1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年七月六日(水曜日)
午前十一時七分開議
出席委員
委員長 中村三之丞君
理事 中川 俊思君 理事 大橋 武夫君
理事 山下 春江君 理事 山花 秀雄君
理事 吉川 兼光君
植村 武一君 臼井 莊一君
小川 半次君 草野一郎平君
床次 徳二君 山本 利壽君
横井 太郎君 亘 四郎君
越智 茂君 小林 郁君
野澤 清人君 八田 貞義君
岡本 隆一君 滝井 義高君
中村 英男君 横錢 重吉君
中原 健次君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 川崎 秀二君
出席政府委員
厚生事務官
(薬務局長) 高田 正巳君
委員外の出席者
厚 生 技 官
(公衆衛生局環
境衛生部長) 楠本 正康君
専 門 員 川井 章知君
専 門 員 弘地亮太郎君
専 門 員 浜口金一郎君
専 門 員 山本 正世君
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七月六日
委員田村元君、櫻井奎夫君、長谷川保君、福田
昌子君及び受田新吉君辞任につき、その補欠と
して越智茂君、多賀谷真稔君、渡邊惣藏君、横
銭重吉君及び矢尾喜三郎君が議長の指名で委員
に選任された。
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七月五日
あん摩師、はり、きゅう師及び柔道整復師法の
一部を改正する法律案(内閣提出第一四五号)
(予)
同 日
強制医薬分業反対に関する請願(笹本一雄君紹
介)(第三三七五号)
同(福田赳夫君紹介)(第三三七六号)
同(安藤貴君紹介)(第三三七七号)
同(藤枝泉介君紹介)(第三三七八号)
同(長谷川四郎君紹介)(第三三七九号)
同(船田中君紹介)(第三三八〇号)
未帰還者留守家族等の援護強化に関する請願(
倉石忠雄君紹介)(第三三八一号)
日雇労働者に夏季手当支給等に関する請願(横
銭重吉君紹介)(第三三八二号)
元満州開拓民及び満州開拓青年義勇隊員の処遇
に関する請願(八木昇君紹介)(第三三八三
号)
医業類似療術行為の期限延長反対に関する請願
外一件(關谷勝利君紹介)(第三三八四号)
戦傷病再発医療費国庫負担に関する請願(神田
博君紹介)(第三三八五号)
医師介輔制度存続に関する請願(床次徳二君紹
介)(第三三八六号)
クリーニング業法の一部改正に関する請願(森
下國雄君紹介)(第三三八七号)
同(秋田大助君紹介)(第三三八八号)
健康保険法等の一部改正に関する請願(長谷川
四郎君紹介)(第三三八九号)
同(宇田耕一君紹介)(第三三九〇号)
同(加藤常太郎君紹介)(第三三九一号)
同(笹本一雄君紹介)(第三三九二号)
厚生疎開住宅建設促進に関する請願(並木芳雄
君紹介)(第三四〇七号)
の審査を本委員会に附託された。
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本日の会議に付した案件
小委員会の名称変更に関する件
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出第一〇三号)
日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
(八木一男君外十四名提出、衆法第一七号)
右両案について、参考人招致に関する件
麻薬取締法の一部を改正する法律案(内閣提出
第一八号)(参議院送付)
理容師美容師法の一部を改正する法律案(内閣
提出第二一三号)
未帰還者留守家族等援護法の一部を改正する法
律案に対する修正に関する申入れの件
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/0
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001・中村三之丞
○中村委員長 これより会議を開きます。
この際お諮りいたします。先般、財団法人の医療機関における経営状態を調査するため、法人立療養所の経営状況調査に関する小委員会を設置いたしましたが、理事各位と協議いたしました結果、調査の範囲を広げ、医療機関に関する小委員会という名称に変更すべきであるとの結論を得ましたが、以上の通り名称を変更するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/1
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002・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/2
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003・中村三之丞
○中村委員長 次に海外同胞引揚及び遺家族援護に関する調査特別委員会より、未帰還者留守家族援護法の一部を改正する法律案に対する修正に関して申し入れがありました。その内容につきましては、御手元に配付してある通りであります。一応御通知いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/3
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004・中村三之丞
○中村委員長 麻薬取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入りますが、本案につきましては、質疑及び討論の通告もありませんので、いずれもこれを省略し、直ちに採決に入るに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/4
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005・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
採決いたします。本案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/5
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006・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認めます。よって本案は原案の通り可決いたされました。
なお、本案に関する委員会の報告書の作成等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/6
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007・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
午前中はこの程度にとどめ、午後二時半まで休憩いたします。
午前十一時九分休憩
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午後二時五十九分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/7
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008・中村三之丞
○中村委員長 休憩前に引き続きまして、会議を再開いたします。
この際参考人招致に関する件につきお諮りいたします。先刻の理事会におきまして、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案二法案につき、参考人を招致してその意見を聴取したいとの結論を得ましたので、参考人として、全日本自由労働者組合副委員長坂本周一君、全日本民主日傭労働組合協議会議長馬場大静君及び全国土建労働組合総連合書記長唐沢平治君の以上三君を選定するに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/8
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009・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認め、そのように決します。
なお日次の決定及び参考人の変更等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/9
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010・中村三之丞
○中村委員長 御異議なしと認めそのように決します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/10
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011・中村三之丞
○中村委員長 理容師美容師法の一部を改正する法律案を議題とし質疑に入ります。発言の通告があります。順次これを許可いたします。山本利評君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/11
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012・山本利壽
○山本(利)委員 今回理容師美容師法の一部を改正する法律案が提出されましたことは、公衆衛生の立場からいっても、また業者の強い要望にこたえる意味からいっても、まことに適切な措置であると思うのでございます。しかし、この種法律は、成立したからには、その適用の厳正をはからなければ意味がないので、この際明瞭にしておきたい点を、数カ所お尋ねいたしたいと考えます。
まず第一に、法律第十一条関係についてでございます。今日、理容美容業界混乱の原因の一つは、第三国人及び無資格者である悪質企業者の業界進出にあると思われるのでありまして、まじめな有資格者を保護する意味から、開設の場合に、何らかの差等を付する必要があるようにも思われるのでございますが、この点に対する当局の御意向はいかがなものでありましょうか、承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/12
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013・楠本正康
