1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和三十年五月十九日(木曜日)
午前十時五十五分開議
出席委員
委員長 田中 角榮君
理事 首藤 新八君 理事 長谷川四郎君
理事 山手 滿男君 理事 内田 常雄君
理事 前田 正男君 理事 永井勝次郎君
阿左美廣治君 秋田 大助君
小笠 公韶君 齋藤 憲三君
笹本 一雄君 鈴木周次郎君
加藤 精三君 鹿野 彦吉君
神田 博君 小平 久雄君
南 好雄君 櫻井 奎夫君
田中 武夫君 帆足 計君
八木 昇君 伊藤卯四郎君
菊地養之輔君 佐々木良作君
松平 忠久君
出席国務大臣
通商産業大臣 石橋 湛山君
国 務 大 臣 高碕達之助君
出席政府委員
総理府事務官
(経済審議庁計
画部長) 佐々木義武君
通商産業事務官
(大臣官房長) 岩武 照彦君
通商産業事務官
(重工業局長) 鈴木 義雄君
委員外の出席者
総理府事務官
(自治庁財政部
理財課長) 大村 襄治君
通商産業事務官
(重工業局車両
課長) 柳井 孟士君
通商産業事務官
(重工業局計量
課長) 蒲谷 友芳君
運 輸 技 官
(船舶局関連工
業課長) 畑 賢二君
専 門 員 谷崎 明君
専 門 員 越田 清七君
専 門 員 円地与四松君
専 門 員 菅田清治郎君
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五月十九日
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五一号)
の審査を本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
計量法等の一部を改正する法律案(内閣提出第
一二号)
自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部
を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(
内閣提出第五一号)
原子力の平和的利用に関する件
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001・田中角榮
○田中委員長 これより会議を開きます。
前会に引き続き計量法等の一部を改正する法律案及び自転車競技法等の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題となし質疑を続行いたします。質疑は通告順によってこれを許します。永井勝次郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/1
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002・永井勝次郎
○永井委員 ただいま議題となりました自転車競技法等の臨時特例に関する法律でありますが、これについてお尋ねをいたします。
この法案は臨時特例でありますが、大体どのくらいの期間を目途としてこの法律を実施しようとしておるのか、競輪の運営審議会を作って、今後の問題についてはいろいろ処理をされるそうでありますが、大体この法律はどのくらいの期間を目途として実施されようとするのであるか、これを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/2
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003・石橋湛山
○石橋国務大臣 一応五年と考えておるのでございますが、しかしこの処理方法が、いい案が立ちますればできるだけ早く案を立ててほしい、かように考えて督促はいたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/3
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004・永井勝次郎
○永井委員 大体五年という目途でおやりになるとして、これは競輪をもっと強化して発展させようという考え方が土台になっておるのか、あるいはこれは非常な悪いものであるから、すみやかに廃止したい、その廃止のためのいろいろな経過措置として五年間が必要である。その間にスムーズに廃止ができるような措置を講ずる、こういう考え方の五年間であるのか、これを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/4
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005・石橋湛山
○石橋国務大臣 御承知と思いますが、必ずしも業者でなくても競輪というものは日本の特色であるから、一つ大いに盛んにしたいという論もあることは事実と思いますが、われわれとしては、ただいまのところはさように考えておりません。これを大いに強化するために五年ということを考えておるのではないのでありまして、いろいろ地方財政その他の影響もありますから、五年の間に適当にこれを処理する方法は逐次実行していきたい、かような考えで当分は、こういうわけであります。
〔委員長退席、前田(正)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/5
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006・永井勝次郎
○永井委員 そういう考え方であるとするならば、五年という、こういう長期の期間が必要であるという根拠はどういうところにあるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/6
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007・石橋湛山
○石橋国務大臣 一つは例の地方財政の関係でございます。地方財政の処理が、なかなか議論がありますように現在非常に困難であります。幾らかでも競輪というものが地方財政を助けておりますから、これを一挙にやめてしまうということになりますと、地方財政の整理上も困難を来たすだろうと思いますので、そこで地方財政の整理は大体三年と考えておるのでありますが、しかしながら今五年と申しましたのは、地方財政が三年間で整理ができるといたしましても、なお幾らかの余裕を考えておかなければいかぬと考えまして、別段法案に五年と書いてあるわけではございませんが、心組みとしてはそれくらいかかるのではないか、さようなつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/7
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008・永井勝次郎
○永井委員 競輪を中心にして非常に国民の射倖心をあおっておる、またこれを中心にしていろいろな社会悪が醸成されておるわけですが、こういう地方財政の財源の関係という問題と、この競輪を中心にして起っておる国民倫理の頽廃を来たさしめておるという点、これを中心として起っておるところの社会悪、こういうものと比重をかけて、地方財政の財源というところに重点を置いておるような答弁でありますが、大臣は競輪というものを基本的にどういうふうに考えておるか。そうして地方財政に重点を置く根拠を一つ明確にしていただきたい。そうして競輪を中心にして起っておるこの社会悪に対して、どの程度の認識と、これに対してどういうふうに考えておられるのか、この競輪というものに対する基本的な態度をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/8
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009・石橋湛山
○石橋国務大臣 その問題はなかなか割り切れないのでありますが、私は競輪が相当の悪影響もあるということは耳にいたしておりますから、知らないわけではございません。しかしながらこれは一種のやはり娯楽でもありますので、悪い弊害のある娯楽をとめるのには、その弊害のない一層いい何らかの娯楽を与える必要があると思う。全然何も与えずに、弊害があるからといって、これを禁止してしまうということをしますと、かえって弊害が大きくなる危険もないわけではない。こういうわけでありますから、いずれにしてもすでに存在して、相当の人たちが、非常な悪弊もありましょうけれども、一つのレクリエーションとして利用されておるものでもありますから、急激な手段はとるべきではないだろう、これは私の考えであります。しかしそれらは今の審議会において十分検討していただきまして、禁止しても何ら差しつかえはないという結論が出ますれば、われわれとしましても廃止することに何らの異論があるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/9
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010・永井勝次郎
○永井委員 事務当局あたりでは、たとえば競輪によっていろいろな社会悪が若干一面に出ておる。しかしながら一面においては地方財政の財源をうるおしている。あるいは自転車産業の振興に相当の役割を果しておる。あるいは貿易、輸出振興について相当な役割を果しておる、こういうようなことを述べておるようであります。そういうような社会悪というのは、そういう地方財源なり、輸出振興なり、自転車産業の振興というような面から来る必要悪である、こういうようなことを考えて、この問題を行政的な面から処理されるということになると、これは国民の現在競輪に対して考えておる関係とは非常な隔たりになって来るわけですが、その点を一つ明確にしていただきたい。大臣の答弁においても、これは一面においてはこうだ、しかし競輪は国民の一つのレクリエーションだ、こういうふうに非常に過大評価をされておる。過大評価というよりは、少しポイントが狂っておるのではないかというような考え方をされておるのでありますが、この点について、そうではない、言葉の行き過ぎではなくて、これはやはり国民のレクリエーションなんだ、競輪を廃止すれば、それによって別な弊害瀞起って来る、それほど競輪は国民の娯楽あるいはレクリエーションという面に役割を果しておると考えておられるのかどうか、重ねてこの点は伺っておきたいと思います。
〔前田(正)委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/10
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011・石橋湛山
