1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月二十一日(木曜日)
午後二時二十九分開議
出席委員
建設委員会
委員長 内海 安吉君
理事 高木 松吉君 理事 山口 好一君
理事 瀬戸山三男君
荻野 豊平君 大高 康君
廣瀬 正雄君 松澤 雄藏君
大島 秀一君 仲川房次郎君
二階堂 進君 町村 金五君
有馬 輝武君 三鍋 義三君
山田 長司君 中島 巖君
前田榮之助君 三宅 正一君
運輸委員会
委員長 原 健三郎君
理事 有田 喜一君 理事 臼井 莊一君
理事 木村 俊夫君 理事 山本 友一君
理事 青野 武一君 理事 大西 正道君
岡崎 英城君 中嶋 太郎君
潰野 清吾君 關谷 勝利君
徳安 實藏君 畠山 鶴吉君
井岡 大治君 下平 正一君
池田 禎治君 竹谷源太郎君
出席政府委員
運輸事務官
(自動車局業務
部長) 岡本 悟君
建 設 技 官
(道路局長) 富樫 凱一君
委員外の出席者
議 員 宮澤 胤勇君
議 員 牧野 良三君
議 員 小澤佐重喜君
議 員 楯 兼次郎君
建 設 技 官 菊池 明君
建 設 技 官
(計画局総合計
画課長) 落合 林吉君
建設委員会専門
員 西畑 正倫君
建設委員会専門
員 田中 義一君
運輸委員会専門
員 志鎌 一之君
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本日の会議に付した案件
国土開発縦貫自動車道建設法案(阿左美廣治君
外四百二十九名提出、衆法第二六号)
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〔内海建設委員長委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/0
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001・内海安吉
○内海委員長 これより建設委員会、運輸委員会連合審査会を開会いたします。
私が議案の付託を受けました委員会の委員長でありますので、先例によりまして委員長の職務を行いますから、よろしくお願いいたします。
国土開発縦貫自動車道建設法案を議題といたします。まず提出者より提案理由の説明を聴取いたします。三宅正一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/1
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002・三宅正一
○三宅委員 国土開発縦貫自動車道建設法案は、国会の大部分の同僚議員の共同提案になっておりますので、提案の趣旨を御説明申し上げませんでも、おそらくこの連合委員会の委員各位は提出者であろうと考えておるわけであります。しかし議事を進めます上におきまして、お許しを得まして簡単に趣旨を説明いたしたいと存ずるのであります。
第一に、この法案は国土を縦貫いたしまする高速幹線自動車道を開設しようとすることであります。その規模は、北海道より九州に至る延長約三千キロでございまして、わが国土の重要地域を最短距離、最短時間で結ぶとともに、既開発及び未開発の地域を貫通させます。これを二十ヵ年計画により完成することを期しております。国力の進展によりまして、これより短期間に実現いたしますならば幸いであります。この高速幹線自動車道は、もっぱら自動車の交通の用に供する道たる自動車道でございまして、一般交通に供する道たる道路とは異なることであります。普通の道路は混交交通でありますから、自動車交通は平均時速二十キロないし四十キロを出ることができません。のみならず最近の自動車交通は、高速化に加えて大型化、長距離化の方向に発展して、おりますので、従来の道路上を走るだけでは、その交通需要が充足されないのであります。どうしても自動車の専用路線が必要となるのであります。自動車道におきましては、その速度も三倍の時速六十キロないし百二十キロの高速で走ることができるのみならず、一車一キロ当りの経費もはるかに低減されまして、低運賃、長距離輸送が可能となるのであります。
第二に、この高速幹線自動車道を幹線としまして、これに接続する主要な道路または一般自動車道、合計延長約二千五百キロの整備を促進し、その組み合せによりまして、高速自動車交通綱を新たに形成しようとすることであります。これは前述のごとき自動車交通の発展に対処するとともに、その利便を最高度に利用するため、わが国における陸上交通上、従来の道路網及び鉄道網に加えまして、いわば第三陸上交通路たる高速自動車交通網の確立が急務であると考えるからであります。これによりまして近代的陸上交通網の体系を完成し、陸上交通調整をはかり、それぞれの交通手段の適正な整備による効用発揮を期待したいのであります。
第三に、この新たな高速自動車交通網を完成することによりまして、従来他のいかなる手段によりましても達成することができなかった国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大をはかろうとすることであります。これが本法案を提出致しました窮極にして最大の目的でございます。
従いまして、高速幹線自動車道の建設、支線となるべき主要な通路または一般自動道の整備と相待ちまして、沿線地帯における資源の開発、耕地牧野草地の改良、鉱工業の立地条件整備、新都市及び新農村の建設等につきまして、総合的な実施を意図しているのでございます。これによりまして、現在遅々として進まない国土総合開発の施策の展開をはかりたいものと考えるものであります。
高速自動車交通によりますならば、第一に、従来の三分の一ないし二分の一の時間で、国内各地域間が連絡されるとともに、東京または大阪から国内重要都市にすべて半日ないし一日行程で達することができることとなり、第二に同一距離について、従来の六〇%以下の輸送コストで済むようになるのでございます。