○楠本説明員 ただいま御指摘のように、現在理容界に若干の混乱があるとするならば、その一つの大きな原因といたしまして、無資格者等の進出ということがあげられるわけでございます。従いまして、私どもといたしましては、これら無資格者が業務を行います場合と、資格者が業務を行います場合とには、おのずから取締り等につきましてある程度の差等があっていいと考えております。ただ、しかしながら、この法律の建前といたしましてはこれらの第三者の場合でも、資格者の場合におきましても一応届出制度を建前とし、届出で足りることとしております。しかしながら、この場合第三者の場合には、たとえばこれが第三国人であるならば、在留証明書を添付するとか、あるいはまた他に関連業務がどういうことを実施しておるか、こういうようなことを特に省令の規定において添付させて、書類の形式から申しまして大きな差等をつけて誤まりなきを期していきたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/13
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014・山本利壽
○山本(利)委員 ただいま大体それらのことは省令によって定めるということでございましたが、従来の省令できまっておる施行規則第二十条を見ますと、その届出事項等もきわめて抽象的であり、形式的でありますので、改正後は相当具体的な規定を要すると思うのでございますが、今回省令で定めようとしておられます位置、構造設備及び従業員の数等に対するところの規定をいかに定めようとしておられるか、承わりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/14
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015・楠本正康
○楠本説明員 お答えを申し上げます。これらの点につきましては、これまた御指摘のように、従来あまりにも抽象的でありましたので、今後はできるだけ具体的にこれを書きまして、取締りの徹底に資したいと考えておる次第であります。すなわち、一つの基準のように構造設備というようなものを一々とりきめる。さらにまた従業員等の点につきましては、従業員の届出等を行わせることによりまして、具体的な点を明らかにいたしたい、かように考えております。なお、差等をつけるという点を申されましたが、それらの点からいたしますと、当然責任管理者の姓名をも届けさせるという工合に、具体的に考えまして進んで参りたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/15
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016・山本利壽
○山本(利)委員 業者の要望の中には、理容所や美容所を開設する場合、一定の距離を置いてもらいたいという条項があったのでございますが、これは現に事業を行なっている者を保護するという意味からは、まことにもっともな申し出であると思いますけれども、この業種が浴場とか、あるいはタバコ店等とはいささか性質を異にしていると私は思う。けれども、この理容業者、美容業者というものが、先ほど申しましたように自分たち〇地位を保護してもらいたいという意味から、この位置の関係については、非常に熱望しておったと思います。この際、先ほど申しました浴場であるとかタバコ店というものとは性質を異にしておる、だから、今の位置の関係はできないといったようなことを説明されて、この業者に対して納得を与える機会にしてもらいたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/16
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017・楠本正康
○楠本説明員 ただいまお話がございましたように、かねて業界からは、距離制限というような希望、陳情等を強く申し入れられております。私どもも必ずしも強くない両業界に対しまして、極端な料金競争等の起きますことは、はなはだ遺憾でありますので、これらの点につきましては、十分に気持の面ではわかるのでありますが、ただ距離制限を実施するということになりますと、これはきわめて困難な点もございます。と申しますのは、職業の自由というような観点からも、多分に困難が出ます。なお、多くのこれと類似の営業というようなものも、それぞれあることでございますので、今ここで距離制限を法規の上で実施いたしますことはきわめて困難である、かように考えておる次第でございます。ただ、現在ただ一つ営業として距離制限を認められておりますものに公衆浴場がございます。この公衆浴場の距離制限につきましても、実はかねていろいろ批判もあるところでございます。あるいはこれが最高裁判所までいって紛争を解決したようないきさつもございます。しかしこれらは、いずれにいたしましても、利用者というようなものが、浴場の場合には、利用者が家庭に帰ってから、家庭の延長としてこれを利用するというところに、一つの特徴があろうと存じます。従って、利用者の便宜という点から、適正な配置ということが浴場の場合には必要になろうと存じますが、しかしながら理容所、美容所等の場合は、他の職業の場合と同様に、必ずしも家庭の延長として利用されるものでないというふうに私どもは考えております。従って、御要望のありました点はよくわかっておりますが、やはり法律としてこれを規定することは不適当であるという判断を下しました。しかしながら、ただいま御指摘のように、これらの弱い営業を混乱に陥れないためには、やはりいろいろな方法を講じてこれを指導して参りたい、かように考えております。それがゆえに、今回、名前の上では届出制でありますが、実質的には、届け出てから検査を受ける、そうして許可を得てからでないと使用ができないということに相なっておりますので、見方によりますれば、一つの許可制ともこれは言えるものだ、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/17
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018・山本利壽
○山本(利)委員 この際大臣が御出席であれば、強く私は要望したいと思ったことがございますが、それはこの理容所とか美容所とかいうものが、公衆衛生に非常な影響があるというばかりでなしに、この分布というものが、都会といなかとを問わず、全国に広がっておる。全国民に接触するという意味から、思想的にも私は非常に大きな影響があると考えるのであります。しかるに、終戦後、多くの組合というものは、自分たちの利益をはかることに急でありまして、とかく闘争を事としておるのでありますが、この理容師、美容師の組合というものは、私の見るところでは、非常に穏健であると思うのでございます。それで、これは各政党政派を問わず、あらゆるものが、先ほど申しましたように全国民が利用するものでございますから、政府におきましても、この組合の育成、発達については、十分な関心と援助を与うべきものであると私は考えるのでございます。こういうものが、今回できます法律によって取り締られ、あるいは指導監督される場合に、それに沿うて非常な業績を上げておるものに対しては、私は公けの立場から表彰があってもしかるべきものだと考えるのでありますが、私はこの点について存じませんから、この理容師、あるいは美容師に対して、そういうような道が開かれておるのかどうか、今後そういう点に当局は注意されるのかどうか、その点について承わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/18
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019・楠本正康
○楠本説明員 理容師、美容師のうち、特に公衆衛生事業等に功績のあった者が表彰を受けるというような格別な別個の制度はございません。しかしながら、現在いろいろな表彰制度におきまして、公衆衛生全般に貢献をした者には、さまざまな表彰制度がございます。これらによりまして、公衆衛生全般の立場から、功績があった者に対しましては、もちろん理容師であろうと、美容師であろうと、他の職業にある者と同様に功績が表彰せられますことは当然でございます。ただ、くどいようでございますが特に理容師だけにさような制度というものは考えておらぬわけであります。しかしながら、将来はぜひ、特別りっぱな組合活動をして相当な成績を上げた、あるいは社会政策等の面から見ても、社会上かなりの貢献をした組合というようなものがありますれば、何らかの形で将来表彰等を研究いたしまして、これによって業者の今後のりっぱな発達に資していきたいという考えは持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/19
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020・山本利壽
○山本(利)委員 無免許者が理容所あるいは美容所を開設いたします場合には、直接の監督者といいますか、責任者といいますか、そのために、この管理者とか管理人とかいったものをお置きになるのか。あるいはお置きになるとすれば、そういう人の経験年数その他を考えておられるのか、その点について、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/20
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021・楠本正康
○楠本説明員 無資格者が理容所あるいは美容所を経営いたします場合には、ただいま御指摘のように、管理者を置かなければならないことに相なります。この場合、管理者といたしましては、理容師、美容師の資格を持っておればいいことにいたしておりますので、特にその就業年限というようなことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/21
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022・山本利壽
○山本(利)委員 この法案の第十一条の二には、理容所または美容所の開設を届け出た場合、都道府県知事の検査を受ける必要があるということが書いてありますが、直接検査を行う方はどこでございますか。それは県の衛生課であるか、あるいは地方の保健所であるか。そしてその検査が業者の組合等に委託されて、事実上は骨抜きになってしまうというおそれはないかどうか、その点について伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/22
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023・楠本正康
○楠本説明員 この届け出を受けましてから検査をいたします者は、当該吏員が検査をいたします。従ってこの場合には、保健所の当該吏員がこの検査に当ることになっております。従って、検査の責任を業界にまかす、そしてその結果不徹底に終るというようなことは考えられないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/23