○石橋国務大臣 地方財政に寄与するから、また多少なり国家の納入金がありまして、それが輸出振興等に役立つからといっても、一方にもし非常な弊害があるものなら、それを許しておくべきものではないと私は考えます。しかしとにかく競輪は何年かすでに存在しておりまして、そして地方財政もさることながら、やはりこれは確かに野球とか、前からありました競馬とかいうものとある程度同じように、大衆が相当これを享楽していることも事実だと思うのであります。でありますからこれをやめたらすぐにどんな弊害が起るということは、これはやってみなければわからぬことでありますが、しかしながらとにかくそう急激に政府の独断でやめるというようなことをすべきでないと思う。ですからなお広く有識者の意見も聞き、十分の検討をして、やめるならやめるということにいたしたい、かようなわけで、これを審議会にかけて十分検討していただきたい、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/11
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012・永井勝次郎
○永井委員 こういう射倖心を刺激するような事柄は、終戦後特に顕著な形で公認されて参ったと思うのであります。戦前には競馬程度のものでありましたが、終戦後においては競輪が現われて来る、ドッグ・レースが現われて来る、あるいはボートが現われて来る、あるいはオートバイが現われて来る。さらにはなはだしきに至ってはハイアライをやろうとした。ことにハイアライをやる場合には、その収益の幾割かは社会福祉のために献金するのだ。必ず悪いことをやるときには、その裏づけとしてこういうふうにいいことをするのだという差引勘定で、その方面に問題をそらして、非常に貧乏でみんなが困っておる、国の財政からいっても財源がそういうふうにない。それでそういう特別な収入を得て、それで社会福祉をやる。それを種にしてこの社会悪を公然化しようとする。こういう動きに政府がかえってこれをあと押ししておる。こういう形になっておることは、これは日本の現在の政治の倫理性というものをわれわれは疑わざるを得ないのであります。ことに大臣が言うように、これを廃止することによって、国民がそれになじんでおるので、これを急に廃止することは非常な弊害があると言いますけれども、ほんとうに国民が終戦後この廃墟の中から日本の国を再建しなければいけない、日本の完全独立のためには非常な真剣な努力をしなければいけないという、この高邁な、また真剣な気魄が、国民全体の中に広がって、その立ち上りがありましたならば、パチンコをやったり、ボート・レースや、あるいは競輪や、こんなところに時間を費したり、金をかげてやっておるひまはないと思う。そういうことをしないで、国の方において中小企業を圧迫して、あるいは農村がどんどん衰亡して行くような政策をとり、労働者に労働意欲を阻害するような政策をとって、独占資本の強化をはかる、こういうような一連の政策の中に、国民の立ち上る気魄をスポイルしておいて、スポイルされた国民が、その日暮しのためにパチンコに流れて来る、競輪に流れて来る、その表現された現実だけをとらえて、これが日本の現在の姿だからということは、こういう競輪とかパチンコとか、射倖心をそそるようなことに国民がずっと流れて行くということは、それだけ政治が悪をしておるのだ。政治が国民を正しく立ち上らしていないのだ。ほんとうに政治家として反省しなければならぬ問題であるにかかわらず、そういう社会事象が起っておるにかかわらず、その事象に対する政治家としての責任なり反省というものを欠いて、これは必要なんだ、こういう考え方は、政治家としてどうであろうかと私は考えるのであります。これに対して必ずこういう問題が起ったときには、これは地方財源の一部にするのだ、あるいはこれによって産業を振興するのだと言われる。これは手であって、そんなところには問題の焦点はないのであります。大きな問題は、これによって金をやって一もうけしようというボスがはびこっておる。最近の新聞によっても、競輪、競馬その他における悪というものは、これだけ社会問題になっておるにかかわらず、こういう問題に対して大臣が目をおおい、耳をおおうような態度をとるということは、政治家としての自己反省が足りないのではないかと思うのであります。これに対してどうお考えでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/12
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013・石橋湛山
○石橋国務大臣 御意見一々ごもっともであります。確かに国民の精神が大いに作興しておれば、たとい競輪がありましても弊害はないわけです。パチンコがありましても行き手がないわけであります。そこへああいう大勢の者が集まるというこの社会状態は、確かにわれわれとして反省をしなければならぬということは痛切に感じております。それは政府もむろんやらなければなりませんが、どうか国会におきましても皆さんの御協力によりまして、人心の作興を企てるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/13
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014・永井勝次郎
○永井委員 大臣はこういう現象は好ましくない。またわれわれが考えていますように、どういう事象があっても、ほんとうに国民が、競輪があっても、——競輪のやり方にもいろいろあるのでありますから、頽廃した形において競輪をやるか、あるいは大臣が言ったように、レクリエーションの形でこれをやるかというやり方もありますが、現在の傾向は決して正しい方向に動いていない。大臣もこれは好ましくない、こうお考えになるならば、この暫定措置というものは、できるだけ短かい期間においてこれを処理する、こういう真剣な取り組みが——競輪というこのつめのあかほどの、これは法案にしてもつめのあかほどの問題でありましょう。非常に零細な問題でありましょう。しかしこれが議会の中において公然と取り上げられて論議する上において、われわれはこの競輪という問題を議会においてどういうふうに論議をし、政府当局はこれをどういうふうに考え、委員会はこれに対してどう考えるか、こういう一つの考え方というものがやはり大きな問題であろう、こう思うのであります。それにかかわらず、それほど悪いものだという認識の上に立つならば、五年間という長期な期間を経過的な暫定措置としてやる必要は何もない。急ぐ場合には、政府は今まで自由経済で何も資料のないのに、内閣を組織したとたんに経済長期六カ年計画というものを直ちに作るほどの手腕を持っておられる。しかも競輪というようなつめのあかほどの問題を五年間かからなければ結論が出ないというようなそんなのんきなことでどうしますか。もしほんとうに悪いというならば、一年なり二年というようなもっと短かい暫定期間を置いて、その短期間にこれを処理するというもっと真剣な態度があってしかるべきだと思いますがいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/14
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015・石橋湛山
○石橋国務大臣 できるだけ短かい期間に結論を得たいことは同感であります。従って先ほどから申しますように、政府の独断でこういうものをどうこう片つけることはやはりよくないと思いますから、そこでいろいろの専門家あるいは有識者の意見を十分戦わして、これをいかに適当に処理するか。たとえばこれから競輪をやるにしましても、競輪のやり方もいろいろあると思います。今お話しのように、ただほんとうに国民のレクリエーションとして存在させる形も、とればとれぬことはないだろうと思いますけれども、それらのことも十分一つ検討をしていただきまして善処いたしたい、かようなわけであります。五年というのはこれは事務的な腹づもりでありまして、何も五年に執着するわけではございません。けれども、そうかといって半年や一年で片づくとも思いません。相当の期間を要するということは地方財政の関係——これまた地方財政を持ち出しますが、地方財政の関係から申しましても一挙には片づかないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/15
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016・永井勝次郎
○永井委員 こんな自転車の問題でくどくど尋ねるようでありますが、しかしこの問題は小さな問題でありましても、やはり現在の政治における一つのモラルの問題として、これは大きな批判の基準になる問題と考えますから、われわれ重ねてこれをお尋ねするのでありますが、われわれ今まで議会において、委員会においていろいろ論議しておりますが、すべてものをきめる前にはわれわれ委員の発言についても非常に謙虚にわれわれが期待する以上に、よく趣旨を了承して実行に移しますから、実行の過程で十分尽しますから、こう言って、一たんこれが決議されてしまうと、とたんに今度は逆に、いかにしたら自分に都合いいようになるかと、これを拡大解釈をし、ただし書きがあればこれを拡大解釈する。あるいは何かの条件があればその条件を拡大解釈して勝手なことをやる。これが今の官僚行政の一番の罪悪としてわれわれはこれを徹底的に破らなければならない。こういう問題として考えておりますから、決議するときには五年間であるが、しかしなるだけ早くというようなことはわれわれ了承しがたい。あるいは先年ずいぶんこの委員会でも問題になりました肥料の輸出会社法をつくる場合にも、これは赤字を個々の会社に積み上げておいて、そうして合理化によって上るところの収益からこの赤字を落していくというばかげたことが簡単にできるものではない。こういうことをずいぶんやかましく言ったのですが、これは輸出をするための会社に赤字を積み上げて行くのだ、こういりて決議をしたのであります。ところが最近聞きますと、何かこの輸出会社に外貨を割り当てて輸入業務をこれにやらせようというような事柄をやろうとしておる。実に驚くべきことばかりをやるのです。決議するときにはどうぞこれでといってやっておいて、そうして一たん法律が通ったら今度は自分勝手なことをやるというような従来の例でありますから、われわれ決議するときには、やはりこの問題をとことんまではっきりして、将来速記録において、このときこう言ったじゃないかと、責任を明らかにするということが必要であろうと思います。でありますから、これは単に漠然とした、法律の上にはどこにも五年というような期間もなければ、何もない暫定的な措置だ、こういうことだけであるのでありますが、答弁の中で五年ということを言っている。あるいは電気料金の問題でも、昨年の十月にきめるときには、できるだけ料金を上げないのだということを言っておきながら、また大臣の責任になりましてからでも、これはできるだけ措置をするのだと言っても、三十年度予算には値下げ措置は何もしていない、こういうので、出たとこ勝負でやっていって、過ぎてしまえばそれでほおかぶりということになるのであります。自転車競技法というような問題は、こんなものが出てくるということ自体が私は非常に嘆かわしいと思っているのです。小さな問題でありますけれども、地方財政に有利であるあるいは自転車振興に有利であるという条件によって、これだけの社会悪に目をおおうてこういう問題をたか単におざなりに通すということは、私は政治家の良心としてできない、こういう立場で聞いておるのでありますから、もし何であれば、この法案に対して最短距離で始末をつける、——たちまち何カ月かに六カ年計画を作るほどの手腕力量のある内閣が、競輪を今後どう処理しなければならないかについて学者を招いて、そして慎重審議して五年の間にこれをするなんて、そんなのんきなことは言っておられないと思うのですが、これに付することについてはどうお考えになりますか、これを明確にしていただきたい。
