1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月六日(水曜日)
午前十時三十八分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君
理事 逢澤 寛君 理事 瀬戸山三男君
理事 西村 力弥君 理事 今村 等君
中村 寅太君 廣瀬 正雄君
松澤 雄藏君 仲川房次郎君
二階堂 進君 町村 金五君
有馬 輝武君 小松 幹君
三鍋 義三君 中島 巖君
出席国務大臣
建 設 大 臣 竹山祐太郎君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
総理府事務官
(経済審議庁計
画部長) 佐々木義武君
建設政務次官 今井 耕君
建 設 技 官
(河川局次長) 米田 正文君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局地方資
金課長) 牧野 誠一君
建設事務官
(河川局次長) 植田 俊雄君
専 門 員 西田 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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六月二十九日
委員並木芳雄君、草野一郎平君、高岡大輔君
及び高村板彦君辞任につき、その補欠として大
高康君、志賀健次郎君、田中彰治君及び松澤雄
蔵君が議長の指名で委員に選任された。
七月二日
委員今村等君辞任につき、その補欠として松本
七郎君が議長の指名で委員に選任された。
同月五日
委員有馬輝武君及び松本七郎雪辞任につき、そ
の補欠として赤路友藏君及び今村等君が議長の
指者で委員に選任された。
同月六日
委員赤路友藏君及び今村等君辞任につき、その
補欠として有馬輝武君及び松本七郎君が議長の
指名で委員に選任された。
同 日
理事今村等君委員辞任につき、その補欠として
同君が理事に当選した。
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七月五日
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部
を改正する法案(内閣提出第一四四号)
六月二十九日
財部町を都市計画街路事業実施地区に指定の請
願(山中貞則君紹介)(第二八六五号)
片具川砂防工事促進に関する請願(佐伯宗義君
外二名紹介)(第二八六六号)
同月三十日
県道三条弥彦線改修工事促進に関する請願(大
島秀一君紹介)(第二九九九号)
七月一日
木津用水取入口附近の採石禁止に関する請願(
早稻田柳右エ門君紹介)(第三一九五号)
同月五日
千葉市より川間、金の井を経て大宮に至る道路
を二級国道に指定等の請願(山本勝市君外二名
紹介)(第三四〇五号)
国道熊本宮崎線改修工事施行に関する請願(石
坂繁君紹介)(第三四〇六号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
委員派遣承認申請に関する件
公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部
を改正する法律案(内閣提出第一四四号)
北海道の水害状況に関する説明聴取派遣委員よ
り報告聴取建設行政に関する件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に入ります前に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。すなわち今村等君が去る二日に委員を辞任され、昨日から再び本委員となられたのであります。同君は理事でありましたので、これが補欠選任を行わなければなりません。この補欠選任につきましては選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/1
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002・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。それでは理事に今村尊君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/2
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003・内海安吉
○内海委員長 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法難案を議題といたします。まず提案理由の説明を聴取いたします。竹山建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/3
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004・竹山祐太郎
○竹山国務大臣 ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
わが国の河川、道路、砂防設備、港湾、漁港等の公共土木施設は、毎年災害により甚大な被害を受けておりまして、従ってその復旧事業を推進することについては、国及び地方公共団体において常に努力いたしておるところでありますが、今回これらの施設に関する災害復旧事業を特に推進するために、連年災害をこうむる地方公共団体の災害復旧事業費に対する国庫負担率を高めるとともに、緊要な災害復旧事業に対する国庫負担金の交付について、政府の財政上の措置に関する規定を整備することといたした次第であります。
これが本改正案を提出した理由でありますが、次にその主要な点について御説明申し上げますと、第一点は、連年災害をこうむった場合における高率国庫負担の規定を設けることであります。現在、公共土木施設の災害復旧事業費に対する国庫負担率は、各地方公共団体ごとに一年間に発生した災害に関する復旧現業費の総額をその年度における当該地方公共団体の標準税収入額と比較し、災害規模に応じ最低三分の二から漸次高率となるごとく定められておりますが、連年にわたり相当の災害が発生した場合には、その復旧につき地方公共団体の財政が著しく圧迫を受けるために、国庫負担率を高めることが妥当であると考えられますので、従来の制度の特例として、連年災害における特別の国庫負担率算定に関する制度を恒久的に確立することとし、国の財政事情をも考慮しつつ、地方公共団体の財政負担の軽減をはかることといたしました。すなわち、災害復旧事業費の国庫負担率を決定する場合には、まず既往二カ年の災害復旧事業費とその年の災害復旧事業費とを合計し、この合計額が既往二カ年度の標準税収入と、その年度の標準税収入額とを合計した額をこえる場合には、当該地方公共団体のその年の災害復旧事業費に対する国庫負担率の決定については、現行制度が標準税収入の二分の一をこえ標準税収入の二倍に達するまでの額については四分の三、標準税収入の二倍をこえる額については四分の四と定めているのを改め、標準税収入の二分の一をこえ標準税収入に達するまでの額については四分の三、標準税収入をこえる額については四分の四とすることとして、連年災害をこうむる地方公共団体の災害復旧に関する財政負担を緩和し、災害優旧事業の推進をはかることといたしたのであります。
第二点は、災害復旧事業がとかく遅延し、多大の仕越し工事を生ずる等、各方面に甚大な支障を与えている現状を改善するためには、種々の改善措置が必要と考えられるのでありますが、なかんずく国の予算措置については、単年度予算制度をとっているとはいうものの、実質的には継続費と同様の考慮のもとにこれを行う必要があるものと考え、緊要な災害復旧事業として政令で定めるものにつきましては、政府はこれらの事が三カ年度以内に完了できるように、財政の許す範囲内において国庫負担金の交付につき必要な措置を講ずる旨を法文の上に明らかにして、地方公共団体またはその機関が迅速かつ計画的に工事を進め得る道を開き、災害復旧事業全体の推進をはかることといたしたのであります。
以上がこの法律案の提案の理由及びその概要でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御議決あらんことを切望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/4
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005・内海安吉
○内海委員長 お諮りいたします。これより質疑に入るはずでありましたが、本日竹山建設大臣には日本住宅公団法案が参議院において午前中に開かれる本会議に上程、採決のこととなっておりますので、その会議に出席のために、本案に関しまする質疑は次会に護ることといたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/5
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006・内海安吉
