1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月二十六日(木曜日)
午前十一時十分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 志賀健次郎君 理事 高木 松吉君
理事 逢澤 寛君 理事 瀬戸山三男君
理事 今村 等君
大高 康君 荻野 豊平君
田中 彰治君 廣瀬 正雄君
松澤 雄藏君 大島 秀一君
仲川房次郎君 二階堂 進君
有馬 輝武君 小松 幹君
三鍋 義三君 安平 鹿一君
山田 長司君 中島 巖君
石野 久男君
出席国務大臣
建 設 大 臣 竹山祐太郎君
出席政府委員
大蔵事務官
(主計局次長) 原 純夫君
建設政務次官 今井 耕君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
建設事務官
(道路局路政課
長) 曾田 忠君
建設事務官
(住宅局住宅企
画課長) 南部 哲也君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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本日の会議に付した案件
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部
を改正する法律案(内閣提出第五六号)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を続行いたします。中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/1
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002・中島巖
○中島(巖)委員 建設大臣に質問いたしますが、今回提案されました道路整備費の財源等に関する臨時措置法の一部を改正する法律案の第三条二項の三号であります。これはさきに道路局長より、本年度の直轄道路関係の地方負担分を非常に軽減いたしましたその率なるものの発表もあったのですが、その上に地方負担金を一時国で立てかえるというようなことになりますと、しかも、この国で立てかえたのはガソリン税で充当するというのが、この法案の骨子でありますが、そういうことになりますと、道路工事の延べ延長工事量が非常に少くなると思うのですが、その点どうか。
それから昨年度におけるところの道路に対する、国の直轄工事に対するところの地方公共団体の負担額が、国全体でどのくらいの金額になっておるか、この二つをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/2
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003・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 まことにごもっともな御心配と思います。この点につきましては、実はわれわれしろうとは、それほど大問題とは初めから考えていなかったのでありますけれども、問題は、やはり地方財政及び中央の財政の逼迫から来る問題でありまして、御承知の通り国道も地方の道路も、道路局長から申しましたように、地方のそれ相当の負担を要求いたしておるわけであります。ところが昨年度のごときは、もう一、二地方の負担に耐えられないからといって、せっかく地方から要求をされる道路の消化ができないというような事態が起ったほど、地方財政は苦しいのであります。そういうことから、今回はその問題を重要視して、第一の問題、第二の問題を考えたわけであります。直轄分担金については、何とか行くんじゃないかとわれわれ思っておったのでありますが、実情をいろいろ調べてみますと、二十九年度の予算におきましても、当初立てました五カ年計画の全体から見ますと、国道の分が予定計画よりも——前に資料を差し上げてあると思いますが、ずっと減っております。それはどういうわけかと言いますと、この一時立てかえるべき、ほんとうは立てかえるだけであるべき直轄分担金というものが、形式的にも一般財源によらなければならぬということになりますと、昨年の予算でも事務当局が非常に苦労をいたしましたのは、一般財源のワクというものが圧縮されますと、勢い直轄の事業が思うようにいかないということのために、当然まず国道から早く手をつけなければならぬはずの道路計画が、昨年度非常に思う通りいかなかったというわけであります。しかし、実情はどうかというと、一応形式的に一般財源から直轄分担金を出して金額の予算を組みますものの、その直轄分担金は、実際においては昨年度は十一億でありますが、今年度は十六億になります。それだけふえたわけでありますが、その額は地方の方はとても納める財源はありませんから、政府が交付公債を渡してその交付公債を地方がまた公債で納める、要するに起債のワクを形式的に与えて、交付公債で政府に紙きれで納めて、十三年間にだんだんに納めていくというわけでありますから、これが今のような実情においては、当初国会で法律を御立案いただいた時のように、その年度内にすぐ負担金が入ってきて、政府が一時見せかけたというか、形式的に組んだ一般材源の補充財源になるということは、夢想だもできないような実態に相なったわけであります。実情がそういう実情だったものですから、ここで本年度予算を組むに当りましても、事務当局としては、直轄事業を地方の御要求通り進めたいけれども、それを一般財源に形式的に求めておったのでは、どうしてもそれが思うようにいかないということですから、これはもちろん御議論はあろうということは承知をいたしますけれども、この際ガソリン税を充当した、いわゆる全額をガソリン税で直轄事業の予算として組みまして、その直轄分担金相当額のものは、当然後年度に地方から入ってくればそれを地方道路財源にする。一方においては、同時に提案をいたしておりますように、予算額と決算額の差額を道路財源にするということを法律で明確化しましたように、そういうことにいたしますならば、国会の御決議をいただいたガソリン税を道路財源にするということには、いささかも狂いはないという意味合いにおいて、また同時に、そうすることによって五カ年計画全体をくずさないということを計画的にも確信を得ましたので、何としても当面窮迫した地方財政に対応するためには、いろいろな措置をとって早く道路を整備したいという意味で、かような修正をいたしたようなわけでありまして、額から申せば昨年度十一億、今年度の計画から申しますと十六億がこれに相当するのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/3
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004・中島巖
○中島(巖)委員 いずれにいたしましても、この法案、それから昨年度の譲与税の現実の問題などより勘案いたしまして、この道路整備に充当すべきガソリン税が、地方公共団体の補助金のような形になるように、常に大蔵当局は持ってきておるというような一貫した法令その他によって現われておるので、この点非常に遺憾だと思うのであります。そして、こうした法令が出まして、あとからは道路整備費に繰り込むといわれましても、昭和三十三年度までは、結局全額ガソリン税によりまして、ガソリン税負担になるという結論になるのであります。そこで、かようなことはどういうわけで根本的に間違いが起るかというと、根本的にこの道路整備の重要性に対しまして、認識のズレがあるというように考えるのでありまして、試みに運輸省の統計によって、昭和二十八年度、二十九年度の貨物輸送力の実態を見ますと、二十八年度におきましては、トラック輸送が四億五千三百六十二万トン、鉄道が一億九千三百三十万トン、船舶が六千七百六十六万トンというようなわけで、船、鉄道、トラックを合わせまして全部の六三%ないし七〇%を、昭和二十八年度も二十九年度もトラックによって輸送されておる。それから外国の現況を見ましても、かなり小さな貧弱な国でありましても、高速度自動車道路を作って、そして鉄道輸送を自動車輸送に切りかえておる。産業の動脈を補強するということに、いずれの国も力を注いでおるのであります。しかるに、わが国におきましては、昭和二十八年度両院におきまして、ガソリン税を全額道路整備に充当する、さらにそれにプラス・アルファといたしまして一般会計から入れるというようなことになっておるにもかかわらず、このガソリン税を、ともすればあいまいな名前のもとにおきまして、地方公共団体の一般会計に繰り入れるというような傾向のあることは、根本的の認識が違うのでこういう結果になるのであって、はなはだ私、遺憾と考える次第なのであります。