それから今まで常に繰り返されてきておる、これらのきめるときとその執行に当って、手の裏をひっくり返したような豹変をすることに対して、大臣はどういうふうにお考えになるのか、これを大臣に伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/16
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017・石橋湛山
○石橋国務大臣 今の御意見も大体私は同感なのです。国会が通ってしまえば、あとは政府の方であまり責任を痛感しない、また国会も監視が乏しいということは、これは今の政治の非常な欠点だと思います。が、私は決してでたらめを申すつもりはないのでありまして、ここで申し上げたことは必ず実行するという決意をもってやっておる次第でありますから、どうか御了承願いたいと思います。それから期限を付するということは、また一年とか何とかいいますと、同じことを繰り返すのでありますから、さっきから繰り返し申しましたように、地方財政の整理が、今の見込みではことしですぐにできると思いません。やはり三年くらいはどんなことをしてもかかる、やはりこれは逐次整理をせざるを得ない、そういうような関係がありますから、まあ社会悪があるのに地方財政の財源のことを言うというのも、御指摘のように多少の矛盾がありますが、その点から申しましても、あまり短かい期限を付されることは、私としては希望いたしません。それから先ほどから申しましたように、競輪の運営については十分審議会の運営によりまして、浄化といいますか社会悪のなるべくないような方法をとるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/17
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018・田中角榮
○田中委員長 伊藤卯四郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/18
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019・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 大した法案じゃありませんから、そう改まってたくさんお聞きするほどのこともありませんけれども、ちょっと了解できぬ点がありますから、何点かお伺いしておきたいと思います。大臣も御存じのように、これは昨年の第十九国会で、委員会におきまして、その機構、処置については政府はすみやかに助成するようにということは附帯決議できめられている。ところがその間どういうように検討したかという御報告もありません。なお五年間もさらに考えたいというようなことになってくると、国会の決議に対して政府側では一体どういう責任を感じてこの問題を扱っておられるのか。政府はすみやかにということをまじめに真剣にお考えになっておられれば、私は今大臣の御答弁になったようなことは当然おっしゃられないのだろうと思う。それから地方財政云々ということでございますが、私はそのことはどうも羊頭を掲げて狗肉を売るような言ではなかろうかという気が実はいたします。と申しますのは、なるほど競輪を扱うところの地方自治体で自分の財源を得ておるということは事実であります。ところがその財源も内面においては、先ほど永井君も言われたような非常に悲惨な悲劇が繰り返されておる。財源を得るためにはどんな悲劇、悲惨があってもかまわないという政治のあり方は、私は善政でなく悪政だと思う。だから、そういう点も私はもっと真剣に考えるべきじゃないか、こう思う。そこで私のお尋ねしたいのは、この昨年の委員会の決議をどのように尊重されておるのか。それから地方財政云々ということで、そういう悪の金をもって、期限をいたずらに引き延ばしていこうというやり方は、これは絶対に政治のとらざるところでなければならぬと思う。そういうことについて大臣はどのようにお考えになっているか。先ほど永井君に対する御答弁でいろいろおっしゃられておるが、あの程度のことではとうてい私は了解することができないのであります。やはりもう少し善政を行う立場から真剣にお考えになっていただきたいと思いますが、大臣の御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/19
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020・石橋湛山
○石橋国務大臣 根本問題は競輪を存続させるかどうかということでありますが、その点は先ほどから申しましたようにいろいろな事情がございますので、できるだけ欠点を除去する方策を講じつつ、もう少し存続したいというのが政府の私どもの考えであります。ただ、その入ってきます金等の処理につきましては、今度の法案にありますように、十分厳重に監督ができる処置を講じて間違いのないことを期したい、こういうふうな考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/20
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021・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうも大臣は、道義的な精神的な点についてあまり関心を持っておられぬと見えまして、この点においては真剣な御発表がないようなわけで、それは石橋さんは経済学については専門家かわからぬけれども、私はもっと道義的な点においてもお考えになるということが政治家としては大事な点じゃないか、こう思う。これは同じことを繰り返すことになりますが、競輪なり競馬は昔からあったことでありますけれども、その他のオート・レースとかあるいはその他いろいろな戦後に至ってばくちのこういうものが盛んになってきてしまっておりますが、こういうものの盛んになっております結果からくるその悲劇のうちの一つとして、これは政府機関から発表されてあることであるから大臣もお聞きになったことがあるかどうか知りませんが、たとえば、これはここで申し上げるような意見じゃありませんけれども、御参考までに申し上げておくのですが、たとえばヒロポンのごときにおきましても、今十五歳から二十五歳までの者は百万人のうちにその八〇%を占めておる。それが一人が一日に平均三十本くらいのヒロポンの注射を打っておる。ところが原価は一円五十銭のものを三十円で売っておる。これを製造しておる者は第三国人が七割であるということを政府機関が調査発表をしております。これなども私はやはり次の時代の日本のことを考えるならほうっておけない問題である。これはもちろんこの商工委員会の問題じゃありませんけれども、しかしながら、やはりこういう一つの賭博行為の発展する結果はそういうところまで発展していくものであることを、われわれ政治をやる者としては真剣に考えてみなくてはならぬと思う。そういう点から、今の競輪その他のばくち行為についても私はもっと真剣に考えて、地方財政に幾らかの財源になるからということでこれをいたずらにあいまいな形で引き延ばしていくということは、これは断じて政治のとらざるところでなければならぬと思うが、こういう点についてもう一ぺん、大臣はどういうことをお考えになっているかを、ただ地方財源のために云々ということだけでは、これは政治の上から見て納得できませんので、この点についてあなたの見解をぜひこの際伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/21
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022・石橋湛山
○石橋国務大臣 賭博行為が横行するということは、お話の通りわれわれも決して希望するはずはない。こういうことは差しとめたい。それからヒロポンは、これは非常な弊害がある。これは現在政府も相当これの取締りその他については苦心をして処置をしようといたしておりますが、しかしさっきも申し上げますように、一種の娯楽といいますか、賭博行為というものも、議論になるかもしれませんが、どうしても人間に一種のスペキュレーションの傾向があるものですから、何かの形でそういうものが出て参る。それだから競輪がいいとは申しませんけれども、できるだけその弊害がないようにするということはぜひ必要でありますから、これをやりたい。しかしながら、それでは競輪をとめたらその賭博行為の弊害が全面的に解除できるかというと、これ竜なかなかむずかしい問題だと思うので、いろいろの方面から——先ほど永井君からお話がありましたように、人心の作興ということも必要でありましょう。たとえば野球とかいうものは賭博の弊害はございませんが、しかしああいうものをまっ昼間大ぜいの人間が見ておるというようなことも、実はやかましく言えば必ずしも健全な状況ではないと思う。けれども、これもいきなりとめてしまって、それではそのかわるものを何か与えてすぐに人心の作興ができるかというと、そうでもないのであります。そこでこういう問題はあまり急激な処置なしない方がいいのではないかというのが私どもの考え方。そうかといってマンマンデーに、いつまでも弊害をうっちゃっておくという意味ではございません。そこで今までも御承知のように、この前やりましたように、とにかく競輪、競馬については開催日か制限をして、なるべく皆が働くべきときに大ぜいの者がああいうものへ集まるという度合いを減らそうということを一応いたしたわけであります。そういう処置によって漸次これを改善していきたい、かようなのがただいまの考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/22