○内海委員長 次に先般東北地方における六月の豪雨による水害状況調査のため、議長の承認を得て委員を派遣したのでありますが、この際派遣委員より調査の報告を聴取することといたします。
なお、議長よりは、公報に掲載いたしました通り、承認になりましたから、この際御報告いたしておきます。
それでは報告を聴取いたします。荻野豊平君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/6
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007・荻野豊平
○荻野委員 今般衆議院規則第五十五条に基きまして、去る七月一日より五日間にわたり、東北地方における豪雨の災害の状況を調査いたして参りましたので、ここにその概要を簡単に御報告いたしますとともに、所見を申し述べまして、関係当局の御見解を承わりたいと存ずるのであります。
まず各県の災害の概要につきましてきわめて簡単に申し述べますと、これら各県はずれも日本海北部に生じました低気圧のため梅雨線が強化されたため、六月二十五、六両日にわたりまして連続豪雨のため被害をこうむったものでありまして、土木関係災害復旧額は、現在、県当局の推定によりますと、山形県八億三千万円、秋田県十五億円、岩手県四億五千万円に達しておるのであります。
しこうしてこれら各州の被害個所のおもなるものといたしましては、山形県におきましては、山間部で三百ないし四百ミリ、特に鳥海山南東方の水源地帯では七百七百七十ミリの豪雨により、庄内地方では、鳥海山系の日向川、月光川、朝日川、月山山系の赤川、京田川、最上地方では神宝山系の鮭川、小国川等、主として最上川水系の中下流部一帯における支派川の災害がおもなるものでありまして、県市町村工事を合せ、河川関係二百四十カ所四億五千万円、道路関係百四カ所一億六千万円、橋梁関係六十六カ所二億円余、秋田県におきましては板平における三百四十ミリを最高とする二百ないし三百ミリの連雨により、雄物川水系の岩見川、横手川、鳥海山系の子吉川、奈曾川及び米代川水系等、その被害は県下一円に及び、県市町村工事を合せ、河川関係三百八十四カ所五億四千万円、道関路係二百四カ所八千万円、橋梁関係百八十六カ所一億九千万円がそのおもなるものであります。また岩手県におきましては、三百二十九ミリを最高とする奥羽山脈一帯の豪雨により、和賀川を初め、西部山地に源を発する北上川支川及び北上川本流北上市以南の災害でありまして、河川関係九十五カ所二億六千万円、道路関係二百八十七カ所八千万円、橋架関係五十二カ所一億四千万円がそのおもなるものであります。
以上、簡単に概要を申し述べたのでありますが、次に今回の調査による所見を申し述べ、関係当局の明確なる御答弁を得たいと存ずるのであります。
まず第一には、つなぎ融資の緊急交付に関して一であります。当地方は従来の例により見ましても、七月末より八月にかけまして豪雨の来襲する例が多いのみならず、また全国的に考えましても、八、九月の台風の時期を控えまして、少くともその時期までには今次災害個所に対する一応の応急手当を行うことが何より緊急を要することでありまして、山形県においては二億円、秋田県においては五億円、岩手県においては七千五百万円のつなぎ融資の早急なる交付方を強く要望いたしておるのであります。建設省当局におきましては、当然これらの件に関し、すでに財政当局と折衝の過程にあるものと思うのでありますが、これが交付の時期、金額等の見通しにつき、具体的に御説明願いたいのであります、一、二カ月もおくれて交付されるつなぎ資金は、全くその効果を半減するものであります。
第二には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の改正に関する問題についてであります。近時災害が相次いで発生するにもかかわらず、予算がこれに伴わぬため、復旧は遅延し、過年度災害残事業は累積しているのが実情であります。従いまして、地方公共団体における仕越し工事も相当の額に達し今回調査いたしました秋田県を例にとりましても、その利子のみにても年間一億円余に及んでおるのでありまして、このため地方財政の基礎が脅かされる結果を来たしておりますことは、もはや周知の事実でありまして、この際思い切って災害復旧の速度を短縮することが熱望されているのであります。
次いで改良を伴う災害復旧工事についてでありますが、災害復旧工事を行う場合、少しく工費を増加すれば、より強固な、より程度のよい工事ができるにもかかわらず、現行法規のもとにおいては、そこまで手を伸ばせないという状況であります。しかしながら今回流失せる木橋、あるいは堤防等を見ましても、そのほとんどすべてが、去る二十二年、二十三年の災害により原形復旧を行なったもののみでありまして、木橋等におきましては、ある程度数は減らしてもこの際永久橋へのかけかえ方を要望いたしておる傾向も見られるのであります、この際、災害復旧に関し、ある程度の改良工事を制度とし認てめることの必要性を痛感いたすのでありますが、この点に関しても当局の御見解を承わりたいのであります。
第三には、多目的堰堤関係予算の増額についてであります。多目的堰堤の効果著しいことにつきましては、今回の災害におけるのみならずわが国の実情よりいたしまして、今さら論を要せぬところであります。しかしながら多用的堰堤を中心とする北上用特定地域総合開発計画により。積極的に工事を進めております北上川水系においてさえも、いまだ石渕、川瀬の二堰堤が完成、湯田堰堤が着工いたしたばかりでありまして、四十四田及び御所の堰堤は未着工の状態であります。一方、全国的に見まして多目的堰堤関係の予算は、昨年度に比し約十億円の増額をみたのでありますが、北上川水系を見るまでもなく、この経度の増額をもってしては、堰体工事のみにても数十億を要する多目的堰堤の早急なる築造はとうてい期し得られないのでありまして、政府は来年度においては、積極的にこれが予算措置を講ぜられんことを希望するものであります。
最後に、取水樋門、いわゆる灌漑用水取入口による堤防の決壊についてであります。今回の災害におきましても取水樋門に基因する提防の決壊が多く見られたのでありまして、和賀川沿岸和賀村地内におきましては、堤防決壊六カ所のうち、四カ所までは取水樋門に原因する決壊と称せられているのであります、先年、長良川におきましても、同様の原因により大災害を惹起いたしましたことはわれわれの記憶に新たなるところでありますが。これら所管省の異なる河川の構造物に対しましては、建設省は緊密なる連携をとるというよりも、むしろ監督的立場に立つ必要があると思われるのでありまして、河川行政の一元化という観点より見まして、河川法改正の際におきましては当然考慮されねばならぬ問題と思うのでありますが、当局の御見解を承わりたいと思うのであります。
次いで、和賀川下流にある東北電気製鉄株式会社の自家発電用の石羽根堰堤についてでありますが、今回の出水に際し、一時に放水いたしましたため、下流右岸約六百メートルにわたり著しい決壊を来たし、農道四百メートルの流失を初め、附近農家も危険に瀕しておるのであります。地元民といたしましては、同堰堤の一時放水によるものとして、会社側に対し賠償を要求せんといたしておるのでありますが、当局といたしましては、これら民間自家発電用堰堤の水理調節に関しいかなる監督をなしておるのであるか、またこれらの災害が同堰堤の操作によるものであるかを早急に調査の土、御報告願いたいと思うのであります。
以上、簡単に調査の概要並びに所見を申し述べたのでありますが、当局の明確なる御答弁を期待いたしまして、御報告にかえる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/7
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008・内海安吉
○内海委員長 ただいまの荻野君の報告に対しまして、政府当局より答弁なりあるいは所見なりを述べてもらいます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/8
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009・今井耕
○今井政府委員 ただいま詳細御報告を受けまして、建設省といたしましてはこれに対しまして万全な措置を講じたいと存じます。その詳細は河川局長から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/9
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010・米田正文