このことが国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大の基本条件となるのであります。
今、東京−青森間高速幹線自動車道たる東北自動車道が開設されますならば、東京から現在国道で福島に着く時間、すなわち十時間前後で青森に着いてしまい、同様に大阪−門司−鹿児島間高速幹線自動車道たる中国及び九州自動車道が開設されますならば、大阪から現在国道で広島に着く時間、すなわち十五時間前後で鹿児島に着いてしまうこととなります。そこで従来多かれ少かれ経済僻遠の地として、産業の立地振興も容易に達せられなかった北海道、東北、中部、裏日本、四国、南九州等の地方も、新たな交通利便の経済地域としてよみがえることとなるのでございます。これらの地方は、幸い土地、資源、電源等に恵まれているのでありますから、いわば条件がそろったといえるのであります。また、わが国土は狭小といいながら、なおその二〇%足らずの平野地帯に人口が蝟集しまして、残りの山地高原地帯の土地利用度はきわめて低い状況であります。これら山地高原地帯といえども、新たな交通利便がもたらされますならば、広範な範囲にわたって人の住むに値する領域となるのであります。
高速自動車交通網は、道路網、鉄道網が入口を追っていよいよ平野地帯に錯綜して、いるのに対しまして、これら未開後進の山地高原地帯をも縦横断するのでありますから、国土のこの残された地帯に向って国民生活領域を拡大して行き、外に失った領土を、文字通り内に求めることとなるのでございます。以上によりまして、わが国民経済の地域的偏在である人口産業施設の大都市地区への過集中、地方経済の貧困が逐次解消されていき、国土の普遍的開発が達成され、ここに国内各地域がそれぞれ繁栄する真に民主的国家が育成されるのであります。
かかる事態を何か夢物語と感ぜられますならば、明治時代における道路網、大正時代における鉄道網の整備が、わが国の政治、経済、社会、文化の上に及ぼした影響を見のがすものであります。今日、昭和の後半におきまして、高速自動車交通網の完成を期しまするゆえんは、この歴史的な事態をさらに発展させたいからにほかならないのであります。
第四に、以上の施策によりまして、わが国民経済の拡大発展のための最も重要な基盤が造成されることとなるのでありますが、これらの施策に要しまする経費は、今日及び将来の国民の努力によりまして、国定経済規模の中において十分にまかない得るものであることを確信いたしまして、提案いたしたことでございします。すなわち高速幹線自動車道の建設に要しまする経費は、年間約二百億円ないし、三百億円でございます。この額は、たとえば政府の研究いたしました昭和四十年までの総合開発の構想中で必要と認められている公共投融資の年平均額の六%程度であり、また現在同様に産業発展の基盤造成として重点的な財政投融資している電源開発事業の年経費を下回っている額であります。その他の総合開発事業に要しまする経費は、総合的重点的財政投融資によってまかない得べきものと考えます。
第五に、わが国民経済の拡大発展への過程におきまして、国民の完全雇用を期するためには、相当大規模な就労対策事業の継続的実施が必要と考えるのでありますが、以上の事業は、その最も有効な事業であることであります。
以上申し述べましたかかる画期的な施策の実施に当りましては、政府は、関係者の知能を集め、また関係部局の技術その他の粋を集め、緊密な協力によって、後世に悔いない成果を上げることを期待しておるのであります。
以上、本法案の提案趣旨の説明をいたしましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに決定せられんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/2
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003・内海安吉
○内海委員長 それではこれより質疑を行います。通告順によりまして順次これを許します。第一に臼井莊一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/3
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004・臼井莊一
○臼井委員 本案に関しましては、その目的、構想等につきましては非常に大きなものでありまするが、ただいま提案理由の御説明にありましたような趣旨に基いて、私どもも心よりの賛意を表す次第でございます。提出者が議員のほとんど大多数を占めておるというような事情からも、非常に本案が画期的なものであり、望ましいものであるということは、これはほとんど議論の余地がないものと考えます。ただ私どももまだ本案の内容等について、十分に研究をいたしておるわけではございませんが、ただいま説明されるお三方は、私どもより十分に御研究のものと考えますので、この際二、三お伺いいたしたいと思うのであります。
本案は今申し上げたように、非常に望ましいのではありまするが、ただわれわれ一番懸念することは、日本としてやりたいことはたくさんあるけれども、なかなかいい案であり、望ましいと思われることでも、どうも最後には金の面で行き詰まってしまいまして、ないそでは振れないというようなことで、いつもこれが見送られてしまう、あきらめざるを得ないというようなことが多いのであります。その点私も一番本案について心配をする点であります。ただいまの提案の御説明にもありましたように、年々二、三百億くらいであるからというのでありまするが、私どもの属する運輸委員会においても、やはり国土の開発、地方文化の発展、こういう意味において交通網を整備したいという趣旨で、国鉄ではそろばんには合わないけれども、新線を年々敷設してもらいたいという要望をいたしておりまするが、これまた結局は予算がない、財政の資金も足りない、こういうようなことでこの鉄道の建設さえ十分でないのであります。現在約百七十本に上る新線の予定線が国会によって採択されておりまして、現在鉄道建設審議会でございますが、そこで決定して、二十三線が建設に実際にはかかっておるわけでありますが、これもわずかに二十五億か三十億しか資金が得られないという状態であります。そういう意味で、やはり本案に要する資金の面について、非常にわれわれは心配をいたすのでありますが、その面については、たとえば外資をこれに導入するお考えであるか、あるいはその他の方法によりますか、その点のお考えをちょっとお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/4