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023・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 それ以上はもう二人の見解の相違で、議論になりますから申し上げませんが、ただ言申し上げておきたいのは、御存じのように、戦前は公認賭博行為というものは競馬ぐらいのもので、戦後に至ってものすごい公認賭博がある。ところが、それなら戦前はそれでしんぼうできなかったかというと、けっこうしんぼうできて、そういう犯罪は起きなかった。戦後それを放任しておいて、これをとめたら別個に何か起るであろうということは、これは国の善政をしく考え方としては、私はそういう考え方であってはならぬ、こう考える。しかしあなたとこれを議論していったのではどこまで議論していいかわからぬからこれは申しませんが、問題を処理、解決されるについてはやはりそういうこともお考えになる必要があるであろうことを申し上げておきます。
それから、大体今この収入をどのくらいお考えになっておるか。たとえば昨年度もあれだけ収入がありましたが、昨年度は予算にこれを入れなかった。本年度もこれは予算に入っておらぬようであるが、なぜ予算にこれを入れられないのか、そうしてこの金額は大体どのくらいを予定しておられるのか、それから地方自治体の財政財源にどのくらいの財政収入を与えておるものであるか、その二つの点を一つ明らかにお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/23
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024・石橋湛山
○石橋国務大臣 こまかい数字はもし必要があれば政府委員からお答えさせますが、大体売上高が五百八十億円ぐらい、そのうち一〇%ないし八%地方財政収入になるわけでありまして、すなわち五十億円程度の歳入はある見込みであります。それを国家の方への納入金は、振興会へ納入する。そうしてそれを機械産業その他に使います分が大体四億五千万円程度、こういうふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/24
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025・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 それから運営審議会の構成等の問題ですが、これをどういう人々をもって大体構成しようとしておられるのか、並びにその人員をどのくらいをもって充てようとしておられるか、その点も一つお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/25
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026・石橋湛山
○石橋国務大臣 それは政府委員より説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/26
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027・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 現在の審議会のメンバーは十五人で、ございます。それを五人ばかり追加いたしたいと考えております。現在の競輪運営審議会のメンバーは、お手元に配付されておる方々、リストがございますのでそれをごらん願いたいと思います。さらに五人追加いたしますのは、競輪関係の学識経験のある方々を大体選びたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/27
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028・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 その学識経験者の問題ですが、われわれの知るところでは従来役所の関係の人々とあるいは評論家、そういう人たちをもって構成しておられるようですが、これはこれだけの従来やっておられるようなメンバーではどうも私は実情に即しておらぬという気がするのです。あるいはこれとほんとうに取り組んでやる上から見て、あるいはこれをどのように改変するか、あるいはどうするかという根本問題についてのものを考えていく上から見ても、従来の構成されておる点では不十分であるという気がするのですが、その学識経験者というのはどういう人々を大体予定しておられるか、その点をお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/28
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029・鈴木義雄
○鈴木(義)政府委員 具体的にどうこうということではございませんが、競輪に関して知識を有し、それに対して公正な意見を言える方々、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/29
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030・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 どうもはなはだ抽象的で、それを私が言いますとまた相当攻撃しなければならぬということになってもどうかと思うから、私は今質問中それをさらに追究することはやめておきますが、はなはだどうも抽象的であいまいな点で了解できません。
それからさらにお尋ねしておきたいと思いますのは、こういうような一つの賭博行為でありますが、たとえは将来どのようにこれらを扱ったらいいとお考えになっておるか、あるいは現在の機構においても御存じのように非常に不十分である、これらを現在どのような構想にするか、あるいは将来これをどのように扱っていくか、あるいはこれを法律上どのようにお考えになっておるか、こういう点、もっと現在及び将来に対する根本的な考え方を一つ大臣に率直にお聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/30
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031・石橋湛山
○石橋国務大臣 この審議会の顔ふれについては、私もまだ相談を受けておりませんから、これを選択する場合には十分ただいま皆さんからお話のありましたようなことを参酌して人の顔ぶれをきめたいと思います。
それから、根本方針というのは、いうまでもなく賭博行為があるということは好ましくないのでありますから、あらゆる方面において、単に競輪だけの問題でなく、あるいは競馬だけの問題でなく、一般に賭博行為というのはむろん好ましからざるものであります。しかし、この現在の競輪の問題については、先ほどから申しますように、私どもとすれば急激にこれを政府の考えだけで廃止するというようなことは行き過ぎであろうと思いますので、今の審議会に、われわれの考え、また皆さんのお考えも十分申しまして、そういう考えのもとに適当な処理案を作ってもらいたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/31
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032・伊藤卯四郎
○伊藤(卯)委員 いま一点だけ伺っておきたいのでありますが、大体この競輪を、ギャンブル、いわゆる賭博行為として、地方財政のために必要であるからというようなことから認めて、これを存続させようとしておられるのか、あるいはまた、スポーツというのもちょっとどうかと思いますけれども、まあそういうこと等も考えておられるのか、つまり、地方財政のためにやむを得ない、遺憾であるけれどもすあ賭博行為としてこれを認めておるのか、そうじゃなくて、こういうことをできるだけすみやかに排して、明るいスポーツ的なものとして将来これを認めていこうというふうにお考えになっておるのか、その辺の見解を、この法案を扱う上におきましてぜひ必要でありますから、一つお聞かせ願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/32
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033・石橋湛山
○石橋国務大臣 競輪が果してスポーツとして存続する価値があるかどうかということは、私には実はわからないのであります。でありますから、これも一つ審議会の議にかけまして、果してこれはスポーツとして存続させる価値があるかどうか——あるという論も私は聞いております、非常に強いそういう議論があることも聞いておりますが、しかし私としてこれを現在スポーツとして残すという考えはまだ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/33
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034・田中角榮
○田中委員長 八木昇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/34
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035・八木昇
○八木(昇)委員 競輪の問題に関連いたしまして簡単に御質問いたします。先ほど永井委員の御質問に対するお答え、それからただいまのいろいろなお答え、いずれも非常に抽象的で、どうも私どもとして理解しがたいので一、二点御質問を申し上げたいと思います。先ほどの御答弁によりますと、結局当分の間というのは大体五年間くらいというふうに考えておる、しかし、できる限り、一年後、二年後、早い期間に何らかの結論を得たい、まあこういうことであった。ということは、要するに最大限この法律が存続するのは五カ年間であって、できる限りそれ以前に何とか考えたい、その場合少くとも五年以内のうちには、現在あるような姿の競輪の存在は改める、できればこれを廃止する、廃止できない場合も何らか純然たるレクリエーション的なものにするか、何らかの形にこれを改める、こういう意味に理解していいかどうかということをお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/35
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036・石橋湛山