○米田政府委員 今回の東北地方及び北海道の水害に伴います復旧の措置については、現地においてそれぞれ必要な措置が漸次とられておるのは御承知の通りでございます。建設省といたしましても、この災害の調査が十分できましてその復旧計画が立つときには、できるだけ早く査定官を現地に派遣いたしまして正式査定をいたしまして、災害復旧額の決定をいたしたいと思っております。ただこういう正式の災害復旧査定には時日を要しますので、その前に県及び市町村としては応急の手当をいたさなければならないので、現に現地における必要な手配をいたしておるのであります。そのために必要な資金が問題でございますので、これについては各県からの融資の要望額をとりまして、建設省といたしては大蔵省と折衝をいたしておるのでございます。実は書類としては、公文書で建設次官から大蔵次官に要望書を出しておるのでございまして、その線に従って、事務的に折衝をいたしております。どうも、先ほどもお話がございましたが、融資の決定が従来の例に徴しまするとなかなか早急に行われない、時間がおくれる例が多いので、今回はぜひ早急に決定するように強く要望いたしておる次第でございます。ただいまお話がありました中の岩手、山形については、正式要望書がまだ出ておりません。これは出てき次第に追加をいたすこととして、現在数字的に折衝いたしておりますのは、北海道、新潟、秋田、それと先月の佐賀、長崎の分と合せて現存要求をしておりますので、金額総計四億六千万円程度の折衝をいたしております。大体融資の総額は、従前の例によりましても総被害の一割以下の数字が例でございますが、大体その程度あれば、ごく応急の措置はできることになっております。それがつなぎ融資の今日の情勢でございます。
それから第二点の問題としては、災害が起きても毎年の予算が十分つかないために、仕越し工事等が起きて、各県ともあるいは市町村とも非常に財政上因っておるという実情は、私どもも大へん心配をしておる問題の一つであります。その問題等もございますので、今度の負担法の改正には、工事を実施していく年限をできるだけ明らかにしていくという措置をとりたい。それで毎年災害が起きましたら、そのうちの重要なものについては、その災害の起きた年を入れて三年間で復旧を完了するということを今度の法律にうたったわけでございまして、かような仕越し工事が非常に無計画に起きて、そのために地方も国も非常に困っておるという実情を解決するための一つの方策でございます。今後は主要なものについては三年間でやるという建前になりますので、私ども、今月から出る災害の査定官が現地に参りますと、緊急という判を押すのと押さないものとの二つの区分をして参ることになるのでございます。この法律が通ればの前提でございます。それで緊急という判を押したものは三年でやるということが明らかになるのでございますので、地方としても今後の措置をとる上において、事務的にも非常に明確になってくる分が多いのであります。なお災害の査定をするときに、原形の復旧というのが原則でございますので、改良の分が改良費が足りないために、木橋が流失した場合に、それをコンクリートにすれば今後流れないで済むものを、また再ぶ木橋でかけるために、再度災害を受けるということを繰り返しておる例が非常に多いのでございます。それでわれわれとしても従前からある規定を設けまして、十年間に木橋で何回流れたというような、しょっちゅう流失するような場合の橋梁は、コンクリートにかえるという方策をできるだけとっております。ただしこの場合に災害費だけでいけるかどうかの問題は、当該県ごとに研究を要する問題でございまして、一般に申しますと、災害費で取った金額にプラス災害関連事業費という費目からこれに加えまして、そうしてコンクリート橋にするというのが建前でございます。そういう制度を極力私どもとしても今後推進をいたしたいと思っております。それから第三審目の多目的ダムの建設の促進の問題でございますが、現在全国で二十八の多目的ダムを、建設省としては建設中でございますが、今全国に計画を持っておりますのが九十九ございます。その中の二十八を今実施中でございますので、予算もただいまお話のように、大体七十七億程度の今年度の予算でありますので、全国的にそういうたくさんの、計画のダムを一斉に推進するということは、予算的的に見て非常に困難でございますので、私どもとしては現在実施中のものを中心に、それに重点を置いてなおそれに続く重要な堰堤の促進に次の重点を置いていくという考え方をいたしております。
それからその次の取水樋門、特に農林関係で、こしらえた取水樋門が原因になって堤防の決壊を起すという例は、従来から非常にたくさんあるのでありまして、お話のありました長良川の決壊のごときはこの一つの憲著な例でございます。そこであの事件直後当時の建設大臣としては、閣議でこの話を持ち出しまして、各省間に今後こういう問題が起きないように十分注点し、建設省の監督を十分にするという話し合いをいたしておりまして、その後実行の方法としては農林省関係の樋門の工事は、その工事の施行を建設省に委託するのを大体原則にいたしており、ごく最近の工事の建設省が委託を受けて工事に当っております。かようにすれば樋門設置が提防決壊の原因になることはほとんど防がれる結果になりますので、私どもとしては今後ともこの方針をなお強化していきたいと考えております。
最後に和賀川の石羽根の堰堤のお話がございましたが、これについては御承知のように、こういう堰堤設置については許可が要りますと同時に、水利権の許可ももちろんその前に必要でありますので、そのときにいろいろな治水上の制限を設けております。特に、具体的に申しますと、完成いたしますと、そのゲートの操作規定というものを設けることになっております。その規定については種々治水あるいはその他の水利上の制限を設けて、今回のこの堰堤の操作が、果してその操作規定を重視しておったか、あるいは操作規定に違反をしておったか等は、今後調査をいたしまして御報告を申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/10
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011・内海安吉
○内海委員長 ただいまの米田局長の所見に対して御質疑等がありましたならば、この際お許しいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/11
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012・二階堂進
○二階堂委員 ただいま荻野さんから東北地方の災害に関して御報告があったわけであります。私も一行の一人といたしまして、東北の山形、秋田、岩子の三県の災害の実情を視察して帰ってきたわけでございますが、私は荻野さんの報告をさらに掘り下げまして、私の得た知識あるいは印象等をもとにいたしまして、当局に二、三の質問をいたしてみたいと思うのであります。私はその前に、なるたけ近い機会に大蔵大臣の本委員会における出席を要求いたしておきます。明日なりあるいは明後日なりの委員会に、ぜひとも一つ大蔵大臣に出席していただきまして、さらに大蔵大臣の災害復旧あるいは治山治水対策に対する考え方の根本をお伺いいたしてみたいと思っています。
今回の東北地方における災害は、ただいまの御報告にもありました通り、いずれの県も非常な被害を受けておるのであります。今回の災害の特徴を考えてみますと、今までにない非常に多くの雨量が長時間にわたって降っておるということが、その特徴の一つではないかと考えるのであります。従いまして、その雨量が非常に短時間の間に川に流れて、従って河川の堤防とかあるいはその他の公共施設というものに、甚大なる被害を与えておる。特にまた最上川とか雄物川とか北上川といったような大きな河川の災害もかなり多いのでありまするが、それに注ぐ支流の被害というものが甚大である。小さな川が一挙に相当な量の水が増水いたしましたために、堤防という堤防はほとんど何十カ所も破壊をされておる。従って堤防が破壊されたことによって付近の耕地、民家、そういうものが非常な被害をこうむっておる。農林委員会の連中も一緒でございましたので、農作物等の被害あるいは農業土木施設等の被害については詳細な報告があると思っておりますが、このような特徴を持った災害でありましたので、地方の方々も災害復旧に対する心配、苦労というものは、なみなみならぬものがあると私は見て帰ってきたわけであります。このな災害を通じて、私どもは今後政府が災害に対して一体どのような災害対策を考えておるのか。毎年毎年来るところの災害によって、貴重な国土あるいは耕地その他いろいろな施設が流れておることは、もう御承知の通りであります。東北の災害に次いで、またさらに北海道の大きな被害があった。さらに、また南九州におきましても毎年のことであります。大きな被害がまた来るのではないかと心配をいたしております。このように毎年来る災害によって、金額にいたしましても何千億というものが流れてしまっておるわけでありまするが、このような実情を私どもはほんとうにまじめになって考えて、今後の災害対策あるいは治水治山対策というものを政府においては真剣に考えて樹立して、国土保全ということを考えていただかなければならないと考えております。ところが本年度の予算等を見てみましても、私はまことに遺憾にたえない。これはこの委員会におきましても再三大蔵大臣にもお話し申し上げておきました。さらにまた建設省当局にもお願いを申し上げておいたわけでありまするが、治水治山の対策費というものが削減をされておる。治水治山の事業費というものが削減をされたことは、終戦以来ことしが初めてであるというふうに承わっております。このことは、私は建設省当局は治水治山の対策について熱意がないということを申し上げておるのではありません。