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005・宮澤胤勇
○宮澤胤勇君 お答え申し上げます。ごもっともなお話で、この計画は資金の面が整わなければ、全く絵にかいたもちとなるわけであります。三千キロにわたり六千億円というおよその標準を示しておるわけでありますが、これについて、一部分は有料道路をもって資金を集めてもやれるだろうというところと、なかなか有料道路ではやれない部分で、国費でもって相当な犠牲を払わなければやれない部分とあると思うのでありますが、提案者におきましては、ただいま提案の趣旨弁明で御説明申し上げましたごとく、年々二、三百億の国費を投じていきたい、そうして公社の組織をもってやりたい、こういうことを一つの基礎の案としております。しかしながらこれも御承知の通り、今日の日本の財政事情の上で、そう簡単に明年からこれが実現できるということはなかなか予想できませんので、これについては、この本案がまず通りまして、これは大体の方向を示した案にすぎないのでありますから、実際的の具体案につきましては、明春の通常国会において、まず第一に着手すべきものから一つ具体的な案を持っていきたい。何といいましても、東京から大阪をつなぐいわゆる中央道というものが、第一案として具体化されると思うのであります。これにつきましても政府と十分協議の上、公社案を持っていくか、あるいはどうしても政府で金が出なければ、特殊法人による民間の法人を作って、そしてすべて借入金によってやる。これは内債、外債とも伴うわけでありますが、それも皆さんの御協賛を得て、政府の同意を得て、利子の支払いくらいは国家が保証してもらわなければ、とても借入金はできない。しかし現在本案に対して、ほとんど衆議院議員全体が提出者として御賛成を願っている事情から見て、これは一年か二年着手しますと、中央道の東京−大阪間のみならず、北は北海道から南は鹿児島に至るまで、ほとんど各方面の議員各位あるいは官公庁、地方自治体の有力者が一体となって、私は道路を開発する機運が醸成されてくると思います。そこにおいて初めて、その引き合う部分は有料道路でいくか、引き合わない部分は国家もしくは地方団体の共同の出資でいくかというようなことは、漸次やっていかなければならない。三千キロ、二十年間といいますが、私はこれが二十年かかるようでは、日本の産業開発、いわゆる国土開発は非常におそきに失して、もう五、六年後には一億に適する人口を包容していかなければならぬ日本としては、そんなことをやっておられないと思うのでありますから、この法案はそういう意味において、その空気をも作っていく。この空気が大きく出てくれば、有料道路施設会社も公社による政府の出資も、おのおのその場所に適してできていくのではないか。非常にばく然たる話ですが、そういう予想と希望のもとに、まずその礎石となるべき本案に対して、一つ皆さんの御賛成を得たい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/5
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006・臼井莊一
○臼井委員 ただいまの御答弁によって、やはりわれわれが心配しているところも同様に御心配されているようでありますが、実際この問題だけに国家が仕事を集中していくという、いわゆる全体主義国家といいますか、そういうような行き方の国、たとえば元のドイツとか現在のソ連、あるいはまたアメリカのように、膨大な資金の余力があるという国ならば別ですが、日本のように、非常に国力を消耗し尽した国において、その点がより一そう心配される点であります。なおこの費用の点でもう一つ私が心配いたしますのは、この道路が三千キロ、六千億でできて、かりに道路はそれでできるといたしましても、道路ができると、提案の趣旨にも書いてありますように、相当山岳地帯が開発される。開発されると、日本はもうすでにわれわれ体験済みのように、台風が参りまして、豪雨が来て、洪水ができる。こういう点について実はその開発のしようによって非常に心配になるのであります。ついこの間北海道の水害地を見舞に参りましたが、その洪水が五十年、六十年来の洪水であったという一つの大きな理由に、昨年の十九号台風によっての風倒木並びに山林の乱伐が、雨の保有力を非常に減退させて、それがために洪水でああいうふうな惨状を呈した、こういうことを伺っておりますが、それとこれと思い合せますると、あまり森林のない、はげ山地帯がこういうものに変ることでありますれば大して差もないことと思いますが、もし森林地帯が道路の整備等によって、森林が開墾されて畑地等になるということになりますると、そういう点について非常に心配なのです。もう一つは、これまた北海道の水害をこうむった町の状況を見ると、やはり周囲の山岳のすそから頂上に及ぶ傾斜地を耕地にして、傾斜耕地というものが非常に開墾されていった。そこにやはり雨の保有力がなくなって、この町のみぞから川の方へ非常にはんらんを来たしたという事情を聞いて参ったのでありますが、やはりその点を思い合せると、山岳地帯を道路によって開発する以上は、よほどこれを森林、いわゆる植樹による防水といいますか、治水の面において考えなければならぬ。もとよりこれはダムを作って発電をする、それが開発という意味なんでございましょうが、そういう治水治山の面でこれに伴って相当膨大な費用がかかるではなかろか、こう考えまするが、これは幸いに建設省の専門家の方もいらっしゃっているようでありますから、その点についてのお考えを一つ伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/6