昨日もちょっと申し上げましたけれども、これは昭和二十九年十月二十日の長崎日日新聞の記事であります。長崎県会におきましてガソリン譲与税が他に流用されておりまして、あとそれを補てんする方法がないということを、副知事がはっきりと言明いたしておるのであります。それで、この記事をごく簡単に要所のみを読みますと、川原県会議員が「ガソリン譲与税九千万円のうち六千万円警察費の財源に流用されている。事業予算の執行が悪いのもこのような県財政部のやり方が大きな原因だと思う。道路整備のためのガソリン譲与税が他の財源に流用されてもいいのか。」かような質問に対しまして佐藤副知事が、交付税に計上してあったからそれで流用した、あと補てんする道はないということを言っております。それから土木関係の県の最高責任者たる鬼丸土木部長が「ガソリン譲与税が交付税とからみ合っていることは知らなかった。追加できないとすればまことに残念だ。」こういうようにはっきりと言っておりまして、結局九千万円のうち六千万円が警察費に使われたということを、暗黙のうちに副知事も土木部長も承認をいたしておるのであります。
越えて十月二十七日におきまして、県会の意見書として「道路維持修繕費の増額並びに揮発油譲与税の適正予算化に関する意見書」というものを、県会の全会一致でもって知事あてに提出されておるのであります。それで、これは長くなりますので、結論だけを読みますと「仍て知事は今後揮発油譲与税の使途を適正化し配分の全金額をそのまま予算化せられ本税創設の目的を喪失せしむることのないよう特段の措置を講ぜられたくここに本県議会の議決により意見書を提出する 昭和二十九年十月二十七日 長崎県議会議長岡本直行 長崎県知事西岡竹次郎殿」こういうようなことになっておるわけでありまして、これはただ長崎県だけの問題ではないのでありまして大分、福井、青森などにもこれと同じような問題が発生しておるのであります。
これはあとで質問いたしますけれども、ガソリン税は、今回もガソリン税とそれから地方道路税との二重課税をいたしたのでありますけれども、これを自治庁にまかせるということが、私どもとしてはわからないのであります。道路の事情を最もよく知っておりますのは建設省でありまして、アメリカなどにおきましては、道路局で扱っておるそうでありますけれども、結局道路の面積とか鋪装の程度とかいうようなことを勘案いたしまして流すべき性質のものでありますので、ガソリン税一本にいたしまして、これを建設省が握って、その実態に即するように道整備路の面に流すべきであるというように考えるのでありますが、この点について、建設大臣並びに大蔵当局の御意見を承わりたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/4
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005・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 その点は、この前も申し上げましたように、重大な一点であると思います。このことは、ガソリン税を目的税的な使い方にしようという国会の問題のところから出発をして考えて参りませんと、われわれが急にどうこういたしたというのではないのでありますから、少し長くなりますけれども、私が今年度の予算の編成に当りまして考え、とりました態度をあわせて申し上げて、御答弁にかえたいと思うのであります。
お話の通り、われわれも目的税にすべしという立場をとった一人でありますが、国会においてガソリン税は道路の目的税的なものにしようという両院の建設委員会が中心となっての強い御要求があったことは、御承知の通りであります。その結果臨時措置法となったのであります。ところが、その臨時措置法が実施をされる、まさに実際の本道に入ろうとするときに当りまして、二十九年度に政府が提案をいたしました予算というものがまた再び国会の論議の的になったというのは、御承知の通り二千円増徴をいたしまして、一万三千円にするが、その全体の三分の一は地方に譲与するというのが政府提案であったわけであります。それで、今あった御意見に近い御意見が中心になって、そんなことではとても承知ができぬ、五カ年計画の基礎をくずすじゃないかということになりまして、両院を通じて国会が強い修正を加えて、この臨時措置法に対する前回の修正となりました。しかし、予算は一応そういう予算に組んでしまいましたので、予算の組みかえは不可能になりました。執行上地方譲与税の中におきまして、三十一億すなわち二千円の増徴分については本来の道路に対する地方譲与税的なものに使う、しかし四十八億円分は本来の一万一千円のワクの中に入るべきであり、これは五カ年計画の内容をなすものであるから、絶対にそれは地方譲与税的な使い方はまかりならぬというのが昨年の措置でありまして、予算と法律とが非常に複雑な組み合せになりまして、一年限りという制度がとられたのが二十九年度の措置であります。そこで私は、こういう前国会の御措置は、二十九年度限りの問題だから、三十年度以降においては、これをすっきり改めなければならぬということを前提に考えまして、そこで今回とりました結論を申せば、前年度の基礎をなしておるところの一万一千円というものをガソリン税の本税といたしまして、それを原則として今年度の道路予算の編成をいたしたわけであります。そうして昨年二千円増徴をして、譲与税的な使い方をすることにいたしました三十一億に当るものに、また二千円の増徴をいたしまして、四千円の地方道路税といたしました。これにはいろいろ御意見はありましょうが、私は昨年のようなガソリン税全体をとって、三分の一は地方へ、三分の二は国へというような分け方は、今も御意見のある通り、仕事の面において非常に混淆をいたしますから、そういうことをいたさないというために、はっきりと一万一千円のガソリン税ということに区切りをいたしまして、そして立てたのが今回の予算であります。同時に、地方譲与税を出すがいいか悪いかという御意見は、いろいろございましょうけれども、私は政府全体の立場から申せば、昨年も二千円の増税分については地方譲与税を現実の問題として国会もお認めになりましたように、その後の地方財政はますます窮迫をいたしておりますから、その窮迫をいたしておる地方財政というものの現実を無視するわけにはいきません。政府がこれだけは地方負担にしろと幾ら法律で命令をいたしましても、地方財源が枯渇をいたした以上は、必要な道路の改修が事実できないのでありますから、私は決して道路の全体の事業量の減ることを望むものではありませんけれども、この現実の地方財政の事態に直面して、できるだけ早く道路の改修を進めて、五カ年計画をすみやかに完遂するという建前で考えましたのが今回の予算措置でありまして、今お話のように、一つは地方負担を一級ずつ、三分の二を四分の三に、二分の一を三分の二に国庫の負担率を引き上げまして、約六十億そのために地方負担は軽減をいたしたわけであります。そのほかに、昨年とりました二千円分のほかに、二千円の増徴と地方道路税七二億を加えますと、約百三十億というものが地方の道路財源に向くわけであります。