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024・山本利壽
○山本(利)委員 知事の検査後、適格であるかどうかを確認することとなっておりますが、その確認の方法は、どういう形においてなされるのかという点と、もう一つは、この法律では、設備を変更する場合は、単に届け出で足りることになっておるが、変更した場合においても検査があるのかどうか。初めの開設の場合においては厳重な検査を受けるけれども、あとで届け出をして、さっさと改悪する場合も、法的には考え得ることでありますから、念のためにお伺いいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/24
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025・楠本正康
○楠本説明員 検査をいたしまして、合格したかいなかにつきましては、検査確認書を発行いたす予定でございます。この点は省令で規定をいたしたいと存じております。なお、これはあくまで新しく開設をする場合に限られておりまして、開設後、確認を受けてから後変更をする場合には、特に検査ということを考えておりません。と申しますのは、きわめてまれな場合は別として、普通はだんだん施設が拡充され、向上されることが例でありまして、一たん作った理容所等が悪い方に改められるということは、従来の例から見まして、見られないので、かような実際的な考えから、かような措置を考えたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/25
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026・山本利壽
○山本(利)委員 今の御答弁で、ちょっと私にわからなかった点は、開設したときはよろしい、検査があるけれども、悪意でそれを改悪することは、常識的にはないとしても、年数がたつに従って老朽するということはあり得ることでありますから、やはりこれは時折り検査をするということでなければならぬような気がするのでありますが、この点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/26
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027・楠本正康
○楠本説明員 検査という字句を使いますのが適当かどうかは別としまして、すでに開設されたものにつきましては、現行法におきましても立ち入り検査をいたします。立ち入り検査というのは、いわばその施設がどう変ったかというようなことをも含めて立ち入って見るわけでありまして、言うなれば、これは一つの検査だと思うわけでございます。従って、特に新しく開設をする場合の検査と少し意味が違いますので、さようお答えいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/27
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028・山本利壽
○山本(利)委員 理容、美容業が、国民保健に重大な関係があるという意味から、理容師や美容師個人には、この法律第九条の規定で、毎年二回の健康診断をすることになっている。そういう意味からいうと、その営業所についても定期検査があるという規定を置く方が、国民保健という立場からいけば、当然のことのように思うのでありますが、その点については、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/28
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029・楠本正康
○楠本説明員 現在同様の営業事項で、食品衛生法等におきましては、立ち入り検査につきまして一つの基準を設けて、年何回というふうに定めております。従いまして、今回の法律におきましても、今後御趣旨を尊重いたしまして、十分に研究いたしまして、立り入り検査の基準のようなものを作って年何回実施をするというようなことを研究した結果、できるだけ、御趣旨に沿いたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/29
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030・山本利壽
○山本(利)委員 理容、美容業者からの陳情の中に、理容、美容審議会制度実施の要望があったのでありますが、これも運用よろしきを得たならば、業界の指導上非常に有益であるとも考えますし、あるいはまた、場合によっては、あまりに審議会程度のものが地方にたくさんできると、費用その他においてどうかという点も懸念されるのでございますけれども、この点に対して、当局はどう考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/30
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031・楠本正康
○楠本説明員 これもただいま御指摘のように、理容業、美容業等は、国民生活にきわめて深く結びついている等の関係もありますので、いろいろな各方面の意見も聞いて、これを運営していくという立場から考えますれば、審議会制度というようなものは、私もきわめて望ましいものだと存じます。ただ現在は、地方におきましても、いろいろ財政的な関係等がありまして、数多い審議会制度というようなものは、できるだけこれを整理する方向に進められております。従いまして現在は、たとえば理容業を除きました環境衛生営業の三法審議会というような制度が、すでに浴場、興行場等においては運営されているわけでございます。従いまして、今後は、これら既存の公衆衛生関係営業の審議会のうちに、理容、美容業をも含めて運営するように、今後は通牒その他によって強く地方を指導して参りたい。それによって、ただいま御指摘の審議会制度の目的を達したい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/31
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032・山本利壽
○山本(利)委員 理容美容養成施設の中には、養成施設本来の使命を忘れて、営利的なものが現われて、生徒を使って安い賃金で営業行為を行なっているものがあるように聞くのであります。あるいはまた、こういうことは実に起りやすい問題でございますけれども、その点に対しては、どういう工合になっているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/32
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033・楠本正康
○楠本説明員 これも全くただいま御指摘のように、数多い養成施設の中には、さようなものもございます。まことに遺憾ながら、モデルと称して、実習用にきわめて安い料金で営業形態をとっているというようなものもございます。従って、これらのものに対しては、今後は相当強い監督規定を設けていかなければならぬと存じておりますが、目下考えております点は、たとえばモデルとして扱う対象は、要保護施設等において保護を受けている対象等に限る、そういうことも一つの方法だと存じます。またこれらの料金をある程度規制しつつ、その人数を制限するというようなことも一つの方法だと考えております。いずれにいたしましても、最近は、ただいま御指摘の実情は目に余るものもございますので、今後はこれを断固改善するように決心をいたしている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/33
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034・山本利壽
○山本(利)委員 この法律に違反した場合の罰則についても、考えておく必要がありますけれども、従来、理容師や美容師に対するところの罰則は、非常に軽きに過ぎたように私は思うのでございますが、今回の改正で、都道府県知事の検査合格の確認を受けないで開設した場合の罰則及び閉鎖命令に従わなかった場合の罰則、その他おもな罰則についてお知らせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/34
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035・楠本正康
○楠本説明員 検査を受けずに開設いたしましたものは、五千円の罰金になっております。また閉鎖命令を受けたにもかかわらず閉鎖せずに業務を続けましたものは、同様五千円の罰金と相成っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/35
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036・山本利壽
○山本(利)委員 こういう施設に五千円という罰金は、あまりに安いように私は思うのでありますが、どういうところから五千円が出てきたのか。他の法律からの関係で、これ以上にすることができないのか。五千円で済むことなら、もう初めから、相当悪質な業者は、たくさん二十人も三十人も使用してどんどん営業をやりまして、違反しても、五千円用意しておけば、当分のがれることができると思うのでありますが、いかがなものでありましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/36
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037・楠本正康
○楠本説明員 御指摘のように、確かに現段階におきましては、五千円というのはあるいは安きに過ぎる、徹底を欠くうらみなしといたしません。ただ現在におきましては、他にいろいろな公衆衛生関係の営業法がございますが、これらがいずれも大体この程度になっております関係上、他との振り合いにおいて、かような態勢を取っているわけであります。しかしながら、閉鎖命令を受けたにもかかわらず閉鎖に応じない、あるいは検査を受けずに曲検査で営業を始めるというような者に対しましてはこれは行政当局といたしましてはさようなことのないように十分な監督を進めるのが建前である、かように考えておる次第でございまして、これらの徹底は罰金の重き軽きによって期待いたしますよりも、むしろ、行政の監督能力によってこれらの問題を解決していくというのが本来のねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/37