もとより当局においては非常な熱意を持って、いかにしたならば災害を早く復旧できるか、あるいはこうしたような災害の対策をいかにしたならば樹立できるかということに懸命になっておられるのでありまするが、問題は私は大蔵大臣にあると考えております。従って私は先ほど大蔵大臣の出席を要求したのも、大蔵大臣自身がこのような災害に対する深い認識を持っていただかなければならない。経済六カ年計画というものをお立てになっておる、経済の基盤を地固めしようということを考えておられまするが、いかに産業の合理化とか、貿易の振興とか、いろいろなことをお考えになっておりましても、年に何千億といったような国土を荒されて、川が荒れ、耕地が荒れ、国土を荒れほうだいにしておいて、経済六カ年計画というものが立てられるか、私ははなはだ残念しごくに考えておるのであります。このことにつきましては、大蔵大臣に災害の被害が国家国民にいかに大きな影響を与えるかということを、具体的に一つ詳細に私説明を申し上げまして、大蔵大臣の国土保全対策に対する認識を一つ変えていただきたいということを考えるわけであります。このような考え方からいたしまして、今回のこの東北の災害あるいは北海道の災害に対しましては、その復旧の対策あるいは災害を未然に防ぐという対策を、一つ可及的に立てていただかなければならぬと考えております。こういうような根本につきましては、建設大臣及び大蔵大臣に私質問をいたしたいのでありますが、本日は大臣の御出席がございませんので、私が見て参りました実情に基きまして、建設省当局に、具体的な一つ一つの問題について私の考えを述べて、所信をお伺いいたしたいのであります。
その第一は、先ほど荻野委員の報告の中にもありましたが、北上川を中心とする災害対策の問題であります。私は初めて北上川を視察したわけでありますが、この北上川の総合開発いかんが、岩手県の開発の運命を大きく支配するものであるということを痛切に感じました。この北上川の災害あるいは増水対策といたしまして、建設省において数カ所のダムを建設されておるわけであります。そのうち二カ所が完成しておるやに伺っており、あと三カ所はただいま実施中であるというようなことを承わっております。確かに、でき上っておるダムによって、ある程度の増水の調節ができておることは事実であると私見て帰ったのであります。しかしながらこのダムが完成いたしましたにしても、今回のような予期せざる大へんな雨量を伴った豪雨が来た場合に、果してその五つのダムでもって水量の調整ができるかどうか。堤防等は、北上川のいろいろな個所において堤防の施設が行われていないところがたくさんありまして、原始河川そのままの姿を私どもは見て参りました。今回はダムも完成いたしておりません関係から、支流から相当の水量が本流に流れ込んで参りまして、そうして自由自在にこの川の形が変ってしまっておるというような実情を見て参りました。私はこの五つのダムの建設促進をぜひとも早くはかってもらわなければならないと考えておりますが、このダムの建設は一体いつごろ完了する見込みであるのか、あるいはまた五つのダムがかりに完成をいたしましたにしても、一体どの程度の水量の調節ができるか、あるいはまたこのダムが完成をいたしまして、ある程度の水量の調整ができるといたしましても、その後における堤防の堤防の計画事業というものが、何年かかってこれが完成するような見通しがあるのか。これはどうしても一つ急いでいただかなければならない大きな仕事であると私は考えております。この点についての見通し、建設省当局の考え方を一つお伺いしておきたいのであります。
さらにもう一つは、先ほど荻野委員の報告の中にもありましたが、北上川の上流でありまするか、石羽根堰堤というものが築かれております。これは東北電気製鉄株式会社が自家発電として、ダムを二カ所に作っているわけであります。その下流のダムを私どもは視察したわけでありまするが、付近の耕作をしている人たちの意見を聞いてみますと、相当な雨量が短時間のうちに流れて参りました関係から、上流のダムがある程度自然に調節はいたしておったものとは考えまするが、急速なる増水のために上流のダムを一挙にこれをあけてしまった。従ってまた下流のダムに相当量の水が押し寄せてきた。そこでその下流のダムはそのはけ口をあけた。そのために大へんな水量が一時に下流に流れていった。その結果はどうであるかというと、川の流れが従来の流れ方と全く違った方向になった。そのために大へんなところに川が荒れ狂うて、何百町歩というような耕地を荒しております。東北地方は御承知のごとく今麦の収穫期であります。従ってこの麦等の被害、あるいは桑の被害、あるいは水田の埋没、流失、これは甚大なものであります。そういうような現象が起っている。同時にそのダムの近くにあります耕地も、今までに考えられなかった個所が相当に決壊をし、大部分の土地が流失してしまっております。こういうようなことを考えてみますると、全国にこうしたような個人、民間の会社等が自家発電等のために作っているダムが、まだかなりあるのじゃないかと私は思っておりますが、こういうようなダムから生ずる被害というものは、今回の東北地方の災害を見ましても非常に大きいということを私は痛切に感じました。このようなダムの建設ということについて、一体建設省はどういうような管理と申しまするか、そういう管理等をいたしておるのか。自家発電でありますと、電力関係は通産省でございましょう。従って通産省との間にダム建設等についていかなる打ち合せをして、その建設の許可をされているのか、あるいは現在私どもが見て参りましたこの石羽根堰堤等はいつごろできたのか。実際に行ってみますと、私はしろうとでありますが、ダムは非常に増水している。しかも流れております水を見ますと、おそろしいような勢いで水が流れております。ダムを建設した当時は、雨量百ミリとか百五十ミリとかいう相当な雨量を予想して作っておりましょうけれども、今日のような災害は、一挙に四百ミリないし七百ミリというような雨量が起っております。従ってこのような何時間も続いて多量の雨が降った場合に、果して今建設されておりますようなそうした自家発電用のダムというものが、そうした急激にふえた水量に果して耐え得るのかどうか、これは非常に心配であります。もし二つのダムが決壊してしまったならば、これは大へんな水害が起るということを私どもは想起しなければなりません。昨年でありますか、一昨年でありましたか、大分県にそういう例があったということも私は承わっております。農地を失った人たちは、電力会社に対して補償の要求もいたしております。しかしながらその会社はそんなことはできないというようなことで一蹴しておる。つまるところは国にたよらなければならない。何とかしてその農地の補償をしてもらわなければならないというようなことを、悲痛な声で訴えておるのであります。こういうような事態が起った場合には、その個人の会社等がある程度これを補償すべきものと私どもといたしましては考えておりますが、果してそういうような補償をさせる法的な何かあるのかどうか、あるいは全国にこういうようなダムがたくさんあると思っておりますが、こういうようなダム等について一つ詳細な建設計画、あるいはいつできたのか、その当時の建設計画はどのような雨量を大体考え、水量を考えて作られたものかということを、私は再検討される必要があると考えております。このようなことについて当局は一体どういうようにお考えになっておるか、この点が第二であります。
その他たくさん質問がありますが、以上大体二点についてまず当局の考え方を一つお伺いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/12
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013・西村力弥
○西村(力)委員 今の二階堂委員の質問に関連してでございますが、自家発電の場合に、ダムを守るために下流の被害ということを顧慮せずに工事をやるということでございましたが、私が聞いておるのでは建設省が管理しておる猿ケ石の田瀬ダム、胆沢の石淵ダムとか、そいうところも五月の工事の場合において、その管理上の不手ぎわから、下流に相当な被害を与えたということを聞いておるのです。それを責めるわけではございませんが、測候所と担任者側の連絡が十分でいろいろやっておるでしょうけれども、しかしとかくすると発電が重点になって満水する、あるいは雨が降ると下流の問題を考えずに自己本位に考えてくる、こういうことがあり得るだろうと思うのです。そういうことを聞いておりますが、事実その通りあるかどうか、あるいは自家発電のものを含めて、このダムの洪水調整に対する機能を果させる管理をいかように指導しておるかというようなこと、あるいは管理者側とその下流民との連絡はどういう工合にやっておるか、そうやって多目的ダムを建設した意味なり機能なりを十分に果して、洪水調節の目的を達しなければならぬじゃないかと思うのですが、そういう点はどのように現在やっておるか、一つ関連して御答弁を願います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/13
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014・内海安吉