これと二百六十三億の今回の政府の道路予算とを組み合せまして、すみやかに五ヵ年計画の達成に、この困難な財政事情のもとにおいて進んで参りたいというのが、今度の予算編成の私のとりました態度でありまして、私は決して事態を後退させるようなことは夢にも考えておりませんし、また昨年のいろいろな紛糾を起しました措置を顧みまして、事態をすっきりするという意味において、二つにはっきりと区分をいたしたわけでありまして、建設省としては、これで五ヵ年計画は完遂し得る、同時に、先ほども申し上げました通り、今までの臨時措置法ではまだ不十分でありましたので、すみやかに予算を組まなければなりませんから、ガソリン税の予算額をもとにして道路予算を組みますけれども、実際ガソリン税がそれ以上増徴になっておることは、二十九年度においても四十三億入っておりますから、これは今回の今御審議をいただいておる法律によりまして、一般決算同様翌々年度のはっきりした道路財源に充当する、また今回とりました、先ほど申し上げました直轄分担金についても、あとではっきり道路費の財源にするということを法文に明確にいたしたわけでありまして、これは私は率直に申せば、国会がいろいろな過程は経ましたけれども、このガソリン税を目的税的な財源にいたしました国会の意思は、今度のわれわれ政府の修正によりましてはっきりと道路財源とするためのガソリン税であるということが、政府の意思を明確にいたしたものである、ただ、国会の御意思を尊重する意味において、国会のお作り下すった法案を修正をするという態度に出ましたけれども、私の考えでは、ガソリン税は耐久的な道路財源になった、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/5
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006・原純夫
○原政府委員 大蔵省といたしましても、ただいま建設大臣のおっしやいました考え方と全然同じ考え方で、道路は大事な仕事である、ただ、特に最近数年苦しんで参りました地方財政の問題というようなこととからみ合いまして、今回のような案でお願いするということに相なったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/6
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007・中島巖
○中島(巖)委員 大体建設大臣の答弁はよろしいのですが、ポイントがはずれておるのです。ガソリン税と地方道路税との二つに、二重課税のような形に分けぬようにして、将来ガソリン税一本でいく考えはないかどうか、この点を建設大臣並びに大蔵当局からお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/7
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008・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 私は御質問のお気持はよくわかりますが、これは本当に事務的な問題と考えて、ガソリンにかけておることはもう率直に認めて、何もほかに変ったことではありませんけれども、それを一本で取って、昨年のように一部分は地方に回し、一部分は国が使うというやり方も、一つの方法でありましょう。しかし、それが昨年いろいろ混乱紛糾を来たした一つの原因でありますことから、今度は初めから地方財源に回すべきものと、国の財源に回すべきものとを区別して取るということも、これも私は事務的な立場から考えて、絶対にいけない方法ではなかろうと考えます。この点は、見解の相違ということになりましょうが、五ヵ年計画をくずしてまでわれわれはやろうとは絶対に考えておりませんから、この限度においては、地方財政の現状というものを一方において、道路の改修をすみやかに促進するという立場から見れば、とりました措置は、ごく冷静に考えまして、事務的な措置としてこれで決して差しつかえはない。将来永久に絶対に動かさないかどうかということまで、私が保証する必要はないと思いますが、当面の地方財政の実態では、地方財政をある程度これで見なければ、道路は進まないという事実もお認めであろうと考えますから、今日とりました措置は、私は妥当なものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/8
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009・原純夫
○原政府委員 建設大臣のおっしやる通りに、大蔵省も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/9
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010・中島巖
○中島(巖)委員 大蔵大臣の出席がないので、大へんに遺憾でありますけれども、昨年度の実態から見ましても、また今度の措置法の改正案から見ましても、大蔵当局は、常にこのガソリン税を地方財政の援助に向けようというような意図がぴん、ぴんとわれわれの頭に響いてくるのです。そういう方針でいろいろガソリン税の問題を取り上げておるのではないかというように推測するのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/10
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011・原純夫
○原政府委員 ごく端的に結論的に、道路のための国の予算が、ここ数年どういう経緯をたどってきているかという数字を申し上げますれば、われわれが決してそういう気持からやっておるのでないということを、おわかり願えると思うのでございます。昭和二十六年度における道路の予算額が、国の予算でありますが八十三億でございます。それが二十七年度百十一億、二十八年度は百七十一億、二十九年度は百七十二億、三十年度は、百六十三億というふうに、きわめて顕著に増加いたして参っております。もちろん財政は非常に困難であり、特に二十九年度、三十年度というものは、日本の経済を国際的な競争場裡でがんばっていくというのも、いわば日本が生き抜けるか生き抜けないかというようなことになりますために、各般の財政需要に対しましては、ずいぶん窮屈な思いをお願いしなければならぬような事態に相なって、まあそういうようなことも、こういういろいろな当初の国会で御立法になりました道路関係の立法について、こういう修正と申しますか、変更をお願いする理由にはなっておるのでありますが、それらの窮屈な中で、きわめて顕著にこのように歳出を伸ばしてきておるという点で、われわれの真意が決して道路軽視にない、むしろ道路の重要性は十分認めてやっておるということをおくみ取りいただきたい。本年度は、特に道路と並んで住宅が非常な重点に取り上げられておるのでありますが、この増加の額に至りましても、住宅にまさるとも劣らぬというような結論になっておるわけでございますので、その辺は決して悪くお取りにならぬようにお願いしたい。われわれ一生懸命道路のことをやっておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/11