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038・山本利壽
○山本(利)委員 それでは罰金のことでいま一点お尋ねいたしますが、従来の例から見て、最も犯しやすいことはどういうことであって、それに対する今回の規定の罰金は幾らになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/38
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039・楠本正康
○楠本説明員 最も犯しやすいと申しますのは、よくお心持はわかるのでありますが、たとえば掛布はお客がかわるごとにかえなければならぬ、あるいは必ず消毒したものを、客がかわるごとに使わなければならぬというような規定が、実は最も徹底をしかねる点でございます。しかしながら、これらの徹底にこれまた罰則をもって臨むということは、きわめて困難でございまして、今のところは、これらの順法事項に違反いたしましたときは、営業の禁停止をいたすことになっております。しかしながら、実際にこれを禁、停止いたしますということは、実際問題としてはきわめて困難でありますので、やはりこれまたこれらの罰則にたよらず、行政監督を厳にして進みますと同時に、一方では、一般の衛生教育、衛生思想というものを高めまして、これらの点をおのずから解決していくという方向で努力しておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/39
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040・山本利壽
○山本(利)委員 私の感じでは、一面においては、十分に保護奨励してもらいたいと同時に、一面においては、こういう法律を設けるからには、厳正でなければならぬ。しかし、今のような当局の態度では、私はこの海が厳正に適用されることは非常に困難ではないかと考えるのです。それは、ただ口頭で注意するとかというようなことでは、地方の人々はなれ合いが起こりやすい。官吏にいたしましても、組合にいたしましても、何かそこにはっきりしたところの、こういうことをすればこれほどの重い罪があるというはっきりしたものがあると、人間は弱いものであるから従いやすい、かように思うのです。この点については十分な御研究を願いたい。
最後にいま一点お尋ねして、私の質問を終りたいと思うのでございますが、違反処分を受けた者には、弁明の機会を与えなければならぬということが書いてある。この弁明は、いかなる段階に与えられるのか。だれか官吏が行って指摘した時に弁解する機会を与えなければならぬというのか、一つの処分がはっきりとおりてからそれに対して異議の申し立てができるということか、そこらの点は、いかなる場所でどういう機会にこの権利を業者は利用rることができるか、この点をはっきりしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/40
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041・楠本正康
○楠本説明員 これらの点につきましては、あらかじめ処分通知を差し出します。処分通知を受けた後、実際の処分が行われるわけでありますので、私どもは、処分通知を受けた後、もし陳述したい点があれば、処分の実施をする前に、この処分通知に対して異議を申し立てることを認めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/41
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042・山本利壽
○山本(利)委員 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/42
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043・中村三之丞
○中村委員長 関連質問の通告がございますから、小川半次君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/43
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044・小川半次
○小川(半)委員 私は山本委員の御質問に関連いたしまして二、三お伺いしたいのでございます。われわれは多年にわたって、わが国の理、美容業界の向上と発展をこいねがってきたものでありますが、その私たちの念願にもかかわらず、この業界の発展を阻害する点のあったことは、はなはだ遺憾に思っております。その障害の最大原因でありますのは、ただいまも同僚の山本委員が御指摘されましたように、第三国人の進出、あるいは無資格の業者が存在することであります。この人たちが組合の申し合せを無視して、自分勝手な料金を作ったり、あるいは衛生面においても不備であったり、また夜おそくまで営業を行なって、雇い人の健康を顧みないというような点が多々見受けられるのであります。こうした無資格、あるいは悪質というか、そうした一部業者のために、免許を持つ多くのまじめな業者は、はなはだ迷惑をしているのであります。法律というものは、多くのまじめな業者を保護するところに、法律としての価値があり、その必要があるのであります。悪貨が良貨を駆逐するという言葉が世間にありますが、悪質な一部業者のために、理、美容業界が困難な状態に置かれるということは、まことに迷惑千万でございます。ただいま同僚山本委員の御質問に対して、楠本説明員は無免許業者と免許を持っておる業者等について差異をつけたい、こういう御答弁がありました。一体差異をつけるといったところで、あなたの御答弁は抽象的でわれわれにはわかりませんが、具体的にどういう差異をつけられるのか、明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/44
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045・楠本正康
○楠本説明員 届出事項におきまして、省令でその内容が定められる予定でおります。その届出省令の中に、資格者と無資格者との間に、はっきりした差等を設けて参りたいということを申し上げたわけでございます。一例を申し上げますと、開設者と管理者との関係、どういう関係になっておるかというその関係を表わした書類、あるいは管理者の氏名、従業員数、さらに無免許者が他にどういう営業をしておるか、あるいは第三国人である場合には在留証明書を添付させる、かようないろいろな差等を設けまして、これらによって、ただいま御指摘のような点がないように努めて参りたいと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/45
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046・小川半次
○小川(半)委員 大体明らかになりましたが、外人の場合は、外人登録証はいかなる場合でも示すことは当然であって、あながちこの場合に限らないのです。私たちが希望するのは、第三国人の場合は、免許を持っている人は、当然業を営む資格もあるし、権利もあるわけです。第三国人であって無免許者の場合は、これは一定の年限を付する必要があると私は思うのです。たとえば第三国人で免許を持たない者は、その営業を開設する場合は十年以上は認めないとか、やはり外国人に対しては、そういう年限を付する必要があると思う。われわれの聞きたいのは、そこまで法律を作る以上は、もっと国民が見て、これこそ法律らしい法律だ——どう解釈していいか、あいまいな法律だったら、作らない方がいいのです。だから、外国人の場合は、やはり十年間以上の年限を一応付するとか、こういう方法をとったらどうか。われわれはそういうことを希望しているのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/46
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047・楠本正康
○楠本説明員 ただいま御指摘の点は、まことにごもっともだと存じますが、ただ第三国人の営業その他を許しておりますものは、必ずしも理容師、美容師法に限りませんので、特にこれだけにつきましてさような制限を付することは、困難ではなかろうかと考えてはおりますが、この点もさらに研究をしてみたいと存じます。
なお重ねて申し上げたい点は、従来は、開設者に対しましては、何ら責任がなかったわけでございまして、勝手に自由に営業ができたわけでございます。従いまして、無免許者でも、勝手に営業ができたというところに、問題があったと存じます。今後は、営業を始める場合には、必ず検査を受けて、検査に合格しなければ開設ができなくなりましたので、この点は、従来よりははるかにかような点を押え得るものと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/47
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048・小川半次
○小川(半)委員 そうすると、無免許の者が開設をする場合は、そこで管理者を置かなければならぬわけでございますが、この管理者というのは、従来は名目だけなんです。あなたも御存じだろうと思いますが、こういう名目だけの管理者では、この法律を作っても何ら価値がなくなってくるのです。たとえば十八才か十九才の、美容師の免許を取ってほやほやの、そういうまだ社会に対してうといところの青少年がこうした業の管理者となるということは、これはどう考えても納得のいかないものがある。ですから、同じこの法律を作る場合は、私はもっと研究してもらいたい。この法律を見ると、どうも研究が足らぬのですな。こういう管理者を置く場合は、その管理者は、免許を取ってから少くも五年間実務に携わった経験を有する者とか、ちょっと研究して、ちょっと掘り下げて考えてみれば、これくらいの文字を法律の中に入れられないことはないでしょう。あなたはどうです。十八才や十九才の、社会的にうとい者でも、管理者であってよいというのですか、やはり少くとも五年ぐらい実務に携わった者が管理者としてふさわしいというお考えですか、その点を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/48
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049・楠本正康
