるわけでありますが、少し甘過ぎはしないかという感じをお持ちになるかと思いますけれども、われわれといたしましては従来あまりにも楽観的な数字であったという実績を勘案いたしまして、相当かたく踏んだつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/7
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008・木村俊夫
○木村(俊)委員 国際線に対する補助金の問題ですが、当然これは国家的事業でもありますし、国際収支の改善に資するところがきわめて大きいので、これは当然だと思いますけれども、お伺いしたいのは、国際線に対する補助金のやり方といいますか、どういう名目で出すのか、その点をちょっと伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/8
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009・荒木茂久二
○荒木政府委員 国際線に関しましては、補助金の出し方がいろいろあると思います。戦前の大日本航空は赤字補給ということで、大体五分程度の配当を見込んで赤字を補給する、こういう制度であったのであります。それから外国では相当多くが配当を見込んで赤字を埋める、こういう補助金のやり方をしているわけでありますが、そういうやり方でいきますとどうも人情のしからしむるところで、親方日の丸で赤字は国がぬぐってくれるというようなことになってきては困ると考えまして、結局日本航空がおくれてスタートし、いろいろな条件で国際競争をしているのに、条件が悪い立場といいますか、スタート・ポイントが同じでないので、競争上不利な地位にあるという点を国で埋めて、平等の立場で外国会社と競争ができるようにすべきではなかろうかという考えのもとに、今度の補助金が組まれたわけでございますが、その中を分けますと、まず飛行機を買うためにほかの金も使っておりますが、国内の利子の高いものを使っておりますのが十七億円で、その利子は一割ちょっと欠ける利子でございます。これを五分の利子——外国の航空会社か使っている金は五分よりもっと安い金でございますけれども、まず一応五分と押えまして、五分とそれとの差額をまず一つ。それから外国人を使っているわけでございますが、日本に来ますとどうしてもアメリカならアメリカにいる外国人よりも在勤手当というようなもので、実際四割ばかり高くなるわけです。そういう高いものを使っているということで、日本人との給与の差額は大体一対四よりももっと高いわけでございますが、その差額。それからもう一つは乗務員を一人前にするということが非常に金を食うのでございまして、これは商船について言えば商船大学というようなものがありますが、航空機にも航空大学ができたわけでありまして、これはまだ卒業生はございません。従来の者を再訓練して、いわゆる近代の技術の進歩した航空にマッチするようなものに仕上げますために相当の金を要しますので、今まで訓練費を相当つぎ込んでいるわけであります。そこでこの訓練費と申しますのは、当該年度で全部決算してしまうという筋合いではなくして、会社の将来の役に立つという趣旨でもって、この訓練費は資産勘定に入れまして、それを五年で償却するという建前になっております。そこで今までの使った金の償却分、すなわち五分の一、それから今年度使うであろう訓練費の額の五分の一といわゆる訓練費の償却、この二つのものを三億五千五百万円補助する、こういう建前になったわけでございます。御説の通り外国の例は相当たくさんの補助金を出しておりますが、それはいわゆる赤字を埋めてやる、その赤字を算定するにつきましては厳重な方式をとっていると思いますが、結局赤字を全部見るという建前になっておりますが、われわれといたしましてはそういう建前はとらないで、こういった建前でいく方がいいのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/9
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010・木村俊夫
○木村(俊)委員 今外人の乗務員を使っているのですが、外人乗務員の切りかえはいつごろですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/10
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011・荒木茂久二
○荒木政府委員 乗務員の切りかえでございますが、これは国内線と国際線とにわけまして、まず国内線の副操縦士(コ・パイロット)、それからチーフ・パイロット(機長)、それから国際線の副操縦士、それから国際線の機長というふうに、逐次段階を追っていくことに計画を立てております。国内線の方について言いますと、コ・パイロットの方は全部日本人にして、あと機長の方が五人ばかり日本人がおりますが、これは秋ごろまでには全部日本人に切りかえる。それで国内線の機長を相当トレーニングをやりまして、それから国際線のコ・パイロットになる、こういうことになりますので、国際線の方を含めまして完全に日本人になるという場合は、まだ少くとも二年はかかるだろうと思います。なお国際線につきまして、乗組員にはパイロットとそれから機関士と航空士とスチュワーデスと、それだけ乗るわけでございますが、そのスチュワーデスは御存じのように日本人でございます。ナヴィゲーターと機関士、これはできるだけ早く日本人にするというわけで、ナヴィゲーターは海軍の連中等を採りまして、アメリカに行かせて訓練いたし、航空大学でも訓練して、今半分よりもちょっとよけいが日本人であります。これはできるだけ早く一年以内くらいに全部日本人に切りかえてしまうということで計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/11