○石橋国務大臣 この法案は金の取扱いについての法案でございます。競輪がある限りは何かと取扱いの方法を必要としますから、そこでまず一応五年くらいと考えまして、競輪がある限りほこれによってやっていく、その間に競輪の今後の問題を解決をして処置したい、かような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/36
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037・八木昇
○八木(昇)委員 それではそのことは端的に言えば、五年以内のうもに廃止するか、しからずんば現在のような競輪の性格を変えるか、こういうふうにはっきりした見解であるというふうに理解していいかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/37
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038・石橋湛山
○石橋国務大臣 大体お言葉の通りと思います。五年の間になるべく早く、審議会の議を経まして、競輪の根本法をどうするかということを解決いたしたい、従ってこれをもう一つ具体的に言えば、競輪を廃止するか、それとも今伊藤委員からちょっと質問がありましたように、これをスポーツなり何なりとして存続させるべきものかという問題を解決いたしたい、かような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/38
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039・八木昇
○八木(昇)委員 それでは別の問題ですが、これは昨日政務次官からはっきりした御答弁がございました。くどいかもわかりませんが、本日大臣からはっきりした御答弁をいただきたいと思います。現在各所からまだ相当数の競輪の許可申請があるのです。今後はおそらくなかろうと思いますが、あるかもしれない。しかしこれらの問題については一切今後は許可しない、こういうふうに政務次官の方から御答弁がありましたが、大臣もそのようにお考えかどうかを明快にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/39
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040・石橋湛山
○石橋国務大臣 私もこの前そういうふうにお答えしたように思いますが、許可しない方がいいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/40
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041・田中角榮
○田中委員長 両案に対する残余の質疑は次会に引き継ぐことにいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/41
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042・田中角榮
○田中委員長 この際お諮りいたします。原子力の平和的利用に関する件を議題といたし、審議を進めたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/42
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043・田中角榮
○田中委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。
原子力の平和的利用に関する件を議題といたします。質疑の通告があります。これを許します。前田正男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/43
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044・前田正男
○前田(正)委員 両大臣とも非常にお忙しいようでありますし、ほかの委員の質問もありますので、両大臣、特に高碕国務大臣が科学技術行政協議会の副会長もされておられますので、この点について一点だけお聞きしたいと思います。
原子力の問題は先ほど委員長からもお話がありました通り、きょうは会議が開かれて政府の態度もきめられるようでありますけれども、そういう問題をきめるについては当然政府といたしましての根本的な考え方であります原子力の基本法であるとか、あるいはそれに伴うところの政府の行政機関であるとかいったものが根本的にきまってこなければならぬと思うのですが、現在までわれわれが政府関係の人から聞いたところでは、暫定的な、政府機関的なものを経審と工業技術院に作るというような話を聞いているのですが、暫定的なものの考え方で政府が対外的な交渉をするということは、どうもおかしいのではないか。いよいよこれをやるならば、政府としては根本的な法案を作るとか、あるいは根本的に行政的な態勢を整えるという決心がなければ、国内の問題はいいですが、対外的な交渉をされる以上は、当然政府としては根本的な行政機関を作るとか、根本的な法律を作るとか、はっきりした態度をきめられておやりになるべきものではないかと思うのですが、それに対してどういうようにお考えになっておられるかお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/44
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045・高碕達之助
○高碕国務大臣 お答えいたします。さしあたり現在審議庁におきまして、原子力の基本方針とか、各省との総合調整をやることにいたしまして、技術的なこととか、あるいは実際的に使用する方面につきましては通産省でこれをやるということで、国内のことは大体そのようなことに考えておるのでありますが、それよりもまず第一にやるべき問題は、アメリカから濃縮ウラニウムの受け入れについて交渉があるのであります。それとの交渉を開始すべきものかどうか、実は一方的にこの一月十一日に向うから申し出がありまして、さらに四月十八日に公文で申し入れがあるのであります。これの交渉に応じるかどうかということの態度をきめることが先決問題と存じまして、過去数回この問題を検討しているわけであります。本日も十二時からその検討に入りたいと思っております。これが交渉に入るということになれば、先方の条件がどういう条件か、われわれといたしますれば、研究の自由を阻害するというものならば交渉に入る必要もない。いろいろそういう点を今検討中でございますが、それと相並行して、ただいま前田さんのおっしゃった国内の受け入れ態勢もさらに検討いたしまして、大体の原案ができますれば、皆さんの御協力を得て進めたい、こう存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/45
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046・前田正男
○前田(正)委員 御説明はよくわかりますが、実は国内におきましても、昨年からすでに原子炉の予算がついている、これは今年度の予算にも関係があるわけであります。しかも対内的のみならず、対外的にももらうわけでありますから、政府は今後原子力の問題はどういうふうに処置していこうとされておるのか、あるいは基本的な法律を作るとか、基本的な原子力を一つにまとめていく行政機関というもの、たとえばこの間からいろいろな関係の技術者あたりが集まったようなところでは原子力委員会というものを作ったらいい、原子力庁みたいなものを作ったらいいといういろいろな意見があるようでありますが、どういうような考え方でいこうとされておるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。これは対外的な問題ではなく、対内的にすでに一年間経過した問題であると思うのですが、どうお考えであるか、一つお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/46
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047・高碕達之助
○高碕国務大臣 その問題につきましては、原子力調査研究のために一月来外国に出しました調査団が帰って参りまして、ようやくその報告が五月の六日か八日に提出されました。それを基礎といたしまして、どういうふうな方針で進んだらいいかということは目下検討中でございますが、これも急速に検討したいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/47
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048・前田正男
○前田(正)委員 私はこの際いずれ政府のお考えがきまってからまたさらにあらためて質疑をいたしたいと思いますけれども、私がこの際考えておきたいと思いますことは、最近報道されておりますところの原子力関係の委員会でありますとか、あるいは原子力関係の行政機関というものは、原子力関係担当の学者の人たちが考えた意見であるせいか、原子力と、うものを切り離して一つの委員会であるとか、行政機関というものを作り上げていきたいというふうに出ておるようでありますけれども、私たち科学技術に関係のあった者から見ますならば、日本の科学技術というものの全体の水準が非常におくれておるわけでありまして、しかも原子力というものは産業革命として、また大きな科学技術全体の問題になるわけであります。原子力の行政機関というものは、科学技術全般の行政というものに非常に大きな関係があると思うのです。この点の問題を御考慮に入れて、科学技術全般の行政をどうするかということと、原子力の行政というものをどういうふうに混合していくかということに立って、私はこの受け入れ態勢というものを進めていっていただきたいと思うのであります。それに対して高碕大臣は原子力だけは切り離して行政機関を立てるというお考えであるか、あるいは一般の科学技術行政、原子力行政というものをよくにらみ合わして考えていこうとしておられるか、その考え方だけを一つお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/48
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049・高碕達之助