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007・三宅正一
○三宅委員 政府関係の御答弁もあとからあろうかと思いますが、実はきょう午前中参考人を招致いたしました。鮎川義介さんがこの問題につきまして、非常に賛成の立場からの発言をされたのであります。それは大体背骨道路がずっといき、それに肋骨道路がつく、これ自体が大きなやはり治山治水政策になる。下の方だけに道をつけておって、ダム・サイトはないとか、いろいろなことがかえって水害を起すゆえんになるので、これ自体は交通政策として非常におもしろいだけでなしに、治山治水政策として非常な意義があるという意味を、鮎川さん独特の一つの天才的な発言をしておられたのでありますが、私どもも、ダムが方々にある、たとえば中央道についていえば、ずいぶん天龍川にダムができておりますけれども、すぐ土砂をかぶってしまう。これが道路が通りますことによって、さらに新しい発電ができるだけでなしに、貯水池の役割もするし、それから砂を下に流さない役割をしまして、治山治水の面ではそういう意味で非常な大きな役割をするのじゃないか。しかしながら仰せの通り乱伐したりすることはいけませんから、これは赤石山系その他における天然林で、腐ってしまっている分はこれを利用しなければいけませんが、計画的な開発という点を加えていかなければならぬと信じておるところであります。そういう意味において、私どもは副作用としては、この道路開発計画ができることによって、治山治水、開発、三位一体に大きな役割をするのではないかということを考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/7
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008・竹谷源太郎
○竹谷委員 ただいま三宅提案者から詳細に御説明がありましたが、私も簡単に御説明させていただきたいと思います。日本はまだ地形が侵食あるいは変形の過程にありまして、豪雨なり風なりによって地形が今後も相当変動していくだろうと思います。そのときに当って、北海道のような奥山はほとんど斧鉞の加えられていない大森林におおわれているところでさえも、押え切れない水が流れてくるわけでありまして、そういう面から言えば、この縦貫道路によって新たな砂防工事といいますか、遊水林といいますか、水を急に流さない設備を多くすることができますから治山治水の面でも、今地形が相当変形されておる日本において、これこそ大きな治水の役割を演ずるのではないか、かように思っておる次第でございます。
なおこの縦貫道路によりまして、今までおのの入らなかった深山が開発せられ、あるいは開墾地になるということでありますけれども、そういう深山というものには、むろんあまり農耕地はふえないであろう。林産資源の開発が行われるわけでございますが、それに対して私どもはむろん森林の計画によりまして、年次計画で切っていくということになる。ところが今何千年、何百年たった古い木が、全然生長がとまって風倒木になっておるということの方が、かえって森林の生長を妨げ、同時にそれらの風倒木がだんだん腐って、そうして他の草木のはえるのを防ぐという現状よりも、それらの千年、百年以上たった木は片っ端から伐採をして、新たに若々しい清新な木を植えていって、そうして十分水分を吸い取らせるということになれば、これは決して治山の面からいってもマイナスにはならない、かように考えておる次第でございます。
それから先ほど臼井さんから資金の問題について非常に重要な御質問がございまして、宮澤さんから御答弁があったのでありますが、なおわれわれはこの資金はむろん膨大にかかるのでございますけれども、政府の立てておりまする経済六ヵ年計画に基く国土総合開発計画におきましては、年額三千八百七十一億の公共公益事業財政投融資を国家でやる建前になっております。これに対しまして昭和三十年から四十年までこの縦貫自動車道建設のために要する費用は、一ヵ年平均二百四十五億でございますから、全部の公共公益事業財政投融資総額のわずかに六・三%でございます。これくらいは、国がこれをやろうという決意をいたしますならば、公共公益事業のうちから六、三%をさけば、この自動車道建設計画が遂行できる次第でございます。なお電力五カ年計画によりまして、すでに支出は六百九十九億なされており、今後昭和三十年度におきましては四百五十四億、昭和三十一年度四百十四億、そうして電源開発五カ年計画後、すなわち昭和三十四年度以降は毎年百六十六億というふうに、電源開発をもくろんでおるのでございますが、これらの電源開発は、もうコスト高になって行き詰まってきております。従って本年度四百五十四億支出する電源開発の財政投融資は、昭和三十四年度以降におきましてはわずかに百六十六億で、現在よりも三百億も電源投資が減るわけでございます。従ってこれらをこの自動車道に振り向ければ、難なく国家だけの財政投資でこの事業を遂行できる、こういうふうに考えられる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/8
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009・内海安吉
○内海委員長 なお建設当局の方から御意見がありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/9