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012・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 ちょっと、私も逆に補足説明をいたしますが、これは率直に申して、今までの、前内閣という意味じゃありませんけれども、建設委員会ががんばって、道路の財源確保のためにいろいろ政治的な問題が起りました当時は、財務当局と建設委員会との考え方というものが相対立いたしておったことは率直に事実があります。私はそれは認めます。そういう意味からいって、建設委員の御熱心なる各位から見れば、財務当局は道路に冷淡だ、おれたちががんばってようやく財源を確保したのじゃないかというお気持は、われわれもよくわかるのであります。しかし、私は就任以来、実は、この道路の問題に限りませんけれども、財務当局とわれわれとが何かかたき同士のようなけんかをしていることは、決して道路行政を進めるゆえんでない、率直に一つここで話し合って、何かお互いにがんばり抜いて意地っくらでやっていくような態度を改めようじゃないか、そうしてお互いに道路の重要性を考え、また国会の意思がここにあるということを大蔵省も率直に認めて、積極的に一つこれはガソリン税を目的税にはっきりしちゃって、そうして思い切って道路をやっていく。そのためには、われわれも一つ事務的にはそんな変な意地こじは言わないようにして協力してやっていこうじゃないかということで、私、就任以来努力をいたしたつもりでありまして、そういう意味から申して、建設委員会の空気というものは、私にはよくわかりますけれども、今政府の内部において、財務当局と建設当局との間に何らのそういう財源的な措置の考え方、とり方等については、それこそ、今までのようないがみ合いや対立は絶対にありません。私は率直にこのガソリン税を全面的に生かして、思う存分に一つ建設行政の立場でやるから、大蔵省もそれを見ていくという意味において、今お示しをいたしておりますような措置法についても、実にこまかい点まで大蔵省は全部財源を洗いざらい——皆さんから見れば、当りまえだとおっしゃいましょうが、その当りまえのことをはっきりと立法化して明確にいたしました気持は、そういう現われでありまして、どうかそういう点から、私も皆さんの御意思を尊重して、財務当局に主張すべきことは、あくまで今後といえども主張はいたしますけれども、何かお互いに別のワクの中に入っていがみ合うというような考え方ではやっておりませんので、どうか財務当局に対して御不満な点があれば、建設大臣の責任において何でも主張をいたしますから、御遠慮なく一つおっしゃっていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/12
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013・小松幹
○小松委員 関連して、大臣にお尋ねしますが、そういうお考えは、なるほどけっこうです。同時に、積極的に大臣がやろうというお考えもけっこうですが、十九国会で三分の一を譲与にして、今年限りだぞ、何回も閣議でやって、今年限りだと言ったということは、では来年はどうするという含みの上で今年限りの法を作ったのか、そのことをお尋ねすれば、今年限りで来年はどうでもいいというお考えはないと思う。去年から見れば今年ですね。そのときに、今年は一体今大臣が提案しているような形を昨年予想して、今年限りだぞと言ったのか。それとも、こういう便法は今年限りで、来年昭和三十年度は新しく財源を見つけるのだという観点に立って今年限りと言ったのか、その点一つ大臣の御見解を承わりたい。それによって財務当局にまた考えてもらわなければならぬ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/13
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014・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 ごもっともでありますが、私、実はその当時建設委員でもありませんし、野党の立場でもありましたから、当時政府と建設委員の方々がどういう御意図であったということを、全部そんたくをすることはできません。わかりません。しかし、事務当局を通じまして、いろろい委員会の情勢等は、私としてはできるだけ調べまして、その理解の上に立って今回の措置をいたしたつもりであります。すなわち、今年限りという意味は、三分の一という地方譲与税の形で政府が提案をした予算の組み方には承服ができない、だから、その三分の一に当る中で四十八億と三十一億の二つに分割をして、二千円の増税分は地力財源の困窮から見て地方に道路財源として分けることもやむを得まい、しかし四十八億に相当する当初計画をした一万一千円のワク内に該当すべき分は、本来の五カ年計画、すなわち建設省の予算にはっきりとすべきであるというのが、私は昨年の最後の御意思であると判断をいたしまして、そういう国会の意思を尊重して、昨年一万三千円全体を三分の二と一にわける今までのやり方をやめまして、実質的には昨年の五カ年計画の基礎に当る、すなわち、一たん地方へはやったけれども、実行上政府に巻き上げて使う四十八億を、本来の建設省の予算に引き戻しまして、その基礎は幾らになるかというと一万一千円でありますから、その昨年の国会の御決定の基準である一万一千というものをガソリン税本来の財源にいたしまして、本年度の予算編成の建前にいたしたわけであります。私としては、あるいは一人々々のお考えに食い違いがあったかもしれませんけれども、これが昨年の最後の国会の御意思である、すなわちある程度のものは、増税分は、地方譲与税として地方の道路財源にすることも、地方の現状からやむを得まいということは、各党あるいは多少のニュアンスの違いはあったかもしれませんが、お認めになったものと考えて、今回の措置をいたしたわけで、私としては、皆さんの引き続いたお考えをはっきり整理をいたしたと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/14
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015・小松幹
○小松委員 大臣は、前の国会における見解を整理して、筋道を立てて提案したというお考えでしょうが、私どもは、そういう見解より以上、今年限りというのは、いわゆる増税した分を、来年は道路の整備五カ年計画にそっくり使って、地方譲与するような別個なものは、別個な財源を持ってくればいいじゃないかという見解も成り立つと思う。そうすれば、本年大臣になられた者は、一万一千円であったものを一万三千円にしたならば、一万三千円はすっかり整備五カ年計画に渡して、あとはガソリン税でないところの別個な、いわゆる一般財源を持ってきて、地方交付税のようなものを別個に持ってくればいいのに、依然として消費課税であるところのガソリン消費税に加えたということは、これは大蔵当局に聞かねばならぬが、ますますガソリン消費税を引き上げていく方向にくるわけです。それならば、その結果は当然利用者である一般国民にそのしわ寄せがかかってくることになると思う。最も安易な、最も大衆を困らせる消費課税の増額である。この点、大蔵当局としては、そういうことを考えないで、別個な財源措置をなぜ考えなかったかと私は言いたくなる。その点について、大蔵当局の見解を聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/15
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016・原純夫