○内海委員長 ちょっとお諮りいたしますが、ただい高碕国務大臣がお見えになっております。これは中島巖君の要求によりまして、三十分という時間を切っての御出席を願ったわけでございますから、ただいまのお二方の答弁はしばらく保留いたしまして、この際建設行政に関して中島巖君の質問を許したいと思います。中島巖君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/14
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015・中島巖
○中島(巖)委員 高碕経審長官の御出席を要求いたしましたのは、すでに二週間ほど前でありますが、質問の要件は、佐久間ダム開発に伴う水没地対策に関する件であります。これは建設大臣に質問いたしましたところ、目下経済審議庁の開発第三課において提案を急いでおるから、六月中には何とか実施ができるという、かような建設大臣の答弁があったのであります。それで高碕長官に対する質問と同時に、建設大臣にも関連がありますし、ただいま他の問題につきまして二階堂並びに西村両委員よりも建設大臣の答弁を求むる質問がありましたので、参議院が済み次第至急こちらへ出席下さるよう、委員長にお取り計らいをお願いいたしたいと思うのであります。
高碕長官に御質問いたしますが、昭和二十九年二月十七日付におきまして、当時の建設大臣、静岡県知事、愛知県知事、長野県知事、電源開発株式会社の総裁、この五名の方が「佐久間ダム開発に伴う水没地対策に関する覚書」というものを作成いたしたのであります。従いましてこの覚書を信頼いたしまして、地元といたしましては承諾書を出したわけであります。すでにこの覚書を作成いたしましてから一年半たっており、片方、佐久間ダム建設工事は着々進みまして、年内に完成という運びになっておるのでありますけれども、この補償問題に対しましては何ら具体的な指示がないのであります。ただ目下経審の総合開発第三課において、案をまとめ中というだけであります。ことに長官は当時電源開発の総裁もされておったと思いますので、これに対しては非常に詳しいと思うのでありますが、いかなる成案を現在得ておるかということについて、詳細な御報告をお願いしたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/15
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016・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいま御質問の点でございますが、お説のごとく、私当時電源開発会社におりました。それで佐久間ダムの建設を非常に急いだ結果、建設大臣並びに三県知事の御尽力によりまして、電源開発会社と、五者の間に道路を作るための補償問題の申し合せができたわけなのであります。これは相なるべくは早く決定すべきものであるということはお説の通りでございます。もうすでに電源開発会社の佐久間ダムは、だんだん完成せんとしておるときでございますから、一日も早くせなければならぬ。御質問のごとく、ただいま経済審議庁におきましては、現在各関係者間の意見を総合いたしまして、どういうふうにやれば一番いいだろうか、また財政の負担をどうするかというふうなことにつきまして今立案しておりまして、現在その進行中でございますが、幸いに今ここに政府委員が参っておりますから、現状を詳しく御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/16
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017・佐々木義武
○佐々木政府委員 佐久間の道路の建設問題でございますが、これはお話のように、六月の末までにできるだけ完成したいということで、内部的な立案をしつつあったわけですが、ただいままでのところでは大体成案はできてございます。まだ最後的にこれでというところまではいっておりません。と申しますのは、御承知のように、両側に大きい道路を二本並べて通すのがいいのか、そうではなくて、木材の搬出等に差しつかえない程度に一部の道路は作っても支障ないのじゃなかろうかというふうな意見もございまして、いずれにいたしましても開発会社あるいは建設省となると、理屈は違いますけれども国の金であることには違いありませんので、道路をつけるという約束は当然果すわけであります。ただ大きさとか順序等が、一ぺんに全部やるわけにも、なかなか財政上困難かと思いますので、そういう順序、段階等を一体どうしたらいいのかというふうなことで今考え中であります。従って六月末までにぜひ通したいということで馬力をかけてやっておったのでありますが、少しおくれますが、ごく近日中に、建設省の方あるいは電源開発会社の方とも話をつけまして最後的にきめたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/17
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018・中島巖
○中島(巖)委員 御承知のようにこの上流地域の長野県の下伊那郡は面積が千八百五十平方キロ、香川県より大きな密林地帯で、人口はわずか二十二、三方、従いまして天龍川のいかだ流しというものが、あの地方の材木の搬出の非常に大きな部分をになっているわけであります。従ってこの完成と同時に、それらを陸送すべきところの道路が必要なのであります。ことにこの二十九年二月十七日の覚書によりますと、その覚書の第一項に「次の道路は、国の計画の決定に従い会社は応分の費用負担をする」という項目があり、それから1、2、3、4として、早木戸−大嵐間、横林−湯島間、大嵐−佐久間間、大嵐−鶯巣間というように、はっきりとうたってあるのであります。これは三県知事と建設大臣並びに電源開発会社との覚書でありますけれども、この覚書を作成するに当りまして、五者間におきましてある程度の見通しを立ててしなければならない問題だと思うのでありますが、この点はむしろ建設大臣に質問することといたします。ただかような覚書を作成いたしまして地元民に安心感を与えて、そして地元民の承諾書を取り、しかも地元の調印を取るまでは足しげく運んで調印を取り、一たん水利権を獲律すれば、一年半たっても何らそれに対して具体的な方法を指示せぬというようなことは、この覚書作成に当りまして非常に軽率なものだ、かように考えるのであります。
なお長官に御質問いたしますことは、長野県の総合開発局より「天龍川沿岸道路計画概要」というものが現在出ておるのであります。それによりますと「佐久間沿岸道路計画は佐久間ダムの建設に伴い、たん水区域となるこの地区は産業的には、流筏による林産物の搬出はそ害され一方飯田線は付替を必要とする上に、県道、町村道の水没するものも生じたために孤立する部落も多いので、産業、交通、民生の面より考慮して、上流平岡地点よりダム地点までの左右両岸に縦貫沿岸道路(三一・一粁)の新設を公共補償と総合開発計画の一環として、愛知、静岡、長野の地元三県によって計画したものである。この計画については、昭和二十九年二月十七日に建設大臣、電源開発会社総裁、並びに関係三県知事の間において覚書を交換して、国の計画決定に従い、電源開発会社が費用の一部を負担することになっているが、この計画がいまだ天龍東三河特定地域総合開発計画書には含まれていなかったので、昭和二十八年八月追加計画として国に提出したが、昭和二十九年六月の天龍東三河特定地域総合開発計画の閣議決定は得られていないが、了解事項として国が計画決定を行い、公共事業として実施することが約束されている。この計画決定の資料を得るため、昭和二十九年度において国庫補助調査事業として関係三県に対して、天龍川沿岸道路経済調査費が配付され、現在すでに調査を終了しているので、この結果に基、いて基本計画が近く決定されるものと思われる。」そうして工事概要といたしまして、左岸におきまして林道事業費四億一千万円、右岸におきまして道路事業費十三億九百三十九万円、すなわち合計十七億一千九百三十九万円というものが計上されているのでありますけれども、これの通りに国としてはのむ考えがあるかどうか。もしのむ考えがあるとすれば、工事の着工はいつごろになって、竣工はいつごろになるような予定があるかということについて、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/18
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019・佐々木義武
○佐々木政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、費用の繰り上げ等、あるいは道路の着手順序等がきまりますれば、できるだけ早くそごを来たさない程度に、その完成度を早めていきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/19
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020・中島巖