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010・富樫凱一
○富樫政府委員 ちょっと中央道の実際の経過地につきまして、気象条件を調査した記録がございませんので、数字で申し上げることはできないのでございますが、常識的に申し上げますと、平地よりも山地の方が気象条件は激しいわけでございます。たとえて申し上げますと、天気予報でも平地百ミリのときは山地二百ミリというふうな雨量を報じておりますので、確かに気象条件は激しいと思われます。これが災害の原因になることは当然考えられ得るのでございますが、しかしこの災害によって作られた道路が流れてしまうというふうなことは、それだけの施設をすればそれに耐え得るのでございますから、その心配はないと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/10
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011・臼井莊一
○臼井委員 今建設省の御答弁で、私の質問が悪かったかもしれませんが、道路が流れるというより、たとえば道路の幅のはける水というものは大したものでなくても、道路ができたことによって山岳地帯が相当開発される。たとえば山林であったところが伐採されて、それが畑になるとか、村ができ町ができる。そうなると雨の保有量がそこに少くなるのではなかろうか、当然これが河川の下の方に水を吐き出すことになる。そこでダムなどを作るのでしょうが、ダムだけの問題であれば、今竹谷委員のおっしゃったように、電源開発の方である程度カバーできる。それ以外の河川の、要するに治水の面で非常に費用がかかるのではないかと思うのでございます。私もしろうとであるからわかりませんが、この間の北海道のあれを見てきて、山の傾斜地に畑がふえるたびに非常に水が流れる。せめてそこが牧草でもあればまた水の保有がある、こういうことを言ってきたので、作る作物を今後研究すべきではないか、クズなどを作ればよかろうとわれわれはよけいなことを言ったのでありますけれども、そういう点について治水の面で、道路を作る費用以外のものが相当かかるではなかろうか、開発に従って治水の方の費用というものが当然考えられなければならぬと思いますが、それについて何か建設省でお考えがあったかどうか、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/11
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012・富樫凱一
○富樫政府委員 通路を構築したことが災害の原因になりはしないかというお尋ねかと思います。保水量の点から申しますと、その部分の木がなくなりますから、なくなることは確かでございましょうが、広い面積に対して道路はきわめて面積が狭いものとも言えるわけであります。またその上に降る水につきましては、適当の施設をいたしまして水はけを考えてやれば、災害の原因になることもなかろうかと存じますが、これらの施設をするための費用は相当の額になろうかと存じます。しかしこの費用については、今後の調査に待たなければなりませんので、ただいま申し上げる資料は持ち合せておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/12
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013・臼井莊一
○臼井委員 今の御答弁は私の伺っておることとちょっと違う。これはもっとも道路を建設するというお立場からばかり考えておられるから、御無理はないと思いますが、私の伺うのは、道路の排水というのはさした面積はないだろう、ただその道路を作ることによって山岳方面が開発され、開発されるに従って森林が伐採され、たとい雑草がはえていたところで、畑になったら、雨水の保水力といいますか、その力が非常になくなる、これが私は非常に大きいのじゃないか、またその山岳地帯を開発することが道路を作る目的で、ここに一つの大きな矛盾といえば矛盾があるわけです。伐採をしたあと、ただ植樹をして森林地帯をまた作るということであれば、そう大した心配はないかもしれませんが、しかしそれにしても一時相当災害の原因にならぬとも限りません。それより町ができるというようなことになれば、これはほとんど水をためる力がない。ダムを作って、そこへ水をためるということも限度があります。そこで開発される相当広い面積が水をたくわえる力がなくなるので、これが下流の方に相当の災害を及ぼすのでなかろうか。これはまだそこまで御研究はないかと思いますが、これはやはり単に道路を作る金だけでなくて、そういう点も相当考慮しないと、また災害の原因になるようなことになってはいかぬ。要するにこの道路を作るについては、当然治水の面も十分に考えていただきたいということ、これは一つ御研究いただいて、また後ほどお伺いをすることにいたします。
私どもはこの案には非常に賛成で、できることを願っておるがゆえに、そういう点についてよけいな心配までするわけでありますが、なお先ほど申し上げたように、鉄道の新線ができれば、やはり同様に——たとえば北海道あたりの陳情を見ましても、ここに新線を作ってくれれば、この山から鉱石がどれだけ出る、非常な資源の開発になる、あるいはまた森林が開発されて耕地が幾らできるというような陳情を受けるので、この点においては、この道路とやはり同様だと思います。同様だと思うだけに、今のような心配がなきにしもあらずで、ただ従来私ども新線をできるだけ作りたいと思っても、予算がないというので、いつも減少される。ただここで考えられることは、この道路ができれば、従来の鉄道の新線の予定線というものも、今度は従来の考え方を相当変えた行き方に行けるのではなかろうかという利点もあろうと思う。必ずしも鉄道によらなくとも、トラックによって山なら山の開発もできるという点もあるとは思いますが、私の一番心配するのは資金の面です。また他の御意見もあろうと思いますので、一応この程度にいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/13