○原政府委員 道路の整備のために、ガソリンに対する課税による収入を財源とするという考え方をとった立法ができたわけでございますが、伴いまして地方の負担が当初から非常に問題であったわけでございまして、昨年の法律の修正と本年との関係におきまして、建設大臣がお話になったわけでございますが、やはりこういうことのいろいろな動きというものは、道路の国の予算と並んで、地方の負担ということに非常に問題があったわけでございます。そこで、今回ただいま建設大臣のお話になりましたような気持で、一連の改正措置をお願いしておるわけでありますが、ちょうどここ数年、いわばたまって参りました地方財政の処理というものを、本年何とかしなければならぬということで、他面におきまして地方財政の財源の関係のいろいろな法案ないしそれに伴います財政上の措置もいたしまして、始末をつけなければならぬという時期になってきておるわけであります。おっしゃいますように、道路をやるにいたしましても、他の財源を持ってくるという御希望も、もちろんおありになることでありますし、決して間違っていると申すわけでございませんけれども、ガソリンの価格、消費の状況その他から考え、また道路にガソリンという、率直に申して、非常に目的税として、古今にあった目的税のうちで、最も強力な目的税であろうと思います。われわれもちろんそれを尊重してやって参るつもりでありますが、これだけ強い目的税をお取りになるという道路整備という観点からいうて、ある程度のところは認めていただけるのではなかろうかというつもりで、この財政だけの見地からいいますと、卒直な腹を言いますれば、もう少しいかぬものかという気分も実はあったのでございます。いろいろただいまお話のような気持もあり、あまり、極端にいってはいかぬぞというようなことで、われわれとしてあまり大きく常識をはずしたつもりではないと思って、実はお願いしておるようなわけです。御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/16
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017・小松幹
○小松委員 地方財源が枯渇しいおるのだ、それを何とかしなければならぬというところまでは、大蔵当局も私も観点が同じなんです。それをガソリン消費税にやはり依然としてぶっかけておるところに、私は問題があると思う。目的税を作れば、必ず逐年それが増加していくということが通例なんです。だから、最初ガソリン税を作るときにも問題があった。こういう目的税を作るのは、便法としてやむを得ぬ、忍ぶけれども、必ず来年は追い討ちをかけ、また再来年はと、年々その目的税が強力に増加してくるというのは通念である。その心配があったのにもかかわらず、依然として目的税であるガソリン税が追い討ちをかけられて、一万一千円から一万三千円へ、また一万五千円へと上ってくる。再来年は一万七千円に上る。そういうことをやるということは、私は最も安易な方法であると思う。同じ油にかけるなら、消費者ばかりにかけないで、なぜ原油の関税にかけないのであるか。現在の石油精製業者は、ほとんどアメリカ資本を入れて、大部分のものが大きな利潤をむさぼっておる。原油関税には一向に取り合わないで、消費者であるところのガソリン税にばかりかけておる。そして地方財政の負担まで、ガソリン消費税に加えている。今のトラック業者あたりが、一万五千円の揮発油税、あるいは他のいろいろな税金の面から、果して経営がうまくできるかどうかということを考えたときに、もうこりごりだと言っておるのは、当然です。目的税であるガソリン税、そこまで利用者に負担をかけるとなると、これは話が違うと言うのは、当然だと思う。そこで、財政的な見地から、地方の財源を何とかするいうなら、その何とかを揮発油消費税のような目的税に持ってこないで、別個に財源を求めるべきである。しかも別個に、ほかのところに求めることができなかったならば、同じ油であるならば、揮発油税の消費税にかけないで、原油の関税にかけていただきたい。今のお話を聞きますと、もちっとかけてもいいのではないかという。この前の大蔵省の説明でも、これは世界的の情勢で、油は安いから、うんとかけてもいいという。本日もまた、このくらいはいいのではないか、もちっとかけたいけれども、このくらいはいいのだといっておることは、何かガソリンに対して、俗な言葉でいえば、目くじらを立てて、もっとかけ、もっとかけという考えが大蔵当局にあるのではないか。ガソリンを目くじらを立てるということは、結局ガソリンの消費者である事業者だけではなく、やがてはバス、トラックの運賃の値上げというようなことにしわ寄せされてくることになる。なぜ原油の関税にかけないのか、またどういう見解でもっとガソリン税をかけたらいいと考えておられるのか、その点をはっきり言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/17
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018・原純夫
○原政府委員 地方財政の財源の窮迫に対しまする手当といたしまして、地方道路税を措置いたしたいと思いまするほか、国の側といたしましては、かなり突っ込んだいろいろな手を考えておるのであります。たとえば、交付税にいたしましても百三十二億、今年度お願いいたしております予算の中で、一番大きい増加項目は、これであります。これをお願いしておるということとか、あるいは専売の益金の中から普通のタバコ消費税のほかに、三十億を地方へ回すという措置をとりましたり、さらには入場税が譲与税で地方へ回っておりますし、譲与税にしてもいろいろな原因で国税に移管になった税でありますので、一部は国税に残すという気持で、一割は国が取るということになっておるのでありますが、今年はもう大へんな年だから、この一割も遠慮して全部地方へ入れるということにしておる。その他再建整備の債券の引き受けとか、利子の補給とかいろいろやっておるのでありまして、決して地方道路税だけでこの地方の財政窮迫を緩和しようなどとは考えていない。いわばあらゆる手を考えて、今お聞きになったような中には、かなりみみっちい数字も出て参りますが、その辺は決して他意ないものと、一つ御了承いただきたいと考えるのであります。なお、ガソリンに対する課税が、合計いたしましてふえるということは、まことに恐縮でございますけれども、道路の整備、これは先ほど申しまたしように、かなり急速にテンポを伸ばして、将来もやって参りたいと思っておるところでありますので、ガソリンを消費される向きにも、できるだけ応援を願いたい。そもそも目的税というのは、応援を願う格好でありますけれども、ある意味では、道路がよくなるのだからというところで、若干の負担増ということはお願いいたしたい。並行いたしまして原油につきましての関税問題は、私最近のステップはよく存じませんが、B重油C重油につきまして関税を復活するという建前でこの話が進んで、おそらく法案のお願いももう出ているのではなかろうか、そういう運びになっていると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/18
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019・中島巖
○中島(巖)委員 この道路税の改正案に対しまして、常にガソリン税の問題が出るのでありますが、そのたびごとに、大蔵大臣にしましても建設大臣にしましても、地方財政の困窮をつくるのであります。ガソリン税と地方財政と、何の大きな関連があるのか、私はかように考えるのでありまして、結局これは、民主党は国に対しまして、政府の公約として五百億の減税を公約いたした、その公約の減税の出場所がないために、昨年度一割八分から上げたガソリン税に対しまして、また二千円ぶっかけた、それから砂糖消費税、入場税等から取り上げた。いわゆる左の手で与えておいて右の手で取り上げる、こういう不当課税をいたしまして、それを道路一本に使われることは困るから、いろいろな名目をつけて地方財政の困窮を救うのだというようなことにおいて糊塗しているようにしか、今までの答弁を総合して、考えられないのであります。
本日、大蔵大臣の出席のないのは、はなはだ遺憾であります。主税局長にお伺いいたしますが、昭和二十九年十月四日付で、地方自治庁から大蔵省に対しまして、地方道路額についての要求書が出ているわけです。それにはガソリン一キロリットルに対して二千円を地方道路税として回していただきたいということをはっきりうたってあるわけであります。これが出ているかどうか。地方自治庁から大蔵省に対して、地方道路税を二千円と要求したのを、なぜ四千円にしたのか、この点をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/19