○中島(巖)委員 長官にお尋ねいたしますが、今の佐々木計画部長の返事を長官は認められますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/20
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021・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいま佐々木計画部長の申し上げましたごとく、この問題は、私個人といたしましても、電源開発会社におったときによく実情を存じておりますし、一方また国土の総合開発の問題から申しましても非常に重要な問題でもありますから、一刻も早く計画部長の申しましたごとく、計画を立てて実行に移すべく努力いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/21
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022・中島巖
○中島(巖)委員 関連しておりますので、ただいま建設大臣は不在でありますから、河川局長にお尋ねいたしますが、結局これは水利権の問題であって、河川局の所管事項であるのであるが、この覚書のもとに地元民は承諾書に調印をしたわけであります。しかるに一年半たち、すでにあと数カ月で湛水時期も迫っておるというのに、ただいま高碕長官からの御答弁のように、まだ計画もはっきりしておらぬという、かような状態であります。先ほどこれらのダムの許可権につきまして、二階堂委員からも質問がありましたけれども、こうしたものをはっきりした見通しがなくしてかような許可をするということは、担当者といたしまして非常に軽率ではないかと思うのでありますが、御意見いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/22
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023・米田正文
○米田政府委員 建設省といたしましては、佐久間のダムの水利権許可に際しまして、ただいまお話のございましたように、水没地対策に関する覚書を関係者の間で作成いたしましたので、私どもとしてはこの覚書の趣旨をその通りに守って、実行に移すように努力をいたしておるのでございます。先ほどからお話のございましたように、昨年度は問題のこの道路の位置を調査いたしまして、その位置もA案、B案、C案というふうに、いろいろの案を調査いたしたのでございます。そしてそれらの調査についての工費等も出ております。そこで先ほど審議庁からもお話のありましたように、こういう調査の結果で、どの線にしてどういう規格の道路を作るかということを関係省の間で決定いたさなければならないが、その決定がいずれ早急に決定をされることになっております。その決定に従って午後この実施の面については、建設省としては全力を上げてこの解決に当りたいと思っております。いずれにいたしましても、早急にこの計画の決定をすることが必要でございまして、これが決定されれば、それに従って実行に移されるというように建設省としては考えております。決してこれをおろそかに考えておるものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/23
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024・中島巖
○中島(巖)委員 地元のうわさによりますと、この覚書を作成するに当って、当時の電源開発会社の副総裁の進藤氏は、総裁である現在の高碕長官に諮らずに行なった。それから当時の建設大臣であるところの戸塚九一郎はまた河川局長に相談をしなかった。従ってそこにいろいろないざこざがあって、この決定がおくれておるというような風説が立っておるのでありますが、そういうことはありませんか。長官並びに河川局長にお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/24
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025・高碕達之助
○高碕国務大臣 それは誤まりであります。私は認めておりました。その当時の総裁といたしまして、副総裁の言ったことは責任を持つ考えでありました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/25
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026・米田正文
○米田政府委員 建設省に関する限りも、当時の戸塚大臣と私との間には十分な話し合いをした結果でございまして、決して私が知らないというような事情はありませんでしたから、念のために申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/26
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027・中島巖
○中島(巖)委員 高碕長官にお尋ねいたしますが、この決定的な成案はいつごろできるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/27
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028・高碕達之助
○高碕国務大臣 もうほとんどでき上っておりまして、各関係者間で打ち合せました結果、それを発表したいと存じておりますが、大体調査も完成いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/28
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029・中島巖
○中島(巖)委員 完成いたしておるから、打ち合せがありさえすれば近く発表ができるというお話しなので、私もこれ以上質問を差し控えたいと思いますけれども、何にいたしましても今国会中にその成案を得たいと思うのであります。従いまして、本月二十日ごろまでにも成案を得ない場合においては、委員長にお願いするのでありますけれども、当時の覚書作成者であるところの建設大臣、三県知事、電源開発会社の副総裁を当委員会に喚問して、そうして当時の模様をお聞きしたい、かように考えますので、以上要求いたしまして、この問題を打ち切ることといたします。
次に高碕長官にお尋ねいたしますが、現在国会におきまして議員提案といたしまして、大臣並びに政務次官を除く、その他四名ほどを除きまして、四百三十名の議員提案によりまして国土開発縦自動車道建設法案なるものが提出されておりまして、付託すべき委員会が決定次第国会に上程されることになっておるのであります。それにつきまして五月三十日の名古屋タイムスにおきまして、あなたが米国証券会社にあなたの秘書をつかわして、この道路建設のために外資導入に尽力されておるということが記事に出ておるのであります。ごく簡単に見出しだけ申し上げますと、「東京−神戸間のいわゆる弾丸道路建設はかけ声ばかりでサッパリ実現する気配がない。ところがこのほど、高碕経審、一萬田大蔵、竹山建設の三大臣が協議した結果、とりあえず名古屋−神戸間を第一段階として着工することに意見の一致をみたので、再びこの問題が表面に押し出されてきたようである。これまで実施に当って最大の難点とされていた外資の導入にある程度の見通しをえたことが、この決定に大きく響いたものといわれているが、当の建設省でも来年度中に路線調査を行う方針なので、夏ごろから急速に具体化の動きが出てくるものとみられる。」「三大臣の話し合いの基礎となったのは、高碕経審長官秘書の資格で渡米、外資導入を折衝した川本某氏の報告であるがその内容はつぎのようなものだといわれる。一、在ニューヨークのプライス証券会社に名古屋—神戸間の有料自動車道路に対して千五百万ドルないし二千五百万ドルを投資する用意があること。」その他いろいろありますけれども長くなりますので以上だけを申し上げまして、果してこれが事実であるかどうか、それからその後どうなっておるかというようなことを長官にお伺いしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/29
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030・高碕達之助