○楠本説明員 ごもっともでございますが、ただ一応形式的な理屈を申し上げますと、たとい十九才の者でも、免許を持っておれば営業はできるわけでございます。従ってこの場合、管理者の資格としては、何年以上の実務経験というような点をここに特に規定することは困難かと存じます。しかしながら、先ほども申し上げましたように、届出事項の中に、省令ではっきり管理者の姓名、年令等を書かせて、責任を明らかにしたいと存じております。従って、これも御指摘のように、その後立ち入り検査をいたしました場合に、その管理者がいつも不在であるというようなことになりますと、これは当然違法行為になって参りますので、これらの点は、御趣旨に沿って十分に取締りの徹底をいたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/49
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050・小川半次
○小川(半)委員 大体わかりましたが、それではあなたのお考えは、免許さえ持っておれば、十八才や十九才ぐらいのそういう少年であっても、者として何ら差しつかえないという御解釈ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/50
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051・楠本正康
○楠本説明員 ただいまも申し上げましたように、形式的な理屈を申しますれば、そうお答えせざるを得ません。しかしながら、実際の行政指導というものは、これはまた別な立場で考えなければならぬことでございまして、あまりにも若い十八才くらいの管理者を置くというようなことは、確かにそれは他の人間等から考えましても、納得のいかぬところがございますので、これらの点は、届け出られましたその年令、姓名等を判断いたしまして、適当な指導を加えて参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/51
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052・小川半次
○小川(半)委員 最後に、業者団体の項目についてお尋ねしたいのですが、第十四条の二では「理容師又は美容師は、理容師会又は美容師会を組織して、技術の向上及び施設の改善を図り、会員の指導及び連絡に資することができる。」——少くとも法律でもってこの会を、組織せよとは命じてませんが、要するに組織することを明らかにしておる。こうした法律でもって組織を認められておる理容師会あるいは美容師会が、いわばこれの営業を開始するに当っても何ら発言権がない、あるいは業者が閉鎖を命ぜられる場合においても、団体は何ら発言権を持っていない。要するに、法律によって政府がこの会を組織することを命じており、かつまた業界のいろいろな向上、施設の改善のために指導せよというようなことを明らかにしておりながら、いよいよ業を開始する場合とか、あるいは閉鎖を命ぜられる場合に、その団体に発言権がないということは、少し矛盾しておるのではないかと思うのです。ですから、業を開始せんとする者は、その届出に当って、団体の指導を得て届け出るとか、あるいは団体を通じて届け出るとか、それでよいのです。わずかに、通じてという文字あるいは指導を得て届け出るという、これくらいの文字をここに付加することはできないのですか。そうすると、この組織というのは、ある程度権威のあるものになってくるのです。同時に、閉鎖を命ずる場合、その命ぜられんとする業者に弁明の機会を与えると言っておりますが、弁明の機会を与えるといったところで、閉鎖を命じようとする当局と、その命ぜられようとする当事者の二者だけの間でこれが行われるのでしょう。一体第三者というものを加えないのは不都合なことで、役所の役人がごきげんが悪いために、お前はやめろと命ぜられて、弁明しても、 いや、お前はやめろ、第三者がいない場合は、感情的に閉鎖を命ぜられる場合がなきにしもあらずです。これでは民主的じゃない。やはり弁明の機会を与えるのであれば、その弁明は、第三者が一枚加わる必要があると思う。第三者とは、すなわち業界の代表といいますか、団体の代表者が一枚入るとか、もしくは先ほど山本委員が指摘されたように、審議会というものを設けて、そうして審議会の議を経て閉鎖を命ずるとかなんとかしなければ、とにかく役所の連中ににらまれたために閉鎖をされるということは、感情的にあり得ると思います。あなたは、そういうことはないとおっしゃるかもしれませんが、世の中には、そういうことは往々あるのです。現に私は、そんなことを数限りなく知っております。ですから、この場合は、ただ本人だけに弁明させるのでなくて、第三者を入れること、第三者を入れる場合は、それは団体の中から一名参加させるか、あるいは審議会を設けて審議会の議を経て閉鎖を命ずるとか、こういう工合に、もうちょっと掘り下げて研究して、この法律を作っていただかぬと、僕は今ちょっと見まして、非常に不備な点があるようにも思われるのです。今後多くの卓越せる同僚委員から、いろいろな御指摘があると思いますから、私は一応気のついた点を御質問申し上げて、この法律がほんとうに法律らしい、業界にとっても、国民にとっても、ほんとうに喜ばしい法律になるように希望してやまぬものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/52
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053・楠本正康
○楠本説明員 ただいまお話がございましたように、理容界が円滑に発展いたしますためには、やはり統一ある団体が存在することがきわめて必要であることは、よくわかっております。従って、かようなものを育成いたしますことについては、全く御指摘の通りだと存じております。ただこの場合、これに若干の行政権と申しましょうか、一つの補完的な業務を実施させるかどうかということに、ただいま御指摘の問題があろうかと存じます。私どもといたしましては、業界は自主的に技術の向上あるいは業界の発達等を目的としておるものでございまして、従って、一応はこの行政権と区別して考えるのが妥当だろうと考えております。しかしながら、ただいまもお話がございましたように、監督に当る保健所の職員の手も少いことであります。あるいはまた専門的な技術あるいは専門的な業界の事情等にも必ずしも明るいものとばかりは申されません。そこで私どもといたしましては、まずただいま御指摘のような点は、これは組合がまず最初に自主的に御協力を願い、その自主的ないろいろな御検査あるいは御指導というようなものの結果を、これも強制的ではなく、行政当局、保健所なら保健所に通報する。その結果によって、行政当局としては能率的に監督が実施できる。下見をしてもらうというようなことは、きわめて望ましいことだと存じておりますので、今後はさような観点から、積極的に業界も一つ御協力を願いたい、こう考えておる次第でございます。従って、はなはだかたいことを申し上げるようでございますけれども、一応行政権と団体の協力との範囲に一線を画してお答えをしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/53
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054・中村三之丞
○中村委員長 岡本隆一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/54
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055・岡本隆一
○岡本委員 一点だけお伺いしておきたいと思います。先ほどの山本委員の御質問でお触れになったのでありますが、業者の養成施設の問題であります。この法律の趣旨を見てみますと、大体検定の制度になっておるようであります。業者の免許を与えるに際しまして、検定でよいような種類のものと、どこまでも学校教育でなければならないものとがある。たとえば、今日では医師、薬剤師のようなものは、検定で免許を与えるということは原則的に許されておりませんが、その他のものについては、一応試験をしたらそれでよいというような考え方の上に立っておるのであります。ところで、その試験を受けるのに、試験を受ける資格を与えられるというのでもって、学校課程というものが要求されておる、そこに何かの矛盾があるように思います。もしも検定試験でよいものであるならば、検定試験を受ける資格というものは、特にきめなくてもよいように思うのです。しかしながら、実際問題といたしまして、学校教育というものが望ましいということは私も考えております。学校教育が望ましいものとは考えておりますが、山間僻地あるいは経済上の理由その他で教育が受けられない者にも、学校教育をこの法律は要求しておる。そういうことになって参りますと、検定で済むものに、望ましということでもって学校教育を要求しておるのでありますから、従ってその学校教育というものは、あまり金のかかるものであってはならないと思います。ところが、巷間いろいろなうわさがありまして、どうもちょっと学校教育が金がかかるように聞いておるのであります。今日この養成過程において、学校というものがどういうふうな方針で経営され、またどういうふうな教科内容で、どの緯度の費用であるかということを一つお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/55
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056・楠本正康
○楠本説明員 まことにごもっともな御意見でございまして、なるほど現行法におきましては、一応学校を卒業しなければ受験資格がございません。従って、学校を卒業することが必須条件となっております。しかしながら、この場合必ずしも全部の国民が、あるいはすべての理容師、美容師の希望者が、進んで学校に通うだけの立場にあるかどうかというと、必ずしもそうは考えられません。目下は、ただいまお話のありましたような山間僻地におる者で、家庭の事情でどうしても学校へ行けないというような者に対しましては、通信教育制度を設けまして、教育によって、これらの学校を卒業したと全く同一の資格を与えるようにいたしておるわけでございます。
次に、学校教育に対して少し金がかかり過ぎはしないかという御指摘でございますが、私もこの点は率直に認めております。ただしかし、数多い学校の中には、私立等で特に特徴があって、非常に金がかかるにもかかわらず、好んで行くというようなこともあるやに聞いておりますが、しかしながら、それだけではまことに片手落ちでございますので、私どもとしては、できるだけ公立あるいは組合立等を指導しまして、できるだけ金のかからない学校を指導いたしておる次第でございます。なお、通信教育におきましても、これまで実は多少金がかかり過ぎるというような御意見も聞いておりますので、今後通信教育等につきましては、その制定いたしました本来の趣旨にかんがみまして、できるだけ簡素簡便に、しかも経費がかかわらずに通信教育を受けられ、卒業の資格が得られるように省令を改めて参りたい、かまうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/56