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012・木村俊夫
○木村(俊)委員 そうしますと、先ほど御説明を承わった補助金の名目で、乗務員の差額とそれから乗務員の訓練費に相当補助金の内容があるのですが、結局二年後にはその外人乗務員がほとんど切りかえられる。それに従って訓練費も過渡的には増大するわけですけれども、この訓練費も最後には、一応訓練が済みますと、予備員程度の訓練費しかいらぬようになる。そうしますと、国際線に対する補助金というものの名目はほとんどなくなると思いますが、その点についてはどういうようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/12
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013・荒木茂久二
○荒木政府委員 御指摘の通りのことになるわけであります。結局利子の差額しか残らぬということになるわけでありますが、一方業績等も逐次改善して参りますし、補助金の額はできるだけ少いというのが望ましいと思いますので、今おっしゃったような結果になると思います。ところがそれでうまくやっていけるだろうかどうかという疑問が起るだろうと思いますが、われわれの見通しでは、補助金が減ってもそういうふうにうまく業績が改善してきて、とんとんになるというところへ持っていけるというふうに考えておりますと同時に、またどうしてもそういうふうに持っていかなければならないものだ、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/13
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014・木村俊夫
○木村(俊)委員 今の御指導になるという方針は非常にけっこうなんです。しかしながら先進国のアメリカとか、イギリスとか、あるいはオランダを見ましても、現在でも補助をやっておるという点から見ますと、私は国際線維持、発展という面におきましては、とうてい前途楽観はできないと思います。そういう意味におきまして今回はこういう補助金の取り方をされたと思うのですけれども、大蔵省も非常に強かったというふうに聞いております。しかしながら将来としては、やはりアメリカや英国のように、事業全体に対する補助という形にお移りになった方がいいのじゃないか、これは個人的意見ですが、そう思うのです。これに対するお考えを承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/14
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015・荒木茂久二
○荒木政府委員 本年度の予算の補助はそういうことになったわけでありますが、外国の例等もございますし、来年度以降については十分検討いたしたいと思います。ただ赤字はとにかく政府がぬぐうのだというような結果に陥らないような補助金の出し方でなければいけないと思います。その点を十分工夫しなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/15
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016・木村俊夫
○木村(俊)委員 次に役員の任命方法なんですが、承わりますと、原案におきましては社長、副社長が政府の任命ということになっておったようであります。それが今度提出された法案には認可制になっておりますが、その変更になったいきさつについてちょっと伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/16
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017・荒木茂久二
○荒木政府委員 この日航法ができましたときは、御存じのようにできるだけ会社の自由なる創意と工夫によって、自由を与えていくという建前でできたわけであります。ところが見積りと反しまして、業績は非常に芳ばしくなくて、政府が国際線を維持する以上は相当の金をつぎ込まなくてはならない、こういうことに相なっております。従ってこれに対して監督を強くしていくという方向に進むのが当然だろうという意見が政府部内に強いわけでございまして、政府で任命して全部握ってしまっていくという非常に強い考え方もございます。また従来のようにできるだけ自由にやらしていくという考え方の、二つの相反した考え方があるわけでありますが、今度の補助、出資等の問題とかね合せまして、どの辺が一番妥当なところであろうかということを検討しまして、いろいろの御意見も拝聴いたしまして、政府任命でいくということが少しくきつ過ぎるというふうに考えましたので、提案になりましたような認可制にいたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/17
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018・木村俊夫
○木村(俊)委員 それから本法案に関連いたしまして、日航以外の国内航空事業があるわけですが、その現状を承わりたいと思います。特にペイしておる会社があると思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/18
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019・荒木茂久二