○高碕国務大臣 この東京−神戸間の高速道路の問題は、前内閣の吉田さんが非常に御熱心でありまして、私その当時から吉田さんの計画には賛成いたしまして、いろいろ外国とも折衝をいたしておったのであります。しかしここに御承知のごとく二つの案がございまして、つまり海洋道路をやるか、あるいは中央道路をやるかという問題がありまして、これでなかなか決しかねておったのであります。主としてこの調査は建設省にお願いいたしまして、いろいろ対米の折衝をいたしましたところが、米国側では御承知のごとく日本に通路らしい道路はない。それでこれは日本の産業を復興する上においても、日本の国土を開発する上においても、道路を作るということは非常に重要な問題であって、アメリカの人たちには非常な関心を持って迎えられたのであります。ところがこちらの計画がはっきりきまらないものでありますから、昨年の暮れに、ちょうど吉田さんがあちらへ行っておられますときに、私は吉田さんと一緒になることはできなかったけれども、相前後してアメリカへ参りまして、中央道路にしても海岸道路にしても、名古屋−神戸間は一致していることだ、両方の意見の一致している方面から始めたらどうか、こういうような意見がありまして、その方面のことにつきましていろいろ折衝いたしましたところが、これは非常におもしろい仕事だ、ついてはこれによってどれくらい日本の産業が復興できるか、日本の産業のためになるかという具体的の数字を出せ、こういうことでありまして、そういうふうになればアメリカの証券業者の中では、これを民間の投資として長期で相当の金を出したい、こういうふうな意見もあったものでありますから、今お話の新聞に書いている川本稔という男でございますが、これは昨年来向うにおきましていろいろ調査させた結果、日本の産業復興にどれだけ間に合うか、どれだけ日本の産業が復興してよくなるか、同時にそういうことによって日本の輸出が幾らか増進するか、いなやということ、向うで借りる金はドルで借りますから、ドルで利子を払わなければならぬ、またドルで返さなければならぬ、また外貨をかせげるか、それをよく調査してくれ、それでは一つ考えるということで、現在再渡米させましてせっかく交渉しているようなわけでございます。
それで今後急速にきめるべき問題は、中央にするか、あるいは海岸にするか、これが相当大きな問題だと思っておりますが、私は露骨に申しますと、初め海岸道路を非常にとったのでありますが、最近の情勢をいろいろ見、また議員諸君の御意見等も承わりますし、また中央道路について非常な献身的の研究をしておられます田中さんという方、私はまだお会いをしておりませんが、非常に熱心にやっておられること等もお聞きしまして、この中央道路は非常に重要な問題である、こういうふうな感じがいたしておりまして、今私自身といたしても研究たいたしておるようなわけであります。つきましては議員諸君におきまして、全員をもってこれを提出されるというようなことになりますれば、日本の国民の意思が全部それに向いているということに相なりますれば、私は今後話を進める上において非常に有効だと存じております。それにつけても、この根本の方針、先ほど申しましたこの道路開発によって、日本の産業がいかに発展するか、日本の国際収支がいかにしてよくなるか、こういうふうな点を詳細に取り調べたいと存じまして、現在建設省でその材料を作っていただいているような状態にあるわけでございます。それが完成いたしますれば、私は相当の外資を低金利で長期に持ってこられるという感じがいたします。プライスというのは有害なる証券会社でございますが、そのほかたくさんございます。これがいいということになればという、そういう現在の状態でござます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/30
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031・中島巖
○中島(巖)委員 高速度縦貫道路について、高碕長官より真相並びに心強いお話を承わって、何となく明るい希望を持ったわけでありますが、それにつきまして実は現在全議員提案というような形におきまして、この高速度自動車道法案が国家へ提出されているのでありますが、この法案の内容には、通過地点も長野県におきましては飯田市付近とか、あるいは岐阜県においては中津川市付近とかいうように、法案の中へ盛り込んであるように聞いているのでございます。ところが現在民主党、自由党におきましては、建設委員会へ付託するということの意見が一致したように聞いているのであります。社会党といたしましては特別委員会を設置するような意見に向いているようでありますが、結局根本の問題は、建設省が東海道線を支持いたしておるから、この建設委員会に付託した場合には、あるいは建設省案の東海道案になりはしないかということを、非常に懸念をいたしておるわけであります。
それからアメリカのシカゴで発行する一九四五年一月のインターナショナル・ロード・フェデレーションという雑誌に、日本は高速道路を研究し、東京−神戸間の貸取り道路を計画しておるという見出しでもちまして、道路局の企画課長佐藤寛政氏の大きな写真を出しまして、佐藤氏の談といたしまして、非常にこまかく計画及び工事資金などが出ておるのであります。ごく簡単にその一節を読みますと「全路幅は二十二メートルに予定している。自動車専用である点において在来一般道路とは全く趣きを異にしている。大体において中央分離式四車線とし、無交差でアクセス・コントロールを行う。時速は平均百キロで東京−神戸問を五時間で走破する。中間乗り入れ口は三十一カ所と予定している。」その他機械の購入費、道路の構築費、橋梁、トンネルなども非常にこまかく発表いたしておるのであります。われわれ国内におきましては建設委員といたしまして、建設省からこういうような発表をお聞きできないのでありますけれども、外国に向ってはこのようにこまかに発表をしておるのであります。この路線延長キロなどから見まして、これは海岸道路を計画しているのではないかと思うのでありますが、もし国会の意思が中央通路ということに決定するといたしますれば、建設省といたしまして御異議はないかどうか。それから現在までにこの佐藤寛政氏の発表した計画は、どの程度までに建設省として進んでおるか。大臣御不在でありますので、道路局長にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/31
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032・富樫凱一
○富樫政府委員 ただいまお話の、佐藤企画課長の発表いたしました高速道路というのは、かねて建設省の持っておりました東京−神戸間の高速道路であります。これは国内的には機会あるごとに発表いたしておりまして、これについてはパンフレットもできており、それぞれお配りもしてあるところでございまして、外国に初めて発表したものではございません。ただいまお話の中央縦貫道路というものを国会でおきめになりますれば、その経過地等もこれは国会でおきめになることでございますから、建設省としては何ら異議はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/32
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033・内海安吉
○内海委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/33
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034・内海安吉
○内海委員長 速記を始めて。二階堂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/34
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035・二階堂進
○二階堂委員 ただいまの委員長の言葉によりまして、私の質問あるいはそれに対する政府の答弁も、本日は保留いたしたいと思っております。幸い高碕経審長官も来ておられますので、お伺いいたしたいこともありますが、次の機会に譲りたいと思っております。なお念のために申し上げますが、水害対策等に関しての根本的な態度を聞くためにどうしても必要でございますから、大蔵大臣、建設大臣というような主管責任大臣は、ぜひとも一つあしたの委員会に来ていただくようにお願いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/35
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036・内海安吉
○内海委員長 ただいまのお話努力いたします。
速記をとめて下さい。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/36
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037・内海安吉
○内海委員長 速記を始めて下さい。
それでは北海道の水害に関して調査を進めたいと思いますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/37
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038・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。まず被害状況に関する政府よりの説明を求めます。米田河川局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/38
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039・米田正文