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020・原純夫
○原政府委員 私は主計局次長でありますが、主計局も財政に関係がありますので申し上げます。昨年の秋、日付はおっしゃる十月四日かどうかはっきりいたしませんが、大体その時分であったかと記憶いたします。自治庁から、ある業者の公演をやったことがございます、その席上で、地方道路税というものを考えたいというお話を受けたことはございます。そのときの税額が、多分おっしゃる通り二千円であったかと思います。そこは私記憶がはっきりいたしておりませんが、多分そういう形であったろうと思います。それは三十年度の地方財政問題全般について、いろいろ話し合いをした会合のときであります。そういうお話があったことは確かでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/20
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021・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 私に御質問じゃありませんけれども、少し地方財政との関係について、私の申しようがあるいは不十分な点がありはしないかと思いますから、補足をさせていただきます。地方財政云々ということにばかりとらわれて考えているのはおかしいじゃないかというふうな御趣旨のようでありますけれども、そういう気持ではありません。しかし、現実の場面としましては、地方財政というものを無視して、ことに建設行政は一番地方財政に関係の多い省でありまして、ただ国の計画だけを押しつけましても、それだけでもって所期の目的を達するという段階ではもうないと私は思う。それで、今度の予算編成につきましても、これは道路ばかりではありません、現に住宅におきましても、公営住宅を半分地方団体に負担をさせますために、約百億の地方負担を今回の計画でも地方に負ってもらわなければなりません。それをどうしても何とか軽くしようと考えたのが公団の制度でありまして、公団が、御承知のように、百六十六億の全事業費のうちで十六億、すなわち一割を地方の負担に要請をいたしているという点は、私の一番のねらいは、地方負担を軽くする、地方負担を軽くしなければ公営住宅を建てろと幾らやっても、建てません。それは現に東京で家が建たないのが、その原因であるように、公営住宅の制度は、だれが考えてもいい制度でありますが、半額国庫負担というものは、今日の地方財政の現状において、これ以上押しつけていくことができないという、この壁にぶつかった現実というものをわれわれ前提にして、今度の住宅政策を考えましたように、道路の計画につきましても、これは五カ年計画だから、国会がきめたんだから、お前の方で負担するのが当りまえだと言ってみましても、もうすでに破産に瀕した地方財政の状態からいえば、道路は作りたいけれども、金がなければしようがないというので、割当を返す県が出てくるという事実、これはいたし方ありません。そういう出意味から、今御指摘のような、長崎県の話は初めて聞きましたが、けしからぬ話でありまして、法律できめられたことを無視してやった知事は、糾弾をいたさなければならぬと思いますが、しかし、これはあとでよく取り調べて事態を明らかにいたしたいと思いますけれども、今回提案になっております地方道路税も、要するに道路に使うのだということを明確にいたしている以上は、これだけ地方財政のことを考えることが、皆様の御要望になる道路行政をすみやかに推進するという、これよりほかに私はやりようがなかろうと思う。要するに、地方財政を無視して計画を折しつけろとおっしゃっても、それはできません。そういうためには、ごたごたしたやり方よりも、すっきりと私はやる。ただお話のように、二千円がいいか四千円がいいか、これは取られる身になってみれば、多いのを反対するのは御無理がありません。なるたけ少くてやりたいのでありますが、その辺は大蔵当局も、また自治庁も、全体の地方財政の立場から考えられたことでありましょうし、この辺が適当な額であるかどうかは、政府としてはこの程度お願いをいたしたいというわけでありまして、これまたいろいろ一つ御審議をいただきたいと思うのでありますが、決してわれわれは地方財政の名のもとに筋の違ったことをいたしているとは考えておりませんから、どうぞ一つ御了解を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/21
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022・中島巖
○中島(巖)委員 建設大臣の御答弁につきましては、非常に私と考えが違うのでありまして、これは見解の相違でありますのでこれはそれといたしまして、本日大蔵大臣の御出席がないのは、非常に遺憾でありますけれども、三十九年の十月四日に、地方道路税額について地方自治庁が要求いたしました全文がここにありまして、はっきりと二千円を地方道路税としてもらいたいということがうたってあるのであります。これを読んでいただけると、はっきりとおわかりになってけっこうだと思いますが、時間がありませんから読みませんけれども、自治庁からこういうはっきりした要求があるにもかかわらず、また現在の趨勢からいたしまして、十分現行税率でもって大蔵省の予算額だけの税収が見込まれるにもかかわらず、なぜ二千円上げたか。しかも、通産省と運輸省におきましては本年度のガソリン輸入量が二百六十八万キロリッターということに決定いたしているにもかかわらず、大蔵省は二百三十五万九千キロリッター、その間輸送用の燃料あるいは目減りというようなものも、多少見込まねばならないのでありますが、なぜこうした大きな開きがあるか。官庁などにおいては二重帳簿を使うのか、この点について、はっきりした御回答を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/22
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023・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 大蔵省から、あとで数字的な説明があると思いますが、決して二重帳簿じゃないのでありまして、これは通産省は外貨の関係から数字が出ましょうし、運輸省は自動車の関係から出ましょう。そこで、この政府の中において違うことは、決して二重でも三重でもありません。しかし問題は、先ほども申しておるように、違った数字を出しても、決算において、その財源が全部今度の法律改正によって、道路財源になるということでありますから、そういう話し合いを前提としておりましたので、われわれも今度の予算の基礎を承認いたしたわけでありまして、数字的な食い違い等は、結果においては何ら影響ないということであります。私どもの立場だけを申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/23
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024・原純夫
○原政府委員 二百六十八万キロリットルといいます数字は、上半期の外貨の割当から一応推測いたしました年間の数字でございます。それで下半期はどうなるかという点で、若干の問題がございます。その上に二百六十八万キロそのまま一ぱいを、税の収入において見てよろしいかということになりますと、必ずしもそうは参らない。といいますのは、これは歴年の昭和三十年の消費見込みでございます。われわれは税収におきましては、四月から三月までの会計年度の収入を見なければならぬ。そういたしますと、当然そこに数字の、三カ月移ってくるという入り繰りがございますし、また消費が行われますのと課税の時期というものが、御存じの通り引き取りの時から二月半という、収入が入りますまでの時期の問題もございます。そういう関係で、必ずしも一ぱいに見れないという要素がございますのが一つ。
