1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年六月六日(月曜日)
午前十時二十八分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君
理事 廣瀬 正雄君 理事 逢澤 寛君
理事 瀬戸山三男君 理事 西村 力弥君
理事 今村 等君
伊東 隆治君 薩摩 雄次君
田中 彰治君 松澤 雄藏君
山口 好一君 大高 秀一君
久野 忠治君 仲川房次郎君
二階堂 進君 小松 幹君
三鍋 義三君 安平 鹿一君
山田 長司君 中島 巖君
松尾トシ子君 石野 久男君
出席国務大臣
建 設 大 臣 竹山祐太郎君
出席政府委員
建設政務次官 今井 耕君
建設事務官
(大臣官房長) 石破 二朗君
建 設 技 官
(計画局長) 渋江 操一君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
建設事務官
(住宅局住宅企
画課長) 南部 哲也君
建設事務官
(住宅局住宅建
設課長) 鎌田 隆男君
建設事務官
(住宅局住宅経
済課長) 鮎川 幸雄君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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五月三十一日
委員有馬輝武君辞任につき、その補欠として赤
路友藏君が議長の指名で委員に選任された。
六月一日
委員赤路友藏君辞任につき、その補欠として有
馬輝武君が議長の指名で委員に選任された。
同月三日
委員仲川房次郎君辞任につき、その補欠として
久野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
同月六日
委員荒舩清十郎君辞任につき、その補欠として
仲川房次郎君が議長の指名で委員に選任された。
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五月二十七日
結核回復者の住宅確保に関する請願(福田篤泰
君紹介)(第一一一六号)
球磨川改修工事促進に関する請願(福永一臣君
紹介)(第一一四八号)
市房ダム建設促進に関する請願(福永一臣君紹
介)(第一一四九号)
同月三十一日
国道一号線舗装工事促進に関する請願(今井耕
君紹介)(第一三九九号)
吉田川上流改修工事促進に関する請願(保科善
四郎君紹介)(第一四〇〇号)
西川橋の路線変更等に関する請願(大島秀一君
紹介)(第一四〇一号)
六月三日
伊集院町の都市計画事業促進等に関する請願(
原捨思君紹介)(第一六六二号)
川尻国道建設計画変更に関する請願(石坂繁君
紹介)(第一六六三号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本住宅公団法案(内閣提出第六三号)
昭和三十年度建設省関係予算に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
三十年度建設省関係修正予算の内容について、石破官房長より発声を求められております。これを許します。石破官房長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/1
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002・石破二朗
○石破政府委員 いずれ正式にきまりましたら、建設省からも資料として提出いたしたいと思いますが、私どもの聞いております範囲におきまして、修正予算建設省関係分のこまかい内訳につきまして、御説明申し上げます。
河川等事業費でございますが、内地と北海道と両方合計いたしまして、五億増ということに相なっております。内地と北海道の割合は、内地が四億三千四百万円でございまして、北海道が六千六百万円でございます。内地の河川等事業費のこまかい内訳でございますが、これを直轄に二億九千万円、中小河川の補助に一億匹千四百万円増と相なるように聞いております。この分け方につきましては、その根拠はよくわかりませんけれども、一応当初要求いたしております予算額の比率によって分けておるようであります。
その次に、総合開発事業費、つまり多目的ダム建設に要する経費に二億ふえておりますが、この内訳は、直轄に八千万、補助に一億二千万、こういう内訳に相なっております。
それから災害復旧は、災害復旧に要する経費は合計四億五千万でありますが、これを建設省、農林省、運輸省、各この事業を担当しておりますところに分けておりまして、その分け方の比率はそれぞれ残事業の多寡に比例いたしまして分けております。その結果、建設省関係といたしましては二億八千三百四十一万円、農林省関係が一億四千六百二十万五千円、運輸省関係が二千三十八万五千円、計四億五千万と相なっております。建設省の二億八千三百四十一万円の内訳は、直轄が一千四十四万円、補助が二億七千二百九十七万円、かように相なっております。以上北海道を除きまして——災害は入っておりますが、公共事業費で増加と相なりましたものの合計が九億一千七百四十一万円であります。これに北海道の河川総合事業費の六千六百万円を加えますと、九億八千三百四十一万円ということに相なっております。
次に公共事業費以外の一般の経費でありますが、防火建築帯の補助に六千万円、これは当初要求予算には計上いたしておりませんでしたが、六千万円新規に増加と相なることになっております。
次に、産業開発青年隊の導入に要する経費といたしまして、一千万円追加になっております。これを合計いたしますと、七千万円。公共事業費と総合計いたしますと、九億八千七百四十一万円の増加であります。これが一般会計であります。
次に特定道路の関係で、借入金五億増加と相なっております。この内訳は、まだしっかりきまっておらぬと承知いたしておりますが、若干の新規事業も新たにやり、さらに継続にも相当額をふやすということに相なろうかと想像いたしております。
なお、大蔵省所管予算でありますけれども、住宅金融公庫出資金五十二億円のうち四十五億円は政府の低利資金の融資に振りかえられております。その結果、住宅金融公庫の資金繰りなり利息の関係でございますけれども、御承知の通り住宅金融公庫は、従来とも政府の出資金と、政府の低利資金六分五厘の預金部資金なり、簡易保険の資金を借り入れまして、これをならしまして、五分五厘で貸し付けておるわけでありますが、政府の出資金と運用部資金なり簡易保険資金の割合というものは、ある程度の比率を取っておきませんと、平均五分五厘に回すというのはなかなか困難であります。本年当初五十二億予定しておりましたのが四十七億になりましても、本年度に関する限りは公庫の業務運営には差しつかえありません。従いまして、貸付金利を、五分五厘ということが法律できまっておりますが、これを動かす必要はないと考えております。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/2
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003・内海安吉
○内海委員長 これに対して何か御質問ありませんか。——御質疑はないと認めます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/3
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004・内海安吉
○内海委員長 次に、日本住宅公団法を議題として、これより質疑に入ります。通告順によりこれを許します。廣瀬正雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/4
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005・廣瀬正雄
○廣瀬委員 日本住宅公団を作ることにつきまして、さような新しい機関を作る必要があるかどうかということ、あるいは公団の性格、事業内容、資金計画というような問題につきましては、すでに活発な論議が重ねられております。われわれもその大体の要領、大綱については、知ることができたのでございますけれども、この機会に、公団法案について二、三お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
まず、日本住宅公団という新しい機関ができるわけでございますが、この公団という名称の意義、これをまずもって政府当局におかれてはどのようにお考えになっておるか、この点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/5
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006・石破二朗
○石破政府委員 正面に申しまして、公団という文字には、そう大した理論的な根拠は持っておりません。政府の出資と地方公共団体の出資と両方を資本金としました一種の公法上の法人と、かように考えております。そういう資金構成、事業の内容等からして、公団という名前が適当であろう、かように考えた程度であります。戦争直後各種の公団というものができましたが、文字は同じでおりますけれども、これらとは全然性質は異なっておると考えております。あれは、御承知のように政府の機関でございましたが、これは政府の機関ではございませんので、あれとは全然関係のないものであります。かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/6
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007・廣瀬正雄
○廣瀬委員 この公団の設立につきまして、一部には公団という名称をやめて、公社というような名称にしたらどうかという意見もあるようでございますが、公社ということになりますれば、政府関係機関であります。電電公社とか国鉄でありますとかいうような、あの公社と混淆されやすい名称になる。内容が違いまして、名称が違わないということになりますれば、さような混淆を来たすおそれがあると思うわけでございまして、私は公団という名称が一応しかるべきではないかというように考えておるのでございますけれども、さようなことについての政府当局の御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/7
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008・石破二朗
○石破政府委員 お話の通り、現にあります公社という名前を使っておりますのは、普通政府の機関についてこれを称しております。もちろん民間におきましては、住宅公社というような名前を、地方によりましては使っておるところもあるようでありますし、民間にも相当あろうかと思います。これは、公社という名前を政府機関以外に使っていけないという法律がないせいでございましょうが、民間機関で公社という名前を使っておる例もあるようであります。従いまして、法律上からいいますと、現に考えております公団を公社と称しましても、別に違法とかなんとかいう問題は起らぬかと思いますけれども、お話の通り、現に政府機関としてありますこういう団体について公社という名前を使っておりますので、それと違うという意味で公団が適当であろう、かように考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/8
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009・廣瀬正雄
○廣瀬委員 かつて存在いたしました住宅営団につきましては、冷厳な批判がなされておることは、御承知のところでございますけれども、今回提出されました公団法案を拝見いたしますと、私どもが従来伺っておりました住宅公団の内容とほとんど変らないという感じがいたすわけでございます。この公団が、住宅営団の前轍を踏むおそれがある、かような機構でありはしないかという心配も持ち得るわけでありまして、これにつきましての政府御当局の御所見を承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/9
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010・石破二朗