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057・岡本隆一
○岡本委員 もう少し具体的にお答え願いたいと思います。ことに通信教育の場合でありますと、一定の教科書のようなものがあれば、それを求めていくというふうにすれば、通信教育を二カ年にわたってやり、教育講座の半分を受けなければならぬというほど、理容師の場合などはむずかしい教科内容のようにも思えない。しかも二年間の通信教育というものが課せられておるというところには、その二年間一定期間を限ってその学校へ呼んで、そうしてまた近代的な理容所の施設を見せるというような、実地教育というようなものも私は含まれておるのであろうと思いますが、従って通信教育の場合は、月の授業料が幾らか、何カ月間、幾日間学校で実地教育を施して、そうしてその費用はどれくらいというふうな、もっとこまかいところまでの御答弁を一つお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/57
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058・楠本正康
○楠本説明員 まず通信教育を行います期間の問題でございますが、これらの点につきましては、何分にも通信教育を終了すれば通学生と同一の資格が得られますので、あまりこれを切り詰めるということは、その意味から不可能かと存じます。
第二に、通信教育の生徒は、おおむね見習者でございます。従って見習い期間というものは、やはり一年あるいは二年、場合によっては三年——私どもは二年程度見習い期間が必要であろうという判断から、一応二年というふうにきめてございます。なおこれを一年でいい、ところが通信教育は終ったが、まだ腕の方がうまくいかないというと、今度は徒弟になってしまいまして、そこで、場合によればいかがわしい問題も出てきはしないかということが心配されますので、一応年限としては今後も二年を考えております。ただ、ただいま御指摘のように、見学をするとか、実習をするとかいうようなことは、すでに見習者として実施をいたしておるわけでございますから、これらの点はできるだけ簡素にして——現在は二カ月のスクリーングを実施いたすことが建前になっておりますが、これは大幅に半分あるいはそれ以下に切り詰めて簡素にいたしたい、かように考えております。
なお、御質問の料金の点につきましては、現在は、先ほどお答えを申し上げましたように、高いという非難もございます。これももっともだと存じます。四百円でございます。なるほど学校に通えないような者に対しましては、四百円は確かに過重である。そこで、私どもといたしましては、できるだけ安い経費で行えるように、今後十分なる指導を加えていきたい、場合によりましては、その安い料金というものを開設の条件にすらもいたして参りたい、かように考えておる次第でございます。ただ具体的に幾らにする予定か、こういうふうになりますと、今、原価計算等をいたさせておりますので、はっきりした点は申し上げられませんが、少くとも現在の半分程度、あるいはそれにちょっと上まわった程度にこれを引き下げることを目標に、研究をいたしておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/58
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059・岡本隆一
○岡本委員 スクーリングの期間を、大体一カ月に切り詰めたいというような御意向のようでありますが、相当遠方から来るというふうな場合には、寄宿舎の設備はあるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/59
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060・楠本正康
○楠本説明員 これもごもっともな御意見でございまして、私どもといたしましては、もちろん通信教育を受けておる学校において、面接教育を受けるのが建前かもしれませんが、特にただいまのお話のように、遠方から通うというようなことは大へんである場合には、特別に他の施設、たとえば保健所であるとか、あるいは他の学校であるとか、これはいろいろ地方の実情によって違うと思いますが、さようなところでも一部面接教育を受けられるようにして、受講者の便宜をはかっていきたい、これも省令の改正によって実施をしていきたい、こう考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/60
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061・岡本隆一
○岡本委員 月四百円、二年間と申しますと九千六百円になるのですが、貧しい家庭の子供が——理容師徒弟制度というものは、封建的でよくないものであることはわかっておりますが、それにいたしましても、徒弟制度で現状は入っていく、そしてそのわずかな給料の中から一万円を出さなければならない、しかもみずからの費用でスクーリングを受けなければならないということになりますと、貧しい家庭に生まれた不仕合せな子供にとっては、それは相当大きな負担になる。従いまして、ただいまのお言葉の通りに、できるだけその負担を軽減してやっていただけるように、あなた方も御指導をお願いいたしたいと思います。この前「週刊朝日」でしたか何かに、洋裁学校ブーム、理容師学校ブームというようなことが大きく取り扱われておりましたが、法律をもって規定して、そこを出なければ、どうしてもその課程を経なければ受験できないという形において強制のあるところの学校が、営利の目的に供せられるというようなことがあってはならないと私は思うのであります。その点、学校の経営というものについても、当局の方では十分な御指導をいただけるようお願いをいたしまして、私の質問を終ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/61
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062・中村三之丞
○中村委員長 次に滝井君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/62
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063・滝井義高
○滝井委員 今回理容師美容師法の一部が改正されることになって、今まで理容所、美容所を開設する者は届出でよかったものが、今回は特に衛生関係の措置を強化するという意味から許可制となったのですが、あなたの方の取り扱っておる事業所で、許可制でなくてならぬものには、どういう業種があるのか、それを一つあげてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/63
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064・楠本正康
○楠本説明員 現在私どもは営業六法と申しまして、公衆衛生関係に六つの法律がございます。旅館、食品衛生、興行場、その他公衆浴場等がございますが、これらはいずれも許可制をとっております。公衆衛生関係営業の中で、従来単に届出制であったものは、理容師美容師だけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/64
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065・滝井義高
○滝井委員 そういうことで、理容師美容師も右へならえをしたということが大体わかりましたが、そうしますと、今度の改正で公衆衛生環境の強化を必要とする事業場で働く人が、その免許をもらうためには、実地練習と申しますか、医者でいえばインターンみたいなものを一年以上やらなければならぬことになっておるわけです。近代の、終戦の後における日本のいろいろなこういう制度というようなものは、徒弟制度が悪いのだということで、近代的な名のもとに実地練習、あるいはインターンの形をとってきたのですが、私はこれはやはり徒弟制度の変形だと思うのです。これは料金の問題とも関連すると思うのです。たとえば、現存国立病院や国立の医療機関において人間が足らない、医者が足らない、その足らない医師、歯科医師を補っておるものは、インターンの学生そのものである。理容師、美容師あるいはその他のそういう許可を必要とする事業場において、実際に手が足らない、しかし人数はふえておるのを見ると、それは実地練習の、いわゆる試験を受ける前の人なんだ、こういうところに私はやはり料金の問題が関係してくると思うのです。徒弟制度は廃止したけれども、違った形の、近代的の徒弟制度というものが、日本のこういう制度の中に出てき出したということなのですが、この点については、あなたの方でどう考えておるのか、この見解を承わりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/65
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066・楠本正康
○楠本説明員 私は御意見の徒弟制度と、現行の、たとえば見習いの制度とは、大いに違うと思っておるわけであります。と申しますのは、現在の制度では、一年のインターンあるいは二カ年間の通信教育というものさえやれば、それが、たといやっている仕事は徒弟の形態であったとしても、決して強制されているものではないのであります。二カ年間Aという理髪屋で見習いをしておったが、気に食わないからBに、BからCに転々としておっても、また途中で自分の家へ帰って百姓をしておっても、二カ年間過ぎれば当然権利がもらえるというわけであります。従って、徒弟制度とは大きに違うと思っております。
次に、これらの制度の関係から、かえって逆に今度は無資格者を使って搾取を行うというような形態の御指摘があったのでございますが、これらにつきましては、私も全く同感でございます。しからば、これを一体どうして防ぐかという問題でございますが、これは学校におきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、これが一つモデルとしての使用の制限をしなければならぬ。たとえば料金を制限するとか、あるいは対象を制限するとか、人数を制限するとかいう制限の措置をしなければ、かえって見習いに名をかりて搾取の対象になってしまうことが考えられます。またインターンの時代におきましても、全く同じことが言えるわけでございます。従いましてこれらの点につきましても、十分な対策、ただいま申し上げたようなことをはっきりいたしまして、これによって搾取の弊を極力押えて参りたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/66
