1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十三日(土曜日)
午前十一時九分開議
出席委員
委員長 内海 安吉君
理事 荻野 豊平君 理事 高木 松吉君
理事 山口 好一君 理事 瀬戸山三男君
理事 西村 力弥君
大高 康君 薩摩 雄次君
廣瀬 正雄君 松澤 雄藏君
大島 秀一君 仲川房次郎君
有馬 輝武君 三鍋 義三君
竹谷源太郎君 前田榮之助君
出席政府委員
建設政務次官 今井 耕君
委員外の出席者
議 員 山本 勝市君
議 員 櫻内 義雄君
参議院議員 田中 一君
参議院議員 石井 桂君
建 設 技 官
(住宅局長) 鎌田 隆男君
専 門 員 西畑 正倫君
専 門 員 田中 義一君
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七月二十三日
委員今村等君辞任につき、その補欠として竹谷
源太郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
理事西村力弥君委員辞任につき、その補欠とし
て同君が理事に当選した。
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七月二十二日
国土開発縦貫自動車道建設法案の一部修正に関
する請願(江崎真澄君紹介)(第四三八〇号)
県道今津小浜線を国道に編入の請願(今井耕君
紹介)(第四四四一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の互選
建築士法の一部を改正する法律案(参議院提出、
参法第一九号)
建設業法の一部を改正する法律案(小沢久太郎
君外二名提出、参法第二三号)(予)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより会議を開きます。
本日の日程に入ります前に、理事の補欠選任につきまして、お諮りいたします。すなわち西村力弥君が、去る二十日委員を辞任され、昨二十二日再び本委員となられたのでありますが、同君は理事でありましたので、これが補欠選任を行わねばなりません。この補欠選任につきましては、選挙の手続を省略して、委員長において指名するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/1
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002・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認めます。それでは理事に西村力弥君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/2
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003・内海安吉
○内海委員長 建設業法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず発議者より提案理由の説明を聴取することといたします。田中一君。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/3
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004・田中一
○田中参議院議員 ただいま議題となりました建設業法の一部を改正する法律案につきまして、発議者を代表して提案の理由を御説明申し上げます。
建設業法は昭和二十四年五月、第五国会において建設工事の適正な施行の確保と建設業の健全な発達をはかるために制定されたものであります。御承知のごとく、終戦後、復興事業の急激な増加あるいは駐留軍関係工事の発生等により、建設業者の濫立は著しいものがあって、本年三月現在におきましても、建設業法に基く登録業者はなお六万以上にも及んでいるのであります。最近これらの工事の一段落による工事量の著減と経済的逼迫の事情は、業者数に比して工事需要量の僅少なことから、業界に激烈な競争を引き起し、ダンピング入札の弊害を生じつつある現状であります。著しい低額入札の結果は、必然的に工事施行の粗悪化を来たすのみならず、ひいては業者の破産、あるいは労働者に対する賃金不払い等を生ずる事態に至りますことは明らかであります。
ことに国または公共企業体あるいは地方公共団体の行う公共工事は、その財源を国民の租税、貯蓄に仰ぎかつ公共の福祉、利益に重大な関係を有することを考えますならば、その工事の良否は看過することのできない問題であります。公共工事につきましては、古くは大正九年、道路工事執行令第十一条において、予定価格の十分の八から三分の二の範囲の制限落札価格を定めており、また公共工事の前払金保証事業に関する法律に基く保証会社は、予定価格の八割五分を下らない落札価格の場合においてのみ前払金の保証を行う方針をとっておりますし、また地方公共団体においてはすでに大半が地方条例に基いて最低制限入札方法を採用している状態であります。
本改正案は、かかる現状にかんがみまして、国または日本国有鉄道等の公共企業体もしくは地方公共団体等が、公共工事の請負を競争入札に付す場合には、予定価格の十分の八以内の最低落札価格に満たない価格による入札を無効とし、公共工事の適正な施行をはかろうとしたものであります。ただし、軽微な工事または特殊な方法によるもので政令で定めるものについては、適用を除外し、運用の円滑を期した次第であります。
以上が本法案を提案いたしました理由でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/4
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005・内海安吉
○内海委員長 本案に関します質疑は次会に譲ります。
しばらく休憩いたします。
午前十一時十四分休憩
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午前十一時十七分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/5
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006・内海安吉
○内海委員長 では休憩前に引き続き会議を開きます。
建築士法の一部を改正する法建策を議題といたします。本案に関する政府の意見を聴取いたします。今井建設政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/6
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007・今井耕
○今井政府委員 ただいま議題となっております建築士法の一部を改正する法建策につきましては、政府として御趣旨はけっこうでありまして、差しつかえないものと認めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/7
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008・内海安吉
○内海委員 これより質疑を行います。瀬戸山三男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/8