○高碕国務大臣 お説のごとく、私は原子力というものは将来日本の産業革命の一つの基礎になる非常に前途ある重大な問題だと存じておりまして、原子力だけを研究するか、あるいは科学技術を総合的にやるかということは非常に研究を要する問題だと思いますが、まずもって私は原子力というものだけについて一応検討を加えまして、さらにどうしても科学技術全体と連絡をとるべきだということになれば、そのときにやったらよいのではないかというふうに存じております。これはよほど検討を要する問題だと思います。それなら初めから全体の科学技術の中に入れたらどうかという考え方もあるかと思うのですが、この点はよほどむずかしい問題だと思いまして、私は深刻に研究しておるわけでありますから、もう少し時日を待っていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/49
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050・前田正男
○前田(正)委員 私の質問はこれで終りたいと思いますけれども、現在の科学技術全般の行政に対しても現状で大臣はいいと思っておられるかどうか。私は科学技術全体の日本の現状というものは、日本の現在の立場を国際的に見て決して満足すべきものではないと思うのです。当然原子力の行政的な受入れ態勢を考えるときには、科学技術の現在の行政状態についても再検討をする必要があるのじゃないかと思いますけれども、その点についてどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/50
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051・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまの御意見は、私もしょっちゅう考えておりますことと完全に一致しておりまして、その点につきましては、現在の科学技術の検討のあり方が正しいかどうか。あるいはもっと強力なものにしてやりたい、こういうふうな考えを持っております。今の御意見は十分尊重いたしまして、私は検討を加えたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/51
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052・田中角榮
○田中委員長 齋藤憲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/52
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053・齋藤憲三
○齋藤委員 簡単に通産大臣にお伺いいたします。この濃縮ウランを受け入れるか、受け入れないかということに関しまして検討を加えてみたのですが、これは当然受け入れる方がいいという結論に私は達しておるのであります。それにつきましてお伺いいたしておきたいのは、予算が本年度は二億円とってあります。昨年度の繰り越しが一億六千何百万円かとってある。この予算と、今度濃縮ウランを受け入れることになりますと、この受け入れに関係のある予算と、どういう関係になるのか、これを一つ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/53
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054・石橋湛山
○石橋国務大臣 詳しくは御必要があれば政府委員からお答えさせますが、大体今日の予算で、今までの計画を変える必要がないという結論に達しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/54
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055・齋藤憲三
○齋藤委員 私から申し上げるまでもなく、原子力を中心とする今後の国家のあり方というものは、これは政治的にも非常に大きな問題であります。むしろわれわれから言わせますと、今日の政治の中心というものは、もう原子力というものが大きなウェートを持ってきておると考える。せっかく取った三穂数千万円の予算が、もし濃縮ウランを受け入れて、これの実験のために大半費消されてしまうということになりますと、日本独自の原子力発電に使う予算は非常に減殺されていくことになる。もしわれわれが希望できますならば、こういう原子力の基礎調査に関する予算三億数千万円というものは、日本独自の原子力全般に関する研究調査費にとっておいて、特定の双務協定による濃縮ウランの受け入れ、及びそれに付随する実験炉は、適当に予備費か何かから支出してやっていくのが妥当ではないかと考えるのですが、大臣はこの点についてどうお考えになりますか、もう一度お聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/55
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056・石橋湛山
○石橋国務大臣 今問題になっております濃縮ウランの受け入れには、小型の炉をつくるのですが、それは最初からわれわれの計画しておる基本的な炉をつくるための技術の研究その他に役立つものでありますから、これは矛盾をいたさないとわれわれは見ております。ですから今の三億数千万円の予算で、とにかく本年度は今までの計画をくつがえさずに濃縮ウランを入れましてもやって行けると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/56
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057・齋藤憲三
○齋藤委員 どうも合点がいきませんが、大臣はお忙しいでしょうから、あとは政府委員と折衝いたします。われわれの考えからいくと、三億数千万円の金では、重水を作っていくだけにも足りない。グラファイトを作っていく、その他いろいろなものを研究していくといっても、三億数千万円の金をもってしては、重水の研究一つもできない。濃縮ウラニウムをとって来て、それに付随する実験炉を作るだけでも百万ドルくらいかかる。百万ドルといえば三億六千万円であります。そうすると日本独自の研究は何もできないことになりはしないかと思う。これはあとで専門的に政府当局と検討を重ねますから、その結論において、私の主張することが正しいということになれば、大臣もお考え直しをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/57
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058・石橋湛山
○石橋国務大臣 お説のように専門的のことでありますから、どうか専門家と一つお話願いたいと思います。そしてその結論がお話のようであるならば、むろん十分考慮いたすつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/58
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059・齋藤憲三
○齋藤委員 先ほどの前田委員からの御質問に関連して、私も経審長官に一言お尋ねしておきたいことがあります。それはアメリカからの濃縮ウラン貸与の申し込みは、ずいぶん前からあったと聞いておるのですが、各委員会におきましても濃縮ウランの受け入れについて今日まで事務的取扱いに非常にルーズであったという非難が聞えておるようです。この原因を追及して参りますと、結局原子力を専門的に取り扱う責任のある行政機関がないということ。原子力調査団が帰って参られまして、その報告も私は承わっておりますが、この原子力調査団の報告結論というものは——これだけ世界的に原子力時代になって来ておるのに、日本の行政機関の中に百年の大計を定むべき原子力の実際問題に関する責任ある機関がないということは、せっかく調査をしてきても、その調査の結論を持っていき場がない、こういうように私は承わっております。今後原子力問題を中心として、いかなる行政機構をお持ちになるつもりでありますか。われわれといたしまして、原子力問題を取り扱っている世界各国の行政機構を見ますると、非常に大規模な計画のもとに行われておる。そこで私から申し上げるまでもなく、将来は一切のエネルギー源というものは核分裂の時代になるということは事実であります。今日までは重力と化学反応によるところのエネルギー源であった。それが元素の核分裂によるエネルギー源の時代ということになりますと、これは人類社会が何次元飛ぶかということであります。私がこの間ホプキンスに、あなたの最後の望みは何かと言ったらば、原子力によって海水からウラニウムをとってパーピチュアル・モーションをやるのだ、無限動力化するということが理想だと言いました。これは決して理想だけでなく、実現できる原子力時代のありさまだと思うのであります。でありますから、原子力時代になりますと、人口問題も食糧問題も、一切解決するというのが今の学者の一番大きな真の平和を求めるところの中心の考え方であります。それでありますから、日本におきましても、もう原子力時代に足を踏み入れたのでありますから、この際政府当局は、科学技術、特に原子力を中心としていかなる行政機構をお持ちになるかということを、一つ即答でなくともいいですが、またあまり責任をお持ちにならないでも、どういうお考えをもって新しい原子力時代に対処せんとせられておるか、その御構想を一つ承わっておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/59
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060・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいま御質問のごとく、私ども率直に申しまして、わが国の今日までの原子力に対しての対策は等閑に付せられておったようなきらいもあったと私は存じます。これは率直に認めます。それがために昨年来いろいろ調査団を出しますし、また外国の状態等も調べてみますと、どうしても今日原子力というものは、これを武器として使用すれば人類の破滅である。これを産業に利用すれば産業の根本的革命である。特に資源の少い日本としてこれを利用するということは、どうしても日本の民族が生きるか死ぬかという重大な問題の岐路に立っておるということの考えは御質問の通りでありまして、これに対応するように国内の態勢も十分きめたい、こういう考えでおりますが、今具体的にどうしろ、こういうお話になりましても、これは今ちょっと答えかねるのですが、十分検討いたしまして御期待に沿うように私どもは進んで参りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/60
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061・田中角榮