○石破政府委員 営団がいろいろの関係で事業が行き詰まり、有終の美をなしたことにはならなかったということは、よくわかっておりますが、営団が当初の目的を達しなかったことにつきましては、いろいろな原因もありましょうけれども、終戦直後というような特殊の社会情勢のもとにあったことも、大きな原因であろうと思います。私どもといたしましては、この公団に関する限りは、不始末を来たさないように、制度の上でも、さらに今後の人事その他業務の運営に関しましても、十分の注意を払って参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/10
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011・廣瀬正雄
○廣瀬委員 今度日本住宅公団を新しく設立するということにつきましては、もとより鳩山内閣が考えております、また国民に公約いたしました大きな政策であります四十二万戸の推進ということにねらいがあるのでありまして、本年度におきまして二万戸の建設をしたいという計画のように承わっておるのであります。従いまして四十二万戸というのは、日本の住宅難を十カ年に解消したいという目途のもとに考えております政策でありますので、住宅公団の事業計画もさような目標のもとに事業を推進して参りまして、今年度が二万戸の建設ということになっておるものだと考えておるわけでございますが、この住宅公団の今後の事業推進の構想、何カ年計画でどのような事業をやっていくかというようなことについて承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/11
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012・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 予算の修正の問題で、ただいま両党の修正案を閣議で了承をいたしましたためにおくれまして、まことに申しわけございません。今、廣瀬委員の御質問の住宅公団が、まだ御審議中でありますから、われわれとしては、現在の段階におきましては、今予算で考えております二万戸の計画々基礎にいたしまして、将来の十カ年計画で住宅計画全体を完遂するという構想で進んでおるわけでありますから、今御審議をいただいておる公営住宅を三カ年間に十五万五千戸建設するということを政府が公式に決定していますが、それ以外の面につきましては、計画として、いつも申し上げるように本年度を起点にして、六カ年のいわゆる自立経済の計画に基きまして、国民所得の漸増に応じて全体の線を進めて参るという考えでおります。しかし十年の間でありますから、経済情勢の変化等もありましょうし、また明年度予算には拡大均衡の傾向も出て参りましょうから、明年度以降の予算の実質的な編成は、また今後の情勢に応じて、また今年の予算を実施いたしました体験に基きまして、国会のいろいろな御意見を基礎にして慎重に立てて参りたいと考えておりますが、今のところは、これを基礎にして漸次拡大して進めていくということに考えておりますので、今年度の計画はそういう意味においていずれ本最小限度の線をこれで確保いたしていきたい。
それから実施のやり方等につきましては、もちろん一応法律及び予算の基礎として考えておるわけでありまして、これを一番実際の面に沿うように、すみやかに計画が実行に移れる方法をとることが適切だと考えておりますから、実施の面においてはよく考えて参りたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/12
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013・廣瀬正雄
○廣瀬委員 ただいま承わりますと、公団が本年度二万戸を建設するということは最小限度の目標であるというお話でございます。公団の発足の関係上、本年度は予算が少な目にたっておるようでありますが、果して本年度中において二万戸の建設が公団の手においてできるかどうか。これはすでにお尋ねいたしたことでありますけれども、この点は公団について相当大きな問題であろうと考えておりますので、重ねてお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/13
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014・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これは私だけの考えを申しますと、従来も、公営その他の計画を実行をいたしました体験からいたしまして、一番の問題は、資材にあるのではないのでありまして、土地の問題と、資金の問題、特に資金の問題にあると思います。そういう意味で、公営等は、政府が金を出しても、裏打ちをすべき地力の財源がなかなか思うようについていけなかったという点に、大きな難点があるということを一面に考えますと、公団は、とにかく政府の財政出資を初め、民間資金も予約済みでありますから、百六十六億の資金は、一応国会の御審議決定が済みますれば、すみやかに準備を進めることによって、全体の資金は立ちどころに集まるわけでありまして、他にこれに伴う手持ち資金を要するとか、あるいは頭金を要するとかいう問題ではないのでありますから、私は事務的に準備を進めることによりまして、一ところに集めて考えれば非常に大きいようでありますが、これを全国的に分散をするならば、実施上において非常な難点というものはないと私は思います。もちろん、事業でありますから、ただ机の上で言うように簡単にはいきませんけれども、一番の隘路であるところの資金はもう用意済みでありますし、計画準備をすみやかに手配をすることによりまして、二万戸の建設というものは、私はきわめて困難だとは、実は考えておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/14
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015・廣瀬正雄
○廣瀬委員 公団法案の第一条の字句につきましてお尋ねいたしたいと思うのであります。公団を特に設立いたします理由につきまして、いろいろあげられておりますが、その理由の一つといたしまして、行政の区域を越えて、広地域におきまして、最も住宅難のはなはだしい場所において住宅難を解消したいというねらいがあるようであります。第一条の条文の字句によりますと、住宅不足の著しい地域においてということになっておりますので、これは具体的に例をとりますと、東京の勤労者の住宅難を解消するために、隣の千葉県に東京都の住宅を建てる、さようなことを公団ができる道を開いたものだと思うのでありますけれども、この字句の解釈から申しますと、東京でなければ公団の作宅建設はできないというような誤解を招きやすい字句であると私は考えるのでおります。この「地域」という字句の解釈につきましてのお考えを承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/15
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016・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これは率直に申せば、そういう誤解が伴うであろうということは、私もあらかじめ気づかないのではありませんでしたけれども、端的に公団の性格を表現するために、こういうことを表わしたわけでありまして、これは法律的なことを限定的に考えたわけではないのでありまして、むしろ公営住宅と相関連をしまして、おのおのその特徴を生かして、表裏一体をなしていくという建前を実行の面で考えますならば、必ずしもこの条文は、そういう限定的なことに考えておるわけではないのであります。御指摘のように、広地域ということをしいていえば、東京には的確に表現をされますけれども、その他の府県においては必ずしもそういうことが非常に重要な要件だとは考えておりませんわけで——しかしこの公団の意図するところは、東京だけが対象でないことは御承知の通りであります。この条文のさしますところは、そういう意図でありますので、この点は、われわれの意図も、今御質問の御趣旨の線と何ら食い違っておらぬつもりでございますが、立法者の意志とこれを解釈される国民の側とに食い違いがあったのでは、かえって意味をなさないと思いますので、よく御審議をいただきまして——私らは非常にとらわれた考えでこのことを考えておるわけではないということたけは率直に申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/16
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017・廣瀬正雄
○廣瀬委員 さようなことになりますと、この第一条の「地域」という字句と第三十四条に書いてあります「当核住宅の建設又は宅地の造成をしようとする地域」、この「地域」というのは同じ意味であって、三十四条は、さっき私が例にとりました東京の住宅難を解消するために、千葉県に住宅を建設するという場合の例から考えますと、この地域というのは東京都と千葉県、この二つを含んでおるものだというように解釈すべきでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/17
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018・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 そういう場合の例としては、お話のようなことになるわけで、三十四条のねらいは、ざっくばらんに申せば、地方公共団体の意見を聞くという考え方でありますが、それを法律的にやかましくいうと、こういう表現になるというふうに御理解をいただけば、全く同意見であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/18
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019・廣瀬正雄
○廣瀬委員 従来の政府当局の御説明によりますれば、住宅公団は、住宅不足の著しい、特に困窮しておる場所に住宅を建設するのだということでございますが、公営住宅等の関係におきまして、なるべくあちらこちら、全国至るところに公団の住宅を建設してもらいたいというような意見もあるようでございます。そうなりますれば、第一条の条文も、もちろん変えて参らなければならぬのでありますけれども、考え方といたしまして、従来のように、四つか五つの大きな都会のみに限定して昭和三十年度は建設するということを、政府としては固持されるのでございましょうか。さようではなくて、法文改正とともに、全国主要な、かなりの住宅難を感じております地域におきましては、公団の住宅を建設するというような方針に変えても差しつかえないという御意見でございましょうか、そういうことについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/19
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020・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これはあるいは法文の表現の仕方が、実は当面をしておる住宅不足の緩和を急速にやろうということをあまりまっ正直に表わし過ぎた感があるかもしれぬと思います。という意味は、住宅の不足は、ある意味においては、全国どこもみんな同じだという言い方もあると思う。ただ程度の差でありまして、いなかに行っても、やはり住宅の不足は同じようだと思います。しかし、そういう平等的なやり方は、公営住宅あるいは公庫の住宅政策というものが、全面的な収策に当るベきものであって、その中でも特にひどい所へ追い打ちをかけるといいますか、急速にこれをならすためには、公団の制度が必要であるという考え方に出発をいたしましたので、程度のはなはだしい所を、まず公団が応援をして、この制度で、従来の一般的な制度ではなかなかその穴が埋まらないところを埋めていこうという考え方に出発をいたしておりますことを法文に書きましたので、これがいかにもぎこちなく考えられたわけだと思いますが、趣旨は、そういう気持でおりますので、私は非常に限定的なことを考えてはおりません。しかし、これを全国平等にばらまいてしまったのでは、また公団の意図する重点がなくなるとも考えますから、この辺は緩急おのずから明年度以降の計画ともあわせて考えまして、急を要する所からやっていくのだという建前におきまして、また必要な所へはできるだけ公団も当然応援をする、そうして三者一体となって、できるだけ住宅不足緩和の目標を達成するという考え方におきましては、私はただいまの御意見と何ら食い違っておるとは考えておりません。従って、率直に申せば、この条文は、文章からいえば、非常に限定的な感はありますが、運用の面におきましては、そういう限定的なことをしいて考えておるつもりはないのでありますから、その辺はよく御審議に応じまして、われわれも実際に一番有効な、国定の要請にこたえるような実施をいたして参りたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/20