○米田政府委員 今回の北海道におきます災害の状況の概略を申し上げますと、これは御承知のように東北の災害に引き続いて起きた梅雨前線による災害でございます。このときに北海道の北東部及び中部、南部が災害を受けたのでございますが、同時に青森県の一部及び新潟県の一部にも被害が発生をいたしたのでございます。特に北海道において被害の大きかったのは、石狩川水系、天塩の水系及び静内川、新冠川等の日高地方の各河川の流域でございます。現在までに報告が来ております被害額は、北海道の道庁の関係で、件数で千三百十四件、被害額十億七千二百五十万九千円でございます。被害の中心地は上川、空知、日高、石狩、釧路市、後志、渡島の各支庁の管内でございます。河川といたしましては、先ほど申し上げましたように石狩川の水系、それから天塩川の水系、羽幌の水系等でございます。実はまだこのほかに北海道開発庁の災害関係の報告が参っておりません。御承知のように北海道の災害とそれから開発局で扱います全額国庫補助の災害と二通りございまして、開発局所管のいわゆる国費の全額で実施をいたしております河川区域内の災害は、全額国費で災害復旧をいたすわけであります。道庁で扱いますものは、これは一般の府県と同じ計算をいたしますが、しかしどんな計算をいたしましても、八割に満たないときには、八割までは最低見るという特別措置に現行の法律がなっております。従いまして最低が道庁の場合でも八割補助でございます。もう一つ、開発局でやりますものは十割補助、全額国庫支出の建前になっております。そういうふうに北海道については、現在でも非常に手厚く災害復旧をいたす特例をとっております。今実は電話で報告があったのでありますが、これにつけ加えて、開発局の分を含めて申し上げますと、災害個所が千六百八十カ所、被害額二十二億五百万円でございまして、お手元に差し上げましたものよりも約十二億方増加になったという報告がただいま参りましたので、申し上げます。この北海道のほかに、青森、新潟がそれぞれ七千万及び二千八百万という被害がございまして、今日報告になっております。お手元に差し上げてあります資料では、一般被害では、北海道関係で、人的被害といたしましては死者八名、負傷者三十八名、行方不明三十四名という数字になっておりまして、相当に被害が激甚であったことを物語っております。その他建物被害、耕地被害等は、お手元の数字でごらんを願いたいと思います。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/39
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040・内海安吉
○内海委員長 町村金吾君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/40
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041・町村金五
○町村委員 ちょっと北海道の災害のことで伺いたいのです。北海道は昨年十五号台風で非常な災害を受けて、われわれが当時一番心配したことは、前古未曾有というような奥山の森林がほとんど倒れてしまった。それがために一朝雨が降れば、大きな災害が再び起きるのじゃないかということを当時から懸念をいたし、これに対する対策をわれわれは極力要望しておったのですが、今度の雨は急に降った雨で、しかもわれわれから見ますと、そう降雨量も非常に多いようにも思われない。にもかかわらず、これだけの被害が参ったということは、おそらく山に水をためる力が非常になくなってしまっておるということがその原因の大きなものではなかろうか、こう思うのでありますが、河川局として、今度の災害が比較的水が少いにかかわらず、これだけの程度の被害が出た。あの雨の二倍、三倍の雨量があるということは、当然予想しなければならぬものだと思うのでありますが、そういう場合を考えると非常に懸念にたえないので、今後もその対策については一段と御研究を願わなければなりませんけれども、この災害の原因について建設省ではどういうふうにお考えになっておるか、それを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/41
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042・米田正文
○米田政府委員 北海道は御承知のように雨量としては日本では一番少い地域でございます。従いまして私どもの河川計画についても、雨量の取り方、計画流量の取り方というものは、他の河川に比べますと比較的少くなっている。そういう特殊性は持っておりますが、今回の雨量も、まだはっきり数字はわかりませんけれども、電報の数字によりますと、大体二百ミリ程度が最高であったということでございますので、北海道としては雨量は決して少くない雨量である。内地ですと二百ミリ程度だと大した雨量でありませんけれども、北海道では相当な雨量に当っておると申し上げてよかろうかと思います。今度の被害がいろいろ起きておりますことについては、ただいま現地に調査官を派遣いたしましたから、詳細な資料が参ると思いますので、その結果で申し上げたいと思いますが、おそらくお話の風倒木等も相当あったのではないかと私どもは現在のところは想像いたしております。けれども根本的には治山治水事業というものは、北海道では非常におくれておる。日本のうちではやはり何といっても一番おくれておるというようなところに、根本的な原因があると私どもは考えております。将来の対策として十分こういう問題を研究すべきだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/42
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043・町村金五
○町村委員 北海道は長い間雨が非常に少いし、災害も内地の府県に比べますと非常に少いということをわれわれいつも感じておりますし、北海道民はこれを非常に喜んでおったのですが、どうも終戦後と申しましょうか、災害が非常に頻発をして、ほとんど毎年のようにある。これは従来の北海道に対します災害の観念を、非常に変えなければならぬような情勢になってきたと私は思うのであります。お話のようにそういう新開地でありますから、災害対策というものが河川改修その他の面においてほとんど行われていない現状でありますから、一朝少し雨が降りますと、すぐ大きな被害が起るわけでありますが、近年頻発する災害状況から、北海道の災害対策というものについては建設省としても根本的にお考えになって、万全の計画をまずお立てになり、今まで北海道は災害的には大した心配ないということから、あまりこの問題を重要視されていないと思うのであります。最近開拓などがだんだん進んで参り、自然山をますます切るというような状態にもなり、下流地の方は水田が非常にふえて参っておるのであります。こういうような毎年の災害を受けるということになりますと、せっかくの食糧増産計画というものは、根本的に再検討を加えなければならぬというような事態もあるのじゃないかと思いますので、その点一つよくお考えをいただいて、北海道に対する災害の根本対策をぜひ立てていただくことを特に強くお願いをいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/43
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044・内海安吉
○内海委員長 それでは本日の災害に対する質疑はこの程度といたしまして、明七日午前十時より会議を開き、荻野君報告の東北水害に対する質問を続行し、引き続き公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案の逐条説明を聴取することといたしたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/44
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045・内海安吉
○内海委員長 なお北海道における七月の豪雨による水害状況調査のため委員を派遣いたしたいと存じますが、衆議院規則第五十五条の規定により議長に対し承認を求めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/45
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046・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
なお人選、期間等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/46
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047・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X02419550706/47
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