○荒木政府委員 日航以外といたしましては定期事業を有しております会社が二社、極東航空株式会社が大阪から向う、日本ヘリコプター株式会社、日ペリと申しておりますが、日ペリが大阪からこちらを運航するということで、現在定期及び不定期を運航いたして参っておりますが、しかしこの業績ははなはだ芳ばしくございません。通行税の一割減ということがございますし、だんだんお客もふえて参りますし、運航回数も多くなりまして、いわゆる飛行機が稼働する時間がだんだん多くなってきたわけでございますが、それにいたしましても業績ははなはだ芳ばしくないのでございます。これらの会社の補強工作といいますか、政府の援助の手も差し伸べていきたい、こういうふうに考えたわけでありますが、遺憾ながら本年度は財政的な措置を講ずることができなかったのであります。こういった会社はできれば合併して運航のふところを広くしていくということが望ましいのではなかろうか、こういうふうに考えます。
そのほかにおおむね単発でございますが、単発でビラをまいたり、空中写真をとったり、それから種々ありますが、十分間千円とかいうような遊覧飛行をやっておる会社が二十社ばかりございますが、これは三社くらいがとんとんもしくはちょっと利益があるというくらいでありまして、あとのものはほとんど非常な苦境に陥っておるという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/19
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020・木村俊夫
○木村(俊)委員 これは単なる意見にすぎないのですが、そういう二十社余りの弱小国内航空事業があるわけでありますが、そういう面をほうっておきまして、一方におきましては財政的な事情で補助もできないということになりますと、せっかく認可したこういう国内航空事業が、しまいには滅亡になってしまうということは当然考えられると思います。そこでこれはあくまで個人的な意見ではありますけれども、日本航空とそういう国内ローカル線との合併とかいうことはお考えになっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/20
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021・荒木茂久二
○荒木政府委員 この航空事業が大体集約的といいますか、集中的にやるというのが各国の例でございますが、定期航空につきましては一国一社というところが非常に多うございます。たとえばインドのように国内線、国際線をやっておるものがたくさんあったものをまとめて国内一つ、国際一つというようにだんだんまとめてきておるわけでありますが、日本のような狭いところでそうたくさん会社があるということはいかがかと考えまして、実際は全部一社でやった方が望ましいのではなかろうか、こういうふうにも考えるのでありますが、しかしまた一社では独占的に過ぎていかぬのではなかろうかというような考え方もありまして、地域的な問題を別といたしまして、日航は四発でお客さんを運ぶ。それが大体日航が現在飛ばしておる区域でありますが、そのほかに区域を伸ばしていきますと、飛行場の滑走路が短かいために、大型機が使えませんので、中型以下を使わなければならないということになりまして、一応中型のローカル線をやる会社を、日航より別個に立てていった方がよくはなかろうかということで、しかもそれを東西に一々に分けて免許をいたしたわけでありますが、実際問題はやはり航空機事業も最小限五機くらいを単位のフリートを持っていないと困る。たとえば極東航空が今二十人乗りの飛行機を二機持っており、それで定期航空をやっておるわけでありますが、二機がオーバー・ホールに入ると全部路線が運航できないということにもなってしまいますが、五機持つ程度のルートをやっておりますと、一部を予備にしてうまく回るということにもなりますので、まず第一段階といたしまして、この会社を両方一つにしていった方がいい、さらにそれを今度日航と合せて完全に一つにしてしまった方がいいかどうかという点に、一つ問題があると思うのでありますが、そういう考え方ももちろんあると思いますが、その点については十分検討してみる必要があると思います。もう一つほかに考慮に入れなければなりませんことは、日航はIATAという運賃同盟に入っておるわけでありますが、日本の近間でいいますと、その運賃同盟に入らないで、いわゆるアウトサイダーが飛んでおる。そうすると、そういった路線をやる場合に、日航ではやることができない。日航の運賃は運賃同盟で、世界の一流会社が全部きめております運賃で行くわけでありますから、それを安くしてどんどんやるということはできません。そういったアウトサイダーとの競争というようなことを考えますと、一本にしてしまったのではいけないので、やはりこういったものをもって、それが近回りの国際線に足を伸ばして、その会社をアウトサイダーにして対抗する必要が起きるのではなかろうかというような点もございますので、今いろいろ検討をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/21
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022・原健三郎
○原委員長 本日はこの程度にして、次会は公報をもって御通知申し上げます。
午後二時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102203830X01619550602/22
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