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021・廣瀬正雄
○廣瀬委員 最後に、一つ。第四十二条によりますれば、公団を市町村長並みに扱っておるわけであります。ところが、公団の宅地造成につきまして、農地との関係が至るところに起って参ると思うのでありますけれども、農地法の第四条によりますれば、農地の転用の制限といたしまして、農地を農地以外のものに転換をいたします場合には、原則として都道府県知事の許可を必要とする。都道府県知事は農業会議の意見を聞かなくちゃならないということになっておるようでございます。ところが、その除外例といたしまして、国や都道府県はさような必要がないということになっております。そこで、公団を市町村長並みに扱うということになりますれば、宅地造成につきましては、一々農業会議の意見を聞いて、許可を受けなければならないということになって参ると思うのでありますが、さようなことで、果して宅地の造成が進捗するかどうか、大きな支障が生じてきはしないかということを心配するのでございまして、これにつきましての政府当局の御意見を伺いたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/21
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022・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これはごもっともだと思うのでありますが、私の考え方を申しますならば、公団というものに非常に強い権限を与えてやることがいいかどうか、前回の委員会におきましても、建設委員会の御決定ではないと思いますけれども、公団が特別の強権を持つということについては、否定的な御意見の方もあったというふうに私も聞知をいたしておりまして、これはごもっともなことだと思うので、公団には特別の強権をつけるという考え方は、努めて避けたつもりであります。しかし、土地の問題に関しては、お話の通り農地法との接触点が一番問題でありまして、そういう意味からいって、ある程度強権的に農地を宅地化するということを法律できめまして、公団に特権を与えるということは、かえって刺激多くして、結果的にはそれだけの効果があるかどうかということを考えまして、この区画整理の問題につきましては、できるだけ穏健に、しかも実行上、でき得るだけの必要な仕事はやれるようにという建前をとったわけでありまして、御心配の農地との関連につきましては、この条文上、まっこうからこれを宅地化すということはいたしませんで、実は行政的に農林省当局とよく話し合いを進めております。むしろ農林当局も、法案でまっこうからこれを否定する態度をとりますと、勢い対抗をしなければならぬということになりまして、必要以上の混乱を起す危険もあるから、必要な事実上宅地化すべきところについては十分協力をして、今お話の行政的にも、また農地委員会等の方面とも十分な連絡をとって、この政策実行のために協力をしようということで話し合いをいたしまして、そういう面で、実は問題の解決をはかり得るという見通しが立ちましたので、そういう点で、この公団の法文には、法律的に威圧をするという態勢は避けたわけであります。この点、あるいは御審議の過程において物足らないお感じがあるかもしれませんが、私は、むしろその方が計画遂行上はよりいい結果を得られるのではないかというふうに考えて、農林当局との連係は十分とっておるような次第でありますので、御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/22
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023・内海安吉
○内海委員長 ちょっと大臣に、この質疑の調整上承わっておきたいのですが、われわれは、公団の建設予定数二万戸というものに対して、委員会の空気といたしましても、非常な疑問を持って参ったのであります。ところが、この計画を立てるに当って、二万戸は最小限度であったというお言葉と、さらにまた、実施上決して困難ではない、必ずこれは実施ができる確信を持っておられるという御答弁と、さらに最後に、これが断行に当っては、資金の用意はもうすでにできておるので、この法案が通れば必ず三十年度内に二万戸の建設を断行できるという確信を持っておるというお言葉は、それでよろしいのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/23
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024・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 重ねてのおただしでございますが、私はそういう決意でおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/24
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025・内海安吉
○内海委員長 小松幹君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/25
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026・小松幹
○小松委員 質問をいたします。大臣は非常に懇切丁寧なお答えをしますが、やはり簡潔でもいいから、はっきりしたところをお答え願いたい。あれこれ言うけれども、いつも同じようなことを言っているというような感じがします。そこで、今の問題です。二万戸の住宅建設を、一体どういう計画で本年度内にやり得るかということを、もう少し納得のいくような説明をしていただきたい、それがまず第一点です。ただ、やり得るという大胆の希望的な受け合いだけでは、どうも安心ならないので、一つはっきり計画的に言っていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/26
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027・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これは、プログラムはもちろんいろいろあり得ると思います。地方へ、どういうふうに配分をするか、それによってもいろいろ変って参ろうと思います。これも、よく国会の御意見を尊重して参りたいと思いますから、その上で配分の考え方もまた変ってくることもあり得ると思いますが、数字的に今どうこうということを申すわけではありません。同時に、簡潔に申せば、結局当初に考えましたように、資金的な裏打ちはあるわけでありますから、これを具体的に実施の面に移すということでありますし、設計等も別にあらためて長い日時を要するわけではない、設計もできておるものを現実に家を建てさえすればいいわけでありますから、これは私はでき得るものと考えておるわけで、実施の上において、これに伴って非常に困難な問題は、私には今のところ考えられませんので、あるいは御納得いかぬかもしれませんが、私としては、これはなし得るものだ、こう考えてわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/27
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028・小松幹
○小松委員 大臣の答えを聞いておると、非常に安易にできるというようなお考えでありますが、私はそう考えない。ということは、二万戸という数は、単に二万戸でありますが、来月から二万戸の建設にかかるということになりますれば、数の観念がなくて、二万戸を建てる建てると言ったって、それは始まらないと思う。第一、この法案の趣旨を説明する場合には、東京を中心に、あるいは五大市を中心に公団運営をやっていくのだというようなことを言われておる。それならば、それで一体どういう地域に公団を設立していくのかという配分がなければならぬ。全国でやるのならば、全国で一つの公団の配分というものが考えられていなければ、年間に二万戸という建設をやるというだけでは、私たちは雲をつかむようで納得ができないのです。そこのところをもう少し、東京都には大体二万戸のうちの半分くらいは建てるのだ、あとを五大都市にこれだけやって、あとは地方にやるのだとか、そういう数というものの概念をはずした二万戸建設などということは、私は納得できない。その辺をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/28
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029・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 先ほど申し上げましたように、二万戸というと、非常に多いようでありますけれども、これは地方の要求、希望によってみな満足をするようにやれば、一府県幾らにもならないわけです。申すまでもなくアパートでありますから、戸数こそ多いようでありますが、一つのむね数にしてみれば、そんな大へんなものではない。そこでわれわれは、当初は、一番住宅の集中的に不足なところにまず手初めにしていく方がよかろうということを、一時考えておったことは事実でありますが、しかし、これは今も委員会のいろいろな御意見を伺っておる間に、必ずしもそう限定すべきではないじゃないかという御意見等も尊重すべき御意見だと思いますので、これは法律と予算の実施の面において、広く国民の要請にこたうべきものだと考える。私も同感でありますから、その辺は最終の御決定になるまでに、よく国会の御意見をもとにいたしまして、計画を考えたいということを申すのは、その意味でありまして、従ってそのやり方等によっては、そう一個所に多くはない。これを端的に申せば、東京だけでも、希望を入れようとすれば、半分も東京に持っていったって、足りるわけではないのでありますから、そうは参らぬ、各地の要請に応じていかなければならぬのが事実だろうと思います。しかし、それを非常にこまかく各町村へばらまいてしまうということも、事実上不可能なことだろうと思いますから、その辺を一体どこらまでにいたしたらいいかという点などは、一つ端的によく御意見を伺いたい点であります。その上で、私も考えをきめたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/29
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030・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 今の問題ですが、大臣の方も、どこに幾ら、どこに幾らということは、ちょっとお答えできないと私は思う。そこで、公団というものが非常に問題になっておるときでありますし、しかも、住宅はどこでも希望しておる。あるいは来ていないかもしれませんけれども、正式でなくても、今の公団住宅を建ててもらいたいという希望がある程度申し入れがあるかもしれません。その様子をここで聞いておけば、大体の見当がつくのじゃないかと思いますが、そういうことはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/30
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031・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 これは個々に私が事務当局から聞いておるところでは、ずいぶんあるわけでありますが、別にまだそう組織立って希望をとるということは差し控えておりますから、今、全体を申せと言われましても見当がつきませんけれども、今私の感じでは、個々に聞いておりますいろいろな地方の要望には、とても二万戸じゃ足りませんし、それから先ほど申したように、当初ある程度の都市を中心に考えていこうとするのに対して、もっと全国的にといっても、町村まではいきますまいけれども、県庁の所在地と、地方へもある程度分散をしろという要求は、各方面から受けておるようなわけでありまして、これはとてもこの戸数で足りるわけではないというのが事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/31