○田中委員長 次に帆足計君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/61
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062・帆足計
○帆足委員 この問題は、新聞によりますと、急転直下政府は態度をきめるということに承わっておりますので、私は審議を急ぐ必要があると思うのです。そこで審議の順序といたしまして、これは協定か条約かということでまだあいまいな御答弁でしたが、かりにアメリカからの申し出を受け入れるといたしますと、国会及び委員会との関係はどういうことになるのでございましょうか。あらかじめ委員会にはかるような形になるのですか。それとも自由な論議が行われただけで、政府が独断的におやりになるのであるか。私どもの見解からすれば、多少の秘密条項もあるようでありますし、予算も伴い、多少の権利義務も伴うようでありますから、当然条約に準じて慎重にお取り扱いになることが適当と思いますが、いかがなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/62
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063・高碕達之助
○高碕国務大臣 ただいまその問題につきましては慎重審議中でありまして、本日もこれからそれをやってみたいと存じております。そうしてもちろんこれを協定として行政措置でやるか、あるいは条約に準ずるものかというふうな点は非常に市大な問題と存じますから、十分検討いたしまして、御回答いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/63
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064・帆足計
○帆足委員 この問題についての、主管大臣といえばちょっと固苦しいのですが、責任ある大臣はどなたが御担当で、ございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/64
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065・高碕達之助
○高碕国務大臣 現在の段階におきましては、アメリカと協定するかあるいはアメリカと交渉するか交渉の段階でございまして、現在は外務大臣が主管でやることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/65
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066・帆足計
○帆足委員 外務大臣に対しては一般の信頼がきわめて薄く、まことに心もとないと思うわけであります。従いまして信頼の厚い高碕さんあたりがもう少し中心になってやっていただかねば——私は先ほどの齋藤委員の質問に全面的に賛成でありまして、これは重要な問題であります。平和と人類の前に課せられた重大な課題でありまして、この問題を審議することだけでも、私はわが身の光栄を感ずるくらいであります。この時代に生れた光栄を感ずるくらいの問題でございます。これで人類のとびらが開けることも間違いありません。従いましてこの問題につきましては徹底的な御研究と、それからなるべくすみやかに主管官庁をおきめになって、そうして充実した陣容をもって対処さるべきことであると思います。
時間がありませんし、松平君からの質問もありますので、先般十数個の問題をお尋ねいたしましたが、ほとんど事務当局では満足な御答弁はできませんでした。そのような条件のもとに急激に交渉が進むことを私どもは心配いたしております。従いまして重要な二、三の点をお耳に入れておきますが、英国からは原子力発電のプラント輸出について各方面へ照会が参っておるように聞いておりますが、英国の原子法並びに英国が部分的にはアメリカより進歩しておるように私は聞いておりますが、英国が自治領または諸外国に今後提供するであろうという見通しや条件等について至急お調べ願いたいのです。
それからアメリカの世界戦略から考えまして、今度非常に懇切丁寧な態度でやられておりますことは感謝しておりまするし、またホプキンス氏やローレンス氏のような個人の人柄に対しては、頭脳明晰で、私は高碕さんに対すると同様の敬意を頭のいい方には常に払っておるのですが、政治の問題はまた別の問題でありまして、個人がどれほどすぐれた人であろうと、政治は非常におくれておりまして、まだ人食い人種のような段階でありますから、危ないのです。従いましてアメリカのいわゆるニュー・ルック戦術、原子力についてアメリカが独占圏を作ろうとしておるということなどもあらゆる政治評論に出ておりますが、それらの善悪は別といたしまして、客観的にどういう戦略をもってアメリカがこの問題に対処されておるかということも一応知っての上で対処することが必要であろうと思いますが、このような問題を外務大臣に聞いたところで、これは無意味でありますから、この次私は経済審議庁長官にお尋ねしたいと思います。
それからさらに秘密の保持の問題につきましても、ほとんど問題にならぬ程度というような答弁がありましたが、これらのことももう少し技術的、専門的に次会にお尋ねしたいと思います。それからイタリア、トルコとの協定の全文などもいただきたいと思います。これらの点について、先般技術院長並びに佐々木さんにも申し上げました資料とあわせて、十分な時間をとっていただいて御質問いたし、われわれが納得できる条件、すなわち人類と平和の前において恥かしくない条件であるならば、われわれは協力いたしまするし、また原子力の研究の進歩は各国において行われつつありますから、今日目先の問題でその他の利益を失わないような諸条件等も考慮していただきたいと思いますので、私どもとしては目下皆様とともに研究の過程という立場でございます。どうか次会にそれらの点を御準備願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/66
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067・田中角榮
○田中委員長 松平忠久君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/67
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068・松平忠久
○松平委員 ただいま齋藤委員の質問に若干関連するわけでありますけれども、日本の原子力に関する研究というものは、御承知のように、調査団の報告にもあります通りに、天然ウラン、重水の原子炉を作っていく、こういう一つの構想があるわけであります。そこへ今度の濃縮ウランということでありますので、研究が二本建になるのではないかと思うのですが、その二本建でやっていかれる、つまり今までの政府の構想であるところの天然ウラン、重水原子炉はあくまで作っていく、そのほかにもう一つ今度の濃縮ウランを入れて研究していく、こういう二本建で進んでいく構想でありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/68
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069・高碕達之助
○高碕国務大臣 もちろん天然ウランを用い、重水を用いてやる根本的の研究は怠らずやるわけであります。ただいまの濃縮ウランを持って参りますと、それに付随したる研究等も急にそこにできまして、今は濃縮ウランというものを自分で作ることはできないのですから、せっかくこれをくれるとか貸すとかいう条件がきまればこれはこれでまた持って参りまして、両方とも研究をやっていきたい、こういう所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/69
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070・松平忠久
○松平委員 そうすると天然ウラン、重水のこれまでの方針というものに加えてこの濃縮ウランの研究ができるということでありますが、ウランの計画にあるがごとき天然ウラン、重水の原子炉の完成は大体五年ということになっているようでありますけれども、もし今回のアメリカの濃縮ウランの提供が実現するならば、五年以内に原子炉の完成が見込みがつくかどうか。つまり五年以内に短縮される見込みがあるのかどうかということを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/70
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071・高碕達之助
○高碕国務大臣 なるべく早く効果を上げるために五年を四年に切りつめ、あるいは三年に切りつめたい、こういう所存でございますから、一方濃縮ウランの研究をやりますと同時に、またわれわれの希望に反するような条件がつかなければ、天然ウランなり重水の研究等も協力して早く技術を導入したいと思っておりますが、それにはもちろん根本方針である研究の自由を阻止するような条件がつかないということの前提のもとに折衝いたしたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/71
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072・松平忠久
○松平委員 アメリカにおいてはウラニウム原子力発電というものよりも、むしろトリウムを使う場合の方が発電原価のコストが下るというような記載が資料にありますけれども、日本の現状からいたしましても、多くの学者の考え方はトリウム原子炉を作っていくべきであるという見解が多いようであります。日本の鉱物資源等の分布あるいは日本を取り巻く各外国における天然資源というものから考えますならば、日本としてはトリウム原子発電炉というものを将来は作っていく必要があるというふうに私どもは考えているのですが、この点の研究等を今回の協定の中に入れるつもりであるかどうか。すなわちトリウムあるいはジルコニウム等の研究をも協定の内容に含ませるおつもりがあるかどうか伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/72
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073・高碕達之助
○高碕国務大臣 この問題は少し技術的になりますから、政府委員から答弁させていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/73