それから二十九年度におきまして、御承知の通り、相当な決算上の超過が出ることになって参っております。これはいわば前年度において相当課税されたものの在庫を、本年度に消費するという関係が、実は出ておるのでございます。そういうような年度間の持ち越し、それにはすでに課税収入になっておるというものが、本年度の消費に当るというようなことでありますから、本年度の税がそれだけ少いというようなことでありますから、本年度の税がそれだけ少いという事情が出て参る、また航空用の燃料の消費量というようなあたりにつきましても、若干の問題があるというところから、二百六十八万キロと、われわれの税の見込みのベースとなっております二百三十六万キロの差は、大体そういうようなもので説明がつく。税の見込みにおきましては、御案内の通り若干の安全率を見るというようなこともあるわけでございますので、決して不当に為替割当ないし通産省の消費見込みというものを無視しているつもりではございません。
なお、建設大臣もおっしゃいましたように、実績において余剰が出ます場合には、二年度あとにおいて精算するということは、今回御提案しておる通りであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/24
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025・中島巖
○中島(巖)委員 大分私の質問ばかり長くなりましたので、まだたくさんありますけれども、私の考えを申し上げて、この程度で質問を打ち切りたいと思うのでございます。
いずれにしましても、この審議に当りまして一貫してわれわれの頭に感ずることは、結局このガソリン税の不当課税を、道路整備の名目で取りあげまて、そうして窮乏せる地方財政を救助するんだということが、あらゆる答弁、法案のうらに、一脈関連いたして流れておるというようにしかわれわれは取れないのでありまして、どうもわれわれが釈然とするような答弁を、大蔵大臣また建設大臣も政府委員もしていただけないということを大へん遺憾に思う、こう率直に私申し上げるものでございます。
次に、大蔵当局は、諸外国に比較してわが国のガソリン税が低いというような考えのもとに、これは当然であるというようにお考えのようでありますけれども、その基盤となっておるところの自動車そのものが、諸外国と日本とどういう情勢にあるかということも、よくはっきりと御認識いただいておかねばなりませんので、この点ごく簡単に三、四の欧米の例を取って申し上げたいと思うのであります。
アメリカは、年間国民一人の平均所得が六十六万九千六百円という数字になっております。フランスにおきましては二十四万九千八百幾ら、イギリスにおいては、二十五万九千五百六十円、わが国においては、たった五万九千円というのが、現在の国民所得の状態であります。そして、いかなる自動車をどのくらい使っておるかと申しますと、アメリカ合衆国におきましては、小型車を除きまして、五千四百九十四万三千台あるうちにおきまして、乗用車、すなわちお客を乗せる車が四千五百四十五万二千台ありまして、その他は貨物と乗合いで、全数量の八一%をこの乗用車で占めておるのであります。フランスにおきましても同じような数字でありまして、七〇%以上をこの乗用車で占めておる。イギリスにおきましても七二%を乗用車で占めて、その他が貨物、乗合いである。しかるにわが国におきましては、乗用車が十一万六千台でありまして、貨物が五十二万九千台でありまして、乗合いが二万八千台であります。結局貨物自動車が全数量の七八%を占めておるのであります。従いましてちょうど諸外国と逆になっております。諸外国においては、約八〇%が乗用車でありますが、わが国におきましては逆に八〇%近いものが貨物自動車だ。従って、国民生活に与える影響は非常に重大なものなのでありまして、わが国の自動車の実態をよく把握されて、しかる後にこのガソリン税の課税方針を樹立しないと、国民経済を麻痺させるおそれがある、かように考えるのでありまして、この点特に注意をお願いいたしたいと思うのであります。
次に、建設大臣に伺いたい。これは地方的なことでありますけれども、地方といたしましては非常に大きな問題でありますので、関連質問をいたしたい。予算に関係があるように思いますけれども、実は例の佐久間ダム関係の問題であります。昭和二十九年二月十七日の建設大臣、静岡、愛知、長野の三県知事、電源開発の副総裁の間における佐久間ダム開発に伴う水没地対策に関する覚書というものの一項の中に「次の道路は国の計画の決定に従い会社は応分の費用負担をする」ということで、順次それらの名称が出ておるのであります。しかしながら、佐久間ダムは来年五月完成の予定にありまして、もし完成いたしますれば、過去の例から見まして、なかなか電源開発会社がこれを実行しないという点につきまして、愛知、静岡、長野の三県の地元民は、これに対して非常な不安を感じておるのであります。本年の計画につきましては、予算面にそれが全然出ておりませんけれども、建設省といたしましては、どんな方針でおいでになるのか、大臣から率直に答弁を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/25
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026・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 お話の点は具体的な問題でありますから、私も、軽率な御返事をいたすよりも、よく内容を取り調べまして、正確に御返事を申し上げる方が、至当かと考えます。と申すのは、今年の国の予算に現われました分だけではないと私は思います。あれは補償の性質からいって、電源開発会社が負担するものが相当ありましょうし、また農林省所管でやる、いわゆる林道の問題もあると私は承知をいたしておりますので、お話の点は、全部決定をしたものの内容の一つ一つについてのことでもありましょうから、一つよく取り調べまして、進行の状況、またおくれておりましたら、われわれのなすべき責任において、促進をはかるように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/26
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027・中島巖
○中島(巖)委員 建設大臣の答弁、よくわかりましたので、お調べの上、文書か何かで御返事願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/27
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028・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 きょうは論争はいたしません。先ほど中島委員や小松委員の質疑に対して、建設大臣から、いわゆる道路財源の揮発油税のいきさつについてお話がありましたが、多少違っておると思いますので、ここで申し上げておきます。
二十九年度の揮発油税譲与税の法案を審議いたしますときに、道路整備費の財源等に関する臨時措置法の趣旨に反する、こういうことで非常な紛糾を来たしたことは、先ほど御説明の通りであります。そこで四十八億と三十一億に分割して、大蔵省、建設省それから地方自治庁の政務次官の会談までやって一応おさめてきたのでありますが、そのときのあの、今日できております——今は効力がなくなっておりますけれども、「昭和二十九年度」というのを表題につけたのは、原案にはなかったのでありまして、こういう臨時措置法の趣旨に反するような方法は将来絶対に講じない、そういう趣旨で、あれはことさらに「昭和二十九年度」という表題を掲げて修正してできた法律であります。でありますから、先ほど何かああいう紛糾をしたのは、いわゆる揮発油税の中から、昨年は七十九億でありましたけれども、そういうものを地方に譲与するということが非常な紛糾のもとになった、こういうことだから、それを払拭するために地方道路税及び地方道路譲与税というものを今度やるのだというふうな御趣旨のお話がありましたが、それは国会の趣旨とは根本的に違っておるのであります。その点だけを申し上げておきます。