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032・小松幹
○小松委員 要望を受けておるというのは、それは住宅がほしいという要望は、多々あると思うのです。公団住宅がほしいという要望が幾つ来ておるかということに、私は疑問を持っておるのです。ということは、今数字を示されないのももっともだという意見があったが、そういう大まかな一つの建設の数字というものがなくて公団設立というものが抽象的に上ってきておる、ここに私は問題があると思う。それでお答えをお願いしますが、それでは公団の規模はどの程度に考えておるか、人的規模、地域的規模についてはどういう考えですか、それをまずお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/32
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033・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 それは決して基礎がないわけではないので、提案の当時から申し上げておりますように、二万戸をまず集中的に住宅の不足な都市を中心に計画を進めて参りたい。同時に、これは実際に建てるための公団でありまして、公庫のようにまず全面的に機構を作らなければできないとは考えておりませんから、機構はなるべく簡素にして、全国に支店を作るといったようなことをまず先にやることよりも、現実に建てることを計画すればいいと考えております。しかし、今申すように、地方の要望は各地からある、それは数字的に基礎がないから薄弱だとおっしゃられますが、それは要求する方も、抽象的に申す以外には方法がないわけであります。今何千戸ほしいというのもあります。長野県あたりのように、とにかく二万戸おれのところではやるのだといって、たんかを切っておるところもおりますから、そういうことを個々に取り上げれば、これはどこにもあると思います。同時に、これは希望はないじゃないかとおっしゃられますけれども、端的に申せば、これは公営に比べれば、地方の財政負担を伴わないか、あるいはごく一部のものでありますから、そういう点において、地方がこの方を希望するという事実は顕著にあるということだけは、もう事実でございますから、率直に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/33
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034・小松幹
○小松委員 地域的な規模と人的な規模が不明確である。そういう不明確なことで公団を設立して、一体何ができるか。たった一つ宅地造成の問題をとってみても、東京、大阪の宅地造成をするのに、一体だれが仕切るかということです。公団の職員が何人おったら東京の宅地造成ができるかということを、明確に言ってもらいたい。現在、東京、大阪の、しかも行政区域がまたがっておるところの宅地造成というのは、並み大ていのことじゃない。県庁の吏員を使うか、あるいは町村のそういうものに委嘱するか知らないが、そんなときに、公団の一つの組織、人員というものは、あるいは県庁の吏員や町村役場の吏員を一つの対象に広げていくのか、公団独自の構成員でこれをやり得るのかという構想がきまらなければ、宅地造成といっても、公団の幹部の十人や二十人寄ったって宅地造成はできっこない。だから私は、人的構成は何人でやるのか、その人的規模と地域的規模をお聞きしておる。その規模がわからないで、宅地造成をやりますと言っても、今の宅地というのは、そこに原野があって、その原町に家を建てるというなまやさしいことじゃない。宅地造成には、当然都市計画もあり区画整理事業との関連もある。あるいはその他民間の業者や電建会社等が宅地造成の競争をしておる。そのただ中に飛び込んで、公団の職員がどれだけ宅地造成ができるかという問題が、具体的に起ってくると思う。そうしたときに、公団の職員が、人的規模がわからないで、宅地造成をしますといったって、それは子供だましだ。一体どういう構成、どういう組織で宅地造成に乗り出していくか、その点を明確に言ってもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/34
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035・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 それは仕事の分量に応じて変ってくるものでありますし、今申す通り、やり方そのものについても、国会の御意見があるので、私は慎重に考慮をいたしておるということを重ね重ね申しておるわけでありまして、当初予算編成のときに考えました都市別の大体の構想というものは、あることは確かに持っておりますけれども、そういうことを私が今ここで言明することは、いかにもそれにとらわれることになり、誤解を生ずるので、私はことさらに、今申すように、国会の御意思を尊重してきめたい。もちろんこの二万戸を実行するためには、それに要する人的機構その他はやらなければできませんから、そのことの覚悟用意は持ってのことであることは当然でありますが、これは役人と違いまして、何ぼの定員を置かなければできないなどと、私はとらわれた観念でやりたくない。必要な人間は必要なだけそこに集中すればできるように、これが公団の機構だと私は考えておりますので、しいて私は人間の数ということを、ことさらに申すことをいたさないのは、そういう意味であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/35
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036・小松幹
○小松委員 そこで公団の組織というものがぼやけてくると思います。単に幹部の四、五人をこさえてこれを公団でございますと、こうやって打ち出しておいて、あとは国会の審議にまかせるなどという、すべて国会の審議にまかすから審議してくれ、いわゆる提案したあなた方の方においては、ただ幹部をこさえて、公団でございます、少し金を集めて、公団でございますと言う。一体、組織というものを考えない公団なんというものは、最初から公団そのものがあやふやである。そういうことで公団を作るのかどうかということを、さらにお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/36
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037・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 決して私はあやふやに考えておりません。これを実行するための用意は、十分に考えておるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/37
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038・小松幹
○小松委員 用意はいい、いいと言われても、納得するような用意がない。それはあなた一人の胸の中に持っておる。それを御披露して下さい。その御披露がなくて、いい、いいと言ってもこれは一人ぎめなのであります。だから少くとも、あなたはどう考えておるか知らぬけれども、政府当局はこういう規模で考えておる、その規模でやるならば、宅地造成はものの二カ月もあれば、少々むずかしい宅地造成でもできる——できる、できないは、やってみなければわからぬけれども、そのくらいの見解がなければならぬと思う。それでなければ、公団というものは、単にあなたの言葉のマジックの公団でしかない、こういうように考えておるのです。ほかの委員はわかっておるかもしれませんが、私には、どういう格好で建設するのか、その内容がわからない。公団を設立して、幹部を何人かこしらえて、財政を持ってきて二万戸建設する、これで納得しろ納得しろと言われても、一体どういう格好で二万戸建てるのかわからぬ。まず土地が大事だ。町村や府県等のむずかしい宅地造成の隘路を打開していくには、いつも総裁とか副総裁が出て行ってやるのですか、その辺をはっきりお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/38
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039・内海安吉
○内海委員長 相当具体的な問題になってきましたが、官房長はもっと具体的な数字を持っておられると思う。なるほど、政策面においては大臣の答弁もいいけれども、こんな人足何ぼ雇うというような問題までも一々大臣が立つというよりも、むしろ審議を円滑に進めるについては、もっと親切丁寧に官房長からどんどん説明されることがいいのじゃないか。官房長どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/39
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040・石破二朗
○石破政府委員 もちろん、先ほど来小松委員が御疑念をお持ちになり、御質問になりました点につきましては、用意をいたしております。先に結論から申し上げますと、私どもは、二万戸は建つものと確信いたしております。
もう少しこまかく申し上げますと、まず金がなければ家は建ちません。資金の点につきましては、大臣から御答弁申し上げた通りでありまして、われわれも当初から一番心配したのでありますが、賃貸住宅につきましては、建設費の二割程度は地方出資に仰がなければいかぬということに相なっております。これにつきましても、事業施行地域がはっきりきまらないと申しますか、法律がどうなるかまだ御審議の中途にありますので、具体的に最終的の相談をするわけに参りませんけれども、重立ったところ、たとえば東京、大阪、横浜というようなところにつきましては、相応の出資は引き受けるというようなことを、非公式ではありますが言明をいただいておりますので、資金については心配はない、かように考えております。
その次には、機構なり人の問題であります。法律におきましては、先ほど小松委員の御指摘になりました通り、役員だけしか規定いたしておりません。職員とか役員とかの具体的人選の前に、およそどの程度の職員を必要とするであろうかという問題でありますが、もちろん事業を集団的にやるか、ある程度分散してやるかということによって違いも出ますし、何しろまだ法案審議の途中でありまして、最終的の結論には至っておりませんけれども、初年度百六十六億円の金をもちまして二万戸の住宅を建設するためには、まず大ざっぱに申し上げまして六、七百人の職員が要るのじゃなかろうかと考えております。もちろん、宅地造成なり住宅建設それ自体を——たとえばトロッコを押したり、壁を塗ったりするのは、その職員がするのじゃありませんで、大部分は御承知の通り請負を使ってやることになると思いますが、公団の職員としましては大見当で六、七百人の人が要るのじゃなかろうかと考えております。
次に、法律にも書いてあります通り、公団の本部は東京に置きます。必要な個所に従たる事務所、いわゆる支店を置く予定にいたしております。これも事業施行地域によって、若干動くかもわかりませんけれども、常識的に日本を大きな都市に分けまして東京、名古屋、大阪というようなところには、どうしても初年度から支店が要るのではなかろうかと考えております。