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014・内海安吉
○内海委員長 ただいまの御質問の、道路を建設するについて山林を伐採するために、水害のおそれがあるのではないか、これをどう考えるかというような問題について、ちょうど建設省の落合君あたりがこの問題について研究をしておられたようだが、この際参考になることでもあるから、あなたの知っておる範囲について御意見を述べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/14
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015・落合林吉
○落合説明員 先般中央道路の路線の調査検討をいたしたましたが、その道路沿線の森林資源を開発するのに、どうすればいいかというようなことを研究いたしました。その際私どもといたしましては、林野庁当局の方から、施業案に基いて間伐するとか皆伐するとか、山を荒さない程度にこれだけ切れるというものによりまして、経済効果をねらってやっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/15
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016・内海安吉
○内海委員長 次に、通告はありませんが、ただいまの臼井さんの御質疑なりあるいは提案者の説明なりについて、関連していろいろ御質疑もあると思いますが、この際御遠慮なく御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/16
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017・瀬戸山三男
○瀬戸山委員 今臼井委員からお尋ねがありました治水の問題は、私は非常に重要な問題だと思っております。そこできょうはよけいなことをお尋ねしないことにいたしまして、研究しておられるかどうかわかりませんが、これは先ほどから道路局長は勘違いをしておるようでありますけれども、この道路を建設すること自体が、何も道路を背中に通そうというだけのことでなしに、これは提案者御説明の通りに、その地方にあるいは都市のできるところは都市を作る、農村ができるところは農村を作る、工場も作ろう、そういう大きなねらいがあるのであります。そうなってくると、ただ道路面積だけの森林を伐採するとかいう簡単な問題ではございません。そこで一体どのくらいの山を切り開くか、またどのくらいの森林を伐採するのかということを御研究なさっておるかどうか。もしそういうことがありましたら、その一点だけでもこの際お知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/17
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018・竹谷源太郎
○竹谷委員 先ほど臼井委員からの御質問ともあわせて、私の承知している範囲で答弁いたしまするが、峨々たる山脈の森林地帯は、むろん農耕地を作ったり、あるいは都市を形成したり、工場建設というようなことはまずなかろうと思います。せいぜい牧草畑にする程度でございます。従って大体今まで山林であるところの傾斜の急なところは、むろん森林として従来よりももっと森林の造成によって、水の保有力を強からしめるということにいたすようになれるのじゃないかと思います。そこで問題は傾斜が二十度以下くらいの農耕地、あるいは住宅等として利用可能の土地か切り開かれることによって、保水力が衰えるのではないかという問題になるわけでございます。この三千キロの国土開発、そして幹線道路を作り、なお支線を二千五百キロ切り開くということになりますれば、ほとんど日本全国の四割を占むる未利用の土地が、全部利用できるときが来るかもしれませんが、これはなかなか全部というわけにはいかぬと思います。その一部となると思うのでございますが、そうした場合、しからば農耕地はどれくらい現在よりも拡大ができるかという問題になるわけでございまするが、現在はわずか一五・六%の五百万町歩の田畑しかございません。ヨーロッパの各国なんかは八〇%ないし六〇%、少いところでも四〇%が農耕地に利用せられておりながら、日本はわずかに一五%、五百万町歩ほどでございます。これは少くとも七、八百万町歩にいたしたい。そうして食糧の自給をしたいというのが、この縦貫道路の一つの大きなねらいでございます。そうしますと、二、三百万町歩の農耕地を最大限度開拓していくということになるのでありまするが、農林省の調査によりますると、今農耕地として切り開くことが可能な傾斜地は、大体三百万町歩くらいあると称しております。これを全部いたしますると、国土のうちの一〇%くらいの、あるいは原野あるいは高原地帯あるいは山林が農耕地に変りまするから、森林の時代よりも多少多く水の出ることは間違いないと思いまするけれども、現在日本において山を伐採したために水がたくさん出るということは、全面的に奥山の森林を伐採したからでございまして、その森林のうちの一部が伐採せられ、あるいは新植林がなされたからといって、今の水量が急に倍になったり五割増しになったりすることはなく、五%なり三%くらいの増水にすぎないと仮定せられます。なお三万、五万という中小都市を作る計画がございますが、これとてもそう大きい面積をつぶすわけではございませんので、そうなってきまするならば、これらの五%なり三%ふえるであろう水量を押えるためには、先ほど来お話しになっておりまする電源開発のダムなども、それは川に沿うてだんだんに高いところへ作りまするが、保水量は、現在森林が伐採せられて農耕地になること等によって、水力が急に出てくるのを防ぎとめる力以上の砂防工事あるいはダム工事が行われまするから、この問題は、むしろこれによりまして、現在よりも農耕地が切り開かれ、あるいは都会ができまして、そのために出水量が今までよりも多くなるといたしましても、できまするダムの保水力によりまして、この問題は十分に解決ができるのではないか、かように提案者のわれわれとしては考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/18