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067・滝井義高
○滝井委員 実際問題といたしましては、こういう実地練習の制度というものが、一つの学問的な課程の中に入っておるのならいいが、一つの学問的な課程を修了して、さらにその上にインターンとか実地練習とかいうものを入れて、その後に試験がある、こういう形をとりますと、これは明らかに学問的な課程を終って、しかも、もう一年以上実地練習したのだから、お前はもう帰って百姓をしてもいいのだといっても、少くとも医者とかあるいは理容師、美容師というものは、技術で立っていくものです。従って、その技術の場を離れて全く違った環境の中に行ったのでは、今度はなかなか試験に通りにくいことは常識なんです。そうしますと、必然的に試験に通るまではその事業場におるということが人情です。従って、そういう人情でおらなければならないということよりも、私はその学問の課程の中で同時に実地ができる程度の、一年延ばしてでも取ることの制度の方が合理的であると思うのです。ただ、今まで徒弟制度というものがあったものを、急激にこういう制度に切りかえたので、それでは学問的な課程の中に置きにくいと思う。一応学問的課程は終った、さらにその上一年なり一年半、二年も積み足さなければならないということはよくわかる。しかし、将来のこういう制度の考え方としては、学問的な課程の中においてそれを修了したならば、すぐに試験が受けられるという形を作るならば、これはあとで質問しますが、料金の問題等においても、割合に問題の解決がすっきりした形で出てくると思うのです。そういう意味で御質問したのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/67
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068・楠本正康
○楠本説明員 私どももただいまお話のように考えております。ただ一年に置きましては、私もよく存じませんが、理容、美容等はなかなか技術が十分でない、こういうことを聞いております。従って、もしこれを一つの教養の課程の中に全部を織り込むならば、一年半とかそういうような期間を要することになろうと考えております。そういたしますと、勢い経費その他の問題にもかかって参りますので、これははなはだ中途半端な形になってしまっておりますけれども、現状としてはこの程度でやむを得ないのじゃないかというのが一つの考え方であります。しかし、根本的には、ただいまおっしゃる点は、全く同感でございまして、さらに将来、業界も発達する、日本の経済力も伸びたというような段階になりましたら、現在の養成課程一年を一年半にしても、極力本来の形に立ち直っていくべきものだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/68
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069・滝井義高
○滝井委員 これは一応理想論を述べたわけで、現実はなかなかそうはいかぬことは私もよくわかっております。それと関連して、理容業における適正料金の問題ですが、現在理容師の諸君から、非常にもぐり業者がおるとか、あるいは組合と申しますか、とにかく規定料金を下回ったり、厚生施設等で散髪をやる、従ってこれは業界を乱すものだというような、業権擁護の意味もあるでしょうが、相当多くの陳情もある。現在あなたの方は、散髪屋よりか、さらに複雑な医療費の適正化のために、医務局はあげて努力しておられる。それで、医療よりか、もっと単純な業務である理容、美容の適正料金というものは、私はやはり出さなければならぬと思う。そうでないと、今のように電力は戦前に比べて何倍上った、それからふろ屋は何倍上った、理髪は何倍しか上っていない、こういう議論も出てくるわけです。従って、こういうように国が施設まで規定をして、そうして事前に検査をしなければその業の許可をしないということになれば、少くとも業を営む人は、ある一定の理髪をする人をやったならば食えるような適正な料金というものが、科学的に私は出てこなければならないと思う。適正料金というものについて、業者が一方的に幾らときめることでなくして、少くとも、こういう許可制にして相当の資本を投下して事業をやらせるからには、そこに国がやはり適正な料金というものをきめる。健康保険だって十一円五十銭、十二円五十銭ときめてやってくれているわけです。そういうものを、少くとも公衆衛生の一環としていくからには、ある程度の生活の安定も考えて作るべきだと思うのですが、あなた方、その意思があるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/69
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070・楠本正康
○楠本説明員 数年前までは、理容料金は統制価格によって押えられておりました。その場合は、一応適正料金というような考え方で、最高価格を押えておりました。しかしながら、現在はそれを除去して自由料金になっております。従って、今ここで再び法的根拠、つまり一つの法的根拠をもって一つの料金を押えるというようなことは、現在考えておりません。しかし、今まであまりにもこの料金に上下があり過ぎました。その結果、かえって、いわばそれに乗じて低料金競争というものが逆に出てきたとも考えられます。これらの点につきましては、全く御指摘のように、適正な料金の目標というものがなかったために、むしろ混乱に陥ったという見方もございます。そこで、目下かような点を検討いたしまして、今後は適正料金というような立場から、強制でなく、業界、特に組合というようなものを指導していきたいと考えております。ただ、これを一本で締めるかどうかということにつきましては、なかなか困難でありまして、何分にも理容というものは技術性が高いので、一律に行うということは、これは困難でございます。技術料というものがございますので、そこである一定の幅を持った適正価格というもので、今後は業界を指導して参りたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/70
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071・滝井義高
○滝井委員 私もそれは同感です。少くとも技術を尊重するならば、一律の料金で統制するということは、これはその設備の良否もありますし、その修練の長短もあります。現在医療が、そういうものを無視して、いわゆる医療費体系のG=gtというような方式を用いたところに問題があって、なるほど散髪については、環境衛生部長、なかなかの物わかりがいいのですが、当然私はそうなくてはならぬと思う。だから、一応国が適正な料金は、たとえば採算のとれるものは百五十円だ、しかし、そこに一つの幅を設けて、この程度の幅ならば自由にやってもよかろう、こういう指導の仕方ならば、今言ったように、もぐり業者が出たり何かが出ても、その適正料金のワクの中で、問題はある程度解決ができていく形ができてくるのじゃないかと思われる。ぜひ一つそういう形を、まず理髪業あたりから徐々に及ぼして、高度の技術を要する医療にまで及んでいただきたいと思うのです。
それから、先般来この理容師美容師法から美容師を離して、美容師の単独立法をしてもらいたいという要望が非常に強かった。これは私たちも、現在の美容師のああいう器械設備その他を見てみますと、なるほど理容師と美容師とは、相当の違いが出てきておるということ、これはよくわかるのですが、さてしからば、今どういう工合にこれを切り離して美容師法を単独立法にしていくかということになると、なお相当の議論があると思うのです。が、あなた方の考え方は、一応固まっていないと思いますが、どういう基本的なお考えをもって、今回分離をせずに、一本のままでこういう改正を先に出して来られたのか、その基本的な態度を明確にしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/71
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072・楠本正康
○楠本説明員 はっきりお答えいたしますが、私どもが理容、美容を分けて、法律として書き分けてみますと、結局は同じことになってしまうのです。なるほど、はさみと器械は違いますけれども、そういうことは法律の表面に出て参りません。出て参ってくるのは、衛生の安全性というようなことでありますので、書いてみれば、どうしても別な文章は使えなくなります。そうなってくると、まことに意味をなさなくなるので、研究の結果、今後もこれは理容師美容師法として半々ずつこれに権利を持っているという形で進みたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/72
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073・滝井義高
○滝井委員 そういう工合で法律が一緒になるということになれば、これは私も分ける必要はないのじゃないかと、こう考えるわけです。
次にお尋ねいたしたいのは、厚生省からいただいたこの法律案の関係資料ですが、この理容師にしても美容師にしても、昭和二十七年から二十八年の増加率と、二十八年から二十九年の増加率を見てみますと、非常に違いがある。二十七年から八年にかけては約四万くらい理容師は増加をしていっている、美容師は約三万くらい増加していっている。ところが二十八年から二十九年にかけては、大して増加をしていないですね。これはもちろん二十九年のには、報告の未着分もあるでしょうが、未着分があるにしても、これはあまり差がはなはだし過ぎるのです。これはどういう原因でこういうように二十七年——二十八年と二十八年——二十九年の増加率の変化があるのか、これを一つ御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/73
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074・楠本正康
○楠本説明員 これは、現行法は昭和二十八年の六月三十日に改正されたものでありますが、それまではいわゆる徒弟制度というものが認められておりまして、二十八年七月以降、徒弟制度というものが実質的になくなっております。この前の改正のときでございます。従って、その時に、従来徒弟であった者が、再び通信教育を受けなければならぬというようなことになると、かえって大きな負担になるだろうというようなことから、これは各府県が、かなり大胆に従来の徒弟の試験に手心を加えたわけでございます。さらにわれわれといたしましても、若干期間、徒弟が試験に受かるまで、救済試験を約半年余り認めておりました。かような関係がございまして、そこのところに大きな増加の数字が現われておりますが、今後はかような変革がない限り大きな移動はあるまい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/74