さらに、土地の問題でありますが、お話の通り所要の土地を取得するということは、非常に困難な仕事であろうと思います。初年度、公団は自分の手で新たな土地造成を約百万坪ばかり考えておりますが、もちろんこれだけに限定して公団住宅を建てるつもりはありません。既存のすでにできた宅地がありますれば、そこに建てるつもりではありますが、いずれにしましても、土地を取得し、これを造成するという仕事は、お話の通り非常に厄介な仕事であります。ただ初年度におきまして政府の国有財産を約三十万坪程度現物出資をしていただくことになっております。この具体的な場所等も、まだ実測いたしておりませんけれども、たとえば大阪の市外にありまして、市の中心まで約三十分程度の距離にある枚方の造兵廠の跡でありますとか、そういうところも今のところでは一応現物出資を受けることにいたしております。そういうところになりますと、ある程度早く集団的な土地造成ができるのじゃなかろうかと思っております。なお、地方によりましては、すでに公営住宅計画を、非公式なものでありますけれども、今後何年間にどの程度の公営住宅を建てたいというようなことで準備をして、土地の手当をある程度しておるようなところもあるようであります。そういうものを、公団に出資していただきますなり、譲渡していただきまして、そこに公団住宅を建てるということになりますれば、仕事が早く進むだろう、かように考えております。
なお、公団の事業は、本来公団それ自体でやることを建前といたしますけれども、必要な場合、特に創立早々におきましては、地方公共団体に事業の一部を委託してやっていただくということも考えなければいかぬと思います。
区画整理事業につきましては、公団がみずからの責任においてやることも、この法案で用意しておりますし、必要があります際には、所要の費用を公団が負担いたしまして、地方行政庁に区画整理事業をやっていただくというようなことも法案に用意いたしておる次第であります。
以上、大分長くなりますので、この程度で……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/40
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041・小松幹
○小松委員 私は、最初に言っておきますが、公団の性格がぼけておる、結論からいえば、こんなものを新しく作らなくても、やれるのじゃないかという考え方に根拠を持って質問しているのです。そこでお尋ねしますが、かつての住宅営団がどういう形で運営されて、どうして首尾を一貫しなくて、ああいう結果になったかということを、再度お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/41
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042・石破二朗
○石破政府委員 住宅営団が解消いたしましたのは、御承知の通り終戦間もないころでありまして、そのころの経緯等につきましては、実は私正直に申し上げまして、十分承知いたしておりませんが、当時の機構なり仕事のやり方というようなものにつきましては、一応の資料を持っておりますので、後刻勉強いたしましてお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/42
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043・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 私も実は知らないのですけれども、私の聞いておるところでは、住宅営団だけがよくなかったのじゃなくて、御承知のように、あの当時の混乱した中で、しかも、資材の統制を主たる役目として統制経済の中でやってきた機関でありますから、非常な混乱した経済界の中で、インフレの上昇に伴っておくれている機構というものは、いろいろな問題が起るのは、あの当時としてはある程度やむを得ない現象であったろう。だから、やはり一応そういう機構は全部御破算になって、今日はなくなっておるということでありまして、たまたま根本から否定をしてかかっておる小松さんのことですから、言いわけをしてみたって始まらぬのでありますが、われわれは、名前が似ておるからといって、戦争中の統制のために作った住宅営団と、今度は集中的に住宅を作っていこうとして発足する住宅公団というものとは、似て非なるものであって、何ら関連はないと考えておりますから、これは比較検討は御自由でありますけれども、何もそのあとを受けていくものとは考えておりませんので、一向特別に研究もいたしておりませんが、よく調べましてまた適当な機会に申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/43
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044・小松幹
○小松委員 いやしくも住宅建設を心得とするものが、かつての住宅営団の末路を考えないで政策を打ち立てていくということは、ずさんである。それならば、かつての住宅営団がそういう経済界において翻弄されたことから考えて、現在の経済界において、果してスムーズにいくかどうかという問題もまたあると思う。今度の自由・民主両党の政治的な取引においても、相当インフレの素因を持つ現象も来たしておる、あるいは再軍備態勢という態勢下に、好むと好まざるとにかかわらず、そうした傾向を持っておる。今度の問題は、私は宅地造成の問題が、最も混乱のもとになると思っておる。木材あるいは金融の問題が解決したとしても、宅地造成がこの公団の意に沿うがごとくできるかどうかということが、最も大きな混乱のもとになると思う。いなかの三軒家のところに公団建築をやるというならば、別であります。しかしながら、都市建設をやっていくこの段階において、私は宅地造成というものに最も大きな疑惑と混乱とを持っています。というのは、この公団というものが特別設立されて、ほんの金をもらう地方行政団体と、あるいは資金の問題だけの取引になっておりますけれども、こうした地方公共団体というものから切り離して住宅建設を試みようとする公団は、宙に浮いてしまうのではないか。宙に浮いてしまわなければ、公団の総裁がみずから出ていって宅地造成をするかしないかという問題になってくる。公団のオフィスにおって指図して、宅地造成をしようなんというなまやさしい今の段階ではないと思う。土地区画整理の問題もあり、区画事業という問題もあるでしょう。さらに、各府県にある住宅協会なるものも、宅地造成をしております。それから民間会社が、今は勤労者住宅を自分の手前で建てておりますけれども、政府がそっくり金を出して建ててくれるならば、首を長くしてもたれかかってくるのを待とうという考え方も起ってくる。こうした中で、一体どのような具体策をもって宅地造成をやっていくかということを、もう少し精細にお話ししていただかなければ、納得ができないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/44
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045・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 百万坪の宅地造成計画というものは、いろいろなものがあろうと思います。国有地を宅地化すという、今、官房長が申した問題もありましょうし、それから区画整理法に基いて新しい宅地地域というものを作るために、公団みずからやる必要のある場合も予想しておりますけれども、また場合によっては、それほどにしなくとも、公団と地方公共団体とが、宅地造成の費用は公団が持ち、地方にやってもらうという場合も起りましょう。望むらくは、それが一番穏健でありますから、私は、何もことさら混乱を起してまでやる意思はありません。しかしお話のように、宅地の問題は一色で、社会党さんの案のように、宅地は全部どこかが提供してくれるというような、簡単に始末がつく問題であるならば、何もこんな苦労はしません。従って、この公団が百万坪をやるということが、宅地問題の全部とは考えていない。御承知のように、五十万坪近いものは公庫の金融措置でもやっていくし、それから県は県、いろいろなところでそれぞれ考えていかなければいけませんが、公団は、そのうちのわずか百万坪の宅地を造成するという仕事を現実にやることによって、宅地問題の解決の一つの政策として打ち出しておるわけでありますから、これをやったからといって、宅地問題が混乱をするなどということは、私は考えておりません。もし、さようなことがあるとするならば、私も御指摘をいただいて、よく注意をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/45
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046・小松幹
○小松委員 国有地を払い下げて解決するというなら簡単であります。これはきわめて簡単でございます。しかし、そうはいかないとするならば、公団設立をして宅地造成をするというねらいが、他の宅地造成と違わなければならぬと思う。あなたは今、公庫でもやるし、地方でもやるから私もやるのだ。そういう趣旨ならば、わざわざ公団を複雑なる中に立てる必要はないと思う。こういう意味で、国有地の払い下げはいいのです、それで解決するなら。それで解決するというなら、何をか言わんやです。しかし、民有地の宅地造成、こういうことを考えておらなければ、二万戸増設ということはできないと思う。私は、本年二万戸増設可能かいなかということを最初に質問した。ずるずるべったりで、適当にできたときできたんだ、あなたの意見を聞いていると、善意をもってやるから、できたときはできたんだから、そうやかましう言うてくれるなというような意味に聞えるのです。それならばそれで、最初から言えばいい。ところが、二万戸増設は危ないじゃないかと言うと、やります、間違いなくやります、手のうちを見ていて下さい。こうおっしゃいますから、それなら、本年に二万戸増設をやり上げることは、なまやさしいことでないが、宅地造成はどうしますかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/46
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047・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 御心配いただく点は、まことに感謝いたしますが、二万戸を建てるために必要な宅地は、三十万坪ないし四十万坪であります。百万坪造成するのは、一般公庫住宅を初め、宅地に困難をしておる国民に供給をするために、百万坪の造成をしようというわけであります。端的に申し上げれば、今三、四十万坪の国有地の提供をすでに用意しておるのでありますから、その二万戸分の宅地だけを考えるということであるならば、お話の通り大した問題はないのであります。しかしわれわれは、宅地問題というものは、そうは考えません。公団の必要とするものは、必要とするもので用意はするが、それ以外に、全体を合せて百万坪の宅地の造成をしようというのでありまして、お話の通りこれは国有地対象だけでありません、民有地を対象に考えておりますから、あるいはいろいろな形の民有地の買い上げをするとかあるいは借り入れをするとか、いろいろな場合が起ろうと思います。それに応じた宅地造成をしていく、こういうことでありまして、私は、御心配下さる二万戸建設のための宅地というものは、そういう意味において大して御心配は——大へんありがたいですけれども、そんなに不可能な問題とは、実は考えておらぬわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/47
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048・小松幹
○小松委員 心配というよりも、できないのじゃないか、いろいろひっかかりが出てくるのじゃないかと私は考えておる。というのは、東京周辺、大都市の周辺で、国有地を除いたところの……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/48
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049・内海安吉
○内海委員長 小松さんに申し上げますが、大臣は予算委員会に呼ばれて、ちょっと行かれるということでございますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/49
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050・小松幹