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019・臼井莊一
○臼井委員 関連して。今の治水問題でちょっとつけ加えて私の考えを申し述べたいと思います。今の竹谷提案委員の御説明で、全部ではないが、ダムによってある程度の保水ができる、こういうことですが、ただこのダムにあまり期待をかけると、かえって危険を来たす場合もあろうと思います。たとえば、これはダムの規模にもよりましょうが、これまた北海道の例を引いて恐縮ですが、この間の十勝あたりの水害にしても、このダムがことによると持たないかもしれないというので、水をある程度はかせたために、下流で急激な増水にあって非常な被害を受けて、これが今会社と被害民との間の争いの問題になっておるようでありますが、しからばこれをそのままにしておいた方がよい、水門を開かない方がよかったのではないかと言えば、会社の言うように、それならばもしダムが切れたら、よけい一そうの災害が下流に及んだのじゃないかというような議論も成り立つので、こういう一点もダム一点張りにあまりに治水の面を依頼をすると、そういう危険もある。またダムは日本のような土質と傾斜の激しいところではどんどん埋まる、数年にして相当に埋まるというようなことを聞いておりますが、これらの点を考えると、そういう治水の面で、やはり山には木がなくちゃいけないという簡単な理屈のようにばかりはいかないでしょう。開発できることはけっこうであるが、この治水の面だけは建設省で十分にお考えいただいて、またこれに対する予算等の点についても十分余力をもって当っていただいて、道路はできたけれども、金がなかったので治水の面がおくれて、また災害を受けたというようなことが万一にもあってはならないと考えますので、その点をつけ加えて申し上げる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/19
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020・三宅正一
○三宅委員 臼井さんの御心配は確かに私もっともだと思うのです。先ほど落合技官かもも言われたように、中央道の関係については林野庁と相談して、国有林の関係は施業案でやりますから、水害を起すようなことをやらぬことはきまっております。国有林については、第何国会でありましたか、私の方で全国的ではございませんが、中央道の案を提案いたします際に、水谷政調会長以下現場を踏査してきたわけであります。もちろんしろうとでありますから、十分見たからといって権威を私は誇称するわけではありませんが、しろうとはしろうとなりに見てくることが必要であろうということで見て、きたわけであります。かりに中央道について申しますならば、富士吉田のあの近所というものは、富士の爆発による熔岩地帯でありまして、そうして恩賜林等が山梨県に下付されておりますが、何百年たちましても木が非常に少い地帯で、富士五湖があそこに連なっておる。あそこに時速百二十キロの高速度道路ができますならば、富士五湖がありまして、水も十分にありますし、人口を移すことも非常なことだと思うのであります。ちょっと向うに入りますと、静岡県と富士川の線に入りますると、静岡県、山梨県の境等は一大牧野でありますが、ただ牧野改良をやっておりませんので、牧草としても十分でないし、それから農林関係でよく御承知でありましょうけれども、保水力も貧弱な牧野になっておるわけであります。それが高速交通で牛乳が毎日一時間くらいで東京へ入ってくるということになりますと、あの牧野地帯が牧野改良で、私はかえって保水力がふえるのではないかと思うのであります。赤石山系に入りまして、富士川、天龍川、それからもう一つこっちの方の何川でしたか、あの線へ入りまして、未開拓の地帯ですから、河川の防除工事を一つもやっておらぬわけであります。そのときも話をしたのでありますが、ダム・サイトが道路になる。そうしますと、たまった砂利などもほじくり出すことが——天龍川のダムなどずっと幾つもありますのを見てきましたが、それをやらないと何年かでだめになってしまう。そういう意味において、ダムの保水力も持てるのじゃないか。私は確かにそれは人のおらなかったところに何百万という人口がふえますれば、確かに保水力は弱まりますから、特殊な防除工事は必要だと思いますが、それだけの人口の配置ができて、産業が開発できますれば、それはそれ自体として物を生産いたしますから、可能だと思っておりまして、これらの点も十分に勘案しながら、しかし必要なことであるからやるという立場で、これは専門家の御研究については私どもは必要だと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/20
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021・三鍋義三