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009・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 簡単に二、三の点について提案者並びに政府に対してお尋ねいたしたいと思います。この建築士法の一部を改正する法律案においては、建築士の登録をささなければいろいろな弊害があるこういうような御趣旨で今度の一部改正を出しておられるのであります。それからもう一つ、ここに資料にいただいております実際の建築士、これは試験制度でありますから、建築士が日本国中におることははっきりしておるのでありますが、その建築士の数と実際の事務所の数は非常に開きがある、こういうところに問題があると思うのでありますが、どういう弊害があるか、なぜ登録をさせなければいけないかという趣旨を、もう少しこまかく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/9
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010・田中一
○田中参議院議員 瀬戸山さんはこの法案の原案の発議者であり、かつ提案者であったので、私が御説明するまでもなくよくおわかりと存じます。言い過ぎたらあやまります。
御承知のようにこの法律は士法と業法と二つの性格を持っておるというところに、この法律の不徹底さがあると思うのであります。資格法と業法とを分離しますならば、この法律の体系というものがはっきり区別されて、資格を持つ者と商売をする者とがはっきりすると思うのです。そこにあいまいなところがあるので、資格を持っている者と業をする者との限界が明らかになっていない、そのために、学校の先生とかあるいは地方公共団体の役人などは業としないはずのものにかかわらず、建築士の職務を営んで、これは報酬をもらう業ではないということでやっておりますけれども、やはり実費とか何とか適当な報酬は受けておるのではなかろうか。この実態を是正しようという考え方が一つ。それからこういうことによって災害の責任というものを明らかにしようという考えでございます。現在建築士が設計、監理して家を作った場合、これについて資料の保存といいますか、たとえば設計図一つの保存する義務もつけておらない。町の業としてやっておるところの建築士も、あるいは大学の先生にしても、あるいは国家公務員の技術家の方々にしても、設計監督をして家ができ上った。でき上って確認申請をして竣工検査をしてもらっても、どういうものを作ったかという証拠がどこにも残っておらぬのです。これはいけない。本日もありましたように、アパートが一つ倒れておりますけれども、今度の法律の改正の要点というものは、もし報酬をもらって業として家を作った人は、必ずその関係文書というものを保存しなければならない。従ってもし事故がありました場合には、この図面によってその建築物の不正とか、あるいは建築基準法によるところの設計上の間違いがありはせぬか、あるいはこの設計図に基いて施工上の手抜きがありはしないかという点も究明されます。そこに重点を置いております。従って今までは義務がなかったものを義務づけた。そのかわりに事務所を持つ場合と、報酬をもらわないような形で資格だけを持っている方々がやって、でき上った建物の責任を持たないようなものはっきりさせて、少くとも業として営むものに対する規制をしようという点でございます。なお建築士の資格を持っているものと事務所を持っているものと相当大きな開きがございますが、これは単に資格法と業法と一緒にして作り上げた法律のために、何でも資格をもらっておけば、いつでも商売ができるのではないかというような錯覚があったのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/10
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011・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 そうすると登録をしない者は、そういうことはしてはならぬということになると思うのですが、せっかくいい技術を持っているから、一つ友だちの家でも設計してやるかというようなことはできないことになってしまうので、不便ではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/11
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012・田中一
○田中参議院議員 ただいま申しましたように、報酬をもらわないで商売としてしない人は、自分の持っている技術を生かしてやるのは一向差しつかえございません。あるいは大学が自分の研究所を持って、大学の研究員全部がそろって県庁なら県庁を作る、これは一向差しつかえございません。ただそこで報酬をもらうということになると、やはり学校の先生でもだれでも事務所を持って、私はこれで商売をしておりますという標識をあげ、看板をあげて届をしなければならないと考えます。従って学者であり、りっぱな技術家が、報酬をもらわないで設計あるいは監理をする場合には、一向差しつかえございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/12
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013・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 もう一点は登録の手数料ですが、これはこの法律ではきめてないようでありますが、政令で定める場合には政府の方にも聞いておかなければなりませんが、一体どのくらいに考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/13
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014・田中一
○田中参議院議員 資料として差し上げてありますところの宅地建物取引業法、建設業法等を参酌しまして、発議者の考えとしては、一級建築士、二級建築士ともに資格をとるために税金を払っておるのでありますから、事務所を持つ場合にはなべて千円程度がいいのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/14
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015・鎌田隆男
○鎌田説明員 登録料の問題につきましてはまだ決定はいたしておりませんが、いろいろ調査はいたしております。今各方面を調査しておりまして、妥当なところは一件につき大体千円くらいを取りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/15
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016・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 これは都道府県の事務になると思うのですが、そうすると地方財政の見地から問題があるのです。これは件数にすると、現在のところ大したことはないけれども、登録しなければやれないのだということになると相当ふえてくるのではないかと思われます。法律を作ってはそれだけ仕事をさして、その費用は出さぬということがよく行われるので、府県としては非常に問題があると思うのです。これはそれほど大した負担ではないと思うけれども、それでまかなえますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/16