○小松委員 それでは事務的に質問しましょう。国有地の問題はいいでしょうけれども、東京あたりでは、宅地造成は民間土地会社がやっておる。あるいは電建会社もやっておるし、また東京都でもやっておるし、住宅公庫もやっておる。東京都がやる、埼玉県がやる、神奈川県がやるという中で、公団が入ってまた宅地造成をやって、これがやりこなせますかと聞きたいのです。やりこなせるかは、金は多いそうですから、金をかまわぬでやればいいのですけれども、今は宅地造成にからんで、相当宅地の地代の値上りを来たしておる。そういう住宅建設というブームに乗って、われ先にと土地会社はそれぞれ口をつけておる。それに公団のしろうとかくろうとか知らぬけれども、総裁あたりが一体だれを使ってどういう格好で宅地造成をやるかということを、もう少し詳細にお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/50
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051・石破二朗
○石破政府委員 お話の通り、住宅建設が盛んになりますれば、やはり宅地の取得が、ひいては宅地価格の高騰になることは、決して好ましいことではありませんけれども、ある程度はやむを得ないことかと思います。なお、いろいろな機関で、すでに宅地造成等をやっておるのに、公団が入れば、摩擦や混乱を起すのではないかという御意見でありますが、なるほど無計画に同じ個所を方々からねらっていったりしますれば、お話の通りの混乱を来すのは当然と思います。私どもの考えといたしましては、大体東京には支店を置こうと思っております。この支店は——支部と申しますか、これは東京都とはきわめて緊密な関係を持たせて参りたいと思っております。従いまして、東京都でやります公営住宅用地の取得、あるいは公庫の資金で造成します住宅用地、こういうものとは摩擦せずに、それぞれ適当にあんばいしてやっていかなければならぬものと考えております。なお個人でも、すでに相当土地会社がいろいろな仕事をやっておるようでありますけれども、これらとの関係はごちゃごちゃにならないようにやっていきたい。非常に御心配いただいておりますが、具体的の個所は申し上げかねますけれども、東京都につきましては、相当集団的に土地取得可能というような見当も実はついております。関西におきましては、先ほど申し上げました国有地の問題のほかに、相当まとまった宅地が、私どもが考えておりましたよりか、かえって安い値段で手に入るであろうというようのうちでは一番むずかしい仕事であります。しかし、これはだれかがやらなければいけませんので、公団は一生懸命でやっていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/51
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052・小松幹
○小松委員 住宅建設の理想というか、親心というのは、きわめていいとも考えられますけれども、それに具体的な一つの——実際あらゆる問題を検討してみると、住宅問題というのは、ほんとうに込み入ったような感じがする。厚生年金関係の住宅もあり、あるいは産業労務者住宅もあり、官公労の住宅もあり、電電公社あるいは国鉄公社の住宅もあり、それにからまる宅地造成も考えられる。公営住宅もあり、金庫住宅もある。それにまた公団住宅も加えて、屋上屋を重ねてその混線しておる姿を見たときに、その間にいろいろな隘路が出てくる。物事が常に日本の政治全体を見ると、いろいろなものを思いつきで次々に作っていく。しまいには、それをどうやって整理しようかということが議題になる。補助金の問題が整理の問題になっておる。あっちも補助金、こっちも補助金をする。三年、四年たつと、これは耐えられぬ、一つ補助金を整理しようという問題が出てくる。それにからんでいろいろな問題が出てくる。この住宅問題も、あまりにも尾上屋を重ねておるような感がするのです。そこで、要は、これは宅地造成に一つの大きなウエートがある、こういうように考えてもみるのです。そこで、宅地造成の問題が、今聞けば心配は要らない、あるのだというようにお聞きしておりましたが、あるならばあるでよろしいのです。問題は、そうしたことが、公庫住宅その他の住宅建設の地代にはね上ってくるということを心配する。同時に、民間住宅二十四万五千戸を見ておるが、現在土地造成の問題で、民間住宅というものは行き悩んでおる状態でもある。あらゆるところにひびが入ってきたならば、民間住宅のそうした面までめんどうを見てくれるか、あるいは公庫住宅の宅地造成までしっかり見てくれるかということが問題です。その辺はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/52
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053・石破二朗
○石破政府委員 もちろん公団が宅地造成をいたします分は、先ほど大臣がお答えいたしました通り、公団だけで使うということは考えておりません。従いまして、公団が使いまして、残りの分は一般民間に売り出しますなり、あるいは公庫に当った方に分譲するなり、そういう方法をとって参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/53
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054・小松幹
○小松委員 政府の答弁では、できるという一点ばりでありますから、まあできることを信用いたしましょう。しかし、民間建設二十四万五千戸というのは、統計的数字で、可能な数字でございますか、それをもう一ぺん伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/54
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055・石破二朗
○石破政府委員 統計に基いた可能推定数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/55
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056・小松幹
○小松委員 この民間建設というものは、いわゆる分布図というものを考えたときに、経済的な分布図と地域的な分布図は、どういうような格好に見ておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/56
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057・石破二朗
○石破政府委員 民間住宅建設の地域的な分布でございますが、ここにしっかりした資料を持っておりませんが、私から申し上げるまでもなく、御承知の通り、都市、農村を問わず、必要な方面に建てられておるものと、かように考えております。なお、これを全く自分の力で建てるという方は、これまた私が申し上げるまでもなく、商売をやっておる方であるとか、あるいは農林漁業等を経営しておられる方に、大体片寄っておるだろうと思います。言葉をかえて言いますと、いわゆる勤労所得者と申しますか、月給取り階級で自分の力で家を建てておるというのは、おそらくはとんどない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/57
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058・小松幹
○小松委員 経済的分布は、民間自力建設というのは、農山漁村か、あるいは商売をなさっておる方だそうでありますが、それならば、商売をなさっておる方や、あるいは農村に対しては、住宅というものはほったらかしていいのかどうかという問題が出てくるわけです。その点についてどうお考えですか。これは政治的答弁になるかもしれませんけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/58
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059・石破二朗
○石破政府委員 まず住宅金融公庫でございますが、住宅金融公庫は、もちろん住宅建設資金を融通するわけでありますけれども、店舗併用住宅ももちろん認めてお貸しいたしております。さらに農村等におきましても、事務の都合上、ある程度地域は限定しておるようでございますけれども、必ずしも貸付を都市だけに限るというようなことは考えておりません。また公営住宅につきましても、住宅不足の一番ひどい地方から公営住宅を建てます関係上、やはり都市に主力を置いておるわけでございますけれども、都市以外のところに全然建てておらないというようなことはいたしていないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/59
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060・小松幹
○小松委員 住宅建設は都市中心になるという、これは必然の推移でございましょうが、今後の公団建設等から、産業労働者住宅の方向に向いてくることは必然であります。また都市中心に向いてくると思いますが、それならば、もう少しざいの、いわゆるいなかといいますか、地方の住宅建設に対して、何らかの公営住宅なり、あるいは公庫の住宅の資金の配分なりに考慮する意思があるか、このことをお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/60
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061・石破二朗
○石破政府委員 公団住宅は、先ほど大臣が御答弁申し上げました通り、地方にもある程度は考えていかなければならぬと思いますけれども、やはり大都市を主に考えていくことに相なると思います。そうなりますと、公営住宅等は、やはり地方に回る余地が従来に比べると少しは出てくる、かように考えております。さらに公序の資金の貸付でございますが、これは原則といたしましては、地域は全然考えておらぬわけでありますけれども、えらい山の奥でありますとか、山の奥ではございませんけれども、えらいいなかでありますとかいたしますと、それを建築審査をするとかいろいろの調査等で、費用も莫大にかかります関係等もありまして、やはり公庫の貸付につきましても、ある程度地域をしぼっておるような現状でありますが、これもおいおいそういう郡市の方の住宅事情が緩和されるに従いましてその他の方にも及ぼすように考えていかたければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/61
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062・小松幹
○小松委員 公営住宅も地方にウェートをかけるということでございますから、そういうふうにやっていただきたいのですが、同時に公庫の資金の貸し出しも、今はワクを非常に持っておる。地方自治団体に対する、いわゆる府県に対するワクがあり、その府県のワクがまた町村のワクで都市中心になっておる。そのために、ざいの方では、公庫住宅を利用しようとしても、ワクがないというので、過去においては捨てられていた。こういうことから考えて、地方の方は、宅地造成の問題は要らないのでおります、ただ資金の問題だけで解決すると思う。都市の方は、宅地が問題であると思うが、そこで公庫なり公営住宅が地方にたくさん——たくさんといっても限度かあるでしょうが、多く回すということを言明されるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/62
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063・石破二朗
○石破政府委員 私、さっき申し上げましたように、えらい山の奥等についてお断わりするというのは、ごく例外でございまして、公庫につきましては、お話にもありましたけれども、実は公共団体が地域別等にワクを作りまして募集するというようなことはいたしておりません。全国の希望者を集めまして、それを抽せんするわけでございますが、都市からの申込者が非常に多いので、結果的に申しますと、借りる方は都市居住者が多いということになっておるのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/63
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064・小松幹