○三鍋委員 昨日も同僚委員から質問があったと思うのですが、気温、湿度それから積雪量の関係でございます。自動車道が凍った場合に、これに対する処置が全然ない。これは技術的なことですが、東北、北海道関係の積雪地帯で、かりに除雪されたとしても路面が凍った場合に、東京においてもわれわれが体験しておりますように、速度二、三十キロでも盛んに事故を出しているのですが、百キロ以上の速度をその建前としているこの計画に対しまして、こういう面はどのように解決されるのか。そういう心配はないのか、御答弁願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/21
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022・竹谷源太郎
○竹谷委員 この自動車道の上の積雪、あるいは水が凍った場合のすべりどめ、あるいは交通阻害に関する措置いかんということでございますが、むろん雪が積りましたら、これに対する除雪をやる。これは鉄道でもやっておりますが、こういうことは外国もやっておるわけでございます。しかしながらそれが凍った場合にはすべって困るではないかという御質問が、先般の委員会でもなされたのでございますが、それが薄くて温度があまり低くなければ、これは今の発達した、すばらしい、チェーンをつけたようなタイヤの装置によって、これは十分に防止ができるそうでございますが、温度が低く、それが相当の厚さがあって、自動車が走ったくらいではこわれないで危ないというような場合におきましては、これに対して従来は砂とか土、あるいは石炭がら、軟土などを散布いたしまして、そうしてすべりどめをやってきたようでございます。これに対しましてアメリカあたりの実験の様子を聞きますと、塩かあるいは塩化カルシウムを砂や石炭がらとまぜてまく。塩の力によって氷点を低下することによって、凍るのを防止したりあるいは溶かしたりする、こういうようなことで相当の効果をアメリカにおいては上げておりまして、ハイウェイ・リサーチ・ボードという委員会が一年間にわたっていろいろ実験をし、あるいは室内試験あるいは野外観測を行なった結果、氷の層の処置に対しまして塩化カルシウムを用いることがよろしい。これを用いてもコンクリートの舗装面に剥離を起すようなことはない、こういうことを報告されております。なおこの塩化カルシウム散布の方法を数年間にわたって施しました舗製でも、その表面が剥離しような徴候はさらにないという報告がございまするので、防雪装置あるいは除雪、そうして凍ってどうにもならないときには塩化カルシウムの散布というような方法によって、十分にすべりどめをして交通の途絶を防止することができるということを、外国の報告で読んでおる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/22
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023・三鍋義三
○三鍋委員 そういうことはいろいろ科学的に考えて心配がないということをお聞きしまして、安心するのでございますが、何分にも長い距離を冬季間に、しかも雪が降ったり、あるいはこれをのけてそれをやる。こういう気候的な非常に変化の激しい長い距離の日本の気候風土におきまして、実際的に間に合うように、これが適宜に実施できるかどうかということに対して、不安を持っておるのでございます。外国の実際の実験例等の研究をされての御答弁であったと思いますが、こういう点に対しましてなお明確なる提案者の御説明を願えればと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/23
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024・竹谷源太郎
○竹谷委員 私技術者でございませんので、科学的に全部御満足のいくような御答弁はできませんが、この点につきましては十分確信を持って問題の処理ができるつもりでございます。なおまたこれに対する万全の方法につきましては、一そう慎重に研究いたしまして、この問題はうまく処理できるように今後も研究に努めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/24
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025・楯兼次郎
○楯兼次郎君 ちょっと私から補足いたします。大体簡単にいいますと、レールのない鉄道を敷設する、こういうわれわれの考え方です。従ってこれの運営につきましては、ちょうど鉄道がやっておりまするように、保線係員あるいはこれに要する従業員や施設をいたしまして保守をする、こういうことになっておりますので、雪あるいは濃霧の場合の警告、その他私は全部防げると思います。どうしても氷結をして自動車がスリップするというときには、ただいま竹谷委員が説明いたしましたような方法をとるか、あるいはそれでもどうしてもいけないという最悪の場合には、やはりその期間は速度を落すとか、その他の方法で運転をしていくということになるだろうと思います。従って保守の従業員がここに配置をされますので、除雪であるとか濃霧に対する警告であるとか、そういう面については何ら支障はない、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/25
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026・内海安吉
○内海委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは本日はちょうど本会議も開かれておりますから、本日の連合審査はこの程度にいたします。
これにて散会いたします。
午後三時二十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204155X00119550721/26
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