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017・田中一
○田中参議院議員 現在一級建築事務所として届け出ておるのは二百二十三名、二級建築士事務所は四百六十八名しかないのであります。そこで届出をしないで商売しておる者は、このくらい以上あるのではなかろうかと推定されているのであります。従って現在は七百軒程度ですけれども、これが相当大幅に登録するようになるのではないか。従って建築士免許の両方の手続もございますからプラス・アルファになって、地方財政にはかえって好影響を及ぼすのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/17
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018・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 政府のお考えはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/18
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019・鎌田隆男
○鎌田説明員 この改正案ができると、非常に登録がふえるという御議論でございますが、これができたからといって、そう急にふえるということは予想されないのであります。それから今田中先生からお話がありましたが、大体千円くらいの手数料にしますればそう損はないだろう、ひどい負担をかけるということはないだろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/19
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020・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 これは登録をやってみなければわかりませんが、一級建築士が二方、二級建築士が四万ある。登録が、先ほど御説明の通りにせいぜい七百余りになっておるが、これがどのくらい登録されるかわかりませんが、ただ私がこういうことをお尋ねするのは、今の提案者並びに政府の説明では、大した負担にならない、あるいは逆にもうかるかもしれないというような御説明でありまして、まことにけっこうでありますが、法律を作って仕事を押しつけて、地方財政を非常に圧迫しておるという事例がたくさんあるのであります。これが非常に圧迫になるとは私は考えませんけれども、一体都道府県の意向を聞かれたことがあるかどうか。こういう仕事をまたさせるのだということで、知事会なり何かで意向を聞かれたことがありますか。ただ何んでもかんでも国会は最高の機能を持っておるということで、法律を作って、そうして裏づけはしないでやらせるということが、今の地方財政を非常に圧迫する原因になっております。これがそれほど圧迫するとは私は言うのではありませんが、実際の仕事をする方の意見を聞かれたことがあるかどうか。提案者からでも政府からでもけっこうでありますから伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/20
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021・田中一
○田中参議院議員 ただいまの数字に間違いがありますので、訂正しておきます。一級建築事務所が五千三百四十八軒、二級建築事務所が六千百七十六軒でございます。
そこでこの改正案を出すまでの経緯を申しますと、建築学会、全国建設業協会、日本建築士会、日本設計監理協会、日本建築代理士会、この五つの団体から強い要望がございまして、この改正案を出すようになったのでございます。地方公共団体に対しましてはマイナスにならないという観点から、実は発議者としては御意見を伺っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/21
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022・鎌田隆男
○鎌田説明員 この法案の一部改正案につきまして、地方公共団体の意見を徴しておりません。ただ今までこういうような改正をしてもらいたいというような要望はかなり聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/22
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023・内海安吉
○内海委員長 ほかに御質疑はございませんか。——ほかに質疑もないようですから、本案に関しまする質疑はこれをもって終了いたします。
ただいまより本案を討論に付します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/23
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024・高木松吉
○高木委員 この法案に関しては、討論を省略し、直ちに採決に入られんことを望みます。右動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/24
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025・内海安吉
○内海委員長 ただいまの高木松吉君。の討論省略、直ちに採決すべしとの動議の通り決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/25
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026・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認め、さように決しました。
それでは本案について採決いたします。本案を原案の通り可決すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔総員起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/26
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027・内海安吉
○内海委員長 起立総員。よって本案は原案の通り可決すべきものと決しました。
この際お諮りいたします。本案に関しまする委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204149X03519550723/27
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028・内海安吉
○内海委員長 御異議なしと認め、さように取り計らいます。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十二分散会
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