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075・滝井義高
○滝井委員 徒弟制度の関係でこうなったということでございますが、大体わかりました。
それから、その次の東京都内における理容所、美容所の開設者内訳例の中で、免許を有しない開設者というのがあるわけです。これは医療機関でも、たとえば免許がなくて開設して、医者を雇っておる者があるのですが、これはこういう者のことをいうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/75
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076・楠本正康
○楠本説明員 その通りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/76
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077・滝井義高
○滝井委員 そうしますと、さいぜん第三国人の問題も出ておりましたが、これを見ますと、第三国人というのは非常に少いわけですね。東京においてこの程度であるならば、大して問題はないのではないかと実は私考えるのですが、全国的に見まして、この免許を有しない開設者というものは大体どの程度あるのか、それから全国的に見まして、第三国人というものはどの程度にあるものなのか、その概数だけ、大よそのところでけっこうですが伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/77
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078・楠本正康
○楠本説明員 はなはだ申しわけありませんが、これらの点を目下調べておりますが、なかなか間に合いませんで、ついにはっきりした数字を申し上げられないで恐縮に存じております。いずれ近くこれらの数字を取りまとめまして、お手元に差し上げたいと存じます。ただ、これらの三国人の中には、名目だけが日本人あるいはその他であって、実質的には第三国人の経営するものもかなり多いということを聞いております。しかし、これらの点を一々洗い出すことは、なかなか困難だという報告を受けております。また一方、なぜ現行法では、開設者に対して何ら規制が加わっておらぬかと申しますと、従来は、大体理容所、美容所は、開設者が必ず理容師、美容師であったものだけなんです。ただ、たまたま役所とか工場とかいうところで、特別な厚生施設としてのみ開設者が別なものがございましたが、営業の形態においては、すべて理容師、美容師が即開設者であったから、現行法のようなものでやっておるわけです。ところが最近は、小資本を投じて、かような理容師、美容師を雇い入れてやるものが逐次ふえて参っておるわけでございます。従って、これらの数字は、必ずしも多くないようには見えますけれども、従来は営業者としてはほとんどなかったものが、かように現われましたことは、かなりこれは注目すべき事例であると、私どもはかように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/78
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079・滝井義高
○滝井委員 私は、そういう点で、実は一つの問題があるのじゃないかと思うのです。免許を有しない者が資本を投じてやるということになれば、おそらくそういうところは、さいぜん申しました実地練習者をたくさん集めればいいことになる。そうしまして、寄宿舎もつけて、実地練習者でやれば、これは今言ったように、料金が安くて、しかも大衆的になってくる、こういう形が実は出てくるのじゃないか。こういう免許所有者以外の人たちが、小資本あるいは大資本を投じてやる形態は、ただに理容美容の仕事ばかりでなくて、あらゆる仕事にそういう形が出てきておる。これはむしろ資本主義の一つの避くべからざる発展の方向かとも思われますけれども、そういうことになりますと、これはなかなか法律の取締りがむずかしくなってくる。一方、法律は強化しておるが、一方、そういう取締りのむずかしい形態が出てくるという非常な矛盾した形態が、どうもこればかりでなくて、あらゆる面に出てきておると思うのです。これはなかなかお答えがむずかしいと思いますけれども、そういう感じがするのですが、あなた方の考えも、一つ同時にあわせて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/79
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080・楠本正康
○楠本説明員 きわめて本質的なむずかしい問題でございまして、単にこの問題だけを考えて、解決するという性質のものではないと存じますが、ただ私どもといたしましては、少くとも衛生上正しいことが行われておる、あるいはサービスとしても正しいことが行われておるという範囲において、さような正しさのもとに立って行われる競争が望ましいのでありまして、その競争の行き過ぎによって違法行為が行われるということは、少くとも今度の改正法において、ある程度これを防ぎ得るのじゃなかろうか、かように考えておる次第でございます。ただ、いろいろ問題もありますが、これらの問題を根本的に解決するならば、やはりこれはもう少しく、たとえば協同組合的な観念で、法律によりいろいろなことが考えられるのでありますが、それらの問題は一応厚生省の立場としてはとやかく言うべき筋合いではなかろう、かように考えてお答えをせざるを得ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/80
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081・滝井義高
○滝井委員 それと関連して、この理容師の養成所でございます。必然的に養成所のある地域においては、やはりそういう実地練習をやることも便利だと思うのですが、この養成所は、全国都道府県には現在大がい一、二カ所ずつくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/81
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082・楠本正康
○楠本説明員 現在全国で百七十校あまりございますが、最も多いのは東京の二十八校で、現在では各府県一カ所以上はみなございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/82
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083・滝井義高
○滝井委員 その程度あれば大体いいと思います。そうしますと、次にお尋ねしたいのは、料金その他の問題に関連しますが、理容師、美容師の組合、これは全国的な組合関係はどういう工合になっておりますか。理容師の組合が一本、美容師の組合が一本なのか、理容師、美容師が一本になっておるのか、陳情書なんかの関係を見ると、なかなかはっきりしない点があるのです。やはりこういう問題は、料金その他、厚生当局としていろいろ相談される場合に、組合が一本であるか、二本であるか、三本であるかによって、非常に行政の指導というものに難易が生じてくると思うです。そういう意味で、ちょっとお尋ねをしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/83
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084・楠本正康
○楠本説明員 理容師におきましては、全国一本にまとまった団体がございます。それのあたかも支部のごときものが各府県にあるわけでございます。ただし、支部の中においては、多少内部に問題の存在しておる府県もあるかに聞いておりますが、一応形の上では、全国一本にまとまっております。ところが、これに反しまして、美容界におきましては、全く統一がない、さまざまな団体がさまざまな姿で存しております。しかもその間に、言い分がそれぞれ違いますので、何を取っていいかわからぬというところから、私どもといたしましては、その帰趨を知る、あるいは意見を聞くというのに、きわめて困難を感じております。従って私どもは、かような姿における美容界というものは、美容界のために残念だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/84
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085・滝井義高
○滝井委員 そういたしますと、理容の方は、大体全国的に一つの形態にできておるので、適正料金というようなものも、原価計算その他よく相談すれば、割合に簡単にいくと思うのであります。ところが美容界は、なかなか技術においても複雑かもしれませんが、いわゆる適正料金をきめても、現在の段階ではちょっと不可能な状態ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/85
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086・楠本正康
○楠本説明員 これは御指摘のように、先ほども申しましたように、私どもは法律で強制するということは困難でありますので、ある一定の幅の以内において一つ指導していくという建前でございます。従って、美容師の場合、もちろん困難でありますが、指導ができないという結論にはならないと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/86
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087・滝井義高
○滝井委員 これでよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/87
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088・中村三之丞
○中村委員長 ほかに御質疑もないようですから、次会は明日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204410X03519550706/88
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