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074・松平忠久
○松平委員 あと一点だけ……。終戦後アメリカから、日本における原子力の研究についていろいろ制限が加えられておったわけですが、今回の濃縮ウランの受け入れということに至る段階におきまして、これらの制限は一体どういうふうになっているか。全部解除されて、むしろ向うから積極的に援助するというような何かはっきりした取りきめというか、約束の文書でも来ているのかどうか、そういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/74
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075・高碕達之助
○高碕国務大臣 現在におきましては、そういうふうなものは全部取り消されておりまして、全然自由でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/75
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076・田中角榮
○田中委員長 本件に関する質疑は追って行うことといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/76
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077・田中角榮
○田中委員長 この際お諮りいたします。本日中小企業信用保険法の一部を改正する法律案が付託になりましたので、これを日程に追加し、審査を進めるに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/77
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078・田中角榮
○田中委員長 異議なしと認めます。それでは中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題となし、審議に入ります。その趣旨の説明を求めます。石橋通商産業大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/78
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079・石橋湛山
○石橋国務大臣 ただいま議題になりました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
中小企業信用保険法は、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にするため、中小企業者に対する貸付及び中小企業者の債務の保証につき政府が保険を行いまして、中小企業者の信用力、担保力を補うことを目的とするものであります。昭和二十五年十二月にこの制度が発足して以来今日に至るまで約四年半の間に、三回にわたって改正が行われ、また運用の面におきましても相当の実績を収め、発足以来の実績は、件数で十万一千三百七件、付保額六百二十三億九千万円となっておりまして、中小企業者に対する信用補完上大きな貢献をして参ったのでございます。しかしながら最近の経済及び財政金融情勢のもとにおいて、中小企業の金融難は依然として深刻なものがありますので、従来の経験にかんがみまして、さらに制度の改善と強化拡充を行い、中小企業金融の緩和に資せしめようとするものでございます。
次に本法案の概要を御説明申し上げます。第一点は、中小企業者の定義を改正し、新たに酒類業組合等を加え、保険の最終受益者の範囲の拡張を図ったことであります。
第二点は、融資保険について、金融機関が保険に付し得る貸付期間を現行の六カ月以上から三カ月以上に短縮いたしまして、保険に付し得る貸付の要件の緩和をはかったことであります。
第三点は、融資保険について新たに会社更生法による更生手続開始決定または商法による会社の整理開始の命令もしくは特別清算開始の命令のあったときにおける貸付金の回収未済を保険事故に加え、金融の実際に即した保険機能の拡大をはかったことであります。
第四点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、中小企業者の中小企業金融公庫または国民金融公庫からの借り入れ債務に対し、信用保証協会が保証を与えた場合に、この保証債務を保険に付し得るようにいたしまして、信用保証協会の保証機能を広げようとするものであります。
第五点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、同協会が行ういわゆる根保証を保険の対象にできるようにいたしまして、中小企業振興上きわめて重要な保険目的を新たに加えたことであります。
第六点は、信用保証協会を相手方とする普通保証保険及び金融機関を相手方とする保証保険について、保険の填補率を現行の六〇%から七〇%に引き上げて、信用保証協会の機能強化に資せしめたことであります。
第七点は、信用保証協会を相手方とする保証保険について、保険金支払い請求権を行使し得る時期を保険事故発生後三カ月から一カ月に短縮して、融資保険との調整をはかったことであります。以上が本法案の概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、可決せられんことをお願いいたす次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/79
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080・田中角榮
○田中委員長 本案に対する質疑は次会に譲ることといたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/80
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081・田中角榮
○田中委員長 この際齋藤憲三君より議事進行に関し発言を求められておりますので、これを許します。齋藤憲三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/81
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082・齋藤憲三
○齋藤委員 貿易特別委員会というものが設けられて、貿易に関する特別の審議、調査をやるということになっておるようでありますが、この間の通商白書を読みますと、ことごとくこの商工委員会の問題は、貿易に直接間接につながっておる。特別に貿易委員会を設けて、貿易を中心として商工行政全般にわたって審議するというふうになったら、私はこの商工委員会はいらぬと思う。何ゆえにそういう重なった煩瑣な貿易委員会を設けられたのであるか、私は了解に苦しむのでありますが、これもしかし決定したことであって、いたし方ないとすれば、貿易委員会は一体どういうことをやるのか、この商工委員会は一体どういうことをやるのか、それをはっきりした方が審議の時間を短縮し、また政府当局に対して苦労を重ねる率も少くなる。われわれもよけいなことを審議する必要はな
いと思う。この点一つ委員長から、貿易特別委員会に対してよろしく御交渉下さいまして、その審議する分野を定めていただいた方がいいと私は思うのであります。一つ議事進行のために、これをお取り上げくださるようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/82
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083・田中角榮
○田中委員長 齋藤君にお答えいたします。特別委員会は国会法の第四十五条の規定によって議院の決議があった場合設けることができることになっておるわけでありますが、これは前に各派の申し合せで、改正前の国会法においては明記しておったのであります。特別委員会を設ける場合は各常任委員会に所管しない事項を所管するために特別委員会を設けるということになっておりましたが、今度の国会法の改正後の条文によりますとその規定が除かれております。だから議決があれば特別委員会ができるわけでありまして、その規定において特別委員会が作られたわけでありますが、この委員会との権限紛淆が確かにあります。しかも常任委員会はできるだけ数を少くしてというような状態で、常任委員会の数は単一化されておるにもかかわらず、屋上屋を重ねるようなことになりましたことは、私も委員長として遺憾だと思っております。しかしこれは院議によって決定したのでありますから、権限紛淆が起らないように委員長から適当に議長に申し入れを行なって貴意に沿いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/83
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084・帆足計
○帆足委員 ただいまの問題は、前国会で特別委員会ができましたときもやはり同じ問題がありまして、私の承知しておりますところでは、主として共産圏との貿易が非常に困難な状況にありますので、それに重点を置いて作られた委員会であるということも承わりましたのですが、かりにそういうことでありますれば、私はその問題に重点を置くように両委員長において仕事の調整の打ち合せをはかられるか、また両理事会において仕事の調整をはかられることが適当であると存じますので、齋藤君の発言はごもっともと思いまして私ども同感でありますから、よろしく取り計らいを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/84
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085・田中角榮
○田中委員長 ただいまの御発言の通り、貿易委員会は対共産圏国を相手として、その意味でお作りになったようでありますが、実際の運営上、先ほど齋藤君が申されましたように、本委員会との権限の紛淆を来たしておりますので、特に一部の委員諸君は通産行政を全部やるのだということを一言っておられるそうでありますので、この問題はこのままにしておけないので適当に処置をいたします。
明日午前十時より会議を開くこととなし、本日はこれをもって散会いたします。
午後零時二十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/102204461X01419550519/85
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