○小松委員 私は、公団設立が非常にあやふやであり、同時に、屋上屋を重ねて、住宅建設の混乱を来たすおそれがあるということを中心にして質問いたしました。あまり納得するような御答弁もいただかなかったのですが、これ以上質問しても仕方がないので、最後に、先ほど公団の人的規模ということをお尋ねしたときに、住宅公団の職員は六、七百人を見ておる、こういう構想でございます。それがどういう仕事の量か私は存じませんが、それならば、ただいま建設省で首切りを考えておる営繕の技術職員を、そっくりそのまま持っていっていただくことはできないかどうか。念のために言っておきたいのですが、日本の行政官というものは、いわゆる事務系統というものが非常にウエートを占めておる。技術系統というものは、最近は建設省あたりでも、技術員の技師技官が課長になったりしておる傾向も出ておりますけれども、一般的に技官技術系統というのが軽んじられておる。おそらく公団経営をやれば、技官でなくして、事務官の方がそれぞれ転出していく、あるいはそのポストを得ていって、職員はそのまま持っていかれない、こういうように考えておりますが、現在建設省関係で首切りをなされんとしておるものは、営繕関係の技術者系統が大部分である。これを、幾ら技術系統であろうと、そのまま公団職員に転用して悪いということはないと思う。七百人も公団職員が要るならば、全面的にそれを救済してそこに転用する努力を払う意思があるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/64
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065・石破二朗
○石破政府委員 御答弁いたします前に、先ほど公団は屋上屋をかするものというようなたとえがありましたけれども、これは無用なものを必要以上に重ねれば、屋上屋でございますけれども、私どもはそう考えませんで、たとえば八階建の建物に一階、二階、三階、四階というような天井が要る、かような意味で公団が要ると考えておりますので、その点については御了解いただきたいと思います。
なお、営繕の整理の職員を公団に全部採用するかどうかという問題でありますが、申し上げるまでもなく、公団の職員は、総裁が必要とする職員を採用するのでございまして、営繕の整理予定の二百二十名をそっくりそのまま採用するということは、私からは言明いたしかねますけれども、長年建設省に奉職いたしておりました者でございますし、これはおそらく公団職員としましても適任者であろうと考えておりますので、お話の御意見もありましたので、御意見の通り進みまするように努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/65
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066・内海安吉
○内海委員長 山田長司君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/66
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067・山田長司
○山田委員 先ほどの廣瀬委員の、農地を宅地にする問題についての質問に対しての大臣の答弁で、理解ができない点があったので、局長に伺うわけですが、法文化していなくても、行政的に農業委員会と連係がつけられているのだ、こういうふうなことを先ほど答弁になったと思うのです。そこで、そんなばく然としたことで田や畑をつぶされてしまうということは、われわれとして理解ができないことがまず一つ。それから地方の市町村農業委員会に、どういう連係がつけられているのか、ただ連係がつけられているというばく然としたことでは、地方の農業委員会が取り上げて宅地造成に応ずるということは、非常な混乱を来たすと思うのです。その点について、どういうふうにお考えになっておられるか、一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/67
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068・石破二朗
○石破政府委員 大臣の申し上げましたのは、お聞きの通りでありまして、私からそれを敷衍する必要はないと思いますけれども、私の考えといたしましては、この住宅建設が必要なことは、もう農林省当局もよく承知いたしております。住宅を建てる以上は、ある程度の農地にかかることも、それもやむを得ぬだろうということも申しております。ただ、農林省といたしましては、農地を宅地にすることは、これは必要最小限度にとどめてもらわなければ困るということは、強く申しております。私どもといたしましても、今度計画いたしております公団住宅は、その辺も考えまして、大体原則として四階建の建物を作る予定にもいたしておりますし、さらに地目といたしましては、私、詳しく承知いたしませんけれども、実質上は、大してほかの土地に比べて収穫もそうよけいないというようなところ、農地に手をつけるにしましても、そういうところから手をつけまして宅地化していきたい、かように考えておる次第であります。
お話の農業委員会等との話し合いのことでございますが、私ども、特に農業委員会に頼んで、公団用地については、農地として必要やむを得ぬものでも、一つ譲ってもらうというようなことを頼んではおりません。農業委員会の自主的な御意見に従って、県知事なり農林省の力で適当にきめてくれるだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/68
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069・山田長司
○山田委員 そうすると、別に法文化してないが、連係が済んでいるという先ほどの大臣の答弁と、私は食い違いがあると思うのです。先ほど廣瀬委員の質問については、連係がされているからそういう心配はないのだというふうなことが言われたのですが、では、大した連係がないじゃないかということを、私は一応言いたいのです。
それから、もう一つ伺いたいことは、せっかく抽せんで当っても、宅地がないためにその権利を売買しているというような事例がたくさんにあるわけです。そういう点について、何か今度の公団の場合における方途として、宅地の問題を考慮されて措置せられるような方法は講ぜられるかどうか、一応それを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/69
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070・石破二朗
○石破政府委員 まず初めの、農地の関係について十分了解がついておるというのは、大臣が申し上げましたのと私が申し上げたのとは、何か矛盾するようにお聞き下さったかもしれませんけれども、実は大臣が申し上げましたのは、個々具体的に農業委員会まですでに話がついているというような意味ではございませんで、農林省の農地当局も、住宅建設のためにはある程度は必要最小限度の農地を出すことも、これもやむを得ぬであろう、そういうときはよく協力して御相談に乗るから、従って法律に若く必要はなかろうという、こういう意見を述べたことを申し上げたわけであります。
なお、公庫住宅の融資の抽せんに当りまして、土地がないためにこれを売買しているというようなお話がございました。実は、これは建前といたしましては、そういうことはもちろんできないわけでありますし、そういうことが耳に入りますれば、それは取り消すなり何なりの措置を当然講じなければならぬ問題でありますので、私どもそういう一例はないと思いますが、ありますれば、もちろん適当な処置をしなければならぬものと考えております。なお、公庫住宅の抽せんに当りまして土地がないというのは、お話しの通りであります。従いまして、公庫の土地造成に貸し付けます資金は、実は前年度よりも、少しではありますが、ふやしておるような実情でございます。これは公庫の抽せんに当った人に優先的に貸し付けるわけでありますが、公団でも百万坪程度の土地造成をしまして、自分のところで使うものは三十万坪ないし四十万坪程度でございます。従いまして、十分とはいいかねると思いますが、昨年に比べますと、公庫の抽せんに当った方の宅地取得は、相当楽になるのじゃなかろうか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/70
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071・山田長司
○山田委員 さらに参考に伺っておきますが、実は私の知っている事例でも一つあるのです。東京都下の、さきに行われた農地改革によって、農林省の土地に物納されておる。農地委員会でそういうふうに決定をしたわけです。そして農林省の土地にしてしまっている。その周辺は、全部ことごとくが現在宅地になっています。その宅地になっているまん中に、一応農林省の土地として現在草ぼうほうに草がはやされている。こういう場合における土地が、おそらく東京都下に相当坪数になっていると私は思うのですが、一体東京周辺に物納されている土地は何十万坪ぐらい農林省であるとお考えになっておるか、一応参考にわかったならばお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/71
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072・石破二朗
○石破政府委員 ここにただいま資料を持っておりませんので、さっそく取り調べまして、次の機会にお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/72
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073・山田長司
○山田委員 そういう場合において、今土地造成で非常に大きな問題が起っているわけですが、これらについて、農林省として、どういう態度で農林省の土地として所有されておるものを活用されようとしておるか、一応これを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/73
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074・石破二朗
○石破政府委員 先ほどのお答えと一緒に、次の機会によく確かめましてお答えさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/74
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075・内海安吉
○内海委員長 三鍋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/75
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076・三鍋義三
○三鍋委員 宅地造成の問題は、一番重要な点だと思うのです。大臣は、東京都内に約五百万坪緑地帯があるとおっしゃったと思うのですけれども、その緑地地帯というものは、やはり必要に応じて設けられてあるものだと思います。これを住宅建設のために一部解放をするということが、果して法的に可能かどうか、そういうことをやって差しつかえないか、あとからまたその趣旨に反するような事項が起きた場合にどうされるか、この点について御見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/76
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077・渋江操一
○渋江政府委員 緑地地域と宅地の関係でございますが、今お話にございましたように、東京周辺には、戦争当時から、いわゆる空地を一つの都市計画の上で緑地という地域に指定いたしまして、これに対する措置は、いわゆる建物を建てる面積——これは建坪率と申しておりますが、建坪率に一つの制限を加えております。それが緑地地域を持つ制度の実態でございまして、たとえて申しますれば、現在緑地地域に指定されている地域については、全体の土地面積の一割以上の土地を利用して建物を建てるわけにいかぬ、これが一つの緑地地域の制限の実態でございます。こういう空地率を持つということが、都市計画上健全な都市発展の一つの基礎条件になる、こういうことで、東京について申しますれば、約三千万坪程度のそういう地域を指定いたしました。お話のように、この地域をある程度宅地の建坪率を緩和して、むしろ宅地に解放するような措置にしたらどうか、こういう御意見は、ごもっともだと思います。そういう方向で、先般、ことに四十二万戸計画上、宅地対策が強力に打ち出されることと相並行いたしまして、東京周辺の、今申し上げました三千万坪程度の緑地地域のうち、宅地の方に解放する意味で制限を解除いたしました地域が約七百万坪程度、今後の問題として、これをもっとふやしたらどうかというお考えもあるいは出てくるかと思いますが、しかし、私どもの考え方といたしましては、やはり健全な都市の発展ということは、住宅政策とうらはらをなしている問題でございますから、やはりある程度の現在残されておる緑地地域を、さらに宅地として大幅に開放する方法は、これはよほど慎重に研究しなければならぬ。一たん宅地に開放されたものをまた緑地に戻すということは、ほとんど不可能ですから、いわゆる健全な都市計画、市街地の発展からいたしまして、現在の程度で適当ではないかというふうな考え方で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/77