それともう一つ、これは建設大臣と大蔵省の原次長の見解をこの際伺っておきます。先ほど、正直な原さんだから、ちょっと本音を吐かれたのでありますが、この道路の財源に対して、揮発油税の相当額を充てるということについては、大蔵省は命をかけて反対した、それは原さんがよく御存じのはずです。ところが、国会は全会一致で両院を通過した。それについては、相当の反撃をしようというお気持があることは、私どもは知っておるのです。それが昨年昭和二十九年度限りの揮発油譲与税ができた根本の原因でありますが、それが今日まで糸を引いておる。ところが、先ほどちょっと原さんの口がすべったのでありますが、だいぶん道路に熱意を示されるようになっておる。そこで、今度はいわゆる臨時措置法の一部改正法律ということで、実収入額と予算額、いわゆるあなた方の見積額との差額、そんなものはこの法律には入っておらないのだということを、今日まで強力に主張されておったけれども、それを入れるような改正の案を出しております。これは一昨日の委員会でも申し上げましたように、一大進歩であります。進歩ではありますが、あなた方の腹の底と申しますか、頭のすみにどうしても残っておるのは、さっきもお話がありました、簡単に取りやすい、財務当局としては非常に都合のいいこの揮発油税を、何とかいろいろな方面に使いたい。従って、道路について熱意があるようにおっしゃったけれども、いろいろな予算その他法律案の出し方を見ておると、これは何とか一つしぼれるだけしぼってみたいという気持があるのです。これはないとおっしゃるかもしれませんけれども、現にそういう行き方をされておる。それは今度の予算案を見ればわかるのであります。あの臨時措置法をあすこまで強硬にやりましたのは、財務当局が、国の基本政策である道路について熱意があるとおっしゃるけれども、財源を与えない、それがもとになってああいうふうになったのであります。あの法律を作ったのは、何も道路政策は揮発油税だけでやろうという考えでなくて、少くともこれだけの財源は確保しておく、そのほかに——これはあの審議の過程をごらんになればすぐおわかりになるように、一般財源もこれにプラスするのだという考え方でやってきておる。ところが、大蔵省としては、だんだん揮発油税がふえてきますから、できるだけこれを押えよう——それは昨年十数億に上った一般財源が、今年は三億に減らされておるということではっきりしておるのです。そこで、私がお尋ねしたいのは、今度この差額をやはり次の道路財源に充てるという改正案について、これはうかつにしておると、この法律によれば、揮発油税の実収入だけを道路財源に充てればいいのだという主張をされる根拠になるおそれがあるのです。建設大臣や大蔵省の考え方は、そういうことでなしに、これもやりますが、やはりそれにプラスの一般財源というものを考えておる、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/28
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029・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 瀬戸山さんのお考えの通りに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/29
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030・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 大蔵省はどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/30
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031・原純夫
○原政府委員 一般財源からもある程度、わずかではありますが計上しておるのは御存じの通りであります。だいぶ減りましたのは、提案されております法律案との関係、直轄分担金との関係でございます。なお、お願いしております法案にあります通り、決算の場合は、この辺をびしっと何するというふうに向こうはできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/31
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032・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 その点は、私あくまで明確にしておかないと、今出されておる一部改正法律を、あるいは修正しなければならぬと考えておりましたので、それを明確にしたのであります。この法律によって、道路財源というものはこれだけでいいのだというような主張をされることになれば、せっかくの道路整備費が逆転すると考えましたので、これをお尋ねしておいたのです。
もう一つ、これは先ほど中島委員の質疑にありましたように、長崎県の実例その他を出されております。今建設大臣は、そういうことはけしからぬ、そういうことのないようにしようとおっしゃるけれども、これはこの前も問題になったのでありますが、実際はなかなかそうはいかない。私どもは、地方道路税についてはあるいは反対するかもしれませんけれども、しかし国会の意思によってどうなるかわかりません。もしこれを建設大臣のおっしゃるように、第六条に書いてありますように、地方道路の経費に充てなければならないということを確信しておられるようにおっしやるならば、もう少しそこを明確にしていただきたい。あるいは自治庁と建設省と協議の上でやるというような、もう少し具体的な法律を書いておかないと、なかなか建設大臣がこの委員会で責任を持ってそういうことはないようにしようと言っても、事実はそうなるのであります。この間も申し上げましたように、その点については何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/32
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033・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 法律には道路に使うということを明確にしておりまして、実際のやり方につきましては、今お話しの通り、自治庁と協議いたして、割り当ての際もやりますし、その後の問題も協議をするということに話し合いがついておりますけれども、なお御意見等を伺いまして、われわれ万全の措置をとることに何ら異議を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/33
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034・内海安吉
○内海委員長 本法案に対する質疑はこの程度にいたしまして、明二十七日午前十時よりあらためて会議を開き、本法案に対する質疑を続行することにいたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01319550526/34
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