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078・三鍋義三
○三鍋委員 私の心配して御質問申し上げたのは、大臣の言葉の中に、緑地地域設定の趣旨に十分とは沿えないけれども、こうこうこういう範囲のものを求めたいと思う、こうおっしゃったこの地域設定の趣旨に十分沿えないけれども、宅地として設けたいという、その十分とは沿えないという言葉に多少疑問を持ちまして、今御質問申し上げたのであります。と申し上げますのは、区域設定されたその趣旨というものは、やはりいろいろの目的があるのですから、あとでその目的に沿わないような状態になった場合に困るのではないかという質問でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/78
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079・渋江操一
○渋江政府委員 緑地地域の趣旨は、今申し上げましたようなことでありますから、これは理想からいきますれば、もっと大きな緑地地域というものを広く持ちたいということになるのであります。大臣が言われたのは、いわゆる理想的な緑地地域の規模なり何なりからいえば、ややそれを修正するというような形になるけれども、これも宅地政策の一面からいえば、やはり解決をしなければならない問題であるから、そういう措置をとりたいと考えておるのだ、こういう御趣意かと思います。高層化ということを考えながら、さようなことを考えるより現在の実態としては仕方がないのではないか。都市計画の理想からいえば、そういう点については、やや後退したということは言い得るかもしれません。そういう点を御懸念になってお話があったと思います。しかし、現在の日本の都市の状況、それから先ほどからお話が出ております農地をみだりにつぶすわけにいかないという制約が一方に伴っておる状況、その他の点から勘案して、緑地もまた宅地政策に応分な協力をするという考え方、これは私はやむを得ないのではないかというふうな意見を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/79
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080・三鍋義三
○三鍋委員 終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/80
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081・山田長司
○山田委員 関連して一つ伺っておきます。麹町を初めとして東京都内に、戦災を受けたところで、宅地がそのまま建物を建てずに依然としてほうってあるところがたくさんあると思うのです。ほうっておいた方が、地価が上って家を建てたりなんかするよりもいいというので、宅地として遊ばしておるところがたくさんあるのです。それらの点について、何らの手が打たれていないと思うのですが、何かそれらについて方途を考えておられるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/81
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082・渋江操一
○渋江政府委員 遊休宅地の問題であると思いますが、土地不足の現在の状況、ことに宅地需要の大きい都市について、遊休地をできるだけ活用するという考え方には、私どもも同じような意見を持っております。ただしかし、これは実際問題となりますと、土地所有権をある程度制限するということになりますか、とにかく土地所有権の現在の制度なり、法律的な構成の上では、なかなかこれを遊休地であるがゆえにということだけで処理をすることは、困難であると思います。従って、相当大規模な遊休宅地になっておるところは、たとえて申しますれば、従来からそういう方法がとられておったと思いますが、これを公営住宅用地として利用する、価格その他について十分でなければ、これは収用によって買うということも可能でありますけれども、そういう運用によって、できるだけ遊休化せんとする資産をないような形でやっていきたいと思っております。しかしそれ以上、これを法制的に遊休宅地をなくする、一つの直接的な法律手段をとるということになりますと、これはよほど宅地所有権そのものに非常な制度的に改正を必要とすることになりますので、そこまでは現在の状況ではむずかしいのではないかと思っております。一方、土地の値上り、土地のスペキユレーション、思惑のために土地をなくするという事態については、宅地造成を大規模に行なって、需要供給のバランスの開きをできるだけ少くするということをはかっていくことが、まず最も近道であると考えております。そういったようなことから、今度の公団方式によって宅地の開発を行うということば、これらの点に一つの大きなプラスの作用をするのではないかと私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/82
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083・山田長司
○山田委員 ただいまの御説明では、どうも私には納得できない。農地の場合においては、不在地主など、かなり徹底して農地法で取り締られておる。ところが宅地の場合には、依然として何も手が打たれていない。茫漠たる宅地を持っておりながら、これに何らの手がつけられずにおる。さらに、一軒の家に十室も十二室もあるのに、家族は二人か三人しか住んでおらないというところが現在まだたくさんおる。そういう点から考えてみても、住宅政策の一貫として、大きな宅地を持ち、大きな家に住んでおる人たちに、協力方を政府としては要請していいと思うのです。こういう点について、建設省として何らかの手を当然考えていいと思うのですが、その点について何かお考えがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/83
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084・石破二朗
○石破政府委員 お話の通り、遊休宅地が長年にわたってそのまま放置され、一方宅地取得面に非常に困っておるという現在の状況は、決して適当なものとは考えておりません。従いまして、私どもといたしましては、この問題を解決することは、ぜひ必要なことと思いまして、いろいろ研究はいたしておりますけれども、御承知の通り現在の社会、経済の制度のもとにおきましては、これを抜本的に解決する措置を講じますことは、なかなか困難であろうと考えておる次第であります。ただ、お話の中で、広い宅地を持ち、あるいは広い住宅を持つ者に、住宅困窮者を同居させるような措置でありますが、これも戦争中でございますとか、戦争直後でございますならば、ある程度そういう強制的な措置をとることも、社会全体の通念といたしましてあるいは許され、従って結果も円満にいったかもしれませんけれども、現在のような状況になりましては、これも十分検討いたさなければ、いろいろの混乱を起し、結果的にはかえって摩擦を起すという結果にならないとも限らぬと思います。私が申し上げたいと思いますことは、決して現状がいいというわけではありませんけれども、これを解決するためには、ひとり宅地問題等の見地からだけでこれが解決をすることは、なかなか困難である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/84
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085・山田長司
○山田委員 困難なことはよくわかるのですが、それを強制的にどうするというふうではなくて、やはりこういう問題についての協力方を、当局は地方自治体に対して、あるいは東京都の場合だったら都及び区あるいは町、これらに対して懇請するくらいな手は打っていいと思います。実は、私は意外に思った事例があるのです。特に名前を言うのを差し控えますが、世田谷のある焼けなかった地域に、某地方の長官をやった人の邸宅があるわけです。その邸宅で貸し間をするかもしらぬというので、実は私の選挙区から出てきた人に同行して、貸し間を紹介するところから一緒に行ってみたのです。ところが、家族は二人です。その家の室数は九室あって、しかもその九室が全く掃除にも困るほど広い家に住んでいるわけです。部屋を貸そうという話が進められたけれども、実際こういう点についても、政治が生きていないという点を痛切に感じたのです。もしもこれが地方自治体の協力で、そういうところの調べがあり、そういったところに協力方を要請するくらいなことは、地方自治体も何らかの手で率先してやってくれたら、かなり住宅難が解消できるのではないかという気がしたのですが、こういう点については、どこかこういった協力を自治体でやっております事例があるかどうか、一応参考に伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/85
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086・石破二朗
○石破政府委員 ここで申し上げるだけの資料を持っておりません。ただ、地方によりましては、今のお話のような事例の場合、そういう人が快く応じているかどうか、これは別問題でございますけれども、広い世間には、たとい狭い家でも、家のない困っている者については、民生委員等が仲に立っていろいろあっせんするとかいう措置を講じまして、住宅に困っている者を好意的に収容してやっているという事例が、おそらく全国では相当の数に上っているのじゃないかと考えます。お話の筋もありますので——これは役所仕事でありますと、なかなか困難な仕事でありますけれども、お話の次第もありましたので、手近な東京都等とは特によく話し合ってみたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/86
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087・小松幹
○小松委員 先ほどの営繕部の首切り問題について、官房長が了とされたので、私黙っておったのですけれども、やはり不安があるわけです。七百人の公団職員を要するというが、長い間建設省あるいはそのほかの建設営繕関係に技術の労をとってきた職員を、そのまま街頭にほうり出すということのないように、私はそういうことのできないような、また新しい採用をしていくような公団なら意味がないと思う。やはりそういう者を吸収していく公団組織を考えて、できるだけ、二百何人あるいは地方を加えればまだ多いかもしれません、それを転用するということについての御所信を、さらに伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/87
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088・石破二朗
○石破政府委員 先ほど申し上げた通りでありますが、重ねての御質問でありますので十分努力いたしたい、かようにお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/88
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089・内海安吉
○内海委員長 日本住宅公団法案に対する本日の質疑はこの程度にし、明七日午前十時より引き続き会議を開き、質疑を続行することといたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X01619550606/89
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